説明

立体障害アミドを含有する有機金属化合物

式:M(NR 〔式中、Mは、金属又はメタロイドであり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、R及びRは、組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、1つの(NR)基のR又はRは、もう1つの(NR)基のR又はRと組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、xは、Mの酸化状態に等しい〕によって表される有機金属化合物であって、(i)単量体構造とアニオン性配位子に関するMの酸化状態に等しい配位数とを維持するのに十分な立体的嵩高さ、及び(ii)蒸着に適した揮発度を有するのに十分な分子量、を有している、上記有機金属化合物、並びに、該有機金属化合物を生成する方法、及び、有機金属前駆体化合物から膜又はコーティングを生成する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、立体障害アミド(sterically-hindered amides:立体障害を有するアミド)を含有する有機金属化合物と、立体障害アミドを含有する有機金属化合物の製造方法と、立体障害アミドを含有する有機金属前駆体化合物から膜又はコーティングを製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
〔発明の背景〕
半導体の製造又は加工処理が行われる間、ウェーハ等の基体(substrates:基板)の上に又は他の表面に膜材料を形成するために、化学蒸着法が使用されている。化学蒸着において、化学蒸着用前駆体(chemical vapor deposition precursor)は、化学蒸着用化合物(chemical vapor deposition chemical compound)としても知られているが、熱的に、化学的に、光化学的に、又はプラズマ活性化によって分解されて、所望の組成を有する薄膜を形成する。例えば、気相化学蒸着用前駆体は、該前駆体の分解温度よりも高い温度まで加熱されている基体と接触して、該基体上に金属膜又は金属酸化物を形成することができる。化学蒸着用前駆体は、化学蒸着条件の下、揮発性であり熱分解性であり、且つ、均一な膜を生成し得ることが好ましい。
半導体産業では現在、様々な用途のための様々な金属の薄膜を使用することが検討されている。多くの有機金属錯体は、これらの薄膜を形成する可能性のある前駆体として評価されている。半導体産業界には、新たな諸化合物を開発して、それら化合物の、膜堆積物を得るための化学蒸着用前駆体としての可能性を探求する必要性が存在している。
【0003】
ランタニド基材料(例えば、酸化物、ケイ酸塩、アルミン酸塩、及び、ケイ素/アルミニウムの酸窒化物)は、次世代半導体デバイスにおける高K誘電体(high-K dielectrics)を得るための候補物である。しかし、例えば、(遷移金属と比べて)より大きい原子半径、f軌道の関与、及び、+3酸化状態をとる傾向のようなランタニドの固有特性に起因して[コットン(Cotton),F.A.,ウィルキンソン(Wilkinson),G.:無機反応特論(Advanced Inorganic Chemistry)、シューマン(Schumann)等:Chem.Rev.2002,102,1851]、ランタニド系はしばしば、高配位数を有し、二量体、高級オリゴマー、及び/又は、他の分子との付加化合物を形成する。この筋書き(scenario)は、多くのアミドベース系の場合であり、また、化学蒸着法及び原子層堆積法を適用するのに十分な揮発度を有する安定化合物の利用可能性を厳しく制限している。
米国特許出願公開第2002/0187644A1号及び同第2002/0175393A1号明細書には、誘電体薄膜(例えば、ゲート誘電体、高誘電率金属酸化物及び強誘電性金属酸化物)を形成するのに一定の有用性を有するメタロアミド前駆体組成物と、該組成物を利用して前記誘電体薄膜を堆積させるための低温化学蒸着法とが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0187644A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0175393A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願シリアル番号10/678,074号明細書
【特許文献4】米国特許第6,287,965号明細書
【特許文献5】米国特許第6,342,277号明細書
【特許文献6】米国特許第5,789,027号明細書
【特許文献7】米国特許第6,541,278B2号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】コットン(Cotton),F.A.,ウィルキンソン(Wilkinson),G.著、「無機反応特論(Advanced Inorganic Chemistry)」
【非特許文献2】シューマン(Schumann)等著、「Chem.Rev.2002,102,1851」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
化学蒸着法及び原子層堆積法によって薄膜を形成するための開発中の方法においては、室温では好ましくは液体である前駆体であって、十分な蒸気圧を有し、適切な熱安定度を有し(即ち、化学蒸着に対しては、加熱基板上では分解するが、運搬中は分解せず、また、原子層堆積に対しては、熱分解されないが、共反応物(co-reactant)に暴露されたときは反応し)、均質な膜を形成することができ、しかも、望ましくない不純物(例えば、ハロゲン化物、炭素、等)が存在したとしても該不純物をほとんど置き去りにしない前駆体を得る必要性が存在し続けている。それゆえに、新たな化合物を開発し、且つ、膜堆積物を得るための、化学蒸着用又は原子層堆積用前駆体としての該化合物の可能性を探究する必要性が存在し続けている。したがって、上記の諸特徴の幾つかを、又は、好ましくは全てを有する前駆体を提供することは、当該技術分野においては望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔発明の要約〕
本発明は、1つには、式:M(NR 〔式中、Mは、金属又はメタロイドであり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、R及びRは、組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、1つの(NR)基のR又はRは、もう1つの(NR)基のR又はRと組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、xは、Mの酸化状態に等しい〕によって表される有機金属化合物であって、(i)単量体構造とアニオン性配位子に関するMの酸化状態に等しい配位数とを維持するのに十分な立体的嵩高さ、及び(ii)蒸着に適した揮発度を有するのに十分な分子量、を有している、上記有機金属化合物に関する。
【0008】
本発明はまた、1つには、有機金属化合物を製造する方法において、(i)第1ポットの中で、溶媒の存在の下、塩基原料を含む第1反応混合物を生成するのに十分な反応条件の下、窒素含有化合物を、アルカリ金属、又はアルカリ金属含有化合物、又はアルカリ土類金属、又はアルカリ土類金属含有化合物と反応させる工程と、(ii)金属源化合物及び任意的にアミン化合物が入っている第2ポットに、該塩基原料を添加する工程と、(iii) 該第2ポットの中で、該有機金属化合物を含む第2反応混合物を生成するのに十分な反応条件の下、該塩基原料を、該金属源化合物及び任意的に該アミン化合物と反応させる工程と、(iv)該第2反応混合物から該有機金属化合物を分離する工程とを含み、しかも、該有機金属化合物は、式:M(NR 〔式中、Mは、金属又はメタロイドであり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、R及びRは、組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、1つの(NR)基のR又はRは、もう1つの(NR)基のR又はRと組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、xは、Mの酸化状態に等しい〕によって表され、しかも、該有機金属化合物は、(i)単量体構造とアニオン性配位子に関するMの酸化状態に等しい配位数とを維持するのに十分な立体的嵩高さ、及び(ii)蒸着に適した揮発度を有するのに十分な分子量、を有している、上記製造方法にも関する。
本発明の方法から結果的に得られる、有機金属化合物の収率は、60%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは90%以上である。
【0009】
本発明は更に、1つには、膜、コーティング又は粉末を製造する方法において、式:M(NR 〔式中、Mは、金属又はメタロイドであり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、R及びRは、組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、1つの(NR)基のR又はRは、もう1つの(NR)基のR又はRと組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、xは、Mの酸化状態に等しい〕によって表される有機金属前駆体化合物であって、(i)単量体構造とアニオン性配位子に関するMの酸化状態に等しい配位数とを維持するのに十分な立体的嵩高さ、及び(ii)蒸着に適した揮発度を有するのに十分な分子量、を有している該有機金属前駆体化合物を分解し、そうすることによって、前記の膜、コーティング又は粉末を製造する、上記製造方法に関する。前記有機金属前駆体化合物の分解工程は、熱的に、化学的に、光化学的に、又はプラズマ励起によるものである。
【0010】
本発明は更にまた、1つには、有機金属前駆体化合物の混合物において、(a)式:M(NR 〔式中、Mは、金属又はメタロイドであり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、R及びRは、組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、1つの(NR)基のR又はRは、もう1つの(NR)基のR又はRと組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、xは、Mの酸化状態に等しい〕によって表される有機金属前駆体化合物であって、(i)単量体構造とアニオン性配位子に関するMの酸化状態に等しい配位数とを維持するのに十分な立体的嵩高さ、及び(ii)蒸着に適した揮発度を有するのに十分な分子量、を有している該有機金属化合物と、(b)1種類以上の異なる有機金属前駆体化合物(例えば、ハフニウム含有有機金属前駆体化合物、アルミニウム含有有機金属前駆体化合物、ストロンチウム含有有機金属前駆体化合物、バリウム含有有機金属前駆体化合物、チタン含有有機金属前駆体化合物)とを含む、上記混合物に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、とりわけ、アミドベースランタニド前駆体を包含する「次世代」堆積物に関する。これらの前駆体は、他の既知の前駆体より優れた利点を有する。これらのランタン含有材料は、例えば、誘電体、バリヤー層(barrier:障壁層)及び電極のような様々な目的で使用することができ、しかも、ほとんどの場合、他の金属含有膜に比べて、改善された特性〔熱安定性、所望の形態(morphology)、より少ない拡散、より低い漏れ(leakage)、より少ない電荷トラップ(charge trapping)、等〕を示す。
【0012】
本発明は、幾つかの利点を有する。例えば、本発明の方法は、変化に富む化学構造と物理特性とを有する有機金属化合物を作り出すのに有用である。有機金属化合物前駆体から作り出される膜は、短い定温放置時間で堆積させることができ、しかも、有機金属化合物前駆体から堆積される膜は、優れた平滑度を示す。
【0013】
本発明は、とりわけ、次世代デバイスを得るための、化学蒸着用前駆体及び原子層堆積用前駆体に関し、具体的には、室温(即ち、20℃)で液体である有機金属前駆体が好ましい。
【0014】
本発明の有機金属前駆体化合物は、所望の特性を有する原子層堆積用前駆体であって、他の物質(例えば、Al等の物質)と結びついたナノ積層体(nanolaminate)構造を包含する諸用途のための該前駆体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔発明の詳細な記述〕
前述のように、本発明は、式 M(NR [式中、Mは、金属又はメタロイドであり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、R及びRは、組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、1つの(NR)基のR又はRは、もう1つの(NR)基のR又はRと組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、xは、Mの酸化状態に等しい]によって表される有機金属化合物であって、(i)単量体構造とアニオン性配位子に関するMの酸化状態に等しい配位数とを維持するのに十分な立体的嵩高さ、及び(ii)蒸着に適した揮発度を有するのに十分な分子量、を有している、上記有機金属化合物に関する。
【0016】
有機金属分子の単量体の性質を維持することは、十分な揮発度を達成するのに重要である。二量体、オリゴマー、又は2個以上の金属中心を含有する他の化学種が形成されると、化合物は大きくなり過ぎ、したがって、その付加された分子量によって、前駆体としての利用が制限されることがある。
【0017】
嵩高いアミド配位子によって提供される、有機金属分子の立体的嵩高さは、二量体、オリゴマー、又は2個以上の金属中心を含有する他の化学種の形成を防ぐのに重要である。それらの形成によって、揮発度を制限することができる。更に、その立体的嵩高さによって、中心元素の酸化状態よりも大きい配位数が抑制され、そのことは、揮発度がより小さく且つ極性がより大きい化学種[例えば、いわゆる「アート(ate)」化合物であり、反応が行われる間、アルカリ金属(例えば、Li)及びハロゲン(例えば、Cl)が存在するとき、アート化合物は、それらのアルカリ金属及びハロゲンを組み入れることができる]の形成を防ぐのに役立つ。場合によっては、小さい中性分子(例えば、ジエチルエーテル、トリメチルアミン)が配位することによって、理論的には、配位数は中心元素の酸化状態よりも大きく増大するものの、本発明の範囲内にある許容特性を備えた前駆体が生じることがあるということに注目すべきである。
【0018】
本発明の有機金属化合物は、トリス(ジエチルアミノ)ランタン又はトリス(ジイソプロピルアミノ)ランタンの立体的嵩高さよりも大きい立体的嵩高さを有することが好ましい。
【0019】
有機金属分子の分子量は、十分な揮発度を得るための必要条件によって制限される。分子は、単量であり、中心元素の酸化状態に等しい配位数を有するものの、配位子が大き過ぎる場合(例えば、高分子量である場合)、その化合物は、蒸気圧不足に起因し、前駆体としては有用でないかもしれない。本発明の有機金属分子は、二量体でもオリゴマーでもなく、2個以上の金属中心を含有する他の化学種でもない中性分子であることが好ましい。
【0020】
本発明の有機金属化合物は典型的には、約1000未満、好ましくは約750未満、より好ましくは約500未満の分子量を有する。
【0021】
本発明の有機金属化合物は、蒸着のために十分な融点を有する。それら有機金属化合物は典型的には、約200℃未満、好ましくは約100℃未満、より好ましくは約50℃未満の融点を有する。
【0022】
本発明の有機金属化合物は、蒸着に適した揮発度を有する。本発明の有機金属化合物は典型的には、200℃で少なくとも0.1トールの揮発度、好ましくは150℃で少なくとも0.1トールの揮発度、より好ましくは100℃で少なくとも0.1トールの揮発度を有する。
【0023】
本発明の有機金属化合物は、蒸着のために十分な熱安定度を示す。それら有機金属化合物は典型的には、該有機金属化合物の約1重量%未満が100℃の温度で1日間かけて分解する熱安定度、好ましくは該有機金属化合物の約1重量%未満が100℃の温度で1ヶ月間かけて分解する熱安定度、より好ましくは該有機金属化合物の約1重量%未満が100℃の温度で1年間かけて分解する熱安定度を有する。
【0024】
及びRは典型的には、同一であるか又は相違しており、且つ、独立して、水素基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、シクロヘキサジエニル基、アダマンチル基、フェニル基、ベンジル基、シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジエチルメチルシリル基、等である。
【0025】
及びRは一般に、同一であるか又は相違しており、且つ、独立して、水素基、アルキル基、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族複素環基、脂環式複素環基、ハロゲン化アルキル基、シリル化炭化水素基、エーテル基、ポリエーテル基、チオエーテル基、エステル基、ラクトン基、アミド基、アミン基、ポリアミン基、ニトリル基、又はそれらの混合物である。R及びRは更に、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状アミド基又は環状アミノ基、例えば、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、チアゾリジニル基、ピペリジニル基、ピロリル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピロリニル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、イミダゾリジノイル基(imidazolidinoyl)、イミダゾリジネチオニル基(imidazolidinethionyl)、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基、トリアゾリル基、インドリル基、及びプリニル基を包含することができる。R及びRの各々は、同一であるか又は相違しており、且つ、独立して、水素基、アルキル基、又はそれらの混合物であることが好ましい。
【0026】
Mは典型的には、2族元素(例えば、Sr、Ba)、3族元素(例えば、Sc、Y)、13族元素(Al、Ga)、又はランタニド系列元素(例えば、La、Ce、Pr、Nd、Dy、Er及びYb)である。Mはまた、1族元素、4族元素、5族元素、6族元素、7族元素、8族元素、9族元素、10族元素、11族元素、12族元素、14族元素、15族元素、16族元素、17族元素、18族元素、又はアクチニド系列元素である場合もある。Mは、2族元素、13族元素、14族元素、遷移金属、又はランタニド系列元素から選ばれることが好ましい。Mは、Sr、Ba、Sc、Y、Al、Ga、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選ばれることが更に好ましい。
【0027】
本発明の例示の有機金属化合物には、例えば、トリス(ビス(シクロヘキシル)アミノ)ランタン、トリス(tert−ブチルイソプロピル)アミノ)ランタン、トリス(ビス(ジメチルシリル)アミノ)ランタン、トリス(トリメチルシリル)(ジメチルエチルシリル)アミノ)ランタン、トリス(ビス(tert−ブチル)アミノ)ランタン、トリス(ビス(tert−アミル)アミノ)ランタン、トリス(tert−アミル−tert−ブチルアミノ)ランタン、トリス(tert−ブチルトリメチルシリルアミノ)ランタン、及びトリス(ビス(ジメチルエチルシリル)アミノ)ランタンが包含される。好ましい有機金属化合物には、例えば、ランタンアミド類(lanthanum amides)が包含される。
【0028】
本発明の態様において、有機金属化合物には、例えば、トリス(ビス(ジメチルシリル)アミノ)ランタン、トリス(トリメチルシリル)(ジメチルエチルシリル)アミノ)ランタン、及びトリス(ビス(ジメチルエチルシリル)アミノ)ランタンが包含される。
【0029】
本発明のもう1つの態様において、有機金属化合物には、例えば、トリス(ビス(シクロヘキシル)アミノ)ランタン、トリス(tert−ブチルイソプロピル)アミノ)ランタン、トリス(ビス(tert−ブチル)アミノ)ランタン、トリス(ビス(tert−アミル)アミノ)ランタン、トリス(tert−アミル−tert−ブチルアミノ)ランタン、及びトリス(tert−ブチルトリメチルシリルアミノ)ランタンが包含される。
【0030】
本発明の例示の有機金属化合物は、式:
【化1】


によって表すことができる。
【0031】
本発明の有機金属前駆体化合物は、ホモレプティック(homoleptic)である[即ち、例えば、トリス(ビス(tert−アミル)アミノ)ランタンのように、Rラジカルは全て、同一である]か、又はヘテロレプテック(heteroleptic)である[即ち、例えば、トリス(tert−ブチルトリメチルシリルアミノ)ランタンのように、Rラジカルの1つ以上は相違している]場合がある。
【0032】
前述のように、本発明は更に、(i)第1ポットの中で、溶媒の存在の下、塩基原料を含む第1反応混合物を生成するのに十分な反応条件の下、窒素含有化合物を、アルカリ金属、又はアルカリ金属含有化合物、又はアルカリ土類金属、又はアルカリ土類金属含有化合物と反応させる工程と、(ii)金属源化合物及び任意的にアミン化合物が入っている第2ポットに、該塩基原料を添加する工程と、(iii)第2ポットの中で、該有機金属化合物を含む第2反応混合物を生成するのに十分な反応条件の下、該塩基原料を、該金属源化合物及び任意的に該アミン化合物と反応させる工程と、(iv)第2反応混合物から該有機金属化合物を分離する工程とを含む、方法に関する。この場合、該有機金属化合物は、式:M(NR [式中、Mは、金属又はメタロイドであり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、R及びRは、組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、1つの(NR)基のR又はRは、もう1つの(NR)基のR又はRと組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、xは、Mの酸化状態に等しい]によって表され、しかも、該有機金属化合物は、(i)単量体構造とアニオン性配位子に関するMの酸化状態に等しい配位数とを維持するのに十分な立体的嵩高さ、及び(ii)蒸着に適した揮発度を有するのに十分な分子量、を有している。本発明の方法によって得られる、該有機金属化合物の収率は、60%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは90%以上となる場合がある。
【0033】
本出願書類に記述される方法において、金属源化合物(例えば、純金属、金属ハロゲン化物、金属擬ハロゲン化物、等)の出発原料は、当該技術分野で知られている種々様々な化合物から選ばれうる。本発明では、大抵、Sr、Ba、Sc、Y、Al、ランタニド、等から選ばれる金属が好ましい。例示の金属源化合物には、例えば、La(CFSO、LaCl、LaBr、LaI、SrCl、等が包含される。他の例示の金属源化合物には、例えば、La(OiPr)、等が包含される。好ましい金属源化合物には、例えば、ランタニドハロゲン化物、及びトリフルオロメタンスルホン酸ランタニドが包含される。金属源化合物出発原料は典型的には、中心金属原子を含有する化合物又は純金属であれば如何なるものでもよい。
【0034】
嵩高いアミド配位子を有する有機金属化合物を合成するための、本発明の方法では、トリフラート(triflate)ベースの金属源化合物を利用してもよい。大抵のメタロアミド化合物は金属ハロゲン化物(例えば、LaCl)から合成されると報告されているが、嵩高いアミド化合物の反応速度は、それら配位子のより大きい立体的プロフィール(steric profile)に起因して、遅いか、又は検出不能である場合がある。したがって、トリフラート化合物は、より優れた脱離基を有し、この用途のためにはより適している。更に、結果として得られるトリフラートイオンは、ハロゲン化物(例えば、Cl)と比べて、配位圏(coordination sphere)(例えば、架橋)の中に残留する可能性は高くなく、したがって、中性の単量体種を生成するのにより適している。加えて、嵩高いアミドだけでなくトリフラート類も、それら溶解度は増大するので、炭化水素溶媒(例えば、トルエン)を利用することが可能になることがある。そのことは、ヘテロ原子含有溶媒(例えば、テトラヒドロフラン又はエーテル)を所望の化合物に配位させることが問題となる場合に、望ましいかもしれない。
【0035】
金属源化合物出発原料の濃度は、広範囲にわたって変わることがあり、塩基原料及び任意的にアミン化合物と反応するのに必要であり、且つ、使用される予定の所望の、所定の金属濃度を提供するのに必要である、該濃度の最小限の量であって、少なくとも、本発明の有機金属化合物を得るのに必要な金属の量を得るための主成分を供給する量であれば十分である。反応混合物の量(size)によるが、一般に、金属源化合物出発原料の濃度は、約1ミリモル以下〜約10,000ミリモル以上の範囲であれば、大抵のプロセスのためには十分であろう。
【0036】
本出願書類に記述される諸方法において、アミン化合物は、当該技術分野で知られている種々様々な化合物から選ばれうる。例示のアミン化合物には、例えば、ジイソプロピルアミン、ジーtert−アミルアミン、tert−ブチルイソプロピルアミン、ジーtert−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、tert−ブチルトリメチルシリルアミン、ジエチルテトラメチルジシラザン、等が包含される。好ましい、アミン化合物出発原料は、式:NR 〔式中、R、R及びRの各々は、同一であるか又は相違しており、且つ、独立して、水素基、アルキル基、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族複素環基、ハロゲン化アルキル基、シリル化炭化水素基、エーテル基、ポリエーテル基、チオエーテル基、エステル基、ラクトン基、アミド基、アミン基、ポリアミン基、ニトリル基、又はそれらの混合物である〕によって表すことができる。アミン化合物には更に、アミンのHCl塩(例えば、塩化アンモニウム、塩化ジメチルアンモニウム)、等も包含される。R、R及びRの各々は、同一であるか又は相違しており、且つ、独立して、水素基、アルキル基、又はそれらの混合物であることが好ましい。好ましいアミン化合物には、例えば、ジ−tert−アミルアミン、tert−ブチルイソプロピルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、tert−ブチルトリメチルシリルアミン、及びジエチルテトラメチルジシラザンが包含される。
【0037】
アミン化合物出発原料の濃度は、広範囲にわたって変わることがあり、塩基出発原料及び金属源化合物と反応するのに必要なそれの最小限の量であれば十分である。反応混合物の量にもよるが、一般に、アミン化合物出発原料の濃度は、約1ミリモル以下〜約10,000ミリモル以上の範囲であれば、大抵のプロセスのためには十分であろう。
【0038】
本出願書類に記述される方法において、塩基出発原料は、当該技術分野で知られている種々様々な化合物から選ばれうる。例示の塩基には、約10より大きいpKa、好ましくは約20より大きいpKa、より好ましくは約25より大きいpKaを有する塩基であれば、如何なるものも包含される。塩基原料は好ましくは、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジ−tert−アミルアミド、リチウムtert−ブチルイソプロピルアミド、リチウムジ−tert−ブチルアミド、ナトリウムジ−tert−ブチルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムtert−ブチルトリメチルシリルアミド、リチウムビス(エチルジメチルシリル)アミド、等である。リチウムアミド類は、好ましい塩基出発原料である。
【0039】
塩基出発原料の濃度は、広範囲にわたって変わることがあり、アミン化合物出発原料及び金属源化合物と反応するのに必要なそれの最小限の量であれば十分である。第1反応混合物の量にもよるが、一般に、塩基出発原料の濃度は、約1ミリモル以下〜約10,000ミリモル以上の範囲であれば、大抵のプロセスのためには十分であろう。
【0040】
1つの態様において、塩基出発原料(例えば、リチオ化アミド、等)は、インシトゥで(in situ)で生成することができる。反応容器内において、塩基出発原料を、金属源化合物との反応の直前にインシトゥで生成することは、あらゆる反応性固体を分離し取り扱う必要性が排除されるため、純度の観点から見れば、有利である。そうすることは、安上がりでもある。
【0041】
塩基出発原料をインシトゥで適切に生成する場合、金属源化合物〔例えば、La(CFSO〕の添加工程は、液体添加若しくは固体添加によって、又は、場合によっては、より好都合であるが、溶媒の溶液若しくはスラリーとして行うことができる。幾種類かの金属源化合物は、感湿性であり、窒素等の不活性雰囲気の下で使用されるが、それは一般に、アミン化合物(例えば、リチオ化アミド、アミン、等)に比べて、遥かに低い程度である。更に、多くの金属源化合物は、より濃密であり、運搬がより容易である。
【0042】
塩基出発原料は、窒素含有化合物と、アルカリ金属、又はアルカリ金属含有化合物、又はアルカリ土類金属、又はアルカリ土類金属含有化合物とを反応させることによって調製することができる。塩基出発原料は、当該技術分野で知られている従来の方法によって調製することができる。
【0043】
本発明の方法で使用する溶媒は、飽和若しくは不飽和の炭化水素、芳香族炭化水素、芳香族複素環式化合物、ハロゲン化アルキル、シリル化炭化水素、エーテル、ポリエーテル、チオエーテル、エステル、ラクトン、アミド、アミン、ポリアミン、ニトリル、シリコーン油、他の非プロトン性溶媒、又は、上記溶媒の1種類以上の混合物であれば如何なるものでもよく、より好ましくは、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、キシレン、テトラメチルベンゼン、ジメトキシエタン、ジグリム、フッ素化炭化水素、及び、上記溶媒の1種類以上の混合物であり、最も好ましくは、ヘキサン、エーテル、THF、ベンゼン、トルエン、及び、上記溶媒の1種類以上の混合物である。意図された反応に対し過度に悪影響を及ぼさない適切な溶媒であれば如何なるものも使用することができる。所望により、1種類以上の異なる溶媒の混合物を使用してもよい。使用される溶媒の量は、本発明にとって極めて重要という訳ではなく、反応混合物中の諸反応成分の溶解度を高めるのに十分な量であれば十分である。溶媒の量は一般に、反応混合物出発原料の全重量に基づき、約5重量%から約99重量%以下の範囲である場合がある。
【0044】
塩基原料、金属源化合物、及び任意的にアミン化合物が反応するプロセスのための反応条件(例えば、温度、圧力及び接触時間)もまた、大きく変わることがあり、本発明では、そのような諸条件の適切な組合せであれば如何なるものも使用することができる。反応温度は、前述の溶媒のいずれかの還流温度、より好ましくは約−80℃〜約150℃の間、最も好ましくは約20℃〜約80℃の間である場合がある。反応は通常、周囲圧力下で行い、また、接触時間は、数秒又は数分から2、3時間以上まで様々である場合がある。諸反応物は、反応混合物に添加するか、又は任意の順序で組み合わせることができる。使用する撹拌時間は、全工程で、約0.1〜約400時間、好ましくは約1〜75時間、より好ましくは約4〜16時間に及ぶことがある。単一のポットで実施する本発明の態様において、塩基原料は、金属源化合物、及び任意的にアミン化合物と反応させる前、反応混合物が分離しない。好ましい態様において、金属源化合物は、周囲温度で又は周囲温度より高い温度で、第1の反応混合物に添加する。
【0045】
塩基原料、金属源化合物、及び任意的にアミン化合物の反応によって調製した有機金属化合物は、種々様々な化合物から選ばれうる。本発明の目的のための有機金属化合物には、金属−窒素結合を有する化合物が包含される。例示の有機金属化合物には、例えば、金属アミド、金属アミン、等が包含される。
【0046】
本発明の有機金属化合物は、ワンポット法によって調製することもできる。ワンポット法は、同一の設備と、幾種類かの同一試薬と、様々な生成物が製造されるように容易に適合させることのできる諸プロセスパラメータとを使用して実施することができるため、ワンポット法はとりわけ、大規模生産に大変好都合である。この方法では、全ての操作を単一容器中で行うことのできるプロセスであって、有機金属化合物への経路が中間複合体の分離を必要としないプロセスを用いて、有機金属化合物の合成が提供される。ワンポット法は、出願日2003年10月6日の米国特許出願シリアル番号10/678,074号明細書に記述されている。この米国特許出願明細書は、言及されることによって本明細書に組み入れられる。
【0047】
本発明の方法によって調製した有機金属化合物の精製は、再結晶化によって、より好ましくは反応残留物(例えば、ヘキサン)の抽出及びクロマトグラフィーによって、最も好ましくは昇華及び蒸留によって行うことができる。
【0048】
特許請求の範囲にいっそう詳細に規定される本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、本出願書類に詳細に記述された方法に対して多くの改変を行うことができることを、当業者は認識するであろう。
【0049】
上述の合成方法によって形成された有機金属化合物を特徴付けるために使用することのできる技術の諸例は、分析用ガスクロマトグラフィー、核磁気共鳴分析、熱重量分析、誘導結合プラズマ発光分析、示差走査熱分析、蒸気圧及び粘度の測定を包含するが、それらに限定されない。
【0050】
上述の有機金属化合物前駆体の相対蒸気圧又は相対揮発度は、当該技術分野で知られている熱重量分析技術によって測定することができる。平衡蒸気圧は、例えば、密閉容器から全ての気体を排気し、その後、該化合物の蒸気を該容器の中に導き、次いで、当該技術分野で知られている通りにその圧力を測定することによっても測定することができる。
【0051】
本出願書類に記述される有機金属化合物前駆体は、室温で(即ち、20℃で)液体であることが好ましく、インシトゥで粉末及びコーティングを調製するのに非常に適している。例えば、液体有機金属化合物前駆体は、基体に施用し、次いで、該前駆体を分解するのに十分な温度まで加熱し、そうすることによって、該基体上に、金属又は金属酸化物のコーティングを形成することができる。基体に液体前駆体を施用する工程は、塗装、噴霧、浸漬によるか、又は当該技術分野で知られている他の技術による場合がある。加熱工程は、オーブン中で行うか、熱線銃を用いるか、基体を電気的に加熱するか、又は当該技術分野で知られている他の方法によって行うことができる。有機金属化合物前駆体を施用し、次いで、それを加熱して分解し、そうすることにより、第1の層を形成し、次いで、同一又は異なる前駆体を用いて少なくとも1回、他の被覆を行い、次いで、加熱することによって、層状コーティングを得ることができる。
【0052】
上述のような液体有機金属化合物前駆体は、霧化して基体の上に噴霧することもできる。使用することのできる、霧化及び噴霧の手段(例えば、ノズル、噴霧器、等)は、当該技術分野で知られている。
【0053】
本発明の好ましい態様において、上述のような有機金属化合物は、粉末、膜又はコーティングを形成するための気相堆積技術において使用される。該化合物は、単一の源前駆体として使用することができるか、又は、1種類以上の他の前駆体(例えば、少なくとも1種類の他の有機金属化合物若しくは金属複合体を加熱することによって生成される蒸気)と一緒に使用することができる。上述のような1種類の有機金属化合物前駆体もまた、所定のプロセスで使用することができる。
【0054】
前述のとおり、本発明は、
(a)式:M(NR [式中、Mは、金属又はメタロイドであり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、R及びRは、組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、1つの(NR)基のR又はRは、もう1つの(NR)基のR又はRと組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、xは、Mの酸化状態に等しい]によって表される有機金属前駆体化合物であって、(i)単量体構造とアニオン性配位子に関するMの酸化状態に等しい配位数とを維持するのに十分な立体的嵩高さ、及び(ii)蒸着に適した揮発度を有するのに十分な分子量、を有している、有機金属化合物、並びに、
(b)1種類以上の異なる有機金属前駆体化合物(例えば、ハフニウム含有有機金属前駆体化合物、アルミニウム含有有機金属前駆体化合物、ストロンチウム含有有機金属前駆体化合物、バリウム含有有機金属前駆体化合物、チタン含有有機金属前駆体化合物)を含む有機金属前駆体混合物に関する。
【0055】
堆積は、他の気相成分の存在下で行うことができる。本発明の1つの態様において、膜の堆積は、少なくとも1種類の非反応性キャリヤーガスの存在下で行う。非反応性ガスの諸例には、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム)だけでなく、プロセス条件下で、有機金属化合物前駆体とは反応しない他のガスも包含される。他の態様において、膜の堆積は、少なくとも1種類の反応ガスの存在下で行う。使用し得る反応ガスの幾種類かは、ヒドラジン、酸素、水素、空気、酸素に富む空気、オゾン(O)、亜酸化窒素(NO)、水蒸気、有機蒸気、アンモニア、等を包含するが、それらに限定されない。当該技術分野で知られているように、酸化性ガス(例えば、空気、酸素、酸素に富む空気、O、NO、又は、酸化性有機化合物の蒸気)が存在すれば、金属酸化物の膜の形成が促進される。
【0056】
前述のとおり、本発明は、1つには、膜、コーティング又は粉末を生成する方法にも関する。該方法は、以下に更に記述されるように、少なくとも1種類の有機金属化合物前駆体を分解し、そうすることによって、前記の膜、コーティング又は粉末を生成する工程を含む。本発明は、より詳しくは、1つには、式:M(NR [式中、Mは、金属又はメタロイドであり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、R及びRは、組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、1つの(NR)基のR又はRは、もう1つの(NR)基のR又はRと組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、xは、Mの酸化状態に等しい]によって表される有機金属前駆体化合物であって、(i)単量体構造とアニオン性配位子に関するMの酸化状態に等しい配位数とを維持するのに十分な立体的嵩高さ、及び(ii)蒸着に適した揮発度を有するのに十分な分子量、を有している、有機金属前駆体化合物を分解し、そうすることによって、膜、コーティング又は粉末を生成することによって、該膜、コーティング又は粉末を生成するための方法に関する。有機金属前駆体化合物の分解工程は典型的には、熱的に、化学的に、光化学的に、又はプラズマ励起によるものである。
【0057】
本出願書類に記述される堆積方法を実施して、単金属を含有する膜、粉末若しくはコーティングを、又は、単金属酸化物を含有する膜、粉末若しくはコーティングを形成することができる。混合された膜、粉末若しくはコーティング(例えば、混合された金属酸化物膜)をも堆積させることができる。混合された金属酸化物膜は、例えば、幾種類かの有機金属前駆体であって、それら前駆体の少なくとも1種類は上述の有機金属化合物から選ばれている有機金属前駆体を使用することによって、形成することができる。
【0058】
気相膜堆積を行って、所望の厚さの膜層(例えば、約1nm〜1mmを超える範囲の厚さの膜層)を形成することができる。本出願書類に記述される前駆体は、薄膜(例えば、約10nm〜約100nmの範囲の厚さを有する膜)を生成するのにとりわけ有用である。本発明の膜は、例えば、金属電極(とりわけ、論理回路におけるnチャネル金属電極としての金属電極、DRAM用途のためのコンデンサ電極としての金属電極、及び、誘電体材料としての金属電極)を作るために考慮されることがある。
【0059】
本方法はまた、層状膜の少なくとも2つは相又は組成が異なっている該層状膜を調製するためにも適している。層状膜の諸例には、金属−絶縁体−半導体、及び金属−絶縁体−金属が包含される。
【0060】
本発明は、1つの態様において、前述の有機金属化合物前駆体の蒸気を熱的に、化学的に、光化学的に、又はプラズマ励起によって分解し、そうすることによって、基体上に膜を形成する工程を含む方法に向けられている。例えば、有機金属化合物を分解して基体上に膜を形成するのに十分な温度を有する該基体に、該化合物によって生成された蒸気を接触させる。
【0061】
有機金属化合物前駆体は、化学蒸着法において、より具体的には、当該技術分野で知られている有機金属化学蒸着法において使用することができる。例えば、上述の有機金属化合物前駆体は、大気圧化学蒸着法においてだけでなく、低圧化学蒸着法においても使用することができる。それら化合物は、反応室全体が加熱されるホットウォール化学蒸着法においてだけでなく、基体のみが加熱されているコールドウォール型化学蒸着法又はウォームウォール型化学蒸着法においても使用することができる。
【0062】
上述の有機金属化合物前駆体はまた、プラズマ(plasma-assisted)化学蒸着法又は光(photo)化学蒸着法であって、化学蒸着用前駆体を活性化するために、それぞれプラズマエネルギー又は電磁エネルギーからのエネルギーが使用される化学蒸着法においても使用することができる。それら化合物はまた、イオンビーム(ion-beam assisted)化学蒸着法又は電子ビーム(electron-beam assisted)化学蒸着法であって、化学蒸着用前駆体を分解するためのエネルギーを供給するために、それぞれ、イオンビーム又は電子ビームが基体に向けられる化学蒸着法においても使用することができる。化学蒸着用前駆体の光分解反応に影響を及ぼすために、レーザー光が基体に向けられるレーザー(laser-assisted)化学蒸着法においても使用することができる。
【0063】
本発明の方法は、当該技術分野で知られている様々な化学蒸着反応器、例えば、ホットウォール反応器、コールドウォール反応器、プラズマ反応器、ビーム(beam-assisted)反応器、又はレーザー反応器で行うことができる。
【0064】
本発明の方法を使用して被覆されることが可能な基体の諸例には、金属基体等の固体基体(例えば、Al、Ni、Ti、Co、Pt、Ta)、金属アルミン酸塩、金属シリサイド(例えば、TiSi、CoSi、NiSi)、半導体材料(例えば、Si、SiGe、GaAs、InP、ダイヤモンド、GaN、SiC)、絶縁体(例えば、SiO、Si、HfO、Ta、Al、チタン酸バリウムストロンチウム(BST))、バリヤー材(例えば、TiN、TaN)、又は、諸材料の組合せを含有する基体が包含される。加えて、膜又はコーティングは、ガラス、セラミックス、プラスチックス、熱硬化性ポリマー材料の上に形成することができ、また、他のコーティング又は膜層の上に形成することができる。好ましい態様において、膜は、電子部品の製造又は加工処理において使用される基体の上に堆積させる。他の態様において、基体は、酸化剤の存在下、高温で安定である低抵抗導体の堆積物、又は、光透過性膜の堆積物を支持するために使用する。
【0065】
本発明の方法は、平滑面を有する基体の上に膜を堆積させるために実施することができる。1つの態様において、本方法は、ウェーハの製造又は加工処理において使用される基体の上に膜を堆積させるために実施する。例えば、本方法は、トレンチ、ホール又はバイアスのような特徴を有するパターン付き基体(patterned substrates)の上に膜を堆積させるために実施することができる。更に、本発明の方法はまた、ウェーハの製造又は加工処理における他の工程(例えば、マスキング、エッチング、等)と一緒に一体化することもできる。
【0066】
化学蒸着による膜は、所望の厚さに堆積させることができる。例えば、形成された膜は、厚さが1μm未満、好ましくは500nm未満、より好ましくは200nm未満となる場合がある。厚さが50nm未満である膜、例えば、約1〜約20nmの間の厚さを有する膜も作り出すことができる。
【0067】
前述の有機金属化合物前駆体はまた、原子層堆積(ALD)技術又は原子層核形成(ALN)技術であって、その技術が行われる間、基体は前駆体、酸化剤及び不活性ガスの流れの交互パルスに暴露される該技術による膜を形成するために、本発明の方法で使用することができる。一連の層堆積技術は、例えば、米国特許第6,287,965号及び米国特許第6,342,277号明細書に記述されている。両方の米国特許明細書の開示内容は、言及されることによって、そっくりそのまま本明細書に組み入れられる。
【0068】
例えば、1つの原子層堆積のサイクルにおいて、基体を、a)不活性ガス、b)前駆体の蒸気を運搬する不活性ガス、c)不活性ガス、及び、d)酸化剤単独又は不活性ガスと組み合わされた酸化剤、に段階的な方法で暴露する。各々の工程は、一般に、装置が許す限り短く(例えば、数ミリ秒)、また、プロセスが必要とする限り長い(例えば、数秒又は数分)場合がある。1つのサイクルの所要時間は、数ミリ秒程度の短さ、及び数分程度の長さである場合がある。サイクルは、数分から数時間に及ぶことのある時間にわたって繰り返す。作り出された膜は、数nmの薄さか、又はより厚い(例えば、1mm)場合がある。
【0069】
本発明の方法はまた、超臨界液体を使用して実施することができる。当該技術分野で現在知られている超臨界液体を使用する膜堆積方法の諸例には、化学液体堆積法(chemical liquid deposition)、超臨界流体輸送化学堆積法(supercritical fluid transport-chemical deposition)、超臨界流体化学堆積法(supercritical fluid chemical deposition)、及び超臨界浸漬堆積法(supercritical immersion deposition)が包含される。
【0070】
化学流体堆積法(chemical fluid deposition processes)は、例えば、高純度膜を作り出すのに非常に適しており、また、複雑な表面を覆って高アスペクト比特徴(high-aspect-ratio features)の充填を行うのに非常に適している。化学流体堆積は、例えば、米国特許第5,789,027号明細書に記述されている。超臨界流体を使用して膜を形成することは、米国特許第6,541,278B2号明細書にも記述されている。これら2つの米国特許明細書の開示内容は、言及されることによって、そっくりそのまま本明細書に組み込まれる。
【0071】
本発明の1つの態様において、加熱されたパターン付き基体を、例えば、臨界点近傍流体(near critical fluid)又は超臨界流体のような溶媒(例えば、臨界点近傍CO若しくは超臨界CO)の存在の下、1種類以上の有機金属化合物前駆体に暴露する。COに関しては、約1000psigよりも高い圧力及び少なくとも約30℃の温度で、溶媒流体を提供する。
【0072】
前記前駆体を分解して、基体上に金属膜を形成する。その反応によって、前駆体から有機材料も作り出される。該有機材料は、溶媒流体によって可溶性となり、次いで、基体から容易に除去される。金属酸化物の膜はまた、例えば、酸化性ガスを使用することによって形成することができる。
【0073】
一例において、堆積方法は、1個以上の基体が収納されている反応室の中で行う。それら基体は、室全体を、例えば加熱炉により加熱することによって、所望の温度に加熱する。有機金属化合物の蒸気は、例えば、室を真空にすることによって作り出すことができる。低沸点化合物のために、室は、該化合物の蒸発が引き起されるように十分熱くすることができる。該蒸気が、加熱された基体表面に接触する時、該蒸気は分解して、金属又は金属酸化物の膜を形成する。前述のように、有機金属化合物前駆体は、単独で又は1種類以上の成分(例えば、他の有機金属前駆体、不活性キャリヤーガス又は反応ガス)と組み合わせて使用することができる。
【0074】
本発明の方法によって膜を作り出すのに使用することのできる装置の中で、諸原料は、ガス混合用多岐管(gas-blending manifold)に導いて、堆積反応器に供給されるプロセスガスを作り出すことができる。該堆積反応器では、膜成長が行われる。諸原料は、キャリヤーガス、反応ガス、パージガス、前駆体、エッチングガス/クリーンガス、等を包含するが、それらに限定されない。プロセスガス組成の精密制御は、当該技術分野で知られている、流量制御器、弁、圧力変換器、及び他の手段を使用して達成する。排気多岐管は、堆積反応器を出るガスだけでなく、バイパス流れをも真空ポンプまで運搬することができる。真空ポンプの下流にある排ガス処理装置を使用して、排気ガスからのあらゆる危険性物質を除去することができる。堆積装置は、プロセスガスの組成を測定することができるインシトゥ(in situ:その場)分析装置を備えることができる。該分析装置には、残留ガス分析器が包含される。制御及びデータ収集装置(control and data acquisition system)によって、様々なプロセスパラメータ(例えば、温度、圧力、流量、等)を監視することができる。
【0075】
前述の有機金属化合物前駆体を使用して、単金属を含有する複数の膜、又は単金属酸化物を含有する単一の膜を生成することができる。混合された複数の膜(例えば、混合された複数の金属酸化物膜)をも堆積させることができる。そのような複数の膜は、例えば、幾種類かの有機金属前駆体を使用することによって生成することができる。複数の金属膜はまた、例えば、キャリヤーガスも、蒸気も、酸素の他の源も使用しないで形成することができる。
【0076】
本出願書類に記述される方法によって形成された膜は、当該技術分野で知られている技術、例えば、X線回折法、オージェ電子分光法、X線光電子分光法、原子間力顕微鏡法、走査電子顕微鏡法、及び当該技術分野で知られている他の技術、によって特徴付けることができる。それら膜の抵抗率及び熱安定度もまた、当該技術分野で知られている方法によって測定することができる。
【0077】
ケイ酸塩及びアルミン酸塩の原子層堆積法及び化学蒸着法は、多くの次世代材料(例えば、誘電体を得るためのアルミン酸ランタン)を得るのに有用である。
【0078】
本発明の様々な一部変更及び変形は、当業者には自明であろう。また、そのような一部変更及び変形は、本出願の範囲内、並びに特許請求の趣旨及び範囲の範囲内に包含されるべきであると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:M(NR 〔式中、Mは、金属又はメタロイドであり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、Rは、同一であるか又は相違しており、且つ、炭化水素基又はヘテロ原子含有基であり、R及びRは、組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、1つの(NR)基のR又はRは、他の1つの(NR)基のR又はRと組み合わされて、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、環状基を形成していることもあり、xは、Mの酸化状態に等しい〕によって表される有機金属化合物であって、(i)単量体構造とアニオン性配位子に関するMの酸化状態に等しい配位数とを維持するのに十分な立体的嵩高さ、及び(ii)蒸着に適した揮発度を有するのに十分な分子量、を有している、上記有機金属化合物。
【請求項2】
蒸着のために十分な熱安定度と、蒸着のために十分な融点とを有している、請求項1記載の有機金属化合物。
【請求項3】
トリス(ジエチルアミノ)ランタン又はトリス(ジイソプロピルアミノ)ランタンの立体的嵩高さよりも大きい立体的嵩高さを有している、請求項1記載の有機金属化合物。
【請求項4】
約1000未満の分子量と、約200℃未満の融点とを有している、請求項1記載の有機金属化合物。
【請求項5】
200℃で少なくとも0.1トールの揮発度と、前記有機金属化合物の約1重量%未満が、100℃の温度で1日間かけて分解する熱安定度とを有している、請求項1記載の有機金属化合物。
【請求項6】
20℃で液体である、請求項1記載の有機金属化合物。
【請求項7】
Mは、2族元素、13族元素、14族元素、遷移金属、又はランタニド系列元素から選ばれており、しかも、R及びRの各々は、同一であるか又は相違しており、且つ、独立して、アルキル基、置換若しくは非置換の、飽和若しくは不飽和の、炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族複素環基、脂環式複素環基、ハロゲン化アルキル基、シリル化炭化水素基、エーテル基、ポリエーテル基、チオエーテル基、エステル基、ラクトン基、アミド基、アミン基、ポリアミン基、ニトリル基、又は、それらの混合物である、請求項1記載の有機金属化合物。
【請求項8】
Mは、Sr、Ba、Sc、Y、Al、Ga、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選ばれており、しかも、R及びRの各々は、同一であるか又は相違しており、且つ、独立して、置換若しくは非置換の、アルキル基、脂環式炭化水素基、シリル化炭化水素基、又は、それらの混合物である、請求項1記載の有機金属化合物。
【請求項9】
トリス(ビス(シクロヘキシル)アミノ)ランタン、トリス(tert−ブチルイソプロピル)アミノ)ランタン、トリス(ビス(ジメチルシリル)アミノ)ランタン、トリス(トリメチルシリル)(ジメチルエチルシリル)アミノ)ランタン、トリス(ビス(tert−ブチル)アミノ)ランタン、トリス(ビス(tert−アミル)アミノ)ランタン、トリス(tert−アミル−tert−ブチルアミノ)ランタン、トリス(tert−ブチルトリメチルシリルアミノ)ランタン、及びトリス(ビス(ジメチルエチルシリル)アミノ)ランタンから選ばれている、請求項1記載の有機金属化合物。
【請求項10】
請求項1に記載の有機金属化合物を製造する方法であって、
(i)第1ポットの中で、溶媒の存在の下、塩基原料を含む第1反応混合物を生成するのに十分な反応条件の下、窒素含有化合物を、アルカリ金属、又はアルカリ金属含有化合物、又はアルカリ土類金属、又はアルカリ土類金属含有化合物と反応させる工程と、
(ii)金属源化合物及び任意的にアミン化合物が入っている第2ポットに、前記塩基原料を添加する工程と、
(iii)前記第2ポットの中で、前記有機金属化合物を含有する第2反応混合物を生成するのに十分な反応条件の下、前記塩基原料を、前記金属源化合物及び任意的に前記アミン化合物と反応させる工程と、
(iv)前記第2反応混合物から前記有機金属化合物を分離する工程と、
を含む、方法。
【請求項11】
前記金属源化合物は、純金属、金属ハロゲン化物又は金属擬ハロゲン化物を含み、前記塩基原料は約10より大きいpKaを有し、且つ、前記アミン化合物は、ジイソプロピルアミン、ジ−tert−アミルアミン、tert−ブチルイソプロピルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、tert−ブチルトリメチルシリルアミン、又はジエチルテトラメチルジシラザンを含有む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記金属源化合物は、La(CFSO、LaCl、LaBr、LaI、又はSrClを含み、前記塩基原料は、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジ−tert−アミルアミド、リチウムtert−ブチルイソプロピルアミド、リチウムジ−tert−ブチルアミド、ナトリウムジ−tert−ブチルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムtert−ブチルトリメチルシリルアミド、又はリチウムビス(エチルジメチルシリル)アミドを含み、且つ、前記アミン化合物は、ジイソプロピルアミン、ジ−tert−アミルアミン、tert−ブチルイソプロピルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、tert−ブチルトリメチルシリルアミン、又はジエチルテトラメチルジシラザンを含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記有機金属化合物の収率は、60%以上である、請求項10記載の方法。
【請求項14】
膜、コーティング又は粉末を製造する方法であって、
請求項1に記載の有機金属前駆体化合物を分解し、そうすることによって、前記の膜、コーティング又は粉末を製造する、方法。
【請求項15】
前記有機金属前駆体化合物の分解工程は、熱的に、化学的に、光化学的に、又はプラズマ励起によるものである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記有機金属前駆体化合物を気化し、次いで、その蒸気を、基体が入っている堆積反応器の中に導く、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記基体は、金属、金属シリサイド、金属アルミン酸塩、半導体、絶縁体、及びバリヤー材から成る群から選ばれる材料を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記基体は、パターン付きウェーハである、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記の膜、コーティング又は粉末は、気相堆積法によって生成する、請求項14記載の方法。
【請求項20】
前記の膜、コーティング又は粉末は、化学蒸着法又は原子層堆積法によって生成する、請求項14記載の方法。
【請求項21】
(a)請求項1に記載の有機金属前駆体化合物と、(b)1種類以上の異なる有機金属前駆体化合物とを含む混合物。
【請求項22】
前記の1種類以上の異なる有機金属前駆体化合物は、ハフニウム含有有機金属前駆体化合物、アルミニウム含有有機金属前駆体化合物、ストロンチウム含有有機金属前駆体化合物、バリウム含有有機金属前駆体化合物、又はチタン含有有機金属前駆体化合物から選ばれる、請求項21記載の混合物。

【公表番号】特表2009−542687(P2009−542687A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518363(P2009−518363)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/015466
【国際公開番号】WO2008/005490
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(392032409)プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】