説明

立毛調シートおよびその製造方法

【課題】本発明は、風合いの柔軟さと外観の耐久性に優れる立毛調シートおよびその製造方法を提供せんとするものである。
【解決手段】本発明の立毛調シートは、単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexの極細繊維からなる極細繊維不織布が、エチレン−ビニルエステル共重合体を含み、かつ微粒子を含むことを特徴とするものである。
また、本発明の立毛調シートの製造方法は、単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexの極細繊維からなる極細繊維不織布に、エチレン−ビニルエステル共重合体を0.01〜10重量%付与すると共に微粒子を0.01〜10重量%付与することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として極細繊維不織布からなり、外観がスエードやヌバックといった皮革に類似の立毛調シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
極細繊維不織布と弾性樹脂からなる立毛調シートは、天然皮革に似たタッチを有しており、イージーケア性のような天然皮革にない優れた特徴を併せ持つことから、種々の用途に広く使用されている。
【0003】
立毛調シートは、その特徴的なタッチやライティング効果、高級感を得るため単繊維繊度が0.5dtex以下の極細繊維で立毛を構成する。かかる極細繊維は、その細さのため毛玉やモモケの形成、脱落によって外観変化が起こりやすい。この課題に対して、ポリウレタン等の弾性樹脂の溶液や分散液を付与して極細繊維のバインダーとする方法が一般的に採用されている。特に、十分な摩耗物性を得るために硬度がブリネル硬さで8以上、平均粒径10μm以下の微粉末が表面に付与されている立毛シート(特許文献1)、極細繊維にシリカを含有するスエード調人工皮革(特許文献2)が開示されている。
【0004】
これらの手段によって、摩耗物性は向上できるものの、これらの手段で摩耗物性を向上するためには、弾性重合体を多量に含有する必要があり、ゴムライクな風合いになりやすく、柔軟な風合いを得ることが困難だった。
【0005】
この課題に対し、本発明者らは極細繊維同士の交絡を進めることによって、弾性重合体を含まない、またはごく少量のみしか含まないことで、摩耗物性とシートの柔軟性を両立する皮革様シート状物(特許文献3)が得られることを見出した。しかし、摩耗物性を得るのに十分な交絡を得るためにはシート構成、生産条件が限定されやすく、適用範囲が広げ難いという課題があった。
【特許文献1】特開平9−250063号公報
【特許文献2】特開2004−339617号公報
【特許文献3】特開2005−054345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術の背景に鑑み、風合いの柔軟さと外観の耐久性に優れる立毛調シートおよびその製造方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、主として以下の構成を有する。すなわち本発明の立毛調シートは、単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexの極細繊維からなる極細繊維不織布が、エチレン−ビニルエステル共重合体を含み、かつ微粒子を含むことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の立毛調シートの製造方法は、単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexの極細繊維からなる極細繊維不織布に、エチレン−ビニルエステル共重合体を0.01〜10重量%付与すると共に微粒子を0.01〜10重量%付与することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の立毛調シートの他の態様は、単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexの極細繊維が相互に絡合した極細繊維不織布が、エチレン−ビニルエステル共重合体を含むことを特徴とするものである。
【0010】
さらに、本発明の立毛調シートの製造方法の他の態様は、ニードルパンチ法により単繊維繊度が1〜50dtexの複合繊維からなる不織布を製造し、次いで極細繊維発現処理により、単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexの極細繊維不織布とし、さらに高速流体処理を行った後、エチレン−ビニルエステル共重合体を0.01〜10重量%付与することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、風合いの柔軟さと外観の耐久性に優れる立毛調シートを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の立毛調シートは、単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexの極細繊維からなるものである。
【0013】
本発明では、極細繊維不織布が微粒子を含むか、極細繊維不織布の極細繊維が相互に絡合していることが耐摩耗物性を向上させるために重要であり、さらにエチレンービニルエステル共重合体を含ませることによって、より顕著な摩耗物性を得ることが出来るものである。すなわち、エチレン−ビニルエステル共重合体を含ませることにより、毛玉の発生を大きく抑制することが出来るが、さらに、微粒子を含ませることにより、繊維の毛玉の発生をさらに効果的に抑制する効果が出現するものである。また、極細繊維が相互に絡合することによっても、繊維が拘束され、繊維の脱落が抑制され形態安定性が向上するが、摩耗によって毛玉が発生する場合がある。しかし、極細繊維が相互に絡合した極細繊維不織布にエチレン−ビニルエステル共重合体が含まれることにより、毛玉の発生を大きく抑制することが可能となる。また、極細繊維が相互に絡合した極細繊維不織布に、エチレン−ビニルエステル共重合体とともに微粒子が含まれることにより、風合いの硬化を抑制しつつ、さらに毛玉の発生を大きく抑制することができる。一方、極細繊維が相互に絡合していない極細繊維不織布の場合、エチレン−ビニルエステル共重合体または、微粒子が含まれていてもこの効果はほとんど観察できない。
【0014】
かかる極細繊維不織布を構成する極細繊維の単繊維繊度は、0.001〜0.3dtexがより好ましく、0.005〜0.15dtexがいっそう好ましい。0.0001dtex未満であると、強度が低下するため好ましくない。また0.5dtexを越えると、風合いが堅くなり、また、十分な絡合が得にくいため表面品位や本発明における摩耗物性が低下する等の問題も発生するため好ましくない。極細繊維の単繊維繊度が特に0.05〜0.5dtexの範囲は、極細繊維の優れた感触や表面品位と耐光性を兼ね備えるため、例えば自動車用途に用いる立毛調シートのように、高い耐光性が必要な用途に適す。また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の範囲を越える繊度の繊維が含まれていても良い。
【0015】
本発明における極細繊維不織布は、短繊維不織布、長繊維不織布のいずれでもよいが、風合いを考慮すると、繊維長が10〜100mmの短繊維不織布が好ましい。より好ましくは、20〜70mmである。かかる繊維長が100mmを越えると風合いが硬くなりやすく、繊維長が10mm未満であると脱落が多くなり、強度や本発明における摩耗物性等の特性が低下する傾向がある。
【0016】
本発明でいう繊維長とは、不織布から抜き出した極細繊維の長さを直接測定したものである。
【0017】
かかる極細繊維を構成するポリマーは特に限定されるものではなく、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等適宜用途に応じて使用することができるが、染色性や強度、耐久性、堅牢度の点で、ポリエステルであることが好ましい。
【0018】
本発明に好ましく用いることのできるポリエステルとしては、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、複合繊維として用いることが可能なものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、中でも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体が好適に使用される。
【0019】
また、本発明における不織布は立毛を有する立毛調シートを構成するものであり、不織布を構成する繊維が立毛を形成している。この立毛の長さは特に限定するものではなく、ベロアやスエード、ヌバックといった天然皮革のように様々な立毛長さを有することが出来るが、本発明における耐摩耗物性が優れる点で、立毛長さの短いヌバック調の外観を有するものが好ましい。
【0020】
本発明における極細繊維不織布は、目付が100〜550g/mであることが好ましく、140〜350g/mであることがより好ましい。かかる目付が100g/m未満であると、不織布構造体のみでは物性が低下し、織物および/または編み物を積層している場合は、表面に織物および/または編み物の外観が見えやすくなり、品位が低下するため好ましくない。またかかる目付が550g/mを越える場合は、本発明における耐摩耗物性が低下する傾向があるため好ましくない。極細繊維不織布目付が特に200〜550g/mの範囲は、目付の低いものと比べると風合いが硬くなるが、引張強力や引裂強力といった物性を高める効果があり、例えば自動車用途に用いる立毛調シートのように、高い強力が必要な用途に適す。
【0021】
また、本発明における極細繊維不織布の繊維見掛け密度は、好ましくは0.230〜0.700g/cmであり、0.250〜0.500g/cmがより好ましく、0.300〜0.450g/cmであることが特に好ましい。繊維見掛け密度が0.230g/cm未満であると、染色を行った場合に破れやももけ等が発生したり、十分な強度や本発明における耐摩耗物性を得ることが困難になる。また繊維見掛け密度が0.700g/cmを越えると、ペーパーライクな風合いとなり、好ましくない。
【0022】
なお、繊維目付はJIS L1096 8.4.2(1999)によって測定し、繊維見掛け密度は、JIS L1096 8.4.2(1999)によって目付を測定し、次いでその厚みを測定して、それから得られる繊維見掛け密度の平均値をもって繊維見掛け密度とした。なお、厚みの測定には、ダイヤルシックネスゲージ(商品名;ピーコックH、株式会社尾崎製作所製)を用い、サンプルの任意の箇所を10箇所測定して、その平均値を用いた。本発明における繊維見掛け密度とは、繊維素材の見掛け密度を言う。従って、例えば繊維素材以外の樹脂が含浸されている不織布構造体の場合は、その樹脂を除いた繊維素材の見掛け密度を示す。
【0023】
また、本発明における不織布は、タテおよびヨコ方向のいずれの引張強力も70N/cm以上であることが好ましい。タテまたはヨコ方向いずれかの引張強力が70N/cm未満であると、立毛調シートとする場合、次の高次加工工程における工程通過性が悪くなり、破れや寸法変化等が発生する傾向があるため好ましくない。また、立毛調シートとする場合に、十分な物性を得るために多量のバインダーを付与する必要があり、風合いが硬くなりやすい問題もある。なお、かかる引張強力の上限は特に限定されるものではないが、通常200N/cm以下となる。ここで前記引張強力はJIS L 1096 8.12.1(1999)により、幅5cm、長さ20cmのサンプルを採取し、つかみ間隔10cmで定速伸長型引張試験器にて、引張速度10cm/分にて伸長させて求めた。得られた値から幅1cm当たりの荷重を引張強力(単位;N/cm)とした。これらの強度を得るためには、用いる繊維の強度が2cN/dtex以上であることが好ましい。
【0024】
さらに、本発明における不織布は、タテおよびヨコ方向のいずれの引き裂き強力も5〜30Nであることが好ましい。タテまたはヨコ方向いずれかの引き裂き強力が3N未満であると、工程通過性が低下し、安定した生産が困難になる。逆に、タテまたはヨコ方向いずれかの引き裂き強力が50Nを越えると、一般に柔軟化しすぎる傾向があり、風合いとのバランスが取りにくくなるため好ましくない。なお、前記引き裂き強力はJIS L 1096 8.15.1(1999)D法(ペンジュラム法)に基づいて測定した。
【0025】
これらの引き裂き強力を得るためには、極細繊維不織布の繊維見掛け密度を適正な範囲に調整することで達成でき、一般に高密度化すると強力は低下する傾向がある。
【0026】
本発明における不織布は、さらに用途に応じて行われる後工程においてシートの変形や破れを防ぐために、タテ方向の10%伸長時の応力が8N/cm以上であることが好ましく、10N/cmであることがより好ましい。なお、かかる10%伸長時の応力の上限は特に限定されないが、50N/cmを越えると、風合いが硬化し、作業性が低下するので好ましくない。上述の製造方法で製造する場合は、ニードルパンチ処理や高速流体処理を十分に行うことで、10%伸長時の応力の値を向上させることができる。また織物および/または編み物等を積層させることによっても、かかる応力の値を増加させることができる。
【0027】
なお、10%伸長時の応力(モジュラス)は、引張強力の測定方法と同様にして行い、10%伸長時の強力をその値とした。
【0028】
また、上述の極細繊維不織布の物性は本発明における耐摩耗物性を得るために重要な要素であるが、これは、後述するように極細繊維同士が高度に交絡していることによって達成出来る。
【0029】
本発明におけるエチレン−ビニルエステル共重合体は、耐摩耗物性を向上するために重要な要素であり、エチレン単位とビニルエステル単位を含む共重合体である。ここで、ビニルエステル単位としては、例えば、イソノナン酸ビニル、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、酪酸ビニルなどのアルキル酸ビニルエステルなどが挙げられる。ビニルエステル単位として、2種類以上のビニルエステル単位からなっても良い。とくに、耐水性、耐アルカリ性、耐候性、合成繊維などの非極性素材とのなじみの点からエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0030】
本発明のエチレン−ビニルエステル共重合体の切断時伸びは、800%以上が好ましく、1200%以上がより好ましい。切断時伸びを800%以上にすることで、高い引裂強力が得られるとともに、柔軟性を得やすいためである。
【0031】
本発明でいうエチレン−ビニルエステル共重合体の切断時伸びとは、常温で作成した厚さ0.1〜2mm、ダンベル状3号形に切り抜いたフィルムをJIS K6251(2004)に準じて測定した切断時伸びをいう。
【0032】
本発明の極細繊維不織布からなる立毛調シートのバインダーとして、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミノ酸、ポリ酢酸ビニル、エチレン−ビニルエステル共重合体、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリル酸エステル、SBR、NBR等を含んでいてもよい。
【0033】
本発明における、エチレン−ビニルエステル共重合体の含有率は極細繊維不織布の全繊維重量に対して、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.2〜5重量%であることがより好ましい。前記含有率が0.01重量%未満では十分な耐摩耗物性が得られず、逆に10重量%を超えると風合いが硬くなりやすくなる。
【0034】
また、本発明では、前記極細繊維不織布が、エチレンービニルエステル共重合体を含み、かつ微粒子を含むことが好ましい。前記極細繊維不織布が、微粒子を含むことによって、同程度の耐摩耗物性を得るためのエチレン−ビニルエステル共重合体量を少なくすることができ、風合いを柔軟化させることができるためである。
【0035】
本発明の他の態様では、極細繊維が相互に絡合しているため、微粒子が必須ではないが、微粒子を含むことによって、同程度の耐摩耗物性を得るためのエチレン−ビニルエステル共重合体量を少なくすることができ、風合いを柔軟化させることができるため、エチレンービニルエステル共重合体を含み、かつ微粒子を含むことが好ましい。
【0036】
本発明でいう微粒子とは、常温の水に不溶であれば特に限定されるものではなく、例えばシリカやコロイダルシリカ、酸化チタン、アルミニウム、マイカなどの無機物質や、メラミン樹脂等の有機物質を例示することが出来る。とくに、耐摩耗物性を向上する効果が大きい点で、シリカやコロイダルシリカが好ましい。また、本発明の微粒子の粒径は0.001〜50μmの範囲が好ましく、0.01〜10μmの範囲がより好ましい。0.001μm未満では耐摩耗物性が得られにくく、50μmを超えると、繊維から脱落しやすく、洗濯などでの耐久性が低下するためである。
【0037】
また、かかる微粒子は、不織布の全繊維重量に対し、0.01〜10重量%含まれることが好ましく、0.2〜5重量%含まれることがより好ましい。また、前後、左右で大きく付量が異なることなく、立毛調シート全体に均一に含まれていることが好ましい。かかる微粒子の含有量が0.01重量%未満では、耐摩耗物性向上への寄与が小さくエチレン−ビニルエステル共重合体の量を減らせないため、風合いが硬くなりやすく、逆に10重量%を超えると、風合いがきしみやすいためである。
【0038】
かくして得られる本発明の立毛調シートは耐摩耗性評価において、外観が3級以上であり、減量が10mg以下であることが好ましい。
【0039】
本発明でいう、耐摩耗性評価とはJIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、3000回および20000回の回数を摩耗した後の試験布の外観をJIS L 1076(1999)表2の判定基準表で判定したものであり、いずれも3〜5級が好ましい。3000回、20000回とも4〜5級がより好ましい。3級未満では十分な品位を保持できておらず、5級が評価上、最も好ましい状態である。従来、立毛調シートでは、外観上のエンドポイントとして、破れや、例えば特開2003−268680号公報に記載のように、織物層が露出するまでの回数で評価されていた。しかし、JIS L 1076(1999)表2の判定基準表を用いて、毛玉の有無といった変化を3000回と20000回で評価する方法においては、20000回は長期使用後の外観、3000回は短期使用後の外観を示しており、特に、20000回で外観が大きく変わらないことが形態の安定性を示すため重要だが、短期使用では外観変化が大きい場合もある。したがって、本発明では3000回時点でも変化のないことによってさらに高いレベルの耐久性を達成できる。さらに、JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、20000回後の摩耗減量は10mg以下が好ましく、5mg以下がさらに好ましい。摩耗減量が10mgを越える場合、実使用において毛羽が服等に付着する傾向があるため好ましくない。一方、下限は特に限定されず、本発明の立毛調シートであればほとんど摩耗減量がないものも得ることが出来る。かかる耐摩耗物性は、エチレン−ビニルエステル共重合体と共に微粒子が含まれることによって、初めて達成し得たものである。
【0040】
また、本発明の他の態様のように、極細繊維同士が高度に交絡した極細繊維不織布に、エチレン−ビニルエステル共重合体を含ませることによっても、この耐摩耗物性を達成しうる。
【0041】
なお、本発明の立毛調シートは、本発明の効果を逸脱しない範囲において、染料、柔軟剤、風合い調整剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤、耐侯剤等の機能性薬剤が含まれていても良い。
【0042】
次に、本発明の立毛調シートを製造する方法について説明する。
【0043】
まず、本発明における極細繊維不織布を製造する方法を説明する。
【0044】
単繊維繊度が上述の範囲にある、いわゆる極細繊維の製造方法は特に限定されず、例えば直接極細繊維を紡糸する方法、通常繊度の繊維であって極細繊維を発生することができる繊維(複合繊維)を紡糸し、次いで極細繊維発現処理(極細化処理)により極細繊維を発生させる方法がある。
【0045】
そして複合繊維を用いる方法としては、例えば海島型複合繊維を紡糸してから海成分を除去する方法、分割型複合繊維を紡糸してから分割して極細化する方法等の手段で製造することができる。これらの中で、本発明においては極細繊維を容易に安定して得ることが出来る点で、海島型複合繊維または分割型複合繊維によって製造することが好ましく、さらには立毛調シートとした場合、同種の染料で染色できる同種ポリマーからなる極細繊維を容易に得ることが出来る点で、海島型複合繊維によって製造することがより好ましい。
【0046】
本発明でいう海島型複合繊維とは、2成分以上の成分を任意の段階で複合、混合して繊維断面を海島状態とした繊維をいい、この繊維を得る方法としては、特に限定されず、例えば(1)2成分以上のポリマーをチップ状態でブレンドして紡糸する方法、(2)予め2成分以上のポリマーを混練してチップ化した後、紡糸する方法、(3)溶融状態の2成分以上のポリマーを紡糸機のパック内で静止混合器等を用いて混合する方法、(4)特公昭44−18369号公報、特開昭54−116417号公報等の口金を用いて製造する方法、等が挙げられる。本発明においてはいずれの方法でも良好に製造することが出来るが、ポリマーの選択が容易である点で上記(4)の方法が好ましく採用される。
【0047】
海島型複合繊維を短繊維不織布に供するためには、例えば上記(4)の方法に示した口金を用いて未延伸糸を引き取った後、湿熱または乾熱、あるいはその両者によって1〜3段延伸することによって得ることが出来る。
【0048】
なお、分割型複合繊維を用いる場合は、主に口金内で2成分以上を複合し、上述の海島型複合繊維の製造方法に準じて行うことができる。
【0049】
かかる(4)の方法において、海島型複合繊維および海成分を除去して得られる島繊維の断面形状は特に限定されず、例えば丸、多角、Y、H、X、W、C、π型等が挙げられる。また用いるポリマー種の数も特に限定されるものではないが、紡糸安定性や染色性を考慮すると2〜3成分であることが好ましく、特に海1成分、島1成分の2成分で構成されることが好ましい。またこのときの成分比は、島繊維の海島型複合繊維に対する重量比で0.30〜0.99であることが好ましく、0.40〜0.97がより好ましく、0.50〜0.80が特に好ましい。前記重量比が0.30未満であると、海成分の除去率が多くなるためコスト的に好ましくない。また前記重量比が0.99を越えると、島成分同士の合流が生じやすくなり、紡糸安定性の点で好ましくない。
【0050】
また用いるポリマーは特に限定されるものではなく、例えば島成分としては、上述のとおり染色性や強度、耐久性、堅牢度の点で、ポリエステルであることが好ましい。
前記海島型複合繊維の海成分として用いるポリマーは、島成分を構成するポリマーよりも溶解性、分解性の高い化学的性質を有するものであれば特に限定されるものではない。島成分を構成するポリマーの選択にもよるが、例えばポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ポリエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ビスフェノールA化合物、イソフタル酸、アジピン酸、ドデカジオン酸、シクロヘキシルカルボン酸等を共重合したポリエステル等を用いることができる。紡糸安定性の点ではポリスチレンが好ましいが、有機溶剤を使用せずに容易に除去できる点でスルホン基を有する共重合ポリエステルが好ましい。かかる共重合比率としては、処理速度、安定性の点から5モル%以上、重合や紡糸、延伸のしやすさから20モル%以下であることが好ましい。本発明において好ましい組み合わせとしては、島成分にポリエステルを用い、海成分にポリスチレン又はスルホン基を有する共重合ポリエステルである。
【0051】
これらのポリマーには、隠蔽性を向上させるためにポリマー中に酸化チタン粒子等の無機粒子を添加してもよいし、その他、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱剤、抗菌剤等、種々目的に応じて添加することもできる。
【0052】
上述の複合繊維を不織布化する手段は、短繊維不織布では例えば抄造法、ニードルパンチ法、ホットメルト法、レジンボンド法、長繊維不織布ではスパンボンド法、メルトブロー法が挙げられる。
【0053】
このようにして得られる複合繊維の単繊維繊度は1〜50dtexの範囲である。単繊維繊度が1dtex未満では後述のニードルパンチによって繊維の切断や、ニードルバーブへ引っかかりにくく、十分な強力を得ることが困難となり、50dtexを超えると、ニードルが折れやすくなるため好ましくない。
【0054】
この複合繊維から得られる極細繊維の単繊維繊度は0.0001〜0.5dtexであり、0.001〜0.3dtexが好ましく、0.005〜0.15dtexがより好ましい。前記単繊維繊度が0.0001dtex未満では、強度が低下し、逆に0.5dtexを越えると、風合いが堅くなるとともに、後述の高速流体処理において十分な絡合が得にくいため表面品位や本発明における耐摩耗物性が低下する等の問題も発生し、好ましくない。また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の範囲を越える繊度の繊維が含まれていても良い。
【0055】
かかる極細繊維の単繊維繊度をこのような範囲とする方法は特に限定するものではなく、上述の複合繊維を製造する際に、島成分ポリマーの供給量を調節することで容易に達成することができる。
【0056】
本発明における極細繊維不織布を構成する繊維の長さについては特に限定するものではないが、品位や風合いが優れる点で短繊維が好ましい。かかる極細短繊維を得る方法として、上述の複合繊維を適当な長さにカットした後に極細化する方法、複合繊維を極細化した後カットする方法、直接溶融紡糸した極細繊維をカットする方法等があり複合繊維を適当な長さにカットした後に極細化する方法が好ましい。繊維長は生産性や得られるものの風合いを考慮して100mm以下が好ましく、より好ましくは、70mm以下である。前記繊維長が100mmを越える繊維長のものも、本発明の効果を損なわない限り含まれていても良い。また前記繊維長の下限は特に限定されず、製造方法によって適宜設定できるが、10mm未満であると脱落が多くなり、強度や本発明における耐摩耗物性等の特性が低下する傾向があるため、繊維長は10mm以上とすることが好ましい。
【0057】
このような繊維長を得る方法として好ましく採用されるのは、ロータリーカッターやギロチンカッターで短繊維化する方法である。
【0058】
次に、極細繊維不織布を製造する方法について説明する。
【0059】
極細繊維を得た後、上記の方法で不織布に形成してもよいが、本発明において不織布を製造する方法として好ましく採用されるのは、複合繊維によって不織布とした後、極細化して極細繊維不織布とし、さらに高速流体処理を施す方法である。
【0060】
短繊維をウェブ化する方法としては、カードやクロスラッパー、ランダムウエバーを用いて得る乾式法や、抄紙法等による湿式法を採用することができるが、本発明では、ニードルパンチ処理と高速流体処理の2種の絡合処理を容易に組み合わせることができる乾式法が好ましい。適度な伸び又は伸び止まりを付与するため、または得られる不織布の強度等の物性を向上させるために、絡合処理の際に他の織物、編物、不織布と一体化させることもできる。
【0061】
本発明の極細繊維不織布を得るのに好ましい方法は以下の通りである。すなわち、1〜50dtexの複合繊維を用いて乾式法にてウェブを作製し、このウェブをニードルパンチ処理により複合短繊維からなる不織布とし、その後、極細化して極細繊維不織布を得る。ここで、次いで高速流体処理、例えば水流によるウォータージェットパンチ処理を行うことが好ましい。このニードルパンチ処理と高速流体処理を組み合わせることで、極細短繊維を高度に絡合させることができる。
【0062】
かかる複合繊維からなる不織布は、ニードルパンチ処理によって、繊維見掛け密度が0.120〜0.300g/cmとすることが好ましく、0.150〜0.250g/cmとすることがより好ましい。前記繊維見掛け密度が0.120g/cm未満であると、絡合が不十分であり、目的の物性が得られにくくなる。またかかる繊維見掛け密度の上限は特に規定されないが、0.300g/cmを越えると、ニードル針の折れや、針穴が残留するなどの問題が生じやすく、好ましくない。
【0063】
本発明におけるニードルパンチでは、単なる工程通過性を得るための仮止めとしての役割ではなく、繊維を十分に絡合させることが好ましい。従って、100本/cm以上の打ち込み密度が好ましく、500本/cm以上がより好ましく、1000本/cm以上が特に好ましい。
【0064】
このようにして得られた複合繊維からなる不織布は、乾熱または湿熱、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
【0065】
複合繊維を用いて複合繊維不織布とした後、この複合繊維を極細化して極細繊維不織布とする。極細化処理の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば機械的方法、化学的方法が挙げられる。機械的方法とは、物理的な刺激を付与することによって極細化する方法であり、例えば上記のニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法等の衝撃を与える方法の他に、ローラー間で加圧する方法、超音波処理を行う方法等が挙げられる。また化学的方法とは、例えば、複合繊維を構成する少なくとも1成分に対し、薬剤によって膨潤、分解、溶解等の変化を与える方法が挙げられる。特にアルカリ易分解性海成分を用いて成る複合繊維で不織布を作製し、次いで中性〜アルカリ性の水溶液で処理して極細化する方法は、溶剤を使用せず作業環境上好ましいことから、本発明の好ましい態様の一つである。ここでいう中性〜アルカリ性の水溶液とは、pH6〜14を示す水溶液であり、使用する薬剤等は特に限定されるものではない。例えば有機または無機塩類を含む水溶液で上記範囲のpHを示すものであれば良く、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、必要によりトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミンや減量促進剤、キャリアー等を併用することもできる。中でも水酸化ナトリウムが価格や取り扱いの容易さ等の点で好ましい。さらにシートに上述の中性〜アルカリ性の水溶液処理を施した後、必要に応じて中和、洗浄して残留する薬剤や分解物等を除去してから乾燥を施すことが好ましい。
【0066】
さらに高速流体処理を施す場合は、高速流体処理を極細化処理と兼ねることも可能であるが、少なくとも極細化処理が大部分終了した後にも高速流体処理を行うことが、より極細繊維同士の絡合を進める上で好ましく、むしろ、極細化処理を完全に終了した後に高速流体処理を行うことがより好ましい。
【0067】
かかる高速流体処理としては、作業環境の点で水流を使用するウォータージェットパンチ処理を行うことが好ましい。この時、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。
【0068】
かかる処理においては、少なくとも1回は、孔間隔が0.15〜2.50mmで配置されたノズルから、1孔当たり、0.16〜1.60Nのジェット力で高速流体処理を施すことが好ましい。孔間隔が0.20〜2.00mmがより好ましく、0.25〜1.50mmがさらに好ましい。また、1孔あたりのジェット力が0.18〜1.50Nの条件がより好ましく、0.20〜1.40Nの条件がさらに好ましい。孔間隔が0.15mm未満のとき、1回の処理で吐出される水量が大きくなり、不織布や支持体を通過できずに滞留する水が発生しやすく、滞留した水によってウォータージェットの効果を著しく下げることがある。孔間隔が2.50mmを超える場合は、水流によってシートに付与される打撃痕が目立つとともに、処理されていない部分で交絡が進まないことがあるためである。また、1孔あたりのジェット力が0.16N未満では十分な交絡が得られず、製品の耐摩耗性が不十分となることがあり、1孔あたりのジェット力が1.60Nを超えると不織布や支持体を通過できずに滞留する水が発生しやすく、滞留した水によってウォータージェットの効果を著しく下げるとともに、均一な処理が困難になることがあるため好ましくない。このようなジェット力は、比較的大きい孔径とすることで得やすいことから、孔径は0.08〜0.25mmが好ましく、0.10〜0.20mmがより好ましい。
【0069】
1孔あたりのジェット力は、孔径を流体の吐出径として、下の式に従って求める。
【0070】
【数1】

【0071】
di:孔径(mm)
Pg:水圧(MPa)
F :1孔あたりのジェット力(N)
スペックは、複数回処理する場合、すべて同じ条件にする必要はなく、例えば大孔径と小孔径のノズルを併用することも可能であるが、少なくとも1回は上記の条件で処理することが好ましい。また、孔径が0.06mm未満となると孔詰まりが発生しやすくなるため、水を高度に濾過する必要性からコストが高くなる問題があり好ましくない。また、厚さ方向に均一な交絡を達成する目的、および/または不織布表面の平滑性を向上させる目的で、好ましくは多数回繰り返して処理するのがよい。また、そのジェット力は処理する不織布の目付によって適宜選択し、高目付のもの程高いジェット力とすることが好ましい。ここでいう複数回とは搬送するコンベアーおよび/またはシリンダーに直交する方向に並んだ孔を有するノズルプレート1枚を複数回通過することをいう。
【0072】
なお、複合繊維からなる不織布または極細繊維不織布に高速流体処理を行う前に、流体浸積処理を行ってもよい。さらに表面の品位を向上させるために、ノズルヘッドと不織布を搬送するコンベアーおよび/またはシリンダーの進行方向と異なる向きに、相対的に移動させる方法、交絡後に不織布とノズルの間に金網等を挿入して散水処理する方法等を行うこともできる。このようにして、好ましくはタテ方向の10%モジュラスが8N/cm以上となるまで、より好ましくは10N/cm以上となるまで極細繊維同士を絡合させるのがよい。
【0073】
一般的には複合繊維から得た極細繊維の場合、繊維同士が集束した極細繊維束が主として絡合しているが、このような処理によって、本発明における極細繊維不織布においては極細繊維束同士の絡合がほとんど観察されない程度にまで極細繊維同士が高度に絡合した極細繊維不織布を得ることができ、また、これにより本発明における摩耗物性等の表面特性を向上させることもできる。
【0074】
本発明の立毛調シートの製造方法は、ニードルパンチによる絡合のしやすい繊維と高速流体処理による絡合のしやすい繊維の相違から、特に上記のようなプロセスにより製造することで得られる。すなわち、1〜50dtexの繊維が太い状態ではニードルパンチによる方が絡合が優れ、0.0001〜0.5dtexの極細領域では高速流体処理による方が絡合が優れる傾向があることを利用したものである。これらの繊維繊度と絡合方法を組み合わせるために、繊度1〜50dtexの複合複合繊維を用いてニードルパンチにより十分に絡合させ、次いで0.0001〜0.5dtexの極細繊維を得る極細化処理をした後(もしくは同時に)、高速流体処理を行う方法が最も好ましい製造方法である。
【0075】
なお、本発明の立毛調シートは上述の極細繊維不織布を含むものであれば、織編物を積層などして含むものであっても良い。
【0076】
かかる織編物と極細繊維不織布の積層は、ニードルパンチ工程、または高速流体処理工程までに重ねて載せておき、それぞれの処理によって交絡一体化することで達成することができる。このとき、ニードルパンチ工程と高速流体処理工程のいずれの工程で実施してもかまわないが、織編物を構成する繊維が切断されにくいという意味から、高速流体処理での交絡一体化による積層が好ましい。
【0077】
また、本発明の立毛調シートとしては、少なくとも一方の面が立毛されている必要がある。なお、本発明の立毛調シートは、実質的に繊維素材からなるものであるが、単なる不織布とは異なり、一般の天然皮革や人工皮革と類似した表面品位を有するものである。また、上述のように、本発明における耐摩耗物性の点で、立毛長さは短いほうが好ましい。かかる立毛を得る手段としては、サンドペーパーやブラシ等による起毛処理を行うことが好ましい。かかる起毛処理は、染色する場合、染色の前または後、あるいは染色前および染色後に行うことができる。
【0078】
そして、このような立毛調シートは、染色されたものであることが好ましい。
【0079】
この立毛調シートを構成する極細短繊維不織布を染色する方法は特に限定されるものではなく、用いる染色機としても、液流染色機の他、サーモゾル染色機、高圧ジッガー染色機等いずれでもよいが、得られる立毛調シートの風合いが優れる点で液流染色機を用いて染色することが好ましい。
【0080】
本発明の立毛調シートの製造方法においては、本発明における耐摩耗物性を向上させる目的で、エチレン−ビニルエステル共重合体を不織布の全繊維重量に対し0.01〜10重量%付与することが好ましく、0.2〜5重量%付与することがより好ましい。
【0081】
なお、エチレン−ビニルエステル共重合体は、付与量が0.01重量%未満では耐摩耗物性向上の効果が少なく、付与量が10重量%を超えると、風合いが硬くなりやすいためである。
かかるエチレン−ビニルエステル共重合体の付与量は溶液や分散液の濃度で調整できるが、特に、パッド法であればニップローラーの押し付け圧やクリアランス、染色機を用いる方法であれば脱水条件、スプレーで噴射する方法であれば噴射量や搬送速度によっても調整することができる。
【0082】
かかるエチレン−ビニルエステル共重合体はジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、クロロホルム等の溶媒に溶解した状態、水に分散した状態で付与することが出来る。特に本発明では、水に分散したエマルジョンとして付与することが好ましく採用される。
【0083】
さらに、本発明ではエチレン−ビニルエステル共重合体と同様に微粒子を付与する。理由は明らかではないが、微粒子を併用することによって、同程度の耐摩耗物性を得るためのエチレン−ビニルエステル共重合体の付与量を減らすことができ、しかも風合いを柔軟化させることができるためである。
【0084】
また、本発明の他の態様では、エチレン−ビニルエステル共重合体および微粒子を付与することが好ましい。
【0085】
また、微粒子を併用する場合は、かかる微粒子の付与量を不織布の全繊維重量に対し0.01〜10重量%付与することが好ましく、0.2〜5重量%がより好ましい。微粒子の付与量が0.01重量%未満では、耐摩耗物性向上への寄与が小さく、エチレン−ビニルエステル共重合体の付与量を減らせないため風合いが硬くなりやすく、逆に10重量%を超えると、風合いがきしみやすいためである。
【0086】
エチレン−ビニルエステル共重合体を付与する手段としては特に限定されるものではなく、パッド法の他、液流染色機やジッガー染色機を用いる方法、スプレーで噴射する方法等、適宜選択することができる。
【0087】
微粒子を併用する場合は、エチレン−ビニルエステル共重合体の溶液、分散液に分散するか、微粒子のみの分散液をエチレン−ビニルエステル共重合体を付与する前後に付与できるが、工程を簡素化できる点で、エチレン−ビニルエステル共重合体の溶液、分散液に、かかる微粒子を分散させて、同時に付与する方法が好ましい。
【0088】
微粒子を付与する手段も特に限定されず、パッド法の他、液流染色機やジッガー染色機を用いる方法、スプレーで噴射する方法等を用いることができる。
【0089】
また柔軟な風合いと滑らかな表面タッチを得るために、繊維素材へ柔軟剤を付与する工程を含むことも好ましい。用いる柔軟剤は特に限定するものではなく、織編物に一般的に使用されているものを適宜選択して使用することができる。例えば染色ノート第23版(株式会社色染社 2002年8月31日発行)において、風合い加工剤、柔軟仕上剤の名称で記載されているものを適宜選択して使用することが出来る。ただし、柔軟剤が含まれると耐摩耗物性が低下する傾向にあるため、風合いと耐摩耗物性のバランスを取りながら調整することが好ましい。したがって、その量は特に限定するものではないが、少なすぎると柔軟効果が得られず、多すぎるとべたつくことから、好ましくは0.01〜10重量%であるのがよい。
【0090】
かかる柔軟剤を付与する手段も特に限定されず、パッド法の他、液流染色機やジッガー染色機を用いる方法、スプレーで噴射する方法等を用いることができる。
【0091】
なお、エチレン−ビニルエステル共重合体や微粒子、柔軟剤は、好ましくは染色後に付与するのがよい。染色前に付与すると、染色時の脱落により効果が減少する場合や、染色ムラが発生する場合があるため好ましくない。
【実施例】
【0092】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
【0093】
(1)目付、繊維見掛け密度
目付はJIS L 1096 8.4.2(1999)の方法で測定した。また、厚みをダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製、商品名“ピーコックH”)により測定し、目付の値から計算によって繊維見掛け密度を求めた。
【0094】
(2)繊維長
繊維をカットする工程またはシートから、無作為に抜き出した繊維50本について繊維長を測定した。
【0095】
(3)エチレン−ビニルエステル共重合体の切断時伸び
エチレン−ビニルエステル共重合体エマルジョンを23℃の室内に1週間放置して、厚さ0.15mmのフィルムを作成した後、JIS K6251(2004)に準じてダンベル状3号形試験片で測定した。
【0096】
(4)風合い
JIS L 1096(2001)8.20.1 A法(ガーレ法)に準じて測定される曲げ反発性試験において、長さ38mm、巾25mmの試験片を用いて剛軟度を測定した。
【0097】
(5)耐摩耗物性
JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、3000回および20000回の回数を摩耗した後の試験布の重量減を評価すると共に、JIS L 1076 表2の判定基準表に準じて外観から等級を判定した。そのうち、等級の低いものを外観とし、2000回後の重量減を減量として評価した。
【0098】
(6)引裂強力
JIS L 1096 8.15.1(1999)D法(ペンジュラム法)に準じて測定した。
【0099】
実施例1
海成分としてポリスチレン50部、島成分としてポリエチレンテレフタレート50部からなる単繊維繊度3dtex、36島、繊維長51mmの海島型複合短繊維を用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作製した。次いで1バーブ型のニードルにて2500本/cmの打ち込み密度でニードルパンチ処理し、繊維見掛け密度0.210g/cmの海島型複合短繊維不織布を得た。次に約95℃に加温した重合度500、ケン化度88%のポリビニルアルコール12重量%の水溶液に固形分換算で不織布重量に対し25重量%の付着量になるように浸積し、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)の含浸と同時に2分間収縮処理を行い、100℃にて乾燥して水分を除去した。得られたシートを約30℃のトリクレンでポリスチレンを完全に除去するまで処理し、単繊維繊度約0.042dtexの極細短繊維不織布を得た。次いで、0.1mmの孔径で、0.5mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、10m/分の処理速度で表裏交互に15MPaで処理し(計4回)、PVAの除去とともに極細繊維の絡合を行った。
【0100】
このようにして得られた極細短繊維不織布の表面を株式会社菊川鉄工所製のワイドベルトサンダで、粒度がP400の炭化ケイ素砥粒のサンドペーパーを用いて、繊維シートのバフによる減量が5重量%になるまでバフィングした後、サーキュラー染色機において分散染料で染色を施した。
【0101】
続いて、樹脂として切断時伸び1500%のエチレン−酢酸ビニル共重合体の水エマルジョン(商品名;スミカフレックス(登録商標) 755、住化ケムテックス株式会社製)の1重量%分散液を調整し、ディップニップ法でウエットピックアップが100%になるように処理、乾燥して、極細短繊維不織布に対して1重量%付与した。
【0102】
得られた立毛調シートの物性は表のとおりであり、柔軟な風合いを有しており、耐摩耗物性も優れたものだった。
【0103】
実施例2
樹脂として、実施例1のエチレン−酢酸ビニル共重合物とともにシリカの水エマルジョン(商品名;スノーテックス(登録商標) 20L 日産化学工業株式会社製)をそれぞれ0.5重量%分散液になるように調整し、ディップニップ法でウエットピックアップが100%になるように処理、乾燥して、極細短繊維不織布に対して計1重量%付与した以外は実施例1と同様にして立毛調シートを得た。
【0104】
得られた立毛調シートの物性は表のとおりであり、柔軟な風合いを有しており、耐摩耗物性も優れたものだった。また、引裂強力はタテが17N、ヨコが9.7Nであり、後述の実施例9(タテが13.2N、ヨコが6.8N)と比較して優れたものだった。
【0105】
実施例3
ポリエチレンテレフタレートからなる、単繊維繊度0.1dtex、繊維長8mmの極細短繊維の水分散液を抄紙し、脱水、乾燥して、目付80g/mの極細短繊維不織布を得た。この極細短繊維不織布を33dtex12フィラメントのポリエステル繊維からなる44ゲージ、目付96g/mのダブル丸編上に重ねて、ウォータージェットパンチする以外は、実施例2と同様にして立毛調シートを得た。
【0106】
得られた立毛調シートは表のとおり柔軟な風合いであり、耐摩耗物性も問題なかった。
【0107】
実施例4
290℃に加熱した複合紡糸装置により、ポリエチレンテレフタレートとナイロン6を重量比50:50の割合で、丸型中空断面でポリエチレンテレフタレートとナイロン6が交互に放射状に配列され、且つそれぞれのポリマーが9本ずつのフィラメントを形成する口金から押し出した。押し出した糸条を常温の空気を用いた冷却装置にて冷却し、次いで、紡糸口金下100cmの位置に配された常温の空気を利用するエジェクターにより、5000m/分の速度で引き取り、移動する金網製の堆積装置にフィラメントを積層させ、単繊維繊度1.8dtexの複合長繊維不織布を得た。
【0108】
得られた複合長繊維不織布をウォータージェットパンチによって、極細長繊維不織布とするとともに、繊維を絡ませた以外は実施例2と同様にして立毛調シートを得た。
【0109】
得られた立毛調シートは表のとおり比較的風合いが硬いものの、許容できる範囲であり、耐摩耗物性も問題なかった。
【0110】
実施例5
樹脂を0.5重量%分散液として、極細短繊維不織布に対して0.5重量%付与した以外は、実施例2と同様にして立毛調シートを得た。得られた立毛調シートは表のとおり柔軟な風合いであり、耐摩耗物性も問題なかった。
【0111】
実施例6
樹脂を9重量%分散液として、極細短繊維不織布に対して9重量%付与した以外は、実施例2と同様にして立毛調シートを得た。得られた立毛調シートは表のとおり比較的風合いが硬いものの、許容できる範囲であり、耐摩耗物性も問題なかった。
【0112】
実施例7
繊維長が5mm、0.3dtexのポリエチレンテレフタレート繊維を用い、抄造法により目付20g/mの抄造ウェブを作製した。この抄造ウェブを33dtex12フィラメントのポリエステル繊維からなる44ゲージ、目付77g/mのダブル丸編み上に重ねて、速度10m/分で移動するスクリーン上に載せ、10MPaに加圧した常温の水を0.6mm間隔に並んだ直径0.1mmのノズルからウォータージェットパンチ処理を、抄造ウェブ側から3回行った後、乾燥して抄造ウェブと編物の積層物を得た。
【0113】
続いて、実施例1と同様にして得た、極細短繊維不織布を上記積層物のダブル丸編み側に重ねて、速度5m/分で移動するスクリーン上に載せ、15MPaに加圧した常温の水を0.6mm間隔に並んだ直径0.1mmのノズルから吹き出してシートに打ち付ける処理を、極細繊維不織布面、続いて抄造ウエブ側から表裏交互に各2回(計4回)実施した後、乾燥して積層一体化した極細短繊維不織布を得た。
【0114】
得られた繊維シートを実施例2と同様の方法でバフィング、染色、樹脂付与を施し、立毛調シートを得た。得られた立毛調シートは表のとおり風合いが柔軟で、耐摩耗物性も問題なかった。
【0115】
実施例8
樹脂付与を染色前に行った以外は実施例2と同様にして立毛調シートを得た。得られた立毛調シートは表のとおり風合いが柔軟で、耐摩耗物性も問題なかった。
【0116】
実施例9
切断時伸びが360%のエチレン−酢酸ビニル共重合体の水エマルジョン(商品名;スミカフレックス(登録商標) 752、住化ケムテックス株式会社製)を用いた以外は実施例2と同様にして立毛調シートを得た。得られた立毛調シートの性能は表のとおりであり、耐摩耗性は問題なかった。
【0117】
実施例10
海成分としてポリスチレン20部、島成分としてポリエチレンテレフタレート80部からなる単繊維繊度4dtex、16島、繊維長51mmの海島型複合短繊維を用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作製した。次いで1バーブ型のニードルにて2500本/cmの打ち込み密度でニードルパンチ処理し、繊維見掛け密度0.230g/cmの海島型複合短繊維不織布を得た。次に約95℃に加温した重合度500、ケン化度88%のポリビニルアルコール12重量%の水溶液に固形分換算で不織布重量に対し25重量%の付着量になるように浸積し、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)の含浸と同時に2分間収縮処理を行い、100℃にて乾燥して水分を除去した。得られたシートを約30℃のトリクレンでポリスチレンを完全に除去するまで処理し、単繊維繊度約0.200dtexの極細短繊維不織布を得た。次いで、0.12mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、10m/分の処理速度で表裏交互に40MPaで処理し(計4回)、PVAの除去とともに極細繊維の絡合を行った。
【0118】
このようにして得られた極細短繊維不織布の表面を株式会社菊川鉄工所製のワイドベルトサンダで、粒度がP400の炭化ケイ素砥粒のサンドペーパーを用いて、繊維シートのバフによる減量が5重量%になるまでバフィングした後、サーキュラー染色機において分散染料で染色を施した。
【0119】
続いて、樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体の水エマルジョン(商品名;スミカフレックス(登録商標) 755、住化ケムテックス株式会社製)の1重量%分散液を調整し、ディップニップ法でウエットピックアップが100%になるように処理、乾燥して、極細短繊維不織布に対して1重量%付与した。
【0120】
得られた立毛調シートの物性は表のとおりであり、高目付の立毛調シートとして柔軟な風合いを有しており、耐摩耗物性も優れたものだった。
【0121】
【表1】

【0122】
比較例1
樹脂を付与しなかった以外は、実施例1と同様にして立毛調シートを得た。得られた立毛調シートは表のとおり風合いは柔軟だが、耐摩耗物性が不十分だった。
【0123】
比較例2
樹脂のかわりに、コロイダルシリカの水分散体(商品名;スノーテックス 20L 日産化学工業株式会社製)を用いた以外は、実施例2と同様にして立毛調シートを得た。得られた立毛調シートは表のとおり風合いは柔軟だが、耐摩耗物性が不十分だった。
【0124】
比較例3
樹脂として、ポリウレタンの水エマルジョン(商品名;エバファノール APC55、日華化学株式会社製)を用いた以外は実施例2と同様にして立毛調シートを得た。 得られた立毛調シートは表のとおり風合いは柔軟だが、耐摩耗物性が不十分だった。
【0125】
比較例4
付与する樹脂としてコロイダルシリカの水分散体(商品名;スノーテックス 20L 日産化学工業株式会社製)およびポリウレタンの水エマルジョン(商品名;エバファノール APC55、日華化学株式会社製)をそれぞれ0.5重量%分散液になるように調整し、ディップニップ法でウエットピックアップが100%になるように処理、乾燥して、極細短繊維不織布に対して計1重量%付与した以外は実施例1と同様にして立毛調シートを得た。得られた立毛調シートは表のとおり風合いは柔軟だが、摩耗物性が不十分だった。
【0126】
比較例5
付与する樹脂としてコロイダルシリカの水分散体(商品名;スノーテックス 20L 日産化学工業株式会社製)およびポリウレタンの水エマルジョン(商品名;エバファノール APC55、日華化学株式会社製)をそれぞれ0.5重量%分散液になるように調整し、ディップニップ法でウエットピックアップが100%になるように処理、乾燥して、極細短繊維不織布に対して計1重量%付与した以外は実施例10と同様にして立毛調シートを得た。得られた立毛調シートは表のとおり高目付の立毛調シートとして風合いは柔軟だが、摩耗物性が不十分だった。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明により、実質的に高分子弾性体を含まず、主として繊維素材からなる不織布構造体であっても、立毛調シートとして十分な物性と品位を得ることが可能となる。本発明の立毛調シートは、リサイクル性やイージーケア性、耐黄変性等に優れる特徴を有することから、衣料、家具、雑貨、研磨布、フィルター等の用途や座席シート、天井材、ステアリングカバー等の自動車に装備される自動車用途は勿論のこと、その中でもリサイクル性や特徴ある風合いを活かして特に衣料用途や自動車用途に好ましく使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexの極細繊維からなる極細繊維不織布が、エチレン−ビニルエステル共重合体を含み、かつ微粒子を含むことを特徴とする立毛調シート。
【請求項2】
単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexの極細繊維が相互に絡合した極細繊維不織布が、エチレンービニルエステル共重合体を含むことを特徴とする立毛調シート。
【請求項3】
前記極細繊維不織布がエチレン−ビニルエステル共重合体を含み、かつ微粒子を含むことを特徴とする請求項2に記載の立毛調シート。
【請求項4】
前記微粒子の含有率が前記極細繊維不織布の繊維重量に対し0.01〜10重量%であることを特徴とする請求項1又は3に記載の立毛調シート。
【請求項5】
前記エチレン−ビニルエステル共重合体の含有率が前記極細繊維不織布の繊維重量に対し0.01〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の立毛調シート。
【請求項6】
前記立毛調シートが、JIS L 1096(1999)8.17.5 E法(マーチンデール法)家具用荷重(12kPa)に準じて測定される耐摩耗試験において、20000回後の摩耗減量が10mg以下であり、かつ、3000回および20000回の回数を摩耗した後の試験布の外観をJIS L 1076(1999)表2の判定基準表で判定したときの外観が3級以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の立毛調シート。
【請求項7】
前記エチレン−ビニルエステル共重合体がエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の立毛調シート。
【請求項8】
前記エチレン−ビニルエステル共重合体の切断時伸びが800%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の立毛調シート。
【請求項9】
単繊維繊度が0.05〜0.5dtexの極細繊維からなり、目付が200〜550g/mであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の立毛調シート。
【請求項10】
自動車用途に用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の立毛調シート。
【請求項11】
単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexの極細繊維からなる極細繊維不織布に、エチレン−ビニルエステル共重合体0.01〜10重量%および微粒子0.01〜10重量%を付与することを特徴とする立毛調シートの製造方法。
【請求項12】
ニードルパンチ法により単繊維繊度が1〜50dtexの複合繊維からなる不織布を製造し、次いでこの不織布を、極細繊維発現処理により、単繊維繊度が0.0001〜0.5dtexの極細繊維不織布とした後、さらに高速流体処理を行った後、エチレン−ビニルエステル共重合体を0.01〜10重量%付与することを特徴とする立毛調シートの製造方法。
【請求項13】
前記エチレン−ビニルエステル共重合体0.01〜10重量%および微粒子0.01〜10重量%を付与することを特徴とする請求項12に記載の立毛調シートの製造方法。
【請求項14】
目付が150〜550g/mの極細繊維不織布に、少なくとも1回は孔間隔が0.15〜2.50mmで配置されたノズルから1孔当たり0.16〜1.60Nのジェット力で高速流体処理を施すことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の立毛調シートの製造方法。
【請求項15】
前記微粒子を付与する前に、前記極細繊維不織布を染色することを特徴とする請求項11、13および14のいずれか1項に記載の立毛調シートの製造方法。
【請求項16】
前記エチレン−ビニルエステル共重合体を付与する前に、前記極細繊維不織布を染色することを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の立毛調シートの製造方法。

【公開番号】特開2008−57098(P2008−57098A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202665(P2007−202665)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】