説明

竪型ローラミル

【課題】 空気流の衝突による圧力損失が少なく、粉砕ローラを支持するローラ支持機構が、ミルケーシングを貫いて設けられて形式の竪型ローラミルに対しても適用し得る空気流の吹込み方式を備えた竪型ローラミルを提供する。
【解決手段】 粉砕テーブル2の周囲の円環状で上向きの吹上げノズル5aの周囲に、円環状で上向きの外側吹上げノズル6aを設け、ミルケーシング1の粉砕ローラ3の上方位置に、このミルケーシング1の内周に沿って旋回する空気流を吹込む旋回流吹込口11aを設け、この旋回流吹込口11aと、前記外側吹上げノズル6aとに空気供給ダクト7を介してミルファン8で加圧した空気を供給すると共に、この空気供給ダクト7の旋回流吹込口11aへの空気分流位置の下流側から分岐させた空気分流ダクト9を介して前記吹上げノズル5aに、加圧ファン10で加圧した空気を供給する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転するテーブルとローラとの間で原料を押し潰し、生成された粉体を空気流に乗せて上方へ運搬し、上方の排出ダクトより粉体製品を取出す竪型ローラミルの改善に関し、より詳しくは、空気流の衝突による圧力損失が少なく、粉砕ローラを支持するローラ支持機構が、ミルケーシングを貫いて設けられている形式の竪型ローラミルに対しても適用し得る空気流の吹込み方式を備えた竪型ローラミルの技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、竪型ローラミルは動力当たりの原料の粉砕効率が優れ、その据付面積も小さく、大型化が容易であるということや、粉砕された粉体を100%空気流により運搬してミル外へ取出す方式であって、熱風を供給することにより、ミル内で粉体を乾燥することができるという利点があるので多用されている。このような竪型ローラミルとしては、例えば特公昭62−16693号公報に開示されてなるものが公知である。以下、この従来例に係る竪型ローラミルの概要を、その全体の側面断面図の図5と、その粉砕テーブル周辺部の拡大断面図の図6と順次参照しながら、同公報に記載されている同一名称ならびに同一符号を以て説明する。
【0003】図に示す符号1は、粉砕装置本体であるミルケーシングであって、その内部に減速機2を介して図示しないモータで回転される粉砕テーブル3が設けられている。この粉砕テーブル3には形成されてなる圧潰溝4には、ミルケーシング1内に昇降自在に支持され、油圧シリンダ8で下向きの押圧力が付与されるフレーム7に回転自在に支持された複数の粉砕ローラ6のタイヤ部5が接触している。前記粉砕テーブル3の周辺であって、かつこの粉砕テーブル3の外周と僅かの隙間を介して円環状の吹上げノズル9が設けられている。この吹上げノズル9は、ミルケーシング1に取付けられており、一定間隔で斜め上向きの多数の翼によって仕切られている。
【0004】図に示す符号10は、吹上げノズル9に供給する空気の導入孔であって、空気通路11を介して吹上げノズル9と連通している。前記ミルケーシング1の前記吹上げノズル9の上部側には、前記ミルケーシング1の外周に突出する空気環路12が設けられている。この空気環路12は、前記吹上げノズル9と同様の方向に偏向した多数のベーン13によって仕切られた多数の送風口14を介して、前記ミルケーシング1内の揚風室15と連通している。なお、符号16は前記空気環路12と外部の送風ダクト(図示省略)とを接続する空気導入孔である。
【0005】図に示す符号18は、セパレータ(以下、分級機という。)で、周面に多数の回転翼19を有し、本体上部の図示しないモータにより回転され、回転翼19の回転により揚風室15を上昇する粉体に遠心力を与えて分級するものである。ミルケーシング1より斜めに揚風室15内に突入する原料供給用の投入パイプ20は、粉砕テーブル3の上面に向かって開口しており、さらにミルケーシング1の最上部に開口する排出ダクト21は、前記分級機18により分級された粉体製品を空気と一緒に外部へ排出するためのものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例に係る竪型ローラミルは、端的にいえば、一旦粉砕された粉体を粉砕テーブルの外周の吹上げノズルから空気流を吹上げると共に、前記吹上げノズルに供給すべき空気流の一部を分流させて、ミルケーシングの内周に設けた多数の送風口から吹込むことにより、ミルケーシングの内部の上方位置に設けられた分級機に運び上げるものである。これにより、圧損が大きな吹上げノズルからの空気量を少なくすることができ、原料の粉砕所要動力が軽減されるため、粉砕所要動力の軽減手段としてはそれなりに優れている。
【0007】しかしながら、粉砕テーブルの外周部に到達した粉体を、吹上げノズルから吹上げる空気流と、送風口14から吹込む空気流とによって上方に運んで、製品として系外に排出するのであるから、この作用を維持するためにはある一定以上の上方への方向性と流速を持った空気流が必要である。ところが、上記従来例に係る竪型ローラミルでは、吹上げノズルから吹上げる空気流の方向性が、送風口から吹込まれる空気流により阻害されてしまう。そのため、粉砕所要動力の軽減効果が必ずしも十分とはいえないのに加えて、粉体を効率的に上方に運搬することができず、ミル内部の粉体の滞留量が増大する結果、原料供給量を抑制する必要が生じ、粉体製品の生産能力が低下するという恐れがある。
【0008】上記従来例の場合は、粒度が比較的粗い粗粉体を粉砕テーブルに戻すために、吹上げノズルから吹上げられる空気流と、送風口から吹込まれる空気流との方向性を、概ね90°で交わる範囲で調整しているために、両空気流同志が衝突して空気流の圧力損失を招くので、原料の粉砕所要動力の軽減も不十分である。これに加えて、粉体の滞留量の増大は粉砕時に異常振動を誘発する要因になり、さらに粉体製品の生産能力が低下することになる。これらのことを防ぐためには、吹上げノズルから吹上げられる空気流量の比率を上げる必要があるが、これでは圧損の低減効果が著しく低下し、圧損の低減という上記従来例の目的と相反することになる。
【0009】また、上記のとおり、送風口に空気流を導入する空気環路がミルケーシングの外周部に配設されているために、例えば粉砕ローラを支持するローラ支持機構がミルケーシングを貫いて設けられている形式の竪型ローラミルでは、空気環路の配設が難しく、上記従来例のような空気流の吹込み方式を採用することができない。つまり、従来例のような空気流の吹込み方式を採用し得る竪型ローラミルの形式が限定されてしまうため、汎用性が乏しいという問題もある。
【0010】従って、本発明の目的は、空気流の衝突による圧力損失が少なく、粉砕ローラを支持するローラ支持機構が、ミルケーシングを貫いて設けられている形式の竪型ローラミルに対しても適用し得る空気流の吹込み方式を備えた竪型ローラミルを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る竪型ローラミルが採用した手段は、ミルケーシングの内側下部に、回転する粉砕テーブルが設けられ、この粉砕テーブルの周囲を囲む上向きの吹上げノズルが設けられると共に、前記粉砕テーブルに粉砕ローラを押圧して、粉砕テーブル上に供給された原料を粉砕する竪型ローラミルにおいて、前記吹上げノズルの外側に、この吹上げノズルを囲む上向きの外側吹上げノズルを設け、前記ミルケーシングの前記粉砕ローラの上方に、このミルケーシングの内周に沿った旋回する空気流を吹込む旋回流吹込口を設け、ミルファンから前記外側吹上げノズルと旋回流吹込口とに空気供給ダクトを連通させ、加圧ファンが介装されてなる空気分流ダクトを前記空気供給ダクトの前記旋回流吹込口への空気分流位置の下流側から前記吹上げノズルに連通させたことを特徴とするものである。
【0012】本発明の請求項2に係る竪型ローラミルが採用した手段は、ミルケーシングの内側下部に、回転する粉砕テーブルが設けられ、この粉砕テーブルの周囲を囲む上向きの吹上げノズルが設けられると共に、前記粉砕テーブルに粉砕ローラを押圧して、粉砕テーブル上に供給された原料を粉砕する竪型ローラミルにおいて、前記吹上げノズルの外側に、この吹上げノズルを囲む上向きの外側吹上げノズルを設け、前記ミルケーシングの前記粉砕ローラの上方に、このミルケーシングの内周に沿った旋回する空気流を吹込む旋回流吹込口を設け、ミルファンから前記外側吹上げノズルと旋回流吹込口とに空気供給ダクトを連通させ、加圧ファンが介装されてなる空気分流ダクトを、前記空気供給ダクトの前記旋回流吹込口への空気分流位置の下流側から前記吹上げノズルに連通させると共に、前記空気分流ダクトから、前記外側吹上げノズルに空気を導入する外側空気通路に落下した粒度が比較的粗い粗粉体を吸引して前記粉砕テーブルの中心部に戻す粗粉体戻しダクトを分岐させたこと特徴とするものである。
【0013】本発明の請求項3に係る竪型ローラミルが採用した手段は、請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の竪型ローラミルにおいて、前記吹上げノズルおよび外側吹上げノズル、またはこれら吹上げノズルと外側吹上げノズルとのうちの何れか一方に、空気流に所定の方向性を付与するガイドベーンを設けたことを特徴とするものである。
【0014】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態1に係る竪型ローラミルを、その模式的断面構成説明図の図1を参照しながら説明する。
【0015】図に示す符号1は、粉砕装置本体であるミルケーシングで、このミルケーシング1の内側下部に図示しない減速機を介してモータで回転される粉砕テーブル2が設けられ、この粉砕テーブル2上の被粉砕物を粉砕する複数個の粉砕ローラ3が設けられている。そして、粉砕ローラ3の上方位置に分級機4が設けられると共に、前記ミルケーシング1の頂部に粉体製品を排出する排出ダクト1aが設けられている。勿論、図示省略しているが、前記粉砕テーブル2の上面には圧潰溝が形成されると共に、前記粉砕ローラ3の外周にはタイヤ部が形成されている。以上の説明からよく理解されるように、竪型ローラミルに係る以上の構成は、上記従来例に係る竪型ローラミルと同様である。
【0016】前記粉砕テーブル2の周囲には、円環状で上向きの吹上げノズル5aが設けられている。また、この吹上げノズル5の外側には、円環状で上向きの外側吹上げノズル6aが設けられると共に、前記ミルケーシング1の前記粉砕ローラ2の上方、かつ前記分級機4の下方位置に、このミルケーシング1の内周に沿った旋回する空気流を吹込む旋回空気吹込口11aが開口している。そして、前記外側吹上げノズル6aに空気流を導入する外側空気流路6には、ミルファン8により加圧された空気を供給する空気供給ダクト7が連通し、この空気供給ダクト7から前記旋回空気吹込口11aに旋回用の空気を供給する、ダンパが内設されてなる旋回空気供給ダクト11が分岐している。
【0017】さらに、前記空気供給ダクト7の前記旋回空気供給ダクト11の分岐部の下流側から、加圧ファン10が介装されてなる空気分流ダクト9が分岐している。この空気分流ダクト9は、前記吹上げノズル5aに空気を導入する内側空気流路5に連通している。なお、前記外側空気流路6から下方に突出してなるものは、粉体製品になり得ない粒度が比較的粗い粗粉体を系外へ排出する粗粉体排出口12で、この粗粉体排出口12から排出された粉体製品になり得ない粒度が比較的粗い粗粉体は、新しい原料と共に図示しない投入シュートを介して、再びミル上方から粉砕テーブル2上に供給されて粉砕されるように構成されている。
【0018】以下、上記構成になる竪型ローラミルの作用態様を説明すると、未粉砕のセメント原料、石灰石、石炭、コークス、ボーキサイト、燐鉱石、重晶石、マグネサイト、石膏等の原料は、図示しない投入シュートから粉砕テーブル2の上面に供給される。粉砕テーブル2の上面に供給された原料は、順次粉砕テーブル2上の圧潰溝内に転がり込み、回転する粉砕テーブル2と、この粉砕テーブル2に圧接されて転動する粉砕ローラ3との間に挟み込まれて押し潰されて粉体になった後、粉砕テーブル2の回転により生じる遠心力により粉砕テーブル2の外周方向に移動し、順次この粉砕テーブル2の上面から外方へ溢れ出る。
【0019】ところで、ミルファン8から空気供給ダクト7に送出された空気は、旋回空気供給ダクト11を通って旋回空気吹込口11aからミルケーシング1内に噴出して旋回流となり、また外側空気流路6を通って外側吹上げノズル6aからミルケーシング1内に外側空気流として吹上げられている。これと並行して加圧ファン10で加圧された空気は空気分流ダクト9、内側空気流路5を通って吹上げノズル5aからミルケーシング1内に内側空気流として吹上げられている。
【0020】そのため、粉砕テーブル2の上面から外方へ溢れ出る粉体は、先ず内側の吹上げノズル5aから吹上げられている内側空気流によって上方に吹き飛ばされる。吹き飛ばされた粉体のうち、粒度が比較的粗い粗粉体は粉砕テーブル2上に落下し、あるいは外側吹上げノズル6aの方向に移動し、外側空気流路6の垂直部を落下して粗粉体排出口12から系外に排出される。排出された粒度が比較的粗い粗粉体は、上記のとおり、新しい原料と共に図示しない投入シュートを介して、再びミル上方から粉砕テーブル2上に供給されて粉砕される。
【0021】一方、粒度が比較的細かい粉体は、吹上げノズル5aと外側吹上げノズル6aとから吹上げられている内・外側空気流によって上方に運ばれる。このようにして、上方に運ばれた粒度が比較的細かい粉体は、これら吹上げノズル5aと外側吹上げノズル6aとから吹上げられている内・外側空気、および旋回空気吹込口11aから吹込まれて旋回している旋回空気流と共に分級機4内に運ばれる。そして、分級機4内に運ばれた粒度が比較的細かい粉体はこの分級機4により分級され、この分級機4を通過した粉体が排出ダクト1aから排出されると共に、後工程において粉体製品として回収されることとなる。
【0022】本実施の形態1に係る竪型ローラミルによれば、上記のようにして原料が粉砕され、分級されて粉体製品となるが、上記従来例に係る竪型ローラミルのように、吹上げノズル5aから吹上げられる内側空気流の方向性が、外側吹上げノズル6aから吹上げられる外側空気流によって阻害されてしまうようなことがない。従って、原料の粉砕所要動力のさらなる低減が可能になるのに加えて、粉体が効率的に上方まで運搬され、ミル内部の粉体の滞留量が増大するようなことがなく、原料の供給量を抑制する必要がないから、粉体製品の生産能力が低下するというような恐れがない。
【0023】また、本実施の形態1に係る竪型ローラミルによれば、上記のとおり、吹上げノズル5aから吹上げられる内側空気流の方向性が、外側吹上げノズル6aから吹上げられる外側空気流によって阻害されてしまうようなことがないから、空気流同志の衝突による空気流の圧力損失なくなる結果、原料の粉砕所要動力がより軽減されるのに加えて、粉体の滞留量の増大に起因する粉砕時の異常振動がないから、異常振動に起因する粉体製品の生産能力の低下が効果的に防止される。
【0024】また、本実施の形態1に係る竪型ローラミルでは、従来例に係る竪型ローラミルと異なり、ミルケーシングの外周に送風口に空気流を導入する空気環路が設けられておらず、内側空気流路5や外側空気流路6は全てミルケーシング1の内側であって、かつ粉砕テーブル2の周囲に配設されているので、粉砕ローラを支持するローラ支持機構が、ミルケーシングを貫いて設けられている形式のローラミルに対しても、本発明の技術的思想を適用することができるという効果がある。
【0025】本発明の実施の形態2に係る竪型ローラミルを、その模式的断面構成説明図の図2を参照しながら、上記実施の形態1に係る竪型ローラミルと同一のものに同一符号を付して説明すると、本実施の形態2に係る竪型ローラミルは、外側吹上げノズル6aに外側空気流の方向性を偏向させる外側ガイドベーン6bを設けたものであって、これ以外は全て上記実施の形態1に係る竪型ローラミルと同構成になるものである。
【0026】本実施の形態2に係る竪型ローラミルによれば、外側吹上げノズル6aから吹上げられる外側空気流の方向性を、外側ガイドベーン6bによりミルケーシング1の内周に沿う斜め方向に偏向させることにより、上記実施の形態1に係る竪型ローラミルの場合よりも、粉体の運搬性能およびミル全体の分級性能を向上させることが可能になるという効果が生じる。ところで、本実施の形態2に係る竪型ローラミルでは、上記のとおり、外側吹上げノズル6aにのみ外側空気流の方向性を偏向させる外側ガイドベーン6bを設けたが、吹上げノズル5aにのみガイドベーンを設けたとしても、同等の効果を得ることができる。
【0027】本発明の実施の形態3に係る竪型ローラミルを、その模式的断面構成説明図の図3を参照しながら、上記実施の形態1に係る竪型ローラミルと同一のものに同一符号を付して説明すると、本実施の形態3に係る竪型ローラミルは、吹上げノズル5aに内側空気流の方向性を偏向させる内側ガイドベーン5bを設けると共に、外側吹上げノズル6aに外側空気流の方向性を偏向させる外側ガイドベーン6bを設けたもので、これ以外は全て上記実施の形態1に係る竪型ローラミルと同構成になるものである。
【0028】本実施の形態3に係る竪型ローラミルによれば、吹上げノズル5aから吹上げられる内側空気流の方向性が内側ガイドベーン5bにより、また外側吹上げノズル6aから吹上げられる外側空気流の方向性が外側ガイドベーン6bにより、そぞれミルケーシング1の内周に沿う斜め方向に偏向させることができるから、上記実施の形態2に係る竪型ローラミルの効果に加えて、吹上げノズル5a部における粉体の分級性能が向上するという効果が生じる。
【0029】本発明の実施の形態4に係る竪型ローラミルを、その模式的断面構成説明図の図4を参照しながら、上記実施の形態1に係る竪型ローラミルと同一のものに同一符号を付して説明する。本実施の形態4に係る竪型ローラミルと上記実施の形態1に係る竪型ローラミルとの大きな相違は、粗粉体排出口の代わりに粗粉戻しダクト13を設けたところにある。
【0030】より詳しくは、上記本実施の形態3に係る竪型ローラミルと同様に、吹上げノズル5aに内側空気流の方向性を偏向させる内側ガイドベーン5bが設けられると共に、外側吹上げノズル6aに外側空気流の方向性を偏向させる外側ガイドベーン6bが設けられている。さらに、空気分流ダクト9から、前記外側吹上げノズル6aに空気を導入する外側空気通路6に落下した粒度が比較的粗い粗粉体を吸引して粉砕テーブル2の中心部に戻す粗粉体戻しダクト13が分岐してなる構成になっている。なお、上記のとおり、本実施の形態4に係る竪型ローラミルでは、内側ガイドベーン5bと外側ガイドベーン6bとが設けられているが、例えこれらが設けられていなくてもそれなりの機能を発揮し得るということは、上記実施の形態1に係る竪型ローラミルから容易に想定することができる。
【0031】従って、本発明の実施の形態4に係る竪型ローラミルによれば、上記実施の形態3に係る竪型ローラミルと同等の粉体の分級効果を期待することができる。これに加えて、外側空気流路6の垂直部を落下した粒度が比較的粗い粗粉体は前記粗粉体戻しダクト13により吸引されると共に上方に運上げられて粉砕テーブル2の中心部に戻されるから、上記実施の形態1,2または3に係る竪型ローラミルのように、外側空気流路6の垂直部を落下した粒度が比較的粗い粗粉体を投入シュートまで運搬する外部搬送装置を設ける必要がない。従って、付帯設備費に関して有利になり、粉体製品の生産コストの低減に大いに寄与することが可能になるという経済効果が生じる。
【0032】なお、以上の実施の形態1乃至4では、吹上げノズル5aと外側吹上げノズル6aとの何れもが円環状である場合を例として説明した。しかしながら、特に円環状である必要がなく、吹上げノズル5aは粉砕テーブル2の周囲に所定の間隔で配設されると共に、外側吹上げノズル6aは吹上げノズル5aの周囲に所定の間隔で配設されていれば良いので、上記実施の形態1乃至4に係る竪型ローラミルの構成に限定されるものではなく、また本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内における設計変更等は自由自在である。
【0033】
【発明の効果】本発明の請求項1乃至3に係る竪型ローラミルによれば、従来例に係る竪型ローラミルのように、吹上げノズルから吹上げられる内側空気流の方向性が外側吹上げノズルから吹上げられる外側空気流により阻害されるようなことがない。従って、原料の粉砕所要動力のさらなる低減が可能になるのに加えて、粉体が効率的に上方まで運搬され、原料供給量を抑制する必要がないから、粉体製品の生産能力が低下するというような恐れがない。
【0034】また、本発明の請求項1乃至3に係る竪型ローラミルによれば、上記のとおり、吹上げノズルから吹上げられる内側空気流の方向性が外側吹上げノズルから吹上げられる外側空気流で阻害されることがないから、空気流同志の衝突による空気流の圧力損失なくなる結果、原料の粉砕所要動力がより軽減されるのに加えて、粉体の滞留量の増大に起因する粉砕時の異常振動がないから、異常振動に起因する粉体製品の生産能力の低下を効果的に防止することができる。
【0035】また、本発明の請求項1乃至3に係る竪型ローラミルによれば、従来例に係る竪型ローラミルと異なり、ミルケーシングの外周に送風口に空気流を導入する空気環路が設けられておらず、内側空気流路や外側空気流路は全てミルケーシングの内側、かつ粉砕テーブルの周囲に配設されているので、粉砕ローラを支持するローラ支持機構が、ミルケーシングを貫いて設けられている形式のローラミルに対しても、本発明の技術的思想を適用することができるという効果がある。
【0036】さらに、本発明の請求項2係る竪型ローラミルによれば、外側空気流路の垂直部を落下した粒度が比較的粗い粗粉体は前記粗粉体戻しダクトにより吸引されると共に上方に運上げられて粉砕テーブルの中心部に戻され、外側空気流路の垂直部を落下した粒度が比較的粗い粗粉体を投入シュートまで運搬する外部搬送装置を設ける必要がないから、付帯設備費に関して有利になり、粉体製品の生産コストの低減に大いに寄与することが可能になるという経済効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る竪型ローラミルの模式的断面構成説明図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る竪型ローラミルの模式的断面構成説明図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る竪型ローラミルの模式的断面構成説明図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る竪型ローラミルの模式的断面構成説明図である。
【図5】従来例に係る竪型ローラミルの全体の側面断面図である。
【図6】従来例に係る竪型ローラミルの粉砕テーブル周辺部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1…ミルケーシング,1a…排出ダクト
2…粉砕テーブル
3…粉砕ローラ
4…分級機
5…内側空気流路,5a…吹上げノズル,5b…内側ガイドベーン
6…外側空気流路,6a…外側吹上げノズル,6b…外側ガイドベーン
7…空気供給ダクト
8…ミルファン
9…空気分流ダクト
10…加圧ファン
11…旋回空気供給ダクト,11a…旋回空気吹込口
12…粗粉体排出口
13…粗粉体戻しダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ミルケーシングの内側下部に、回転する粉砕テーブルが設けられ、この粉砕テーブルの周囲を囲む上向きの吹上げノズルが設けられると共に、前記粉砕テーブルに粉砕ローラを押圧して、粉砕テーブル上に供給された原料を粉砕する竪型ローラミルにおいて、前記吹上げノズルの外側に、この吹上げノズルを囲む上向きの外側吹上げノズルを設け、前記ミルケーシングの前記粉砕ローラの上方に、このミルケーシングの内周に沿った旋回する空気流を吹込む旋回流吹込口を設け、ミルファンから前記外側吹上げノズルと旋回流吹込口とに空気供給ダクトを連通させ、加圧ファンが介装されてなる空気分流ダクトを前記空気供給ダクトの前記旋回流吹込口への空気分流位置の下流側から前記吹上げノズルに連通させたことを特徴とする竪型ローラミル。
【請求項2】 ミルケーシングの内側下部に、回転する粉砕テーブルが設けられ、この粉砕テーブルの周囲を囲む上向きの吹上げノズルが設けられると共に、前記粉砕テーブルに粉砕ローラを押圧して、粉砕テーブル上に供給された原料を粉砕する竪型ローラミルにおいて、前記吹上げノズルの外側に、この吹上げノズルを囲む上向きの外側吹上げノズルを設け、前記ミルケーシングの前記粉砕ローラの上方に、このミルケーシングの内周に沿った旋回する空気流を吹込む旋回流吹込口を設け、ミルファンから前記外側吹上げノズルと旋回流吹込口とに空気供給ダクトを連通させ、加圧ファンが介装されてなる空気分流ダクトを、前記空気供給ダクトの前記旋回流吹込口への空気分流位置の下流側から前記吹上げノズルに連通させると共に、前記空気分流ダクトから、前記外側吹上げノズルに空気を導入する外側空気通路に落下した粒度が比較的粗い粗粉体を吸引して前記粉砕テーブルの中心部に戻す粗粉体戻しダクトを分岐させたこと特徴とする竪型ローラミル。
【請求項3】 前記吹上げノズルおよび外側吹上げノズル、またはこれら吹上げノズルと外側吹上げノズルとのうちの何れか一方に、空気流に所定の方向性を付与するガイドベーンを設けたことを特徴とする請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の竪型ローラミル。

【図1】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2002−59017(P2002−59017A)
【公開日】平成14年2月26日(2002.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−252292(P2000−252292)
【出願日】平成12年8月23日(2000.8.23)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】