端子接続部材及び組電池
【課題】充放電時に電極端子との間における温度上昇を抑えて接触抵抗の増加を好適に抑えることができる端子接続部材及び組電池を提供すること。
【解決手段】組電池1は、突出した複数の電極端子2を有する複数の単電池3と、これら単電池3が収納される電池収納容器6と、単電池3間の電極端子2同士を接続する導電性のブスバー(端子接続部材)7と、を備えている。このブスバー7は、電極端子2と接触される一対の接触部と、一対の接触部間を接続する部材本体と、を備え、部材本体の少なくとも一部に放熱部が配されている。
【解決手段】組電池1は、突出した複数の電極端子2を有する複数の単電池3と、これら単電池3が収納される電池収納容器6と、単電池3間の電極端子2同士を接続する導電性のブスバー(端子接続部材)7と、を備えている。このブスバー7は、電極端子2と接触される一対の接触部と、一対の接触部間を接続する部材本体と、を備え、部材本体の少なくとも一部に放熱部が配されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子接続部材及び組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池には、正極端子及び負極端子といった電極端子が突出して配されている。この二次電池の一つ一つを単電池として複数備えた組電池には、単電池に配された電極端子同士を接続するブスバー(端子接続部材)が配されている(例えば、特許文献1参照。)。このようなブスバーは、円柱・円筒形又は四角柱・四角筒形に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−8605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の端子接続部材では、組電池の充放電時に比較的高い発熱を生じてしまい、電極端子との間の接触抵抗も大きくなってしまう。また、電池の内部温度の上昇に伴い、寿命を縮めて電池性能を劣化、又は破壊させてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、充放電時に電極端子との間における温度上昇を抑えて接触抵抗の増加を好適に抑えることができる端子接続部材及び組電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る端子接続部材は、複数の単電池間の電極端子同士を接続する導電性の端子接続部材であって、各前記電極端子と接触される一対の接触部と、該一対の接触部間を接続する部材本体と、を備え、該部材本体の少なくとも一部に放熱部が配されていることを特徴とする。
【0007】
この発明は、端子接続部材の部材本体に放熱部が配されているので、通電された際、接触部と電極端子との間の接触抵抗の大きさに応じて部材本体の温度が上昇しても、放熱部からの放熱によって、接触部の温度上昇を好適に抑えることができる。
【0008】
また、本発明に係る端子接続部材は、前記端子接続部材であって、前記部材本体が長手方向を有して板状に形成され、前記長手方向に対して蛇腹折りされて前記放熱部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
この発明は、部材本体の全長を変えずに放熱部の放熱面積を確保することができる。さらに、プレス加工等によって放熱部を容易に作成することができる。
【0010】
また、本発明に係
る端子接続部材は、前記端子接続部材であって、前記放熱部が、前記部材本体の外周面から突出して、又は前記外周面に凹んで配されていることを特徴とする。
この発明は、放熱部によって部材本体の表面積を増やして放熱面積を確保することができる。
【0011】
また、本発明に係る端子接続部材は、前記端子接続部材であって、前記部材本体及び前記放熱部が、銅若しくは銅合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなることを特徴とする。
この発明は、放熱部の熱伝導率が大きいので、接触部の温度上昇にすばやく対応して放熱させることができる。
【0012】
また、本発明に係る端子接続部材は、前記端子接続部材であって、前記部材本体又は前記放熱部の外周面の少なくとも一部に配された電気的な絶縁層を備えていることを特徴とする。
この発明は、人が最も接触しやすい外周面に絶縁層が配されているので、安全性を高めることができると同時に、それ以外の表面から好適に放熱させることができる。
【0013】
本発明に係る組電池は、突出した複数の電極端子を有する複数の単電池と、これら単電池が収納される電池収納容器と、前記単電池間の前記電極端子同士を接続する本発明に係る端子接続部材と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
この発明は、本発明に係る端子接続部材を備えているので、通電された際、接触部と電極端子との間の接触抵抗の大きさに応じて部材本体の温度が上昇しても、放熱部からの放熱によって、接触部の温度上昇を好適に抑えることができる。
【0015】
また、本発明に係る組電池は、前記組電池であって、前記電池収納容器における、前記放熱部が配される位置に、通風孔が配されていることを特徴とする。
この発明は、温度上昇する放熱部と通風孔を通過する空気との間で好適に熱交換させてより容易に排熱させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、充放電時に電極端子と端子接続部材との間における温度上昇を抑えて接触抵抗の増加を好適に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る組電池を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る組電池の内部構成を示す上面視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る組電池の内部構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る組電池の電池収納容器を示す上面視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る組電池の電池収納容器における他の形態を示す上面視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図10】図8のA−A断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図13】図11のB−B断面図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図16】図14のD−D断面図である。
【図17】本発明の第5の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図18】本発明の第5の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図19】図17のE−E断面図である。
【図20】本発明の第6の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図21】本発明の第6の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図22】図20のF−F断面図である。
【図23】本発明の第1の実施形態に係るブスバーの変形例を示す平面図である。
【図24】本発明の第1の実施形態に係るブスバーの変形例を示す側面図である。
【図25】本発明の第6の実施形態に係るブスバーの変形例を示す平面図である。
【図26】本発明の第6の実施形態に係るブスバーの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図7を参照して説明する。
本実施形態に係る組電池1は、図1から図3に示すように、突出した複数の電極端子2を有する複数の単電池3と、単電池3を制御する制御部5と、単電池3及び制御部5が収納される電池収納容器6と、単電池3間の電極端子2同士を接続するブスバー(端子接続部材)7と、を備えている。
【0019】
単電池3は、略立方体形状に形成された、例えば、リチウムイオン二次電池である。電極端子2は、単電池3の端面から円柱状に突出して配されている。電極端子2の端面には、制御部5と電気的に接続される略円環状の圧着端子8が、ネジ等の固定部材10によって取り付けられている。なお、図1及び図2では、説明を容易にするため、圧着端子8を1つだけ図示し、残りの圧着端子は図示を省略している。
【0020】
単電池3は、組電池1内に4個配され、ブスバー7によってこれらの単電池3が直列に接続されている。なお、単電池3の数は4個未満でも4個を超える数でも構わない。また、単電池3が並列に接続されていても構わない。
【0021】
制御部5は図示しない基板上に形成された制御回路であって、組電池1の充放電時に各単電池3の電圧や温度を監視するとともに、電圧等を制御する。電池収納容器6は、内部に単電池3が収納され、組電池1の外形を構成している。電池収納容器6には、図4に示すように、電極端子2が露出する開口部11と、制御部5と外部とを連通させる通風孔12と、が配されている。
【0022】
ブスバー7は、図5に示すように、電極端子2と接触される一対の接触部13A,13Bと、一対の接触部13A,13B間を接続する部材本体15と、を備えている。一対の接触部13A,13Bは平板状に形成され、電極端子2が貫通される貫通孔13aがそれぞれ配されている。ブスバー7は、銅又は銅合金から形成される。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金などであっても構わない。
【0023】
部材本体15は、長手方向を有して断面矩形の平板状に形成され、電池収納容器6内に単電池3が配された際の隣接する単電池3の電極端子2間の距離に応じて所定の長さとなっている。部材本体15の中央には放熱部16が配されている。この放熱部16は、図6に示すように、部材本体15が長手方向に複数回蛇腹折りされて形成されている。各折り目部分には、部材本体15と略平行に端面16aが形成されている。また、端面を有することに限定するものではない。
【0024】
次に本実施形態に係る組電池1の作用について説明する。
組電池1の充放電時には、各ブスバー7に通電される。この際、ブスバー7と電極端子2との間の接触抵抗は、他の電気的抵抗に比して大きいので、この部分で発熱した熱が部材本体15に熱伝導によって伝えられる。このとき、電池収納容器6内の空気と放熱部16の表面との間で熱交換が行われ、放熱部16から放熱される。放熱された熱は、通風孔12等によって容器外部へ排熱される。なお、図7に示すように、各ブスバー7の放熱部16が配される位置に通風孔17が配された電池収納容器6でもよい。この場合には、放熱部16近傍の高温空気をより好適に容器外に排出することができる。
【0025】
この組電池1及びブスバー7によれば、部材本体15に放熱部16が配されているので、通電の際、部材本体15の温度が上昇しても放熱部16からの放熱によって、一対の接触部13A,13Bの温度上昇を抑えることができる。したがって、充放電時においても電極端子2とブスバー7との間の接触抵抗の増加を好適に抑えることができ、電池性能を維持して安定した電力供給を行うことができる。
【0026】
特に、ブスバー7の部材本体15が長手方向を有して板状に形成され、長手方向に対して蛇腹折りされて放熱部16が形成されているので、部材本体の全長を変えずに放熱面積を確保することができる。また、プレス加工等によって放熱部16を容易に作成することができる。また、ブスバー7が熱伝導率の高い銅若しくは銅合金からなるので、一対の接触部13A,13Bの温度上昇にすばやく対応して放熱させることができる。
【0027】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図8から図10を参照して説明する。
なお、上述した第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、本実施形態に係るブスバー20は、部材本体21が断面矩形の棒状とされ、放熱部22が部材本体21の外周面に溝状に配されているとした点である。放熱部22は、部材本体21の中心軸線Cに沿って部材本体21中央の周方向に複数配されている。放熱部22の溝幅及び溝深さは何れも略一定となっている。このようなブスバー20は、例えば、部材本体21を構成する板材に、放熱部22を構成する溝部を機械加工等することにより形成することができ、あるいは、材質がアルミニウムなどの場合には押し出し加工によっても製造することができる。
【0028】
このブスバー20によれば、第1の実施形態と同様に、通電の際、部材本体21の温度が上昇しても放熱部22からの放熱によって、一対の接触部13A,13Bの温度上昇を抑えることができる。この際、放熱部22の表面の分、放熱面積を確保することができる。また、第1の実施形態よりも部材本体21の断面積を大きく確保することができ、大きな電流を流すことができる。
【0029】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図11から図13を参照して説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第3の実施形態と第2の実施形態との異なる点は、本実施形態に係るブスバー30の放熱部31が、部材本体32の外周面から突出して立設されているとした点である。放熱部31は、断面略矩形状のフィンとして、略一定の幅及び高さに形成されている。そして、部材本体32の中心軸線Cに沿って部材本体32中央の周方向に複数配されている。また、このようなブスバー30については、放熱部31を構成するフィン材を溶接などにより接合することによって製造することができ、あるいは、材質がアルミニウムなどの場合には押し出し加工によっても製造することができる。
【0030】
このブスバー30によれば、放熱部31の表面積分の放熱面積を確保でき、第2の実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。また、放熱部31を単に突出させた形状とする分、第2の実施形態に係るブスバー20よりも容易に製造することができる。
【0031】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図14から図16を参照して説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第4の実施形態と第2の実施形態との異なる点は、本実施形態に係るブスバー40の部材本体41が、断面略円形となっている点である。
【0032】
放熱部42は、第2の実施形態と同様に、部材本体41の中心軸線Cに沿って部材本体41中央の周方向に溝状に複数配されている。
このようなブスバー40では、円柱状の部材を機械加工することにより溝を形成して部材本体41及び放熱部42を構成することも可能である。
そして、このブスバー40によれば、第2の実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【0033】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について図17から図19を参照して説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第5の実施形態と第4の実施形態との異なる点は、本実施形態に係るブスバー50の放熱部51が、部材本体52の外周面から突出して立設されているとした点である。
【0034】
放熱部51は、第3の実施形態と同様に、断面略矩形状のフィンとして形成されている。このブスバー50によれば、第3の実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【0035】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について図20から図22を参照して説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第6の実施形態と第5の実施形態との異なる点は、本実施形態に係るブスバー60の部材本体61が中空に形成され、放熱部62が、部材本体61の外周面に略一定の厚さ及び突出高さで鍔状に形成されて配されているとした点である。
【0036】
放熱部62は、部材本体61中央の中心軸線C方向に略一定の間隔を有して複数配されている。一対の接触部13A,13Bは、中空状の部材本体61の両端が平板状につぶされて形成されている。
このブスバー60によれば、部材本体61が中空状なので、他の実施形態よりもブスバー重量を削減することができる。また、本実施形態では、部材本体61に外部と内部空間とを連通する貫通孔を設けても良い。このようにすることで、部材本体61の内部空間と外部との間で空気を流通させて冷却を促進させることができる。
【0037】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、図23及び図24に示すように、電気的な絶縁層70を備えたブスバー71であってもよい。このブスバー71の放熱部72は、第1の実施形態と同様に部材本体73が蛇腹折りされて形成されている。
【0038】
この場合、人が最も接触しやすい放熱部72の端面に絶縁層70が配されることになるので、接触しても感電することなく安全性を高めることができる。また、端面以外の放熱部72の表面には絶縁層70がないので、これらの面からは好適に放熱させることができる。同様に、図25及び図26に示すように、第6の実施形態と同様に、部材本体78に鍔状の放熱部75が配され、この放熱部75の先端面及びその近傍の側面に絶縁層76が配されたブスバー77であってもよい。また、他の実施形態にも絶縁層を適用することでも、同様の効果を得ることができる。
【0039】
また、放熱部の表面にさらに凹凸状の模様が配されたものでも構わない。これによって、放熱部の放熱面積をさらに増やすことができる。さらに、放熱部の向きは、上記実施形態のものに限らず、空気の流れに沿った方向でも構わない。また、放熱部の周辺で乱流を積極的に発生させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 組電池
2 電極端子
3 単電池
6 電池収納容器
7,20,30,40,50,60,71,77 ブスバー(端子接続部材)
13A,13B,63A,63B 接触部
15,21,32,41,52,61,73,78 部材本体
16,22,31,42,51,62,72,75 放熱部
17 通風孔
70,76 絶縁層
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子接続部材及び組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池には、正極端子及び負極端子といった電極端子が突出して配されている。この二次電池の一つ一つを単電池として複数備えた組電池には、単電池に配された電極端子同士を接続するブスバー(端子接続部材)が配されている(例えば、特許文献1参照。)。このようなブスバーは、円柱・円筒形又は四角柱・四角筒形に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−8605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の端子接続部材では、組電池の充放電時に比較的高い発熱を生じてしまい、電極端子との間の接触抵抗も大きくなってしまう。また、電池の内部温度の上昇に伴い、寿命を縮めて電池性能を劣化、又は破壊させてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、充放電時に電極端子との間における温度上昇を抑えて接触抵抗の増加を好適に抑えることができる端子接続部材及び組電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る端子接続部材は、複数の単電池間の電極端子同士を接続する導電性の端子接続部材であって、各前記電極端子と接触される一対の接触部と、該一対の接触部間を接続する部材本体と、を備え、該部材本体の少なくとも一部に放熱部が配されていることを特徴とする。
【0007】
この発明は、端子接続部材の部材本体に放熱部が配されているので、通電された際、接触部と電極端子との間の接触抵抗の大きさに応じて部材本体の温度が上昇しても、放熱部からの放熱によって、接触部の温度上昇を好適に抑えることができる。
【0008】
また、本発明に係る端子接続部材は、前記端子接続部材であって、前記部材本体が長手方向を有して板状に形成され、前記長手方向に対して蛇腹折りされて前記放熱部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
この発明は、部材本体の全長を変えずに放熱部の放熱面積を確保することができる。さらに、プレス加工等によって放熱部を容易に作成することができる。
【0010】
また、本発明に係
る端子接続部材は、前記端子接続部材であって、前記放熱部が、前記部材本体の外周面から突出して、又は前記外周面に凹んで配されていることを特徴とする。
この発明は、放熱部によって部材本体の表面積を増やして放熱面積を確保することができる。
【0011】
また、本発明に係る端子接続部材は、前記端子接続部材であって、前記部材本体及び前記放熱部が、銅若しくは銅合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなることを特徴とする。
この発明は、放熱部の熱伝導率が大きいので、接触部の温度上昇にすばやく対応して放熱させることができる。
【0012】
また、本発明に係る端子接続部材は、前記端子接続部材であって、前記部材本体又は前記放熱部の外周面の少なくとも一部に配された電気的な絶縁層を備えていることを特徴とする。
この発明は、人が最も接触しやすい外周面に絶縁層が配されているので、安全性を高めることができると同時に、それ以外の表面から好適に放熱させることができる。
【0013】
本発明に係る組電池は、突出した複数の電極端子を有する複数の単電池と、これら単電池が収納される電池収納容器と、前記単電池間の前記電極端子同士を接続する本発明に係る端子接続部材と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
この発明は、本発明に係る端子接続部材を備えているので、通電された際、接触部と電極端子との間の接触抵抗の大きさに応じて部材本体の温度が上昇しても、放熱部からの放熱によって、接触部の温度上昇を好適に抑えることができる。
【0015】
また、本発明に係る組電池は、前記組電池であって、前記電池収納容器における、前記放熱部が配される位置に、通風孔が配されていることを特徴とする。
この発明は、温度上昇する放熱部と通風孔を通過する空気との間で好適に熱交換させてより容易に排熱させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、充放電時に電極端子と端子接続部材との間における温度上昇を抑えて接触抵抗の増加を好適に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る組電池を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る組電池の内部構成を示す上面視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る組電池の内部構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る組電池の電池収納容器を示す上面視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る組電池の電池収納容器における他の形態を示す上面視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図10】図8のA−A断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図13】図11のB−B断面図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図16】図14のD−D断面図である。
【図17】本発明の第5の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図18】本発明の第5の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図19】図17のE−E断面図である。
【図20】本発明の第6の実施形態に係るブスバーを示す平面図である。
【図21】本発明の第6の実施形態に係るブスバーを示す側面図である。
【図22】図20のF−F断面図である。
【図23】本発明の第1の実施形態に係るブスバーの変形例を示す平面図である。
【図24】本発明の第1の実施形態に係るブスバーの変形例を示す側面図である。
【図25】本発明の第6の実施形態に係るブスバーの変形例を示す平面図である。
【図26】本発明の第6の実施形態に係るブスバーの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図7を参照して説明する。
本実施形態に係る組電池1は、図1から図3に示すように、突出した複数の電極端子2を有する複数の単電池3と、単電池3を制御する制御部5と、単電池3及び制御部5が収納される電池収納容器6と、単電池3間の電極端子2同士を接続するブスバー(端子接続部材)7と、を備えている。
【0019】
単電池3は、略立方体形状に形成された、例えば、リチウムイオン二次電池である。電極端子2は、単電池3の端面から円柱状に突出して配されている。電極端子2の端面には、制御部5と電気的に接続される略円環状の圧着端子8が、ネジ等の固定部材10によって取り付けられている。なお、図1及び図2では、説明を容易にするため、圧着端子8を1つだけ図示し、残りの圧着端子は図示を省略している。
【0020】
単電池3は、組電池1内に4個配され、ブスバー7によってこれらの単電池3が直列に接続されている。なお、単電池3の数は4個未満でも4個を超える数でも構わない。また、単電池3が並列に接続されていても構わない。
【0021】
制御部5は図示しない基板上に形成された制御回路であって、組電池1の充放電時に各単電池3の電圧や温度を監視するとともに、電圧等を制御する。電池収納容器6は、内部に単電池3が収納され、組電池1の外形を構成している。電池収納容器6には、図4に示すように、電極端子2が露出する開口部11と、制御部5と外部とを連通させる通風孔12と、が配されている。
【0022】
ブスバー7は、図5に示すように、電極端子2と接触される一対の接触部13A,13Bと、一対の接触部13A,13B間を接続する部材本体15と、を備えている。一対の接触部13A,13Bは平板状に形成され、電極端子2が貫通される貫通孔13aがそれぞれ配されている。ブスバー7は、銅又は銅合金から形成される。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金などであっても構わない。
【0023】
部材本体15は、長手方向を有して断面矩形の平板状に形成され、電池収納容器6内に単電池3が配された際の隣接する単電池3の電極端子2間の距離に応じて所定の長さとなっている。部材本体15の中央には放熱部16が配されている。この放熱部16は、図6に示すように、部材本体15が長手方向に複数回蛇腹折りされて形成されている。各折り目部分には、部材本体15と略平行に端面16aが形成されている。また、端面を有することに限定するものではない。
【0024】
次に本実施形態に係る組電池1の作用について説明する。
組電池1の充放電時には、各ブスバー7に通電される。この際、ブスバー7と電極端子2との間の接触抵抗は、他の電気的抵抗に比して大きいので、この部分で発熱した熱が部材本体15に熱伝導によって伝えられる。このとき、電池収納容器6内の空気と放熱部16の表面との間で熱交換が行われ、放熱部16から放熱される。放熱された熱は、通風孔12等によって容器外部へ排熱される。なお、図7に示すように、各ブスバー7の放熱部16が配される位置に通風孔17が配された電池収納容器6でもよい。この場合には、放熱部16近傍の高温空気をより好適に容器外に排出することができる。
【0025】
この組電池1及びブスバー7によれば、部材本体15に放熱部16が配されているので、通電の際、部材本体15の温度が上昇しても放熱部16からの放熱によって、一対の接触部13A,13Bの温度上昇を抑えることができる。したがって、充放電時においても電極端子2とブスバー7との間の接触抵抗の増加を好適に抑えることができ、電池性能を維持して安定した電力供給を行うことができる。
【0026】
特に、ブスバー7の部材本体15が長手方向を有して板状に形成され、長手方向に対して蛇腹折りされて放熱部16が形成されているので、部材本体の全長を変えずに放熱面積を確保することができる。また、プレス加工等によって放熱部16を容易に作成することができる。また、ブスバー7が熱伝導率の高い銅若しくは銅合金からなるので、一対の接触部13A,13Bの温度上昇にすばやく対応して放熱させることができる。
【0027】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図8から図10を参照して説明する。
なお、上述した第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、本実施形態に係るブスバー20は、部材本体21が断面矩形の棒状とされ、放熱部22が部材本体21の外周面に溝状に配されているとした点である。放熱部22は、部材本体21の中心軸線Cに沿って部材本体21中央の周方向に複数配されている。放熱部22の溝幅及び溝深さは何れも略一定となっている。このようなブスバー20は、例えば、部材本体21を構成する板材に、放熱部22を構成する溝部を機械加工等することにより形成することができ、あるいは、材質がアルミニウムなどの場合には押し出し加工によっても製造することができる。
【0028】
このブスバー20によれば、第1の実施形態と同様に、通電の際、部材本体21の温度が上昇しても放熱部22からの放熱によって、一対の接触部13A,13Bの温度上昇を抑えることができる。この際、放熱部22の表面の分、放熱面積を確保することができる。また、第1の実施形態よりも部材本体21の断面積を大きく確保することができ、大きな電流を流すことができる。
【0029】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図11から図13を参照して説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第3の実施形態と第2の実施形態との異なる点は、本実施形態に係るブスバー30の放熱部31が、部材本体32の外周面から突出して立設されているとした点である。放熱部31は、断面略矩形状のフィンとして、略一定の幅及び高さに形成されている。そして、部材本体32の中心軸線Cに沿って部材本体32中央の周方向に複数配されている。また、このようなブスバー30については、放熱部31を構成するフィン材を溶接などにより接合することによって製造することができ、あるいは、材質がアルミニウムなどの場合には押し出し加工によっても製造することができる。
【0030】
このブスバー30によれば、放熱部31の表面積分の放熱面積を確保でき、第2の実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。また、放熱部31を単に突出させた形状とする分、第2の実施形態に係るブスバー20よりも容易に製造することができる。
【0031】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図14から図16を参照して説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第4の実施形態と第2の実施形態との異なる点は、本実施形態に係るブスバー40の部材本体41が、断面略円形となっている点である。
【0032】
放熱部42は、第2の実施形態と同様に、部材本体41の中心軸線Cに沿って部材本体41中央の周方向に溝状に複数配されている。
このようなブスバー40では、円柱状の部材を機械加工することにより溝を形成して部材本体41及び放熱部42を構成することも可能である。
そして、このブスバー40によれば、第2の実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【0033】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について図17から図19を参照して説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第5の実施形態と第4の実施形態との異なる点は、本実施形態に係るブスバー50の放熱部51が、部材本体52の外周面から突出して立設されているとした点である。
【0034】
放熱部51は、第3の実施形態と同様に、断面略矩形状のフィンとして形成されている。このブスバー50によれば、第3の実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【0035】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について図20から図22を参照して説明する。
なお、上述した他の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第6の実施形態と第5の実施形態との異なる点は、本実施形態に係るブスバー60の部材本体61が中空に形成され、放熱部62が、部材本体61の外周面に略一定の厚さ及び突出高さで鍔状に形成されて配されているとした点である。
【0036】
放熱部62は、部材本体61中央の中心軸線C方向に略一定の間隔を有して複数配されている。一対の接触部13A,13Bは、中空状の部材本体61の両端が平板状につぶされて形成されている。
このブスバー60によれば、部材本体61が中空状なので、他の実施形態よりもブスバー重量を削減することができる。また、本実施形態では、部材本体61に外部と内部空間とを連通する貫通孔を設けても良い。このようにすることで、部材本体61の内部空間と外部との間で空気を流通させて冷却を促進させることができる。
【0037】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、図23及び図24に示すように、電気的な絶縁層70を備えたブスバー71であってもよい。このブスバー71の放熱部72は、第1の実施形態と同様に部材本体73が蛇腹折りされて形成されている。
【0038】
この場合、人が最も接触しやすい放熱部72の端面に絶縁層70が配されることになるので、接触しても感電することなく安全性を高めることができる。また、端面以外の放熱部72の表面には絶縁層70がないので、これらの面からは好適に放熱させることができる。同様に、図25及び図26に示すように、第6の実施形態と同様に、部材本体78に鍔状の放熱部75が配され、この放熱部75の先端面及びその近傍の側面に絶縁層76が配されたブスバー77であってもよい。また、他の実施形態にも絶縁層を適用することでも、同様の効果を得ることができる。
【0039】
また、放熱部の表面にさらに凹凸状の模様が配されたものでも構わない。これによって、放熱部の放熱面積をさらに増やすことができる。さらに、放熱部の向きは、上記実施形態のものに限らず、空気の流れに沿った方向でも構わない。また、放熱部の周辺で乱流を積極的に発生させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 組電池
2 電極端子
3 単電池
6 電池収納容器
7,20,30,40,50,60,71,77 ブスバー(端子接続部材)
13A,13B,63A,63B 接触部
15,21,32,41,52,61,73,78 部材本体
16,22,31,42,51,62,72,75 放熱部
17 通風孔
70,76 絶縁層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池間の電極端子同士を接続する導電性の端子接続部材であって、
各前記電極端子と接触される一対の接触部と、
該一対の接触部間を接続する部材本体と、
を備え、
該部材本体の少なくとも一部に放熱部が配されていることを特徴とする端子接続部材。
【請求項2】
前記部材本体が長手方向を有して板状に形成され、前記長手方向に対して蛇腹折りされて前記放熱部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の端子接続部材。
【請求項3】
前記放熱部が、前記部材本体の外周面から突出して、又は前記外周面に凹んで配されていることを特徴とする請求項1に記載の端子接続部材。
【請求項4】
前記部材本体及び前記放熱部が、銅若しくは銅合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の端子接続部材。
【請求項5】
前記部材本体又は前記放熱部の外周面の少なくとも一部に配された電気的な絶縁層を備えていることを特徴とする請求項2から4の何れか一つに記載の端子接続部材。
【請求項6】
突出した複数の電極端子を有する複数の単電池と、
これら単電池が収納される電池収納容器と、
前記単電池間の前記電極端子同士を接続する請求項1から5の何れか一つに記載の端子接続部材と、
を備えていることを特徴とする組電池。
【請求項7】
前記電池収納容器における、前記放熱部が配される位置に、通風孔が配されていることを特徴とする請求項6に記載の組電池。
【請求項1】
複数の単電池間の電極端子同士を接続する導電性の端子接続部材であって、
各前記電極端子と接触される一対の接触部と、
該一対の接触部間を接続する部材本体と、
を備え、
該部材本体の少なくとも一部に放熱部が配されていることを特徴とする端子接続部材。
【請求項2】
前記部材本体が長手方向を有して板状に形成され、前記長手方向に対して蛇腹折りされて前記放熱部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の端子接続部材。
【請求項3】
前記放熱部が、前記部材本体の外周面から突出して、又は前記外周面に凹んで配されていることを特徴とする請求項1に記載の端子接続部材。
【請求項4】
前記部材本体及び前記放熱部が、銅若しくは銅合金、又はアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の端子接続部材。
【請求項5】
前記部材本体又は前記放熱部の外周面の少なくとも一部に配された電気的な絶縁層を備えていることを特徴とする請求項2から4の何れか一つに記載の端子接続部材。
【請求項6】
突出した複数の電極端子を有する複数の単電池と、
これら単電池が収納される電池収納容器と、
前記単電池間の前記電極端子同士を接続する請求項1から5の何れか一つに記載の端子接続部材と、
を備えていることを特徴とする組電池。
【請求項7】
前記電池収納容器における、前記放熱部が配される位置に、通風孔が配されていることを特徴とする請求項6に記載の組電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−212155(P2010−212155A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58484(P2009−58484)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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