説明

端子連結体及びそれを用いたプリント基板組立体並びに基板用コネクタ

【課題】廃棄部材を生じることがなく、半田付時の加熱による熱膨張変形を抑えることができると共に、容易に製造することができる、新規な構造の端子連結体を提供すること。
【解決手段】二枚の絶縁シート22a,22bの間に複数の端子金具12の長さ方向中間部分をそれぞれ挟み込んで前記二枚の絶縁シート22a,22bを相互に固着することでキャリア14を形成すると共に、前記複数の端子金具12の各両端部18a,18bを前記キャリア14から突出させて該キャリア14で相互に離隔して連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状のキャリアによって、所定間隔で並列配置された複数の端子金具が連結されてなる端子連結体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板用コネクタの製造や、プリント基板間の回路接続に際して、複数の端子金具が帯状のキャリアにより並列的に連結されてなる端子連結体が用いられている。例えば、特開平5−3070号公報(特許文献1)に記載のものがそれである。このような端子連結体は、複数の端子金具をキャリアにより連結することによって端子金具の取扱いを容易として、コネクタ等の製造効率の向上を図るものである。
【0003】
ところで、従来構造の端子連結体においては、特許文献1に記載のとおり、金属製の平板をプレス打ち抜き加工することによって端子とキャリアが一体的に形成された構造が採用されている。また、近年では、金属線材を所定長さで切断して得られた線材端子を、別体形成された金属製のキャリアに所定ピッチで並列的に係止固定された構造の端子連結体も用いられている。
【0004】
ところが、これら従来構造の端子連結体においては、最終的に金属製のキャリアを端子金具から切断する作業が必要となり、製造工程が煩雑となっていた。また、金属製のキャリアは最終的に廃棄されることから、材料や製造コストが無駄となる問題も有していた。
【0005】
なお、特開平10−199650号公報(特許文献2)には、合成樹脂製のキャリアを採用する構造が提案されている。しかしながら、合成樹脂製のキャリアは、圧入等により固定される複数の端子金具を安定して保持するために、各端子金具の周囲に厚肉に形成する必要がある。それ故、各端子の半田付時の加熱によるキャリアの熱膨張に起因して、半田クラックが生じる等の問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−3070号公報
【特許文献2】特開平10−199650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、廃棄部材を生じることがなく、半田付時の加熱による熱膨張変形を抑えることができると共に、容易に製造することができる、新規な構造の端子連結体を提供することにある。
【0008】
また、本発明は、そのような端子連結体を用いて得ることの出来る、新規な構造のプリント基板組立体および基板用コネクタを提供することも、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
端子連結体に関する本発明の第一の態様は、所定間隔で並列配置された複数の端子金具が、帯状のキャリアによって連結されてなる端子連結体において、前記キャリアが二枚の絶縁シートから構成されていると共に、該二枚の絶縁シートの間に前記複数の端子金具の長さ方向中間部分をそれぞれ挟み込んで前記二枚の絶縁シートが互いに固着されることで、前記複数の端子金具の各両端部が前記キャリアから突出させられて、前記複数の端子金具が相互に離隔して連結されていることを、特徴とする。
【0010】
本発明に従う構造とされた端子連結体によれば、複数の端子金具がキャリアで連結された一体品とされることから、複数の端子金具の取扱性を向上することが出来る。また、複数の端子金具を要求されるピッチの整列状態でキャリアに固定することにより、キャリアへの固定状態で端子間ピッチを維持しつつ、複数の端子金具をプリント基板のスルーホール等に一度に纏めて挿通することが可能であり、優れた組付作業性を得ることが出来る。
【0011】
そして、本発明においては、キャリアが絶縁シートで構成されていることから、複数の端子金具が互いに絶縁状態で連結されている。従って、キャリアを取り外すことなく複数の端子金具をプリント基板等に組み付けることが可能とされる。その結果、プリント基板等への組付状態においてキャリアによって端子間ピッチをより精度良く維持することが可能になると共に、キャリアを廃棄することが不要となることから、キャリアをより有効に利用することが出来る。
【0012】
また、薄肉の一対の絶縁シートで端子金具を挟んで両側から貼り合わせることにより、端子金具を容易且つ強固に固定することが出来ると共に、半田付け時等の加熱によるキャリアの熱膨張変形量を抑えることが出来て、端子間ピッチをより安定的に維持することが出来る。
【0013】
さらに、キャリアが薄肉の絶縁シートで形成されていることから、端子金具間においてキャリアの曲げ変形を容易に行なうことが出来る。これにより、リールなどへの巻き取りも容易にすることが出来る。それと共に、端子金具間におけるキャリアの切断も容易とされることから、必要な端子金具数の切り出しも容易に行なうことが出来る。
【0014】
端子連結体に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記二枚の絶縁シートの一方が平坦な形状とされて、該一方の絶縁シートに前記複数の端子金具が載置されている一方、前記二枚の絶縁シートの他方が、前記各端子金具において前記一方の絶縁シートから突出した外周面形状に沿って屈曲されて密着されているものである。
【0015】
本態様によれば、絶縁シートの一方側が平坦面とされることから、複数の端子金具を載置するのみで容易に且つ精度良く絶縁シートに位置決めすることが出来て、端子金具間の整列精度や端子金具の長さ方向でのアライメント精度の向上等を図ることが出来る。更に、絶縁シートの一方側が平坦形状とされることから、キャリアをより容易に成形することが出来ると共に、加工装置における端子連結体の送りを円滑に行なうことも可能となり、製造効率の向上を図ることが出来る。
【0016】
端子連結体に関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記キャリアの長さ方向で隣接する少なくとも二つの前記端子金具間において、前記二枚の絶縁シートを貫通する貫通穴が設けられているものである。
【0017】
このようにすれば、キャリアにおける任意の端子金具間に貫通穴を設けることによって、該端子金具間においてキャリアの断面積を小さくして、キャリアの切断を容易にすることが出来る。また、断面積を小さくして曲げ加工も容易となることから、貫通穴の形成箇所においてキャリアを曲げることによって、端子金具のピッチを調節することが出来る。これにより、大小のピッチが混在するプリント基板のスルーホール等にも本発明の端子連結体を組み付けることが可能となる。
【0018】
端子連結体に関する本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記複数の端子金具が、金属線材を所定長さで切断して得られた複数の切断線材により構成されているものである。
【0019】
すなわち、金属板を打ち抜いて形成される端子金具は、金属板の一部が残されて相互に連結状態とされたものが多いのに対して、金属線材から切り出されて形成される端子金具は、相互に独立した別体として形成される。そして、互いに別体とされた複数の端子金具を絶縁シートのキャリアで連結して、所定ピッチで配列された一体品とすることによって、廃棄部材を必要とすることなく、取扱性を向上することが出来る。
【0020】
プリント基板組立体に関する本発明は、互いに離隔して平行に配設された一対のプリント基板が、夫々に設けられた複数のスルーホールに対して両端部が挿通されて半田付けされた複数の基板間接続端子で相互に接続されているプリント基板組立体であって、前記第一〜第四の何れか一つの態様に係る端子連結体における前記キャリアを適当な長さで切断して、該キャリアに連結された前記複数の端子金具の両端部を前記一対のプリント基板の前記スルーホールにそれぞれ挿通して半田付けすることにより、前記端子連結体における前記複数の端子金具で前記複数の基板間接続端子を構成したことを、特徴とする。
【0021】
本発明に従う構造とされたプリント基板組立体によれば、プリント基板におけるスルーホールの配列ピッチと端子連結体における端子金具の配列ピッチを相互に等しくして、端子連結体から必要な数の端子金具を切り出すことによって、複数の端子金具をキャリアに連結された配列状態で各スルーホールに一度に纏めて挿通することが出来る。これにより、優れた組付効率を得ることが出来ると共に、複数の基板間接続端子を配列するための冶具を簡素化乃至は不要とすることが出来る。
【0022】
さらに、本発明に従う端子連結体を用いることによって、一対のプリント基板への組付け後にも、端子金具のキャリアへの固定状態を維持することが出来る。これにより、基板間接続端子の配列ピッチをより安定的に維持することが出来て、両プリント基板間の電気的接続性の安定化を図ることが出来る。また、キャリアの熱膨張変形量が抑えられていることから、複数の基板間接続端子を並列に配設して半田付けするに際しても、加熱によるキャリアの熱膨張に起因する半田クラックの発生を抑えることが出来る。
【0023】
基板用コネクタに関する本発明は、合成樹脂製のコネクタハウジング内に、複数の基板用端子の一方の端部が配列状態で突出されていると共に、該複数の基板用端子の他方の端部が前記コネクタハウジングから突出されてプリント基板に設けられたスルーホールに挿通されて半田付けされる基板用コネクタであって、前記コネクタハウジングが有底筒形状とされており、該コネクタハウジングの底部には端子連結体挿通孔が貫設されている一方、請求項1〜4の何れか1項に記載の端子連結体における前記キャリアを適当な長さで切断して、該キャリアに連結された前記複数の端子金具を前記キャリアと共に前記端子連結体挿通孔に挿通して、前記複数の端子金具の一方の端部を前記コネクタハウジング内に突出させると共に、他方の端部をコネクタハウジング外に突出させることによって、前記端子連結体における前記複数の端子金具で前記複数の基板用端子を構成したことを、特徴とする。
【0024】
本発明に従う構造とされた基板用コネクタによれば、複数の端子金具を予め所定のピッチで配列した状態で、キャリアへの固定状態を維持しつつ端子連結体挿通孔に挿通することによって、コネクタハウジングに一度に纏めて挿通することが可能であり、優れた組付効率を得ることが出来る。更に、コネクタハウジングへの組付状態で複数の端子金具のキャリアへの固定状態が維持されることから、各端子金具によって構成される基板用端子の配列ピッチをより精度良く確保することが出来る。特に、端子金具間におけるキャリアの曲げ変形が容易とされていることから、端子連結体挿通孔の形状を端子連結体の形状に対応させれば、端子連結体挿通孔への挿通によって端子金具の配列ピッチを補正することも可能となり、キャリアと端子連結体挿通孔で端子金具の配列ピッチを相互に補完して、基板用端子の配列ピッチ精度をより向上することが出来る。
【発明の効果】
【0025】
端子連結体に関する本発明によれば、二枚の絶縁シートで端子金具を挟んで互いに固着してキャリアを構成したことによって、複数の端子金具を容易に連結することが出来る。そして、キャリアが絶縁性を有することから、端子金具をプリント基板等に組み付けた後にキャリアを取り外すことが不要とされて、廃棄材料を生じることなく複数の端子金具を連結することが出来る。更に、キャリアが薄肉のシートで構成されていることから、熱膨張変形量を抑えることが可能であり、キャリアの熱膨張変形に起因するハンダクラックの発生を抑えることが出来る。
【0026】
プリント基板組立体に関する本発明によれば、一対のプリント基板に接続された複数の基板間接続端子がキャリアに固定されていることから、各基板間接続端子の配列ピッチをより精度良く且つ安定的に維持することが出来て、両プリント基板間の電気的接続安定性を向上することが出来る。また、基板用コネクタに関する本発明によれば、コネクタハウジングの端子連結体挿通孔に端子連結体を挿通することによって、複数の端子金具を予め所定のピッチで配列した状態で、コネクタハウジングに一度に挿通することが出来る。これにより、優れた組付効率を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一の実施形態としての端子連結体の斜視図。
【図2】図1におけるII−II断面に相当する要部拡大断面説明図。
【図3】本発明の一実施形態としてのプリント基板組立体の要部を示す斜視図。
【図4】本発明の一実施形態としての基板用コネクタの斜視図。
【図5】図4に示した基板用コネクタの正面図。
【図6】図4に示した基板用コネクタを構成するコネクタハウジングの上面図。
【図7】本発明の第二の実施形態としての端子連結体の正面図。
【図8】本発明の異なる態様としての端子連結体を説明するための要部拡大断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
先ず、図1に、端子連結体に関する本発明の第一の実施形態としての端子連結体10を示す。端子連結体10は、複数の端子金具12が、帯状のキャリア14で互いに連結された構造とされている。
【0030】
複数の端子金具12は何れも同一の形状とされている。本実施形態における端子金具12は、銅や鉄等の導電性金属材料の母材の全表面に亘って、錫や金等の導電性金属材料からなるめっき層が被着された金属線材を所定長さで切断されて得られた切断線材が、プレス加工等で成形されることによって形成されている。端子金具12の断面形状は限定されるものではなく、正方形や長方形等の矩形状や多角形状、楕円を含む円形状や、その他任意の形状が適宜に採用可能である。図2にも示すように、本実施形態における端子金具12は、先細テーパ形状とされた両端縁部や後述する係止突起20を除く略全長に亘って、一定の正方形断面をもって直線状に延びる形状とされている。これにより、端子金具12の外周面を構成する4つの側面16a〜16dは何れも平坦面とされており、側面16aと側面16c、および側面16bと側面16dがそれぞれ対向位置されている。
【0031】
さらに、端子金具12の長さ方向で両端部18a,18bの間の中間部分には、一方の端部18a側にやや偏倚した位置に、一対の係止突起20,20が一体形成されている。一対の係止突起20,20は互いに同様の形状とされており、端子金具12の側面16b,16dからそれぞれ外方に突出する略矩形板形状とされている。なお、係止突起20の突出端縁部における両角部は湾曲面形状とされており、後述するコネクタハウジング42の端子連結体挿通孔50への挿通に際する引っ掛かりが軽減されている。なお、係止突起20は、好適には、端子金具12を形成する切断線材に対して、該切断線材の長さ方向で部分的に一度のプレス或いは複数回のタタキ加工等による潰し加工が施されることによって形成される。
【0032】
このような端子金具12の複数が、キャリア14に固定されている。キャリア14は、第一の絶縁シート22aと第二の絶縁シート22bが重ね合わされて互いに固着されて形成されている。これら第一および第二の絶縁シート22a,22bは、何れも非導電性の合成樹脂材料から形成された薄肉で矩形のシート形状とされており、両絶縁シート22a,22b間で互いに同一の材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。絶縁シート22a,22bの形成材料として、具体的には、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、1−(N−フェニルアミノ)−ナフタレン(PA)や、より耐熱性および強度が向上されたガラス繊維強化PBT(PBT−G)等が例示され、キャリア14に要求される特性に応じて適宜に選択され得る。例えば、耐熱性および強度の比較的高いPBT−Gを用いることでキャリア14の耐熱性を向上すると共に、キャリア14の強度を確保して各端子金具12の配列ピッチをより安定的に維持することが可能であるし、比較的強度の低いPETを用いることでキャリア14の屈曲を容易にして、端子連結体10のリールへの巻き取り等を容易にすることが出来る。
【0033】
図2に示したように、第一の絶縁シート22aは平坦な形状とされている。そして、第一の絶縁シート22aに対して、複数の端子金具12が、所定間隔を隔てて、長さ方向を互いに平行にした並列状態で載置される。各端子金具12は、両端部18a,18bの間の長さ方向中間部分が第一の絶縁シート22aに載置される。これにより、端子金具12の一つの側面16cが第一の絶縁シート22aに重ね合わされると共に、残り3つの側面16a,16b,16dが第一の絶縁シート22aから突出される。
【0034】
そして、第二の絶縁シート22bが、複数の端子金具12を挟んで第一の絶縁シート22aに重ね合わされて、互いに固着される。詳細な図示は省略するが、第一および第二の絶縁シート22a,22bの固着は、例えば、他方への重ね合わせ面にホットメルト接着剤層が設けられて、超音波溶着等で相互に固着される。ホットメルト接着剤としては、例えば、ポリエステル系等のホットメルト接着剤が例示される。また、両絶縁シート22a,22bの重ね合わせ面にポリウレタンゴム系等の適当な接着剤を塗布して相互に固着する等しても良い。なお、第二の絶縁シート22bは、第一の絶縁シート22aに載置された端子金具12の長さ方向中間部分に重ね合わされて、第一の絶縁シート22aから突出された3つの側面16a,16b,16dに沿って屈曲されることにより、これら3つの側面16a,16b,16dに密着されている。
【0035】
これにより、第一の絶縁シート22aと第二の絶縁シート22bが互いに固着されて、薄肉で矩形の帯形状とされたキャリア14が形成されていると共に、複数の端子金具12が、互いに固着された第一の絶縁シート22aと第二の絶縁シート22bの間に挟まれて、キャリア14の長さ方向(図1中、左右方向)で所定間隔を隔てて、キャリア14で互いに連結されている。各端子金具12は、その長さ方向がキャリア14の長さ方向に直交するように配設されると共に、両端部18a,18bの間の長さ方向中間部分が第一の絶縁シート22aと第二の絶縁シート22bで挟まれてキャリア14に固定されており、両端部18a,18bがキャリア14の長さ方向に直交する両方向に突出されている。そして、キャリア14において長さ方向で隣接する一対の端子金具12,12の間が、第一の絶縁シート22aと第二の絶縁シート22bが互いに直接に重ね合わされた薄肉の連結部24とされている。
【0036】
このような構造とされた端子連結体10によれば、キャリア14の連結部24を適当な長さで切断することによって、必要な本数の端子金具12を切り出すことが出来る。そして、複数の端子金具12をキャリア14で互いに連結して一体品とすることによって、複数の端子金具12の取り扱いを容易にすることが出来る。また、キャリア14は連結部24において薄肉とされていることから、連結部24を屈曲させてリール等への巻き取りを容易に行なうことが出来ると共に、連結部24において切断が容易とされている。
【0037】
そして、このような端子連結体10は、キャリア14が適当な長さで連結部24において切断されることによって、所望の本数の端子金具12が切り出されて、キャリア14で連結された複数の端子金具12を例えば一対のプリント基板間を接続する基板間接続端子や、プリント基板に設けられる基板用コネクタの基板用端子として用いることが出来る。
【0038】
例えば、図3に、プリント基板組立体に関する本発明の一実施形態としてのプリント基板組立体30の要部を示す。プリント基板組立体30は、第一のプリント基板32aと第二のプリント基板32bの一対のプリント基板が、互いに所定距離を隔てて平行に配設されている。これらプリント基板32a,32bには、それぞれ、複数のスルーホール34a,34bが、所定間隔を隔てて一直線上に貫設されている。スルーホール34aの配列ピッチとスルーホール34bの配列ピッチは互いに等しくされており、これにより、スルーホール34aとスルーホール34bが、両プリント基板32a,32bの積層方向で同一直線上に位置されている。
【0039】
さらに、第一のプリント基板32aと第二のプリント基板32bの間には、キャリア14が連結部24において切断された、前記第一の実施形態としての端子連結体10が配設されている。この端子連結体10における複数の端子金具12の配列ピッチは、両スルーホール34a,34bの配列ピッチと等しくされている。
【0040】
このような端子連結体10の複数の端子金具12の一方の端部18aが、キャリア14で連結された状態で、第一のプリント基板32aの複数のスルーホール34aにそれぞれ挿通されて半田付けされる。そして、第一のプリント基板32aに突設された複数の端子金具12の他方の端部18bが、キャリア14で連結された状態を維持しつつ、第二のプリント基板32bのスルーホール34bにそれぞれ挿通されて半田付けされる。なお、図示は省略するが、端子金具12の両端部18a,18bの一方或いは両方には、前記係止突起20のように、端子金具12の軸直角方向に突出する当て止め突起が形成されることが好ましい。このようにすれば、当て止め突起をプリント基板32a,32bに係止させることによって、端部18a,18bの挿通量を容易に且つ精度良く規定することが出来る。これにより、第一のプリント基板32aと第二のプリント基板32bが、複数の端子金具12を介して相互に電気的に接続されて、プリント基板組立体30が構成されている。
【0041】
本実施形態におけるプリント基板組立体30によれば、端子連結体10の複数の端子金具12によって、第一のプリント基板32aと第二のプリント基板32bを互いに電気的に接続する基板間接続端子が構成されている。そして、複数の端子金具12が、予めスルーホール34a,34bの配列ピッチと等しいピッチでキャリア14に連結されていることから、キャリア14への固定状態を維持して、複数のスルーホール34aおよびスルーホール34bに一度に纏めて挿通することが出来る。これにより、優れた組付効率を得ることが出来ると共に、複数の端子金具12を配列状態にセットする冶具の不要化も図り得る。また、前記第一の実施形態としての端子連結体10によれば、端子金具12が正方形断面とされており、平坦面とされた一方の側面16cが、平坦形状とされた第一の絶縁シート20aに重ね合わされていることによって、端子金具12の中心軸回りの回転を抑えることが可能とされており、スルーホール34a,34bへの挿通をより容易且つ安定的に行なうことが出来る。
【0042】
さらに、キャリア14が薄肉とされていることから、端子金具12の半田付けに際する熱影響によるキャリア14の熱膨張量を抑えることが出来る。これにより、一直線状に配列された複数の端子金具12の配列ピッチを安定的に維持することが出来、キャリア14の熱膨張に起因する半田クラックの発生を抑えることが出来る。
【0043】
そして、キャリア14が絶縁シート20a,20bで形成されていることから、プリント基板32a,32bへの組み付け後もキャリア14への固定状態を維持することが可能であり、キャリア14によって複数の端子金具12の配列ピッチをより安定的に維持することが出来る。これにより、キャリア14を廃棄することも不要とされて、端子金具12のプリント基板32a,32bへの組み付け後もキャリア14を有効に利用することが出来る。
【0044】
次に、図4および図5に、基板用コネクタに関する本発明の一実施形態としての基板用コネクタ40を示す。基板用コネクタ40は、非導電性の合成樹脂からなるコネクタハウジング42を有している。コネクタハウジング42は、一方に開口部44を有する有底の略長手矩形筒形状とされている。なお、コネクタハウジング42の内面には、図示しない相手方コネクタを案内する案内リブ46や、相手方コネクタと係合する係合部47が適宜に形成されている。
【0045】
図6に示すように、コネクタハウジング42の底部48には、端子連結体挿通孔50が貫設されている。端子連結体挿通孔50は、前記第一の実施形態としての端子連結体10の、端子金具12の長さ方向視と略等しい略一定の断面形状をもって底部48に貫通形成されている。これにより、端子連結体挿通孔50は、端子連結体10における端子金具12の固定部分に対応する複数の金具挿通部52と、キャリア14の連結部24に対応する複数のキャリア挿通部54が交互に連続して形成された単一孔とされている。なお、各金具挿通部52の両側には、凹状の係止段差部56,56が形成されている。そして、本実施形態においては、互いに同様の形状とされた一対の端子連結体挿通孔50,50が、互いに平行に底部48に並んで形成されている。
【0046】
さらに、コネクタハウジング42の底部48側には、全周に亘って外方に突出する平板部58が一体形成されている。平板部58においてコネクタハウジング42を囲む矩形の4隅部には、それぞれ、コネクタハウジング42と反対側に突出する脚部60が一体形成されている。これら複数(本実施形態においては、4つ)の脚部60の平板部58からの突出寸法は互いに等しくされている。
【0047】
このような構造とされたコネクタハウジング42の端子連結体挿通孔50に対して、キャリア14が連結部24において切断された、前記第一の実施形態としての端子連結体10が挿通される。なお、端子連結体10における複数の端子金具12の配列ピッチは、端子連結体挿通孔50における金具挿通部52の配列ピッチと等しくされている。そして、端子連結体10が、端子金具12の端部18b側を前方として、コネクタハウジング42の開口部44から端子連結体挿通孔50に挿通される。これにより、複数の端子金具12が、キャリア14に固定された状態で各金具挿通部52に挿通されると共に、キャリア14の複数の連結部24が、各キャリア挿通部54に挿通される。なお、端子連結体10の挿通量は、端子金具12の係止突起20,20が係止段差部56,56に係止されることによって規定される。本実施形態においては、一対の端子連結体挿通孔50,50に、一対の端子連結体10,10がそれぞれ挿通される。
【0048】
これにより、複数の端子金具12が、キャリア14に固定されて配列された状態で、コネクタハウジング42に貫通状態で取り付けられる。コネクタハウジング42への取付状態において、各端子金具12の一方の端部18aが所定間隔を隔てた配列状態でコネクタハウジング42内に突出されている一方、他方の端部18bが底部48を貫通して、所定間隔を隔てた配列状態でコネクタハウジング42の外方に突出されている。
【0049】
このような構造とされた基板用コネクタ40は、図4および図5に示したように、プリント基板62上に載置されて、コネクタハウジング42から突出された複数の端子金具12の一方の端部18bが、プリント基板62に貫設された複数のスルーホール64にそれぞれ挿通されて半田付けされることにより、プリント基板62に取り付けられる。そして、コネクタハウジング42内に突出された他方の端部18aが、コネクタハウジング42内に収容される図示しない相手方コネクタの接続端子と接続可能とされることにより、本実施形態における基板用コネクタ40は、端子連結体10の端子金具12によって基板用端子が構成されている。
【0050】
本実施形態における基板用コネクタ40によれば、複数の端子金具12をキャリア14に固定された状態で一度に纏めてコネクタハウジング42に挿通することが出来る。そして、各端子金具12がキャリア14に固定されていることにより、各端子金具12の配列ピッチを精度良く確保することが出来る。更に、端子連結体挿通孔50が端子連結体10に対応する形状とされていることから、金具挿通部52で各端子金具12を位置決めすることも出来て、キャリア14と金具挿通部52で端子金具12の配列ピッチを相互に補完して、端子金具12の配列ピッチをより精度良く確保することも出来る。また、一方の絶縁シート20aが平坦形状とされており、これに対応する端子連結体挿通孔50の内周面の一面が平坦面とされることから、端子連結体10の挿通をより容易且つ円滑に行なうことが出来る。そして、キャリア14が絶縁シート22a,22bで形成されていることから、端子金具12をコネクタハウジング42に組み付けた後もキャリア14への固定状態を維持することが可能であり、キャリア14によって複数の端子金具12の配列ピッチをより安定的に維持することが出来る。これにより、キャリア14を廃棄することも不要とされて、端子金具12のコネクタハウジング42への組み付け後もキャリア14を有効に利用することが出来る。また、脚部60によって、コネクタハウジング42がプリント基板62から離隔して配設されることにより、スルーホール64に挿通された端部18bの半田付け状態の視認性も向上される。
【0051】
次に、図7に、端子連結体に関する本発明の第二の実施形態としての端子連結体70を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材及び部位には、図中に第一の実施形態と同一の符号を付することにより、その説明を適宜に省略する。
【0052】
本実施形態におけるキャリア14の連結部24には、相互に重ね合わされた第一の絶縁シート22aと第二の絶縁シート22bを貫通する貫通穴72が形成されている。本実施形態においては、連結部24の幅方向(図7中、上下方向)の両端縁部に、三角の切欠状の貫通穴72a,72aがそれぞれ形成されていると共に、円形の貫通穴72bの複数(本実施形態においては、3つ)が連結部24の幅方向に並んで形成されている。
【0053】
本実施形態における端子連結体70によれば、貫通穴72が形成されて連結部24の断面積が小さくされている。これにより、連結部24における屈曲がより容易とされて、リール等への巻取りをより容易にすることが出来ると共に、連結部24でのキャリア14の切断もより容易に行なうことが出来る。更に、連結部24を引き伸ばして隣接する端子金具12,12の間隔を大きくしたり、連結部24を折り曲げて端子金具12,12の間隔を小さくして、端子金具12の配列ピッチを調節することが出来る。これにより、例えば前記のプリント基板組立体30や基板用コネクタ40等のように、複数の端子金具12をスルーホール34a,34bや端子連結体挿通孔50の金具挿通部52に挿通するに際して、端子金具12の配列ピッチとこれらスルーホール34a,34bや金具挿通部52の配列ピッチとのずれを連結部24の伸縮で吸収して、挿通作業をより容易にすることも出来る。また、プリント配線の配策態様や相手方コネクタ形状等の理由から、スルーホール34a,34bや金具挿通部52において大小の配列ピッチが混在する場合でも、連結部24の伸縮で端子金具12の配列ピッチを調節可能とすることによって、端子連結体70を組み付けることが出来る。
【0054】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、キャリアで連結される端子金具としては、導電性の金属板が打ち抜かれて形成された、扁平断面形状を有する条材プレス端子等も採用可能である。条材プレス端子の場合には、プレス打ち抜き加工に際してキャリア部分が部分的に残されることによって、相互に連結状態とされていることが多いが、プレス打ち抜き加工後に本発明に従うキャリアで相互に連結することによって、キャリア部分を切り離した後も連結状態を維持することが出来る。これにより、複数の条材プレス端子をより容易に取り扱うことが出来る。更に、条材プレス端子と、前記実施形態の如き線材端子を組み合わせて、一つのキャリアに条材プレス端子と線材端子を混在させる等しても良い。
【0055】
また、一対の絶縁シートは、必ずしも一方が平坦形状とされているものに限定されない。例えば、図8に示す、端子連結体に関する本発明の異なる態様としての端子連結体80のように、両絶縁シート22a,22bのそれぞれが端子金具12の外周面の略半周に亘って密着されることにより、何れも非平坦形状とされているものでも良い。
【0056】
更にまた、前記基板用コネクタにおいて、コネクタハウジングに形成された端子連結体挿通孔は、必ずしも端子連結体に対応する形状に限定されるものではなく、端子金具の形状や相手方コネクタの形状等を考慮して、適宜に設定され得る。
【0057】
また、前記第二の実施形態におけるキャリアの貫通穴の具体的形状についても、前記実施形態の如き形状に限定されない。例えば、隣接する端子金具の間において、キャリアの幅方向に延びるミシン目状に貫通穴を形成する等しても良い。
【符号の説明】
【0058】
10,70,80:端子連結体、12:端子金具、14:キャリア、16a〜d:側面(外周面)、18a,b:端部、22a,22b:絶縁シート、30:プリント基板組立体、32a,32b,62:プリント基板、34a,34b,64:スルーホール、40:基板用コネクタ、42:コネクタハウジング、48:底部、50:端子連結体挿通孔、72:貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で並列配置された複数の端子金具が、帯状のキャリアによって連結されてなる端子連結体において、
前記キャリアが二枚の絶縁シートから構成されていると共に、該二枚の絶縁シートの間に前記複数の端子金具の長さ方向中間部分をそれぞれ挟み込んで前記二枚の絶縁シートが互いに固着されることで、前記複数の端子金具の各両端部が前記キャリアから突出させられて、前記複数の端子金具が相互に離隔して連結されていることを特徴とする端子連結体。
【請求項2】
前記二枚の絶縁シートの一方が平坦な形状とされて、該一方の絶縁シートに前記複数の端子金具が載置されている一方、前記二枚の絶縁シートの他方が、前記各端子金具において前記一方の絶縁シートから突出した外周面形状に沿って屈曲されて密着されている請求項1に記載の端子連結体。
【請求項3】
前記キャリアの長さ方向で隣接する少なくとも二つの前記端子金具間において、前記二枚の絶縁シートを貫通する貫通穴が設けられている請求項1又は2に記載の端子連結体。
【請求項4】
前記複数の端子金具が、金属線材を所定長さで切断して得られた複数の切断線材により構成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の端子連結体。
【請求項5】
互いに離隔して平行に配設された一対のプリント基板が、夫々に設けられた複数のスルーホールに対して両端部が挿通されて半田付けされた複数の基板間接続端子で相互に接続されているプリント基板組立体であって、
請求項1〜4の何れか1項に記載の端子連結体における前記キャリアを適当な長さで切断して、該キャリアに連結された前記複数の端子金具の両端部を前記一対のプリント基板の前記スルーホールにそれぞれ挿通して半田付けすることにより、前記端子連結体における前記複数の端子金具で前記複数の基板間接続端子を構成したことを特徴とするプリント基板組立体。
【請求項6】
合成樹脂製のコネクタハウジング内に、複数の基板用端子の一方の端部が配列状態で突出されていると共に、該複数の基板用端子の他方の端部が前記コネクタハウジングから突出されてプリント基板に設けられたスルーホールに挿通されて半田付けされる基板用コネクタであって、
前記コネクタハウジングが有底筒形状とされており、該コネクタハウジングの底部には端子連結体挿通孔が貫設されている一方、請求項1〜4の何れか1項に記載の端子連結体における前記キャリアを適当な長さで切断して、該キャリアに連結された前記複数の端子金具を前記キャリアと共に前記端子連結体挿通孔に挿通して、前記複数の端子金具の一方の端部を前記コネクタハウジング内に突出させると共に、他方の端部をコネクタハウジング外に突出させることによって、前記端子連結体における前記複数の端子金具で前記複数の基板用端子を構成したことを特徴とする基板用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−141993(P2011−141993A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1537(P2010−1537)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】