端末、サーバ、電話システム、及び中継通信方法
【課題】内線電話機を携帯電話網に接続するためのコストが低く、かつ利便性に優れた電話システムを実現することを目的とする。
【解決手段】配下にIP電話機20A〜20Eを持つSIPサーバ10に、アクセスポイントを設け、アクセスポイントと中継用デュアル携帯電話機(以下、中継端末という)30A〜30Cを無線接続する。中継端末30A〜30Cは、携帯電話網に対して通信する携帯電話通信部、アクセスポイントに対して通信するWLAN通信機能部とを備え、中継モードでこれら携帯電話通信部、WLAN通信機能部が動作しているときに、IP電話機20A〜20EがSIPサーバ10及び中継端末30A〜30Cを介して携帯電話網に接続される。
【解決手段】配下にIP電話機20A〜20Eを持つSIPサーバ10に、アクセスポイントを設け、アクセスポイントと中継用デュアル携帯電話機(以下、中継端末という)30A〜30Cを無線接続する。中継端末30A〜30Cは、携帯電話網に対して通信する携帯電話通信部、アクセスポイントに対して通信するWLAN通信機能部とを備え、中継モードでこれら携帯電話通信部、WLAN通信機能部が動作しているときに、IP電話機20A〜20EがSIPサーバ10及び中継端末30A〜30Cを介して携帯電話網に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末、サーバ、電話システム及び中継通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の普及に伴い、従来より、PBX(Private Branch Exchange)に携帯電話機を組込むシステムが提案されている。
例えば下記特許文献1では、PBXに接続された接続装置を介して、PBXと携帯電話機とを接続し、携帯電話機が着信すると、PBX配下の内線電話機に着信させ、PBX配下の複数の内線の内線電話から所望の携帯電話機を介して携帯電話網に接続するシステムを提案している。
【特許文献1】特開2003−348628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の特許文献1では、接続装置が無いと、PBX配下の内線電話を携帯電話網に接続できないとともに、接続装置に携帯電話機を接続するためのコネクタが必要となる。即ち、PBXに携帯電話機を組込むためには、無視できないコストがかかる。また、携帯電話機を接続装置に接続する手間がかかり、利便性も悪いという問題があった。
近年では、携帯電話通信網を利用する携帯電話機能と、WLAN(Wireless LAN)等の無線LANを利用するローカル無線通信機能とを持つデュアル携帯電話が普及しつつある。このようなデュアル携帯電話機を上述したシステムに組込むことが望まれている。
【0004】
本発明は、PBXに低コストで利便性がよく組込むことができる端末、この端末が組込まれるサーバ、当該端末とサーバとからなる電話システム、当該デュアル端末とサーバを利用する中継通信方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る端末は、
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段と、
アクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、
前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、
前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する前記携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信するように構成したことを特徴とする。
【0006】
尚、前記中継モードは、所定のアクセスポイントに対して前記アクセスポイント通信手段が通信可能な位置にあるときに設定されてもよい。
【0007】
また、操作ボタンを備え、前記中継通信中においては、前記操作ボタンに対する操作を無効としてもよい。
【0008】
また、前記中継通信は、前記中継モードにおいて、前記アクセスポイント通信手段が前記アクセスポイントから前記携帯電話網に対する呼制御要求信号を受信するか、或は前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から当該端末に対する呼制御要求信号を受信することによって開始されてもよい。
【0009】
また、前記アクセスポイント通信手段は、前記アクセスポイントを介してIP電話網に対して通信するIP電話通信手段であってもよい。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係るサーバは、
無線接続用のアクセスポイントと、配下の電話機を呼制御する制御手段とを備えるサーバであって、
前記アクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段及び携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段を備える端末とは、前記アクセスポイントで無線接続され、
前記端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末の前記アクセスポイント通信手段から送信された情報を前記アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、
前記電話機から前記携帯電話網宛の情報を受信し、前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、当該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させる構成にしたことを特徴とする。
【0011】
尚、前記アクセスポイントと通信可能な位置にある前記端末を識別して管理する管理手段を備えてもよい。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る電話システムは、
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段とアクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信する端末と、
無線接続用のアクセスポイント及び配下の電話機を呼制御する制御手段を備え、前記端末とは該アクセスポイントで無線接続され、該端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末のアクセスポイント通信手段から送信された情報を該アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、前記電話機から受信した前記携帯電話網宛の情報を、前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、当該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させるサーバと、を備えることを特徴とする。
【0013】
尚、前記中継モードは、前記アクセスポイントに対して前記アクセスポイント通信手段が通信可能な位置にあるときに設定されてもよい。
【0014】
また、前記端末は、操作ボタンを備え、前記中継通信中においては、前記操作ボタンに対する操作を無効としてもよい。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の第4の観点に係る中継通信方法は、
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段とアクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信する端末を、無線接続用のアクセスポイント及び配下の電話機を呼制御する制御手段を備えるサーバの該アクセスポイントに無線接続し、
前記端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末のアクセスポイント通信手段から送信された情報を前記サーバの前記アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、
前記サーバで前記電話機から受信した前記携帯電話網宛の情報を、該サーバの前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、PBXに低コストで利便性がよく組込むことができる端末、この端末が組込まれるサーバ、当該端末とサーバとからなる電話システム、当該端末とサーバを利用する中継通信方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電話システムを示す構成図である。
【0018】
この電話システムは、交換機としてのSIPサーバ10と、SIPサーバ10に無線LANで接続されるシステムに所属する複数の中継用デュアル携帯電話機30A,30B,30Cを備えている。SIPサーバ10には、1以上のIP電話機(IP−TEL)20A,20B,20C,20D,20Eが接続されている。以下、中継用デュアル携帯電話機30A〜30Cを中継端末30A〜30Cと呼ぶ。
【0019】
本電話システムでは、IP電話機20A〜20Eから携帯電話網上の発信先の電話機の電話番号を入力すると、SIPサーバ10は中継端末30A〜30Cのいずれか1台を選択して起動させ、選択した中継端末30A〜30CにIP電話機20A〜20Eから入力された電話番号を送信する。そして、その選択された中継端末30A〜30Cは、与えられた電話番号の呼び出しを行う。呼び出しに対して相手の電話機が応答すると、発信元のIP電話機20A〜20Eは、選択した中継端末30A〜30Cを中継機として相手先の電話機と通話可能となる。
【0020】
本電話システムでは、各中継端末30A〜30Cに付与されている携帯電話通信網用の電話番号が、システム外からIP電話機20A〜20Eを呼び出すための電話番号となる。
システム外の電話機から携帯電話通信網を介して中継端末30A〜30Cの電話番号を発呼すると、その電話番号を持つ中継端末30A〜30Cが着信する。そして、着信があった旨がSIPサーバ10に伝わり、SIPサーバ10は、着信のあった中継端末30A〜30Cに対応するIP電話機20A〜20Eを選択して呼び出す。
その選択されたIP電話機20A〜20Eが応答すると、電話番号を発呼したシステム外の電話機は、電話番号で指定した中継端末30A〜30Cを中継機としてそれに対応するIP電話機20A〜20Eと通話可能になる。
【0021】
図2は、図1中のSIPサーバ10を示す構成図である。
SIPサーバ10は、IP電話機20A〜20Eを配下として管理し、これらのIP電話機20A〜20Eの呼制御等を行う。SIPサーバ10には、CPU11と、CPU11に接続され、データテーブル等を記憶するメモリ12と、音声信号の変換を行う音声処理回路13と、中継端末30A〜30Cと無線接続するアクセスポイント14と、アンテナ15と、LANコネクタ16とを備えている。アクセスポイント14は、アンテナ15を介して中継端末30A〜30Cに無線接続される。LANコネクタ16を介して、CPU11及び音声処理回路13がIP電話機20A〜20Eに接続される。
【0022】
データテーブルは、管理下の中継端末30A〜30C及び配下のIP電話機20A〜20EのLAN用電話番号、各中継端末30A〜30Cに対応するIP電話機20A〜20Eの情報、中継端末30A〜30Cを選択して中継機として用いる場合の順位に関する情報、及び中継端末30A〜30CのうちのSIPサーバ10と通信可能範囲にある電話機の情報等を記憶する。
【0023】
図3は、図1中の中継端末30A〜30Cの概要を示す構成図である。
各中継端末30A〜30Cは、図示しない携帯電話通信網を利用する携帯電話通信手段としての携帯電話通信部31と、IP電話通信網のLANを利用するアクセスポイント通信手段としてのWLAN通信機能部32と、これら携帯電話通信部31及びWLAN通信機能部32を制御する制御部33と、携帯電話通信部31及びWLAN通信機能部32に接続されたアンテナ34と、図示しない操作ボタン等を備えている。
【0024】
各中継端末30A〜30Cは、それぞれ携帯電話網用の電話番号とLAN用の電話番号とが付与されており、LANのエリア内では、WLAN通信機能部32が作動し、LAN用の電話番号で呼制御されるIP電話として動作し、LANのエリア外では、携帯電話通信部31が作動して、携帯電話網用の電話番号で呼制御される携帯電話機として動作する。
【0025】
各中継端末30A〜30Cは、携帯電話通信部31またはWLAN通信機能部32が動作する通常動作モードと、携帯電話通信部31及びWLAN通信機能部32の両方が連動して動作可能な中継モードとを有する。
【0026】
システムに所属する各中継端末30A〜30Cには、SIPサーバ10に設けられたアクセスポイント14に付与された識別子(ID)が記憶されている。 中継端末30A〜30Cは、周辺に存在するアクセスポイントから一定周期で信される信号をWLAN通信機能部32で受信し、その信号に含まれるアクセスポイントのIDを抽出する。抽出したIDが記憶しているIDと一致すると、中継端末30A〜30Cは、通常動作モードから中継モードに切り替わる。
中継モードになると、各中継端末30A〜30Cは、中継機としての役割を果たす。
【0027】
尚、中継端末30A〜30Cを充電器に装着すると、中継モードに切り替わるようにしてもよい。この場合、SIPサーバ10と無線LAN接続可能な範囲内に充電器を配置しておけば、その充電器に中継端末30A〜30Cを装着することで、中継端末30A〜30Cを中継モードにすることができる。
【0028】
また、中継端末30A〜30Cに設けたスイッチによって、中継モードと通常動作モードを切替える構成にしてもよい。
SIPサーバ10は、例えば中継モードが選択されている中継端末30A〜30Cに制御信号を送信し、当該携帯電話機を起動させて所定の電話番号に呼び出しを行わせる。
【0029】
次に、図1の電話システムの動作を説明する。
中継端末30A〜30Cは、それぞれ携行可能であるから、SIPサーバ10の設置してある社内から社外に持ち出すことができる。
この際、中継端末30A〜30Cが、アクセスポイント14の通信可能範囲外に到達すると、中継端末30A〜30CのWLAN通信機能部32は、アクセスポイント14に付与されているIDを識別できないから、中継モードが通常動作モードに切り替わる。
【0030】
中継端末30A〜30Cを、社内の所定の場所、つまりSIPサーバ10のアクセスポイント14と中継端末30A〜30CのWLAN通信機能部32とが無線LAN通信可能となる場所に置くと、中継端末30A〜30Cが中継モードとなる。
【0031】
SIPサーバ10は、データテーブルに、システムに所属する中継端末30A〜30Cのうちのアクセスポイント14を介して通信可能範囲にある端末の情報を更新しつつ記録している。例えば中継端末30Aが、アクセスポイント14を介してSIPサーバ10と通信可能な範囲に入ると、SIPサーバ10は、中継端末30Aが通信可能範囲にあることを示す情報をデータテーブルに記録し、中継端末30Aが通信可能な範囲から外れると、中継端末30Aが通信可能範囲にあることを示す情報を抹消する。
【0032】
ここでは、中継端末30A〜30Cがいずれも中継モードであるものとし、最初にIP電話機側から発信する場合を説明する。
【0033】
SIPサーバ10は、例えばIP電話20Aから相手先の電話機の電話番号がダイヤルされると、中継端末30A〜30Cのうちの例えば中継端末30Aを選択して情報を送信する。中継端末30Aの選択は、CPU11がメモリ12に記録されているデータテーブルに基づいて行う。
【0034】
SIPサーバ10から中継端末30Aに送信される情報には、中継端末の識別子及びIP電話機20Aから入力された接続先の電話番号情報が含まれる。
IP電話機20Aから入力された接続先の電話番号がシステム外の電話機の電話番号である場合、SIPサーバ10から中継端末30Aに送信される情報には、さらに、携帯電話網への呼制御要求信号等の制御信号が含まれる。
【0035】
SIPサーバ10から携帯電話網への呼制御要求信号及び電話番号情報が送信されると、中継端末30AはWLAN通信機能部32で電話番号情報を受信し、その電話番号情報が中継端末30A自身を指す場合は、中継端末30Aを鳴動させる。これにより、中継端末30AとIP電話機20Aとはアクセスポイント14を介して通話可能になる。
【0036】
受信した電話番号情報がシステム外の電話機を指す場合に、中継端末30Aは、呼制御要求信号を受信することにより、中継通信を開始する。この場合、SIPサーバ10からの制御信号により、中継端末30Aは、携帯電話通信部31を起動して、アンテナ34及び基地局を介して携帯電話網に呼制御要求信号及び電話番号情報を送信し、相手先の電話機を呼び出す。相手先の電話機が応答すると、IP電話機20Aは、中継端末30A及びSIPサーバ10のアクセスポイント14を介して相手先の電話機と通話可能になる。
【0037】
この通話中、相手先の電話機からの信号は、中継端末30Aの携帯電話通信部31で受信され、WLAN通信機能部32からSIPサーバ10に送信され、SIPサーバ10は受信した信号をIP電話機20Aに送出する。逆にIP電話機20Aからの信号は、SIPサーバ10に送信され、SIPサーバ10は受信した信号をアクセスポイント14を介して中継端末30Aに送信する。中継端末30Aは、SIPサーバ10の送信した信号をWLAN通信機能部32で受信し、携帯電話通信部31から携帯電話網を介して相手先の電話機に送信する。
【0038】
中継端末30Aは、中継モードであると共に、携帯電話網からの情報を携帯電話通信部31で受信して、その情報をWLAN通信機能部32がアクセスポイント14に送信し、アクセスポイント14からの情報をWLAN通信機能部32で受信し、その情報を携帯電話通信部31が携帯電話網に送信している状態であれば、中継通信中であると判断し、中継通信が終了するまで操作ボタンの操作を無効にする。こうすることで、中継通信中に誤って操作ボタンが押下された場合でも、中継通信が妨げられることはない。
【0039】
次に、携帯電話網を介してシステム外の電話機から中継端末に着信があった場合の動作を説明する。
例えば中継端末30Aがシステム外の電話機からの呼び出しを受けると、中継端末30Aの携帯電話通信部31が呼び出し信号及び当該中継端末30Aに対する呼制御要求信号を受信する。
【0040】
携帯電話通信部31が呼制御要求信号及び呼び出し信号を受信した中継端末30Aは、鳴動すると共に、中継通信を開始し、WLAN通信機能部32で呼び出し信号を受信して、WLAN通信機能部32からアクセスポイント14を介してSIPサーバ10に、着信のあった旨を通知する。これに応答してSIPサーバ10のCPU11は、メモリ12に記憶されているデータテーブルに基づき、例えばIP電話機20Aを選択して呼び出す。IP電話機20Aが応答すると、IP電話機20Aと発信元のシステム外の電話機とが、中継端末30A及びSIPサーバ10のアクセスポイント14を介して通話可能になる。中継端末30Aで応答することもできる。中継端末30Aで応答した場合、中継通信が終了し、中継端末30Aと発信元のシステム外の電話機とが通話可能になる。中継端末30Aで応答した場合、中継端末30Aは応答したことをSIPサーバ10に通知し、SIPサーバ10は、IP電話機20Aの呼び出しを中止する。
【0041】
発信元のシステム外の電話機とIP電話機20Aとの通話中、発信元のシステム外の電話機からの信号は、中継端末30Aの携帯電話通信部31で受信され、WLAN通信機能部32からアクセスポイント14を介してSIPサーバ10に送信され、SIPサーバ10は受信した信号をIP電話機20Aに送出する。逆にIP電話機20Aからの信号は、SIPサーバ10に送信され、SIPサーバ10は受信した信号をアクセスポイント14を介して中継端末30Aの携帯電話通信部31に送信する。中継端末30Aは、SIPサーバ10の送信した信号をWLAN通信機能部32で受信し、携帯電話通信部31から携帯電話網を介してシステム外の電話機に送信する。
【0042】
このように、システム外の電話機から中継端末30Aに着信があって、中継端末30Aがシステム外の電話機とSIPサーバ10の配下のIP電話機20Aとの間の通信を中継する場合も、中継端末30Aは、中継モードであると共に、携帯電話網からの情報を携帯電話通信部31で受信して、その情報をWLAN通信機能部32がアクセスポイント14に送信し、アクセスポイント14からの情報をWLAN通信機能部32で受信し、その情報を携帯電話通信部31が携帯電話網に送信している状態であれば、中継通信中であると判断し、中継通信が終了するまで操作ボタンの操作を無効にする。こうすることで、中継通信中に誤って操作ボタンが押下された場合でも、中継通信が妨げられることはない。
【0043】
一方、システム外の電話機からの呼び出しに対し、中継端末30Aを用いて応答した場合、発信元のシステム外の電話機と中継端末30Aとは、中継端末30Aの携帯電話通信部31によって接続される。このときには、操作ボタンの操作は無効にならない。
【0044】
以上のように、本実施形態の電話システムは、次のような利点を有する。
(1)交換機となるSIPサーバ10と中継端末30A〜30Cとが無線LANで接続されているので、接続のための装置やコネクタが不要で低コストで実現できる。
【0045】
(2)中継端末30A〜30Cは、SIPサーバ10のアクセスポイント14の通信範囲外にあるときは、携帯電話機として機能し、通信範囲内にあるときに中継機としての役割を果たすので、システムへの組み込みが簡単であり、利便性に優れている。
【0046】
(3)IP電話機20A〜20Eの配置されている事務所内等では、中継端末30A〜30Cの着信をIP電話機20A〜20Eに転送させることができるので、IP電話機20A〜20Eの持つ例えば保留機能や転送機能を利用することも可能である。
【0047】
(4)アクセスポイント14を複数の中継端末30A〜30Cが共用できるのでコスト効率が高い。また、多数の中継端末30A〜30Cを中継機として用いることができる。
【0048】
(5)SIPサーバ10のソフトウエアを更新することにより、利便性を高める機能の追加が可能である。
【0049】
尚、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、SIPサーバ10と中継端末30A〜30Cとの間は、無線LAN接続以外で接続してもよく、例えばBluetooth等で接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る電話システムを示す構成図である。
【図2】図1中のSIPサーバを示す構成図である。
【図3】図1中の中継端末の概要を示す構成図である。
【符号の説明】
【0051】
10 SIPサーバ
11 CPU
12 メモリ
13 音声処理回路
14 アクセスポイント
15 アンテナ
20A〜20E IP電話機
30A〜30C 中継用デュアル携帯電話機
31 携帯電話通信部
32 WLAN通信機能部
33 制御部
52 アンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末、サーバ、電話システム及び中継通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の普及に伴い、従来より、PBX(Private Branch Exchange)に携帯電話機を組込むシステムが提案されている。
例えば下記特許文献1では、PBXに接続された接続装置を介して、PBXと携帯電話機とを接続し、携帯電話機が着信すると、PBX配下の内線電話機に着信させ、PBX配下の複数の内線の内線電話から所望の携帯電話機を介して携帯電話網に接続するシステムを提案している。
【特許文献1】特開2003−348628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の特許文献1では、接続装置が無いと、PBX配下の内線電話を携帯電話網に接続できないとともに、接続装置に携帯電話機を接続するためのコネクタが必要となる。即ち、PBXに携帯電話機を組込むためには、無視できないコストがかかる。また、携帯電話機を接続装置に接続する手間がかかり、利便性も悪いという問題があった。
近年では、携帯電話通信網を利用する携帯電話機能と、WLAN(Wireless LAN)等の無線LANを利用するローカル無線通信機能とを持つデュアル携帯電話が普及しつつある。このようなデュアル携帯電話機を上述したシステムに組込むことが望まれている。
【0004】
本発明は、PBXに低コストで利便性がよく組込むことができる端末、この端末が組込まれるサーバ、当該端末とサーバとからなる電話システム、当該デュアル端末とサーバを利用する中継通信方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る端末は、
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段と、
アクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、
前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、
前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する前記携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信するように構成したことを特徴とする。
【0006】
尚、前記中継モードは、所定のアクセスポイントに対して前記アクセスポイント通信手段が通信可能な位置にあるときに設定されてもよい。
【0007】
また、操作ボタンを備え、前記中継通信中においては、前記操作ボタンに対する操作を無効としてもよい。
【0008】
また、前記中継通信は、前記中継モードにおいて、前記アクセスポイント通信手段が前記アクセスポイントから前記携帯電話網に対する呼制御要求信号を受信するか、或は前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から当該端末に対する呼制御要求信号を受信することによって開始されてもよい。
【0009】
また、前記アクセスポイント通信手段は、前記アクセスポイントを介してIP電話網に対して通信するIP電話通信手段であってもよい。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係るサーバは、
無線接続用のアクセスポイントと、配下の電話機を呼制御する制御手段とを備えるサーバであって、
前記アクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段及び携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段を備える端末とは、前記アクセスポイントで無線接続され、
前記端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末の前記アクセスポイント通信手段から送信された情報を前記アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、
前記電話機から前記携帯電話網宛の情報を受信し、前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、当該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させる構成にしたことを特徴とする。
【0011】
尚、前記アクセスポイントと通信可能な位置にある前記端末を識別して管理する管理手段を備えてもよい。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る電話システムは、
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段とアクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信する端末と、
無線接続用のアクセスポイント及び配下の電話機を呼制御する制御手段を備え、前記端末とは該アクセスポイントで無線接続され、該端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末のアクセスポイント通信手段から送信された情報を該アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、前記電話機から受信した前記携帯電話網宛の情報を、前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、当該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させるサーバと、を備えることを特徴とする。
【0013】
尚、前記中継モードは、前記アクセスポイントに対して前記アクセスポイント通信手段が通信可能な位置にあるときに設定されてもよい。
【0014】
また、前記端末は、操作ボタンを備え、前記中継通信中においては、前記操作ボタンに対する操作を無効としてもよい。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の第4の観点に係る中継通信方法は、
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段とアクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信する端末を、無線接続用のアクセスポイント及び配下の電話機を呼制御する制御手段を備えるサーバの該アクセスポイントに無線接続し、
前記端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末のアクセスポイント通信手段から送信された情報を前記サーバの前記アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、
前記サーバで前記電話機から受信した前記携帯電話網宛の情報を、該サーバの前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、PBXに低コストで利便性がよく組込むことができる端末、この端末が組込まれるサーバ、当該端末とサーバとからなる電話システム、当該端末とサーバを利用する中継通信方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電話システムを示す構成図である。
【0018】
この電話システムは、交換機としてのSIPサーバ10と、SIPサーバ10に無線LANで接続されるシステムに所属する複数の中継用デュアル携帯電話機30A,30B,30Cを備えている。SIPサーバ10には、1以上のIP電話機(IP−TEL)20A,20B,20C,20D,20Eが接続されている。以下、中継用デュアル携帯電話機30A〜30Cを中継端末30A〜30Cと呼ぶ。
【0019】
本電話システムでは、IP電話機20A〜20Eから携帯電話網上の発信先の電話機の電話番号を入力すると、SIPサーバ10は中継端末30A〜30Cのいずれか1台を選択して起動させ、選択した中継端末30A〜30CにIP電話機20A〜20Eから入力された電話番号を送信する。そして、その選択された中継端末30A〜30Cは、与えられた電話番号の呼び出しを行う。呼び出しに対して相手の電話機が応答すると、発信元のIP電話機20A〜20Eは、選択した中継端末30A〜30Cを中継機として相手先の電話機と通話可能となる。
【0020】
本電話システムでは、各中継端末30A〜30Cに付与されている携帯電話通信網用の電話番号が、システム外からIP電話機20A〜20Eを呼び出すための電話番号となる。
システム外の電話機から携帯電話通信網を介して中継端末30A〜30Cの電話番号を発呼すると、その電話番号を持つ中継端末30A〜30Cが着信する。そして、着信があった旨がSIPサーバ10に伝わり、SIPサーバ10は、着信のあった中継端末30A〜30Cに対応するIP電話機20A〜20Eを選択して呼び出す。
その選択されたIP電話機20A〜20Eが応答すると、電話番号を発呼したシステム外の電話機は、電話番号で指定した中継端末30A〜30Cを中継機としてそれに対応するIP電話機20A〜20Eと通話可能になる。
【0021】
図2は、図1中のSIPサーバ10を示す構成図である。
SIPサーバ10は、IP電話機20A〜20Eを配下として管理し、これらのIP電話機20A〜20Eの呼制御等を行う。SIPサーバ10には、CPU11と、CPU11に接続され、データテーブル等を記憶するメモリ12と、音声信号の変換を行う音声処理回路13と、中継端末30A〜30Cと無線接続するアクセスポイント14と、アンテナ15と、LANコネクタ16とを備えている。アクセスポイント14は、アンテナ15を介して中継端末30A〜30Cに無線接続される。LANコネクタ16を介して、CPU11及び音声処理回路13がIP電話機20A〜20Eに接続される。
【0022】
データテーブルは、管理下の中継端末30A〜30C及び配下のIP電話機20A〜20EのLAN用電話番号、各中継端末30A〜30Cに対応するIP電話機20A〜20Eの情報、中継端末30A〜30Cを選択して中継機として用いる場合の順位に関する情報、及び中継端末30A〜30CのうちのSIPサーバ10と通信可能範囲にある電話機の情報等を記憶する。
【0023】
図3は、図1中の中継端末30A〜30Cの概要を示す構成図である。
各中継端末30A〜30Cは、図示しない携帯電話通信網を利用する携帯電話通信手段としての携帯電話通信部31と、IP電話通信網のLANを利用するアクセスポイント通信手段としてのWLAN通信機能部32と、これら携帯電話通信部31及びWLAN通信機能部32を制御する制御部33と、携帯電話通信部31及びWLAN通信機能部32に接続されたアンテナ34と、図示しない操作ボタン等を備えている。
【0024】
各中継端末30A〜30Cは、それぞれ携帯電話網用の電話番号とLAN用の電話番号とが付与されており、LANのエリア内では、WLAN通信機能部32が作動し、LAN用の電話番号で呼制御されるIP電話として動作し、LANのエリア外では、携帯電話通信部31が作動して、携帯電話網用の電話番号で呼制御される携帯電話機として動作する。
【0025】
各中継端末30A〜30Cは、携帯電話通信部31またはWLAN通信機能部32が動作する通常動作モードと、携帯電話通信部31及びWLAN通信機能部32の両方が連動して動作可能な中継モードとを有する。
【0026】
システムに所属する各中継端末30A〜30Cには、SIPサーバ10に設けられたアクセスポイント14に付与された識別子(ID)が記憶されている。 中継端末30A〜30Cは、周辺に存在するアクセスポイントから一定周期で信される信号をWLAN通信機能部32で受信し、その信号に含まれるアクセスポイントのIDを抽出する。抽出したIDが記憶しているIDと一致すると、中継端末30A〜30Cは、通常動作モードから中継モードに切り替わる。
中継モードになると、各中継端末30A〜30Cは、中継機としての役割を果たす。
【0027】
尚、中継端末30A〜30Cを充電器に装着すると、中継モードに切り替わるようにしてもよい。この場合、SIPサーバ10と無線LAN接続可能な範囲内に充電器を配置しておけば、その充電器に中継端末30A〜30Cを装着することで、中継端末30A〜30Cを中継モードにすることができる。
【0028】
また、中継端末30A〜30Cに設けたスイッチによって、中継モードと通常動作モードを切替える構成にしてもよい。
SIPサーバ10は、例えば中継モードが選択されている中継端末30A〜30Cに制御信号を送信し、当該携帯電話機を起動させて所定の電話番号に呼び出しを行わせる。
【0029】
次に、図1の電話システムの動作を説明する。
中継端末30A〜30Cは、それぞれ携行可能であるから、SIPサーバ10の設置してある社内から社外に持ち出すことができる。
この際、中継端末30A〜30Cが、アクセスポイント14の通信可能範囲外に到達すると、中継端末30A〜30CのWLAN通信機能部32は、アクセスポイント14に付与されているIDを識別できないから、中継モードが通常動作モードに切り替わる。
【0030】
中継端末30A〜30Cを、社内の所定の場所、つまりSIPサーバ10のアクセスポイント14と中継端末30A〜30CのWLAN通信機能部32とが無線LAN通信可能となる場所に置くと、中継端末30A〜30Cが中継モードとなる。
【0031】
SIPサーバ10は、データテーブルに、システムに所属する中継端末30A〜30Cのうちのアクセスポイント14を介して通信可能範囲にある端末の情報を更新しつつ記録している。例えば中継端末30Aが、アクセスポイント14を介してSIPサーバ10と通信可能な範囲に入ると、SIPサーバ10は、中継端末30Aが通信可能範囲にあることを示す情報をデータテーブルに記録し、中継端末30Aが通信可能な範囲から外れると、中継端末30Aが通信可能範囲にあることを示す情報を抹消する。
【0032】
ここでは、中継端末30A〜30Cがいずれも中継モードであるものとし、最初にIP電話機側から発信する場合を説明する。
【0033】
SIPサーバ10は、例えばIP電話20Aから相手先の電話機の電話番号がダイヤルされると、中継端末30A〜30Cのうちの例えば中継端末30Aを選択して情報を送信する。中継端末30Aの選択は、CPU11がメモリ12に記録されているデータテーブルに基づいて行う。
【0034】
SIPサーバ10から中継端末30Aに送信される情報には、中継端末の識別子及びIP電話機20Aから入力された接続先の電話番号情報が含まれる。
IP電話機20Aから入力された接続先の電話番号がシステム外の電話機の電話番号である場合、SIPサーバ10から中継端末30Aに送信される情報には、さらに、携帯電話網への呼制御要求信号等の制御信号が含まれる。
【0035】
SIPサーバ10から携帯電話網への呼制御要求信号及び電話番号情報が送信されると、中継端末30AはWLAN通信機能部32で電話番号情報を受信し、その電話番号情報が中継端末30A自身を指す場合は、中継端末30Aを鳴動させる。これにより、中継端末30AとIP電話機20Aとはアクセスポイント14を介して通話可能になる。
【0036】
受信した電話番号情報がシステム外の電話機を指す場合に、中継端末30Aは、呼制御要求信号を受信することにより、中継通信を開始する。この場合、SIPサーバ10からの制御信号により、中継端末30Aは、携帯電話通信部31を起動して、アンテナ34及び基地局を介して携帯電話網に呼制御要求信号及び電話番号情報を送信し、相手先の電話機を呼び出す。相手先の電話機が応答すると、IP電話機20Aは、中継端末30A及びSIPサーバ10のアクセスポイント14を介して相手先の電話機と通話可能になる。
【0037】
この通話中、相手先の電話機からの信号は、中継端末30Aの携帯電話通信部31で受信され、WLAN通信機能部32からSIPサーバ10に送信され、SIPサーバ10は受信した信号をIP電話機20Aに送出する。逆にIP電話機20Aからの信号は、SIPサーバ10に送信され、SIPサーバ10は受信した信号をアクセスポイント14を介して中継端末30Aに送信する。中継端末30Aは、SIPサーバ10の送信した信号をWLAN通信機能部32で受信し、携帯電話通信部31から携帯電話網を介して相手先の電話機に送信する。
【0038】
中継端末30Aは、中継モードであると共に、携帯電話網からの情報を携帯電話通信部31で受信して、その情報をWLAN通信機能部32がアクセスポイント14に送信し、アクセスポイント14からの情報をWLAN通信機能部32で受信し、その情報を携帯電話通信部31が携帯電話網に送信している状態であれば、中継通信中であると判断し、中継通信が終了するまで操作ボタンの操作を無効にする。こうすることで、中継通信中に誤って操作ボタンが押下された場合でも、中継通信が妨げられることはない。
【0039】
次に、携帯電話網を介してシステム外の電話機から中継端末に着信があった場合の動作を説明する。
例えば中継端末30Aがシステム外の電話機からの呼び出しを受けると、中継端末30Aの携帯電話通信部31が呼び出し信号及び当該中継端末30Aに対する呼制御要求信号を受信する。
【0040】
携帯電話通信部31が呼制御要求信号及び呼び出し信号を受信した中継端末30Aは、鳴動すると共に、中継通信を開始し、WLAN通信機能部32で呼び出し信号を受信して、WLAN通信機能部32からアクセスポイント14を介してSIPサーバ10に、着信のあった旨を通知する。これに応答してSIPサーバ10のCPU11は、メモリ12に記憶されているデータテーブルに基づき、例えばIP電話機20Aを選択して呼び出す。IP電話機20Aが応答すると、IP電話機20Aと発信元のシステム外の電話機とが、中継端末30A及びSIPサーバ10のアクセスポイント14を介して通話可能になる。中継端末30Aで応答することもできる。中継端末30Aで応答した場合、中継通信が終了し、中継端末30Aと発信元のシステム外の電話機とが通話可能になる。中継端末30Aで応答した場合、中継端末30Aは応答したことをSIPサーバ10に通知し、SIPサーバ10は、IP電話機20Aの呼び出しを中止する。
【0041】
発信元のシステム外の電話機とIP電話機20Aとの通話中、発信元のシステム外の電話機からの信号は、中継端末30Aの携帯電話通信部31で受信され、WLAN通信機能部32からアクセスポイント14を介してSIPサーバ10に送信され、SIPサーバ10は受信した信号をIP電話機20Aに送出する。逆にIP電話機20Aからの信号は、SIPサーバ10に送信され、SIPサーバ10は受信した信号をアクセスポイント14を介して中継端末30Aの携帯電話通信部31に送信する。中継端末30Aは、SIPサーバ10の送信した信号をWLAN通信機能部32で受信し、携帯電話通信部31から携帯電話網を介してシステム外の電話機に送信する。
【0042】
このように、システム外の電話機から中継端末30Aに着信があって、中継端末30Aがシステム外の電話機とSIPサーバ10の配下のIP電話機20Aとの間の通信を中継する場合も、中継端末30Aは、中継モードであると共に、携帯電話網からの情報を携帯電話通信部31で受信して、その情報をWLAN通信機能部32がアクセスポイント14に送信し、アクセスポイント14からの情報をWLAN通信機能部32で受信し、その情報を携帯電話通信部31が携帯電話網に送信している状態であれば、中継通信中であると判断し、中継通信が終了するまで操作ボタンの操作を無効にする。こうすることで、中継通信中に誤って操作ボタンが押下された場合でも、中継通信が妨げられることはない。
【0043】
一方、システム外の電話機からの呼び出しに対し、中継端末30Aを用いて応答した場合、発信元のシステム外の電話機と中継端末30Aとは、中継端末30Aの携帯電話通信部31によって接続される。このときには、操作ボタンの操作は無効にならない。
【0044】
以上のように、本実施形態の電話システムは、次のような利点を有する。
(1)交換機となるSIPサーバ10と中継端末30A〜30Cとが無線LANで接続されているので、接続のための装置やコネクタが不要で低コストで実現できる。
【0045】
(2)中継端末30A〜30Cは、SIPサーバ10のアクセスポイント14の通信範囲外にあるときは、携帯電話機として機能し、通信範囲内にあるときに中継機としての役割を果たすので、システムへの組み込みが簡単であり、利便性に優れている。
【0046】
(3)IP電話機20A〜20Eの配置されている事務所内等では、中継端末30A〜30Cの着信をIP電話機20A〜20Eに転送させることができるので、IP電話機20A〜20Eの持つ例えば保留機能や転送機能を利用することも可能である。
【0047】
(4)アクセスポイント14を複数の中継端末30A〜30Cが共用できるのでコスト効率が高い。また、多数の中継端末30A〜30Cを中継機として用いることができる。
【0048】
(5)SIPサーバ10のソフトウエアを更新することにより、利便性を高める機能の追加が可能である。
【0049】
尚、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、SIPサーバ10と中継端末30A〜30Cとの間は、無線LAN接続以外で接続してもよく、例えばBluetooth等で接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る電話システムを示す構成図である。
【図2】図1中のSIPサーバを示す構成図である。
【図3】図1中の中継端末の概要を示す構成図である。
【符号の説明】
【0051】
10 SIPサーバ
11 CPU
12 メモリ
13 音声処理回路
14 アクセスポイント
15 アンテナ
20A〜20E IP電話機
30A〜30C 中継用デュアル携帯電話機
31 携帯電話通信部
32 WLAN通信機能部
33 制御部
52 アンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段と、
アクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、
前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、
前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する前記携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信するように構成したことを特徴とする端末。
【請求項2】
前記中継モードは、所定のアクセスポイントに対して前記アクセスポイント通信手段が通信可能な位置にあるときに設定されることを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項3】
操作ボタンを備え、
前記中継通信中においては、前記操作ボタンに対する操作を無効とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の端末。
【請求項4】
前記中継通信は、前記中継モードにおいて、前記アクセスポイント通信手段が前記アクセスポイントから前記携帯電話網に対する呼制御要求信号を受信するか、或は前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から当該端末に対する呼制御要求信号を受信することによって開始されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の端末。
【請求項5】
前記アクセスポイント通信手段は、前記アクセスポイントを介してIP電話網に対して通信するIP電話通信手段であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の端末。
【請求項6】
無線接続用のアクセスポイントと、配下の電話機を呼制御する制御手段とを備えるサーバであって、
前記アクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段及び携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段を備える端末とは、前記アクセスポイントで無線接続され、
前記端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末の前記アクセスポイント通信手段から送信された情報を前記アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、
前記電話機から前記携帯電話網宛の情報を受信し、前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、当該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させる構成にした、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項7】
前記アクセスポイントと通信可能な位置にある前記端末を識別して管理する管理手段を備えることを特徴とする請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段とアクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する前記携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信する端末と、
無線接続用のアクセスポイント及び配下の電話機を呼制御する制御手段を備え、前記端末とは該アクセスポイントで無線接続され、該端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末の前記アクセスポイント通信手段から送信された情報を該アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、前記電話機から受信した前記携帯電話網宛の情報を、前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、当該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させるサーバと、
を備えることを特徴とする電話システム。
【請求項9】
前記中継モードは、前記アクセスポイントに対して前記アクセスポイント通信手段が通信可能な位置にあるときに設定されることを特徴とする請求項8に記載の電話システム。
【請求項10】
前記端末は、操作ボタンを備え、前記中継通信中においては、前記操作ボタンに対する操作を無効とすることを特徴とする請求項8又は9に記載の電話システム。
【請求項11】
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段とアクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する前記携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信する端末を、無線接続用のアクセスポイント及び配下の電話機を呼制御する制御手段を備えるサーバの該アクセスポイントに無線接続し、
前記端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末の前記アクセスポイント通信手段から送信された情報を前記サーバの前記アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、
前記サーバで前記電話機から受信した前記携帯電話網宛の情報を、該サーバの前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させる、
ことを特徴とする中継通信方法。
【請求項1】
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段と、
アクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、
前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、
前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する前記携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信するように構成したことを特徴とする端末。
【請求項2】
前記中継モードは、所定のアクセスポイントに対して前記アクセスポイント通信手段が通信可能な位置にあるときに設定されることを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項3】
操作ボタンを備え、
前記中継通信中においては、前記操作ボタンに対する操作を無効とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の端末。
【請求項4】
前記中継通信は、前記中継モードにおいて、前記アクセスポイント通信手段が前記アクセスポイントから前記携帯電話網に対する呼制御要求信号を受信するか、或は前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から当該端末に対する呼制御要求信号を受信することによって開始されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の端末。
【請求項5】
前記アクセスポイント通信手段は、前記アクセスポイントを介してIP電話網に対して通信するIP電話通信手段であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の端末。
【請求項6】
無線接続用のアクセスポイントと、配下の電話機を呼制御する制御手段とを備えるサーバであって、
前記アクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段及び携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段を備える端末とは、前記アクセスポイントで無線接続され、
前記端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末の前記アクセスポイント通信手段から送信された情報を前記アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、
前記電話機から前記携帯電話網宛の情報を受信し、前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、当該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させる構成にした、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項7】
前記アクセスポイントと通信可能な位置にある前記端末を識別して管理する管理手段を備えることを特徴とする請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段とアクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する前記携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信する端末と、
無線接続用のアクセスポイント及び配下の電話機を呼制御する制御手段を備え、前記端末とは該アクセスポイントで無線接続され、該端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末の前記アクセスポイント通信手段から送信された情報を該アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、前記電話機から受信した前記携帯電話網宛の情報を、前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、当該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させるサーバと、
を備えることを特徴とする電話システム。
【請求項9】
前記中継モードは、前記アクセスポイントに対して前記アクセスポイント通信手段が通信可能な位置にあるときに設定されることを特徴とする請求項8に記載の電話システム。
【請求項10】
前記端末は、操作ボタンを備え、前記中継通信中においては、前記操作ボタンに対する操作を無効とすることを特徴とする請求項8又は9に記載の電話システム。
【請求項11】
携帯電話網に対して通信する携帯電話通信手段とアクセスポイントに対して無線接続して通信するアクセスポイント通信手段とを備え、前記アクセスポイントを介して通信を行う機器と前記携帯電話網との間の中継通信を可能とする中継モードを有し、前記中継通信中は、前記携帯電話通信手段が前記携帯電話網から受信する情報を、前記アクセスポイント通信手段を介して前記アクセスポイントに送信し、該アクセスポイント通信手段が該アクセスポイントから受信する前記携帯電話網宛の情報を、該携帯電話通信手段を介して該携帯電話網に送信する端末を、無線接続用のアクセスポイント及び配下の電話機を呼制御する制御手段を備えるサーバの該アクセスポイントに無線接続し、
前記端末の前記携帯電話通信手段で受信され、当該端末の前記アクセスポイント通信手段から送信された情報を前記サーバの前記アクセスポイントで受信して、前記電話機に送信し、
前記サーバで前記電話機から受信した前記携帯電話網宛の情報を、該サーバの前記アクセスポイントを介して前記端末の前記アクセスポイント通信手段に送信し、該端末の前記携帯電話通信手段から該情報を前記携帯電話網に送信させる、
ことを特徴とする中継通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2010−41147(P2010−41147A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198999(P2008−198999)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
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