説明

端末装置およびプログラム

【課題】複数のタグを用いずともタグが付された物品の情報を保護する。
【解決手段】タグ20は、物品30を一意に識別する第1コードと、第2コードを記憶する。第2コードは、初期状態では第1コードと同じコードであり、タグ20の暗証番号を記憶した携帯電話機10Aにより書き換えられる。タグ20は、第2コードを携帯電話機へ送信する。第1コードと第2コードを対応付けて記憶している携帯電話機10Aは、受信した第2コードに対応した第1コードで特定される物品情報をサーバー装置40から取得して表示する。書き換えられた第2コードを記憶していない携帯電話機10Bは、第1コードを得られず、物品情報を表示しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグで識別される物品の情報を保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
物品に付されるRFID(Radio Frequency IDentification)タグの情報を保護する発明として、特許文献1に開示された発明がある。この発明においては、物品に付される第1のタグに記憶されるデータを、第2のタグに記憶されたデータを暗号鍵として暗号化する。そして、第1のタグのデータを読み出す場合には、第2のタグに記憶されたデータを用いて第1のタグのデータを復号する。この発明によれば、第2のタグを有する者だけが第1のタグに記憶されたデータの内容を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−92625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明においては、第1のタグのデータを暗号化や復号を行うために第2のタグを必要とする。つまり、物品の管理のために複数のタグを要することとなり、コストがかかることとなる。また、第1のタグのデータを得るために、第1のタグとは別に第2のタグにアクセスする必要があり、タグへのアクセスに手間がかかることとなる。
【0005】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、複数のタグを用いずともタグが付された物品の情報を保護する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タグが付される物品を一意に識別する第1コードと、前記第1コードと異なる領域に記憶される第2コードと、前記タグの暗証番号と、前記第1コードと前記第2コードが一致しているか否かを示す差分フラグとを記憶したタグから、前記第2コードと前記差分フラグを読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段で読み出した第2コードと異なる第2コードを生成するコード生成手段と、前記暗証番号、前記第1コードおよび前記コード生成手段で生成した第2コードを記憶する記憶手段と、前記コード生成手段で生成された第2コードと前記暗証番号を前記タグに送り、前記タグの第2コードを書き換える書き換え手段とを有する端末装置を提供する。
【0007】
本発明の端末装置においては、前記記憶手段は、複数のタグ毎に、各タグの前記第1コード、前記第2コードおよび前記暗証番号を対応付けて記憶してもよい。
【0008】
また、本発明の端末装置においては、前記読み出し手段が読み出した前記第2コードに対応する前記第1コードを前記記憶手段から読み出し、読み出した第1コードで識別される物品の物品情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段で取得した物品情報を表示する表示手段とを有していてもよい。
【0009】
また、本発明においては、前記第1コードと前記第2コードを他の端末装置から取得するコード取得手段を有し、前記記憶手段は、前記コード取得手段で取得した前記第1コードと前記第2コードを記憶してもよい。
【0010】
また、本発明においては、前記暗証番号、前記第1コードおよび前記第2コードを他の端末装置へ移動させる移動手段を有し、前記移動手段で移動させた前記暗証番号、前記第1コードおよび前記第2コードを前記記憶手段から消去してもよい。
【0011】
また、本発明は、コンピュータを、タグが付される物品を一意に識別する第1コードと、前記第1コードと異なる領域に記憶される第2コードと、前記タグの暗証番号と、前記第1コードと前記第2コードが一致しているか否かを示す差分フラグとを記憶したタグから、前記第2コードと前記差分フラグを読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段で読み出した第2コードと異なる第2コードを生成するコード生成手段と、前記暗証番号、前記第1コードおよび前記コード生成手段で生成した第2コードを記憶する記憶手段と、前記コード生成手段で生成された第2コードと前記暗証番号を前記タグに送り、前記タグの第2コードを書き換える書き換え手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のタグを用いずともタグが付された物品の情報を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る装置を示した図。
【図2】タグ20のハードウェア構成を示したブロック図。
【図3】記憶領域251〜254に記憶される情報を示した図。
【図4】携帯電話機10のハードウェア構成を示したブロック図。
【図5】テーブルTB1の一例を示した図。
【図6】サーバー装置40のハードウェア構成を示したブロック図。
【図7】テーブルTB2の一例を示した図。
【図8】物品情報を表示する動作を説明するための図。
【図9】物品情報を物品の所有者以外に知られないようにする動作を説明するための図。
【図10】物品情報を表示する動作を説明するための図。
【図11】物品情報が表示されない時の動作を説明するための図。
【図12】所有者以外でも物品情報を表示可能にする時の動作を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る装置を示した図である。本実施形態においては、タグ20は、電磁誘導方式を採用したRFIDのシステムにおけるパッシブタグと同じ機能を有している。また、携帯電話機10A〜10Cは、RFIDの技術を用いたシステムにおけるリーダー/ライターの機能と、通信回線50を利用してサーバー装置40とデータ通信を行う機能を有している。なお、携帯電話機10A〜10Cは同じハードウェア構成であるため、以下、各々を特に区別する必要がない場合には、符号の末尾のアルファベットを省略して説明する。
サーバー装置40は、通信回線50に接続されており、通信回線50を利用して携帯電話機10とデータ通信を行う。タグ20は、物品30に付され、物品30を識別するための情報を記憶している。携帯電話機10とタグ20は、携帯電話機10から出力される電磁波を利用して通信を行う。携帯電話機10は、通信を行ってタグ20から情報を取得する。また、携帯電話機10は、サーバー装置40とデータ通信を行い、タグ20が付された物品30の情報をサーバー装置40から取得して表示する。
【0015】
(タグ20の構成)
図2は、本システムに係るタグ20のハードウェア構成を示したブロック図である。タグ20は、制御部21、アンテナ22、整流回路23、通信部24、および記憶部25を有している。
アンテナ22は、携帯電話機10との通信に使用される平面状のコイルアンテナであり、携帯電話機10から送られる電磁波を受信する。
整流回路23は、アンテナ22で受信された電磁波によってアンテナ22に流れる交流信号を整流し、タグ20を駆動する電力を得る回路である。タグ20は、この整流回路23により得られた電力で駆動される。
通信部24は、アンテナ22で受信された電磁波によってアンテナ22に流れる信号を復調し、復調により得られた情報を制御部21へ送る。また、通信部24は、電磁波を受信したことによりアンテナ22に流れる信号を制御部21から供給される情報に応じて変調する。これにより、情報を表す電磁波がアンテナ22から送信される。
【0016】
制御部21は、通信部24と記憶部25に接続されている。制御部21は、記憶部25を制御し、記憶部25への情報の書き込みや記憶部25からの情報の読み出しを行う。また、制御部21は、読み出した情報を携帯電話機10へ送るため、記憶部25から読み出した情報を通信部24へ供給する。
【0017】
記憶部25は、不揮発性メモリーであり、図3に示したように記憶領域251〜記憶領域254が設けられている。
記憶領域251は、第1コードを記憶する領域である。第1コードは、物品30を識別するコードであり、タグ20が付される物品に固有のコード、即ち、物品を一意に識別するコードとなっている。なお、第1コードは、EPC(Electronic Product Code)であってもよい。
記憶領域252は、第2コードを記憶する領域である。第2コードは、物品30を識別するコードであり、携帯電話機10が管理するコードである。なお、本実施形態においては、第2コードは4桁の整数となっているが、4桁に限定されるものではなく、3桁以下または5桁以上のコードであってもよい。
記憶領域253は、PIN(Personal Identification Number)を記憶する領域である。PINは、第2コードを書き換える際に暗証番号として使用される情報であり、本実施形態では、4桁の整数となっている。
記憶領域254は、差分フラグを記憶する領域である。差分フラグは、記憶領域252に記憶されているコードと記憶領域251に記憶されているコードが同じであるか否かを示すフラグであり、「0」または「1」の値になる。記憶領域252に記憶されているコードと記憶領域251に記憶されているコードとが同じである場合には、差分フラグの値は0にされ、記憶領域252に記憶されているコードと記憶領域251に記憶されているコードとが異なる場合には、差分フラグの値は1にされる。
【0018】
(携帯電話機10の構成)
図4は、携帯電話機10のハードウェア構成を示したブロック図である。図4に示したように、携帯電話機10の各部は、バス101に接続されている。携帯電話機10の各部は、このバス101を介して各部間でデータの授受を行う。
【0019】
第1通信部108Aは、無線通信を行うインターフェースとしての機能を有しており、CPU(Central Processing Unit)102の制御の下、第1通信部108Aに接続されているアンテナ(図示略)を介して、通信回線50に接続された無線基地局との間で無線通信を行う。第1通信部108Aは、音声通信とデータ通信を同時に行うことが可能であり、音声信号や、データ通信で用いられるデータの送受信を行う。
第1通信部108Aは、無線基地局から送信された音声信号やデータを受信すると、音声信号を通話部109へ供給し、データをCPU102へ供給する。第1通信部108Aは、CPU102からデータが供給されると、このデータを無線基地局へ送信する。第1通信部108Aは、通話部109から音声信号が供給されると、この音声信号を無線基地局へ送信する。
通話部109は、図示を省略したマイク、スピーカを有している。通話部109は、マイクに音声が入力されると、入力された音声を表す音声信号を生成し、この音声信号を第1通信部108Aへ供給する。また、通話部109は、第1通信部108Aから音声信号が供給されると、この音声信号をスピーカへ供給する。
【0020】
第2通信部108Bは、タグ20との通信に使用される平面状のコイルアンテナを有しており、タグ20から送られる電磁波を受信する。第2通信部108Bは、CPU102から供給される情報に応じて交流信号を変調し、変調により得られた信号をコイルアンテナに供給する。これにより、CPU102から供給された情報を表す電磁波がコイルアンテナから送信される。また、第2通信部108Bは、コイルアンテナで受信された電磁波によってコイルアンテナに流れる信号を復調し、復調により得られた情報をCPU102へ供給する。
操作部106は、図示を省略したテンキーなどの複数のキーを有している。携帯電話機10のユーザが操作部106を操作すると、操作されたキーを示す信号が操作部106からCPU102へ供給される。CPU102は、供給された信号を基に操作されたキーを特定し、操作されたキーに応じて各部を制御する。
表示部107は、画像を表示する表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ)を有しており、CPU102の制御の下、種々の情報を表示する。
【0021】
ROM(Read Only Memory)103には、CPU102により実行される各種プログラムが記憶されており、IPL(Initial Program Loader)、CPU102および携帯電話機各部の初期化を行う初期化プログラム、携帯電話機10の全体を制御するOS(Operating System)プログラム、データ通信の機能や音声通信の機能を実現するプログラムなどが記憶されている。RAM(Random Access Memory)104は、CPU102がプログラムを実行するときの作業エリアとして使用され、CPU102がプログラムを実行するときに使用するデータが記憶される。
【0022】
CPU102は、携帯電話機10の各部を制御するものである。携帯電話機10において図示を省略した電源が入れられると、CPU102が、ROM103からIPLを読み出して実行する。CPU102は、IPLを実行すると、ROMから初期化プログラムを読み出して実行し、CPU102の初期化および携帯電話機10各部の初期化を行う。また、CPU102は、ROM103からOSプログラムや各種プログラムを読み出し実行する。CPU102がプログラムを実行すると、携帯電話機10は、音声通信やデータ通信、タグ20との通信を行うことが可能となる。
【0023】
記憶部105は、不揮発性メモリーを有しており、第1コード、第2コードおよびPINを格納したテーブルTB1を記憶する。図5は、テーブルTB1の一例を示した図である。このテーブルTB1においては、複数の第1コード、第2コードおよびPINを格納することができる。
【0024】
[サーバー装置40の構成]
図6は、サーバー装置40のハードウェア構成を示した図である。サーバー装置40の各部は、バス401に接続されており、このバス401を介して各部間でデータの授受を行う。
【0025】
通信部408は、通信回線50に接続されている。通信部408は、通信回線50を介したデータ通信を行うインターフェースとして機能する。
操作部406は、キーボードやマウス等、サーバー装置40を操作するための装置を備えている。サーバー装置40の操作者によりこれらの装置が操作されると、行われた操作に応じてCPU402が各種処理を行う。
表示部407は、表示装置として液晶ディスプレイを有しており、CPU402の制御の下、サーバー装置40を操作するためのメニュー画面やサーバー装置40が有するデータなどを表示する。
【0026】
記憶部405は、記憶装置としてハードディスク装置を有しており、サーバー装置40においてオペレーティングシステムの機能を実現するプログラムを記憶している。また、記憶部405は、第1コードと、第1コードで識別される物品30に関する情報(以下、物品情報という)を対応付けたテーブルTB2記憶している。例えば、「A0001」という第1コードで識別される物品30の種別が長袖Tシャツであり、サイズがLサイズ、色が白、メーカーが「○○会社」である場合、図7に示したように、第1コードに対応付けて「○○会社、長袖Tシャツ、Lサイズ、白」という情報がテーブルTB2に格納される。
【0027】
ROM403は、IPLを記憶している。サーバー装置40の電源が入れられると、CPU402はROM403からIPLを読み出して起動する。CPU402によりIPLが起動されると、記憶部405に記憶されているプログラムがRAM404を作業エリアにして実行され、記憶部405へのアクセス機能やデータ通信を行う通信機能等、通信部408にて携帯電話機10から送信された第1コードを受信すると、テーブルTB2において第1コードに対応づけられている情報を読み出して携帯電話機10へ送信する機能等が実現する。
【0028】
[実施形態の動作]
次に、本実施形態の動作例について説明する。なお、以下の説明においては、物品30は店の商品であり、携帯電話機10Aは店に訪れた客の携帯電話機、携帯電話機10Bは、店の携帯電話機である場合を想定して動作説明を行う。また、以下の説明においては、タグ20の第1コードが「A0001」、第2コードが「A0001」、PINが「1234」、差分フラグが「0」となっており、タグ20の第1コード(A0001)、第2コード(A0001)、PIN(1234)が物品30の製造元から店に送られて携帯電話機10Bに予め記憶されている場合を想定する。
【0029】
(店での物品情報の取得)
まず、客が店で物品30の物品情報を得る場合の動作について説明する。客は、物品30の物品情報を得る場合、タグ20に携帯電話機10Aを近づけ、タグ20の情報の取得を指示する操作を操作部106において行う。
携帯電話機10Aにおいては、タグ20の情報の取得を指示する操作が行われると、CPU102が、情報を要求するコマンドを第2通信部108Bへ供給する。第2通信部108Bが、このコマンドを受け取ると、このコマンドを表す電磁波がコイルアンテナから送信される(ステップSA1)。
【0030】
情報を要求するコマンドを表す電磁波がアンテナ22で受信されると、制御部21は、記憶部25に記憶されている第2コード「A0001」および差分フラグ「0」を読み出す(ステップSA2)。次に制御部21は、読み出した第2コードおよび差分フラグを通信部24へ供給する。通信部24が、各コードと差分フラグを受け取ると、受け取った各コードと差分フラグを表す電磁波がアンテナ22から送信される(ステップSA3)。
【0031】
この第2コードと差分フラグを表す電磁波が携帯電話機10Aの第2通信部108Bで受信されると、携帯電話機10AのCPU102は、第2通信部108Bから供給される差分フラグの値を判断する。ここで、受信された差分フラグの値が「0」であると、CPU102は、受信したコード「A0001」を第1通信部108Aへ送る。第1通信部108Aは、このコードを受け取ると、受け取ったコードをサーバー装置40へ送信する(ステップSA4)。
【0032】
このコードが通信部408で受信されると、CPU402は、受信したコードをテーブルTB2において検索する。CPU402は、受信したコードと同じコードをテーブルTB2において見つけると、検索したコードに対応付けられている物品情報(○○会社、長袖Tシャツ、Lサイズ、白)を読み出し、読み出した物品情報を通信部408へ供給する。通信部408は、供給された物品情報を携帯電話機10Aへ送信する(ステップSA5)。
【0033】
この物品情報が携帯電話機10Aの第1通信部108Aで受信されると、携帯電話機10AのCPU102は、受信した物品情報「○○会社、長袖Tシャツ、Lサイズ、白」を表示部107に表示させる(ステップSA6)。物品情報には、物品の種別、物品のメーカー、サイズ、色の情報が含まれているため、客は、物品30に触れることなく、物品30のメーカーやサイズなどを知ることができる。
【0034】
(物品情報を保護する場合の動作)
次に、客が購入した物品の物品情報を物品の所有者以外に知られないようにする場合の動作について説明する。
まず、客が物品30を購入すると、店の店員は、携帯電話機10Bをタグ20に近づけ、タグ20の情報の取得を指示する操作を操作部106において行う。この操作が行われると、上述した動作と同様に、情報を要求するコマンドがタグ20へ送られる。また、第2コード及び差分フラグがタグ20から携帯電話機10Bへ送信される。また、受信したコードが携帯電話機10Bからサーバー装置40へ送信され、サーバー装置40から携帯電話機10Bへ物品情報が送信されて携帯電話機10Bの表示部107に物品情報が表示される。
【0035】
次に、客が、携帯電話機10Aを操作し、第2通信部108Bを通信可能な状態にする。また、店員は、携帯電話機10Bを客の携帯電話機10Aに近づけ、タグ20の情報を譲渡する操作を操作部106において行う。携帯電話機10BのCPU102は、タグ20の情報を譲渡する操作が行われると、タグ20から受信した第2コード「A0001」に対応付けられている「1234」というPINと、第2コードに対応付けられている第1コード「A0001」を記憶部105から読み出す(ステップSB1)。次に、携帯電話機10BのCPU102は、情報の譲渡を表すコマンド、読み出したPINと第1コード、タグ20から受信した第2コードを第2通信部108Bへ供給する。なお、ここで、CPU102は、第2コードを第2通信部108Bへ供給しなくてもよい。携帯電話機10Bの第2通信部108Bが、このコマンドと各コードおよびPINを受け取ると、コマンド、各コードおよびPINを表す電磁波がコイルアンテナから送信される(ステップSB2)。なお、携帯電話機10BのCPU102は、送信した「1234」というPINと第1コードおよび第2コードを、PINを送信した後に記憶部105から消去する(ステップSB3)。
【0036】
情報の譲渡を表すコマンド、各コードおよびPINを表す電磁波が携帯電話機10Aの第2通信部108Bで受信されると、携帯電話機10AのCPU102は、受信した第1コード、第2コードおよびPINを対応付けて記憶部105に記憶させる(ステップSB4)。携帯電話機10AのCPU102は、第1コード、第2コードおよびPINを記憶部105に記憶させると、記憶した第2コードの書き換えを促すメッセージを表示部107に表示する(ステップSB5)。
ここで、客が、携帯電話機10Aをタグ20に近づけ、第2コードの書き換えを指示する操作を携帯電話機10Aの操作部106において行うと、携帯電話機10AのCPU102は、乱数により第2コードを生成し(ステップSB6)、第2コードの書き換えを指示するコマンド、生成した第2コードおよび受信したPINとを第2通信部108Bへ供給する。これにより、例えば、生成された第2コードが「1111」である場合、第2コードの書き換えを指示するコマンド、「1111」という第2コードおよびPINを表す電磁波が携帯電話機10Aからタグ20へ送られる(ステップSB7)。
また、携帯電話機10AのCPU102は、受信した「1234」というPINおよび「A0001」という第1コードに対応付けて記憶部105に記憶されている「A0001」という第2コードを、生成した「1111」という第2コードに書き換える(ステップSB8)。
【0037】
第2コードの書き換えを指示するコマンド、第2コードおよびPINを表す電磁波がアンテナ22で受信されると、制御部21は、受信したPINと記憶部25に記憶されているPINを比較する。ここで、制御部21は、受信したPINと記憶しているPINが同じである場合には、記憶部25に記憶されている「A0001」という第2コードを、受信した「1111」という第2コードに書き換え、また、差分フラグの値を「1」に書き換える(ステップSB9)。これにより、客が購入した物品30に付されているタグ20には、携帯電話機10Aが記憶した「1111」という第2コードが書き込まれた状態となる。
【0038】
なお、本実施形態においては、第2コードの書き換えを促すメッセージを表示し、第2コードの書き換えを指示する操作が行われると第2コードの書き換えが行われるが、携帯電話機10のCPU102は、第1コード、第2コードおよびPINを記憶部105に記憶させると、メッセージを表示せずに第2コードを生成し、第2コードの書き換えを行うようにしてもよい。また、物品30の物品情報が表示されている状態で第2コードの書き換えを指示する操作が行われると、第2コードの書き換えを行うようにしてもよい。
【0039】
(差分フラグが1のタグ20と通信を行った時の動作)
次に、上述した動作により差分フラグが「1」となったタグ20と携帯電話機10が通信を行った時の動作について説明する。なお、以下の説明においては、まず、タグ20に記憶されている第2コードを記憶した携帯電話機10Aがタグ20と通信を行う場合の動作を説明し、次に、タグ20に記憶されている第2コードを記憶していない携帯電話機10Cがタグ20と通信を行う場合の動作について説明する。
【0040】
携帯電話機10Aの所有者は、店で購入した物品30の物品情報を得る場合、タグ20に携帯電話機10Aを近づけ、タグ20の情報の取得を指示する操作を操作部106において行う。この操作が行われてタグ20の情報を要求するコマンドがタグ20へ送られると(ステップSC1)、制御部21は、記憶部25に記憶されている「1111」という第2コードおよび値が「1」となっている差分フラグを読み出す(ステップSC2)。次に制御部21は、読み出した第2コードと差分フラグを通信部24へ供給する。通信部24が、第2コードと差分フラグを受け取ると、受け取った第2コードと差分フラグを表す電磁波がアンテナ22から送信される(ステップSC3)。
【0041】
この第2コードと差分フラグを表す電磁波が携帯電話機10Aの第2通信部108Bで受信されると、携帯電話機10AのCPU102は、差分フラグの内容を判断する。ここで、受信された差分フラグの値は「1」であるため、携帯電話機10AのCPU102は、受信した「1111」という第2コードを記憶部105において検索する(ステップSC4)。ここで、上述した動作により「1111」という第2コードが記憶部105に記憶されているため、携帯電話機10AのCPU102は、検索した第2コードを見つけると、検索した第2コードに対応付けられている「A0001」という第1コードを第1通信部108Aへ供給する。第1通信部108Aは、このコードを受け取ると、受け取ったコードをサーバー装置40へ送信する(ステップSC5)。
サーバー装置40がコードを受信すると、受信したコードに対応付けて記憶部405に記憶されている物品情報が上述した動作と同様に携帯電話機10Aに送信され(ステップSC6)、携帯電話機10Aにおいて、物品情報が表示される(ステップSC7)。
【0042】
次に、タグ20に記憶されている「1111」という第2コードを記憶していない携帯電話機10Cが、タグ20と通信を行った時の動作について説明する。
携帯電話機10Cの所有者は、物品30の物品情報を得ようとする場合、タグ20に携帯電話機10Cを近づけ、タグ20の情報の取得を指示する操作を操作部106において行う。この操作が行われてタグ20の情報を要求するコマンドがタグ20へ送られると(ステップSD1)、制御部21は、上述した動作と同様にして、記憶していている第2コードと差分フラグを携帯電話機10Cへ送信する(ステップSD2、ステップSD3)。
【0043】
この第2コードと差分フラグを表す電磁波が携帯電話機10Cの第2通信部108Bで受信されると、携帯電話機10CのCPU102は、受信した差分フラグの値が「1」であるため、受信した「1111」という第2コードを記憶部105において検索する(ステップSD4)。ここで、携帯電話機10Cの記憶部105には「1111」という第2コードが記憶されていないため、CPU102は、「1111」という第2コードを見つけられず、第2コードに対応付けられた第1コードを記憶部105から得られない。CPU102は、記憶部105において、検索した第2コードを見つけられなかった場合、物品情報を表示できないことを知らせるメッセージを表示部107に表示させる(ステップSD5)。
【0044】
このように、物品30の所有者の携帯電話機10A以外で物品情報を表示させようとしても物品情報が表示されないため、物品30の所有者以外に物品30の物品情報を知られることを防ぐことができる。
【0045】
(物品の所有者以外でも物品情報を表示可能にする時の動作)
次に、タグ20の第2コードを記憶していない携帯電話機10Cにおいて、物品情報を表示できるようにする時の動作について説明する。
まず、携帯電話機10Aの所有者は、タグ20に携帯電話機10Aを近づけ、タグ20の情報の取得を指示する操作を操作部106において行う。この操作が行われて情報を要求するコマンドがタグ20へ送られると、タグ20から第2コードと差分フラグが携帯電話機10Aへ送られ、携帯電話機10Aがサーバー装置40から物品情報を取得して物品30の物品情報が表示される。
【0046】
次に、携帯電話機10Cの所有者は、携帯電話機10Cを操作し、第2通信部108Bをコマンドの受信が可能な状態にする。また、携帯電話機10Aの所有者は、携帯電話機10Aを携帯電話機10Cに近づけ、タグ20の情報を開示する操作を操作部106において行う。
携帯電話機10AのCPU102は、タグ20の情報を開示する操作が行われると、タグ20から受信した第2コードに対応付けられている第1コードを記憶部105から読み出す(ステップSE1)。ここで、携帯電話機10Aにおいては、「1111」という第2コードに「A0001」という第1コードが対応付けて記憶されているため、「A0001」という第1コードが読み出される。
次に携帯電話機10AのCPU102が、情報の開示を表すコマンド、読み出した第1コード、および受信した第2コードとを第2通信部108Bへ供給すると、このコマンド、第1コードおよび第2コードを表す電磁波が携帯電話機10Cへ送信される(ステップSE2)。このコマンド、第1コードおよび第2コードを表す電磁波が携帯電話機10Cの第2通信部108Bにて受信されると、携帯電話機10CのCPU102は、受信した第1コードと第2コードを対応付けて記憶部105に記憶させる(ステップSE3)。
【0047】
次に、タグ20に携帯電話機10Cを近づけ、タグ20の情報の取得を指示する操作を操作部106において行うと、情報を要求するコマンドがタグ20へ送られる(ステップSE4)。すると、タグ20は、上述した動作と同様に、記憶していている第2コードと差分フラグを表す電磁波を携帯電話機10Cへ送信する(ステップSE5)。
【0048】
この第2コードと差分フラグが携帯電話機10Cの第2通信部108Bで受信されると、携帯電話機10CのCPU102は、差分フラグの値を判断する。受信された差分フラグの値は「1」であるため、CPU102は、受信した「1111」という第2コードを記憶部105において検索する(ステップSE6)。ここで、携帯電話機10Cの記憶部105においては、上述した動作により、「1111」という第2コードに対応付けて「A0001」という第1コードが記憶されているため、検索した第2コードに対応付けられている第1コードを第1通信部108Aへ供給する。第1通信部108Aは、このコードを受け取ると、受け取ったコードをサーバー装置40へ送信する(ステップSE7)。
サーバー装置40がコードを受信すると、受信したコードに対応付けて記憶部405に記憶されている物品情報が上述した動作と同様に携帯電話機10Cに送信され(ステップSE8)、携帯電話機10Cにおいて物品情報が表示される(ステップSE9)。
【0049】
このように、本実施形態によれば、物品30の所有者でなくても、物品30の所有者から第2コードと第1コードを取得し、物品30の物品情報を表示させることができる。
【0050】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよく、各変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0051】
上述した実施形態においては、携帯電話機10がタグ20の情報を読み取って物品情報を表示しているが、タグ20の情報を読み取って物品情報を表示する装置は、携帯電話機10に限定されるものではない。例えば、PDA(Personal Digital Assistants)や携帯型のゲーム機など、携帯型のコンピュータ装置にRFIDのリーダー/ライターの機能とデータ通信の機能を持たせ、これらの装置でタグ20から情報を取得し、物品情報を表示するようにしてもよい。
【0052】
上述した実施形態においては、携帯電話機10Bと携帯電話機10Aとの間で第1コード、第2コードおよびPINを授受する場合、これらの情報を、第2通信部108Bを用いて授受しているが、これらの情報を授受する方法は、第2通信部108Bを用いる方法に限定されるものではない。例えば、電波、光、赤外線などを用いた近距離通信により情報を授受してもよく、また、電子メールを用いて情報を授受してもよい。
【0053】
上述した実施形態においては、タグ20の第2コードを書き換える際、携帯電話機10が乱数を用いて生成したコードを第2コードとしているが、物品の所有者が第2コードを携帯電話機10に入力し、入力された第2コードをタグ20に送信してタグ20の第2コードを書き換えるようにしてもよい。
【0054】
本発明においては、タグ20のPINを記憶している携帯電話機10がタグ20から第2コードを受信する毎に、携帯電話機10が新たに第2コードを生成してタグ20の第2コードを書き換えるようにしてもよい。
【0055】
タグ20に書き込まれている差分フラグは、物品30の製造元において値を「1」にして出荷してもよい。この場合、物品を店に配送する途中で何者かがタグ20の情報を得ようとしても、タグ20からは第1コードが送信されないため、配送されている物品30の物品情報を見ることができない。
【0056】
タグ20からの情報の読み出しおよびタグ20への情報の書き込みを行う機能を実現するプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリーなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し、携帯電話機10にインストールしてもよい。また、このプログラムを通信回線を介してダウンロードしてインストールしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10、10A、10B、10C・・・携帯電話機、20・・・タグ、21・・・制御部、
22・・・アンテナ、23・・・整流回路、24・・・通信部、25・・・記憶部、30・・・物品、40・・・サーバー装置、50・・・通信回線、101・・バス、102・・CPU、103・・ROM、104・・RAM、105・・記憶部、106・・操作部、107・・表示部、108A・・第1通信部、108B・・第2通信部、109・・通話部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグが付される物品を一意に識別する第1コードと、前記第1コードと異なる領域に記憶される第2コードと、前記タグの暗証番号と、前記第1コードと前記第2コードが一致しているか否かを示す差分フラグとを記憶したタグから、前記第2コードと前記差分フラグを読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段で読み出した第2コードと異なる第2コードを生成するコード生成手段と、
前記暗証番号、前記第1コードおよび前記コード生成手段で生成した第2コードを記憶する記憶手段と、
前記コード生成手段で生成された第2コードと前記暗証番号を前記タグに送り、前記タグの第2コードを書き換える書き換え手段と
を有する端末装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、複数のタグ毎に、各タグの前記第1コード、前記第2コードおよび前記暗証番号を対応付けて記憶すること
を特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記読み出し手段が読み出した前記第2コードに対応する前記第1コードを前記記憶手段から読み出し、読み出した第1コードで識別される物品の物品情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得した物品情報を表示する表示手段と
を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記第1コードと前記第2コードを他の端末装置から取得するコード取得手段を有し、
前記記憶手段は、前記コード取得手段で取得した前記第1コードと前記第2コードを記憶すること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項5】
前記暗証番号、前記第1コードおよび前記第2コードを他の端末装置へ移動させる移動手段を有し、
前記移動手段で移動させた前記暗証番号、前記第1コードおよび前記第2コードを前記記憶手段から消去すること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の端末装置。
【請求項6】
コンピュータを、
タグが付される物品を一意に識別する第1コードと、前記第1コードと異なる領域に記憶される第2コードと、前記タグの暗証番号と、前記第1コードと前記第2コードが一致しているか否かを示す差分フラグとを記憶したタグから、前記第2コードと前記差分フラグを読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段で読み出した第2コードと異なる第2コードを生成するコード生成手段と、
前記暗証番号、前記第1コードおよび前記コード生成手段で生成した第2コードを記憶する記憶手段と、
前記コード生成手段で生成された第2コードと前記暗証番号を前記タグに送り、前記タグの第2コードを書き換える書き換え手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−158997(P2011−158997A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18429(P2010−18429)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、研究開発委託「ユビキタス・プラットフォーム技術の研究開発(ユビキタス端末技術の研究開発)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】