説明

筐体及び基地局

【課題】基地局の設置環境に応じてケーブルの引き回しを容易にするとともに、ケーブルの長さの最適化を図りつつ景観に優れた、ケーブルの取り付け方法や取り付け部材等の共通化を図ることができ、さらには現地加工を必要としない、作業スペースを有効利用することができる筐体、基地局を提供することを目的とする。
【解決手段】第1ケーブル12が接続された第1筐体10と、第1筐体10と平面視重なる位置に配置されるとともに第2ケーブル22が接続された第2筐体20と、を有し、第1筐体10と第2筐体20の少なくとも一方が、第1ケーブル12の接続方向と第2ケーブルの接続方向22とが異なるように変更可能になっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体及び基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機、PHS(Personal Handy-phone System)端末等の無線端末との間で無線通信を行うための基地局が使用されている。この基地局は、内部に電源装置等の各種デバイスを収容する筐体を備えている。また、筐体外部には、例えば、アンテナ入出力用、電源入力用、外部装置接続用、センターとの接続用コネクタ等、多種多様な外部インターフェース接続用のコネクタが設けられている。そして、各種コネクタにはそれぞれの機能に応じて各種ケーブルが接続される。
【0003】
ところで、ケーブルが接続されるコネクタの配置構造は、設計・出荷時に決定される。また、基地局は一般に屋外に設けられるとともに、建築構造物の外壁や電柱等に取り付けられる。このような事情から、基地局のコネクタに接続されるケーブルの引き回しにより、設置環境に対応した設置をしたり基地局の設置向きを変えたりすることで、ケーブルの接続方向の制約をうけつつ基地局の取り付けが行われている。
【0004】
コネクタの配置構造として、例えば特許文献1では、ケーブルに接続されるコネクタが複数設けられたケーブルアライナにおいて、各ケーブルが接続された各コネクタが同一面上に配置されている構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006‐252952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、ケーブルに接続されるコネクタが予め全て同一面に固定されているため、基地局の設置環境によってはスペースに余裕がなくケーブルの引き回しが困難な場合がある。これにより、ケーブルの長さが必要以上に長くなるとともに、ケーブルの引き回しが煩雑となり景観が損なわれるおそれがある。
また、ケーブルの取り付け方法や取り付け部材等の共通化を図ることが困難となったり、現地加工が必要となったりする場合がある。
さらに、基地局の設置スペースやケーブルの引き回しスペース等、作業スペースの制限により、基地局自体が設置できないおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した事情を鑑みたものであり、基地局の設置環境に応じてケーブルの引き回しを容易にするとともに、ケーブルの長さの最適化を図りつつ景観に優れた、ケーブルの取り付け方法や取り付け部材等の共通化を図ることができ、さらには現地加工を必要としない、作業スペースを有効利用することができる筐体、基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る筐体は、第1ケーブルが接続された第1筐体と、前記第1筐体と平面視重なる位置に配置されるとともに第2ケーブルが接続された第2筐体と、を有し、前記第1筐体と前記第2筐体の少なくとも一方が、前記第1ケーブルの接続方向と前記第2ケーブルの接続方向とが異なるように変更可能になっている、という手段を採用する。
【0009】
また、本発明に係る筐体は、前記第1筐体と前記第2筐体の少なくとも一方が、前記第1筐体と前記第2筐体とが重なる方向に平行な軸を基準として回転可能になっている、という手段を採用する。
【0010】
また、本発明に係る筐体は、前記第1筐体及び前記第2筐体が平面視回転対称となっている、という手段を採用する。
【0011】
また、本発明に係る筐体は、前記第1筐体及び前記第2筐体が平面視矩形である、という手段を採用する。
【0012】
また、本発明に係る筐体は、前記第1筐体及び前記第2筐体が平面視正方形である、という手段を採用する。
【0013】
また、本発明に係る筐体は、前記第1筐体及び前記第2筐体が防水構造になっている、という手段を採用する。
【0014】
本発明に係る基地局は、前述した本発明に係る筐体を備えている、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1ケーブルの接続方向と第2ケーブルの接続方向とが異なるように第1筐体と第2筐体の少なくとも一方を変更可能なので、各ケーブルが接続された各コネクタが同一面上に配置された構造に比べて設置環境に柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る基地局の外観を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る筐体の構成を示す模式図である。
【図3】第1実施形態に係る筐体の変更状態を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る筐体のケーブル接続状態を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る筐体の設置環境を示す斜視図である。
【図6】第2実施形態に係る筐体の構成を示す斜視図である。
【図7】第3実施形態に係る筐体の構成を示す模式図である。
【図8】第4実施形態に係る筐体の構成を示す模式図である。
【図9】従来の基地局の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る基地局の外観を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る筐体1の構成を示す模式図である。なお、図1(a)は基地局100の外観を示す斜視図である。図1(b)は基地局100とは異なる形態の基地局100Aの外観を示す斜視図である。図2(a)は筐体1の平面図である。図2(b)は筐体1を図2(a)に示す矢視Aから視た図である。図2(c)は筐体1を図2(a)に示す矢視Bから視た図である。また、図2においては、便宜上、ケーブル(第1ケーブル及び第2ケーブル)の図示を省略している。また、図2(c)においては、便宜上、第1筐体10及び第2筐体20を破線で示すとともに、筐体1内部の各種デバイスを実線で示している。
【0019】
基地局は、屋外に設置され、携帯電話機、PHS端末等の無線端末との間で無線通信を行うためのものである。図1(a)に示すように、基地局100は、筐体1と、建柱(建築構造物)40と、を有している。なお、図1(b)においては、筐体1と、建柱40と、建柱40に固定された支持部41と、を有する基地局100Aを示している。
【0020】
筐体1は、第1ケーブル12が接続される第1コネクタ11が設けられた第1筐体10と、第1筐体10と平面視重なる位置に配置されるとともに第2ケーブル22が接続される第2コネクタ21が設けられた第2筐体20と、を有している。また、第1筐体10と第2筐体20の少なくとも一方が、第1ケーブル12の接続方向と第2ケーブル22の接続方向とが異なるように変更可能な構造を有している。
【0021】
なお、図1(a)においては、第1ケーブル12の接続方向と第2ケーブル22の接続方向とが互いに反対方向になるように第1筐体10と第2筐体20の少なくとも一方が変更されている。一方、図1(b)においては、第1ケーブル12の接続方向と第2ケーブル22の接続方向とが互いに同じ方向になるように第1筐体10と第2筐体20の少なくとも一方が変更されている。
【0022】
これら第1筐体10及び第2筐体20の内部には、電波の送受信を行う無線制御ユニットや、電源装置、パワーアンプ等の各種デバイスが設けられている。具体的には、図2(c)に示すように、第1筐体10の内部にAD変換器等のデジタルユニット26が設けられており、第2筐体20の内部にパワーアンプ27が設けられている。そして、デジタルユニット26とパワーアンプ27は、可撓性を有するフレキシブル基板28を介して接続されている。このため、第1筐体10と第2筐体20の少なくとも一方が第1ケーブル12の接続方向と第2ケーブル22の接続方向とが異なるように変更されても、デジタルユニット26とパワーアンプ27との接続状態が維持されるようになっている。
【0023】
筐体1の外部に接続されるコネクタ11,21としては、例えば、アンテナ入出力用、電源入力用、外部装置接続用、センターとの接続用コネクタ(中央のシステムとの通信用)等、多種多様な外部インターフェース接続用のコネクタがある。また、各種コネクタにはそれぞれの機能に応じて各種ケーブルが接続される。本実施形態では、第1筐体10に外部インターフェース用のコネクタ11が4つ配置されているとともに、第2筐体20に外部インターフェース用のコネクタ21が2つ配置されている。
【0024】
また、第1筐体10及び第2筐体20は、内部の各種デバイスを風雨から保護するための密閉構造となっている。そのため、内部の各種デバイスが動作とともに発する熱を、第1筐体10及び第2筐体20を介して放熱することで、筐体1内部の冷却を行うようになっている。第1筐体10及び第2筐体20は、高い熱伝導率を有する金属を用いて形成されている。
【0025】
また、第1筐体10と第2筐体20は、パッチン錠等の固定具25によって固定されている。具体的には、第1筐体10と第2筐体20の少なくとも一方の配置を変更する際は、固定具25によって固定されていない状態(パッチン錠のロックが解除されている状態)で、第1コネクタ11の接続方向と第2コネクタ21の接続方向とが変更される。一方、第1筐体10と第2筐体20の少なくとも一方が所望の配置に設定された際は、第1筐体10と第2筐体20を固定具25によって固定された状態(パッチン錠がロックされた状態)とすることができる。すなわち、第1筐体10と第2筐体20は、常に固定具25によって固定されているのではなく、必要に応じて適宜配置を変更することができる。
【0026】
また、第1筐体10及び第2筐体20は、平面視回転対称となっている。本実施形態では、第1筐体10及び第2筐体20は平面視矩形(長方形)であり、2回対称となっている。例えば、変更前において第1筐体10及び第2筐体が重なり合っている場合、第1筐体10を第2筐体20に対して180度向きを変えると、変更前と同様に重なり合うことになる。このため、第1筐体10及び第2筐体20が平面視回転対称となっていない場合に比べて、景観が損なわれることなく見栄えの向上を図ることができる。
【0027】
また、第1筐体10及び第2筐体20を平面視矩形(長方形)とすることにより、2方向の接続方向を選択することができ、設置環境に柔軟に対応可能となる。また、第1筐体10及び第2筐体20の内部に収容される各種デバイスは一般に平面視矩形に形成されているため、各種デバイスのサイズに容易に適合させることが可能となる。
【0028】
筐体1は、建柱40に直接設置されたり(図1(a))、建柱40に直交して固定された支持部41に設置されたりしている(図1(b))。また、筐体1は、ボルト等の締結部材(図示略)を用いて着脱自在に設置されている。具体的には、第1筐体10が締結部材によって建柱40あるいは支持部41に設置されている。これにより、第2筐体20が、第1コネクタ11の接続方向と第2コネクタ21の接続方向とが異なるように変更可能になっている。
【0029】
建柱40は、略円柱状の建築構造物である。建柱40の形成材料としては、例えばコンクリートを用いることができる。この建柱40は、電線等を架け渡すための電柱として使用されるものであり、地面に対して鉛直方向に立設されている。
【0030】
図1(a)に示すように、筐体1は建柱40の上端側に配置されている。筐体1の一端(第1筐体10の第1コネクタ11)に接続された第1ケーブル12は、建柱40の下方に引き回されている。一方、筐体1の他端(第2筐体20の第2コネクタ21)に接続された第2ケーブル22は、建柱40の上方に引き回されている。
【0031】
図1(b)に示すように、筐体1は建柱40の上端側に固定された支持部41に配置されている。第1筐体10の第1コネクタ11に接続された第1ケーブル12は、支持部41上を経由して建柱40の下方に引き回されている。一方、第2筐体20の第2コネクタ21に接続された第2ケーブル22は、支持部41上を経由して建柱40の上方に引き回されている。
【0032】
図9は、従来の基地局の外観を示す斜視図である。なお、図9(a)は基地局1100の外観を示す斜視図である。図9(b)は基地局1100とは異なる基地局1100Aの外観を示す斜視図である。また、図9(a)は図1(a)に対応する従来の基地局1100のケーブル引き回し状態を示す図である。図9(b)は図1(b)に対応する従来の基地局1100Aのケーブル引き回し状態を示す図である。
【0033】
図9(a)に示すように、基地局1100は、建柱1040に筐体1001が設置された構造となっている。筐体1001の一端には第1コネクタ1011及び第2コネクタ1021が同一面に配置されている。第1コネクタ1011に第1ケーブル1012が接続されるとともに、第2コネクタ1021に第2ケーブル1022が接続されている。このような構成の場合、建柱1040に筐体1001を設置する際にケーブルの接続方向の制約をうけることになる。その結果、第1ケーブル1012及び第2ケーブル1022が必要以上に湾曲し、各ケーブルの引き回しが煩雑となっていることが認められる。
【0034】
図9(b)に示すように、基地局1100Aは、建柱1040に固定された支持部1041に筐体1001が設置された構造となっている。筐体1001Aの一端には第1コネクタ1011が配置されているとともに、筐体1001の他端(筐体1001Aの一端と反対側の端部)には第2コネクタ1021が配置されている。第1コネクタ1011に第1ケーブル1012が接続されるとともに、第2コネクタ1021に第2ケーブル1022が接続されている。このような構成の場合、支持部1041に筐体1001Aを設置する際にケーブルの接続方向の制約をうけることになる。その結果、第2ケーブル1022の長さが必要以上に長くなるとともに、第2ケーブル1022の引き回しが煩雑となっていることが認められる。
【0035】
これに対して本実施形態の基地局100,100Aでは、筐体1から引き回される第1ケーブル12の引き回しがそれぞれ従来の基地局1100,1100Aに比べて整然としていることが認められる(図1参照)。
【0036】
図3は、本実施形態に係る筐体1の変更状態を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る筐体1のケーブル接続状態を示す斜視図である。なお、図3(a)は筐体1の変更前の状態を示す図である。図3(b)は筐体1の変更中の状態を示す図である。図3(c)は筐体1の変更後の状態を示す図である。また、図4(a)は図3(a)に対応する筐体1の変更前の状態を示す図である。図4(b)は図3(c)に対応する筐体1の変更後の状態を示す図である。また、図3においては、便宜上、ケーブル(第1ケーブル及び第2ケーブル)の図示を省略している。また、図3においては、第1筐体10が不図示の設置面に固定されており、筐体1を構成する第2筐体20のみが変更される状態について示している。
【0037】
図3(a)に示すように、第2筐体20の変更前の状態においては、第1コネクタ11の接続方向と第2コネクタ21の接続方向とが互いに反対方向になっている。このとき、第1筐体10及び第2筐体20が固定具25によって固定された状態(パッチン錠がロックされた状態)となっている。この状態は、図4(a)に示すように、設置環境に制限がなくスペースに余裕があり、第1ケーブル12、第1ケーブル22をそれぞれ左右両側に引き出す場合に有効である。
【0038】
図3(b)に示すように、第2筐体20の変更中の状態においては、第1筐体10及び第2筐体20が固定具25によって固定されていない状態(パッチン錠のロックが解除された状態)となっている。これにより、設置環境に応じて第1コネクタ11の接続方向と第2コネクタ21の接続方向とが異なるように、第1筐体10と第2筐体20の組み換えを自在に行うことができるようになっている。
【0039】
図3(c)に示すように、第2筐体20の変更後の状態においては、第1コネクタ11の接続方向と第2コネクタ21の接続方向とが互いに同じ方向になっている。このとき、第1筐体10及び第2筐体20が固定具25によって固定された状態(パッチン錠がロックされた状態)となっている。この状態は、図4(b)に示すように、設置環境に制限がありスペースに余裕がない場合、つまり、第1ケーブル12、第1ケーブル22をそれぞれ片側にしか引き出せない場合に有効である。
【0040】
図5は、本実施形態に係る筐体1の設置環境を示す斜視図である。なお、図5において、符号Sは筐体1の設置スペースである。本図は、設置スペースSに制限があり、かつ、作業可能方向が限られている場合の一例を示している。
【0041】
図5に示すように、設置スペースSの大きさは筐体1の大きさよりも一回り大きい程度になっている。このため、設置環境に制限があり、設置スペースSに余裕がなく、第1ケーブル12、第1ケーブル22をそれぞれ片側にしか引き出せない状態となっている。また、作業可能方向が図5に示す矢印方向のみと限られており、それ以外の方向からは作業できない状態となっている。
【0042】
ところで、従来、ケーブルが接続されるコネクタの配置構造は、設計・出荷時に決定される。これにより、第1ケーブルの接続方向と第2ケーブルの接続方向とが互いに反対方向に決定されると、それ以降は第1ケーブルの接続方向と第2ケーブルの接続方向を変更することができなかった。このため、図5に示すように設置スペースSに余裕がない場合、作業可能方向とは反対側のケーブルの接続や引き回しが困難な場合があった。これにより、作業可能方向とは反対側のケーブルの長さが必要以上に長くなるとともに、ケーブルの引き回しが煩雑となり景観が損なわれるおそれがあった。また、作業可能方向の側と作業可能方向とは反対側との間でケーブルの取り付け方法や取り付け部材等の共通化を図ることが困難となったり、現地加工が必要となったりする場合があった。さらに、設置スペースやケーブルの引き回しスペース等、作業スペースの制限により、筐体自体が設できないおそれがあった。
【0043】
そこで、筐体1では、第1筐体10と第2筐体20の少なくとも一方が、第1ケーブル12の接続方向と第2ケーブル22の接続方向とが異なるように変更可能とすることで、上述した課題を全て解決できるようになっている。具体的には、設置スペースSへの配置前に、第1ケーブル12の接続方向と第2ケーブル22の接続方向とが互いに同じ方向になるように筐体1の組み替えが行われている。これにより、設置スペースSに余裕がない場合、つまり、第1ケーブル12、第1ケーブル22をそれぞれ片側にしか引き出せない場合であっても、ケーブルの接続や引き回しを容易に行うことが可能になっている。
【0044】
本実施形態の筐体1、基地局100によれば、第1ケーブル12の接続方向と第2ケーブル22の接続方向とが異なるように第1筐体10と第2筐体20の少なくとも一方を変更可能なので、特許文献1に示す各ケーブルが接続された各コネクタが同一面上に配置された構造に比べて設置環境に柔軟に対応することができる。したがって、設置環境に応じてケーブルの引き回しを容易にすることができる。また、ケーブルの長さを最適化し低コスト化を図ることができる。また、ケーブルの取り付け方法及び取り付け部材等の共通化を図ることができ、現地加工を必要としない。また、作業スペースを有効利用することが可能になる。
【0045】
また、この構成によれば、第1筐体10及び第2筐体20が平面視回転対称となっているので、第1筐体10と第2筐体20の少なくとも一方を初期状態から他方に対して所定の角度だけずらすことにより、変更前後において第1筐体10及び第2筐体が重なり合っている場合を維持することができる。このため、第1筐体10及び第2筐体20が平面視回転対称となっていない場合に比べて、景観が損なわれることなく見栄えの向上を図ることができる。
【0046】
また、この構成によれば、第1筐体10及び第2筐体20が平面視長方形となっているので、2方向の接続方向を選択することができ、設置環境に柔軟に対応可能となる。また、第1筐体10及び第2筐体20の内部に収容される各種デバイスは一般に平面視矩形に形成されているため、各種デバイスのサイズに容易に適合させることが可能となる。
【0047】
なお、本実施形態では、固定具25としてはパッチン錠を用いているがこれに限らない。例えば、固定具として、第1筐体10及び第2筐体20の一部に貫通孔を設け差込ピンを用いたり、第1筐体10及び第2筐体20の一部に凹凸を設け嵌め合わせたりすることで第1筐体10及び第2筐体20の位置決め及び固定を行うことができる。すなわち、第1筐体10及び第2筐体20を必要に応じて適宜固定しうるものであれば種々のものを用いることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、第1筐体10に外部インターフェース用のコネクタ11が4つ配置されているとともに、第2筐体20に外部インターフェース用のコネクタ21が2つ配置されているが、これに限らない。第1筐体10及び第2筐体20に配置されるコネクタの数は、必要に応じて適宜変更することができる。
【0049】
また、本実施形態では、第1筐体10及び第2筐体20が平面視長方形であるが、平面視正方形であってもよい。以下、平面視正方形の第1筐体110及び第2筐体120を有する筐体2について、図6を用いて説明する
【0050】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る筐体2の構成を示す斜視図である。なお、図6(a)〜図6(d)はそれぞれ第1筐体110と第2筐体120の組み換えの一態様を示す図である。なお、本図においては、便宜上、固定具25の図示を省略している。また、本実施形態の筐体2は、第1筐体110及び第2筐体120が平面視正方形である点で第1実施形態の筐体1と異なる。また、本実施形態では、第1筐体110に外部インターフェース用のコネクタ111が2つ配置されているとともに、第2筐体120に外部インターフェース用のコネクタ121が2つ配置されている。その他の点は第1実施形態の筐体1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0051】
図6に示すように、第1筐体110及び第2筐体120は平面視正方形であり、4回対称となっている。つまり、初期状態において第1筐体110及び第2筐体120が重なり合っている場合、第1筐体110と第2筐体120の少なくとも一方を他方に対して90度、180度、270度向きを変えると、初期状態と同様に重なり合うことになる。
【0052】
具体的には、初期状態においては、第1ケーブル122の接続方向と第2ケーブル122の接続方向が互いに反対方向になっている(図6(a)参照)。また、第1筐体110に対して第2筐体120を右回りに90度だけずらすと第1ケーブル122の接続方向と第2ケーブル122の接続方向が互いに直交する(図6(b)参照)。また、第1筐体110に対して第2筐体120を右回りに180度だけずらすと第1ケーブル122の接続方向と第2ケーブル122の接続方向が互いに同じ方向になる(図6(c)参照)。また、第1筐体110に対して第2筐体120を右回りに270度だけずらすと第1ケーブル122の接続方向と第2ケーブル122の接続方向が互いに直交する(図6(d)参照)。なお、図6(d)に示す第2ケーブル122の接続方向は図6(b)に示す第2ケーブル122の接続方向に対して反対方向となる。
【0053】
本実施形態によれば、第1筐体110及び第2筐体120が平面視正方形になっているので、4方向の接続方向を選択することができる。このため、第1筐体及び第2筐体が平面視長方形の場合に比べて設置環境に柔軟に対応可能となる。
【0054】
なお、上記実施形態では、第1筐体と第2筐体の少なくとも一方が、第1ケーブルの接続方向と第2ケーブルの接続方向とが異なるように組み換えられることで変更可能とされているが、これに限らない。以下、図7を用いて上記実施形態と異なる構造について説明する。
【0055】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る筐体3の構成を示す模式図である。なお、図7(a)は第1筐体210と第2筐体220の分離状態を示す図である。図7(b)は筐体3の初期状態を示す図である。図7(c)は筐体3の変更後の状態を示す図である。また、図7においては、便宜上、ケーブル(第1ケーブル及び第2ケーブル)の図示を省略している。また、図7においては、第1筐体210が不図示の設置面に固定されており、筐体3を構成する第2筐体220のみが変更される状態について示している。また、図7において、符号CLは第1筐体210と第2筐体220とが重なる方向に平行な軸である。また、本実施形態の筐体3は、第1筐体210と第2筐体220の少なくとも一方が、第1筐体210と第2筐体220とが重なる方向に平行な軸CLを基準として回転可能になっている点で第1実施形態の筐体1と異なる。また、本実施形態では、第1筐体210の上面(第2筐体220と対向する側の面)に平面視円形状であり中空構造の凸部212が設けられているとともに、第2筐体220の下面(第1筐体210と対向する側の面)に前記凸部212に対応する位置に平面視円形状であり中空構造の凹部222が設けられている。また、本実施形態では、凸部212及び凹部222の開口を通って第1配線231及び第2配線232が設けられている。また、本実施形態では、第1筐体210に外部インターフェース用のコネクタ211が配置されているとともに、第2筐体220に外部インターフェース用のコネクタ221が配置されている。その他の点は第1実施形態の筐体1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0056】
図7(a)に示すように、第1筐体210の中央部に凸部212が設けられているとともに、第2筐体220の中央部に凹部222が設けられている。凹部222の内径は凸部212の外径と略同じ大きさとなっており、第1筐体210と第2筐体220の少なくとも一方が回転可能に嵌め合わされる。また、筐体3は、第1筐体210及び第2筐体220が嵌め合わされた状態において防水構造となる。また、凸部212及び凹部222は嵌め合わされることで、第1筐体210と第2筐体220の少なくとも一方の回転中心軸となる。つまり、凸部212及び凹部222の中心を通る軸が軸CLとなる。
【0057】
また、図7(b)に示すように、中空構造の凸部212及び凹部222の開口を通って第1配線231及び第2配線232が引きまわれている。第1配線231及び第2配線232の一端は、第1筐体210の内部に配置された不図示の各種デバイスに接続されている。一方、第1配線231及び第2配線232の他端は、第2筐体220の内部に配置された不図示の各種デバイスに接続されている。
【0058】
図7(b)に示すように、第2筐体220の初期状態(回転前の状態)においては、第1コネクタ211の接続方向と第2コネクタ221の接続方向とが互いに反対方向になっている。この状態は、設置環境に制限がなくスペースに余裕があり、第1コネクタ211及び第2コネクタ221に接続される第1ケーブル及び第2ケーブル(図示略)をそれぞれ左右両側に引き出す場合に有効である。
【0059】
図7(c)に示すように、第2筐体220の回転後の状態においては、第1コネクタ211の接続方向と第2コネクタ221の接続方向とが互いに同じ方向になっている。このとき、第1配線231及び第2配線232は互いに交差する状態になるが、第1配線231及び第2配線232の各種デバイスに対する接続状態は回転前と変わらず維持されたままとなっている。この状態は、第2筐体220を第1筐体210に対して軸CLを基準として180度だけ回転させることによりできる。この状態は、設置環境に制限がありスペースに余裕がない場合、つまり、第1コネクタ211及び第2コネクタ221に接続される第1ケーブル及び第2ケーブル(図示略)をそれぞれ片側にしか引き出せない場合に有効である。
【0060】
本実施形態によれば、第1筐体210と第2筐体220の少なくとも一方が軸CLを基準として回転可能になっているので、設置環境に合わせ必要に応じて適宜所定の角度だけ回転させることができる。このため、第1筐体と第2筐体の少なくとも一方が、第1ケーブルの接続方向と第2ケーブルの接続方向とが異なるように組み換えられることで変更可能とされる場合に比べて、設置環境に柔軟に対応することができる。また、パッチン錠などの固定具が不要なので、見栄えの構造を図るとともに作業性の向上を図ることが可能となる。
【0061】
なお、本実施形態では、筐体が、第1筐体及び第2筐体が嵌め合わされた状態において防水構造となっているがこれに限らない。例えば、第1筐体及び第2筐体が嵌め合わされる前においても防水構造となっていてもよい。以下、第1筐体及び第2筐体が嵌め合わされる前においても防水構造を有する筐体4について、図8を用いて説明する。
【0062】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態に係る筐体4の構成を示す模式図である。なお、図8(a)は第1筐体310と第2筐体320の分離状態を示す図である。図8(b)は筐体4の初期状態を示す図である。図8(c)は筐体4の変更後の状態を示す図である。また、図8においては、便宜上、ケーブル(第1ケーブル及び第2ケーブル)の図示を省略している。また、図8においては、第1筐体310が不図示の設置面に固定されており、筐体4を構成する第2筐体320のみが変更される状態について示している。また、本実施形態の筐体4は、第1筐体310の上端(第2筐体320と対向する側)に第1接続構造312が設けられているとともに、第2筐体320の下端(第1筐体310と対向する側)に前記第1接続構造312に対応する位置に第2接続構造322が設けられている点で第1実施形態の筐体1と異なる。また、本実施形態では、第1接続構造312に第1配線331及び第2配線332が接続されているとともに、第2接続構造322に第3配線333及び第4配線334が接続されている。また、本実施形態では、第1筐体310に外部インターフェース用のコネクタ311が配置されているとともに、第2筐体320に外部インターフェース用のコネクタ321が配置されている。その他の点は第1実施形態の筐体1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0063】
図8(a)に示すように、第1筐体310の中央部に第1接続構造312が設けられているとともに、第2筐体320の中央部に第2接続構造322が設けられている。第1接続構造312の大きさは第2接続構造322の大きさと略同じ大きさとなっており、第1筐体210と第2筐体220の少なくとも一方が変更可能に嵌め合わされる。また、筐体4は、第1筐体310及び第2筐体320が嵌め合わされる前の状態において防水構造となる。また、第1接続構造312及び第2接続構造322は嵌め合わされることで、第1配線331と第3配線333とが接続されるとともに、第2配線332と第4配線334とが接続されるようになっている。つまり、第1配線331及び第3配線333はそれぞれ一端が対向する位置に配置されており、筐体4の組み換え変更前後において接触するようになっている。また、第2配線332はその一端が分岐しており第4配線334の一端と筐体4の組み換え変更前後において接触するようになっている。
【0064】
また、第1配線331及び第2配線332の一端は、第1接続構造312に接続されているとともに、第1配線331及び第2配線332の他端は、第1筐体310の内部に配置された不図示の各種デバイスに接続されている。一方、第3配線333及び第4配線334の一端は、第2接続構造322に接続されているとともに、第3配線333及び第4配線334の他端は、第2筐体320の内部に配置された不図示の各種デバイスに接続されている。
【0065】
図8(b)に示すように、第2筐体320の初期状態(組み換え前の状態)においては、第1コネクタ311の接続方向と第2コネクタ321の接続方向とが互いに反対方向になっている。この状態は、設置環境に制限がなくスペースに余裕があり、第1コネクタ311及び第2コネクタ321に接続される第1ケーブル及び第2ケーブル(図示略)をそれぞれ左右両側に引き出す場合に有効である。
【0066】
図8(c)に示すように、第2筐体320の変更後の状態(組み換え後の状態)においては、第1コネクタ311の接続方向と第2コネクタ321の接続方向とが互いに同じ方向になっている。このとき、第2配線332の一端が分岐しているので、内部接続(第1接続構造312と第2接続構造322との嵌め合いによる各配線の接続)は等価に接続可能になっている。この状態は、第2筐体320を第1筐体310に対して180度だけずらして組み換えることによりできる。この状態は、設置環境に制限がありスペースに余裕がない場合、つまり、第1コネクタ311及び第2コネクタ321に接続される第1ケーブル及び第2ケーブル(図示略)をそれぞれ片側にしか引き出せない場合に有効である。
【0067】
本実施形態によれば、第1筐体310及び第2筐体320が嵌め合わされる前の状態、つまり、第1筐体310及び第2筐体320のそれぞれが防水構造となっているので、豪雨等の悪天候であっても設置環境の制限を受けることなく、第1筐体310及び第2筐体320の組み換えを行うことができる。したがって、第1筐体310及び第2筐体320が分離した状態では防水構造となっていない場合に比べて、作業性を向上させることができる。
【0068】
なお、上述した実施形態では、第1筐体及び第2筐体が平面視矩形であるが、これに限らない。例えば、第1筐体及び第2筐体が、平面視多角形であってもよいし、平面視円形もしくは楕円形であってもよい。このような形状においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0069】
また、上述した実施形態では、筐体を備える基地局を例に挙げて述べたが、これに限らず、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機などの各種電子機器におけるケーブルの引き回し構造にも適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1,2,3,4…筐体、10,110,210,310…第1筐体、12,112…第1ケーブル、22,122…第2ケーブル、20,120,220,320…第2筐体、100,100A…基地局、CL…第1筐体と第2筐体とが重なる方向に平行な軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケーブルが接続された第1筐体と、
前記第1筐体と平面視重なる位置に配置されるとともに第2ケーブルが接続された第2筐体と、を有し、
前記第1筐体と前記第2筐体の少なくとも一方が、前記第1ケーブルの接続方向と前記第2ケーブルの接続方向とが異なるように変更可能になっていることを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記第1筐体と前記第2筐体の少なくとも一方が、前記第1筐体と前記第2筐体とが重なる方向に平行な軸を基準として回転可能になっていることを特徴とする請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記第1筐体及び前記第2筐体が平面視回転対称となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体。
【請求項4】
前記第1筐体及び前記第2筐体が平面視矩形であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項5】
前記第1筐体及び前記第2筐体が平面視正方形であることを特徴とする請求項4に記載の筐体。
【請求項6】
前記第1筐体及び前記第2筐体が防水構造になっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項7】
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の筐体を備えていることを特徴とする基地局。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−155377(P2011−155377A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14422(P2010−14422)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】