説明

管体把持具

【課題】支持対象物を管体に取り付けるための管体把持具であって、管体に対する固着、取り外し作業が容易で、構造の簡易なものを提供する。
【解決手段】管体把持具1は、ブラケット2、顎部材3、ナット部材4、締め付けボルト5を具備する。ブラケット2を貫通する締め付けボルト5をナット部材4に螺合し、これを締め付けることにより、ブラケット2と顎部材3との間で管体Pを締め付けて、ブラケット2を支持対象物Mと一体に管体Pに固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、工事現場の仮囲いを構成する鋼管に、太陽電池モジュールを取り付ける際等に用いて有効な管体把持具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽電池モジュールのような部材を単管パイプのような管体へ固定するための把持金具であって、管体に対する装着、ロック、取り外し作業が容易で、構造の簡易なものが提案されている。この金具においては、ブラケットが、ほぼ円弧状の凹部を前方へ開口させている。顎部材が、ブラケットに枢支され、保持位置と解放位置との間で回転自在である。ストッパが、ブラケットに枢支され、ロック位置と非ロック位置との間で回転自在で、ロック位置に回転付勢される。ストッパは、ロック位置において、顎部材が保持位置から解放位置へ回転するのを阻止するが、顎部材が解放位置から保持位置へ回転するのを許容し、かつ、非ロック位置において、顎部材が保持位置から解放位置へ回転するのを許容する。付勢手段が、顎部材の回転途上でデッドポイントを越えて顎部材を選択的に、ロック位置又は非ロック位置に保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−6937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された従来の管体把持金具は、管体を締め付けることなく把持する構造であるため、管体の軸線方向には移動しやすい。このため、設置環境によっては、使用できないことがある。
したがって、この出願に係る発明は、管体に対して軸線方向にも移動しないように固定可能な管体把持具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、この出願に係る発明の管体把持具1は、ブラケット2と、顎部材3と、ナット部材4と、締め付けボルト5とを具備する。ブラケット2は、支持対象物Mに固定され、管体Pを受ける円弧状受け凹部6aを有する。顎部材3は、中間部において枢軸10によりブラケット2に枢支され、基端側がブラケット2の内側に配置され、先端側とブラケット2との間で管体Pを締め付け、解放するように回転可能である。ナット部材4は、枢軸10と平行な枢ピン4bにより、顎部材3の基端側に回転自在に設けられる。締め付けボルト5は、ブラケット2を貫通して、ナット部材4に螺合され、締め付けることによりブラケット2と顎部材3との間で管体Pを締め付けて、ブラケット2を支持対象物Mと一体に管体Pに固定する。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の管体把持具1によれば、管体Pに対して軸線方向にも移動しないように固定可能で、装着が比較的容易な管体把持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】管体把持具の正面図である。
【図2】図1の管体把持具の平面図である。
【図3】図1の管体把持具の右側面図である。
【図4】図1の管体把持具の左側面図である。
【図5】図1の管体把持具の断面図である。
【図6】ブラケットの正面図である。
【図7】図6のブラケットの平面図である。
【図8】顎部材の正面図である。
【図9】図8の顎部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1において、管体把持具1は、太陽電池モジュールのような支持対象物Mを支持用の単管パイプのような管体Pに結合するためのものである。
【0009】
図5によく示すように、管体把持具1は、ブラケット2と、顎部材3と、ナット部材4と、締め付けボルト5とを具備する。
【0010】
ブラケット2は、後部が支持対象物M(図1,2)に固着され、前部が管体Pに係合される。すなわち、ブラケット2は、左右平行一対の側板部6と、両側板部6間を後部において接続する取り付け板部7と、両側板部6の上部間を接続する支持板部8とを具備する。
【0011】
図6,7によく示すように、側板部6は、管体Pを受ける円弧状受け凹部6aを有し、この凹部6aが前方へ開放している。側板部6は、上部前方に軸受け孔6b、上部後方に縦方向の長孔6cを具備する。
【0012】
取り付け板部7は、両側板部6の後縁間を、これらと直角に接続する。取り付け板部7は、ボルト孔7aを有し、図示しないボルトで支持対象物M(図1,2)に固着される。
【0013】
支持板部8は、両側板部6の上縁間を、これらと直角に接続する。支持板部8は、締め付けボルト5を挿通するためのボルト孔8aを有する。
【0014】
顎部材3は、互いに結合された平行一対の鈎形板材9からなり、中間部において枢軸10によりブラケット2の軸受け孔6bに枢支され、基端側がブラケット2の内側、支持板部8の下方位置に配置される。したがって、顎部材3は、それの先端側とブラケット2との間で管体Pを締め付け、解放するように回転可能である。図8,9によく示すように、鈎形板材9は、枢軸10を挿通させる軸孔9aを中間部に有し、基端部には、ナット部材4の枢ピン4aを挿通させる前後方向の長孔9bを有する。長孔9bは、ブラケット2の長孔6cとほぼ直交する位置関係にある。
【0015】
図8,9によく示すように、ナット部材4は、締め付けボルト5を螺合させる縦方向のねじ孔4aを有し、顎部材3の基端部において鈎形板材9間に枢支される。すなわち、ナット部材4は、左右両端に枢ピン4bを有し、この枢ピン4bが顎部材3の長孔9bと、ブラケット2の長孔6cとを回転及び相対移動自在に貫通する。
【0016】
締め付けボルト5は、ブラケット2の支持板部8に形成されたボルト挿通孔8aを自在に貫通して、ナット部材4のねじ孔4aに螺合され、これを貫通する。締め付けボルト5を締め付けることにより、顎部材3の基端側を引き上げるように回転させ、ブラケット2と顎部材3との間で管体Pを締め付ける。
【0017】
支持対象物Mを、管体Pに支持する場合、図1に仮想線で示すように、ボルト5を弛めて顎部材3の基端側を下降させることにより、ブラケット2と顎部材3との間を開放状態に置き、支持対象物Mを支え持って、顎部材3を管体Pに掛け止め、管体P上に仮止めする。次いで、ボルト5を締め付けることにより、ブラケット2と顎部材3との間で管体Pを締め付け固定する。
【符号の説明】
【0018】
1 管体把持具
2 ブラケット
3 顎部材
4 ナット部材
4a ねじ孔
4b 枢ピン
5 締め付けボルト
6 ブラケットの側板部
6a 軸受け孔
6b 受け凹部
6c 長孔
7 ブラケットの取り付け板部
7a ボルト孔
8 ブラケットの支持板部
8a ボルト孔
9 顎部材の鈎形板材
9a 軸孔
9b 長孔
10 枢軸
P 管体
M 支持対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体へ支持対象物を取り付けるための管体把持具であって、
支持対象物に固定されると共に、前記管体を受ける円弧状受け凹部とを有するブラケットと、
中間部において枢軸により前記ブラケットに枢支され、基端側が本体の内側に配置され、先端側とブラケットとの間で前記管体を締め付け、解放するように回転可能な顎部材と、
前記枢軸と平行な枢ピンにより、前記顎部材の基端側に回転自在に設けられるナット部材と、
前記ブラケットを貫通して、前記ナット部材に螺合され、締め付けることによりブラケットと前記顎部材との間で前記管体を締め付けて、ブラケットを管体に固定する締め付けボルトとを具備する、ことを特徴とする管体把持具。
【請求項2】
前記ブラケットが、前記ナット部材の枢ピンを回転及び相対移動自在に貫通させる縦方向の長孔を具備し、
前記顎部材が、前記ナット部材の枢ピンを回転及び相対移動自在に貫通させる前後方向の長孔を具備することを特徴とする請求項1に記載の管体把持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−251576(P2012−251576A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123171(P2011−123171)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000108708)タキゲン製造株式会社 (256)
【Fターム(参考)】