管底接合用片落管、異径管接合用土管及びその製造方法
【課題】口径の異なる2つの土管を、逆勾配を生じさせることなく、且つ、大きな隙間を生じさせることなく容易に接合させることができる、土管で形成した管底接合用片落管を提供する。
【解決手段】口径の異なる2つの土管24,25を管底を一致させて同一軸方向に接合し、2つの土管24,25の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成してなる管底接合用片落管21を提供する。管底接合用片落管21を製造する場合、大径土管24と小径土管25の接合側端部に夫々切欠部を形成し、小径土管25と大径土管24の管底とを夫々一致させた状態で、小径土管25の切断されていない接合側先端と、大径土管24の切欠部の軸心方向切断面とを突合せ、小径土管25の切欠部を大径土管24内に差し込み、小径土管25の切欠部近傍を大径土管24内に重ね合わせ、2つの土管24,25の相互の接合部分の隙間を埋めて2つの土管24,25を接合する。
【解決手段】口径の異なる2つの土管24,25を管底を一致させて同一軸方向に接合し、2つの土管24,25の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成してなる管底接合用片落管21を提供する。管底接合用片落管21を製造する場合、大径土管24と小径土管25の接合側端部に夫々切欠部を形成し、小径土管25と大径土管24の管底とを夫々一致させた状態で、小径土管25の切断されていない接合側先端と、大径土管24の切欠部の軸心方向切断面とを突合せ、小径土管25の切欠部を大径土管24内に差し込み、小径土管25の切欠部近傍を大径土管24内に重ね合わせ、2つの土管24,25の相互の接合部分の隙間を埋めて2つの土管24,25を接合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口径の異なる2つの土管を、逆勾配を生じさせることなく、且つ、大きな隙間を生じさせることなく容易に接合させることができる、土管で形成した管底接合用片落管、異径管接合用土管及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主に農業用で水田、畑等の余剰水を排出させる為の暗渠排水資材として使用される素焼土管は、管の直径がФ6cm、9cm、12cm、15cm、20cmと5種類あり、Ф6cm〜15cmまでが長さ30cm、Ф20cmは長さ60cmあり、管の厚さは10mm〜20mmに形成されている。
【0003】
施工は、図9の中央部に図示する如く、土管1の切り口同士をぶつけ合わせ、必要延長分を連続して並べ、深さ60〜80cmの地中へ埋設する。その際、接続用の部品などは無く、管の合わせ目の間隙から吸水する。しかし、同径の土管1を合わせる場合には土砂等の流入がほとんど無い程度の間隙であるが、集水量が増す事で、図9右下図に示す如く、下流側に於いて管径を大きくして行くこととなり、その際口径の小さな土管2と口径の大きな土管3の小口同士を付け合せると図11(a)に示すごとく大きな隙間4が出来てしまい、そのため、地上や地中の余剰水が排水管(この場合、口径の大きな土管3)へスムーズに達する様に土を埋め戻す前に30〜40cmほど砂利など透水性の良い物を埋設しているが、それでも、土砂、疎水材などが排水管(口径の大きな土管3)内へ流入し、排水管を閉塞させてしまう虞があり、それによって、排水効果を下げるばかりでなく、本来の排水機能の寿命を短くしてしまう問題があった。
【0004】
そこで、従来は口径の異なる排水管を接続させる場合、図10に示す如く、口径の大きな土管5の中へ口径の小さい土管6を差し込んで施工されてきた。そして、水の流れは口径の小さい土管6から口径の大きな土管5へと流れる様勾配がつけられるが(設計上数十メートルに2cm程度)、図11(b)及び(c)に示す如く、小さい土管6を差し込むことにより管の肉厚が二重になることで(管厚はそれぞれ1cm以上)水が流れるようにつけられた勾配とは逆に、図11(c)に示す高さhの如く排水勾配が逆になってしまい、それによって、排水に障害をきたすばかりか排水に含まれる泥などが溜まりやすく閉塞の原因にもなる虞があった。
又、管を差し込む際には差し込み過ぎを防ぐため小さい口径の管の先端外側に腐食しないビニール紐などを巻きつけている例もあり一層逆勾配が大きくなるケースもあった。
【0005】
ところで、素焼土管の生産工程は、主原料の粘土を管の口径ごとに金型を通し筒状に押し出し成型し、切断、乾燥、焼成する。
この事から、切り口を左右にして水平に管を地面に置いた際、1本の管で左右それぞれが径の異なる管を製造する方法もあり、その場合には、例えば、異なる口径の2つの管を成型直後の軟らかいうちに人手により接着させることになり、即ち、太い管の中に細い管を垂直にした状態で差込み、軟らかい粘土で外側を練りこみながら埋めて、固定し、強度を出すために内側も手で練りつけながら均して流水の妨げにならないよう流水壁面を滑らかにする。
しかしこの場合に於いても、素焼土管はФ6〜15cmについては長さが30cmと決められており、太い管と細い管を水平に並べた場合、細い管側に上下のズレが生じて逆勾配となってしまうという問題がある。
【0006】
そこで、近年一部地域では管を差し込まず管を水平に並べた際に生じる隙間を別の資材を使い覆うなどの二次的な作業で補っている。しかしこれも本来の設計には無い異物を埋設するため望ましくなく、他に方法が無いため、止むを得ず、今日まで数十年に渡りそのような対策が続けられてきた。
紐を巻きつける作業、管を差し込む作業、管の変換点を覆う作業等は余計な手間であり、又、本来の機能も低下させることになる。
【0007】
尚、暗渠排水用土管の先行文献としては、例えば、特許文献1及び2があるが、何れも異径管を接合するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平5−16885号公報
【特許文献2】特開2002−38459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、前述した問題点について、次のような課題の解決が望まれている。
(1)管の径が変わる際、管を差し込むなど二次的な手間を解消し、且つ、簡素で従来の素焼土管の持つ特徴を妨げないようにする。
(2)管径の異なる管を水平に並べた際に生じる間隙を異物を使うことなく埋められるようにする。
(3)素焼土管以外の排水用管(塩化ビニール管、合成樹脂管など)のように太い管の中心に細い管を接続させている型落ち管を素焼土管で製造できるようにする。
【0010】
以上の現状に鑑み、本発明は、口径の異なる2つの土管を、逆勾配を生じさせることなく、且つ、大きな隙間を生じさせることなく容易に接合させることができる、土管で形成した管底接合用片落管、管底接合用土管及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、口径の異なる2つの土管を管底を一致させて同一軸方向に接合し、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成してなることを特徴とする管底接合用片落管を提供するものである。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記口径の異なる2つの土管のうち大径土管の接合側端部を軸心方向に管厚を超える所定深さ、且つ、軸心方向に所定長さ切断して切欠部を形成し、前記口径の異なる2つの土管のうち小径土管の接合側端部を、前記大径土管の切断深さよりも高い接合側端部を残すように所定深さ軸心方向に切断し、且つ、前記大径土管の切断長さよりも短い長さで軸方向に切断して切欠部を形成し、前記小径土管の切欠部を上に向け、前記大径土管の切欠部を下に向け、前記小径土管の管底と、前記大径土管の管底とを一致させた状態で、前記小径土管の切断されていない接合側先端と、前記大径土管の軸心方向切断面とを突合せ、前記小径土管の切欠部を前記大径土管内に差し込み、前記小径土管の切欠部近傍を前記大径土管内に重ね合わせ、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて前記2つの土管を接合し、一つの土管を形成してなることを特徴とする請求項1記載の管底接合用片落管を提供するものである。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記2つの土管の成型後の軟らかい時に、前記突合せ及び重ね合わせを行なった後、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めるべく、前記接合部分近傍を押し広げ、或いは粘土で埋めて前記2つの土管を相互に接合することを特徴とする請求項2記載の管底接合用片落管を提供するものである。
【0014】
請求項4に係る発明は、管底を一致させて同一軸方向に当接させる口径の異なる2つの大小径土管のうちの大径土管に於いて、前記大径土管の当接端部に、前記大径土管と前記小径土管との当接部に発生する隙間を埋める隙間用素焼板を接着してなることを特徴とする異径管接合用土管を提供するものである。
【0015】
請求項5に係る発明は、口径の異なる2つの土管を管底を一致させて同一軸方向に接合し、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成することを特徴とする管底接合用片落管の製造方法を提供するものである。
【0016】
請求項6に係る発明は、前記口径の異なる2つの土管のうち大径土管の接合側端部を軸心方向に管厚を超える所定深さ、且つ、軸心方向に所定長さ切断して切欠部を形成し、前記口径の異なる2つの土管のうち小径土管の接合側端部を、前記大径土管の切断深さよりも高い接合側端部を残すように所定深さ軸心方向に切断し、且つ、前記大径土管の切断長さよりも短い長さで軸方向に切断して切欠部を形成し、前記小径土管の切欠部を上に向け、前記大径土管の切欠部を下に向け、前記小径土管の管底と、前記大径土管の管底とを一致させた状態で、前記小径土管の切断されていない接合側先端と、前記大径土管の軸心方向切断面とを突合せ、前記小径土管の切欠部を前記大径土管内に差し込み、前記小径土管の切欠部近傍を前記大径土管内に重ね合わせ、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて前記2つの土管を接合し、一つの土管を形成することを特徴とする請求項5記載の管底接合用片落管の製造方法を提供するものである。
【0017】
請求項7に係る発明は、前記2つの土管の成型後の軟らかい時に、前記突合せ及び重ね合わせを行なった後、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めるべく、前記接合部分近傍を押し広げ、或いは粘土で埋めて前記2つの土管を相互に接合することを特徴とする請求項6記載の管底接合用片落管の製造方法を提供するものである。
【0018】
請求項8に係る発明は、管底を一致させて同一軸方向に当接させる口径の異なる2つの大小径土管のうちの大径土管の当接端部に、前記大径土管と前記小径土管との当接部に発生する隙間を埋める隙間用素焼板を接着することを特徴とする異径管接合用土管の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、次のような効果が期待できる。
(1)口径の異なる2つの土管を、逆勾配を生じさせることなく、且つ、大きな隙間を生じさせることなく容易に接合させることができる、土管で形成した管底接合用片落管、管底接合用土管及びその製造方法を提供する。
(2)施工時、施工後に外部から管内への土砂・異物の流入を防ぐ事ができる。
(3)従来の施工に於いて生じた、逆勾配による管の閉塞を解消できる。
(4)排水の流れに障害を与えることなくスムーズに排水できる。
(5)口径の異なる2つの土管の接合部分の隙間を無くし、土砂の流入を防止するため従来の施工に用いた異物等を使わずに済む。
(6)従来の施工時に行ってきた、管を差し込む作業や、紐を巻くなどの余分な作業がなくなる。
(7)一般の直管の土管同士の接合の施工と同様に、置くだけのワンタッチで施工できる。
(8)本品を見た使用者(施工者)がどう使う部品なのか瞬時に分かる形状である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る管底接合用片落管を施工した状態を示す斜視図である。
【図2】(a)本発明の実施例1に係る管底接合用片落管の正面図である。(b)本発明の実施例1に係る管底接合用片落管の平面図である。(c)本発明の実施例1に係る管底接合用片落管の左側面図である。(d)本発明の実施例1に係る管底接合用片落管の右側面図である。(e)本発明の実施例1に係る管底接合用片落管の正面縦断面図である。
【図3】(a)〜(d)本発明の実施例1に係る大径土管の切欠部を形成する工程を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施例1に係る大径土管と小径土管を接合する状態を説明する斜視図である。
【図5】(a)本発明の実施例1に係る大径土管と小径土管を垂直方向で接合する状態を説明する斜視図である。(b)本発明の実施例1に係る大径土管に小径土管を差し込んだ状態を説明する斜視図である。(c)本発明の実施例1に係る大径土管に小径土管を差し込んだ状態を説明する切欠斜視図である。
【図6】(a)本発明の実施例1に係る大径土管に小径土管を差し込んだ状態で芯を挿入した状態を説明する斜視図である。(b)本発明の実施例1に係る大径土管に小径土管を差し込んだ状態で芯を挿入した状態を説明する斜視図である。(c)本発明の実施例1に係る大径土管に小径土管を差し込んだ状態で芯を挿入した状態を示す縦断面図である。
【図7】(a)本発明の実施例1に係る大径土管を押し広げる状態を示す斜視図である。(b)本発明の実施例1に係る大径土管を押し広げる状態を示す側面図である。(c)本発明の実施例1に係る小径土管を押し広げる状態を示す斜視図である。(d)本発明の実施例1に係る小径土管を押し広げる状態を示す側面図である。
【図8】(a)本発明の実施例2に係る異径管接合用土管の斜視図である。(b)本発明の実施例2に係る異径管接合用土管を施工した状態を示す斜視図である。(c)本発明の実施例2に係る異径管接合用土管を施工した状態を示す正面縦断面図である。(d)大小径土管を当接させた状態を示す斜視図である。(e)大径土管に接着剤を塗布した状態を示す側面図である。(f)本発明の隙間用素焼板の正面図である。(g)本発明の隙間用素焼板の側面図である。
【図9】従来例の管径変換点に於いて、管底を一致させた状態で異径管を当接させた状態を示す説明図である。
【図10】従来例の管径変換点に於いて、異径管を差し込んで接合させた状態を示す説明図である。
【図11】(a)従来例の管径変換点に於いて、異径管を管底を一致させた状態で当接させた状態を説明する斜視図である。(b)従来例の管径変換点に於いて、異径管を差し込んで接合させた状態を説明する斜視図である。(c)従来例の管径変換点に於いて、異径管を差し込んで接合させた状態を説明する切欠斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0022】
図1に於いて、21は本発明の実施例1の管底接合用片落管を示し、管底接合用片落管21は、口径の異なる2つの土管22,23を少ない隙間で連接させることができる、土管で形成した管底接合用片落管である。
【0023】
管底接合用片落管21は、図2に示す如く、口径の異なる2つの土管24,25、即ち土管23と同径の大径土管24と、土管22と同径の小径土管25とを管底を一致させて同一軸方向に接合し、2つの土管24,25の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成してなるものである。尚、管底接合用片落管21は、素焼きの土管であっても良く、素焼きでない土管であっても良い。
【0024】
更に本発明の管底接合用片落管21の詳細を、製造方法と共に説明する。
まず、大径土管24を製造する場合について説明すると、金型を通し、筒状に押し出し成型された図3(a)に示す従来の比較的大径の土管26の成型直後の軟らかいうちに、図3(a)及び(b)に示すように、上方開放の箱27等を利用し、箱27の深さに合わせ土管26を所定長さに切断して短尺の大径の土管28を形成し、図3(c)に示すような、前記箱27と略同様な箱で開放端部が垂直方向及び水平方向に所定長さ切断されて切欠部29が形成された箱30を利用して、大径土管28の一端部(後述する接合側端部)を軸心方向に管厚を超える所定深さ、且つ、軸方向に所定長さ切断して切欠部31を形成し大径土管24を形成する。
【0025】
同様にして、図4に示す小径土管25を製造するが、小径土管25は、大径土管24と異なり、所定長さに切断した短尺の小径の土管の接合側端部を、大径土管24の軸心方向の切断深さよりも高い接合側端部を残すように軸心方向に所定深さ切断し、且つ、大径土管24の軸方向切断長さよりも短い長さで軸方向に切断して切欠部32を形成する。
【0026】
次に、図4に示す如く、小径土管25の切欠部32と、大径土管24の切欠部31とを対向させ、小径土管25の管底と、大径土管24の管底とを一致させた状態で、小径土管25の切断されていない接合側先端33と、大径土管24の軸心方向切断面34とを突合せ、小径土管25の切欠部32を大径土管24内に差し込み、小径土管25の切欠部32近傍を大径土管24内に重ね合わせる。
【0027】
図4に示した小径土管25と大径土管24とを重ね合わせる作業は、次の手順の作業を作業性良く行なうために、好適には、図5(a)に示す如く、垂直方向で行なう。
即ち、図5(b)及び(c)に示す如く、小径土管25を所定高さに保持する支持台36を立設し、支持台36を内側に収納するように大径土管24を立設した後、切欠部32が下になるように小径土管25の軸方向を垂直方向にして、小径土管25を下降させながら、小径土管25の切欠部32と、大径土管24の切欠部31とを対向させ、小径土管25の管底{図5(b)に於いて左側}と、大径土管24の管底{図5(b)に於いて左側}とを一致させるように、小径土管25の切断されていない接合側先端33と、大径土管24の軸心方向切断面34とを突合せ、小径土管25の切欠部32を大径土管24内に差し込み、小径土管25の切欠部32近傍を大径土管24内に重ね合わせた状態で、図5(c)に示す如く、前記支持台36に小径土管25を支持させる。
【0028】
次に、図6(a)及び(b)に示す如く、小径土管25内に芯37を挿通させ、その状態で、図6(b)及び(c)に示す如く、大径土管24の切欠部31と小径土管25の外周部との間を粘土38で塞ぎ、又は、練りつけながら埋め、図7(a)及び(b)中の矢印に示す如く、大径土管24を小径土管25側へ押し広げ、押し均すことにより、大径土管24と、小径土管25との隙間35を埋め、更に、前記芯37及び支持台36を取外して、図7(c)及び(d)に示す如く、小径土管25を大径土管24側へ押し広げ、押し均すことにより大径土管24と、小径土管25との隙間35を埋めると共に、小径土管25と大径土管24の接合部分の内壁部を押し均して大径土管24と、小径土管25とを接合させる。
この状態で、乾燥、焼成すると、図2に示す管底接合用片落管21が完成する。
【実施例2】
【0029】
図8は、本発明の実施例2を示し、図8(a)に於いて、51は、前記管底接合用片落管(図2に於いて21)と同様の機能を有する、土管で形成した異径管接合用土管を示している。
異径管接合用土管51は、図8(b)及び(c)に示す左右側の口径の異なる2つの土管53,52を逆勾配を生じさせることなく、少ない隙間で連接できるものである。
【0030】
異径管接合用土管51は、図8(d)に示す如く、管底を一致させて同一軸方向に当接させる口径の異なる2つの大小径土管52,53のうちの大径土管52の当接端部に、大径土管52と小径土管53との当接部に発生する隙間54を埋める図8(f)及び(g)に示す隙間用素焼板55を図8(e)に示す如く接着剤56を塗布して接着してなるものである。
【0031】
隙間用素焼板55は、大径土管52と小径土管53とを管底を一致させて同一軸方向に当接した際に大径土管52と小径土管53との当接部の間にできる隙間54にあわせて形成される略三日月型の素焼板であり、外周円弧が前記大径土管52の外周円と同径に形成され、内周円弧が前記小径土管53の外周円と同径又はややそれよりも大きな径となるように形成される。
【0032】
従って、小径土管53が施工された状態で、異径管接合用土管51の隙間用素焼板55を上側にし、隙間用素焼板55の内周円弧内に小径土管53の端部をはめ込むように、異径管接合用土管51を小径土管53と管底を一致させて同一軸方向に、連接させて施工する。
これによって、小径土管53と異径管接合用土管51とを逆勾配となることなく、少ない隙間で連接させることができる。尚、異径管接合用土管51の下流には、図8(b)、(c)に示す如く異径管接合用土管51と同径の他の大径土管52をそのまま当接状態で連接することができる。
【符号の説明】
【0033】
21 管底接合用片落管
24,52 大径土管
25,53 小径土管
31,32 切欠部
33 接合側先端
34 軸心方向切断面
35,54 隙間
38 粘土
51 異径管接合用土管
55 隙間用素焼板
【技術分野】
【0001】
本発明は、口径の異なる2つの土管を、逆勾配を生じさせることなく、且つ、大きな隙間を生じさせることなく容易に接合させることができる、土管で形成した管底接合用片落管、異径管接合用土管及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主に農業用で水田、畑等の余剰水を排出させる為の暗渠排水資材として使用される素焼土管は、管の直径がФ6cm、9cm、12cm、15cm、20cmと5種類あり、Ф6cm〜15cmまでが長さ30cm、Ф20cmは長さ60cmあり、管の厚さは10mm〜20mmに形成されている。
【0003】
施工は、図9の中央部に図示する如く、土管1の切り口同士をぶつけ合わせ、必要延長分を連続して並べ、深さ60〜80cmの地中へ埋設する。その際、接続用の部品などは無く、管の合わせ目の間隙から吸水する。しかし、同径の土管1を合わせる場合には土砂等の流入がほとんど無い程度の間隙であるが、集水量が増す事で、図9右下図に示す如く、下流側に於いて管径を大きくして行くこととなり、その際口径の小さな土管2と口径の大きな土管3の小口同士を付け合せると図11(a)に示すごとく大きな隙間4が出来てしまい、そのため、地上や地中の余剰水が排水管(この場合、口径の大きな土管3)へスムーズに達する様に土を埋め戻す前に30〜40cmほど砂利など透水性の良い物を埋設しているが、それでも、土砂、疎水材などが排水管(口径の大きな土管3)内へ流入し、排水管を閉塞させてしまう虞があり、それによって、排水効果を下げるばかりでなく、本来の排水機能の寿命を短くしてしまう問題があった。
【0004】
そこで、従来は口径の異なる排水管を接続させる場合、図10に示す如く、口径の大きな土管5の中へ口径の小さい土管6を差し込んで施工されてきた。そして、水の流れは口径の小さい土管6から口径の大きな土管5へと流れる様勾配がつけられるが(設計上数十メートルに2cm程度)、図11(b)及び(c)に示す如く、小さい土管6を差し込むことにより管の肉厚が二重になることで(管厚はそれぞれ1cm以上)水が流れるようにつけられた勾配とは逆に、図11(c)に示す高さhの如く排水勾配が逆になってしまい、それによって、排水に障害をきたすばかりか排水に含まれる泥などが溜まりやすく閉塞の原因にもなる虞があった。
又、管を差し込む際には差し込み過ぎを防ぐため小さい口径の管の先端外側に腐食しないビニール紐などを巻きつけている例もあり一層逆勾配が大きくなるケースもあった。
【0005】
ところで、素焼土管の生産工程は、主原料の粘土を管の口径ごとに金型を通し筒状に押し出し成型し、切断、乾燥、焼成する。
この事から、切り口を左右にして水平に管を地面に置いた際、1本の管で左右それぞれが径の異なる管を製造する方法もあり、その場合には、例えば、異なる口径の2つの管を成型直後の軟らかいうちに人手により接着させることになり、即ち、太い管の中に細い管を垂直にした状態で差込み、軟らかい粘土で外側を練りこみながら埋めて、固定し、強度を出すために内側も手で練りつけながら均して流水の妨げにならないよう流水壁面を滑らかにする。
しかしこの場合に於いても、素焼土管はФ6〜15cmについては長さが30cmと決められており、太い管と細い管を水平に並べた場合、細い管側に上下のズレが生じて逆勾配となってしまうという問題がある。
【0006】
そこで、近年一部地域では管を差し込まず管を水平に並べた際に生じる隙間を別の資材を使い覆うなどの二次的な作業で補っている。しかしこれも本来の設計には無い異物を埋設するため望ましくなく、他に方法が無いため、止むを得ず、今日まで数十年に渡りそのような対策が続けられてきた。
紐を巻きつける作業、管を差し込む作業、管の変換点を覆う作業等は余計な手間であり、又、本来の機能も低下させることになる。
【0007】
尚、暗渠排水用土管の先行文献としては、例えば、特許文献1及び2があるが、何れも異径管を接合するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平5−16885号公報
【特許文献2】特開2002−38459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、前述した問題点について、次のような課題の解決が望まれている。
(1)管の径が変わる際、管を差し込むなど二次的な手間を解消し、且つ、簡素で従来の素焼土管の持つ特徴を妨げないようにする。
(2)管径の異なる管を水平に並べた際に生じる間隙を異物を使うことなく埋められるようにする。
(3)素焼土管以外の排水用管(塩化ビニール管、合成樹脂管など)のように太い管の中心に細い管を接続させている型落ち管を素焼土管で製造できるようにする。
【0010】
以上の現状に鑑み、本発明は、口径の異なる2つの土管を、逆勾配を生じさせることなく、且つ、大きな隙間を生じさせることなく容易に接合させることができる、土管で形成した管底接合用片落管、管底接合用土管及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、口径の異なる2つの土管を管底を一致させて同一軸方向に接合し、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成してなることを特徴とする管底接合用片落管を提供するものである。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記口径の異なる2つの土管のうち大径土管の接合側端部を軸心方向に管厚を超える所定深さ、且つ、軸心方向に所定長さ切断して切欠部を形成し、前記口径の異なる2つの土管のうち小径土管の接合側端部を、前記大径土管の切断深さよりも高い接合側端部を残すように所定深さ軸心方向に切断し、且つ、前記大径土管の切断長さよりも短い長さで軸方向に切断して切欠部を形成し、前記小径土管の切欠部を上に向け、前記大径土管の切欠部を下に向け、前記小径土管の管底と、前記大径土管の管底とを一致させた状態で、前記小径土管の切断されていない接合側先端と、前記大径土管の軸心方向切断面とを突合せ、前記小径土管の切欠部を前記大径土管内に差し込み、前記小径土管の切欠部近傍を前記大径土管内に重ね合わせ、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて前記2つの土管を接合し、一つの土管を形成してなることを特徴とする請求項1記載の管底接合用片落管を提供するものである。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記2つの土管の成型後の軟らかい時に、前記突合せ及び重ね合わせを行なった後、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めるべく、前記接合部分近傍を押し広げ、或いは粘土で埋めて前記2つの土管を相互に接合することを特徴とする請求項2記載の管底接合用片落管を提供するものである。
【0014】
請求項4に係る発明は、管底を一致させて同一軸方向に当接させる口径の異なる2つの大小径土管のうちの大径土管に於いて、前記大径土管の当接端部に、前記大径土管と前記小径土管との当接部に発生する隙間を埋める隙間用素焼板を接着してなることを特徴とする異径管接合用土管を提供するものである。
【0015】
請求項5に係る発明は、口径の異なる2つの土管を管底を一致させて同一軸方向に接合し、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成することを特徴とする管底接合用片落管の製造方法を提供するものである。
【0016】
請求項6に係る発明は、前記口径の異なる2つの土管のうち大径土管の接合側端部を軸心方向に管厚を超える所定深さ、且つ、軸心方向に所定長さ切断して切欠部を形成し、前記口径の異なる2つの土管のうち小径土管の接合側端部を、前記大径土管の切断深さよりも高い接合側端部を残すように所定深さ軸心方向に切断し、且つ、前記大径土管の切断長さよりも短い長さで軸方向に切断して切欠部を形成し、前記小径土管の切欠部を上に向け、前記大径土管の切欠部を下に向け、前記小径土管の管底と、前記大径土管の管底とを一致させた状態で、前記小径土管の切断されていない接合側先端と、前記大径土管の軸心方向切断面とを突合せ、前記小径土管の切欠部を前記大径土管内に差し込み、前記小径土管の切欠部近傍を前記大径土管内に重ね合わせ、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて前記2つの土管を接合し、一つの土管を形成することを特徴とする請求項5記載の管底接合用片落管の製造方法を提供するものである。
【0017】
請求項7に係る発明は、前記2つの土管の成型後の軟らかい時に、前記突合せ及び重ね合わせを行なった後、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めるべく、前記接合部分近傍を押し広げ、或いは粘土で埋めて前記2つの土管を相互に接合することを特徴とする請求項6記載の管底接合用片落管の製造方法を提供するものである。
【0018】
請求項8に係る発明は、管底を一致させて同一軸方向に当接させる口径の異なる2つの大小径土管のうちの大径土管の当接端部に、前記大径土管と前記小径土管との当接部に発生する隙間を埋める隙間用素焼板を接着することを特徴とする異径管接合用土管の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、次のような効果が期待できる。
(1)口径の異なる2つの土管を、逆勾配を生じさせることなく、且つ、大きな隙間を生じさせることなく容易に接合させることができる、土管で形成した管底接合用片落管、管底接合用土管及びその製造方法を提供する。
(2)施工時、施工後に外部から管内への土砂・異物の流入を防ぐ事ができる。
(3)従来の施工に於いて生じた、逆勾配による管の閉塞を解消できる。
(4)排水の流れに障害を与えることなくスムーズに排水できる。
(5)口径の異なる2つの土管の接合部分の隙間を無くし、土砂の流入を防止するため従来の施工に用いた異物等を使わずに済む。
(6)従来の施工時に行ってきた、管を差し込む作業や、紐を巻くなどの余分な作業がなくなる。
(7)一般の直管の土管同士の接合の施工と同様に、置くだけのワンタッチで施工できる。
(8)本品を見た使用者(施工者)がどう使う部品なのか瞬時に分かる形状である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る管底接合用片落管を施工した状態を示す斜視図である。
【図2】(a)本発明の実施例1に係る管底接合用片落管の正面図である。(b)本発明の実施例1に係る管底接合用片落管の平面図である。(c)本発明の実施例1に係る管底接合用片落管の左側面図である。(d)本発明の実施例1に係る管底接合用片落管の右側面図である。(e)本発明の実施例1に係る管底接合用片落管の正面縦断面図である。
【図3】(a)〜(d)本発明の実施例1に係る大径土管の切欠部を形成する工程を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施例1に係る大径土管と小径土管を接合する状態を説明する斜視図である。
【図5】(a)本発明の実施例1に係る大径土管と小径土管を垂直方向で接合する状態を説明する斜視図である。(b)本発明の実施例1に係る大径土管に小径土管を差し込んだ状態を説明する斜視図である。(c)本発明の実施例1に係る大径土管に小径土管を差し込んだ状態を説明する切欠斜視図である。
【図6】(a)本発明の実施例1に係る大径土管に小径土管を差し込んだ状態で芯を挿入した状態を説明する斜視図である。(b)本発明の実施例1に係る大径土管に小径土管を差し込んだ状態で芯を挿入した状態を説明する斜視図である。(c)本発明の実施例1に係る大径土管に小径土管を差し込んだ状態で芯を挿入した状態を示す縦断面図である。
【図7】(a)本発明の実施例1に係る大径土管を押し広げる状態を示す斜視図である。(b)本発明の実施例1に係る大径土管を押し広げる状態を示す側面図である。(c)本発明の実施例1に係る小径土管を押し広げる状態を示す斜視図である。(d)本発明の実施例1に係る小径土管を押し広げる状態を示す側面図である。
【図8】(a)本発明の実施例2に係る異径管接合用土管の斜視図である。(b)本発明の実施例2に係る異径管接合用土管を施工した状態を示す斜視図である。(c)本発明の実施例2に係る異径管接合用土管を施工した状態を示す正面縦断面図である。(d)大小径土管を当接させた状態を示す斜視図である。(e)大径土管に接着剤を塗布した状態を示す側面図である。(f)本発明の隙間用素焼板の正面図である。(g)本発明の隙間用素焼板の側面図である。
【図9】従来例の管径変換点に於いて、管底を一致させた状態で異径管を当接させた状態を示す説明図である。
【図10】従来例の管径変換点に於いて、異径管を差し込んで接合させた状態を示す説明図である。
【図11】(a)従来例の管径変換点に於いて、異径管を管底を一致させた状態で当接させた状態を説明する斜視図である。(b)従来例の管径変換点に於いて、異径管を差し込んで接合させた状態を説明する斜視図である。(c)従来例の管径変換点に於いて、異径管を差し込んで接合させた状態を説明する切欠斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0022】
図1に於いて、21は本発明の実施例1の管底接合用片落管を示し、管底接合用片落管21は、口径の異なる2つの土管22,23を少ない隙間で連接させることができる、土管で形成した管底接合用片落管である。
【0023】
管底接合用片落管21は、図2に示す如く、口径の異なる2つの土管24,25、即ち土管23と同径の大径土管24と、土管22と同径の小径土管25とを管底を一致させて同一軸方向に接合し、2つの土管24,25の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成してなるものである。尚、管底接合用片落管21は、素焼きの土管であっても良く、素焼きでない土管であっても良い。
【0024】
更に本発明の管底接合用片落管21の詳細を、製造方法と共に説明する。
まず、大径土管24を製造する場合について説明すると、金型を通し、筒状に押し出し成型された図3(a)に示す従来の比較的大径の土管26の成型直後の軟らかいうちに、図3(a)及び(b)に示すように、上方開放の箱27等を利用し、箱27の深さに合わせ土管26を所定長さに切断して短尺の大径の土管28を形成し、図3(c)に示すような、前記箱27と略同様な箱で開放端部が垂直方向及び水平方向に所定長さ切断されて切欠部29が形成された箱30を利用して、大径土管28の一端部(後述する接合側端部)を軸心方向に管厚を超える所定深さ、且つ、軸方向に所定長さ切断して切欠部31を形成し大径土管24を形成する。
【0025】
同様にして、図4に示す小径土管25を製造するが、小径土管25は、大径土管24と異なり、所定長さに切断した短尺の小径の土管の接合側端部を、大径土管24の軸心方向の切断深さよりも高い接合側端部を残すように軸心方向に所定深さ切断し、且つ、大径土管24の軸方向切断長さよりも短い長さで軸方向に切断して切欠部32を形成する。
【0026】
次に、図4に示す如く、小径土管25の切欠部32と、大径土管24の切欠部31とを対向させ、小径土管25の管底と、大径土管24の管底とを一致させた状態で、小径土管25の切断されていない接合側先端33と、大径土管24の軸心方向切断面34とを突合せ、小径土管25の切欠部32を大径土管24内に差し込み、小径土管25の切欠部32近傍を大径土管24内に重ね合わせる。
【0027】
図4に示した小径土管25と大径土管24とを重ね合わせる作業は、次の手順の作業を作業性良く行なうために、好適には、図5(a)に示す如く、垂直方向で行なう。
即ち、図5(b)及び(c)に示す如く、小径土管25を所定高さに保持する支持台36を立設し、支持台36を内側に収納するように大径土管24を立設した後、切欠部32が下になるように小径土管25の軸方向を垂直方向にして、小径土管25を下降させながら、小径土管25の切欠部32と、大径土管24の切欠部31とを対向させ、小径土管25の管底{図5(b)に於いて左側}と、大径土管24の管底{図5(b)に於いて左側}とを一致させるように、小径土管25の切断されていない接合側先端33と、大径土管24の軸心方向切断面34とを突合せ、小径土管25の切欠部32を大径土管24内に差し込み、小径土管25の切欠部32近傍を大径土管24内に重ね合わせた状態で、図5(c)に示す如く、前記支持台36に小径土管25を支持させる。
【0028】
次に、図6(a)及び(b)に示す如く、小径土管25内に芯37を挿通させ、その状態で、図6(b)及び(c)に示す如く、大径土管24の切欠部31と小径土管25の外周部との間を粘土38で塞ぎ、又は、練りつけながら埋め、図7(a)及び(b)中の矢印に示す如く、大径土管24を小径土管25側へ押し広げ、押し均すことにより、大径土管24と、小径土管25との隙間35を埋め、更に、前記芯37及び支持台36を取外して、図7(c)及び(d)に示す如く、小径土管25を大径土管24側へ押し広げ、押し均すことにより大径土管24と、小径土管25との隙間35を埋めると共に、小径土管25と大径土管24の接合部分の内壁部を押し均して大径土管24と、小径土管25とを接合させる。
この状態で、乾燥、焼成すると、図2に示す管底接合用片落管21が完成する。
【実施例2】
【0029】
図8は、本発明の実施例2を示し、図8(a)に於いて、51は、前記管底接合用片落管(図2に於いて21)と同様の機能を有する、土管で形成した異径管接合用土管を示している。
異径管接合用土管51は、図8(b)及び(c)に示す左右側の口径の異なる2つの土管53,52を逆勾配を生じさせることなく、少ない隙間で連接できるものである。
【0030】
異径管接合用土管51は、図8(d)に示す如く、管底を一致させて同一軸方向に当接させる口径の異なる2つの大小径土管52,53のうちの大径土管52の当接端部に、大径土管52と小径土管53との当接部に発生する隙間54を埋める図8(f)及び(g)に示す隙間用素焼板55を図8(e)に示す如く接着剤56を塗布して接着してなるものである。
【0031】
隙間用素焼板55は、大径土管52と小径土管53とを管底を一致させて同一軸方向に当接した際に大径土管52と小径土管53との当接部の間にできる隙間54にあわせて形成される略三日月型の素焼板であり、外周円弧が前記大径土管52の外周円と同径に形成され、内周円弧が前記小径土管53の外周円と同径又はややそれよりも大きな径となるように形成される。
【0032】
従って、小径土管53が施工された状態で、異径管接合用土管51の隙間用素焼板55を上側にし、隙間用素焼板55の内周円弧内に小径土管53の端部をはめ込むように、異径管接合用土管51を小径土管53と管底を一致させて同一軸方向に、連接させて施工する。
これによって、小径土管53と異径管接合用土管51とを逆勾配となることなく、少ない隙間で連接させることができる。尚、異径管接合用土管51の下流には、図8(b)、(c)に示す如く異径管接合用土管51と同径の他の大径土管52をそのまま当接状態で連接することができる。
【符号の説明】
【0033】
21 管底接合用片落管
24,52 大径土管
25,53 小径土管
31,32 切欠部
33 接合側先端
34 軸心方向切断面
35,54 隙間
38 粘土
51 異径管接合用土管
55 隙間用素焼板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口径の異なる2つの土管を管底を一致させて同一軸方向に接合し、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成してなることを特徴とする管底接合用片落管。
【請求項2】
前記口径の異なる2つの土管のうち大径土管の接合側端部を軸心方向に管厚を超える所定深さ、且つ、軸心方向に所定長さ切断して切欠部を形成し、前記口径の異なる2つの土管のうち小径土管の接合側端部を、前記大径土管の切断深さよりも高い接合側端部を残すように所定深さ軸心方向に切断し、且つ、前記大径土管の切断長さよりも短い長さで軸方向に切断して切欠部を形成し、前記小径土管の切欠部と、前記大径土管の切欠部とを対向させ、前記小径土管の管底と、前記大径土管の管底とを一致させた状態で、前記小径土管の切断されていない接合側先端と、前記大径土管の軸心方向切断面とを突合せ、前記小径土管の切欠部を前記大径土管内に差し込み、前記小径土管の切欠部近傍を前記大径土管内に重ね合わせ、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて前記2つの土管を接合し、一つの土管を形成してなることを特徴とする請求項1記載の管底接合用片落管。
【請求項3】
前記2つの土管の成型後の軟らかい時に、前記突合せ及び重ね合わせを行なった後、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めるべく、前記接合部分近傍を押し広げ、或いは粘土で埋めて前記2つの土管を相互に接合することを特徴とする請求項2記載の管底接合用片落管。
【請求項4】
管底を一致させて同一軸方向に当接させる口径の異なる2つの大小径土管のうちの大径土管に於いて、前記大径土管の当接端部に、前記大径土管と前記小径土管との当接部に発生する隙間を埋める隙間用素焼板を接着してなることを特徴とする異径管接合用土管。
【請求項5】
口径の異なる2つの土管を管底を一致させて同一軸方向に接合し、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成することを特徴とする管底接合用片落管の製造方法。
【請求項6】
前記口径の異なる2つの土管のうち大径土管の接合側端部を軸心方向に管厚を超える所定深さ、且つ、軸心方向に所定長さ切断して切欠部を形成し、前記口径の異なる2つの土管のうち小径土管の接合側端部を、前記大径土管の切断深さよりも高い接合側端部を残すように所定深さ軸心方向に切断し、且つ、前記大径土管の切断長さよりも短い長さで軸方向に切断して切欠部を形成し、前記小径土管の切欠部と、前記大径土管の切欠部とを対向させ、前記小径土管の管底と、前記大径土管の管底とを一致させた状態で、前記小径土管の切断されていない接合側先端と、前記大径土管の軸心方向切断面とを突合せ、前記小径土管の切欠部を前記大径土管内に差し込み、前記小径土管の切欠部近傍を前記大径土管内に重ね合わせ、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて前記2つの土管を接合し、一つの土管を形成することを特徴とする請求項5記載の管底接合用片落管の製造方法。
【請求項7】
前記2つの土管の成型後の軟らかい時に、前記突合せ及び重ね合わせを行なった後、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めるべく、前記接合部分近傍を押し広げ、或いは粘土で埋めて前記2つの土管を相互に接合することを特徴とする請求項6記載の管底接合用片落管の製造方法。
【請求項8】
管底を一致させて同一軸方向に当接させる口径の異なる2つの大小径土管のうちの大径土管の当接端部に、前記大径土管と前記小径土管との当接部に発生する隙間を埋める隙間用素焼板を接着することを特徴とする異径管接合用土管の製造方法。
【請求項1】
口径の異なる2つの土管を管底を一致させて同一軸方向に接合し、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成してなることを特徴とする管底接合用片落管。
【請求項2】
前記口径の異なる2つの土管のうち大径土管の接合側端部を軸心方向に管厚を超える所定深さ、且つ、軸心方向に所定長さ切断して切欠部を形成し、前記口径の異なる2つの土管のうち小径土管の接合側端部を、前記大径土管の切断深さよりも高い接合側端部を残すように所定深さ軸心方向に切断し、且つ、前記大径土管の切断長さよりも短い長さで軸方向に切断して切欠部を形成し、前記小径土管の切欠部と、前記大径土管の切欠部とを対向させ、前記小径土管の管底と、前記大径土管の管底とを一致させた状態で、前記小径土管の切断されていない接合側先端と、前記大径土管の軸心方向切断面とを突合せ、前記小径土管の切欠部を前記大径土管内に差し込み、前記小径土管の切欠部近傍を前記大径土管内に重ね合わせ、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて前記2つの土管を接合し、一つの土管を形成してなることを特徴とする請求項1記載の管底接合用片落管。
【請求項3】
前記2つの土管の成型後の軟らかい時に、前記突合せ及び重ね合わせを行なった後、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めるべく、前記接合部分近傍を押し広げ、或いは粘土で埋めて前記2つの土管を相互に接合することを特徴とする請求項2記載の管底接合用片落管。
【請求項4】
管底を一致させて同一軸方向に当接させる口径の異なる2つの大小径土管のうちの大径土管に於いて、前記大径土管の当接端部に、前記大径土管と前記小径土管との当接部に発生する隙間を埋める隙間用素焼板を接着してなることを特徴とする異径管接合用土管。
【請求項5】
口径の異なる2つの土管を管底を一致させて同一軸方向に接合し、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて一つの土管を形成することを特徴とする管底接合用片落管の製造方法。
【請求項6】
前記口径の異なる2つの土管のうち大径土管の接合側端部を軸心方向に管厚を超える所定深さ、且つ、軸心方向に所定長さ切断して切欠部を形成し、前記口径の異なる2つの土管のうち小径土管の接合側端部を、前記大径土管の切断深さよりも高い接合側端部を残すように所定深さ軸心方向に切断し、且つ、前記大径土管の切断長さよりも短い長さで軸方向に切断して切欠部を形成し、前記小径土管の切欠部と、前記大径土管の切欠部とを対向させ、前記小径土管の管底と、前記大径土管の管底とを一致させた状態で、前記小径土管の切断されていない接合側先端と、前記大径土管の軸心方向切断面とを突合せ、前記小径土管の切欠部を前記大径土管内に差し込み、前記小径土管の切欠部近傍を前記大径土管内に重ね合わせ、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めて前記2つの土管を接合し、一つの土管を形成することを特徴とする請求項5記載の管底接合用片落管の製造方法。
【請求項7】
前記2つの土管の成型後の軟らかい時に、前記突合せ及び重ね合わせを行なった後、前記2つの土管の相互の接合部分の隙間を埋めるべく、前記接合部分近傍を押し広げ、或いは粘土で埋めて前記2つの土管を相互に接合することを特徴とする請求項6記載の管底接合用片落管の製造方法。
【請求項8】
管底を一致させて同一軸方向に当接させる口径の異なる2つの大小径土管のうちの大径土管の当接端部に、前記大径土管と前記小径土管との当接部に発生する隙間を埋める隙間用素焼板を接着することを特徴とする異径管接合用土管の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−17408(P2011−17408A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163377(P2009−163377)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(509192204)野幌煉瓦陶管株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(509192204)野幌煉瓦陶管株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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