説明

節電用着信検知アダプタ

【課題】 端末装置を大きく変更することなく、簡便に消費電力を抑えること。
【解決手段】 データ通信ユニット3から出力される着信信号を検知して、装着される端末装置2に対して起動信号を出力して端末装置2を起動するとともに、データ通信ユニット3と端末装置2との相互のデータ入出力を可能とする節電用着信検知アダプタ4を、データ通信ユニット3と端末装置2との間に介在させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池による稼働が可能とされた端末装置と、該端末装置にデータ通信機能を付与するためのデータ通信ユニットとの間に介在させて、前記端末装置における電力消費を抑えるための節電用着信検知アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル通信技術の進歩により、携帯電話等に代表されるようにデータ通信機器の小型化が可能となり、種々の端末装置、例えば、自宅や事務所等の所定の領域を監視するための監視端末から、管理カメラの画像データや監視データを送信するためのデータ通信手段として、これら小型化されたデータ通信機器、例えば、無線によりデータ通信を行うカード型の無線通信カード等が、簡便に端末装置にデータ通信手段を付与できることから多く使用されてきている。(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−195151号公報
【特許文献2】特開2005−065082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら端末装置、特に前述した監視端末等においては、設置に際して電力の供給をするための配線を実施することが困難な場合があり、これら監視端末を電池(バッテリー)にて動作させることが必要となる場合があるが、これら電池(バッテリー)にて動作させる場合にあっては、無線通信カードを通じて監視を行っている監視装置から、監視画像や監視データの送信を要求する際に、接続要求を受信する必要があるので、これら不特定に受信する接続要求を確実に受信するために、常に監視端末を起動した接続要求の受信待機としておく必要があり、これら受信待機状態においても動作に必要となる電力を消費してしまい、電池(バッテリー)による動作時間が短くなってしまうという問題があった。
【0005】
また、これら受信待機状態における消費電力を低下させるためには、端末装置である監視端末において、受信待機状態の電力を低下させるために、機器の構成を変更したり、或いは、ファームウエア等を変更する必要が生じ、これらの変更に多くのコストが必要となってしまうという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、端末装置を大きく変更することなく、簡便に端末装置における消費電力を抑えることのできる節電用着信検知アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の節電用着信検知アダプタは、
動作電力を供給するための電池を有しており該電池による稼働が可能とされた端末装置と、該端末装置にデータ通信機能を付与するためのデータ通信ユニットとの間に介在させて、前記端末装置における電力消費を抑えるための節電用着信検知アダプタであって、
前記端末装置とデータの入出力を行うための端末側入出力部と、
前記データ通信ユニットとデータの入出力を行うための通信ユニット側入出力部と、
前記端末側入出力部を介して前記端末装置から入力される入力データをそのまま前記通信ユニット側入出力部を介して前記データ通信ユニットに通過出力するとともに、前記通信ユニット側入出力部を介して前記データ通信ユニットから入力される入力データをそのまま前記端末側入出力部を介して前記端末装置に通過出力する通過出力部と、
前記データ通信ユニットにおける通信ネットワーク側からの着信に基づいて、該データ通信ユニットから前記通信ユニット側入出力部を介して入力される着信を示す着信信号を検知する着信信号検知部と、
前記着信信号検知部にて着信信号を検知したことを条件として前記端末側入出力部を介して前記端末装置に起動を指示する起動信号を出力する起動信号出力手段と、
少なくとも前記起動信号の出力後において、前記端末側入出力部を介して前記端末装置に対して前記着信信号を出力する着信信号出力部と、
を具備することを特徴としている。
この特徴によれば、節電用着信検知アダプタを端末装置とデータ通信ユニットとの間に介在させることで、データ通信ユニットにて着信があった場合に出力される着信信号の出力が節電用着信検知アダプタにて監視され、該着信信号の出力検知により、端末装置を起動させるための起動信号が節電用着信検知アダプタから端末装置に出力されるようになるので、端末装置は着信信号の出力検知のために起動している必要がなく、よって、端末装置を大きく変更することなく、簡便に端末装置における消費電力を抑えることができる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の節電用着信検知アダプタは、請求項1に記載の節電用着信検知アダプタであって、
前記通過出力部において通過出力されるデータの通過状況を監視するトラヒック監視部と、
前記トラヒック監視部によるデータの通過状況が、予め定められた所定の停止条件を満たしたか否かを判定する停止判定手段と、
前記停止判定手段により所定の停止条件を満たしたと判定されることを条件として、前記端末側入出力部を介して前記端末装置に稼働停止を指示する停止信号を出力する停止信号出力手段と、
を具備することを特徴としている。
この特徴によれば、端末装置に稼働停止を行うためにデータの通過状況を監視する監視機能等を付与する等の変更を行う必要がなく、これらデータの通過状況に基づく稼働停止の機能を簡便に端末装置に付与することができる。
【0009】
本発明の請求項3に記載の節電用着信検知アダプタは、請求項1または2に記載の節電用着信検知アダプタであって、
前記端末装置は前記データ通信ユニットを着脱可能とするための着脱インターフェイスを有し、
前記通信ユニット側入出力部は、前記端末装置が有する前記着脱インターフェイスと同一の着脱インターフェイスにより形成されているとともに、前記端末側入出力部は、前記着脱インターフェイスに着脱可能な前記データ通信ユニット側の装着インターフェイスと同一の装着インターフェイスにより形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、節電用着信検知アダプタを状況に応じて装着して使用したり、或いは、節電用着信検知アダプタを取外してデータ通信ユニットを端末装置に直接接続して使用したりすることが可能となる。
【0010】
本発明の請求項4に記載の節電用着信検知アダプタは、請求項1〜3のいずれかに記載の節電用着信検知アダプタであって、
前記端末装置が有する電池から動作電力の供給を受けるための電力入力部と、該電力入力部から供給される電力を前記データ通信ユニットに供給するための電力供給部とを備えることを特徴としている。
この特徴によれば、例えば、端末装置に装着できるようにするために容積的な制約を受ける節電用着信検知アダプタに電池を搭載して、該搭載電池にて節電用着信検知アダプタとデータ通信ユニットとを駆動する場合に比較して、容積的な制約が少なく比較的大容量の電池を搭載可能な端末装置側から、電力入力部を設けて電力の供給を受けるようにすることで、これら節電用着信検知アダプタに搭載されている電池を消耗した後においても、端末装置側の電池からの電力にて動作することが可能となり、より長い期間に亘り節電用着信検知アダプタ並びにデータ通信ユニットとを駆動できるとともに、端末装置側の電池が残存しているのに節電用着信検知アダプタ側の電池を消耗することで、端末装置を起動できない状況が生じる不都合も回避することもできる。
【0011】
本発明の請求項5に記載の節電用着信検知アダプタは、請求項1〜4のいずれかに記載の節電用着信検知アダプタであって、
前記端末装置は、特定の監視領域の映像を撮像するための監視カメラが接続され、該接続された監視カメラの映像データを前記データ通信ユニットを通じて所定の監視用装置に対して送信するための監視制御端末であることを特徴としている。
この特徴によれば、監視制御端末は、監視用装置からの要求により監視カメラの映像データを送信する形態にて使用されることが多いことから、本発明の節電用着信検知アダプタを用いることで、より大きな節電効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0013】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の節電用着信検知アダプタ4が適用された監視制御端末2を有する本実施例の監視システムの構成を示すシステム図である。
【0014】
まず、本実施例の監視システムは、図1に示す構成とされており、監視領域である店舗に設置され、データ通信カード3並びに該データ通信カード3によるデータ通信サービスを提供する携帯電話会社における携帯電話システムを介してインターネット網5並びに公衆回線網9に接続されている監視制御端末2と、該監視制御端末2に接続された撮像手段としての監視カメラ1と、本社側に設置され、ADSLモデム8並びにインターネットプロバイダ(ISP)を介してインターネット網5並びに公衆回線網9に接続されているVPN装置7と、該VPN装置7に対してLAN接続されている監視用コンピュータ6と、から主に構成されている。
【0015】
また、前記本社側に設置されたADSLモデム8は、インターネットプロバイダ(ISP)により不変の固定グローバルIPが付与されるADSL常時接続サービスによりインターネット網5に接続されている。
【0016】
また、本実施例のインターネットプロバイダ(ISP)には、図1に示すように、インターネットプロバイダへの接続を管理するための接続制御サーバに加えて、VoIP通話を可能とするための呼制御サーバや公衆回線網9への接続を行うゲートウエイサーバが設けられており、当該インターネットプロバイダ(ISP)に接続されている他の装置との間におけるVoIP通話並びに公衆回線網9に接続されている一般電話や携帯電話に対してもVoIP通話を実施できるようになっており、ADSLモデム8には、インターネットプロバイダ(ISP)によりVoIP通話を実施するためのIP電話番号が付与されている。
【0017】
まず、本実施例に用いた監視制御端末2は、図2に示すような構成とされており、監視制御端末2内部にて比較的高速にてデ−タの送受を行うためのデ−タバス20に、後述するフラッシュメモリ23に記憶されている各種モジュールプログラムに基づいて、画像の圧縮処理や、該圧縮された画像の送信処理や、送受信するIPパケットに付与されているグローバルIPアドレスとローカルIPアドレスとの変換処理や、前記送信するIPパケットの暗号化処理並びに受信したIPパケットの復号化処理や、VPNコネクションの確立時における認証処理や、受信したカメラ等の制御情報に基づく制御処理等を行う中央演算処理装置(CPU)21や、該CPU21のワークメモリや取り込んだ監視画像を一時的に記憶するために使用されるRAM22や、前記データ通信カード3との間において双方向のデ−タ通信を行うカードインターフェイス(I/F)24と、監視カメラ1が最大4つ接続可能とされ、該接続された各監視カメラ1より出力される監視画像信号をデジタル化して監視画像データとして取り込むための画像取込部27と、各監視カメラ1に対して制御データ等を送受信するためのシリアル入出力部25と、音を入出力するための音入出力部26と、煙センサや赤外線センサ等の各種センサ並びに施錠スイッチや動作スイッチ等が接続されるデジタル入出力部28と、前記CPU21が実施する各種処理モジュールプログラムを有する画像伝送プログラムや、当該監視制御端末2に付与された監視制御端末IDや、前記本社のADSLモデム8に付与されたIP電話番号や固定IPアドレスや暗号化キーデータ等の設定データが記述された設定ファイル並びにグローバルIPアドレスと対応するローカルIPアドレスとが登録されて、IPアドレスの変換処理に使用されるIPアドレス対応テーブルを記憶する不揮発性メモリであるフラッシュメモリ23と、が接続された構成とされていて、図3に示すように、前記フラッシュメモリ23に記憶されている各種モジュールプログラムにより各処理部が形成されている。
【0018】
これら処理部としては、前記RAM22に一時記憶された取込画像を公知の画像圧縮方法であるJPEG方式にて圧縮する画像圧縮手段としての画像圧縮処理部30が、前記フラッシュメモリ23に記憶されている画像圧縮処理モジュールプログラムにより形成されている。
【0019】
この画像圧縮処理部30にて圧縮された圧縮画像を仮想ローカルIPデバイスモジュールプログラムにて仮想的に形成されるローカルIPパケット送受信手段であるローカルIPデバイス32に出力する画像送信処理部31が画像送信処理モジュールプログラムにより形成されている。
【0020】
この画像送信処理部31は、本社に設置された前記監視用コンピュータ6から画像圧縮されたJPEGデータを解凍可能な解凍手段としてのWebブラウザを使用して接続されている各監視カメラ1の画像を見ることができるように、監視制御端末2上で動作しているHTTPサーバのCGIプログラムとして起動される。画像送信処理部31は、起動されるとCGIのパラメータとして監視用コンピュータ6から出力されてきた制御データに含まれているカメラ番号、画像サイズ、画質を前記画像取込部27に対して取り込み要求として出力する。この要求を出力した後、画像記憶部である前記RAM22の所定アドレス領域を検索し要求されたカメラ番号、サイズ、画質の画像を取り込んで、前記ローカルIPデバイス32に出力する。
【0021】
また、後述するVPNコネクションの確立時における認証処理を実施する認証手段としての認証処理部33が認証処理モジュールプログラムにて形成されている。
【0022】
また、前記カードインターフェイス(I/F)24における通信制御を行う通信デバイスから成るグローバルIPデバイスと前記ローカルIPデバイス32との間において、グローバルIPからローカルIP或いはローカルIPからグローバルIPへの変換処理を行うIPアドレス変換処理部34がIPアドレス変換処理モジュールプログラムにより形成されているとともに、該IPアドレス変換処理部34とローカルIPデバイス32との間には、送信するIPパケットを前記設定ファイルに予め登録されている暗号化キーデータに基づき暗号化する暗号化手段としての暗号化処理部35とともに、受信したIPパケットを前記暗号化キーデータに基づき復号化する復号化手段としての復号化処理部36とが設けられていて、これら各処理部が暗号化処理モジュールプログラム並びに復号化処理モジュールプログラムにて形成されている。
【0023】
また、これら復号された受信IPパケットに含まれる制御データに基づき、接続されている各監視カメラ1の動作制御や前記デジタル入出力部28からの信号出力や、送信する監視画像の選択等を行う制御処理部37が、制御処理モジュールプログラムにて形成されている。
【0024】
これら各処理部は、いずれも前記画像伝送プログラムの各モジュールプログラムを前記中央演算処理装置(CPU)21が実施することで形成されていて、各処理部を送信される画像データ或いは受信した制御データ等が図3に示すように伝達されていく。
【0025】
尚、本実施例に用いた前記画像取込部27は、接続されている監視カメラ1の中から指定された監視カメラ1からの画像信号(アナログ信号)をデジタル化するようになっており、これら画像の取り込み処理は、前記画像送信部からの要求によって起動される。たとえば、画像送信処理部は「No.1の監視カメラ1の画像をサイズ320×240で高画質で取り込め」というような要求を画像取込部27に対して発行する。
【0026】
また、前記画像記憶部としてのRAM22は、画像取込部27でデジタル化された画像を一時的に保持するとともに、前記画像圧縮処理部30で圧縮(JPEG)するためのワークメモリ的にも使用される。尚、これら圧縮された監視画像データは、カメラ番号、画像サイズ、圧縮率、取り込み時間と共に蓄積される。
【0027】
また、本実施例の監視制御端末2の前面には、図6に示すように、データ通信カード3を装着するためのカードスロット19が設けられており、該カードスロット19内部に前記カードインターフェイス(I/F)24が形成されている。
【0028】
このカードインターフェイス(I/F)24としては、後述するように、データ通信カード3のカードインターフェイス(I/F)36が通信カードの標準規格であるPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)規格のインターフェイス(I/F)であることから、このカードインターフェイス(I/F)36とのデータの授受が可能なPCMCIA規格のインターフェイス(I/F)とされている。
【0029】
また、本実施例の監視制御端末2には、図2に示すように、監視制御端末2を動作させるための電池(バッテリー)が搭載されているとともに、該電池(バッテリー)の電力を監視制御端末2に搭載されている各デバイスに供給するための電力供給部29が設けられている。
【0030】
そして、これら電池(バッテリー)の電力は、電力供給部29に供給される一方、前記カードインターフェイス(I/F)24を構成する図示しないコネクタを介して、カードスロット19に装着されるデータ通信カード3或いは、節電用着信検知アダプタ4並びにデータ通信カード3に供給される。
【0031】
尚、本実施例の監視制御端末2は、前記電池(バッテリー)と並列に、ACアダプタの接続部が接続されており、電池の消耗時等においては、ACアダプタを該接続部に接続することで、該ACアダプタの直流電力により監視制御端末2が動作可能とされているとともに、図示しない充電回路により、電池(バッテリー)への充電が実施されるようになっている。
【0032】
次に、本実施例に用いたデータ通信カード3について説明すると、データ通信カード3は、携帯電話会社の携帯電話システムにおける図示しない無線基地局との間において、比較的高速の無線データ通信を実施することのできる第3世代移動通信サービスに対応した通信カードとされており、該データ通信カード3には音声通話機能を有する携帯電話端末と同様に、固有の電話番号が付与されていて、その構成は、図2に示すように、アンテナ37を介して携帯電話会社の基地局と拡散符号により所定帯域に拡散された高周波電波の送受信を行うRF入出力部33と、ディジタルデータのエンコード、および、ディジタルデータのデコードを行うための部位であり、DSP(Digital Signal Processor)を中心とした畳み込み符号化、スロットインターリーブ、遅延検波、畳み込み復号化、誤り訂正等の各種専用回路で構成されるデジタル信号処理部53、送受信するデータの入出力を行うためのカードインターフェイス(I/F)36と、動作状況を点灯態様にて報知するためのLED部34と、カードインターフェイス(I/F)36から供給される電力を用いて各部に動作電力を供給する電力供給部35と、これら各部に接続されてデータ通信カード3の動作を制御するMPU(マイクロプロセッシングユニット)から成る制御部31とから構成されている。
【0033】
RF入出力部33は、アンテナ37を介して携帯電話会社の基地局と高周波電波の送受信を行う部位であり、直交変調器、ゲインアンプ、パワーアンプ、ダイバーシティー、ミキサー、IF復調器、アンテナ共用器等で構成される。
【0034】
前記カードインターフェイス(I/F)36から入力された送信データは、デジタル信号処理部53により、誤り訂正符号化、インターリーブ、拡散、D/A(Digital/Analog)変換などの処理を行い、その処理により生成した送信ベースバンド信号をRF入出力部54へ送る。そして、該RF入出力部54内の直交変調器は、該送信ベースバンド信号により局部発振信号を変調して送信高周波信号を生成し、さらにその送信高周波信号を増幅した後にアンテナ共用器を通じてアンテナ37から基地局に送信する。尚、この送信に際して、変調した送信高周波信号の拡散符号に基づく拡散が実施される。
【0035】
一方、基地局から送信されてきた高周波信号は、当該アンテナ37にて受信された後、アンテナ共用器を介してIF復調器へ送られる。そして、該IF復調器並びにゲインアンプは、送られてきた受信高周波信号を増幅し、さらに復調処理を行って得られた受信ベースバンド信号をデジタル信号処理部32へ送る。尚、この復調に際して、受信した受信高周波信号の拡散符号に基づく逆拡散が実施される。
【0036】
この受信ベースバンド信号は、該ディジタル信号処理部32において該受信ベースバンド信号のデインターリーブ、誤り訂正等の処理を実施して受信ディジタルデータとして制御部31に送られることで、カードインターフェイス(I/F)36から出力されることで無線データ通信機能が提供される。
【0037】
カードインターフェイス(I/F)36は、通信インターフェイス回路やコネクタ等で構成され、本実施例に用いたデータ通信カード3においては、通信カードの標準規格であるPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)規格のインターフェイス(I/F)が使用されている。
【0038】
これらデータ通信カード3は、図6に示すように、監視制御端末2の前面に設けられているカードスロット19に、本実施例の節電用着信検知アダプタ4を介して装着される。
【0039】
この本実施例の節電用着信検知アダプタ4は、図6に示すように、その一方端が前記カードスロット19に装着可能なPCMCIA規格の本発明における通信ユニット側入出力部となるカードインターフェイス(I/F)44が形成されているとともに、その反対側の端面には、データ通信カード3のカードインターフェイス(I/F)36を装着可能なカード装着部46と、該カード装着部46内に設けられたPCMCIA規格の本発明における端末側入出力部となるカードインターフェイス(I/F)42とを有している。
【0040】
つまり、本発明における通信ユニット側入出力部を成すカードインターフェイス(I/F)42は、本発明における端末装置である監視制御端末2が有する着脱インターフェイスを成すカードインターフェイス(I/F)24と同一の規格であるPCMCIA規格の着脱インターフェイスにより形成されているとともに、本発明における端末側入出力部を成すカードインターフェイス(I/F)44は、カードインターフェイス(I/F)24に着脱可能なデータ通信カード3のカードインターフェイス(I/F)36(装着インターフェイス)と同一のPCMCIA規格のインターフェイスにより形成されている。
【0041】
この本実施例の節電用着信検知アダプタ4の構成は、図2並びに図7に示すようになっており、前述のカードインターフェイス(I/F)42、44に加えて、これらカードインターフェイス(I/F)42に入力される入力データの信号をカードインターフェイス(I/F)44にそのまま出力するとともに、カードインターフェイス(I/F)44に入力される入力データの信号をカードインターフェイス(I/F)42にそのまま出力するための、複数の信号線から成る本発明における通過出力部となる通過データバス45と、本発明における電力入力部となるカードインターフェイス(I/F)44を通じて監視制御端末2の電池から供給される電力を各部に供給するとともに、カードインターフェイス(I/F)42を介してデータ通信カード3に電力を供給する電力供給部43と、データ通信カード3から出力される着呼信号の有無並びに通過データバス45を通過するデータ信号の有無を監視する本発明における着信信号検知部並びに着信信号出力部となる信号監視部40と、該信号監視部40並びにカードインターフェイス(I/F)44に接続され、該カードインターフェイス(I/F)44を介して監視制御端末2に対して起動信号や停止信号を出力する処理を実施するMPU(マイクロプロセッシングユニット)41とから構成されている。
【0042】
本実施例の電力供給部43は、図7に示すように、電力線により監視制御端末2側のカードインターフェイス(I/F)44並びにデータ通信カード3側のカードインターフェイス(I/F)42と接続されていて、カードインターフェイス(I/F)44を通じて監視制御端末2より供給される電力から、節電用着信検知アダプタ4に搭載されている各デバイスに適する所定の電圧を生成して供給するとともに、該供給される電力をデータ通信カード3側のカードインターフェイス(I/F)42へ中継することで、監視制御端末2の電池の電力がデータ通信カード3に供給されてデータ通信カード3が動作可能とされる。
【0043】
また、本実施例の信号監視部40は、図7に示すように、データ通信カード3側のカードインターフェイス(I/F)42の所定端子と接続されることで、データ通信カード3から該カードインターフェイス(I/F)42を介して出力される着呼信号の出力を検知し、該着呼信号の出力を検知したことを示す着呼検知信号をMPU41に出力するとともに、通過データバス45を構成する各信号線に接続されることで、通過データバス45を通過するデータ信号の有無を検知し、通過するデータ信号が所定数以上検知されている場合には、所定の期間(本実施例では、100m秒毎)にトラヒック信号をMPU41に出力する。
【0044】
尚、本実施例の信号監視部40は、監視制御端末2側のカードインターフェイス(I/F)44にも接続されており、カードインターフェイス(I/F)42から入力されてきた着呼信号を、MPU41の経路接続指示に基づいてカードインターフェイス(I/F)44に中継することで、着呼信号が監視制御端末2に対して出力されるようになっている。
【0045】
また、本実施例のMPU41は、内蔵する図示しない内部ROMに記憶されている制御プログラムに基づいて、図8のフロー図に示す処理を実施することで、接続されているカードインターフェイス(I/F)44を通じて、起動信号を出力することで監視制御端末2を起動させるとともに、停止信号を出力することで監視制御端末2を非稼働状態(停止)とする。尚、MPU41には、カードインターフェイス(I/F)44を通じて監視制御端末2から出力される稼働信号が入力されるようになっており、該稼働信号の有無により監視制御端末2が稼働状態であるか非稼働状態(停止)であるかを検知できるようになっている。
【0046】
また、本実施例のMPU41は、信号監視部40からのトラヒック信号の出力に応じて、監視タイマをリセットして新たに監視タイマのカウントをリスタートする。
【0047】
この本実施例のMPU41が実施する処理内容を図8のフロー図に基づいて説明すると、まず、MPU41は、信号監視部40からの着呼検知信号の入力の有無により、データ通信カード3からの着呼信号の入力が有るか否かを判定するとともに(S1)、該判定結果が「No」、すなわち着呼信号の入力が無いとの判定結果である場合にはS6に進んで、監視タイマが予め設定されている所定の時間、例えば5分に達してタイマアップしたかを判定し、該判定結果が「No」、すなわち監視タイマがタイマアップしていない場合には、再度S1に戻ることにより、S1→S6を繰返し実施することで着呼信号の入力待ち並びに監視タイマのタイマアップ待ち状態で待機する。
【0048】
この待機状態において、監視用コンピュータ6から監視制御端末2に監視カメラ1の画像を要求するために、データ通信カード3に携帯電話会社の基地局から着呼があったことに基づいて、データ通信カード3から着呼信号が出力された場合には、該着呼信号の出力が信号監視部40にて検知されて、該信号監視部40からMPU41に対して着呼検知信号が出力されることにより、S1において着呼信号の入力有りと判定されてS2に進む。
【0049】
そしてS2において、その時点にて稼働信号の入力が有るか否かにより監視制御端末2が稼働状態であるか否かを判定し、既に稼働状態である場合には、着呼信号の出力を既に起動している監視制御端末2が検知できるので、起動信号を出力することなくS1に戻る一方、非稼働状態である場合にはS3に進んで、起動信号を出力して監視制御端末2を起動させるとともに、S4に進んで、稼働信号の入力待ち状態に移行し、該稼働信号の入力を検知した場合には、監視制御端末2が起動したと判断してS5に進み、信号監視部40に対して経路接続指示を出力して、信号監視部40にて着呼信号を監視制御端末2に対して中継出力させた後、S1に戻る。
【0050】
一方、前記待機状態において監視タイマがタイマアップした場合には、該タイマアップがS6により検知されてS7に進み、その時点にて稼働信号の入力が有るか否かにより監視制御端末2が稼働状態であるか否かを判定する。
【0051】
そして、該S7における判定において既に非稼働状態である場合、具体的には、監視用コンピュータ6からの停止指示を受けて非稼働状態となっている場合には、停止信号を出力することなくS1に戻る一方、S7における判定において稼働状態である場合にはS8に進み、停止信号を監視制御端末2に出力して監視制御端末2を停止させるとともに、信号監視部40に対して経路切断指示を出力して、信号監視部40により着呼信号が監視制御端末2に対して中継出力されないようにした後、S1に戻る。
【0052】
つまり、本実施例のMPU41によって、起動信号並びに停止信号が監視制御端末2に対して出力されており、該MPU41によって本発明における起動信号出力手段並びに停止信号出力手段が形成されている。
【0053】
更に、本実施例のMPU41によって、データの通過状況が予め定められた所定の停止条件を満たしたか否か、すなわち所定時間に亘りデータの通過状況が低い状態が継続したか否かを判定しており、該MPU41によって本発明における停止判定手段が形成されている。
【0054】
次に、本実施例において本社側に設置されたVPN装置7の構成は図4に示すようになっており、基本的な構成は前記監視制御端末2に類似した構成とされていて、VPN装置7内部にて比較的高速にてデ−タの送受を行うためのデ−タバス70に、後述する記憶装置75であるハードディスク(HDD)に記憶されているグローバルIP経路確立プログラム内の各種モジュールプログラムに基づいて、送受信するIPパケットに付与されているグローバルIPアドレスとローカルIPアドレスとの変換処理や、前記送信するIPパケットの暗号化処理並びに受信したIPパケットの復号化処理や、VPNコネクションの確立時における認証処理等を行う中央演算処理装置(CPU)71や、該CPU71のワークメモリや後述する通信部A73並びに通信部B74において送受信されるデータを一時的に蓄積可能とするためのRAM72や、前記ADSLモデム8との間において所定の通信プロトコルであるIEEE802.3/10baseTにて双方向のデ−タ通信を行う通信部A73や、前記監視用コンピュータ6との間において所定の通信プロトコルであるIEEE802.3/10baseTにて双方向のデ−タ通信を行う通信部B74や、前記CPU71が行う各種処理内容が記述されたグローバルIP経路確立プログラムとともに、図示しない監視制御端末データベース(DB)を記憶する記憶装置75と、が接続された構成とされている。
【0055】
この本実施例に用いた監視制御端末データベース(DB)には、店舗に設置されている監視制御端末2に固有に付与された識別符号である監視制御端末IDに対応付けて、該監視制御端末2に装着されたデータ通信カード3に対して携帯電話会社により付与された電話番号が記憶されているとともに、該データ通信カード3に対して携帯電話会社から動的に割り当てられるグローバルIPアドレスが更新登録されるともに、該監視制御端末2のローカルIPアドレスと、該監視制御端末2に接続される監視カメラに仮想的に付与された疑似ローカルIPアドレスと、前記認証処理にて監視制御端末2より送信されるパスワードと照合するためのパスワードと、監視制御端末2と送受信する暗号化データの暗号化並びに復号化に使用する暗号化キーデータとが、登録されている。
【0056】
また、図5には、前記記憶装置75に記憶されている各種モジュールプログラムにより形成される各処理部を示しており、これらVPN装置7にて形成される処理部としては、前記監視制御端末2と同様に、VPNコネクションの確立時における認証処理を実施する認証処理部76が認証処理モジュールプログラムにて、また、前記通信部A73におけるIEEE802.3/10baseTの通信制御を行う通信デバイスから成るグローバルIPデバイスと前記通信部B74におけるIEEE802.3/10baseTの通信制御を行う通信デバイスから成るローカルIPデバイスとの間において、グローバルIPからローカルIP或いはローカルIPからグローバルIPへの変換処理を行うIPアドレス変換処理部79がIPアドレス変換処理モジュールプログラムにより形成されているとともに、該IPアドレス変換処理部79とローカルIPデバイスである前記通信部B74との間には、送信するIPパケットを前記記憶装置75の監視制御端末データベース(DB)に予め登録されている暗号化キーデータに基づき暗号化する暗号化処理部77とともに、受信したIPパケットを前記暗号化キーデータに基づき復号化する復号化処理部78とが暗号化処理モジュールプログラム並びに復号化処理モジュールプログラムにて形成されていて、前記監視制御端末2における画像の画像圧縮処理部30や画像送信処理部31並びに制御処理部37以外の各処理部が設けられていて、該VPN装置7と前記監視制御端末2とがインターネット網5を介して互いにグローバルIPアドレスによる仮想プライベート通信路であるVPNコネクションを確立できるようになっている。
【0057】
このVPNコネクションによる仮想プライベート通信路を、前記監視用コンピュータ6から送信されてローカルIPデバイスである通信部B74より入力された制御データが、前記暗号化処理部77にて暗号化されて前記確立された仮想プライベート通信路上を監視制御端末2に伝送されるようになるとともに、該仮想プライベート通信路上を監視制御端末2より伝送されてきた暗号化されている監視画像データが前記復号化処理部78にて復号化された後、前記ローカルIPデバイスである通信部B74を通じて監視用コンピュータ6に送信される。
【0058】
以下、本実施例の監視システムにおける動作について以下に説明する。尚、通常において監視制御端末2は停止状態にあるものとし、データ通信カード3並びに節電用着信検知アダプタ4が、監視制御端末2に搭載されている電池(バッテリー)にて動作しているものとする。
【0059】
この状態において店舗の監視画像を、本社の監視用コンピュータ6にて確認したい場合には、監視用コンピュータ6にて当該店舗に設置されている監視制御端末IDを指定する。
【0060】
この指定に基づいて監視用コンピュータ6は、前記監視制御端末データベース(DB)において当該指定された監視制御端末IDに対応付けて記憶されているデータ通信カード3の電話番号を特定し、該特定した電話番号を含む発呼要求を、ISPに設置されている呼制御サーバに対して送信する。
【0061】
この発呼要求の受信に基づいて呼制御サーバは、当該受信した発呼要求に含まれる電話番号が携帯電話会社の電話番号であると特定し、該特定に基づいて、ゲートウエイサーバ並びに公衆回線網を介して携帯電話会社の携帯電話システムに対して当該電話番号への発呼を要求する発呼処理を実施する。
【0062】
この発呼処理により携帯電話システムは、要求された電話番号のデータ通信カード3が存在している無線基地局を特定し、当該無線基地局からデータ通信カード3に対して発呼を行う。
【0063】
データ通信カード3は、該発呼を受信、すなわち着呼があった場合には、当該着呼があった旨を示す着呼信号をカードインターフェイス(I/F)36を介して節電用着信検知アダプタ4に出力する。
【0064】
この着呼信号の出力は、前述したMPU41による図8のフロー図に示す処理のS1において検知されることで、節電用着信検知アダプタ4から監視制御端末2に対して起動信号が出力される(S3)。
【0065】
このように出力された起動信号は、カードインターフェイス(I/F)24を構成する図示しないコネクタを介して監視制御端末2の電力供給部29に出力される。そして、電力供給部29は、起動信号の入力に基づいて、図示しない起動スイッチの操作信号の入力時と同様に、動作電力の供給を開始して監視制御端末2を起動させる。
【0066】
この動作電力の供給開始により起動したCPU21は、前述の起動信号をカードインターフェイス(I/F)24を介して節電用着信検知アダプタ4へ出力する一方、着呼信号の入力が有るか否かを監視する。
【0067】
そして、起動信号の出力に応じて着呼信号が節電用着信検知アダプタ4により中継出力された場合には、該着呼信号の出力に応じてデータ通信カード3に対して、カードインターフェイス(I/F)24と節電用着信検知アダプタ4とを通じて、発信元の電話番号の出力要求を出力して、発信元の電話番号を取得し、該取得した発信元の電話番号をフラッシュメモリ23に記憶されている設定データ中のIP電話番号と照合し、該照合が一致したときにはデータ通信カード3に対して着信指示を出力して、データ通信カード3に回線を接続させた後、当該接続回線を通じて当該監視制御端末2に付与された監視制御端末ID並びに接続機器等の状況データを含む起動完了情報を、発呼元の監視用コンピュータ6に対して返信した後、当該回線の切断指示をデータ通信カード3に対して出力して回線を切断させる。尚、照合が一致しないときには着信指示を出力せずに、着呼信号の非出力を待って非稼働状態に移行して停止する。
【0068】
そして、この回線切断後において、本社に設置されているVPN装置7との間におけるVPNコネクションの確立処理に移行する。このVPNコネクションの確立の流れについて説明すると、まず、前記フラッシュメモリ23の設定ファイルに登録されている前記VPN装置7の固定グローバルIPアドレスを読み出し、該VPN装置7のIPアドレスに対して自己の識別符号である監視制御端末IDとを含むVPNセッションの開始要求を送信してグローバルIPアドレスを通知する。
【0069】
このVPNセッションの開始要求を受信したVPN装置7は、送信データに含まれている監視制御端末IDを抽出して送信元の監視制御端末2を特定し、当該監視制御端末2が発呼を実施した監視制御端末2と一致するか否かを確認するとともに、その送信データ(IPパケット)に対して携帯電話システムにより付与されている送信元のグローバルIPアドレスを、特定した監視制御端末2に新規に割り当てられたグローバルIPアドレスとして記憶装置75の伝送装置DBに更新登録するとともに、前記認証処理部76を起動してパスワードの受信待ちとなる。
【0070】
また、監視制御端末2は、前記VPNセッションの開始要求の送信に次いで、前記認証処理部33を起動して前記設定ファイルに登録されているパスワードを読み出し、該パスワードをVPN装置7に送信する。
【0071】
該パスワードを受信したVPN装置7の認証処理部76は、該送信されてきたパスワードと、前記伝送装置DBに前記送信されてきた監視制御端末IDに対応付けて登録されているパスワードとの照合を実施し、照合が一致しない場合には接続を拒否し、照合が一致した場合には受理通知を返信して、以下のVPNコネクションの確立処理に移行する。
【0072】
前記パスワードとの照合が一致した場合にVPN装置7は、トンネルデバイスとして新たにローカルIPデバイスを作成し、予め設定ファイルによって決めてある所定のローカルIPアドレスを該作成したトンネルデバイスに対して割り付ける。このVPN装置7上のトンネルデバイス(ローカルIPアドレス)宛てに送信されたIPパケットは、VPN装置7上のグローバルIP経路確立プログラムによって一旦受信され、ここで前記暗号化処理部77にて暗号化された後、前記IPアドレス変換処理部79において前記ローカルIPアドレスに対応する送信先並びに送信元のグローバルIPアドレスから成るVPNヘッダが付与されて前記ADSLモデム8並びにISPを介してインターネット網5に送信される。
【0073】
また、前記VPN装置7から前記パスワードとの照合による受理通知を受信した監視制御端末2も、前記VPN装置7と同様のVPNコネクションの確立処理に移行し、トンネルデバイスとして新たにローカルIPデバイスを作成し、予め設定ファイルによって決めてある所定のローカルIPアドレスを該作成したトンネルデバイスに対して割り付ける。このVPN装置7上のトンネルデバイス(ローカルIPアドレス)宛てに送信されたIPパケットは、監視制御端末2上の画像伝送プログラムによって一旦受信され、前記暗号化処理部35にて暗号化された後、前記IPアドレス変換処理部34において前記ローカルIPアドレスに対応する送信先並びに送信元のグローバルIPアドレスから成るVPNヘッダが付与されて前記データ通信カード3並びに携帯電話システムを介してインターネット網5に送信される。このVPNヘッダが付与されたIPパケットはVPN装置7上の前記グローバルIP経路確立プログラムによって受信され、前述のようにVPNヘッダがはずされ、複合化されローカルIPアドレスを割り当てられたVPN装置7上の前記トンネルデバイスに対して出力される。この出力されたローカルIPパケットがVPN装置7に接続されている監視用コンピュータ6に転送され、該IPパケットに含まれている監視画像データが画像表示プログラムであるブラウザプログラムにて受信される。
【0074】
このようにして、監視制御端末2と監視用コンピュータ6との間において監視映像等の各種のデータの送受信が実施されている場合には、節電用着信検知アダプタ4の通過データバス45上を送受信される各種のデータに基づくデータ信号が通過するので、所定時間毎に監視タイマがリスタートされることにより、監視タイマがタイマアップすることはないが、これらの送受信が実施されていない場合、例えば、監視用コンピュータ6において監視が終了したことで、監視制御端末2に対して停止要求を送信し忘れた場合等においては、監視タイマがリスタートされないことにより所定時間(5分)が経過することにより監視タイマがタイマアップする。
【0075】
この監視タイマのタイマアップは、前述したMPU41による図8のフロー図に示す処理のS6において検知されることで、節電用着信検知アダプタ4から監視制御端末2に対して停止信号が出力され(S8)、監視制御端末2は該停止信号の入力に応じて、所定の終了処理を実施して非稼働状態に移行することで、不必要な電力消費を抑えるようになっている。
【0076】
以上のように、本実施例の節電用着信検知アダプタ4を用いれば、該節電用着信検知アダプタ4を端末装置となる監視制御端末2とデータ通信ユニットであるデータ通信カード3との間に介在させることで、データ通信カード3にて着信があった場合に出力される着信信号の出力が節電用着信検知アダプタ4にて監視され、該着信信号の出力検知により、監視制御端末2を起動させるための起動信号が節電用着信検知アダプタ4から監視制御端末2に出力されるようになるので、監視制御端末2は着信信号の出力検知のために起動している必要がなく、よって、これら監視制御端末2を大きく変更することなく、簡便に監視制御端末2における消費電力を抑えることができる。
【0077】
また、本実施例の節電用着信検知アダプタ4によれば、節電用着信検知アダプタ4にデータの通過状況を監視する監視機能を有しているので、監視制御端末2に稼働停止を行うためにデータの通過状況を監視する監視機能等を付与する等の変更を行う必要がなく、これらデータの通過状況に基づく稼働停止の機能を簡便に監視制御端末2に付与することができ、例えば、監視終了時等に監視制御端末2の停止指示を送信し忘れた場合等において、不必要に監視制御端末2が稼働を継続して電池を消耗してしまうことも回避することができる。
【0078】
また、本実施例の節電用着信検知アダプタ4によれば、節電用着信検知アダプタ4がデータ通信カード3並びに監視制御端末2に設けられているカードインターフェイス(I/F)と同一のカードインターフェイス(I/F)を有することで、必要に応じて節電用着信検知アダプタ4を取外したり、逆に、必要に応じて節電用着信検知アダプタ4を装着したりすることが可能となるとともに、節電用着信検知アダプタ4を簡便に着脱できる。
【0079】
また、本実施例の節電用着信検知アダプタ4によれば、電力入力部となるカードインターフェイス(I/F)44を通じて供給される、監視制御端末2に搭載されている電池(バッテリー)の電力を用いて節電用着信検知アダプタ4並びにデータ通信カード3が動作するようにしているので、例えば、監視制御端末2に装着できるようにするために容積的な制約を受ける節電用着信検知アダプタ4に電池を搭載して、該搭載電池にて節電用着信検知アダプタ4とデータ通信カード3(データ通信ユニット)とを駆動する場合に比較して、容積的な制約が少なく比較的大容量の電池を搭載可能な監視制御端末2側から電力の供給を受けるようにすることで、これら節電用着信検知アダプタ4に搭載されている電池を消耗した後においても、監視制御端末2側の電池からの電力にて動作することが可能となり、より長い期間に亘り節電用着信検知アダプタ4並びにデータ通信カード3(データ通信ユニット)とを駆動できるとともに、監視制御端末2側の電池が残存しているのに節電用着信検知アダプタ4側の電池を消耗することで、監視制御端末2を起動できない状況が生じる不都合も回避することもできる。
【0080】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0081】
例えば、前記実施例では、データ通信ユニットとして携帯電話会社のデータ通信サービスに対応したデータ通信カード3を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらデータ通信ユニットをPHSシステムに対応したデータ通信カードを用いたり、或いは無線LANカードを用いるようにしても良い。
【0082】
また、前記実施例では、データ通信ユニットとして無線によりデータ通信を実施するデータ通信カード3を用いており、このようにすることは、装着される監視制御端末2等の端末装置の設置性を向上できることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらデータ通信ユニットとして、無線ではなく、有線にて回線接続やインターネット接続を実施するモデムやルータ等を使用しても良い。
【0083】
尚、前記実施例では、回線接続が可能なデータ通信カード3を用いていることから、本発明における通信ネットワーク側からの着信として、発呼の受信である着呼を例に説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら通信ネットワーク側からの着信としては、例えば無線LANカードのように、通信ネットワーク側からセッションの確立のための要求信号の受信等も着信として含むものである。
【0084】
また、前記実施例では、着脱インターフェイスとしてカード用の標準規格であるPCMCIA規格を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら着脱インターフェイスとしては、例えばユニバーサル・シリアル・バス(USB)規格の着脱インターフェイスや、IEEE1394規格の着脱インターフェイスであっても良い。
【0085】
また、前記実施例では、監視制御端末2の起動後において、監視制御端末2と監視用コンピュータ6との間の各種のデータの送受信を、オープンコンピュータネットワークであるインターネット網5を介して実施しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら起動後において、監視制御端末2と監視用コンピュータ6との間の各種のデータの送受信も、起動時において接続した回線を通じて実施するようにしても良い。
【0086】
また、前記実施例では、起動後における監視制御端末2と監視用コンピュータ6との間の各種のデータの送受信をオープンコンピュータネットワークであるインターネット網5を介して実施するために、該インターネット網5上における情報の秘匿性とセキュリティ性を確保するためにVPN機能を監視制御端末2に付与するとともに、VPN装置7を設けてVPNコネクションを確立するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば前述のように、起動時において接続した回線を通じて各種のデータの送受信を実施する場合にあっては、これらVPNを使用しない構成としても良い。
【0087】
また、前記実施例では、節電用着信検知アダプタ4には電池を搭載していない例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら節電用着信検知アダプタ4に電池を搭載しておき、該搭載電池により節電用着信検知アダプタ4やデータ通信カード3を動作させるようにしても良いし、別途、外部電源を用意して、該外部電源からこれら節電用着信検知アダプタ4やデータ通信カード3に電力を供給するようにしても良い。
【0088】
また、前記実施例では、電力供給部29を端末装置として監視制御端末2側に設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら電力供給部29を節電用着信検知アダプタ4側に設けて、該節電用着信検知アダプタ4側から監視制御端末2側に動作電源を供給し、該供給電力を管理しても良い。
【0089】
また、前記実施例では、電池としてバッテリーを例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら電池としては、例えば充電不能な一次電池であっても良いし、さらに、これらバッテリーとともに太陽電池や燃料電池を併用して使用しても良い。
【0090】
また、前記実施例では、節電用着信検知アダプタ4が装着される端末装置として監視制御端末2を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら端末装置を例えば、ノートパソコンや水位や雨量やメータ量等の各種のデータを収集するデータ収集端末等に用いるようにしても良い。
【0091】
また、前記実施例では、着呼信号を、通常のデータ信号が通過する通過データバス45を通過させずに、個別に受信するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら着呼を示す特定の着呼データとしてデータ信号線を通じて節電用着信検知アダプタ4に入力されるようにし、信号監視部40は、これら通過データバス45を監視することで、着呼(着信)を検知しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施例における節電用着信検知アダプタ4が適用された監視制御端末2を有する監視システムの構成を示すシステム図である。
【図2】本発明の実施例に用いた監視制御端末2並びに節電用着信検知アダプタ4の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例に用いた監視制御端末2内部における各処理部におけるデータの流れを示す説明図である。
【図4】本発明の実施例に用いたVPN装置7の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例に用いたVPN装置7における各処理部におけるデータの流れを示す説明図である。
【図6】本発明の実施例に用いた節電用着信検知アダプタ4が適用された監視制御端末2の外観斜視図である。
【図7】本発明の実施例に用いた節電用着信検知アダプタ4の構成を示す詳細ブロック図である。
【図8】本発明の実施例に用いた節電用着信検知アダプタ4のMPUが実施する処理内容を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0093】
1 監視カメラ
2 監視制御端末
3 データ通信カード
4 節電用着信検知アダプタ
5 インターネット網
6 監視用コンピュータ
7 VPN装置
8 ADSLモデム
9 公衆回線網
19 カードスロット
24 カードインターフェイス
29 電力供給部
40 信号監視部
41 マイクロプロセッシングユニット(MPU)
42 カードインターフェイス
43 電力供給部
44 カードインターフェイス
45 通過データバス
46 カード装着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作電力を供給するための電池を有しており該電池による稼働が可能とされた端末装置と、該端末装置にデータ通信機能を付与するためのデータ通信ユニットとの間に介在させて、前記端末装置における電力消費を抑えるための節電用着信検知アダプタであって、
前記端末装置とデータの入出力を行うための端末側入出力部と、
前記データ通信ユニットとデータの入出力を行うための通信ユニット側入出力部と、
前記端末側入出力部を介して前記端末装置から入力される入力データをそのまま前記通信ユニット側入出力部を介して前記データ通信ユニットに通過出力するとともに、前記通信ユニット側入出力部を介して前記データ通信ユニットから入力される入力データをそのまま前記端末側入出力部を介して前記端末装置に通過出力する通過出力部と、
前記データ通信ユニットにおける通信ネットワーク側からの着信に基づいて、該データ通信ユニットから前記通信ユニット側入出力部を介して入力される着信を示す着信信号を検知する着信信号検知部と、
前記着信信号検知部にて着信信号を検知したことを条件として前記端末側入出力部を介して前記端末装置に起動を指示する起動信号を出力する起動信号出力手段と、
少なくとも前記起動信号の出力後において、前記端末側入出力部を介して前記端末装置に対して前記着信信号を出力する着信信号出力部と、
を具備することを特徴とする節電用着信検知アダプタ。
【請求項2】
前記通過出力部において通過出力されるデータの通過状況を監視するトラヒック監視部と、
前記トラヒック監視部によるデータの通過状況が、予め定められた所定の停止条件を満たしたか否かを判定する停止判定手段と、
前記停止判定手段により所定の停止条件を満たしたと判定されることを条件として、前記端末側入出力部を介して前記端末装置に稼働停止を指示する停止信号を出力する停止信号出力手段と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の節電用着信検知アダプタ。
【請求項3】
前記端末装置は前記データ通信ユニットを着脱可能とするための着脱インターフェイスを有し、
前記通信ユニット側入出力部は、前記端末装置が有する前記着脱インターフェイスと同一の着脱インターフェイスにより形成されているとともに、前記端末側入出力部は、前記着脱インターフェイスに着脱可能な前記データ通信ユニット側の装着インターフェイスと同一の装着インターフェイスにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の節電用着信検知アダプタ。
【請求項4】
前記端末装置が有する電池から動作電力の供給を受けるための電力入力部と、該電力入力部から供給される電力を前記データ通信ユニットに供給するための電力供給部とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の節電用着信検知アダプタ。
【請求項5】
前記端末装置は、特定の監視領域の映像を撮像するための監視カメラが接続され、該接続された監視カメラの映像データを前記データ通信ユニットを通じて所定の監視用装置に対して送信するための監視制御端末であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の節電用着信検知アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−53453(P2007−53453A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235604(P2005−235604)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(500327636)株式会社ブレインズ (11)
【Fターム(参考)】