説明

簡易軸受及びそれを用いた開閉口付き容器

【目的】最少限度の2部品で構成可能である簡易軸受を提供する。
【構成】部材21を本体11に対して回転可能に取り付けるための簡易軸受であり、本体11の外部に設けられ、かつ折り曲げて本体11の内側に配置される一対の耳片13、14と、一対の耳片13、14間に部材21を回転可能に取り付けるための軸部23、24と、その軸部23、24を軸承するための軸受部17、18とから成るもの。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、部材を本体に対して回転可能に取り付けるための簡易軸受及びそれを用いた開閉口付き容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば菓子容器では、指先の操作で開閉口を開き、粒状や錠剤型のような内容物を取り出す構造を有するものが見られる。しかし従来は、軸受を本体に設けるとしてもそれ以外に軸と開閉部材の計3部材が必要であった。またあるものは、開閉口を開閉する部材と、この部材を組み付けるための本体部材、それに開閉する部材を本体部材に組み付けた状態に保つ部材の3部材を必要とした。これとともに部品点数を少なくするために、開閉部材の移動量や開閉口の位置などが操作部分の極く近辺に自ずと制限されることになり、面白味の乏しいものにならざるを得ないというのが実情であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、最小限度の2部品で構成可能である簡易軸受を提供することである。また本発明の他の課題は、最少限度の部品により、意外性のある動きをするカバー部材によって、開閉が行なわれる開閉口付き容器を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため本発明は、本体の外部に設けられ、かつ折り曲げて本体の内側に配置される一対の耳片と、一対の耳片間に部材を回転可能に取り付けるための軸部と、その軸部を軸承するための軸受部とからによって簡易軸受を構成するという手段を講じたものである。
【0005】
また本発明に係る開閉口付き容器は、本体に内外を通じる開閉口を設け、その本体に、折り曲げて内側に配置される一対の耳片を設け、上記開閉口を開閉するためのカバー部材の一部を一対の耳片間に配置し、カバー部材に軸部を一体成形により設けてそれが嵌まり込む軸受部を耳片に形成するか、或いは、耳片に軸部を一体成形により設けてそれが嵌まり込む軸受部を部材に形成することが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の簡易軸受は、或る部材を、取り付け対象である本体に、回転可能に取り付けるためのものである。その簡易軸受は、本体の外部に設けられ、かつ折り曲げて本体の内側に配置される一対の耳片を有する。本体の外部にあって、軸受けの一部を構成するときに、本体の内側に配置されるために、一対の耳片は、製造上、本体を射出成形などの手段によって形成するときに、外部に型成形することを可能にする。また構造上は望む位置に耳片を折り曲げることにより、軸承位置を本体内の任意の箇所に設定し得るので、設計上の自由が大きく、開閉口付き容器に意外性のある動きを与えることができる。
【0007】
一対の耳片間には、部材を回転可能に取り付けるための軸部と、その軸部を軸承するための軸受部とから成る簡易軸受が設けられる。軸部は部材に一体成形して、それが嵌まり込む軸受部を耳片に形成することができる、一方、耳片に軸部を一体成形して、それが嵌まり込む軸受部を部材に設けても良い。耳片の折り曲げ、或いは一体成形というような文言から推測できるように、本発明の簡易軸受はプラスチック材料を射出成形することによって製造する場合に、特に適している。そして、本体と部材の2部品によって、自由度の大きい簡易軸受を得ることができる。
【0008】
さらに、本発明の簡易軸受を用いて開閉口付き容器を形成することができる。その場合、本体に、本体内外を通じる開閉口を設け、同じく本体の外部に、折り曲げて内側に配置し得る一対の耳片を設ける。耳片を折り曲げたときに設定されることになる軸承位置に近付けるように開閉口の位置を設定することができるので、開閉口の位置などが操作部分の近くに制限されることがない。開閉口を開閉するためのカバー部材(開閉部材)は一部が一対の耳片間に配置されて簡易軸受を構成し、また一部は開閉口を閉じる蓋の役割を果たす。
【0009】
カバー部材は、指先の操作によって開閉口を一時開き、操作を止めると原位置へ戻る、自動戻り機構を有していて良い。自動戻りのためには弾性力を利用するのが良いが、そのために、カバー部材の一部又は本体の一部に弾性片を一体成形し、弾性力を利用するのは望ましいことである。なおカバー部材の指先操作のために、操作部をカバー部材に設けることができる。
【0010】
【実施例】
以下図示の実施例により本発明をより詳細に説明する。図1は、本発明に係る簡易軸受を開閉口付き容器に実施した例示であり、11は下に開いたキャップ状の本体で、容器上部を構成する。12は開閉口で、本体11の一側面に開口して内外を通じている。
【0011】
本体11の開閉口12に正対したときに、左右に相当する位置において、本体11の下端部には一対の耳片13、14が薄肉ヒンジ15、16を介して折り曲げ可能に、本体11に一体成形によって設けられている。一対の耳片13、14は、薄肉ヒンジ15、16を設けている本体11の位置よりも開閉口12の方へ寄る向きに傾斜して設けてあり、その先端部に軸受部17、18が夫々貫通状に形成されている。従って軸承位置(符号Aで示す)は、耳片13、14の長さと傾斜を変えることで任意に設定することができる(図2)。
【0012】
カバー部材21は、開閉口12を閉じることができる大きさを有しかつまた、本体11の外周面に適合した曲面から成る形状を有しているカバー部22を有する。またカバー部22の付け根の左右に、一対の軸部23、24を有しており、これらの軸部23、24は、本体内方に折り曲げられた耳片13、14の軸受部17、18に嵌合し、カバー部材21を回転可能に支える。カバー部材21は、カバー部22の後方に延びた延長片25を有しており、延長片25は上部に操作部26を有していて、先端でカバー部材側のガイド溝19に係合しつつスライド可能に本体に取り付けられている(図5)。
【0013】
カバー部材21のカバー部22は、図4に示されているように、開閉口12とは頸部27で連続している上部開口28に配置され、頸部27に支えられるようにして、開閉口12を開閉するための回転運動をする。上部開口28を閉じるために、上部カバー部29がカバー部材21の付け根側の上面に曲面状に設けられている。
【0014】
さらに、開閉口12とは反対側、つまり開閉口12を前面とすれば後面の方には、薄肉ヒンジ32を介して弾性片31が本体に一体成形されている。この弾性片31は、本体内方へ彎曲させて、先端をカバー部材21の後部の係合部33に当てることにより、カバー部材21を前方へ押圧する。本体下部34は嵌合部となっており、下部容器35の上端開口と嵌合して、内部に粒状の菓子などを収める容器を構成する。なお、軸部23、24を軸受部17、18へ誘導するために、耳片13、14は薄肉ヒンジ15、16近くに切り欠き部を有しかつそこから軸受部17、18へ向けてガイド部17′、18′を設けている。
【0015】
この開閉口付き容器10は、図5に示すように、カバー部材21が開閉口内の軸承位置Aにて本体11に回転可能に軸支されており、カバー部材21を回転させることで開閉口12を閉じ(実線の状態)、また開閉口12を開くことができる(鎖線の状態)。カバー部材21は耳片13、14で軸承され、操作部26から適当な距離を置くことができるので、開閉動作や操作方法の自由度が高く、斬新な動きが得られる。
【0016】
図6、図7は本発明に係る簡易軸受の実施例2を示すもので、自動車玩具本体36の車輪37の軸承に適用した例である。前後車輪37、37′のために、左右一対の耳片38、39、38′、39′が設けられており、耳片38、39、38′、39′は玩具本体の下部に薄肉ヒンジ45、46、45′、46′を介して設けられ、内方へ折り曲げて配置され、夫々の軸受部41、42、41′、42′に車輪37、37′の軸部43、44、43′、44′が嵌り込んで軸承されている。よって、極く簡単かつ容易に車輪37、37′を装着することができ、その軸承位置も耳片38…の長さと傾斜等によって設定することができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成されかつ作用するものであるから、最少限度の2部品で簡易軸受を構成することができるとともに、それによる軸承位置の設定が容易であるという効果を奏する。また、本発明の簡易軸受により、最少限度の2部品で意外性のあるカバー部材の動きによって開閉される開閉口付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の簡易軸受及びそれを用いた開閉口付き容器の実施例1を示す分解斜視図。
【図2】同上の本体の各部を折り曲げて示す縦断面図。
【図3】(a)カバー部材の平面図。
(b)カバー部材の縦断面図。
【図4】カバー部材と本体の横断面図。
【図5】本発明に係る開閉口付き容器の破断側面図。
【図6】本発明に係る簡易軸受の実施例2を示す斜視図。
【図7】同上の横断面図。
【符号の説明】
11、36 本体
12 開閉口
13、14、38、39、38′、39′ 耳片
17、18、41、42、41′、42′ 軸受部
21 カバー部材
23、24、43、44、43′、44′ 軸部
26 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材を本体に対して回転可能に取り付けるための簡易軸受であって、本体の外部に設けられ、かつ折り曲げて本体の内側に配置される一対の耳片と、一対の耳片間に部材を回転可能に取り付けるための軸部と、その軸部を軸承するための軸受部とから成ることを特徴とする簡易軸受。
【請求項2】
部材に軸部を一体成形により設けてそれが嵌まり込む軸受部を耳片に形成するか、或いは、耳片に軸部を一体成形により設けてそれが嵌まり込む軸受部を部材に形成することにより、2部品で構成されている請求項1記載の簡易軸受。
【請求項3】
本体に内外を通じる開閉口を設け、その本体に、折り曲げて内側に配置される一対の耳片を設け、上記開閉口を開閉するためのカバー部材の一部を一対の耳片間に配置し、カバー部材に軸部を一体成形により設けてそれが嵌まり込む軸受部を耳片に形成するか、或いは、耳片に軸部を一体成形により設けてそれが嵌まり込む軸受部を部材に形成するようにした簡易軸受を用いた開閉口付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2004−124990(P2004−124990A)
【公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−286184(P2002−286184)
【出願日】平成14年9月30日(2002.9.30)
【出願人】(000127617)株式会社エースプレミアム (2)
【Fターム(参考)】