米袋及び米袋用連続シートの製造方法
【課題】持ち運びが容易な米袋を提供する。
【解決手段】取っ手11が引出可能として上辺部1に設けられている。この取っ手11は、プラスチック製不織帯布7の中間部位Aを、Z字状に折畳状態で、収納袋部14に収納されている。
【解決手段】取っ手11が引出可能として上辺部1に設けられている。この取っ手11は、プラスチック製不織帯布7の中間部位Aを、Z字状に折畳状態で、収納袋部14に収納されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米袋及び米袋用連続シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、米袋を開封するには、鋏を用いていた(例えば、特許文献1参照)。
しかし、別途鋏を用意しておく必要があり、手間がかかり、また、所望の形状に正確に米袋を裂くのは難しいという欠点があった。
そこで、本出願人は鋏を用いずに開封しやすく、他にも、多くの利点を有する米袋として、既に実用新案登録出願にて提案した(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−221044号公報
【特許文献2】実用新案登録第3120596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、(重量の)重い米袋を手で持ち運びするには、従来の米袋では、丸抱えするか、上記特許文献2のものでは、指が痛くなるという問題があった。また、プラスチック製の米袋が指を掛けた箇所から引き裂ける虞もあった。
そこで、本発明は、重い米袋を容易に手にて持ち上げることが可能であり、不意に落下させずに、指も痛くなることなく、運ぶことができる米袋を提供することを目的とし、また、米袋の各部が引き裂けることもなく、丈夫なものを提供することを他の目的とする。また、米粒の投入も容易な米袋用連続シートの製造方法を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、プラスチック製の表てシート体と裏シート体の上辺部・下辺部・左辺部・右辺部を融着して米粒を封入する米袋に於て、上記下辺部は米未投入状態では未融着開口状であると共に、上記上辺部はプラスチック製不織帯布が上記表てシート体と裏シート体にサンドイッチ状に配設され、しかも、該不織帯布はその中間部位を除いて、左右両側が米粒排出阻止のための小寸法通気路を多数形成するように散点状に小融着部を多数配設して上記表てシート体・裏シート体に融着一体化し、かつ、上記不織帯布の上記中間部位は折畳み状態で上記表てシート体・裏シート体の間に取っ手として、引出可能に介設されている。
【0005】
また、折畳み状態の上記不織帯布の中間部位の下縁に沿って、上記表てシート体と上記裏シート体とを円形散点状に融着した散点融着列を有している。
また、散点状の上記小融着部が楕円状乃至長円形状であって、少なくとも上記中間部位の近傍域では、左右方向中央に向かって上方傾斜状に所定傾斜角をもって配設されている。
また、上記不織帯布の上記左右両側の内の一方と、上記中間部位との境界域において、該不織帯布と上記表てシート体と上記裏シート体とを、該不織帯布を上下方向に横切るように融着した切り取り線部を形成した。
また、上記表シート体と裏シート体の上記左辺部・右辺部を、相互に融着する融着帯部は、上下中間位置が幅広として、米収納部の上下中間位置に絞り部を形成した。
【0006】
そして、本発明に係る米袋用連続シートの製造方法は、帯状の第1プラスチックシートと帯状の第2プラスチックシートを、相互間隔がしだいに接近するように送りを与えつつ、帯状のプラスチック不織布を該送りと同一の方向に送りを与えつつ、該プラスチック不織布を幅方向に切断して、不織帯布を形成すると共に、該不織帯布を上記第1・第2プラスチックシートのいずれか一方に仮付けして、前記送りにて下流へ送り、上記第1・第2プラスチックシートの間にサンドイッチ状として上記不織帯布を融着一体化すると同時に、左右辺部を融着する方法である。
また、上記プラスチック不織布は、横断面Z字状又は横断面Z字状とS字状の組合せ形状となるように、予め折畳まれてロール状に巻設され、このロール状に巻設された不織布ロールから繰出しつつ送りを与える方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る米袋によれば、米粒がこぼれることを防ぎつつ、エアー抜きをすることができる。さらに、折畳み状態の取っ手は、販売前の流通過程では邪魔とならず、お客が買った後に、取っ手を容易に引き出して、持ち運びが容易である。しかも、取っ手が外れてしまうこともなく、強度も十分に高く保つことができる。さらに、鋏を用いずに開封するような構造とすることが可能である。
また、本発明の米袋用連続シートは、一般に用いられている米投入機にて米を投入できて、そのまま適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1に於て、米袋20には米粒Kが封入(収納)された状態を例示する。図2は米袋20の上辺部1とその近傍域を示す拡大図であり、図5は米粒Kを吐出させるために上辺部1の一部を切り取った(取り去った)開封使用状態を示す要部拡大図である。
【0009】
図1,図2,図5、及び、図3と図4に於て、この米袋20は、プラスチック製の矩形状の表てシート体5と裏シート体6を有し、その上辺部1・下辺部2・左辺部3・右辺部4を、高周波加熱やニクロム線加熱等のヒーティングにて融着して、図1のように、米粒Kを封入するのに用いられる。
(図示省略したが、)下辺部2は米粒Kを投入する前の状態───即ち米未投入状態───では、未融着開口状であり、(後述の)図14に於て矢印C−C間を切断して分離した状態(但し、上下は逆に描かれている)である。
そして、上辺部1には、幅寸法Wが13mm〜25mmのプラスチック製不織帯布7が、表てシート体5と裏シート体6にサンドイッチ状に配設され(図4参照)、しかも、この不織帯布7は長手方向(左右方向)の中間部位Aを除いた残部───即ち、左右両側8,8が、散点状に小融着部9を多数配設して、表てシート体5と裏シート体6に融着一体化した構造である。
この多数の小融着部9の相互間は、米粒排出(こぼれ)阻止のための小寸法の間隔Mの(小寸法)通気路10を多数形成する。
【0010】
図6には、図2の要部拡大図を示すが、この図6中の矢印Eの如く、隣り合った小融着部9,9の間に形成される小寸法通気路10を、米袋20内の空気が排出可能である。このように、脱気口としての上記小寸法通気路10が形成されていることによって、米を封入した米袋20を積上げた際に、内部の空気がスムーズに吐出(排出)して、崩れることなく複数段に積上げ可能である。このように、不織帯布7をサンドイッチ状に挟んだ構造として、小寸法の間隔Mでは、未融着状態の不織帯布7の繊維間を通過して、空気が図6の矢印Eのように排出(吐出)する。なお、小寸法の上記間隔Mは1mm〜6mmに設定し、好ましくは、2mm〜5mmとする。上限値を越すと内部の米粒Kが外部へ出てくる(排出する)虞があり、逆に、下限値未満であると、(後述の)融着が不十分となり易く、又は、治具として余りに小さな加熱用突出子を多数形成する必要があり、製作が面倒で、また、使用時期が短いのに摩耗するような問題が生ずる。
【0011】
また、不織帯布7の上記中間部位Aは、図3のように、Z字状に折畳み状態で、表てシート体5・裏シート体6の間に、引出可能に介設されている。このように、Z字状に折畳まれた中間部位Aは、図2中の矢印Fのように、引出して、取っ手11を、図2の仮想線、及び図1と図5のように、(倒立U字型に)形成できる。
なお、折畳み状態の不織帯布7に掛からないように、その中間部位Aの下縁に沿って、(不織帯布7を外して)表てシート体5と裏シート体6とを円形散点状に融着した散点融着列12を有している。図例では、多数個の円形のスポット部13を一列に並べて、散点融着列12が形成されている。なお、スポット部13としては、丸味のある形状であれば、楕円型や長円型とするも好ましく、また、散点融着列12としては、2列や3列とすることも可能である。
【0012】
追加説明すると、図1と図2と図5に示すように、上辺部1に於て、表てシート5と裏シート6は、散点融着列12よりも上方位置に、上方向(矢印F参照)に開口する収納袋部14を形成し、この収納袋部14の内部に、折畳状の不織帯布7の中間部位Aが、上方引出自在として収納されている。
なお、不意に折畳状の不織帯布7が矢印F方向に飛び出さないように、表てシート体5と裏シート体6を僅かに最上端縁にて融着するも好ましい。
【0013】
なお、前記収納袋部14は、左右両側8,8の小融着部9の各最内端列のものと、散点融着列12によって、左辺・右辺・下辺(底辺)を包囲した、上方開口状袋状であるといえる。
また、不織帯布7の中間部位Aは、図3(A)のようにZ字状に折畳まれる場合に限らず、Z字状とS字状とを組み合わせたり、長手方向にZ字状を複数形成する等の他の折畳み形状とするも自由である(図示省略)。
【0014】
次に、図1〜図7に示すように、散点状の上記小融着部9は、楕円状乃至長円形状である。しかも、左右方向中央に向かって上方傾斜状に所定傾斜角θをもって、全ての楕円状乃至長円形状の小融着部9は配設されている。
なお、多数の小融着部9の内で、少なくとも中間部位Aの近傍域───つまり、収納袋部14の左辺・右辺を形成する小融着部9───では、左右中央に向かって上方傾斜状に傾斜角θをもって配設する。上記傾斜角θとしては、30°〜60°とするのが好ましく、特に、40°〜50°が、望ましい。その理由は、図1と図5のように、取っ手11として、引き出した不織帯布7を上方へ引き上げる力が作用した際に、取っ手11の左右の下端部に作用する上方向の外力に沿った方向に、小融着部9が傾斜していて、強度上有利となるからである。
【0015】
図2と図7と図8に於て、不織帯布7の左右両側8,8の内の一方───図例では左側───と、中間部位Aとの境界域Zにおいて、切り取り線部15が形成されている。つまり、この切り取り線部15は、不織帯布7を上下方向(幅方向)に、横切るように、表てシート体5と不織帯布7と裏シート体6とを、上下帯状(上下線状)に融着して形成されている。
即ち、図7及び(そのD−D断面を示す)図8に示す如く、手でもって破断が難しいプラスチック不織布から成る不織帯布7を、上下方向の帯状(線状)に一旦融かすことで、裂け易くしており、切り取り線部15に沿って手で容易に引き裂くことが可能となる。そして、この切り取り線部15の下端から、左方向に水平状に切り取り線部16を連結形成する。これによって、図1と図2から、図5のような、切り取りが可能となる。即ち、不織帯布7の左側8の部位は、切り取られて、そこが、米吐出口17を形成する。
なお、図7のように、小さなV型ノッチ18や引裂き開始短線切り目を、切り取り線部15の最上端に形成するのが好ましい。また、図7のように、ミシン目19を付加形成しても好ましい。
【0016】
次に、図1と図15(A)に示すように、表てシート体5と裏シート体6の左辺部3・右辺部4を、相互に融着する融着帯部23, 24は、上下中間位置が幅広として、米収納部21の上下中間位置に絞り部(くびれ部)25が形成される。このように構成すれば、内部の米粒Kが下へ移動するのを防ぎ、安定した美しい外観・姿勢に、立てることができる。つまり、図15(B)は従来の米袋40であり、米粒が下方へ移動して、美しい外観とは言えない。これに対して、本発明のものは、図15(A)に示す如く、腰がくびれて米がいっぱい収納されているように美しく見え、かつ、美しい姿勢で立てることができる。
【0017】
次に、図9〜図14は、上述の米袋20を製作するための連続シート26の製造方法を示す。即ち、図9に示すように、帯状(長尺)の第1プラスチックシート31と、帯状(長尺)の第2プラスチックシート32を、相互間隔Hがしだいに接近するように間欠的に送りGを与える。このとき、巻設ロール33, 34から、第1・第2プラスチックシート31, 32が間欠的に送り出される(繰出される)。
他方、別のロール35には、帯状(長尺)のプラスチック不織布36が予め巻設されており、しかも、図10に示す如く、このプラスチック不織布36は、横断面Z字状等に予め(幅方向に)折畳まれて、不織布ロール35に(ロール状に)巻設されている。折畳みの横断面形状は、Z字状以外に、Z字状とS字状を組み合わせた形状、あるいは、2つ以上のZ字状又はS字状としたもの等、最終の図3等に示した折畳形状に対応して、予め折畳まれて不織布ロール35に巻設されている。この不織布ロール35から、長尺の不織布36を繰出しつつ、送りJを与える。この長尺帯状の不織布36の送りJは間欠的であり、かつ、第1・第2プラスチックシート31, 32の送りGと同一方向である。
【0018】
図9と図11, 図12に示すように、第1・第2プラスチックシート31, 32の間に、その幅方向に多角筒型の受けローラ37が設置されており、例えば、六角形や八角形の筒型であり、その内部37Aは、バキューム手段に連通連結されて、真空に保持され、かつ、この受けローラ37の外壁には、多数の吸込孔が開設されていて、矢印J方向に間欠的に送られてくる不織布36は、吸込孔からの空気の吸込みにて、吸着されて、図9と図11のように、多角形の一辺に吸い着く。しかも、この多角筒型の受けローラ37は第1プラスチックシート31にも接近するように、配置されており、この図9と図11の状態でヒーティングされた仮付け用加熱押し具38を矢印N方向に押圧して、スポット状に第1プラスチックシート31に不織布36の先端を、仮付け41する。つまり、まな板の如き作用を、受けローラ37が果たす。
【0019】
さらに、六角筒型の受けローラ37の角部(稜線部)39には、溶断刃(又は機械的切断刃)42が付設されており、従って、図11の状態で、不織布36は、この溶断刃(又は切断刃)42にて、幅方向の切断も同時に行われて、不織帯布7を形成する。即ち、切断にて不織帯布7を形成すると共に、第1プラスチックシート31に仮付けする。
ところで、図11における溶断刃42を用いた場合、溶断の熱によって、図3に示した中間部位(折畳み部)Aの幅方向両端縁(同図の上辺と下辺)が相互に融着して、折畳み部に外力を与えなければ、展開せず、従って、図2の矢印F方向に、不意に折畳み部が飛び出すことを防止できる。
第1プラスチックシート31の前記送りGに伴って、仮付けされた不織帯布7は下流へ送られ、図9に示す融着装置43によって、第1・第2プラスチックシート31, 32の間にサンドイッチ状として、不織帯布7を融着一体化する。このとき、同時に、左右辺部3,4も融着する。
【0020】
図12と前述の図1とを比較すれば、分かるように、下辺部2の融着は未だ行われておらず、上辺部1の融着、及び、左辺部3・右辺部4の融着は、この時に、既に行われていることとなる。そして、図9と図12に符号Pにて示した1ピッチ分が、その後の図14と図13で示した切断工程にて切断されて、1個の米袋20を構成する。
【0021】
図9と図12のように、未切断(非分離の連続帯状)の米袋用連続シート26は、通常は、一旦、ロール状に巻設して、保管される。
その後、米投入機45にて米粒Kを投入するには、図13及び図14に示すように、図1とは上下逆として、送りQを与え、上端としての下辺部2を、吸盤46, 46にて吸引47, 47して開口状として、ホッパー48から米粒Kの投入を行うと共に、直後に、上端としての下辺部2を、図外の融着機(超音波又は熱融着)にて融着して、米粒Kを封入し、さらに、矢印C,Cのように、切断する。
この切断によって、図1に於て、取っ手11が、引き出される前の状態───収納袋部14に収納された状態───のものが、得られる。
本発明に於て、表てシート体5・裏シート体6は、例えば、ナイロン製の外層と、ポリエチレン又はポリプロピレン製の内層を装着一体化したものから成る。また、不織帯布7は、ナイロン、ポリエチレン、又は、ポロプロピレン等のプラスチックとする。
【0022】
本発明は、上述のように、プラスチック製の表てシート体5と裏シート体6の上辺部1・下辺部2・左辺部3・右辺部4を融着して米粒Kを封入する米袋に於て、上記下辺部2は米未投入状態では未融着開口状であると共に、上記上辺部1はプラスチック製不織帯布7が上記表てシート体5と裏シート体6にサンドイッチ状に配設され、しかも、該不織帯布7はその中間部位Aを除いて、左右両側8,8が米粒排出阻止のための小寸法通気路10を多数形成するように散点状に小融着部9を多数配設して上記表てシート体5・裏シート体6に融着一体化し、かつ、上記不織帯布7の上記中間部位Aは折畳み状態で上記表てシート体5・裏シート体6の間に取っ手11として、引出可能に介設されているので、不織帯布7は、流通過程では収納状態で邪魔とならず、しかも、消費者に於ては、簡単に引き出して、取っ手11として、重い米を持ち運びが容易であって、至便である。また、取っ手11の付け根に相当する部分───散点状の小融着部9が多数配設した部分───は、応力が分散して、応力集中を生じないので、引き裂き等の強度上の問題が生じない利点もある。 さらに、米袋を積上げたときに、内部の空気がスムーズに排出されて、コンパクトに積上げ得る。
【0023】
また、折畳み状態の上記不織帯布7の中間部位Aの下縁に沿って、上記表てシート体5と上記裏シート体6とを円形散点状に融着した散点融着列12を有しているので、内部の空気を一層スムーズに排出でき、かつ、円形散点状の融着であるので、(四角形散点状に比して)亀裂を生じず、強度的に有利である。
【0024】
また、散点状の上記小融着部9が楕円状乃至長円形状であって、少なくとも上記中間部位Aの近傍域では、左右方向中央に向かって上方傾斜状に所定傾斜角θをもって配設されているので、取っ手11を手で持った状態で、取っ手11の付け根部を介して作用する上方向の外力に沿って、楕円状乃至長円形状の小融着部9が配置されていることとなり、無理なく、表てシート体5・裏シート体6から取っ手11へ力が伝達され、引き裂かれるような問題を防止できる。
【0025】
また、上記不織帯布7の上記左右両側8,8の内の一方と、上記中間部位Aとの境界域Zにおいて、該不織帯布7と上記表てシート体5と上記裏シート体6とを、該不織帯布7を上下方向に横切るように融着した切り取り線部15を形成したので、切り取り線部15に沿って、(引き裂き難い不織帯布7を横切って)容易に引き裂いて、(切り取って、)米の吐出口を形成できる。
【0026】
また、上記表シート体5と裏シート体6の上記左辺部3・右辺部4を、相互に融着する融着帯部23,24は、上下中間位置が幅広として、米収納部21の上下中間位置に絞り部25を形成したので、図15(B)に示した従来の米袋40のように、米粒が過分に下へ集まって、米粒が十分に充満していないような感じを与えることを防止し、図15(A)に示すように、美しい姿勢で、立てることができ、かつ、米粒も下へ移動し過ぎないようにできる。
【0027】
次に、本発明の米袋用連続シートの製造方法によれば、帯状の第1プラスチックシート31と帯状の第2プラスチックシート32を、相互間隔Hがしだいに接近するように送りGを与えつつ、帯状のプラスチック不織布36を該送りGと同一の方向に送りJを与えつつ、該プラスチック不織布36を幅方向に切断して、不織帯布7を形成すると共に、該不織帯布7を上記第1・第2プラスチックシート31,32のいずれか一方に仮付け41して、前記送りGにて下流へ送り、上記第1・第2プラスチックシート31,32の間にサンドイッチ状として上記不織帯布7を融着一体化すると同時に、左右辺部3,4を融着する幅寸法Wの小さい不織帯布7を、巧妙にシート幅方向に設けることができる。しかも、一般の米投入機45を、図13のように、そのまま、使用できる。
【0028】
さらに、上記プラスチック不織布36は、横断面Z字状となるように、予め折畳まれてロール状に巻設され、このロール状に巻設された不織布ロール35から繰出しつつ送りJを与えることによって、幅寸法Wの小さい不織帯布7を巧妙に折畳み状に、第1・第2プラスチックシート31, 32間に介設できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の一形態を示し、取っ手を引き出した状態の正面図である。
【図2】要部拡大正面図である。
【図3】不織帯布の一例を示す図である。
【図4】図2のA−A断面拡大図である。
【図5】使用状態を示す要部拡大正面図である。
【図6】要部拡大説明図である。
【図7】要部拡大図である。
【図8】図7のD−D断面図である。
【図9】製造方法の一例を示す正面図である。
【図10】プラスチック不織布の斜視図である。
【図11】要部拡大説明図である。
【図12】要部拡大底面図である。
【図13】米投入工程の説明図である。
【図14】切断工程の説明図である。
【図15】本発明と従来例を対比した斜視説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 上辺部
2 下辺部
3 左辺部
4 右辺部
5 表てシート体
6 裏シート体
7 不織帯布
8 左右両側
9 小融着部
10 小寸法通気路
11 取っ手
12 散点融着列
15 切り取り線部
20 米袋
21 米収納部
23, 24 融着帯部
25 絞り部
26 連続シート
31 第1プラスチックシート
32 第2プラスチックシート
35 不織布ロール
36 プラスチック不織布
37 受けローラ
A 中間部位
G,J 送り
H 相互間隔
K 米粒
M 間隔
Z 境界域
θ 傾斜角
【技術分野】
【0001】
本発明は、米袋及び米袋用連続シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、米袋を開封するには、鋏を用いていた(例えば、特許文献1参照)。
しかし、別途鋏を用意しておく必要があり、手間がかかり、また、所望の形状に正確に米袋を裂くのは難しいという欠点があった。
そこで、本出願人は鋏を用いずに開封しやすく、他にも、多くの利点を有する米袋として、既に実用新案登録出願にて提案した(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−221044号公報
【特許文献2】実用新案登録第3120596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、(重量の)重い米袋を手で持ち運びするには、従来の米袋では、丸抱えするか、上記特許文献2のものでは、指が痛くなるという問題があった。また、プラスチック製の米袋が指を掛けた箇所から引き裂ける虞もあった。
そこで、本発明は、重い米袋を容易に手にて持ち上げることが可能であり、不意に落下させずに、指も痛くなることなく、運ぶことができる米袋を提供することを目的とし、また、米袋の各部が引き裂けることもなく、丈夫なものを提供することを他の目的とする。また、米粒の投入も容易な米袋用連続シートの製造方法を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、プラスチック製の表てシート体と裏シート体の上辺部・下辺部・左辺部・右辺部を融着して米粒を封入する米袋に於て、上記下辺部は米未投入状態では未融着開口状であると共に、上記上辺部はプラスチック製不織帯布が上記表てシート体と裏シート体にサンドイッチ状に配設され、しかも、該不織帯布はその中間部位を除いて、左右両側が米粒排出阻止のための小寸法通気路を多数形成するように散点状に小融着部を多数配設して上記表てシート体・裏シート体に融着一体化し、かつ、上記不織帯布の上記中間部位は折畳み状態で上記表てシート体・裏シート体の間に取っ手として、引出可能に介設されている。
【0005】
また、折畳み状態の上記不織帯布の中間部位の下縁に沿って、上記表てシート体と上記裏シート体とを円形散点状に融着した散点融着列を有している。
また、散点状の上記小融着部が楕円状乃至長円形状であって、少なくとも上記中間部位の近傍域では、左右方向中央に向かって上方傾斜状に所定傾斜角をもって配設されている。
また、上記不織帯布の上記左右両側の内の一方と、上記中間部位との境界域において、該不織帯布と上記表てシート体と上記裏シート体とを、該不織帯布を上下方向に横切るように融着した切り取り線部を形成した。
また、上記表シート体と裏シート体の上記左辺部・右辺部を、相互に融着する融着帯部は、上下中間位置が幅広として、米収納部の上下中間位置に絞り部を形成した。
【0006】
そして、本発明に係る米袋用連続シートの製造方法は、帯状の第1プラスチックシートと帯状の第2プラスチックシートを、相互間隔がしだいに接近するように送りを与えつつ、帯状のプラスチック不織布を該送りと同一の方向に送りを与えつつ、該プラスチック不織布を幅方向に切断して、不織帯布を形成すると共に、該不織帯布を上記第1・第2プラスチックシートのいずれか一方に仮付けして、前記送りにて下流へ送り、上記第1・第2プラスチックシートの間にサンドイッチ状として上記不織帯布を融着一体化すると同時に、左右辺部を融着する方法である。
また、上記プラスチック不織布は、横断面Z字状又は横断面Z字状とS字状の組合せ形状となるように、予め折畳まれてロール状に巻設され、このロール状に巻設された不織布ロールから繰出しつつ送りを与える方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る米袋によれば、米粒がこぼれることを防ぎつつ、エアー抜きをすることができる。さらに、折畳み状態の取っ手は、販売前の流通過程では邪魔とならず、お客が買った後に、取っ手を容易に引き出して、持ち運びが容易である。しかも、取っ手が外れてしまうこともなく、強度も十分に高く保つことができる。さらに、鋏を用いずに開封するような構造とすることが可能である。
また、本発明の米袋用連続シートは、一般に用いられている米投入機にて米を投入できて、そのまま適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1に於て、米袋20には米粒Kが封入(収納)された状態を例示する。図2は米袋20の上辺部1とその近傍域を示す拡大図であり、図5は米粒Kを吐出させるために上辺部1の一部を切り取った(取り去った)開封使用状態を示す要部拡大図である。
【0009】
図1,図2,図5、及び、図3と図4に於て、この米袋20は、プラスチック製の矩形状の表てシート体5と裏シート体6を有し、その上辺部1・下辺部2・左辺部3・右辺部4を、高周波加熱やニクロム線加熱等のヒーティングにて融着して、図1のように、米粒Kを封入するのに用いられる。
(図示省略したが、)下辺部2は米粒Kを投入する前の状態───即ち米未投入状態───では、未融着開口状であり、(後述の)図14に於て矢印C−C間を切断して分離した状態(但し、上下は逆に描かれている)である。
そして、上辺部1には、幅寸法Wが13mm〜25mmのプラスチック製不織帯布7が、表てシート体5と裏シート体6にサンドイッチ状に配設され(図4参照)、しかも、この不織帯布7は長手方向(左右方向)の中間部位Aを除いた残部───即ち、左右両側8,8が、散点状に小融着部9を多数配設して、表てシート体5と裏シート体6に融着一体化した構造である。
この多数の小融着部9の相互間は、米粒排出(こぼれ)阻止のための小寸法の間隔Mの(小寸法)通気路10を多数形成する。
【0010】
図6には、図2の要部拡大図を示すが、この図6中の矢印Eの如く、隣り合った小融着部9,9の間に形成される小寸法通気路10を、米袋20内の空気が排出可能である。このように、脱気口としての上記小寸法通気路10が形成されていることによって、米を封入した米袋20を積上げた際に、内部の空気がスムーズに吐出(排出)して、崩れることなく複数段に積上げ可能である。このように、不織帯布7をサンドイッチ状に挟んだ構造として、小寸法の間隔Mでは、未融着状態の不織帯布7の繊維間を通過して、空気が図6の矢印Eのように排出(吐出)する。なお、小寸法の上記間隔Mは1mm〜6mmに設定し、好ましくは、2mm〜5mmとする。上限値を越すと内部の米粒Kが外部へ出てくる(排出する)虞があり、逆に、下限値未満であると、(後述の)融着が不十分となり易く、又は、治具として余りに小さな加熱用突出子を多数形成する必要があり、製作が面倒で、また、使用時期が短いのに摩耗するような問題が生ずる。
【0011】
また、不織帯布7の上記中間部位Aは、図3のように、Z字状に折畳み状態で、表てシート体5・裏シート体6の間に、引出可能に介設されている。このように、Z字状に折畳まれた中間部位Aは、図2中の矢印Fのように、引出して、取っ手11を、図2の仮想線、及び図1と図5のように、(倒立U字型に)形成できる。
なお、折畳み状態の不織帯布7に掛からないように、その中間部位Aの下縁に沿って、(不織帯布7を外して)表てシート体5と裏シート体6とを円形散点状に融着した散点融着列12を有している。図例では、多数個の円形のスポット部13を一列に並べて、散点融着列12が形成されている。なお、スポット部13としては、丸味のある形状であれば、楕円型や長円型とするも好ましく、また、散点融着列12としては、2列や3列とすることも可能である。
【0012】
追加説明すると、図1と図2と図5に示すように、上辺部1に於て、表てシート5と裏シート6は、散点融着列12よりも上方位置に、上方向(矢印F参照)に開口する収納袋部14を形成し、この収納袋部14の内部に、折畳状の不織帯布7の中間部位Aが、上方引出自在として収納されている。
なお、不意に折畳状の不織帯布7が矢印F方向に飛び出さないように、表てシート体5と裏シート体6を僅かに最上端縁にて融着するも好ましい。
【0013】
なお、前記収納袋部14は、左右両側8,8の小融着部9の各最内端列のものと、散点融着列12によって、左辺・右辺・下辺(底辺)を包囲した、上方開口状袋状であるといえる。
また、不織帯布7の中間部位Aは、図3(A)のようにZ字状に折畳まれる場合に限らず、Z字状とS字状とを組み合わせたり、長手方向にZ字状を複数形成する等の他の折畳み形状とするも自由である(図示省略)。
【0014】
次に、図1〜図7に示すように、散点状の上記小融着部9は、楕円状乃至長円形状である。しかも、左右方向中央に向かって上方傾斜状に所定傾斜角θをもって、全ての楕円状乃至長円形状の小融着部9は配設されている。
なお、多数の小融着部9の内で、少なくとも中間部位Aの近傍域───つまり、収納袋部14の左辺・右辺を形成する小融着部9───では、左右中央に向かって上方傾斜状に傾斜角θをもって配設する。上記傾斜角θとしては、30°〜60°とするのが好ましく、特に、40°〜50°が、望ましい。その理由は、図1と図5のように、取っ手11として、引き出した不織帯布7を上方へ引き上げる力が作用した際に、取っ手11の左右の下端部に作用する上方向の外力に沿った方向に、小融着部9が傾斜していて、強度上有利となるからである。
【0015】
図2と図7と図8に於て、不織帯布7の左右両側8,8の内の一方───図例では左側───と、中間部位Aとの境界域Zにおいて、切り取り線部15が形成されている。つまり、この切り取り線部15は、不織帯布7を上下方向(幅方向)に、横切るように、表てシート体5と不織帯布7と裏シート体6とを、上下帯状(上下線状)に融着して形成されている。
即ち、図7及び(そのD−D断面を示す)図8に示す如く、手でもって破断が難しいプラスチック不織布から成る不織帯布7を、上下方向の帯状(線状)に一旦融かすことで、裂け易くしており、切り取り線部15に沿って手で容易に引き裂くことが可能となる。そして、この切り取り線部15の下端から、左方向に水平状に切り取り線部16を連結形成する。これによって、図1と図2から、図5のような、切り取りが可能となる。即ち、不織帯布7の左側8の部位は、切り取られて、そこが、米吐出口17を形成する。
なお、図7のように、小さなV型ノッチ18や引裂き開始短線切り目を、切り取り線部15の最上端に形成するのが好ましい。また、図7のように、ミシン目19を付加形成しても好ましい。
【0016】
次に、図1と図15(A)に示すように、表てシート体5と裏シート体6の左辺部3・右辺部4を、相互に融着する融着帯部23, 24は、上下中間位置が幅広として、米収納部21の上下中間位置に絞り部(くびれ部)25が形成される。このように構成すれば、内部の米粒Kが下へ移動するのを防ぎ、安定した美しい外観・姿勢に、立てることができる。つまり、図15(B)は従来の米袋40であり、米粒が下方へ移動して、美しい外観とは言えない。これに対して、本発明のものは、図15(A)に示す如く、腰がくびれて米がいっぱい収納されているように美しく見え、かつ、美しい姿勢で立てることができる。
【0017】
次に、図9〜図14は、上述の米袋20を製作するための連続シート26の製造方法を示す。即ち、図9に示すように、帯状(長尺)の第1プラスチックシート31と、帯状(長尺)の第2プラスチックシート32を、相互間隔Hがしだいに接近するように間欠的に送りGを与える。このとき、巻設ロール33, 34から、第1・第2プラスチックシート31, 32が間欠的に送り出される(繰出される)。
他方、別のロール35には、帯状(長尺)のプラスチック不織布36が予め巻設されており、しかも、図10に示す如く、このプラスチック不織布36は、横断面Z字状等に予め(幅方向に)折畳まれて、不織布ロール35に(ロール状に)巻設されている。折畳みの横断面形状は、Z字状以外に、Z字状とS字状を組み合わせた形状、あるいは、2つ以上のZ字状又はS字状としたもの等、最終の図3等に示した折畳形状に対応して、予め折畳まれて不織布ロール35に巻設されている。この不織布ロール35から、長尺の不織布36を繰出しつつ、送りJを与える。この長尺帯状の不織布36の送りJは間欠的であり、かつ、第1・第2プラスチックシート31, 32の送りGと同一方向である。
【0018】
図9と図11, 図12に示すように、第1・第2プラスチックシート31, 32の間に、その幅方向に多角筒型の受けローラ37が設置されており、例えば、六角形や八角形の筒型であり、その内部37Aは、バキューム手段に連通連結されて、真空に保持され、かつ、この受けローラ37の外壁には、多数の吸込孔が開設されていて、矢印J方向に間欠的に送られてくる不織布36は、吸込孔からの空気の吸込みにて、吸着されて、図9と図11のように、多角形の一辺に吸い着く。しかも、この多角筒型の受けローラ37は第1プラスチックシート31にも接近するように、配置されており、この図9と図11の状態でヒーティングされた仮付け用加熱押し具38を矢印N方向に押圧して、スポット状に第1プラスチックシート31に不織布36の先端を、仮付け41する。つまり、まな板の如き作用を、受けローラ37が果たす。
【0019】
さらに、六角筒型の受けローラ37の角部(稜線部)39には、溶断刃(又は機械的切断刃)42が付設されており、従って、図11の状態で、不織布36は、この溶断刃(又は切断刃)42にて、幅方向の切断も同時に行われて、不織帯布7を形成する。即ち、切断にて不織帯布7を形成すると共に、第1プラスチックシート31に仮付けする。
ところで、図11における溶断刃42を用いた場合、溶断の熱によって、図3に示した中間部位(折畳み部)Aの幅方向両端縁(同図の上辺と下辺)が相互に融着して、折畳み部に外力を与えなければ、展開せず、従って、図2の矢印F方向に、不意に折畳み部が飛び出すことを防止できる。
第1プラスチックシート31の前記送りGに伴って、仮付けされた不織帯布7は下流へ送られ、図9に示す融着装置43によって、第1・第2プラスチックシート31, 32の間にサンドイッチ状として、不織帯布7を融着一体化する。このとき、同時に、左右辺部3,4も融着する。
【0020】
図12と前述の図1とを比較すれば、分かるように、下辺部2の融着は未だ行われておらず、上辺部1の融着、及び、左辺部3・右辺部4の融着は、この時に、既に行われていることとなる。そして、図9と図12に符号Pにて示した1ピッチ分が、その後の図14と図13で示した切断工程にて切断されて、1個の米袋20を構成する。
【0021】
図9と図12のように、未切断(非分離の連続帯状)の米袋用連続シート26は、通常は、一旦、ロール状に巻設して、保管される。
その後、米投入機45にて米粒Kを投入するには、図13及び図14に示すように、図1とは上下逆として、送りQを与え、上端としての下辺部2を、吸盤46, 46にて吸引47, 47して開口状として、ホッパー48から米粒Kの投入を行うと共に、直後に、上端としての下辺部2を、図外の融着機(超音波又は熱融着)にて融着して、米粒Kを封入し、さらに、矢印C,Cのように、切断する。
この切断によって、図1に於て、取っ手11が、引き出される前の状態───収納袋部14に収納された状態───のものが、得られる。
本発明に於て、表てシート体5・裏シート体6は、例えば、ナイロン製の外層と、ポリエチレン又はポリプロピレン製の内層を装着一体化したものから成る。また、不織帯布7は、ナイロン、ポリエチレン、又は、ポロプロピレン等のプラスチックとする。
【0022】
本発明は、上述のように、プラスチック製の表てシート体5と裏シート体6の上辺部1・下辺部2・左辺部3・右辺部4を融着して米粒Kを封入する米袋に於て、上記下辺部2は米未投入状態では未融着開口状であると共に、上記上辺部1はプラスチック製不織帯布7が上記表てシート体5と裏シート体6にサンドイッチ状に配設され、しかも、該不織帯布7はその中間部位Aを除いて、左右両側8,8が米粒排出阻止のための小寸法通気路10を多数形成するように散点状に小融着部9を多数配設して上記表てシート体5・裏シート体6に融着一体化し、かつ、上記不織帯布7の上記中間部位Aは折畳み状態で上記表てシート体5・裏シート体6の間に取っ手11として、引出可能に介設されているので、不織帯布7は、流通過程では収納状態で邪魔とならず、しかも、消費者に於ては、簡単に引き出して、取っ手11として、重い米を持ち運びが容易であって、至便である。また、取っ手11の付け根に相当する部分───散点状の小融着部9が多数配設した部分───は、応力が分散して、応力集中を生じないので、引き裂き等の強度上の問題が生じない利点もある。 さらに、米袋を積上げたときに、内部の空気がスムーズに排出されて、コンパクトに積上げ得る。
【0023】
また、折畳み状態の上記不織帯布7の中間部位Aの下縁に沿って、上記表てシート体5と上記裏シート体6とを円形散点状に融着した散点融着列12を有しているので、内部の空気を一層スムーズに排出でき、かつ、円形散点状の融着であるので、(四角形散点状に比して)亀裂を生じず、強度的に有利である。
【0024】
また、散点状の上記小融着部9が楕円状乃至長円形状であって、少なくとも上記中間部位Aの近傍域では、左右方向中央に向かって上方傾斜状に所定傾斜角θをもって配設されているので、取っ手11を手で持った状態で、取っ手11の付け根部を介して作用する上方向の外力に沿って、楕円状乃至長円形状の小融着部9が配置されていることとなり、無理なく、表てシート体5・裏シート体6から取っ手11へ力が伝達され、引き裂かれるような問題を防止できる。
【0025】
また、上記不織帯布7の上記左右両側8,8の内の一方と、上記中間部位Aとの境界域Zにおいて、該不織帯布7と上記表てシート体5と上記裏シート体6とを、該不織帯布7を上下方向に横切るように融着した切り取り線部15を形成したので、切り取り線部15に沿って、(引き裂き難い不織帯布7を横切って)容易に引き裂いて、(切り取って、)米の吐出口を形成できる。
【0026】
また、上記表シート体5と裏シート体6の上記左辺部3・右辺部4を、相互に融着する融着帯部23,24は、上下中間位置が幅広として、米収納部21の上下中間位置に絞り部25を形成したので、図15(B)に示した従来の米袋40のように、米粒が過分に下へ集まって、米粒が十分に充満していないような感じを与えることを防止し、図15(A)に示すように、美しい姿勢で、立てることができ、かつ、米粒も下へ移動し過ぎないようにできる。
【0027】
次に、本発明の米袋用連続シートの製造方法によれば、帯状の第1プラスチックシート31と帯状の第2プラスチックシート32を、相互間隔Hがしだいに接近するように送りGを与えつつ、帯状のプラスチック不織布36を該送りGと同一の方向に送りJを与えつつ、該プラスチック不織布36を幅方向に切断して、不織帯布7を形成すると共に、該不織帯布7を上記第1・第2プラスチックシート31,32のいずれか一方に仮付け41して、前記送りGにて下流へ送り、上記第1・第2プラスチックシート31,32の間にサンドイッチ状として上記不織帯布7を融着一体化すると同時に、左右辺部3,4を融着する幅寸法Wの小さい不織帯布7を、巧妙にシート幅方向に設けることができる。しかも、一般の米投入機45を、図13のように、そのまま、使用できる。
【0028】
さらに、上記プラスチック不織布36は、横断面Z字状となるように、予め折畳まれてロール状に巻設され、このロール状に巻設された不織布ロール35から繰出しつつ送りJを与えることによって、幅寸法Wの小さい不織帯布7を巧妙に折畳み状に、第1・第2プラスチックシート31, 32間に介設できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の一形態を示し、取っ手を引き出した状態の正面図である。
【図2】要部拡大正面図である。
【図3】不織帯布の一例を示す図である。
【図4】図2のA−A断面拡大図である。
【図5】使用状態を示す要部拡大正面図である。
【図6】要部拡大説明図である。
【図7】要部拡大図である。
【図8】図7のD−D断面図である。
【図9】製造方法の一例を示す正面図である。
【図10】プラスチック不織布の斜視図である。
【図11】要部拡大説明図である。
【図12】要部拡大底面図である。
【図13】米投入工程の説明図である。
【図14】切断工程の説明図である。
【図15】本発明と従来例を対比した斜視説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 上辺部
2 下辺部
3 左辺部
4 右辺部
5 表てシート体
6 裏シート体
7 不織帯布
8 左右両側
9 小融着部
10 小寸法通気路
11 取っ手
12 散点融着列
15 切り取り線部
20 米袋
21 米収納部
23, 24 融着帯部
25 絞り部
26 連続シート
31 第1プラスチックシート
32 第2プラスチックシート
35 不織布ロール
36 プラスチック不織布
37 受けローラ
A 中間部位
G,J 送り
H 相互間隔
K 米粒
M 間隔
Z 境界域
θ 傾斜角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の表てシート体(5)と裏シート体(6)の上辺部(1)・下辺部(2)・左辺部(3)・右辺部(4)を融着して米粒(K)を封入する米袋に於て、
上記下辺部(2)は米未投入状態では未融着開口状であると共に、上記上辺部(1)はプラスチック製不織帯布(7)が上記表てシート体(5)と裏シート体(6)にサンドイッチ状に配設され、しかも、該不織帯布(7)はその中間部位(A)を除いて、左右両側(8)(8)が米粒排出阻止のための小寸法通気路(10)を多数形成するように散点状に小融着部(9)を多数配設して上記表てシート体(5)・裏シート体(6)に融着一体化し、かつ、上記不織帯布(7)の上記中間部位(A)は折畳み状態で上記表てシート体(5)・裏シート体(6)の間に取っ手(11)として、引出可能に介設されていることを特徴とする米袋。
【請求項2】
折畳み状態の上記不織帯布(7)の中間部位(A)の下縁に沿って、上記表てシート体(5)と上記裏シート体(6)とを円形散点状に融着した散点融着列(12)を有している請求項1記載の米袋。
【請求項3】
散点状の上記小融着部(9)が楕円状乃至長円形状であって、少なくとも上記中間部位(A)の近傍域では、左右方向中央に向かって上方傾斜状に所定傾斜角(θ)をもって配設されている請求項1又は2記載の米袋。
【請求項4】
上記不織帯布(7)の上記左右両側(8)(8)の内の一方と、上記中間部位(A)との境界域(Z)において、該不織帯布(7)と上記表てシート体(5)と上記裏シート体(6)とを、該不織帯布(7)を上下方向に横切るように融着した切り取り線部(15)を形成した請求項1,2又は3記載の米袋。
【請求項5】
上記表シート体(5)と裏シート体(6)の上記左辺部(3)・右辺部(4)を、相互に融着する融着帯部(23)(24)は、上下中間位置が幅広として、米収納部(21)の上下中間位置に絞り部(25)を形成した1,2,3又は4記載の米袋。
【請求項6】
帯状の第1プラスチックシート(31)と帯状の第2プラスチックシート(32)を、相互間隔(H)がしだいに接近するように送り(G)を与えつつ、帯状のプラスチック不織布(36)を該送り(G)と同一の方向に送り(J)を与えつつ、該プラスチック不織布(36)を幅方向に切断して、不織帯布(7)を形成すると共に、該不織帯布(7)を上記第1・第2プラスチックシート(31)(32)のいずれか一方に仮付け(41)して、前記送り(G)にて下流へ送り、上記第1・第2プラスチックシート(31)(32)の間にサンドイッチ状として上記不織帯布(7)を融着一体化すると同時に、左右辺部(3)(4)を融着することを特徴とする米袋用連続シートの製造方法。
【請求項7】
上記プラスチック不織布(36)は、横断面Z字状又は横断面Z字状とS字状の組合せ形状となるように、予め折畳まれてロール状に巻設され、このロール状に巻設された不織布ロール(35)から繰出しつつ送り(J)を与える請求項6記載の米袋用連続シートの製造方法。
【請求項1】
プラスチック製の表てシート体(5)と裏シート体(6)の上辺部(1)・下辺部(2)・左辺部(3)・右辺部(4)を融着して米粒(K)を封入する米袋に於て、
上記下辺部(2)は米未投入状態では未融着開口状であると共に、上記上辺部(1)はプラスチック製不織帯布(7)が上記表てシート体(5)と裏シート体(6)にサンドイッチ状に配設され、しかも、該不織帯布(7)はその中間部位(A)を除いて、左右両側(8)(8)が米粒排出阻止のための小寸法通気路(10)を多数形成するように散点状に小融着部(9)を多数配設して上記表てシート体(5)・裏シート体(6)に融着一体化し、かつ、上記不織帯布(7)の上記中間部位(A)は折畳み状態で上記表てシート体(5)・裏シート体(6)の間に取っ手(11)として、引出可能に介設されていることを特徴とする米袋。
【請求項2】
折畳み状態の上記不織帯布(7)の中間部位(A)の下縁に沿って、上記表てシート体(5)と上記裏シート体(6)とを円形散点状に融着した散点融着列(12)を有している請求項1記載の米袋。
【請求項3】
散点状の上記小融着部(9)が楕円状乃至長円形状であって、少なくとも上記中間部位(A)の近傍域では、左右方向中央に向かって上方傾斜状に所定傾斜角(θ)をもって配設されている請求項1又は2記載の米袋。
【請求項4】
上記不織帯布(7)の上記左右両側(8)(8)の内の一方と、上記中間部位(A)との境界域(Z)において、該不織帯布(7)と上記表てシート体(5)と上記裏シート体(6)とを、該不織帯布(7)を上下方向に横切るように融着した切り取り線部(15)を形成した請求項1,2又は3記載の米袋。
【請求項5】
上記表シート体(5)と裏シート体(6)の上記左辺部(3)・右辺部(4)を、相互に融着する融着帯部(23)(24)は、上下中間位置が幅広として、米収納部(21)の上下中間位置に絞り部(25)を形成した1,2,3又は4記載の米袋。
【請求項6】
帯状の第1プラスチックシート(31)と帯状の第2プラスチックシート(32)を、相互間隔(H)がしだいに接近するように送り(G)を与えつつ、帯状のプラスチック不織布(36)を該送り(G)と同一の方向に送り(J)を与えつつ、該プラスチック不織布(36)を幅方向に切断して、不織帯布(7)を形成すると共に、該不織帯布(7)を上記第1・第2プラスチックシート(31)(32)のいずれか一方に仮付け(41)して、前記送り(G)にて下流へ送り、上記第1・第2プラスチックシート(31)(32)の間にサンドイッチ状として上記不織帯布(7)を融着一体化すると同時に、左右辺部(3)(4)を融着することを特徴とする米袋用連続シートの製造方法。
【請求項7】
上記プラスチック不織布(36)は、横断面Z字状又は横断面Z字状とS字状の組合せ形状となるように、予め折畳まれてロール状に巻設され、このロール状に巻設された不織布ロール(35)から繰出しつつ送り(J)を与える請求項6記載の米袋用連続シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−150077(P2008−150077A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340075(P2006−340075)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(390007261)株式会社アサヒパック (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(390007261)株式会社アサヒパック (10)
【Fターム(参考)】
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