説明

粉体の製造方法

【課題】アニオン性芳香族化合物とカチオン性界面活性剤とを含有する粉体において、ケーキング発生が少ない等、粉末物性の良好な粉体が得られる製造方法を提供する。
【解決手段】アニオン性芳香族化合物(a)と、カチオン性界面活性剤(b)と、水とを混合して得られる増粘体を所定温度に加熱して乾燥工程に供して、カチオン性界面活性剤(b)を含有する粉体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の化合物を含有する増粘体から粉体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶液やスラリーのレオロジーを改質するために、粘度を目的や用途に応じて適正に調整することが望まれる。従来、水溶液やスラリーの粘度を調整するためには、増粘剤や減水剤の添加、加熱や冷却操作、電解質濃度の調整などの方策が採られている。なかでも、水溶性高分子化合物をスラリー系に添加して高分子の絡み合いによる増粘作用を利用する技術は、安価に大きな増粘効果を得られるため、土木・建築分野を中心として幅広い用途で実用化されている。
【0003】
水硬性粉体を含有するスラリーにおいては、水溶性高分子化合物をスラリーに添加して高分子の絡み合いによる増粘作用を利用する技術は、安価に大きな増粘効果を得られるため、土木・建築分野を中心として幅広い用途で実用化されている。例えば、特許文献1では、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体や特許文献2ではポリ(エチレンオキサイド)の様な水溶性高分子化合物が、材料の分離抵抗性を高めるために、ペースト、モルタルや水中コンクリートおよび高流動コンクリートなどに使用されている。
【0004】
特許文献1には、特定の化合物(A)、(B)をキットとして用いることで、容易に水溶液やスラリーに溶解できるレオロジー改質剤が得られることが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、カチオン性界面活性剤と、アニオン性芳香族化合物及び臭化化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、カチオン性ポリマーとを用いることで、スラリー中に粘土が含まれる場合でも優れたレオロジー改質効果を示す界面活性剤組成物が開示されている。
【0006】
一方、特許文献3には、支持体上に粘着性の薄膜を形成し、該薄膜の粘着性を低減させて粉体化する方法により、ポリカルボン酸系共重合体等の粉体を製造する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−189978号
【特許文献2】特開2005−133075号
【特許文献3】特開2001−190942号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、特許文献1、2用いられているような、カチオン性界面活性剤(長鎖モノアルキルトリメチルアンモニウム塩)は、水溶液中の反応で製造されるため、一般に製品形状として水溶液であり、粉末品を得るには水溶液から水を除去する必要がある。しかしながら、そのようにして得たカチオン性界面活性剤の粉末品は極めて吸湿しやすいため、実際には粉末品として流通させることは困難である。特許文献1の実施例では凍結乾燥により粉末品を製造しており生産性の向上が望まれる。特許文献2では、各成分を粉末で使用できることも記載されているが、カチオン性界面活性剤を具体的に粉末化することについては言及されていない。
【0008】
特許文献3は、ポリカルボン酸系共重合体を用いているので室温で流動性がある。
【0009】
本発明の課題は、カチオン性界面活性剤を含有する粉体において、ケーキング発生が少ない等、粉末物性の良好な粉体が得られる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、カチオン性界面活性剤(b)を含有する粉体の製造方法であって、水とアニオン性芳香族化合物(a)とカチオン性界面活性剤(b)とを混合して得られる増粘体を乾燥させる工程(以下、乾燥工程という)を有する、粉体の製造方法であって、50〜120℃に加熱された増粘体を乾燥工程に供する粉体の製造方法に関する。
【0011】
また、本発明は、上記本発明の製造方法により得られた粉体であって、水の含有量が5重量%以下である粉体に関する。
【0012】
また、本発明は、上記本発明の粉体を、水を含有する組成物に添加するレオロジー改質方法に関する。
【0013】
また、本発明は、上記粉体と水硬性粉体を含有する水硬性組成物プレミックス、更に骨材を含有する前記水硬性組成物プレミックスを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アニオン性芳香族化合物とカチオン性界面活性剤とから、ケーキング発生が少ない等、粉末物性の良好な粉体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の製造方法では、吸湿性の少ない粉末状態を維持するために、カチオン性界面活性剤(b)を単独で乾燥させるのでは無く、アニオン性芳香族化合物(a)とカチオン性界面活性剤(b)と水とを混合し、紐状ミセルを形成させて増粘体とした後、これを中間原料として粉体を調製するものである。このような増粘体を用いて粉体を得る方法は特許文献1、2には開示がなく、カチオン性界面活性剤(b)単独では粉末化困難であるが、アニオン性芳香族化合物との増粘体を形成させると、容易に粉末化することができ、しかも、このような増粘体から得られた粉体が、ケーキング発生が少なく、更には本来的な性能であるレオロジーの改質効果も維持できることは、従来、全く知られていない知見である。
【0016】
本発明の製造方法は、水とアニオン性芳香族化合物(a)とカチオン性界面活性剤(b)とを混合して得られる増粘体(更に増粘体はカチオン性ポリマーを含んでいても良い)を所定温度に加熱し、乾燥工程に供する、レオロジー改質剤として好適な、粉体の製造方法に応用し得る。
【0017】
本発明に用いられる増粘体は、アニオン性芳香族化合物(a)と、カチオン性界面活性剤(b)と、水とを含有する。
【0018】
カチオン性界面活性剤(b)としては、4級塩型カチオン性界面活性剤が好ましく、4級塩型のカチオン性界面活性剤としては、構造中に、10から26個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖アルキル基を、少なくとも1つ有しているものが好ましい。例えば、アルキル(炭素数10〜26)トリメチルアンモニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)ピリジニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)イミダゾリニウム塩、アルキル(炭素数10〜26)ジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、タロートリメチルアンモニウムクロライド、タロートリメチルアンモニウムブロマイド、水素化タロートリメチルアンモニウムクロライド、水素化タロートリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルエチルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルエチルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルプロピルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド、1,1−ジメチル−2−ヘキサデシルイミダゾリニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。水溶性と増粘効果の観点から、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルピリジニウムクロライド等が好ましい。また、増粘性能の観点から上記のアルキル鎖長の異なるカチオン性界面活性剤を2種以上併用して用いてもよい。
【0019】
アニオン性芳香族化合物(a)としては、芳香環を有するカルボン酸及びその塩、ホスホン酸及びその塩、スルホン酸及びその塩が挙げられ、具体的には、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸等であり、これらは塩を形成していても良く、これらを2種以上併用してもよい。ただし、ポリマーである場合は、重量平均分子量500未満であることが好ましい。
【0020】
本発明に用いられるアニオン性芳香族化合物(a)と、カチオン性界面活性剤(b)は、両者を含有する水溶液中で紐状ミセルを形成できる組み合わせで用いられ、これらの等モル混合物の1重量%の水溶液の20℃の粘度が100mPa・s以上、更に200mPa・s以上、より更に500mPa・s以上となる組み合わせが好ましい。ここで、粘度は、20℃の条件でB型粘度計(Cローター又はNo.3ローター、1.5r.p.mから12r.p.m)で測定されたものをいう。
【0021】
本発明に用いられる増粘体は、カチオン性界面活性剤(b)を1〜40重量%、更に5〜30重量%、より更に10〜20重量%含有することが好ましい。また、アニオン性芳香族化合物(a)を1〜35重量%、更に5〜25重量%、より更に7〜15重量%含有することが好ましい。増粘体の残部は水である。
【0022】
<カチオン性ポリマー(c)>
本発明に用いられる増粘体は、微細で物性の良好な粉体を得るために、カチオン性ポリマーを含有することが好ましい。カチオン性ポリマー(c)としては、カチオン性窒素を含むカチオン性ポリマー、更に、分子中に4級塩構造を有するポリマー、なかでもカチオン性窒素が、第4級窒素であるカチオン性ポリマーが挙げられる。
【0023】
カチオン性ポリマー(c)としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドエチルジメチルアミン、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミン、アリルアミン、アリルメチルアミン、アリルジメチルアミン、ジアリルアミン、ジアリルメチルアミン等のホモポリマー、及びこれらのモノマーと他のモノマーとから得られる共重合体が挙げられ、いずれも中和型でも未中和型でも使用できる。
また、カチオン性ポリマー(c)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンおよび、ポリアルキレンポリアミンに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加させたポリマーが挙げられ、いずれも中和型でも未中和型でも使用できる。
【0024】
その他にもポリエチレンイミンおよびポリエチレンイミンに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加させたポリマーをカチオン性ポリマー(c)として使用できる。
【0025】
カチオン性ポリマー(c)としては、カチオン性窒素を含むものが好ましく、更に当該カチオン性ポリマーのカチオン性窒素に、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜8のオキシアルキレン基を含んでなるポリオキシアルキレン基、水素原子及び下記式(1)
【0026】
【化1】

【0027】
で表される基〔ここで、R1〜R5は、同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22のアルキルもしくはアルケニル基であり、Zは−O−又は−NY−(Yは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基)であり、nは1〜10の数である。ただし、R1及びR3はポリマー構造中に取り込まれていても良く、その場合はR1及びR3は存在しない。〕から選ばれる基が結合しているものが好ましい。
【0028】
一般式(1)で表される基の由来となる化合物としては、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウム塩、メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、メタクリロイルオキシプロピルジメチルエチルアンモニウム塩、メタクリルアミドエチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドエチルジメチルエチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルジメチルエチルアンモニウム塩、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩、アクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウム塩、アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリロイルオキシプロピルジメチルエチルアンモニウム塩、アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミドエチルジメチルエチルアンモニウム塩、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミドプロピルジメチルエチルアンモニウム塩等が挙げられ、これらはアルキル硫酸塩、中でもエチル硫酸塩、メチル硫酸塩が好ましい。
【0029】
また、カチオン性ポリマー(c)のカチオン性窒素が、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、好ましくはジアリルジメチルアンモニウム塩に由来するポリマーもまた好適であり、具体的には、ジアリルジメチルアンモニウム塩とアクリル酸系モノマーとの共重合体等が挙げられる。
【0030】
また、カチオン性ポリマー(c)としては、カチオン基を有する(メタ)アクリル酸系モノマー、カチオン基を有するスチレン系モノマー、ビニルピリジン系モノマー、ビニルイミダゾリン系モノマー、及びジアリルジアルキルアミン系モノマーからなる群から選ばれるモノマーに由来する構造を有するものが挙げられる。
【0031】
カチオン性ポリマー(c)の対イオンとしては、ハロゲンイオン、硫酸イオン、アルキル硫酸イオン、リン酸イオン、有機酸イオン等のアニオン性イオンが挙げられる。
【0032】
カチオン性ポリマー(c)の具体例としては、ポリアリルトリメチルアンモニウム塩等のポリアリルトリアルキルアンモニウム塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム塩)、ポリメタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウム塩、ポリメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、カチオン化でん粉、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等であり、これらは4級塩構造を有するモノマーを重合して得ても、対応するポリマーを4級化剤で4級化して得ても良い。これらは、ホモポリマーでなくてもよく、必要に応じて共重合可能なモノマーとの共重合物としても良い。具体的には、ジアリルジメチルアンモニウム塩−SO2共重合体、ジアリルジメチルアンモニウム塩−アクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウム塩−アクリル酸−アクリルアミド共重合物、メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウム塩−ビニルピロリドン共重合体、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩−ビニルピロリドン共重合体、等が挙げられる。これらは、未反応モノマー、副生物、異なるカチオン化密度のポリマーを含んでいてもよい。これらは2種以上併用することができる。
【0033】
上記の中でも、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム塩)、ポリメタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウム塩、ポリメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウム塩−ビニルピロリドン共重合体、及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩−ビニルピロリドン共重合体から選ばれるカチオン性ポリマーが好ましく、更にこれらの中でも、レオロジー改質効果の観点から、対イオンがアルキル硫酸イオンであるもの、中でもエチル硫酸塩、メチル硫酸塩がより好ましい。
【0034】
カチオン性ポリマー(c)の分子量は、1000以上が好ましく、1000〜300万が更に好ましく、この点でカチオン性界面活性剤(b)とは区別される。この分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、以下の条件で測定された重量平均分子量である。
カラム:α−M(東ソー製) 2本連結
溶離液:0.15mol/L硫酸Na、1%酢酸水溶液
流速:1.0mL/min
温度:40℃
検出器:RI
分子量標準はプルランを使用
【0035】
カチオン性ポリマー(c)は、カチオン化密度が0.5〜10meq/g、更に1〜9meq/g、特に3〜8meq/gであることが、スラリー調製直後及び経時的な粘弾性維持の点から好ましい。カチオン化密度は、後述の実施例の方法により測定することができる。
【0036】
本発明に用いられる増粘体は、カチオン性ポリマー(c)を0.1〜20重量%、更に0.5〜15重量%、より更に1〜10重量%含有することが好ましい。
【0037】
アニオン性芳香族化合物(a)とカチオン性界面活性剤(b)が水中で紐状ミセルを形成した増粘体を乾燥させると硬い固化物になる。従って、紐状ミセル形成によって硬い乾燥物が得られるため、粉砕によって容易に微粉体を得ることができる。更に、カチオン性ポリマー(c)には乾燥すると強固な膜を形成する性質がある。紐状ミセル形成とカチオンポリマー併用によってより硬い乾燥物が得られるため、粉砕によって更に容易に微粉体を得ることができる。ただし、カチオン性ポリマー(c)のみの水溶液から得た乾燥物は強固になりすぎて、後述の比較例で示すように粉末化が極めて困難なものとなる。本発明により得られた粉体は、カチオン性界面活性剤(b)を含有し、更には、アニオン性芳香族化合物(a)や、アニオン性芳香族化合物(a)とカチオン性界面活性剤(b)により形成された紐状ミセルの乾燥物などを含んで構成されているものと推察される。
【0038】
本発明では、上記(a)と(b)のゲル化物を中間材料とし、ドラムドライヤーで粉末乾燥することができ、フィラーを使用せずに、粉末を製造することができる。上記紐状ミセルのゲル化物を直接乾燥することにより、(b)の吸湿性を抑制することができる。よって上記(c)の配合も可能である。
【0039】
本発明の粉体の製造方法では、アニオン性芳香族化合物(a)と、カチオン性界面活性剤(b)と、水と、好ましくは更にカチオン性ポリマー(c)とを含有する増粘体を所定温度に加熱し、乾燥工程に供する。通常、これらの成分を攪拌、混合し、必要に応じて消泡剤等を加えて増粘体とし、これを乾燥する。
【0040】
本発明の化合物(a)と化合物(b)と他の既存の増粘剤とを併用して用いることができる。他の既存の増粘剤としては、例えばセルロース誘導体、ポリアクリル系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニールアルコール、ガム系多糖類、微生物発酵多糖類等が挙げられる。
【0041】
本発明の界面活性剤組成物には、その他の界面活性剤を併用することができる。その他の界面活性剤としては、両性界面活性剤や非イオン性界面活性剤が好ましい。特にベタイン系化合物、アルコールにアルキレンオキサイドを付加した化合物が好ましい。
【0042】
本発明の界面活性剤組成物には、粘度調整等の為、溶剤を併用することができる。溶剤としては、アルコールやセルソルブ系溶剤が好ましく、レオロジー改質効果や引火点の観点から、プロピレングリコールが好ましい。
【0043】
本発明の界面活性剤組成物は、用途に応じて他の成分、例えば、分散剤、AE剤、遅延剤、早強剤、促進剤、気泡剤、発泡剤、消泡剤、防錆剤、着色剤、防黴剤、ひび割れ低減剤、膨張剤、染料、顔料、スケール防止剤、スライム処理薬剤、防腐剤、乳化剤等を含有していてよい。本発明の界面活性剤組成物を含有するスラリーレオロジー改質剤もこれらの成分を含有していてもよい。
【0044】
本発明では、水とアニオン性芳香族化合物(a)とカチオン性界面活性剤(b)とを混合して得られる増粘体を50〜120℃に加熱した後、乾燥工程に供する。加熱温度は、支持体上に薄膜を形成する際の取り扱い性の観点から、50〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましく、60〜80℃が更に好ましい。
【0045】
増粘体の乾燥は、所定温度に加熱した増粘体を支持体に適用して支持体上に増粘体の薄膜を形成して加熱することにより行うのが好ましい。このような薄膜の形成、加熱は、伝導加熱乾燥法により行うことが好ましい。伝導加熱乾燥法は公知の伝導加熱型乾燥機、例えば、ドラムドライヤー〔カツラギ工業(株)、楠木機械製作所(株)、玉川マシナリー(株)等から入手可〕、CDドライヤー〔(株)西村鐡工所から入手可〕等により行うことができる。これらは、円筒ドラム又はディスクの表面に液体を供給・付着させて薄膜を形成し、熱源からの熱伝導により薄膜を乾燥するものである。増粘体の薄膜の厚さ(塗布厚)は、塗布する液体の固形分濃度、乾燥機の処理能力、乾燥速度、薄膜の性状等を考慮して決められるが、0.001〜3mmが好ましく、0.01〜2mmが特に好ましい。薄膜に成形して乾燥すると速やかに乾燥できる為、熱劣化等も生じ難い。乾燥の際の加熱源の温度は、常圧条件下では50〜200℃が好ましく、60〜190℃がより好ましく、90〜180℃がさらに好ましく、115〜150℃がよりさらに好ましい。すなわち増粘体の薄膜の温度は40〜180℃が好ましく、50〜170℃がより好ましく、70℃〜160℃がさらに好ましく、100〜130℃がよりさらに好ましい。加熱源の温度を下げ、乾燥を効率よく行うために、減圧条件下で乾燥を行ってもよい。
【0046】
増粘体の粘度は、加熱乾燥時の薄膜形成の観点から、温度60〜80℃のいずれかで50〜500mPa・s、更に100〜250mPa・sであることが好ましい。この粘度となるように、アニオン性芳香族化合物(a)、カチオン性界面活性剤(b)、場合により更にカチオン性ポリマー(c)等の含有量を調整することが好ましい。
【0047】
増粘体薄膜の剥離は、例えば、金属製のスクレーパー等の剥離手段により行われる。剥離手段は公知の薄膜乾燥機に付随しているものを使用してもよい。剥離手段は、例えば、ステンレススチール製のスクレーパーにテフロン等の処理剤で表面加工して増粘体薄膜との粘着性を低減させたものを用いることもできる。剥離手段は、増粘体薄膜及び剥離した薄膜が剥離手段や支持体に付着しない場所に設置するのが好ましい。更には剥離した薄膜同士が付着しない場所に設置するのが好ましい。支持体上の増粘体薄膜100重量部のうち、70〜100重量部を剥離できれば好ましく、90〜100重量部剥離できればより好ましい。
【0048】
支持体(ドラムドライヤーのドラムやディスクドライヤーのディスク等)を用いる方法では、増粘体の薄膜の重畳を防止するようにしながら該薄膜を支持体から剥離するのが好ましい。すなわち、支持体から該薄膜を剥離する際に、該薄膜の表面に気体流を供給し、該支持体から剥離した薄膜を冷却することが好ましい。例えば、ドラムドライヤー、ディスクドライヤーにより粘着性薄膜を形成した場合は、薄膜表面へ気体流、好ましくは空気を噴射することにより薄膜相互の重畳が抑制できる。また、テフロン等で表面加工した粘着性薄膜との粘着性を低減した案内板を設置したり、気体流の噴射と案内板の設置を組み合わせることにより薄膜相互の重畳が抑制できる。なお、案内板の形状は支持体の形状に合わせて適宜設計できるが、例えばドラムドライヤーのように円筒形の支持体を用いる場合は、該支持体の長手方向の長さ分の寸法があればよく、厚さや横手方向の寸法は特に限定されない。
【0049】
本発明の製造方法は、下記の工程1〜3を有することが好ましい。
工程1:増粘体の薄膜を、該薄膜の保持手段に形成する工程
工程2:工程1で形成された薄膜を加熱手段により加熱して乾燥する工程
工程3:工程2で乾燥された薄膜を保持手段から剥離する工程
【0050】
工程1〜3の少なくとも1つ、好ましくは3つ全部をドラムドライヤーで行うことが好ましい。ドラムドライヤーはこれらの工程1〜3を連続して行うことができる点から好ましい。工程1では、増粘体は所定温度に加熱して薄膜の形成に用いられる。
【0051】
本発明において、乾燥(乾燥工程)は、増粘体の水分量が5重量%以下、更に2重量%以下となるように行うことが好ましい。また、必要に応じて、乾燥操作を複数回行うことができ、生産速度や生産量を向上する観点から、増粘体をドラムドライヤーで水分量4〜10重量%に乾燥させた後、更にコニカルドライヤーで水分量2重量%以下まで乾燥することが好ましい。上記工程1〜3を有する方法では、工程2でドラムドライヤーによる乾燥を行い、工程3以降にコニカルドライヤーによる乾燥を行うことが好ましい。乾燥後、必要に応じて粉砕、分級等を経て目的の粉体が得られる。
【0052】
本発明の一例として、水とアニオン性芳香族化合物(a)とカチオン性界面活性剤(b)とを混合して得られる増粘体を50〜120℃に加熱して支持体に適用し、該支持体上に増粘体の薄膜を形成し、該薄膜を加熱して乾燥する、カチオン性界面活性剤(b)を含有する粉体の製造方法が挙げられる。この方法は、粘度が50〜500mPa・sにある増粘剤をドラムドライヤーで乾燥することで実施することができ、また、増粘剤をドラムドライヤーで水分量4〜10重量%に乾燥させた後、更にコニカルドライヤーで水分量2重量%以下まで乾燥することが好ましい。
【0053】
本発明の製造方法は、粉末状のレオロジー改質剤の製造方法として好適である。すなわち、本発明によって、水とアニオン性芳香族化合物(a)とカチオン性界面活性剤(b)とを混合して得られる増粘体を乾燥させる工程(以下、乾燥工程という)を有する、粉末状レオロジー改質剤の製造方法であって、50〜120℃に加熱された増粘体を乾燥工程に供する、粉末状レオロジー改質剤の製造方法が提供される。特に、高い塩濃度の水溶液中でもレオロジー改質の効果を発現する粉体が得られるので、水硬性粉体を含有するスラリーのレオロジー改質剤の製造方法として好適である。本発明により、アニオン性芳香族化合物(a)と、カチオン性界面活性剤(b)と、場合により更にカチオンポリマー(c)とを含有し、水の含有量が5重量%以下である粉体が提供される。本発明により製造された粉体を、水を含有する組成物、例えば水溶液やスラリーに添加することで、当該組成物、例えば水溶液やスラリーのレオロジーを改質することができる。
【0054】
本発明に係るレオロジー改質剤は、本発明の性能に支障がなければ他の成分、例えば、分散剤、AE剤、遅延剤、早強剤、促進剤、気泡剤、発砲剤、消泡剤、防錆剤、着色剤、防黴剤、ひび割れ低減剤、膨張剤、染料、顔料等を含有していてよい。
【0055】
本発明に係るレオロジー改質剤を含有する水硬性スラリーは分散剤を含有しても良い。分散剤は、減水剤としてリグニンスルホン酸塩およびその誘導体、オキシカルボン酸塩、ポリオール誘導体、高性能減水剤および高性能AE減水剤として、ナフタレン系(花王(株)製:マイテイ150)、メラミン系(花王(株)製:マイテイ150V−2)、ポリカルボン酸系(花王(株)製:マイテイ3000、NMB社製:レオビルドSP、日本触媒社製:アクアロックFC600、アクアロックFC900)、アニオン界面活性剤として、ポリカルボン酸型界面活性剤(花王(株)製:ポイズシリーズ)等が挙げられる。その中でも、ポリカルボン酸系高性能減水剤およびポリカルボン酸型界面活性剤がスラリーの流動性と粘性を両立出来るという意味で、好適である。
【0056】
本発明に係るレオロジー改質剤を含有する水硬性スラリーにおける分散剤の含有量は、一般に水硬性粉体に対して有効成分で0.01〜5重量%、さらに0.05〜3重量%が好ましい。
【0057】
本発明に係るレオロジー改質剤を含有する水硬性スラリーは、本剤の性能に支障がなければ他の成分、例えば、AE剤、遅延剤、早強剤、促進剤、気泡剤、発泡剤、消泡剤、ひび割れ低減剤、膨張剤等を含有していてよい。
【0058】
本発明のスラリーは、減水剤を含有することができ、一般の減水剤のほか、高性能減水剤、高性能AE減水剤が好ましい。高性能減水剤および高性能AE減水剤(以下、高性能減水剤等という)として、ナフタレン系(花王(株)製:マイテイ150)、メラミン系(花王(株)製:マイテイ150V−2)、ポリカルボン酸系(花王(株)製:マイテイ3000、NMB製:レオビルドSP、日本触媒社製:アクアロックFC600、アクアロックFC900)が挙げられる。これら高性能減水剤等としては、化合物(A)および化合物(B)と共存した時に、コンクリートの粘性および分散性に及ぼす影響が小さいという観点から、ポリカルボン酸系が望ましい。高性能減水剤等の使用量としては、水硬性粉体に対して合計で0.1〜5重量%、更に1〜3重量%が好ましい。
【0059】
また、本発明の製造方法により得られた粉体であって、水の含有量が5重量%以下である粉体を用いて、当該粉体と水硬性粉体を含有する水硬性組成物プレミックスを得ることができる。かかる水硬性組成物プレミックスは、更に、骨材を含有することができる。かかる水硬性組成物プレミックスは、当該粉体を0.01〜10重量%、さらに0.05〜7重量%、よりさらに0.1〜3重量%、水硬性粉体を10〜95重量%、さらに30〜70重量%、よりさらに40〜60重量%、骨材を5〜80重量%、さらに20〜70重量%、よりさらに35〜60重量%含むことが好ましい。かかる水硬性組成物プレミックスは、前記粉体と水硬性粉体を混合することにより、あるいは、前記粉体と骨材と水硬性粉体を混合することにより、製造することができる。
【実施例】
【0060】
次の実施例は本発明の実施について述べる。実施例は本発明の例示について述べるものであり、本発明を限定するためではない。
【0061】
〔粘度の測定〕
増粘体、並びにアニオン性芳香族化合物(a)の水溶液、カチオン性界面活性剤(b)の水溶液及びこれらの混合物の粘度は、20℃の条件でB型粘度計(ローターNo.3)で測定した。
【0062】
実施例1
〔粉体の製造〕
グラスライニング攪拌槽(容積1.3m3)に、p−トルエンスルホン酸ナトリウム〔アニオン性芳香族化合物(a)、花王株式会社製〕の水溶液(S1)(濃度20重量%)500kgと、パルミチルトリメチルアンモニウムクロライド〔カチオン性界面活性剤(b)、花王株式会社製〕とステアリルトリメチルアンモニウムクロライド〔カチオン性界面活性剤(b)、花王株式会社製〕の重量比1対1(有効分換算)混合物の水溶液(S2)(濃度29重量%)500kgと、消泡剤0.2kg(FSアンチフォームQ1−1183の原液:東レ・ダウコーニング社製)とを投入し、70℃に加温するとともに攪拌速度50rpm(攪拌羽根:形状;ファウドラー翼、寸法;翼径/胴径=0.5)で30分間攪拌して増粘体を調製する。増粘体の70℃における粘度は155mPa・sであった。
【0063】
なお、上記で用いたアニオン性芳香族化合物(a)とカチオン性界面活性剤(b)は、両者の等モル混合物の1重量%水溶液の20℃での粘度が1100mPa・sであった。この粘度の測定は、水溶液(S1)と水溶液(S2)から所定の混合物を調製して行った。
【0064】
調製した増粘体250kgを前記温度(70℃)を維持しながらドラムドライヤーの原料槽内に仕込み、ドラム回転速度2.0rpm、ドラム表面温度100〜130℃になるように蒸気圧を0.64〜0.68MPaに調整し、ドラムを回転させる。ドラム下部のドラム表面上に当該増粘体の薄膜を形成させた(工程1)後、ドラム回転につれてドラム回転で約270度分薄膜がドラムと共に移動し、この間に薄膜が乾燥する(工程2)。その後金属製スクレーパーにてドラムから剥離する(工程3)。その際、剥離と同時にスクレーパー近傍で、薄膜の上部に送風装置より冷却風(外気温約25℃)を当てることで、加熱した薄膜を冷却した。
【0065】
剥離した乾燥物の水分量を計測し、水分量が2重量%以下になった乾燥物を粉砕機(ミル)で粉砕した。得られた粉体を目開き1mmの篩いを通して最終粉体を得た。この最終粉体の平均粒径が200μmであった。
【0066】
〔粉体の評価〕
得られた粉体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)水分測定
赤外線水分計(ケット株式会社製)に、製造から1日後の粉体4gを仕込み、水分量を測定した。
【0067】
(2)粒度試験
卓上フルイ振とう器(アズワン株式会社製:MVS−1)に、製造から1日後の最終粉体20gを投入し、5分間振とう(目盛り5)させた後、目開き250μmの篩いをパスした粒子の比率(重量%)を測定した。この数値が大きいほど良好な粉末である。
【0068】
(3)ケーキング試験
最終粉体を縦7cm、横6cmのビニール袋に詰め、荷重0.18kg/cm2で、温度20℃、湿度60%RHの条件で1ヶ月間保存した後のケーキングの発生状況を観察し、以下の基準で判定した。
○:ケーキングの発生が認められない。
△:一部、ケーキングの発生が見られるが、指で容易に粉末に戻る。
×:ケーキングが多数発生する。
【0069】
実施例2
実施例1において、水溶液S1の水の一部を10重量%の濃度となるポリメタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウム塩(カチオン性ポリマー(c)、重量平均分子量12万)に置き換えた水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして粉体を製造した。得られた粉体について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。乾燥前の増粘体の70℃における粘度は180mPa・sであった。
【0070】
実施例3
実施例1において、乾燥をドラムドライヤーとコニカルドライヤーとを用いて行った以外は同様にして粉体を製造した。その際、ドラムドライヤーのドラム回転速度を2.5rpmとし、水分量が5〜10重量%となった乾燥物200kgをコニカルドライヤーに仕込み、4.5rpmで4時間の乾燥を行った後、水分量が2重量%以下になった乾燥物を粉砕機にて粉砕した。得られた粉体について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0071】
比較例1
実施例1において、水溶液S1を用いない以外は同様にして粉体を製造したが、スクレーバーで剥離後、冷却する間に粉体が直ちに吸湿した(その時点で水分量は20重量%を超えていた)ため、粉砕は困難であった。よって、実施例1のような試験を行うことができなかった。比較例1は、カチオン性界面活性剤(b)の水溶液から粉体を製造しようとしたものである。
【0072】
比較例1で得られたカチオン性界面活性剤(b)は吸湿性が高く、粉末状のアニオン性芳香族化合物(a)と混合した場合、紐状ミセルが形成されカチオン性界面活性剤(b)単独よりも粘調な状態となり、粉末としての使用は困難となると推定される。この混合物に更にカチオン性ポリマー(c)を混合しても粘調な状態が残り、粉末としての使用は困難となると推定される。
【0073】
【表1】

【0074】
(注)表中の記号は以下のものである。また、比較例1の水分量は、混合直後のものである。
DD:ドラムドライヤー
CD:コニカルドライヤー
【0075】
実施例4
上記実施例で得られた粉体を用いてスラリーに対するレオロジー改質評価を行った。結果を表2に示す。スラリーは、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製、密度3.16)400g、実施例1〜3の何れかの粉体5g(有効分換算)をドライブレンドし、水道水400gを加えてハンドミキサー(ナショナル製)で120秒攪拌して調製した。スラリー試験は室温23℃で行い、スラリー温度が20℃になるように練り水の温度を調整した。
【0076】
スラリーの粘度を、ビスコテスターVT−04E(リオン製)を用い、ローターNo.1、回転数62.5rpm、温度20℃で測定した。
【0077】
また、約300mLの水を入れた500mLのビーカーに、水面のすぐ上から調整したスラリー10mLを入れ、その際の水の濁り具合を観察した。水の濁りが全く観察されない場合を○、濁りが観察される場合を×として、水中不分離性を評価した。
【0078】
また、調製した残りのスラリーを500mLディスポカップに入れ、上面を食品包装用ラップ(サランラップ、登録商標、旭化成ライフ&リビング株式会社)で封印し、水の蒸発を抑え、室温で静置し、硬化するまでに発生するブリーディング水量を測定した。
【0079】
【表2】

【0080】
表2の結果から、実施例1〜3の粉体は、レオロジー改質剤として好適であることがわかる。
【0081】
実施例5<プレミックスモルタルの製造及び評価>
水を除いた表3の配合に示した各種材料、実施例1〜3の何れかの粉体0.13kgおよび消泡剤(シリコーン系消泡剤、主成分:ジメチルポリシロキサン)0.1kgを、300Lスーパーミキサー(オリンピア化工機製)に仕込み、200rpmで攪拌しながら、10分間混合した。混合後、3mmメッシュの振動振るい機に通過させ、プレミックス品を得た。
【0082】
得られたプレミックス品を1485g計り取り、水を455g加え、モルタルミキサーで63rpm、60秒間練混ぜモルタルを調製した。以下の測定を行なった。結果を表4に示す。
測定方法:
・フロー試験:モルタルコーン(JIS R 5201適用品)
・水中不分離試験:実施例4と同様
・ブリーディング水:実施例4と同様
【0083】
【表3】

【0084】
試験材料:
セメント(C):早強セメント(密度 3.14 市販品)
砂(S):7号硅砂(密度 2.60)
水(W):水道水
分散剤:マイテイ21P(花王製:ポリエーテル系分散剤粉末品)
【0085】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性界面活性剤(b)を含有する粉体の製造方法であって、水とアニオン性芳香族化合物(a)とカチオン性界面活性剤(b)とを混合して得られる増粘体を乾燥させる工程(以下、乾燥工程という)を有する、粉体の製造方法であって、50〜120℃に加熱された増粘体を乾燥工程に供する粉体の製造方法。
【請求項2】
さらに、前記増粘体がカチオン性ポリマー(c)を含有する請求項1記載の粉体の製造方法。
【請求項3】
増粘体が、温度60〜80℃のいずれかの温度で50〜500mPa・sのいずれかの粘度を有する請求項1又は2記載の粉体の製造方法。
【請求項4】
下記の工程1〜3を有する請求項1〜3いずれか記載の粉体の製造方法。
工程1:前記増粘体の薄膜を、該薄膜の保持手段に形成する工程
工程2:工程1で形成された薄膜を加熱して乾燥する工程
工程3:工程2で乾燥された薄膜を保持手段から剥離する工程
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の製造方法により得られた粉体であって、水の含有量が5重量%以下である粉体。
【請求項6】
請求項5記載の粉体を、水を含有する組成物に添加するレオロジー改質方法。
【請求項7】
請求項5記載の粉体と水硬性粉体を含有する水硬性組成物プレミックス。
【請求項8】
更に骨材を含有する請求項7記載の水硬性組成物プレミックス。

【公開番号】特開2008−290066(P2008−290066A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97800(P2008−97800)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】