説明

粉体供給システム

【課題】粉体を収容した複数個のコンテナ(6)を順次に貯槽(8)に接続し、コンテナから貯槽に粉体を供給し、そして貯槽内の粉体を定量供給機(10)を通して定量的に供給する粉体供給システムであって、コンテナを移送する際にコンテナから粉体が漏出することが確実に防止され、そしてまた貯槽に接続されたコンテナから貯槽に粉体の漏出等を発生させることなく粉体を供給することができる粉体供給システムを提供する。
【解決手段】コンテナは下端に排出口が形成されている容器本体、排出口に付設されたガイド、排出口を開閉するための弁体、弁体に固着された下端から該容器本体外まで上方に延びるロッド、及びロッドを下方に偏倚して弁体を排出口を閉じる閉位置に弾性的に偏倚するばねを含む。コンテナの容器本体の排出口に付設されたガイドは貯槽の連結筒に接続される。コンテナのロッドの上端を把持し、ばねの偏倚作用に抗してロッドを昇降動して弁体を昇降動し排出口を開閉する弁開閉手段が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学品、薬品及び食料品等の粉体を長時間に渡って定量的に供給することができる粉体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業、薬品工業及び食料品工業等においては、当業者には周知の如く、粉体を長時間に渡って定量的に供給することが要求されることが少なくない。そして、かような要求を満たすために、大容量の貯槽とこの貯槽に接続された定量供給機を装備し、大容量の貯槽内に収容された粉体を定量供給機を通して定量的に排出している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
然るに、大容量の貯槽を装備する場合には、設備コストが高価になる、貯槽内に大量の粉体が収納されることになり、粉体自体の積層荷重によって粉体が過剰に固化されてしまう、粉体の固化を防止するための攪拌手段を配設する場合には高強度で且つ高馬力の攪拌手段が必要であり、設備コストと共に運転コストも高価になってしまう、等の問題がある。
【0004】
従来の粉体供給システムにおける上述したとおりの問題を解決するためには、適宜の容量の貯槽を装備すると共に、適宜の容量のコンテナを複数個装備し、粉体を収容した複数個のコンテナを必要に応じて順次に貯槽に接続し、コンテナから貯槽に粉体を供給し、そして貯槽内の粉体を定量供給機を通して定量的に供給することが意図される。而して、かような粉体供給様式を採用する場合には、コンテナを移送する際にコンテナから粉体が漏出することを充分確実に防止し、そしてまた貯槽に接続されたコンテナから貯槽に粉体の漏出等を発生させることなく粉体を所要とおりに供給することが重要である。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、粉体を収容した複数個のコンテナを必要に応じて順次に貯槽に接続し、コンテナから貯槽に粉体を供給し、そして貯槽内の粉体を定量供給機を通して定量的に供給する粉体供給システムであって、コンテナを移送する際にコンテナから粉体が漏出することが充分確実に防止され、そしてまた貯槽に接続されたコンテナから貯槽に粉体の漏出等を発生させることなく所要とおりに粉体を供給することができる、新規且つ改良された粉体供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する粉体供給システムとして、内部に粉体を収容した複数個のコンテナと、支持フレーム装架され且つ天板には連結筒が配設され下端には排出口が形成されている貯槽と、該貯槽の該排出口に接続された定量供給機と、該支持フレームに装架された弁開閉手段と、該コンテナを格納するための棚と、該コンテナを移送するためのスタッカクレーンとを具備し、
該コンテナは下端に排出口が形成されている容器本体、該排出口に付設されたガイド、該排出口を開閉するための弁体、該弁体に固着された下端から該容器本体外まで上方に延びるロッド、及び該ロッドを下方に偏倚して該弁体を該排出口を閉じる閉位置に弾性的に偏倚するばねを含み、
該スタッカクレーンは該棚に格納されている複数個の該コンテナを、該コンテナの該容器本体の該排出口に付設された該ガイドが該貯槽の該連結筒に接続される作用位置に順次に移送し、
該弁開閉手段は該作用位置に位置付けられた該コンテナの該ロッドの上端を把持し、該ばねの偏倚作用に抗して該ロッドを昇降動して該弁体を昇降動し該排出口を開閉する、
ことを特徴とする、粉体供給システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粉体供給システムにおいては、コンテナが棚に格納されているとき及びコンテナが移送されているときには、コンテナの容器本体に形成されている排出口には、ばねの偏倚作用によって弁体が押し付けられ、かくして容器本体から粉体が漏出することが確実に防止される。コンテナが作用位置に移送されると、コンテナの容器本体の排出口に付設されたガイドが貯槽の連結筒に接続され、これによってコンテナと貯槽の接続部位から粉体が漏出することが確実に防止される。作用位置に位置付けられたコンテナの排出口は、ばねの偏倚作用に抗して弁開閉手段がロッドを昇降動することによって開閉され、排出口の開閉に起因して粉体が漏出することも確実に回避される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された粉体供給システムの好適実施形態について更に詳細に説明する。
【0009】
図1において、粉体供給スシテムは、消毒剤などの粉体を内部に貯蔵するための可搬コンテナ6は、固定設置されている貯槽8に接続され、更に、貯槽8は、その槽内の粉体の所定量を計量して使用先に排出するための定量供給機10と接続されている。
【0010】
前記貯槽8は支持フレーム12に装架され、定量供給機10は貯槽8の下面に取付けられている。複数個のコンテナ6は使用先への粉体の供給量に応じて貯槽8に対して順次連結される。
【0011】
前記コンテナ6は、図2から明らかなように、容器本体14を有し、その下端には排出口4が設けられ、排出口4は円錐体状の弁体16によって閉じられている。弁体16の上端にはコーンロッド18の下端が固着され、コーンロッド18は容器本体14内を上方に延びて他端が外方に突出している。
【0012】
前記排出口4はコーンロッド18の上端を把持して上下に操作することにより開閉される。コーンロッド18はばね21によって押し下げられ、これによって弁体16が排出口4を閉じる状態に偏倚されている。
【0013】
前記容器本体14は、直円筒状の本体部14aを有し、この本体部14aの上部開口は投入口14bを有する上蓋14cによって閉塞されている。また本体部14aの下端には先細り状の環状弁座14dが一体的に接続されている。この環状弁座14dの先には円筒状のガイド14eが設けられている。前記容器本体14には、その搬送等に利用されるフレーム14fが付設されている。
【0014】
前記弁体16は、中空の円錐体状の形態を有し、その底面の外周縁には排出口4に当接するシール部材17が取付けられている。
【0015】
一方、コーンロッド18は、上蓋14cに取付けられた軸受14gによって上下に摺動自在に支承されている。また、コーンロッド18の上端には、後述する弁開閉手段によって解除自在に把持される円板状のフランジ部22が設けられている。
【0016】
次に図3及び図4を参照して貯槽8の構成を詳細に説明する。貯槽8は、直円筒状の槽本体8cを有し、その下端には排出口24を有する底板8aが一体的に設けられている。また槽本体8cの上端には天板8bが取り付けられ、天板8bの中央には中空の連結筒26が設けられている。
【0017】
前記底板8aの中央には駆動軸28が貫通して設けられている。この駆動軸28の上端であって貯槽8の底部には、鉛直方向に延びる軸線9を中心として回転する攪拌翼30が設けられている。この攪拌翼30の構成の詳細は後述する。
【0018】
前記貯槽8の槽本体8cの下端近くの周壁には、円周方向に等間隔をおいて8個の噴射ノズル32,32、・・32が配設され、これらの噴射ノズル32は貯槽8内に圧縮空気を吹き込むためのものである。これらの噴射ノズル32の各々には、圧縮空気源62から導出された圧縮空気供給管路が接続され、この圧縮空気供給管路の管路上に粉体および圧縮空気の逆流を防止するための逆止弁64が組み込まれている。圧縮空気の噴射量、噴射間隔などは使用条件に応じて自在に調節することができる。
【0019】
前記逆止弁64自体は周知のものでよく、例えば弁体が弁座に対して垂直に移動するポペット弁、あるいは弁板が弁座に対しヒンジを中心に揺動開閉するスイングキャッチ弁などを用いることができる。そして粉体が圧縮空気源の方向に逆流するのを確実に止めるために、弁体を周知の手段であるスプリング65などによって押さえ、圧縮空気が流されたときにのみ開弁するようにするとよい。
【0020】
前記攪拌翼30は、図4から明らかなように、軸線9と直交する直径線に沿って延在する一対のアーム31、31を有している。これらのアーム31の各々は、中空構造であって上方に凸の三角断面を有し、アーム31の先端部は回転方向に先行するようにくの字状に曲げられている。中空のアーム31の内部は圧縮空気供給管路と連通しており、この圧縮空気供給管路の管路上には圧縮空気の逆流を防止するための逆止弁64が組み込まれている。また、前記アーム31の上端の稜線および回転方向に先行する側の側面には圧縮空気を貯槽8内へ噴出するための多数の噴射口33が穿設されている。
【0021】
一方、前記連結筒26の上端部の内径は、コンテナ6の排出口4のガイド14eに対し
て適当なシール部材を介して係合できる大きさに設定されている。また、連結筒26内には、開閉自在なバタフライ弁などを取り付けることができる。また天井板8bには、集塵設備につながる集塵口8dが設けられている。更に、槽本体8cの外周壁には、貯槽8を支持フレーム12(図1)上に載置するためのブラケット8eが4個設けられている。
【0022】
次に図5及び図6を参照して定量供給機10の構成の詳細を説明する。定量供給機10は、直円筒状の貯槽34を有し、その下端には底板36が一体的に形成されている。この底板36を貫通して駆動軸38が設けられ、この駆動軸38の軸上であって前記底板36の上面には粉体を定量供給するための回転テーブル40が設けられている。回転テーブル40の上方であって、前記駆動軸38の軸上には攪拌翼42が一体的に設けられている。前記駆動軸38は、図5に示された駆動モータ44により公知の伝達機構を介して回転駆動される。
【0023】
前記回転テーブル40の外周上には、図6から明らかなように、円周方向へ等ピッチをおいて複数個の計量室40a,40a,…40aが設けられている。一方、前記貯槽34の底板36には供給口46が形成され、この供給口46は前記計量室40aの1つと整合できるようになっている。なお、貯槽34の上端には取り付けフランジ47が設けられている。円筒の上端は開放されており、貯槽8の底板8aの排出口24に接続される。
【0024】
前記回転テーブル40の外周の計量室40aの外方及び下方の開口は、貯槽34の側壁及び底板36によって実質上閉じられている。したがって、回転テーブル40を所定の方向RRに回転させると、貯槽34内の粉体は計量室40a内に導入され、すり切り板40bの部分においてこの上側の開口も閉じられ、計量室40aに閉じ込められる。回転方向RRのすり切り板40bの下方の中央部の開口は供給口46と整合しており、計量室40内の粉体は供給口46内へ排出される。従って、計量室40aの容積及び回転テーブル40の回転数を調節することにより、所定の量の粉体を計量して供給口46に送出することができる。
【0025】
前記貯槽34の下方の周壁には、4個の噴射ノズル48、48、…48が設けられ、各噴射ノズル48には、圧縮空気供給管路が接続されている。この圧縮空気供給管路の管路上には粉体および圧縮空気の逆流を防止するための逆止弁64が組み込まれている。
【0026】
前記攪拌翼42は、図6から明らかなように、軸線11を中心として回転可能であって貯槽34の直径線方向に延在する一対のアーム43、43を有している。各アーム43の各々の内側には空気通路が形成されており、アームの先端部は上方へ隆起している。また、アーム43の上面には多数の噴気口50、50、…50が穿設され、これらの噴気口50を通して圧縮空気が貯槽34内へ供給される。
【0027】
図7から明らかなように、定量供給機10の供給口46には柔軟な管部材、例えば軟質の塩化ビニルなどの合成樹脂により形成されたシュート70が接続されている。このシュート70の下方端は出口弁72を介して、排出した粉体を水に溶かす溶解装置52に連結されている。溶解装置52からの溶解水は流水が圧送された輸送管路54(図1参照)のエジェクタ54aに流され、エジェクタ54aの吸引作用によって吸引され輸送管路54を通して目的の場所に送られる。
【0028】
溶解装置52においては、上方の拡がった漏斗状本体52aの上端部周縁の複数個のノズル52bから給水源53の水が給水され、水は漏斗状本体52aの内面に沿って渦巻状になって下方に流される。そしてこの流れの中にシュート70を通った粉体を投入することにより粉体は溶解される。溶解装置52にはオーバフローポート52cが設けられている。
【0029】
図8を参照して説明を続けると、粉体の貯槽8及び定量供給機10のそばには、間隔を置いて、粉体を収容した3個のコンテナ6が3段の棚56に、図8の紙面に垂直の方向に複数列、格納されている。貯槽8及び定量供給機10と棚56との間には、スタッカクレーン58が備えられ、スタッカクレーン58によって棚56のコンテナ6は必要に応じて適宜に出し入れされ、取り出されたコンテナ6は貯槽8の上に移送され、コンテナ6のガイド部14eが貯槽8の連結筒26に嵌装される。
【0030】
移送されたコンテナ6の上方には弁開閉手段60が設けられている。この弁開閉手段60は、空気圧シリンダによって水平方向に開閉されコンテナ6のコーンロッド18のフランジ22を解除自在に把持すると共に、上下方向に移動させる空気圧シリンダを備え、コーンロッド18を動かしてコンテナ6の弁体16を開閉する。
【0031】
以上、本発明の好適実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。例えば、図示の実施形態においては、定量供給機10は貯槽8の外に取付けられているが、定量供給機10を貯槽8内に、例えば攪拌手段30と同一の軸線9上で駆動するように配設することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に従って構成された粉体供給システムの一部を示す側面図。
【図2】コンテナの縦断面図。
【図3】貯槽の下方部分を示す断面図。
【図4】図3のA−A矢印方向に見た横断面図。
【図5】定量供給機の一部を示す縦面図。
【図6】図5のB−B矢印方向に見た横断面図。
【図7】定量供給機から輸送管路につながる部分の側面図。
【図8】本発明に従って構成された粉体供給システムの全体を示す側面図。
【符号の説明】
【0033】
4:排出口
6:コンテナ
8:貯槽
10:定量供給機
12:支持フレーム
14:容器本体
16:弁体
18:ロッド
14e:ガイド
21:ばね
24:排出口
26:連結筒
56:棚
58:スタッカクレーン
60:弁開閉手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に粉体を収容した複数個のコンテナと、支持フレーム装架され且つ天板には連結筒が配設され下端には排出口が形成されている貯槽と、該貯槽の該排出口に接続された定量供給機と、該支持フレームに装架された弁開閉手段と、該コンテナを格納するための棚と、該コンテナを移送するためのスタッカクレーンとを具備し、
該コンテナは下端に排出口が形成されている容器本体、該排出口に付設されたガイド、該排出口を開閉するための弁体、該弁体に固着された下端から該容器本体外まで上方に延びるロッド、及び該ロッドを下方に偏倚して該弁体を該排出口を閉じる閉位置に弾性的に偏倚するばねを含み、
該スタッカクレーンは該棚に格納されている複数個の該コンテナを、該コンテナの該容器本体の該排出口に付設された該ガイドが該貯槽の該連結筒に接続される作用位置に順次に移送し、
該弁開閉手段は該作用位置に位置付けられた該コンテナの該ロッドの上端を把持し、該ばねの偏倚作用に抗して該ロッドを昇降動して該弁体を昇降動し該排出口を開閉する、
ことを特徴とする、粉体供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−182328(P2007−182328A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84515(P2007−84515)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【分割の表示】特願2002−174643(P2002−174643)の分割
【原出願日】平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願人】(591147786)赤武エンジニアリング株式会社 (27)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】