説明

粉体含有乳化剤形の皮膚外用剤

【課題】 粉体を含有する皮膚外用剤に於いて、優れた粉体分散性と、抗菌的製剤許容性に優れる皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 表面を多層被覆処理された粉体を5〜30質量%含有する、水中油乳化剤形の皮膚外用剤において、抗菌性多価アルコールを1〜10質量%含有させる。前記多層被覆処理は、アシル化アミノ酸塩被覆処理、ジメチルポリシロキサン焼付処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付処理、シリル化処理及びリン脂質被覆処理から選択される2種以上を順次粉体上に施したものが好ましく、基体となる粉体にアシルグルタミン酸金属塩を被覆した後、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付処理を行った粉体であることより好ましい。前記抗菌性多価アルコールは、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚外用剤に関し、更に詳細には、粉体を含有する乳化剤形の皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーションなどにおいて隠蔽成分或いは着色成分として用いられている原料は、その多くが酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄乃至はこれらの複合化物等の様に、金属酸化物乃至はその改変体が殆どであり、その比重は何れも3以上であり、非常に大きい。この様な成分を水性成分乃至は水性成分を乳化してなる乳化構造中に安定に分散するためには、前記の大きな比重に抗する為の粘度構造が必要となる。又、前記金属酸化物は部分的に電離し、等電点を有する性質が存することから、ファンデルワールス力に起因する架橋構造によって粘度を創する、カルボキシビニルポリマー塩やアルキル変性カルボキシビニルポリマー塩等の、粉体を含有しない化粧料で使用される増粘剤を用いての粘度維持は実質的に不可能であった。これは金属酸化物の部分電離部分が、増粘剤の架橋構造を壊すため、増粘剤を添加しても、系の粘度は増加しないからである。この様な状況を反映して、水性担体に粉体を分散させるには、経時的に粉体が沈降し、二層構造を呈する用時分散型の製剤(例えば、特許文献1を参照)、脂肪酸石鹸と固形の脂肪酸と固形の非イオン界面活性剤の作るゲル構造を利用した水中油乳化剤形(例えば、特許文献2を参照)、乃至は、ジグリセリンモノ脂肪酸エステルと糖類の作る構造や有機変性粘土鉱物の作る構造を利用した油中水乳化剤形(例えば、特許文献3を参照)を利用するのが常法であった。
【0003】
この様な観点から、本発明者らはアルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩の架橋ゲル構造を壊さない粉体の処理法として、アシルアミノ酸塩被覆処理と、シリル化剤によるシリル化処理の二重(多重)処理法を見出した。この様な多重表面処理粉体と、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を組み合わせた乳化製剤の特性を検討したところ、高温保存時に於いて、パラベンなどの防腐剤が僅かに失活する場合が存することを見出した。僅かな失活であっても、粉体と水溶性高分子とを含有する皮膚外用剤に於いては、粉体により系における界面の面積が非常に増大していることと、高分子の資化性の高さから防腐上は大きな問題になる場合が存し、且つ、防腐剤にはその配合限度が存し、その対応が望まれた。
【0004】
一方、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールには抗菌作用が存していること、及び、該抗菌の目的で皮膚外用剤に含有せしめることは既に知られている(例えば、特許文献4、特許文献5を参照)し、これらとアルキル変性さえていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩とを組み合わせる技術は既に知られている(例えば、特許文献6を参照)。しかしながら、表面を多層被覆処理された粉体を5〜30質量%と、抗菌性多価アルコールを1〜10質量%とを含有する水中油乳化剤形の皮膚外用剤は全く知られていないし、この様な構成に於いて、分散性に優れた形態で粉体を含有し、且つ、微生物汚染対抗性に優れた皮膚外用剤としての性質を有することも全く知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2007−119410号公報
【特許文献2】特開2007−39371号公報
【特許文献3】特開2007−269761号公報
【特許文献4】WO2003/087287
【特許文献5】特開2004−182640号公報
【特許文献6】特開2005−239587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、粉体を含有する皮膚外用剤に於いて、優れた粉体分散性と、抗菌的製剤許容性に優れる皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、粉体を含有する皮膚外用剤に於いて、優れた粉体分散性と、抗菌的製剤許容性に優れる皮膚外用剤を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、表面を多層被覆処理された粉体を5〜30質量%含有する、水中油乳化剤形の皮膚外用剤において、抗菌性多価アルコールを1〜10質量%含有する皮膚外用剤がその様な特性を有していることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
<1>表面を多層被覆処理された粉体を5〜30質量%含有する、水中油乳化剤形の皮膚外用剤において、抗菌性多価アルコールを1〜10質量%含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
<2>前記多層被覆処理は、アシル化アミノ酸塩被覆処理、ジメチルポリシロキサン焼付処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付処理、シリル化処理及びリン脂質被覆処理から選択される2種以上を順次粉体上に施したものであることを特徴とする、<1>に記載の皮膚外用剤。
<3>前記多層被覆処理粉体は、基体となる粉体にアシルグルタミン酸金属塩を被覆した後、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付処理を行った粉体であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の皮膚外用剤。
<4>前記抗菌性多価アルコールは、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、<1>〜<3>何れか1項に記載の皮膚外用剤。
<5>更に、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を含有することを特徴とする、<1>〜<4>何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粉体を含有する皮膚外用剤に於いて、優れた粉体分散性と、抗菌的製剤許容性に優れる皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分である多層表面被覆処理された粉体
本発明の皮膚外用剤は、必須成分として、表面を多重に処理された粉体を5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%含有することを特徴とする。かかる粉体の表面処理としては、少なくとも1種の親油化処理を施して含有させることが、分散性を更に向上させるので好ましい。かかる親油化処理としては、通常化粧料などの皮膚外用剤用の粉体で行われている処理であれば特段の限定無く、例えば、N−アシルアミノ酸塩被覆処理、メチルハイドロジェンポリシロキサン焼付処理或いはアルキルアルコキシシランによるシランカップリング処理が好適に例示できる。かかる表面処理は少なくとも2種以上を施す。特に好ましい処理は、第1の処理として、N−アシルアミノ酸塩で被覆処理した形態である。該N−アシルアミノ酸塩としては、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、オレオイル基など、アシル基として炭素数10〜30の脂肪族のアシル基を好ましく有し、アミノ酸部分としては、リジン残基乃至はグルタミン酸残基を好ましく有し、塩としては、アルミニウム塩乃至は亜鉛塩を好ましく採用するものである。具体的な例示としては、N−ラウロイルグルタミン酸アルミニウム塩、N−ラウロイルグリシンアルミニウム塩、N−ラウロイルグルタミン酸亜鉛塩、N−ラウロイルグリシン亜鉛塩、N−ステアロイルグルタミン酸アルミニウム塩、N−ステアロイルグルタミン酸亜鉛塩等が好適に例示でき、N−ラウロイルグルタミン酸アルミニウム塩が特に好適に例示できる。この様なN−アシルアミノ酸塩の被覆は、例えば、N−ステアロイルグルタミン酸アルミニウム被覆を例に取れば、N−ステアロイルグルタミン酸ナトリウムの水溶液に粉体を分散させ、しかる後、かかる粉体に、塩化アルミニウムの水溶液を添加し、N−ステアロイルグルタミン酸アルミニウムを粉体上に沈着させればよい。かかる表面処理は、粉体の質量に対し、1〜20%の質量の被覆を行うことが適当である。第一の処理の製造例を以下に示す。
【0010】
<製造例1>
二酸化チタン100gを500mlの1%N−ステアロイルグルタミン酸ナトリウム水溶液に分散させ、これに125mlの1%塩化アルミニウム水溶液を加え、緩やかに4時間攪拌し、N−ステアロイルグルタミン酸アルミニウムを二酸化チタン表面に沈積させた。反応終了後遠心分離(3000g、10分)して上清を捨て、更に1000mlの水を加え、攪拌した後、遠心分離し、洗浄する作業を3回行った。沈殿した粉体を乾燥させ、擂壊機で壊砕し、1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、N−ステアロイルグルタミン酸アルミニウム被覆二酸化チタンである粉体1を得た。(被覆率約5質量%)
【0011】
<製造例2>
二酸化チタンをベンガラ(赤)に代えて、同様に処置し、粉体2を得た。
【0012】
<製造例3>
二酸化チタンを黄色酸化鉄に代えて、同様に処置し、粉体3を得た。
【0013】
<製造例4>
二酸化チタンをベンガラ(紫)に代えて、同様に処置し、粉体4を得た。
【0014】
斯くして得られた第一の表面処理を施された粉体は、第一の処理とは異なる第二の表面処理を施される。第二の表面処理として好適なものとしては、シリル化処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付処理、ジメチルポリシロキサン焼付処理などが好適に例示でき、シリル化処理乃至はハイドロジェンメチルポリシロキサン処理が特に好ましい。かかる処理は、塩化メチレンなどの溶媒で処理成分を希釈し、該希釈液を第一の表面処理を施した粉体に被覆せしめ、しかる後に100〜200℃で1〜72時間焼付を行うことによりなされる。かかる処理は、粉体全量に対して1〜30質量%施すことが好ましい。斯くの如く二重の処理を施された粉体は、そのものを本発明の皮膚外用剤に含有せしめることも出来るし、更に、第一の処理、或いは、第一の処理とも第二の処理とも異なる処理を施すことも出来る。
【0015】
<製造例5>
粉体1の105gに1gのハイドロジェンメチルポリシロキサンを50mlの塩化メチレンに溶解させて、コーティングし、ロータリーエバポレーターで攪拌しながら減圧乾燥させ、これを電気炉中で100℃36時間焼付を行い、粉体5を得た。
【0016】
<製造例6>
粉体1を粉体2に代えて、同様に処置し、粉体6を得た。
【0017】
<製造例7>
粉体1を粉体3に代えて、同様に処置し、粉体7を得た。
【0018】
<製造例8>
粉体1を粉体2に代えて、同様に処置し、粉体8を得た。
【0019】
<製造例9>
粉体5の106gに1gのメトキシトリメチルシランを50mlの塩化メチレンに溶解させて、コーティングし、ロータリーエバポレーターで攪拌しながら減圧乾燥させ、これを電気炉中で100℃36時間焼付を行い、粉体9を得た。
【0020】
<製造例10>
粉体5を粉体6に代えて、同様に処置し、粉体10を得た。
【0021】
<製造例11>
粉体5を粉体7に代えて、同様に処置し、粉体11を得た。
【0022】
<製造例12>
粉体5を粉体8に代えて、同様に処置し、粉体12を得た。
【0023】
多層表面被覆処理粉体は前記の如くに調整して用いることも出来るが、既に、多層表面被覆処理を施した粉体が市販されているので、この様な市販の粉体を購入して使用することも可能である。この様な市販品としては、例えば、三好化成工業株式会社から販売されている、「SA/NAI−Y−10」(N−ラウロリルグルタミン酸アルミニウム1.2%、トリメチルシリルジメチコン8%被覆黄色酸化鉄)、「SA/NAI−R−10」(N−ラウロリルグルタミン酸アルミニウム1.2%、トリメチルシリルジメチコン8%被覆ベンガラ)、「SA/NAI−ベンガラ79−P」(N−ラウロリルグルタミン酸アルミニウム1.2%、トリメチルシリルジメチコン8%被覆ベンガラ)、「SA/NAI−TR−10」(N−ラウロリルグルタミン酸アルミニウム1.2%、トリメチルシリルジメチコン8%被覆二酸化チタン)等が好ましく例示できる。
【0024】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分である抗菌性多価アルコール
本発明の皮膚外用剤は、必須成分として、抗菌性多価アルコールを1〜10質量%、より好ましくは2〜5質量%含有することを特徴とする。前記抗菌性多価アルコールとしては、少なくとも2つの水酸基を有し、且つ、抗菌性を示すものが好ましく例示でき、例えば、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−デカンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上が好ましく例示でき、より好ましくは、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上が例示できる。かかる成分は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。本発明に於いて、かかる成分は、粉体や水溶性高分子に吸着されて失活している防腐剤を水相に配向させ、賦活化するとともに、それ自身の抗菌性で防腐力を高める作用を有する。前記範囲より含有量が少ない場合には、この様な作用を奏しない場合が存し、多すぎても効果が頭打ちになり、乳化特性を損なう場合が存する。
【0025】
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有し、水性担体を含むことを特徴とする。水性担体の含有形態としては、最外相が水相である水中油乳化剤形と最外相が油相である油中水乳化剤形とが存すが、本発明の皮膚外用剤では使用感と化粧仕上がりが画期的な水中油乳化剤形が特に好ましい。
【0026】
本発明の皮膚外用剤においては、前記必須成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ステアロイル乳酸などのアシルヒドロキシカルボン酸及び/又はその塩等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジグリセリン等の必須成分に分類されない多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;アルキル変性カルボキシビニルポリマー、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸或いはこれらの塩等の水溶性高分子類;表面を多層被覆以外の処理法で処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0027】
これらの内、特に好ましいものは、水溶性高分子であり、特に、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーである。かかる成分は、前記多重被覆粉体の凝集を誘起することなく、系を保つに必要な粘度を創する。この様な粘度を創するためには、かかる成分は1種乃至は2種以上を0.05〜1質量%、より好ましくは、0.08〜0.5質量%含有することが好ましい。この様なカルボキシビニルポリマー類としては、炭素数10〜30のアルキル基でアルキル変性されている、「ペムレン(PEMULEN;登録商標)TR−1」、「ペムレン(PEMULEN;登録商標)TR−2」、カーボポール(CARBOPOL;登録商標)1382(何れもグッドリッチ社製)などが存し、アルキル変性されていないものとしてはカーボポール(CARBOPOL;登録商標)ULTREZ10、カーボポール(CARBOPOL;登録商標)940等が存する。かかるアルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー或いはその塩は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。これらの塩としては、化粧料で使用されるものであれば、特段の限定無く使用でき、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる。本発明では、前記アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーを中和率60〜120%で、用いることが好ましい。
【0028】
本発明の皮膚外用剤は、水中油乳化特性を生かしやすく、その特徴であるみずみずしさを更に実感させるために、抱水性に優れる(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単量体とするホモポリマー、コポリマー乃至はこれらの塩を含有することが好ましい。かかる成分としては、例えば、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(「リピジュアHM」日本油脂株式会社製など)メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・アクリル酸ブチルコポリマー(「リピジュアPMB」日本油脂株式会社製など)等が好適に例示できる。やかかる成分は陽性に荷電している窒素原子を有するため、通常粉体と共存させることにより、粉体を凝集させやすく、粉体含有乳化剤形では使用しにくい原料であるが、本発明の皮膚外用剤に於いては、粉体の凝集要素が抑制されているため、配合が可能となり、その効果を遺憾なく発揮する。かかる効果を発揮し、皮膚に潤いを与え、粉体の塗布による乾燥感、刺激感を抑制するためには、かかる成分から選択される1種乃至は2種以上を、化粧料全量に対して、総量で0.01〜0.5質量%含有させることが好ましい。
【0029】
本発明の皮膚外用剤は、前記成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。本発明の皮膚外用剤は、例えば、軟膏、液剤、クリームなどの皮膚外用医薬、化粧水、乳液、クリーム、エッセンス、ファンデーション、紫外線防護化粧料等の医薬部外品を包含する化粧料、ボディペイント等の皮膚外用雑貨等へ適用することが出来る。
【0030】
以下に実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加える。
【実施例1】
【0031】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤であるファンデーション(化粧料1)を作成した。即ち、イ、ロ、ハの成分をそれぞれ80℃に加熱し、攪拌下徐々にイにロを加えて乳化し、これにニの成分を加えて分散させ、攪拌下ハの成分を加えて中和し、攪拌冷却してファンデーションを得た。同様に操作して、粉体5を粉体1に、粉体6を粉体2に、粉体7を粉体3に、粉体8を粉体4に置換した比較例1、粉体5を二酸化チタンに、粉体6をベンガラ(赤)に、粉体7を黄色酸化鉄に、粉体8をベンガラ(紫)に置換した比較例2、粉体5をハイドロジェンメチルポリシロキサン6質量%焼付二酸化チタンに、粉体6をハイドロジェンメチルポリシロキサン6質量%焼付ベンガラ(赤)に、粉体7をハイドロジェンメチルポリシロキサン6質量%焼付黄色酸化鉄に、粉体8をハイドロジェンメチルポリシロキサン6質量%焼付ベンガラ(紫)に置換した比較例3、1,2−ヘキサンジオールを1,3−ブタンジオールに置換した比較例4も同様に作成した。
【0032】
【表1】

【0033】
<評価1>
斯くの如く作成した化粧料1、比較例1〜4を用いてその性質を調べた。性質としては、顕微鏡下(倍率×300)観察された顔料分散性(基準;++:大きな凝集を認める、+:明瞭な凝集を認める、±:不明瞭であるが、凝集傾向にある、−:凝集を全く認めない)、顔料の沈降の有無、分離の有無及び系の粘度(B型粘度計、4号ローター、12rpm)であった。顔料の沈降の有無、分離の有無及び系の粘度は1週間40℃で保存した後、12時間20℃に保存して、この条件での測定値とした。結果を表2に示す。これより、本発明の皮膚外用剤は顔料分散性と系の安定性に優れることが分かる。
【0034】
【表2】

【0035】
<評価2>
これらの化粧料1、比較例1〜4の防腐効果を調べた。これらの皮膚外用剤を10%混合させた寒天平板培地に、スタフィロコッカス・アウレウスを白金耳で移植し、その生育を観察して、コロニーの程度を5(全面)〜0(皆無)の評点で評価し、確かめた。結果を表3に示す。本発明の皮膚外用剤は優れた防腐効果を有することがわかる。
【0036】
【表3】

【実施例2】
【0037】
下記の処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料2〜(ファンデーション)を作成した。これらの化粧料の防腐効果について、評価2の手法で評価した結果を表4に示す。これより、本発明の皮膚外用剤は何れも優れた抗微生物特性を有することがわかる。
【0038】
【表4】

【0039】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ファンデーションなどの粉体含有化粧料に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を多層被覆処理された粉体を5〜30質量%含有する、水中油乳化剤形の皮膚外用剤において、抗菌性多価アルコールを1〜10質量%含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
前記多層被覆処理は、アシル化アミノ酸塩被覆処理、ジメチルポリシロキサン焼付処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付処理、シリル化処理及びリン脂質被覆処理から選択される2種以上を順次粉体上に施したものであることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記多層被覆処理粉体は、基体となる粉体にアシルグルタミン酸金属塩を被覆した後、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付処理を行った粉体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記抗菌性多価アルコールは、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
更に、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を含有することを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2009−155244(P2009−155244A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333815(P2007−333815)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】