説明

粉体含有水中油型乳化化粧料

【課題】内油相と外水相の両相に粉体を含有する水中油型乳化化粧料において、良好な感触を有しながら、粉体の分散安定性を高める手段を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)アシル乳酸及び/又はその塩、(B)内油相に表面が親油処理された粉体、(C)外水相に粉体を含有し、さらには製造過程において、(A)成分を乳化直前に内油相に添加することで、粉体が凝集せず、分散安定性の高い水中油型乳化化粧料を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料に関し、更に詳細には、粉体の分散安定性を高めることで、優れた隠蔽力、肌の色ムラ補正効果、紫外線防御効果及び良好な使用感を有する水中油型乳化剤型の化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中油型乳化化粧料はみずみずしい使用感と多機能性を有することから、これに酸化チタンや酸化亜鉛等の粉体を配合することにより、紫外線から肌を保護する種々の化粧料、例えばサンスクリーン剤、ファンデーションの下地、乳化型ファンデーション等が開発されている。
【0003】
有機系紫外線吸収剤も用いられているが、有機系紫外線吸収剤を多量に配合すると肌荒れなどの皮膚トラブルの原因になる場合があると考えられており、有機系紫外線吸収剤を少量、ないしは配合しない化粧料が求められている。紫外線防御粉体については、粒子径が小さいほど、高い紫外線防御効果を有しながら、かつ肌に塗布した時の透明性が向上することが知られている。
【0004】
一方、一般に使われる粉体は、肌の色ムラの補正、シミなどの隠蔽、使用感触の改善、汗や皮脂を吸収して化粧崩れの防止などの効果があり、これらの粉体の粒子径は様々である。
【0005】
一般的に、粒子径の小さい粉体は凝集しやすく、特に、上記粉体などの粒子径の異なる粉体と同時に配合すると、粉体が凝集してしまう等の欠点があった。粉体が凝集したままであると、紫外線防御効果低下の要因、また使用感触が悪化する等、様々な問題があった。そこで、粉体の凝集を解決するために、例えば親油性粉体を懸濁させた油相と界面活性剤水溶液から成るゲル状化粧料(特許文献1参照)や、水相の増粘剤としてサクシノグリカンを用いた水中油型乳化化粧料(特許文献2、3参照)が報告されているが、これらの技術によっても、依然、粉体の分散安定性、乳化安定性、さらには使用感触の点で十分なものであるとはいえなかった。
【0006】
また、粉体を内油相と外水相の両相に含有する化粧料としては、内油相中に粉体と部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、外水相中に粉体を含有する水中油型メイクアップ化粧料(特許文献4参照)が報告されているが、紫外線防御効果や粉体の分散安定性の点で十分なものであるとはいえず、さらに、内油相と外水相に粒子径の異なる粉体を配合した化粧料はこれまでに開示されていなかった。
【0007】
ところで、アシル乳酸及び/又はその塩は、特に毒性がなく、例えば、ステアロイル乳酸カルシウムやステアロイル乳酸ナトリウム等は食品添加物としても許可されており、また生物分解性に優れている。これらのアシル乳酸及び/又はその塩は、アシルポリグリセリンとともに乳化剤型の皮膚外用剤(特許文献5参照)で使用されることが知られている。しかしながら、内油相と外水相の両相に粉体を含有する水中油型乳化化粧料において、アシル乳酸及び/又はその塩を含有するものは全く知られていないし、このような化粧料において、粉体類が安定に分散保持されることも全く知られていない。また、アシル乳酸及び/又はその塩を、水中油型乳化化粧料の製造工程において、乳化直前に添加するという発想は今までには全くなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平7−94366号公報
【特許文献2】特開2004−203825号公報
【特許文献3】特開2009−286748号公報
【特許文献4】特開2008−44901号公報
【特許文献5】特開平9−48705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、内油相と外水相の両相に粉体を含有する水中油型乳化化粧料において、良好な感触を有しながら、粉体の分散安定性を高める手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、内油相と外水相にそれぞれ粉体を含有する水中油型乳化剤型の製造過程において、アシル乳酸及び/又はその塩を乳化直前に内油相に添加することにより、良好な感触を有しながら、粉体の分散安定性に優れる化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
<1>(A)アシル乳酸及び/又はその塩、(B)内油相に表面が親油処理された粉体、(C)外水相に粉体を含有し、さらには(A)成分を製造過程において乳化直前に内油相に添加することを特徴とする水中油型乳化化粧料。
<2>(A)アシル乳酸及び/又はその塩の含有量が0.01〜1.0重量%であることを特徴とする<1>に記載の水中油型乳化化粧料。
<3>(B)内油相に含有する粉体の平均一次粒子径が100nm未満であることを特徴とする<1>又は<2>の何れか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
<4>(B)内油相に含有する粉体が酸化チタン及び/又は酸化亜鉛であることを特徴とする<1>〜<3>の何れか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
<5>(B)内油相の粉体の含有量が0.1〜15.0重量%で、(C)外水相の粉体の含有量が0.1〜15.0重量%であることを特徴とする<1>〜<4>の何れか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、粉体を含有する水中油型乳化化粧料において、良好な感触を有しながら、粉体の分散安定性を高める手段を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の水中油型乳化化粧料において、(A)アシル乳酸及び/又はその塩は製造過程において乳化直前に内油相に添加することが好ましい。本発明で定義する乳化とは、内油相と外水相を混合することであり、乳化直前とは、内油相と外水相を混合するまでの時間が5分以内である。
【0013】
本発明に用いられる成分(A)アシル乳酸及び/又はその塩の配合量は、化粧料全体に対して0.01〜1.0重量%であり、特に0.1〜1.0重量%が好ましい。配合量が0.01重量%未満では、粉体の凝集を抑制する効果が十分ではない場合もある。また、1.0重量%を超えて配合すると、配合量の増加に見合った効果の向上を期待することができないため、非経済的である。
【0014】
本発明に用いられる成分(A)アシル乳酸及び/又はその塩としては、例えばオクタノイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩;カプロイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩;2−エチルヘキサノイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩;ラウロイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩;ミリストイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩;パルミトイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩;ステアロイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩;イソステアロイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩;オレオイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩;12−ヒドロキシステアロイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩;リシノレイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩;ベヘノイル乳酸及びそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩などがあげられる。本発明の化粧料では、アシル乳酸及び/又はその塩は、粉体を含有した処方でも安定な化粧料をつくることができる。
【0015】
本発明の水中油型乳化化粧料において、(B)内油相に含有する親油処理粉体は、粉体を通常公知の技術により親油化したものである。粉体は、平均一次粒子径が100nm未満であることが好ましい。一次粒子とは、粉末を構成する最も小さい粒子のことであり、平均一次粒子径とは、電子顕微鏡観察により目視にて測定し、平均値を計算することにより求めたものである。粉体の平均一次粒子径が小さくなるほど、紫外線防御効果が高く、乳化粒子径が細かくなるため、透明性の高い化粧料を得ることができる。粉体は特に限定されないが、球状、板状、針状等の形状;多孔質、無孔質等の粒子構造;等が挙げられる。具体的には、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0016】
前記粉体を親油処理する処理剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高粘度シリコーン、架橋型シリコーン、フッ素変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、シリコーン樹脂等のシリコーン化合物;アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤等の界面活性剤;金属石鹸による処理;ポリイソブチレン、ワックス、油脂等の油剤;パーフルオロアルキルリン酸、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸等のフッ素化合物;PVP−ヘキサデセンのコポリマー等のPVP変性ポリマー;等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。前記処理剤を粉体に処理する方法は通常公知の方法が用いられ、特に限定はされない。例えば、溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いられる成分(B)内油相に含有する親油処理粉体の配合量は、化粧料全体に対して0.1〜15.0重量%であり、特に1.0〜10.0重量%が好ましい。粉体の配合量が0.1重量%未満では、粉体の効果が十分ではない場合がある。また、15.0重量%を超えて配合すると、配合量の増加に見合った効果の向上を期待することができないうえ、内相の油の量を増やす必要があり、べたつきの原因になることがある。
【0018】
本発明の水中油型乳化化粧料において(C)外水相に含有する粉体は、化粧品一般に使用される粉体であれば、球状、板状、針状等の形状;多孔質、無孔質等の粒子構造;等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。
【0019】
具体的には、酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類;オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類;ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン等の有機粉体類;有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類;微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体;等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0020】
本発明に用いられる成分(C)外水相に含有する粉体の配合量は、化粧料全体に対して0.1〜15.0重量%であり、特に1.0〜10.0重量%が好ましい。粉体の配合量が0.1重量%未満では、粉体の効果が十分ではない場合がある。また、15.0重量%を超えて配合すると、のびが重くなる等、使用感が悪くなる場合がある。
【0021】
本発明による水中油型乳化化粧料の形態は特に限定されず、乳液、クリーム、ジェル、美容液、パック等の基礎化粧品、口紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、ファンデーション、サンスクリーン等のメーキャップ化粧品、口腔化粧品、芳香化粧品、毛髪化粧品、ボディ化粧品等、従来化粧料に用いるものであれば何れの形態でも広く適用可能である。
【0022】
本発明において、発明の効果を損なわない範囲であれば上記必須成分のほかに、油性原料、界面活性剤、増粘剤、紫外線防御剤、紫外線吸収剤、保湿剤、皮膜剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、pH調整剤、皮膚栄養剤、抗炎症剤、植物エキス、無機粉体、有機粉体、香料、色素、水などの通常化粧料に用いられる原料を適宜配合することができる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0024】
水中油型乳化化粧料を調製し、粉体の分散安定性、乳化安定性、のびのなめらかさ、べたつき感のなさを評価した。実施例及び比較例の配合組成と評価結果を下記表1〜5に示す。配合量については重量%で示す。
【0025】
本実施例において評価した、粉体の分散安定性、乳化安定性、のびのなめらかさ、べたつき感のなさの評価基準については以下の通りである。
(1)粉体の分散安定性の評価基準
組成物をアクリル製の黒板上に伸ばし、状態を観察し凝集の度合いを評価した。粉体が凝集している場合は、凝集物が観察される。
◎:凝集物が認められない
○:凝集物がほとんど認められない
△:凝集物が若干認められる
×:凝集物が多数認められる
【0026】
(2)乳化安定性の評価基準
組成物の乳化安定性を顕微鏡(倍率15×40)にて評価した。
◎:顕微鏡で乳化粒子の合一が認められない
○:顕微鏡で乳化粒子の合一がほとんど認められない
△:顕微鏡で乳化粒子の合一が若干認められる
×:顕微鏡で乳化粒子の合一が認められる
【0027】
(3)のびのなめらかさの評価基準
専門パネラー10名によって、被試験料を顔部に手で塗布し、その時ののびのなめらかさを以下の基準で評価した。
◎:パネラー8名以上が、のびがなめらかだと認めた
○:パネラー6名以上8名未満が、のびがなめらかだと認めた
△:パネラー3名以上6名未満が、のびがなめらかだと認めた
×:パネラー3名未満が、のびがなめらかだと認めた
【0028】
(4)べたつき感の評価基準
専門パネラー10名によって、被試験料を顔部に手で塗布し、その時のべたつき感を以下の基準で評価した。
◎:パネラー8名以上が、使用後べたつき感がないと認めた
○:パネラー6名以上8名未満が、使用後べたつき感がないと認めた
△:パネラー3名以上6名未満が、使用後べたつき感がないと認めた
×:パネラー3名未満が、使用後べたつき感がないと認めた
【0029】
(実施例1の製造方法)
1.成分1〜7を70℃に加熱し、成分8を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分11〜14、16〜18をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分10を成分1〜8に加える。
4.3の操作後5分後に、成分1〜8、10に成分11〜14、16〜18を添加して乳化し、室温まで撹拌冷却する。
(実施例2の製造方法)
1.成分1〜7を70℃に加熱し、成分8を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分11〜14、16〜18をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分10を成分1〜8に加える。
4.3の操作後1分後に、成分1〜8、10に成分11〜14、16〜18を添加して乳化し、室温まで撹拌冷却する。
(比較例1の製造方法)
1.成分1〜7を70℃に加熱し、成分8を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分11〜14、16〜18をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分1〜8に成分11〜14、16〜18を添加して乳化し、室温まで撹拌冷却する。
(比較例2の製造方法)
1.成分1〜7に10を添加して70℃に加熱し、成分8を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分11〜14、16〜18をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分1〜8、10に成分11〜14、16〜18を添加して乳化し、室温まで撹拌冷却する。
(比較例3の製造方法)
1.成分1〜7を70℃に加熱し、成分8を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分11〜14、16〜18をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分10を成分1〜8に加える。
4.3の操作後10分後に、成分1〜8、10に成分11〜14、16〜18を添加して乳化し、室温まで撹拌冷却する。
(比較例4の製造方法)
1.成分1〜7を70℃に加熱し、成分8、9を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分11〜13、16〜18をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分10を成分1〜9に加える。
4.3の操作後5分後に、成分1〜10に成分11〜13、16〜18を添加して乳化し、室温まで撹拌冷却する。
(比較例5の製造方法)
1.成分1〜7を70℃に加熱し、ディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分11〜18をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分10を成分1〜7に加える。
4.3の操作後5分後に、成分1〜7、10に成分11〜18を添加して乳化し、室温まで撹拌冷却する。
【0030】
【表1】

【0031】
表1に示した結果より、本発明の水中油型乳化物は、粉体分散安定性、乳化安定性、のびのなめらかさ及びべたつき感のなさともに良好であった。一方、成分(A)を配合していない比較例1は、粉体の凝集と乳化粒子の合一が確認された。また、成分(A)を最初にあるいは乳化10分前に油相に添加した比較例2、3は、粉体の凝集が確認された。平均粒子径の異なる粉体を油相あるいは水相に一緒に配合した比較例4、5は、粉体の凝集が確認された。
【0032】
(実施例3〜7の製造方法)
1.成分1〜7を70℃に加熱し、成分8を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分10〜16をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分9を成分1〜8に加える。
4.3の操作後5分後に、成分1〜9に成分10〜16を添加して乳化し、室温まで撹拌冷却する。
【0033】
【表2】

【0034】
表2に示した結果より、各実施例はどれも良かったが、成分(A)の配合量が0.01重量%〜1.0重量%の範囲が良かった。さらに、成分(A)の配合量が0.1重量%〜1.0重量%の範囲が非常に良かった。
【0035】
(実施例8の製造方法)
1.成分1〜7を70℃に加熱し、成分9を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分11〜17をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分10を成分1〜7、9に加える。
4.3の操作後5分後に、成分1〜7、9、10に成分11〜17を添加して乳化し、室温まで撹拌冷却する。
【0036】
【表3】

【0037】
表3に示した結果より、各実施例はどれも良かったが、内油相に含有する粉体の平均一次粒子径が100nm以下が非常に良かった。
【0038】
(実施例9〜14の製造方法)
1.成分1〜6を70℃に加熱し、成分7を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分9〜15をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分8を成分1〜7に加える。
4.3の操作後5分後に、成分1〜8に成分9〜15を添加して乳化し、室温まで撹拌冷却する。
【0039】
【表4】

【0040】
表4に示した結果より、各実施例はどれも良かったが、成分(B)の配合量が0.1〜15.0重量%の範囲が良かった。さらに、成分(B)の配合量が1.0〜10.0重量%の範囲が非常に良かった。
【0041】
(実施例15〜20の製造方法)
1.成分1〜6を70℃に加熱し、成分7を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分9〜15をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分8を成分1〜7に加える。
4.3の操作後5分後に、成分1〜8に成分9〜15を添加して乳化し、室温まで撹拌冷却する。
【0042】
【表5】

【0043】
表5に示した結果より、各実施例はどれも良かったが、成分(C)の配合量が0.1〜15.0重量%の範囲が良かった。さらに、成分(C)の配合量が1.0〜10.0重量%の範囲が非常に良かった。
【0044】
*1:SA−TTO−S−4(10%)(三好化成社製、平均粒子径短軸0.015μm、長軸0.075μm)
*2:酸化チタン AS−63D(東色ピグメント社製、平均粒子径0.25μm)
*3:ステアロイル乳酸ナトリウム(武蔵野化学社製)
*4:タイペークCR−50(石原産業社製、平均粒子径0.25μm)
*5:TTO−S−4(10%)(石原産業社製、平均粒子径短軸0.015μm、長軸0.075μm)
【0045】
以下に、本発明のかかる水中油型乳化組成物のその他の実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
実施例21 サンスクリーンクリーム
配合成分 配合量(重量%)
(1) スクワラン 15
(2) トリエチルヘキサノイン 3
(3) ジメチルポリシロキサン 2
(4) ペンタステアリン酸デカグリセリル 2
(5) ベヘニルアルコール 2.5
(6) パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 2
(7) シリコーン処理微粒子酸化チタン(*1) 9
(8) ステアロイル乳酸カルシウム(*6) 0.7
(9) カラギーナン 1
(10)キサンタンガム 0.3
(11)酸化チタン(*4) 5
(12)プロピレングリコール 7
(13)パラオキシ安息香酸エステル 0.3
(14)精製水 残余
(15)香料 0.2
合計 100
*6:ベルフ(武蔵野工業社製)
【0047】
(製造方法)
1.成分1〜6を70℃に加熱し、成分7を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分9〜14をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分8を成分1〜7に加える。
4.3の操作後5分後に、成分1〜8に成分9〜14を添加して乳化する。
5.50℃まで冷却し、成分15を添加し、室温まで撹拌冷却する。
【0048】
実施例22 サンスクリーン乳液
配合成分 配合量(重量%)
(1) スクワラン 7
(2) トリエチルヘキサノイン 2
(3) ペンタステアリン酸デカグリセリル 1
(4) パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 1
(5) シリコーン処理微粒子酸化亜鉛(*7) 7
(6) イソステアロイル乳酸ナトリウム(*8) 0.3
(7) キサンタンガム 0.5
(8) 酸化チタン(*4) 3
(9) 1,3−ブチレングリコール 7
(10)グリセリン 3
(11)パラオキシ安息香酸エステル 0.2
(12)精製水 残余
(13)香料 0.1
合計 100
*7:SI−UFZO−310 LHC(6%)(三好化成社製、平均粒子径0.025μm)
*8:リソラクト DIS(高級アルコール工業社製)
【0049】
(製造方法)
1.成分1〜4を70℃に加熱し、成分5を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分7〜12をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分6を成分1〜5に加える。
4.3の操作後5分後に、成分1〜6に成分7〜12を添加して乳化する。
5.50℃まで冷却し、成分13を添加し、室温まで撹拌冷却する。
【0050】
実施例23 水中油型乳化ファンデーション
配合成分 配合量(重量%)
(1) スクワラン 4
(2) デカメチルシクロペンタシロキサン 10
(3) メチルフェニルポリシロキサン 5
(4) ステアリン酸 3
(5) ベヘニルアルコール 1
(6) セタノール 0.5
(7) ステアリン酸グリセリル 1
(8) シリコーン処理微粒子酸化チタン(*1) 10
(9) ステアロイル乳酸ナトリウム(*3) 0.6
(10)キサンタンガム 0.1
(11)タルク(*9) 4
(12)黄酸化鉄(*10) 1.7
(13)黒酸化鉄(*11) 0.3
(14)ベンガラ(*12) 0.8
(15)酸化チタン(*4) 3
(16)1,2−ペンタンジオール 0.5
(17)グリセリン 4
(18)パラオキシ安息香酸エステル 0.2
(19)精製水 残余
(20)香料 0.05
合計 100
*9:JA−68R(浅田製粉社製)
*10:TAROX 合成酸化鉄 LL−100(チタン工業社製)
*11:TAROX 合成酸化鉄 BL−100(チタン工業社製)
*12:TAROX 合成酸化鉄 R−516−L(チタン工業社製)
【0051】
(製造方法)
1.成分1〜7を70℃に加熱し、成分8を加えてディスパーにて均一に分散し、70℃に保温する。
2.成分10〜19をディスパーにて均一に混合し、70℃に加熱する。
3.成分9を成分1〜8に加える。
4.3の操作後5分後に、成分1〜9に成分10〜19を添加して乳化する。
5.50℃まで冷却し、成分20を添加し、室温まで撹拌冷却する。
【0052】
実施例21〜23はいずれも、優れた粉体分散安定性及び良好な感触を有するものであった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、良好な感触を有しながら、粉体の分散安定性に優れた水中油型乳化化粧料に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アシル乳酸及び/又はその塩
(B)内油相に表面が親油処理された粉体
(C)外水相に粉体
を含有し、さらには(A)成分を製造過程において乳化直前に内油相に添加することを特徴とする水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
(A)アシル乳酸及び/又はその塩の含有量が0.01〜1.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
(B)内油相に含有する粉体の平均一次粒子径が100nm未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
(B)内油相に含有する粉体が酸化チタン及び/又は酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
(B)内油相の粉体の含有量が0.1〜15.0重量%で、(C)外水相の粉体の含有量が0.1〜15.0重量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の水中油型乳化化粧料。

【公開番号】特開2011−207766(P2011−207766A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73904(P2010−73904)
【出願日】平成22年3月27日(2010.3.27)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】