説明

粉体流路用の開閉弁

【課題】弁体の閉鎖時における粉体の噛み込みをほぼ完全に防止することができるようにした粉体流路用の開閉弁を提供することである。
【解決手段】円筒形のバルブボディ11の内側に形成された粉体の流路13内に、その流路開閉用の円形の弁体14を組込み、その弁体14の回動により、その弁体14の外周部をバルブボディ11の流路内周面に沿って設けられたシートリング12に接触させて流路13を閉鎖する粉体流路用の開閉弁において、弁体14に、径方向に延びて弁棒の端面で開口するエア供給孔18と、弁体14の中心から放射状に延びてエア供給孔に連通する複数のエア噴射孔19とを形成する。弁体14の閉鎖時にエア供給孔18に圧縮エアを供給し、その圧縮エアをエア噴射孔19から弁体14の径方向外方に噴射し、その噴射エアにより粉体を吹き飛ばして、粉体が弁体14とシートリング12の当接部に噛み込むのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体流動用の流路を開閉する開閉弁に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を粗粉と微粉とに遠心分離し、微粉を製品とする分級プラントにおいては、一次分級用の第1気流分級機に粉体供給用のホッパを接続し、そのホッパから第1気流分級機の分級室内に供給される粉体を高速旋回させて粗粉と中間粉(粗粉を含む微粉)とに遠心分離し、その中間粉を二次分級用の第2気流分級機の分級室内に供給し、その分級室内で高速旋回させて、粗粉と微粉とに遠心分離し、微粉排出筒に吸引される微粉をサイクロン分離機等の固気分離機に導いて製品となる微粉を回収処理するようにしている。
【0003】
上記の分級プラントにおいては、粉体供給用のホッパと第1気流分級機を接続する粉体供給用の流路や第1気流分級機と第2気流分級機を接続する中間粉流動用の流路に開閉弁を組込み、その開閉弁により流路を開閉して、粉体の流動を制御している。
【0004】
ここで、微粉を含む粉体の流路は口径が比較的大きいため、開閉弁として、バルブボディに形成された流路内に円形の弁体を組込み、その弁体の回動によって流路を開閉するようにしたバタフライバルブや、バルブボディに形成された流路を横切る方向に向けて弁プレートをスライドさせて、上記流路を開閉するようにしたスライドバルブが一般的に用いられている。
【0005】
ところで、上記のバタフライバルブにおいては、弁体を閉鎖状態としたとき、バルブボディの流路内周に沿って設けられたシートリングと弁体との接触部に粉体を噛み込んで、円形の粉体粒子を扁平化させ、あるいは、粉体の粒子同士を結合させて塊状化させるという不都合があった。
【0006】
また、スライドバルブにおいても、弁プレートを閉鎖状態としたとき、バルブボディの流路内周に設けられたシール部材と弁プレートの接触部に粉体を噛み込み、上記バタフライバルブと同様に、円形の粉体粒子を扁平化させ、あるいは、粉体の粒子同士を結合させて塊状化させるという不都合があった。
【0007】
上記の不都合を解消するため、特許文献1においては、弁体の厚みを弁軸から遠ざかるに従って次第に薄くし、弁軸の回転軸と直交する部分での厚みを最も薄くして、粉体の噛み込みを防止するようにしたバタフライバルブを提案している。
【特許文献1】特開2004−190820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記従来のバタフライバルブにおいては、弁軸の回転軸と直交する部分での厚みが最も薄いため、その部分での噛み込みは略完全に防止することができるものの、厚みが厚い部分での噛み込みを防止することができないという問題がある。
【0009】
この発明の課題は、粉体の噛み込みをほぼ完全に防止することができるようにした粉体流路用の開閉弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、第1の発明においては、円筒形のバルブボディの内側に形成された粉体の流路内に、その流路開閉用の円形の弁体を組込み、その弁体に設けられた弁棒の回動操作により弁体を回動し、その弁体の外周部をバルブボディの流路内周面に沿って設けられたシートリングに接触させて流路を閉鎖する粉体流路用の開閉弁において、前記弁体に、径方向に延びて弁棒の端面で開口するエア供給孔と、前記弁体の中心から放射状に延びてエア供給孔に連通し、そのエア供給孔に供給される圧縮エアを弁体の外周から径方向外方に向けて噴射する複数のエア噴射孔とを形成した構成を採用したのである。
【0011】
上記の構成からなる開閉弁においては、開放状態の弁体を閉鎖する際に、エア供給孔に圧縮エアを供給する。その圧縮エアの供給により、圧縮エアは複数の放射状配置のエア噴射孔に流れて、弁体の外周から径方向外方に噴射され、その噴射エアにより弁体の周囲の粉体やシートリングの内周面に付着する粉体は吹き飛ばされることになり、弁体の閉鎖時に弁体とシートリングの接触部に粉体を噛み込むようなことはない。
【0012】
ここで、エア供給孔に対する圧縮エアの供給は、弁体を閉鎖する際に先立って行うようにしてもよく、あるいは、弁体が完全に閉鎖される少し手前の位置において行うようにしてもよい。場合によっては圧縮エアを常時噴射させておいてもよい。
【0013】
上記の第1の発明に係る開閉弁において、エア噴射孔のエア噴射口部に、そのエア噴射孔に連通してエア噴射孔から分流する高圧エアを弁体の両側面の外周部から斜め外方に向けて噴射する傾斜孔を設けると、弁体の外周囲の広い範囲にわたって圧縮エアを噴射することができるため、粉体の噛み込みをより確実に防止することができる。
【0014】
上記の課題を解決するために、第2の発明においては、円筒形のバルブボディの内側に形成された粉体の流路内に、その流路開閉用の円形の弁体を組込み、その弁体に設けられた弁棒の回動操作により弁体を回動し、その弁体の外周部をバルブボディの流路内周面に沿って設けられたシートリングに接触させて流路を閉鎖する粉体流路用の開閉弁において、前記シートリングの外周面とバルブボディの流路内周面間に環状のエアチャンバを形成し、前記シートリングにはそのエアチャンバに供給される圧縮エアを、シートリングの弁体当接部から流路内に向けて噴射する複数のエア噴射孔を周方向に間隔をおいて形成した構成を採用したのである。
【0015】
上記の構成からなる開閉弁においては、エアチャンバに圧縮エアを供給し、その圧縮エアを複数のエア噴射孔のそれぞれから噴射し、その噴射エアにより粉体を吹き飛ばす状態で弁体を閉鎖状態とする。この場合においても、粉体の噛み込みを防止することができる。
【0016】
また、上記の課題を解決するために、第3の発明においては、バルブボディに粉体流動用の円形の流路と、その流路を径方向に横切ってバルブボディの外周一部で開口するシール収納空間を設け、そのシール収納空間に組込まれたシール部材には、前記流路と同軸上に円形孔と、外周一部から円形孔に至る弁体挿入孔とを形成し、その弁体挿入孔内に弁プレートをスライド自在に挿入し、その弁プレートを円形孔に向けてスライドし、弁プレートの先端部の半円形外周面を円形孔の内周に密着させて流路を閉鎖するようにした粉体流路用の開閉弁において、前記弁プレートに、その後端面から弁プレートのスライド方向に延びるエア供給孔と、前記半円形外周面の曲率中心から放射状に延びてエア供給孔に連通し、そのエア供給孔に供給される圧縮エアを半円形外周面から径方向外方に向けて噴射する複数のエア噴射孔とを形成した構成を採用したのである。
【0017】
上記第3の発明に係る開閉弁においては、エア供給孔に圧縮エアを供給し、その圧縮エアを放射状配置の複数のエア噴射孔から半円形外周面の外周囲に向けて噴射し、その噴射エアにより粉体を吹き飛ばす状態で弁プレートを閉鎖状態にして、粉体の噛み込みを防止する。
【0018】
さらに、上記の課題を解決するために、第4の発明においては、バルブボディに粉体流動用の円形の流路と、その流路を径方向に横切ってバルブボディの外周一部で開口するシール収納空間を設け、そのシール収納空間に組込まれたシール部材には、前記流路と同軸上に円形孔と、外周一部から円形孔に至る弁体挿入孔とを形成し、その弁体挿入孔内に弁プレートをスライド自在に挿入し、その弁プレートを円形孔に向けてスライドし、弁プレートの先端部の半円形外周面を円形孔の内周に密着させて流路を閉鎖するようにした粉体流路用の開閉弁において、前記シール部材の円形孔形成部位における外周面とシール収納空間の内周面間に半円形のエアチャンバを形成し、前記シール部材には、そのエアチャンバに供給される圧縮エアを弁プレートの半円形外周面に向けて噴射する複数のエア噴射孔を周方向に間隔をおいて形成した構成を採用したのである。
【0019】
上記第4の発明に係る開閉弁においては、エアチャンバに圧縮エアを供給し、その圧縮エアを複数のエア噴射孔のそれぞれから弁プレートの半円形外周面に向けて噴射し、その噴射エアにより粉体を吹き飛ばす状態で弁プレートを閉鎖状態にして、粉体の噛み込みを防止する。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明に係る開閉弁においては、上記のように、弁体に、径方向に延びるエア供給孔と、前記弁体の中心から放射状に延びてエア供給孔に連通する複数のエア噴射孔とを形成し、上記エア供給孔に供給される圧縮エアを複数のエア噴射孔のそれぞれから弁体の径方向外方に向けて噴射させるようにしたので、複数のエア噴射孔のそれぞれから噴射される噴射エアによって粉体を吹き飛ばすことができ、弁体の閉鎖状態で、その弁体とシートリングの接触部に粉体が噛み込むのを防止することができる。
【0021】
また、第2の発明においては、シートリングの外周面とバルブバルブボディの流路内周面間に環状のエアチャンバを形成し、シートリングにはそのエアチャンバに供給される圧縮エアを、シートリングの弁体当接部から流路内に向けて噴射する複数のエア噴射孔を周方向に間隔をおいて形成したので、複数のエア噴射孔のそれぞれから噴射される噴射エアによって粉体を吹き飛ばすことができ、上記第1の発明と同様に、弁体の閉鎖状態で、その弁体とシートリングの接触部に粉体が噛み込むのを防止することができる。
【0022】
さらに、第3の発明においては、弁プレートに、その弁プレートのスライド方向に延びるエア供給孔と、弁プレートの半円形外周面の曲率中心から放射状に延びてエア供給孔に連通し、そのエア供給孔に供給される圧縮エアを半円形外周面から径方向外方に向けて噴射する複数のエア噴射孔とを形成したことにより、複数のエア噴射孔のそれぞれから噴射される噴射エアにより粉体を吹き飛ばすことができ、弁プレートの閉鎖状態で、その弁プレートとシール部材の接触部に粉体が噛み込むのを防止することができる。
【0023】
また、第4の発明においては、シール部材の外周面とシール収納空間の内周面間に半円形のエアチャンバを形成し、シール部材には、そのエアチャンバに供給される圧縮エアを弁プレートの半円形外周面に向けて噴射する複数のエア噴射孔を周方向に間隔をおいて形成したので、複数のエア噴射孔のそれぞれから噴射される噴射エアにより粉体を吹き飛ばすことができ、上記第3の発明と同様に、弁プレートの閉鎖状態で、その弁プレートとシール部材の接触部に粉体が噛み込むのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1乃至図3は、この発明に係る開閉弁の第1の実施の形態を示す。図示のように、第1粉体流動筒1と第2粉体流動筒2の接続部にこの発明に係る開閉弁10が組込まれている。
【0025】
開閉弁10は、円筒形のバルブボディ11を有し、そのバルブボディ11の内周にゴム等の弾性体からなるシートリング12が設けられ、そのシートリング12の内側が粉体の流路13とされている。
【0026】
流路13内には、円形の弁体14が組込まれ、その弁体14に設けられた弁棒15はシートリング12を貫通してバルブボディ11の対向位置に形成された弁棒挿入孔16内に挿入され、その弁棒挿入孔16によって回転自在に支持されている。
【0027】
弁体14は、弁棒15に付与される回転トルクにより弁棒15を中心に回転して流路13を開閉するようになっており、その閉鎖状態で、弁体14の一側面の外周部と、その外周部と対向する他側面の外周部がシートリング12の内周に形成された断面円弧状のシート面17に当接するようになっている。
【0028】
弁体14には、径方向に延びて弁棒15の一端面で開口するエア供給孔18と、弁体14の中心から放射状に延びてそのエア供給孔18に連通し、かつ、弁体14の外周面で開口する複数のエア噴射孔19とが形成されている。
【0029】
弁棒15の一端部にはスイベルジョイント20を介してエア供給筒21が接続され、そのエア供給筒21からエア供給孔18内に圧縮エアを供給すると、その圧縮エアは複数のエア噴射孔19のそれぞれから弁体14の径方向外方に向けて噴射されるようになっている。
【0030】
第1の実施の形態で示す開閉弁は上記の構造からなり、流路13の閉鎖に際しては、弁棒15に回転トルクを負荷して弁体14の外周部がシートリング12の内周に形成されたシート面17に当接する位置まで弁体14を回動させる。
【0031】
図3(II)は開放状態の弁体14を閉鎖状態にする途中の状態を示し、また、図3(I)は弁体14を閉鎖させた状態を示す。その弁体14の閉鎖に際しては、エア供給筒21に圧縮エアを供給する。
【0032】
ここで、エア供給筒21に圧縮エアを供給すると、その圧縮エアはエア供給孔18から複数の放射状配置のエア噴射孔19に流れて、図3(II)の矢印で示すように、弁体14の外周から径方向外方に向けて噴射されることになり、その噴射エアにより弁体14の周囲の粉体やシートリング12の内周に付着する粉体は吹き飛ばされることになる。このため、弁体14の閉鎖時に、その弁体14とシートリング12のシート面17の接触部に粉体を噛み込むようなことはない。
【0033】
ここで、エア供給筒21に対する圧縮エアの供給は、弁体14を閉鎖する際に先立って行うようにしてもよく、あるいは、弁体14が完全に閉鎖される少し手前の位置において行うようにしてもよい。場合によっては圧縮エアを常時噴射させるようにしておいてもよい。
【0034】
弁体14の外周からエアを噴射させて粉体の噛み込みを防止する上記のような開閉弁10において、図4(I)、(II)に示すように、エア噴射孔19のエア噴射口部に、そのエア噴射孔19に連通して斜め外方に向く一対の相反する方向に傾斜する傾斜孔22を形成すると、エア噴射孔19に流れる圧縮エアは分流して一対の傾斜孔22に流れ、その一対の傾斜孔22のそれぞれからもエアが噴射されることになるため、弁体14の外周囲の広い範囲にわたって圧縮エアを噴射することができ、粉体の噛み込みをより確実に防止することができる。
【0035】
図3に示す実施の形態では、シートリング12の内周に形成されたシート面17に対する当接により弁体14を閉鎖状態として密封状態に保持するようにしたが、密封状態を維持する手段はこれに限定されるものではない。
【0036】
例えば、図5(I)、(II)に示すように、バルブボディ11の内周面に環状突出部23を形成し、その環状突出部23の両側面の外周部に係合溝24を形成し、上記環状突出部23の内側に組込まれた弾性変形可能なシートリング25の外周両端部にフランジ26を設け、そのフランジ26に上記係合溝24に係合される突条27を形成して、上記環状突出部23の内周面とシートリング25の外周面間に環状のエア溜まり28を設け、上記バルブボディ11に形成されたエア供給口29からそのエア溜まり28に圧縮エアを供給し、図5(II)に示すように、内径方向に弾性変形するシートリング25を弁体14の外周部に密着させて密封状態を維持するようにしてもよい。
【0037】
図6および図7は、この発明に係る開閉弁の第2の実施の形態を示す。この実施の形態においては、バルブボディ11の内周に固定したシートリング12の外周面に環状のエアチャンバ30を形成し、かつ、そのシートリング12に上記エアチャンバ30に連通してシート面17で開口する複数のエア噴射孔31を周方向に間隔をおいて設け、上記バルブボディ11に接続したエア供給筒32からエアチャンバ30内に圧縮エアを供給し、その圧縮エアを複数のエア噴射孔31のそれぞれから流路13内に向けて噴射させるようにしている。
【0038】
この実施の形態で示す開閉弁と第1の実施の形態で示す開閉弁とは、第1の実施の形態で示す開閉弁が弁体14の外周囲に向けて圧縮エアを噴射させるようにしているのに対し、第2の実施の形態で示す開閉弁がシートリング12側から流路13内に向けて圧縮エアを噴射している点で相違する。
【0039】
他の構成は第1の実施の形態で示す開閉弁と同一であるため、同一部品には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
第2の実施の形態で示す開閉弁においても、エア噴射孔31から噴射される圧縮エアによって流路13内で流動し、あるいは、浮遊する粉体を吹き飛ばすことができるため、弁体14の閉鎖時に粉体を噛み込むのを防止することができる。
【0041】
第2の実施の形態では、シートリング12の外周面にエアチャンバ30を形成したが、バルブボディ11の内周面にエアチャンバを形成するようにしてもよい。
【0042】
図8および図9は、この発明に係る開閉弁の第3の実施の形態を示す。この実施の形態で示す開閉弁は、バルブボディ41に形成された円形の流路42に対して、その流路42を横切る方向に向けて弁プレート43をスライド自在に設け、その弁プレート43を後端部に接続したシリンダ44の作動によりスライドさせて流路42を開閉するスライドバルブからなっている。
【0043】
ここで、バルブボディ41は、U字形のケーシング45の上下面に、外周がそのケーシング45の外周と同形状の一対の板体46を重ね合わせ、上側板体46の上面と下側板体46の下面のそれぞれにリング47を重ね、一方のリング47から他方のリング47にねじ込まれるボルト48の締め付けによって、各部材を結合一体化した構成とされており、各リング47の内側が粉体の流路42とされている。
【0044】
また、U字形のケーシング45と一対の板体46間に形成された空間はシール収納空間50とされ、そのシール収納空間50は、流路42を径方向に横切ってケーシング45の外周一部で開口し、そのシール収納空間50内にシール部材51が組込まれている。
【0045】
シール部材51には、上記流路42と同軸上に円形孔52と、外周一部から円形孔52に至る扁平な弁体挿入孔53とが形成され、この弁体挿入孔53の幅寸法は円形孔52の内径と同一とされ、その弁体挿入孔53内に弁プレート43がスライド自在に挿入されている。
【0046】
弁プレート43の先端部外周は円形孔52の内周に沿う半円形とされ、その弁プレート43に、その後端面から弁プレート43のスライド方向に延びるエア供給孔54と、半円形外周面55の曲率中心から放射状に延びてエア供給孔54に連通し、そのエア供給孔54に供給される圧縮エアを半円形外周面55から径方向外方に向けて噴射する複数のエア噴射孔56とが形成されている。
【0047】
また、弁プレート43の後端部には、エア供給孔54に対して圧縮エアを供給するエア供給筒57が接続されている。
【0048】
上記の構成からなる開閉弁において、エア供給筒57からエア供給孔54に圧縮エアを供給すると、その圧縮エアは複数のエア噴射孔56に流れて弁プレート43の半円形外周面55から径方向外方に向けて噴射するため、その噴射エアによって流路42内の粉体を吹き飛ばすことができる。
【0049】
このため、弁プレート43を閉鎖する際に、複数のエア噴射孔56のそれぞれから圧縮エアが噴射される状態で弁プレート43を閉鎖することによって、弁プ
レート43の半円形外周面55と円形孔52の内周面間に対する粉体の噛み込みを防止することができる。
【0050】
図10はこの発明に係る開閉弁の第4の実施の形態を示す。この実施の形態で示す開閉弁においては、シール部材51の円形孔形成部位における半円形外周面とシール収納空間50の内周面との間に半円形のエアチャンバ58を形成し、シール部材51には、そのエアチャンバ58に供給される圧縮エアを弁プレート43の半円形外周面55に向けて噴射する複数のエア噴射孔59を周方向に間隔をおいて形成している。
【0051】
ここで、エアチャンバ58の形成に際し、シール部材51の半円形外周面に周方向に延びる溝を形成し、その溝をエアチャンバ58としているが、シール収納空間の半円形内周面に溝を形成し、その溝をエアチャンバとしてもよい。
【0052】
第4の実施の形態で示す開閉弁と、第3の実施の形態で示す開閉弁とは、第3の実施の形態で示す開閉弁が、弁プレート43の半円形外周面55で開口するエア噴射孔56から圧縮エアを噴射させるようにしているのに対し、第4の実施の形態で示す開閉弁がシール部材51に形成したエア噴射孔59から円形孔52内に圧縮エアを噴射させるようにしている点で相違する。
【0053】
このため、第3の実施の形態で示す開閉弁と同一の部品には同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
第4の実施の形態で示す開閉弁においても、エア噴射孔59から噴射される圧縮エアによって円形孔52内で流動し、あるいは、浮遊する粉体を吹き飛ばすことができるため、弁プレート43の閉鎖時に、弁プレート43の半円形外周面55と円形孔52の内周面間に対する粉体の噛み込みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明に係る開閉弁の第1の実施の形態を示す縦断正面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】(I)は、図2のIII−III線に沿った断面図、(II)は、弁体の閉鎖途中の状態を示す断面図
【図4】(I)は、弁体に形成されたエア噴射孔の他の例を示す断面図、(II)は、弁体の閉鎖状態を示す断面図
【図5】(I)は、弁体の閉鎖状態における密封手段の他の例を示す断面図、(II)は、弁体の閉鎖状態を示す断面図
【図6】この発明に係る開閉弁の第2の実施の形態を示す縦断正面図
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面図
【図8】この発明に係る開閉弁の第3の実施の形態を示す縦断正面図
【図9】図8のIX−IX線に沿った断面図
【図10】この発明に係る開閉弁の第4の実施の形態を示す縦断正面図
【符号の説明】
【0056】
11 バルブボディ
12 シートリング
13 流路
14 弁体
15 弁棒
18 エア供給孔
19 エア噴射孔
25 シートリング
30 エアチャンバ
31 エア噴射孔
41 バルブボディ
42 流路
43 弁プレート
50 シール収納空間
51 シール部材
52 円形孔
53 弁体挿入孔
54 エア供給孔
55 半円形外周面
56 エア噴射孔
58 エアチャンバ
59 エア噴射孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形のバルブボディの内側に形成された粉体の流路内に、その流路開閉用の円形の弁体を組込み、その弁体に設けられた弁棒の回動操作により弁体を回動し、その弁体の外周部をバルブボディの流路内周面に沿って設けられたシートリングに接触させて流路を閉鎖する粉体流路用の開閉弁において、
前記弁体に、径方向に延びて弁棒の端面で開口するエア供給孔と、前記弁体の中心から放射状に延びてエア供給孔に連通し、そのエア供給孔に供給される圧縮エアを弁体の外周から径方向外方に向けて噴射する複数のエア噴射孔とを形成したことを特徴とする粉体流路用の開閉弁。
【請求項2】
前記エア噴射孔のエア噴射口部に、そのエア噴射孔に連通してエア噴射孔から分流する高圧エアを弁体の両側面の外周部から斜め外方に向けて噴射する傾斜孔を設けた請求項1に記載の粉体流路用の開閉弁。
【請求項3】
円筒形のバルブボディの内側に形成された粉体の流路内に、その流路開閉用の円形の弁体を組込み、その弁体に設けられた弁棒の回動操作により弁体を回動し、その弁体の外周部をバルブボディの流路内周面に沿って設けられたシートリングに接触させて流路を閉鎖する粉体流路用の開閉弁において、
前記シートリングの外周面とバルブボディの流路内周面間に環状のエアチャンバを形成し、前記シートリングにはそのエアチャンバに供給される圧縮エアを、シートリングの弁体当接部から流路内に向けて噴射する複数のエア噴射孔を周方向に間隔をおいて形成したことを特徴とする粉体流路用の開閉弁。
【請求項4】
バルブボディに粉体流動用の円形の流路と、その流路を径方向に横切ってバルブボディの外周一部で開口するシール収納空間を設け、そのシール収納空間に組込まれたシール部材には、前記流路と同軸上に円形孔と、外周一部から円形孔に至る弁体挿入孔とを形成し、その弁体挿入孔内に弁プレートをスライド自在に挿入し、その弁プレートを円形孔に向けてスライドし、弁プレートの先端部の半円形外周面を円形孔の内周に密着させて流路を閉鎖するようにした粉体流路用の開閉弁において、
前記弁プレートに、その後端面から弁プレートのスライド方向に延びるエア供給孔と、前記半円形外周面の曲率中心から放射状に延びてエア供給孔に連通し、そのエア供給孔に供給される圧縮エアを半円形外周面から径方向外方に向けて噴射する複数のエア噴射孔とを形成したことを特徴とする粉体流路用の開閉弁。
【請求項5】
バルブボディに粉体流動用の円形の流路と、その流路を径方向に横切ってバルブボディの外周一部で開口するシール収納空間を設け、そのシール収納空間に組込まれたシール部材には、前記流路と同軸上に円形孔と、外周一部から円形孔に至る弁体挿入孔とを形成し、その弁体挿入孔内に弁プレートをスライド自在に挿入し、その弁プレートを円形孔に向けてスライドし、弁プレートの先端部の半円形外周面を円形孔の内周に密着させて流路を閉鎖するようにした粉体流路用の開閉弁において、
前記シール部材の円形孔形成部位における外周面とシール収納空間の内周面間に半円形のエアチャンバを形成し、前記シール部材には、そのエアチャンバに供給される圧縮エアを弁プレートの半円形外周面に向けて噴射する複数のエア噴射孔を周方向に間隔をおいて形成したことを特徴とする粉体流路用の開閉弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−121512(P2009−121512A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293091(P2007−293091)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000229450)日本ニューマチック工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】