粉末スティックタイプ小型自動包装機の原料供給機構
【課題】 １列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機に対して設置費用が安くしかも原料計量適用範囲の広い回転盤を用いた原料供給機構を選択した場合において、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業が容易に実施できる回転盤原料供給機構を提供する。
【解決手段】 本発明の回転盤原料供給機構は、ホッパー２と、回転盤３と、駆動軸４と、支持部１１と、モータ１３と、連結ベルト１４と、中間シュート１５の各構成部材全てが機台１２に搭載されており、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行う際にはこの機台１２が支持部１１を中心に上面視反時計周りに回転操作されて２列式スティックタイプ小型自動包装機の前面より取り除かれる。
【解決手段】 本発明の回転盤原料供給機構は、ホッパー２と、回転盤３と、駆動軸４と、支持部１１と、モータ１３と、連結ベルト１４と、中間シュート１５の各構成部材全てが機台１２に搭載されており、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行う際にはこの機台１２が支持部１１を中心に上面視反時計周りに回転操作されて２列式スティックタイプ小型自動包装機の前面より取り除かれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、一度に１列又は２列のスティック包装袋を自動的にシール成形することができる粉末スティックタイプ小型自動包装機の技術分野に属するものであって、具体的には、この小型自動包装機における原料供給機構に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来より、一度に複数本のスティック状の包装袋を連続的にシール成形できるように構成した多列スティック自動包装機が特許文献１等に存在している。これは複数本に切断された包装フィルムの各々を多列式に構成した各充填パイプの周囲に巻装して円筒状にフォーミングした後、縦ヒートシーラによって包装フィルムの合わせ目を縦シールし、次いで、横シールの実施、被包装材料（内容物）の充填、充填後の投入口の封止、個別袋にするためのカットといった各種の工程を経て、スティック状の包装袋が多列式に、且つ連続的にシール成形される仕組みになっている。
【０００３】
上記のような多列スティック自動包装機を小型化した粉末原料用自動包装機として、１列又は２列のスティック自動包装機がある。このような粉末スティックタイプ小型自動包装機では、多列スティック自動包装機と同様に、粉末原料等の内容物を包装袋内に投入するための原料供給機構が設けられており、この原料供給機構は、通常粉末原料の特性に合わせてスライド式原料供給機構若しくはオーガ式原料供給機構が選択されて設置されている。
【０００４】
このスライド式原料供給機構は、包装機上部に設けられたホッパー内の粉末原料をホッパー下部に設けたスライド供給板の矩形枡に徐々に落下させ、このスライド供給板を前後に駆動させることによって、固定されたスクレイパーが矩形枡に入った山盛りの粉末原料に対して枡切り計量を行い、その後矩形枡下部のシャッターを開けることにより、計量された粉末原料を包装袋内に送り込むようにしている。
【０００５】
なお、上記のスライド供給板を前後に動かしている駆動機構はスライド式原料供給機構の後方に接続された連結棒をクランク駆動させているため、これらの駆動系が粉末スティックタイプ小型自動包装機の前面を塞ぐことはなく、このため包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業に支障が発生することはない。
【０００６】
また、オーガ式原料供給機構は、包装機上部に設けられたホッパー内の粉末原料を下方の包装袋内に投入するためにホッパー下部に充填用パイプを設け、この充填用パイプ内に螺旋形状のオーガスクリューを回転駆動可能に貫通させて、ホッパー内の粉末原料を計量しながら包装袋内に確実に送り込むようにしている。即ち、オーガ式原料供給機構は、自然落下が難しい微粉末状の原料（内容物）や粘り気のある粉末原料であってもこのオーガスクリューの回転運動によって極めて安定した状態で圧縮供給できる仕組みになっている。
【０００７】
なお、上記のオーガスクリューを回転させている駆動機構はホッパー上部に追加構成されており、オーガスクリューの回転軸はホッパー内部及び充填用パイプ内部を貫通しているため、これらの駆動系が粉末スティックタイプ小型自動包装機の前面を塞ぐことはなく、このため包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業に支障が発生することはない。
【特許文献１】特開平０９−２７２５１１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかし、このような従来のスライド式原料供給機構若しくはオーガ式原料供給機構では上記のような利点を備えている反面、下記のような問題点が存在する。
（１）スライド式原料供給機構においては、スライド供給板を前後に駆動しながら枡切り計量するため、このスライド供給板部分において粉の噛み込み現象が発生し易くなっている。このためスライド式原料供給機構で計量可能な粉末原料は、粘り気のないサラサラな粉末に限られていた。また、粉の噛み込み現象をできるだけ防ぐために、枡切り計量部分は誤差を少なくした高精度の部材が必須となっており、部材のコストが大幅に高くなっていた。
（２）オーガ式原料供給機構においては、自然落下が難しい微粉末状の原料（内容物）や粘り気のある粉末原料に対応するために、オーガスクリュー及びこのスクリューの回転駆動制御のための大掛かりな仕組みが必要となり、供給機構全体のコストが大幅に高くなると共に、このオーガスクリューで移送可能な粉末原料も限られた物となっていた。
【０００９】
このため、１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機に対して設置費用が安くしかも原料計量適用範囲の広い回転盤を用いた原料供給機構を選択する場合がある。
【００１０】
ところが１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機に対して回転盤を用いた原料供給機構を設置した場合は、自動包装機前面に回転盤機構が来るため包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業において作業上の支障となっていた。特に、このような回転盤機構においては回転盤による占有スペースの大幅な増加と共に回転盤を回す駆動軸が包装機前面を上下に横切るために、１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機に対して回転盤機構を採用することが難しくなっていた。
【００１１】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機に対して設置費用が安くしかも原料計量適用範囲の広い回転盤を用いた原料供給機構を選択した場合において、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業が容易に実施できる回転盤原料供給機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
（１）上記の課題を解決するためになされた本発明は、原反ロールより引き出された包装フィルムを１条又は２条にスリットし、この包装フィルムの各々を１列又は２列に構成した充填パイプの周囲に巻装して円筒状に成形するフォーミング機構と、この円筒状の包装フィルムに対して縦シール装置と横シール装置によってスティック状の包装袋にするシール形成機構と、このスティック状の包装袋内に充填パイプを経由して粉末原料を充填する原料供給機構と、この充填された包装袋の原料投入口を前記横シール装置によって封止し、この包装袋の横シール中央付近を切り離して個別包装袋とするカッター機構とで構成されたスティックタイプ小型自動包装機であって、前記原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤を備え、前記包装機において通常の包装動作を行う場合は、前記原料回転盤が包装機前面に設置されるように作動し、前記包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行う場合は、前記原料回転盤が包装機前面より取り除かれるように作動する。
【００１３】
（２）また本発明の原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤と、この原料供給機構を水平面前後方向に回転可能に軸支している支持部とを備え、前記包装機において通常の包装動作を行う場合は、前記原料供給機構が支持部を中心に水平面後ろ方向に回転操作されて、前記原料回転盤を包装機前面に設置するように作動し、前記包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行う場合は、前記原料供給機構が支持部を中心に水平面手前方向に回転操作されて、前記原料回転盤を包装機前面より取り除くように作動する。
【００１４】
（３）また本発明の原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤と、この原料回転盤を包装機の動作速度に合わせて回転させる駆動部と、この原料供給機構を水平面前後方向に回転可能に軸支している支持部と、この原料供給機構の構成部材全てが搭載されている機台とを備えている。
【００１５】
上記（１）、（２）、（３）で述べた１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機の回転盤原料供給機構によれば、設置費用が安くしかも原料計量適用範囲の広い回転盤を用いた原料供給機構を選択した場合において、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業が容易に実施できる。
【発明の効果】
【００１６】
以上説明したように、本発明によれば、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を容易に実施できる１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機における回転盤原料供給機構を提供できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下に本発明に係る２列式スティックタイプ小型自動包装機における回転盤原料供給機構の実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明を実施した２列式スティックタイプ小型自動包装機において一部構成部材を省略した正面図である。また、図２は、本発明を実施した２列式スティックタイプ小型自動包装機において一部構成部材を省略した側面図である。図１及び図２に示すように、これらの図面において各々符号１で全体的に示した自動包装機は、一度に２本のスティック包装袋を連続的にシール成形できるように構成されている。
【００１８】
そして、１Ｆは本体フレーム、２は粉末原料の入ったホッパー、３は粉末原料の計量を行う回転盤、４は回転盤と連結された駆動軸、５はスリットされて幅が狭くなった２条の包装フィルムを巻き付けて略円筒状にフォーミングすると共に原料を投入する充填パイプ、６は略円筒状にフォーミングされた包装フィルムに対して縦シールを施す縦シール装置、７は略円筒形状の包装フィルムに対して横シールを施す横シール装置、８は個別包装袋に切り離すカッター装置、９は切り離された個別包装袋を外に排出するすべり台、１０は操作パネルボックス、１１は回転盤原料供給機構が搭載されている機台１２を回転可能に軸支している支持部、１２は回転盤原料供給機構が搭載されている機台である。
【００１９】
図２において、ＦＨは幅の広い包装フィルム（包材）を巻いた原反ロール、Ｆはこの原反ロールＦＨから引き出された幅の広い包装フィルム、ＦＸはこの幅の広いフィルムＦを幅の狭い２条の包装フィルムＦ’にスリットするスリッター装置である。そして、上記横シール装置７の上下運動に従って順次下方に引き出された包装フィルムＦ’はフォーマーパイプ５の周囲を包むように略円筒状にフォーミングされる仕組みになっている。
【００２０】
次に、上記縦シール装置６の縦ヒートシーラによって各包装フィルムＦ’の開放両端同士を挟み込んで縦シールして、各包装フィルムＦ’を略円筒形状にシール成形し、この略円筒形状の包装フィルムＦ’を横シール装置７で横シールして袋状にする。
【００２１】
そして、上記ホッパー２に入っている粉末原料を回転盤３で計量した後に中間シュート１５と充填パイプ５を通して各包装袋内に投入し、然る後に、横シール装置７により挟持したまま１包装袋分下方に作動させて包装フィルムＦ’の引き出しを行うと共にこの横シール装置７を上方に復動させて再度横シールを行うことにより、粉末原料が入った包装袋の投入口を封止し、最終的にスティック包装袋が出来上がるものである。
【００２２】
さらに、上記の動作を連続して繰り返し行い、且つ各横シールの中央部分をカッター装置８で上下に切断し、すべり台９を通して取り出すことにより、一度に２本のスティックタイプ個別包装袋を連続的にシール成形できるように構成されている。
【００２３】
なお、１３は回転盤３を駆動するモータ、１４はモータ１３の駆動力を回転盤３に伝える連結ベルト、２０は原反ロールを軸支しているロール軸、２１は幅の広い包装フィルムをガイドしているフィルム送りローラである。
【００２４】
図３は、本発明の２列式スティックタイプ小型自動包装機において通常の包装動作を行っている状態を表した上面図である。また、図４は、本発明の２列式スティックタイプ小型自動包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行っている状態を表した上面図である。これら二つの上面図では回転盤原料供給機構以外の一部構成部材を省略して記載している。図３及び図４に示すように、１Ｆは本体フレーム、１０は操作パネルボックス、２０はロール軸、２１はフィルム送りローラである。
【００２５】
そして、本発明の回転盤原料供給機構は、ホッパー２と、回転盤３と、駆動軸４と、支持部１１と、モータ１３と、連結ベルト１４と、中間シュート１５の各構成部材全てが機台１２に搭載されている構成となっている。当然、図３に示すような通常の包装動作を行っている状態では、図１及び図２において説明したように、回転盤原料供給機構は包装袋の製造速度に合わせてモータ１３が回転し、このモータ１３の駆動力は連結ベルト１４を経由して駆動軸４に伝えられて回転盤３が回るようになる。この回転盤３が回ることによってホッパー２に入っている粉末原料が回転盤３の底板に設けられている枡１６に投入され、枡切りされて予め設定された値に計量される。計量されたら、直ちに枡下部のシャッターが開き、粉末原料は中間シュート１５に落下し、充填パイプ５を経由して包装袋内に充填される。
【００２６】
なお、図３のような２列式スティックタイプ小型自動包装機では、この原料供給動作は２列分の枡に同時に計量されて２列分の充填パイプ５を経由して２列分の包装袋内に粉末原料が同時に充填される。
【００２７】
次に、図４に示すような包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行っている状態では、回転盤原料供給機構そのものは停止状態となっており、モータ１３も停止している。さらに、回転盤原料供給機構全体が搭載されている機台１２は、包装機オペレータ（包装機操作者）の手操作によって支持部１１を中心に上面より見て反時計周りに回転操作されて２列式スティックタイプ小型自動包装機の前面より取り除かれるようになる。即ち、この機台１２の回転状況は、包装機の前面より見た場合は水平手前方向に回転操作されて回転盤原料供給機構全体が包装機の前面より取り除かれている状況になる。このため、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業において邪魔をするものが無くなり、これらの作業が支障なく且つ容易に実施できるようになっている。
【００２８】
なお、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業が終了して、通常の包装動作を行う場合は、図３に示すように、回転盤原料供給機構全体が搭載されている機台１２は、包装機オペレータの手操作によって支持部１１を中心に上面より見て時計周りに回転操作されて２列式スティック自動包装機の前面に設置される。
【００２９】
以上、図１乃至図４によって説明された本発明は、２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機に対して設置費用が安くしかも原料計量適用範囲の広い回転盤を用いた原料供給機構を選択した場合において、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業が容易に実施できる回転盤原料供給機構を提供することができる。
【００３０】
なお、本実施の形態では、２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機の例で説明したがこれに限るものではなく、他の粉末スティックタイプ小型自動包装機にも採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本発明を実施した２列式スティックタイプ小型自動包装機において一部構成部材を省略した正面図である。
【図２】本発明を実施した２列式スティックタイプ小型自動包装機において一部構成部材を省略した側面図である。
【図３】本発明の２列式スティックタイプ小型自動包装機において通常の包装動作を行っている状態を表した上面図である。
【図４】本発明の２列式スティックタイプ小型自動包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行っている状態を表した上面図である。
【符号の説明】
【００３２】
１ 自動包装機
１Ｆ 本体フレーム
２ ホッパー
３ 回転盤
４ 駆動軸
５ 充填パイプ
６ 縦シール装置
７ 横シール装置
８ カッター装置
９ すべり台
１０ 操作パネルボックス
１１ 支持部
１２ 機台
１３ モータ
１４ 連結ベルト
１５ 中間シュート
１６ 枡
２０ ロール軸
２１ フィルム送りローラ
Ｆ 幅の広い包装フィルム
Ｆ’ スリットされて幅が狭くなった包装フィルム
ＦＨ 包装フィルムを巻いた原反ロール
ＦＸ スリッター装置
【技術分野】
【０００１】
本発明は、一度に１列又は２列のスティック包装袋を自動的にシール成形することができる粉末スティックタイプ小型自動包装機の技術分野に属するものであって、具体的には、この小型自動包装機における原料供給機構に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来より、一度に複数本のスティック状の包装袋を連続的にシール成形できるように構成した多列スティック自動包装機が特許文献１等に存在している。これは複数本に切断された包装フィルムの各々を多列式に構成した各充填パイプの周囲に巻装して円筒状にフォーミングした後、縦ヒートシーラによって包装フィルムの合わせ目を縦シールし、次いで、横シールの実施、被包装材料（内容物）の充填、充填後の投入口の封止、個別袋にするためのカットといった各種の工程を経て、スティック状の包装袋が多列式に、且つ連続的にシール成形される仕組みになっている。
【０００３】
上記のような多列スティック自動包装機を小型化した粉末原料用自動包装機として、１列又は２列のスティック自動包装機がある。このような粉末スティックタイプ小型自動包装機では、多列スティック自動包装機と同様に、粉末原料等の内容物を包装袋内に投入するための原料供給機構が設けられており、この原料供給機構は、通常粉末原料の特性に合わせてスライド式原料供給機構若しくはオーガ式原料供給機構が選択されて設置されている。
【０００４】
このスライド式原料供給機構は、包装機上部に設けられたホッパー内の粉末原料をホッパー下部に設けたスライド供給板の矩形枡に徐々に落下させ、このスライド供給板を前後に駆動させることによって、固定されたスクレイパーが矩形枡に入った山盛りの粉末原料に対して枡切り計量を行い、その後矩形枡下部のシャッターを開けることにより、計量された粉末原料を包装袋内に送り込むようにしている。
【０００５】
なお、上記のスライド供給板を前後に動かしている駆動機構はスライド式原料供給機構の後方に接続された連結棒をクランク駆動させているため、これらの駆動系が粉末スティックタイプ小型自動包装機の前面を塞ぐことはなく、このため包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業に支障が発生することはない。
【０００６】
また、オーガ式原料供給機構は、包装機上部に設けられたホッパー内の粉末原料を下方の包装袋内に投入するためにホッパー下部に充填用パイプを設け、この充填用パイプ内に螺旋形状のオーガスクリューを回転駆動可能に貫通させて、ホッパー内の粉末原料を計量しながら包装袋内に確実に送り込むようにしている。即ち、オーガ式原料供給機構は、自然落下が難しい微粉末状の原料（内容物）や粘り気のある粉末原料であってもこのオーガスクリューの回転運動によって極めて安定した状態で圧縮供給できる仕組みになっている。
【０００７】
なお、上記のオーガスクリューを回転させている駆動機構はホッパー上部に追加構成されており、オーガスクリューの回転軸はホッパー内部及び充填用パイプ内部を貫通しているため、これらの駆動系が粉末スティックタイプ小型自動包装機の前面を塞ぐことはなく、このため包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業に支障が発生することはない。
【特許文献１】特開平０９−２７２５１１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかし、このような従来のスライド式原料供給機構若しくはオーガ式原料供給機構では上記のような利点を備えている反面、下記のような問題点が存在する。
（１）スライド式原料供給機構においては、スライド供給板を前後に駆動しながら枡切り計量するため、このスライド供給板部分において粉の噛み込み現象が発生し易くなっている。このためスライド式原料供給機構で計量可能な粉末原料は、粘り気のないサラサラな粉末に限られていた。また、粉の噛み込み現象をできるだけ防ぐために、枡切り計量部分は誤差を少なくした高精度の部材が必須となっており、部材のコストが大幅に高くなっていた。
（２）オーガ式原料供給機構においては、自然落下が難しい微粉末状の原料（内容物）や粘り気のある粉末原料に対応するために、オーガスクリュー及びこのスクリューの回転駆動制御のための大掛かりな仕組みが必要となり、供給機構全体のコストが大幅に高くなると共に、このオーガスクリューで移送可能な粉末原料も限られた物となっていた。
【０００９】
このため、１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機に対して設置費用が安くしかも原料計量適用範囲の広い回転盤を用いた原料供給機構を選択する場合がある。
【００１０】
ところが１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機に対して回転盤を用いた原料供給機構を設置した場合は、自動包装機前面に回転盤機構が来るため包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業において作業上の支障となっていた。特に、このような回転盤機構においては回転盤による占有スペースの大幅な増加と共に回転盤を回す駆動軸が包装機前面を上下に横切るために、１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機に対して回転盤機構を採用することが難しくなっていた。
【００１１】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機に対して設置費用が安くしかも原料計量適用範囲の広い回転盤を用いた原料供給機構を選択した場合において、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業が容易に実施できる回転盤原料供給機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
（１）上記の課題を解決するためになされた本発明は、原反ロールより引き出された包装フィルムを１条又は２条にスリットし、この包装フィルムの各々を１列又は２列に構成した充填パイプの周囲に巻装して円筒状に成形するフォーミング機構と、この円筒状の包装フィルムに対して縦シール装置と横シール装置によってスティック状の包装袋にするシール形成機構と、このスティック状の包装袋内に充填パイプを経由して粉末原料を充填する原料供給機構と、この充填された包装袋の原料投入口を前記横シール装置によって封止し、この包装袋の横シール中央付近を切り離して個別包装袋とするカッター機構とで構成されたスティックタイプ小型自動包装機であって、前記原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤を備え、前記包装機において通常の包装動作を行う場合は、前記原料回転盤が包装機前面に設置されるように作動し、前記包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行う場合は、前記原料回転盤が包装機前面より取り除かれるように作動する。
【００１３】
（２）また本発明の原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤と、この原料供給機構を水平面前後方向に回転可能に軸支している支持部とを備え、前記包装機において通常の包装動作を行う場合は、前記原料供給機構が支持部を中心に水平面後ろ方向に回転操作されて、前記原料回転盤を包装機前面に設置するように作動し、前記包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行う場合は、前記原料供給機構が支持部を中心に水平面手前方向に回転操作されて、前記原料回転盤を包装機前面より取り除くように作動する。
【００１４】
（３）また本発明の原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤と、この原料回転盤を包装機の動作速度に合わせて回転させる駆動部と、この原料供給機構を水平面前後方向に回転可能に軸支している支持部と、この原料供給機構の構成部材全てが搭載されている機台とを備えている。
【００１５】
上記（１）、（２）、（３）で述べた１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機の回転盤原料供給機構によれば、設置費用が安くしかも原料計量適用範囲の広い回転盤を用いた原料供給機構を選択した場合において、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業が容易に実施できる。
【発明の効果】
【００１６】
以上説明したように、本発明によれば、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を容易に実施できる１列又は２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機における回転盤原料供給機構を提供できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下に本発明に係る２列式スティックタイプ小型自動包装機における回転盤原料供給機構の実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明を実施した２列式スティックタイプ小型自動包装機において一部構成部材を省略した正面図である。また、図２は、本発明を実施した２列式スティックタイプ小型自動包装機において一部構成部材を省略した側面図である。図１及び図２に示すように、これらの図面において各々符号１で全体的に示した自動包装機は、一度に２本のスティック包装袋を連続的にシール成形できるように構成されている。
【００１８】
そして、１Ｆは本体フレーム、２は粉末原料の入ったホッパー、３は粉末原料の計量を行う回転盤、４は回転盤と連結された駆動軸、５はスリットされて幅が狭くなった２条の包装フィルムを巻き付けて略円筒状にフォーミングすると共に原料を投入する充填パイプ、６は略円筒状にフォーミングされた包装フィルムに対して縦シールを施す縦シール装置、７は略円筒形状の包装フィルムに対して横シールを施す横シール装置、８は個別包装袋に切り離すカッター装置、９は切り離された個別包装袋を外に排出するすべり台、１０は操作パネルボックス、１１は回転盤原料供給機構が搭載されている機台１２を回転可能に軸支している支持部、１２は回転盤原料供給機構が搭載されている機台である。
【００１９】
図２において、ＦＨは幅の広い包装フィルム（包材）を巻いた原反ロール、Ｆはこの原反ロールＦＨから引き出された幅の広い包装フィルム、ＦＸはこの幅の広いフィルムＦを幅の狭い２条の包装フィルムＦ’にスリットするスリッター装置である。そして、上記横シール装置７の上下運動に従って順次下方に引き出された包装フィルムＦ’はフォーマーパイプ５の周囲を包むように略円筒状にフォーミングされる仕組みになっている。
【００２０】
次に、上記縦シール装置６の縦ヒートシーラによって各包装フィルムＦ’の開放両端同士を挟み込んで縦シールして、各包装フィルムＦ’を略円筒形状にシール成形し、この略円筒形状の包装フィルムＦ’を横シール装置７で横シールして袋状にする。
【００２１】
そして、上記ホッパー２に入っている粉末原料を回転盤３で計量した後に中間シュート１５と充填パイプ５を通して各包装袋内に投入し、然る後に、横シール装置７により挟持したまま１包装袋分下方に作動させて包装フィルムＦ’の引き出しを行うと共にこの横シール装置７を上方に復動させて再度横シールを行うことにより、粉末原料が入った包装袋の投入口を封止し、最終的にスティック包装袋が出来上がるものである。
【００２２】
さらに、上記の動作を連続して繰り返し行い、且つ各横シールの中央部分をカッター装置８で上下に切断し、すべり台９を通して取り出すことにより、一度に２本のスティックタイプ個別包装袋を連続的にシール成形できるように構成されている。
【００２３】
なお、１３は回転盤３を駆動するモータ、１４はモータ１３の駆動力を回転盤３に伝える連結ベルト、２０は原反ロールを軸支しているロール軸、２１は幅の広い包装フィルムをガイドしているフィルム送りローラである。
【００２４】
図３は、本発明の２列式スティックタイプ小型自動包装機において通常の包装動作を行っている状態を表した上面図である。また、図４は、本発明の２列式スティックタイプ小型自動包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行っている状態を表した上面図である。これら二つの上面図では回転盤原料供給機構以外の一部構成部材を省略して記載している。図３及び図４に示すように、１Ｆは本体フレーム、１０は操作パネルボックス、２０はロール軸、２１はフィルム送りローラである。
【００２５】
そして、本発明の回転盤原料供給機構は、ホッパー２と、回転盤３と、駆動軸４と、支持部１１と、モータ１３と、連結ベルト１４と、中間シュート１５の各構成部材全てが機台１２に搭載されている構成となっている。当然、図３に示すような通常の包装動作を行っている状態では、図１及び図２において説明したように、回転盤原料供給機構は包装袋の製造速度に合わせてモータ１３が回転し、このモータ１３の駆動力は連結ベルト１４を経由して駆動軸４に伝えられて回転盤３が回るようになる。この回転盤３が回ることによってホッパー２に入っている粉末原料が回転盤３の底板に設けられている枡１６に投入され、枡切りされて予め設定された値に計量される。計量されたら、直ちに枡下部のシャッターが開き、粉末原料は中間シュート１５に落下し、充填パイプ５を経由して包装袋内に充填される。
【００２６】
なお、図３のような２列式スティックタイプ小型自動包装機では、この原料供給動作は２列分の枡に同時に計量されて２列分の充填パイプ５を経由して２列分の包装袋内に粉末原料が同時に充填される。
【００２７】
次に、図４に示すような包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行っている状態では、回転盤原料供給機構そのものは停止状態となっており、モータ１３も停止している。さらに、回転盤原料供給機構全体が搭載されている機台１２は、包装機オペレータ（包装機操作者）の手操作によって支持部１１を中心に上面より見て反時計周りに回転操作されて２列式スティックタイプ小型自動包装機の前面より取り除かれるようになる。即ち、この機台１２の回転状況は、包装機の前面より見た場合は水平手前方向に回転操作されて回転盤原料供給機構全体が包装機の前面より取り除かれている状況になる。このため、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業において邪魔をするものが無くなり、これらの作業が支障なく且つ容易に実施できるようになっている。
【００２８】
なお、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業が終了して、通常の包装動作を行う場合は、図３に示すように、回転盤原料供給機構全体が搭載されている機台１２は、包装機オペレータの手操作によって支持部１１を中心に上面より見て時計周りに回転操作されて２列式スティック自動包装機の前面に設置される。
【００２９】
以上、図１乃至図４によって説明された本発明は、２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機に対して設置費用が安くしかも原料計量適用範囲の広い回転盤を用いた原料供給機構を選択した場合において、包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業が容易に実施できる回転盤原料供給機構を提供することができる。
【００３０】
なお、本実施の形態では、２列の粉末スティックタイプ小型自動包装機の例で説明したがこれに限るものではなく、他の粉末スティックタイプ小型自動包装機にも採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本発明を実施した２列式スティックタイプ小型自動包装機において一部構成部材を省略した正面図である。
【図２】本発明を実施した２列式スティックタイプ小型自動包装機において一部構成部材を省略した側面図である。
【図３】本発明の２列式スティックタイプ小型自動包装機において通常の包装動作を行っている状態を表した上面図である。
【図４】本発明の２列式スティックタイプ小型自動包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行っている状態を表した上面図である。
【符号の説明】
【００３２】
１ 自動包装機
１Ｆ 本体フレーム
２ ホッパー
３ 回転盤
４ 駆動軸
５ 充填パイプ
６ 縦シール装置
７ 横シール装置
８ カッター装置
９ すべり台
１０ 操作パネルボックス
１１ 支持部
１２ 機台
１３ モータ
１４ 連結ベルト
１５ 中間シュート
１６ 枡
２０ ロール軸
２１ フィルム送りローラ
Ｆ 幅の広い包装フィルム
Ｆ’ スリットされて幅が狭くなった包装フィルム
ＦＨ 包装フィルムを巻いた原反ロール
ＦＸ スリッター装置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
原反ロールより引き出された包装フィルムを１条又は２条にスリットし、この包装フィルムの各々を１列又は２列に構成した充填パイプの周囲に巻装して円筒状に成形するフォーミング機構と、
この円筒状の包装フィルムに対して縦シール装置と横シール装置によってスティック状の包装袋にするシール形成機構と、
このスティック状の包装袋内に充填パイプを経由して粉末原料を充填する原料供給機構と、
この充填された包装袋の原料投入口を前記横シール装置によって封止し、この包装袋の横シール中央付近を切り離して個別包装袋とするカッター機構とで構成されたスティックタイプ小型自動包装機であって、
前記原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤を備え、
前記包装機において通常の包装動作を行う場合は、前記原料回転盤が包装機前面に設置されるように作動し、
前記包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行う場合は、前記原料回転盤が包装機前面より取り除かれるように作動することを特徴とするスティックタイプ小型自動包装機の原料供給機構。
【請求項２】
前記原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤と、この原料供給機構を水平面前後方向に回転可能に軸支している支持部とを備え、
前記包装機において通常の包装動作を行う場合は、前記原料供給機構が支持部を中心に水平面後ろ方向に回転操作されて、前記原料回転盤を包装機前面に設置するように作動し、
前記包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行う場合は、前記原料供給機構が支持部を中心に水平面手前方向に回転操作されて、前記原料回転盤を包装機前面より取り除くように作動することを特徴とする請求項１記載のスティックタイプ小型自動包装機の原料供給機構。
【請求項３】
前記原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤と、
この原料回転盤を包装機の動作速度に合わせて回転させる駆動部と、
この原料供給機構を水平面前後方向に回転可能に軸支している支持部と、
この原料供給機構の構成部材全てが搭載されている機台とを備えて成ることを特徴とする請求項１記載のスティックタイプ小型自動包装機の原料供給機構。
【請求項１】
原反ロールより引き出された包装フィルムを１条又は２条にスリットし、この包装フィルムの各々を１列又は２列に構成した充填パイプの周囲に巻装して円筒状に成形するフォーミング機構と、
この円筒状の包装フィルムに対して縦シール装置と横シール装置によってスティック状の包装袋にするシール形成機構と、
このスティック状の包装袋内に充填パイプを経由して粉末原料を充填する原料供給機構と、
この充填された包装袋の原料投入口を前記横シール装置によって封止し、この包装袋の横シール中央付近を切り離して個別包装袋とするカッター機構とで構成されたスティックタイプ小型自動包装機であって、
前記原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤を備え、
前記包装機において通常の包装動作を行う場合は、前記原料回転盤が包装機前面に設置されるように作動し、
前記包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行う場合は、前記原料回転盤が包装機前面より取り除かれるように作動することを特徴とするスティックタイプ小型自動包装機の原料供給機構。
【請求項２】
前記原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤と、この原料供給機構を水平面前後方向に回転可能に軸支している支持部とを備え、
前記包装機において通常の包装動作を行う場合は、前記原料供給機構が支持部を中心に水平面後ろ方向に回転操作されて、前記原料回転盤を包装機前面に設置するように作動し、
前記包装機において包装フィルムのセッティング作業や各種調整作業を行う場合は、前記原料供給機構が支持部を中心に水平面手前方向に回転操作されて、前記原料回転盤を包装機前面より取り除くように作動することを特徴とする請求項１記載のスティックタイプ小型自動包装機の原料供給機構。
【請求項３】
前記原料供給機構は、ホッパーからの粉末原料を受け取って枡切り計量し、その後充填パイプに落下させる原料回転盤と、
この原料回転盤を包装機の動作速度に合わせて回転させる駆動部と、
この原料供給機構を水平面前後方向に回転可能に軸支している支持部と、
この原料供給機構の構成部材全てが搭載されている機台とを備えて成ることを特徴とする請求項１記載のスティックタイプ小型自動包装機の原料供給機構。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００７−２２５４８（Ｐ２００７−２２５４８Ａ）
【公開日】平成１９年２月１日（２００７．２．１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２０３３９４（Ｐ２００５−２０３３９４）
【出願日】平成１７年７月１２日（２００５．７．１２）
【出願人】（５９６０９２５９５）三光機械株式会社 (102)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年２月１日（２００７．２．１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年７月１２日（２００５．７．１２）
【出願人】（５９６０９２５９５）三光機械株式会社 (102)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]