説明

粉末化粧品組成物

【課題】使用時の取り出し量を維持しながら、物理的強度の改善された粉末化粧品製品を提供する。
【解決手段】ワックスと少なくとも1種の化粧品粉末とからなる混合物を、当該ワックスを融解させるのに十分な温度で加熱する工程と、その後、当該混合物を冷却して、内部に均一に分散された粒子状素材を有するワックス基質からなる固形組成物を用意する工程と、からなる製造方法により、固形粉末化粧品組成物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く粉末化粧品組成物に関する。特に、本発明は、ワックスと粉末との混合物を加熱し、該ワックスを融解させた後、再固化させることにより形成された粉末化粧品製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の粉末化粧品製品は、一般的に、圧縮粉体固形物の形態をしている。消費者にとって、粉末化粧品製品は、携帯に適したコンパクトな形態であることが望ましい。こうした形態になるよう粉末化粧品製品を凝集させるためには、粉末をぎっしりと充填する必要がある。しかし、粉体固形物は、一般的に、構成成分が不連続であるため、構造が脆弱な傾向があり、単独では十分に固形物状態を維持できない。特に、従来の粉末化粧品製品(即ち、粉体固形物)は、脆く、剥がれたり崩れたりしがちで、衝撃を与えると容易に粉砕され、あるいは、亀裂が入る。例えば、従来の製品は、消費者が落としたとき、粉砕され、あるいは、亀裂が入り、製品の使い勝手が失われる事態に至る可能性がある。伝統的に、固形物を強固にするため、湿式結合剤(エステルおよび油分)と乾式結合剤とが、圧縮される粉末に加えられてきた。しかし、こうした結合剤は、普通に使っている間に、皮脂とともに圧力を加えられることで、艶出し加工効果を生じ、粉末化粧品製品の表面に光沢のある固い凝固物を形成する。こうした艶出し加工は、粉末化粧品製品の『取り出し量』を減らすので、残っている粉末化粧品が、消費者にとって実質的に使用不能となり、無駄となる。
【0003】
粉末化粧品製品を製造する従来の方法では、圧縮される粉末、即ち、粉体固形物を得るために、化粧品粉末を強い圧縮力(例えば、1000psi以上)下で圧縮する。粉体固形物を得るために強い圧縮力が必要とされるため、ぎっしりと充填されることに耐えられず結果として機能性を失うような感圧性成分を、圧縮される粉末に加えることはできない。
【0004】
圧縮粉末化粧品を製造する従来の方法の代表例を、特許文献1に示し、その記載を参照によって本願明細書に取り込む。特許文献1は、(a)全粉末中の板状粉末の含有量が少なくとも70質量%、かつ、全板状粉末中の薄片状の無水サリチル酸の含有量が5−80質量%である粉末と、(b)1−10質量%の炭化水素ワックス粉末と、(c)10−20質量%の、室温で粘性かつ/または液性の油成分と、を備える固形粉末アイシャドウを開示する。この固形粉末アイシャドウは、成分(a)−(c)を金属製の皿上で圧縮することで形成される。
【0005】
別の方法では、粉末化粧品製品の素材を溶媒と混合して鋳型に注入することで、固形アイシャドウを形成することも可能である。このとき、溶媒を成型済みの混合物から蒸発させ、粉体固形物を製造する。脱溶媒粉体固形物の一例を、特許文献2に示し、その記載を参照によって本願明細書に取り込む。特許文献2は、局所適用のための棒状粉末組成物を開示する。この組成物は、活性素材と、微細に分割された不活性充填剤と、シロキサン結合を有する脂肪アルコールと、を合わせてスラリーを形成し、その後、当該スラリーを鋳型で成型し、シロキサン化合物の大部分を蒸発させることで、製造される。しかし、粉末と溶媒との混合物を分散するために剪断力を加えることが避けられないので、圧縮される粉末に感剪断性成分を加えることもまたできない。また、脱溶媒工程は時間がかかり、ある種の溶媒(例えば、水)の使用は望ましくない微生物の増殖を助長し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−217567号明細書
【特許文献2】米国特許第4,414,200号明細書
【特許文献3】米国特許第6,471,950号
【特許文献4】米国特許第5,482,547号
【特許文献5】英国特許第4,832,944号
【特許文献6】米国特許第5,340,569号
【特許文献7】米国特許第5,688,831号
【特許文献8】米国特許第5,882,662号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
粉末化粧品製品の分野では、従来の粉末化粧品製品の上記問題点を解決し、これまで得られなかったような利点を有する製品を提供することが求められていた。本発明は、使用時に最適の取り出し量を提供しながら、独自の粉体固形物三次元形状をなしうるように、改善された物理的強度を有する粉末化粧品製品を提供することを目的とする。さらに、本発明は、改善された有効寿命と繰返し使用による艶出し加工効果への耐性とを有する粉末化粧品製品を提供することを目的とする。またさらに、本発明は、感圧性成分、および、感剪断性成分など広い範囲の機能性素材を取り込むことの可能な粉末化粧品製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的その他に関して、先行技術の欠点を克服するために、本発明は、ワックスと粉末との混合物を加熱し、該ワックスを融解させた後、再固化させることにより形成された、ワックスネットワークを備える粉末化粧品製品、および、その製造方法を提供する。本発明の組成物および製造方法は、単独で固形物状態を維持できる構造を達成するために、強い圧縮力の適用、あるいは、揮発性溶媒の添加を必要としない。さらに、本発明の組成物は、化粧品の使用に望まれる転写可能性および取り出し量を維持しつつ、丈夫で、衝撃を受けた際の粉砕および亀裂に耐性を示す。さらに、本発明の組成物および製造方法は、感圧性成分、および、感剪断性成分などの、幅広い機能性素材を取り込むことが可能である。
【0009】
本発明のある態様では、ワックスと少なくとも1種の化粧品粉末とを有する粉末を形成する工程と、当該ワックスが融解するまで当該粉末を加熱する工程と、その後、固形組成物を形成するまで当該粉末を冷却する工程とを備える、固形化粧品組成物の製造方法が提供される。ワックスを融解させることで、ワックスを単に圧縮した場合と比べて、より連続したネットワークあるいは基質が形成されると考えられる。これにより、本製品の全体の構造は、より丈夫で、粉砕、亀裂、剥離などに対して優れた耐性を示すものとなる。さらに、融解工程は、ワックスと粉末との両方もしくは一方が局所的に塊をつくることをほとんど防ぐことにより、本製品の質感および取り出し量を改善する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、本方法は、(a)(i)一般的に、約30ミクロン未満の中央粒子径を有するワックス粒子と、(ii)約50ミクロン未満の中央粒子径を有する第1粉末材料と、(iii)約50ミクロン以上から約300ミクロン未満の中央粒子径を有する第2粉末材料とからなる混合物を形成する工程と、(b)ワックス粒子を融解させるのに十分な温度まで混合物を加熱する工程と、(c)固体になるまで混合物を冷却する工程とからなることを特徴とする。このとき、第1粉末材料と第2粉末材料とは、化粧品として有効な任意の粉末から、例えば、これらに限定されるものではないが、着色剤、充填剤、色素、真珠光沢剤、および、これらを組み合わせたものから、独立に選ばれる。ある実施形態では、混合物は、さらに、最終製品中で結合剤および皮膚軟化剤として働く油成分を含有する。別の実施形態では、混合物は、さらに、冷却済みワックス基質内で均一に分散されて油中で格子ジェルを形成し得る無機粘土を含有する。
【0011】
本発明の方法で調製された組成物もまた提供される。
【0012】
本発明のこれら態様は、以下の詳細な記述を、図面および請求の範囲とともに、参照することでより良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】粒子状成分間の隙間を埋めている結晶ワックスの微小領域を示す、本発明の方法によって製造された固形粉末化粧品組成物の顕微鏡写真である。
【図2】本発明に係る粉末化粧品組成物、および、従来の圧縮粉体固形物の表面全域をフォームアプリケータで擦った時の質量損失を、ワックス含有量に対してプロットしたプロット図である。
【図3】本発明に係る粉末化粧品組成物、および、従来の圧縮粉末化粧品を所定の高さから落とした時の質量損質のプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載において、他に特記がなければ、使用された用語は、技術分野におけるそれらの通常の慣習的な意味を示す。他に特記がなければ、重量パーセントはすべて、誘電性流体の組成物全体の『重量で−%』という形で与えられる。粒子径はすべて、体積を基準としたときの中央粒子径として与えられる。
【0015】
本発明は、その基礎として部分的に、粉末化粧品製品の物理的特性が、粉末成分の存在下で融解された状態から固化されたワックス基質を取り込ませることで改善されるという発見に基づく。本発明の化粧品製品は、従来の粉末化粧品製品(例えば、圧縮粉末組成物)と比べ、粉砕、亀裂、剥離に対する耐性、優れた取り出し量、および、艶出し加工への耐性など数々の優れた物理的特性を示す。さらに、本製品の形成には圧縮力は必要ではないため、本発明の方法は、マイクロカプセル、および、ソフトビーズなどの、感圧性成分と感剪断性成分との両方もしくは一方を取り込むことが可能である。本固形化粧品組成物は、半剛体で、種々の三次元形状に鋳型成型可能であり、これにより、従来の粉末化粧品製品では達成が困難な、あるいは、不可能な、見栄え良く機能的な形状が提供される。
【0016】
本発明の方法は、一般に、ワックス成分と少なくとも1種の化粧品粉末とを有する粉末を形成する工程と、当該ワックスが溶解するまで当該粉末を加熱する工程と、その後、固形組成物を形成するまで当該粉末を冷却する工程とを備える。
【0017】
ワックス成分の選択には実質的にいかなる制限もない。ワックス成分は、1種のワックスであってもよいし、複数のワックスを組み合わせたものであってもよい。化粧品製品と相性の良い任意のワックス、例えば、これらに制限されるわけではないが、天然ワックス、鉱物ワックス、および/または、合成ワックスなどが、適合可能であると期待される。
【0018】
天然ワックスは、動物由来のもの、例えば、これらに制限されるものではないが、ミツロウ、ゲイロウ、ラノリン、セラックロウなど、および、植物由来のもの、例えば、これらに制限されるものではないが、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、シロヤマモモロウ、サトウキビロウなどを含む。天然ワックスはポリコサノールを含有してもよい。有効であると期待される鉱物ワックスには、オゾケライトワックス、セレシンワックス、モンタンロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、石油ワックス、および、ワセリンなどが含まれる。合成ワックスには、例えば、フィッシャートロプシュ(FT)ワックス、および、ポリオレフィンワックス、例えば、エチレンホモポリマー、(エチレン/プロピレン)コポリマー、(エチレン/ヘキセン)コポリマーなどを含む。代表的なエチレンホモポリマーワックスが、POLYWAX(登録商標)ポリエチレン(ベーカー・ヒューズ社)の商標名で市販されている。市販のエチレン−α−オレフィンコポリマーワックスは、PETROLITE(登録商標)コポリマー(ベーカー・ヒューズ社)の商標名で販売されているものを含む。合成ワックスには、例えば、Carbowax(登録商標)(ダウ・ケミカルカンパニー)の商標名で販売されるPEG−18、PEG−20、PEG−32、PEG−75、PEG−90、PEG−100、および、PEG−180などのポリエチレングリコールを含む。他の適合可能なワックスについては、特許文献1に記載されており、その記載を参照によって本願明細書に取り込む。
【0019】
ワックスは、必ずしもそうである必要はないが、好ましくは、本製品の取り出し量を改善するために、化粧品粉末との親和性が悪く、化粧品粉末との結合に耐性があるワックスである。
【0020】
好ましくは、ワックスは、シリコーンワックス、カルナウバロウ、ミツロウ、合成ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、あるいは、これらの組み合わせから選択される。さらに好ましくは、ワックス成分は、高分子量の炭化水素アルキル基を有するポリジメチルシロキサン、例えば、INCI名、C30−45alkyl methicone(and)C30−45olefins(アルキル(C30−45)メチコン/オレフィン(C30−45))など、を含む。ワックスは、好ましくは、製粉工程中に融解させることなく、製粉などにより小粒子径に粉砕できる程度に脆い。粉砕されたワックスは、好ましくは、滑らかで柔らかい粉末となる。
【0021】
典型的には、ワックスの融点は、約30から140℃の間であり、さらに典型的には、約40から100℃の間である。様々な実施形態において、ワックス成分は、融点が約50から90℃の間、約60から80℃の間、好ましくは、約70℃であるワックスを少なくとも1つ含む。表1に、本発明に適合可能な様々なワックスを融点あるいは融解範囲の順に並べて示す。
【0022】
【表1】

表1に記載の融点と溶解範囲とは、各ワックスの典型的な代表例を示したにすぎず、原材料とワックスの純度とに依存して、各サンプルから、融点と融解範囲との広いばらつきが観察される。所定のワックスサンプルの融点あるいは融解範囲の測定は、当技術分野の範囲内である。融点は、例えば、ASTM D127基準に基づく滴下融点試験とASTM D36基準に基づく環境法による軟化点試験との両方もしくは一方により測定することができ、これらの試験を参照によって本願明細書に取り込む。ワックスと粉末材料との混合物は、ワックスの融解する温度まで、好ましくは、ワックスの融解する温度以上まで、ほとんど全てのワックスを融解させるのに十分な時間、加熱される。
【0023】
ワックスは混合物中に融解した状態で加えられることを期待されているが、好ましくは、ワックスは固形の粒子状で加えられる。本発明の好ましい実施形態では、ワックス粒子は、粉末成分中で十分に分散されるように小さな中央粒子径を有する。ワックス粒子は、組成物中で他の粉末と混合され、機械的製粉に掛けられ、その結果、粒子全ての平均範囲が狭くなり、これにより、均一性が保証される。ある実施形態では、ワックス成分の中央粒子径は、約30ミクロン未満、より典型的には、約25ミクロン未満、好ましくは、約20ミクロン未満、さらに好ましくは、約10ミクロン未満である。ワックスの粒子径が約12.5ミクロン未満のとき、例えば、代表的な実施形態では、ワックスの粒子径が10ミクロン未満のとき、優れた結果が得られる。しかし、ワックス粒子のサイズは、約7.5ミクロン未満、約3ミクロン未満、あるいは、約2.5ミクロン未満であっても、本発明の実施形態において有効であると期待される。
【0024】
ワックスは、典型的には、混合物の重量で約1%から30%である。ある実施形態では、ワックスは、典型的には、混合物の重量で約3%から25%であり、好ましくは、混合物の重量で約5から15%である。
【0025】
混合物は、少なくとも1種の化粧品粉末を有し得る粒子状成分を含有する。粒子状成分は、好ましくは、互いに異なる中央粒子径を有する少なくとも2種の化粧品粉末を含む。そこで、本発明に係る好ましい粒子状成分は、2峰性、あるいは、多峰性の粒子分布を備える。粉末材料は、化粧品製品に有効であればいかなる粉末材料でもよい。この粉末の粒子の形状およびサイズはいかなるものでもよく、例えば、球形、不定形、および、血小板形の粒子などでもよい。
【0026】
ある実施形態では、粒子状成分は、小さな中央粒子径を有する第1化粧品粉末と大きな中央粒子径を有する第2化粧品粉末とを含む。第1化粧品粉末は、典型的には、0.01ミクロンより大きく、50ミクロン未満の中央粒子径を有する。別の実施形態では、第1粉末は、約45ミクロン未満の、約35ミクロン未満の、約30ミクロン未満の、約25ミクロン未満の、約20ミクロン未満の、約17.5ミクロン未満の、約15ミクロン未満の、約10ミクロン未満の、約7.5ミクロン未満の、約5ミクロン未満の、約2.5ミクロン未満の、約1ミクロン未満の、あるいは、約0.5ミクロン未満の中央粒子径を有する。
【0027】
粒子相は、好ましくは、第1粉末材料よりも大きい中央粒子径を有する第2粉末材料を含む。典型的には、第2粉末は、約50ミクロンより大きい中央粒子径を有する。別の実施形態では、第2粉末は、約75ミクロンより大きい、約100ミクロンより大きい、約125ミクロンより大きい、あるいは、約150ミクロンより大きい中央粒子径を有する。大きな粒子は化粧品製品中で望ましくないほど嵩張る可能性があるので、第2粉末の粒子径が300ミクロン未満の時、最良の結果が得られる。通常、第2粉末材料は、約200ミクロン未満の粒子径を有する。
【0028】
2峰性あるいは多峰性の粒子分布、および、様々な形状と大きさとを有することで、均一な大きさと形状の粒子を配置することに比べて、粒子間の空所が減るため、わずかな圧力、あるいは、圧力無しで、密な充填が可能となる。さらに、2峰性あるいは多峰性の粒子分布は、均一な粒子と比較して、通常の化粧品としての使用中に取り出し量の減少をもたらすような、剪断力に抵抗する強固なネットワークを有しないので、固形化粧品組成物の取り出し量を改善する。
【0029】
色つきの化粧品が望まれるとき、混合物の化粧品粉末は、少なくとも1種の着色剤を含む。着色剤は、混合物の重量で約0.1から80%である。好ましくは、着色剤は、混合物の重量で約0.5から70%である。さらに好ましくは、着色剤は、混合物の重量で約1から60%である。
【0030】
色素、真珠光沢剤、レーキ、および、染色剤を含む本発明に適合可能な着色剤は、当技術分野において周知であり、米国化粧品工業会「Cosmetic Ingredient Handbook」、第1版、1988年、に開示されており、この内容を参照によって本願明細書に取り込む。有機色素は、例えば、FD&Cダイ、D&Cダイなどを含み、D&Cレッド,No、2、5、6、7、10、11、12、13、30および34、D&CイエローNo.5、ブルーNo.1、ヴァイオレットNo.2.を含む。無機色素は、例えば、これらに制限されるわけではないが、金属、酸化物、例えば酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化鉄(α−Fe2O3,β−Fe2O3,Fe3O4,FeO)、赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、水酸化鉄、二酸化チタニウム、チタニウムの低級酸化物、酸化ジルコニウム、酸化クロミウム、水酸化クロミウム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニッケル、そして、酸化亜鉛、および、例えば、チタン酸鉄、チタン酸コバルト、アルミン酸コバルトなどの、複合酸化物、複合水酸化物を含む。他の適合可能な着色剤は、グンジョウ(例えば、含硫ケイ酸アルミニウムナトリウム)、コンジョウ、マンガンバイオレット、オキシ塩化ビスマス、タルク、マイカ、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ、雲母チタン、酸化鉄雲母チタンなどが考えられる。着色剤の表面は、例えば、特許文献3、特許文献4、および、特許文献5などに記載の着色剤の性質の少なくとも1つを調節するためのフッ素ポリマーで修飾され得、上記特許文献の内容を参照によって本願明細書に取り込む。本発明に適合可能なパール色素は、これらに制限されるわけではないが、特許文献6に記載の、オキシ塩化ビスマス、グアニン、および、チタン成分として酸化チタン、チタンの低級酸化物、あるいは、酸化窒化チタンを含むチタン複合材料を含み、上記特許文献の内容を参照によって本願明細書に取り込む。組成物は光沢剤を含み得る。
【0031】
また、本化粧品粉末は、様々な充填剤と付加的成分との両方もしくは一方を含み得る。本発明の固形化粧品組成物は、重量で0から80%の充填剤を含み得る。好ましくは、本発明の固形化粧品組成物は、重量で5から70%の充填剤を含み得る。さらに好ましくは、本発明の固形化粧品組成物は、重量で10から60%の充填剤を含み得る。本発明に適合可能な充填剤は、これらに制限されるわけではないが、シリカ、処理シリカ、タルク、ステアリン酸亜鉛、マイカ、カオリン、ナイロン粉末、例えば、Orgasol(登録商標)など、ポリエチレン粉末、Teflon(登録商標)、デンプン、窒化ホウ素、コポリマー・マイクロスフィア、例えば、Expancel(登録商標)(ノーベル・インダストリー社)、Polytrap(登録商標)(ダウ・コーニング社)、および、シリコーン樹脂性マイクロビーズ(東芝社製Tospearl(登録商標))など、を含む。機能性薬剤は、例えば、防虫剤、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、制汗剤、皮膚保湿剤、製造剤、歯の漂白剤などであり得る。
【0032】
付加的な着色剤あるいは粉末の充填剤は、これらに制限されるわけではないが、無機粉末(例えば、ゴム、チョーク、フラー土、カオリン、セリサイト、白雲母、金雲母、合成雲母、鱗雲母、黒雲母、リチア雲母、蛭石、ケイ酸アルミニウム、デンプン、アルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾したケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機修飾したモンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドオクテニルコハク酸アルミニウムスターチ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、金属タングステン酸塩、マグネシウム、シリカアルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、か焼硫酸カルシウム(焼き石膏)、リン酸カルシウム、フッ化アパタイト、水酸化アパタイト、セラミック粉末、金属石鹸(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、コロイド状二酸化シリコーン、窒化ホウ素など)、有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末、ナイロン粉末、シクロデキストリン、ポリメタクリル酸メチル粉末、スチレンとアクリル酸とのコポリマーの粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、カルボキシルビニルポリマー、セルロース粉末、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、モノステアリン酸エチレングリコールなど)、無機白色色素(例えば、酸化マグネシウムなど)、および、安定剤あるいは流動性改良剤(例えば、ベントンジェル、および、レオパールTT2など)を含む。他の有効な粉末が、特許文献7に開示され、上記特許文献の内容を参照によって本願明細書に取り込む。
【0033】
本発明の固形化粧品組成物は、少なくとも1種の湿式結合剤、例えば、油などを含み得る。『湿式』結合剤とは、混合物が、好ましくは、水およびその他の揮発性溶剤を含有しないとき、水性ではなく液性の組成物のことを意味する。本固形化粧品組成物は、重量で1から30%の、好ましくは、重量で3から25%の、さらに好ましくは、重量で5から15%の湿式結合剤(例えば、油)を含み得る。油は、好ましくは、不揮発性であり、エステル、シリコーン油、炭化水素油、多価アルコール(例えば、グリセリン)、および、ある種のポリマー、例えば、ポリウレタン、アクリレートなど、からなる群より選ばれ得る。好ましい実施形態では、本発明の固形化粧品組成物に皮膚軟化剤が粉末化粧品製品の取り出し量を著しく減少させることなく添加され得る。また、本発明に適合可能な油については、特許文献1に記載されており、その記載を参照によって本願明細書に取り込む。
【0034】
エステル油は、任意の非極性あるいは低極性のエステル、例えば、ネオペンタン酸イソステリアル、ヒドロキシステアリン酸イソステアリル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、グリセリルエステル、(カプリル/カプリン酸)ヤシアルキル、(カプリル/カプリン酸)トリグリセリド、ステロールエステル、酢酸PPG−1イソセテス−3などを含む。化粧品組成物において皮膚軟化剤として一般に使用される脂肪酸エステルについて特記する。こうしたエステルは、典型的には、分子式R(COOH)1−2の酸を分子式R(OH)1−3のアルコールでエーテル化することで製造される。このとき、RおよびRは、それぞれ独立して、直鎖状、分枝状、あるいは、環状の炭化水素群であり、随意に不飽和結合を有し、1から30の、好ましくは、2から30の、さらに好ましくは、3から30の炭素原子を有し、随意に1つ以上の官能基が水酸基、エーテル基、アルデヒド基などで置換されている。このエステルが少なくとも1種の脂肪鎖を含むように、RおよびRのうち少なくとも1つは、好ましくは、少なくとも10個の、より好ましくは、少なくとも15、16、17あるいは18個の炭素原子から構成される。上記のエステルは、これらに制限されるわけではないが、一酸と一価アルコールとのエステル、一酸と二価あるいは三価アルコールとのエステル、二酸と一価アルコールとのエステル、および、三酸と一価アルコールとのエステルを含む。
【0035】
本発明に適合可能な脂肪酸エステルは、これらに制限されるわけではないが、酢酸ブチル、イソステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ブチルオクチル、パルミチン酸セチル、オクタン酸セチル、ラウリン酸セチル、乳酸セチル、イソノナン酸セチル、ステアリン酸セチル、フマル酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジブチル、リンゴ酸ジアルキル(C12,13)、ダイマージリノール酸ジセテアリル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジイソセチル、アジピン酸ジイソノニル、ダイマー酸ジイソプロピル、トリリノール酸トリイソステアリル、ステアロイルステアリン酸オクトデシル、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ヘキサデシル、ラウリン酸ヘキシデシル、オクタン酸ヘキシルデシル、オレイン酸ヘキシルデシル、パルミチン酸ヘキシルデシル、ステアリン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソヘキシル、ステアリン酸イソヘキサデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸n−プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸n−プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキサコサニル、乳酸ラウリル、パルミチン酸オクタコサニル、モノラウリン酸プロピレングリコール、パルミチン酸トリアコンタニル、パルミチン酸ドトリアコンタニル、パルミチン酸テトラトリアコンタニル、ステアリン酸ヘキアコサニル、ステアリン酸オクタコサニル、ステアリン酸トリアコンタニル、ステアリン酸ドトリアコンタニル、乳酸ステアリル、オクタン酸ステアリル、ヘプタン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸テトラトリアコンタニル、トリアラキジン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリアルキル(C12,13)、トリカプリリン、クエン酸トリカプリリル、ベヘン酸トリデシル、クエン酸トリオクチルドデシル、ヤシ油脂肪酸トリデシル、イソノナン酸トリデシル、モノリシノール酸グリセリル、パルミチン酸2−オクチルデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、乳酸2−オクトデシル、コハク酸ジ(2−エチルヘキシル)、酢酸トコフェロールなどを含む。
【0036】
他の本発明に適合可能なエステルは、Rが化学式H(OCHR*CHR*)(ただし、R*は、独立に、水素、モノラウリン酸ポリエチレングリコールなどのメチルおよびエチルを含む直鎖状アルキルから選ばれる)のポリグリコールである場合を含む。
【0037】
本発明の実施形態において、サリチル酸エステル、および、安息香酸エステルも、また、有効なエステルであると期待される。本発明に適合可能なサリチル酸エステル、および、安息香酸エステルは、サリチル酸あるいは安息香酸と化学式ROHのアルコールとのエステルを含む。このとき、Rは、直鎖状、分枝状、あるいは、環状の炭化水素群であり、随意に不飽和結合を有し、1から30の、好ましくは、6から22の、さらに好ましくは、12から15の炭素原子を有する。本発明に適合可能なサリチル酸エステルは、例えば、サリチル酸オクチル、サリチル酸ヘキシルドデシルなどを含み、安息香酸エステルは、安息香酸アルキル(C12−15)、安息香酸イソステアリル、安息香酸ヘキシルデシル、安息香酸ベンジルなどを含む。
【0038】
他の本発明に適合可能なエステルは、ほんの数例を挙げれば、これらに制限されるわけではないが、(ジイソステアリン酸ポリグリセリル/IPDI)コポリマー、ダイマージリノール酸トリイソステアリン酸ポリグリセリル−3、脂肪酸のポリグリセロールエステル、および、ラノリンなどを含む。
【0039】
また、油は、不揮発性のシリコーン油であり得る。本発明に適合可能なシリコーン油は、直鎖状、あるいは、環状シリコーン派生物、例えば、ポリアルキルシロキサンまたはポリアリルシロキサンなど、を含み、随意に1から10の炭素原子を有するアルキル基あるいはアルコキシ基を含む。代表的なシリコーン油は、例えば、カプリリルメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ジフェニルジメチコン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、メチコン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ペリフルオロノニルジメチコン、ポリジメチルシロキサン、および、これらの組み合わせを含む。
【0040】
シリコーン油は、典型的には、必ずしもそうではないが、約50から3000センチストーク(cst)の間の粘度、好ましくは、25℃で計測して100から1000cstの間の粘度を有する。
【0041】
ある実施形態では、シリコーン油はフェニル基を含み、例えば、メチルフェニルポリシロキサン、INCI名ではdiphenyl dimethicone(ジフェニルジメチコン)で表され、F−5W、KF−54、KF−56など様々な商標名で信越化学工業から市販されているものなどが挙げられる。ジフェニルジメチコンは、有機物との親和性が高く、本製品に皮膜形成特性を付与する。ある実施形態では、シリコーン油は、25℃で測定したとき、少なくとも1.3の、好ましくは、少なくとも1.4の、さらに好ましくは、1.45の、より好ましくは、1.5の屈折率を有する。別の本発明に適合可能なフェニル化シリコーン油としては、INCI名でphenyltrimethicone(フェニルトリメチコン)、DC556の商標名でダウ・コーニング社から市販されているものが挙げられる。DC556は、約1.46の屈折率を有する。
【0042】
本発明のある実施形態では、シリコーン油は、フッ化物であり、好ましくは、全フッ素置換物(即ち、フルオロシリコーン)である。好ましいフルオロシリコーンは、INCI名perfluorononyl dimethicone(パーフルオロノニルジメチコン)の、フッ化有機官能性シリコーン液である。パーフルオロノニルジメチコンは、フェニックス・ケミカル社からPecosil(登録商標)の商標名で市販されている。
【0043】
また、本組成物は、炭化水素油、好ましくは、不揮発性炭化水素油を含む。炭化水素油は、例えば、20から80の炭素原子を有する直鎖状あるいは分枝状のパラフィン系炭化水素であり、これらに制限されるわけではないが、テトラデカン、トリデカンなどを含む。炭化水素油は、好ましくは、高度に分岐した脂肪族炭化水素であり、炭素数20−40のイソパラフィンなどを含む。INCI名isohexadecane(イソヘキサデカン)およびisoeicosane(イソエイコサン)で知られるイソパラフィンについて特記する。
【0044】
本発明に適合可能な炭化水素油は、プレスパース社(米国ニュージャージー州サマーセット)から、Permethyl(登録商標)系の油として市販されており、例えば、これらに制限されるわけではないが、Permethyl(登録商標)98B(ポリイソブテン/イソドデカン)、Permethyl(登録商標)216C((C18−21)アルカン/(C13−16)イソパラフィン)、Permethyl(登録商標)105A(ポリイソブテン)、Permethyl(登録商標)246C((C18−21)アルカン/ポリイソブテン)、Permethyl(登録商標)284C((C15−19)アルカン/(C12−14)イソパラフィン/ポリイソブテン)、および、Permethyl(登録商標)296C((C12−14)イソパラフィン/(C18−21)アルカン)などを含む。
【0045】
炭化水素油として適合可能なものとしては、他に、ポリアルファオレフィンがあり、典型的には、20より多くの炭素原子を有し、(C24−28)オレフィン、(C30−45)オレフィン、水添ポリイソブテン、水添ボリデセン、ポリブテン、ミネラルオイル、ペンタヒドロスクワレレン、スクワレン、スクワランなどが含まれる。また、炭化水素油は、脂肪族高級アルコール類、例えば、オレイルアルコール、オクチルドデカノールなどを含む。
【0046】
他の適合可能な油は、これらに制限されるわけではないが、ヒマシ油、(C10−18)トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、アマニ油、ミンク油、オリーブ油、パーム油、イリペ脂、ナタネ油、ダイズ油、ヒマワリ種子油、ヒマワリ油、クルミ油、アボカド油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、タートル油、ブドウ種子油、ゴマ油、ホホバ油、ピーナツ油、および、これらの組み合わせを含む。
【0047】
また、本発明において、乾式結合剤も有効であると期待されるが、これらの使用は任意である。使用した場合、乾式結合剤は、典型的には、混合物の重量で0.01−15%、好ましくは、約1−12%、さらに好ましくは、約2−9%である。乾式結合剤は、これらに制限されるわけではないが、亜鉛、ステアリン酸塩、カオリンを含む。
【0048】
本発明に係る組成物は、格子ジェルを取り込み得る。好ましくは、格子ジェルは、化粧品組成物中で、均一に分散され、あるいは、均等に分配される。ワックスと格子ジェルとから構成される連続し内部接続された基質の組み合わせは、化粧品粉末を結合し、温度が上昇したとき、特に、ワックスの融点を超える温度で、固形化粧品組成物の強固な構造を維持することのできる固形化粧品組成物を提供する。格子ジェルのネットワークは、無機粘土、例えば、スメクタイト粘土、ベントン粘土などを含み得る。ある実施形態では、格子ジェルのネットワークは、例えば、特許文献8に記載のように、スメクタイト粘土および油から形成され得る。上記特許文献の記載を参照によって本願明細書に取り込む。すべての素材がそうであるように、無機粘土は、存在する場合、加熱に先立って混合物に加えられる。
【0049】
固形化粧品組成物は、随意に、保存料を含み得る。存在する場合、保存料は、混合物の重量で約0.01−5%、典型的には、約0.05−4%、好ましくは、約0.1−3%である。
【0050】
本発明の組成物は、随意に、他の活性素材、および、不活性素材を含み得、これらは、典型的には、化粧品製品および個人医療製品に使われ、これらに制限されるわけではないが、賦形剤、充填剤、乳化剤、酸化防止剤、界面活性剤、塗膜形成剤、キレート剤、ゲル化剤、増粘剤、皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚保湿剤、ビタミン剤、(アスコビル/コレステリル)リン酸ナトリウム、ミネラル、粘性および/または流動性の改良剤、日除け止め剤、角質溶解剤、脱色素剤、レチノイド、ホルモン化合物、α−ヒドロキシ酸、トリオキサウンデカンジオン酸、α−ケト酸、抗マイコバクテリア剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウィルス剤、鎮痛剤、脂肪化合物、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤(H1ブロッカーあるいはH2ブロッカー)、抗炎症剤、抗刺激剤、抗新生物剤、免疫賦活剤、免疫抑制剤、抗ニキビ剤、麻酔剤、防腐剤、防虫剤、皮膚清涼化合物、皮膚保護剤、皮膚浸透促進剤、剥離剤、潤滑剤、香料、着色剤、染色剤、色素沈着低下剤、保存料、安定剤、薬剤、光安定剤、および、これらの混合物を含む。ただし、これら追加の素材の選択および用量は、滑らかなワックスネットワークの一体性、あるいは、本製品の取り出し量に悪影響を与えないように、慎重に選択する必要がある。
【0051】
ワックス成分と粉末成分と随意の他の素材、例えば、油など、との混合物は、好ましくは、加熱に先立って混和され、十分に均一な混合物を形成する。これら成分は、任意の本発明に適合可能な手段により混和され得る。ワックス成分は、任意の本発明に適合可能な手段により、化粧品粉末(一種あるいは複数種)、および、随意の追加素材と混合され得る。好ましくは、ワックス粒子は、混合物が重量で約2%未満の、好ましくは、約1%未満の揮発性溶剤しか含まないような、揮発性溶剤の実質的な非存在下で、化粧品粉末と混合され得る。好ましい実施形態では、本混合物は、揮発性溶剤を含まない。
【0052】
本混合物は、任意の本発明に適合可能な容器、好ましくは、鋳型、に注入され、ワックス粒子の融点を超える温度で、ワックスの少なくとも所定の部分が、好ましくは、全てが、融解するよう十分な時間、加熱され得る。ワックス粒子を融解させるために十分な温度まで本混合物を加熱する際、ワックスは柔粘性相あるいは液相に遷移する。好ましくは、混合物は、加熱中、分散されない。理想的には、融解したワックスは、分散することなしに、化粧品粉末粒子間の空所に流れ込み、当該空所の少なくとも一部を充填するべきである。換言すれば、融解したワックスは、化粧品粉末粒子の空所に滲出し、あるいは、化粧品粉末粒子に浸透する。そこで、結果として生じるワックス基質は、浸透ネットワークと呼ばれ得る。
【0053】
基質は、任意の本発明に適合可能な手段を用いて、加熱され得る。ある実施形態では、本粉末混合物は、マイクロ波加熱される。マイクロ波加熱は、混合物が内側から外側まで均等に加熱され、ワックスが迅速かつ均一に融解されるという利点を持つ。マイクロ波加熱が用いられる場合、ワックスは少なくとも何らかの極性を有していることが好ましい。なぜなら、非極性ワックスは、典型的に、マイクロ波によって効率的に融解しないからである。別の実施形態では、本混合物は、対流式オーヴンあるいは類似のオーヴンで加熱される。好ましい実施形態では、本粉末混合物は、加熱トンネルで加熱される。
【0054】
粉末化粧品組成物が、融点約70℃のワックス、例えば、アルキル(C30−45)メチコン・オレフィン(C30−45)など、を備える実施形態では、本粉末混合物は、約70−110℃の温度で、約10−90分の間、加熱され得る。好ましくは、本粉末混合物は、約75−100℃の温度で、約20−60分の間、加熱され得る。さらに好ましくは、本粉末混合物は、約80−90℃の温度で、約30−45分の間、加熱され得る。
【0055】
圧縮力は、典型的には、加熱工程に先立って固形化粧品組成物に適用され、化粧品粉末とワックス粒子との充填を改善し、粒子間の空所を減少させる。本発明の様々な実施形態では、圧縮力は、500psi未満、400psi未満、300psi未満、200psi未満、100psi未満、50psi未満、あるいは、25psi未満であり得る。しかし、圧縮力は、感圧性成分に影響を与えない程度であるべきである。
【0056】
ワックスを完全に融解させた後、本組成物は、ワックスが固化するまで、好ましくは、室温で、冷却される。固化されたワックスは、しっかりとした連続層を形成する。当該連続層は、内部接続された基質を備える。当該基質は、本化粧品組成物を結合して、固形で半剛体の化粧品組成物を形成する。なお、当該化粧品組成物は、本混合物を加熱した際の鋳型の形状により任意の望ましい三次元形状を有している。本発明に適合可能な形状は、幾何学的な形状あるいは不整形の形状を含み得る。幾何学的な形状は、半球状、ピラミッド状などを含む。不整形の形状は、これらに制限されるわけではないが、ダイアモンド状、宝石状、急斜面状、波状などを含む。
【0057】
本発明によって製造された粉末化粧品製品の顕微鏡写真を図1に示す。図1の円内で、白い点が明確に視認できることと思うが、これは、緊密に充填された粒子間の隙間を結晶質ワックスが『浸透』する様子を表している。これらの結晶領域は、微小で、かつ、大きさや分布が比較的に均一である。こうした点は、従来の圧縮粉末化粧品とは対照的である。従来の圧縮粉末化粧品では、加熱がないため、ワックスが十分に浸透し粒子を結合して粘性塊とすることができないため、ワックスの塊、および、粒子の塊が局在する多くの不均一な領域が観察されるはずである。
【0058】
粉末化粧品製品の従来の製造方法とは対照的に、本発明の固形化粧品製品を製造する方法は、強い圧縮力あるいは剪断力の適用を必要としない。そのため、本発明の方法は、混合物中の、感圧性成分および感剪断性成分と相性がよい。例えば、ソフトビーズおよびマイクロスフィアは、色の変化、あるいは、圧力を掛けることで内容物が搾り出される、などの追加の機能的利益を製品に与える。
【0059】
これまでの記載は本発明に係る好ましい組成物に関するものであるが、ワックスを含有する粉末化粧品組成物であればどのようなものであっても、これまで予見することのできなかった本発見から、すなわち、製品を加熱してワックスを融解させ、その後、冷却することで、単に圧縮することによって得られるよりも、多くの基質を得ことから、利益を得ると期待される。
【0060】
本発明に係る組成物は、様々な化粧品製品および個人医療製品において有用である。こうした製品は、これらに制限されるわけではないが、アイシャドウ、アイライナー、ペンシル状アイライナー、コンシーラー、頬紅、フェイスパウダー、ファンデーション、パウダーリップスティック、ボディパウダースティックなどの粉末化粧品製品を含む。
【実施例1】
【0061】
アイシャドウ
内部接続された基質と、多峰性の粒子分布を有する化粧品粉末と、を備える、本発明の例示的な粉末アイシャドウ組成物を、表2に示す。
【0062】
【表2】

表2に示す粉末化粧品組成物は、充填剤、色素(真珠光沢剤を除く)、結合剤、および、保存料を混合することで製造され、化粧品粉末前混合物を形成する。湿式前混合物が、湿式結合剤の一部とワックスとを85℃の温度で混合することで製造される。化粧品粉末前混合物は、湿式前混合物と混ぜ合わせられる。湿式前混合物は、粉末前混合物に噴射され、これにより、両者の成分は混ぜ合わされる。混ぜ合せたものは、次に、ハンマーミルを用いて処理されるその後、この混ぜ合せたものに、真珠光沢剤と湿式結合剤の残りの部分とが加えられ、混合される。
【0063】
この混合物は、その後、三次元形状の鋳型に穏やかに押し込まれ、対流式オーヴン内で、80℃の温度で、約30分の間、加熱される。
【実施例2】
【0064】
アイシャドウ
内部接続された基質と、多峰性の粒子分布を有する化粧品粉末と、を備える、本発明の別の例示的な粉末アイシャドウ組成物を、表3に示す。このアイシャドウは、上記実施形態1で記載したのと同様の方法で形成され得る。
【0065】
【表3】

【実施例3】
【0066】
ワックス含有量に対する関数として、本発明によって製造される粉末化粧品製品の取り出し量を、従来の圧縮粉末化粧品製品の取り出し量と比較した。サンプルは、ワックスを溶解させるのに十分な温度まで加熱すること、および、加熱なしで製品を圧縮すること、のどちらか一方の方法で、組成A−Eに従い製造された。ワックスの含有量は、表4に示すように、重量で5−10%の範囲であった。
【0067】
【表4】

取り出し量試験の方法
この方法は、粉末化粧品組成物の取り出し量あるいは転写率を測定するために用いることができる。この試験は、化粧品製品の通常の使用の際に、化粧品組成物が、アプリケータあるいは指に転写される割合を予測するものである。製品の取り出し量は、剪断力を掛けることによって取り除かれる化粧品製品の量に正比例する。そこで、取り出し量は、以下に記載する擦過試験で失われる化粧品製品の量の関数として表すことができる。
【0068】
まず、各固形化粧品組成物の初期重量を測定するため、製品を計量する。次に、円運動により、固形物の表面を、フォームアプリケータあるいは指で、50回、擦過する。最後に、固形化粧品組成物から擦過により取り除かれた化粧品製品の量を測定するため、再び、製品を計量する。消費者が、平均で2回程、固形物表面をアプリケータで擦るという事実を反映して、50回の擦過後の重量損失合計を25で割る。これにより、結果として得られた平均損失の値は、典型的な1回の使用で、消費者の皮膚へ運ばれる化粧品の重量を表す。
【0069】
試験の結果を、図2に、皮膚へ運ばれた質量をワックスの量(重量%)の関数として示す。このとき、本発明に係る粉末化粧品組成物は◆で、従来の圧縮製品は□で示す。グラフに示すように、加熱した化粧品の充填は緩やかで、同程度のワックスを含む標準的な圧縮される粉末の取り出し量と比べ、取り出し量を増やすことが可能である。これにより、消費者は、製品の本来の性質と強力な取り出し量を得ることができる。
【実施例4】
【0070】
本発明の固形化粧品組成物の頑丈さが、従来の粉末化粧品組成物と比較して、どのように改善されたかを調査した。以下の点を除いては同質の粉末化粧品組成物サンプル2つを製造した。一方のサンプルは、従来の技術を用い1000psiで圧縮され、他方のサンプルは、本発明の方法を用い製造された。このとき、本発明の方法は、化粧品組成物をワックス粒子が融解するのに十分な温度まで加熱した後冷却することにより、化粧品粉末粒子中で均一に分布する浸透ワックス基質を得ることを含む。
【0071】
落下試験の方法
この方法は、粉末化粧品組成物の頑丈さを測定するために用いることができる。この試験は、化粧品組成物が、割れ砕けに耐える能力を予測するものである。化粧品製品が割れ砕ける望ましからざる傾向は、製品を所定の高さから落下させた際に失われた化粧品粉末の量に正比例する。そこで、化粧品製品の割れ砕けは、以下に記載する落下試験で失われる化粧品製品の量の関数として表すことができる。
【0072】
まず、各固形化粧品組成物の初期重量を測定するため、製品を計量する。その後、固形化粧品組成物を、およそ30インチの高さから、平たく硬い表面に向けて、落下中にひっくり返らずその下面から着地するように、落下させる。次に、同じ固形化粧品組成物をおよそ12インチの高さから再び落下させる。最後に、固形化粧品組成物から2回の落下により失われた化粧品製品の量を測定するため、再び、製品を計量する。固形化粧品組成物を、およそ30インチの高さから落下させ、その後、およそ12インチの高さから落下させ、そして化粧品製品の重量を計量するという工程をさらに4回繰り返す。
【0073】
図3は、本発明に係る粉末化粧品組成物、および、従来の圧縮粉体固形物を所定の高さから落とした時の質量損質を示したものである。従来の粉末化粧品組成物は、◆で、本発明に係る粉末化粧品組成物は、▲で、それぞれ示す。図を見ると分かるように、本発明に係る粉末化粧品組成物(▲)は、有意な質量損失を示さない。一方、従来の粉末化粧品組成物(◆)は、落下を重ねるごとに質量損失の規則的な増加を示す。これにより、本発明に係る粉末化粧品組成物(◆)が、従来の技術を用いて形成された重浦井の粉末化粧品組成物よりも、強固で安定した構造であることが分かる。
【0074】
本願明細書中で参照した全ての特許文献を、参照によって本願明細書に取り込む。
【0075】
当業者は、上記記載から、様々な変形および改良が可能であることに気づくであろう。こうした変形および改良が、本願明細書から取り除かれたのは、記載を簡潔かつ可読性の高いものとするためにすぎず、請求項に記載された発明の範囲に含まれるべきものである。
【0076】
以下、本発明とその実施態様をまとめて説明する。
1.(a)
(i)約30ミクロン未満の中央粒子径を有するワックス粒子と、
(ii)約0.01以上から約5ミクロン未満の中央粒子径を有する第1粉末材料と、
(iii)約50ミクロン以上から約300ミクロン未満の中央粒子径を有する第2粉末材料とからなる混合物であって、
前記第1粉末材料と前記第2粉末材料とは、着色剤、充填剤、色素、真珠光沢剤、および、結合剤から独立に選ばれる前記混合物を用意する工程と、
(b)前記ワックス粒子を融解させるのに十分な温度まで前記混合物を加熱する工程と、
(c)前記混合物を冷却する工程と、
からなることを特徴とする固形化粧品組成物の製造方法。
2.前記ワックス粒子は前記混合物の重量で約1から約30%である、1.に記載の製造方法。
3.前記ワックス粒子は前記混合物の重量で約3から約25%である、1.に記載の製造方法。
4.前記ワックス粒子は前記混合物の重量で約5から約15%である、3.に記載の製造方法。
5.前記ワックス粒子は、シリコーンワックス、カルナウバロウ、ミツロウ、合成ワックス、マイクロクリスタリンワックス、および、ポリエチレンワックスから選ばれた少なくとも1種のワックスを備える、1.に記載の製造方法。
6.前記ワックス粒子は、アルキル(C30−45)メチコン・オレフィン(C30−45)(INCI表記で、C30−45Alkyl Methicone(and)C30−45Olefin)からなる、1.に記載の製造方法。
7.前記第1粉末材料は色素からなり、前記第2粉末材料は雲母からなる、1.に記載の製造方法。
8.前記混合物はさらに油を含有する、1.に記載の製造方法。
9.前記油は、エステル油、シリコーン油、炭化水素油、および、多価アルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種の油である、1.に記載の製造方法。
10.前記油は、前記混合物の重量で約1から約30%である、8.に記載の製造方法。
11.前記油は、前記混合物の重量で約3から約25%である、10.に記載の製造方法。
12.前記油は、前記混合物の重量で約5から約15%である、11.に記載の製造方法。
13.前記混合物はさらに無機粘土を含有する、8.に記載の製造方法。
14.前記無機粘土は、スメクタイト粘土またはベントン粘土である、13.に記載の製造方法。
15.前記混合物は、さらに、感圧性材料あるいは感剪断性材料を含有する、1.に記載の製造方法。
16.前記加熱工程は、前記混合物をマイクロウェーブで加熱する工程からなる、1.に記載の製造方法。
17.前記加熱工程は対流式オーヴンで実行される、17.に記載の製造方法。
18.前記加熱工程は加熱トンネルで実行される、17.に記載の製造方法。
19.(a)
(i)約30ミクロン未満の中央粒子径を有するワックス粒子と、
(ii)約0.01以上から約5ミクロン未満の中央粒子径を有する第1粉末材料と、
(iii)約50ミクロン以上から約300ミクロン未満の中央粒子径を有する第2粉末材料とからなる混合物であって、
前記第1粉末材料と前記第2粉末材料とは、着色剤、充填剤、色素、真珠光沢剤、および、結合剤から独立に選ばれる前記混合物を用意する工程と、
(b)前記ワックス粒子を融解させるのに十分な温度まで前記混合物を加熱する工程と、
(c)前記混合物を冷却する工程と、
により製造された、
均一に分散された粒子状材料を有するワックス基質からなることを特徴とする固形化粧品組成物。
20.前記混合物は、前記ワックス粒子の重量で約1から約30%である、19.に記載の固形化粧品組成物。
21.前記混合物は、前記ワックス粒子の重量で約3から約25%である、20.に記載の固形化粧品組成物。
22.前記混合物は、前記ワックス粒子の重量で約5から約15%である、21.に記載の固形化粧品組成物。
23.前記ワックス粒子は、シリコーンワックス、カルナバロウ、ミツロウ、合成ワックス、マイクロクリスタリンワックス、および、ポリエチレンワックスから選ばれた少なくとも1種のワックスからなる、19.に記載の固形化粧品組成物。
24.前記第1粉末材料は色素からなり、前記第2粉末材料はマイカからなる、19.に記載の固形化粧品組成物。
25.前記ワックス粒子は、アルキル(C30−45)メチコン・オレフィン(C30−45)(INCI表記で、C30−45Alkyl Methicone(and)C30−45Olefin)からなる、19.に記載の固形化粧品組成物。
26.前記混合物はさらに油を含有する、19.に記載の固形化粧品組成物。
27.前記油は、エステル、シリコーン油、炭化水素油、および、多価アルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種の油である、26.に記載の固形化粧品組成物。
28.前記混合物は、前記油の重量で約1から約30%である、26.に記載の固形化粧品組成物。
29.前記混合物は、前記油の重量で約3から約25%である、28.に記載の固形化粧品組成物。
30.前記混合物は、前記油の重量で約5から約15%である、29.に記載の固形化粧品組成物。
31.前記混合物はさらに無機粘土を含有する、26.に記載の固形化粧品組成物。
32.前記無機粘土は、スメクタイト粘土またはベントン粘土である、31.に記載の固形化粧品組成物。
33.前記混合物は、さらに、感圧性材料あるいは感剪断性材料を含有する、19.に記載の固形化粧品組成物。
34.前記加熱工程は、前記混合物をマイクロウェーブで加熱する工程からなる、19.に記載の固形化粧品組成物。
35.前記加熱工程は、前記混合物をマイクロウェーブで加熱することで実行される、19.に記載の固形化粧品組成物。
36.前記加熱工程は加熱トンネルで実行される、19.に記載の固形化粧品組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(i)約30ミクロン未満の中央粒子径を有するワックス粒子と、
(ii)約0.01以上から約5ミクロン未満の中央粒子径を有する第1粉末材料と、
(iii)約50ミクロン以上から約300ミクロン未満の中央粒子径を有する第2粉末材料とからなる混合物であって、
前記第1粉末材料と前記第2粉末材料とは、着色剤、充填剤、色素、真珠光沢剤、および、結合剤から独立に選ばれる前記混合物を用意する工程と、
(b)前記ワックス粒子を融解させるのに十分な温度まで前記混合物を加熱する工程と、
(c)前記混合物を冷却する工程と、
からなることを特徴とする固形化粧品組成物の製造方法。
【請求項2】
前記ワックス粒子は前記混合物の重量で約1から約30%である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ワックス粒子は前記混合物の重量で約3から約25%である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ワックス粒子は、シリコーンワックス、カルナウバロウ、ミツロウ、合成ワックス、マイクロクリスタリンワックス、および、ポリエチレンワックスから選ばれた少なくとも1種のワックスからなる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ワックス粒子は、アルキル(C30−45)メチコン・オレフィン(C30−45)(INCI表記で、C30−45Alkyl Methicone(and)C30−45Olefin)からなる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1粉末材料は色素からなり、前記第2粉末材料はマイカからなる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記混合物はさらに油を含有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記油は、エステル油、シリコーン油、炭化水素油、および、多価アルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種の油である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記油は、前記混合物の重量で約1から約30%である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記混合物はさらに無機粘土を含有する、請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
前記無機粘土は、スメクタイト粘土またはベントン粘土である、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記混合物は、さらに、感圧性材料あるいは感剪断性材料を含有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記加熱工程は、前記混合物をマイクロウェーブで加熱する工程からなる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記加熱工程は対流式オーヴンまたは加熱トンネルで実行される、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
(a)
(i)約30ミクロン未満の中央粒子径を有するワックス粒子と、
(ii)約0.01以上から約5ミクロン未満の中央粒子径を有する第1粉末材料と、
(iii)約50ミクロン以上から約300ミクロン未満の中央粒子径を有する第2粉末材料とからなる混合物であって、
前記第1粉末材料と前記第2粉末材料とは、着色剤、充填剤、色素、真珠光沢剤、および、結合剤から独立に選ばれる前記混合物を用意する工程と、
(b)前記ワックス粒子を融解させるのに十分な温度まで前記混合物を加熱する工程と、
(c)前記混合物を冷却する工程と、
からなる方法によって製造された、
均一に分散された粒子状材料を有するワックス基質からなることを特徴とする固形化粧品組成物。
【請求項16】
前記混合物は、前記ワックス粒子の重量で約1から約30%である、請求項15に記載の固形化粧品組成物。
【請求項17】
前記ワックス粒子は、シリコーンワックス、カルナバロウ、ミツロウ、合成ワックス、マイクロクリスタリンワックス、および、ポリエチレンワックスから選ばれた少なくとも1種のワックスからなる、請求項15に記載の固形化粧品組成物。
【請求項18】
前記第1粉末材料は色素からなり、前記第2粉末材料はマイカからなる、請求項15に記載の固形化粧品組成物。
【請求項19】
前記ワックス粒子は、アルキル(C30−45)メチコン・オレフィン(C30−45)(INCI表記で、C30−45Alkyl Methicone(and)C30−45Olefin)からなる、請求項15に記載の固形化粧品組成物。
【請求項20】
前記混合物はさらに油を含有する、請求項15に記載の固形化粧品組成物。
【請求項21】
前記油は、エステル、シリコーン油、炭化水素油、および、多価アルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種の油である、請求項20に記載の固形化粧品組成物。
【請求項22】
前記混合物は、前記油の重量で約1から約30%である、請求項20に記載の固形化粧品組成物。
【請求項23】
前記混合物はさらに無機粘土を含有する、請求項20に記載の固形化粧品組成物。
【請求項24】
前記無機粘土は、スメクタイト粘土またはベントン粘土である、請求項23に記載の固形化粧品組成物。
【請求項25】
前記混合物は、さらに、感圧性材料あるいは感剪断性材料を含有する、請求項15に記載の固形化粧品組成物。
【請求項26】
前記加熱工程は、前記混合物をマイクロウェーブで加熱する工程からなる、請求項15に記載の固形化粧品組成物。
【請求項27】
前記加熱工程は、前記混合物をマイクロウェーブで加熱することで実行される、請求項15に記載の固形化粧品組成物。
【請求項28】
前記加熱工程は加熱トンネルで実行される、請求項15に記載の固形化粧品組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2011−505358(P2011−505358A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536052(P2010−536052)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/083336
【国際公開番号】WO2009/073337
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】