説明

粉粒体散布方法及び装置

【課題】 粉粒体の散布対象物に均一散布して接着すること。
【解決手段】 粉粒体散布方法であって、散布対象物1の接着性を帯びた散布区画1Aに粉粒体を投入し、散布対象物1に振動を与え、散布区画1A内の粉粒体を該散布区画1Aの全域に拡散させ、散布区画1A内の粉粒体を圧着手段60、80により散布対象物1に圧着するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体供給機から定量供給される粉粒体を計量し、シートや容器等の散布対象物に均一に散布して圧着する粉粒体散布方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体散布装置として、特許文献1に記載の如く、粉粒体が1個以上入る大きさの多数の小孔が一様な密度でロール表面に穿設されている回転ロールに供給され、該小孔内に挿入された粉粒体を該回転ロールの下方を定速で移動する表面に接着剤を塗布された平板上に落下させるものがある。この粉粒体散布装置によれば、平板の接着性を帯びた表面に、概ね一定容積に計量された粉粒体を散布して接着できる。
【特許文献1】特開平6-226202
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の粉粒体散布装置は、容積計量粉粒体を平板の表面に落下させ、そのまま該平板の表面に該粉粒体を接着させようとするものである。接着剤に到達した粉粒体のみが接着され、上側に堆積している粉粒体は未接着のままである。即ち、粉粒体はハンドリングにより分級が発生し、容積計量の為に重量ばらつきが存在し、粉粒体を均一に散布して接着することは困難である。
【0004】
本発明の課題は、粉粒体の散布対象物に均一散布して接着することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、散布対象物の接着性を帯びた散布区画に粉粒体を投入後、散布対象物に振動を与え、散布区画内の粉粒体を該散布区画の全域に拡散させ、散布区画内の粉粒体を圧着手段により散布対象物に圧着する粉粒体散布方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
粉粒体計量散布装置100は、図1に示す如く、粉粒体計量装置10と粉粒体散布装置40の組合せからなり、粉粒体計量装置10が計量した粉粒体Pを、粉粒体散布装置40によりシート(容器等でも可)からなる散布対象物1に定めた散布区画1Aに散布して接着可能にする。粉粒体Pとしては、例えば、予め粒度分布を710μm〜1400μm(平均粒径1100μm)の範囲に調整した酸化カルシウムである。
【0007】
(粉粒体計量装置10)(図1〜図5)
粉粒体計量装置10は、粉粒体Pの単位時間当りの供給重量を一定にして連続的に供給する減算式電磁フィーダ(減算式粉粒体供給機)20と、減算式電磁フィーダ20が粉粒体Pを流すトラフ(粉粒体流路)23Cの排出端の直下に設置され、トラフ23Cからの粉粒体Pの流れを目標分配重量に対応する一定時間間隔で分配し、目標分配重量の粉粒体Pを計量する分配手段30とを有する。
【0008】
減算式電磁フィーダ20は、図1、図2に示す如く、大ホッパ21、ロードセル22、電磁フィーダ23、及びコントローラ24から構成される。電磁フィーダ23は、振動体23A、小ホッパ23B、及びトラフ23Cから構成され、振動体23Aの上に小ホッパ23Bとトラフ23Cが連結されて一体となって載せられている。小ホッパ23Bとトラフ23Cの連結状態は小ホッパ23Bの送り方向の壁面の1箇所にトラフ23Cの形状に合致する孔を開け、その孔にほぼ水平にトラフ23Cを取付けている。電磁フィーダ23はロードセルの上に直接載せられて固定される。大ホッパ21は供給する粉粒体Pを最初に投入され、小ホッパ23Bの概ね真上に底部を開口し、供給する粉粒体Pを一気に小ホッパ23Bの底部まで到達せしめる。減算式電磁フィーダ20は、粉粒体Pを電磁フィーダ23で供給するが、電磁フィーダ23はロードセル22に載せられており、粉粒体Pの供給時も常時粉粒体Pの残重量を計量できる。ロードセル22による計量データをコントローラ24に入力し、コントローラ24に設定した供給重量となるように電磁フィーダ23の振幅を増減する制御を行なう。
【0009】
以下、減算式電磁フィーダ20による粉粒体Pの供給方法を具体的に説明する。
電磁フィーダ23を停止させた状態で粉粒体Pを大ホッパ21に投入すると、粉粒体Pは小ホッパ23Bの底まで到達して流れを停止し静止する。小ホッパ23Bの底部は粉粒体Pが安定して流れるよう、その断面形状は略水平な底板の両側に略垂直に立てた側板から構成され、更に小ホッパ23B片側の側壁面から外側に向かって略水平に、底部形状と同じ縦断面形状のトラフ23Cが伸び、小ホッパ23Bから粉粒体Pを外部に供給できる。大ホッパ21から小ホッパ23Bにかけてつながって静止している粉粒体Pの最下部、即ち小ホッパ23Bの底部にある粉粒体Pは、電磁フィーダ23が斜め前方、即ち粉粒体Pを供給する方向に往復微振動することにより、トラフ23C上を何層か重なった状態でトラフ23Cの先端部まで搬送され、最後に落下排出する。このときの単位時間当りの供給重量は、ロードセル22でリアルタイムに粉粒体Pの残重量を計量し、これを単位時間当りの減少重量に置き換えて供給重量を算出し、これがコントローラ24に入力した一定供給重量になるようにコントローラ24が電磁フィーダ23の振幅を制御する。供給重量を増加させる場合には振幅を大きくし、減少させる場合は振幅を小さくする。
【0010】
減算式電磁フィーダ20のトラフ23Cの先端部から落下排出される粉粒体Pの単位時間当りの供給重量は上述の如くに一定になる。このとき、トラフ23Cの縦断面形状、寸法は供給精度に大きく影響するので慎重に決定しなければならない。粉粒体Pは粒度調整してあるとはいうものの、ミクロ的には分級、偏析を起こしており、比重のばらつきが発生している。粉粒体Pを高精度で計量して供給するには、その影響を小さくしなければならないので、粉粒体Pの流れの断面積を小さくすることが重要である。即ち、トラフ23Cの幅を狭くし、トラフ23C上の粉粒体Pの厚みが薄くなるように供給する必要がある。トラフ23Cの幅は粉粒体Pの粒径との兼ね合いで決定され、狭すぎると小ホッパ23Bの側壁面部で詰まりを生じたり、流れが一時滞る現象が発生する。本実施例では粉粒体Pを最大粒径1400μm(平均粒径1100μm)の酸化カルシウムとしたが、小ホッパ23Bの側壁面の幅は6mmが下限であった。即ち、粉粒体Pをスムーズに滞りなく供給するには、トラフ23Cの搬送幅を粉粒体Pの最大粒径の4倍以上に設定する必要がある。また、小ホッパ23Bの側壁面の溝高さは最大粒径の3倍が下限であり、それ未満では流れが一時滞り、供給重量が不安定になる。
【0011】
粉粒体分配装置(分配手段)30は、図1、図3〜図5に示す如く、減算式電磁フィーダ20のトラフ23Cの先端部(排出端)の直下に配置されて等速移動する搬送手段31と、搬送手段31の移動方向に沿って該搬送手段31に定ピッチで固定される複数の分配容器32とを有する。
【0012】
搬送手段31は、図3に示す如く、サーボモータmにて連続回転される等速回転テーブル31Aからなり、分配容器32は回転テーブル31Aの周方向に定ピッチで固定され、回転テーブル31Aの周方向で相隣る分配容器32の入口と分配容器32の入口の間に図4に示す如くの横断面逆V字型の分配切刃33を配置してある。分配切刃33は、図5に示す如く、単位時間当りの供給重量を一定にして連続的にトラフ23Cを流れてきて落下排出される粉粒体Pの流れの帯(連続体)を、一定速度で回転する仕切りによりカットする如くにより、目標分配重量に対応する一定時間間隔で各分配容器32に分配する。
【0013】
分配容器32の底部にはシャッタ32Aが設けられる。トラフ23Cの先端部から分配容器32に分配された目標分配重量の粉粒体Pは回転テーブル31Aの回転によりそのまま粉粒体投入ガイド41から散布先まで搬送され、散布先でシャッタ32Aが開かれると、粉粒体Pを粉粒体投入ガイド41から落下排出する。その後、分配容器32はシャッタ32Aを再び閉じ、回転テーブル31Aの回転によりトラフ23Cの先端部の直下に再び位置付けられ、目標分配重量の新たな粉粒体Pを受け取る作業をくり返す。
【0014】
搬送手段31は、分配容器32を備える回転テーブル31Aに限らず、チェーンやタイミングベルトに定ピッチで分配容器32を固定したもの、分配容器32の各個にリニアモータを積んで自走させるもの等を採用できる。
【0015】
減算式電磁フィーダ20のトラフ23Cを流れる粉粒体Pの流速と、粉粒体分配装置30の分配精度とは密接な関係があり、高流速ほど分配精度を向上できる。即ち、トラフ23Cにおける粉粒体Pの流れを高流速にするほど、粉粒体Pの流れの帯を分割する横断面積が小さくなり、粉粒体Pの比重のばらつきの影響を最小限に抑えることを見い出した。
【0016】
従って、粉粒体計量装置10(減算式電磁フィーダ20、粉粒体分配装置30)によれば以下の作用効果を奏する。
【0017】
(a)単位時間当りの供給重量を一定にして連続的に供給される粉粒体Pの流れを、目標分配重量に対応する一定時間間隔で分配することにより、粉粒体Pの単位時間当りの分配重量を高精度に計量できる。
【0018】
(b)粉粒体Pを連続的に供給し、その粉粒体Pの流れを上述の一定時間間隔で分配するものであり、計量速度を速め、計量時間を短縮できる。
【0019】
(c)減算式電磁フィーダ20により粉粒体Pを連続供給してトラフ23Cに流し、この粉粒体Pの流れを粉粒体分配装置30により上述の一定時間間隔で分配することにより、計量精度とともに、計量速度を速め、計量時間を短縮できる。減算式電磁フィーダ20によって常にトラフ23Cの先端から排出される粉粒体Pの単位時間当りの重量が一定になるように制御されているから、供給される粉粒体Pを一定時間毎に仕切って取出せば、その重量は粒量の微小なばらつき範囲内に留まる。
【0020】
(d)粉粒体分配装置30が、トラフ23Cの排出端の直下に配置されて等速移動する搬送手段31と、搬送手段31の移動方向に沿って該搬送手段31に定ピッチで固定される分配容器32とを有してなることにより、減算式電磁フィーダ20が連続供給する粉粒体Pの流れを、簡易かつ高精度に一定の時間間隔で分配し、粉粒体Pの単位時間当りの分配重量を簡易かつ高精度に計量できる。
【0021】
尚、減算式電磁フィーダを用いて粉粒体Pを計量する従来技術の1つは、粉粒体Pを1回計量する度に、粉粒体Pの供給を停止する間欠供給方式をとり、全数を計量していく方法であるから計量精度は同様に保証される。しかしながら、計量能力は低く、特に計量値が小さい場合はその影響が大きい。例えば、一個の分配容器32で平均粒径850μmの酸化カルシウムを0.8gずつ計量するに際し、計量精度の変動係数を2%以内に収めるように計量する場合、従来技術では分配容器32一個当りの計量速度が1.5秒かかった。これに対し、本実施例の減算式電磁フィーダ20では連続計量方式を採用しているため、一個の分配容器32でほぼ同条件である平均粒径1100μmの酸化カルシウムを1.0g計量した場合、計量精度の変動係数を2%以内に収めることができるとともに、分配容器32一個当りの計量速度を0.3秒と短くすることができた。これは従来技術の5倍以上の計量速度である。特に、医薬品等の高付加価値の粉粒体の計量、供給に特に適しているが、0.01mm〜10mm程度の粒径の粉粒体、例えば茶葉、ペレット、大豆、小豆、固形砂の結晶性粉粒末、スナック菓子等の粉粒体を計量、供給するにも好適である。
【0022】
また、この計量装置100は、計量精度を高く維持したまま、計量速度を速くできるため、後工程の装置の能力を充分に発揮できる。
【0023】
(粉粒体散布装置40)(図1、図6〜図9)
粉粒体散布装置40は、粉粒体計量装置10の排出端に設けられている前述した粉粒体投入ガイド41の下方に間欠搬送ベルト42を間欠移動するように配置し、間欠搬送ベルト42の上に散布対象物1を載置し、散布対象物1を間欠搬送する。尚、散布対象物1は予めホットメルト等による接着性を帯びた散布区画1Aを定められ、シート状のマスキング手段2を散布対象物1の上に添設されて散布区画1Aの周囲をマスキングされる。
【0024】
粉粒体散布装置40において、粉粒体投入ガイド41は、分配手段30の分配容器32から排出される粉粒体Pを散布対象物1の接着性を帯びた散布区画1Aに投入する。そして、粉粒体散布装置40は、間欠搬送ベルト42の搬送経路に沿って、粉粒体投入ガイド41の直下に第1振動付与ステーション50Aを配置し、第1振動付与ステーション50Aの下流側に順に第1圧着ステーション60A、第2振動付与ステーション70A、第2圧着ステーション80Aを配置し、散布対象物1の散布区画1Aを間欠搬送ベルト42の間欠移動によりそれらのステーション50A、60A、70A、80Aに順に搬送して停止させる。尚、間欠搬送ベルト42の搬送経路に沿う第1振動付与ステーション50Aの上流側には、散布対象物1に接着性を帯びさせる接着剤塗工ステーション40A(図1)が配置される。
【0025】
第1振動付与ステーション50Aには第1振動付与手段50が設けられる。第1振動付与手段50は、モータ51により回転せしめられる四角板状の振動板52(図7)を間欠搬送ベルト42の下側に配置し、振動板52の角部52Aにより一定の周期で間欠搬送ベルト42の下面を打撃し、これによって散布対象物1に振動を与え、図9(A)に示す如く、散布区画1A内の粉粒体Pを該散布区画1Aの全域に拡散させる。
【0026】
第1圧着ステーション60Aには第1圧着手段60が設けられる。第1圧着手段60は、加圧手段(不図示)により加圧せしめられるスタンプ61を間欠搬送ベルト42の上方に配置し、図9(B)に示す如く、散布区画1A内の粉粒体Pを散布対象物1の接着性表面に圧着する。スタンプ61の圧着面は粉粒体Pにもホットメルト等にも付着しない、例えばシリコン61Aがコートされる。
【0027】
第2振動付与ステーション70Aには第2振動付与手段70が設けられる。第2振動付与手段70は、モータ71により回転せしめられる多角板状の振動板72(図8)を間欠搬送ベルト42の下方に配置し、振動板72の角部72Aにより一定の周期で間欠搬送ベルト42の下面を打撃し、これによって散布対象物1に第1振動付与手段50が加えるよりも激しい振動を与え、散布区画1A内の粉粒体Pを該散布区画1Aの全域に一層拡散させる。
【0028】
第2圧着ステーション80Aには第2圧着手段80が設けられる。第2圧着手段80は、加圧手段(不図示)により加圧せしめられるスタンプ81を間欠搬送ベルト42の上方に配置し、図9(C)に示す如く、散布区画1A内の粉粒体Pを散布対象物1の接着性表面に更に圧着する。スタンプ81の圧着面は粉粒体Pにもホットメルト等にも付着しないシリコン81Aがコートされる。
【0029】
以下、粉粒体散布装置40による粉粒体Pの散布方法を具体的に説明する。
粉粒体散布装置40において、散布対象物1の散布区画1Aに散布した粉粒体Pを均一に分散させるためには、粉粒体Pを散布区画1Aの表面に接着して動けなくする、例えばホットメルトが散布区画1Aの表面に予め塗工されていることが必要である。散布区画1Aの表面におけるホットメルトの塗工の形態は厚みが数10〜数100μmの連続帯であったり、スプレーで噴霧されたものであったり、また、同じパターンや異なるパターンの間隔を開けた繰り返しであっても良いが、ホットメルトが塗工されない非散布面には、飛散した粉粒体Pが落下して留まることによって、後工程に悪影響が出ないように、作業工程内において予め樹脂シート等のマスキング手段2でマスキングする。
【0030】
粉粒体投入ガイド41からの粉粒体Pの散布区画1Aの表面への散布直後、粉粒体Pのうちホットメルトに直接接触したものだけが、跳ね上がらずに散布区画1Aの表面に擬似的に接着固定化されるが、殆どのその余の粉粒体Pはその上部に堆積して静止する。この状態では、一部の粉粒体Pのみがホットメルトに擬似接着しているだけであり、そのままの状態でそれら粉粒体Pの上部から圧迫してホットメルトに押し付けても、ホットメルトに確実に接着される粉粒体Pは僅かしかない。そこで、粉粒体投入ガイド41の直下の第1振動付与ステーション50Aにおいて、散布区画1Aの表面上に堆積している非接着の粉粒体Pの多くをホットメルトまで到達させるため、第1振動付与手段50の振動板52により散布対象物1の散布面を上下に微振動させる。この操作で非接着の粉粒体Pは散布区画1Aの概ね全体に拡散される。その後、第1圧着ステーション60Aにおいて、第1圧着手段60のスタンプ61により、散布区画1A内の粉粒体Pを上部から圧迫してホットメルトに押し付ける。この操作により大方の粉粒体Pがホットメルトに固定化されるが、他の粉粒体P同士に挟まれていたり、他の粉粒体Pの上部に乗ってしまっている粉粒体Pは、散布区画1Aの表面に非接着である。そこで、それらの非接着粉粒体Pを散布区画1Aのホットメルトが露出している部分に到達させるように、第2振動付与ステーション70Aにおいて、第2振動付与手段70の振動板72により散布対象物1Aの散布面を更に上下に微振動させ、非接着の粉粒体Pを浮かしたり、転がしたりし、ホットメルトの露出部分に接触させ、第2圧着ステーション80Aにおいて、第2圧着手段80のスタンプ81により散布区画1A内の粉粒体Pを再び上部から圧迫してホットメルトに押し付ける。
【0031】
粉粒体散布装置40において、散布区画1Aの散布面積が真円形1200mm2(約φ39mm)の場合、第1振動付与手段50による1回目の微振動条件は、振幅0.2mmで16回/0.5秒、第2振動付与手段70による2回目の微振動条件は、振幅0.7mmで40回/0.6秒である。散布区画1Aの散布面積が広過ぎたり、散布区画1Aの形状が非対称であったりすると、振動が均一に伝わり難く、粉粒体Pの分散精度が悪くなる。その後、散布対象物1からマスキング手段2を取り去り、粉粒体Pが散布区画1Aに均一に接着された散布対象物1を後工程に供給する。
【0032】
従って、粉粒体散布装置40によれば以下の作用効果を奏する。
(a)散布対象物1の接着性を帯びた散布区画1Aに粉粒体Pを投入した状態で、散布対象物1に振動を与え、散布区画1A内の粉粒体Pを該散布区画1Aの全域に拡散させることにより、散布区画1Aに投入されて堆積する多くの粉粒体Pを散布区画1Aの概ね全域に拡散させて接着剤まで到達させることができる。更に、圧着手段60、80により散布区画1A内の粉粒体Pを散布対象物1に圧着することにより、粉粒体Pを散布対象物1に均一散布して接着できる。
【0033】
(b)散布対象物1に振動を与えて粉粒体Pを散布区画1Aの概ね全域に拡散させる動作と、散布区画1A内の粉粒体Pを散布対象物1に圧着させる動作を、第1と第2の振動付与ステーション50A、70Aと第1と第2の圧着ステーション60A、80Aにおいてそれぞれ2度くり返すことにより、粉粒体Pを散布対象物1に確実に、均一散布して接着できる。
【0034】
(c)散布対象物1にマスキング手段2を設け、散布区画1Aの周囲をマスキングすることにより、粉粒体Pが散布区画1Aの外に飛散落下して留まることを防止できる。
【0035】
粉粒体散布装置40にあっては、第1振動付与ステーション50Aと第1圧着ステーション60Aだけを有し、第2振動付与ステーション70Aと第2圧着ステーション80Aを有しないものとしても良い。
【0036】
尚、本実施例では、散布対象物1の散布区画1Aに粉粒体Pを固定化するとき、散布区画1Aの表面にホットメルトを塗工したが、ホットメルトは製品の一部として機能させることを前提とし、使用後まで、存在させて最終的に廃棄物として処理するものとする。但し、製品の仕様や使い方によっては、接着剤が製品の機能に影響してしまうので、接着剤を使用時に存在させたくない場合もあり得る。その場合には、接着剤として製造時にのみ一時的に接着効果を生ずるだけのものを塗工する必要がある。接着剤として理想的なものは、粉粒体Pを散布、接着固定化後、乾燥や揮発させることによって、その存在を皆無にするものである。但し、接着剤が存在しなくなることは即ち、粉粒体Pが自由に動けるようになることを意味するので、均一に分散した粉粒体Pを、別な手段で固定化しなければならない。その別な手段は、不織布を被せたり、スポンジを押し当てたり、散布面を過熱、溶解してアンカー効果を出したり等、多様な手段が考えられる。
【0037】
図10、図11に示すように、本発明は、粉粒体計量装置100における粉粒体分配装置30の分配容器32の直下に、ボトル、瓶、袋、箱等の容器201(302)を通過させ、計量した粉粒体を該容器201(302)に直接充填し、充填後に該容器201(302)の開口部を包装すれば、高能力な粉粒体計量充填包装機として幅広い分野で応用が可能である。
【0038】
図10にあっては、搬送ベルト200が搬送してくる空の箱201を粉粒体分配装置30の粉粒体排出ステーションの直下に位置付け、粉粒体排出ステーションに位置付けられる分配容器32に前述の如くに分配されている目標分配重量の粉粒体Pが、分配容器32のシャッタ32Aを開くことにより箱201に落下投入される。粉粒体P投入後の箱201は、その後蓋フラップを糊付けされてシールされる。
【0039】
図11にあっては、シール機300の左右のサイドシーラー300Aに巻き掛けられる左右のフィルム301の会合部を粉粒体分配装置30の粉粒体排出ステーションの直下に設置している。粉粒体排出ステーションに位置付けられる分配容器32に前述の如くに分配されている目標分配重量の粉粒体Pが、分配容器32のシャッタ32Aを開くことにより左右のフィルム301の会合部上に落下投入され、左右のフィルム301はサイドシーラー300Aで両サイド部をシールされ、エンドシーラー300Bでボトム部とトップ部を順にシールされ、カッタ300Cで各1個の袋302に切断され、結果として粉粒体P投入済の袋302が製造される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は粉粒体計量散布装置を示す模式平面図である。
【図2】図2は減算式電磁フィーダを示す模式側面図である。
【図3】図3は粉粒体計量装置を示す模式正面図である。
【図4】図4は粉粒体計量装置を示す模式側面図である。
【図5】図5は粉粒体計量装置の分配原理を示す模式図である。
【図6】図6は粉粒体散布装置を示す模式側面図である。
【図7】図7は第1振動付与手段を示す模式図である。
【図8】図8は第2振動付与手段を示す模式図である。
【図9】図9は散布区画における粉粒体拡散状態を示す模式図である。
【図10】図10は本発明を粉粒体計量充填包装機に用いた一例を示す模式図である。
【図11】図11は本発明を粉粒体計量充填包装機に用いた他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 散布対象物
1A 散布区画
2 マスキング手段
40 粉粒体散布装置
50 第1振動付与手段
60 第1圧着手段
70 第2振動付与手段
80 第2圧着手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
散布対象物の接着性を帯びた散布区画に粉粒体を投入し、
散布対象物に振動を与え、散布区画内の粉粒体を該散布区画の全域に拡散させ、
散布区画内の粉粒体を圧着手段により散布対象物に圧着する粉粒体散布方法。
【請求項2】
散布対象物の接着性を帯びた散布区画に粉粒体を投入し、
散布対象物に振動を与え、散布区画内の粉粒体を該散布区画の全域に拡散させ、
散布区画内の粉粒体を第1圧着手段により散布対象物に圧着し、
散布対象物に再び振動を与え、散布区画内の粉粒体を該散布区画の全域に再び拡散させ、
散布区画内の粉粒体を第2圧着手段により散布対象物に再び圧着する粉粒体散布方法。
【請求項3】
前記散布対象物にマスキング手段を設け、散布区画の周囲をマスキングする請求項1又は2に記載の粉粒体散布方法。
【請求項4】
散布対象物の接着性を帯びた散布区画に粉粒体を投入する粉粒体投入手段と、
散布対象物に振動を与え、散布区画内の粉粒体を該散布区画の全域に拡散させる振動付与手段と、
散布区画内の粉粒体を散布対象物に圧着する圧着手段とを有してなる粉粒体散布装置。
【請求項5】
散布対象物の接着性を帯びた散布区画に粉粒体を投入する粉粒体投入手段と、
散布対象物に振動を与え、散布区画内の粉粒体を該散布区画の全域に拡散させる第1振動付与手段と、
散布区画内の粉粒体を散布対象物に圧着する第1圧着手段と、
散布対象物に再び振動を与え、散布区画内の粉粒体を該散布区画の全域に拡散させる第2振動付与手段と、
散布区画内の粉粒体を第2圧着手段により散布対象物に再び圧着する第2圧着手段とを有してなる粉粒体散布装置。
【請求項6】
単位時間当りの供給重量を一定にして連続的に供給される粉粒体を、目標分配重量に対応する一定時間間隔で分割し、目標分配重量の粉粒体を計量して粉粒体散布装置へ供給する粉粒体計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−175657(P2007−175657A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379538(P2005−379538)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】