説明

粒子状亜鉛物質、ピリチオン又はピリチオンの多価金属塩、及びゲル網状組織を含む組成物

本発明は、有効量の粒子状亜鉛物質と、アニオン性官能基を持つ界面活性剤を含む有効量の洗浄性界面活性剤と、有効量のピリチオン又はピリチオンの多価金属塩と、分散ゲル網状組織相であって、i)シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の脂肪族両親媒性物質と、ii)該シャンプー組成物の少なくとも約0.01重量%の1つ以上の二次界面活性剤と、iii)水と、を含む分散ゲル網状組織相と、該シャンプー組成物の少なくとも約20重量%の水性キャリアと、を含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効量の粒子状亜鉛物質と、アニオン性官能基を持つ界面活性剤と、有効量のピリチオン又はピリチオンの多価金属塩と、脂肪族両親媒性物質を含むゲル網状組織とを含む組成物に関する。より具体的には、本発明は、パーソナルケア組成物並びにふけを処置するための方法及び組成物に関し、これは改善された抗ふけ活性を提供する。
【背景技術】
【0002】
微量金属のうち、亜鉛は、人体で2番目に豊富な金属であり、多種多様な金属酵素に含まれることでほぼ全てのバイオプロセスを直接的又は間接的に触媒する。亜鉛の果たす重要な役割は、皮膚炎、拒食症、脱毛症、及び全体的成長障害を包含する食事性欠乏症状とは区別することができる。亜鉛は、皮膚の健康に特に重要であると考えられ、3000年以上にわたって様々な皮膚症状を制御するために(典型的に、酸化亜鉛又はカラミンの形態で)使用されてきた。最近のデータは、しばしば治癒速度の向上をもたらす、損傷した皮膚に対する局所的亜鉛処置の治癒及び回復特性をより明確に示している。この現象の生化学的根拠はますます増大している。ふけが頭皮の皮膚への顕著な損傷を表すことが以前から示されているので、局所的亜鉛処置は、回復プロセスに役立ち得る。
【0003】
ヒドロキシ炭酸亜鉛及び酸化亜鉛のような無機塩は、塗料、コーティング、及び消毒剤を包含する多種多様な製品で、静菌性及び/又は静真菌性化合物として採用されてきた。しかし、亜鉛塩は、多くの抗ふけ用途及びスキンケア用途に望まれるであろうだけの高い水準の殺菌効力を持たない。
【0004】
利用できるオプションにもかかわらず、消費者はまだ、乾燥した毛髪に改善されたコンディショニング効果とともに優れた抗ふけ有効性を提供する一方で、洗浄又は抗ふけ有効性を妨げず、又は乾燥しても毛髪に負の感触を提供しないシャンプーを望んでいる。こうした組み合わせは困難であり得る。
【0005】
シャンプーは、過剰な汚れや皮脂を除去することによって毛髪を清潔にする。しかしシャンプーは、毛髪を濡れた、もつれた、一般には扱いにくい状態にし得る。毛髪がいったん乾燥すると、毛髪の天然油分、他の天然コンディショニング構成要素及び潤いを与える構成要素が除去されるため、毛髪は、乾燥し、荒れて、光沢のない、又は縮れた状態になることが多い。更に毛髪は、乾燥時に静電気が増えた状態になり得、このために櫛通りが悪くなり、一般的に「まとまりのない髪(fly-away hair)」と呼ばれる状態を起こし得る。
【0006】
これらのシャンプー後の問題を緩和するために多様な試みが展開されてきた。これらの試みは、シャンプー後にリーブオン製品やリンスオフ製品のようなヘアコンディショナーを適用することから、単一製品で毛髪の洗浄とコンディショニングの両方を行おうとするヘアコンディショニングシャンプーにまで及んでいる。
【0007】
洗浄シャンプー基剤にヘアコンディショニング効果を与えるため、多種多様なコンディショニング活性物質が提案されてきた。しかし、これらの活性物質の多くは、汚れた又はコーティングされた毛髪の感触を残す、及びシャンプーの洗浄効能を妨げるという短所を有する。
【0008】
シャンプー組成物中でコアセルベートを形成すると、毛髪へのコンディショニング効果の提供に対して有利であることが知られている。コアセルベート形成のためのカチオン性ポリマーの使用は、例えばPCT国際公開特許WO 93/08787及びWO 95/01152のような当該技術分野において既知である。しかし、これらのシャンプー組成物は、濡れた毛髪のコンディショニングを供給するには良好であるが、乾燥した毛髪に満足できるきれいな/滑らかな感触を与えることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】PCT国際公開特許WO 93/08787
【特許文献2】PCT国際公開特許WO 95/01152
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述に基づき、乾燥した毛髪に改善されたコンディショニング効果を提供できる一方で、洗浄有効性を妨げない又は毛髪が乾燥しても毛髪に負の感触を提供しないコンディショニングシャンプーが必要である。具体的には、優れた抗ふけ有効性を提供し、長時間継続する潤いの感触、きれいな/滑らかな感触、及び毛髪が乾燥したときの毛髪の扱い易さ制御を更に提供し、脂っぽい毛髪感触を残さず、加えて毛髪が湿っているときの柔軟性及び櫛通りの容易さを提供するシャンプーが必要である。
【0011】
既存の技術には、本発明の利点及び効果の全てを提供するものはない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態は、有効量の粒子状亜鉛物質と、アニオン性官能基を持つ界面活性剤を含む有効量の界面活性剤と、有効量のピリチオン又はピリチオンの多価金属塩と、分散ゲル網状組織相であって、i)シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の脂肪族両親媒性物質と、ii)シャンプー組成物の少なくとも約0.01重量%の1つ以上の二次界面活性剤と、iii)水と、を含む分散ゲル網状組織相と、シャンプー組成物の少なくとも約20重量%の水性キャリアと、を含む組成物を目的とする。
【0013】
本開示を読むことで、本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点が、当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を特に指摘し、明確に特許請求している特許請求の範囲をもって、本明細書は結論を下すが、本発明は以下の説明からより良く理解されるであろうと考えられる。
【0015】
今や驚くべきことに、本発明に従うと、局所適用組成物における抗ふけ有効性は、有効量の粒子状亜鉛物質とアニオン性官能基を持つ界面活性剤とを組み合わせることによって、劇的に上昇し得、こうした局所適用組成物は、こうした局所適用組成物においてゲル網状組織を使用することによって、毛髪が乾燥しているとき、長時間継続する潤いの感触、きれいな/滑らかな感触、及び扱い易さ制御を毛髪に更に提供することが見出された。
【0016】
本発明の一実施形態においては、粒子状亜鉛物質は、界面活性剤系において特定の亜鉛反応活性度を有する。亜鉛反応活性度は、亜鉛イオンの化学的利用能の基準である。溶液中で他の種と錯体を形成しない可溶性亜鉛塩は、定義上、100%の相対亜鉛反応活性度を有する。ある程度可溶性の形態の亜鉛塩を使用し、及び/又は潜在的な錯形成剤(potential complexants)と共にマトリックス中に組み込むと、一般に亜鉛反応活性度は、定義された100%最大値のかなり下まで低下する。
【0017】
有効な粒子状亜鉛物質の選択によって、又は既知の方法により有効な粒子状亜鉛物質をその場で形成させることによって、反応活性度の高い亜鉛が維持される。
【0018】
今や驚くべきことに、本発明に従うと、局所適用組成物における抗ふけ有効性は、粒子状亜鉛物質と組み合わせて亜鉛ピリチオンのようなピリチオンの多価金属塩を使用することにより、劇的に上昇し得、ゲル網状組織を含むことによって、改善されたコンディショニング効果を更にもたらすことが見出された。したがって、本発明の実施形態は、皮膚及び頭皮に対して改善された効果(例えば、改善された抗ふけ有効性及び改善されたコンディショニング)を有する局所適用組成物を提供する。
【0019】
本発明の一実施形態は、亜鉛源が粒子状の形態で存在する、粒子状亜鉛物質分散液のための安定な組成物を提供する。粒子状亜鉛物質には特有の物理的特性及び化学的特性があるので、粒子状亜鉛物質を含有する水性の系を配合するのは困難であることが示されている。粒子状亜鉛物質は、高い密度(およそ3g/cm3)を有する可能性があり、凝集又は沈殿しないようにするには、製品全体に一様に分散させる必要がある。また粒子状亜鉛物質は、非常に反応性の高い表面化学的性質を有し、更にpH値が6.5未満の系に溶解する傾向にある。更に、驚くべきことに、アニオン性官能基を有する界面活性剤の存在下で、粒子状亜鉛物質の反応活性度が高いままであることが見出されている。
【0020】
溶解度が25%未満の粒子状亜鉛物質は、亜鉛化合物の重量パーセント及び分子量によって決定される閾値よりも低い、測定可能な可溶性亜鉛値(%)を有するであろう。理論上の閾値は、次式によって計算することができる:
【0021】
【数1】

【0022】
本発明の実施形態は、25℃において約25重量%未満の水性溶解度を有する有効量の粒子状亜鉛物質と、アニオン性官能基を持つ洗浄性界面活性剤を含む有効量の界面活性剤と、有効量のピリチオン又はピリチオンの多価金属塩と、分散ゲル網状組織相であって、i)シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の脂肪族両親媒性物質と、ii)シャンプー組成物の少なくとも約0.01重量%の1つ以上の二次界面活性剤と、iii)水と、を含む分散ゲル網状組織相と、シャンプー組成物の少なくとも約20重量%の水性キャリアと、を含む組成物を目的とし、更に組成物のpHは約6.5超である。
【0023】
これら及び他の効果は、発明を実施するための形態から容易に明らかになるであろう。
【0024】
本発明は、本明細書に記載した発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載した追加若しくは任意の成分、構成要素又は制限事項のいずれも含むことができ、これらからなることができ、又はこれらから本質的になることができる。
【0025】
特に指定しない限り、百分率、割合、及び比率は全て、本発明の組成物の総重量に基づく。列記した成分に関するこうした重量は全て、活性物質濃度に基づいており、したがって市販材料に含まれる可能性があるキャリア又は副生成物を含まない。
【0026】
以下では、任意に添加してよいものを含む、本発明の様々な実施形態の構成要素及び/又は工程を詳細に記載する。
【0027】
引用する全ての文書は、関連部分において本明細書に参照により組み込まれるが、いかなる文書の引用も、それが本発明に関して先行技術であるということの承認として解釈すべきではない。
【0028】
特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。
特に記載のない限り、全ての温度は摂氏である。
【0029】
他に注記がなければ、分量、百分率、部分、及び比を含む全ての量は、「約」という言葉によって修飾されるものと理解され、量は、有効数字を示すことを意図したものではない。
【0030】
特に記載する場合を除き、冠詞「a」、「an」及び「the」は「1つ以上」を意味する。
【0031】
本明細書では、「含む」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の成分を加えることができることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。本発明の組成物及び方法/プロセスは、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されるいかなる追加若しくは任意の成分、構成要素、工程、又は限定を含む、これらからなる、及びこれらから本質的になることができる。
【0032】
本明細書において「有効な」とは、処置する状態の著しく好ましい改善をもたらすのに十分高い対象活性物質の量を意味する。対象活性物質の有効量は、処置する特定の状態、状態の深刻さ、処置期間、併用している処置の性質及び同様の要因により異なるであろう。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「電荷密度」とは、ポリマー上の正電荷の数と前記ポリマーの分子量との比を指す。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」とは、1種類のモノマーの重合によって作られるか、又は2種類以上のモノマーによって作られる(すなわち、コポリマー)物質が含まれるものとする。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「シャンプー」とは、毛髪又は頭皮、顔、及び体を含む皮膚を洗浄及びコンディショニングするための組成物を意味する。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「ヒトの毛髪への適用に好適」とは、そのように記載された組成物又はその構成要素が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応等を伴わず、ヒトの毛髪及び頭皮及び皮膚と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用語「水溶性」とは、ポリマーが本組成物中の水に可溶性であることを意味する。一般に、ポリマーは25℃で、水溶媒の0.1重量%、好ましくは1重量%、より好ましくは5重量%、最も好ましくは15重量%の濃度で可溶性であるべきである。
【0038】
本発明のシャンプー組成物は、1つ以上の洗浄性界面活性剤、粒子状亜鉛物質、ピリチオン又はピリチオンの多価金属塩、分散ゲル網状組織相、及び水性キャリアを含む。これらの各必須成分、並びに好ましい又は任意の成分は、本明細書で以下に詳細に記載される。
【0039】
A.粒子状亜鉛物質
本発明の組成物は、有効量の粒子状亜鉛物質を包含する。本発明の好ましい実施形態は、約0.001%〜約10%、より好ましくは約0.01%〜約7%、更により好ましくは約0.1%〜約5%の粒子状亜鉛層状物質を包含する。
【0040】
粒子状亜鉛物質(PZM)は、配合された組成物中でほぼ不溶性のままの亜鉛含有物質である。PZMの多くの効果は、亜鉛イオンが可溶性であることなく化学的に利用可能であることを必要とし、これを亜鉛反応活性度と呼ぶ。粒子状物質の物理的特性は、反応活性度に影響を及ぼす可能性がある。本発明者らは、亜鉛反応活性度に影響を及ぼすいくつかの因子を発見し、したがって、PZMを主体とする、より有効な配合の開発をもたらしている。
【0041】
PZMの亜鉛反応活性度を最適化するのに重要であることが明らかになっている粒子の物理的特性は、粒子のモルホロジー、表面積、結晶化度、嵩密度、表面電荷、屈折率、及び純度水準、並びにこれらの組み合わせである。これら物理的特性を制御すると、製品性能が向上することが明らかになっている。
【0042】
本発明の特定の実施形態で有用な粒子状亜鉛物質の例としては、以下のものが挙げられる。
【0043】
無機物質:アルミン酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛及び酸化亜鉛含有物質(すなわち、カラミン)、リン酸亜鉛(すなわち、オルトリン酸塩及びピロリン酸塩)、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、ケイ酸亜鉛(すなわち、オルト−及びメタ−ケイ酸亜鉛)、ケイフッ化亜鉛、ホウ酸亜鉛、水酸化亜鉛及びヒドロキシ硫酸亜鉛、亜鉛含有層状物質、並びにこれらの組み合わせ。
【0044】
更に層状構造は、主として二次元で生じる結晶の成長を有するものである。層構造は、全ての原子が明確な層に組み込まれているものとしてだけではなく、ギャラリーイオン(gallery ion)と呼ばれる、層の間にイオン又は分子があるものとすることが慣例的である(A.F.ウェルズ(A. F. Wells)の「構造無機化学(Structural Inorganic Chemistry)」、クラレンドン出版(Clarendon Press)、1975年)。亜鉛含有層状物質(ZLM)は、層に組み込まれている亜鉛を有していてもよく、及び/又はギャラリーイオンの反応活性度の高い構成要素として亜鉛を有してもよい。
【0045】
多くのZLMが鉱物として自然発生する。一般例としては、水亜鉛土(炭酸水酸化亜鉛)、塩基性炭酸亜鉛、緑亜鉛鉱(亜鉛炭酸水酸化銅)、亜鉛孔雀石(銅炭酸水酸化亜鉛)、及び亜鉛を含有する多くの関連する鉱物が挙げられる。天然のZLMもまた発生可能であり、その際、粘土型鉱物(例えばフィロシリケート)のようなアニオン性層の種には、イオン交換した亜鉛ギャラリーイオンが含有されている。これらの天然物質の全てはまた、合成的に得ることもでき、又は組成物中にその場で若しくは製造プロセスの間に生じさせることもできる。
【0046】
必ずしもいつもではないが、多くの場合、合成のZLMの別の一般的な部類は、層状複水酸化物であり、これは、一般的に式[M2+1-x3+x(OH)2x+m-x/m・nH2Oで表され、いくつかの又は全ての二価のイオン(M2+)は、亜鉛イオンとして表されるであろう(Crepaldi、EL、Pava、PC、トロント(Tronto)、J、Valim、JB J.コロイド界面科学ジャーナル(J. Colloid Interfac. Sci.)2002年、248、429〜42)。
【0047】
ヒドロキシ複塩と呼ばれる、ZLMの更に他の種類を調製することができる(H.モリオカ(Morioka,H.)、H.タガヤ(Tagaya,H.)、M.カラス(Karasu,M)、J.カドカワ(Kadokawa,J)、K.チバ(Chiba,K)、「無機化学(Inorg.Chem.)」、1999年、38、4211〜4216)。ヒドロキシ複塩は、一般式[M2+1-x2+1+x(OH)3(1-y)+n-(1=3y)/n・nH2Oにより表されることができ、その場合2つの金属イオンは異なってもよいが、これらが同じであり亜鉛により表される場合は、式は[Zn1+x(OH)22x+2xA-・nH2Oに単純化される。この後者の式(式中、x=0.4)は、ヒドロキシ塩化亜鉛及びヒドロキシ硝酸亜鉛のような一般物質を表す。これらは、同様に水亜鉛土にも関連し、その際、二価のアニオンは一価のアニオンに置き換えられる。これらの物質はまた、組成物中にその場で又は製造プロセスの間に生じさせることもできる。
【0048】
ZLMのこれらの種類は、一般カテゴリーの比較的一般的な例を表すが、この定義に適合するより広範囲の物質に関する限定を意図するものではない。
【0049】
天然の亜鉛含有物質/鉱石及び鉱物:スファレライト(閃亜鉛鉱)、ウルツ鉱、菱亜鉛鉱、フランクリン鉄鉱、紅亜鉛鉱、ケイ酸亜鉛鉱、トルースタイト、異極鉱、及びこれらの組み合わせ。
【0050】
有機塩:脂肪酸亜鉛塩(すなわち、カプロン酸塩、ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩等)、アルキルスルホン酸の亜鉛塩、ナフテン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、フィチン酸亜鉛、ジンクモノグリセロールエート(Zinc monoglycerolate)、ジンクアラントインエート(Zinc allantoinate)、尿酸亜鉛、アミノ酸亜鉛塩(すなわち、メチオネート、フェニルアリナート(phenylalinate)、トリプトファナート、システイナート等)、及びこれらの組み合わせ。
【0051】
高分子塩:ポリカルボン酸亜鉛(すなわち、ポリアクリレート)、ポリ硫酸亜鉛、及びこれらの組み合わせ。
【0052】
物理的に吸着された形態:亜鉛荷重イオン交換樹脂、粒子表面上に吸着された亜鉛、亜鉛塩が組み込まれた複合粒子(すなわちそれらの核/殻又は集合体形態として)、及びこれらの組み合わせ。
【0053】
亜鉛塩:シュウ酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、クエン酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、オレイン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫化亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛及び同類のもの、並びにこれらの混合物、好ましくは酸化亜鉛又は炭酸亜鉛塩基。
【0054】
酸化亜鉛の市販の供給元としては、Z−コート(Cote)及びZ−コートHPI(BASF)、並びにUSP I及びUSP II(ジンク・コーポレーション・オブ・アメリカ(Zinc Corporation of America))が挙げられる。
【0055】
炭酸亜鉛の市販の供給元としては、炭酸亜鉛塩基(ケイター・ケミカルズ(Cater Chemicals)、米国イリノイ州ベンセンビル)、炭酸亜鉛(シェパード・ケミカルズ(Shepherd Chemicals)、米国オハイオ州ノーウッド)、炭酸亜鉛(CPSユニオン社(CPS Union Corp.)、米国ニューヨーク州ニューヨーク)、炭酸亜鉛(エレメンティス・ピグメンツ(Elementis Pigments)、英国ダーラム)、及び炭酸亜鉛AC(ブリュッゲマン・ケミカル(Bruggemann Chemical)、米国ペンシルベニア州ニュートンスクエア)が挙げられる。
【0056】
また塩基性炭酸亜鉛は、商業的には「炭酸亜鉛」又は「炭酸亜鉛塩基」又は「水酸化炭酸亜鉛」と呼ばれる可能性もあるが、天然起源の水亜鉛土に類似した物質からなる合成版である。理想的な化学量論は、Zn5(OH)6(CO32により表されるが、実際の化学量論的比は僅かに変化することができ、また他の不純物が結晶格子内に組み込まれてもよい。
【0057】
PZMの粒径
本発明の一実施形態では、より小さい粒径が、相対亜鉛反応活性度に反比例することが見出されている。本発明の一実施形態では、粒子状亜鉛物質は、粒子の90%が約50ミクロン未満である粒径分布を有する可能性がある。
【0058】
PZMの表面積
本発明の一実施形態では、表面積と相対亜鉛反応活性度との間に直接的な関係がある可能性がある。粒子の表面積が増大すると、一般に、動的因子によって亜鉛反応活性度が増大する。粒子の表面積は、粒径を縮小させることによって、及び/又は、多孔質粒子、若しくはその全体的な形状が幾何学的に球体から外れた粒子をもたらすように粒子のモルホロジーを変化させることによって、増大させることができる。本発明の実施形態において、塩基性炭酸亜鉛は、約10m2/gmを超える表面積を有していてもよい。
【0059】
亜鉛結合物質
亜鉛に対して高い親和性を有し、結果として亜鉛の不溶性錯体を形成する傾向がある物質は、粒子状亜鉛物質(PZM)の表面を汚染し得る。「汚染する」とは、亜鉛結合物質(ZBM)亜鉛塩の不溶性表面層を形成し、それが塩基性PZM物質からの亜鉛の動的反応活性度を妨げることを意味する。ZBMの負の作用の大きさは、亜鉛との結合強度とZBMの相対量(PZM表面積に関して)との積である。PZMは、動的反応活性度を実質的に阻害することなく表面被覆の一部を許容できる。
【0060】
PZM表面に結合する可能性の高いこうした物質は、水中で亜鉛と難溶性の塩のみを形成するZBMである。「難溶性」とは、1g/100g水以下の溶解度を有する亜鉛塩を指す。これらは、亜鉛反応活性度を妨げるPZM上の沈殿した表面種を形成する物質である。亜鉛結合物質のいくつかの非限定例は、ラウリン酸塩、クエン酸塩、吉草酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、ヨウ素酸塩、チオシアン酸塩、シアン化物、硫化物、ピロリン酸塩、リン酸塩及びこれらの混合物である。一般的な亜鉛塩の溶解度の概要及び亜鉛結合物質の更なる開示は、米国特許出願第11/216,520号(2005年8月31日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の9〜12頁に見られる。
【0061】
多くの一般的な原料は、偶発的なZBMの供給源であってよい。例えば、脂肪酸の場合、トリグリセリド又は脂肪酸を起源とするいずれかの物質は、使用される際、原料中に特定濃度の脂肪酸ZBMを含有し得るであろう。
【0062】
PZMからの亜鉛反応活性度の最大化は、ZBMの存在を完全に回避するか、又はPZMの表面積の完全な被覆(すなわち飽和)を避けるために物質の量を制限することが必要である。PZMを完全に覆うのに必要なZBMの量の概算は、PZMの有効表面積及びZBMが表面にどれほど密に充填できるかという知識に基づいて計算できる。次の例は、ZBMがPZM表面全体を飽和及び汚染する見通しを概算するプロセスを示す。界面活性剤が油−水境界面にて吸着するのと類似の様式で、ZBMが表面に充填される一般的な場合について計算される。この場合、1分子当たりに占める表面積についての一般的な値は、30Å2(3×10-7μ2に等しい)である。測定表面積(SA、m2/g単位)を持つPZMの1グラム当たりについて計算される。
【0063】
【数2】

【0064】
したがって、5.5マイクロモルのZBMが、表面積1m2/gを有するPZM1gを飽和するであろう。したがって、本発明に関して、組成物は、粒子状亜鉛物質(PZM)表面積m2/g表面積当たり、粒子状亜鉛物質(PZM)1g当たり5.5マイクロモル未満の亜鉛結合物質(ZBM)を含むのが望ましい。
【0065】
表面積が30m2/gの炭酸亜鉛(PZM)及びZBMとしてのラウリン酸塩の例では、計算は次のようになる:
【0066】
【数3】

【0067】
したがって、約0.03gのラウリン酸塩は、特定表面積を有する1グラムの炭酸亜鉛PZMの表面を飽和及び汚染する。この種類の分析に基づいて、他の「汚染濃度」は、特定ZBM−PZMの組み合わせに関して確立できる。しかし、この例は、濃度範囲の概算を与えるものであり、PZMの亜鉛反応活性度を保証するためには濃度が制御される必要がある。
【0068】
したがって、より具体的には、上記で特定された1.6%の炭酸亜鉛を含有する処方は、有効であるために0.048%(480ppm)未満のラウリン酸塩濃度を必要とする。これは、直接添加されるか、又は他の原料の添加によって配合物に偶発的に侵入するかにかかわらず、存在するラウリン酸塩全体を示す。またこの濃度は、他のZBMが存在しないことを想定し、存在する場合は、それぞれの場合において、別々に考慮して、合計量が表面飽和濃度未満を維持する必要がある。
【0069】
B.ピリチオン又はピリチオンの多価金属塩
好ましい実施形態では、本発明はピリチオン又はピリチオンの多価金属塩を含んでよい。小板状及び針晶構造を含む、いかなる形態の多価金属のピリチオン塩を用いてもよい。本明細書での使用に好ましい塩としては、多価金属のマグネシウム、バリウム、ビスマス、ストロンチウム、銅、亜鉛、カドミウム、ジルコニウム及びこれらの混合物から、より好ましくは亜鉛から形成されるものが挙げられる。本明細書で用いるのに更により好ましいのは、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの亜鉛塩(「ジンクピリチオン」又は「ZPT」として知られている)であり、より好ましくは小板状粒子形態のジンクピリチオンであり、その際、この粒子の平均の大きさは、約20μmまで、好ましくは約5μmまで、より好ましくは約2.5μmまでである。
【0070】
ピリジンチオン抗菌剤及び抗ふけ剤は、例えば、米国特許第2,809,971号、米国特許第3,236,733号、米国特許第3,753,196号、米国特許第3,761,418号、米国特許第4,345,080号、米国特許第4,323,683号、米国特許第4,379,753号、及び米国特許第4,470,982号に記載されている。
【0071】
ジンクピリチオンを本明細書の抗菌組成物中の抗菌粒子として使用すると、付加的な効果である発毛若しくは再生が促進若しくは調節される可能性があり、又はその両方である可能性があり、又は脱毛が減少若しくは抑制される可能性があり、又は毛髪がより濃く見える、若しくはより豊富に見える可能性があることが更に考えられる。
【0072】
ジンクピリチオンは、米国特許第2,809,971号に例証されているように、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン(すなわち、ピリチオン酸)又はその可溶性塩を亜鉛塩(例えば硫酸亜鉛)と反応させてジンクピリチオン沈殿を形成することによって製造されてもよい。
【0073】
好ましい実施形態は、約0.01%〜約5%、より好ましくは約0.1%〜約2%のピリチオン又はピリチオンの多価金属塩を含む。
【0074】
粒子状亜鉛物質及びピリチオン又はピリチオンの多価金属塩を有する実施形態では、粒子状亜鉛物質と、ピリチオン又はピリチオンの多価金属塩との比は、好ましくは5:100〜10:1、より好ましくは約2:10〜5:1、更により好ましくは1:2〜3:1である。
【0075】
C.局所用キャリア
好ましい実施形態では、本発明の組成物は局所用組成物の形態であり、これには局所用キャリアが含まれる。好ましくは、局所用キャリアは、形成される組成物の種類に応じて、従来の広範囲のパーソナルケアキャリアから選択される。適合性のあるキャリアを適切に選択することによって、このような組成物を、コンディショニングトリートメント、洗浄製品、例えば毛髪及び/又は頭皮シャンプー、ボディウォッシュ、手用洗剤、水が不要な手の消毒剤/洗剤、顔の洗剤、及び同類のものを含む日常の皮膚用又は毛髪用製品の形態で調製することが検討される。
【0076】
好ましい実施形態では、キャリアは水である。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の40重量%〜95重量%、好ましくは50重量%〜85重量%、更により好ましくは60重量%〜80重量%の水を含む。
【0077】
D.洗浄性界面活性剤
本発明の組成物は、洗浄性界面活性剤を含む。洗浄性界面活性剤成分は、組成物に洗浄性能を提供するために含まれる。そして、洗浄性界面活性剤成分は、アニオン性洗浄性界面活性剤、双極性若しくは両性洗浄性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含む。このような界面活性剤は、本明細書に記載の必須成分と物理的及び化学的に適合性があるべきであり、あるいは製品の安定性、審美性、又は性能を過度に損なわないものでなければならない。
【0078】
本明細書の組成物中に用いるのに好適なアニオン性界面活性剤成分としては、ヘアケア又は他のパーソナルケア洗浄組成物での使用に既知のものが挙げられる。組成物中のアニオン性界面活性剤成分の濃度は、所望の洗浄及び起泡性能を提供するのに十分であるべきであり、一般に、約2%〜約50%、好ましくは約8%〜約30%、より好ましくは約10%〜約25%、更により好ましくは約12%〜約22%の範囲である。
【0079】
本組成物に用いるのに適した好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートである。これらの物質は、それぞれ式ROSO3M及びRO(C24O)xSO3Mを有し、式中、Rは炭素原子数が約8〜約18のアルキル又はアルケニルであり、xは1〜10の値を有する整数であり、Mはカチオン、例えばアンモニウム、アルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン、ナトリウム及びカリウムのような一価金属、並びにマグネシウム及びカルシウムのような多価金属カチオンである。
【0080】
アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートの双方において、Rは、好ましくは約8〜約18の炭素原子、より好ましくは約10〜約16の炭素原子、更により好ましくは約12〜約14の炭素原子を有する。アルキルエーテルサルフェートは、典型的にはエチレンオキシドと約8〜約24の炭素原子を有する一価アルコールとの縮合生成物として形成される。アルコールは合成品又は脂肪、例えばココヤシ油、パーム核油、タローから誘導することができる。ココヤシ油又はパーム核油から誘導されるラウリルアルコール及び直鎖アルコールが好ましい。そのようなアルコールを、約0〜約10モル、好ましくは約2〜約5モル、より好ましくは約3モルのエチレンオキシドと反応させ、得られた分子種の混合物、例えばアルコール1モルにつき平均3モルのエチレンオキシドを有するものを、硫酸化し中和する。
【0081】
他の好適なアニオン性洗浄性界面活性剤は、化学式[R1−SO3−M]に一致する有機の硫酸反応生成物の水溶性塩であり、式中、R1は約8〜約24、好ましくは約10〜18の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素ラジカルであり、Mは先に記載されたカチオンである。
【0082】
更に他の好適なアニオン性洗浄性界面活性剤は、脂肪酸をイセチオン酸でエステル化し、水酸化ナトリウムで中和した反応生成物であって、例えば、脂肪酸はココヤシ油又はパーム核油から誘導されものであり、脂肪酸が例えばココヤシ油又はパーム核油から誘導されたメチルタウリドの脂肪酸アミドのナトリウム又はカリウム塩である。他の同様なアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号、及び同第2,396,278号に記載されている。
【0083】
本組成物に用いるのに好適な他のアニオン性洗浄性界面活性剤は、スクシネートであり、その例としては、N−オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリルジアンモニウム(diammonium lauryl)、N−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホコハク酸四ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウムのジアミルエステル、スルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル及びスルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステルが挙げられる。
【0084】
他の適切なアニオン性洗浄性界面活性剤としては、約10〜約24の炭素原子を有するオレフィンスルホネートが挙げられる。真性アルケンスルホネート及び一部のヒドロキシ−アルカンスルホネートに加えて、オレフィンスルホネートは、反応条件、反応物質の比率、オレフィンストックにおける出発オレフィン及び不純物の性質、並びにスルホン化プロセス中の副反応により、アルケンジスルホネートのような少量の他の物質を含有することができる。このようなα−オレフィンスルホネート混合物の非限定例は、米国特許第3,332,880号に記載されている。
【0085】
本組成物に用いるのに好適なアニオン性洗浄性界面活性剤のもう1つの種類は、β−アルキルオキシアルカンスルホネートである。これらの界面活性剤は、次の式に一致するものである。
【0086】
【化1】

式中、R1は約6〜約20の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、R2は約1〜約3の炭素原子、好ましくは1の炭素原子を有する低級アルキル基であり、Mは本明細書において上記されたような水溶性カチオンである。
【0087】
本組成物に用いるのに好ましいアニオン性洗浄性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム及びこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の更なる実施形態では、アニオン性界面活性剤は、好ましくはラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウムである。
【0088】
本明細書の組成物において用いられる好適な両性又は双極性洗浄性界面活性剤としては、ヘアケア又は他のパーソナルケア洗浄における使用が既知のものが含まれる。好ましくはこうした両性洗浄性界面活性剤の濃度は、約0.5%〜約20%、好ましくは約1%〜約10%の範囲である。好適な双極性又は両性界面活性剤の非限定例は、米国特許第5,104,646号(ボリッチJr.(Bolich Jr.)ら)、同第5,106,609号(ボリッチJr.(Bolich Jr.)ら)に記載されている。
【0089】
本組成物に用いるのに好適な両性洗浄性界面活性剤は当該技術分野において周知であり、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であり得る脂肪族第二級及び第三級アミンの誘導体として広く記述される界面活性剤が挙げられ、脂肪族置換基の1つは約8〜約18の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩又はホスホン酸塩のようなアニオン性基を含有する。本発明に用いるのに好ましい両性洗浄性界面活性剤としては、ココアンホ酢酸塩、ココアンホ二酢酸塩、ラウロアンホ酢酸塩、ラウロアンホ二酢酸塩及びこれらの混合物が挙げられる。
【0090】
本組成物に用いるのに好適な双極性の洗浄性界面活性剤は当該技術分野において周知であり、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であることができる脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記載されている界面活性剤が挙げられるが、その際、脂肪族置換基の1つは約8〜約18の炭素原子を有し、1つはカルボキシ、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩又はホスホン酸塩のようなアニオン性基を含有する。ベタインのような双極性イオンが好ましい。
【0091】
本発明の組成物は、本明細書において上記したアニオン性洗浄性界面活性剤成分と組み合わせて用いるための追加の界面活性剤を更に含んでよい。好適な任意の界面活性剤としては、非イオン性及びカチオン性の界面活性剤が挙げられる。任意の追加の界面活性剤がまた組成物の必須成分に化学的及び物理的に適合性があるか、そうでなければ、製品性能、審美性、又は安定性を過度に損なわないならば、ヘアケア又はパーソナルケア製品に用いるための、当該技術分野において既知のいかなるこうした界面活性剤を用いてもよい。本組成物における任意の追加の界面活性剤の濃度は、所望の洗浄又は起泡性能、選択した任意の界面活性剤、所望の製品濃度、組成物中の他の構成要素の有無、及び当該技術分野において周知の他の要因によって変えてもよい。
【0092】
本組成物に用いるのに好適な他のアニオン性、双極性、両性、又は任意の追加の界面活性剤の非限定的な例は、マカッチャン(McCutcheon)著「乳化剤及び洗剤(Emulsifiers and Detergents)」、(1989年、年報、M.C.出版社(M. C.Publishing Co.)刊)、並びに米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号に記載されている。
【0093】
E.分散粒子
本発明の組成物は、分散した粒子を含んでよい。本発明の組成物中には、少なくとも0.025重量%の分散粒子、より好ましくは少なくとも0.05重量%、なおより好ましくは少なくとも0.1重量%、更により好ましくは少なくとも0.25重量%、なおより好ましくは少なくとも0.5重量%の分散粒子を組み込むことが好ましい。本発明の一実施形態においては、有用な粒子は、元来は無機、合成、又は半合成であることができる。本発明の組成物中には、約20重量%以下の分散粒子、より好ましくは約10重量%以下、なおより好ましくは5重量%以下、更により好ましくは3重量%以下、なおより好ましくは2重量%以下の分散粒子を組み込むことが好ましい。
【0094】
F.分散ゲル網状組織相
本発明のシャンプー組成物は、脂肪族両親媒性物質を含む分散ゲル網状組織相を含む。ゲル網状組織相は、本発明のシャンプー組成物に含まれて、コンディショニング効果をもたらす。本明細書で使用するとき、用語「ゲル網状組織」とは、以下に指定されるような少なくとも1つの脂肪族両親媒性物質、以下に指定されるような少なくとも1つの二次界面活性剤、及び水又は他の好適な溶媒を含む層状の又は小胞性の固体結晶性相を指す。層状相又は小胞性相は、脂肪族両親媒性物質及び二次界面活性剤を含む第一層と、交互の、水又は他の好適な溶媒を含む第二層とから構成される2層を含む。本明細書で使用するとき、用語「固体結晶性」とは、1以上の脂肪族両親媒性物質を含むゲル網状組織の層の鎖融解温度(chain melt temperature)未満の温度において形成される層状相又は小胞性相の構造を指し、鎖融解温度は少なくとも約27℃である。鎖融解温度(chain melt temperature)は、示差走査熱量計により測定されることができ、この方法は下記の実施例に記載される。
【0095】
例えば、脂肪族アルコールを含むゲル網状組織は、化粧料クリーム及びヘアコンディショナーにおいて長年使用されてきた。しかし、こうした化粧料クリーム及びヘアコンディショナーは、もしあれば、典型的に非常に低量の洗浄性界面活性剤を含有する。したがって、こうした既知の製品は、洗浄及びコンディショニングの組み合わせを毛髪又は皮膚に提供しない。
【0096】
ゲル網状組織は概して、G.M.エクレストン(Eccleston)による、「外皮用ローション及びクリームにおける混合乳化剤及び乳化ワックスの機能(Functions of Mixed Emulsifiers and Emulsifying Waxes in Dermatological Lotions and Creams)」、コロイド及び表面(Colloids and Surfaces)A:生化学及び技術者態様(Physiochem. and Eng. Aspects)、123〜124(1997)169〜182、並びにG.M.エクレストン(Eccleston)による、「半固体クリームのミクロ構造(The Microstructure of Semisolid Creams)」、国際薬局(Pharmacy International)、7巻、63〜70(1986)に、更に記載されている。
【0097】
本発明の実施形態においては、分散ゲル網状組織相は、事前形成される。本明細書で使用するとき、用語「事前形成した」とは、シャンプー組成物の他の構成要素に添加するときに、脂肪族両親媒性物質、二次界面活性剤、及び水又は他の好適な溶媒の混合物が、実質的に固体結晶性相であることを意味する。
【0098】
本発明のこの実施形態に従うと、本発明のゲル網状組織構成要素は、別個のプレミックスとして調製され、冷却後、続いてシャンプー組成物の洗浄性界面活性剤及び他の構成要素に組み込まれる。より具体的には、本発明のゲル網状組織構成要素は、脂肪族両親媒性物質、二次界面活性剤、及び水を、ゲル網状組織相中の最高融点物質の融点よりも少なくとも約3℃高い温度まで加熱し、混合することにより、調製してよい。この混合物を、例えば、混合物を熱交換器に通過させることにより、約27℃〜約35℃の範囲の水準まで冷却する。この冷却工程の結果として、脂肪族両親媒性物質及び二次界面活性剤は結晶化し、固体結晶性ゲル網状組織を形成する。
【0099】
ゲル網状組織構成要素を調製する代わりの方法としては、脂肪族両親媒性物質、二次界面活性剤、及び水を音波処理及び/又はミル加工する一方で、融解した脂肪族両親媒性物質相の粒径を低減するために、これらの構成要素を加熱することが挙げられる。これにより、脂肪族両親媒性物質相の表面積が増大し、二次界面活性剤及び水が脂肪族両親媒性物質相を膨潤させる。ゲル網状組織を調製する別の好適な変化形としては、初めに脂肪族両親媒性物質及び二次界面活性剤を加熱して混合し、その後、この混合物を水に添加することが挙げられる。
【0100】
続いて、冷却して事前形成したゲル網状組織構成要素を、洗浄性界面活性剤成分を含むシャンプー組成物の他の構成要素に添加する。理論に束縛されることを意図しないが、シャンプー組成物の洗浄性界面活性剤及び他の構成要素に冷却して事前形成したゲル網状組織構成要素を組み込むと、最終シャンプー組成物において実質的に平衡な層状分散物(「ELD」)が形成されると考えられる。ELDは、シャンプー組成物内に存在する可能性がある洗浄性界面活性剤、水、及び塩のような他の任意成分と、実質的に平衡化している、事前形成したゲル網状組織構成要素から得られる、分散層状相又は小胞性相である。この平衡は、事前形成したゲル網状組織構成要素と、シャンプー組成物の他の構成要素の組み込みに際して起こり、製造後、約24時間以内に効果的に完結する。ELDが形成されているシャンプー組成物は、改善された乾湿コンディショニング効果を毛髪に提供する。更に、ゲル網状組織構成要素(すなわち、水と組み合わせられる脂肪族両親媒性物質及び二次界面活性剤)を含む構成要素が、1つの混合工程において、シャンプー組成物の他の構成要素と共に個々の構成要素として添加され、別個の冷却し事前形成したゲル網状組織構成要素として添加されないならば、ELDは形成されない。
【0101】
プレミックス及び最終シャンプー組成物内の、ELDの形態のゲル網状組織の存在は、X線分析、光学顕微鏡法、電子顕微鏡法、及び示差走査熱量計のような当業者に既知の手段により、確認することができる。X線分析方法及び示差走査熱量計は、以下の実施例に記載される。
【0102】
本発明の実施形態では、ゲル網状組織構成要素中の脂肪族両親媒性物質と二次界面活性剤の重量比は、約1:9超、好ましくは約1:5超〜約100:1、より好ましくは約1:1超〜約50:1、更により好ましくは約2:1超〜約10:1ある。
【0103】
本発明のシャンプー組成物は、シャンプー組成物の約0.1重量%超、好ましくは約1重量%〜約60重量%、より好ましくは約5重量%〜約40重量%の量のゲル網状組織を含む。
【0104】
I.脂肪族両親媒性物質
本発明のゲル網状組織構成要素は、少なくとも1つの脂肪族両親媒性物質を含む。本明細書にて使用するとき、「脂肪族両親媒性物質」とは、以下に定義される疎水性末端基R1及び化合物を水溶性にしない親水性先端基を有する化合物を指し、化合物はまた、シャンプー組成物のpHにおいて、正味の中性電荷を有する。本明細書にて使用するとき、用語「水溶性」とは、物質が本組成物中の水に可溶であることを意味する。一般に、物質は25℃にて、水溶媒の0.1重量%、好ましくは1重量%、より好ましくは5重量%、より好ましくは15重量%の濃度で可溶性であるべきである。
【0105】
本発明の脂肪族両親媒性物質は、6以下の親水性−親油性バランス(「HLB」)を有する化合物として特徴付けられてよい。本明細書で使用するとき、HLBは、グリフィン(Griffin)、J.Soc.Cosm.Chem.、5巻、249(1954)に従う標準HLBである。
【0106】
本発明のシャンプー組成物は、事前形成した分散ゲル網状組織相の一部として、シャンプー組成物の約0.05重量%〜約14重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約8重量%の量で脂肪族両親媒性物質を含む。
【0107】
本発明によると、好適な脂肪族両親媒性物質、又は2つ以上の脂肪族両親媒性物質の好適な混合物は、少なくとも約27℃の融点を有する。本明細書にて使用するとき、融点は、米国薬局方、USP−NF一般章(General Chapter)<741>「融解範囲又は温度」に記載されるような標準融点法により測定されることができる。2つ以上の物質の混合物の融点は、個々の融点以上の温度で2つ以上の物質を混合した後、混合物を冷却することにより測定される。得られた複合物が、約27℃未満で均質固体であるとき、混合物は本発明で使用するのに好適な融点を有する。個々の融点が約27℃未満である少なくとも1つの脂肪族両親媒性物質を含む、2つ以上の脂肪族両親媒性物質の混合物であっても、混合物の複合融点が、少なくとも約27℃であるなら、本発明において使用するのに好適である。
【0108】
本発明によると、好適な脂肪族両親媒性物質は、疎水性末端基R1を有する。本明細書にて使用するとき、R1は、アルキル、アルケニル(3個までの二重結合を含有する)、アルキル芳香族、又はC12〜C70長の分枝状アルキル基である。本発明の脂肪族両親媒性物質に好適なアルキル、アルケニル、又は分枝状アルキル基の非限定例としては、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステアリル、アラキジル、ベヘニル、ウンデシレニル、パルミトレイル、オレイル、パルモレイル、リノレイル、リノレニル、アラキドニル、エライジル、エレオステアリル、エルカイル、イソラウリル、イソトリデシル、イソミリスタル、イソペンタデシル、ペトロセリニル、イソセチル、イソヘプタデシル、イソステアリル、イソアラキジル、イソベヘニル、ガドレイル、ブラシジル、及びこれらの工業銘柄混合物が挙げられる。
【0109】
本明細書にて使用するとき、R1は、より高い分子量の分枝状イソアルコールを与えるために、アルコールのアルカリ縮合により調製される分枝状アルキル基であってもよい。当該技術分野において、これらの分枝状イソアルコールは、ゲルベアルコールと呼ばれる。
【0110】
1は、小麦胚、ヒマワリ(sundflower)、ブドウ種子、ゴマ、トウモロコシ、アンズ、キャスター、アボカド、オリーブ、大豆、スイートアーモンド、パーム、菜種、綿実、へーゼルナッツ、マカデミア、カリテ(karite)、ホホバ、アルファルファ、ケシ、カボチャ種子、ゴマ、キュウリ、クロスグリ、マツヨイグサ、キビ、大麦、キヌア、ライ麦、サフラワー、キャンドルナッツ、トケイソウ又はムスクローズ油、及びカリテ(karite)バターなどの植物由来のアルキル、アルケニル又は分枝状炭素鎖であってよい。
【0111】
また本発明の好適な脂肪族両親媒性物質は、例えば6以下のHLBを有する化合物中に、化合物を水溶性にしない親水性の先端基を有する。こうした親水性先端基を有する化合物の部類の非限定例としては、脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪族フェノール、アルコキシル化脂肪族フェノール、脂肪酸アミド、アルコキシル化脂肪酸アミド、脂肪族アミン、脂肪族アルキルアミドアルキルアミン、脂肪族アルコキシル化アミン、脂肪族カルバメート、脂肪族アミンオキシド、アルコキシル化脂肪酸、脂肪族ジエステル、脂肪族ソルビタンエステル、脂肪族糖エステル、メチルグルコシドエステル、脂肪族グリコールエステル、モノ、ジ、及びトリ−グリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、コレステロール、セラミド、脂肪族シリコーンワックス、脂肪族グルコースアミド、並びにリン脂質が挙げられる。
【0112】
本発明のゲル網状組織構成要素を形成するために、個々の脂肪族両親媒性化合物、又は2つ以上の異なる脂肪族両親媒性化合物の組み合わせを選択してよい。以下に、本発明において使用するのに好適な1以上の脂肪族両親媒性物質を選択してよい化合物の部類の非限定例を提供する。
【0113】
a.脂肪族アルコール/アルコキシル化脂肪族アルコールエーテル
本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う脂肪族アルコール化合物又はアルコキシル化脂肪族アルコールエーテル化合物から選択してよい:
1−(OR2k−OH
式中、R1は上述のとおりであり、R2は分枝状又はヒドロキシ置換であってよいC1〜C5炭素鎖であり、kは約0〜約5の範囲の数である。
【0114】
本明細書で有用な脂肪族アルコールは、約12〜約60の炭素原子、好ましくは約16〜約60の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは、直鎖又は分枝鎖アルコールであってよく、及び飽和又は不飽和であってよい。好適な脂肪族アルコールの非限定例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、C20〜40アルコール、C30〜50アルコール、C40〜60アルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0115】
好適なアルコキシル化脂肪族アルコールエーテルとしては、約12〜約60の炭素原子を有する直鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシド1〜5molとの付加生成物が挙げられ、これらは全て、既知の工業オキシエチル化プロセスにより入手できる付加物である。同様に、好適なのは、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、例えば、直鎖又は分枝鎖構成いずれかの約12〜約60の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルキルフェノールとエチレンオキシドとの縮合生成物であり、ここで、エチレンオキシドは、アルキルフェノール1モル当たりエチレンオキシド約1〜約5モル当量で存在する。更に好適なアルコキシル化脂肪族アルコールエーテルとしては、エチレンオキシドと、プロピレンオキシド及びエチレンジアミン生成物の反応から得られる生成物との縮合に由来するものが挙げられる。
【0116】
好適なアルコキシル化脂肪族アルコールエーテルの非限定例としては、ステアレス−2、ベヘネス−2、ベヘネス−5、ベヘネス−10、C20〜40パレス−3、C20〜40パレス−10、C30〜50パレス−3、及びC30〜50パレス−10が挙げられる。
【0117】
b.ジ脂肪族エーテル
本発明の脂肪族両親媒性物質は、以下の式に従うジ脂肪族エーテル化合物から選択されてよい:
R’1−(OR2k−Z−(R2O)l−R’’1
式中、R1は、上述のとおりであり、R2は、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、k及びlはそれぞれ、独立して、合計(k+l)が1〜30の範囲の値を有するような数であり、Zは、エーテル(すなわち、−O−)又はアミン(すなわち、−NR2−、R2は直前に記載のとおり)である。
【0118】
Zがエーテルである上式の化合物(すなわち、ジアルキルオキシエチルエーテル)は、当該技術分野において既知である、脂肪族アルコール及び脂肪族アルキルオキシエタノールのエステル化プロセスにより調製されることができる。Zがアミン基である上式の化合物は、例えば、DE 35 04 242に記載されるエーテルアミンの調製方法に従って、C12〜C60脂肪族アルコールの硫酸半エステル塩2molとのO−アルキル化により、トリエタノールアミンから得ることができる。
【0119】
好適なジ脂肪族エーテル化合物の非限定例としては、ジセチルステアリルエーテル、ジセチルステアリル(diceylstearyl)ジオキシエチルエーテル、及びN,N−ビス(2−セチルステアリルオキシエチル)アミノエタノールが挙げられる。
【0120】
c.脂肪族アミン/脂肪族アルカノールアミド/脂肪族アルコキシル化アミン
また本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う脂肪酸アミド化合物から選択されてよい:
【0121】
【化2】

式中、R1は、上述のとおりであり、R2及びR3はそれぞれ独立して、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、k及びlはそれぞれ独立して、合計(k+l)が0〜10の範囲の値を有するような数であり、X及びYはそれぞれ独立して、水素、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C4炭素鎖、モルホリン、あるいはアミド、エステル、又はエーテル結合を介して結合するC5〜C50炭素鎖から選択される。
【0122】
好適な脂肪酸アミド、脂肪族アルカノールアミド又は脂肪族アルコキシル化アミドの非限定例は、米国特許出願第11/228,770号(2005年9月16日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の15〜16頁に開示されている。
【0123】
d.脂肪族カルバメート
本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う脂肪族カルバメート化合物から選択されてよい:
【0124】
【化3】

式中、R1は、上述のとおりであり、R2及びR3はそれぞれ独立して、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、k及びlはそれぞれ独立して、合計(k+l)が0〜10の範囲の値を有するような数であり、X及びYはそれぞれ独立して、水素、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C4炭素鎖、モルホリン、あるいはアミド、エステル、又はエーテル結合を介して結合するC5〜C50炭素鎖から選択される。
【0125】
好適な脂肪族カルバメートの非限定例としては、セチルカルバメート、ステアリルカルバメート、PEG−2ステアリルカルバメート、PEG−4ステアリルカルバメート、及びベヘニルカルバメートが挙げられる。
【0126】
e.脂肪族アルキルアミドアルキルアミン
また本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う脂肪族アルキルアミドアルキルアミン化合物から選択されてよい:
【0127】
【化4】

式中、R1は、上述のとおりであり、R2及びR3はそれぞれ独立して、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、K及びlはそれぞれ独立して、合計(k+l)が0〜10の範囲の値を有するような数であり、X及びYはそれぞれ独立して、水素、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C4炭素鎖、モルホリン、あるいはアミド、エステル、又はエーテル結合を介して結合するC5〜C50炭素鎖から選択され、nは約1〜約4の範囲の数である。
【0128】
好適な脂肪族アルキルアミドアルキルアミン化合物の非限定例は、米国特許出願第11/228,770号(2005年9月16日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の16〜17頁に開示されている。
【0129】
f.脂肪族アミン/脂肪族アルカノールアミン/脂肪族アルコキシル化アミン
更に本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う脂肪族アミン化合物から選択されてよい:
【0130】
【化5】

式中、R1は上述のとおりであり、R’5及びR’’5は、独立して水素、又は分枝状若しくはヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖である。
【0131】
更に、本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式のいずれか1つに従う脂肪族アルコキシル化アミン化合物から選択されてよい:
【0132】
【化6】

式中、R1は上述のとおりであり、R2及びR3はそれぞれ独立して、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、k及びlはそれぞれ独立して、合計(k+l)が0〜10の範囲の値を有するような数であり、X及びYはそれぞれ独立して、水素、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C4炭素鎖、モルホリン、あるいはアミド、エステル、又はエーテル結合を介して結合するC5〜C50炭素鎖であり、nは約1〜約4の範囲の数であり、Zはエーテル(すなわち、−O−)又はアミン(すなわち、−NH−)である。
【0133】
第一級、第二級及び第三級脂肪族アミンが有用である。好適な脂肪族アルコキシル化アミン化合物としては、エチレンオキシドと12〜60の炭素原子を有する直鎖脂肪族アルキルアミンとの付加生成物が挙げられ、これらの全ては、既知の工業プロセスによって得られる付加物であり、市販されている。
【0134】
好適な脂肪族アミン及び脂肪族アルコキシル化アミン化合物の非限定例は、米国特許出願第11/228,770号(2005年9月16日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の17〜18頁に開示されている。
【0135】
g.脂肪族アミンオキシド
また本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う脂肪族アミンオキシド化合物から選択されてよい:
【0136】
【化7】

式中、R1は上述のとおりであり、R2及びR3はそれぞれ独立して、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、k及びlはそれぞれ独立して、合計(k+l)が0〜10の範囲の値を有するような数であり、X及びYはそれぞれ独立して、水素、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C4炭素鎖、モルホリン、あるいはアミド、エステル、又はエーテル結合を介して結合するC5〜C50炭素鎖であり、Zはエーテル(すなわち、−O−)又はアミド(すなわち、−C(O)−NH−)結合であり、nは約1〜約4の範囲の数である。既知の慣例を踏まえ、上式の矢印は、半極性結合を表す。
【0137】
好適なアミンオキシド化合物の非限定例は、米国特許出願第11/228,770号(2005年9月16日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の18〜19頁に開示されている。
【0138】
h.アルコキシル化脂肪酸
また本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従うアルコキシル化脂肪酸化合物から選択されてよい:
【0139】
【化8】

式中、R1は上述のとおりであり、R2は分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、kは、約1〜約5の範囲の数である。
【0140】
好適なアルコキシル化脂肪酸の非限定例としては、PEG−8ベヘネート、PEG−5ココエート、PEG−10ココエート、PEG−2ラウレート、PEG−4ラウレートPEG−6ラウレート、PEG−8ラウレート、PEG−9ラウレート、PEG−10ラウレート、PEG−7オレエート、PEG−2ステアレート、PEG−3ステアレート、PEG−4ステアレート、PEG−5ステアレート、PEG−6ステアレート、PEG−7ステアレート、PEG−8ステアレート、PEG−9ステアレート、PEG−10ステアレート、ポリグリセリル−2−PEG−4ステアレート、PPG−2イソステアレート、及びPPG−9ラウレートが挙げられる。
【0141】
i.脂肪酸エステル
本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う脂肪酸エステル化合物から選択されてよい:
【0142】
【化9】

式中、R1は上述のとおりであり、R2は、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、kは、約1〜約5の範囲の数であり、R6は、C1〜C40炭素鎖又はアルキルカルボニル(すなわち、
【0143】
【化10】

式中、R7はC1〜C40炭素鎖)である。
【0144】
これらの好適な脂肪酸エステルとしては、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖とのエステル(例えばモノエステル、多価アルコールエステル、及びジ−及びトリ−カルボン酸エステル)が挙げられる。この脂肪酸エステルのヒドロカルビルラジカルは、アミド及びアルコキシ部分(例えば、エトキシ又はエーテル結合等)のような他の適合性のある官能基を含むか、又はこのヒドロカルビルラジカルをこうした官能基へ共有結合させてよい。
【0145】
好適な脂肪酸エステル化合物の非限定例は、米国特許出願第11/228,770号(2005年9月16日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の19〜20頁に開示されている。
【0146】
また本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う他の脂肪酸エステル化合物から選択されてよい:
【0147】
【化11】

式中、R’8、R’’8、及びR’’’8はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、又は分枝状若しくはヒドロキシ置換であり得るC1〜C4炭素鎖から選択され、k’、k’’、及びk’’’は、それぞれ独立して、合計(k’+k’’+k’’’)が0〜15の範囲の値を有するような数であり、R’2、R’’2、及びR’’’2は、それぞれ独立して、分枝状若しくはヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖から選択され、R’10、R’’10、R’’’10は、それぞれ独立して、水素又はR1から選択され、ここでR1は、R’10、R’’10、及びR’’’10の少なくとも1つがR1基であるという条件で、上述のとおりである。
【0148】
更に他の好適な脂肪酸エステルは、C4〜C8ジカルボン酸のエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸のC1〜C22、好ましくはC1〜C6エステル)のような、カルボン酸のジ−及びトリ−アルキル並びにアルケニルエステルである。カルボン酸のジ−及びトリ−アルキル並びにアルケニルエステルの具体的な非限定例としては、ステアリン酸イソセチルステアリル(stearyol)、クエン酸ステアリル、クエン酸ジステアリル、及びクエン酸トリステアリルが挙げられる。
【0149】
更に本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う他の脂肪酸エステル化合物から選択されてよい:
【0150】
【化12】

式中、R’2、R’’2、及びR’’’2は、それぞれ独立して、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖から選択され、R’8、R’’8、及びR’’’8は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、あるいは分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C4炭素鎖から選択され、k’、k’’、及びk’’’は、それぞれ独立して、合計(k’+k’’+k’’’)が0〜15の範囲の値を有するような数であり、R’9、R’’9、及びR’’’9は、それぞれ独立して、R’9、R’’9、及びR’’’9の少なくとも1つが、
【0151】
【化13】

であるという条件で、水素又はアルキルカルボニル(すなわち、
【0152】
【化14】

式中、R1は上述のとおりである)から選択される。
【0153】
他の好適な脂肪酸エステルは、多価アルコールエステルとして既知のものである。こうした多価アルコールエステルとしては、米国特許出願第11/228,770号(2005年9月16日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の21頁に開示されているものが挙げられる。本発明の組成物に用いるのに好適な更に他の脂肪酸エステルは、グリセリドであり、モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド、好ましくはモノ−及びジ−グリセリド、より好ましくはモノグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の組成物に使用される場合、グリセリドは、グリセロール及びC12〜C22のカルボン酸のような長鎖カルボン酸のモノ−、ジ−及びトリ−エステルであることが好ましい。様々なこれらの種類の物質は、ヒマシ油、ベニバナ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、胡麻油、ラノリン及び大豆油のような植物及び動物の油脂から得ることができる。合成油としては、トリオレイン及びトリステアリングリセリルジラウレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
j.脂肪族リン化合物
本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う脂肪族リン化合物から選択されてよい:
【0155】
【化15】

式中、R1は上述のとおりであり、R2は、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、kは、約0〜約5の範囲の数であり、R5は、水素、あるいは分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C4炭素鎖である。既知の慣例を踏まえ、上式の矢印は、半極性結合を表す。
【0156】
好適な脂肪族リン化合物の非限定例としては、米国特許出願第11/228,770号(2005年9月16日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の22頁に開示されているものが挙げられる。
【0157】
k.脂肪族ソルビタン誘導体
また本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う脂肪族ソルビタン誘導体化合物から選択されてよい:
【0158】
【化16】

式中、R’1、R’’2、R’’’2、及びR’’’’2は、それぞれ独立して、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、R’9、R’’9、R’’’9、及びR’’’’9は、それぞれ独立して、R’9、R’’9、R’’’9、及びR’’’’9の少なくとも1つが、
【0159】
【化17】

であるという条件で、水素、又はアルキルカルボニル(すなわち、
【0160】
【化18】

式中、R1は上述のとおりである)であり、k’、k’’、k’’’、及びk’’’’は、それぞれ独立して、合計(k’+k’’+k’’’+k’’’’)の値が0〜20の範囲であるような数である。
【0161】
好適な脂肪族ソルビタン誘導体の非限定例としては、米国特許出願第11/288,770号(2005年9月16日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の22〜23頁に開示されているものが挙げられる。
【0162】
I.スクロースポリエステル
本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従うスクロースポリエステル化合物から選択されてよい:
【0163】
【化19】

式中、R’9、R’’9、R’’’9、R’’’’9、R’’’’’9、R’’’’’’9、及びR’’’’’’’9はそれぞれ、R’9、R’’9、R’’’9、R’’’’9、R’’’’’9、R’’’’’’9、R’’’’’’’9、及びR’’’’’’’’9の少なくとも1つが、
【0164】
【化20】

であるという条件で、水素又はアルキルカルボニル(すなわち、
【0165】
【化21】

式中、R1は上述のとおりである)である。
【0166】
好適なスクロースポリエステル化合物の非限定例としては、米国特許出願第11/288,770号(2005年9月16日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の23〜24頁に開示されているものが挙げられる。
【0167】
m.アルキルスルホキシド
更に本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従うアルキルスルホキシド化合物から選択されてよい:
【0168】
【化22】

式中、R1は上述のとおりであり、R2は、分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、kは、約0〜約10の範囲の数であり、X及びYはそれぞれ独立して、水素、あるいは分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C4炭素鎖から選択される。
【0169】
好適なアルキルスルホキシド化合物の非限定例としては、米国特許出願第11/288,770号(2005年9月16日、参照することにより本明細書に組み込まれる)の24〜25頁に開示されているものが挙げられる。
【0170】
2.二次界面活性剤
また本発明のゲル網状組織構成要素は、二次界面活性剤も含む。本明細書にて使用するとき、「二次界面活性剤」とは、脂肪族両親媒性物質及び水と組み合わせられて、シャンプー組成物の他の構成要素と区別したプレミックスとして本発明のゲル網状組織を形成する1以上の界面活性剤を指す。二次界面活性剤は、前述の洗浄性界面活性剤成分のために選択される、シャンプーの洗浄性界面活性剤成分及び/又は界面活性剤としての、シャンプーの洗浄性界面活性剤成分又は界面活性剤と区別され、またシャンプーの洗浄性界面活性剤成分又は界面活性剤に添加される。
【0171】
本発明のシャンプー組成物は、事前形成した分散ゲル網状組織相の一部として、シャンプー組成物の約0.01重量%〜約15重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約5重量%の量で二次界面活性剤を含む。
【0172】
上述のように、本発明に使用するために、脂肪族両親媒性物質と二次界面活性剤との重量比は、約1:9超、好ましくは約1:5超〜約100:1、より好ましくは約1:1超〜約50:1、更により好ましくは約1:1超〜約10:1である。
【0173】
好適な二次界面活性剤としては、洗浄性界面活性剤の項に概して上述したようなアニオン性、双極性、両性、カチオン性、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0174】
本発明の二次界面活性剤において使用するのに好ましいアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0175】
本発明の二次界面活性剤として使用するのに好適なカチオン性界面活性剤としては、少なくとも約8の炭素原子を含有する少なくとも1つの脂肪鎖を有する第四級アンモニウム塩又はアミドアミン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0176】
好適な第四級アンモニウム塩は、以下の一般式を有する:
+(R1234)X-
式中、R1は、約8〜12の炭素原子を含む直鎖状及び分枝状ラジカルから選択され、R2は、約8〜12の炭素原子を含む直鎖及び分枝状ラジカルから選択される、あるいはラジカルR3及びR4と同一基であり、R3及びR4は、独立して約1〜4の炭素原子を含む直鎖及び分枝状脂肪族ラジカル、並びにアリール及びアルキルアリールのような芳香族ラジカルから選択され、脂肪族ラジカルは、酸素、窒素、硫黄、及びハロゲンのような少なくとも1つのヘテロ原子を含んでよく、脂肪族ラジカルは、例えば、アルキル、アルコキシ、及びアルキルアミドラジカルから選択され、X−は、塩化物、臭化物、及びヨウ化物のようなハロゲン化物、硫酸メチルのような(C2〜C6)アルキルスルフェート、リン酸塩、アルキル、及びアルキルアリールスルホネートから選択されるアニオン、並びに酢酸塩及び乳酸塩のような有機酸から誘導されるアニオンである。
【0177】
こうした好適なカチオン性界面活性剤の非限定例としては、塩化セトリモニウム、塩化ステアリモニウム、塩化ベヘントリモニウム、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベヘンアミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、塩化ステアラミドプロピルトリモニウム、塩化アラキドトリモニウム、塩化ジステアリルジモニウム、塩化ジセチルジモニウム、塩化トリセチルモニウム(tricetylmonium)、オレアミドプロピルジメチルアミン、リノレアミドプロピルジメチルアミン、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、オレイルヒドロキシエチルイミダゾリン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0178】
好適なアミドアミンカチオン性界面活性剤は、以下の一般式を有する:
R’1−CONH(CH2)nNR’2R’3
式中、R’1は、約8〜約12の炭素原子を含む直鎖及び分枝状ラジカルから選択され、R’2及びR’3は、独立して水素、約1〜約4の炭素原子を含む直鎖及び分枝状脂肪族ラジカル、並びにアリール及びアルキルアリールのような芳香族ラジカルから選択され、脂肪族ラジカルは、酸素、窒素、硫黄、及びハロゲンのような少なくとも1つのヘテロ原子を含んでよく、脂肪族ラジカルは、例えば、アルキル、アルコキシ及びアルキルアミドラジカルから選択され、nは約1〜約4の整数である。
【0179】
こうした好適なアミドアミンの非限定例としては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチル(ehtyl)ジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピル(propyi)ジエチルアミン、アラキドアミドエチル(ethyi)ジエチルアミン、アラキドアミドエチル(ethyi)ジメチルアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0180】
好適な非イオン性界面活性剤としては、7以上のHLBを有し、1以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤が挙げられ、各ポリエチレンオキシド鎖は、平均して少なくとも約5のエチレンオキシド単位を含有する。
【0181】
各ポリエチレンオキシド鎖が平均して少なくとも約5のエチレンオキシド単位を含有する、1以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(polyoxyentylene)ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド並びにこれらのモノエタノールアミン及びジエタノールアミン誘導体、並びに少なくとも約5のエチレンオキシド基数を有するポリエトキシル化(polyethyoxylated)脂肪族アミン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0182】
1以上のポリエチレンオキシド鎖を含む好ましい非イオン性界面活性剤の中には、少なくとも約5、好ましくは約10〜20のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが含まれる。こうした非イオン性界面活性剤の例は、ステアレス−10及びステアレス−15である。
【0183】
同様に、7以上のHLBを有し、ポリエチレンオキシド鎖を有さない非イオン性界面活性剤も、非イオン性界面活性剤として使用するのに好適である。ポリエチレンオキシド鎖を有さない非イオン性界面活性剤としては、ポリグリセロール化脂肪酸、ポリグリセロレート化脂肪族アミド、ポリグリセロール化アルキルフェノール、ポリグリセロール化α−ジオール、ポリグリセロール化アルコール、アルキルポリグルコシド及び糖エステルが挙げられる。ポリエチレンオキシド鎖を有さない好適な非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグルコシド、糖エステル、ポリグリセリル脂肪酸エステル、アルキルポリグリセリルエーテル、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0184】
また本発明の好適な二次界面活性剤としては、いわゆるジェミニ界面活性剤も挙げられる。一般にジェミニ界面活性剤は、F.M.メンガー(Menger)及びC.A.リタウ(Littau)による、「ジェミニ界面活性剤(Gemini Surfactants):新しい種類の自己集合性分子(A New Class of Self-Assembling Molecules)」、米国化学会誌(J. Am. Chem. Soc.)1993、115、10083〜10090、並びにB.S.セコン(Sekon)による、「ジェミニ(二量体)界面活性剤(Gemini(dimeric)Surfactants):2つの顔を持った分子(The Two Faced Molecules)」、共鳴(Resonance)、42〜49(2004年3月)に記載されている。好適なジェミニ界面活性剤の例は、米国特許第5,922,671号、同第6,204,297号、同第6,358,914号、同第6,710,022号、同第6,777,384号、同第6,794,345号、及び同第6,797,687号に記載されている。
【0185】
上で指定した種類の1超の界面活性剤を、本発明の二次界面活性剤として使用してよい。
【0186】
3.水又は好適な溶媒
また本発明のゲル網状組織構成要素は、水又は好適な溶媒も含む。水又は好適な溶媒、及び二次界面活性剤は、共に脂肪族両親媒性物質の膨潤に関与する。言い換えると、これは、ゲル網状組織の形成及び安定性を導く。本明細書にて使用するとき、用語「好適な溶媒」とは、本発明のゲル網状組織の形成において、水の代わりに又は水と組み合わせて使用することができるあらゆる溶媒を指す。
【0187】
本発明のシャンプー組成物は、本発明に従う脂肪族両親媒性物質及び二次界面活性剤と組み合わせるときに、ゲル網状組織を得るのに好適な量で、事前形成した分散ゲル網状組織相の一部として、水又は好適な溶媒を含む。
【0188】
好ましい実施形態では、本発明のシャンプー組成物は、事前形成した分散ゲル網状組織相の一部として、シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の水又は好適な溶媒を含む。
【0189】
本発明の別の実施形態では、シャンプー組成物は、事前形成した分散ゲル網状組織相の一部として、水又は好適な溶媒を、脂肪族両親媒性物質の量に対して、少なくとも約1:1の重量比の量で含む。
【0190】
G.水性キャリア
本発明の組成物は、典型的には、流動可能な液体の形態である(周囲条件下で)。したがって、組成物は、典型的には水性キャリアを含み、シャンプー組成物の少なくとも約20重量%の水性キャリアが存在し、更なる実施形態においては、水性キャリアは、約20%〜約95%、好ましくは約60%〜約85%の濃度で存在する。水性キャリアは、水、又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでよいが、他の必須の又は任意の構成成分の微量成分として組成物中に付随的に組み込まれる場合を除き、最小限の有機溶媒を有するか、又は有意の濃度の有機溶媒を有さない水を含むことが好ましい。
【0191】
H.追加の構成要素
本発明の組成物は、任意成分が本明細書に記載の必須成分と物理的及び化学的に適合性があるか、そうでなければ製品の安定性、審美性、又は性能を過度に損なわないという条件で、ヘアケア製品又はパーソナルケア製品で使用する既知の1つ以上の任意成分を更に含んでよい。このような任意成分の個々の濃度は約0.001%〜約10%の範囲であってよい。
【0192】
組成物に用いる任意成分の非限定例としては、カチオン性ポリマー、コンディショニング剤(炭化水素油、脂肪酸エステル、シリコーン)、抗ふけ剤、懸濁化剤、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒又は希釈剤(水溶性及び非水溶性)、真珠光沢助剤、起泡増進剤、追加の界面活性剤又は非イオン性補助界面活性剤、殺シラミ剤、pH調整剤、香料、防腐剤、キレート剤、タンパク質、皮膚活性剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、及びビタミン、ミネラル、草本/果物/食品抽出物、スフィンゴ脂質誘導体又は合成誘導体、及び粘土が挙げられる。
【0193】
I.付着助剤
本発明のシャンプー組成物は付着助剤を含んでもよい。付着助剤は、ゲル網状組織構成要素の付着を有効に増強させるために含まれる。付着助剤は、シャンプーから毛髪及び/又は頭皮へのゲル網状組織の付着を増強するいかなる物質も含むことができる。
【0194】
シャンプー組成物中の付着助剤の濃度は、ゲル網状組織構成要素の付着を有効に増強させるために十分であるべきであり、シャンプー組成物の約0.05重量%〜約5重量%、好ましくは約0.075重量%〜約2.5重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約1.0重量%の範囲である。
【0195】
本発明の一実施形態では、付着助剤はカチオン性ポリマーである。
【0196】
I.カチオン性ポリマー
本発明の組成物は、カチオン性ポリマーを含有してもよい。組成物中のカチオン性ポリマーの濃度は、典型的には、約0.05%〜約3%、好ましくは約0.075%〜約2.0%、より好ましくは約0.1%〜約1.0%の範囲である。好ましいカチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、少なくとも約0.4meq/gm、好ましくは少なくとも1.2meq/gm、より好ましくは少なくとも約1.5meq/gmであるが、更に好ましくは約7meq/gm未満、より好ましくは約5meq/gm未満であろう。本明細書においてポリマーの「カチオン電荷密度」とは、ポリマーの分子量に対するポリマー上の正電荷数の比率を指す。このような好適なカチオン性ポリマーの平均分子量は、一般に約10,000〜10,000,000、好ましくは約50,000〜約5,000,000、より好ましくは約100,000〜約3,000,000であろう。
【0197】
本発明の組成物に用いるのに好適なカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウムのようなカチオン性窒素含有部分又はカチオン性プロトン化アミノ部分を含有する。カチオン性プロトン化アミンは、特定の化学種及び組成物の選択したpHに応じて、第一級、第二級又は第三級アミン(好ましくは第二級又は第三級)であり得る。カチオン性ポリマーに関連して、いかなるアニオン性対イオンを使用することもできるが、そのポリマーが、水、組成物、又は組成物のコアセルベート相に可溶なままであること、また、その対イオンが、組成物の必須成分と物理的及び化学的に適合性があり、そうでなければ製品の性能、安定性、又は審美性を過度に損なわないことを条件とする。このような対イオンの非限定例としては、ハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、硫酸塩及び硫酸メチルが挙げられる。
【0198】
このようなポリマーの非限定例は、エストリン(Estrin)、クロスリー(Crosley)及びヘインズ(Haynes)編のCTFA化粧品成分辞典(CTFA Cosmetic Ingredient Dictionary)、第3版(米国化粧品工業会(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association, Inc.)、ワシントンD.C.(1982年))に記載されている。
【0199】
好適なカチオン性ポリマーの非限定例としては、カチオン性プロトン化アミン又は第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、又はビニルピロリドンのような水溶性スペーサーモノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0200】
本明細書の組成物のカチオン性ポリマーに含むために好適なカチオン性プロトン化アミノ及び第四級アンモニウムモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム塩、ジアリル第四級アンモニウム塩で置換されたビニル化合物、並びに、例えばアルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、アルキルビニルピロリドン塩等の、ピリジニウム、イミダゾリウム、及び第四級ピロリドンのような環状カチオン性窒素含有環を有するビニル第四級アンモニウムモノマーが挙げられる。
【0201】
組成物に用いるのに好適な他のカチオン性ポリマーとしては、1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩(例えば、塩化物)とのコポリマー(米国化粧品工業会(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)「CTFA」により、産業界で、ポリクオタニウム−16と呼ばれている);1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー(産業界で、CTFAにより、ポリクオタニウム−11と呼ばれている);例えば、ジメチルジアリルアンモニウム(dimethyldiallymammonium)クロリドホモポリマー、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリド(dimethyldiallyammonium)とのコポリマー(産業界で、CTFAにより、それぞれポリクオタニウム6及びポリクオタニウム7と呼ばれている)などのカチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー;例えば、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマー(産業界で、CTFAにより、ポリクオタニウム22と呼ばれている)などのアクリル酸の両性コポリマー;アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリド及びアクリルアミドとのターポリマー(産業界で、CTFAにより、ポリクオタニウム39と呼ばれている);並びにアクリル酸とメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びメチルアクリレートとのターポリマー(産業界で、CTFAにより、ポリクオタニウム47と呼ばれている)が挙げられる。好ましいカチオン性置換モノマーは、カチオン性置換ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、及びこれらの組み合わせである。
【0202】
これらの好ましいモノマーは、次式に一致する:
【0203】
【化23】

式中、R1は水素、メチル又はエチルであり、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素又は約1〜約8の炭素原子、好ましくは約1〜約5の炭素原子、より好ましくは約1〜約2の炭素原子を有する短鎖アルキルであり、nは約1〜約8、好ましくは約1〜約4の値を有する整数であり、Xは対イオンである。R2、R3及びR4に結合する窒素は、プロトン化したアミン(第一級、第二級又は第三級)であってもよいが、好ましくは第四級アンモニウムであり、ここで、各R2、R3及びR4はアルキル基であり、その非限定例はポリメタクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドであり、ローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)(米国ニュージャージー州クランベリー(Cranberry))より、ポリケア(Polycare)133の商標名で入手可能である。
【0204】
本組成物に用いるのに好適な他のカチオン性ポリマーとしては、カチオン性セルロース誘導体及びカチオン性デンプン誘導体のような多糖類ポリマーが挙げられる。好適なカチオン性多糖類ポリマーとしては、次式に一致するものが挙げられる。
【0205】
【化24】

式中、Aは、デンプン又はセルロース無水グルコース残基のような無水グルコース残基であり、Rは、アルキレンオキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、又はヒドロキシアルキレン基、あるいはその組み合わせであり、R1、R2、及びR3は、独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、又はアルコキシアリール基であり、各基は約18個までの炭素原子を含有し、各カチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R1、R2、及びR3の炭素原子の合計)は、好ましくは約20以下であり、Xは本明細書において上述したようなアニオン性対イオンである。
【0206】
好ましいカチオン性ポリマーは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩であり、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム10と呼ばれており、アメリコール社(Amerchol Corp.)(米国ニュージャージー州エジソン(Edison))よりポリマーの、ポリマー(Polymer)LR、JR及びKGシリーズとして入手可能である。カチオン性セルロースの他の好適な種類としては、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマーの第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの物質は、アメリコール社(Amerchol Corp.)より、ポリマーLM−200の商標名で入手可能である。
【0207】
他の好適なカチオン性ポリマーとしては、グアーヒドロキシプロピル塩化トリモニウムのようなカチオン性グアーガム誘導体が挙げられ、その具体例としては、ローヌ・プーラン社(Rhone-Poulenc Incorporated)より市販されているジャガー(Jaguar)シリーズ、及びハーキュレス社(Hercules,Inc.)のアクアロン部門(Aqualon Division)より市販されているN−ハンス(Hance)シリーズが挙げられる。他の好適なカチオン性ポリマーには、第四級窒素含有セルロースエーテルが挙げられ、そのいくつかの例が米国特許第3,962,418号に記載されている。他の好適なカチオン性ポリマーとしては、エーテル化セルロース、グアー、及びデンプンのコポリマーが挙げられ、そのいくつかの例が、米国特許第3,958,581号に記載されている。グアーは、ガラクトマンナンポリマーの1種の例であり、特にマンノースモノマー2に対してガラクトースモノマー1というマンノースとガラクトースとの比を有するものである。別の好適なカチオン性ポリマーとしては、正味の正電荷を持ち、マンノースとガラクトースとの比がモノマー対モノマー基準で2:1超であるガラクトマンナンポリマー誘導体が挙げられる(すなわち、非グアーガラクトマンナンポリマー)。非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体の調製に用いられるガムは、典型的には食物からの種又は豆のような天然物質として得られる。様々な非グアーガラクトマンナンポリマーの例として、タラガム(マンノース3部/ガラクトース1部)、イナゴマメ又はカロブ(マンノース4部/ガラクトース1部)、及びカッシアガム(マンノース5部/ガラクトース1部)が挙げられるが、これらに限定されない。使用するとき、本明細書のカチオン性ポリマーは、本組成物に可溶性であるか、あるいはカチオン性ポリマーと本明細書で上述のアニオン性、両性及び/又は双極性の洗浄性界面活性剤成分とによって形成される組成物中の複合コアセルベート相に可溶性であるかのいずれかである。またカチオン性ポリマーの複合コアセルベートは、組成物中の他の荷電物質で形成されることもできる。
【0208】
複合コアセルベートの形成の分析技術は、当該技術分野において既知である。例えば、コアセルベート相が形成されたか否かを確認するために、選択したいかなる希釈段階においても、組成物の顕微鏡分析を使用できる。このようなコアセルベート相は、組成物中の更なる乳化相として確認できるであろう。染料を使用すると、コアセルベート相を、組成物中に分散された他の不溶性相と区別する際の補助となり得る。
【0209】
カチオン性ポリマーの製造プロセスにおける四級化反応中に生じる可能性のある副反応は、トリメチルアミン(TMA)の形成である。理論に束縛されることを意図しないが、6.8を超えるpHにてカチオン性ポリマー含有組成物中における不純物としてのTMAの存在は、アミン臭の発生源又は魚臭の発生源であると考えられる可能性がある。驚くべきことに、pHは、組成物のヘッドスペースに発生するTMAの濃度に顕著な影響を与え、特にヘッドスペースのTMAの濃度は、pHが増大するにつれて増大することが見出されている。ヘッドスペースは、通常、閉じた容器中の液体又は固体上方の容積を言う。したがって、アミン臭の発生水準は、ヘッドスペースに存在するTMAの濃度に比例すると考えることができる。加えて、米国特許出願第11/216,520号(2005年8月31日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の22〜26頁において実証及び議論されるように、組成物のpHを低下させることによって、ヘッドスペース内へのTMA発生を逆転させることが可能であるということが見出された。
【0210】
したがって、カチオン性ポリマーを含み、アミン臭の発生が少ないか、全くない、6.8を超えるpHを有する受容可能な組成物を製造するためには、検出可能なTMAを全く含有しないか、低濃度までで含有する、カチオン性ポリマーを使用する必要がある可能性があることが見出されている。カチオン性ポリマーからのTMAの濃度は、米国特許出願第11/216,520号(2005年8月31日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の22〜26頁において実証及び議論されているように、以下の方法を使用して測定できる。
【0211】
例えば上述の方法にて測定される場合に、45ppm未満、好ましくは25ppm未満、より好ましくは17ppm未満のTMA濃度を有するカチオン性ポリマーを含む組成物が、アミン臭発生が全くないか、アミン臭発生が低く、それが受容可能であることが見出されている。
【0212】
2.非イオン性ポリマー
本発明においては約1,000超の分子量を有するポリアルキレングリコールが有用である。以下の一般式を有するものが有用である。
【0213】
【化25】

式中、R95は、H、メチル、及びこれらの混合物からなる群より選択される。本明細書中で有用なポリエチレングリコールポリマーは、PEG−2M(ポリオックスWSR(Polyox WSR)(登録商標)N−10としても既知であり、ユニオン・カーバイド(Union Carbide)から入手可能であり、PEG−2,000としても既知である)、PEG−5M(ユニオン・カーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−35及びポリオックスWSR(登録商標)N−80としても既知であり、PEG−5,000及びポリエチレングリコール300,000としても既知である)、PEG−7M(ユニオン・カーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−750としても既知である)、PEG−9M(ユニオン・カーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−3333としても既知である)、並びにPEG−14M(ユニオン・カーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−3000としても既知である)である。
【0214】
3.コンディショニング剤
コンディショニング剤は、特定のコンディショニング効果を毛髪及び/又は皮膚に与えるために用いられるいかなる物質も含む。毛髪トリートメント組成物において、好適なコンディショニング剤は、光沢、柔軟性、櫛通りの良さ、静電気防止特性、濡れたときの扱い、損傷、扱い易さ、ボリューム、及び脂っぽさに関連する1つ以上の効果をもたらすものである。本発明の組成物に有用なコンディショニング剤は、典型的には、乳化液体粒子を形成する非水溶性の水分散性不揮発性液体を含む。本組成物に用いるのに好適なコンディショニング剤は、一般にシリコーン(例えば、シリコーンオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンゴム、屈折率の高いシリコーン、及びシリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステル)若しくはこれらの組み合わせとして特徴付けられるコンディショニング剤、又はさもなければ本明細書の水性界面活性剤マトリックス中に液状の分散粒子を形成するコンディショニング剤である。これらのコンディショニング剤は、物理的及び化学的に組成物の必須成分と適合性があるべきであり、さもなければ過度に製品の安定性、審美性、又は性能を損なうものであってはならない。
【0215】
組成物におけるコンディショニング剤の濃度は、所望のコンディショニング効果をもたらすのに十分でなくてはならず、これは当業者には明白であろう。こうした濃度は、コンディショニング剤、所望のコンディショニング性能、コンディショニング剤粒子の平均粒径、他の構成要素の種類及び濃度、並びに他の同様の要因により変化させることができる。
【0216】
本発明の一実施形態においては、1つ以上のコンディショニング剤は、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約8重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約4重量%で存在する。
【0217】
コンディショニング剤は、分散ゲル網状組織相内に存在してよく、あるいは最終シャンプー組成物に別個の構成要素として添加されてもよい。
【0218】
1.シリコーン
本発明の組成物のコンディショニング剤は、好ましくは、不溶性シリコーンコンディショニング剤である。シリコーンコンディショニング剤粒子は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、又はこれらの組み合わせを含んでよい。不揮発性シリコーンコンディショニング剤が好ましい。揮発性シリコーンが存在する場合、揮発性シリコーンは、典型的には、シリコーンガム及び樹脂のような、市販の形態の不揮発性シリコーン物質成分の溶媒又はキャリアとしての使用に付随するものであろう。シリコーンコンディショニング剤粒子は、シリコーン流体コンディショニング剤を含んでよく、またシリコーン流体の付着効率を改善する又は毛髪の光沢度を増強するため、シリコーン樹脂のような他の成分を含んでよい。
【0219】
シリコーンコンディショニング剤の濃度は、典型的には、約0.01%〜約10%、好ましくは約0.1%〜約8%、より好ましくは約0.1%〜約5%、より好ましくは約0.2%〜約3%の範囲である。好適なシリコーンコンディショニング剤、及びシリコーンのための任意の懸濁化剤の非限定例は、米国再発行特許第34,584号、米国特許第5,104,646号、及び米国特許第5,106,609号に記載されている。本発明の組成物に用いるシリコーンコンディショニング剤の粘度は、25℃で測定して、好ましくは約2E−5m2/s(20センチストークス)〜約2m2/s(2,000,000センチストークス(「csk」))、より好ましくは約0.001m2/s(1,000csk)〜約1.8m2/s(1,800,000csk)、更により好ましくは約0.05m2/s(50,000csk)〜約1.5m2/s(1,500,000csk)、より好ましくは約0.1m2/s(100,000csk)〜約1.5m2/s(1,500,000csk)である。
【0220】
分散したシリコーンコンディショニング剤粒子は、ホリバLA−910粒径分析装置(Horiba LA-910 Particle Size Analyzer)を用いて測定して、典型的には、約0.01μm〜約50μmの容積平均粒径を有する。ホリバLA−910(Horiba LA-910)機器は、小角のフラウンホーファー回折(Fraunhofer Diffraction)及び光散乱(Light Scattering)の原理を用いて粒子の希釈溶液中で粒径及び分布を測定する。小さい粒子を毛髪に適用するには、容積平均粒径は、典型的に約0.01μm〜約4μm、好ましくは約0.01μm〜約2μm、より好ましくは約0.01μm〜約0.5μmの範囲である。より大きい粒子を毛髪に適用するには、容積平均粒径は、典型的に約4μm〜約50μm、好ましくは約6μm〜約40μm、及びより好ましくは約10μm〜約35μmの範囲である。
【0221】
シリコーン流体、ガム、及び樹脂、並びにシリコーンの製造を論じる節を含むシリコーンの背景資料は、高分子工業科学百科辞典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)、第15巻、第2版(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, Inc.)、1989年)、204〜308頁に見出される。
【0222】
a.シリコーンオイル
シリコーン流体としてはシリコーンオイルが挙げられ、これらは25℃で測定して、1m2/s(1,000,000csk)未満、好ましくは約5E−6m2/s(5csk)〜約1m2/s(1,000,000csk)、より好ましくは約0.0001m2/s(100csk)〜約0.6m2/s(600,000csk)の粘度を有する流動性のシリコーン物質である。本発明の組成物に用いるのに好適なシリコーンオイルとしては、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。またヘアコンディショニング特性を有する他の不溶性不揮発性シリコーン流体を使用してもよい。
【0223】
シリコーンオイルとしては、次式(III)に一致するポリアルキル又はポリアリールシロキサンが挙げられる:
【0224】
【化26】

式中、Rは脂肪族、好ましくはアルキル又はアルケニル、あるいはアリールであり、Rは置換又は非置換されることができ、xは1〜約8,000の整数である。本発明の組成物に用いるのに好適なR基としては、アルコキシ、アリールオキシ、アルカリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アルカミノ、及びエーテル置換、ヒドロキシル置換、並びにハロゲン置換脂肪族及びアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。同様に好適なR基としては、カチオン性アミン基及び第四級アンモニウム基も挙げられる。
【0225】
好ましいアルキル及びアルケニル置換基は、C1〜C5、より好ましくはC1〜C4、より好ましくはC1〜C2のアルキル及びアルケニルである。他のアルキル−、アルケニル−又はアルキニル−含有基(例えば、アルコキシ、アルカリール及びアルカミノ)の脂肪族部分は、直鎖又は分枝鎖であることができ、好ましくはC1〜C5、より好ましくはC1〜C4、更により好ましくはC1〜C3、より好ましくはC1〜C2である。上述のように、R置換基はアミノ官能性を含有することもでき(例えば、アルカミノ基)、これは第一級、第二級、又は第三級アミン又は第四級アンモニウムであり得る。これらとしては、モノ−、ジ−、及びトリ−アルキルアミノ並びにアルコキシアミノ基が挙げられ、脂肪族部分鎖長は、本明細書に記載されているとおりであることが好ましい。
【0226】
b.アミノ及びカチオン性シリコーン
本発明の組成物中に使用するのに好適なカチオン性シリコーン液体としては、以下の一般式(V)に一致するものであるが、これらに限定されない。
(R1a3-a−Si−(−OSiG2n−(−OSiGb(R12-b)m−O−SiG3-a(R1a
式中、Gは水素、フェニル、ヒドロキシ又はC1〜C8アルキル、好ましくはメチルであり、aは0又は1〜3の値を有する整数、好ましくは0であり、bは0又は1、好ましくは1であり、nは0〜1,999、好ましくは49〜499の数であり、mは1〜2,000、好ましくは1〜10の整数であり、nとmとの合計は1〜2,000、好ましくは50〜500の数であり、R1は、一般式CqH2qLに一致する一価のラジカルであり、式中、qは2〜8の値を有する整数であり、Lは以下の基から選択される:
−N(R2)CH2−CH2−N(R22
−N(R22
−N(R23-
−N(R2)CH2−CH2−NR22-
式中、R2は、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカルであり、好ましくは約C1〜約C20のアルキルラジカルであり、A-はハロゲン化物イオンである。
【0227】
式(V)に対応する特に好ましいカチオン性シリコーンは、「トリメチルシリルアモジメチコン」として既知のポリマーであり、以下の式(VI)で示される:
【0228】
【化27】

【0229】
本発明の組成物中で使用してもよい他のシリコーンカチオン性ポリマーは、一般式(VII)によって表される:
【0230】
【化28】

式中、R3は、C1〜C18の一価の炭化水素ラジカル、好ましくはメチルのようなアルキル又はアルケニルラジカルであり、R4は炭化水素ラジカルであり、好ましくはC1〜C18アルキレンラジカル又はC10〜C18アルキレンオキシラジカルであり、より好ましくはC1〜C8アルキレンオキシラジカルであり、Q-はハロゲン化物イオンであり、好ましくは塩化物であり、rは2〜20、好ましくは2〜8の平均統計値であり、sは20〜200、好ましくは20〜50の平均統計値である。この種類の好ましいポリマーは、ユーケアシリコーン(UCARE SILICONE)ALE 56(商標)として既知であり、ユニオン・カーバイド(Union Carbide)より入手可能である。
【0231】
c.シリコーンゴム
本発明の組成物に用いるのに好適な他のシリコーン流体は、不溶性シリコーンゴムである。これらのゴムは、25℃で測定して、1m2/s(1,000,000csk)以上の粘度を有するポリオルガノシロキサン物質である。シリコーンゴムは、米国特許第4,152,416号、ノル(Noll)及びウォルター(Walter)、シリコーンの化学及び技術(Chemistry and Technology of Silicones)、ニューヨーク(New York)、アカデミックプレス(Academic Press)(1968)、及びジェネラル・エレクトリック・シリコーンラバー・プロダクト・データシート(General Electric Silicone Rubber Product Data Sheets)SE 30、SE 33、SE 54及びSE 76に記載されている。本発明の組成物において使用するためのシリコーンゴムの特定の非限定例としては、ポリジメチルシロキサン、(ポリジメチルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0232】
d.高屈折率シリコーン
本発明の組成物に用いるのに好適な他の不揮発性不溶性シリコーン流体コンディショニング剤は、屈折率が少なくとも約1.46、好ましくは少なくとも約1.48、より好ましくは少なくとも約1.52、より好ましくは少なくとも約1.55である「高屈折率シリコーン」として既知のものである。ポリシロキサン流体の屈折率は、一般には約1.70未満、典型的には約1.60未満であろう。この文脈において、ポリシロキサン「流体」は、油並びにゴムを含む。
【0233】
高屈折率ポリシロキサン流体としては、上記の一般式(III)により表されるもの、並びに下記の式(VIII)で表されるもののような環状ポリシロキサンが挙げられる:
【0234】
【化29】

式中、Rは上記に定義されたとおりであり、nは約3〜約7、好ましくは約3〜約5の数である。
【0235】
高屈折率ポリシロキサン流体は、屈折率を本明細書に記載される所望の水準まで増大させるのに十分な量のアリール含有R置換基を含有する。加えて、R及びnは、物質が不揮発性であるように選択されなければならない。
【0236】
アリール含有置換基は、脂環式及び複素環式の5員及び6員のアリール環を含有するもの、並びに5員又は6員の縮合環を含有するものを含む。アリール環自体は、置換又は非置換であり得る。
【0237】
一般に、高屈折率ポリシロキサン流体は、少なくとも約15%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約25%、更により好ましくは少なくとも約35%、より好ましくは少なくとも約50%の、アリール含有置換基の程度を有するであろう。典型的には、アリール置換の程度は、約90%未満、より一般的には約85%未満、好ましくは約55%〜約80%であろう。
【0238】
好ましい高屈折率ポリシロキサン流体は、フェニル置換基又はフェニル誘導体置換基(より好ましくはフェニル)と、アルキル置換基、好ましくはC1〜C4アルキル(より好ましくはメチル)、ヒドロキシ又はC1〜C4アルキルアミノ(特に−R1NHR2NH2であり、式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、C1〜C3アルキル、アルケニル及び/又はアルコキシである)との組み合わせを有する。
【0239】
高屈折率シリコーンを本発明の組成物に用いる場合は、これらは、表面張力を低減するために、展着を増強し、それにより組成物で処置する毛髪の(乾燥後の)光沢を増強するのに十分な量で、シリコーン樹脂又は界面活性剤のような展着剤と共に溶液中で用いられることが好ましい。
【0240】
本発明の組成物に用いるのに適したシリコーン流体は、米国特許第2,826,551号、米国特許第3,964,500号、米国特許第4,364,837号、英国特許第849,433号、及び「シリコン化合物(Silicon Compounds)」(ペトラルク・システムズ社(Petrarch Systems, Inc.)、1984年)に開示されている。
【0241】
e.シリコーン樹脂
シリコーン樹脂が、本発明の組成物のシリコーンコンディショニング剤に含まれてよい。これらの樹脂は、高度に架橋したポリマーシロキサン系である。架橋は、シリコーン樹脂の製造中に三官能性及び四官能性シランを、一官能性又は二官能性又はその両方のシランと共に組み込むことによって導入される。
【0242】
特にシリコーン物質及びシリコーン樹脂は、「MDTQ」命名法として当業者に既知の省略命名法のシステムによって都合よく同定することができる。このシステム下では、シリコーンは、シリコーンを構成する種々のシロキサンモノマー単位の存在によって記載される。つまり、記号Mは一官能性単位(CH33SiO0.5を示し、Dは二官能性単位(CH32SiOを示し、Tは三官能性単位(CH3)SiO1.5を示し、Qは四官能性単位SiO2を示す。単位記号のダッシュ(例えば、M’、D’、T’及びQ’)は、メチル以外の置換基を示し、出現の度に具体的に定義しなければならない。
【0243】
本発明の組成物に用いるのに好ましいシリコーン樹脂としては、MQ、MT、MTQ、MDT及びMDTQ樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。メチル基が、好ましいシリコーン置換基である。特に好ましいシリコーン樹脂は、MQ樹脂であり、M:Q比は約0.5:1.0〜約1.5:1.0であり、シリコーン樹脂の平均分子量は約1,000〜約10,000である。
【0244】
使用されるとき、屈折率が1.46未満の不揮発性シリコーン流体とシリコーン樹脂構成要素との重量比は、特に、シリコーン流体構成要素が本明細書で記載するようなポリジメチルシロキサン流体又はポリジメチルシロキサン流体とポリジメチルシロキサンゴムとの混合物である場合には、好ましくは約4:1〜約400:1、より好ましくは約9:1〜約200:1、より好ましくは約19:1〜約100:1である。シリコーン樹脂が、シリコーン流体すなわちコンディショニング活性物質として、本組成物中の同一相の一部を形成する限り、シリコーン流体及びシリコーン樹脂の合計は、組成物のシリコーンコンディショニング剤の濃度を決定する際に含まれるべきである。
【0245】
2.有機コンディショニングオイル
本発明の組成物のコンディショニング構成要素にはまた、コンディショニング剤として、約0.05%〜約3%、好ましくは約0.08%〜約1.5%、より好ましくは約0.1%〜約1%の少なくとも1つの有機コンディショニングオイルを、単独で又はシリコーン(本明細書に記載)のような他のコンディショニング剤と組み合わせて含んでよい。
【0246】
a.炭化水素油
本発明の組成物においてコンディショニング剤として使用するのに適した有機コンディショニングオイルとしては、環状炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、及び分枝鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)(ポリマー及び混合物を含む)のような少なくとも約10の炭素原子を有する炭化水素油が挙げられるが、これらに限定されない。直鎖炭化水素油は、約C12〜約C19であることが好ましい。炭化水素ポリマーを含む分枝鎖炭化水素油は、典型的に19超の炭素原子を含有するであろう。
【0247】
これらの炭化水素油の具体的な非限定例としては、パラフィン油、鉱油、飽和及び不飽和ドデカン、飽和及び不飽和トリデカン、飽和及び不飽和テトラデカン、飽和及び不飽和ペンタデカン、飽和及び不飽和ヘキサデカン、ポリブテン、ポリデセン、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物並びに長鎖炭化水素の分枝鎖異性体も用いることができ、例としては、ペルメチル置換型異性体のような高度に分岐した、飽和又は不飽和アルカン、例えば2,2,4,4,6,6,8,8−ジメチル−10−メチルウンデカン及び2,2,4,4,6,6−ジメチル−8−メチルノナン(ペルメチル社(Permethyl Corporation)から入手可能)のようなヘキサデカン及びエイコサンのペルメチル置換型異性体が挙げられる。ポリブテン及びポリデセンのような炭化水素ポリマー。好ましい炭化水素ポリマーは、イソブチレンとブテンとのコポリマーのようなポリブテンである。この種類の市販物質は、アモコ・ケミカル社(Amoco Chemical Corporation)のL−14ポリブテンである。組成物中のこうした炭化水素油の濃度は、好ましくは約0.05%〜約20%、より好ましくは約0.08%〜約1.5%、更により好ましくは約0.1%〜約1%の範囲である。
【0248】
b.ポリオレフィン
本発明の組成物に用いる有機コンディショニングオイルとしては、液体ポリオレフィン、より好ましくは液体ポリ−α−オレフィン、より好ましくは水素添加液体ポリ−α−オレフィンを挙げることもできる。本明細書で用いるためのポリオレフィンは、C4〜約C14、好ましくは約C6〜約C12のオレフィンモノマーの重合によって調製される。
【0249】
本明細書のポリオレフィン液の調製に使用するオレフィンモノマーの非限定例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、4−メチル−1−ペンテンのような分枝鎖異性体、及びこれらの混合物が挙げられる。同様にポリオレフィン液を調製するのに適しているのは、オレフィン含有精製原料又は廃液である。好ましい水素添加α−オレフィンモノマーとしては、1−ヘキセン〜1−ヘキサデセン、1−オクテン〜1−テトラデセン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0250】
c.脂肪酸エステル
本発明の組成物においてコンディショニング剤として用いる、他の好適な有機コンディショニングオイルとしては、少なくとも10の炭素原子を有する脂肪酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの脂肪酸エステルとしては、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖とのエステル(例えばモノエステル、多価アルコールエステル、及びジ−及びトリ−カルボン酸エステル)が挙げられる。この脂肪酸エステルのヒドロカルビルラジカルは、アミド及びアルコキシ部分(例えば、エトキシ又はエーテル結合等)のような他の適合性のある官能基を含むか、又はこのヒドロカルビルラジカルをこうした官能基へ共有結合させてよい。
【0251】
好ましい脂肪酸エステルの具体例としては、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジヘキシルデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、酢酸ラウリル、プロピオン酸セチル、及びアジピン酸オレイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0252】
本発明の組成物に用いるのに好適な他の脂肪酸エステルは、一般式R’COORのモノカルボン酸エステルであり、式中、R’及びRはアルキル又はアルケニルラジカルであり、R’及びRの炭素原子の合計は、少なくとも10、好ましくは少なくとも22である。
【0253】
本発明の組成物に用いるのに好適な更に他の脂肪酸エステルは、カルボン酸のジ−及びトリ−アルキル並びにアルケニルエステル、例えばC4〜C8ジカルボン酸のエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸のC1〜C22のエステル、好ましくはC1〜C6のエステル)である。カルボン酸のジ−及びトリ−アルキル並びにアルケニルエステルの具体的な非限定例としては、ステアリン酸イソセチルステアリル(stearyol)、アジピン酸ジイソプロピル、及びクエン酸トリステアリルが挙げられる。
【0254】
本発明の組成物に用いるのに適した他の脂肪酸エステルは、多価アルコールエステルとして既知のものである。こうした多価アルコールエステルとしては、エチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化モノステアリン酸グリセリル、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、並びにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのようなアルキレングリコールエステルが挙げられる。
【0255】
本発明の組成物に用いるのに適した更に他の脂肪酸エステルは、グリセリドであり、モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド、好ましくはジ−及びトリ−グリセリド、より好ましくはトリグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。グリセリドは、本明細書に記載の組成物に使用する場合、C10〜C22のカルボン酸のような長鎖カルボン酸とグリセロールのモノ−、ジ−及びトリ−エステルであることが好ましい。様々なこれらの種類の物質は、ヒマシ油、ベニバナ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、胡麻油、ラノリン及び大豆油のような植物及び動物の油脂から得ることができる。合成油としては、トリオレイン及びトリステアリングリセリルジラウレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0256】
本発明の組成物に用いるのに好適な他の脂肪酸エステルは、非水溶性の合成脂肪酸エステルである。いくつかの好ましい合成エステルは、一般式(IX)に一致する:
【0257】
【化30】

式中、R1はC7〜C9アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル又はヒドロキシアルケニル基、好ましくは飽和アルキル基、より好ましくは飽和直鎖アルキル基であり、nは2〜4、好ましくは3の値を有する正の整数であり、Yは約2〜約20の炭素原子、好ましくは約3〜約14の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、ヒドロキシ又はカルボキシ置換アルキル又はアルケニルである。他の好ましい合成エステルは、一般式(X)に一致する:
【0258】
【化31】

式中、R2はC8〜C10アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル又はヒドロキシアルケニル基であり、好ましくは飽和アルキル基、より好ましくは飽和直鎖アルキル基であり、n及びYは、上記の式(X)で定義したとおりである。
【0259】
本発明の組成物に用いるのに好適な合成脂肪酸エステルの具体的な非限定例としては、P−43(トリメチロールプロパンのC8〜C10トリエステル)、MCP−684(3,3ジエタノール−1,5ペンタジオールのテトラエステル)、MCP 121(アジピン酸のC8〜C10ジエステル)が挙げられ、これら全てはモービル・ケミカル社(Mobil Chemical Company)より入手可能である。
【0260】
3.他のコンディショニング剤
同様に、本明細書の組成物において用いるのに好適であるのは、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Company)の米国特許第5,674,478号及び第5,750,122号に記載されているコンディショニング剤である。同様に、本明細書において用いるのに好適であるのは、米国特許第4,529,586号(クレアロール(Clairol))、同第4,507,280号(クレアロール)、同第4,663,158号(クレアロール)、同第4,197,865号(ロレアル(L'Oreal))、同第4,217,914号(ロレアル)、同第4,381,919号(ロレアル)、及び同第4,422,853号(ロレアル)に記載されているコンディショニング剤である。
【0261】
4.追加の構成要素
本発明の組成物は、様々な追加の有用な構成要素を更に含んでよい。好ましい追加の構成要素としては、以下に議論するものが挙げられる。
【0262】
1.他の抗菌活性物質
本発明の組成物は更に、1以上の抗カビ又は抗菌剤活性物質を含んでてよい。好適な抗菌活性物質としては、コールタール、硫黄、ホイットフィールド(whitfield)の軟膏、カステラーニ(castellani)塗布剤、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ビターオレンジオイル、尿素調製物、グリセオフルビン、8−ヒドロキシキノリンシロキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート、ハロプロジン、ポリエン、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン(例えば、テルビナフィン)、茶木油、クローブリーフ油、コリアンダー、パルマローサ、ベルベリン、タイムレッド、シナモン油、シンナミックアルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール(hinokitol)、イヒチオールペール、センシバ(Sensiva)SC−50、エレスタブ(Elestab)HP−100、アゼライン酸、リチカーゼ(lyticase)、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、オクチルイソチアザリノンのようなイソチアザリノン及びアゾール、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい抗菌剤としては、イトラコナゾール、ケトコナゾール、硫化セレン及びコールタールが挙げられる。
【0263】
a.アゾール
アゾール抗菌剤としては、ベンズイミダゾールのようなイミダゾール、ベンゾチアゾール、ビフォナゾール、硝酸ブタコナゾール、クリムバゾール(クリムバゾール)、クロトリマゾール、クロコナゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、エルビオール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、フルチマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、メトロニダゾール、ミコナゾール、ネチコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、硝酸サルコナゾール、チオコナゾール、チアゾール、並びにテルコナゾール及びイトラコナゾールのようなトリアゾール、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。アゾール抗菌活性物質は、組成物中に存在するとき、組成物の約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約2重量%の量で含まれる。本明細書においては、ケトコナゾールが特に好ましい。
【0264】
b.硫化セレン
硫化セレンは、本発明の抗菌組成物に用いるのに好適な粒子状抗ふけ剤であり、その有効濃度は組成物の約0.1重量%〜約4重量%、好ましくは約0.3重量%〜約2.5重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約1.5重量%の範囲である。硫化セレンは、一般にセレン1モル及び硫黄2モルを有する化合物とみなされるが、一般式Sexy(式中、x+y=8)に一致する環式構造であってもよい。硫化セレンの平均粒径は、前方レーザー光散乱装置(forward laser light scattering device)(例えばマルバーン(Malvern)3600装置)で測定して、典型的に15μm未満、好ましくは10μm未満である。硫化セレン化合物は、例えば、米国特許第2,694,668号、米国特許第3,152,046号、米国特許第4,089,945号、及び米国特許第4,885,107号に記載されている。
【0265】
c.硫黄
硫黄もまた、本発明の抗菌性組成物において粒子状抗菌剤/抗ふけ剤として使用されてよい。粒子状硫黄の有効濃度は、典型的には組成物の約1重量%〜約4重量%、好ましくは約2重量%〜約4重量%である。
【0266】
d.角質溶解剤
本発明は、サリチル酸のような1つ以上の角質溶解剤を更に含んでよい。
【0267】
本発明の追加の抗菌剤としては、メラレウカ(茶木)及び炭の抽出物が挙げられ得る。本発明はまた、抗菌活性物質の組み合わせを含んでよい。このような組み合わせは、オクトピロックスとジンクピリチオンとの組み合わせ、パインタールと硫黄との組み合わせ、サリチル酸とジンクピリチオンとの組み合わせ、オクトピロックスとクリムバゾールとの組み合わせ、及びサリチル酸とオクトピロックスとの組み合わせ、並びにこれらの混合物を含むことができる。
【0268】
2.脱毛防止及び発毛剤
本発明は、脱毛防止及び発毛促進剤又は発毛剤に有用な物質を更に含んでよい。こうした剤の例は、プロペシア、デュタステライド、RU5884のような抗アンドロゲン剤;グルココルチソイド(Glucocortisoids)、マクロライド(Macrolides)、マクロライド(Macrolides)のような抗炎症剤;ジンクピリチオン、ケトコナゾール、ニキビ処理剤のような抗菌剤;FK−506、シクロスポリンのような免疫抑制剤;ミノキシジル、アミネキシル(登録商標)のような血管拡張剤及びこれらの組み合わせである。
【0269】
3.感覚剤(sensates)
本発明は、米国特許出願第11/216,520号(2005年8月31日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の39頁において実証及び開示されるようなテルペン、バニロイド、アルキルアミド、天然抽出物及びこれらの組み合わせのような局所感覚剤(sensate)物質を更に含んでよい。
【0270】
4.保湿剤
本発明の組成物は保湿剤を含有してよい。本明細書における保湿剤は、米国特許出願第11/216,520号(2005年8月31日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の39〜40頁において実証及び開示されるような多価アルコール、水溶性アルコキシル化非イオン性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される。保湿剤は、本明細書において用いる場合、好ましくは約0.1%〜約20%、より好ましくは約0.5%〜約5%の濃度で用いられる。
【0271】
5.懸濁化剤
本発明の組成物は、非水溶性物質を組成物中に分散させた形態で懸濁するために、又は組成物の粘度を変性するために有効な濃度で、懸濁化剤を更に含んでよい。こうした濃度は、約0.1%〜約10%、好ましくは約0.3%〜約5.0%の範囲にある。本明細書で有用な懸濁化剤としては、アニオン性ポリマー及び非イオン性ポリマー、市販の粘度変性剤、並びに結晶性懸濁化剤が挙げられ、これはアシル誘導体、長鎖アミンオキシド、及びこれらの混合物として分類できる。本明細書で有用な懸濁化剤は、米国特許出願第11/216,520号(2005年8月31日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の40〜42頁において更に実証及び開示される。
【0272】
6.他の任意成分
本発明の組成物は更に、ビタミン及びアミノ酸、顔料物質、化粧品殺生物剤として有用な抗菌剤及び抗ふけ剤を含有してもよく、米国特許出願第11/216,520号(2005年8月31日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の42頁において実証及び開示されるような、ピロクトンオラミンなどの水溶性構成要素、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(トリクロカルバン)などの非水溶性構成要素、トリクロサン、キレート剤を含む。
【0273】
J.Log亜鉛結合定数を有する配位化合物
本発明の一実施形態においては、組成物は、米国特許出願第11/216,520号(2005年8月31日出願、参照することにより本明細書に組み込まれる)の42〜43頁において実証及び開示されるような、亜鉛の生物学的利用能を維持するのに十分な範囲のLog亜鉛結合定数を持つ配位化合物を更に含む。
【0274】
K.pH
好ましくは、本発明のpHは約6.5超であってよく、ここで更にpHは約6.8超である。更に、本発明のpHは約6.5〜約12、好ましくは約6.8〜約10、より好ましくは約6.8〜約9、及び更により好ましくは約6.8〜約8.5の範囲であってよい。
【0275】
L.亜鉛含有製品中の亜鉛反応活性度の評価方法
亜鉛反応活性度は、亜鉛イオンの化学的利用能の基準である。溶液中で他の種と錯体を形成しない可溶性亜鉛塩は、定義上、100%の相対亜鉛反応活性度を有する。ある程度可溶性の形態の亜鉛塩を使用し、及び/又は潜在的な錯形成剤(potential complexants)と共にマトリックス中に組み込むと、一般に亜鉛反応活性度は、定義された100%最大値のかなり下まで低下する。
【0276】
亜鉛反応活性度は、希釈亜鉛含有溶液又は分散液と金属クロム染料キシレノールオレンジ(XO)とを組み合わせ、特定条件下で色の変化の程度を測定することによって評価される。色形成の大きさは、反応活性度の高い亜鉛の濃度に比例する。開発された手順は、水性界面活性剤製剤について最適化されているが、他の物理製品形態にも同様に適応する可能性がある。
【0277】
分光光度計を使用して、XOに関して最適な色変化の波長である572nmでの色の変化を定量化する。分光光度計は、潜在的に反応度の高い形態の亜鉛を除く以外は、試験製品の組成に近い製品対照を利用して、572nmでの吸光度を0に設定する。次いで、対照及び試験製品を、次のように同様に処理する。50μLの製品試料を瓶に分配し、95mLの脱気した蒸留水を添加し、攪拌する。pH5.0にて5mLの23mg/mLキシレノールオレンジ原液をピペットで試料瓶に移し、この時間を0と考える。次に、希薄HCl又はNaOHを使用し、pHを5.50±0.01に調節する。10.0分後、試料の一部を濾過し(0.45μ)、吸光度を572nmで測定する。次いで、測定した吸光度を、別に測定した対照と比較して相対亜鉛反応活性度(0〜100%)を決定する。亜鉛基準で等濃度にて組み込まれた可溶性亜鉛物質(例えば硫酸亜鉛)の利用を除いて、100%反応活性度の対照を試験製品と同様にマトリックスに調製する。100%反応活性度の対照の吸光度を、上記で試験物質について測定したように測定する。相対亜鉛反応活性度は、好ましくは約15%を超え、より好ましくは約20%を超え、更に好ましくは約25%を超える。
【0278】
この方法を使用して、以下の実施例は、固有の反応活性度が低い物質(ZnO)と比較して、アニオン性界面活性剤系での反応活性度が本質的に高い物質(塩基性炭酸亜鉛)を実証する。
【0279】
【表1】

1単一界面活性剤系:6%ラウリル硫酸ナトリウム
【0280】
M.粒径測定方法
米国特許出願第11/216,520号(2005年8月31日出願)の44〜45頁において実証及び開示されるような酸化亜鉛及び水亜鉛土原材料における粒径分析は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0281】
N.表面積測定方法
米国特許出願第11/216,520号(2005年8月31日出願)の45頁において実証及び開示されるような表面積分析は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0282】
O.使用方法
本発明の組成物は、皮膚への直接適用において、又は皮膚及び毛髪を洗浄するための、並びに皮膚若しくは頭皮上の微生物感染症(真菌、ウイルス、又は細菌の感染症を含む)を制御するための従来の様式で用いてもよい。本明細書の組成物は、毛髪及び頭皮、並びに身体の他の部分(例えば、わきの下、足及び鼠径部)を洗浄するために、また処置を必要とする他の皮膚部分に対して有用である。本発明は、動物の皮膚又は毛髪を同様に処置又は洗浄するために用いてもよい。毛髪、皮膚又は身体の他の部分を洗浄するための組成物の有効量、典型的には約1g〜約50g、好ましくは約1g〜約20gの組成物を、好ましくは通常は水で濡らした毛髪、皮膚又は他の部分に局所的に適用し、その後、すすぎ落とす。毛髪への適用は、典型的には毛髪全体にシャンプー組成物を行き渡らせることを含む。
【0283】
更なる本発明の実施形態は、水虫、微生物感染症、頭皮の外観の改善、真菌感染症、おむつ皮膚炎、頭部白癬、イースト菌感染症及びカンジダ症の処置方法を含み、それぞれ、本発明による組成物の使用を含む。
【0284】
米国特許出願第11/216,520号(2005年8月31日出願)の46〜47頁において実証及び開示されるような抗菌(すなわち抗ふけ)有効性をもたらすための追加の方法が、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0285】
P.実施例
次の実施例は、本発明の範囲内の好ましい実施形態について更に記載し、実証するものである。本発明の範囲から逸脱することなく本発明の多くの変形形態が可能であるため、これらの実施例は単に例示を目的とするものであり、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【0286】
シャンプー組成物の製造方法
本発明の一態様は、本発明のシャンプー組成物の製造方法に関する。シャンプー組成物の製造方法は、(a)二次界面活性剤及び水を脂肪族両親媒性物質に分配するのに十分な温度において、脂肪族両親媒性物質、二次界面活性剤、及び水を組み合わせて、プレミックスを形成する工程と、(b)プレミックスを脂肪族両親媒性物質の鎖融解温度未満まで冷却して、ゲル網状組織を形成する工程と、(c)ゲル網状組織を1つ以上の洗浄性界面活性剤及び水性キャリアに添加して、シャンプー組成物を形成する工程と、d)粒子状亜鉛物質、ジンクピリチオン及び他の実施形態を添加する工程とを含み、こうした方法は、得られる組成物が、本明細書に記載の優れた抗菌効果をもたらすという条件で、抗菌組成物を提供するのに適している。e)シャンプー組成物のpHを約6.5超のpHに調整する工程。
【0287】
上述のように、本発明の一実施形態では、ゲル網状組織構成要素は、別個のプレミックスとして調製され、これは冷却後、続いてシャンプー組成物の他の構成要素に組み込まれる。より具体的には、本発明のゲル網状組織構成要素は、脂肪族両親媒性物質、二次界面活性剤、及び水を、ゲル網状組織相における最高融点物質の融点よりも少なくとも約3℃高い温度に加熱して、混合することにより、調製されることができる。この混合物を、例えば、混合物を熱交換器に通過させることにより、約27℃〜約35℃の範囲の水準まで冷却する。この冷却工程の結果として、脂肪族両親媒性物質及び二次界面活性剤は結晶化して、結晶性ゲル網状組織を形成する。
【0288】
ゲル網状組織構成要素を調製する代わりの方法としては、融解した脂肪族両親媒性物質相の粒径を低減するために、脂肪族両親媒性物質、二次界面活性剤、及び水を加熱しながら、これらの構成要素を音波処理及び/又はミル加工することが挙げられる。これは、脂肪族両親媒性物質相の表面積を増大させ、二次界面活性剤及び水が脂肪族両親媒性物質相を膨潤させる。ゲル網状組織を調製する別の好適な変化形としては、初めに脂肪族両親媒性物質及び二次界面活性剤を加熱して混合し、その後、この混合物を水に添加することが挙げられる。
【0289】
本発明の抗ふけ及び他のシャンプーの実施形態を調製する方法としては、従来の配合及び混合技術が挙げられる。米国特許第5,837,661号に記載されるような方法を採用することができるが、その際、本発明の抗菌剤は、典型的には、米国特許第5,837,661号の記載においてシリコーンプレミックスが添加されたのと同じ工程で添加される。
【0290】
非限定的な実施例
次の実施例に示されるシャンプー組成物は、本発明のシャンプー組成物の具体的な実施形態を説明するものであるが、これらに限定することを意図するものではない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者は、他の修正を実行することができる。本発明のシャンプー組成物のこれらの例示された実施形態は、毛髪に増強されたコンディショニング効果をもたらす。
【0291】
次の実施例に示されるシャンプー組成物は、従来の形成及び混合方法により調製され、その例は本明細書において以下に記載される。例示した全ての量は活性基準の重量パーセントで列記され、特に指定されない限り、希釈剤、防腐剤、着色溶液、イメージ成分、植物等の微量物質は除外してある。特に規定のない限り、全ての%は重量基準である。
【0292】
ゲル網状組織プレミックスの調製
ゲル網状組織プレミックスを調製するために、約20%の水を、ゲル網状組織プレミックスにおける最高融点物質の融点よりも高い温度に加熱する。非限定例においては、温度は、典型的に約65℃〜約90℃の範囲内に入るであろう。本発明のゲル網状組織構成要素は、脂肪族両親媒性物質、二次界面活性剤、及び水を、ゲル網状組織相における最高融点物質の融点よりも少なくとも約3℃高い温度に加熱して、混合することにより、調製されることができる。組み込んだ後、この混合物をミル及び熱交換器に通して、約35℃に冷却する。この冷却工程の結果として、脂肪族両親媒性物質、二次界面活性剤、及び水は、結晶性ゲル網状組織を形成する。
【0293】
異なる脂肪族両親媒性物質の混合物に関しては、水に組み込む前に、脂肪族両親媒性物質をプレミックスすることが有益である場合がある。これは、異なる脂肪族両親媒性物質を共融解して、この融解物を利用するか又は固相へと冷却し、これを二次界面活性剤と共に加熱水に組み込むことにより、行われ得る。別の変化形は、水に組み込む前に、1以上の脂肪族両親媒性物質及び二次界面活性剤を共融解することであり得る。層状相構造を確実に凍結するために、鎖融解温度(chain melt temperature)が約27℃〜約35℃であるいくつかのゲル網状組織組成物を、27℃未満に冷却する必要があるであろう。
【0294】
ゲル網状組織プレミックスの実施例
以下の実施例は、本発明の最終シャンプー組成物の洗浄性界面活性剤、抗菌剤及び他の構成要素に組み込む前の、ゲル網状組織プレミックスの特定の実施形態を説明する。以下のゲル網状組織プレミックスの各実施例は、分散相として、本発明によるシャンプー組成物へ組み込むことができることが意図される。
【0295】
【表2】

【0296】
【表3】

【0297】
【表4】

【0298】
【表5】

【0299】
【表6】

【0300】
【表7】

【0301】
【表8】

【0302】
【表9】

【0303】
【表10】

【0304】
【表11】

(1)A&Eコノック(A&E Connock)から入手可能。
(2)クローダ・ケミカルズ(Croda Chemicals)から入手可能。
(3)P&Gケミカルズ(P&G Chemicals)から入手可能。
(4)ゴールドシュミット・ケミカル(Goldschmidt Chemical)から入手可能。
【0305】
最終シャンプー組成物の調製
最終シャンプー組成物を調製するために、初めに、界面活性剤溶液プレミックスを形成する。この界面活性剤溶液プレミックスを調製するために、約6%〜約9%のラウレス−3硫酸ナトリウム、カチオン性ポリマー、及び約0%〜約5%の水を、ジャケット付き混合タンクに加え、攪拌しながら約74℃に加熱する。次に、エチレングリコールジステアレート(EGDS)及び他の共活性剤(適用できる場合)、並びに組み込み/融解のために熱が必要な任意の追加の物質を混合容器に加え、融解する。EGDSをよく分散させた後(例えば、約10分後)、防腐剤を加え、界面活性剤溶液に混合する。この混合物を、ミル及び熱交換器に通して約35℃に冷却し、最終タンクに集める。この冷却工程の結果、EGDSは、結晶化し、ワックス様結晶性懸濁液を形成する。これらの構成要素の混合物が、界面活性剤溶液プレミックスである。
【0306】
次に、上記のように調製された界面活性剤溶液プレミックス及びゲル網状組織プレミックスを、共に混合する。次に、塩基性炭酸亜鉛又は他の亜鉛含有層状物質を、従来の粉末混和及び混合技術により、分散剤の補助あり又はなしで、界面活性剤のプレミックス又は水に、及び次いで最終混合物に加えることができた。ピリチオン又はピリチオンの多価金属塩を最終混合物に加える。製品のpHを、塩酸のような酸を用いて容認できるpHに調整する。残りの界面活性剤、他の抗ふけ活性物質、香料、ジメチコン、粘度調節のための塩化ナトリウム又はキシレンスルホン酸ナトリウム、及び残りの水を十分に攪拌しながら加えて、均質な混合物を確保する。この混合物が、分散相としてゲル網状組織プレミックス及び粒子状亜鉛物質を含む最終シャンプー組成物である。
【0307】
本発明による最終シャンプー組成物の好ましい粘度は、2/s、3分間で、CP−41円錐平板を使用するウェルズ−ブルックフィールド(Wells-Brookfield)モデルRVTDCP粘度計により測定して、27℃において約5Pa.s(5000センチポアズ)〜約15Pa.s(15,000センチポアズ)の範囲である。
【0308】
シャンプーの実施例
次の実施例は、本発明の最終シャンプー組成物の特定の実施形態を例示し、これらはそれぞれ、分散相として、上に例示された選択されたゲル網状組織プレミックスを含む。
【0309】
【表12】

(1)約400,000の分子量を有し、約0.84meq/gの電荷密度を有するグアー、アクアロン(Aqualon)より入手可能。
(2)ビスカシル(Viscasil)330M、ゼネラル・エレクトリック・シリコーンズ(General Electric Silicones)より入手可能。
(3)約2.5μmの平均粒径を有するジンクピリチオン、アーチ(Arch)/オーリン(Olin)より入手可能。
(4)塩基性炭酸亜鉛、ブリュッゲマン・ケミカル(Bruggemann Chemical)より入手可能。
(5)G.ラガリー(Lagaly, G)らの無機化学(Inorg. Chem.)3、32、1209〜1215、及びH.モリオカ(Morioka, H)らの無機化学(Inorg. Chem.)1999年、38、4211〜4216に報告される方法により作られる物質。
(6)6N HCl、J.T.ベーカー(Baker)から入手可能であり、標的pHを得るために調整可能。
【0310】
【表13】

(1)N−ハンス(Hance)3269(分子量〜500,000、0.8meq/g)、アクアロン(Aqulaon)/ハーキュレス(Hercules)から入手可能。
(2)ADPP−5043HMW(分子量〜1,200,000、電荷密度2.0meq/g)アクアロン(Aqualon)/ハーキュレス(Hercules)から入手可能。
(3)ポリマーLR30M、アメリコール(Amerchol)/ダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手可能。
(4)ポリマーLR400、アメリコール(Amerchol)/ダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手可能。
(5)カッシアガラクトマンナン(分子量〜200,000、電荷密度=3.0meq/g)。
(6)カッシアガラクトマンナン(分子量〜200,000、電荷密度=0.7meq/g)。
(7)Peg−7M、アメリコール(Amerchol)/ダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手可能。
(8)ビスカシル330M、ゼネラル・エレクトリック・シリコーンズから入手可能。
(9)DC1664、ダウ・コーニング・シリコーンズ(Dow Corning Silicones)から入手可能。
【0311】
【表14】

(1)N−ハンス(Hance)3269(分子量〜500,000、0.8meq/g)、アクアロン(Aqulaon)/ハーキュレス(Hercules)から入手可能。
(2)ADPP−5043HMW(分子量〜1,200,000、電荷密度2.0meq/g)アクアロン(Aqulaon)/ハーキュレス(Hercules)から入手可能。
(3)ポリマーLR400、アメリコール(Amerchol)/ダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手可能。
(4)Peg−7M、アメリコール(Amerchol)/ダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手可能。
(5)ビスカシル(Viscasil)330M、ゼネラル・エレクトリック・シリコーンズ(General Electric Silicones)から入手可能。
(6)DC1664、ダウ・コーニング・シリコーンズ(Dow Corning Silicones)から入手可能。
【0312】
1.局所適用組成物
構成要素の量は、重量パーセントで列記されており、希釈剤、充填剤等のような微量物質は除外する。したがって、以下に列挙した配合は、列挙した構成要素及びかかる構成要素に関連する任意の微量物質を含む。本明細書で使用するとき、「微量成分」とは、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、芳香剤、気泡増進剤、及び同類のもののような任意成分を意味する。当業者に明白なように、これらの微量成分の選択は、本明細書に記載したように本発明をなすために選択した特定の成分の物理的及び化学的特質に応じて変化するであろう。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者は、他の修正を実行することができる。本発明の抗菌シャンプーのこれらの例示された実施形態は、優れた抗菌有効性を提供する。本発明の更に別の実施形態では、抗菌コンディショナー、抗菌リーブオントニック、及び抗菌パーソナル洗浄組成物は、本発明を含んでもよい。
【0313】
10.他の成分
本発明は、一部の実施形態において、ヘアケア製品又はパーソナルケア製品での使用に既知であるか、又はそうでなければ有効である、追加の任意成分を更に含んでよい。このような任意成分の濃度は一般に、組成物の0〜約25重量%、より典型的には約0.05重量%〜約20重量%、更により典型的には約0.1重量%〜約15重量%の範囲である。このような任意成分はまた、本明細書に記載した必須成分と物理的及び化学的に適合性があるべきであり、そうでなければ過度に製品の安定性、審美性又は性能を損なわないものでなければならない。
【0314】
本発明に使用する任意成分の非限定例としては、静電気防止剤、起泡増進剤、上述の抗ふけ剤に加えて他の抗ふけ剤、粘度調整剤及び増粘剤、懸濁液物質(例えば、EGDS、チキシン(thixins))、pH調整剤(例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、コハク酸、コハク酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、リンゴ酸、グリコール酸、塩酸、硫酸、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、DMDMヒダントイン)、抗菌剤(例えば、トリクロサン又はトリクロカーボン)、染料、有機溶媒又は希釈液、真珠光沢助剤、香料、脂肪族アルコール、タンパク質、皮膚活性剤、日焼け止め剤、ビタミン(例えば、レチニルプロピオネートを含むレチノイド、トコフェロールアセテートのようなビタミンE、パンテノール、及びナイアシンアミドを含むビタミンB3化合物)、乳化剤、揮発性キャリア、精選された安定活性物質、スタイリングポリマー、有機スタイリングポリマー、シリコーングラフトスタイリングポリマー、カチオン性展着剤、殺シラミ剤、起泡増進剤、粘度調整剤及び増粘剤、ポリアルキレングリコール並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0315】
非水溶性カチオン性界面活性剤のような任意の静電気防止剤は、典型的には組成物の約0.1重量%〜約5重量%の範囲の濃度で用いてもよい。そのような静電気防止剤は、抗菌性組成物の使用中の性能及び最終的な効果を過度に妨げてはならない。特に、静電気防止剤はアニオン性界面活性剤を妨げるべきでない。好適な静電気防止剤の具体的な非限定例は、トリセチルメチルアンモニウムクロリドである。
【0316】
本明細書に記載される本発明における使用のための任意の起泡増進剤は、脂肪酸エステル(例えばC8〜C22)モノ及びジ(C1〜C5、特にC1〜C3)アルカノールアミドを含む。そのような起泡増進剤の具体的な非限定例としては、ココナッツモノエタノールアミド、ココナッツジエタノールアミド及びこれらの混合物が挙げられる。
【0317】
任意の粘度調整剤及び増粘剤は、一般的に、本発明の抗菌組成物が、約0.001m2/s(1,000csk)〜約0.02m2/s(20,000csk)、好ましくは約0.003m2/s(3,000csk)〜約0.01m2/s(10,000csk)の全体粘度を一般に有するのに有効な量で用いてもよい。こうした粘度調整剤及び増粘剤の具体的な非限定例としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0318】
Q.他の好ましい実施形態
本発明の他の好ましい実施形態には、以下のものが挙げられる。
本発明の実施形態は、水虫、微生物感染症、頭皮の外観の改善、真菌感染症の処置、ふけの処置、おむつ皮膚炎及びカンジダ症の処置、頭部白癬の処置、イースト菌感染症の処置、爪甲真菌症の処置を含む、様々な症状を処置するために使用されてもよい組成物に関する。好ましくは、このような症状は、本発明の組成物を患部に適用することによって処置される。
【0319】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図される。
【0320】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参照により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における用語のいずれかの意味又は定義と相反する範囲では、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0321】
本発明の特定の実施形態を例示し説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)有効量の粒子状亜鉛物質と、
b)アニオン性官能基を持つ洗浄性界面活性剤を含む有効量の界面活性剤と、
c)有効量のピリチオン又はピリチオンの多価金属塩と、
d)分散ゲル網状組織相であって、
i)シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の脂肪族両親媒性物質と、
ii)該シャンプー組成物の少なくとも約0.01重量%の1つ以上の二次界面活性剤と、
iii)水と、
を含む分散ゲル網状組織相と、
e)該シャンプー組成物の少なくとも約20重量%の水性キャリアと、
を含む組成物。
【請求項2】
前記ピリチオン又はピリチオンの多価金属塩がジンクピリチオンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記分散ゲル網状組織相が事前形成される、請求項1に記載のシャンプー組成物。
【請求項4】
前記脂肪族両親媒性物質が、前記二次界面活性剤に対して、約1:5超〜約100:1の重量比で存在する、請求項1に記載のシャンプー組成物。
【請求項5】
前記脂肪族両親媒性物質が、前記二次界面活性剤に対して、約2:1超〜約10:1の重量比で存在する、請求項1に記載のシャンプー組成物。
【請求項6】
前記脂肪族両親媒性物質が、脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪族フェノール、アルコキシル化脂肪族フェノール、脂肪酸アミド、アルコキシル化脂肪酸アミド、脂肪族アミン、脂肪族アルキルアミドアルキルアミン、脂肪族アルコキシル化アミン、脂肪族カルバメート、脂肪族アミンオキシド、アルコキシル化脂肪酸、脂肪族ジエステル、脂肪族ソルビタンエステル、脂肪族糖エステル、メチルグルコシドエステル、脂肪族グリコールエステル、モノ、ジ、及びトリ−グリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、コレステロール、セラミド、脂肪族シリコーンワックス、脂肪族グルコースアミド、並びにリン脂質からなる群から選択される、請求項1に記載のシャンプー組成物。
【請求項7】
前記分散ゲル網状組織相が、前記シャンプー組成物の約1重量%〜約60重量%の量で存在する、請求項1に記載のシャンプー組成物。
【請求項8】
前記二次界面活性剤が、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のシャンプー組成物。
【請求項9】
前記カチオン性界面活性剤が、塩化セトリモニウム、塩化ステアリモニウム、塩化ベヘントリモニウム、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベヘンアミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、塩化ステアラミドプロピルトリモニウム、塩化アラキドトリモニウム、塩化ジステアリルジモニウム、塩化ジセチルジモニウム、塩化トリセチルモニウム、オレアミドプロピルジメチルアミン、リノレアミドプロピルジメチルアミン、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、オレイルヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載のシャンプー組成物。
【請求項10】
前記アニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載のシャンプー組成物。
【請求項11】
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドとこれらのモノエタノールアミン及びジエタノールアミン誘導体、ポリエトキシル化脂肪族アミン、アルキルポリグルコシド、糖エステル、ポリグリセリル脂肪酸エステル、アルキルポリグリセリルエーテル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載のシャンプー組成物。
【請求項12】
前記粒子状亜鉛物質が、約15%超の相対亜鉛反応活性度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記粒子状亜鉛物質の表面積m2/g当たり、粒子状亜鉛物質1g当たり5.5マイクロモル未満の亜鉛結合物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記亜鉛結合物質が、ラウリン酸塩、クエン酸塩、吉草酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、ヨウ素酸塩、チオシアン酸塩、シアン化物、硫化物、ピロリン酸塩、リン酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記亜鉛結合物質がラウリン酸塩である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
アニオン性官能基を持つ前記洗浄性界面活性剤が、組成物全体の約1%〜約50%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記ジンクピリチオンが約0.01%〜約5%で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項18】
前記洗浄性界面活性剤が約2%〜約50%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記洗浄性界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又は双極性界面活性剤からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記界面活性剤がアニオン性である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
pHが約6.5超である、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
pHが約6.8〜約9.5である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
pHが約6.8〜約8.5である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記粒子状亜鉛物質が、約20%超の相対亜鉛反応活性度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記粒子状亜鉛物質が、約25%超の相対亜鉛反応活性度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記粒子状亜鉛物質が、無機物質、天然亜鉛源、鉱石、鉱物、有機塩、高分子塩、又は物理的に吸着された形態の物質、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記無機物質が、アルミン酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、カラミン、リン酸亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、ケイ酸亜鉛、ケイフッ化亜鉛、ホウ酸亜鉛、又は水酸化亜鉛及びヒドロキシ硫酸亜鉛、亜鉛−含有層状物質、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記亜鉛含有層状物質が、塩基性炭酸亜鉛、炭酸水酸化亜鉛、水亜鉛土、亜鉛炭酸水酸化銅、緑亜鉛鉱、銅炭酸水酸化亜鉛、亜鉛孔雀石、亜鉛イオン含有フィロシリケート、層状複水酸化物、ヒドロキシル複塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記亜鉛含有層状物質が、炭酸水酸化亜鉛、水亜鉛土、塩基性炭酸亜鉛、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記亜鉛含有層状物質が水亜鉛土又は塩基性炭酸亜鉛である、請求項31に記載の組成物。
【請求項31】
前記亜鉛含有層状物質が塩基性炭酸亜鉛である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
カチオン沈着ポリマーを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
前記カチオン性ポリマーが、約45ppm未満のトリメチルアミン濃度を有する、請求項33に記載の組成物。
【請求項34】
コンディショニング剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
前記コンディショニング剤がシリコーンである、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
懸濁化剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
前記懸濁化剤が、結晶性懸濁化剤、高分子懸濁化剤、又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記懸濁化剤が結晶性懸濁化剤である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
請求項1に記載の組成物の使用を含む、ふけの処置方法。
【請求項40】
請求項1に記載のシャンプー組成物の調製方法であり、
a)前記二次界面活性剤及び前記水を前記脂肪族両親媒性物質に分配するのに十分な温度において、脂肪族両親媒性物質、二次界面活性剤、及び水を組み合わせて、プレミックスを形成する工程と、
b)該プレミックスを該脂肪族両親媒性物質の鎖融解温度未満まで冷却して、ゲル網状組織を形成する工程と、
c)該ゲル網状組織、粒子状亜鉛物質、及びピリチオン又はピリチオンの多価金属塩を、1つ以上の洗浄性界面活性剤及び水性キャリアに組み合わせて、シャンプー組成物を形成する工程と、
を含む、方法。

【公表番号】特表2010−510213(P2010−510213A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537177(P2009−537177)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/023772
【国際公開番号】WO2008/063471
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】