説明

粘弾性フォームのビスマス塩による触媒作用

本発明の実施形態は、ビスマス含有触媒の存在下で作られる粘弾性ポリウレタンフォームを提供する。粘弾性ポリウレタンフォームは、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを含む反応混合物の反応生成物であってもよく、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、少なくとも1種のビスマス含有触媒の存在下で反応させ、粘弾性ポリウレタンフォームの密度が100kg/m未満であり、弾性エネルギーが約25%未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は一般にポリウレタンフォームに関し、より具体的には、粘弾性ポリウレタンフォームに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる「Catalysis of Natural Oil Based Flexible Polyurethane Foams with Bismuth Compounds」と題された2008年8月27日出願の米国特許仮出願第60/966,284号の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタンフォームは、クッション材(マットレス、枕、およびシートクッションなど)から梱包、断熱に及ぶ幅広い用途で使用される。ポリウレタンフォームの1つの部類は粘弾性(VE)または「記憶」フォームとして知られる。粘弾性フォームは、加えられた応力に対して時間遅延性かつ速度依存性の応答を示す。それらは弾性エネルギーが低く、圧縮されるとゆっくりと元に戻る。これらの特性は多くの場合、ポリウレタンのガラス転移温度(T)と関連づけられる。粘弾性は多くの場合、ポリマーが使用温度かまたは使用温度の近くでTを有するときに現れ、使用温度は多くの用途において室温である。
【0004】
大部分のポリウレタンフォームのように、VEポリウレタンフォームは、発泡剤、触媒、および他の添加剤の存在下で、ポリオール成分をイソシアナートと反応させることによる調製される。使用される触媒としては、ポリオール−イソシアナート(ゲル化)反応を促進する有機金属塩触媒が挙げられる。通常、有機金属塩触媒はスズに基づいている。しかし一部の事例においては、環境上の理由からスズ触媒を避けることが好まれる。したがって、スズ系触媒をなるべく用いずに、同時に圧縮永久歪みなどの発泡体の特性を維持しながら、またはむしろそれを上回りながら、粘弾性フォームを製造する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、ビスマス含有触媒の存在下で作られる粘弾性ポリウレタンフォームを提供する。1つの実施形態において、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを含む反応混合物の反応生成物である粘弾性ポリウレタンフォームを含む組成物が提供され、ここでは少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、少なくとも1種のビスマス含有触媒の存在下で反応させ、粘弾性ポリウレタンフォームの密度が100kg/m未満であり、弾性エネルギーが約25%未満である。
【0006】
別の実施形態において、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを含む反応混合物の反応生成物である粘弾性ポリウレタンフォームを含む物品が提供され、ここでは少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、少なくとも1種のビスマス含有触媒の存在下で反応させ、粘弾性ポリウレタンフォームの密度が100kg/m未満であり、弾性エネルギーが約25%未満である。
【0007】
別の実施形態において、粘弾性ポリウレタンフォームを調製する方法が提供され、この方法は少なくとも1種のポリオール、少なくとも1種のイソシアナート、および少なくとも1種のビスマス含有触媒を含む反応混合物を化合させて、密度が100kg/m未満であり弾性エネルギーが約25%未満であるフォームを形成させることを含む。
【0008】
別の実施形態において、粘弾性フォームは約1〜750ppmの間のビスマス含量を含み、粘弾性フォームの密度が100kg/m未満であり、弾性エネルギーが約25%未満である。
【0009】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームの弾性エネルギーが約20%未満である。
【0010】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームの弾性エネルギーが約15%未満である。
【0011】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームの弾性エネルギーが約10%未満である。
【0012】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームの芳香族アミン含量が10ppm未満である。
【0013】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームの芳香族アミン含量が5ppm未満である。
【0014】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームの芳香族アミン含量が3ppm未満である。
【0015】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、約75〜約100の間のイソシアナート指数において反応させ、粘弾性ポリウレタンフォームの芳香族アミン含量が約5ppm未満である。
【0016】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、約75〜約100の間のイソシアナート指数において反応させ、粘弾性ポリウレタンフォームの芳香族アミン含量が約3ppm未満である。
【0017】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、約75〜約100の間のイソシアナート指数において反応させ、粘弾性ポリウレタンフォームの芳香族アミン含量が約2ppm未満である。
【0018】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、約80〜約95の間のイソシアナート指数において反応させ、粘弾性ポリウレタンフォームの芳香族アミン含量が約5ppm未満である。
【0019】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、約80〜約95の間のイソシアナート指数において反応させ、粘弾性ポリウレタンフォームの芳香族アミン含量が約3ppm未満である。
【0020】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、約80〜約95の間のイソシアナート指数において反応させ、粘弾性ポリウレタンフォームの芳香族アミン含量が約1ppm未満である。
【0021】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームが10未満の50%圧縮永久歪みおよび10未満の75%圧縮永久歪みを含み、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、85未満のイソシアナート指数において反応させる。
【0022】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームが7未満の50%圧縮永久歪みおよび7未満の75%圧縮永久歪みを含み、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、85未満のイソシアナート指数において反応させる。
【0023】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームが5未満の50%圧縮永久歪みおよび5未満の75%圧縮永久歪みを含み、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを、85未満のイソシアナート指数において反応させる。
【0024】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームの総VOC排出量が1000μg/m未満である。
【0025】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームの総VOC排出量が500μg/m未満である。
【0026】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性ポリウレタンフォームの総VOC排出量が300μg/m未満である。
【0027】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし少なくとも1種のイソシアナートが、TDI異性体およびMDI異性体のうち少なくとも1種を含む。
【0028】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし少なくとも1種のポリオールが、ポリオール組成物の水を除いたすべてのイソシアナート反応性種の総ヒドロキシル数が約100mg KOH/g〜約300mg KOH/gの間であるポリオール組成物を含む。
【0029】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし反応混合物が少なくとも1種のスズ触媒をさらに含む。
【0030】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性フォームが約1ppm〜750ppmの間のビスマス含量を含む。
【0031】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性フォームが約6ppm〜450ppmの間のビスマス含量を含む。
【0032】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし粘弾性フォームが約12ppm〜400ppmの間のビスマス含量を含む。
【0033】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし物品が緩衝器具である。
【0034】
別の実施形態において、前記実施形態のいずれかに従って、組成物、その製造方法、およびそれから作られる物品が提供されるが、ただし物品が枕およびマットレスのうちの1種である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施形態は、圧縮永久歪みなどの優れた物理特性を有し、同時にフォーム中のVOCおよび芳香族アミンが少量である粘弾性フォームを製造する方法を提供する。このフォームは少なくとも1種のビスマス系触媒の存在下で、少なくとも1種のポリオール組成物を少なくとも1種のイソシアナートと反応させることにより製造される。意外にも、少なくとも1種のビスマス系触媒を用いて製造されるそのようなフォームは、他の触媒を用いて作られる同等のフォームよりも低減されたVOC量を示し、芳香族アミンが1桁少ないことが見出された。ポリオール組成物は少なくとも1種のポリオールまたはポリオールの混合物を含む。ポリオール組成物はまた、鎖延長剤および架橋剤などの、他のイソシアナート反応性種を含んでもよい。
【0036】
ポリオール組成物は主にフォームのTを決定すると考えられ、したがってフォームの粘弾性挙動を決定すると考えられるので、ポリオール組成物はほとんどの場合、約−20〜約40℃の間、特に約−10〜約25℃の間の範囲のTをフォームに付与するように選択される。ポリオール組成物は、ポリオール組成物のすべてのイソシアナート反応性種(水以外)の総ヒドロキシル数が約100mg KOH/g〜約300mg KOH/gの間であるように選択することができる。約100mg KOH/g〜約300mg KOH/gの間にあるすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、総ヒドロキシル数は100、105、110、115、120、125、130、140、または150の下限から、200、225、250、275、または300の上限までであってもよい。例えば、総ヒドロキシル数は100〜300の範囲であってもよく、あるいは、総ヒドロキシル数は115〜250の範囲であってもよく、あるいは、総ヒドロキシル数は125〜225の範囲であってもよい。
【0037】
少なくとも1種のポリオールは、1分子あたり2.5〜4個のヒドロキシル基の官能性と約300〜約1500の間の分子量を有するポリオールを含むことができる。1つの実施形態において、少なくとも1種のポリオールの分子量は約400〜約1300の間、別の実施形態においては約400〜約1100の間であってもよい。本明細書においてポリオールの分子量はすべて数平均分子量である。
【0038】
少なくとも1種のポリオールは、ポリエーテル型またはポリエステル型であってもよい。ヒドロキシ官能性アクリラートポリマーおよびコポリマーが適切である。少なくとも1種のポリオールは、プロピレンオキシドもしくはエチレンオキシドのポリマー、またはプロピレンオキシドもしくはエチレンオキシドのコポリマー(ランダムまたはブロック)であってもよい。ポリオールは第一級または第二級ヒドロキシル基を有することができるが、主に第二級ヒドロキシル基を有するのが好ましい。
【0039】
上記の少なくとも1種のポリオールに加えて、ポリオール組成物はまた、ヒドロキシル当量が少なくとも150であるモノアルコールまたはポリオールを含んでいてもよい。モノアルコール(1つまたは複数)またはポリオール(1つまたは複数)は、連続気泡を形成する、ポリウレタンのガラス転移温度の増減をさらに起こす、系の反応プロファイルを改変する、およびポリマーの物理特性を改変するなどの様々な機能を果たすため、または他の機能を果たすために用いてもよい。一般に、追加のモノアルコール(1つまたは複数)またポリオール(1つまたは複数)は、200〜13000またはそれを超える分子量と、1分子あたり1〜8またはそれを超えるヒドロキシル基の官能性を有していてもよい。モノアルコールまたはポリオールは例えば、分子量が1500〜9000、特に2400〜7500であってもよく、1分子あたり1〜8、特に1〜4のヒドロキシル基の官能性を有していてもよい。別の適切なモノアルコールまたはポリオールは、1分子あたり1〜2のヒドロキシル基の官能性と、600〜1500の分子量を有する。
【0040】
モノアルコールまたはポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および1,2−ブチレンオキシドなどの1つもしくは複数のアルキレンオキシド、またはそのようなアルキレンオキシドの混合物のポリマーであってもよい。好ましいポリエーテルは、ポリプロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの混合物のポリマーである。モノアルコールまたはポリオールはまた、ポリエステルであってもよい。これらのポリエステルとしては、ポリオール(好ましくはジオール)とポリカルボン酸またはその酸無水物(好ましくはジカルボン酸またはジカルボン酸無水物)との反応生成物が挙げられる。ポリカルボン酸または酸無水物は、脂肪族、脂環式、芳香族、および/または複素環であってもよく、ハロゲン原子などにより置換されていてもよい。ポリカルボン酸は不飽和であってもよい。これらのカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、およびフマル酸が挙げられる。ポリエステルポリオールを作るのに用いられるポリオールは、150以下の当量を有することができ、これにはエチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,4−および2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールなどが含まれる。
【0041】
ヒドロキシル官能性ポリブタジエンポリマーもまた、有用なモノアルコールおよびポリオールである。
【0042】
特に対象となる追加のモノアルコールおよびポリオールには以下のものが含まれる。
1)ポリ(プロピレンオキシド)のホモポリマー、またはプロピレンオキシドおよび20重量%までのエチレンオキシドのランダムコポリマーで、2〜4の官能性および800〜2200の当量を有するもの。
2)エチレンオキシドのホモポリマー、またはエチレンオキシドおよび50重量%までのC以上の高級アルキレンオキシドのコポリマー(ランダムまたはブロック)で、3〜8、特に5〜8の官能性および1000〜3000の当量を有するもの。
3)エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドのホモポリマー、またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダムコポリマーで、約1の官能性と、200〜3000、特に1000〜3000の分子量を有するもので、WO01/57104に記載されるタイプのモノアルコールを含める。
4)500以上の当量および分散ポリマー相を有する、モノアルコールまたはポリオールを含有するポリマーポリオール。分散ポリマー相は、エチレン系不飽和モノマーの粒子(そのうち、スチレン、アクリロニトリル、およびスチレン−アクリロニトリルコポリマーが特に対象となる)、ポリ尿素粒子、またはポリウレタン粒子であってもよい。分散相は、ポリマーポリオールの5〜60重量%を構成することができる。
5)自己触媒活性を有し、ポリウレタンフォームの製造に一般に用いられるアミン触媒および/または有機金属触媒の一部または全部に代わることができるポリマーポリオール。自己触媒ポリオールは、第3級アミンを含有する開始剤、ポリオール鎖の中に第3級アミン基を含有するポリオール、または第3級アミン基で部分的にキャップしたポリオールから作られるものである。自己触媒性ポリオールは、同じ反応プロファイルを維持しながらアミン触媒の約10wt%〜約50wt%の代替とするために加えてもよい。あるいは、離型時間を向上させるためにそのような自己触媒性ポリオールを加えてもよい。そのような自己触媒性ポリオールは、EP539,819、米国特許第5,672,636号、第3,428,708号、第5,482,979号、第4,934,579号、および第5,476,969号、ならびにWO01/58,976に開示されている。そのような自己触媒性ポリオールの例としては、The Dow Chemical Companyより入手可能なVORANOL VORACTIVポリオール、例えばVORANOL VORACTIV VV 7000が挙げられる。
6)任意の2つ以上の前述のものの混合物。
【0043】
ポリオール組成物はまた、天然油性のポリオールを少なくとも1種含んでもよい。天然油性のポリオールは、天然および/または遺伝子組換え(GMO)作物の植物種子油および/または動物源の脂肪などの、再生可能な原料資源に基づく、またはそれに由来するポリオールである。そのような油および/または脂肪は一般にトリグリセリド、すなわちグリセロールと共に結合した脂肪酸から成る。そのような植物油は、トリグリセリド中に少なくとも約70パーセントの不飽和脂肪酸を有していてもよい。天然の産生物は少なくとも約85重量パーセントの不飽和脂肪酸を含有することができる。植物油の例としては、ヒマ、ダイズ、オリーブ、ピーナッツ、アブラナ、トウモロコシ、ゴマ、ワタ、セヨウアブラナ、ベニバナ、アマニ、ヤシ、ブドウ種、ブラックキャラウェー、カボチャ種子、ルリジサ種、木の胚芽、アプリコット種子、ピスタチオ、アーモンド、マカダミアナッツ、アボカド、シーバックソーン、アサ、ヘーゼルナッツ、マツヨイグサ、野バラ、アザミ、クルミ、ヒマワリ、ヤトロファ種子油、またはそれらの組合せから得られる油が挙げられる。さらに、藻などの有機体から得られる油もまた使用することができる。動物性産生物の例としては、ラード、牛脂、魚油、およびそれらの組合せが挙げられる。植物性および動物性の油/脂肪の組合せもまた使用することができる。
【0044】
ポリウレタンフォームの製造において使用するために、天然物質を修飾してイソシアナート反応性基を物質に付与するか、または物質上のイソシアナート反応性基の数を増加させてもよい。好ましくはそのような反応性基はヒドロキシル基である。天然油性のポリオールを調製するのに、いくつかの化学反応を用いることができる。再生可能資源のそのうような修飾としては、例えば、エポキシ化、水酸化、オゾン分解、エステル化、ヒドロホルミル化、またはアルコキシ化が挙げられる。そのような修飾は当技術分野で一般に公知であり、例えば、米国特許第4,534,907号、第4,640,801号、第6,107,433号、第6,121,398号、第6,897,283号、第6,891,053号、第6,962,636号、第6,979,477号、およびPCT公開番号WO2004/020497、WO2004/096744、およびWO2004/096882に記載されている。
【0045】
天然油の修飾によるそのようなポリオールの生成後、修飾した生成物をさらにアルコキシ化してもよい。エチレンオキシド(EO)を使用するか、またはEOと他のオキシドとの混合物を使用することにより、ポリオールに親水性部分を導入する。1つの実施形態において、修飾した生成物は十分量のEOによりアルコキシ化を受けて、EOが約10重量%〜約60重量%の間、好ましくはEOが約20重量%〜約40重量%の間である天然油性のポリオールが生成される。
【0046】
別の実施形態において、天然油性のポリオールは、動物性または植物性の油/脂肪をエステル交換に供し、構成成分の脂肪酸を回収する多段階プロセスによって得られる。このステップに続いて、構成成分の脂肪酸中の炭素−炭素二重結合をヒドロホルミル化してヒドロキシメチル基を形成させ、次いでヒドロキシメチル化脂肪酸を適切な開始剤化合物と共に反応させることにより、ポリエステルまたはポリエーテル/ポリエステルを形成させる。そのような多段階プロセスは当技術分野で一般に公知であり、例えば、PCT公開番号WO2004/096882および2004/096883に記載されている。多段階プロセスによって、疎水性部分および親水性部分の両方を有するポリオールが生成することになり、その結果、水および従来の石油系ポリオールの両方に対する混和性が高められる。
【0047】
天然油性のポリオールを製造するための多段階ステップにおいて使用する開始剤は、従来の石油系ポリオールの製造において使用される任意の開始剤であってもよい。好ましくは、開始剤は、ネオペンチルグリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;ペンタエリトリトール;ソルビトール;スクロース;グリセロール;ジエタノールアミン;1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオールなどのアルカンジオール;1,4−シクロヘキサンジオール;2,5−ヘキサンジオール;エチレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール;ビス−3−アミノプロピルメチルアミン;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン;8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン;ジメロール(Dimerol)アルコール(Henkel Corporationより入手可能な36炭素のジオール);水素化ビスフェノール;9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール;1,2,6−ヘキサントリオール、およびそれらの組合せから成る群より選択される。より好ましくは、開始剤は、グリセロール;エチレングリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;エチレンジアミン;ペンタエリトリトール;ジエチレントリアミン;ソルビトール;スクロース;または任意の前述もので、その中に存在する少なくとも1種のアルコールまたはアミン基が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはそれらの混合物と反応したもの;およびそれらの組合せから成る群より選択される。より好ましくは、開始剤は、グリセロール、トリメチロプロパン、ペンタエリトリトール、スクロース、ソルビトール、および/またはそれらの混合物である。
【0048】
1つの実施形態において、開始剤はエチレンオキシドにより、またはエチレンおよび少なくとも1種の他のアルキレンオキシドの混合物によりアルコキシ化されて、分子量が約200〜約6000の間、好ましくは約500〜3000の間であるアルコキシ化された開始剤が得られる。
【0049】
少なくとも1種の天然油性のポリオールの官能性は約1.5を上回り、一般に約6以下である。1つの実施形態において、官能性は約4を下回る。少なくとも1種の天然油性のポリオールのヒドロキシル数は、約300mg KOH/gを下回り、好ましくは約20〜約300の間、より好ましくは約40〜約200の間である。1つの実施形態において、ヒドロキシル数は約100を下回る。1つの実施形態において、ヒドロキシル数は約20〜40の間である。
【0050】
フォームの配合における種油の量を最大化するため、またはフォーム加工および/もしくは特定のフォーム特性(湿度劣化に対する耐性など)を最適化するために、2種類以上の天然油性のポリオールの組合せも使用してもよい。
【0051】
ポリウレタンフォームを形成させるために、ポリオール組成物を少なくとも1種のイソシアナートと反応させる。イソシアナートは、1分子あたりのイソシアナート基の平均が1.8以上である有機イソシアナートであってもよい。イソシアナート官能性は好ましくは約1.9〜4、より好ましくは1.9〜3.5、とりわけ1.9〜2.5である。適切なイソシアナートとしては、芳香族、脂肪族、および脂環式のイソシアナートが挙げられる。コスト、入手しやすさ、および生成物ポリウレタンに付与される特性に基づき、芳香族イソシアナートが一般に好ましい。例となるイソシアナートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアナート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアナート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)の種々の異性体、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアナート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアナート、水素化MDI(H12 MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアナート、4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、水素化ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、トルエン−2,4,6−トリイソシアナート、および4.4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアナートが挙げられる。好ましいイソシアナートとしては、MDIおよびMDIの誘導体、例えばビウレットで修飾した「液体」MDI生成物およびポリマーMDIなど、ならびにTDIの2,4−および2,6−異性体の混合物が挙げられる。1つの実施形態において、イソシアナートは、少なくとも80重量%の2,4−異性体を含有する、2,4−および2,6−トルエンジイソシアナートの混合物である。
【0052】
少なくとも1種のイソシアナートを、約70〜約110の間、好ましくは約75〜約100の間、より好ましくは約80〜約95の間のイソシアナート指数において反応させる。イソシアナート指数は、パーセンテージとして与えられる、配合物中に存在するイソシアナート反応性水素原子に対するイソシアナート基の比である。このようにイソシアナート指数は、配合物中で使われるイソシアナート反応性水素の量と反応するのに理論的に必要なイソシアナートの量に対する、配合物中で実際に使われるイソシアナートのパーセンテージを表す。
【0053】
上記のポリオールに加えて、1種または複数種の架橋剤がフォーム配合物中に任意選択で存在する。使用する場合、使用する架橋剤の量は、全ポリオール100重量部あたり、好ましくは少なくとも約0.1、より好ましくは少なくとも約0.25重量部であり、好ましくは最大で約1、より好ましくは最大で約0.5重量部である。
【0054】
「架橋剤」は1分子あたり3個以上のイソシアナート反応性基を有し、1種のイソシアナート反応性基あたりの当量が約400未満である物質であってもよい。架橋剤は好ましくは1分子あたり少なくとも約3個、好ましくは最大で約8個、より好ましくは約4個のヒドロキシル基、第1級アミン、または第2級アミン基を有し、当量が好ましくは少なくとも約30、より好ましくは少なくとも約50であり、独立に好ましくは最大で約200、より好ましくは最大で約125の当量である。適切な架橋剤の例としては、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−、ジ−、またはトリ(イソプロパノール)アミン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
【0055】
フォーム配合物中で1種または複数の鎖延長剤を使用することもまた可能である。鎖延長剤は、1分子あたり2個のイソシアナート反応性基を有し、1種のイソシアナート反応性基あたりの当量が好ましくは約400未満、好ましくは少なくとも約31であり、より好ましくは最大で約125である物質であってもよい。イソシアナート反応性基は、好ましくはヒドロキシル基、第1級脂肪族もしくは芳香族アミン基、または第2級脂肪族もしくは芳香族アミン基である。代表的な鎖延長剤としては、アミンエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)メタン、および2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンが挙げられる。使用する場合、鎖延長剤は典型的には100重量部の高当量ポリオールあたり、好ましくは少なくとも約1、より好ましくは少なくとも約3、独立に好ましくは最大で約50、より好ましくは最大で約25重量部の量で存在する。
【0056】
そのような架橋剤および鎖延長剤の使用は、米国特許第4,863,979号、および欧州公開第0549120号に開示されるように、当技術分野で公知である。
【0057】
ポリウレタンフォームを製造するのに、発泡剤を使用してもよい。軟質ポリウレタンフォームの製造において、水が発泡剤として好ましいことがある。水の量は、100重量部の全ポリオールを基準として、好ましくは少なくとも約0.5、より好ましくは少なくとも約0.8重量部であり、独立に好ましくは最大で約6、より好ましくは最大で約4重量部である。他の発泡剤およびその使用は、十分に当技術分野の技術の範囲内である。例えば、カルボン酸またはカルボン酸塩は場合により、反応性の発泡剤として使用される。他の発泡剤としては、液体もしくは気体の二酸化炭素、塩化メチレン、アセトン、ペンタン、イソペンタン、メチラールもしくはジメトキシメタン、ジメチルカルボナート、またはそれらの組合せが挙げられる。米国特許第5,194,453号に記載されるように、人工的に減少または上昇させた大気圧を使用することもまた、本発明の実施において意図するものである。フォームは場合により、そのような薬剤または手段のうち任意の1種または任意の組合せによりブロー成形される。
【0058】
前述の成分に加えて、ポリウレタンポリマーの調製においてある種の他の成分を使用するのが望ましい場合もある。これらの追加の成分に含まれるのは、乳化剤、シリコーン界面活性剤、保存料、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、抗菌剤、補強剤、粉末形態の再生ポリウレタンフォームを含めた充填剤、または他の添加剤を含むもしくは含まないこれらの組合せである。
【0059】
ポリオール組成物(および場合により水)とイソシアナートとの反応において、1種または複数の触媒を用いる。本発明の様々な実施形態において、少なくとも1種の触媒はビスマス系触媒である。ビスマス系触媒としては、例えば、ビスマスのカルボン酸塩(酢酸塩、オレイン酸塩、オクチル酸塩、またはネオデカン酸塩など)、例えば、硝酸ビスマス、ビスマスハロゲン化物(臭化物、塩化物、またはヨウ化物など)、例えば、硫化ビスマス、塩基性カルボン酸ビスマス(ネオデカン酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、または次サリチル酸ビスマスなど)、および例えばそれらの組合せが挙げられる。各ビスマス系触媒は、好ましくは有機ビスマス触媒である。そのような有機ビスマス触媒としては、例えば、カルボン酸塩およびスルホン酸塩が挙げられ、これらは有機ビスマス触媒のうちで好ましい。スルホン酸塩の例としては、p−トルエンスルホン酸塩などの芳香族スルホン酸塩、ならびにメタンスルホン酸塩およびトリフルオロメタンスルホン酸塩などの脂肪族スルホン酸塩が挙げられる。より好ましくは、ビスマス系触媒としては少なくとも1種のビスマスカルボン酸塩、例えば2−エチルヘキサノアート、ステアリン酸塩、トリス(2−エチル−ヘキサオクトアート)またはオクトアート、デカン酸塩、好ましくは、炭素原子を好ましくは少なくとも2個、より好ましくは少なくとも5個、最も好ましくは少なくとも8個、好都合には炭素原子を最大で約20個、好ましくは最大で約17個、より好ましくは最大で約15個、最も好ましくは最大で約12個有するカルボン酸のカルボン酸塩、およびそのようなカルボン酸で好ましくは脂肪族酸のカルボン酸塩が挙げられる。本発明のある実施形態において、ビスマス系触媒はネオデカン酸ビスマスである。1つの実施形態において、法律が許す範囲で本明細書に参照として組み込まれるUS6,825,238に記載されるように、ビスマス系触媒は低酸度(34パーセント未満の遊離酸)の有機金属触媒、特にネオデカン酸ビスマスである。
【0060】
ポリウレタンを生成させるのに用いられるビスマス系触媒またはその組合せの量は、ポリオールの100重量部あたり約0.005重量部(PPHP)〜約2PPHPの間である。約0.005部PPHP〜約2PPHPの間のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、ビスマス系触媒の量は、0.005、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、または0.03PPHPの下限から、上限が0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、または2.0PPHPである。例えば、ビスマス系触媒の量は0.005〜2PPHPの範囲であってもよく、あるいはビスマス系触媒の量は0.01〜1.5PPHPの範囲であってもよく、あるいはビスマス系触媒の量は0.02〜1.0PPHPの範囲であってもよい。すなわち、例えばプレポリマーの生成を触媒するのにビスマス系触媒を用いる場合、使用する触媒の量を決定する基準としてのポリオールの総重量は、プレポリマーを構成することになるすべてのポリオールの重量である。同様に、問題とする反応が例えばイソシアナートと反応するヒドロキシ官能性プレポリマーおよび他のポリオールを含む場合、全プレポリマーの重量は、ポリウレタンを生成する反応に参入するヒドロキシ官能性プレポリマーおよび他のポリオールの重量を含む。ビスマス系触媒を、ポリウレタン生成の任意の段階、すなわち、少なくとも1種のプレポリマーの生成、最終ポリウレタンの生成、またはそれらの組合せにおいて使用することは、本発明の実施の範囲内である。1つの実施形態において、1種または複数種のプレポリマーがより早い段階または中間の段階に関与していようとそうでなかろうと、また少なくとも1種のビスマス系触媒がより早い段階または場合により起こる中間の段階に関与していようとそうでなかろうと、ビスマス系触媒は少なくとも最終ポリウレタンの生成において用いられる。
【0061】
ビスマス系触媒に加えて、ウレタン触媒を生成するのに適した任意の触媒が場合により使用される。そのような触媒としては、第3級アミン化合物、イソシアナート反応性基を有するアミン、および有機金属化合物が挙げられる。例となる第3級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチル−4−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチルプロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N−ココモルホリン、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルベンジルアミン、およびそれらの組合せが挙げられる。例となる有機金属触媒としては、有機水銀、有機鉛、有機鉄、有機スズ、有機リチウム、およびそれらの組合せが挙げられる。様々な追加の触媒の中で、列挙したものなどの窒素含有化合物が好ましい。一部の追加の触媒(好ましくは窒素を含有する)は多くの場合、ビスマス系触媒がカルボン酸塩以外である場合に特に有用である。
【0062】
少なくとも1種の窒素含有触媒(好ましくはアミン触媒)を少なくとも1種のビスマス系触媒と共に使用する場合、窒素含有触媒またはその組合せの量は、触媒される反応物中の全ポリオールの重量を基準として、好ましくは少なくとも約0.05、より好ましくは少なくとも約0.08、最も好ましくは少なくとも約0.1PPHPであり、場合により好ましくは最大で約5、より好ましくは最大で約4、最も好ましくは最大で約2PPHPである。
【0063】
ポリウレタン製品を製造するための加工は、当技術分野で周知である。一般に、ポリウレタン生成の反応混合物の成分は、例えば、G.Oertel,Hanser publisherによる「Polyurethane Handbook」に記載されるような目的で先行技術において記載される任意の混合機器および方法を用いることにより、任意の従来法で共に混合してもよい。
【0064】
一般にポリウレタンフォームは、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒、および場合により他の所望の成分の存在下で、発泡剤が反応中の混合物を膨張させる気体を発生する間にイソシアナートおよびポリオール組成物が反応してポリウレタンおよび/またはポリ尿素ポリマーを生成するような条件の下で、イソシアナートおよびポリオール組成物を混合することにより調製される。フォームは場合により、米国特許第4,390,645号に記載のいわゆるプレポリマー法によって生成され、例えばこの方法では、化学量論的に過剰なイソシアナートを最初に高当量のポリオール(1種または複数種)と反応させてプレポリマーを生成させ、これを第2段階で鎖延長剤および/または水と反応させて所望のフォームを形成させる。例えば米国特許第3,755,212号、第3,849,156号、および第3,821,130号に記載される発泡方法もまた好適である。米国特許第2,866,744号に記載されるようないわゆるワンショット法が好ましい。そのようなワンショット法においては、イソシアナートおよびすべてのイソシアナート反応性成分を同時に接触させ、反応を引き起こす。本発明での使用に適した方法のうちに含まれる3つの広く用いられるワンショット法としては、従来のスラブストックフォーム法、高弾性スラブストックフォーム法、粘弾性フォームスラブストックフォーム法、および発泡成形法が挙げられる。
【0065】
スラブストックフォームは、フォームの成分を混合し、槽内または他の領域中へそれらの成分を分散させることにより好都合に調製され、この領域では反応混合物が反応し、大気に対して自由に上昇し(時としてフィルムまたは他の柔軟性のあるカバーの下で)、硬化する。一般的な工業規模のスラブストックフォーム製造において、フォームの成分(またはその様々な混合物)は独立に混合ヘッドへ投入され、ここではそれら成分が混合され、紙またはプラスチックを敷いたコンベヤー上へ分配される。発泡および硬化がコンベヤー上で起こって発泡体バンが形成される。得られるフォームの密度は100kg/m未満である。100kg/m未満のすべての個々の値および部分範囲は本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、密度は30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、または80の下限から、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95の上限までであってもよい。
【0066】
発泡成形体は、発泡反応が起こって成形されたフォームを生成する密閉金型へ、反応物(ポリオール組成物、イソシアナート、発泡剤、および界面活性剤)を移すことにより、本発明の実施形態に従って作ることができる。金型が周囲温度を有意に超えて予熱されない、いわゆる「冷間成形」法、または金型を加熱して硬化を促進させる「熱間成形」法のいずれかが場合により用いられる。発泡成形体の密度は100kg/m未満であってもよい。100kg/m未満のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、密度は30、35,40、45、50、55、60、65、70、75、または80の下限から、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95の上限までであってもよい。
【0067】
本発明の実施形態により製造されるフォームの用途は、当技術分野で公知の用途であるか、または当技術分野の技術の範囲内である。例えば、粘弾性フォームは、寝具、家具、靴の中敷、耳栓、自動車の座席、サンバイザー、包装用途、肘掛け、ドアパネル、防音部材、ヘルメットの内張り、他の緩衝用途およびエネルギー管理用途、またはダッシュボードなどの用途における使用を見出す。
【0068】
本発明の実施形態は、ASTM D3574−03に従って測定した場合に弾性エネルギーが最大で25パーセントであるフォームを含む。例えば、弾性エネルギーは、1、1.5、2、2.5、3、4.5、5、5.5、6、6.5、7、8.5、9、9.5、10、または10.5の下限から、5、6.5、7、7.5、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25の上限までであってもよい。
【0069】
本発明の実施形態による粘弾性フォームは、EUROPUR試験法により測定した場合に、総VOC排出量が1000μg/m未満である。EUROPUR試験法は、2008年8月6日に「1.4.Emission of volatile organic compounds」という見出しで発行された、「CertiPUR Label for Flexible Polyurethane forms」という題のEuroPUR技術書に記載されているように実施される。1000μg/m未満のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、全VOC排出量は、1、2、3、4、5、10、50、75、100、150、200、250、300、400、500、または600μg/mの下限から、200、250、300、500、750、または1000μg/mの上限までであってもよい。例えば、粘弾性フォームのVOC排出量は100μg/m〜600μg/mの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームのVOC排出量は50μg/m〜500μg/mの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームのVOC排出量は10μg/m〜500μg/mの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームのVOC排出量は100μg/m〜500μg/mの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームのVOC排出量は200μg/m〜500μg/mの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームのVOC排出量は300μg/m〜500μg/mの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームのVOC含量は500μg/m〜400μg/mの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームのVOC含量は100μg/m〜400μg/mの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームのVOC含量は200μg/m〜400μg/mの範囲内であってもよい。
【0070】
本発明の実施形態による粘弾性フォームの全芳香族アミン含量は、2,4トルエンジアミン(2,4 TDA)および4,4’ジアミノジフェニルメタン(4,4’ MDA)のEUROPUR試験法により測定した場合、10ppm未満であってもよい。EUROPUR試験法は、2008年8月6日に「1.3.TDA and/or MDA(resp.for TDI and/or MDI based foam)」という見出しで発行された、「CertiPUR Label for Flexible Polyurethane Forms」という題のEuroPUR技術書に記載されているように実施される。10ppm未満のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、芳香族アミン含量は、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.3、1.4、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、または7.0ppmの下限から、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.3、1.4、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、または9.5pmmの上限までであってもよい。例えば、粘弾性フォームの全芳香族アミン含量は0.2〜5ppmの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームの芳香族アミン含量は0.5〜5.0ppmの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームの芳香族アミン含量は0.8〜5.0ppmの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームの芳香族アミン含量は1〜5ppmの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームの芳香族アミン含量は0.2〜3.5ppmの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームの芳香族アミン含量は0.5〜3.5ppmの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームの芳香族アミン含量は0.8〜3.5ppmの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームの芳香族アミン含量は1.0〜3.5ppmの範囲内であってもよい。
【0071】
本発明の実施形態による粘弾性フォームのビスマス含量は、約1ppm〜750ppmの間であってもよい。ビスマスは、ビスマス系触媒の形態で、ビスマス系触媒の派生生成物として、または反応済みのビスマス系触媒として存在してもよい。約1ppm〜750ppmの間のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、ビスマス含量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、または25ppmの下限から、100、150、200、250、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、600、625、650、675、700、725、または750pmmの上限までであってもよい。例えば、粘弾性フォームのビスマス含量は3〜725ppmの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームのビスマス含量は6〜450ppmの範囲内であってもよく、あるいは粘弾性フォームのビスマス含量は12〜400ppmの範囲内であってもよい。
【実施例】
【0072】
下記の実施例は本発明の実施形態を説明するために提供されるが、本発明の範囲を制限することを意図しない。すべての部およびパーセンテージは、別途示されない限り重量によるものである。
【0073】
下記の材料を使用した。
VORANOLCP 3322 The Dow Chemical Companyより入手可能である、87パーセントのプロピレンオキシドおよび13パーセントのエチレンオキシドの、当量が48のトリオール。
VORANOLCP 1421 The Dow Chemical Companyより入手可能である、25パーセントのプロピレンオキシドおよび75パーセントのエチレンオキシドの、当量が1700のトリオール。
VORALUXHT 760 The Dow Chemical Companyより入手可能である、当量が240のプロピレンオキシドのトリオール。
NIAX A−1 Momentive Performance Materialsより入手可能である、第3級アミン触媒。
NIAX L 620 Momentive Performance Materialsより入手可能である、シリコーン界面活性剤。
NIAX L 627 Momentive Performance Materialsより入手可能である、シリコーン界面活性剤。
DABCO 33LV Air Products & Chemicals Inc.より入手可能である、プロピレングリコール中のトリエチレンジアミンの33%溶液。
DABCO MB 20 Air Products & Chemicals Inc.より入手可能である、ネオデカン酸ビスマス。
KOSMOS 29 Evonik Industriesより入手可能である、オクタン酸第一スズ。
VORANATET−80 The Dow Chemical Companyより入手可能である、トルエンジイソシアナート(80重量%の2,4−トルエンジイソシアナートおよび20重量%の2,6−トルエンジイソシアナート)組成物。
VORALUX、VORANOLおよびVORANATEは、The Dow Chemical Companyの商標である。
【0074】
22℃の温度に調整された、ポリオール、水、触媒、界面活性剤、添加剤、およびイソシアナートの別々の流路を備えたPolymech連続スラブストック機を使用して、連続スラブストックフォームを製造する。ポリオールを3.4〜3.5m/分のコンベヤー速度で動くコンベヤー上に20kg/分の総流出量で注ぐ。実施例および比較例のすべての配合物は、表1に列挙される材料を含む。
【0075】
【表1】

【0076】
さらに、表2に示すように、配合物はスズ系触媒(KOSMOS 29、比較例C1〜C4)またはビスマス系触媒(DABCO MB 20、実施例E1〜E6)のいずれか、およびイソシアナート(VORANATET−80)を含む。
【0077】
【表2】

【0078】
表2はまた、様々な発泡体特性測定の結果を示す。指数が90であるビスマス系触媒に基づくフォームにおいて2,4−トルエンジアミンの量がはるかに低く、また意外にも指数80において低いことを理解することができる。ビスマス系触媒に基づくフォームにおける2,4−トルエンジアミンの量は、スズ触媒に基づくフォームよりも1桁以上少なく、CertiPURの標準の限度である5ppmを十分に下回る。ビスマス系触媒およびスズ系触媒に基づくフォームについての50%および70%圧縮永久歪みの結果(CS 50%およびCS 75%)は、イソシアナート指数が90では同等であることもまた理解することができる。しかし、イソシアナート指数が80では、ビスマス系触媒に基づくフォームは、50%の圧縮永久歪みおよび75%の圧縮永久歪みの両方において、驚くことにはるかに低い圧縮永久歪みを有する。
【0079】
前述の内容は本発明の実施形態に向けたものであるが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態を考案することができ、本発明の範囲は下記の特許請求の範囲により決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを含む反応混合物の反応生成物を含み、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートが少なくとも1種のビスマス含有触媒の存在下で反応し、密度が100kg/m未満であり、弾性エネルギーが約25%未満である、粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
弾性エネルギーが約20%未満である、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
弾性エネルギーが約15%未満である、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
弾性エネルギーが約10%未満である、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
10ppm未満の芳香族アミン含量をさらに含む、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを約70〜約110のイソシアナート指数で反応させ、芳香族アミン含量が約5ppm未満である、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
芳香族アミン含量が約3ppm未満である、請求項6に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項8】
少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを約75〜約100のイソシアナート指数で反応させ、芳香族アミン含量が約5ppm未満である、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項9】
芳香族アミン含量が約3ppm未満である、請求項8に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項10】
芳香族アミン含量が約2ppm未満である、請求項8に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項11】
少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを約80〜約95のイソシアナート指数で反応させ、芳香族アミン含量が約5ppm未満である、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項12】
芳香族アミン含量が約3ppm未満である、請求項11に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項13】
芳香族アミン含量が約1ppm未満である、請求項11に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項14】
10未満の50%圧縮永久歪みおよび10未満の75%圧縮永久歪みをさらに含み、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種のイソシアナートを85未満のイソシアナート指数で反応させる、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項15】
50%圧縮永久歪みが7未満であり、75%圧縮永久歪みが7未満である、請求項14に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項16】
50%圧縮永久歪みが5未満であり、75%圧縮永久歪みが5未満である、14。
【請求項17】
総VOC排出量が1000μg/m未満である、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項18】
総VOC排出量が500μg/m未満である、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項19】
総VOC排出量が300μg/m未満である、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項20】
少なくとも1種のイソシアナートがTDI異性体およびMDI異性体のうち少なくとも1種を含む、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項21】
少なくとも1種のポリオールが、ポリオール組成物の水を除いたすべてのイソシアナート反応性種の総ヒドロキシル数が約100mg KOH/g〜約300mg KOH/gの間であるポリオール組成物を含む、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項22】
反応混合物が少なくとも1種のスズ触媒をさらに含む、請求項1に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項23】
少なくとも1種のポリオール、少なくとも1種のイソシアナート、および少なくとも1種のビスマス含有触媒を含む反応混合物を化合させて、密度が100kg/m未満であり、弾性エネルギーが約25%未満であるフォームを形成させることを含む、粘弾性ポリウレタンフォームの調製方法。
【請求項24】
請求項1から22のいずれか一項に記載の粘弾性ポリウレタンフォームを含む物品。
【請求項25】
緩衝器具である、請求項24に記載の物品。
【請求項26】
約1ppm〜750ppmの間のビスマス含量を含み、密度が100kg/m未満であり、弾性エネルギーが約25%未満である、粘弾性フォーム。
【請求項27】
ビスマス含量が約6ppm〜450ppmの間である、請求項26に記載の粘弾性フォーム。
【請求項28】
ビスマス含量が約12ppm〜400ppmの間である、請求項26に記載の粘弾性フォーム。

【公表番号】特表2010−538126(P2010−538126A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523093(P2010−523093)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/074338
【国際公開番号】WO2009/029626
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】