説明

粘性流体材料の楕円状螺旋パターンを形成するノズル、粘性流体材料を基材に塗布する方法、及び製品

【課題】楕円状螺旋パターンを乱すことなく隣り合う楕円状螺旋パターンをオーバーラップさせることができるノズルを提供する。
【解決手段】粘性流体材料の概ね楕円状螺旋パターン(E)を形成するノズル(20)において、粘性流体材料を吐出して、実質的に連続した粘性流体材料の繊維を形成するためのオリフィス(24)と、粘性流体材料の繊維に対してガスを噴射して粘性流体材料の繊維を概ね楕円状螺旋パターン(E)にするために、オリフィス(24)の周りに設けられた複数のガス孔(31a〜31f)とを設け、複数のガス孔の一つ(31a、31d)とオリフィス(24)とを結ぶ仮想線に関して対称な位置に複数のガス孔(31a〜31f)が配置されないような仮想線を少なくとも一つ含むように、オリフィス(24)の周りに複数のガス孔(31a〜31f)を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性流体材料の楕円状螺旋パターンを形成するノズル、粘性流体材料を基材に塗布する方法、及び製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、尿とりパッド、母乳パッドなど使い捨て着用物品の分野において、表面シート、吸収体、及び裏面シートを接着すために、ホットメルト接着剤の螺旋パターン塗布方法が採用されている。螺旋パターン塗布方法は、Controlled Fiberization(CFという。)と呼ばれているものであり、一本の連続したホットメルトファイバーを螺旋状に塗布する方法である。
【0003】
螺旋パターン塗布方法は、エッジをきれいにコントロールすることができる、ホットメルトの飛び散りがない、多孔質性基材に直接塗布してもホットメルトの突き抜けがない、吸収性基材に塗布しても吸収性を妨げない、細いファイバーであるため風合いが良いなどの効果がある。
【0004】
また、螺旋パターン塗布方法によりホットメルト接着剤を糸ゴムに塗布した場合、ホットメルトファイバーが糸ゴムに絡みつくので、螺旋パターン塗布は、両面塗布と同じ効果が得られるとともに、コーティングに比べ塗布量が少なくてすむという効果もある。
【0005】
螺旋パターン塗布は、上記効果を有することから、着用物品の分野において広く採用されている。
【0006】
螺旋パターン塗布のためのCFノズルは、連続した接着剤ファイバーを吐出するオリフィスが円錐状の突起中心に設けられている。オリフィスの周りに、オリフィスと同心状に均等な間隔で複数のガス孔が設けられている。ガス孔からは、接着剤ファイバーの外周囲に対しほぼ接する方向に圧縮空気が噴射される。これによって、接着剤ファイバーはねじられながら延伸し、円状の螺旋パターンを形成する(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
螺旋パターン塗布を使用して複数枚のシートを重ねて接合するために、複数の接着剤ファイバーを吐出することが要求される。複数の円状螺旋パターンを形成するために、基材の幅方向に一直線に並んだ複数の間隔を隔てたノズルの列を設ける。また、このようなノズル列を複数設けて、第一ノズル列のノズルの間に第二ノズル列のノズルが入るように互い違いの配列にし、基材上に付着した複数の円状螺旋パターンが重ならないようにしている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
さらにまた、円状螺旋パターン塗布を使用して複数枚のシートを重ねて接合するときに、接着剤の塗工量を低くしつつ安定した円状螺旋パターンを得るためにパターンの数値を制御している(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
一方、基材上に塗布された円状螺旋パターンの接着剤ファイバーの重なりにおける両側縁部のファイバーの高密度化を防ぐために、円状螺旋パターンで降下する接着剤ファイバーの両側方からパターンエアを吹き付けることにより、楕円状螺旋パターンとする塗布方法がある(例えば、特許文献4参照。)。
【0010】
また、接着剤ファイバーの螺旋状スプレーパターンを断面楕円形で旋回させるためのノズルもある(例えば、特許文献5を参照。)。このノズルは、ノズルベースに設けられた円錐状突起の先端部をV字状に切除してU状開口とU状開口の周囲に傾斜平面を形成して、それぞれ接着剤露出面と傾斜垂下面としている。接着剤孔の周りには、接着剤孔と同心に等間隔で複数個の加圧空気孔が設けられている。加圧空気は、傾斜垂下面と接触して旋回方向を偏向させられる。これによって、傾斜垂下面の下端が存在する方向の短軸と傾斜垂下面の下端が存在しない方向の長軸とをもつ楕円形の螺旋スプレーパターンを形成する。
【0011】
【特許文献1】特開昭63−283774号公報
【特許文献2】特開平2−104354号公報
【特許文献3】特開2003−165173号公報
【特許文献4】特開平3−146160号公報
【特許文献5】特開平11−319674号公報(段落番号0023、図24(b))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
シート材に多数の糸ゴムを縦方向に接着する場合、隣り合う円状螺旋パターンの接着剤が離れていると、縦方向の糸ゴムに接着剤が付着しないことがある。また、同量のホットメルトで接着強度を高くするためには、隣り合う円状螺旋パターン同士を部分的に重ね合わせて塗布する必要がある。
【0013】
しかし、従来の円状螺旋パターンのノズルを使用して、隣り合うパターン同士を重ね合わせるためにパターンを広げると、隣り合うパターン同士が衝突し、パターンが乱れてしまうという問題がある。図1は、隣り合う円状螺旋パターンの干渉を説明する模式図である。接着剤の隣り合う円状螺旋パターン1及び2は、模式的に示されている。円状螺旋パターン1及び2が基材上に付着するときの仮想円1a及び2aの矢印は、円状螺旋パターンの旋回方向を示している。仮想円1a及び2aの矢印は、ハッチング3で示す部分で互いに干渉する。すなわち、ハッチング3で示す部分においては、仮想円1aの旋回流と仮想円2aの旋回流が反対方向に衝突してパターンの乱れを生じる。
【0014】
また、特許文献4に記載のノズルは、接着剤の繊維に旋回を与える空気とは別に楕円状にするための空気を作用させなければならないので、隣り合うノズルからの空気の干渉が大きい。
特許文献5に記載のノズルは、ノズルの円錐状突起に切り込みを入れなければならないため、加工が複雑であり精度の良いノズルを提供することが困難である。
【0015】
そこで、本発明は、隣り合う螺旋パターンが衝突すなわち干渉することのない粘性流体材料の楕円状螺旋パターンを提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、楕円状螺旋パターンを乱すことなく隣り合う楕円状螺旋パターンをオーバーラップさせることができるノズルを提供することを目的とする。
【0017】
さらに、本発明は、従来の円状螺旋パターンのノズルよりも加工工数を減らし且つ精度の良い楕円状螺旋パターを形成することができるノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した課題を解決する為に本発明では次のようなノズルとした。
すなわち、粘性流体材料の概ね楕円状螺旋パターンを形成するノズルにおいて、粘性流体材料を吐出して、実質的に連続した粘性流体材料の繊維を形成するためのオリフィスと、粘性流体材料の繊維に対してガスを噴射して粘性流体材料の繊維を概ね楕円状螺旋パターンにするために、オリフィスの周りに設けられた複数のガス孔とを設け、複数のガス孔は、複数のガス孔の一つとオリフィスとを結ぶ仮想線に関して対称な位置に複数のガス孔が配置されないような仮想線を少なくとも一つ含むように、オリフィスの周りに設けた。
【0019】
複数のガス孔は、少なくとも一対のガス孔を有しており、それぞれの対のガス孔は、オリフィスに関して対称に配置されているとよい。
【0020】
複数のガス孔のうち所定のガス孔の軸線と所定のガス孔の一方の側に隣接するガス孔の軸線とがなす角度α°と、所定のガス孔の軸線と所定のガス孔の他方の側に隣接するガス孔の軸線とがなす角度β°とは、α°<β°の関係を満たしているとよい。
【0021】
複数のガス孔は、粘性流体材料の繊維を旋回させるように配置されたガス孔と、粘性流体材料の繊維を所定方向に真っ直ぐに移動させるように配置されたガス孔とを含んでいるとよい。
【0022】
また、粘性流体材料を基材へ塗布する方法において、粘性流体材料を吐出して、少なくとも二本の実質的に連続した粘性流体材料の繊維を単一列に形成する工程と、それぞれの粘性流体材料の繊維に対して複数のガス孔からガスを噴射して、それぞれの粘性流体材料の繊維を互いに干渉させることなく概ね楕円状螺旋パターンにするガス噴射工程と、それぞれの粘性流体材料の繊維を概ね楕円パターンで基材上に付着させる工程とを設けた。
【0023】
ガス噴射工程は、粘性流体材料の繊維を旋回させるようにガスを噴射する工程と、粘性流体材料の繊維を所定方向に真っ直ぐに移動させるようにガスを噴射する工程とを有しているとよい。
【0024】
さらにまた、少なくとも二本の粘性流体材料の繊維が概ね楕円パターンで基材上に付着した製造物品を生産する方法において、粘性流体材料を吐出して、少なくとも二本の実質的に連続した粘性流体材料の繊維を単一列に形成する工程と、それぞれの粘性流体材料の繊維に対して複数のガス孔からガスを噴射して、それぞれの粘性流体材料の繊維を互いに干渉させることなく概ね楕円状螺旋パターンにするガス噴射工程と、それぞれの粘性流体材料の繊維を概ね楕円パターンで基材上に付着させる工程とを設けた。
【0025】
さらにまた、第一表面を有する基材と、単一横列に配置されたオリフィスから吐出されて隣り合う縦列を形成するように第一表面に付着した少なくとも二本の実質的に連続した接着剤の繊維すなわちフィラメントとからなる製造物品において、それぞれの縦列の接着剤の繊維すなわちフィラメントを、概ね楕円パターンの繰り返しで形成し、概ね楕円パターンは、繰り返し形成される概ね楕円パターンの連続方向に垂直な方向に対して概ね楕円の長径方向が傾いており、少なくとも二本の隣り合う縦列の接着剤の繊維すなわちフィラメントの概ね楕円パターンが一部重なり合うようにした。
【0026】
さらにまた、少なくとも二枚のシート部材を積層することによって形成された複合シートにおいて、少なくとも二枚のシート部材は、単一横列に配置されたオリフィスから吐出されて隣り合う縦列を形成するようにシート部材の一方に付着した少なくとも二本の実質的に連続した接着剤の繊維又はフィラメントにより接合されており、該縦列のそれぞれは、繰り返し形成される概ね楕円パターンの連続方向に垂直な方向に対して概ね楕円の長径方向が傾いている概ね楕円パターンで塗布されており、少なくとも二本の隣り合う縦列の接着剤の繊維すなわちフィラメントの前記概ね楕円パターンが一部重なり合っているようにした。
【0027】
接合されたシート部材は、不織布及び透湿性の樹脂シートであるとよい。
【0028】
複合シートは、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、尿とりパッド、母乳パッドなどの使い捨て着用物品に使用することができるとよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0030】
(楕円状螺旋パターンの概念)
図2は、隣り合う楕円状螺旋パターンが干渉しないことを説明する模式図である。粘性流体材料の隣り合う楕円状螺旋パターン4及び5は、模式的に示されている。楕円状螺旋パターン4及び5が基材上に付着するときの仮想楕円4a及び5aの矢印は、楕円状螺旋パターンの旋回方向を示している。図2からわかるように、仮想楕円4aの旋回流と仮想楕円5aの旋回流とは干渉しない。すなわち、仮想楕円4aの旋回流と仮想楕円5aの旋回流は、基材上に到達するまでに、互いに楕円の長径方向が同じ方向に傾き、互いに接することなく隙間を空けて左右に隣り合った状態で、ノズルに平面視又は底面視で左方の仮想楕円4aの右端部の上方位置に右方の仮想楕円5aの左端部が位置するように、ノズルのオリフィスから吐出された粘性流体材料の繊維が旋回して降下するため、干渉しない。
【0031】
図3は、基材上に塗布されたパターンが一部重なり合うことを説明する模式図である。基材10は、矢印Xで示す方向に移動している。ノズルから粘性流体材料を楕円状螺旋パターンで降下させ基材10上に塗布したときに、基材10上に付着した粘性流体材料のパターン12及び14は、斜線16で示す領域において、互いに重なり合う。
【0032】
(ノズルの概略構成)
図4は、本発明の実施例によるノズルの側面図である。図5は、本発明の実施例によるノズルの正面図である。図6は、本発明の実施例によるノズルの背面図である。図7は、本発明の実施例によるノズルの底面図である。図8は、図6の線VIII−VIIIに沿って取ったノズルの拡大断面図である。図9は、図7の線IX−IXに沿って取ったノズルの拡大断面図である。本実施例においては、粘性流体材料としてホットメルト接着剤を使用し、ガスとして圧縮空気を使用する。
【0033】
ノズル20は、本体21の底面22に、二つの円錐台状突起23が設けられている。図8に示すように、円錐台状突起23の中心には、ホットメルト接着剤を吐出する吐出口すなわちオリフィス24が設けられている。オリフィス24は、連絡孔25を介して、図6に示すほぼ三角形状の溝部26に連通している。図6に示すように、本体21の背面27には、二つの空気入口通路28が設けられている。二つの空気入口通路28とほぼ三角形状の溝部26との間に、漏れ防止溝29が設けられている。
【0034】
ノズルの背面27には、ホットメルト接着剤及び圧縮空気を供給するためのモジュール(不図示)が取り付けられる。モジュールは、本体21に設けられた二つの穴30にボルト(不図示)を通して本体21に締結される。
【0035】
図7に示すように、円錐台状突起23のそれぞれの周りには、6つのガス孔31が設けられている。ガス孔31は、連絡孔32を介して、図5に示すように、本体21の正面33に設けられている横空気溝34に連通している。横空気溝34は、縦空気溝35を介して空気入口28通路と連通している。板部材(不図示)が横空気溝34と縦空気溝35を覆うように、本体21の正面33に取り付けられる。
【0036】
ホットメルト接着剤の螺旋パターンを形成する従来技術のノズルは、ホットメルト接着剤を吐出するオリフィスを中心とした円の上に等間隔で8つのガス孔を設けていた。本実施例のノズルは、従来のノズルのオリフィスの直径方向に対向した一対のガス孔を設けないことで、圧縮空気が作用しない方向へホットメルト接着剤の繊維を大きく伸延させることができ、これによって、ホットメルト接着剤の繊維は、楕円状螺旋パターンの軌跡を描く。
【0037】
すなわち、本実施例のノズルは、オリフィスの周りに等間隔で配置した穴のうち、オリフィスを中心とした少なくとも一組の点対称な位置にある穴をつぶしたような構成をしている。
つまり、複数のガス孔の一つとオリフィスとを結ぶ仮想線に関して対称な位置に複数のガス孔が配置されないような仮想線を少なくとも一つ含むように、オリフィスの周りに複数のガス孔が設けられている。
【0038】
前記したような楕円状螺旋パターンを基材の移動方向を横切る方向に複数並べ、且つ楕円状螺旋パターンを基材の移動方向に対して任意の角度で傾けることにより、ホットメルト接着剤の繊維の軌跡が互いに重なり合わないようにすることができる。これによって、隣り合うホットメルト接着剤の繊維の干渉を防止することができ、乱れのないパターンでホットメルト接着剤の繊維を基材上に塗布することができる。
【0039】
(ノズル構造の詳細な説明)
1.オリフィスとガス孔との位置関係及びノズル先端の構造
図10は、ノズル20の底面22のオリフィス24とガス孔31(31a、31b、31c、31d、31e、31f)とを詳細に示す拡大図である。図11は、ガス孔31の拡大断面図である。
【0040】
ホットメルト接着剤は円錐台状突起23に設けられたオリフィス24から吐出される。ガス孔31は、オリフィス24を中心に同心円上に複数個配置されている。本実施例においては、6つのガス孔31(31a、31b、31c、31d、31e、31f)が設けられている。
【0041】
図10に示すように、ガス孔31の軸線36(36a、36b、36c、36d、36e、36f)は、オリフィス24の軸線37(図11参照。)からγmm離れた位置に、オリフィス24の外壁としての円錐台状突起23の接線と平行な方向に配置されている。
【0042】
ガス孔31は、オリフィス24の軸線に対して対称に配置されている。6つのガス孔31は、角度α°の間隔で配置されているが、所定のガス孔31a及び31fの間と、オリフィス24の軸線37に対して所定のガス孔31a及び31fと対称のガス孔31d及び31cの間は、角度β°の間隔で配置されている。ここで、α°<β°の関係を満たしている。
すなわち、複数のガス孔のうち所定のガス孔31aの軸線36aと所定のガス孔31aの一方の側に隣接するガス孔31bの軸線36bとがなす角度α°と、所定のガス孔31aの軸線36aと所定のガス孔31aの他方の側に隣接するガス孔31fの軸線36fとがなす角度β°とは、α°<β°の関係を満たしている。
【0043】
ガス孔31bとオリフィス24とを結ぶ仮想線に関して、ガス孔31aとガス孔31cは対称な位置に配置され、ガス孔31fとガス孔31dは対称な位置に配置されている。しかし、ガス孔31aとオリフィス24とを結ぶ仮想線に関して、この仮想線の一方側のガス孔31b及び31cからなる一方側ガス孔群の配列と、この仮想線の他方側のガス孔31f及び31eからなる他方側ガス孔群の配列とは線対称な関係で配置されていない。すなわち、複数のガス孔は、複数のガス孔の一つとオリフィスとを結ぶ仮想線に関して対称な位置に複数のガス孔が配置されないような仮想線を少なくとも一つ含むように、オリフィスの周りに設けられている。
【0044】
なお、複数のガス孔は、少なくとも一対のガス孔を有していればよい。また、一対のガス孔は、オリフィスに関して対称に配置されているとよい。複数対のガス孔が設けられている場合には、それぞれの対のガス孔がオリフィスに関して対称に配置されているとよい。
なお、一対のみのガス孔の場合、ガス孔とオリフィスとを結ぶ仮想線上に二つのガス孔が配置されるので、仮想線に関して対称な位置にガス孔は存在しない。ゆえに、一対のみのガス孔の場合にも、複数のガス孔の一つとオリフィスとを結ぶ仮想線に関して対称な位置に複数のガス孔が配置されないような仮想線を少なくとも一つ含むように、オリフィスの周りに設けられているといえる。
【0045】
本実施例において、所定のガス孔31a及び31dの軸線36は、所定のガス孔31a及び31dの中心を結ぶ線38に対して角度θ°だけ傾いている。本実施例においては、線38は、基材とノズルとの相対移動方向Xと平行であるが、線38を相対移動方向Xに対して傾けて配置することもできる。
【0046】
図11に示す断面で見ると、ガス孔31の軸線36は、オリフィス24の軸線37に対してσ°の角度で配置されている。
【0047】
2.楕円状螺旋パターンの原理
ガス孔31の軸線36は、オリフィス24の外壁としての円錐台状突起23の接線と平行な方向に配置されている。ガス孔31からの圧縮空気は、吐出されたホットメルト接着剤の外周に作用してホットメルト接着剤の繊維(ファイバーすなわちフィラメント)は旋回運動をする。
【0048】
α°= β°であれば、全てのガス孔31が均等な間隔で配置されていることになり、従来の円状螺旋パターンになるが、本実施例のガス孔31は、α°<β°の関係を満たしているので、ホットメルト接着剤繊維の外周に作用する旋回力は、角度β°に対応する部分で弱くなるため、相対的にガス孔31a及び31dから噴射された圧縮空気の影響力が強くなり、ホットメルト接着剤繊維は、ガス孔31a及び31dの圧縮空気噴射方向に大きく移動させられ、図10の矢印Eで示すように、ホットメルト接着剤繊維は同方向を長軸とする楕円旋回運動をする。
【0049】
3.ノズル先端の構造に関する詳細
イ.ガス孔の数:2個〜10個(一つのオリフィスにつき)
原理的には最小2個で、穴数が偶数であれば可能である。ただし、2個の場合、ホットメルトに作用する旋回力が弱いため、パターン幅が狭く、サイクル数も少なくなるが、構造が単純かつ空気消費量がより少ないメリットもあるため、ごく低速なライン速度であれば使用することができる。
ガス孔の数が多すぎるとホットメルトに作用する旋回力が過剰になり、安定した旋回運動を維持できなくなって、ホットメルトが飛散してしまう。
安定したパターンを連続して得るためには、ガス孔の数は、6〜10個が望ましい。
【0050】
ロ.ガス孔角度σ°:20〜40°
ガス孔31の軸線36とオリフィス24の軸線37とのなす角度σ°を大きくすると、ホットメルトに作用する旋回力が大きくなるためパターン寸法が大きくなるが、大きくし過ぎるとホットメルトが飛散してしまう。
逆に角度σ°が小さ過ぎると旋回力が弱くなり、ホットメルトの楕円旋回運動が安定しない。また、パターンが広がらなくなってしまう。角度σ°は、20°〜40°が望ましい。
【0051】
ハ. 角度α°、β°(α°:30〜52°、β°:1.5α°〜2α°)
楕円状螺旋パターンを得るには、α°<β°の関係を満たす必要がある。角度がα°= β°に近づくほどパターンは円に近くなる。
また、α°とβ°の差が大きいほど長軸の長い楕円状パターンとなる。ただし差が大き過ぎると、ホットメルトへの旋回力が弱まりパターンが安定しなくなる。
特徴ある楕円パターンを安定して得るためには、およそβ°=1.5α°〜2α°程度が望ましい。つまり、角度β°は、角度α°の1.5倍から2倍であるとよい。この時の角度α°は、ガス孔の数によって決まるが、約30°〜52°となる。角度β°は、約45°〜104°となる。
ただし、ガス孔の数が2個の場合はこの限りではない。
【0052】
ニ. オリフィス径c、ガス孔径d:約0.4mm〜1.0mm
オリフィス24の直径cおよびガス孔31の直径dは、希望する塗布量やサイクル数によって任意に選定できるが、穴径が細過ぎると目詰まりを起こしやすくなり、またホットメルトの線径が細くなるため飛散しやすくなってしまう。逆に太過ぎるとホットメルトの線径が太くなるため、基材から染み出してしまう。
塗工不良及び目詰まり防止のため、オリフィス径c及びガス孔径dは、0.4mm〜0.8mmが望ましい。
【0053】
ホ. オフセット距離γ mm:0.4mm〜2mm
オリフィス24の軸線37とガス孔31の軸線36との距離γは、ホットメルトの旋回寸法、サイクル数に影響する。距離γが大きいと、ホットメルトの初期旋回寸法が大きくなるため、パターン寸法も大きくなるが、空気流との距離が離れてしまうため、ホットメルトへの影響力(旋回力)が弱まり、パターンが安定しなくなる。逆に距離γが小さいとホットメルト吐出口付近で吐出された圧縮空気が過密になり乱流が生じるため吐出直後のホットメルトの運動が不安定になり、パターンが安定しない。
距離γは、約0.4mm〜2mm 程度であると、パターンが安定して塗布できる。
【0054】
ヘ. 角度θ°:35°〜55°
ガス孔31a及び31dの軸線36は、ガス孔31a及び31dの中心を結ぶ線38に対して角度θ°だけ傾いている。
ガス孔31a及び31dから噴射される圧縮空気の流れ方向にホットメルトが大きく移動させられるため、ホットメルトの楕円運動の傾斜角度はほぼ角度θ°となる。
複数のノズルを並べて配置したときに、角度θが35°より小さいと、隣り合うパターン同士が重なりにくくなる。
角度θが55°より大きいと、隣り合うホットメルトの軌道同士が衝突してしまう。
衝突しない程度に角度θを大きくすることで、パターン同士の重なりが大きくなるので、角度θは、35°〜55°が望ましく、30°〜50°のときに、より安定したパターンでホットメルトを塗布できる。
【0055】
(楕円状螺旋パターンの詳細)
図12は、楕円状螺旋パターンを詳細に示す図である。図13は、重なり合った隣接する楕円状螺旋パターンを詳細に示す図である。
図12及び図13は、製品(紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生用品)上に塗布されたホットメルト接着剤のパターンを詳細に説明するためのものであるが、以下の数値データのみに、本発明の使用条件を限定するものではない。
図12及び図13は、パターンの各種寸法定義を示している。パターンの実線で示された部分は、楕円の頂点Oを基準とした場合のパターンの1周期を表わしている。
【0056】
1.オリフィス( ホットメルト吐出口)のピッチ P:約5mm〜13mm
一つのノズル(幅22〜25mm)当たり、パターンが2 条〜4 条で均等に配置させることを考慮すると、隣り合うオリフィスの間の距離(ピッチ)Pは、約5mm〜13mm 程度が望ましい。
【0057】
2. パターン角度 T:40°〜80°
パターン角度Tは、楕円の頂点Oと、直前のパターンとの交点Qとを結ぶ直線40の基材移動方向Xに対してなす角度とする。パターン角度Tは、ラインスピードや、サイクル数によっても変わってくるが、楕円状に運動しているホットメルト接着剤繊維の傾斜より約5°〜25°傾いた値になる。
前記したホットメルト接着剤繊維の楕円運動傾斜角度θ°の値と同様に、パターン角度Tが40°より小さいと、隣り合うパターン同士が重なりにくくなる。また、パターン角度Tが80°より大きいと、隣り合うホットメルト接着剤繊維の軌道同士が衝突してしまう。
そこで、衝突しない程度にパターン角度Tを大きくすることで、隣り合うパターン同士の重なりが大きくなるので、パターン角度Tは、40°〜80°が望ましく、パターン角度Tが約50°〜70°のときに、パターンがより安定して塗布できる。
【0058】
3. パターン幅 W:約6mm〜18mm
基材の移動方向Xに垂直な方向におけるパターンの長さをパターン幅Wとする。
パターン幅Wが6mmより小さいと、隣り合うパターン同士が重ならなくなる。また、旋回寸法が小さくなり、ホットメルトの旋回運動が安定しないため、パターンが不安定になる。
パターン幅Wが18mmより大きいと、隣り合うホットメルト接着剤繊維同士が基材に到達する前に衝突してパターンが乱れる。また、ホットメルトが過剰に引き伸ばされ線径が細くなり、機器周辺の空気流れに影響を受けやすくなり、パターンが不安定になる。
上記理由に加え、オリフィスのピッチP及びパターン角度Tを考慮すると、パターン幅Wは約6mm〜18mmにするのが望ましく、パターン幅Wが約10mm〜15mmのときに、より安定したパターンを塗布できる。
【0059】
4. 重なり長さ R:0mm〜5mm(重なり長さRが0mmであるとは、隣接するパターン端部が重なっていることを示す。)
重なり長さRが0mmより小さいと、隣り合うパターン間に隙間が空き十分な接着強度が得られない。重なり長さRが5mmより大きいと、ホットメルト接着剤繊維が過密になり、製品(紙おむつ等)の肌触りや通気性が悪くなってしまう。
上記理由に加え、オリフィス(ホットメルト吐出口)のピッチP、パターン幅Wを考慮すると、0mm〜最大で約5mm程度の重なり長さRで、隣り合うパターン同士を重ね合わせることができる。パターンの重なり長さRは、約1mm〜4mm程度が好ましく、より好ましくは1.5mm〜3mm程度である。
【0060】
なお、パターン同士を重ね合わせる必要が無い場合は、当然に、隙間を空けたパターンを塗布できることはもちろんである。
【0061】
紙おむつ、生理用ナプキン等の製品を製作する上で、パターン間に隙間があってはならず、接着強度が必要な場合の例としては、次のものが挙げられる。
・糸ゴム等弾性体と不織布等基材との貼りあわせ(弾性体の伸収縮力によって剥れてはならない)
・ポリマー等の吸収体を封入するための接着(隙間があって吸収体が漏れてはならない)
【0062】
5. 短軸径 a:2mm〜10mm
上記パターン角度T及びパターン幅Wから、短軸径aは、ある程度限定され、約2mm〜10mm程度が好ましい。
【0063】
6. 長軸径 b:6mm〜20mm
上記パターン角度T及びパターン幅Wから、長軸径bは、ある程度限定され、約6mm〜20mm程度が好ましい。
【0064】
7. サイクル数:90〜280個/m
単位長さ(1メートル)当りの基材上に付着する接着剤の楕円状パターンの数をサイクル数とする。
サイクル数が90個/mより小さいと、楕円状パターンは、従来の円状パターンに比べて、基材移動方向における幅が狭いため、前後のパターン間隔が広くなり、十分な接着強度を得ることができない。
サイクル数が280個/mより大きいと、パターンが過密になるため、製品(紙おむつ等)の肌触りや通気性が悪くなってしまう。
サイクル数は、150〜200個/mが適度に密なパターンで、接着強度及び良好な肌触りを得ることができる。また、サイクル数が150〜200個/mのときに、より安定したパターンを塗布できる。
【0065】
8. 線径:0.1mm〜1.0mm
基材上に塗布されたホットメルト接着剤繊維の線径が0.1mmより小さいと、機器周辺の空気流れの影響を受けやすく、パターンが不安定になる。また、接着強度も弱くなってしまう。
線径が1.0mmより大きいと、不織布等通気性のある基材では、ホットメルトが染み出してしまう。また、肌触りも悪くなってしまう。
線径は、0.3mm〜0.8mm 程度が塗工不良を起こしにくく、より安定したパターンを塗布できる。
【0066】
9. 塗布量:1〜30g/m
上記サークル数及び線径を考慮すると、ホットメルト接着剤の塗布量は、1g/m〜30g/mが望ましい。
【0067】
(楕円状パターン塗布の実施例)
以下の条件で、ホットメルト接着剤の楕円状螺旋パターンを基材に塗布した。
1.基材:OPP フィルム(両面)
2.ラインスピード:140 m/min
3.ホットメルト塗布量:4.0g/m
4.ホットメルト温度:160℃
5.ホットメルト粘度:約3000〜8000 mPa・s
6.空気圧力:約0.040MPa
7.空気流量:約6〜8 NL/min
8.塗布高さ(ノズル先端から基材までの距離):20mm
9.ノズル形状
・ノズル数量:1個
・ノズル幅:22mm
・オリフィス(ホットメルト吐出口)の数:2
・オリフィスのピッチP:11.5mm
・ガス孔の数(一つのオリフィスに対し):6
・角度α:45°
・角度β:90°
・距離γ:0.75mm
・ガス孔角度σ:30°
・オリフィス径c:0.5mm
・ガス孔径d:0.4mm
【0068】
上記テスト条件により得たパターンを図14に示す。基材上に塗布されたパターンの数値データは以下のとおりである。
・パターン角度T:約75°
・パターン幅W:約13mm
・重なり長さR:約1.5mm
・短軸径a:約5.5mm
・長軸径b:約11.5mm
・サイクル数:約180 個/m
・線径:約0.2mm
【0069】
図15は、楕円状パターンをイメージで示す平面図である。図15において、(A)、(B)、及び(C)は、サイクル数が小さい場合において、それぞれ単一横列に配列されたそれぞれ6つ、2つ、及び1つのオリフィスから吐出された接着剤が基材上に付着して形成された6条、2条、及び1条の縦列の楕円状パターンを示している。(D)、(E)、及び(F)は、サイクル数が大きい場合において、それぞれ単一横列に配列されたそれぞれ6つ、2つ、及び1つのオリフィスから吐出された接着剤が基材上に付着して形成された6条、2条、及び1条の縦列の楕円状パターンを示している。
図16は、楕円状パターンをイメージで示す斜視図である。図15と同様に、図16において、(A)、(B)、及び(C)は、サイクル数が小さい場合において、それぞれ単一横列に配列されたそれぞれ6つ、2つ、及び1つのオリフィスから吐出された接着剤が基材上に付着して形成された6条、2条、及び1条の縦列の楕円状パターンを示している。(D)、(E)、及び(F)は、サイクル数が大きい場合において、それぞれ単一横列に配列されたそれぞれ6つ、2つ、及び1つのオリフィスから吐出された接着剤が基材上に付着して形成された6条、2条、及び1条の縦列の楕円状パターンを示している。
【0070】
本実施例による楕円状パターンのホットメルト接着剤繊維は、プラスチックシート、不織布、糸ゴム、吸収性シート、多孔質シートなどの基材に塗布することができる。また、本実施例は、体液を吸収、保持する使い捨ておむつや生理用ナプキン、尿とりパッド、母乳パッド等の使い捨て着用物品の製造において使用できる。
【0071】
図17は、使い捨ておむつに使用される複合シートの概略構成図である。使い捨ておむつに使用される複合シート50は、不織布51と透湿性の樹脂シート52とがホットメルト接着剤53を介して重ね合わせて接合されている。樹脂シート52の接着面には、複数本の傾斜した楕円パターンのホットメルト接着剤53が付着している。隣り合う楕円パターンは互いに一部重なり合っている。楕円パターンは、乱れなくきれいに形成されている。これによって、接着強度を強くすると共に肌触りをよくしている。
【0072】
本実施例による楕円状螺旋パターン塗布によれば、エッジをきれいにコントロールすることができる、粘性流体材料の飛び散りがない、多孔性基材に直接塗布しても粘性流体材料の突き抜けがない、吸収性材料に塗布した場合でも吸収性を妨げない、細いファイバーであるため風合いが良い、糸ゴムに塗布した場合に粘性流体材料ファイバーが糸ゴムに絡みつき、両面塗布と同じ効果が得られるとともにコーティングに比べ塗布量が少なくてすむという効果がある。さらに、本実施例によれば、隣り合う楕円状螺旋パターン同士の衝突を防止して、より乱れにくいパターンを得ることができる。また、隣り合う楕円状螺旋パターンをオーバーラップさせることができるので、塗布量を増やすことなく接着強度を大きくすることができる。
【0073】
本実施例においては、ノズル20に二つのオリフィス24を単一列に並べて設けた。しかし、一つのノズルに、三つ、四つ、あるいはそれ以上の数のオリフィスを単一列に並べて設けてもよい。また、複数のオリフィスを一列に並べて配置したノズルを示したが、複数のオリフィスを二列あるいはそれ以上の列に並べて配置したノズルとしてもよい。
【0074】
なお、本実施例においては、基材に付着した隣り合う楕円状パターンが互いに重なり合う例を示したが、本発明は、これに限定されず、隣り合う楕円状パターンの重なりRが無く、隣り合う楕円状パターンの間に開き(隙間)があってもよい。この場合、パターンの開きは、たとえば、0mm〜20mmの範囲で設定することができる。
【0075】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、その特徴事項から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】隣り合う円状螺旋パターンの干渉を説明する模式図。
【図2】隣り合う楕円状螺旋パターンが干渉しないことを説明する模式図。
【図3】基材上に塗布されたパターンが一部重なり合うことを説明する模式図。
【図4】本発明の実施例によるノズルの側面図。
【図5】本発明の実施例によるノズルの正面図。
【図6】本発明の実施例によるノズルの背面図。
【図7】本発明の実施例によるノズルの底面図。
【図8】図6の線VIII−VIIIに沿って取ったノズルの拡大断面図。
【図9】図7の線IX−IXに沿って取ったノズルの拡大断面図。
【図10】ノズルの底面に設けられたオリフィスとガス孔とを詳細に示す拡大図。
【図11】ガス孔の拡大断面図。
【図12】楕円状螺旋パターンを詳細に示す図。
【図13】重なり合った隣接する楕円状螺旋パターンを詳細に示す図。
【図14】基材上に塗布されたホットメルト接着剤繊維のパターンを示す図。
【図15】楕円状パターンをイメージで示す平面図。
【図16】楕円状パターンをイメージで示す斜視図。
【図17】使い捨ておむつに使用される複合シートの概略構成図。
【符号の説明】
【0077】
4、5 楕円状螺旋パターン
4a、5a 仮想楕円
10 基材
12、14 パターン
20 ノズル
23 円錐台状突起
24 オリフィス
31(31a、31b、31c、31d、31e、31f) ガス孔
36 ガス孔の軸線
37 オリフィスの軸線
X 相対移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体材料の概ね楕円状螺旋パターンを形成するノズルであって、
粘性流体材料を吐出して、実質的に連続した粘性流体材料の繊維を形成するためのオリフィスと、
粘性流体材料の繊維に対してガスを噴射して粘性流体材料の繊維を概ね楕円状螺旋パターンにするために、前記オリフィスの周りに設けられた複数のガス孔とを有し、
前記複数のガス孔は、前記複数のガス孔の一つと前記オリフィスとを結ぶ仮想線に関して対称な位置に前記複数のガス孔が配置されないような仮想線を少なくとも一つ含むように、前記オリフィスの周りに設けられていることを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記複数のガス孔は、少なくとも一対のガス孔を有しており、それぞれの対のガス孔は、前記オリフィスに関して対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記複数のガス孔のうち所定のガス孔の軸線と前記所定のガス孔の一方の側に隣接するガス孔の軸線とがなす角度α°と、前記所定のガス孔の軸線と前記所定のガス孔の他方の側に隣接するガス孔の軸線とがなす角度β°とは、α°<β°の関係を満たしていることを特徴とする請求項1乃至2に記載のノズル。
【請求項4】
前記複数のガス孔は、粘性流体材料の繊維を旋回させるように配置されたガス孔と、粘性流体材料の繊維を所定方向に真っ直ぐに移動させるように配置されたガス孔とを含むことを特徴とする請求項1乃至3に記載のノズル。
【請求項5】
粘性流体材料を基材へ塗布する方法であって、
粘性流体材料を吐出して、少なくとも二本の実質的に連続した粘性流体材料の繊維を単一横列に形成する工程と、
それぞれの粘性流体材料の繊維に対して複数のガス孔からガスを噴射して、それぞれの粘性流体材料の繊維を互いに干渉させることなく概ね楕円状螺旋パターンにするガス噴射工程と、
それぞれの粘性流体材料の繊維を概ね楕円パターンで基材上に付着させる工程とを有する方法。
【請求項6】
前記ガス噴射工程は、粘性流体材料の繊維を旋回させるようにガスを噴射する工程と、粘性流体材料の繊維を所定方向に真っ直ぐに移動させるようにガスを噴射する工程とを有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも二本の粘性流体材料の繊維が概ね楕円パターンで基材上に付着した製造物品を生産する方法であって、
粘性流体材料を吐出して、少なくとも二本の実質的に連続した粘性流体材料の繊維を単一横列に形成する工程と、
それぞれの粘性流体材料の繊維に対して複数のガス孔からガスを噴射して、それぞれの粘性流体材料の繊維を互いに干渉させることなく概ね楕円状螺旋パターンにするガス噴射工程と、
それぞれの粘性流体材料の繊維を概ね楕円パターンで基材上に付着させる工程とを有する方法。
【請求項8】
第一表面を有する基材と、
単一横列に配置されたオリフィスから吐出されて隣り合う縦列を形成するように前記第一表面に付着した少なくとも二本の実質的に連続した接着剤の繊維すなわちフィラメントとからなり、
それぞれの縦列の前記接着剤の繊維すなわちフィラメントは、概ね楕円パターンの繰り返しで形成されており、
前記概ね楕円パターンは、繰り返し形成される前記概ね楕円パターンの連続方向に垂直な方向に対して概ね楕円の長径方向が傾いており、
少なくとも二本の隣り合う縦列の接着剤の繊維すなわちフィラメントの前記概ね楕円パターンが一部重なり合っていることを特徴とする製造物品。
【請求項9】
少なくとも二枚のシート部材を積層することによって形成された複合シートであって、
前記少なくとも二枚のシート部材は、単一横列に配置されたオリフィスから吐出されて隣り合う縦列を形成するように前記少なくとも二枚のシート部材の一方に付着した少なくとも二本の実質的に連続した接着剤の繊維又はフィラメントにより接合されており、該縦列のそれぞれは、繰り返し形成される概ね楕円パターンの連続方向に垂直な方向に対して概ね楕円の長径方向が傾いている前記概ね楕円パターンで塗布されており、
少なくとも二本の隣り合う縦列の接着剤の繊維すなわちフィラメントの前記概ね楕円パターンが一部重なり合っていることを特徴とする複合シート。
【請求項10】
接合された前記シート部材は、不織布及び透湿性の樹脂シートであることを特徴とする請求項9に記載の複合シート。
【請求項11】
前記複合シートは、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、尿とりパッド、母乳パッドなどの使い捨て着用物品に使用されることを特徴とする請求項9乃至10に記載の複合シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−104997(P2008−104997A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292857(P2006−292857)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】