説明

粘着シート

【課題】柔軟性に優れ、かつゲル分率が高く、耐久性のある粘着剤層を有する粘着シートを提供する。
【解決手段】(A)少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、前記環状分子が反応性基を有し、且つ、前記直鎖状分子の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサン、および(B)前記反応性基と反応し得る官能基を2つ以上有する粘着性高分子、を含む粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有する粘着シートであって、粘着シートのJIS Z0237に準拠した保持力が、70,000秒後の前記粘着シートのずれ量として100μm以上である粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性(応力緩和性)に優れた粘着剤層を有する粘着シート、およびその粘着剤層を構成する粘着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粘着シートの基材の寸法変化や粘着シートが貼着される被着体の寸法変化に起因する応力が発生する場合、経時的に粘着シートが被着体から剥がれてしまうという問題が生じる。この問題を解決するために、上記応力を吸収・緩和することが必要であり、その解決法の一つとして、粘着剤層の柔軟性を高める方法が考えられている。
【0003】
従来は、粘着剤に柔軟性を付与するために、例えば、ガラス転移温度(Tg)が低い主剤の使用、ガラス転移温度(Tg)が低い低分子量ポリマーの添加、可塑剤(液体成分)の添加、架橋剤の含有量の低減などの方法が用いられてきた(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−49143
【特許文献2】特開平3−220120
【特許文献3】特開2004−099792
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の粘着剤は、いずれもゲル分率が低く、粘着シートの基材または粘着シートが貼着される被着体の寸法変化に起因する応力が大きい場合には、耐久性に問題があった。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、柔軟性に優れ、かつゲル分率が高く、耐久性のある粘着剤層を有する粘着シート、およびその粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、(A)少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、前記環状分子が反応性基を有し、且つ、前記直鎖状分子の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサン、および(B)前記反応性基と反応し得る官能基を2つ以上有する粘着性高分子を含む粘着剤組成物を提供する(発明1)。
【0008】
また、第2に本発明は、(A)少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、前記環状分子が反応性基を有し、且つ、前記直鎖状分子の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサン、(B´)反応性基を2つ以上有する粘着性高分子、および(C)前記(A)の反応性基および前記(B´)の反応性基と反応し得る官能基を2つ以上有する化合物を含む粘着剤組成物を提供する(発明2)。
【0009】
上記発明(発明1,2)に係る粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤は、ポリロタキサンの環状分子と粘着性高分子とが結合しているため、環状分子がポリロタキサンの直鎖状分子上を自由に移動することで、粘着剤が柔軟性に富んだものとなる。また、この粘着剤は、ゲル分率を高くすることができ、耐久性に優れたものとなり得る。
【0010】
上記発明(発明1,2)において、前記反応性基は、水酸基、カルボキシル基、およびアミン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(発明3)。
【0011】
上記発明(発明1,2)において、前記官能基は、イソシアネート基、エポキシ基およびアジリジン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(発明4)。
【0012】
上記発明(発明1〜4)において、前記粘着性高分子の質量平均分子量は、1,000〜2,000,000であることが好ましい(発明5)。
【0013】
上記発明(発明1〜5)において、前記粘着性高分子のガラス転移温度(Tg)は、30℃以下であることが好ましい(発明6)。
【0014】
上記発明(発明1〜6)において、前記ポリロタキサンの環状分子は、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミンおよび環状ポリアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種であること(発明7)、またはα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種であること(発明8)が好ましい。
【0015】
上記発明(発明1〜8)において、前記ポリロタキサンは、前記環状分子として、高分子鎖および/または置換基が導入されたシクロデキストリンを含んでいてもよい(発明9)。かかる発明によれば、高分子鎖または置換基の選択により、ポリロタキサンの溶解性および上記粘着性高分子との相溶性を向上させることができる。
【0016】
上記発明(発明1〜9)において、前記ポリロタキサンの直鎖状分子は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(発明10)。
【0017】
上記発明(発明1〜10)において、前記ポリロタキサンの直鎖状分子の数平均分子量は、3,000〜300,000であることが好ましい(発明11)。
【0018】
上記発明(発明1〜11)において、前記ポリロタキサンのブロック基は、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類およびアントラセン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であること(発明12)、または数平均分子量1,000〜1,000,000の高分子の主鎖または側鎖であること(発明13)が好ましい。
【0019】
上記発明(発明1)においては、前記ポリロタキサンの環状分子がα−シクロデキストリンであり、前記ポリロタキサンの直鎖状分子がポリエチレングリコールであり、前記ポリロタキサンのブロック基がアダマンタン基であり、前記粘着性高分子がアクリル酸エステル共重合体であることが好ましい(発明14)。
【0020】
第3に本発明は、上記発明(発明1〜14)のいずれかに記載の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有する粘着シートを提供する(発明15)。
【0021】
上記発明(発明15)に係る粘着シートの粘着剤層は、ゲル分率が70%以上であることが好ましい(発明16)。
【0022】
上記発明(発明15〜16)に係る粘着シートは、前記粘着剤層のJIS Z0237に準拠した保持力が、70,000秒後の前記粘着シートのずれ量として100μm以上であることが好ましい(発明17)。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、柔軟性に優れ、かつゲル分率が高く、耐久性のある粘着剤層を有する粘着シート、およびその粘着剤層を構成する粘着剤組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る粘着剤組成物を示す概念図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る粘着剤組成物を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る粘着剤組成物は、(A)少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、前記環状分子が反応性基を有し、且つ、前記直鎖状分子の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサン、および(B)前記反応性基と反応し得る官能基を2つ以上有する粘着性高分子を含む粘着剤組成物(1)である。この粘着剤組成物(1)を用いることで、ポリロタキサンの環状分子と粘着性高分子とが直接的に結合してなる粘着剤層が得られる。
【0026】
本発明の他の実施形態に係る粘着剤組成物は、(A)少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、前記環状分子が反応性基を有し、且つ、前記直鎖状分子の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサン、(B´)反応性基を2つ以上有する粘着性高分子、および(C)前記(A)の反応性基および前記(B´)の反応性基と反応し得る官能基を2つ以上有する化合物を含む粘着剤組成物(2)である。この粘着剤組成物(2)を用いることで、ポリロタキサンの環状分子と粘着性高分子とが化合物を介して間接的に結合してなる粘着剤層が得られる。
【0027】
粘着剤組成物(1)は、図1に示すような、反応性基Rを有する少なくとも2つの環状分子Tの開口部に直鎖状分子Lが貫通し、その直鎖状分子Lの両末端にブロック基BLを有してなるポリロタキサン((A)成分)と、そのポリロタキサンの反応性基Rと反応し得る官能基Rを2つ以上有する粘着性高分子((B)成分)とを配合することにより得ることができる。
【0028】
また、粘着剤組成物(2)は、図2に示すような、反応性基Rを有する少なくとも2つの環状分子Tの開口部に直鎖状分子Lが貫通し、その直鎖状分子Lの両末端にブロック基BLを有してなるポリロタキサン((A)成分)と、反応性基Rを2つ以上有する粘着性高分子((B´)成分)と、反応性基Rおよび反応性基Rと反応し得る官能基Rを複数有する、すなわち二官能以上の化合物((C)成分)とを配合することにより得ることができる。
【0029】
上記(A)成分は、従来公知の方法(例えば特開2005−154675に記載の方法)によって得ることができる。
【0030】
(A)成分の直鎖状分子Lは、環状分子Tに包接され、共有結合等の化学結合でなく機械的な結合で一体化することができる分子または物質であって、直鎖状のものであれば、特に限定されない。なお、本明細書において、「直鎖状分子」の「直鎖」は、実質的に「直鎖」であることを意味する。すなわち、直鎖状分子L上で環状分子Tが移動可能であれば、直鎖状分子Lは分岐鎖を有していてもよい。
【0031】
(A)成分の直鎖状分子Lとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましく、これらの直鎖状分子Lは、粘着剤組成物中で2種以上混在していてもよい。
【0032】
(A)成分の直鎖状分子Lの数平均分子量は、3,000〜300,000であることが好ましく、特に10,000〜200,000であることが好ましく、さらには20,000〜100,000であることが好ましい。数平均分子量が3,000未満であると、環状分子Tの直鎖状分子L上での移動量が小さくなり、粘着剤の柔軟性が十分に得られないおそれがある。また、数平均分子量が300,000を超えると、(A)成分の溶媒への溶解性や(B)成分または(B´)成分との相溶性が悪くなるおそれがある。
【0033】
(A)成分の環状分子Tは、上記直鎖状分子Lと包接可能で、上記直鎖状分子L上で移動可能であれば、特に限定されない。なお、本明細書において、「環状分子」の「環状」は、実質的に「環状」であることを意味する。すなわち、直鎖状分子L上で移動可能であれば、環状分子Tは完全には閉環でなくてもよく、例えば螺旋構造であってもよい。
【0034】
(A)成分の環状分子Tとしては、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミン等の環状ポリマー、あるいは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等のシクロデキストリンが好ましく、これらの環状分子Tは、(A)成分中または粘着剤組成物中で2種以上混在していてもよい。
【0035】
環状ポリマーの具体例としては、クラウンエーテルまたはその誘導体、カリックスアレーンまたはその誘導体、シクロファンまたはその誘導体、クリプタンドまたはその誘導体等が挙げられる。
【0036】
上記シクロデキストリンは、(A)成分の溶解性を向上させることのできる高分子鎖および/または置換基が導入されたものであってもよい。かかる高分子鎖としては、例えば、オキシエチレン鎖、アルキル鎖、アクリル酸エステル鎖等が挙げられる。この高分子鎖の数平均分子量は、100〜10,000が好ましく、特に400〜2,000が好ましい。
【0037】
一方、上記置換基としては、例えば、アセチル基、アルキル基、トリチル基、トシル基、トリメチルシラン基、フェニル基等が挙げられる。
【0038】
上記高分子鎖または置換基のシクロデキストリンの水酸基への導入率(置換度)は、10〜90%であることが好ましく、特に30〜70%であることが好ましい。導入率が10%未満では、(A)成分の溶解性の向上が十分でなく、導入率が90%を超えると、(A)成分の反応性基Rの含有率が低くなり、(A)成分が上記(B)成分または(C)成分と十分に反応できなくなるおそれがある。
【0039】
(A)成分の環状分子Tが有する反応性基Rは、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミン基等が好ましく、これらの反応性基Rは、(A)成分中で2種以上混在していてもよい。
【0040】
上記反応性基Rの環状分子Tへの導入率は、4〜90%であることが好ましく、特に20〜70%であることが好ましい。導入率が4%未満では、(A)成分が上記(B)成分または(C)成分と十分に反応できなくなるおそれがある。一方、導入率が90%を超えると、粘着剤の十分な柔軟性が確保できなくなるおそれがある。
【0041】
(A)成分のブロック基BLは、環状分子Tが直鎖状分子Lにより串刺し状になった形態を保持し得る基であれば、特に限定されない。このような基としては、嵩高い基、イオン性基等が挙げられる。
【0042】
具体的には、(A)成分のブロック基BLは、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、アントラセン類等、あるいは、数平均分子量1,000〜1,000,000の高分子の主鎖または側鎖等が好ましく、これらのブロック基BLは、(A)成分中または粘着剤組成物中で2種以上混在していてもよい。
【0043】
上記の数平均分子量1,000〜1,000,000の高分子としては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリアクリル酸エステル等が挙げられる。
【0044】
本粘着剤組成物(1)(または(2))における(A)成分の使用量は、粘着剤の良好な柔軟性、粘着力、保持力等が得られるように適宜選定されるが、(B)成分(または(B´)成分)100質量部に対して、通常1〜50質量部、好ましくは5〜35質量部の範囲で選定される。
【0045】
本粘着剤組成物(1)における(B)成分、および本粘着剤組成物(2)における(B´)成分は、所望の粘着性を発揮し得るものであれば特に限定されない。例えば、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリアクリル酸エステル等が挙げられる。
【0046】
(B)成分および(B´)成分の質量平均分子量は、1,000〜2,000,000であることが好ましく、特に100,000〜1,500,000であることが好ましく、さらには300,000〜1,200,000であることが好ましい。質量平均分子量が1,000未満では、粘着剤の柔軟性および耐久性が十分でなくなるおそれがある。一方、質量平均分子量が2,000,000を超えると、(A)成分との相溶性が悪くなり、粘着剤の柔軟性が十分に確保できなくなるおそれがある。
【0047】
また、(B)成分および(B´)成分のガラス転移温度(Tg)は、30℃以下であることが好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)が50℃を超えると、(A)成分との相溶性が悪くなり、粘着剤の十分な柔軟性が発現されないおそれがある。
【0048】
(B)成分が有する官能基Rは、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基等が好ましく、これらの官能基Rは、粘着性高分子中で2種以上混在していてもよい。また、(B´)成分が有する反応性基Rは、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミン基等が好ましく、これらの反応性基Rは、(B´)成分中で2種以上混在していてもよい。
【0049】
上記官能基Rの(B)成分への導入率、または上記反応性基Rの(B´)成分への導入率は、其々0.5〜50%であることが好ましく、特に5〜25%であることが好ましい。導入率が0.5%未満では、(B)成分または(B´)成分が(A)成分または(C)成分と十分に反応できなくなるおそれがある。一方、導入率が50%を超えると、(B)成分または(B´)成分のゲル化が進み、粘着剤の十分な柔軟性が発現されないおそれがある。
【0050】
(C)成分は、上記反応性基Rおよび反応性基Rと反応し得る二官能以上の化合物であれば特に限定されない。(C)成分が有する官能基Rは、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基等が好ましく、これらの官能基Rは、(C)成分中で2種以上混在していてもよい。
【0051】
(C)成分としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、N,N−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等のアジリジン系化合物等が挙げられる。
【0052】
本粘着剤組成物(2)における(C)成分の使用量は、その種類に応じて、粘着剤の良好な粘着力、保持力等が得られるように適宜選定されるが、(B´)成分100質量部に対して、通常0.001〜30質量部、好ましくは0.01〜20質量部の範囲で選定される。
【0053】
本粘着剤組成物(1)として最も好ましいものは、環状分子Tが水酸基を反応性基として有するα−シクロデキストリンであり、直鎖状分子Lがポリエチレングリコールであり、ブロック基BLがアダマンタン基である(A)成分と、(B)成分としてのイソシアネート基を官能基として有するアクリル酸エステル共重合体を配合したものである。
【0054】
本粘着剤組成物(2)として最も好ましいものは、環状分子Tが水酸基を反応性基として有するα−シクロデキストリンであり、直鎖状分子Lがポリエチレングリコールであり、ブロック基BLがアダマンタン基である(A)成分と、(B´)成分としての水酸基を反応性基として有するアクリル酸エステル共重合体と、(C)成分としてのイソシアネート系化合物とを配合したものである。
【0055】
このようにして得られた粘着剤組成物(1),(2)は、80〜150℃程度の温度で加熱硬化させることにより、粘着剤層を形成することができる。
【0056】
以上説明した粘着剤組成物(1),(2)を用いて得られた粘着剤は、(A)成分の環状分子Tと(B)成分または(B´)成分とが直接的または間接的に結合している((B)成分または(B´)成分が(A)成分によって架橋されている)ため、環状分子Tが(A)成分の直鎖状分子L上を自由に移動することで、粘着剤が柔軟性に富んだものとなる。
【0057】
次に、本発明の粘着シートについて説明する。本発明の一実施形態に係る粘着シートは、前述の粘着剤組成物(1),(2)を用いて形成された粘着剤層を有しており、支持体としての基材シートを有していてもよいし、有していなくてもよい。また、剥離シートを有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0058】
上記基材シートとしては、特に制限は無く、通常の粘着シートの基材シートとして用いられているものは全て使用できる。例えば、レーヨン、アクリル、ポリエステル等の繊維を用いた織布または不織布;上質紙、グラシン紙、含浸紙、コート紙等の紙類;アルミ、銅等の金属箔;ウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体等の発泡体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;これらの2種以上の積層体などを挙げることができる。プラスチックフィルムは、一軸延伸又は二軸延伸されたものでもよい。
【0059】
基材シート上に粘着剤層を形成するには、基材シートに粘着剤組成物(1),(2)を含む溶液を直接塗布して粘着剤層を設けてもよいし、剥離シート上に粘着剤組成物(1),(2)を含む溶液を塗布して粘着剤層を設けたのち、これを基材シートに貼着し、該粘着剤層を基材シートに転写してもよい。粘着剤組成物(1),(2)を含む溶液を塗布する方法には、例えばロールコーティング法、ナイフコーティング法、バーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法等の従来公知の方法が適用可能である。これらの方法によって粘着剤組成物(1),(2)を含む溶液を塗布した後、熱風乾燥等の手段で溶媒を除去すると共に、加熱等によって粘着剤組成物(1),(2)が反応し架橋されることにより、上記粘着剤層を形成することができる。粘着剤層の厚さは、特に制限されず、用途に応じて適宜選定されるが、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲である。
【0060】
上記剥離シートとしては、例えばグラシン紙、クレーコート紙、クラフト紙、上質紙などの紙類や該紙類にポリエチレン樹脂などをラミネートしたラミネート紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィンなどのプラスチックフィルムに、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などの剥離剤を塗布し、熱硬化や紫外線硬化などによって剥離層を設けたものなどが挙げられる。
【0061】
ここで、粘着剤組成物(1),(2)を用いて形成された粘着剤層のゲル分率は、70%以上であることが好ましく、特に80%以上であることが好ましい。粘着剤組成物(1),(2)を用いて得られる粘着剤は、ゲル分率をこのように高くすることができ、それによって、耐久性に優れたものとなり得る。なお、一般的にはゲル分率が高いと柔軟性が低くなるが、粘着剤組成物(1),(2)を用いて得られた粘着剤は、ゲル分率が高くても優れた柔軟性を有する。
【0062】
柔軟性の程度としては、粘着剤組成物(1),(2)を基材に塗布してなる粘着シートのJIS Z0237に準拠した保持力が、70,000秒後の粘着シートのずれ量として100μm以上であることが好ましく、特に200μm以上であることが好ましい。
【0063】
以上のことから、本発明の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有する粘着シートは、粘着シートの基材または粘着シートが貼着される被着体の寸法変化が大きい場合であっても、その寸法変化によって生じ得る応力を粘着剤層で吸収・緩和することができ、したがって長期にわたって被着体から剥がれ難いものとなる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0065】
〔合成例〕
(1)(A)成分の合成
<直鎖状分子Lの調製>
ポリエチレングリコール(PEG)(Aldrich社製,数平均分子量Mn:35,000)10g、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)100mgおよび臭化ナトリウム1gを水100mlに溶解した。得られた溶液に市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度約5%)5mlを添加し、室温で攪拌しながら反応させた。このとき、pHが10〜11を保つように1NのNaOHを添加した。そして、エタノールを添加して反応を終了させた。
【0066】
得られた反応液について、塩化メチレン50mlによる抽出を3回繰り返して無機塩以外の成分を抽出した後、エバポレータで塩化メチレンを留去した。抽出物を温エタノール250mlに溶解させた後、−4℃下に一晩置き、PEG−カルボン酸のみを析出させ、析出したPEG−カルボン酸を遠心分離で回収した。この温エタノール溶解−析出−遠心分離のサイクルを数回繰り返し、最後に真空乾燥で乾燥させてPEG−カルボン酸を得た。収率は95%以上、PEGのカルボキシル化率は95%以上であった。
【0067】
<直鎖状分子Lおよび環状分子Tの包接錯体の調製>
上記で調製したPEG−カルボン酸3gおよびα−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)12gを、それぞれ別々に用意した70℃の温水50mlに溶解させた後、両者を混合し、その後、4℃下で一晩静置した。それによりクリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥し、回収した。収率は90%以上であった。
【0068】
<直鎖状分子Lおよび環状分子Tの包接錯体へのブロック基BLの付与>
室温でジメチルホルムアミド(DMF)50mlにアダマンタンアミン(Aldrich社製)0.13gを溶解し、上記で得られた包接錯体14gに添加した後、すみやかによく振り混ぜた。続いて、BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート)0.38gをDMF25mlに溶解したものを添加し、同様によく振り混ぜた。さらに、ジイソプロピルエチルアミン0.14mlをDMF25mlに溶解したものを添加し、同様によく振り混ぜた。得られた混合物を冷蔵庫中で一晩静置した。
【0069】
その後、上記混合物にDMF/メタノール=1:1混合溶液100mlを加えてよく混ぜ、遠心分離して上澄みを捨てた。このDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰り返した後、さらにメタノール100mlを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰り返した。得られた沈澱物を真空乾燥した後、ジメチルスルホキシド(DMSO)50mlに溶解し、得られた透明な溶液を水700ml中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥または凍結乾燥させた。このDMSO溶解−水中析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰り返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。添加した包接錯体をベースにした収率は約68%であった。得られたポリロタキサンをポリロタキサン(a)という(環状分子T:α−シクロデキストリン,直鎖状分子L:PEG,ブロック基BL:アダマンタン基)。
【0070】
ポリロタキサン(a)のα−シクロデキストリンの水酸基を、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム溶媒中、ジメチルアミノピリジン(触媒)の存在下で、無水酢酸によりアセチル化した。得られたポリロタキサンをポリロタキサン(b)という。
【0071】
ポリエチレングリコール600(Aldrich社製,Mn:600)の片方の末端の水酸基を、塩化メチレン中、ピリジン(触媒)の存在下で、トシルクロライドと反応させてトシル化した。一方、ジメチルホルムアミド中にて、ポリロタキサン(a)のシクロデキストリンの水酸基を水素化ナトリウムで活性化し、上記トシル化したポリエチレングリコールと反応させてエーテル結合を形成することにより、シクロデキストリンの水酸基に長鎖のオキシエチレン鎖を付加した。得られたポリロタキサンをポリロタキサン(c)という。
【0072】
(2)(B)成分および(B´)成分の合成
n−ブチルアクリレート90質量部と、2−イソシアナートエチルメタクリレート10質量部と、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.6質量部とを酢酸エチル200質量部中にて混合し、60℃で17時間攪拌することにより、質量平均分子量41万のポリアクリル酸エステル共重合体の溶液(固形分濃度33.5質量%)を得た。このポリアクリル酸エステル共重合体をポリアクリル酸エステル共重合体(I)という((B)成分)。
【0073】
また、n−ブチルアクリレート80質量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート20質量部と、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.4質量部とを酢酸エチル300質量部およびメチルエチルケトン100質量部の混合溶媒中にて混合し、60℃で17時間攪拌することにより、質量平均分子量80万のポリアクリル酸エステル共重合体の溶液(固形分濃度20.0質量%)を得た。このポリアクリル酸エステル共重合体をポリアクリル酸エステル共重合体(II)という((B´)成分)。
【0074】
〔実施例1〕
ポリロタキサン(a)20質量部と、ポリアクリル酸エステル共重合体(I)100質量部(固形分換算)とを混合した後、メチルエチルケトンにより固形分濃度20%の溶液となるように希釈し、これを粘着剤組成物(A)とした。
【0075】
〔実施例2〕
ポリロタキサン(b)20質量部と、ポリアクリル酸エステル共重合体(I)100質量部(固形分換算)とを混合した後、メチルエチルケトンにより固形分濃度20%の溶液となるように希釈し、これを粘着剤組成物(B)とした。
【0076】
〔実施例3〕
ポリロタキサン(c)20質量部と、ポリアクリル酸エステル共重合体(I)100質量部(固形分換算)とを混合した後、メチルエチルケトンにより固形分濃度20%の溶液となるように希釈し、これを粘着剤組成物(C)とした。
【0077】
〔実施例4〕
ポリロタキサン(a)20質量部と、ポリアクリル酸エステル共重合体(II)100質量部(固形分換算)と、キシリレンジイソシアナート系三官能アダクト体(綜研化学社製,TD−75)10質量部(固形分換算)とを混合した後、メチルエチルケトンにより固形分濃度20%の溶液となるように希釈し、これを粘着剤組成物(D)とした。
【0078】
〔実施例5〕
ポリロタキサン(a)30質量部と、ポリアクリル酸エステル共重合体(II)100質量部(固形分換算)と、キシリレンジイソシアナート系三官能アダクト体(綜研化学社製,TD−75)15質量部(固形分換算)とを混合した後、メチルエチルケトンにより固形分濃度20%の溶液となるように希釈し、これを粘着剤組成物(E)とした。
【0079】
〔実施例6〕
ポリロタキサン(b)5質量部と、ポリアクリル酸エステル共重合体(II)100質量部(固形分換算)と、キシリレンジイソシアナート系三官能アダクト体(綜研化学社製,TD−75)2.5質量部(固形分換算)とを混合した後、メチルエチルケトンにより固形分濃度20%の溶液となるように希釈し、これを粘着剤組成物(F)とした。
【0080】
〔実施例7〕
ポリロタキサン(b)20質量部と、ポリアクリル酸エステル共重合体(II)100質量部(固形分換算)と、キシリレンジイソシアナート系三官能アダクト体(綜研化学社製,TD−75)10質量部(固形分換算)とを混合した後、メチルエチルケトンにより固形分濃度20%の溶液となるように希釈し、これを粘着剤組成物(G)とした。
【0081】
〔実施例8〕
ポリロタキサン(c)20質量部と、ポリアクリル酸エステル共重合体(II)100質量部(固形分換算)と、キシリレンジイソシアナート系三官能アダクト体(綜研化学社製,TD−75)10質量部(固形分換算)とを混合した後、メチルエチルケトンにより固形分濃度20%の溶液となるように希釈し、これを粘着剤組成物(H)とした。
【0082】
〔比較例1〕
ポリアクリル酸エステル共重合体(II)100質量部(固形分換算)と、キシリレンジイソシアナート系三官能アダクト体(綜研化学社製,TD−75)10質量部(固形分換算)とを混合した後、メチルエチルケトンにより固形分濃度20%の溶液となるように希釈し、これを粘着剤組成物(I)とした。
【0083】
〔比較例2〕
ポリアクリル酸エステル共重合体(II)100質量部(固形分換算)と、キシリレンジイソシアナート系三官能アダクト体(綜研化学社製,TD−75)0.1質量部(固形分換算)とを混合した後、メチルエチルケトンにより固形分濃度20%の溶液となるように希釈し、これを粘着剤組成物(J)とした。
【0084】
〔比較例3〕
ポリロタキサン(a)20質量部と、ポリアクリル酸エステル共重合体(II)100質量部(固形分換算)とを混合した後、メチルエチルケトンにより固形分濃度20%の溶液となるように希釈し、これを粘着剤組成物(K)とした。なお、ポリロタキサン(a)と、ポリアクリル酸エステル共重合体(II)とは、互いに反応する反応性基/官能基を有していないため、両者は反応しない。
【0085】
〔試験例〕
(1)保持力の測定
粘着剤組成物(A)〜(K)を、片面をシリコーン系剥離剤により剥離処理したポリエチレンテレフタレート剥離シート(リンテック社製,SP−PET3811)の剥離処理面に乾燥後の塗布厚が20μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱し、粘着剤層を形成した。その粘着剤層と、易接着ポリエチレンテレフタレートシート(東洋紡社製,PET50A4300,厚さ:50μm)とを貼り合わせて、粘着シートを得た。
【0086】
JIS Z0237の保持力の測定法に準じて、70,000秒後の上記粘着シートのずれ量(μm)を測定した。結果を表1に示す。
【0087】
(2)ゲル分率の測定
粘着剤組成物(A)〜(K)を、片面をシリコーン系剥離剤により剥離処理したポリエチレンテレフタレート剥離シート(リンテック社製,SP−PET3811)の剥離処理面に乾燥後の塗布厚が20μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱し、粘着剤層を形成した。その粘着剤層と、別のポリエチレンテレフタレート剥離シート(リンテック社製,SP−PET3801)の剥離処理面とを貼り合わせて、粘着シートを得た。
【0088】
上記粘着シートを23℃、湿度50%の雰囲気下で1週間放置した後、その粘着シートから約0.1gの粘着剤を取り出してテトロンメッシュ(#400)に包み、酢酸エチルを溶剤としたソックスレー抽出装置(東京硝子器械社製,脂肪抽出器)による還流で粘着剤の非ゲル分を抽出し、初期の質量との比よりゲル分率を算出した。結果を表1に示す。
【0089】
(3)耐久性試験
粘着剤組成物(A)〜(K)を、片面をシリコーン系剥離剤により剥離処理したポリエチレンテレフタレート剥離シート(リンテック社製,SP−PET3811)の剥離処理面に乾燥後の塗布厚が20μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱し、粘着剤層を形成した。その粘着剤層と、一軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート(東洋紡社製,厚さ:38μm)とを貼り合わせて、粘着シートを得た。
【0090】
上記粘着シートを50mm×50mmに裁断し、剥離シートを剥がしてガラス板に貼付した。80℃ドライの雰囲気下で300時間放置した後、外観を目視で観察し、浮き・剥がれの有無を確認した。結果を表1に示す。なお、表中の○は浮き・剥がれなし、×は浮き・剥がれありを示す。
【0091】
【表1】

【0092】
表1から明らかなように、実施例1〜8の粘着剤組成物(A)〜(H)から得られた粘着剤層を有する粘着シートは、保持力試験におけるずれ量が大きく(100μm以上)、ゲル分率が70%以上であり、耐久性にも優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、特に粘着シートの基材または粘着シートが貼着される被着体の寸法変化に起因する応力が大きい場合に用いる柔軟性(応力緩和性)に優れた粘着剤層を有する粘着シート、およびその粘着剤層を構成する粘着剤組成物として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、前記環状分子が反応性基を有し、且つ、前記直鎖状分子の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサン
(B)前記反応性基と反応し得る官能基を2つ以上有する粘着性高分子
上記(A)および(B)を含む粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有する粘着シートであって、
前記粘着シートのJIS Z0237に準拠した保持力が、70,000秒後の前記粘着シートのずれ量として100μm以上である
ことを特徴とする粘着シート。
【請求項2】
(A)少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、前記環状分子が反応性基を有し、且つ、前記直鎖状分子の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサン
(B´)反応性基を2つ以上有する粘着性高分子
(C)前記(A)の反応性基および前記(B´)の反応性基と反応し得る官能基を2つ以上有する化合物
上記(A)、(B´)および(C)を含む粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有する粘着シートであって、
前記粘着シートのJIS Z0237に準拠した保持力が、70,000秒後の前記粘着シートのずれ量として100μm以上である
ことを特徴とする粘着シート。
【請求項3】
前記反応性基が、水酸基、カルボキシル基およびアミン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート
【請求項4】
前記官能基が、イソシアネート基、エポキシ基およびアジリジン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることであることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート
【請求項5】
前記粘着性高分子の質量平均分子量が、1,000〜2,000,000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シート
【請求項6】
前記粘着性高分子のガラス転移温度(Tg)が、30℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の粘着シート
【請求項7】
前記ポリロタキサンの環状分子が、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミンおよび環状ポリアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の粘着シート
【請求項8】
前記ポリロタキサンの環状分子が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の粘着シート
【請求項9】
前記ポリロタキサンは、前記環状分子として、高分子鎖および/または置換基が導入されたシクロデキストリンを含んでいることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の粘着シート
【請求項10】
前記ポリロタキサンの直鎖状分子が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の粘着シート
【請求項11】
前記ポリロタキサンの直鎖状分子の数平均分子量が、3,000〜300,000であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の粘着シート
【請求項12】
前記ポリロタキサンのブロック基が、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類およびアントラセン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の粘着シート
【請求項13】
前記ポリロタキサンのブロック基が、数平均分子量1,000〜1,000,000の高分子の主鎖または側鎖であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の粘着シート
【請求項14】
前記ポリロタキサンの環状分子がα−シクロデキストリンであり、前記ポリロタキサンの直鎖状分子がポリエチレングリコールであり、前記ポリロタキサンのブロック基がアダマンタン基であり、前記粘着性高分子がアクリル酸エステル共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の粘着シート
【請求項15】
前記粘着剤層のゲル分率が70%以上であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の粘着シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−162737(P2012−162737A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−101275(P2012−101275)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【分割の表示】特願2006−46212(P2006−46212)の分割
【原出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】