説明

粘着テープの貼付装置及び粘着テープの貼付方法

【課題】粘着テープが均一に伸びた状態で粘着テープを被貼付部材(リードフレーム)に貼り付ける粘着テープの貼付装置及び粘着テープの貼付方法を提供する。
【解決手段】被貼付部材(リードフレーム)2を載せ上下する平坦なステージ1と、被貼付部材(リードフレーム)2の上方に設置され、粘着テープ4が張られたリング8を保持する保持部7と、ステージ1と保持部7とを収容する容器12と、容器12内の大気を排気する排気部9と、容器12が密閉され、排気部9により大気を排気した状態で、ステージ1を上昇させ、被貼付部材(リードフレーム)2と粘着テープ4とを互いに押しつける制御部11と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープの貼付装置及びその貼付方法に関し、特に板状のリードフレームにダイシング用粘着テープを貼り付ける貼付装置及びその貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、ウエハ保護用粘着フィルムの貼付方法及びその装置、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された貼付装置の断面図を図3に示す。
【0003】
この装置を用いた粘着フィルム114の貼付方法は、密閉空間内を窒素雰囲気に置き換え、さらに真空ポンプ120で減圧した状態でシリンダロッド121を伸ばして押圧部材113を下降させ、粘着フィルム114を押圧部材113の局面状下面で下方側に押し込み半導体ウエハ112の裏面に中心部から外周部に向かって粘着フィルム114を貼付する。
【0004】
この時、半導体ウエハ112にはその中心部から外周部に向かって同心円状に粘着フィルム114が貼付されていくために、転動ローラで押し付けながら貼付するのと同じような効果が得られ、半導体ウエハ112と粘着フィルム114との間には気泡が発生し難いものとなる。
【0005】
貼付が完了したのち押圧部材113を上昇させ、真空ポンプ120の作動を停止したのちバルブを開放し、密閉空間内を大気圧にしてから上ケースを開き、半導体ウエハ112を取り出す(段落[0017])。
【特許文献1】特開2001−210701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
粘着フィルム114は、押付け下降されてウエハ112に貼りつけられるため、押圧部材113の曲面状下面に沿って伸びた状態で貼り付けられる。そして貼り付けられた後に、伸びた粘着フィルム114には元の形に戻ろうとする力が働くため反りが発生する恐れがある。
【0007】
図4は関連技術の粘着フィルム貼付方法を実施した際の、貼付動作を示す断面図である。粘着フィルム114は押圧部材113の形状にならって変形する。これが原因となり粘着フィルム114が伸びた状態でウエハ112に貼り付く。この場合、次のダイシング工程で適正な処理が行なわれない恐れがある。またテープの伸び量の違いによって貼付け状態が変わる恐れもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、被貼付部材を載せ上下する平坦なステージと、その被貼付部材の上方に設置され、粘着テープが張られたリングを保持する保持部と、そのステージとその保持部とを収容する容器と、その容器内の大気を排気する排気部と、その容器が密閉され、その排気部により大気を排気した状態で、そのステージを上昇させ、その被貼付部材とその粘着テープとを互いに押しつける制御部と、を有する粘着テープ貼付装置、が提供される。
【0009】
本発明によれば、被貼付部材をステージに載せる工程と、そのステージに載せられたその被貼付部材の上方の保持部に、粘着テープが張られたリングを固定する工程と、そのステージとその保持部とを収容する容器内の大気圧を減圧する工程と、そのステージを上昇させ、その被貼付部材とその粘着テープとを互いに押しつける工程と、を有する粘着テープ貼付方法、が提供される。
【0010】
本発明によれば、粘着テープを被貼付部材に貼り付ける密閉空間を減圧し、平面形状のステージが上昇することによって、粘着テープと被貼付部材とを互いに押しつけるので、空気が残留することはなく、また粘着テープが均一に伸びた状態で貼り付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、粘着テープが均一に伸びた状態で粘着テープを被貼付部材に貼り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る粘着テープ貼付装置を示している。
本実施の形態に係る粘着テープ貼付装置は、被貼付部材(リードフレーム)2を載せ上下する平坦なステージ1と、被貼付部材(リードフレーム)2の上方に設置され、粘着テープ4が張られたリング8を保持する保持部7と、ステージ1と保持部7とを収容する容器12と、容器12内の大気を排気する排気部9と、容器12が密閉され、排気部9により大気を排気した状態で、ステージ1を上昇させ、被貼付部材(リードフレーム)2と粘着テープ4とを互いに押しつける制御部11と、を有する。
【0014】
粘着テープ4を被貼付部材(リードフレーム)2に貼り付ける密閉空間を減圧し、平担なステージ1によって、被貼付部材(リードフレーム)2と粘着テープ4とが互いに押し付けられるので、空気が残留することが抑制される。また粘着テープ4が不均一に伸びた状態で貼り付けられることもないので、次工程のダイシングを正常な状態で実施できる。
【0015】
また、本実施の形態にかかる粘着テープ貼付装置において、容器12は、下ケース6と、上蓋5からなり、下ケース6には、制御部11とステージ1及び保持部7が設けられている。尚、下ケース6と上蓋5との間には密閉空間を保つためにOリングによるシール部材が設けられている。そして、下ケース6にはさらに排気口9が設けられ、減圧するための真空ポンプ13に接続されている。
【0016】
本実施形態に係る構造によれば、ステージ1が下ケース6側に設けてあり、被貼付部材(リードフレーム)2や粘着テープ4の上部に駆動機器がない。このことから、上蓋5を複雑な構造にする必要がなく、メンテナンスも容易である。また、上蓋5自体に駆動機器があるときに比べ上蓋5は軽くなり作業性も向上する。さらに、被貼付部材(リードフレーム)2を粘着テープ4に貼り付ける際の可動部は、被貼付部材(リードフレーム)2を置くステージ1だけであるため、被貼付部材(リードフレーム)2と粘着テープ4に異物が落下する心配がない。
【0017】
上蓋5には、平面形状の弾性部材3を設けても良い。粘着テープ4を被貼付部材(リードフレーム)2に貼り付ける密閉空間を減圧し、被貼付部材(リードフレーム)2が載せられた平坦なステージ1を上昇させ、粘着テープ4を挟んで上蓋5に設けられた平面形状の弾性部材3に押しつける。
【0018】
ここで、弾性部材3には、上蓋5を閉じた状態でステージ1に対しわずかに傾斜10を設けても良い。被貼付部材(リードフレーム)2が粘着テープ4に押しつけられ、さらに傾斜した弾性部材3に押しつけられると被貼付部材(リードフレーム)2と粘着テープ4の間の大気が押し出され、気泡を作ること無く貼りつけることができる。
【0019】
尚、粘着テープ4が張られたリング8を載せる保持部7にもわずかに傾斜をもたせ、上蓋5を閉めた状態で粘着テープ4と弾性部材3とがほぼ平行に接触するようにしても良い。このようにすると、被貼付部材を載せたステージの上昇に従って、被貼付部材と粘着テープが片側から徐々に接触し、被貼付部材(リードフレーム)2と粘着テープ4の間に気泡を作ること無く貼り付けることができる。
【0020】
次に本実施の形態の製造方法について記載する。図2を用いて本実施形態の粘着テープ4の貼付方法について図2を用いて説明する。
【0021】
まず、粘着テープ貼付装置の上蓋5を開き、被貼付部材(リードフレーム)2をステージ1に載せる(ステップS1)。
次いで、粘着テープ4が張られたリング8を、粘着部を下側にして、下ケース6の保持部7に載せる(ステップS2)。
次いで、上蓋5を閉じる(ステップS3)。
次いで、上蓋5と下ケース6で形成される密閉空間の大気圧を排気部9から減圧する(ステップS4)。
次いで、ステージ1を制御部11により上昇させ、粘着テープ4と被貼付部材(リードフレーム)2とを上蓋5に設けられた弾性部材3に押しつけ、被貼付部材(リードフレーム)2を粘着テープ4に貼り付ける(ステップS5)。
【0022】
ここで、被貼付部材(リードフレーム)2と粘着テープ4をセットして上蓋5を閉じた状態において、上蓋5の裏側に取り付けられた弾性部材3が粘着テープ4に触れている。この状態で被貼付部材(リードフレーム)2をセットしたステージ1が上昇してくることによって、粘着テープ4が被貼付部材(リードフレーム)2に貼り付けられる。このため、粘着テープ4はほとんど伸縮することなく被貼付部材(リードフレーム)2に貼り付けられる。
【0023】
押し付け動作完了後、ステージ1を下げ、真空ポンプ13を止めて、容器12内を常圧に戻す。上蓋5を開け、被貼付部材(リードフレーム)2が貼り付けられた粘着テープ4のリング8を取り出す。
【0024】
また、弾性部材3は、上蓋5を閉じた状態で、ステージ1に対してわずかに傾斜10を持たせて粘着テープ4を貼り付けている。すなわち、被貼付部材(リードフレーム)2をセットしたステージ1が上昇してくることによって、平面形状のステージ1によって、容器12の上蓋5に設けられた平面形状の弾性部材3によって、粘着テープ4は被貼付部材(リードフレーム)2に接着され、大気を逃すように押しつけられるので、接着テープ4被貼付部材との間には大気が残らない。
【0025】
気泡を混入させることなく、被貼付部材(リードフレーム)2を粘着テープ4に貼り付けることができ、かつ粘着テープ4の伸びを利用することなく密着させることができるため粘着テープ4の種類による貼付状態の差がなく貼り付けることが可能である。
【0026】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、被貼付部材はリードフレームとして説明してきたが、リードフレームは半導体装置を樹脂封止したリードフレームでも良い。また、配線基板、半導体装置を樹脂封止した配線基板でも良い。さらには半導体ウエハでもかまわない。
【0027】
粘着テープ貼付工程の次工程はダイシングとして記載したが半導体ウエハの裏面研削でもかまわない。但しこの場合ウエハの表側にテープを張ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態に係る粘着テープ貼付装置を実施するための断面図である。
【図2】実施の形態に係る粘着テープの貼付方法を実施するための工程図である。
【図3】関連技術に係る粘着フィルム貼付装置の断面図である。
【図4】関連技術に係る粘着フィルム貼付装置の動作を示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 :ステージ
2 :被貼付部材(リードフレーム)
3 :弾性部材
4 :粘着テープ
5 :上蓋
6 :下ケース
7 :保持部
8 :リング
9 :排気部
10 :傾斜
11 :制御部
12 :容器
13 :真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被貼付部材を載せ上下する平坦なステージと、
前記被貼付部材の上方に設置され、粘着テープが張られたリングを保持する保持部と、
前記ステージと前記保持部とを収容する容器と、
前記容器内の大気を排気する排気部と、
前記容器が密閉され、前記排気部により大気を排気した状態で、前記ステージを上昇させ、前記被貼付部材と前記粘着テープとを互いに押しつける制御部と、
を有する粘着テープ貼付装置。
【請求項2】
請求項1記載の粘着テープ貼付装置において、
前記容器は、下ケースと、上蓋からなり、
前記下ケースに、前記制御部と前記ステージと前記保持部が設けられている粘着テープ貼付装置
【請求項3】
請求項2記載の粘着テープ貼付装置において、
前記上蓋には、前記被貼付部材と前記粘着テープとが前記ステージによって押しつけられる平坦な弾性部材を有し、
前記弾性部材は、上蓋を閉じた状態で前記ステージに対し傾斜を有する粘着テープ貼付装置。
【請求項4】
被貼付部材を平坦なステージに載せる工程と、
前記ステージに載せられた前記被貼付部材の上方の保持部に、粘着テープが張られたリングを固定する工程と、
前記ステージと前記保持部とを収容する容器内の大気圧を減圧する工程と、
前記ステージを上昇させ、前記被貼付部材と前記粘着テープとを互いに押しつける工程と、
を有する粘着テープの貼付方法。
【請求項5】
請求項4記載の粘着テープの貼付方法において、
前記容器は、下ケースと上蓋とを有し、前記下ケースには前記ステージと前記保持部とが設けられ、前記上蓋には前記上蓋が閉じられた状態で前記ステージに対して傾斜を有する平坦な弾性部材が設けられ、
前記ステージを上昇させ、前記被貼付部材と前記粘着テープとを前記弾性部材に押しつける工程を有する粘着テープの貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−103137(P2010−103137A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270560(P2008−270560)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】