説明

糖被覆物及び被覆方法

治療薬の固体調剤形のための被覆物として特に有用な組成物が、かかる被覆物を含む固体調剤形、かかる固体調剤形の製造方法、及びその製造方法による生成物として提供される。被覆組成物により、可撓性/膨張性タブレットコア、例えばヒドロゲル型コアに施された場合であっても、良好な強度及びひび割れに対する耐性をもたらすのが一般的である。更に組成物は、良好な臭気ブロック特性も示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、薬学的な製剤の分野を対象としている。更に詳細には、本発明は、固体の製剤、例えばタブレット、ピル、顆粒及び粒子の被覆での使用に好適な糖含有組成物に関する。かかる被覆物の使用法は、組成物で被覆された固体調剤形として提供される。
【背景技術】
【0002】
薬学的な固体調剤形、すなわち最も顕著なタブレットは、種々の材料及び方法を用いて被覆されてきた。このための理由としては、美的価値観並びに実用的な理由が含まれる。例えば、タブレット被覆物は、嫌な味又は臭いを覆うことができ、患者による摂取の平易さを増大させることができ、そして調剤形の最終的な外観を改良するために働くことができる。同様に、被覆物(被膜:coating)は、空気、水分及び光の作用から生成物を保護することができ、生成物同定を改善することができ、そして製造中の包装及び詰め込みにおける取り扱いを容易にすることができる。
【0003】
一般に、薬学的な調剤形を、糖被覆又はフィルム被覆することができる。従来の糖被覆組成物は、糖(シロップ)、最も一般的にはスクロースの水溶液として調製され、そして良好な密閉性及び滑らかな表面のタブレットが、糖の結晶の、緊密で、ブロック形態構造の形成によって得られると言われている。糖被覆タブレットに含まれていても良い追加の薬剤としては、タルク(糖被覆用分散剤として使用される)、沈殿した炭酸カルシウム(糖被覆用懸濁剤として使用される)、ゼラチン、アラビアゴム及びプルラン(糖被覆用バインダとして使用される)、そしてカルナバワックス(屡々、糖被覆用光沢剤として施される)である。
【0004】
糖被覆は、多工程で且つ単調な方法であり、そして当業者の使用に大きく依存しているという問題があった。一般的な糖被覆法を、6個の主工程:すなわち、(1)封止工程、(2)サブコーティング(subcoating)工程、(3)平滑工程、(4)カラーコーティング工程、(5)仕上げ処理(艶出し)工程、及び(6)印刷工程に細分可能である。当業者の管理下で、糖被覆生成物の外見は鮮やかとなるが、所定の課題が方法及び最終的な生成物に付きまとうことになる。例えば、糖被覆法では、タブレットを常に転がし続ける必要があるので、遭遇した応力に抗するのに十分ではない問題点、例えばこれら単位の細分化がもたらされる。また、着色の不均一性、粗い又は過度なソフトコーティング及び/又はマーブリングは、対処すべき課題を更にもたらす場合がある。
【0005】
これらの問題点を克服するために、フィルムコーティングが1950年代に製薬工業に導入された。フィルムコーティングでは、通常、噴霧技術によって、薄く、均一な、一般的には高分子膜を支持体に堆積させる。フィルムコーティング法は、最終的な調剤形の重量増大を最小にし、処理時間を短縮し、そして耐チッピング性を改良する点において有利である。
【0006】
フィルムコーティングを利用して、例えば、被覆物に用いられるポリマーが胃のpHに対して本質的に影響されないが、増大した腸のpHに対して溶解する腸溶性コーティングによって、コアタブレットの成分の放出を修正してきた。フィルムコーティングの他の用途は、特定の治療薬の頻回投与に対する要求を削減する助けとなる持続放出コーティングにおける調剤にある。種々の持続放出の提案が知られている。かかる提案の1つが、拡散コーティングであり、水透過性であるが、水不溶性の多孔質膜を有する溶解性支持体コアに対して被覆物(塗膜:coating)(通常、有機溶剤から得られる)を堆積させることに関与している。治療薬の放出特性は、水溶性物質を膜内に包含することによって修正され得る。このような物質を胃腸内の分泌液に溶解させ、これによりフィルム内に細孔を形成する。このような細孔により、胃腸内の分泌液を膜に通過させ、そしてタブレットコア内の治療薬を溶解させることができる。拡散速度を、拡散膜の厚さ及び構成によって制御可能である。かかる系を正常に機能させるために、拡散処理調剤の構成が良好な機械強度及び可撓性を示す必要がある。しかしながら、不幸にも、支持体に載置される場合の上記の被覆調剤は、屡々、必要な機械強度及び可撓性に欠くことがあるので、消化管内での溶解中に堆積フィルムが破損する。これにより、次に、「急速放出(dose dumping)」と称される現象において治療薬を含む支持体の内容物全体の突然の放出を許容することになる。かかる状況は、従来の調剤と比較して、その中に見られるより多くの量の治療薬をもたらす持続放出調剤形にとって明らかに望ましくない。
【0007】
更に、フィルムコーティングが提供する利点にもかかわらず、被覆されるタブレットが十分な強さでなく、タブレットコア中の欠陥を覆わず、斑点形成する等である場合の積層する傾向を含む、所定の問題点が、フィルムコーティング法に伴うことなる。皮肉なことに、処理の多数の利点を可能にする、有機溶剤のフィルムコーティングでの使用にも、いくつかの大きな不利益がある。有機溶剤の揮発性に起因して、フィルムコーティング法で有機溶剤を使用することにより、環境への作用に対する懸念及び操作者に対する潜在毒性だけでなく、燃焼の危険を引き起こし得る。また、有機溶剤は、溶剤自体のコスト又はその潜在的な危険の低減で遭うコストに起因して、処理全体のコストを増加させる。
【0008】
更に、フィルムコーティングは、加工又は保存中に膨張しやすい特定の吸湿性コアを含むタブレットに適していない場合がある。例えば、ヒドロゲルコアを有するフィルム被覆タブレット(タブレットコア中に水溶性のセルロース系材料を比較的高い割合で含む)は、ひび割れする傾向を有している。ひび割れした被覆物を有するタブレットは、美的価値観及び機能の観点の両方から受け入れられず;鮮やかな外観、摂取の容易さ、及び臭気のマスキング特性を減少させ、そしてタブレットコア中の有効成分が、生成物の安定性に不利益な環境条件に晒される場合がある。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、支持体に施される場合に良好な機械強度及び可撓性を示す被覆物を提供することによってひび割れの可能性を低減し、これにより上記の1以上の課題に対処することにある。本発明の被覆調剤は、また、水性の溶剤組成物を利用し、これにより上述したフィルムコーティング法での有機溶剤の使用を排除するか、又は少なくとも最小限にする。これと同時に、組成物は、一般に、従来のフィルムコーティング装置を用いて施され得るので、先行技術における糖被覆タブレットを製造するために必要とされる場合と比較して、簡素で且つ小さな労働集約法で組成物を利用することができる。
【0010】
[発明の概要]
一実施の形態において、本発明は、水と、約30重量%〜約60重量%の少なくとも1種の糖、約5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のバインダー、約3重量%〜約10重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、約15重量%〜約50重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、必要により、約3重量%以下の量の治療薬、必要により、約20重量%以下の量の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、必要により、約8重量%以下の量の少なくとも1種の可塑剤を含む固体成分と、を含む組成物に関する。
【0011】
更に本発明は、コア材料と、該コア材料に設けられる少なくとも1種の被覆物(塗膜:coating)と、を含む固体調剤形(固体調剤形態:solid dosage form)であって、被覆物が、約30重量%〜約60重量%の少なくとも1種の糖、約5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のバインダー、約3重量%〜約10重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、約15重量%〜約50重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、必要により、約3重量%以下の量の治療薬、必要により、約20重量%以下の量の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、及び必要により、約8重量%以下の量の少なくとも1種の可塑剤、を含むことを特徴とする固体調剤形に関する。
【0012】
他の実施の形態において、被覆物は、1種以上の治療薬を含むことができる。かかる実施の形態において、更に被覆物は、治療薬の被覆物からの放出を制御する1種以上のポリマーを含んでいる。
【0013】
他の実施の形態において、本発明は、
タブレットコアを準備する工程、
水と、
約30重量%〜約60重量%の少なくとも1種の糖、
約5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のバインダー、
約3重量%〜約10重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約15重量%〜約50重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約3重量%以下の量の治療薬、
必要により、約20重量%以下の量の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、
必要により、約8重量%以下の量の少なくとも1種の可塑剤を含む固体成分と、を含む糖被覆組成物をタブレットコアに噴霧するか、又はその他の方法で施す工程、
これにより被覆タブレットコアを得る工程、を含む方法に関する。
【0014】
他の実施の形態において、本発明は、上述の方法による生成物(製品)に関する。
【0015】
[発明の詳細な説明]
濃度、量、割合及びその他の数に関するデータは、本発明において範囲形式で記載され、又は示される場合がある。かかる範囲形式を、便宜上且つ簡潔にするため単に使用するので、柔軟に解釈して、範囲の境界として明示的に列挙される数値を含むだけでなく、その範囲内に含まれる個々の数値若しくは部分的な範囲のそれぞれを、各々の数値及び部分的な範囲が明示的に列挙されているかのように含むと理解すべきである。
【0016】
例として、“約1重量%〜約10重量%”なる濃度範囲は、約1重量%〜約10重量%の明示的に示される濃度だけでなく、その示された範囲内での個々の濃度及び部分的な範囲を含むと解釈されるべきである。従って、かかる数値範囲には、個々の濃度、例えば2重量%、5重量%、及び8重量%、そして部分的な範囲、例えば1重量%〜3重量%、5重量%〜9重量%等が含まれる。同じ原則が、1個の数値のみを列挙する範囲に対して適用される。
【0017】
同様に、“約10重量%未満”と示される下限のない範囲についても、上述したように全ての数値及び範囲を含むと解釈されるべきである。更に、機能的制約が、上限又は下限のない範囲によって明白に示されていない境界のためにあって良いと理解され、そしてかかる制約は、明白に示されなくても、本願の開示内容の一部として本質的に含まれる。かかる解釈は、範囲の幅又は特徴が記載されていることにかかわらず適用されるべきである。
【0018】
一実施の形態において、本発明は、固形製剤、例えばタブレット、ピル、顆粒等の被覆での使用に好適な組成物を対象にする。組成物は、水と、固体成分と、を含み、更に必要により治療薬を含んでいても良い。約50重量%以下の水の代わりに、他の溶剤、例えばアルコールを用いても良い。組成物は、約30重量%〜約98重量%の水と、約2重量%〜約70重量%の固体成分と、を組み合わせることにより得られる水性懸濁液の状態であるのが好ましい。所定の実施の形態において、組成物は、約75重量%〜約85重量%の水と、約15重量%〜約25重量%の固体成分と、を含む。かかる一実施の形態において、組成物は、約82重量%の水を含む。
【0019】
固体成分は、特に、1種以上の糖(糖類)を含んでいる。本願明細書において用いられる、“糖”なる用語は、任意の種類の単純炭水化物、例えば、天然から得られ、自然源から精製され、又は人工的に製造される単糖又は二糖に関し、限定されることなく、スクロース、ブドウ糖、マルトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ラクトース、トレハロース、ラクツロース、レブロース、ラフィノース、リボース、キシロースを含む。また、本願明細書で使用される“糖”なる用語は、固体製剤形を製造する当業者等に広く知られている種々の“糖置換体”、例えば多価アルコール(“糖アルコール”又は水素化糖と称することがある)、例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール、及びエリスリトール、そして多価アルコールの糖誘導体、例えばマルチトール、ラクチトール、イソマルト、及びポリアルジトールを含む。従って、用語“糖”の記載は、かかる特定の化合物、並びに明白に列挙されていない他の化合物を含むと通常解釈される。所定の実施の形態において、本発明の組成物の固体成分は、単糖又は二糖、例えばスクロース、ブドウ糖、マルトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ラクトースである少なくとも1種の糖を含む。かかるいくつかの実施の形態において、糖はスクロースである。
【0020】
乾燥重量基準で80重量%を超える糖類を含むシロップを用いて製造される従来の糖被覆物と異なり、本発明の組成物は、約30重量%〜約60重量%の少なくとも1種の糖、例えばスクロースを含む固体成分を含む。かかるいくつかの実施の形態において、固体成分は、約35重量%〜約55重量%の糖を含む。他の実施の形態において、固体成分は、約35重量%〜約45重量%の糖を含む。
【0021】
更に、固体成分は、バインダー、例えば微晶質セルロース又は粉末状セルロースを約5重量%〜約10重量%の量で含む。かかるいくつかの実施の形態において、バインダーは、約5.5重量%〜約9重量%の量で存在し、又は他の実施の形態において、約5.5重量%〜約7.5重量%の量で存在する。
【0022】
更に固体成分は、約3重量%〜約10重量%の少なくとも1種の、アルキル基の炭素原子数が1〜10のヒドロキシアルキルセルロースを含む。典型的なヒドロキシアルキルセルロースは、限定されることなく、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含む。かかるいくつかの実施の形態において、ヒドロキシアルキルセルロースは、HPCである。所定の実施の形態において、固体成分は、約4重量%〜約7重量%のヒドロキシアルキルセルロースを含み;他の実施の形態において、約4重量%〜約5.5重量のヒドロキシアルキルセルロースを含む。
【0023】
更に、固体成分は、約15重量%〜約50重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマーを含んでいるのが好ましい。薬学的な調剤形において被覆物中での使用及び賦形剤としての使用に好適な水溶性ポリマーは、当業者等に広く知られており、そして特に、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、アラビアゴム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストリン、アルギン酸、ゼラチン、ガーゴム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリジン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体及びエチルアクリレート−メタクリレート酸共重合体を含む。かかるいくつかの実施の形態において、水溶性ポリマーはヒプロメロースである。他の実施の形態において、ポリマーは、ナトリウムカルボキシメチルセルロースであり;他の実施の形態において、メチルセルロースである。固体成分中で用いられる水溶性ポリマーの特定の量は、選択されるポリマーに応じて異なる。所定の実施の形態において、水溶性ポリマーは、約25重量%〜約40重量%の量で存在し、そして更に、約20重量%〜約30重量%の量で存在する。
【0024】
組成物における固体成分は、更に、少なくとも1種の可塑剤を含んでいる。好適な可塑剤は、当業者等に周知であり、例えばプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、トリアセチン、グリセリルトリアセテート、アセチルトリエチルシトレート及びトリエチルシトレートである。所定の実施の形態において、PEGポリマーを使用する。かかるポリマーは、平均分子量の品質等級、例えばPEG100〜PEG4000で市販されている。かかるいくつかの実施の形態において、PEG400を使用する。可塑剤は、通常、固体成分中において、約0重量%〜約8重量%の量で存在する。所定の実施の形態において、可塑剤は約5重量%〜約7重量%の量で存在し、又は約2重量%〜約4重量%の量で存在し、又は約2.5重量%〜約3.5重量%の量で存在する。
【0025】
組成物における固体成分は、更に、第2のポリマー(他のポリマー)を含んでいても良く、かかるポリマーは、水溶性であるか、又は水分散性、すなわち水性懸濁液を形成可能である。例えば、第2のポリマーとして使用され得る好適なポリマーは、限定されることなく、ポリ酢酸ビニル、例えばKollicoat(登録商標)SR30D(BASF Corp., Mt. Olive, NJ)、エチルセルロース、例えばAquacoat(登録商標) ECD(FMC Corp., Philadelphia, PA)、ポリメタクリレート、例えばEudragit(登録商標) NE30D, NE40D, RS30D及びRL30D(Degussa Corp., Parsippany, NJ)及びKollicoat(登録商標) MAE30DP(BASF Corp.)、そしてポリビニルアルコール、例えばOpadry(登録商標) AMB(Colorcon, West Point, PA)である。所定の実施の形態において、第2のポリマーは、1種以上の好適なポリマーの混合物、例えば、RS30DとRL30Dの混合物であっても良く;従って、組成物における固体成分は、少なくとも2種の追加のポリマーを含んでいるであろう。所定の実施の形態において、第2のポリマーはポリメタクリレートである。かかるいくつかの実施の形態において、ポリメタクリレートは、中性のメタクリル酸エステルを含んでいる。かかるいくつかの実施の形態において、ポリメタクリレートは、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドを有する中性のメタクリル酸エステルを、第4級アンモニウム基と中性エステル基のモル比1:20にて含み、又は他の実施の形態において1:40にて含む。所定の実施の形態において、ポリメタクリレートは、官能基を有していない中性のメタクリル酸エステルを含んでいる。本願発明において用いる、“官能基”なる用語は、所定の試薬で処理された場合に特徴的な反応性を示す原子又は原子の小群(例えば、2〜4個の原子)を称し;例えば、限定されることなく、上記の用語は、アルカン、アルケン、アルキン、アルキルハライド、ベンゼン、アミン、アンモニウム、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン及びカルボン酸を含む。所定の実施の形態において、水溶性又は水分散性の第2のポリマーは、組成物における固体成分の固体の割合に対して、約3重量%〜約20重量%の量である。
【0026】
更に組成物は、必要な成分、例えば他の香料添加剤、人工甘味料、着色顔料、滑剤、流動促進剤、界面活性剤を含んでいても良い。かかる他の成分の選択は、当該技術の範囲内である。
【0027】
上述したように、組成物は、1種以上の治療薬を含んでいても良い。本願発明において用いられる、“治療薬”なる用語は、in vivoでの治療上の生物学的効果を及ぼすことができる物質を称する。治療薬は、中性であるか、又は正若しくは負に荷電されていても良い。医薬品の適例として、特に、診断用薬、調合薬、薬剤、合成有機分子、タンパク質、ペプチド、ビタミン及びステロイドが挙げられる。例えば、組成物は、1種以上のホルモン性ステロイド、例えばメドロキシプロゲステロンアセテート、レボノルゲストレル、ゲストデン、メドロゲストン、エストラジオール、エストリオール、エチニルエストラジオール、メストラノール、エストロン、ジエネストロール、ヘキセストロール、ジエチルスティルベストロール、プロゲステロン、デソゲストレル、ノルゲスチメート、ヒドロキシプロゲステロン、ノルエチンドロン、ノルエチンドロンアセテート、ノルゲストレル、メゲストロールアセテート、メチルテストステロン、エチルエストレノール、メタンジエノン、オキサンドロロン、トリメゲストン、ジオノゲスト等を含んでいても良い。更に、一般的なステロイド性機能を有していてもいなくても良い組織選択的なプロゲステロン及び/又はプロゲステロンアンタゴニスト(プロゲステロン拮抗薬)が、組成物中に含まれていても良い。これらのものとしては、限定されるものではないが、RU-486(ミフェプリストン)、ZK-98299(オナプリストン)、ZK-137316(Schering AG, Berlin)、ZK-230211(Schering AG, Berlin)、及びHRP-2000(17−アセトキシ−[11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン)が挙げられる。必要により、エストロゲンステロイド及びプロゲストゲンステロイドを組み合わせて用いても良い。
【0028】
本発明の組成物は、固体調剤形を製造するためにコア材料の被覆での使用に特に好適である。“コア材料”(コア物質:core material)なる用語は、タブレット、キャプレッツ(登録商標)、粒子、微粉末化粒子、微粒子、ペレット、ピル、コア、粉末、顆粒、グラニュレート(granulate)、小塊、シード、小粒、球体、結晶、ビーズ、凝集体、これらの混合物等を称する。一般的に、好ましいコア材料は、物理的及び化学的に十分に安定な形であり、これにより、タブレットの移動を包含する系、例えばコーティング用穿孔パン(perforated coating pan)において効果的に被覆される。
【0029】
好ましい実施の形態において用いられる、コア材料は、タブレットの形で存在する。本願発明の明細書において用いられる、“タブレット”なる用語は、好適な希釈剤を含んでいてもいなくても良い治療薬を含み、そして圧縮法又は成形法、例えば当業者に周知の方法によって調製される薬学的な固体調剤形を称する。タブレットを形成する好適な方法は、例えば、Edward M Rudnick et al., "Oral Solid Dosage Forms," in Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版., 45章, Alfonso R. Gennaro, ed., Philadelphia College of Pharmacy and Science, Philadelphia, PA (2000)に記載され、その全体を参照して本願発明の明細書に取り込む。更に好ましい実施の形態において、コア材料は圧縮法で形成されるタブレットである。
【0030】
最も頻繁には、コア材料は、少なくとも1種の上述の治療薬と、少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤と、を含んでいるだろう。本願発明の明細書において用いられる、“薬学的に受容可能”なる用語は、本発明の組成物を使用した場合(経口経路で組成物が投与される場合を含む)、患者に対して有毒でないか、又は有害でないのが一般的である材料を称する。本願発明の明細書において用いられる、“患者”なる用語は、哺乳類を含む動物、好ましくは人間を称する。本願発明で用いられる“賦形剤”なる用語は、容積を形成し、満足のいく加工特性及び圧縮特性を付与し、分解速度の制御の助けとなり、及び/又はその他の方法で望ましい追加的な物理特性をコア材料に付与する成分を称する。かかる用語の範囲内において、例えば、当業者等に周知の希釈剤、バインダー、滑剤及び崩壊剤が含まれ、例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association, Washington, D. C. 及びThe Pharmaceutical Society of Great Britain, London, England (1986)に記載されており、その全体を参照することにより本願発明の明細書に取り込む。好適な賦形剤は、例えば、セルロース系材料、例えばヒプロメロース、HPC、HEC、カルボキシメチルセルロース、微晶質セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、及びこれらの誘導体及び塩;他の有機化合物、例えばPEG、タルク、ラクトース及び他の糖類(上述したもの)、アラビアゴム、デキストリン、アルギン酸、エチルセルロース樹脂、ゼラチン、ガーゴム、メチルセルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプン、ゼイン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリジン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体及びエチルアクリレート−メタクリレート酸共重合体;可塑剤、例えばプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、PEGポリマー、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、トリアセチン、グリセリルトリアセテート、アセチルトリエチルシトレート及びトリエチルシトレート;並びに滑剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、硬化植物油、マグネシウムラウリルスルフェート、安息香酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムと酢酸ナトリウムの混合物、塩化ナトリウム、ロイシン、及びCarbowax(登録商標)4000である。
【0031】
種々の治療薬をコア材料に利用しても良い。治療薬の特定例としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定されるものではない:アセタゾールアミド、アセトヘキサアミド、アクリバスチン、アラトロフロキサシン、アルブテロール、アルクロフェナク、アロキシピリン、アルプロスタジル、アモジアキン、アンフォテリシン、アミロバルビタル、アスピリン、アトルアスタチン、アトバクオン、バクロフェン、バルビタル、ベンアゼプリル、ベザフィブレート、ブロムフェナク、ブメタニド、ブトバルビタル、カンデサルタン、カプサイシン、カプトプリル、セファゾリン、セレコキシブ、セファドリン、セファレキシン、セリバスタチン、セトリジン、クロラムブシル、クロロチアジド、クロルプロパアミド、クロルサリドン、シノキサシン、シプロフロキサシン、クリノフィブレート、クロキサシリン、クロモグリケート、クロモリン、ダントロレン、ジクロロフェン、ジクロフェナク、ジクロキサシリン、ジクマロール、ジフルニサル、ジメンヒドリネート、ジバルプロエクス、ドクセート、ドロナビノール、エノキシモネ、エナラプリル、エノキサシン、エンロフロキサシン、エパルレスタト、エポサルタン、必須脂肪酸、エストラムスチン、エタクリン酸、エトトイン、エトドラク、エトポシド、フェンブフェン、フェノプロフェン、フェキソフェナジン、フルコナゾール、フルロビプロフェン、フルバスタチン、フォシノプリル、フォスフェニトイン、フマギリン、フロセミド、ガバペンチン、ゲムフィブロジル、グリクラジド、グリピジド、グリベンクラミド、グリブリド、グリメピリド、グレパフロキサシン、イブフェナク、イブプロフェン、イミペネム、インドメタシン、イルベサルタン、イソトレチノイン、ケトプロフェン、ケトロラク、ラモトリギン、レボフロキサシン、リシノプリル、ロメフロキサシン、ロサルタン、ロバスタチン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メサラミン、メトトレキサート、メトラゾン、モンテルカスト、ナリジクス酸、ナプロキセン、ナタマイシン、ニメスリド、ニトロフラントイン、非必須脂肪酸、ノルフロキサシン、ニスタチン、オフロキサシン、オキサシリン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、ペニシリン、ペントバルビタル、ペルフロキサシン、フェノバルビタル、フェニトイン、ピオグリタゾン、ピロキシカム、プラミペキソール、プランルカスト、プラバスタチン、プロベネシド、プロブコール、プロポフォール、ピロピルチオウラシル、キナプリル、ラベプラゾール、レパグリニド、リファンピン、リファペンチン、スパルフロキサシン、スルファベンズアミド、スルファセトアミド、スルファジアジン、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファメトキサゾール、スルファフラゾール、スルファピリジン、スルファサラジン、スリンダク、スルファサラジン、スルチアム、テルミサルタン、テニポシド、テルブタリン、テトラヒドロカンナビノール、チロフィバン、トラザミド、トルブタミド、トルカポン、トルメチン、トレチノイン、トログリタゾン、トロバフロキサシン、ウンデセン酸、ウルソデオキシコール酸、バルプロ酸、バルサルタン、バンコマイシン、ベルテポルフィン、ビガバトリン、ビタミンK−S(II)及びザフィルルカスト。追加的な治療薬としては、アバカビル、アセブトロール、アクリバスチン、アラトロフロキサシン、アルブテロール、アルベンダゾール、アルフェンタニル、アルプラゾラム、アルプレノロール、アマンタジン、アミロリド、アミノグルテチミド、アミオダロン、アミトリプチリン、アムロジピン、アモジアキン、アモキサピン、アンフェタミン、アンフォテリシン、アンプレナビル、アムリノン、アムサクリン、アポモルフィン、アステミゾール、アテノロール、アトロピン、アザチオプリン、アゼラスチン、アジスロマイシン、バクロフェン、ベンタミン、ベニジピン、ベンズヘキソール、ベンズニダゾール、ベンズトロピン、ビペリデン、ビサコジル、ビサンスレン、ブロマゼパン、ブロモクリプチン、ブロムペリドール、ブロムフェニラミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブテナフィン、ブトコナゾール、カムベンダゾール、カムプトセシン、カルビノキサミン、セファドリン、セファレキシン、セトリジン、キナリジン、クロラムブシル、クロルフェニラミン、クロルプログアニル、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロロキン、シメチジン、シプロフロキサシン、シサプリド、シタロプラム、クラリスロマイシン、クレマスチン、クレミゾール、クレンブテロール、クロファジミン、クロミフェン、クロナゼパム、クロピドグレル、クロザピン、クロチアゼパム、クロトリマゾール、コデイン、シクリジン、シプロヘプタジン、ダカルバジン、ダロジピン、デコキネート、デラビルジン、デメクロ−シクリン、デキサムフェタミン、デキサクロルフェニラミン、デキサフェンフルラミン、ジアモルヒネ、ジアゼパン、ジエチルプロピオン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジルチアゼム、ジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、ジフェノキシレート、ジフェニル−イミダゾール、ジフェニルピラリン、ジピリダモール、ジリスロマイシン、ジソピラミド、ドラセトロン、ドムペリドン、ドネペジル、ドキサゾシン、ドキシシクリン、ドロペリドール、エコナゾール、エファビレンズ、エリプチシン、エナラプリル、エノキサシン、エンロフロキサシン、エペリソン、エフェドリン、エルゴタミン、エリスロマイシン、エタンブトール、エチオナミド、エトプロパジン、エトペリドン、ファモチジン、フェロジピン、フェンベンダゾール、フェンフルラミン、フェノルドパム、フェンタニル、フェキソフェナジン、フレカイニド、フルシトシン、フルナリジン、フルニトラゼパム、フルオプロマジン、フルオキセチン、フルフェンチキソール、フルフェンチキソールデカノエート、フルフェナジン、フルフェナジンデカノエート、フルラゼパム、フルリスロマイシン、フロバトリプタン、ガバペンチン、グラニセトロン、グレパフロキサシン、グアナベンズ、ハロファントリン、ハロペリドール、ヒオスチアミン、イミペネム、インジナビル、イリノテカン、イソキサゾール、イスラジピン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトチフェン、ラベタロール、ラミブジン、ラノスプラゾール、レフルノミド、レボフロキサシン、リシノプリシル、ロメフロキサシン、ロペラミド、ロラタジン、ロラゼパム、ロルメタゼパム、リスライド、メパクリン、マプロチリン、マジンドール、メベンダゾール、メクリジン、メダゼパム、メフロクイン、メロニカム、メプタジノール、メルカプトプリン、メサラミン、メソリダジン、メトホルミン、メタドン、メタカロン、メチルフェニデート、メチルフェノバルビタル、メチセルギド、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミアンセリン、ミコナゾール、ミダゾラム、ミグリトール、ミノキシジル、ミトマイシン、ミトキサントロン、モダフィニル、モリンドン、モンテルカスト、モルフィン、モキシフロキサシン、ナドロール、ナルブフィン、ナラトリプタン、ナタマイシン、ネファゾドン、ネルフィナビル、ネビラピン、ニカルジピン、ニコチン、ニフェジピン、ニモジピン、ニモラゾール、ニソルジピン、ニトラゼパム、ニトロフラゾン、ニザチジン、ノルフロキサシン、ノルトリプチリン、ニスタチン、オフロキサシン、オランザピン、オメプラゾール、オンダンセトロン、オミダゾール、オキサムニキン、オキサンテル、オキサトミド、オキサゼパム、オクスフェンダゾール、オキシコナゾール、オクスプレノロール、オキシブチニン、オキシフェンシクリミン、パロキセチン、ペンタゾシン、ペントキシフィリン、ペルクロルペラジン、ペルフロキサシン、ペルフェナジン、フェンベンザミン、フェニラミン、フェノキシベンズアミン、フェンテルミン、フィゾスチグミン、ピモジド、ピンドロール、ピゾチフェン、プラミペキソール、プランルカスト、プラジクアンテル、プラゾシン、プロカルバジン、プロクロルペラジン、プログアニル、プロプラノロール、偽エフェドリン、ピランテル、ピリメタミン、クエチアピン、キニジン、キニン、ラロキシフェン、ラニチジン、レミフェンタニル、レパグリニド、レセルピン、リコベンダゾール、リファブチン、リファムピン、リファペンチン、リマンタジン、リスペリドン、リトナビル、リザトリプタン、ロピニロール、ロシグリタゾン、ロキサチジン、ロキシスロマイシン、サルブタモール、サクイナビル、セレギリン、セルトラリン、シブトラミン、シルデナフィル、スパルフロキサシン、スピラマイシン、スタブジン、スフェンタニル、スルコナゾール、スルファサラジン、スルピリド、スマトリプタン、タクリン、タモキシフェン、タムスロシン、テマゼパム、テラゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルコナゾール、テルフェナジン、テトラミゾール、チアベンダゾール、チオグアニン、チオリダジン、チアギャビン、チクロピジン、チモロール、チニダゾール、チオコナゾール、チロフィバン、チザニジン、トルテロジン、トポテカン、トレミフェン、トラマドール、トラゾドン、トリアムテレン、トリアゾラム、トリフルオペラジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トロメタミン、トロピカミド、トロバフロキサシン、バンコマイシン、ベンラファクシン、ビガバトリン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK7、ザフィルルカスト、ゾルミトリプタン、ゾルピデム及びゾピクロンが挙げられる。勿論、上述の治療薬のいずれかを、上述したように被覆組成物(被覆用組成物:coating composition)に含めても良く、或いは、被覆組成物に関して上述した治療薬のいずれかをコア材料に含めても良い。
【0032】
コア材料は、持続的時間に亘って供給される治療薬を供給するために設計可能である。以下は、かかる治療薬の代表例である:すなわち、抗炎症薬、解熱薬、鎮痙薬又は鎮痛薬、例えばインドメタシン、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、コデイン、イブプロフェン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、メピリゾール、アスピリン、エテンザミド、アセトアミノフェン、アミノピリン、フェナセチン、臭化ブチルスコポラミン、モルフィン、エトミドリン、ペンタゾシン、フェノプロフェンカルシウム、ナプロキセン、セレクシプ、バルデクシプ、及びトラマドール、抗リウマチ薬、例えばエトドラク、抗結核薬、例えばイソニアジド及びエタムブトールヒドロクロリド、心臓脈管薬、例えばイソソルビドジニトレート、ニトログリセリン、ニフェジピン、バルニジピンヒドロクロリド、ニカルジピンヒドロクロリド、ジピリダモール、アムリノン、インデノロールヒドロクロリド、ヒドララジンヒドロクロリド、メチルドーパ、フロセミド、スピロノラクトン、グアネチジンニトレート、レセルピン、アモスラロールヒドロクロリド、リシノプリル、メトプロロール、ピロカルピン、及びタルセチン、抗精神病薬、例えばクロルプロマジンヒドロクロリド、アミトリプチリンヒドロクロリド、ネモナプリド、ハロペリドール、モペロンヒドロクロリド、ペルフェナジン、ジアゼパム、ロラゼパム、クロロジアゼポキシド、アジナゾラム、アルプラゾラム、メチルフェニデート、マイルナシプラン、ペロキセチン、リスペリドン、及びバルプロ酸ナトリウム、制吐薬、例えばメトクロプラミド、ラモセトロンヒドロクロリド、グラニセトロンヒドロクロリド、オンダンセトロンヒドロクロリド、及びアゼセトロンヒドロクロリド、抗ヒスタミン剤、例えばクロルフェニラミンマレエート及びジフェンヒドラミンヒドロクロリド、ビタミン、例えばチアミンニトレート、トコフェロールアセテート、シコチアミン、ピリドキサルホスフェート、コバルナミド、アスコルト酸、及びニコチンアミド、抗痛風薬、例えばアロプリノール、コルヒチン、及びプロベネシド、抗パーキンソン病薬、例えばレボドーパ及びセレグリン、鎮静剤及び催眠薬、例えばアモバルビタル、ブロムラリル尿素、ミダゾラム、及びクロラールヒドレート(抱水クロラール)、抗新生物薬、例えばフルオロウラシル、カルモフル、アクラルビジンヒドロクロリド、シクロホスファミド、及びチオデパ、抗アレルギー薬、例えば偽エフェドリン及びテルフェナジン、充血除去剤、例えばフェニルプロパノールアミン及びエフェドリン、糖尿病薬、例えばアセトヘキサミド、インスリン、トルブタミド、デスモプレシン、及びグリピジド、利尿薬、例えばヒドロクロロチアジド、ポリチアジド、及びトリアムテレン、気管支拡張薬、例えばアミノピリン、ホルモテロールフマレート、及びテオフィリン、鎮咳薬、例えばコデインホスフェート、ノスカピン、ジモルファンホスフェート、及びデキストロメトルファン、抗不整脈薬、例えばキニジンニトレート、ジギトキシン、プロパフェノンヒドロクロリド、及びプロカインアミド、局所麻酔薬、例えばエチルアミノベンゾエート、リドカイン、及びジブカインヒドロクロリド、鎮痙剤、例えばフェニトイン、エトスキシミド、及びプリミドン、合成グルココルチコイド、例えばヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、及びベータメタゾン、抗潰瘍薬、例えばファモチジン、ラニチジンヒドロクロリド、シメチジン、スクラルフェート、スルピリド、テプレノン、プラウノトール、5−アミノサリチル酸、スルファサラジン、オメプラゾール、及びランソプラゾール、中枢神経系作用薬、例えばインデルオキサジン、イデベノン、チアプリドヒドロクロリド、ビフェメランヒドロクロリド、及びカルシウムホモパントセネート、抗高リポタンパク血症薬、例えばプラバスタチンナトリウム、シムバスタチン、ロバスタチン、及びアトルバスタチン、抗生物剤、例えばアンピシリンヒドロクロリド、フタリルスルファセタミド、セフォテタン、及びジョサマイシン、BPH治療薬、例えばタムスロシンヒドロクロリド、ドキサゾシンメシレート、及びテラゾシンヒドロクロリド、子宮の運動性に影響を及ぼす薬剤、例えばブラニルキャスト、ザフィルキャスト、アルブテロール、アンブロキソール、ブデソニド、及びレプロテロール、プロスタグランジンI誘導体の末梢循環向上剤、例えばベラプロストナトリウム、降圧剤、抗凝血剤、心不全の治療に用いる薬剤、糖尿病の種々の合併症を治療するために用いられる薬剤、消化性潰瘍の治療薬、皮膚潰瘍の治療薬、高脂血症を治療するために用いられる薬剤、子宮収縮抑制剤、等である。治療薬を、その遊離形で、又は薬学的に受容可能な塩として使用可能である。更に、1種の治療薬又は2種以上の治療薬の組み合わせが、コア材料に含まれていても良い。
【0033】
所定の実施の形態において、コア材料中の治療薬は、抱合エストロゲンを含んでいる。本願明細書において使用される“抱合エストロゲン(CE)”は、天然及び合成の両方の抱合エストロゲン、例えばUnited State Pharmacopeia (USP 23)に記載されている化合物、並びに当業者等により認められているような他のエストロゲンを含む。更に、“抱合エストロゲン”は、かかる化合物のエステル、例えば硫酸エステル、かかる化合物の塩、例えばナトリウム塩、そしてかかる化合物の塩のエステル、例えば硫酸エステルのナトリウム塩、並びに当該分野で公知の他の誘導体を称する。特定例の一部として、以下のものがある:すなわち、17−α及びβ−ジヒドロエキリン、エキレニン、17−α及びβ−ジヒドロエキレニン、エストロン、17−β−エストラジオール、及びこれらの硫酸ナトリウムエステルである。
【0034】
CEが通常、エストロゲンの成分の混合物、例えばエストロン及びエキリンであるにもかかわらず、コア材料は、上記の混合物を利用するか、或いは選択されたエストロゲンの成分のみ又は個々のエストロゲンの成分を含めるべく処方されて良い。このようなCEは、合成源又は天然源であっても良い。合成により製造(産出)されるエストロゲンの例としては、特に、ナトリウムエストロンスルフェート、ナトリウムエキリンスルフェート、ナトリウム17α−ジヒドロエキリンスルフェート、ナトリウム17β−ジヒドロエキリンスルフェート、ナトリウム17α−エストラジオールスルフェート、ナトリウム17β−エストラジオールスルフェート、ナトリウムエキレニンスルフェート、ナトリウム17α−ジヒドロエキレニンスルフェート、ナトリウム17β−ジヒドロエキレニンスルフェート、エストロピペート及びエチニルエストラジオールである。8,9−デヒドロエステロンのアルカリ金属塩及び8,9−デヒドロエストロンスルフェートエステルのアルカリ金属塩を用いても良く、これらは、米国特許番号第5210081号に記載され、これを参照することによって本願発明の明細書に取り込まれる。自然発生的なCEは、通常、妊馬尿から得られ、その後、これを処理し、そして安定させても良い。かかる方法の例は、米国特許番号第2565115号及び第2720483号で説明され、これらを参照することによって本願発明の明細書に取り込まれる。
【0035】
多くのCE生成物(物質)は、市販されている。これらの中で、Premarin(登録商標)(Wyeth, Madison, NJ)として知られている自然発生的なCE生成物が好ましい。合成エストロゲンから調製される他の市販のCE生成物は、Cenestin(登録商標)(Duramed Pharmaceuticals, Inc., Cincinnati, Ohio)である。コア材料に含まれる特定のCE調剤は、特定の治療効果を達成するために必要とされる調剤であっても良く、そして上述の特定の治療と、タブレットに含まれる特定のCEに応じて変更しても良い。しかしながら、一般に、タブレットに含まれるCEの量は、約0.1mg CE/調剤形〜約5.0mg CE/調剤形で変動しても良く、約0.3mg CE/調剤形〜約2mg CE/調剤形が好ましい。所定の実施の形態において、CEの調剤は、約0.3mg CE/調剤形、約0.45mg CE/調剤形、約0.625mg CE/調剤形、約0.9mg CE/調剤形、又は1.25mg CE/調剤形からである。或いは、固体調剤形の全重量に対して、乾燥重量基準にて、CE/調剤形の量は、約0.05重量%〜約1.0重量%で変化しても良く、約0.1重量%〜約0.3重量%の量が好ましい。
【0036】
従って、上述の被覆組成物の他に、更に本発明は、コア材料と、該コア材料に設けられる1種以上の被覆物と、を含む固体調剤形であって、各々の要素が上述された固体調剤形を対象としている。所定の実施の形態において、調剤形は、被覆されたタブレット(被覆タブレット)である。所定の実施の形態において、固体調剤形は、約30重量%〜約70重量%のコア材料と、約30重量%〜約70重量%の被覆物と、を含み、そして他の実施の形態において、約40重量%〜約60重量%のコア材料と、約40重量%〜約60重量%の被覆物と、を含む。更に固体調剤形は、必要により、1種以上の追加的な被覆物(塗膜:coat)を含んでいても良い。例えば、本願発明の明細書に記載されているような他の糖被覆物は、上述した被覆物の上に設けられるか、又はコアと被覆物との間に設けられる。更に固体調剤形は、カラーコート及び/又はポリッシュコートを含んでいても良い。所定の実施の形態において、カラーコートは、調剤形に対して、約0.5重量%〜約10重量%で構成され、及び/又はポリッシュコートは、調剤形に対して、約0.1重量%〜約5重量%で構成される。
【0037】
所定の実施の形態において、固体調剤形は、被覆タブレットの形であり、且つコア材料は、少なくとも1種の治療薬及び少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤を含んでいる。かかる実施の形態において、コア材料に含まれる賦形剤は、1種以上のセルロース系材料を、固体調剤形に対して約15重量%〜約50重量%;固体調剤形に対して約18重量%〜約40重量%;又は固体調剤形に対して約40重量%〜約45重量%の蓄積量で含んでいても良い。かかる実施の形態において、セルロース系材料としては、ヒプロメロース、微晶質セルロース、及びナトリウムカルボキシメチルセルロース、並びにこれらの混合物である。
【0038】
所定の実施の形態において、セルロース系材料の他に、更にコア材料は、糖の賦形剤、例えばラクトースを含んでいる。ラクトースの望ましい形は、当業者等に周知のラクトースモノヒドレートである。いくつかの実施の形態において、本発明の調剤形は、固体調剤形の全重量に対して、約4重量%〜約35重量%のラクトースモノヒドレートと、約20重量%〜約40重量%のセルロース系材料と、を含むタブレットコアを含む被覆タブレットである。他の実施の形態において、セルロース系材料は、微晶質セルロースとヒプロメロースの混合物である。滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム等を、かかる実施の形態のタブレットコア中において、通常、固体調剤形の全重量に対して、約1重量%以下の量にて利用可能である。
【0039】
本発明の調剤は、上述の任意の治療薬と共に利用され得るが、抱合エストロゲン、例えばラクトースを有する乾燥抱合エストロゲン(conjugated estrogen desiccation)を利用する被覆タブレットに特に好適である。所定の実施の形態において、固体調剤形の全重量に対して、約3重量%〜約15重量%の、ラクトースを有する乾燥抱合エストロゲン(約4.3重量%の抱合エストロゲン)が、タブレットコア中に含まれている。上記の他の実施の形態において、約4重量%〜約10重量%の、ラクトースを有する乾燥抱合エストロゲン(約4.3重量%の抱合エストロゲン)が、タブレットコア中に含まれている。所定の実施の形態において、抱合エストロゲンは、約0.1mg CE/調剤形〜約5.0mg CE/調剤形の量か、又は約0.3mg CE/調剤形〜約2mg CE/調剤形の量で存在する。所定の実施の形態において、CEの量は、約0.3mg CE/調剤形、約0.45mg CE/調剤形、約0.625mg CE/調剤形、約0.9mg CE/調剤形、又は1.25mg CE/調剤形である。或いは、上記の実施の形態において、固体調剤形の全重量に対して(乾燥重量基準にて)、CE/調剤形の量は、約0.05重量%〜約1.0重量%で存在していても良く、又は約0.1重量%〜約0.3重量%の量で存在していても良い。その後に、タブレットコアを上述の被覆組成物で、固体調剤形の全重量に対して、約30重量%〜約75重量%の量で被覆して、被覆タブレットを製造することができる。必要により用いられるカラーコート及び/又はポリッシュコートを、上述したように施しても良い。
【0040】
所定の実施の形態において、固体調剤形は、コア材料と、少なくとも1種の被覆物と、を含み、且つコア材料は、(固体調剤形の全重量に対して、乾燥重量基準にて)約0.1重量%〜約0.3重量%の抱合エストロゲン;約4重量%〜約35重量%の少なくも1種の糖、例えばラクトースモノヒドレート;約5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のバインダー、例えば微晶質セルロース;約10重量%〜約35重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース;そして約0〜約1重量%の少なくとも1種の滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムを含む。上記の所定の実施の形態において、被覆物は、約30重量%〜約60重量%、約35重量%〜約55重量%又は約35重量%〜約45重量%の量の少なくとも1種の糖、例えばスクロース;約5重量%〜約10重量%、約5.5重量%〜約9重量%、又は約5.5重量%〜約7.5重量%の量の少なくとも1種のバインダー、例えば微晶質セルロース;約3重量%〜約10重量%、約4重量%〜約5.5重量%の量の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロース;約15重量%〜約50重量%、約25重量%〜約40重量%、又は約20重量%〜約30重量%の量の少なくとも1種の水溶性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース;必要により、約3重量%以下の量の治療薬;必要により、約20重量%以下の量、又は約3重量%〜約20重量%の量の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、例えばポリメタクリレート、及び必要により、約8重量%以下の量、約2重量%〜約4重量%の量、又は約2.5重量%〜約3.5重量%の量の少なくとも1種の可塑剤を含む。上記の所定の実施の形態において、固体調剤形は、更に、カラーコート、ポリッシュコート、又はカラーコートとポリッシュコートの両方を含む。
【0041】
本発明の主たる利点の1つは、当該技術において公知の種々の方法により製造される種々のタブレットコアを、フィルムコーティング塗布(film-coating application)と屡々結びつけられる簡易な噴霧技術を利用し、本発明の被覆組成物で容易に被覆することが可能なことである。従って、他の実施の形態において、本発明は、タブレットコアを準備する工程と、上述の糖被覆組成物をタブレットコアに、例えば噴霧により施す工程と、を含む方法を対象としている。更に本発明は、かかる方法の生成物、例えば被覆タブレットコアを対象としている。しかしながら、かかる噴霧技術を利用することにより、所定の利点が得られるにもかかわらず、このような手法で組成物を施すことは決して必要とされないことに留意すべきである。薬学的な調剤形を被覆する他の方法、例えば流動床の塗布法を用いることは、当業者等に周知である。
【0042】
所定の実施の形態において、本発明の方法で利用される糖被覆組成物(sugar coating composition)は、水と、約30重量%〜約60重量%の少なくとも1種の糖;約5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のバインダー;約3重量%〜約10重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース;約15重量%〜約50重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー;必要により、約3重量%以下の量の治療薬;必要により、約20重量%以下の量の水溶性又は水分散性の第2のポリマー;そして必要により、約8重量%以下の量の少なくとも1種の可塑剤を含む固体成分と、を含む。所定の実施の形態において、第2のポリマーは、約3重量%〜約20重量%の量で存在する。所定の実施の形態において、糖被覆組成物の固体成分は、約30重量%〜約60重量%のスクロース;約5重量%〜約10重量%の微晶質セルロース;約3重量%〜約10重量%のヒドロキシプロピルセルロース;約15重量%〜約50重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;必要により、約3重量%以下の量のメドロキシプロゲステロンアセテート;必要により、約20重量%以下の量のポリメタクリレート;そして必要により、約8重量%以下の量のポリエチレングリコールを含む。他の実施の形態において、糖被覆組成物の固体成分は、約35重量%〜約55重量%のスクロース;約5.5重量%〜約9重量%の微晶質セルロース;約4重量%〜約7重量%のヒドロキシプロピルセルロース;約25重量%〜約40重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;必要により、約3重量%以下の量のメドロキシプロゲステロンアセテート;必要により、約20重量%以下の量のポリメタクリレート;そして、約2重量%〜約4重量%のポリエチレングリコールを含む。他の実施の形態において、糖被覆組成物の固体成分は、約35重量%〜約45重量%のスクロース;約5.5重量%〜約7.5重量%の微晶質セルロース;約4重量%〜約5.5重量%のヒドロキシプロピルセルロース;約20重量%〜約30重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;必要により、約3重量%以下の量のメドロキシプロゲステロンアセテート;必要により、約20重量%以下の量のポリメタクリレート;そして、約2.5重量%〜約3.5重量%のPEG400を含む。所定の実施の形態において、コア材料は、上述した通りである。
【0043】
所定の実施の形態において、従来の糖被覆法で一般的に用いられるような密封層を介在させる必要なく、糖被覆組成物をタブレットコアに直接設ける。しかしながら、必要により、密封層、例えばセラック及び当該分野で知られている他の薬剤をタブレットコアに施してから、糖被覆組成物を施しても良い。所定の実施の形態において、糖被覆組成物は、治療薬、例えば上述したようなメドロキシプロゲステロンアセテートを含み、そして最初に施される糖被覆物含有非治療薬、又は介在する密閉層を用いることなく、糖被覆組成物をタブレットコアに直接設ける。
【0044】
所定の実施の形態において、糖被覆組成物は、糖被覆物とタブレットコアの割合を3:1〜約1:3、又は約2:1〜約1:2、又は約1.25:1〜約1:1.25にて施され、これにより被覆タブレットを提供する。所定の実施の形態において、糖被覆組成物を、1分間当たり約500立方フィート〜約9000立方フィートの流速で噴霧し;更に、1分間当たり約1000立方フィート〜約5000立方フィートの流速で噴霧する。所定の実施の形態において、タブレットコアの温度は、約35℃〜約50℃であり、一方、吸気温度は、約50℃〜約80℃である。更に本発明の方法は、カラーコート及び/又はポリッシュコートを糖被覆物に噴霧する工程を含んでいても良いが、かかる工程は任意であり、そして全ての被覆工程は、単一の被覆パン(被覆用のパン:coating pan)中で行うことができる。更に、必要より、ロゴ、商標、言葉、記号等を印刷する工程を本発明の方法に含めても良い。印刷は、当業者等に周知の任意の方法で行われ得る。
【0045】
従って、本発明の方法は、タブレットコアを準備(供給)し、タブレットコアを被覆パン、例えばフィルムコーティング塗布で一般的に利用される被覆穿孔パン(perforated coating pan)、例えば側部に穿孔を有する穿孔パンに載置し、その後に連続して、タブレットコアに糖被覆組成物、カラーコート及びポリッシュコート(必要により)を噴霧する各工程を含んでいても良い。タブレットを被覆する噴霧技術は、当業者等に周知であり、例えば、Stuart C. Porter, "Coating of Pharmaceutical Dosage Forms", Remingon: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版., 46章, Alfonso R. Gennaro, ed., Philadelphia College of Pharmacy and Science, Philadelphia, PA(2000)に記載され、その全体を参照することによって本願明細書に取り込まれる。
【0046】
本発明の方法は、先行技術で知られている伝統的な糖被覆技術と比較して、より簡易であり、少ない労働集約で済み、そして操作者の専門技術に対する依存が低い。従って、糖被覆組成物に利用される成分の特有の組み合わせと施される糖被覆物の体積とに起因して、本発明の方法により製造される被覆タブレットは、高吸湿性タブレットコアを利用する場合であっても、著しく堅く、耐久性があり、そしてひび割れに耐性を示す。所定の実施の形態において、本発明の糖被覆組成物で被覆される複数のタブレットコアは、被覆タブレットコアにおいて6%未満のひび割れを含む。上記の他の実施の形態において、ひび割れの割合は、約1〜約5%であり;他の実施の形態において、1%未満である。従って、被覆物は、タブレットコアからの臭気の放出を防ぎ、そして大気中の要素がタブレットコア中の治療薬に到着し劣化させるのを防ぐ良好な障壁を提供する。従って、本願発明の明細書に記載されている被覆組成物及び被覆方法は、治療薬又は強い臭気を有する他の物質、例えばイオウ含有化合物をコア材料中で利用する固体調剤形を製造する場合に極めて好適である。
【0047】
更に、上述したように、糖被覆組成物それ自体は、タブレットコア内に存在する治療薬の他に、1種以上の治療薬を含んでいても良い。従って、治療薬の区分化によって、コアと被覆物に治療薬を分割して、これにより、薬剤間の望まない化学的な相互作用を最小限にすることができる。加えて、被覆物及びタブレットコアを、それらの成分が異なる速度で放出するように設計可能であるので、本発明を利用して、単一の調剤形において、治療薬の迅速な放出処方と持続的な放出処方の両方を提供することができる。更に、治療薬を含有する糖被覆物中において、治療用コアからの薬物拡散を制御するために従来から用いられていた制御放出剤(control release agent)を利用し、これにより糖被覆物自体おける治療薬を効果的に制御可能となることが思いがけず見出された。例えば、所定の実施の形態において、本発明の糖被覆組成物における第2のポリマーは、上述の制御放出剤として機能する。所定の実施の形態において、水溶性又は水分散性の第2のポリマーは、ポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート又はポリビニルアルコールの1種以上を含み、有効治療薬の被覆物からの放出を遅らせるために機能するであろう。所定の実施の形態において、水溶性又は水分散性の第2のポリマーは、ポリメタクリレート、例えばEudragit(登録商標) NE30Dである。上述したように、本発明の被覆組成物の特徴は、所定の治療薬、例えばホルモンを供給するときに特に有用であり、その場合、例えば、被覆物に配置される第一のホルモンを迅速に放出した後に、第二のホルモンをタブレットコアからゆっくりと持続的に放出することができる。勿論、固体調剤形のこのような特性を更に利用して、タブレットコアと被覆物の両方が同一の治療薬を含む場合に、単一の治療薬の迅速な放出と持続的な放出の両方をもたらすようにしても良い。
【実施例】
【0048】
以下の実施例において、本発明を更に説明する。実施例は、例示目的であり、本発明の範囲を限定する意図で用いられるものではない。
【0049】
[実施例1]
1.25mgの抱合エストロゲン被覆タブレットの調製
【0050】
【表1】

【0051】
タブレットコア
1.ラクトースを有する乾燥ラクトースモノヒドレート、NF、C.E.、微晶質セルロース、NF、及びヒプロメロース、USP、2208(K100M Premium, CR)を高剪断混合機(high shear mixer)に添加した。プラウ(plows)のみを用いて全ての成分をブレンドした。
2.純水、USPを加えたブレンドを、プラウ(plows)とチョッパ(choppers)を用いて混合し、顆粒化した。
3.カッティングミルを用いて顆粒を一定の大きさに作製した。
4.流動床乾燥機で顆粒を乾燥した。
5.カッティングミルを用いて乾燥顆粒を一定の大きさに作製した。
6.顆粒をV. ブレンダーに移した。ブレンドした。
7.ステアリン酸マグネシウム、NFを工程♯6のV. ブレンダーに添加した。ブレンドした。
8.顆粒を、適当なサイズの楕円形工具を用いてロータリータブレットプレスにおいて、目的のタブレット重量、硬さ及び厚さまで圧縮した。
【0052】
同様の処方及び作製手順を、0.3mg、0.45mg、0.625mg及び0.9mgの濃度でCEを含有するタブレットに関して展開し、そして調製した。
【0053】
糖被覆フィラー懸濁液(A)
1.純水を適当なステンレススチール製容器に取り込んだ。
2.混合しながら、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、2910、E5、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、2910、E15、及びポリエチレングリコール400を工程♯1に添加した。
3.混合しながら、スクロースを工程♯2に添加し、そして全ての成分が溶解するまで混合した。
4.混合しながら、微晶質セルロースを工程♯3に添加した。
5.工程♯4を脱気し、混合しながら、純水を用いて理論重量とし、そして必要により、使用前に室温まで冷却した。
6.フィラーの塗布が完了するまで混合工程♯5を継続した。
【0054】
着色懸濁液(B)
1.純水を適当なステンレススチール製容器に取り込んだ。
2.混合しながら、Opadry(登録商標)II 黄色(Colorcon, West Point, PA)を工程♯1に添加した。懸濁が完了するまで撹拌を継続した。
3.工程♯2を、必要により撹拌しながら、純水を用いて理論重量にした。
4.着色塗布が完了するまで混合工程♯3を継続した。
【0055】
ポリッシュ溶液(C)
1.純水を適当なステンレススチール製容器に取り込んだ。
2.混合しながら、Opaglos(登録商標) 2 透明(Colorcon, West Point, PA)を工程♯1に添加した。溶解が完了するまで混合を継続した。
【0056】
塗布前に、溶液を脱気し、そして工程♯2により、必要により撹拌しながら、純水を用いて理論重量にした。塗布中の混合は必要ない。
【0057】
タブレット被覆(タブレットコーティング)
1.圧縮タブレットコアを被覆穿孔パンに載置した。
2.十分な糖被覆フィラー懸濁液(A)を工程♯1のタブレットコアに施して、平均タブレットコア重量の上に所望の被覆物重量増分を達成した。
3.十分な着色懸濁液(B)を工程♯2の充填タブレットに施して、平均充填タブレット重量の上に所望の被覆物重量増分を達成した。
4.十分なポリッシュ溶液(C)を工程♯3の着色タブレットに施して、平均着色タブレット重量の上に所望の被覆物重量増分を達成した。
【0058】
[実施例2]
実施例1で利用されるタブレットコア組成物は、ヒドロゲル(ヒプロメロース)型ポリマーを含み、このポリマーは、有効成分の放出を修正/制御するのに有用であった。この種のタブレットコアは、可撓性であるが、膨張する傾向にあった。従来の糖被覆物は、割れやすい傾向にあり、そして、加工条件に起因して及び/又は不適切な機械的応力にさらされる場合、チッピング、ひび割れ及び分裂する傾向にあった(Pharmaceutical Coating Technology, Cole E, Hogan J., Aulton M., 1995, 62頁, 第3.5項)。本実施例では、本発明の被覆組成物の、ひび割れに抗する能力を示す。
【0059】
対照実験として、実施例1に記載のタブレットコアに類似し、ヒドロゲルポリマー及び1.25mg/タブレットの水溶性エストロゲンを含むタブレットを、従来の糖被覆物で被覆した。過剰な物理的悪条件を被覆タブレットに適用した場合、非常に大多数のタブレットは、被覆物にひび割れが生じた。実施例1で利用した糖被覆懸濁液に類似する本発明の糖被覆組成物で同一のタブレットを被覆し、そして同一の被覆物重量増分を達成した場合、被覆物にひび割れは観察されなかった。これらのデータを表1に示す。従来の糖被覆物で被覆された従来のタブレットコア(非膨張)に関するデータも含まれている。更にこれらのデータは、従来の糖被覆物を用いたこれらのより安定なタブレットコアでさえ、被覆物のひび割れが観察される場合があることを示す。
【0060】
【表2】

【0061】
[実施例3]
糖被覆物の介在した0.45mg CE/1.5mg MPA被覆タブレットの調製
本実施例において、実施例1の処方及び作製方法に従って、0.45mgのCEタブレットコアを調製し、そして糖被覆物懸濁液で被覆したが、タブレットコアの重量は120mgであり、施される固体フィラー糖被覆物の合計は90mgであった。その後、メドロキシプロゲステロンアセテート(MPA)を含む有効なフィラー懸濁液を施し、その後に、以下に記載のカラーコート及びポリッシュコートを施した。或いは、有効なフィラー懸濁液を、介在の被覆工程無しに(例えば、本発明の第1の糖被覆物、例えば以下の実施例4)、タブレットコアに直接噴霧可能であった。
【0062】
【表3】

【0063】
タブレットコア及び糖被覆物フィラー懸濁液を、実質的に実施例1に記載のようにして調製した。
【0064】
有効なMPAフィラー懸濁液(D)
1.純水を適当なステンレススチール製容器に取り込んだ。
2.混合しながら、MPA粉末を添加し、均一に分散させた。
3.混合しながら、ヒプロメロース、2910、E6、ヒプロメロース、2910、E15、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール400及びスクロースを添加し;全ての成分が溶解するまで混合した。
4.懸濁液を脱気した。
5.混合しながら、微晶質セルロースを添加した。
6.混合しながら、純水を用いて、懸濁液を理論重量にし、そしてMPAフィラーの塗布が完了するまで混合を継続した。
【0065】
着色懸濁液(E)
1.純水の一部を適当なステンレススチール製容器に取り込んだ。
2.混合しながら、酸化鉄及び二酸化チタンを添加し、均一になるまでブレンドした。
3.純水の残りを適当なステンレススチール製容器に加えた。
4.混合しながら、ヒプロメロース、E3及びPEG400を添加し、溶解するまで撹拌した。
5.工程♯2の着色混合物を添加し、そして懸濁が完了するまで撹拌を継続した。
6.懸濁液を脱気し、そして純水を用いて理論重量にした。着色塗布が完了するまで混合を継続した。
【0066】
ポリッシュ溶液(F)
1.純水を適当なステンレススチール製容器に取り込んだ。
2.混合しながら、Opaglos(登録商標) 2 透明を添加した。溶解が完了するまで混合を継続した。懸濁液を脱気し、そして必要により撹拌しながら、純水を用いて理論重量にした。
【0067】
タブレット被覆
1.圧縮タブレットコアを被覆穿孔パンに載置した。
2.十分な糖被覆フィラー懸濁液(A)を工程♯1のタブレットコアに施して、平均圧縮コア重量の上に90mg(±5mg)の平均フィラー固体重量を達成した。
3.十分な有効フィラー懸濁液(D)を工程♯2のタブレットコアに施して、平均不活性(inert)充填タブレットコア重量の上に104mg(±5mg)の平均フィラー固体重量を達成した。
4.十分な着色懸濁液(E)を工程♯3の充填タブレットに施して、平均MPA充填タブレット重量の上に12mg(±2mg)の平均着色固体重量を達成した。
5.十分なポリッシュ溶液(F)を工程♯4の着色タブレットに施して、平均着色タブレット重量の上に6mg(±1mg)の平均ポリッシュ固体全体重量を達成した。
【0068】
0.45mg/1.5mgのCE/MPAタブレットの有効性は、犬の試験的なバイオアベイラビリティ研究からの実際のin vivoデータに基づいて、更に確認された。図1は、当該タブレット調剤の経口投与後における6匹のビーグル犬の血しょう中のMPAレベルを示している。かかるデータにより、この種の調剤は、再現性のある血液レベルを提供可能であり、この種の薬のための存立可能な運搬系であることが確認された。
【0069】
[実施例4]
0.45mgのCE/1.5mgのMPA被覆タブレット−Iの調製
直接施されるMPA含有被覆物
本実施例において、実施例3の作製方法に従って、0.45mgのCEタブレットコアを調製し、そして有効なフィラー被覆懸濁液で被覆したが、有効なフィラー被覆懸濁液をタブレットコアに対して直接噴霧した。すなわち、MPAを含み、一の糖被覆物を含む被覆タブレットを、介在する非有効糖被覆物又は密封層なしで、最初にタブレットコアに施した。
【0070】
【表4】

【0071】
タブレットコアを、実質的に実施例1に記載のように調製した。
【0072】
有効なMPAフィラー懸濁液(G)
1.純水を適当なステンレススチール製容器に取り込んだ。
2.混合しながら、MPA粉末を添加し、均一に分散させた。
3.混合しながら、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール400及びスクロースを添加し;全ての成分が均一に溶解するまで混合した。
4.混合しながら、微晶質セルロースを添加し、均一に分散させた。懸濁液を室温まで冷却した。
5.混合しながら、ポリアクリレート分散液30%(Eudragit(登録商標) NE 30 D)EPをステンレススチール製スクリーンによって添加した。均一に分散するまで混合した。
6.ステップ♯5の懸濁液を、必要により混合しながら、純水を用いて理論重量にした。
7.MPAフィラー塗布が完了するまで混合を継続した。
【0073】
着色懸濁液(H)
1.純水を適当なステンレススチール製容器に添加した。
2.混合しながら、酸化鉄及び二酸化チタンを添加し、均一になるまでブレンドした。
3.ヒプロメロース、2910、USP、E6及びPEG400を添加し;懸濁が完了するまで混合を継続した。
4.工程♯3の懸濁液を脱気し;そして懸濁液を、必要により混合しながら、純水を用いて理論重量にした。
5.着色塗布が完了するまで混合を継続した。
【0074】
ポリッシュ溶液(I)
1.純水を適当なステンレススチール製容器に添加した。
2.混合しながら、Opaglos(登録商標) 2 Clearを添加した。溶解が完了するまで混合を継続した。
3.塗布前に、溶液を脱気し、そして必要により混合しながら、純水を用いて理論重量にした。
【0075】
タブレット被覆
1.タブレットコアを被覆穿孔パンに載置した。
2.十分な有効フィラー懸濁液(G)を工程♯1のタブレットコアに施して、平均タブレットコア重量の上に90mg(±2mg)の平均有効フィラー固体重量を達成した。
3.45〜50℃のタブレット床温度条件下で約1時間タブレットを硬化した。
4.十分な着色懸濁液(H)を工程♯3のMPA充填タブレットに施して、平均MPA充填タブレット重量の上に5mg(±1mg)の平均着色固体重量を達成した。
5.十分なポリッシュ溶液(I)を工程♯4の着色タブレットに施して、平均着色タブレット重量の上に2mg(±1mg)の平均ポリッシュ固体全重量を達成した。
【0076】
MPAを約0.5〜10mgの量で含む有効な糖充填被覆物を有する類似の調剤を、先の実施例のいずれかに記載のようにして調製可能である。
【0077】
[実施例5]
以下の机上の実施例では、合成抱合エストロゲン物質のナトリウムエストロンスルフェート、ナトリウムエキリンスルフェート、ナトリウム17α−ジヒドロエキリンスルフェート、ナトリウム17β−ジヒドロエキリンスルフェート、ナトリウム17α−エストラジオールスルフェート、ナトリウム17β−エストラジオールスルフェート、ナトリウムエキレニンスルフェート、ナトリウム17α−ジヒドロエキレニンスルフェート、ナトリウム17β−ジヒドロエキレニンスルフェートのブレンドを含む本発明の被覆タブレット製造法について記載する。当業者等に広く知られている手順を利用して、抱合エストロゲン物質を、一般的に用いられる賦形剤と混合し、そして圧縮して、例えば0.3mg、0.45mg、0.625mg、0.9mg、及び1,25mgのCEを含む種々の濃度のタブレットコアを形成する。その後、タブレットコアを、先の実施例のいずれかに記載のようにして被覆しても良い。
【0078】
[実施例6]
0.45mg/タブレット CE/1.50mg/タブレット MPA製剤の溶解調査
有効なフィラー糖被覆物及びタブレットコアは、それらの成分を異なる速度で放出するように設計され得るという理由から、本発明を利用して、単一の調剤形において、治療薬の迅速な放出処方と持続的な放出処方の両方をもたらすようにしても良い。被覆物からの放出時間は、例えば、コアに施される有効な全固体、施される有効なフィラー糖被覆物の厚さ、そして放出制御剤の存在により影響を及ぼされ得る。本実施例では、0.45mg/タブレット CE/1.50mg/タブレット MPAの3種類の調剤のMPA溶解プロファイルを測定した。製剤は、先の実施例に記載のようにして調製された。3種類全ての製剤は、CEタブレットコアに直接施されたMPAフィラー糖被覆物を有していた。一の調剤のMPAフィラー糖被覆物は、更に、上述したような第2のポリマー、すなわちポリメタクリレート(15%のEudragit(登録商標) NE30D)を含んでおり、そして施されたMPA糖被覆物の全固体は、例えば実施例4の固体のように90mgであった。他の2種類の調剤のMPA糖被覆物は、それぞれ実施例3及び11の有効な糖フィラー懸濁液(D)及び(S)と同じ組成であった。すなわち、一の水溶性ポリマーを有し、施されるMPA糖被覆物の全固体は、それぞれ90mg及び200mgであった。3種類全ての調剤を艶出し処理(ポリッシュ処理)した。
【0079】
【表5】

【0080】
データから、治療薬のタブレットコアからの放出を遅らせるために従来から使用されてきた第2のポリマーを含む被覆物は、タブレットコアに施された被覆物からの治療薬の放出を効果的に遅らせることができることが確認された。更に、データから、タブレットコアに施される有効なフィラー糖被覆物の量を多くすると、タブレットコアに同様に施される有効なフィラー糖被覆物の量を少なくしたときと比較して、治療薬の放出を効果的に遅らせることができることが確認された。
【0081】
実施例7〜10には、0.3mg、0.45mg、0.625mg、0.9mgの抱合エストロゲンをそれぞれ含む本発明の被覆タブレットの組成について示している。タブレットコア及び糖被覆物フィラー懸濁液は、実質的に先の実施例のいずれかに記載のようにして調製された。
【0082】
[実施例7]
0.3mgの抱合エストロゲン被覆タブレットの組成
【0083】
【表6】

【0084】
[実施例8]
0.45mgの抱合エストロゲン被覆タブレットの組成
【0085】
【表7】

【0086】
[実施例9]
0.625mgの抱合エストロゲン被覆タブレットの組成
【0087】
【表8】

【0088】
[実施例10]
0.9mgの抱合エストロゲン被覆タブレットの組成
【0089】
【表9】

【0090】
実施例11には、0.45mgの抱合エストロゲン及び1.50mgのMPAを含む本発明の被覆タブレットの組成について示している。
【0091】
[実施例11]
0.45mgのCE/1.5mgのMPA被覆タブレット−IIの組成
直接施されるMPA含有被覆物
【0092】
【表10】

【0093】
本願明細書に引用又は記載された文献を含む各々の特許、特許出願及び公報の開示内容は、これらの全てを参照することにより本願発明に取り込まれる。本願は、2004年7月7日に出願された米国仮出願第60/577668号に対して優先権を主張しており、その全体を参照することにより本願発明に取り込まれる。
【0094】
本願発明の明細書に記載されているものに加えて、本発明の種々の変更は、上記の記載から当業者等に明らかであろう。かかる変更は、添付の請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】実施例3に記載のタブレット調剤の経口投与後の6匹のビーグル犬のプラズマMPAレベルを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
約30重量%〜約60重量%の少なくとも1種の糖、
約5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のバインダー、
約3重量%〜約10重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約15重量%〜約50重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約3重量%以下の量の治療薬、
必要により、約20重量%以下の量の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、
必要により、約8重量%以下の量の少なくとも1種の可塑剤を含む固体成分と、
を含む組成物。
【請求項2】
水性懸濁液の状態である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
約75重量%〜約85重量%の水と、
約15重量%〜約25重量%の固体成分と、
を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
バインダーが微晶質セルロースを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアゴム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストリン、アルギン酸、ゼラチン、ガーゴム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリジン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、又はエチルアクリレート−メタクリレート酸共重合体を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、又はメチルセルロースを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
可塑剤がプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコールポリマー、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、トリアセチン、グリセリルトリアセテート、アセチルトリエチルシトレート、又はトリエチルシトレートを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
糖がスクロース、ブドウ糖、マルトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ラクトース、トレハロース、ラクツロース、レブロース、ラフィノース、リボース、キシロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、又はポリアルジトールを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
糖がスクロースを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
糖がスクロースを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含み、
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、
治療薬が存在する場合には、該治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含み、
第2のポリマーが存在する場合には、該第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含み、そして
可塑剤が存在する場合には、該可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
固体成分が、
約35重量%〜約55重量%の少なくとも1種の糖、
約5.5重量%〜約9重量%の少なくとも1種のバインダー、
約4重量%〜約7重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約25重量%〜約40重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約0.001重量%〜約3重量%の治療薬、
必要により、約3重量%〜約20重量%の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、及び
約2重量%〜約4重量%の少なくとも1種の可塑剤、
を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
糖がスクロースを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含み、
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、
治療薬が存在する場合には、該治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含み、
第2のポリマーが存在する場合には、該第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含み、そして
可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
固体成分が、
約35重量%〜約45重量%の少なくとも1種の糖、
約5.5重量%〜約7.5重量%の少なくとも1種のバインダー、
約4重量%〜約5.5重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約20重量%〜約30重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約0.001重量%〜約3重量%の治療薬、
必要により、約3重量%〜約20重量%の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、及び
約2.5重量%〜約3.5重量%の少なくとも1種の可塑剤、
を含む請求項1〜13のいずれか1項の組成物。
【請求項18】
糖がスクロースを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含み、
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、
治療薬が存在する場合には、該治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含み、
第2のポリマーが存在する場合には、該第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含み、そして
可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
組成物が治療薬を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
メドロキシプロゲステロンアセテートが約0.5mg〜約10mgの量である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
組成物が水溶性又は水分散性の第2のポリマーを含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
第2のポリマーがポリメタクリレートを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
ポリメタクリレートが中性のメタクリル酸エステルを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
中性のメタクリル酸エステルがトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドを、第4級アンモニウム基と中性エステル基のモル比1:20にて含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
中性のメタクリル酸エステルがトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドを、第4級アンモニウム基と中性エステル基のモル比1:40にて含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
中性のメタクリル酸エステルが官能基を有していない、請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
第2のポリマーが、固体成分に対して、約3重量%〜約20重量%の量である、請求項22〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
噴霧による塗布に好適である、請求項1〜29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
コア材料と、該コア材料に設けられる少なくとも1種の被覆物と、を含む固体調剤形であって、
被覆物が、
約30重量%〜約60重量%の少なくとも1種の糖、
約5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のバインダー、
約3重量%〜約10重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約15重量%〜約50重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約3重量%以下の量の治療薬、
必要により、約20重量%以下の量の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、及び
必要により、約8重量%以下の量の少なくとも1種の可塑剤、
を含むことを特徴とする固体調剤形。
【請求項32】
被覆物中に、
糖がスクロースを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含み、
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、
治療薬が存在する場合には、該治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含み、
第2のポリマーが存在する場合には、該第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含み、そして
可塑剤が存在する場合には、該可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項31に記載の固体調剤形。
【請求項33】
被覆物が、
約35重量%〜約55重量%の少なくとも1種の糖、
約5.5重量%〜約9重量%の少なくとも1種のバインダー、
約4重量%〜約7重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約25重量%〜約40重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約0.001重量%〜約3重量%の治療薬、
必要により、約3重量%〜約20重量%の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、及び
約2重量%〜約4重量%の少なくとも1種の可塑剤、
を含む、請求項31に記載の固体調剤形。
【請求項34】
被覆物中に、
糖がスクロースを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含み、
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、
治療薬が存在する場合には、該治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含み、
第2のポリマーが存在する場合には、該第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含み、そして
可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項33に記載の固体調剤形。
【請求項35】
被覆物が、
約35重量%〜約45重量%の少なくとも1種の糖、
約5.5重量%〜約7.5重量%の少なくとも1種のバインダー、
約4重量%〜約5.5重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約20重量%〜約30重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約0.001重量%〜約3重量%の治療薬、
必要により、約3重量%〜約20重量%の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、及び
約2.5重量%〜約3.5重量%の少なくとも1種の可塑剤、
を含む、請求項31に記載の固体調剤形。
【請求項36】
被覆物中に、
糖がスクロースを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含み、
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、
治療薬が存在する場合には、該治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含み、
第2のポリマーが存在する場合には、該第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含み、そして
可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項35に記載の固体調剤形。
【請求項37】
治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含む、請求項31〜36のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項38】
被覆物における第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含む、請求項31〜37のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項39】
被覆物における第2のポリマーがポリメタクリレートを含む、請求項31〜38のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項40】
ポリメタクリレートが中性のメタクリル酸エステルを含む、請求項39に記載の固体調剤形。
【請求項41】
中性のメタクリル酸エステルがトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドを、第4級アンモニウム基と中性エステル基のモル比1:20にて含む、請求項40に記載の固体調剤形。
【請求項42】
中性のメタクリル酸エステルがトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドを、第4級アンモニウム基と中性エステル基のモル比1:40にて含む、請求項40に記載の固体調剤形。
【請求項43】
中性のメタクリル酸エステルが官能基を有していない、請求項40に記載の固体調剤形。
【請求項44】
被覆物における第2のポリマーが、約3重量%〜約20重量%の量である、請求項31〜43のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項45】
被覆されたタブレットの形である、請求項31〜44のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項46】
更に、カラーコート、ポリッシュコート、又はカラーコート及びポリッシュコートの両方を含む、請求項45に記載の固体調剤形。
【請求項47】
被覆物がコア材料に直接設けられる、請求項45又は46に記載の固体調剤形。
【請求項48】
コア材料が約30重量%〜約70重量%の調剤形を含み、そして
被覆物が約30重量%〜約70重量%の調剤形を含む、請求項31〜47のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項49】
コア材料が約40重量%〜約60重量%の調剤形を含み、そして
被覆物が約40重量%〜約60重量%の調剤形を含む、請求項31〜47のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項50】
更に、約0.5重量%〜約10重量%のカラーコートと、約0.1重量%〜約5重量%のポリッシュコートと、を含む請求項48に記載の固体調剤形。
【請求項51】
更に、約0.5重量%〜約10重量%のカラーコートと、約0.1重量%〜約5重量%のポリッシュコートと、を含む請求項49に記載の固体調剤形。
【請求項52】
コア材料が治療薬を含む、請求項31〜45のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項53】
コア材料が、更に、少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤を含む、請求項52に記載の固体調剤形。
【請求項54】
コア材料の賦形剤がセルロース系材料、糖、又はこれらの混合物を含む、請求項53に記載の固体調剤形。
【請求項55】
コア材料における賦形剤のセルロース系材料が、固体調剤形の全重量に対して、約15重量%〜約50重量%の量で存在する、請求項54に記載の固体調剤形。
【請求項56】
コア材料における賦形剤のセルロース系材料が、固体調剤形の全重量に対して、約18重量%〜約40重量%の量で存在する、請求項54に記載の固体調剤形。
【請求項57】
コア材料における賦形剤のセルロース系材料が、固体調剤形の全重量に対して、約40重量%〜約45重量%の量で存在する、請求項54に記載の固体調剤形。
【請求項58】
コア材料における賦形剤の糖がラクトース又はラクトースモノヒドレートを含む、請求項54〜57のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項59】
コア材料の薬学的に受容可能な賦形剤が、ラクトースモノヒドレートと、1種以上のヒドロキシプロピルメチルセルロース、微晶質セルロース、又はナトリウムカルボキシメチルセルロースと、の混合物を含む請求項55〜58のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項60】
コア材料の賦形剤の混合物が、固体調剤形の全重量に対して、約4重量%〜約35重量%のラクトースモノヒドレートと、約20重量%〜約40重量%のセルロース系材料と、を含む請求項59に記載の固体調剤形。
【請求項61】
コア材料の治療薬が、抱合エストロゲン又は抱合エストロゲンの組み合わせである、請求項52〜60のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項62】
抱合エストロゲンが、ラクトースを有する乾燥抱合エストロゲンとして供給される、請求項61に記載の固体調剤形。
【請求項63】
抱合エストロゲンが、ラクトースを有する乾燥抱合エストロゲンに約4.3重量%の濃度で存在する、請求項62に記載の固体製剤。
【請求項64】
抱合エストロゲンが、約0.1mg〜約5mg又は約0.3mg〜約2mgの量で存在する、請求項61〜63のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項65】
抱合エストロゲンが、固体調剤形の全重量に対して、乾燥重量基準で、約0.05重量%〜約1.0重量%又は約0.1重量%〜約0.3重量%の量にて存在する、請求項61〜64のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項66】
コア材料が、固体調剤形の全重量に対して、乾燥重量基準で、
約0.1重量%〜約0.3重量%の抱合エストロゲン、
約4重量%〜約35重量%のラクトースモノヒドレート、
約5重量%〜約10重量%の微晶質セルロース、
約10重量%〜約35重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び
約0重量%〜約1重量%の滑剤、を含む請求項61に記載の固体調剤形。
【請求項67】
被覆物が、該被覆物における固体の割合で、重量換算にて、
約35重量%〜約55重量%のスクロース、
約5.5重量%〜約9重量%の微晶質セルロース、
約4重量%〜約7重量%のヒドロキシプロピルセルロース、
約25重量%〜約40重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
必要により、約0.001重量%〜約3重量%の治療薬、
必要により、約3重量%〜約20重量%の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、及び
約2重量%〜約4重量%のポリエチレングリコール、を含む請求項66に記載の固体調剤形。
【請求項68】
コア材料と、該コア材料に設けられる少なくとも1種の被覆物と、を含む固体調剤形であって、
固体調剤形の全重量に対して、乾燥重量基準にて、
コア材料が、
約0.1重量%〜約0.3重量%の抱合エストロゲン、
約4重量%〜約35重量%の少なくとも1種の糖、
約5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のバインダー、
約10重量%〜約35重量%の水溶性ポリマー、及び
約0重量%〜約1重量%の少なくとも1種の滑剤、を含み、
被覆物が、
約30重量%〜約60重量%の少なくとも1種の糖、
約5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のバインダー、
約3重量%〜約10重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約15重量%〜約50重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約3重量%以下の量の治療薬、
必要により、約20重量%以下の量の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、及び
必要により、約8重量%以下の量の少なくとも1種の可塑剤、を含むことを特徴とする固体調剤形。
【請求項69】
コア材料中に、
糖がラクトースモノヒドレートを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、そして
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項68に記載の固体調剤形。
【請求項70】
被覆物中に、
糖がスクロースを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含み、
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、
治療薬が存在する場合には、該治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含み、
第2のポリマーが存在する場合には、該第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含み、そして
可塑剤が存在する場合には、該可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項68又は69に記載の固体調剤形。
【請求項71】
被覆物が、
約35重量%〜約55重量%の少なくとも1種の糖、
約5.5重量%〜約9重量%の少なくとも1種のバインダー、
約4重量%〜約7重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約25重量%〜約40重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約0.001重量%〜約3重量%の治療薬、
必要により、約3重量%〜約20重量%の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、及び
約2重量%〜約4重量%の少なくとも1種の可塑剤、
を含む請求項68に記載の固体調剤形。
【請求項72】
被覆物中に、
糖がスクロースを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含み、
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、
治療薬が存在する場合には、該治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含み、
第2のポリマーが存在する場合には、該第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含み、そして
可塑剤がプロピレングリコールを含む、請求項71に記載の固体調剤形。
【請求項73】
被覆物が、
約35重量%〜約45重量%の少なくとも1種の糖、
約5.5重量%〜約7.5重量%の少なくとも1種のバインダー、
約4重量%〜約5.5重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約20重量%〜約30重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約0.001重量%〜約3重量%の治療薬、
必要により、約3重量%〜約20重量%の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、及び
約2.5重量%〜約3.5重量%の少なくとも1種の可塑剤、
を含む請求項68に記載の固体調剤形。
【請求項74】
被覆物中に、
糖がスクロースを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含み、
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、
治療薬が存在する場合には、該治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含み、
第2のポリマーが存在する場合には、該第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含み、そして
可塑剤がプロピレングリコールを含む、請求項73に記載の固体調剤形。
【請求項75】
被覆物が治療薬を含有しない、請求項31〜74のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項76】
被覆物が第2のポリマーを含有しない、請求項31〜75のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項77】
被覆物が治療薬又は第2のポリマーを含有しない、請求項31〜74のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項78】
第2のポリマーがポリメタクリレートである、請求項31〜75のいずれか1項に記載の固体調剤形。
【請求項79】
更に、カラーコート、ポリッシュコート、又はカラーコート及びポリッシュコートの両方を含む、請求項68に記載の固体調剤形。
【請求項80】
約30mgの、約4.3重量%の抱合エストロゲンを含有するラクトースを有する乾燥抱合エストロゲン、約120mgのラクトースモノヒドレート、約36mgの微晶質セルロース、約54mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース及び約1mg未満の滑剤を含むタブレットコアと、
約115mgのスクロース、約18mgの微晶質セルロース、約14mgのヒドロキシプロピルセルロース、約75mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース及び約8mgのポリエチレングリコール400を含む被覆物と、
約15mgの着色剤を含むカラーコートと、及び
約10mgの艶出し剤を含むポリッシュコートと、
を含む固体調剤形。
【請求項81】
約11mgの、約4.3重量%の抱合エストロゲンを含有するラクトースを有する乾燥抱合エストロゲン、約58mgのラクトースモノヒドレート、約18mgの微晶質セルロース、約33mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース及び約1mg未満の滑剤を含むタブレットコアと、
約1.5mgのメドロキシプロゲステロンアセテート、約37mgのスクロース、約6mgの微晶質セルロース、約4.5mgのヒドロキシプロピルセルロース、約25mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース、約3mgのポリエチレングリコール400及び約47mgのポリメタクリレートを含む被覆物と、
約0.2mgの着色剤を含むカラーコートと、及び
約2mgの艶出し剤を含むポリッシュコートと、
を含む固体調剤形。
【請求項82】
タブレットコアを準備する工程と、
水及び固体成分を含む請求項1〜30のいずれか1項に記載の糖被覆組成物をタブレットコアに施して、被覆タブレットコアを供給する工程と、
を含む方法。
【請求項83】
糖被覆物の固体成分が水溶性又は水分散性の第2のポリマーを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
糖被覆物における固体成分の第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
糖被覆物における固体成分の第2のポリマーがポリメタクリレートを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
更に、カラーコート、ポリッシュコート、又はカラーコート及びポリッシュコートの両方を被覆タブレットコアに施す工程を含む、請求項82〜85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
タブレットコアが治療薬及び1種以上のセルロース系材料を含み、且つセルロース系材料がタブレットコアに対して約30重量%〜約50重量%である、請求項82〜86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
タブレットコアが、更に、タブレットコアの重量に対して、約10重量%〜約65重量%のラクトースモノヒドレートを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
タブレットコアが、タブレットコアの重量に対して、
約5重量%〜約15重量%の、約4.3重量%の抱合エストロゲンを含有するラクトースを有する乾燥抱合エストロゲン、
約10重量%〜約65重量%の少なくとも1種の糖、
約10重量%〜約20重量%の少なくとも1種のバインダー、
約15重量%〜約70重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、及び
約0〜約1重量%の少なくとも1種の滑剤、を含む請求項82に記載の方法。
【請求項90】
タブレットコア中に、
糖がラクトースモノヒドレートを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、そして
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
糖被覆組成物の固体成分が、
約35重量%〜約55重量%の少なくとも1種の糖、
約5.5重量%〜約9重量%の少なくとも1種のバインダー、
約4重量%〜約7重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約25重量%〜約40重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約0.001重量%〜約3重量%の治療薬、
必要により、約3重量%〜約20重量%の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、及び
約2重量%〜約4重量%の少なくとも1種の可塑剤、
を含む請求項89に記載の方法。
【請求項92】
糖被覆物における固体成分中に、
糖がスクロースを含み、
バインダーが微晶質セルロースを含み、
ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシプロピルセルロースを含み、
水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、
治療薬が存在する場合には、該治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含み、
第2のポリマーが存在する場合には、該第2のポリマーがポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリメタクリレート、又はポリビニルアルコールを含み、そして
可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
更に、カラーコート、ポリッシュコート、又はカラーコート及びポリッシュコートの両方を被覆タブレットコアに施す工程を含む、請求項89〜92のいずれか1項の方法。
【請求項94】
タブレットコアをパンに載置し、その後に連続して、糖被覆組成物、カラーコート及びポリッシュコートを噴霧する、請求項86又は93に記載の方法。
【請求項95】
パンが穿孔パンである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
穿孔パンには側部に穿孔が設けられている、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
糖被覆組成物を、1分間当たり約500立方フィート〜約9000立方フィートの流速で噴霧する、請求項94〜96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
糖被覆組成物を、1分間当たり約1000立方フィート〜約5000立方フィートの流速で噴霧する請求項94〜96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
タブレットコアは、約35℃〜約50℃の温度条件下で、約50℃〜約80℃の吸気温度を有する、請求項97又は98に記載の方法。
【請求項100】
糖被覆組成物が治療薬を含む、請求項82〜99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
糖被覆物の治療薬がメドロキシプロゲステロンアセテートを含む、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
タブレットコアが、更に、抱合エストロゲン又は抱合エストロゲンの組み合わせを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項103】
タブレットコアが、更に、抱合エストロゲン又は抱合エストロゲンの組み合わせを含む、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
少なくとも1種の治療薬及び少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤を含む圧縮タブレットコアを薄膜形成穿孔パンに載置する工程、
水と、
約30重量%〜約60重量%の少なくとも1種の糖、
約5重量%〜約10重量%の少なくとも1種のバインダー、
約3重量%〜約10重量%の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース、
約15重量%〜約50重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、
必要により、約3重量%以下の量の治療薬、
必要により、約20重量%以下の量の水溶性又は水分散性の第2のポリマー、
必要により、約8重量%以下の量の少なくとも1種の可塑剤を含む固体成分と、を含む糖被覆組成物をタブレットコアに噴霧する工程、
カラーコートを糖被覆物に噴霧する工程、及び
ポリッシュコートをカラーコートに噴霧する工程から本質的になる方法であって、
噴霧工程は全て単一のパンにて行われることを特徴とする方法。
【請求項105】
タブレットコアが、
約5重量%〜約15重量%の、約4.3重量%の抱合エストロゲンを含有するラクトースを有する乾燥抱合エストロゲン、
約10重量%〜約65重量%の少なくとも1種の糖、
約10重量%〜約20重量%の少なくとも1種のバインダー、
約15重量%〜約70重量%の少なくとも1種の水溶性ポリマー、及び
約0〜約1重量%の少なくとも1種の滑剤、を含む請求項104に記載の方法。
【請求項106】
糖被覆組成物が、更に、メドロキシプロゲステロンアセテートを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
請求項104〜106のいずれか1項に記載の方法により製造される被覆タブレット。
【請求項108】
請求項82〜103のいずれか1項に記載の方法により製造される被覆タブレット。
【請求項109】
糖被覆物とタブレットコアの割合が約3:1〜約1:3である、請求項107又は108に記載の被覆タブレット。
【請求項110】
糖被覆物とタブレットコアの割合が約2:1〜約1:2である、請求項107又は108に記載の被覆タブレット。
【請求項111】
糖被覆物とタブレットコアの割合が約1.25:1〜約1:1.25である、請求項107又は108に記載の被覆タブレット。
【請求項112】
糖被覆物におけるひび割れの割合が6%未満である、請求項107〜111のいずれか1項に記載の複数の被覆タブレット。
【請求項113】
糖被覆物におけるひび割れの割合が約1〜約5%である、請求項107〜111のいずれか1項に記載の複数の被覆タブレット。
【請求項114】
糖被覆物におけるひび割れの割合が1%未満である、請求項107〜111のいずれか1項に記載の複数の被覆タブレット。

【図1】
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【公表番号】特表2008−501803(P2008−501803A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527648(P2007−527648)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/019972
【国際公開番号】WO2005/120466
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】