説明

糸巻取機及び糸巻取ユニット

【課題】糸継装置を備える糸巻取機において、紡績糸の不良部分の除去及び糸継装置での糸継ぎを効率的に行うことができる構成を提供する。
【解決手段】精紡機は、紡績装置9と、巻取装置13と、糸継装置43と、糸貯留装置12と、カッタ55と、を備える。紡績装置9は、紡績糸10を供給する。巻取装置13は、紡績糸10をパッケージ45に巻き取る。糸継装置43は、糸走行方向において紡績装置9と巻取装置13との間の位置において、紡績装置9側の紡績糸10の糸端と巻取装置13側の紡績糸10の糸端とを糸継ぎする。糸貯留装置12は、糸走行方向において紡績装置9と糸継装置43との間の位置において、紡績糸10を一時的に貯留する。カッタ55は、糸走行方向において糸貯留装置12と糸継装置43の間の位置において、紡績糸10を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、供給された前記紡績糸をパッケージに巻き取る糸巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の糸巻取機は、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1の紡績機は多数の紡績ユニットを備え、それぞれの紡績ユニットは、紡績糸を供給する紡績装置と、供給された紡績糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置と、を備える。紡績装置と巻取装置との間には糸弛み取り装置が配置されており、この糸弛み取り装置は、回転する弛み取りローラの外周に紡績糸を巻き付けて一時的に貯留する構成になっている。
【0003】
紡績装置と糸弛み取り装置との間には、ヤーンクリアラと、カッタと、が配置されている。ヤーンクリアラは走行する紡績糸の太さを監視し、糸欠点を検出すると、当該糸欠点を除去するために前記カッタにより糸を切断させるように構成されている。
【0004】
特許文献1の紡績機は糸継台車を備えており、この糸継台車は、紡績装置側の糸とパッケージ側の糸とを糸継ぎする糸継装置を備えている。この構成で、ある紡績ユニットで糸切れが生じたり、ヤーンクリアラが糸欠点を検出して糸をカッタで切断したりすると、糸継台車が当該紡績ユニットまで走行して停止し、糸継装置による糸継作業を行う。糸継作業が完了すると、紡績ユニットでの紡績作業が再開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−77576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように糸継装置を備える糸巻取機においては、当該糸継装置によって糸継ぎされた部分の紡績糸の品質を評価したいというニーズがある。糸継ぎの不良を検出できれば、その不良部分を除去した上で糸継作業を自動的にやり直すことで、より良い品質のパッケージを効率的に製造できる点で有利である。
【0007】
この点、特許文献1の構成は、糸走行方向において糸継装置の上流側には糸弛み取り装置が配置され、更にその上流側にカッタが配置されたレイアウトとなっている。従って、仮に糸継装置による糸継箇所が不良だったと検出できた場合でも、当該不良部分を除去するには、上記のカッタで紡績糸を切断し、更に、糸弛み取り装置に貯留されている紡績糸をパッケージ側にいったん全部巻き取った上で、パッケージを逆転させて糸継ぎの不良部分を引き出し、当該不良部分を除去しながら糸継装置で糸継ぎする必要がある。
【0008】
糸弛み取り装置には相当な長さの紡績糸が貯留される場合があり、これを全部パッケージに巻き取って、改めて不良部分まで引き出すのには長い時間を要することになる。従って、糸継作業の効率を向上させるために、更なる改善が必要である。
【0009】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、糸継装置を備える糸巻取機において、紡績糸の不良部分の除去及び糸継装置での糸継ぎを効率的に行うことができる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0011】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の糸巻取機が提供される。即ち、この糸巻取機は、給糸装置と、巻取装置と、糸継装置と、糸貯留装置と、第1切断装置と、を備える。前記給糸装置は、紡績糸を供給する。前記巻取装置は、前記紡績糸をパッケージに巻き取る。前記糸継装置は、糸走行方向において前記給糸装置と前記巻取装置との間の位置において、前記給糸装置側の紡績糸の糸端と前記巻取装置側の紡績糸の糸端とを糸継ぎする。前記糸貯留装置は、前記糸走行方向において前記給糸装置と前記糸継装置との間の位置において、前記紡績糸を一時的に貯留する。前記第1切断装置は、前記糸走行方向において前記糸貯留装置と前記糸継装置との間の位置において、前記紡績糸を切断する。
【0012】
これにより、紡績糸を第1切断装置で切断した場合に、巻取装置により巻き取られる紡績糸を短くすることができる。従って、糸継装置による糸継作業のためにパッケージから引き出す必要がある紡績糸の長さも短くできるので、糸継作業の効率化を実現することができる。
【0013】
前記の糸巻取機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸巻取機は、糸走行方向において前記糸継装置の直下流側の位置で、前記糸継装置により糸継ぎされた紡績糸を監視して異常を検出するモニタ装置を備える。前記モニタ装置が紡績糸の異常を検出した場合、前記第1切断装置が前記紡績糸を切断する。
【0014】
これにより、糸継装置による糸継不良をモニタ装置で早期に検出できるので、直ちに紡績糸を第1切断装置で切断して、糸継装置による糸継作業をやり直すことができる。この結果、パッケージの巻取効率を向上させることができる。
【0015】
前記の糸巻取機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸巻取機は、第2切断装置と、除去装置と、を更に備える。前記第2切断装置は、前記給糸装置から前記糸貯留装置に供給される前記紡績糸を切断する。前記除去装置は、前記糸貯留装置に貯留された前記紡績糸を除去する。
【0016】
これにより、糸貯留装置の下流側の紡績糸を第1切断装置で切断するとともに、上流側の紡績糸を第2切断装置により切断することができる。従って、糸貯留装置に貯留されている紡績糸を除去装置で簡単に除去することができる。
【0017】
前記の糸巻取機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記糸貯留装置は、外周面に紡績糸を巻き付けることにより前記紡績糸を貯留する貯留ローラを備える。前記除去装置は、吸引部と、駆動部と、を備える。前記吸引部は、前記糸貯留装置の近傍に配置され、前記糸貯留装置に貯留された前記紡績糸を吸引する。前記駆動部は、前記吸引部による前記紡績糸の吸引を補助する方向に前記糸貯留装置を駆動する。
【0018】
これにより、糸貯留装置に貯留された紡績糸を、吸引部に対して積極的に供給して吸わせることで短時間で確実に除去することができる。
【0019】
前記の糸巻取機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸巻取機は、前記糸貯留装置からの前記紡績糸の除去の完了を検出する検出部を備える。前記検出部が前記紡績糸の除去の完了を検出した場合に、前記糸継装置が前記紡績糸の糸継ぎを行う。
【0020】
これにより、糸継装置が糸継動作を行うときに、糸貯留装置に貯留されていた不要な紡績糸が混入しないようにすることができる。従って、糸継作業の失敗やパッケージの品質低下を防止することができる。
【0021】
前記の糸巻取機においては、前記給糸装置は、繊維束を空気流にて紡績して紡績糸を生成する紡績装置であることが好ましい。
【0022】
即ち、給糸装置として空気式の紡績装置が用いられ、当該紡績装置において高速で連続的に生成される紡績糸が下流側の糸貯留装置で貯留される構成では、糸貯留装置で貯留される紡績糸の長さが相当に長くなる傾向がある。従って、このような糸巻取機において、上記のように糸貯留装置と糸継装置の間で紡績糸を切断する構成とすることがより好適である。
【0023】
前記の糸巻取機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸巻取機は、並べて配置される複数の糸巻取ユニットと、台車と、を備える。それぞれの糸巻取ユニットは、少なくとも前記給糸装置と前記巻取装置と前記糸貯留装置とを備える。前記台車は、複数の前記糸巻取ユニットに対して走行可能に設けられ、前記第1切断装置及び前記糸継装置のうち少なくとも何れかを有する。
【0024】
これにより、台車を備えた糸巻取機において、糸継装置の糸継動作を効率良く行うことができるので、パッケージの巻取効率を全体的に向上させることができる。
【0025】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の糸巻取ユニットが提供される。即ち、この糸巻取ユニットは、給糸装置と、巻取装置と、糸継装置と、糸貯留装置と、第1切断装置と、を備える。前記給糸装置は、紡績糸を供給する。前記巻取装置は、前記紡績糸をパッケージに巻き取る。前記糸継装置は、糸走行方向において前記給糸装置と前記巻取装置との間の位置に設けられ、前記給糸装置側の紡績糸の糸端と前記巻取装置側の紡績糸の糸端とを糸継ぎする。前記糸貯留装置は、前記糸走行方向において前記給糸装置と前記糸継装置との間の位置に設けられ、前記紡績糸を一時的に貯留する。前記第1切断装置は、前記糸走行方向において前記糸貯留装置と前記糸継装置との間の位置に設けられ、前記紡績糸を切断する。
【0026】
これにより、紡績糸を第1切断装置で切断した場合に、巻取装置により巻き取られる紡績糸を短くすることができる。従って、糸継装置による糸継作業のためにパッケージから引き出す必要がある糸の長さも短くできるので、糸継作業の効率化を実現することができる。
【0027】
前記の糸巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸巻取ユニットは、糸走行方向において前記糸継装置の直下流側の位置で、前記糸継装置により糸継ぎされた紡績糸を監視して異常を検出するモニタ装置を備える。前記モニタ装置が紡績糸の異常を検出した場合、前記第1切断装置が前記紡績糸を切断する。
【0028】
これにより、糸継装置による糸継不良をモニタ装置で早期に検出できるので、直ちに紡績糸を第1切断装置で切断して、糸継装置による糸継作業をやり直すことができる。この結果、パッケージの巻取効率を向上させることができる。
【0029】
前記の糸巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸巻取ユニットは、第2切断装置と、除去装置と、を更に備える。前記第2切断装置は、前記給糸装置から前記糸貯留装置に供給される前記紡績糸を切断する。前記除去装置は、前記糸貯留装置に貯留された前記紡績糸を除去する。
【0030】
これにより、糸貯留装置の下流側の紡績糸を第1切断装置で切断するとともに、上流側の紡績糸を第2切断装置により切断することができる。従って、糸貯留装置に貯留されている紡績糸を除去装置で簡単に除去することができる。
【0031】
前記の糸巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記糸貯留装置は、外周面に紡績糸を巻き付けることにより前記紡績糸を貯留する貯留ローラを備える。前記除去装置は、吸引部と、駆動部と、を備える。前記吸引部は、前記糸貯留装置の近傍に配置され、前記糸貯留装置に貯留された前記紡績糸を吸引する。前記駆動部は、前記吸引部による前記紡績糸の吸引を補助する方向に前記糸貯留装置を駆動する。
【0032】
これにより、糸貯留装置に貯留された紡績糸を、吸引部に対して積極的に供給して吸わせることで短時間で確実に除去することができる。
【0033】
前記の糸巻取ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸巻取ユニットは、前記糸貯留装置からの前記紡績糸の除去の完了を検出する検出部を備える。前記検出部が前記紡績糸の除去の完了を検出した場合に、前記糸継装置が前記紡績糸の糸継ぎを行う。
【0034】
これにより、糸継装置が糸継動作を行うときに、糸貯留装置に貯留されていた不要な紡績糸が混入しないようにすることができる。従って、糸継作業の失敗やパッケージの品質低下を防止することができる。
【0035】
前記の糸巻取ユニットにおいては、前記給糸装置は、繊維束を空気流にて紡績して紡績糸を生成する紡績装置であることが好ましい。
【0036】
即ち、給糸装置として空気式の紡績装置が用いられ、当該紡績装置において高速で連続的に生成される紡績糸が下流側の糸貯留装置で貯留される構成では、糸貯留装置で貯留される紡績糸の長さが相当に長くなる傾向がある。従って、このような糸巻取ユニットにおいて、上記のように糸貯留装置と糸継装置の間で紡績糸を切断する構成とすることがより好適である。
【0037】
本発明の第3の観点によれば、前記の糸巻取ユニットを複数備える糸巻取機が提供される。
【0038】
これにより、それぞれの糸巻取ユニットにおいて糸継装置の糸継動作を効率良く行うことができるので、糸巻取機におけるパッケージの巻取効率を全体的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る精紡機の全体的な構成を示す正面図。
【図2】紡績ユニットの側面図。
【図3】紡績装置の断面図。
【図4】紡績ユニットによる紡績糸の巻取中に糸品質測定器で糸欠点が検出され、紡績装置で紡績糸が切断された様子を示す側面図。
【図5】図4の状態から、糸継台車が当該紡績ユニットで停止し、サクションパイプ及びサクションマウスによって紡績装置側の糸端とパッケージ側の糸端を吸引して捕捉する様子を示す側面図。
【図6】図5の状態から糸継台車が紡績糸の糸端を糸継装置に案内する様子を示す側面図。
【図7】糸継装置での糸継ぎの直後、紡績糸が糸継品質モニタによって監視される様子を示す側面図。
【図8】図7の状態で糸継品質モニタが糸継不良を検出し、カッタ及び紡績装置によって紡績糸がそれぞれ切断された様子を示す側面図。
【図9】図8の状態から糸貯留ローラを逆回転させて紡績糸を解舒し、糸吸引装置によって除去させる様子を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に、本発明の一実施形態に係る精紡機(紡績機)について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る精紡機1の全体的な構成を示す正面図である。図2は、紡績ユニット2の側面図である。図3は、紡績装置9の断面図である。また、図4から図7までには、紡績ユニット2の糸品質測定器59で糸欠点が検出されて紡績装置9で紡績糸10が切断された場合に、その異常箇所が除去されて糸継装置43による糸継作業が行われ、糸継ぎが行われた箇所の品質が糸継品質モニタ47によって評価されるまでの工程が順を追って示されている。図8は、図7の状態で糸継品質モニタ47が糸継不良を検出し、カッタ55及び紡績装置9によって紡績糸10がそれぞれ切断された様子を示す側面図である。図9は、図8の状態から糸貯留ローラ14を逆回転させて紡績糸10を解舒し、糸吸引装置87によって除去させる様子を示す側面図である。
【0041】
図1に示す紡績機としての精紡機1は、並設された多数の紡績ユニット(糸巻取ユニット)2と、糸継台車(台車)3と、ブロアボックス80と、原動機ボックス5と、を備えている。
【0042】
図2に示すように、各紡績ユニット2は、上流から下流へ向かって順に配置された、ドラフト装置7と、紡績装置(給糸装置)9と、糸貯留装置12と、巻取装置13と、を主要な構成として備えている。なお、本明細書において「上流」及び「下流」とは、紡績時での繊維束及び糸の走行方向における上流及び下流を意味するものとする。各紡績ユニット2は、ドラフト装置7から送られてくる繊維束8を紡績装置9で紡績して紡績糸10を生成し、この紡績糸10を巻取装置13で巻き取ってパッケージ45を形成する。
【0043】
ドラフト装置7は、精紡機1が備えるフレーム6の上端近傍に設けられている。このドラフト装置7は、上流側から順に、バックローラ16、サードローラ17、ゴム製のエプロンベルト18を装架したミドルローラ19、及びフロントローラ20の4つのドラフトローラを備える。各ドラフトローラは、所定の回転速度で回転駆動される。また、ドラフト装置7は、各ドラフトローラに対向するように配置された対向ローラを有している。
【0044】
ドラフト装置7には、繊維束8の原料であるスライバ15が、図略のスライバケースからスライバガイドを介して供給される。ドラフト装置7は、このスライバ15を、回転するドラフトローラと、これに対向する対向ローラとの間で挟み込んで搬送することにより、所定の幅となるまで引き伸ばして(ドラフトして)繊維束8とするように構成されている。
【0045】
フロントローラ20のすぐ下流側には、紡績装置9が配置されている。ドラフト装置7でドラフトされた繊維束8は、紡績装置9に供給される。紡績装置9は、ドラフト装置7から供給された繊維束8に撚りを加えて、紡績糸10を生成する。
【0046】
本実施形態の精紡機1では、紡績装置9として、旋回気流を利用して繊維束8に撚りを与える空気式のものが採用されている。図3に示すように、紡績装置9は、ノズルブロック35と、中空ガイド軸体23と、繊維案内部22と、を主に備えている。
【0047】
ノズルブロック35と中空ガイド軸体23の間には、紡績室26が形成されている。ノズルブロック35には、紡績室26内に空気を噴出する空気噴出ノズル27が形成されている。繊維案内部22には、紡績室26内に繊維束8を導入する導入口21が形成されている。空気噴出ノズル27は、紡績室26内に空気を噴出して旋回気流を発生させることができるように構成されている。
【0048】
この構成で、ドラフト装置7から供給された繊維束8は、導入口21を有する繊維案内部22によって紡績室26内に案内される。紡績室26内において、繊維束8は、旋回気流によって中空ガイド軸体23の周囲を振り回されることにより、撚りが加えられて紡績糸10となる。撚りが加えられた紡績糸10は、中空ガイド軸体23の軸中心に形成された糸通路29を通って、下流側の糸出口(図略)から紡績装置9の外部に送出される。
【0049】
なお、前記導入口21には、その先端を紡績室26内に向けて配置された針状のガイドニードル22aが配置されている。導入口21から導入される繊維束8は、このガイドニードル22aに巻き掛かるようにして紡績室26内に案内される。これにより、紡績室26内に導入される繊維束8の状態を安定させることができる。また、このようにガイドニードル22aに巻き掛かるように繊維束8が案内されるので、紡績室26内で繊維に撚りが加えられても、繊維案内部22よりも上流側に撚りが伝播することが防止される。これにより、紡績装置9による加撚がドラフト装置7に影響を与えることを防止できる。ただし、ガイドニードル22aを省略して、繊維案内部22の下流側端部がガイドニードル22aの役割を果たすように構成しても良い。
【0050】
図2に示すように、紡績装置9の下流側には巻取装置13が配置されている。巻取装置13は、支軸73まわりに揺動可能に支持されたクレードルアーム71を備える。このクレードルアーム71は、紡績糸10を巻回するためのボビン48を回転可能に支持することができる。
【0051】
前記巻取装置13は、巻取ドラム72と、トラバース装置75と、を備えている。巻取ドラム72は、前記ボビン48やそれに紡績糸10を巻いて形成されるパッケージ45の外周面に接触して駆動できるように構成されている。トラバース装置75は、紡績糸10に係合可能なトラバースガイド76を備えている。この構成で、トラバースガイド76を図略の駆動手段によって往復動させながら巻取ドラム72を図略の電動モータによって駆動することで、巻取ドラム72に接触するパッケージ45を回転させ、紡績糸10を綾振りしつつ巻き取るようになっている。
【0052】
糸継台車3は、図1及び図2に示すように、糸継装置43と、吸引装置(サクションパイプ44及びサクションマウス46)と、糸継品質モニタ47と、カッタ55と、逆転駆動機構49と、を備えている。逆転駆動機構49は、糸継台車3から巻取装置13に対して進退可能に構成された支持アーム91と、この支持アーム91の先端に支持された逆転ローラ92と、を備える。
【0053】
糸継台車3は、ある紡績ユニット2で糸切れや糸切断が発生すると、前記レール41上を当該紡績ユニット2まで走行し、停止する。前記サクションパイプ44は、軸を中心に上下方向に回動しながら、紡績装置9から送出される糸端を吸い込みつつ捕捉して糸継装置43へ案内する。サクションマウス46は、軸を中心に上下方向に回動しながら、前記巻取装置13に支持されたパッケージ45から糸端を吸引しつつ捕捉して糸継装置43へ案内する。なお、糸切れや糸切断が発生した紡績ユニット2では、パッケージ45が巻取ドラム72とは非接触となるように、図略の駆動機構によりクレードルアーム71を回動させる。このとき、逆転駆動機構49は、支持アーム91を巻取装置13側に進出させることで、その先端の逆転ローラ92をパッケージ45の外周面に接触させ、この状態で図略のモータにより逆転ローラ92を駆動することにより、紡績糸10を解舒する方向にパッケージ45を回転させる。このときの逆転ローラ92の駆動時間は、紡績糸10に除去すべき部分がある場合には当該部分まで引き出せるように、十分な長さの紡績糸10をサクションマウス46に引き出させるように設定される。糸継装置43は、このようにして案内された糸端同士の糸継ぎを行う。
【0054】
糸継装置43のすぐ下流側には、糸継装置43で糸継ぎされた紡績糸10の品質を測定する糸継品質モニタ(モニタ装置)47が配置されている。即ち、糸継装置43が糸継作業を行ったとしても、その糸継ぎされた箇所が満足できる品質を常に有しているとは限らない。特に、本実施形態では、糸継装置43として、旋回空気流によってそれぞれの糸端を解撚した後に撚り合わせる空気式のものを採用しているため、例えば糸端の解撚の状態等によって糸継箇所の品質が影響を受けることになる。そこで、本実施形態では糸継品質モニタ47により糸継箇所の品質を検出し、基準に満たない場合は糸継装置43の糸継作業を再び行うように構成されている。
【0055】
この糸継品質モニタ47は、糸継装置43による糸継ぎが行われた箇所を含んだ紡績糸10について、その太さを図略の光学式又は静電容量式センサによって監視することができる。糸継品質モニタ47は、紡績糸10の太さなどに異常がある場合、糸継不良信号を図示しないユニットコントローラへ送信するように構成されている。
【0056】
また、糸継装置43のすぐ上流側にはカッタ55が配置されている。ユニットコントローラは、前記糸継不良信号を受信すると、糸継作業をやり直すために、直ちにカッタ55で紡績糸10を切断する。なお、糸継作業のやり直しの詳細については後述する。
【0057】
紡績装置9と巻取装置13との間には、糸貯留装置12が設けられている。糸貯留装置12は、図2に示すように、糸貯留ローラ(貯留ローラ)14と、当該糸貯留ローラ14を回転駆動する電動モータ(駆動部)25と、を備えている。
【0058】
糸貯留ローラ14は、その外周面に一定量の紡績糸10を巻き付けて一時的に貯留することができるように構成されている。糸貯留ローラ14の外周面に紡績糸10を巻き付けた状態で当該糸貯留ローラ14を所定の回転速度で回転させることにより、紡績装置9から紡績糸10を所定の速度で引き出して下流側に搬送することができる。また、糸貯留装置12は、糸貯留ローラ14の外周に紡績糸10を一時的に貯留するように構成されていることから、紡績装置9と巻取装置13との間で一種のバッファとして機能する。これにより、紡績装置9における紡績速度と、巻取装置13における巻取速度と、が何らかの理由により一致しない場合の不具合(例えば紡績糸10の弛みなど)を解消することができる。
【0059】
なお、電動モータ25は、通常は紡績糸10が巻き付く方向に糸貯留ローラ14を回転させるが、それと反対の方向、即ち糸貯留ローラ14から紡績糸10を解舒させる方向に回転させることもできるようになっている。
【0060】
前記糸貯留装置12は、前記糸貯留ローラ14と対向するように配置された、糸検知センサ(検出部)86及び糸吸引装置(吸引部)87を備えている。
【0061】
糸検知センサ86は非接触型の光学式センサであり、上記のユニットコントローラに電気的に接続されている。糸検知センサ86は、糸貯留ローラ14の外周面に紡績糸10が巻き付けられているか否かを検出し、その検出信号をユニットコントローラに送信する。
【0062】
糸吸引装置87は、ブロアボックス80が備える図略のブロアに接続された吸引パイプを備えた構成となっており、この吸引パイプの開口部が糸貯留ローラ14の外周面の近傍に位置している。吸引パイプの開口部は、糸貯留ローラ14の上流側端部の近傍に臨むように配置されている。この糸吸引装置87は、吸引パイプの開口部に吸引流を発生させることで、紡績糸10を吸い込んで除去することができる。この糸吸引装置87は、糸貯留ローラ14から紡績糸10を解舒させる方向に駆動可能な前記電動モータ25とともに、糸貯留装置12に貯留された紡績糸10を除去する糸除去装置(除去装置)88を構成する。
【0063】
紡績装置9と糸貯留装置12との間の位置には、糸品質測定器59が設けられている。紡績装置9で紡出された紡績糸10は、糸貯留装置12で巻き取られる前に前記糸品質測定器59を通過するようになっている。
【0064】
糸品質測定器59は、前述した糸継品質モニタ47とほぼ同様の構成であって、走行する紡績糸10の太さを図略の光学式又は静電容量式センサによって監視するように構成されている。糸品質測定器59は、紡績糸10の糸欠点(紡績糸10の太さなどに異常がある箇所)を検出した場合に、糸欠点検出信号を図示しないユニットコントローラへ送信するように構成されている。なお、糸品質測定器59は、糸欠点として、紡績糸10に含まれる異物の有無を検出するように構成されていても良い。
【0065】
前記ユニットコントローラは、糸品質測定器59の検出結果に基づき紡績糸10の異常を検出すると、空気噴出ノズル27からの空気の噴出を停止する。これにより、紡績装置9における紡績糸10の紡績が停止するので、紡績装置9の位置において紡績糸10の強度が低下し、当該紡績糸10が引きちぎられるようにして切断される。このように、紡績装置9が備える空気噴出ノズル27は、繊維束8に撚りを掛けて紡績糸10を生成する役割を有する一方で、紡績糸10を切断する役割をも有している。また、ユニットコントローラは、ドラフト装置7によるドラフトも停止させる。
【0066】
切断された箇所よりも下流側の紡績糸10は、糸貯留装置12を経由して、パッケージ45にいったん巻き取られる。図4には、切断されてパッケージ45に巻き付けられつつある紡績糸10が示されている。なお、このときパッケージ45に巻き取られた紡績糸10には、糸品質測定器59で検出された異常箇所が含まれている。
【0067】
更に、ユニットコントローラは、巻取装置13における巻取りを停止させる。具体的には、クレードルアーム71が図略のシリンダによって図4のように傾けられることにより、常時回転している巻取ドラム72からパッケージ45が離れる。また、巻取装置13に備えられた図示しないブレーキ機構が作動する。これにより、パッケージ45はある程度慣性回転した後、その回転を完全に停止させる。
【0068】
続いてユニットコントローラは糸継台車3に制御信号を送り、紡績糸10の異常が検出された紡績ユニット2の前まで走行させる。これにより、糸継装置43は、当該紡績ユニット2において、糸走行方向で紡績装置9と巻取装置13との間に位置する。また、この状態で糸貯留装置12は、糸走行方向で紡績装置9と糸継装置43の間に位置する。更に、カッタ55は、糸走行方向で糸貯留装置12と糸継装置43の間に位置する。
【0069】
糸継台車3が目的の紡績ユニット2で停止すると、ユニットコントローラは、停止していたドラフト装置7を再び動作させるとともに、紡績装置9による紡績を再開させる。また、ユニットコントローラが糸継台車3に制御信号を送ることにより、糸継台車3は図5に示すように、サクションパイプ44及びサクションマウス46をそれぞれ回転させ、紡績装置9側の糸端とパッケージ45側の糸端を吸引して捕捉する。
【0070】
またこのとき、糸継台車3は、逆転駆動機構49の支持アーム91を巻取装置13側に進出させて逆転ローラ92をパッケージ45に接触させ、この状態で逆転ローラ92を駆動することで、パッケージ45を逆回転させる。これにより、パッケージ45に巻き取られていた異常箇所を含むように、十分な長さのパッケージ45側の紡績糸10がサクションマウス46によって吸引されて引き出される。
【0071】
続いて、糸継台車3は図6に示すように、サクションパイプ44及びサクションマウス46を反対方向に回転させることで、吸引捕捉した糸端を糸継装置43に案内し、この状態で当該糸継装置43において糸継ぎを行う。
【0072】
このときに、余分な紡績糸10が糸継装置43において切断されて除去されるので、これに伴って、糸品質測定器59で検出されていた異常箇所が取り除かれる。また、この糸継動作時においても上流側の紡績装置9は紡績を停止することなく継続しているが、生成された紡績糸10は糸貯留装置12に順次貯留されていくので、紡績糸10の弛みが生じることはない。
【0073】
その後、傾けられていたクレードルアーム71が元に戻されることにより、図7に示すようにパッケージ45が巻取ドラム72に接触し、パッケージ45への紡績糸10の巻取りが再開される。
【0074】
なお、この巻取りの再開直後において、紡績糸10が糸継品質モニタ47及びカッタ55を通過するように、レバー状に形成された可動のガイド部材等によって糸道が案内されている。従って、先ほどの糸継作業により形成された糸継箇所が糸継品質モニタ47を通過し、その継ぎ目の品質が測定されることになる。
【0075】
糸継品質モニタ47は、図7の状態で、走行する紡績糸10の太さを監視する。そして、紡績糸10の太さ等が基準値より大きい等、予め定めた条件を満たす場合は、糸継品質モニタ47は糸継不良信号をユニットコントローラに送信する。なお、パッケージ45への紡績糸10の巻取りがある程度進んでもユニットコントローラが糸継不良信号を受信しなかった場合は、糸継装置43が糸継ぎを良好に行えたことを意味する。従って、この場合は、ユニットコントローラは糸道の案内を解除させるように上記のガイド部材を制御し、紡績糸10が糸継品質モニタ47及びカッタ55から抜けるようにする。このようにして図2の通常状態に戻り、紡績糸10のパッケージ45への巻取りが継続される。
【0076】
次に、図7の状態で糸継品質モニタ47が糸継箇所の不良を検出し、ユニットコントローラに糸継不良信号を送信した場合について説明する。この糸継不良信号を受信したユニットコントローラは、直ちにカッタ55で紡績糸10を切断するとともに、糸品質測定器59で異常が検出された場合と同様に、空気噴出ノズル27からの空気の噴出を停止することで紡績糸10を切断し、また、ドラフト装置7を停止させる。図8には、上記の制御により2箇所で切断された紡績糸10の様子が示されている。
【0077】
その直後に、ユニットコントローラは、巻取装置13における巻取りを停止させるとともに、糸貯留装置12における糸貯留ローラ14を通常とは逆方向に回転させる。これにより、図9に示すように、糸貯留ローラ14に巻き付けられていた紡績糸10が順次解舒されるとともに、糸吸引装置87によって吸引されて除去される。この糸貯留ローラ14の逆回転は、貯留されていた全ての紡績糸10が除去され、当該糸貯留ローラ14の近傍に配置された糸検知センサ86が紡績糸10を検知しなくなるまで継続される。
【0078】
その後は、図5で説明した状況と同様に、ユニットコントローラがドラフト装置7及び紡績装置9の動作を再開させるとともに、糸継台車3がサクションパイプ44及びサクションマウス46をそれぞれ回転させ、紡績装置9側の糸端とパッケージ45側の糸端を吸引して捕捉する。また、糸継台車3は、逆転駆動機構49が有する逆転ローラ92を駆動することにより、パッケージ45を逆回転させる。
【0079】
後は、図6及び図7で説明したのと同様に、ユニットコントローラは糸継装置43に糸継動作を行わせ、形成された糸継箇所を糸継品質モニタ47で監視しながら紡績糸10の巻取りを再開する。
【0080】
以上により、糸継不良箇所の除去及び糸継作業のやり直しが完了する。なお、本実施形態では、糸継品質モニタ47で検出された糸継不良箇所はいったんパッケージ45に巻き取られることになるが、この糸継不良箇所が検出されると、紡績装置9によってだけでなく、糸継品質モニタ47のすぐ上流側のカッタ55によっても紡績糸10が切断される。従って、当該糸継不良箇所を除去するためにパッケージ45を逆回転させて紡績糸10を引き出す長さを小さくすることができる。また、その時点でパッケージ45に紡績糸10が巻き取られている量にもよるが、糸貯留ローラ14は一般的にはパッケージ45よりも相当に軽いため、2つの切断箇所の間で糸貯留装置12に貯留されていた紡績糸10は、糸貯留ローラ14の高速逆回転により素早く除去することができる。従って、糸継装置43での糸継動作に迅速に移行できるので、糸継作業のやり直しに必要な時間を効果的に短縮することができる。
【0081】
以上に説明したように、本実施形態の精紡機1は、紡績装置9と、巻取装置13と、糸継装置43と、糸貯留装置12と、カッタ55と、を備える。紡績装置9は、紡績糸10を供給する。巻取装置13は、紡績糸10をパッケージ45に巻き取る。糸継装置43は、糸走行方向において紡績装置9と巻取装置13との間の位置において、紡績装置9側の紡績糸10の糸端と巻取装置13側の紡績糸10の糸端とを糸継ぎする。糸貯留装置12は、糸走行方向において紡績装置9と糸継装置43との間の位置において、紡績糸10を一時的に貯留する。カッタ55は、糸走行方向において糸貯留装置12と糸継装置43の間の位置において、紡績糸10を切断する。
【0082】
これにより、紡績糸10をカッタ55で切断した場合に、巻取装置13により巻き取られる紡績糸10を短くすることができる。従って、糸継装置43による糸継作業のためにパッケージ45から引き出すべき糸の長さも短くできるので、糸継作業の効率化を実現することができる。
【0083】
また、本実施形態の精紡機1は、糸走行方向において糸継装置43の直下流側の位置で、糸継装置43により糸継ぎされた紡績糸10を監視して異常を検出する糸継品質モニタ47を備える。糸継品質モニタ47が紡績糸10の異常を検出した場合、カッタ55が紡績糸10を切断する。
【0084】
これにより、糸継装置43による糸継不良を糸継品質モニタ47で早期に検出できるので、直ちに紡績糸10をカッタ55で切断して、糸継装置43による糸継作業をやり直すことができる。この結果、パッケージ45の巻取効率を向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態の精紡機1は、空気噴出ノズル27と、糸除去装置88と、を更に備える。空気噴出ノズル27は、空気の噴出が停止されることにより、紡績装置9から糸貯留装置12に供給される紡績糸10を切断する。糸除去装置88は、糸貯留装置12に貯留された紡績糸10を除去する。
【0086】
これにより、糸貯留装置12の下流側の紡績糸10をカッタ55で切断するとともに、上流側の紡績糸10を空気噴出ノズル27により切断することができる。従って、糸貯留装置12に貯留されている紡績糸10を糸除去装置88で簡単に除去することができる。
【0087】
また、本実施形態の精紡機1において、糸貯留装置12は、外周面に紡績糸10を巻き付けることにより紡績糸10を貯留する糸貯留ローラ14を備える。糸除去装置88は、糸吸引装置87と、電動モータ25と、を備える。糸吸引装置87は、糸貯留装置12の近傍に配置され、糸貯留装置12に貯留された紡績糸10を吸引する。電動モータ25は、糸吸引装置87による紡績糸10の吸引を補助する方向に糸貯留装置12を駆動する。
【0088】
これにより、糸貯留装置12に貯留された紡績糸10を、糸吸引装置87に対して積極的に供給して吸わせることで短時間で確実に除去することができる。
【0089】
また、本実施形態の精紡機1は、糸貯留装置12からの紡績糸10の除去の完了を検出する糸検知センサ86を備える。糸検知センサ86が紡績糸10の除去の完了を検出した場合に、糸継装置43が紡績糸10の糸継ぎを行う。
【0090】
これにより、糸継装置43が糸継動作を行うときに、糸貯留装置12に貯留されていた不要な紡績糸10が混入しないようにすることができる。従って、糸継作業の失敗やパッケージ45の品質低下を防止することができる。
【0091】
また、本実施形態の精紡機1においては、給糸装置として、繊維束8を空気流にて紡績して紡績糸10を生成する紡績装置9が用いられている。
【0092】
即ち、給糸装置として空気式の紡績装置9が用いられ、当該紡績装置9において高速で連続的に生成される紡績糸10が下流側の糸貯留装置12で貯留される構成では、糸貯留装置12で貯留される紡績糸10の長さが相当に長くなる傾向がある。従って、このような糸巻取ユニットにおいて、上記のように糸貯留装置12と糸継装置43の間で紡績糸10を切断する構成とすることがより好適である。
【0093】
また、本実施形態の精紡機1は、複数並べて配置される紡績ユニット2と、糸継台車3と、を備える。それぞれの紡績ユニット2は、紡績装置9と、巻取装置13と、糸貯留装置12と、を備える。糸継台車3は、複数の紡績ユニット2に対して走行可能に設けられ、カッタ55及び糸継装置43を有する。
【0094】
これにより、糸継台車3を備えた精紡機1において、糸継装置43の糸継動作を効率良く行うことができるので、パッケージ45の巻取効率を全体的に向上させることができる。
【0095】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0096】
カッタ55及び糸継装置43のうち少なくとも何れかを、糸継台車3ではなく、それぞれの紡績ユニット2が備える構成に変更することができる。カッタ55及び糸継装置43の両方を紡績ユニット2側に備える場合、糸継台車3を省略することもできる。なお、それぞれの紡績ユニット2における糸切れ等の頻度が少ない場合は、上記実施形態のように糸継台車3を備えて複数の紡績ユニット2について糸継ぎを行わせるようにすると、カッタ55及び糸継装置43の個数を減らすことができ、コスト的に有利である。
【0097】
紡績装置9の空気噴出ノズル27により紡績糸10を切断することに代えて、例えば紡績装置9と糸貯留装置12の間に第2カッタを設け、この第2カッタにより紡績糸10を切断するように構成しても良い。
【0098】
紡績装置としては、上記実施形態のように一方向の旋回空気流を発生させる空気噴出ノズル27で撚りを掛ける構成に限らず、様々な紡績方法を採用することができる。例えば、互いに向きが反対の旋回空気流を発生させる一対のノズルを備え、繊維束に対して互いに反対方向の撚りを同時に掛ける構成とすることができる。
【0099】
また、糸走行方向において紡績装置9と糸貯留装置12との間の位置に、1対のローラからなる糸送り装置を配置するように変更することができる。
【0100】
糸貯留装置としては、上記の実施形態のように糸貯留ローラ14の外周面に紡績糸10を巻き付けて貯留する形式のものに限らず、種々の方式の貯留装置を採用することができる。例えば、上記の糸送り装置を配置した構成においては、内部に紡績糸を吸引することで貯留する細長いチューブ(スラックチューブ)を糸貯留装置として用いることができる。この構成では、貯留されている紡績糸は、カッタ55及び空気噴出ノズル27によって切断された直後にスラックチューブに吸い込まれて除去されるため、当該スラックチューブが糸貯留装置と除去装置の両方を兼ねることになる。
【0101】
本発明は、上記実施形態で示すような紡績機に限らず、糸継装置を備える糸巻取機に広く適用することができる。例えば、紡績糸を巻いて形成される給糸ボビンから糸を解舒してパッケージに巻き取る自動ワインダに本発明を適用することもでき、この場合は、給糸ボビンをセットする部分が給糸装置に相当することになる。
【符号の説明】
【0102】
1 精紡機(糸巻取機)
2 紡績ユニット(糸巻取ユニット)
3 糸継台車(台車)
12 糸貯留装置
13 巻取装置
14 糸貯留ローラ(貯留ローラ)
25 電動モータ(駆動部)
27 空気噴出ノズル(第2切断装置)
43 糸継装置
47 糸継品質モニタ(モニタ装置)
55 カッタ(第1切断装置)
86 糸検知センサ(検出部)
87 糸吸引装置(吸引部)
88 糸除去装置(除去装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績糸を供給する給糸装置と、
前記紡績糸をパッケージに巻き取る巻取装置と、
糸走行方向において前記給糸装置と前記巻取装置との間の位置において、前記給糸装置側の紡績糸の糸端と前記巻取装置側の紡績糸の糸端とを糸継ぎする糸継装置と、
前記糸走行方向において前記給糸装置と前記糸継装置との間の位置において、前記紡績糸を一時的に貯留する糸貯留装置と、
前記糸走行方向において前記糸貯留装置と前記糸継装置との間の位置において、前記紡績糸を切断する第1切断装置と、
を備えることを特徴とする糸巻取機。
【請求項2】
請求項1に記載の糸巻取機であって、
糸走行方向において前記糸継装置の直下流側の位置で、前記糸継装置により糸継ぎされた紡績糸を監視して異常を検出するモニタ装置を備え、
前記モニタ装置が紡績糸の異常を検出した場合、前記第1切断装置が前記紡績糸を切断することを特徴とする糸巻取機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の糸巻取機であって、
前記給糸装置から前記糸貯留装置に供給される前記紡績糸を切断する第2切断装置と、
前記糸貯留装置に貯留された前記紡績糸を除去する除去装置と、
を更に備えることを特徴とする糸巻取機。
【請求項4】
請求項3に記載の糸巻取機であって、
前記糸貯留装置は、外周面に紡績糸を巻き付けることにより前記紡績糸を貯留する貯留ローラを備え、
前記除去装置は、
前記糸貯留装置の近傍に配置され、前記糸貯留装置に貯留された前記紡績糸を吸引する吸引部と、
前記吸引部による前記紡績糸の吸引を補助する方向に前記糸貯留装置を駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする糸巻取機。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の糸巻取機であって、
前記糸貯留装置からの前記紡績糸の除去の完了を検出する検出部を備え、
前記検出部が前記紡績糸の除去の完了を検出した場合に、前記糸継装置が前記紡績糸の糸継ぎを行うことを特徴とする糸巻取機。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記給糸装置は、繊維束を空気流にて紡績して紡績糸を生成する紡績装置であることを特徴とする糸巻取機。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
それぞれが少なくとも前記給糸装置と前記巻取装置と前記糸貯留装置とを備え、並べて配置される複数の糸巻取ユニットと、
複数の前記糸巻取ユニットに対して走行可能に設けられ、前記第1切断装置及び前記糸継装置のうち少なくとも何れかを有する台車と、
を備えることを特徴とする糸巻取機。
【請求項8】
紡績糸を供給する給糸装置と、
前記紡績糸をパッケージに巻き取る巻取装置と、
糸走行方向において前記給糸装置と前記巻取装置との間の位置に設けられ、前記給糸装置側の紡績糸の糸端と前記巻取装置側の紡績糸の糸端とを糸継ぎする糸継装置と、
前記糸走行方向において前記給糸装置と前記糸継装置との間の位置に設けられ、前記紡績糸を一時的に貯留する糸貯留装置と、
前記糸走行方向において前記糸貯留装置と前記糸継装置との間の位置に設けられ、前記紡績糸を切断する第1切断装置と、
を備えることを特徴とする糸巻取ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の糸巻取ユニットであって、
糸走行方向において前記糸継装置の直下流側の位置で、前記糸継装置により糸継ぎされた紡績糸を監視して異常を検出するモニタ装置を備え、
前記モニタ装置が紡績糸の異常を検出した場合、前記第1切断装置が前記紡績糸を切断することを特徴とする糸巻取ユニット。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の糸巻取ユニットであって、
前記給糸装置から前記糸貯留装置に供給される前記紡績糸を切断する第2切断装置と、
前記糸貯留装置に貯留された前記紡績糸を除去する除去装置と、
を更に備えることを特徴とする糸巻取ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の糸巻取ユニットであって、
前記糸貯留装置は、外周面に紡績糸を巻き付けることにより前記紡績糸を貯留する貯留ローラを備え、
前記除去装置は、
前記糸貯留装置の近傍に配置され、前記糸貯留装置に貯留された前記紡績糸を吸引する吸引部と、
前記吸引部による前記紡績糸の吸引を補助する方向に前記糸貯留装置を駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする糸巻取ユニット。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の糸巻取ユニットであって、
前記糸貯留装置からの前記紡績糸の除去の完了を検出する検出部を備え、
前記検出部が前記紡績糸の除去の完了を検出した場合に、前記糸継装置が前記紡績糸の糸継ぎを行うことを特徴とする糸巻取ユニット。
【請求項13】
請求項8から12までの何れか一項に記載の糸巻取ユニットであって、
前記給糸装置は、繊維束を空気流にて紡績して紡績糸を生成する紡績装置であることを特徴とする糸巻取ユニット。
【請求項14】
請求項8から13までの何れか一項に記載の糸巻取ユニットを複数備えることを特徴とする糸巻取機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−63839(P2013−63839A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204556(P2011−204556)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】