説明

糸巻取機及び糸巻取ユニット

【課題】糸継終了時に発生する糸のたるみを解消した糸巻取機を提供する。
【解決手段】糸継装置43は、紡績装置とパッケージとの間の紡績糸10を糸継ぎする。糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)は、紡績糸10に接触することで当該紡績糸10を屈曲させる位置と、前記紡績糸10を開放した位置と、の間で移動可能である。台車制御部は、糸道規制部材を、糸継ぎの際に紡績糸10に接触させて当該紡績糸10を屈曲させるとともに、当該糸継ぎの終了後、少なくとも巻取装置における紡績糸10の巻き取りが開始するまでの間は、紡績糸10を屈曲させた状態を維持するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸巻取機が有する糸継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糸をボビンに巻き取ってパッケージを形成する糸巻取機が知られている。この種の糸巻取機には、例えば特許文献1が開示する紡績機がある。特許文献1に記載されているように、この紡績機は、繊維束に撚りを加えて紡績糸を生成する紡績装置と、紡績装置が生成した紡績糸をボビンに巻き取ってパッケージを形成する巻取装置を備えている。
【0003】
特許文献1の紡績機は、紡績装置とパッケージの間の紡績糸が分断状態となったときに、紡績装置側の糸とパッケージ側の糸を接続(糸継ぎ)する糸継台車を備えている。この糸継台車は、紡績装置側の糸とパッケージ側の糸を接続するための糸継装置を備える。また、糸継台車は、紡績装置側の糸を捕捉して糸継装置まで案内するサクションパイプと、パッケージ側の糸を捕捉して糸継装置まで案内するサクションマウスとを備えている。
【0004】
この糸継装置の詳細な構成は、例えば特許文献2等に記載されている。特許文献2が開示する糸継装置は、糸を引き寄せて糸を規制する糸寄せレバーを備えている。特許文献2の図4等に示されているように、糸継装置において糸継ぎされる糸は、前記糸寄せレバーによって規制され、屈曲した状態となる。糸継ぎが終了すると、前記糸寄せレバーが開放され、糸はフリーの状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−77576号公報
【特許文献2】特開2001−199637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、糸継作業中は糸道が屈曲している分、紡績装置とパッケージとの間の紡績糸は、通常巻取時よりも長くなっている。このため、糸継作業終了後に糸寄せレバーを開放すると、長くなっていた分の紡績糸がたるんだ状態となってしまう。その結果、糸がたるんだままで、或いは縮れた状態になってパッケージに巻き取られてしまうことがあった。
【0007】
また、このように糸がたるんでしまうと、たるんだ糸が周囲の部材に引っ掛かって問題となる場合がある。例えば特許文献1に記載の紡績機は、回転する弛み取りローラを、紡績装置と巻取装置の間に設けている。巻取再開時に糸のたるみが生じると、回転する弛み取りローラに糸が絡んでしまうおそれがある。また、特許文献1が開示する紡績機の巻取装置は、往復駆動されるトラバースガイドを備えている。巻取再開時に糸のたるみが生じると、たるんだ糸をトラバースガイドで引っ掛けて糸切れが起こってしまうおそれがある。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、糸継終了時に発生する糸のたるみを解消した糸巻取機を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の観点によれば、以下の構成の糸巻取機が提供される。即ち、この糸巻取機は、巻取部と、給糸部と、糸継装置と、糸道規制部材と、制御部と、を備える。前記巻取部は、パッケージに糸を巻き取る。前記給糸部は、前記巻取部に糸を供給する。前記糸継装置は、前記給糸部と前記パッケージとの間の糸を糸継ぎする。前記糸道規制部材は、前記糸に接触することで当該糸の糸を屈曲させる位置と、前記糸を開放した位置と、の間で移動可能である。前記制御部は、前記糸継ぎの際に、前記糸道規制部材を前記糸に接触させて当該糸を屈曲させるとともに、当該糸継ぎの終了後、少なくとも前記巻取部における前記糸の巻き取りが開始するまでの間は、前記糸道規制部材によって前記糸を屈曲させた状態を維持するように制御する。
【0011】
このように、糸道規制部材によって糸道を規制した状態で糸の巻き取りを開始させることにより、糸継ぎ終了直後に糸がたるんでしまうことを防止できる。なお、糸の巻き取りの開始とは、当該糸を巻き取る方向にパッケージの回転を開始させるときのことをいう。
【0012】
上記の糸巻取機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この糸巻取機は、前記糸継装置における糸継ぎによって形成された継ぎ目の品質を検査する継目監視装置を備える。前記制御部は、前記糸継装置による前記糸継ぎの終了後、少なくとも前記継目監視装置を前記継ぎ目が通過するまでの間は、前記糸道規制部材が前記糸を屈曲させた状態を維持するように制御する。
【0013】
これにより、糸道規制部材によって糸道を規制した状態で、継目監視装置が継ぎ目を検査することができる。即ち、継目監視装置が継ぎ目を検査するときに、糸がたるまないので、継ぎ目の検査精度を向上させることができる。
【0014】
上記の糸巻取機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この糸巻取装置は、前記糸継装置による前記糸継ぎの際に、前記糸を把持するクランプ部を更に備える。前記制御部は、前記糸継装置による前記糸継ぎの終了後、前記クランプ部が把持する前記糸を開放し、前記糸道規制部材によって前記糸を屈曲させた状態で、前記巻取部による前記糸の巻き取りを開始するように制御する。
【0015】
即ち、クランプ部が把持していた糸を開放することにより糸が走行可能となるので、糸の巻き取りを再開することができる。一方で、巻き取り開始時に、糸道規制部材による糸道の規制は継続させることにより、当該糸がたるんでしまうことを防止できる。
【0016】
上記の糸巻取機において、前記給糸部は、旋回気流によって繊維束に撚りを加えて紡績糸を生成する空気紡績装置であることが好ましい。
【0017】
即ち、空気紡績式の紡績装置は紡績糸を生成する速度が速いため、糸道の変動が紡績装置の紡績に影響を及ぼし易い。このため、糸継ぎ終了直後の紡績糸のたるみを防止することにより、生成される紡績糸の品質を向上させることができる。
【0018】
上記の糸巻取機において、前記制御部は、前記糸道規制部材を、前記糸継装置による前記糸継ぎの終了後少なくとも前記巻取部における前記糸の巻き取りが開始するまでの間は前記糸を屈曲させた状態で静止させ、その後、前記糸を開放する位置まで移動させるように制御することが好ましい。
【0019】
このように、糸道規制部材をいったん停止させておくことにより、当該糸道規制部材によって糸を屈曲させた状態を確実に維持することができるので、糸がたるんでしまうことを確実に防止することができる。
【0020】
上記の糸巻取機において、前記制御部は、前記糸道規制部が前記糸を屈曲させる位置から、当該糸を開放する位置まで移動する際に、当該糸を屈曲させた状態を維持できる速度で前記糸道規制部材を移動させるように制御することが好ましい。
【0021】
即ち、糸を開放する際に、糸道規制部材をゆっくりと移動させる。これにより、糸道規制部材によって糸道を規制させつつ、当該糸道規制部材を移動させることができるので、糸道規制部材が糸を開放する際に糸がたるんでしまうことを防止できる。
【0022】
上記の糸巻取機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この糸巻取機は、前記糸の走行方向において前記給糸部と前記巻取部との間に配置され、回転する糸貯留ローラの外周に前記糸を巻き付けて一時的に貯留する糸貯留装置を備える。前記糸継装置は、前記糸の走行方向で前記糸貯留装置と前記巻取部との間で前記糸継ぎを行う。
【0023】
即ち、本願発明の構成によれば、糸継ぎ時の糸のたるみを防止できるので、回転する糸貯留ローラに糸が絡むことを防止できる。従って、糸貯留装置による糸の貯留を適切に行うことができる。
【0024】
上記の糸巻取機は、往復運動するトラバースガイドによって前記パッケージに巻き取られる糸の綾振りを行うトラバース装置を備えることが好ましい。
【0025】
即ち、本願発明の構成によれば、糸継ぎ時の糸のたるみを防止できるので、往復運動するトラバースガイドにたるんだ糸が引っ掛かって糸切れが発生することを防止できる。従って、トラバース装置による糸の綾振りを適切に行うことができる。
【0026】
上記の糸巻取機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この糸巻取機は、複数の糸巻取ユニットと、糸継台車と、を備える。前記糸巻取ユニットは、前記給糸部及び前記巻取部を備える。前記糸継台車は、前記糸継装置を備え、前記複数の糸巻取ユニット間を走行可能であるとともに、前記糸が分断状態となった糸巻取ユニットの近傍に停止して、当該糸巻取ユニットに対して前記糸継装置による糸継ぎを行う。
【0027】
このように、糸継装置を搭載して走行する糸継台車を設けたことにより、糸継装置を糸巻取ユニットそれぞれに設ける構成と比べて、糸巻取機全体の構成を簡素化して、コストダウンを図ることができる。
【0028】
本発明の別の観点によれば、以下の構成の糸巻取ユニットが提供される。即ち、この糸巻取ユニットは、巻取部と、給糸部と、糸道規制部材と、制御部と、を備える。前記巻取部は、パッケージに糸を巻き取る。前記給糸部は、前記巻取部に糸を供給する。前記糸継装置は、前記給糸部と前記パッケージとの間の糸を糸継ぎする。前記糸道規制部材は、前記糸に接触することで当該糸の糸を屈曲させる位置と、前記糸を開放した位置と、の間で移動可能である。前記制御部は、前記糸継ぎの際に、前記糸道規制部材を前記糸に接触させて当該糸を屈曲させるとともに、当該糸継ぎの終了後、少なくとも前記巻取部における前記糸の巻き取りが開始するまでの間は、前記糸道規制部材によって前記糸を屈曲させた状態を維持するように制御する。
【0029】
このように、糸道規制部材によって糸道を規制した状態で糸の巻き取りを再開させることにより、糸継終了直後に糸がたるんでしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る精紡機の全体的な構成を示す正面図。
【図2】紡績ユニット及び糸継台車の側面図。
【図3】紡績装置の断面図。
【図4】紡績ユニットで糸切れが発生した様子を示す側面図。
【図5】糸継台車の糸捕捉部で紡績糸を吸引捕捉する様子を示す側面図。
【図6】糸継台車の糸捕捉部で紡績糸を案内した様子を示す側面図。
【図7】糸継装置を糸継位置まで進出させた様子を示す側面図。
【図8】クランプ部によって糸が把持されたときの糸継装置の側面断面図。
【図9】糸端が解撚される様子を示す糸継装置の側面断面図。
【図10】糸端同士が撚り合わされる様子を示す糸継装置の側面断面図。
【図11】糸継ぎの終了後、紡績糸の巻き取りを再開した直後の様子を示す側面図。
【図12】継目モニタを継ぎ目が通過する様子を示す糸継装置の側面断面図。
【図13】糸道規制部材によって糸道を規制しなかったときに糸にたるみが発生する様子を示す糸継装置の側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の一実施形態に係る糸巻取機としての精紡機について、図面を参照して説明する。図1に示す精紡機(紡績機)1は、並設された多数の紡績ユニット(糸巻取ユニット)2と、糸継台車3と、ブロアボックス80と、原動機ボックス5と、を備えている。
【0032】
ブロアボックス80内には、各紡績ユニット2に負圧を供給するための負圧源などが配置されている。また、原動機ボックス5内には、各紡績ユニット2に共通の駆動源が配置されている。
【0033】
図2に示すように、各紡績ユニット2は、上流から下流へ向かって順に配置された、ドラフト装置7と、紡績装置(給糸部)9と、糸貯留装置12と、巻取装置(巻取部)13と、を主要な構成として備えている。各紡績ユニット2は、ドラフト装置7から送られてくる繊維束8を紡績装置9で紡績して紡績糸10を生成し、この紡績糸10を巻取装置13でボビン48に巻き取る。紡績糸10が巻き取られたボビン48を、パッケージ45と称する。なお、本明細書において「上流」及び「下流」とは、通常巻取時での繊維束8及び紡績糸10の走行方向における上流及び下流を意味するものとする。また、通常巻取時とは、紡績装置9と巻取装置13との間の紡績糸10が連続状態にあり、かつ、パッケージ45が略一定の周速で回転駆動されて紡績糸10が略一定速で巻き取られている状態を言うものとする。
【0034】
ドラフト装置7は、精紡機1が備えるフレーム6の上端近傍に設けられている。このドラフト装置7は、上流側から順に、バックローラ16、サードローラ17、ゴム製のエプロンベルト18を装架したミドルローラ19、及びフロントローラ20の4つのドラフトローラを備える。各ドラフトローラは、所定の回転速度で回転駆動される。また、ドラフト装置7は、各ドラフトローラに対向するように配置された対向ローラを有している。ドラフト装置7は、繊維束8の原料であるスライバ15を、回転するドラフトローラと、これに対向する対向ローラとの間で挟み込んで搬送することにより、所定の幅となるまで引き伸ばして(ドラフトして)繊維束8とするように構成されている。
【0035】
フロントローラ20のすぐ下流側には、紡績装置9が配置されている。ドラフト装置7でドラフトされた繊維束8は、紡績装置9に供給される。紡績装置9は、ドラフト装置7から供給された繊維束8に撚りを加えて、紡績糸10を生成する。紡績装置9で生成された紡績糸10は、後述の巻取装置13で巻き取られる。従って、紡績装置9は、巻取装置13に紡績糸10を供給する給糸部であると言うことができる。
【0036】
本実施形態の精紡機1では、紡績装置9として、旋回気流を利用して繊維束8に撚りを与える空気式のものが採用されている。図3に示すように、紡績装置9は、ノズルブロック35と、中空ガイド軸体23と、繊維案内部22と、を主に備えている。
【0037】
ノズルブロック35と中空ガイド軸体23の間には、紡績室26が形成されている。ノズルブロック35には、紡績室26内に空気を噴出する空気噴出ノズル27が形成されている。繊維案内部22には、紡績室26内に繊維束8を導入する導入口21が形成されている。空気噴出ノズル27は、紡績室26内に空気を噴出して旋回気流を発生させることができるように構成されている。
【0038】
この構成で、ドラフト装置7から供給された繊維束8は、導入口21を有する繊維案内部22によって紡績室26内に案内される。紡績室26内において、繊維束8は、旋回気流によって中空ガイド軸体23の周囲を振り回されることにより、撚りが加えられて紡績糸10となる。撚りが加えられた紡績糸10は、中空ガイド軸体23の軸中心に形成された糸通路29を通って、下流側の糸出口(図略)から紡績装置9の外部に送出される。
【0039】
なお、前記導入口21には、その先端を紡績室26内に向けて配置された針状のガイドニードル22aが配置されている。導入口21から導入される繊維束8は、このガイドニードル22aに巻き掛かるようにして紡績室26内に案内される。これにより、紡績室26内に導入される繊維束8の状態を安定させることができる。また、このようにガイドニードル22aに巻き掛かるように繊維束8が案内されるので、紡績室26内で繊維に撚りが加えられても、繊維案内部22よりも上流側に撚りが伝播することが防止される。これにより、紡績装置9による加撚がドラフト装置7に影響を与えることを防止できる。ただし、ガイドニードル22aを省略して、繊維案内部22の下流側端部がガイドニードル22aの役割を果たすように構成しても良い。
【0040】
図2に示すように、紡績装置9の下流側には巻取装置13が配置されている。巻取装置13は、クレードルアーム71と、巻取ドラム72と、トラバース装置75と、を備えている。
【0041】
前記巻取ドラム72は、一方向に一定の回転速度で回転駆動されている。前記クレードルアーム71は、紡績糸10を巻回するためのボビン48を回転可能に支持することができる。また、このクレードルアーム71は、支軸73まわりに揺動可能に支持されている。クレードルアーム71は、前記ボビン48(又はこれに紡績糸10を巻いて形成されるパッケージ45)を支持した状態で支軸73まわりに揺動することにより、前記ボビン48(又はパッケージ45)の外周を、巻取ドラム72に対して接触又は離間させることができるように構成されている。前記ボビン48(又はパッケージ45)の外周を、回転駆動されている巻取ドラム72に接触させることにより、当該ボビン48(又はパッケージ45)を一方向に従動回転させて、当該ボビン48(又はパッケージ45)に紡績糸10を巻き取ることができる。以下の説明で、巻取ドラム72がパッケージ45を回転させる方向を、「巻取方向」と呼ぶ。なお、各紡績ユニット2の巻取装置13が備える巻取ドラム72は、複数の紡績ユニット2で共通の駆動源(図略)によって、一斉に回転駆動されるように構成されている。なお、この駆動源は、前記原動機ボックス5内に設けられている。これにより、複数の紡績ユニット2においてパッケージ45を一斉に同じ周速で回転させ、紡績糸10を一斉に巻き取ることができる。
【0042】
トラバース装置75は、紡績糸10に係合可能なトラバースガイド76を備えている。このトラバースガイド76は、図略の駆動手段によって、前記巻取ドラム72の軸方向と平行な方向に往復動されるように構成されている。なお、この駆動手段は、前記原動機ボックス5内に設けられている。この構成で、巻取ドラム72を回転駆動させながら、紡績糸10を係合させたトラバースガイド76を往復駆動することにより、紡績糸10を綾振り(トラバース)しつつパッケージ45に巻き取るようになっている。
【0043】
紡績装置9と巻取装置13との間には、糸貯留装置12が設けられている。糸貯留装置12は、図2に示すように、糸貯留ローラ14と、当該糸貯留ローラ14を回転駆動する電動モータ25と、を備えている。
【0044】
糸貯留ローラ14は、その外周面に一定量の紡績糸10を巻き付けて一時的に貯留することができるように構成されている。糸貯留ローラ14の外周面に紡績糸10を巻き付けた状態で当該糸貯留ローラ14を所定の回転速度で回転させることにより、紡績装置9から紡績糸10を所定の速度で引き出して下流側に搬送することができる。また、糸貯留装置12は、糸貯留ローラ14の外周に紡績糸10を一時的に貯留するように構成されていることから、紡績装置9と巻取装置13との間で一種のバッファとして機能する。これにより、紡績装置9における紡績速度と、巻取装置13における巻取速度と、が何らかの理由により一致しない場合の不具合(例えば紡績糸10のたるみなど)を解消することができる。
【0045】
紡績装置9と糸貯留装置12との間の位置には、糸品質測定器59が設けられている。紡績装置9で紡出された紡績糸10は、糸貯留装置12で巻き取られる前に前記糸品質測定器59を通過するようになっている。糸品質測定器59は、走行する紡績糸10の太さを図略の静電容量式センサによって監視するように構成されている。糸品質測定器59は、紡績糸10の糸欠点(紡績糸10の太さなどに異常がある箇所)を検出した場合に、糸欠点検出信号を図示しないユニットコントローラへ送信するように構成されている。なお、糸品質測定器59は静電容量式のセンサに限らず、例えば光透過式のセンサで紡績糸10の太さを監視する構成であっても良い。また、糸品質測定器59は、紡績糸10に含まれる異物を糸欠点として検出するように構成されていても良い。
【0046】
糸品質測定器59の近傍には、当該糸品質測定器59で紡績糸10の糸欠点が検出された際に、直ちに当該紡績糸10を切断するためのカッタ(図略)が配置されている。なお、紡績ユニット2は、このカッタの代わりに、紡績装置9への空気の供給を停止して、紡績糸10の生成を中断することにより当該紡績糸10を切断しても良い。
【0047】
図1に示すように、精紡機1のフレーム6には、紡績ユニット2が並ぶ方向に沿って、糸継台車走行レール41が配設されている。前記糸継台車3は、この糸継台車走行レール41の上を走行することができるように構成されている。これにより、糸継台車3は、複数の紡績ユニット2の間を走行することができる。
【0048】
糸継台車3は、図1及び図2に示すように、糸継装置43と、糸捕捉部(サクションパイプ44及びサクションマウス46)と、継目モニタ(継目監視装置)47と、逆転駆動機構49と、移動手段30と、を備えている。また、糸継台車3は、当該糸継台車3の各構成を制御するための図略の台車制御部を備えている。
【0049】
前記サクションパイプ44とサクションマウス46は、それぞれ軸を中心に上下方向に回動可能に構成されている。サクションパイプ44は、その先端に吸引空気流を発生させることにより、紡績装置9から送出される紡績糸10を吸い込んで吸引捕捉できるように構成されている(図5参照)。サクションマウス46は、その先端に吸引空気流を発生させることにより、巻取装置13に支持されたパッケージ45から紡績糸10を吸い込んで吸引捕捉できるように構成されている(図5参照)。また、サクションパイプ44とサクションマウス46は、前記紡績糸10を吸引捕捉した状態で回動することにより、当該紡績糸10を、糸継装置43の正面側(図6の左側)に対面する位置まで案内する(図6の状態)。なおサクションパイプ44及びサクションマウス46の動作は、前記台車制御部によって制御されている。
【0050】
糸継装置43は、サクションパイプ44によって案内された紡績装置9側の紡績糸10と、サクションマウス46によって案内されたパッケージ45側の紡績糸10と、を糸継ぎ(接合)することができるように構成されている。この糸継装置43は、旋回空気流によって糸端同士に撚りを加えることにより継ぎ目を形成するスプライサ装置として構成されている。ただし、糸継装置43の構成はこれに限らず、例えば機械式のノッタであっても良い。この糸継装置43による継ぎ目の形成は、前記台車制御部によって制御されている。なお、この糸継装置43は、糸継台車3が紡績ユニット2で停止したときに、紡績糸10の走行方向で巻取装置13と糸貯留装置12との間に位置している。
【0051】
移動手段30は、糸継装置43を、通常巻取時の糸道(紡績糸10の走行経路、図2では図面上下方向)に対して接近又は離間する方向に移動させることが可能に構成されている。糸継装置43は、通常巻取時の糸道に接近した位置(例えば図7に示す位置)において、糸継作業を行う。このときの糸継装置43の位置を、「糸継位置」と呼ぶ。また糸継装置43は、糸継作業を行わないときには、通常巻取時の糸道から離間した位置(例えば図2に示す位置)に退避しておく。このときの糸継装置43の位置を、「退避位置」と呼ぶ。
【0052】
移動手段30は、レール37と、エアシリンダ38と、を備えている。レール37は、糸継台車3の台車本体に設けられている。このレール37は直線状に細長く形成されており、その長手方向が、通常巻取時の糸道に対して略直交する方向(紡績ユニット2の前後方向、図2では図面左右方向)に沿って配設されている。一方、糸継装置43は、支持ブラケット36に取り付けられている。支持ブラケット36は、レール37によって支持されているとともに、当該レール37の長手方向に沿って移動可能に構成されている。従って、支持ブラケット36に取り付けられている糸継装置43は、通常巻取時の糸道に対して略直交する方向で、移動可能である。
【0053】
前記エアシリンダ38は、糸継装置43をレール37に沿って駆動するための移動駆動源である。エアシリンダ38の一端は、糸継台車3の台車本体に取り付けられ、他端は前記支持ブラケット36に取り付けられている。このエアシリンダ38を伸縮させることにより、糸継装置43を、レール37に沿った方向(通常巻取時の糸道に対して直交する方向)で直線移動させることができる。なお、上記エアシリンダ38の伸縮動作は、前記台車制御部によって制御されている。
【0054】
次に、糸継装置43の構成を、図10を参照して詳細に説明する。図10に示すように、糸継装置43は、糸継ノズル94と、クランプ部97と、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)と、カッタ92と、解撚パイプ82と、を主要な構成として備えている。
【0055】
糸継ノズル94は、糸継装置43の本体正面側に配置されている。この糸継ノズル94には、紡績糸10が通過可能な糸継孔90が形成されている。糸継孔90の内側には圧縮空気を噴出するための図略の噴出口が形成されている。糸継ノズル94は、噴出口から糸継孔90の内部に圧縮空気を噴出することにより、当該糸継孔90内部に旋回気流を発生させるように構成されている。
【0056】
糸継装置43は2本の解撚パイプ82を有している。解撚パイプ82は細長い円筒状に形成されるとともに、その長手方向を糸継装置43の前後方向に向けて互いに平行に配置される。2本の解撚パイプ82は糸走行方向に略平行な方向に並べて配置され、それぞれが一端を糸継装置43の正面に開口させている。また、それぞれの解撚パイプ82には、当該解撚パイプ82の内側に圧縮空気を噴出することで、背面側(糸道とは反対側)に向かう空気流を発生させる空気噴出孔が形成されている。
【0057】
なお、糸継ノズル94と解撚パイプ82は、何れも糸継装置43の本体に固定的に設けられている。従って、移動手段30が糸継装置43を移動させる際、前記糸継ノズル94及び解撚パイプ82は、糸継装置43の本体と一体的に移動する。
【0058】
糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)は、糸継装置43の本体に対して回動可能に設けられたレバー状の部材である。ただし、図8から図10及び図12では、糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98の断面のみを示している。糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98は、紡績糸10に接触することにより、当該紡績糸10の糸道を規制することができるように配置されている。糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98によって糸道を規制している様子を、図8等に示す。また、糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98は、紡績糸10に接触しない位置まで回動することができるように構成されている。これにより、糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98によって規制されていた紡績糸10を開放した状態とすることができる。
【0059】
クランプ部97は、糸走行方向において糸継ノズル94の上下に1つずつ設けられている。このクランプ部97は開閉可能に構成されており、閉じた状態で紡績糸10を把持することができるように構成されている。カッタ92は、糸走行方向において糸継ノズル94の上下に1つずつ設けられている。カッタ92は、紡績糸10を切断することができるように構成されている。
【0060】
糸継装置43は、糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98の回動動作、クランプ部97の開閉動作、及び前記カッタ92による切断動作を行わせるための図略のカム機構を備えている。また糸継装置43は、前記カム機構の駆動源である電動モータ60を有している。この電動モータ60の動作を適宜制御することにより、紡績糸10の把持、切断、糸道の規制などを適切なタイミングで行うことができる。電動モータ60の動作は、前記台車制御部によって制御されている。図2等に示すように、電動モータ60は、糸継装置43の本体の近傍に配置されており、当該糸継装置43の本体に対して固定されている。従って、移動手段30が糸継装置43を移動させる際、前記電動モータ60と、前記カム機構と、このカム機構によって駆動される部材(糸寄せレバー96、糸押さえレバー98、クランプ部97、及びカッタ92)は、一体的に移動する。
【0061】
糸継装置43のすぐ下流側には、糸継装置43で糸継ぎされた紡績糸10の品質を測定する継目モニタ47が配置されている。本実施形態において、継目モニタ47は、静電容量式のセンサによって、糸継装置43によって形成された継ぎ目の太さを監視するように構成されている。もっとも、継目モニタ47の構成はこれに限らず、例えば光透過式のセンサによって継ぎ目の太さを監視するように構成しても良い。継目モニタ47によって検出された情報は、前記台車制御部に送信される。なお、この継目モニタ47は、前記支持ブラケット36に固定されている。従って、移動手段30が糸継装置43を移動させる際、継目モニタ47は、糸継装置43と同時に移動する。
【0062】
続いて逆転駆動機構49について説明する。図2等に示すように、逆転駆動機構49は、第1支持アーム61及び第2支持アーム62と、逆回転ローラ63と、前記逆回転ローラ63の駆動源である逆回転ローラ駆動モータ(図略)と、を備えている。
【0063】
逆回転ローラ63は、前記逆回転ローラ駆動モータ(図略)からの駆動力によって回転駆動される。なお、逆回転ローラ駆動モータの動作は、前記台車制御部によって制御されている。
【0064】
前記第1支持アーム61の一端側は、糸継台車3の筐体本体に対して回転可能に取り付けられている。また、第1支持アーム61の他端側には、前記第2支持アーム62が回動可能に取り付けられている。第2支持アーム62の先端には、前記逆回転ローラ63が回転可能に設けられている。糸継台車3は、当該糸継台車3の筐体に対して回動可能に設けられたリンクロッド64を備えている。このリンクロッド64の先端は、第2支持アーム62に連結されている。また、このリンクロッド64には逆回転ローラ進退用エアシリンダ66が取り付けられており、当該逆回転ローラ進退用エアシリンダ66の進退によってリンクロッド64を回動させることができるようになっている。
【0065】
以上のように、第1支持アーム61、第2支持アーム62、及びリンクロッド64によってリンク機構が構成されている。当該リンク機構に接続された前記逆回転ローラ進退用エアシリンダ66を伸縮制御することによって、第2支持アーム62の先端の逆回転ローラ63を進退させることができるように構成されている。これにより、逆回転ローラ63を、パッケージ45に接触しない「退避位置」(例えば図2に示す位置)と、パッケージ45に接触する「接触位置」(例えば図5に示す位置)と、の間で移動させることができる。なお、逆回転ローラ進退用エアシリンダ66の動作は、前記台車制御部によって制御されている。
【0066】
次に、糸継台車3による糸継作業について説明する。この糸継作業は、ある紡績ユニット2において、紡績装置9とパッケージ45との間の紡績糸10が何らかの理由により分断状態となったときに行われる。
【0067】
ある紡績ユニット2において、例えば図4のように紡績装置9とパッケージ45との間の紡績糸10が分断状態になると、当該紡績ユニット2のユニットコントローラは、クレードルアーム71を揺動駆動して、巻取ドラム72からパッケージ45を離間させるように制御を行うとともに、巻取装置13に備えられた図示しないブレーキ機構を作動させる。これにより、パッケージ45は回転を停止する。
【0068】
続いて、前記ユニットコントローラは、糸継台車3に対して制御信号を送信する。制御信号を受信した糸継台車3は、糸継台車走行レール41上を前記紡績ユニット2まで走行して停止する。糸継台車3が紡績ユニット2の間を走行する際には、移動手段30は、糸継装置43を退避位置まで退避させておく。
【0069】
糸継台車3が目的の紡績ユニット2で停止すると、台車制御部は、図5に示すように、サクションパイプ44及びサクションマウス46をそれぞれ回転させ、紡績装置9側の糸端とパッケージ45側の糸端を吸引して捕捉する。
【0070】
またこのとき、台車制御部は、逆回転ローラ進退用エアシリンダ66を制御することにより、逆回転ローラ63を接触位置まで進出させて、当該逆回転ローラ63をパッケージ45に接触させる。更に台車制御部は、前記逆回転ローラ駆動モータによって逆回転ローラ63を巻取ドラム72とは反対方向に回転駆動する。これにより、パッケージ45は、巻取方向とは逆方向(以下、解舒方向)に回転駆動される。この状態で、パッケージ45表面の紡績糸10をサクションマウス46によって吸引することにより、当該紡績糸10がパッケージ45から引き出され、サクションマウス46に捕捉される。
【0071】
続いて、台車制御部は、紡績糸10を捕捉した状態のサクションパイプ44及びサクションマウス46を反対方向に回転させることで、前記捕捉した紡績糸10を、糸継装置43の正面側に対面する位置まで案内する(図6の状態)。サクションパイプ44及びサクションマウス46による紡績糸10の案内が終了すると、台車制御部は、逆回転ローラ63の回転を停止させる。これにより、パッケージ45が静止する。
【0072】
続いて、移動手段30は、エアシリンダ38を伸ばして、糸継装置43を糸道に近づける方向に移動させ、糸継位置まで進出させる。糸継位置まで糸継装置43が進出することにより、サクションパイプ44が捕捉している紡績装置9側の紡績糸10と、サクションマウス46が捕捉しているパッケージ45側の紡績糸10が、糸継装置43に導入される(図7の状態)。また、図7等に示すように、移動手段30が糸継装置43を糸継位置まで進出させたときに、紡績糸10が継目モニタ47に導入されるように、当該継目モニタ47が配置されている。従って、糸継装置43を糸継位置まで進出させることにより、継目モニタ47による紡績糸10の検査が可能になる。
【0073】
糸継装置43が糸継位置まで進出すると、台車制御部は、電動モータ60を適宜制御することにより、糸寄せレバー96を回動させて紡績糸10に接触させる。これにより、パッケージ45とサクションマウス46との間の紡績糸10、及び紡績装置9とサクションパイプ44との間の紡績糸10が、それぞれ糸寄せレバー96によって屈曲させられ、当該紡績糸10の糸道が規制される。糸寄せレバー96は、クランプ部97によって紡績糸10の把持が可能になる位置まで、当該紡績糸10を屈曲させる(図8の状態)。台車制御部は、この状態で電動モータ60を適宜制御し、クランプ部97を閉じることにより、当該クランプ部97によって紡績糸10を把持させる。
【0074】
続いて台車制御部は、解撚パイプ82内に圧縮空気の噴出を開始させる。これにより、解撚パイプ82内には、糸継装置43の背面側(図8の図面右側)に向かう空気流が発生するとともに、当該解撚パイプ82の正面側(図8の図面左側)の開口部には吸引空気流が発生する。これと前後して、台車制御部は、電動モータ60を適宜制御することによりカッタ92を動作させて、サクションパイプ44と糸継装置43の間の紡績糸10、及びサクションマウス46と糸継装置43の間の紡績糸10をそれぞれ切断させる。前記切断によって形成された糸端は、それぞれ解撚パイプ82によって吸引され、当該解撚パイプ82の内部に引き込まれる。そして、引き込まれた糸端は、解撚パイプ82内の空気流の作用を受けて繊維の撚りが解かれ、解撚される(図9)。
【0075】
糸端の解撚が終了すると、台車制御部は、解撚パイプ82内部への圧縮空気の噴出を終了させる。更に、台車制御部は、電動モータ60を適宜制御することにより糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98によって紡績糸10の糸道を更に屈曲させ、解撚された糸端を解撚パイプ82から引きずり出す。解撚パイプ82から引き出された糸端は、糸継ノズル94の糸継孔90内で、互いに重ね合わされた状態でセットされる(図10)。この状態で糸継孔90内に圧縮空気を噴出させることで、当該糸継孔90内に旋回流を発生させ、繊維に撚りを加える。これにより、紡績装置9側の紡績糸10の糸端と、パッケージ45側の紡績糸10の糸端と、が撚り合わされて結合され、継ぎ目が形成される。
【0076】
継ぎ目が形成されると、台車制御部は、糸継孔90への空気の噴出を停止させる。更に、台車制御部は、電動モータ60を適宜制御することにより、クランプ部97を開いて、把持されていた紡績糸10を開放させる。次に、紡績ユニット2のユニットコントローラは、クレードルアーム71を揺動させ、パッケージ45の外周面を、回転する巻取ドラム72に接触させる(図11の状態)。以上の構成で、巻取ドラム72に接触したパッケージ45が巻取方向への回転を再開し、紡績糸10の巻き取りが開始される。
【0077】
本実施形態において、台車制御部は、クランプ部97を開いて紡績糸10を開放する際、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)は回動させずに静止させておき、当該糸道規制部材が紡績糸10を屈曲させた状態を維持するように、電動モータ60を制御している。従って、本実施形態では、糸道が規制された状態のまま、紡績糸10の巻き取りが再開される。仮に、紡績糸10の巻き取り開始時に、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)を回動させて、当該糸道規制部材が紡績糸10に接触しない状態としてから巻き取りを再開したとすると、当該糸道規制部材によって屈曲させられていた紡績糸10がフリーの状態となるため、図13に示すように、紡績糸10にたるみが発生してしまう。
【0078】
この点、本実施形態では上記のように、巻き取り再開時に、糸道規制部材によって紡績糸10を屈曲させた状態を維持するように構成されているので、糸道を規制した状態で紡績糸10の巻き取りを再開することができる。これにより、紡績糸10の巻き取り再開時のたるみを防止することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、紡績装置9と糸継装置43との間に糸貯留装置12が配置されている。糸継作業の際には巻取装置13による紡績糸10の巻き取りは中断しているが、紡績装置9における紡績糸10の紡出は継続している。そこで、糸貯留装置12は、紡績装置9から紡出される紡績糸10を、糸貯留ローラ14に巻き取って一時的に貯留するようになっている。一方で、本実施形態において、紡績装置9は空気紡績式の紡績装置である。空気紡績装置は高速紡績が可能であり、紡績糸10を高速で紡出する。このため、糸継作業時に、紡績装置9から高速で紡出される紡績糸10が次々と糸貯留装置12に貯留されていく結果、当該糸貯留装置12の貯留限界を超えてしまうまでの時間は短い。即ち、空気紡績式の紡績装置9を備えた本実施形態の精紡機1においては、糸継作業時に、あまり長時間にわたって紡績糸10の巻き取りを中断することはできないという事情がある。
【0080】
そこで、空気紡績装置を備えた従来の紡績機においては、可能な限り早い段階で紡績糸10の巻き取りを再開させるべく、糸継作業終了後、ただちに糸道規制部材による糸道の規制を解除していたのである。そして、糸道の規制が解除された時点で、紡績糸10の巻き取りを再開していた。このように、従来の紡績機では、糸道の規制を解除した後で巻き取りを開始していたので、紡績糸10のたるみが発生していた。
【0081】
ところで、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)は、紡績糸10に接触してはいるものの、当該紡績糸10を把持している訳ではない。このため、糸道規制部材によって紡績糸10の糸道を規制した状態(紡績糸10を屈曲させた状態)であっても、当該紡績糸10を走行させることは可能である。本実施形態の精紡機1はこの点に着目し、糸継装置43による糸継作業の終了後、クランプ部97による紡績糸10の把持を解除した段階で、糸道規制部材による糸道の規制を継続したまま(紡績糸10を屈曲させた状態を維持したまま)、紡績糸10の巻き取りを再開させるように構成したのである。このように構成することで、クランプ部97による紡績糸10の把持を解除した時点で、紡績糸10の巻き取りを再開することができる。これにより、紡績糸10の糸道を規制しつつ、糸継作業終了後の早い段階で巻き取りを再開できる。従って、糸貯留装置12上の紡績糸10が当該糸貯留装置12の貯留限界を超えてしまうことを防止できる。
【0082】
以上のようにして紡績糸10の巻き取りを再開すると、図12に示すように、糸継装置43で形成された継ぎ目99が継目モニタ47を通過する。このとき、当該継ぎ目99が継目モニタ47によって検査される。台車制御部は、継目モニタ47による検査結果に基づいて、継ぎ目99の品質を判断する。従って、台車制御部は判断部であるということができる。例えば、継ぎ目99が所定の太さや長さなどの寸法条件を満たさない不良継ぎ目であった場合、糸継台車3は、当該不良継ぎ目を図略のカッタにより切断除去するとともに、糸継装置43による糸継ぎをやり直す。本実施形態の構成によれば、紡績糸10の巻き取り再開直後のたるみを防止できるので、紡績糸10がたるんだ状態で継目モニタ47を通過してしまうことを防止できる。従って、継目モニタ47において、継ぎ目99の品質を精度良く検査することができる。
【0083】
継目モニタ47による継ぎ目99の検査が終了すると、台車制御部は、電動モータ60を適宜制御することにより、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)による糸道の規制を解除する。このとき、台車制御部は、電動モータ60を適宜制御することにより、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)が紡績糸10を屈曲させた状態を維持できる速度で、当該糸道規制部材を回動させる。即ち、台車制御部は、糸道規制部材をゆっくりと移動させる。即ち、仮に糸道規制部材を素早く移動させてしまうと、当該糸道規制部材が紡績糸10から離れてしまう結果、当該糸道規制部材によって紡績糸10を屈曲させることができなくなり(紡績糸10がフリーになり)、当該紡績糸10にたるみが発生してしまう。上記のように糸道規制部材をゆっくりと移動させることにより、糸道規制部材によって紡績糸10の糸道を規制しつつ(紡績糸10を屈曲させた状態を維持しつつ)、当該紡績糸10を開放することができるので、紡績糸10のたるみを防止することができる。
【0084】
なお前述のように、従来の紡績機では、紡績糸10の巻き取りを可能な限り早く再開させるために、糸道規制部材による糸道の規制は可能な限り早く解除すべきであると考えられていた。しかし本実施形態では、発想の転換により、糸道規制部材によって糸道を規制したまま紡績糸10の巻き取りを再開するように構成したものである。従って、糸道規制部材による糸道の解除を、とりわけ急いで行う必要はない。従って、糸道規制部材を、ある程度時間をかけてゆっくりと移動させることが可能である。これにより、糸道規制部材によって糸道が規制された状態(紡績糸10を屈曲させた状態)を確実に維持し、当該紡績糸10がたるむことを確実に防止することができる。
【0085】
糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)を回動させていき、紡績糸10の糸道が通常巻取時の糸道に戻ると(即ち、糸道規制部材によって屈曲されていた紡績糸10の糸道が直線状態に戻ると)、当該紡績糸10から糸道規制部材が離れる。これにより、紡績糸10を糸道規制部材から開放できる。紡績糸10が糸道規制部材から開放されると、移動手段30は、糸継装置43を退避位置まで移動させる。これにより、糸継台車3が走行可能となり、他の紡績ユニット2まで走行することができる。
【0086】
以上で説明したように、本実施形態の精紡機1は、巻取装置13と、紡績装置9と、糸継装置43と、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)と、台車制御部と、を備えている。巻取装置13は、パッケージ45に紡績糸10を巻き取る。紡績装置9は、巻取装置13に紡績糸10を供給する。糸継装置43は、紡績装置9とパッケージ45との間の紡績糸10を糸継ぎする。糸道規制部材は、紡績糸10に接触することで当該紡績糸10を屈曲させる位置と、前記紡績糸10を開放した位置と、の間で移動可能である。台車制御部は、糸継ぎの際に、糸道規制部材を紡績糸10に接触させて当該紡績糸10を屈曲させるとともに、当該糸継ぎの終了後、少なくとも巻取装置13における紡績糸10の巻き取りが開始するまでの間は、糸道規制部材によって紡績糸10を屈曲させた状態を維持するように制御している。
【0087】
このように、糸道規制部材によって糸道を規制した状態で紡績糸10の巻き取りを開始させることにより、糸継ぎ終了直後に紡績糸10がたるんでしまうことを防止できる。
【0088】
本実施形態の精紡機1は、糸継装置43における糸継ぎによって形成された継ぎ目99の品質を検査する継目モニタ47を備える。台車制御部は、糸継装置43による糸継ぎの終了後、少なくとも継目モニタ47を継ぎ目99が通過するまでの間は、糸道規制部材が紡績糸10を屈曲させた状態を維持するように制御する。
【0089】
これにより、糸道規制部材によって糸道を規制した状態で、継目モニタ47が継ぎ目99を検査することができる。即ち、継目モニタ47が継ぎ目99を検査するときに、紡績糸10がたるまないので、継ぎ目99の検査精度を向上させることができる。
【0090】
本実施形態の精紡機1は、以下のように構成されている。即ち、精紡機1は、糸継装置43による糸継ぎの際に、紡績糸10を把持するクランプ部97を更に備えている。台車制御部は、糸継装置43による糸継ぎの終了後、クランプ部97が把持する紡績糸10を開放し、糸道規制部材によって紡績糸10を屈曲させた状態で、巻取装置13による紡績糸10の巻き取りを開始するように制御する。
【0091】
即ち、クランプ部97が把持していた紡績糸10を開放することにより紡績糸10が走行可能となるので、紡績糸10の巻き取りを開始することができる。一方で、巻き取り開始時に、糸道規制部材による糸道の規制は継続させることにより、紡績糸10がたるんでしまうことを防止できる。
【0092】
本実施形態の精紡機1において、紡績装置9は、旋回気流によって繊維束8に撚りを加えて紡績糸10を生成する空気紡績装置である。
【0093】
即ち、空気紡績式の紡績装置9は紡績糸10を生成する速度が速いため、糸道の変動が紡績装置9の紡績に影響を及ぼし易い。このため、糸継ぎ終了直後の紡績糸10のたるみを防止することにより、生成される紡績糸10の品質を向上させることができる。
【0094】
本実施形態の精紡機1において、台車制御部は、糸道規制部材を、糸継装置43による糸継ぎの終了後少なくとも巻取装置13における紡績糸10の巻き取りが開始するまでの間は紡績糸10を屈曲させた状態で静止させ、その後、前記紡績糸10を開放する位置まで移動させるように制御している。
【0095】
このように、糸道規制部材をいったん停止させておくことにより、当該糸道規制部材によって紡績糸10を屈曲させた状態を確実に維持することができるので、紡績糸10がたるんでしまうことを確実に防止することができる。
【0096】
本実施形態の精紡機1において、台車制御部は、糸道規制部材が紡績糸10を屈曲させる位置から、当該紡績糸10を開放する位置まで移動する際に、当該紡績糸10を屈曲させた状態を維持できる速度で糸道規制部材を移動させるように制御している。
【0097】
即ち、紡績糸10を開放する際に、糸道規制部材をゆっくりと移動させる。これにより、糸道規制部材によって糸道を規制させつつ、当該糸道規制部材を移動させることができるので、糸道規制部材が紡績糸10を開放する際に紡績糸10がたるんでしまうことを防止できる。
【0098】
本実施形態の精紡機1は、紡績糸10の走行方向において紡績装置9と巻取装置13との間に配置され、回転する糸貯留ローラ14の外周に紡績糸10を巻き付けて一時的に貯留する糸貯留装置12を備えている。糸継装置43は、紡績糸10の走行方向で糸貯留装置12と巻取装置13との間で糸継ぎを行う。
【0099】
即ち、本願発明の構成によれば、糸継ぎ時の紡績糸10のたるみを防止できるので、回転する糸貯留ローラ14に紡績糸10が絡むことを防止できる。従って、糸貯留装置12による紡績糸10の貯留を適切に行うことができる。
【0100】
本実施形態の精紡機1は、往復運動するトラバースガイド76によってパッケージ45に巻き取られる紡績糸10の綾振りを行うトラバース装置75を備えている。
【0101】
即ち、本願発明の構成によれば、糸継ぎ時の紡績糸10のたるみを防止できるので、往復運動するトラバースガイド76にたるんだ紡績糸10が引っ掛かって糸切れが発生することを防止できる。従って、トラバース装置75による紡績糸10の綾振りを適切に行うことができる。
【0102】
本実施形態の精紡機1は、複数の紡績ユニット2と、糸継台車3と、を備えている。各紡績ユニット2は、紡績装置9及び巻取装置13を備える。糸継台車3は、糸継装置43を備え、複数の紡績ユニット2間を走行可能であるとともに、紡績糸10が分断状態となった紡績ユニット2の近傍に停止して、当該紡績ユニット2に対して糸継装置43による糸継ぎを行う。
【0103】
このように、糸継装置43を搭載して走行する糸継台車3を設けたことにより、糸継装置43を紡績ユニット2それぞれに設ける構成と比べて、精紡機1全体の構成を簡素化し、コストダウンを図ることができる。
【0104】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0105】
上記実施形態では、糸継台車3が糸継装置43を備える構成としたが、これに代えて、以下のように構成しても良い。即ち、紡績ユニット2は、巻取装置13と、紡績装置9と、糸継装置43と、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)と、台車制御部と、を備えている。巻取装置13は、パッケージ45に紡績糸10を巻き取る。紡績装置9は、巻取装置13に紡績糸10を供給する。糸継装置43は、紡績装置9とパッケージ45との間の紡績糸10を糸継ぎする。糸道規制部材は、紡績糸10に接触することで当該紡績糸10を屈曲させる位置と、前記紡績糸10を開放した位置と、の間で移動可能である。台車制御部は、糸継ぎの際に、糸道規制部材を紡績糸10に接触させて当該紡績糸10を屈曲させるとともに、当該糸継ぎの終了後、少なくとも巻取装置13における紡績糸10の巻き取りが開始するまでの間は、糸道規制部材によって紡績糸10を屈曲させた状態を維持するように制御する。
【0106】
このように、各紡績ユニット2が糸継装置43を備える構成とすることもできる。
【0107】
上記実施形態では、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)が紡績糸10を開放する際に、台車制御部が電動モータ60を適宜制御して、糸道規制部材をゆっくりと移動させるとした。一方で、糸道規制部材によって紡績糸10の糸道を規制する際(糸道規制部材を紡績糸10に接触させる方向に移動させる際)には、糸道規制部材をゆっくりと移動させる必要性は低い。そこで例えば、糸道規制部材によって紡績糸10を開放する際には、紡績糸10の糸道を規制する際よりも、電動モータ60を遅く駆動するように制御を行えば好適である。
【0108】
上記実施形態において、台車制御部は、電動モータ60を適宜制御することにより、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)、クランプ部97、カッタ92等を制御するものとした。これは、電動モータ60の駆動速度や駆動方向を随時変更制御することにより、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)等の移動速度や移動タイミング等を適切に制御することを指す。しかしこれに限らず、例えば、電動モータ60を一定の駆動速度で駆動するように制御しても良い。即ち、前記カム機構のカムの形状が適切に設定されていれば、電動モータ60を一定の駆動速度で駆動するだけで、糸道規制部材等を、適切な速度及びタイミングで移動させるように制御することが可能である。
【0109】
もっとも、糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)を移動させるための機構はカム機構に限らず、適宜の構成を採用することができる。
【0110】
上記実施形態では、継ぎ目99が継目モニタ47を通過するまでの間は糸道規制部材(糸寄せレバー96及び糸押さえレバー98)を静止させておき、その後、当該糸道規制部材をゆっくりと(糸道を規制した状態を維持しながら)移動させるものとした。しかしこれに限らず、クランプ部97による紡績糸10の把持が解除された直後から、糸道規制部材をゆっくりと(糸道を規制した状態を維持しながら)移動させるように制御しても良い。この場合であっても、紡績糸10の糸道を規制して、当該紡績糸10のたるみを防止できる。
【0111】
上記実施形態において、糸道規制部材は、継ぎ目99が継目モニタ47を通過した後で紡績糸10を開放するものとした。継ぎ目99が継目モニタ47を通過したか否かは、継目モニタ47の検出結果に基づいて知ることができる。従って、継目モニタ47の検出結果に基づいて、糸道規制部材による紡績糸10の糸道の規制を解除するように構成すれば良い。しかしこれに限らず、巻取装置13による紡績糸10の巻き取り再開後、継目モニタ47を継ぎ目99が通過するのに十分な時間が経過したことにより、糸道規制部材による紡績糸10の糸道の規制を解除するように構成しても良い。
【0112】
上記実施形態では、糸貯留装置12の糸貯留ローラ14を回転させることにより、紡績装置9から紡績糸10を引き出す構成とした。これに代えて、例えば特開2005−220484号公報に記載されているように、デリベリローラとニップローラとによって紡績糸を挟み込んで回転することにより、紡績装置から紡績糸を引き出す糸送り装置を設けても良い。
【0113】
継目モニタ47の移動は、糸継装置43とは独立して行っても良い。ただし、精紡機1の構成を簡素化できるので、継目モニタ47と糸継装置43の移動は同時に行うことが望ましい。
【0114】
糸継装置43で形成された継ぎ目99を検査する構成は省略しても良い。この場合は継目モニタ47を省略することができる。
【0115】
上記実施形態では、紡績糸10の走行方向が高さ方向の上から下に向かっているが、紡績糸10の走行方向は特に限定されず、例えば下から上に向かって紡績糸10が走行する構成にも本願発明を適用することができる。
【0116】
また図2等では、紡績糸10の糸道が略上下方向となっているが、これに限定されない。例えば、巻取装置13が図2で示され位置よりも紡績ユニット2の奥側に配置されている場合、糸道は、正面側から奥側へ傾斜して形成されることになる。
【0117】
図1等では、精紡機1は糸継台車3を1台備えているが、紡績ユニット2の数に応じて糸継台車3を複数備えることも可能である。
【0118】
上記実施形態では、巻取ドラム72を、複数の紡績ユニット2で共通して駆動する構成とした。しかしこれに限定される訳ではなく、巻取ドラム72を、それぞれの紡績ユニット2で個別に駆動する構成としても良い。この場合は、巻取ドラム72の回転速度及び回転方向を各紡績ユニット2で異ならせることができるので、巻取ドラム72を逆方向に回転させることにより、パッケージ45を逆回転させるように構成しても良い。この場合は、逆回転ローラ63を省略することができる。
【0119】
糸継装置43を糸道に対して移動可能とする構成は、省略することもできる。
【0120】
紡績装置は、空気紡績式の紡績装置に限らず、他の形式の紡績装置を備えた紡績機にも本願発明の構成を適用することができる。また、本発明の構成は、紡績機に限らず、自動ワインダなどの他の種類の糸巻取機にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 精紡機(糸巻取機)
2 紡績ユニット(糸巻取ユニット)
3 糸継台車
9 紡績装置(給糸部)
10 紡績糸
13 巻取装置(巻取部)
43 糸継装置
45 パッケージ
96 糸寄せレバー(糸道規制部材)
98 糸押さえレバー(糸道規制部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージに糸を巻き取る巻取部と、
前記巻取部に糸を供給する給糸部と、
前記パッケージと前記給糸部との間の糸を糸継ぎする糸継装置と、
前記糸に接触することで当該糸を屈曲させる位置と、前記糸を開放した位置と、の間で移動可能な糸道規制部材と、
前記糸継ぎの際に、前記糸道規制部材を前記糸に接触させて当該糸を屈曲させるとともに、当該糸継ぎの終了後、少なくとも前記巻取部における前記糸の巻き取りが開始するまでの間は、前記糸道規制部材によって前記糸を屈曲させた状態を維持するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする糸巻取機。
【請求項2】
請求項1に記載の糸巻取機であって、
前記糸継装置における糸継ぎによって形成された継ぎ目の品質を検査する継目監視装置を備え、
前記制御部は、前記糸継装置による前記糸継ぎの終了後、少なくとも前記継目監視装置を前記継ぎ目が通過するまでの間は、前記糸道規制部材が前記糸を屈曲させた状態を維持するように制御することを特徴とする糸巻取機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の糸巻取機であって、
前記糸継装置による前記糸継ぎの際に、前記糸を把持するクランプ部を更に備え、
前記制御部は、前記糸継装置による前記糸継ぎの終了後、前記クランプ部が把持する前記糸を開放し、前記糸道規制部材によって前記糸を屈曲させた状態で、前記巻取部による前記糸の巻き取りを開始するように制御することを特徴とする糸巻取機。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記給糸部は、旋回気流によって繊維束に撚りを加えて紡績糸を生成する空気紡績装置であることを特徴とする糸巻取機。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記制御部は、前記糸道規制部材を、前記糸継装置による前記糸継ぎの終了後少なくとも前記巻取部における前記糸の巻き取りが開始するまでの間は前記糸を屈曲させた状態で静止させ、その後、前記糸を開放する位置まで移動させるように制御することを特徴とする糸巻取機。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記制御部は、前記糸道規制部材が前記糸を屈曲させる位置から、当該糸を開放する位置まで移動する際に、当該糸を屈曲させた状態を維持できる速度で前記糸道規制部材を移動させるように制御することを特徴とする糸巻取機。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記糸の走行方向において前記給糸部と前記巻取部との間に配置され、回転する糸貯留ローラの外周に前記糸を巻き付けて一時的に貯留する糸貯留装置を備え、
前記糸継装置は、前記糸の走行方向で前記糸貯留装置と前記巻取部との間で前記糸継ぎを行うことを特徴とする糸巻取機。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
往復運動するトラバースガイドによって前記パッケージに巻き取られる糸の綾振りを行うトラバース装置を備えることを特徴とする糸巻取機。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記給糸部及び前記巻取部を備えた複数の糸巻取ユニットと、
前記糸継装置を備え、前記複数の糸巻取ユニット間を走行可能であるとともに、前記糸が分断状態となった糸巻取ユニットの近傍に停止して、当該糸巻取ユニットに対して前記糸継装置による糸継ぎを行う糸継台車と、
を備えることを特徴とする糸巻取機。
【請求項10】
パッケージに糸を巻き取る巻取部と、
前記巻取部に糸を供給する給糸部と、
前記パッケージと前記給糸部との間の糸を糸継ぎする糸継装置と、
前記糸に接触することで当該糸を屈曲させる位置と、前記糸を開放した位置と、の間で移動可能な糸道規制部材と、
前記糸道規制部材を、前記糸継ぎの際に前記糸に接触させて当該糸を屈曲させるとともに、当該糸継ぎの終了後、少なくとも前記巻取部における前記糸の巻き取りが開始するまでの間は前記糸を屈曲させた状態を維持させるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする糸巻取ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−67475(P2013−67475A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206508(P2011−206508)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】