純水製造システム
【課題】純水装置の初期起動時から純水を純水タンクに連続供給し、これにより常に高純度の純水を外部機器に給水することができる純水製造システムを得る。
【解決手段】純水装置を駆動させた後(S1)、循環ポンプが停止していることを確認し(S2)、純水の純水タンクへの供給を開始する。純水タンクの水位が所定上限水位Hに上昇するまでは循環ポンプを停止させた状態で純水タンクには純水装置からの純水を供給し続け、所定上限水位Hまで上昇したときは、循環ポンプを駆動させ(S3→S4)、純水タンク内の純水の一部を被処理水タンクに還流させて純水タンクの水位を低下させる。水位が所定下限水位L以下にまで低下すると、循環ポンプを停止し(S5→S2)、その後上述した処理を繰り返す。
【解決手段】純水装置を駆動させた後(S1)、循環ポンプが停止していることを確認し(S2)、純水の純水タンクへの供給を開始する。純水タンクの水位が所定上限水位Hに上昇するまでは循環ポンプを停止させた状態で純水タンクには純水装置からの純水を供給し続け、所定上限水位Hまで上昇したときは、循環ポンプを駆動させ(S3→S4)、純水タンク内の純水の一部を被処理水タンクに還流させて純水タンクの水位を低下させる。水位が所定下限水位L以下にまで低下すると、循環ポンプを停止し(S5→S2)、その後上述した処理を繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は純水製造システムに関し、より詳しくは、逆浸透膜装置(以下、「RO装置」という。)や電気再生式脱塩装置(以下、「EDI装置」という。)等の純水装置で製造された純水を純水タンクに貯留し、該純水タンクに貯留された純水を熱交換器等の外部機器に給水する純水製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱交換器、冷却塔、ボイラー用水、医療器具等の洗浄用水などには高純度に精製された純水が使用されている。
【0003】
この種の純水製造システムでは、通常、地下水や井戸水等の原水をRO装置やEDI装置で処理して純水(処理水)を生成し、この生成された純水を純水タンク(処理水タンク)に貯留している。
【0004】
例えば、特許文献1には、図11に示すように、EDI装置101の純水出口側に設けた純水流出ライン102に純水供給ライン103と純水循環ライン104を分岐して接続し、純水の流路を純水供給ライン103又は純水循環ライン104に切り替えるための流路切替手段105を設置し、純水供給ライン103に純水タンク106を接続して該純水タンク106内に貯留された純水を外部機器に送るようにし、RO装置107の後段のEDI装置101を連続的に運転すると共に、純水供給ライン103に送られる純水の量に応じて、純水を純水供給ライン103に送る制御と、純水を純水循環ライン104に送る制御とを行うようにした電気脱イオン法による被処理水の処理方法が提案されている。
【0005】
すなわち、外部機器に接続された給水ライン108の通過水量に応じてEDI装置101をオン・オフ制御すると、EDI装置101の運転時間が短い場合は、EDI装置101内の脱塩室に収容されたイオン交換樹脂の再生が不完全となる。したがって、この状態でEDI装置101の運転を再開すると、イオン交換樹脂のイオン交換能力が低下した状態で再運転されるため、純水の純度低下を招くおそれがある。
【0006】
このため特許文献1では、EDI装置101を連続運転する一方で、純水タンク101内の水位が所定上限レベルに達したときは、流路切替手段105により純水流路を純水循環ライン104に切り替え、純水を被処理水供給ライン109に還流させている。そして、これによりEDI装置101内の脱塩室に収容されたイオン交換樹脂は、常に再生された状態を維持することが可能となり、純水の純度低下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3273718号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、純水タンク106への純水の供給をタンク水位に応じて流路切替手段105で切り替えることにより、EDI装置101を連続運転しているものの、純水タンク106内の水位が所定上限レベルに達すると、水位が所定下限レベルに低下するまで、純水タンク106への純水供給は停止し、純水は純水タンク106に供給されなくなる。そして、純水タンク106が外気と接している場合、給水ライン108に接続される外部機器の長時間停止等により純水タンク106内での純水の滞留時間が長くなると、大気中のCO2が純水内に溶解し、その結果、純水の純度低下を招くおそれがある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、純水装置の初期起動時から純水を純水タンクに連続供給し、これにより常に高純度の純水を外部機器に給水することができる純水製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る純水製造システムは、純水を生成する少なくとも一つ以上の純水装置と、該純水装置で生成された純水を貯留する純水タンクと、該純水タンクの水位を検出する水位検出手段と、前記純水装置で生成された純水を系内に循環させる循環手段と、前記水位検出手段により検出される水位に応じて前記循環手段を制御し、前記純水装置で生成された前記純水を前記純水タンクに連続供給する連続供給手段とを有していることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の純水製造システムは、前記循環手段が、前記純水タンクに接続されていることを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明の純水製造システムは、前記連続供給手段が、前記水位検出手段によって検出される水位が所定上限値に上昇したときは前記循環手段を駆動し、前記水位が所定下限値以下に低下したときは前記循環手段の駆動を停止する駆動制御手段を有していることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の純水製造システムは、前記循環手段により前記系内を循環する循環水量が前記純水装置から出力される純水の供給水量よりも多くなるように、前記循環水量及び前記供給水量の少なくともいずれか一方を制御する水量制御手段を有していることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の純水製造システムは、前記純水装置と前記純水タンクとを接続する純水供給ラインと、該純水供給ラインから分岐した純水循環ラインとを有し、前記循環手段は、前記純水循環ライン上に介装されていることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の純水製造システムは、前記水位検出手段の検出結果に応じ、前記純水タンクに供給される供給水量と、前記循環手段により系内を循環する循環水量との比率を制御する循環比率制御手段を有していることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の純水製造システムは、前記純水装置は、EDI装置、RO装置、ナノろ過膜装置、及びイオン交換樹脂塔のうちの少なくとも一つ以上を含むことを特徴としている。
【0017】
さらに、本発明の純水製造システムは、前記純水装置の上流側に被処理水タンクが設けられ、前記循環手段は前記被処理水タンクに接続されていることを特徴としている。
【0018】
また、本発明の純水製造システムは、前記純水装置が複数設けられている場合は、最上流の純水装置の上流側又は前記純水装置間に被処理水タンクが設けられ、前記循環手段は前記被処理水タンクに接続されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
上記純水製造システムによれば、純水を生成する少なくとも一つ以上の純水装置(EDI装置、RO装置、ナノろ過膜装置、イオン交換樹脂塔等)と、該純水装置で生成された純水を貯留する純水タンクと、該純水タンクの水位を検出する水位検出手段と、前記純水装置で生成された純水を系内に循環させる循環手段と、前記水位検出手段により検出される水位に応じて前記循環手段を制御し、前記純水装置で生成された前記純水を前記純水タンクに連続供給する連続供給手段とを有しているので、初期起動時から純水装置が停止することなく、純水装置で生成された純水を連続的に純水タンクに供給することが可能となる。したがって、純水タンク内の純水は常に高純度を維持することができ、所望の高純度を有する純水を熱交換器等の外部機器に常に給水することが可能となる。
【0020】
また、循環手段が、純水タンクに接続されているので、水位検出手段により検出される水位に応じて循環手段の駆動を制御することにより、純水装置で生成された純水を連続的に純水タンクに供給することができる。
【0021】
また、前記連続供給手段が、前記水位検出手段によって検出される水位が所定上限値に上昇したときは前記循環手段を駆動し、前記水位が所定下限値以下に低下したときは前記循環手段の駆動を停止する駆動制御手段を有しているので、所定上限値と所定下限値の間で循環手段をオン・オフ制御することにより、純水装置で生成された純水を容易に連続的に純水タンクに供給することができる。
【0022】
さらに、循環手段により系内を循環する循環水量が純水装置から出力される純水の供給水量よりも多くなるように、循環水量及び供給水量の少なくともいずれか一方を制御する水量制御手段を有しているので、循環手段のオン・オフ制御を円滑に行なうことができる。
【0023】
また、純水装置と純水タンクとを接続する純水供給ラインと、該純水供給ラインから分岐した純水循環ラインとを有し、循環手段は、前記純水循環ライン上に介装されているので、水位検出手段の水位に応じて純水循環ラインの循環水量を制御することにより、高純度の純水を常時純水タンクに供給することが可能となる。
【0024】
また、水位検出手段の検出結果に応じ、純水タンクに供給される供給水量と、前記循環手段により系内を循環する循環水量との比率を制御する循環比率制御手段を有しているので、純水タンクの水位が上昇するのに伴い、純水の純水タンクへの供給量を低減することが可能となり、水位の上昇速度を小さくすることが可能となる。したがって水面が波打つこともなく安定化させることが可能となり、上述した作用効果に加え、純水タンクの水位変動に伴う空気中のCO2の再溶存による純水純度の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る純水製造システムの一実施の形態(第1の実施の形態)を示すシステム構成図である。
【図2】EDI装置の内部構造を模式的に示した図である。
【図3】前記純水製造システムの制御系を示すブロック構成図である。
【図4】上記純水製造システムの制御手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る純水製造システムの第2の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図6】第2の実施の形態の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】水位〜Q1/Q2比マップである。
【図8】本発明に係る純水製造システムの第3の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図9】本発明に係る純水製造システムの第4の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図10】本発明に係る純水製造システムの第5の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図11】特許文献1に記載された純水製造システムの概略システム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき詳説する。
【0027】
図1は本発明に係る純水製造システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
【0028】
該純水製造システムは、原水供給ライン1からの原水を軟水化して被処理水を生成する軟水装置2と、該軟水装置2で生成された被処理水を貯留する被処理水タンク3と、被処理水ライン4から供給される被処理水を処理して純水を生成する純水装置5と、該純水装置5で生成された純水を純水ライン6を介して貯留する純水タンク7とを備えている。
【0029】
純水タンク7は、給水ライン8を介して熱交換器等の外部機器に接続され、純水を前記外部機器に給水する一方、循環水ライン9を介して純水タンク7内の純水が被処理水タンク3に還流可能となるように構成されている。すなわち、循環水ライン9には循環弁10及び循環ポンプ(循環手段)11が介装され、必要に応じて純水タンク7内の純水が被処理水タンク3に還流される。
【0030】
また、純水タンク7の下部には圧力検知式の水位センサ12が設けられ、純水タンク7内の水頭を検知して、その検知信号を後述する制御部に送信する。
【0031】
また、軟水装置2は、イオン交換樹脂塔内にナトリウム型の陽イオン交換樹脂(不図示)が収容されており、イオン交換樹脂塔に併設された塩水タンク(不図示)内には飽和食塩水が貯留されている。この軟水装置2では、通水モード時に原水供給ライン1から原水が供給される。そして、原水に含まれる硬度成分、すなわちカルシウムイオン及びマグネシウムイオンが、陽イオン交換樹脂のナトリウムイオンとイオン交換されて除去され、軟水化された被処理水となって被処理水タンク3に貯留される。また、軟水装置2の陽イオン交換樹脂の交換能力が飽和状態になると、軟水装置2は通水モードから再生モードに切り替えられて飽和食塩水が前記塩水タンクから供給され、これにより陽イオン交換樹脂の再生が行われる。そして再生処理が終了すると、再び通水モードとなって原水が供給可能状態となる。
【0032】
また、純水装置5は、本実施の形態では、RO装置13とEDI装置14とで構成されている。
【0033】
RO装置13は、例えばスパイラル形状に巻回されたRO膜エレメント(以下、「RO膜」という。)15aを内蔵したROモジュール15と、加圧ポンプ16とを有している。また、ROモジュール15は、被処理水が供給される一次側とRO膜15aを透過した透過水を出力する二次側とに分離されている。さらに、RO装置13には、RO膜15aを透過しなかった濃縮水の一部を原水側に還流するRO循環水ライン17と、前記濃縮水の残部を系外に排水する排水ライン18とが接続されている。RO循環水ライン17は、具体的には、排水ライン18の途中から分岐されて前記加圧ポンプ16の上流側に接続されると共に、該RO循環水ライン17には定流量制御弁(不図示)が介装され、濃縮水の一部が被処理水タンク3からの被処理水と合流し、ROモジュール15に供給されるように構成されている。尚、排水ライン18には排水弁19が介装されている。
【0034】
このように構成されたRO装置13では、加圧ポンプ16を駆動し、RO膜15aに一次側から浸透圧以上の高圧が負荷されると、溶存塩類やシリカ(SiO2)が除去された高純度の透過水が二次側に出水する。また、RO膜15aを透過しなかった濃縮水の一部はRO循環水ライン17を介して加圧ポンプ16に還流され、残りは排水弁19から排水される。
【0035】
また、EDI装置14は、RO装置13から供給される透過水を処理するEDI装置本体21を有し、前記透過水ライン20には給水ポンプ22が介装されている。
【0036】
EDI装置本体21は、具体的には図2に示すように、陽極23と陰極24とを有し、陽極23と陰極24との間には陰イオン交換膜25と陽イオン交換膜26とが交互に多数列設されている。そして、陽極23と該陽極23に隣接する陰イオン交換膜25とで陽極室27を形成し、陰極24と該陰極24に隣接する陽イオン交換膜26とで陰極室28を形成し、陰イオン交換膜25と陽イオン交換膜26とで、図中左側から脱塩室29及び濃縮室30が交互に形成され、かつ各脱塩室29には、陽イオン交換体と陰イオン交換体の混合物からなるイオン交換体31が充填されている。また、脱塩室29は純水ライン6に接続される一方、陽極室27及び陰極室28は電極水ライン32に接続され、排水弁33を介して系外に排水される。また、濃縮室30は濃縮水ライン34に接続され、排水弁35を介して系外に排水される。尚、濃縮水ライン34からの濃縮水は、被処理水よりも純度が高いので、被処理水タンク3又は被処理水ライン4に合流させ、全量を回収するように構成するのも好ましい。また、図2では陽極室27又は陰極室28内の濃縮された水は電極水ライン32から全量排水されるように構成されているが、全量排水せずに一部を被処理水タンク3又は被処理水ライン4に合流するように構成してもよい。
【0037】
このように構成されたEDI装置14では、陽極23と陰極24との間に直流電圧を印加すると、脱塩室29に入水してきた透過水中のイオン成分は、イオン交換体31の表面を電位の方向に移動する。すなわち、陰イオンは陰イオン交換膜25を通過して陽極室27又は濃縮室30に移動し、一方、陽イオンは陽イオン交換膜26を通過して陰極室28又は濃縮室30に移動し、これらイオン成分を含んだ濃縮水は電極水ライン32又は濃縮水ライン34を介して系外に排出される。
【0038】
このようにして脱塩室29に供給された透過水中の微量のイオン成分は、脱イオン処理された高純度の純水となり、純水供給ライン6から純水タンク7に給水される。
【0039】
図3は上記純水製造システムの制御系を示すブロック構成図である。
【0040】
制御部36は、軟水装置2、RO装置13、EDI装置14との間でインターフェース動作を司り、水位センサ12からの電気信号を受信すると共に、循環弁10や循環ポンプ11に駆動信号を送信する入出力部37と、所定の演算プログラム等が格納されたROM38と、演算結果を一時的に記憶したりワークエリアとして使用されるRAM39と、システム全体を制御するCPU40とを備えている。
【0041】
上記純水製造システムでは、RO装置13とEDI装置14とを連動させて駆動すると共に、循環水ライン9を循環する循環水量がEDI装置14から出力される純水の供給水量よりも多くなるように、循環水量及び供給水量の少なくともいずれか一方を制御し、かつ水位センサ12により検出される水位に応じて循環ポンプ11の駆動を制御し、これにより純水装置5(RO装置13及びEDI装置14)で生成された純水を純水タンク7に連続供給している。
【0042】
具体的には、制御部36は、水位センサ12によって検出される水位が所定上限値Hに上昇したときは循環ポンプ11を駆動し、水位が所定下限値L以下に低下したときは循環ポンプ11の駆動を停止する駆動制御手段を有している。
【0043】
図4は上記純水製造システムの制御手順を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS1では、純水装置5を駆動する。尚、このとき、軟水装置2も駆動させる。そして、ステップS2では、循環ポンプ11が停止していることを確認する。そして、純水装置5で生成された純水の純水タンク7への供給が開始し、続くステップS3では純水タンク7の水位が所定上限水位Hまで上昇したか否かを判断する。そして、その答が否定(No)のとき、すなわち、純水タンク7の水位が所定上限水位Hまで上昇していないときは、循環ポンプ11を停止させた状態で純水タンク7には純水装置5からの純水を供給し続ける。
【0045】
ステップS3の答が肯定(Yes)、すなわち、純水タンク7の水位が所定上限水位Hまで上昇したときは、循環ポンプ11を駆動させ、純水タンク7内の純水の一部を循環水ライン9を介して被処理水タンク3に還流させ、純水タンク7の水位を低下させる。
【0046】
そして、ステップS5では、純水タンク7の水位が所定下限水位L以下か否かを判断し、その答が否定(No)のときは循環ポンプ11の駆動を継続する一方、ステップS5の答が肯定(Yes)の場合はステップS2に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0047】
このように本実施の形態では、純水装置5が駆動した後は、純水タンク7の水位に応じて循環ポンプ11をオン・オフ制御し、これにより純水装置5を連続運転し、純水を純水タンク7に連続供給しているので、純水タンク7内の純水は常に一定の高純度を有しており、したがって、一定の高純度を有する純水を常時、ボイラー等の外部機器に供給することができる。
【0048】
図5は、本発明に係る純水製造システムの第2の実施の形態を示すシステム構成図である。
【0049】
本第2の実施の形態では、純水供給ライン41から純水循環ライン42を分岐させ、該循環水ライン42が被処理水タンク3に接続されている。
【0050】
また、純水供給ライン41には純水供給量Q1を調整する給水量調整弁43が設けられ、循環水ライン42には循環水量Q2を調整する循環水量調整弁44が設けられている。
【0051】
また、図3の制御部36のROM38には、純水タンク7の水位と、純水供給量Q1と循環水量Q2との比Q1/Q2との関係を示す水位〜Q1/Q2マップが格納されている。そして、純水装置5が連続運転可能となるように純水タンク7の水位に応じたQ1/Q2比を算出し、給水量調整弁43及び循環水量調整弁44の弁開度を調整して純水タンク7の水位に最適な純水量を純水タンク7に供給している。
【0052】
図6は第2の実施の形態の制御手順を示すフローチャートである。
【0053】
まず、ステップS11で純水装置5を駆動させた後、ステップS12でROM38に格納されている水位〜Q1/Q2比マップを検索する。
【0054】
水位〜Q1/Q2比マップは、具体的には図7に示すように、水位が上昇するに伴い、純水タンク7への純水供給量Q1が少なくなるように、Q1/Q2比が設定されている。
【0055】
そして、ステップS12では、水位〜Q1/Q2比マップを検索して純水タンク7の水位に応じたQ1/Q2比を算出する。次いで、ステップS13では算出されたQ1/Q2比に基づいて給水量調整弁43及び循環水量調整弁44のうちの少なくとも一方を制御し、ステップS12に戻る。
【0056】
このように本第2の実施の形態では、EDI装置14と純水タンク7とを接続する純水供給ライン41と、純水供給ライン41から分岐した純水循環ライン42とを有しているので、水位センサ12の水位に応じて純水循環ライン42の循環水量を制御することにより、高純度の純水を常時純水タンクに供給することが可能となる。
【0057】
また、水位センサ12の検出結果に応じ、給水量調整弁43により純水タンク7に供給される純水供給量と、循環水量調整弁44により系内を循環する循環水量との比率を制御しているので、純水タンク7の水位が上昇するに伴い、純水の純水タンク7への純水供給量を低減することが可能となる。すなわち、水位の上昇速度を小さくすることができるので、水面を波打つことなく安定させることが可能となり、第1の実施の形態に記載した作用効果に加え、純水タンク7の水位変動に伴う空気中のCO2の再溶存による純水純度の低下を抑制することが可能となる。
【0058】
図8は、本発明に係る純水製造システムの第3の実施の形態を示すシステム構成図である。
【0059】
この第3の実施の形態では、純水装置5′が、イオン交換樹脂塔45とEDI装置14とで構成されている。すなわち、RO装置13に代えてイオン交換樹脂塔45が設けられており、この場合も、上記第1の実施の形態で示した制御を行なうことにより、常に所望水質の純水を外部機器に給水することが可能となる。
【0060】
このように純水装置としては、種々の形態のものを使用することができる。例えば、上記各実施の形態では、純水装置としてRO装置13を使用しているが、ナノろ過膜装置を使用する場合も同様であり、また、電気透析装置等、他の純水装置を使用する場合も同様であるのはいうまでもない。
【0061】
また、純水装置は、少なくとも一つ以上備えていればよく、単独、又は複数の種々の組み合わせが可能である。
【0062】
図9は、本発明に係る純水製造システムの第4の実施の形態を示すシステム構成図である。
【0063】
本第4の実施の形態では、RO装置13とEDI装置14の間に被処理水タンク3が介装されている。
【0064】
すなわち、上記第1〜第3の実施の形態では、2個の純水装置(RO装置13又はイオン交換樹脂塔45、及びEDI装置14)の最上流の上流側に被処理水タンク3を設けているが、この第4の実施の形態では、2個の純水装置の中間に被処理水タンク3を介装している。
【0065】
このように純水タンク7内の純水を循環できればよいのであって、必ずしも最上流の純水装置の上流側でなくてもよく、少なくとも一つの純水装置の上流側に純水を還流できればよい。
【0066】
図10は、本発明に係る純水製造システムの第5の実施の形態を示すシステム構成図である。
【0067】
本第5の実施の形態では、被処理水タンクを設けずに被処理水ライン4に純水を還流している。すなわち、循環水ライン9′は、中間に分岐ライン46が設けられ、かつ該分岐ライン46に排水弁47が介装されている。そして、例えば、純水装置5の停止中に循環ポンプ11が駆動したときは、排水弁47を開弁して排水し、純水装置5の駆動中に循環ポンプ11が駆動したときは、排水弁47を閉弁状態として被処理水ライン4に還流し、これにより純水を循環制御している。
【0068】
さらに、本発明は種々の変形が可能である。上記第3〜第5の実施の形態では、いずれも純水タンク7に循環水ライン9、9′を設け、純水タンク7内の純水を循環させて純水装置5からの純水を連続供給するようしているが、第2の実施の形態のように、純水供給ライン41から分岐した純水循環ライン42を設け、純水供給ライン41上に給水量調整弁43を、また純水循環ライン42上に循環水調整弁44を介装して、純水供給量と循環水量との比率を制御し、これにより純水タンク7への純水の連続供給を確保してもよいのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、純水を純水タンクに連続供給するようにして純水タンク内の純水を常に所望純度に維持し、所望水質の純水を熱交換器等の外部機器に給水するシステムに有用である。
【符号の説明】
【0070】
5 純水装置
7 純水タンク
11 循環ポンプ(循環手段)
12 水位センサ(水位検出手段)
13 RO装置
14 EDI装置
36 制御部
45 イオン交換樹脂塔
【技術分野】
【0001】
本発明は純水製造システムに関し、より詳しくは、逆浸透膜装置(以下、「RO装置」という。)や電気再生式脱塩装置(以下、「EDI装置」という。)等の純水装置で製造された純水を純水タンクに貯留し、該純水タンクに貯留された純水を熱交換器等の外部機器に給水する純水製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱交換器、冷却塔、ボイラー用水、医療器具等の洗浄用水などには高純度に精製された純水が使用されている。
【0003】
この種の純水製造システムでは、通常、地下水や井戸水等の原水をRO装置やEDI装置で処理して純水(処理水)を生成し、この生成された純水を純水タンク(処理水タンク)に貯留している。
【0004】
例えば、特許文献1には、図11に示すように、EDI装置101の純水出口側に設けた純水流出ライン102に純水供給ライン103と純水循環ライン104を分岐して接続し、純水の流路を純水供給ライン103又は純水循環ライン104に切り替えるための流路切替手段105を設置し、純水供給ライン103に純水タンク106を接続して該純水タンク106内に貯留された純水を外部機器に送るようにし、RO装置107の後段のEDI装置101を連続的に運転すると共に、純水供給ライン103に送られる純水の量に応じて、純水を純水供給ライン103に送る制御と、純水を純水循環ライン104に送る制御とを行うようにした電気脱イオン法による被処理水の処理方法が提案されている。
【0005】
すなわち、外部機器に接続された給水ライン108の通過水量に応じてEDI装置101をオン・オフ制御すると、EDI装置101の運転時間が短い場合は、EDI装置101内の脱塩室に収容されたイオン交換樹脂の再生が不完全となる。したがって、この状態でEDI装置101の運転を再開すると、イオン交換樹脂のイオン交換能力が低下した状態で再運転されるため、純水の純度低下を招くおそれがある。
【0006】
このため特許文献1では、EDI装置101を連続運転する一方で、純水タンク101内の水位が所定上限レベルに達したときは、流路切替手段105により純水流路を純水循環ライン104に切り替え、純水を被処理水供給ライン109に還流させている。そして、これによりEDI装置101内の脱塩室に収容されたイオン交換樹脂は、常に再生された状態を維持することが可能となり、純水の純度低下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3273718号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、純水タンク106への純水の供給をタンク水位に応じて流路切替手段105で切り替えることにより、EDI装置101を連続運転しているものの、純水タンク106内の水位が所定上限レベルに達すると、水位が所定下限レベルに低下するまで、純水タンク106への純水供給は停止し、純水は純水タンク106に供給されなくなる。そして、純水タンク106が外気と接している場合、給水ライン108に接続される外部機器の長時間停止等により純水タンク106内での純水の滞留時間が長くなると、大気中のCO2が純水内に溶解し、その結果、純水の純度低下を招くおそれがある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、純水装置の初期起動時から純水を純水タンクに連続供給し、これにより常に高純度の純水を外部機器に給水することができる純水製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る純水製造システムは、純水を生成する少なくとも一つ以上の純水装置と、該純水装置で生成された純水を貯留する純水タンクと、該純水タンクの水位を検出する水位検出手段と、前記純水装置で生成された純水を系内に循環させる循環手段と、前記水位検出手段により検出される水位に応じて前記循環手段を制御し、前記純水装置で生成された前記純水を前記純水タンクに連続供給する連続供給手段とを有していることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の純水製造システムは、前記循環手段が、前記純水タンクに接続されていることを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明の純水製造システムは、前記連続供給手段が、前記水位検出手段によって検出される水位が所定上限値に上昇したときは前記循環手段を駆動し、前記水位が所定下限値以下に低下したときは前記循環手段の駆動を停止する駆動制御手段を有していることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の純水製造システムは、前記循環手段により前記系内を循環する循環水量が前記純水装置から出力される純水の供給水量よりも多くなるように、前記循環水量及び前記供給水量の少なくともいずれか一方を制御する水量制御手段を有していることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の純水製造システムは、前記純水装置と前記純水タンクとを接続する純水供給ラインと、該純水供給ラインから分岐した純水循環ラインとを有し、前記循環手段は、前記純水循環ライン上に介装されていることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の純水製造システムは、前記水位検出手段の検出結果に応じ、前記純水タンクに供給される供給水量と、前記循環手段により系内を循環する循環水量との比率を制御する循環比率制御手段を有していることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の純水製造システムは、前記純水装置は、EDI装置、RO装置、ナノろ過膜装置、及びイオン交換樹脂塔のうちの少なくとも一つ以上を含むことを特徴としている。
【0017】
さらに、本発明の純水製造システムは、前記純水装置の上流側に被処理水タンクが設けられ、前記循環手段は前記被処理水タンクに接続されていることを特徴としている。
【0018】
また、本発明の純水製造システムは、前記純水装置が複数設けられている場合は、最上流の純水装置の上流側又は前記純水装置間に被処理水タンクが設けられ、前記循環手段は前記被処理水タンクに接続されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
上記純水製造システムによれば、純水を生成する少なくとも一つ以上の純水装置(EDI装置、RO装置、ナノろ過膜装置、イオン交換樹脂塔等)と、該純水装置で生成された純水を貯留する純水タンクと、該純水タンクの水位を検出する水位検出手段と、前記純水装置で生成された純水を系内に循環させる循環手段と、前記水位検出手段により検出される水位に応じて前記循環手段を制御し、前記純水装置で生成された前記純水を前記純水タンクに連続供給する連続供給手段とを有しているので、初期起動時から純水装置が停止することなく、純水装置で生成された純水を連続的に純水タンクに供給することが可能となる。したがって、純水タンク内の純水は常に高純度を維持することができ、所望の高純度を有する純水を熱交換器等の外部機器に常に給水することが可能となる。
【0020】
また、循環手段が、純水タンクに接続されているので、水位検出手段により検出される水位に応じて循環手段の駆動を制御することにより、純水装置で生成された純水を連続的に純水タンクに供給することができる。
【0021】
また、前記連続供給手段が、前記水位検出手段によって検出される水位が所定上限値に上昇したときは前記循環手段を駆動し、前記水位が所定下限値以下に低下したときは前記循環手段の駆動を停止する駆動制御手段を有しているので、所定上限値と所定下限値の間で循環手段をオン・オフ制御することにより、純水装置で生成された純水を容易に連続的に純水タンクに供給することができる。
【0022】
さらに、循環手段により系内を循環する循環水量が純水装置から出力される純水の供給水量よりも多くなるように、循環水量及び供給水量の少なくともいずれか一方を制御する水量制御手段を有しているので、循環手段のオン・オフ制御を円滑に行なうことができる。
【0023】
また、純水装置と純水タンクとを接続する純水供給ラインと、該純水供給ラインから分岐した純水循環ラインとを有し、循環手段は、前記純水循環ライン上に介装されているので、水位検出手段の水位に応じて純水循環ラインの循環水量を制御することにより、高純度の純水を常時純水タンクに供給することが可能となる。
【0024】
また、水位検出手段の検出結果に応じ、純水タンクに供給される供給水量と、前記循環手段により系内を循環する循環水量との比率を制御する循環比率制御手段を有しているので、純水タンクの水位が上昇するのに伴い、純水の純水タンクへの供給量を低減することが可能となり、水位の上昇速度を小さくすることが可能となる。したがって水面が波打つこともなく安定化させることが可能となり、上述した作用効果に加え、純水タンクの水位変動に伴う空気中のCO2の再溶存による純水純度の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る純水製造システムの一実施の形態(第1の実施の形態)を示すシステム構成図である。
【図2】EDI装置の内部構造を模式的に示した図である。
【図3】前記純水製造システムの制御系を示すブロック構成図である。
【図4】上記純水製造システムの制御手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る純水製造システムの第2の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図6】第2の実施の形態の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】水位〜Q1/Q2比マップである。
【図8】本発明に係る純水製造システムの第3の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図9】本発明に係る純水製造システムの第4の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図10】本発明に係る純水製造システムの第5の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図11】特許文献1に記載された純水製造システムの概略システム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき詳説する。
【0027】
図1は本発明に係る純水製造システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
【0028】
該純水製造システムは、原水供給ライン1からの原水を軟水化して被処理水を生成する軟水装置2と、該軟水装置2で生成された被処理水を貯留する被処理水タンク3と、被処理水ライン4から供給される被処理水を処理して純水を生成する純水装置5と、該純水装置5で生成された純水を純水ライン6を介して貯留する純水タンク7とを備えている。
【0029】
純水タンク7は、給水ライン8を介して熱交換器等の外部機器に接続され、純水を前記外部機器に給水する一方、循環水ライン9を介して純水タンク7内の純水が被処理水タンク3に還流可能となるように構成されている。すなわち、循環水ライン9には循環弁10及び循環ポンプ(循環手段)11が介装され、必要に応じて純水タンク7内の純水が被処理水タンク3に還流される。
【0030】
また、純水タンク7の下部には圧力検知式の水位センサ12が設けられ、純水タンク7内の水頭を検知して、その検知信号を後述する制御部に送信する。
【0031】
また、軟水装置2は、イオン交換樹脂塔内にナトリウム型の陽イオン交換樹脂(不図示)が収容されており、イオン交換樹脂塔に併設された塩水タンク(不図示)内には飽和食塩水が貯留されている。この軟水装置2では、通水モード時に原水供給ライン1から原水が供給される。そして、原水に含まれる硬度成分、すなわちカルシウムイオン及びマグネシウムイオンが、陽イオン交換樹脂のナトリウムイオンとイオン交換されて除去され、軟水化された被処理水となって被処理水タンク3に貯留される。また、軟水装置2の陽イオン交換樹脂の交換能力が飽和状態になると、軟水装置2は通水モードから再生モードに切り替えられて飽和食塩水が前記塩水タンクから供給され、これにより陽イオン交換樹脂の再生が行われる。そして再生処理が終了すると、再び通水モードとなって原水が供給可能状態となる。
【0032】
また、純水装置5は、本実施の形態では、RO装置13とEDI装置14とで構成されている。
【0033】
RO装置13は、例えばスパイラル形状に巻回されたRO膜エレメント(以下、「RO膜」という。)15aを内蔵したROモジュール15と、加圧ポンプ16とを有している。また、ROモジュール15は、被処理水が供給される一次側とRO膜15aを透過した透過水を出力する二次側とに分離されている。さらに、RO装置13には、RO膜15aを透過しなかった濃縮水の一部を原水側に還流するRO循環水ライン17と、前記濃縮水の残部を系外に排水する排水ライン18とが接続されている。RO循環水ライン17は、具体的には、排水ライン18の途中から分岐されて前記加圧ポンプ16の上流側に接続されると共に、該RO循環水ライン17には定流量制御弁(不図示)が介装され、濃縮水の一部が被処理水タンク3からの被処理水と合流し、ROモジュール15に供給されるように構成されている。尚、排水ライン18には排水弁19が介装されている。
【0034】
このように構成されたRO装置13では、加圧ポンプ16を駆動し、RO膜15aに一次側から浸透圧以上の高圧が負荷されると、溶存塩類やシリカ(SiO2)が除去された高純度の透過水が二次側に出水する。また、RO膜15aを透過しなかった濃縮水の一部はRO循環水ライン17を介して加圧ポンプ16に還流され、残りは排水弁19から排水される。
【0035】
また、EDI装置14は、RO装置13から供給される透過水を処理するEDI装置本体21を有し、前記透過水ライン20には給水ポンプ22が介装されている。
【0036】
EDI装置本体21は、具体的には図2に示すように、陽極23と陰極24とを有し、陽極23と陰極24との間には陰イオン交換膜25と陽イオン交換膜26とが交互に多数列設されている。そして、陽極23と該陽極23に隣接する陰イオン交換膜25とで陽極室27を形成し、陰極24と該陰極24に隣接する陽イオン交換膜26とで陰極室28を形成し、陰イオン交換膜25と陽イオン交換膜26とで、図中左側から脱塩室29及び濃縮室30が交互に形成され、かつ各脱塩室29には、陽イオン交換体と陰イオン交換体の混合物からなるイオン交換体31が充填されている。また、脱塩室29は純水ライン6に接続される一方、陽極室27及び陰極室28は電極水ライン32に接続され、排水弁33を介して系外に排水される。また、濃縮室30は濃縮水ライン34に接続され、排水弁35を介して系外に排水される。尚、濃縮水ライン34からの濃縮水は、被処理水よりも純度が高いので、被処理水タンク3又は被処理水ライン4に合流させ、全量を回収するように構成するのも好ましい。また、図2では陽極室27又は陰極室28内の濃縮された水は電極水ライン32から全量排水されるように構成されているが、全量排水せずに一部を被処理水タンク3又は被処理水ライン4に合流するように構成してもよい。
【0037】
このように構成されたEDI装置14では、陽極23と陰極24との間に直流電圧を印加すると、脱塩室29に入水してきた透過水中のイオン成分は、イオン交換体31の表面を電位の方向に移動する。すなわち、陰イオンは陰イオン交換膜25を通過して陽極室27又は濃縮室30に移動し、一方、陽イオンは陽イオン交換膜26を通過して陰極室28又は濃縮室30に移動し、これらイオン成分を含んだ濃縮水は電極水ライン32又は濃縮水ライン34を介して系外に排出される。
【0038】
このようにして脱塩室29に供給された透過水中の微量のイオン成分は、脱イオン処理された高純度の純水となり、純水供給ライン6から純水タンク7に給水される。
【0039】
図3は上記純水製造システムの制御系を示すブロック構成図である。
【0040】
制御部36は、軟水装置2、RO装置13、EDI装置14との間でインターフェース動作を司り、水位センサ12からの電気信号を受信すると共に、循環弁10や循環ポンプ11に駆動信号を送信する入出力部37と、所定の演算プログラム等が格納されたROM38と、演算結果を一時的に記憶したりワークエリアとして使用されるRAM39と、システム全体を制御するCPU40とを備えている。
【0041】
上記純水製造システムでは、RO装置13とEDI装置14とを連動させて駆動すると共に、循環水ライン9を循環する循環水量がEDI装置14から出力される純水の供給水量よりも多くなるように、循環水量及び供給水量の少なくともいずれか一方を制御し、かつ水位センサ12により検出される水位に応じて循環ポンプ11の駆動を制御し、これにより純水装置5(RO装置13及びEDI装置14)で生成された純水を純水タンク7に連続供給している。
【0042】
具体的には、制御部36は、水位センサ12によって検出される水位が所定上限値Hに上昇したときは循環ポンプ11を駆動し、水位が所定下限値L以下に低下したときは循環ポンプ11の駆動を停止する駆動制御手段を有している。
【0043】
図4は上記純水製造システムの制御手順を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS1では、純水装置5を駆動する。尚、このとき、軟水装置2も駆動させる。そして、ステップS2では、循環ポンプ11が停止していることを確認する。そして、純水装置5で生成された純水の純水タンク7への供給が開始し、続くステップS3では純水タンク7の水位が所定上限水位Hまで上昇したか否かを判断する。そして、その答が否定(No)のとき、すなわち、純水タンク7の水位が所定上限水位Hまで上昇していないときは、循環ポンプ11を停止させた状態で純水タンク7には純水装置5からの純水を供給し続ける。
【0045】
ステップS3の答が肯定(Yes)、すなわち、純水タンク7の水位が所定上限水位Hまで上昇したときは、循環ポンプ11を駆動させ、純水タンク7内の純水の一部を循環水ライン9を介して被処理水タンク3に還流させ、純水タンク7の水位を低下させる。
【0046】
そして、ステップS5では、純水タンク7の水位が所定下限水位L以下か否かを判断し、その答が否定(No)のときは循環ポンプ11の駆動を継続する一方、ステップS5の答が肯定(Yes)の場合はステップS2に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0047】
このように本実施の形態では、純水装置5が駆動した後は、純水タンク7の水位に応じて循環ポンプ11をオン・オフ制御し、これにより純水装置5を連続運転し、純水を純水タンク7に連続供給しているので、純水タンク7内の純水は常に一定の高純度を有しており、したがって、一定の高純度を有する純水を常時、ボイラー等の外部機器に供給することができる。
【0048】
図5は、本発明に係る純水製造システムの第2の実施の形態を示すシステム構成図である。
【0049】
本第2の実施の形態では、純水供給ライン41から純水循環ライン42を分岐させ、該循環水ライン42が被処理水タンク3に接続されている。
【0050】
また、純水供給ライン41には純水供給量Q1を調整する給水量調整弁43が設けられ、循環水ライン42には循環水量Q2を調整する循環水量調整弁44が設けられている。
【0051】
また、図3の制御部36のROM38には、純水タンク7の水位と、純水供給量Q1と循環水量Q2との比Q1/Q2との関係を示す水位〜Q1/Q2マップが格納されている。そして、純水装置5が連続運転可能となるように純水タンク7の水位に応じたQ1/Q2比を算出し、給水量調整弁43及び循環水量調整弁44の弁開度を調整して純水タンク7の水位に最適な純水量を純水タンク7に供給している。
【0052】
図6は第2の実施の形態の制御手順を示すフローチャートである。
【0053】
まず、ステップS11で純水装置5を駆動させた後、ステップS12でROM38に格納されている水位〜Q1/Q2比マップを検索する。
【0054】
水位〜Q1/Q2比マップは、具体的には図7に示すように、水位が上昇するに伴い、純水タンク7への純水供給量Q1が少なくなるように、Q1/Q2比が設定されている。
【0055】
そして、ステップS12では、水位〜Q1/Q2比マップを検索して純水タンク7の水位に応じたQ1/Q2比を算出する。次いで、ステップS13では算出されたQ1/Q2比に基づいて給水量調整弁43及び循環水量調整弁44のうちの少なくとも一方を制御し、ステップS12に戻る。
【0056】
このように本第2の実施の形態では、EDI装置14と純水タンク7とを接続する純水供給ライン41と、純水供給ライン41から分岐した純水循環ライン42とを有しているので、水位センサ12の水位に応じて純水循環ライン42の循環水量を制御することにより、高純度の純水を常時純水タンクに供給することが可能となる。
【0057】
また、水位センサ12の検出結果に応じ、給水量調整弁43により純水タンク7に供給される純水供給量と、循環水量調整弁44により系内を循環する循環水量との比率を制御しているので、純水タンク7の水位が上昇するに伴い、純水の純水タンク7への純水供給量を低減することが可能となる。すなわち、水位の上昇速度を小さくすることができるので、水面を波打つことなく安定させることが可能となり、第1の実施の形態に記載した作用効果に加え、純水タンク7の水位変動に伴う空気中のCO2の再溶存による純水純度の低下を抑制することが可能となる。
【0058】
図8は、本発明に係る純水製造システムの第3の実施の形態を示すシステム構成図である。
【0059】
この第3の実施の形態では、純水装置5′が、イオン交換樹脂塔45とEDI装置14とで構成されている。すなわち、RO装置13に代えてイオン交換樹脂塔45が設けられており、この場合も、上記第1の実施の形態で示した制御を行なうことにより、常に所望水質の純水を外部機器に給水することが可能となる。
【0060】
このように純水装置としては、種々の形態のものを使用することができる。例えば、上記各実施の形態では、純水装置としてRO装置13を使用しているが、ナノろ過膜装置を使用する場合も同様であり、また、電気透析装置等、他の純水装置を使用する場合も同様であるのはいうまでもない。
【0061】
また、純水装置は、少なくとも一つ以上備えていればよく、単独、又は複数の種々の組み合わせが可能である。
【0062】
図9は、本発明に係る純水製造システムの第4の実施の形態を示すシステム構成図である。
【0063】
本第4の実施の形態では、RO装置13とEDI装置14の間に被処理水タンク3が介装されている。
【0064】
すなわち、上記第1〜第3の実施の形態では、2個の純水装置(RO装置13又はイオン交換樹脂塔45、及びEDI装置14)の最上流の上流側に被処理水タンク3を設けているが、この第4の実施の形態では、2個の純水装置の中間に被処理水タンク3を介装している。
【0065】
このように純水タンク7内の純水を循環できればよいのであって、必ずしも最上流の純水装置の上流側でなくてもよく、少なくとも一つの純水装置の上流側に純水を還流できればよい。
【0066】
図10は、本発明に係る純水製造システムの第5の実施の形態を示すシステム構成図である。
【0067】
本第5の実施の形態では、被処理水タンクを設けずに被処理水ライン4に純水を還流している。すなわち、循環水ライン9′は、中間に分岐ライン46が設けられ、かつ該分岐ライン46に排水弁47が介装されている。そして、例えば、純水装置5の停止中に循環ポンプ11が駆動したときは、排水弁47を開弁して排水し、純水装置5の駆動中に循環ポンプ11が駆動したときは、排水弁47を閉弁状態として被処理水ライン4に還流し、これにより純水を循環制御している。
【0068】
さらに、本発明は種々の変形が可能である。上記第3〜第5の実施の形態では、いずれも純水タンク7に循環水ライン9、9′を設け、純水タンク7内の純水を循環させて純水装置5からの純水を連続供給するようしているが、第2の実施の形態のように、純水供給ライン41から分岐した純水循環ライン42を設け、純水供給ライン41上に給水量調整弁43を、また純水循環ライン42上に循環水調整弁44を介装して、純水供給量と循環水量との比率を制御し、これにより純水タンク7への純水の連続供給を確保してもよいのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、純水を純水タンクに連続供給するようにして純水タンク内の純水を常に所望純度に維持し、所望水質の純水を熱交換器等の外部機器に給水するシステムに有用である。
【符号の説明】
【0070】
5 純水装置
7 純水タンク
11 循環ポンプ(循環手段)
12 水位センサ(水位検出手段)
13 RO装置
14 EDI装置
36 制御部
45 イオン交換樹脂塔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水を生成する少なくとも一つ以上の純水装置と、該純水装置で生成された純水を貯留する純水タンクと、該純水タンクの水位を検出する水位検出手段と、前記純水装置で生成された純水を系内に循環させる循環手段と、前記水位検出手段により検出される水位に応じて前記循環手段を制御し、前記純水装置で生成された前記純水を前記純水タンクに連続供給する連続供給手段とを有していることを特徴とする純水製造システム。
【請求項2】
前記循環手段は、前記純水タンクに接続されていることを特徴とする請求項1記載の純水製造システム。
【請求項3】
前記連続供給手段は、前記水位検出手段によって検出される水位が所定上限値に上昇したときは前記循環手段を駆動し、前記水位が所定下限値以下に低下したときは前記循環手段の駆動を停止する駆動制御手段を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の純水製造システム。
【請求項4】
前記循環手段により前記系内を循環する循環水量が前記純水装置から出力される純水の供給水量よりも多くなるように、前記循環水量及び前記供給水量の少なくともいずれか一方を制御する水量制御手段を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の純水製造システム。
【請求項5】
前記純水装置と前記純水タンクとを接続する純水供給ラインと、純水供給ラインから分岐した純水循環ラインとを有し、
前記循環手段は、前記純水循環ライン上に介装されていることを特徴とする請求項1記載の純水製造システム。
【請求項6】
前記水位検出手段の検出結果に応じ、前記純水タンクに供給される供給水量と、前記循環手段により系内を循環する循環水量との比率を制御する循環比率制御手段を有していることを特徴とする請求項1又は請求項5記載の純水製造システム。
【請求項7】
前記純水装置は、電気再生式脱塩装置、逆浸透膜装置、ナノろ過膜装置、及びイオン交換樹脂塔のうちの少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の純水製造システム。
【請求項8】
前記純水装置の上流側に被処理水タンクが設けられ、前記循環手段は前記被処理水タンクに接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の純水製造システム。
【請求項9】
前記純水装置が複数設けられている場合は、最上流の純水装置の上流側又は前記純水装置間に被処理水タンクが設けられ、前記循環手段は前記被処理水タンクに接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の純水製造システム。
【請求項1】
純水を生成する少なくとも一つ以上の純水装置と、該純水装置で生成された純水を貯留する純水タンクと、該純水タンクの水位を検出する水位検出手段と、前記純水装置で生成された純水を系内に循環させる循環手段と、前記水位検出手段により検出される水位に応じて前記循環手段を制御し、前記純水装置で生成された前記純水を前記純水タンクに連続供給する連続供給手段とを有していることを特徴とする純水製造システム。
【請求項2】
前記循環手段は、前記純水タンクに接続されていることを特徴とする請求項1記載の純水製造システム。
【請求項3】
前記連続供給手段は、前記水位検出手段によって検出される水位が所定上限値に上昇したときは前記循環手段を駆動し、前記水位が所定下限値以下に低下したときは前記循環手段の駆動を停止する駆動制御手段を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の純水製造システム。
【請求項4】
前記循環手段により前記系内を循環する循環水量が前記純水装置から出力される純水の供給水量よりも多くなるように、前記循環水量及び前記供給水量の少なくともいずれか一方を制御する水量制御手段を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の純水製造システム。
【請求項5】
前記純水装置と前記純水タンクとを接続する純水供給ラインと、純水供給ラインから分岐した純水循環ラインとを有し、
前記循環手段は、前記純水循環ライン上に介装されていることを特徴とする請求項1記載の純水製造システム。
【請求項6】
前記水位検出手段の検出結果に応じ、前記純水タンクに供給される供給水量と、前記循環手段により系内を循環する循環水量との比率を制御する循環比率制御手段を有していることを特徴とする請求項1又は請求項5記載の純水製造システム。
【請求項7】
前記純水装置は、電気再生式脱塩装置、逆浸透膜装置、ナノろ過膜装置、及びイオン交換樹脂塔のうちの少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の純水製造システム。
【請求項8】
前記純水装置の上流側に被処理水タンクが設けられ、前記循環手段は前記被処理水タンクに接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の純水製造システム。
【請求項9】
前記純水装置が複数設けられている場合は、最上流の純水装置の上流側又は前記純水装置間に被処理水タンクが設けられ、前記循環手段は前記被処理水タンクに接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の純水製造システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−20029(P2011−20029A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165722(P2009−165722)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】
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