説明

紙葉類の厚さ検出装置及び紙幣取扱装置

【課題】紙幣取扱装置に搭載可能なテープなどを貼った変造紙幣などを高精度に検出できる紙葉類の厚さ検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】回転駆動される基準ローラ11と、基準ローラ11に押付けられ従動回転する外輪16と回転軸14との間に弾性部材15を充填した検知ローラ6と、検知ローラ6の外輪16に接触して従動回転する蛇行防止ローラ5と、紙葉類4の厚みに応じて上方向に移動する外輪16の動きを検出する変位検出センサ18,19とで構成する。蛇行防止ローラ5を設けることにより、紙葉類4と検知ローラ6との摩擦抵抗による検知ローラ6の傾き或いは蛇行の阻止と、紙葉類4の噛み込み時の検知ローラ6の飛跳ねを抑制する。これにより、テープなどを貼った変造紙幣などを高精度に検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類の厚さ検出装置及び紙幣取扱装置に関する。例えば、紙幣,有価証券,切手及び小切手などに貼られたテープ,紙,シール等を検出するための紙葉類の厚さ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現金自動取引装置に備えられる紙幣取扱装置や自動販売機等のように紙幣を取り扱う装置では、テープ,紙等で変造された紙幣を鑑別することが重要であり、そのための紙幣判別装置が備えられている。
【0003】
このようなテープ,紙等で変造された紙幣等を鑑別する紙幣判別装置として、特許文献1に記載のものがある。この公報に記載の紙葉類の厚さ検出装置は、回転駆動される基準ローラと、基準ローラに外輪が押圧され外輪と回転軸との間を弾性部材で接続し従動回転する検知ローラと、検知ローラの外輪の変位を検出する変位検出センサとを備え、基準ローラと検知ローラの間に紙葉類を搬送させて、外輪の変位量からテープ等を検出し排除する。
【0004】
また、特許文献2の紙葉類検知装置には、検知ローラに接触し検知ローラを基準ローラ方向に押圧する押圧ローラの記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−49442号公報
【特許文献2】特開平7−144792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の装置は、基準ローラと検知ローラの間に紙葉類が通過した場合、検知ローラの外輪と回転軸との間が柔らかい弾性部材で構成されているため検知ローラと紙葉類の摩擦抵抗により検知ローラが搬送方向に傾く或いは蛇行する課題がある。これにより、検知ローラと変位検出センサとの距離が変化するため正確に紙葉類やテープ等の厚みを検出できない課題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載の装置は、検知ローラを押圧する押圧ローラは、自重又は押圧力により検知ローラの上下方向の振動を抑制するものである。また、基準ローラと検知ローラの間に紙葉類が通過した場合、検知ローラが搬送方向に傾くこと或いは蛇行することという課題を想定も開示もしていない。したがって、搬送方向に傾くことを防止する点或いは蛇行を防止する点について考慮されていない。また、検知ローラを回転軸方向に多数配列できるように考慮されていない。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決することを目的とするものであり、検知ローラの搬送方向の傾きや蛇行を防止し、紙葉類やテープ等の厚みを正確に検出できる紙葉類の厚さ検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【0010】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、第一の構成では、前記複数の検知ローラの外輪と接触して回転する蛇行防止ローラを設けることを特徴とする。これにより、検知ローラの搬送方向の傾きや蛇行を阻止する効果がある。また、紙葉類を基準ローラと検知ローラの間に噛み込んだ時の検知ローラの飛跳ねを蛇行防止ローラとの摩擦抵抗により抑制できる効果がある。前記蛇行防止ローラは、例えば、前記複数の検知ローラの回転中心と略同じ高さ、又は、各検知ローラの変位を検出する複数の変位検出センサ側上方に配置される。前記蛇行防止ローラは、例えば、前記複数の検知ローラよりも高い剛性を有する構造であることが望ましい。
【0011】
また、第二の構成では、前記蛇行防止ローラに一定間隔に凸状のローラ部を設け、前記凸状のローラ部を前記隣接する検知ローラ間の隙間に前記凸状のローラ部を挿入し、前記凸状のローラ部の側面と前記検知ローラの外輪の側面とを接触させながら回転する。これにより、検知ローラの搬送方向の傾きや蛇行を阻止する効果がある。また、紙葉類を基準ローラと検知ローラの間に噛み込んだ時の検知ローラの飛跳ねを蛇行防止ローラとの摩擦抵抗により抑制できる効果がある。
【0012】
また、第三の構成では、前記蛇行防止ローラを前記検知ローラの外輪を挟んで両側に配置する。蛇行防止ローラと検知ローラの外輪と接触が2箇所となるため、検知ローラの搬送方向の傾きや蛇行を阻止する効果が向上する。また、紙葉類を基準ローラと検知ローラの間に噛み込んだ時の検知ローラの飛跳ねを蛇行防止ローラとの抵抗力により抑制できる効果が向上する。
【0013】
また、第四の構成では、蛇行防止ローラの外周の回転速度と検知ローラの外周の回転速度が異なるようにする。これにより、検知ローラに貼り付いた紙粉などを剥ぎ取る清掃効果が向上する。
【0014】
さらに、本発明の紙葉類の厚さ検出装置を紙幣取扱装置に適用することによって、テープ,紙等で変造された紙幣を高精度に鑑別できる紙幣取扱装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、紙葉類の厚さを紙葉類の全面に亘り高精度に検出できる。現金自動取扱装置などに適用し、紙幣が二枚以上重なっている重送及びテープ,紙等で変造された紙幣を高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の紙葉類の厚さ検出装置の一実施例を示す。
【図2】図1の紙葉類の厚さ検出装置を上から見た構成を示す。
【図3】図1の紙葉類の厚さ検出装置を側面から見た構成を示す。
【図4】図1の構成において蛇行防止ローラが無い場合の構成を示す。
【図5】本発明の紙葉類の厚さ検出装置の他の一実施例を示す。
【図6】本発明の紙葉類の厚さ検出装置の他の一実施例を示す。
【図7】本発明の紙葉類の厚さ検出装置の他の一実施例を示す。
【図8】図7の紙葉類の厚さ検出装置を側面から見た構成を示す。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る紙幣取扱装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の紙葉類の厚さ検出装置の一実施例を図1,図2,図3,図4を用いて説明する。図1は紙葉類の厚さ検出装置の略全体構成を示す鳥瞰図である。図2は図1を上側から見た構成を示す。図3は図1を側面から見た構成を示す。図4は図1の構成において蛇行防止ローラ5が無い場合の構成を示す。
【0019】
図1に示す紙葉類の厚さ検出装置1は、回転駆動機構(図示せず)により回転力が図2の歯車29に伝達され回転軸10に設けられた基準ローラ11,12,13が回転するローラ2と、回転軸14に設けられた検知ローラ6,7,8が基準ローラ11,12,13に押付けられて従動回転するローラ3と、回転軸26に設けられたローラ27が検知ローラ6,7,8に接触或いは押付けられて従動回転する蛇行防止ローラ5と、紙葉類4の厚みに応じて上方向に移動する検知ローラ6,7,8の動きを検出する渦電流変位センサなどの変位検出センサ18,19,20,21,22,23で構成される。
【0020】
また、図2に示すように、変位検出センサは1つの検知ローラに対して2個設けられ略両端部に配置されている。例えば、1つの検知ローラ6に対して2個の変位検出センサ18,19が略両端部に配置されている。また、ローラ2,ローラ3,蛇行防止ローラ5の回転軸10,14,26は軸受け28を介して筐体25に軸方向に移動しないように予圧が与えられ取付けられている。また、変位検出センサ18,19,20,21,22,23は回路基板(図示せず)に設けられ回路基板が筐体25に取付けられている。また、基準ローラと検知ローラ間の押付力は、回転軸10と回転軸14の軸間距離で設定する。同様に、検知ローラと蛇行防止ローラ間の押付力は、回転軸14と回転軸26の軸間距離で設定する。なお、蛇行防止ローラ5は回転軸26をばねなどで押圧して検知ローラに押付力を与えることもできる。
【0021】
また、図3に示すように、蛇行防止ローラ5は検知ローラ6の回転中心を通り紙葉類4の搬送方向30と平行な線上で外輪16に接触するように配置されている。また、蛇行防止ローラ5のローラ27には金属ローラ,ゴムローラなどが使用できる。
【0022】
前記検知ローラ6,7,8は、金属などの円筒状部材からなる外輪16と、外輪16と回転軸14との間にはゴムなどの柔らかい弾性部材15が充填されている。また、図2に示すように、前記弾性部材15は、外輪16の両端部に弾性部材15a,15bのように分割して設けることもできる。また、前記弾性部材15と外輪16は、接着または非接着とすることができる。これにより、基準ローラ11,12,13と検知ローラ6,7,8との間に紙葉類4が噛み込まれると弾性部材15が紙葉類の厚み分だけ変形して外輪16が上方向に移動する。この移動量を変位検出センサ18,19,20,21,22,23で検出して紙葉類の厚みに応じた検出信号を出力する。
【0023】
上述したように、前記検知ローラ6,7,8は、弾性による変形により紙葉類の厚みを検知するため、蛇行が生じやすいという課題があるので、蛇行防止ローラ5により、蛇行防止することが紙葉類の厚みを検知精度向上につながる。蛇行防止ローラ5は、全体として前記検知ローラ6,7,8より剛性が高い構造が採用される。例えば、金属又は合成樹脂により回転軸と外輪を一体構造とするなどが望ましい。
【0024】
また、蛇行防止ローラ5を他の駆動装置により駆動回転させることもできる。さらに、蛇行防止ローラ5の外周の回転速度と検知ローラ6,7,8の外周の回転速度が異なるようにすることにより検知ローラ6,7,8に付着した紙粉などの異物を剥ぎ取る清掃効果を向上させることができる。
【0025】
現金自動取扱装置において本実施例の紙葉類の厚さ検出装置を用いる場合、前記検出信号は、現金自動取扱装置の判定処理部(図示せず)に送られる。判定処理部は、検出信号と、紙幣が検知ローラを通過した時のスキュー(搬送方向の傾き),シフト(回転軸方向の位置)の姿勢信号から紙幣が二枚以上重なった重送か、テープ等が貼られた変造券かを判定し、その判定信号を出力する。なお、姿勢信号は、紙幣のスキューがない状態に検出信号を修正するためと、紙幣が検知ローラを通過した位置を求めるために使用する。
【0026】
なお、上記説明では、三組の基準ローラと検知ローラについて説明したが、基準ローラと検知ローラは、紙葉類の全面を検出できるように、紙葉類搬送方向と直角方向に多数配置されている。
【0027】
また、図4に比較例として図1の構成において蛇行防止ローラ5が無い場合の構成を示す。図4に示すように基準ローラ12と検知ローラ7との間に紙葉類4を通過させた場合、紙葉類4と検知ローラ7との摩擦抵抗により検知ローラ7が搬送方向に傾く或いは蛇行する課題がある。このように検知ローラが傾く或いは蛇行した場合、検知ローラ7と変位検出センサ20,21との距離が変化するため正確に紙葉類の厚さを検出できない課題がある。
【0028】
そこで、本実施例では、蛇行防止ローラ5のローラ27を検知ローラに接触或いは押付けることにより検知ローラの傾き或いは蛇行を阻止するようにした。これにより、正確に紙葉類の厚さを検出できる効果がある。また、紙葉類を基準ローラと検知ローラ間に噛み込んだ時の検知ローラの飛跳ねを蛇行防止ローラ5のローラ27との摩擦抵抗により抑制できる効果がある。また、蛇行防止ローラ5のローラ27にゴムローラを使用した場合は検知ローラとの摩擦抵抗が増加するのでより大きな抑制の効果が得られる。
【実施例2】
【0029】
図5に本発明の紙葉類の厚さ検出装置の他の一実施例を示す。図5は図1の構成に回転軸36に設けられたローラ37が検知ローラ6,7,8に接触或いは押付けられて従動回転する蛇行防止ローラ35を蛇行防止ローラ5と対向して設けたものである。なお、図1と同じ符号の説明は省略する。また、図5において蛇行防止ローラ5と蛇行防止ローラ35のいずれか1つのみ使用する構成とすることもできる。
【0030】
このように、蛇行防止ローラ5と蛇行防止ローラ35を対向させて検知ローラに接触或いは押付けることにより検知ローラの傾き或いは蛇行を阻止するようにした。これにより、正確に紙葉類の厚さを検出できる効果がある。また、紙葉類を基準ローラと検知ローラ間に噛み込んだ時の検知ローラの飛跳ねを蛇行防止ローラ5と蛇行防止ローラ35との摩擦抵抗により抑制する効果が向上する。また、蛇行防止ローラ5のローラ27にゴムローラを使用した場合は検知ローラとの摩擦抵抗が増加するのでより大きな抑制の効果が得られる。
【実施例3】
【0031】
図6に本発明の紙葉類の厚さ検出装置の他の一実施例を示す。図6は図5の構成の蛇行防止ローラ5と蛇行防止ローラ35とが検知ローラ6,7,8と接触或いは押付けられて従動回転する位置を変位検出センサ方向へ角度38移動したものである。なお、図1と同じ符号の説明は省略する。また、図6において蛇行防止ローラ5と蛇行防止ローラ35のいずれか1つのみ使用する構成とすることもできる。なお、角度38は0度(符号39)から略10度の範囲で適用できる。また、蛇行防止ローラ5と蛇行防止ローラ35とが検知ローラ6,7,8と接触する位置は水平位置(符号39)から上方向に略2mmの範囲で適用できる。
【0032】
このように、蛇行防止ローラ5と蛇行防止ローラ35をローラ3に接触或いは押付けることにより可動ローラの傾き或いは蛇行を阻止するようにした。これにより、正確に紙葉類の厚さを検出できる効果がある。また、検知ローラが上下方向に移動する範囲内に蛇行防止ローラ5と蛇行防止ローラ35が配置されているので、紙葉類を基準ローラと検知ローラ間に噛み込んだ時に検知ローラと蛇行防止ローラとの抵抗力が増大するので検知ローラの飛跳ねを抑制する効果が向上する。また、蛇行防止ローラ5のローラ27にゴムローラを使用した場合は検知ローラとの摩擦抵抗が増加するのでより大きな抑制の効果が得られる。
【実施例4】
【0033】
図7,図8に本発明の紙葉類の厚さ検出装置の他の一実施例を示す。図7は図1の構成において蛇行防止ローラ5のローラ27に一定間隔に凸状のローラ42を設け、ローラ27に検知ローラを接触或いは押付けるとともに、凸状のローラ42を隣接する検知ローラ間の隙間に挿入したものである。凸状のローラ42の側面と外輪16の側面が接触するように構成する。また、図8は図7を側面から見た構成を示す。なお、図1と同じ符号の説明は省略する。
【0034】
また、図7の蛇行防止ローラの構成を図5,図6の蛇行防止ローラの両方または片方に使用する構成とすることもできる。また、蛇行防止ローラ5のローラ27と検知ローラを接触させない構成とすることもできる。また、蛇行防止ローラを外部より回転駆動することもできる。
【0035】
このように、蛇行防止ローラ5のローラ27に凸状のローラ42を設け凸状のローラ42を隣接する検知ローラ間の隙間に挿入することにより外輪16と凸状のローラ42の側面とが接触するので可動ローラの傾き或いは蛇行を阻止できる。これにより、正確に紙葉類の厚さを検出できる効果がある。また、紙葉類を基準ローラと検知ローラの間に噛み込んだ時の検知ローラの飛跳ねを蛇行防止ローラ5のローラ27及び凸状のローラ42の摩擦抵抗により抑制できる効果がある。また、蛇行防止ローラ5のローラ27にゴムローラを使用した場合は検知ローラとの摩擦力が増加するのでより大きな抑制の効果が得られる。また、図7の蛇行防止ローラの構成を図5,図6に適用した場合には、図7の効果とともに図5,図6の効果が得られる。
【0036】
これまでの説明では、変位検出器に渦電流式変位センサを用いているが、静電容量式変位センサ,光学式変位センサ,接触式変位センサなどが使用できる。また、本発明の紙葉類の厚さ検出装置を現金自動取扱装置,自動販売機の紙幣の厚さ検出装置に適用できる。
【実施例5】
【0037】
本発明の第5の実施の形態に係る現金自動取扱装置の一例を、図9を参照して説明する。本実施の形態は、図9の紙幣取扱装置90を搭載した現金自動取扱装置である。図9に示す紙幣取扱装置90は、紙幣供給受取機構91と、紙幣判定装置97と、紙幣の収納時と払い出し時に一時的に紙幣を蓄積しておく一時スタッカ93と、機械処理ができない紙幣を収納するための紙幣回収箱94と、金種別に紙幣96bを収納し払い出すための金種収納箱95a,95b,95cと、これらの構成要素を接続して紙幣を搬送する紙幣搬送路92a,92bと、で構成される。
【0038】
紙幣供給受取機構91は、現金預け入れ時に供給された紙幣96aを収納するための紙幣の分離・放出と現金払い出し時に利用者が指定した金額の払い出しを行う装置である。
【0039】
紙幣判定装置97は、紙幣の絵柄を検出する画像センサと、紙幣の磁気パターンを検出する磁気センサと、紙幣の蛍光画像を検出する蛍光センサからなる紙幣の金種又は真偽を判定する真偽判定装置と、紙幣が二枚以上重なっている重送及びテープ,紙等で変造された紙幣を検出する紙葉類の厚さ検出装置と、を含んで構成され、紙幣の真偽,金種,変造の有無,重送の有無を判定するとともに、受け入れ可能かどうかを判定する。紙葉類の厚さ検出装置は、上記第1の実施の形態(実施例1)に示す紙葉類の厚さ検出装置を用いたが、第2〜第4の実施の形態(実施例2〜実施例4)のどれかを用いてもよい。
【0040】
次に、図9に示す紙幣取扱装置90の動作について説明する。現金預け入れ時は、紙幣供給受取機構91に供給された紙幣96aは一枚ずつ分離され搬送路92aに送り出される。搬送路92aに送り出された紙幣96aは、紙幣判定装置97において紙幣が真券であるか偽券であるか、金種は何かが鑑別され、また、紙幣が一枚か二枚以上か(重送の有無,折れ券かどうか)が判別される。紙幣が受け入れ可能な真券でありかつ一枚及び折れ券の場合は、一時スタッカ93に蓄積され、取引金額が表示される。一方、供給した紙幣に問題がある場合は、供給された全ての紙幣は紙幣供給受取機構91に戻される。取引が成立した場合は、一時スタッカ93に蓄積された紙幣96aは再び紙幣判定装置97を通り、紙幣が一枚か二枚以上か金種は何かがチェックされてそれぞれの金種収納箱95に収納される。
【0041】
現金払い出し時には、金種収納箱95の紙幣96bが一枚ずつ分離され搬送路92bに送り出される。搬送路92bに送り出された紙幣は、紙幣判定装置97において紙幣が一枚か二枚以上かが判別される。紙幣が一枚の場合は紙幣供給受取機構91に払い出される。二枚以上及び折れ券の場合は一時スタッカに蓄積され、その後、紙幣回収箱94に収納される。なお、紙幣判定装置97は往復どちらの方向から紙幣が搬送されても判定可能なように構成されている。
【0042】
本実施の形態に係る現金自動取扱装置によれば、本発明の実施の形態に係る紙葉類の厚さ検出装置を用いた紙幣判定装置を備えることにより、紙幣が二枚以上重なっている重送及びテープ,紙等で変造された紙幣を高精度に検出できる効果がある。
【0043】
上記実施の形態では、現金自動取扱装置に使用する紙葉類の厚さ検出装置について述べたが、本発明は自動販売機の紙葉類の厚さ検出装置にも適用できる。
【0044】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0045】
また、上記の各構成,機能,処理部,処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成,機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム,テーブル,ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク,SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード,SDカード,DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 紙葉類の厚さ検出装置
2,3 ローラ
4 紙葉類
5 蛇行防止ローラ
6,7,8 検知ローラ
10,14 回転軸
11,12,13 基準ローラ
15 弾性部材
16 外輪
18,19,20,21,22,23 変位検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する軸に取付けられ、紙葉類の搬送方向に対して直角方向に配置された複数の基準ローラと、前記複数の基準ローラの位置に対応して配置され、その外輪が前記基準ローラに接触して回転する複数の検知ローラと、前記複数の検知ローラの各々に対向して配置され、各検知ローラの変位を検出する複数の変位検出センサとを備え、前記複数の基準ローラと前記複数の検知ローラの外輪との間の接触部に紙葉類を挟持搬送させて、前記紙葉類の厚さを検出する紙葉類の厚さ検出装置において、
前記複数の検知ローラの外輪と接触して回転する蛇行防止ローラを設けたことを特徴とする紙葉類の厚さ検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の紙葉類の厚さ検出装置において、
前記蛇行防止ローラに一定間隔に凸状のローラ部を設け、前記凸状のローラ部を前記隣接する検知ローラ間の隙間に前記凸状のローラ部を挿入し、前記凸状のローラ部の側面と前記検知ローラの外輪の側面とを接触させながら回転するようにしたことを特徴とする紙葉類の厚さ検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の紙葉類の厚さ検出装置において、
前記蛇行防止ローラを前記検知ローラの外輪を挟んで両側に配置したことを特徴とする紙葉類の厚さ検出装置。
【請求項4】
請求項1,2、及び3のいずれか記載の紙葉類の厚さ検出装置において、
前記蛇行防止ローラの外周の回転速度と前記検知ローラの外周の回転速度が異なることを特徴とする紙葉類の厚さ検出装置。
【請求項5】
請求項1記載の紙葉類の厚さ検出装置において、
前記複数の検知ローラは、外輪と回転軸との間に弾性体を有することを特徴とする紙葉類の厚さ検出装置。
【請求項6】
請求項1記載の紙葉類の厚さ検出装置において、
前記蛇行防止ローラは、例えば、前記複数の検知ローラの回転中心と略同じ高さ、又は、各検知ローラの変位を検出する複数の変位検出センサ側上方に配置されることを特徴とする紙葉類の厚さ検出装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか記載の紙葉類の厚さ検出装置において、
前記蛇行防止ローラは、前記複数の検知ローラよりも高い剛性を有することを特徴とする紙葉類の厚さ検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか記載の紙葉類の厚さ検出装置を備えたことを特徴とする紙幣取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−25515(P2012−25515A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164442(P2010−164442)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】