説明

紙葉類処理装置

【課題】 ヘッダーカードと紙葉類を2枚取りした場合であってもヘッダーカードを認識
しバッチ処理可能な紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】 紙葉類の標準厚さTsに対してヘッダーカードの標準厚さHsを1.5T
sに設定し、各バッチの区切りにヘッダーカードを挿入し、例えばバッチP1及びバッチ
P2を形成し、供給部10に供給し取出しを開始する。バッチP1の紙葉類Pから順番に
取り出され、紙葉類P1nとヘッダーカードH1が2枚取りされた場合、ヘッダーカード
検知装置8ではヘッダーカードH1が検知されず、紙葉類判別装置19によって判別され
る。その判別の結果、当該2枚取りされた紙葉類は、表面が紙葉類であり、裏面がヘッダ
ーカードであるため、券種判別、真偽判別で判別不能券になる。しかしながら厚さ検知に
よって所定の範囲の厚さが上述した分類Dに区分されるため、ヘッダーカードと判別され
る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券などの紙葉類を、ヘッダーカードを用いて区分して判別処理するバ
ッチ処理可能な紙葉類処理装置に関し、ヘッダーカードと紙葉類が共に取り出された場合
のヘッダーカードの検知が可能な紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、一括して投入された紙葉類を一定
間隔に1枚ずつ取り出して搬送し、紙葉類判別装置によって当該紙葉類の種類(以下、券
種と称する。)判別、搬送方向判別、真偽判別(真券か偽券か)及び正損判別(再流通可
能な正券か再流通不可能な損券か)を行い、この判別結果に基づいて紙葉類を区分し、施
封装置又は集積装置などの処理装置に振り分けて処理する装置である。
【0003】
この際、バッチ処理可能な紙葉類処理装置では、小口のバッチ処理を行う場合、バッチ
処理の単位毎に紙葉類の最後にヘッダーカードを挿入して区分して処理するヘッダーカー
ド処理と称される方法が知られている。なお、紙葉類の最初にダミーカードを用い、その
後に処理する紙葉類を挿入し、最後にヘッダーカードを挿入して区分する方法もあるが、
基本的には同様の方法である。
【0004】
ヘッダーカードは処理する紙葉類と異なるため、後述する排除券扱いとなり、排除券集
積部に集積される。その際、ヘッダーカードの間に挟まれて集積された紙葉類が当該バッ
チ処理で排除された紙葉類であることが分かるようになっている。そのため、このヘッダ
ーカードにはバーコードなどの識別符号が印刷されている。
【0005】
このヘッダーカード処理では、処理ステップを3段階(前処理、装置処理、排除券処理
)に分けて行われている。
【0006】
第1段階は前処理段階で、紙葉類を紙葉類処理装置で処理する前の段階である。操作員
が紙葉類を受け入れてヘッダーカードを発行し、処理ボックスにヘッダーカード、紙葉類
、ヘッダーカード、紙葉類・・・の順番にセットするフェーズである。ヘッダーカードは
、一方の紙葉類の集合と、他方の紙葉類の集合とを区分するためのもので、このヘッダー
カード及び紙葉類の組み合わせで1バッチとなる。従って、処理ボックスの中には、複数
のバッチが存在することになる。
【0007】
第2段階は装置処理の段階で、操作員によってセットされた処理ボックス内の紙葉類及
びヘッダーカード(以下、紙葉類及びヘッダーカードをまとめて媒体と称する。)を紙葉
類処理装置で区分処理するフェーズである。操作員が処理ボックス内の媒体を紙葉類処理
装置の取込部にセットし、計数開始指令を発行すると、紙葉類処理装置は、セットされた
紙葉類を一定間隔に1枚ずつ取り出して搬送し、紙葉類判別装置によって紙葉類の種類や
ヘッダーカードの検出を行う。
【0008】
上記取込部には、ヘッダーカードを検出するための検出手段が設けられており、この検
出手段によって、ヘッダーカードが検出された場合、取り込み処理を一時停止する手段が
設けられている。
【0009】
第3段階は排除券処理の段階で、操作員が排除券を処理する段階である。操作員は、紙
葉類処理装置から排除された紙葉類を、ヘッダーカードに印字されている識別番号をキー
にしてキー入力するフェーズである。一方ヘッダーカード及び紙葉類が同時に取り出され
た場合にはヘッダーカードによる識別が困難であるため、ヘッダーカードの両面にバーコ
ードを付与する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第2798979号公報 (第3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1記載の紙葉類処理装置では、ヘッダーカードの両面のバーコ
ードが認識できた場合にヘッダーカードとして認識するが片面しか認識できなかった場合
には重ね取りが発生したものとみなし紙葉類処理装置を停止していた。すなわち、ヘッダ
ーカードが正しく認識できず、ヘッダーカードを境界とした前後バッチの計数分離が正し
く行われないことがあるという課題があった。
【0011】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、ヘッダーカードと紙葉類を2枚
取りした場合であってもヘッダーカードを正しく認識し、バッチ処理が可能な紙葉類処理
装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類処理装置は、処理単位毎に
カードで区分した紙葉類を一括して供給した供給部から取出手段によって1枚ずつ取り出
して搬送し、前記カード及び前記紙葉類を区分処理する紙葉類処理装置であって、前記処
理単位毎に区分された前記紙葉類の後端に挿入され、当該処理単位を識別する識別符号が
付与されたカードと、このカードを検知するカード検知手段と、前記紙葉類又は前記カー
ドからなる媒体を判別する判別手段と、前記識別符号を読み取る読取手段と、搬送される
前記媒体の厚さを検知し、その検知結果に基づいて前記紙葉類が1枚の厚さである第1分
類、前記カードが1枚の厚さである第2分類、前記紙葉類が2枚の厚さである第3分類及
び前記紙葉類と前記カードがそれぞれ1枚である第4分類の何れであるかを検知する厚さ
検知手段と、前記カード検知手段、前記判別手段、前記読取手段及び前記厚さ検知手段か
らの検知結果に基づいて前記カードであることを判別する制御手段と、を備えたことを特
徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ヘッダーカードと紙葉類を2枚取りした場合であってもヘッダーカー
ドを正しく認識できるため、バッチ処理が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の実施例によるヘッダーカードによるバッチ処理可能な紙葉類処理装置
110を備えた紙葉類処理システム図である。この紙葉類処理システムには、紙葉類処理
装置110、上位システムDB(データベース)100、前処理用情報登録PC(パーソ
ナル・コンピュータ)120、及び排除券入力用情報登録PC130が設けられている。
【0016】
前処理用情報登録PC120には、ハンドスキャナ121が接続されており、ヘッダー
カードの登録処理が行われる。ヘッダーカードの登録処理とは、ヘッダーカードに印刷さ
れているバーコードをハンドスキャナ121で読み取り、その読み取りデータを上位シス
テムDB100に送信することである。このようにして登録されたヘッダーカード、紙葉
類、を処理ボックス(図示しない)にセットする。このようにして、処理ボックスにセッ
トされた1バッチの紙葉類群は、紙葉類処理装置110に供給される。
【0017】
紙葉類処理装置110は、操作部550及び紙葉類処理部1で構成され、上位システム
DB100に通信回線を経て接続されている。
操作部550は、紙葉類処理部1で行う業務内容の指示、この指示された業務内容に基
づく取引内容の指定、及び紙葉類処理部1での取引結果を入手し、その入手結果を上位シ
ステムDB100に送信する。すなわち、紙葉類処理部1で読み取ったヘッダーカード番
号及び処理した計数金額を送信する。
【0018】
紙葉類処理部1は、操作部550に接続され、操作部550からの取引指示に基づいて
、上記処理ボックスにセットされた紙葉類が供給される。上記紙葉類処理部1によって紙
葉類が1枚ずつ判別され、その判別結果に基づいて区分処理される。この紙葉類処理中に
排除券が発生した場合、発生した排除券は、リジェクト集積部に、排除券(リジェクト券
)、ヘッダーカードの順番に集積される。
【0019】
排除券入力用登録PC130には、ハンドスキャナ131が接続されており、操作員に
よって上記リジェクト集積部に集積された排除券(リジェクト券)の入力処理が行われる
。排除券は、ヘッダーカードに挟まれてリジェクト集積部に集積されている。操作員は、
当該ヘッダーカードに印字されているバーコードをハンドスキャナ131で読み取る。読
み取った結果は排除券入力用登録PC130の操作表示部132に表示される。また、排
除券の供給元を示すアカウント番号、排除券の券種及び枚数からなる金額が排除券入力用
登録PC130の操作表示部132又は入力部133から入力される。これら入力された
データは、上位システムDB100に送信される。
【0020】
図2は、図1に示す紙葉類処理装置110の概略構成図である。紙葉類処理装置110
は、紙葉類処理部1及び操作部550で構成されている。
【0021】
操作部550に接続された操作表示部552から操作員の操作によって、入金業務、整
理業務などの取引方法の設定、処理した紙葉類Pを収納する収納庫(以下、カセットと称
する。)を設定するカセットアサイン、及び紙葉類Pの正損レベル設定などが行われる。
この設定の後、供給部10に供給された複数券種の紙葉類Pが一定の間隔で1枚ずつ取り
出されて搬送され、紙葉類判別装置19によって当該紙葉類Pの券種判別、搬送方向判別
、真偽判別及び正損判別並びにヘッダーカード(カード)の判別が行われる。この判別結
果に基づいて当該紙葉類及びヘッダーカードは、集積又は施封される。詳細は後述する。
【0022】
また、設定した業務の取引終了時には、各業務終了に伴う取引の区切り処理が行われる
。さらに、1日の業務終了などの単位で取引計数を集計し、上位システムDB100に取
引結果を通知するバランス処理が行われる。この上位システムDB100には、例えば、
本実施例の紙葉類処理装置110が複数台接続され、各紙葉類処理装置110の稼動状況
の把握や、各紙葉類処理装置110からの処理結果の集計を行うことができる。
【0023】
入金業務とは、予め合計金額のわかっている複数券種の紙葉類Pを、紙葉類処理装置1
10を用いて、券種毎、搬送方向毎、正損毎に区分し、紙葉類処理装置110で計数した
金額が正しいことを確認し、上位システムDB100に登録する業務である。なお、この
業務によって処理された紙葉類Pは、上述した集積装置57〜62の各カセット57D〜
62Dに集積され、又は施封部4で施封される。
【0024】
整理業務とは、入金業務において上位システムDB100に計数を登録しない業務であ
る。取引した券種を計数することが目的ではなく、一度入金業務などで計数を行った券種
をさらに詳細に(例えば、表裏及び正損毎に)集積装置57〜62の各カセット57D〜
62Dに集積したり、施封を行ったりするために使用する。
【0025】
カセットアサインとは、集積装置57〜62の各カセット57D〜62Dに収納する券
種、及び施封部で施封する券種を設定することである。
【0026】
正損レベル設定とは、再流通可能な正券と再流通不可能な損券に区分する閾値である正
損判別レベルを設定することである。詳細は後述するが、正損判別レベルの値が大きくな
るほど損券枚数が多くなる。
【0027】
取引の区切り処理とは、各取引終了後、例えば操作表示部552に設けられた完了ボタ
ン(図示しない)が押下されたとき、上記集積装置57〜62に集積された紙葉類を各カ
セット57D〜62Dに収納する処理のことで、紙葉類が収納された各カセットは、操作
員によって空のカセットと交換される。
【0028】
なお、カセットが、紙葉類で満杯になった場合は、カセットの交換業務が行われる。こ
のカセットの交換時、装置はカセットのロックを解除する。操作者はロック解除されたカ
セットを装置より取り外し、紙葉類をカセットから抜き取り、カセットを元の状態に戻す
。カセット交換終了と共に、解除したロックを再度ロックする。
【0029】
ここで、紙葉類Pが搬送されるときの搬送方向について説明する。紙葉類Pは、表(F
ace:表を上にした状態)、裏(Back:裏を上にした状態)、正(Foward:
紙葉類の表もしくは裏の印刷が正立した状態)、逆(Reverse:紙葉類の表もしく
は裏の印刷が倒立した状態)の4種類あり、これらを組み合わせた表正FF、表逆FR、
裏正BF、裏逆BRからなる4種類の搬送方向が形成される。
【0030】
紙葉類処理部1は、紙葉類Pを供給する供給部10と、この供給部10から供給された
紙葉類Pを取出手段としての取出しローラ30によって1枚ずつ取り出す紙葉類取出部2
00と、この紙葉類取出部200によって取り出される媒体表面の色からヘッダーカード
(カード)を検知するヘッダーカード検知装置8と、紙葉類取出部200によって取り出
された紙葉類Pを搬送する搬送路16とを有している。また、この搬送路16によって搬
送される紙葉類Pの搬送スキュー、搬送位置ずれ(搬送スライド)を補正する搬送補正部
210が配置されている。さらに、この搬送補正部210によって搬送補正された紙葉類
Pを1枚ずつ判別する紙葉類判別部19、及び上記ヘッダーカードの識別符号であるバー
コードを読み取る読取手段としてのバーコードリーダ70が搬送路16に沿って配置され
ている。
【0031】
紙葉類判別部19による紙葉類の判別結果、ヘッダーカード検知装置8の読取結果、厚
さ検知装置(厚さ検知手段、図示しない)の検知結果及びバーコードリーダ70の読取結
果は、紙葉類処理装置110を制御する主制御部(制御手段)500に送信される。なお
、厚さ検知装置は、紙葉類判別部19に組み込まれており、搬送される紙葉類P又はヘッ
ダーカードからなる媒体の表面に接触しながら回転する接触子を供え、この接触子の変化
を検知することによって媒体の厚さを検知するもので各種の方法が知られており、ここで
はその説明を略す。
【0032】
主制御部500は、受信した判別結果に基づいて、後述する搬送制御部、施封制御部4
00を制御する。搬送制御部は、紙葉類の搬送を制御するもので、分岐ゲートG1、G2
、・・・G8、及び搬送方向を揃えるために反転する反転処理部を制御する。このように
して搬送方向の揃えられた紙葉類Pは、操作表示部552によって設定された区分方法に
基づいて施封する施封部4で施封され、又は券種毎に集積する集積部50で集積される。
【0033】
さらに、紙葉類処理部1はインターフェース501を介して操作部550に接続されて
いる。以下、紙葉類処理部1の構成を紙葉類Pの供給部10から順に説明する。
【0034】
上記供給部10は、4種類の搬送方向が混在する紙葉類Pを当接して整位するステージ
11と、このステージ11に対して鉛直方向に立設したバックアッププレート12とで構
成されている。また、このバックアッププレート12は、バネ13の付勢力によってステ
ージ11に沿って左側に移動可能になっている。このようにして供給された紙葉類Pは、
バックアッププレート12によりピックアップローラ5側に圧接される。この状態におい
て、紙葉類Pは、取出ローラ30が回転することにより一定間隔を有して1枚ずつ取り出
されて搬送路16に繰り出される。
【0035】
搬送補正部210は、搬送ローラ211の搬送方向下流に近接して設置されて紙葉類P
を検知するタイミングセンサSC1、搬送ローラ213・214及び図示しない搬送ガイ
ドで構成され、搬送される紙葉類P及びヘッダーカードの搬送状態を補正する。
【0036】
分岐ゲートG1は、例えば、リジェクト券と、処理券とに振り分けるゲートである。リ
ジェクト券とは、紙葉類判別部19で紙葉類Pを判別した結果、紙葉類Pが偽券、又は折
れ、破れ及びスキューなどにより判別のできない「判別不能券」と判別された紙葉類をい
う。この判別結果を搬送制御部が受信すると、分岐ゲートG1を右側(時計方向)に回動
することにより、当該リジェクト券を排除券集積部80に集積する。ヘッダーカードは、
リジェクト券として排除券集積部80に集積される。
【0037】
また、処理券とは、紙葉類判別部19で判別された紙葉類Pが真券で正券、又は真券で
損券をいう。搬送制御部は、その判別結果を受信すると、分岐ゲートG1を左側(反時計
方向)に回動して、当該紙葉類を区分処理する。
【0038】
反転処理部は、スイッチバック反転部(図示しない)及び表裏反転部9で構成され、紙
葉類Pの取り揃える方向により上記スイッチバック反転部及び表裏反転部9の一方、若し
くは両方が使用される。
【0039】
分岐ゲートG2は、表裏反転分岐ゲートである。紙葉類判別部19で判別された紙葉類
Pの搬送方向の判別結果に基づき、表裏反転を必要とする場合に右側(時計方向)に回動
し、紙葉類Pを図示矢印A6で示す表裏反転部9を通過させる。また、表裏反転を必要と
しない場合、分岐ゲートG2を、左側に回動し、紙葉類Pを図示矢印A4で示す方向に搬
送させる。
【0040】
表裏反転部9は、紙葉類判別部19の券種判別及び搬送方向判別で判別された結果に基
づき、紙葉類Pの搬送方向の表裏を取り揃えるために反転する。例えば搬送方向が裏正(
BF)の場合、表裏反転部9によって表正FFになる。
【0041】
分岐ゲートG3は、搬送される紙葉類Pを搬送路16から施封部4、又は集積部50に
分岐する分岐ゲートである。搬送される紙葉類Pが主制御部500によって施封するよう
に指定された券種の場合、搬送制御部は、分岐ゲートG3を右側(時計方向)に回動し、
紙葉類Pを施封部4が設けられている図示矢印A40の方向に搬送する。また、それ以外
の券種の紙葉類Pは、分岐ゲートG3から分岐ゲートG4〜G8を経由して集積装置57
〜62に集積するように振り分けられる。
【0042】
施封部4及び集積部50には、紙葉類Pが搬送される搬送路から分離するために搬送路
の終端に紙葉類Pを集積する集積装置として羽根車集積装置が設けられている。
【0043】
この羽根車集積装置は、例えば、集積装置57の場合、羽根車57A、一時集積庫57
B、シャッター57C、カセット57D、及び集積を補佐するプッシャ(図示しない)な
どで構成される。
【0044】
羽根車57Aは、複数の羽根が回転軸の周辺に組み込まれており、搬送されてきた紙葉
類Pを羽根と羽根の間で受け取れるように紙葉類Pの搬送に同期して回転している。この
羽根車を使用することによって、高速に搬送される紙葉類Pの運動エネルギーを吸収し、
かつ紙葉類Pを整位しながら一時集積庫57Bに集積する。
【0045】
一時集積庫57Bは、集積装置57で使用される一時集積庫57Bと、施封部4の一時
集積庫42Bとでは以降で処理する目的が異なるために形態が異なっている。
【0046】
集積装置57で使用される一時集積庫57Bには、シャッター57Cが備えられており
、このシャッター57Cの上に紙葉類Pが集積される。そして、このシャッター57Cに
集積された紙葉類Pは、例えば満杯になったとき、又は業務終了指示(図示しない)など
があると、シャッター57Cが開き、シャッター57C下部に設けられたカセット57D
に設けられたバックアッププレート(図示しない)の上に落下する。落下した紙葉類Pは
、プッシャーによってカセット57Dに押し込まれる。従って、押し込まれる紙葉類の枚
数が増えるとバックアッププレートは下側に移動する。以上の動作は、集積装置57〜6
2で共通である。
【0047】
施封部4は、第1集積部42、第2集積部43、搬送部、紙帯部46、帯送り部47、
帯巻き部48で構成される。本実施例では、施封部4が、上記第1集積部42、第2集積
部43を有している場合を説明するが、必要に応じてこれら2個の集積部を対にして複数
セット用いてもよい。
【0048】
第1集積部42及び第2集積部43は、共に同様に構成されているため、第1集積部4
2についてその構成を説明し第2集積部43の説明を省略する。
【0049】
第1集積部42には、施封搬送路40Aから紙葉類を分岐する分岐ゲートG12、振り
分けられた紙葉類Pを搬送する搬送路40B、搬送路40Bの終端から送り出された紙葉
類を受け取る羽根車42A、この羽根車42Aによって受け取られた紙葉類Pを集積する
一時集積庫42B、集積された紙葉類Pを押圧するプッシャー(図示しない)が設けられ
ている。以下、施封部4の各部構成について詳細に説明する。
【0050】
一時集積庫42Bは、搬送される紙葉類Pを計数し100枚毎に区分して集積するバッ
クアッププレート42Cを備えている。
【0051】
搬送部は、縦搬送路44A、44B、搬送キャリア44D、及び横搬送路44Cから構
成される。縦搬送路44A、44Bは、バックアッププレート42C、43Cで受けた1
00枚紙葉類45を上昇又は下降するためのものである。また、搬送キャリア44Dは、
縦搬送路44A又は縦搬送路44Bの停止位置でバックアッププレート42C又は43C
から100枚紙葉類45を受け、施封トレイ(図示しない)に渡すために横搬送路44C
上を往復移動することができるように構成される。
【0052】
紙帯部46は、施封トレイに積載された100枚紙葉類45を施封するための紙帯46
A、この紙帯46Aに印刷するための印刷機能と印刷された紙帯46Aを送る機能とを備
えた帯送り部47、100枚紙葉類45を帯送り装置から送られた印刷済み紙帯で施封す
る帯巻き部48、及び施封部4を制御する施封制御部400とで構成される。
【0053】
図3は、図2に示す紙葉類処理装置110を制御する主制御部500、紙葉類判別部1
9、搬送制御部26、施封制御部400、ヘッダーカード検知装置、バーコードリーダ7
0及び操作部550の接続状態を示すブロック図である。
【0054】
主制御部500は、操作部550の指示に基づいて、搬送される媒体の判別結果を紙葉
類判別部19から受信し、媒体を区分処理するために、搬送制御部26、及び施封制御部
400を制御する。また、媒体判別結果を操作部550に送信する。
【0055】
紙葉類判別部(判別手段)19は、搬送される媒体の券種判別、搬送方向判別、真偽判
別、正損判別、及び厚さ判別を行う。上記券種判別は、媒体表面の色又は模様又はその組
み合わせ及び形状から紙葉類Pの券種又はヘッダーカードを判別する。
【0056】
本実施例では、ヘッダーカードの表面の色、形状及び厚さを他の紙葉類の色、形状及び
厚さと異なるものを使用し、ヘッダーカードを容易に判別できるようにしてある(詳細は
後述する。)。
【0057】
上記判別を行うために、複数のセンサ1〜nが設けられており、これらセンサ1〜nの
出力信号を増幅する増幅回路1〜n、及びこの増幅回路1〜nの出力信号を処理する処理
手段から構成される。この処理手段は、A/D変換するためのA/D変換部24、このA
/D変換部24でA/D変換されたデータを論理演算する論理回路部23、この論理回路
部23の出力信号から券種判別、真偽判別(本物か偽物か)、正損判別及びヘッダーカー
ド判別が行われる。
【0058】
紙葉類判別部19の制御は、全体を制御するCPU21、このCPU21によってアク
セスされる記憶部25及びCPU21で判別された結果を主制御部500との間で通信す
るためのI/F部22で構成される。
【0059】
搬送制御部26は、紙葉類判別部19の判別結果により、搬送される紙葉類Pの行き先
を決定して、紙葉類Pの搬送制御を行うCPU27と、このCPU27によってアクセス
される記憶部29と、主制御部500とのI/F部28とで構成される。
【0060】
主制御部500は、主制御部500を制御するCPU504、記憶部505、インター
フェース部503を備えており、紙葉類判別部19、搬送制御部26、及び施封制御部4
00に接続される。また、インターフェース501を介して操作表示部552と接続され
る。
【0061】
CPU504は、操作表示部552から操作員によって設定された入金業務、整理業務
などの取引方法の設定、処理した紙葉類Pを収納する収納庫を設定するカセットアサイン
の設定、及び紙葉類の判別レベルである正損判別レベル設定などの情報を紙葉類判別部1
9に送信する。また、紙葉類Pの判別結果を紙葉類判別部19から受信し、操作部550
に送信する。ここでは、取引の区切り処理が行われた際の取引計数が送信される。
【0062】
図4は処理ボックスに積載される紙葉類の状態を示す図である。図示した例は2バッチ
の紙葉類群P1及び紙葉類群P2が処理ボックスに積載された状態を示しており、最初の
バッチP1は、紙葉類P11・・・紙葉類P1n及びヘッダーカードH1で構成され、次
のバッチP2は、紙葉類P21・・・紙葉類群P2n及びヘッダーカードH2で構成され
ており、紙葉類P11から先に取り出されるように供給部10に供給される。ヘッダーカ
ードH1には、バーコードH1Bが印字されている。同様にヘッダーカードH2にはバー
コードが印字されている。バーコードH1B及びバーコードH2B(図示しない)はバッ
チP1及びバッチP2を区別するためのバーコードであるから異なるデータが印字されて
いる。
【0063】
図5は、図4に示す紙葉類群P1及び紙葉類群P2を紙葉類処理部1の供給部10に供
給した状態を示す。図示したように、紙葉類群P1の紙葉類P11から先に1枚ずつ取り
出される。
【0064】
ヘッダーカード検知装置8は、発光部81、受光部82及び判別部83を備えている。
例えばヘッダーカードの背景色を緑色に設定した場合には、発行部81に緑色発光のLE
Dで検知エリアを照明し、当該緑色の波長を含む可視領域に感度を有する受光センサを有
する受光部83でその反射光を受光して電気信号(出力信号)に変換する。判別部83は
、この電気信号を受信し、所定の判別レベルと比較することによってヘッダーカードを検
知する。発光部81に緑色発光のLEDを用いた場合を示したが、発光部81に白色LE
Dを用い、受光部82にヘッダーカードの背景色に合わせた光学フィルタを用いて構成し
ても同様の結果が得られる。
【0065】
図6は、ヘッダーカードH1及び紙葉類P1nが2枚取りされ図示矢印B方向に搬送さ
れている状態を示す。この場合には、ヘッダーカード検知装置8ではヘッダーカードH1
の背景色が検知できないためにヘッダーカードH1が検知されない。
【0066】
図7は、紙葉類及びヘッダーカードの相対的な厚さを示す図である。ここでは、具体的
な例として、バッチP1の紙葉類P1m、紙葉類P1n及びヘッダーカードH1が2枚取
りされた場合を想定し、その場合にヘッダーカードH1を検知する方法を説明する。
【0067】
初めに、紙葉類及びヘッダーカードの標準厚さを設定する。本実施例では、紙葉類Pの
1枚の標準厚さをTsとしたとき、ヘッダーカード1枚の標準厚さHsを1.5Tsに設
定すると、紙葉類及びヘッダーカードが単独又は2枚取りされた場合にはその厚さが下式
(1)〜(4)に示す値になる。
紙葉類1枚の標準厚さ:Ts・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
ヘッダーカード1枚の標準厚さ:Hs=1.5Ts・・・・・・・・・・・・(2)
紙葉類2枚の標準厚さ:2Ts・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
ヘッダーカード1枚+紙葉類1枚の標準厚さ:Ts+Hs=2.5Ts・・・(4)
次に、厚さ検知装置で検知した厚さtが下式を満たすとき、上式(1)〜(4)を用い
て紙葉類を分類A(第1分類)、分類B(第2分類)、分類C(第3分類)及び分類D(
第4分類)に区分することができる。
分類A(紙葉類1枚) :Ts−Δt≦t≦Ts+Δt・・・・・・・・(5)
分類B(ヘッダーカード1枚):1.5Ts−Δt≦t≦1.5Ts+Δt・(6)
分類C(紙葉類2枚) :2Ts−Δt≦t≦2Ts+Δt・・・・・・(7)
分類D(ヘッダーカード1枚+紙葉類1枚):
2.5Ts−Δt≦t≦2.5Ts+Δt・・(8)
図8は、図7に示す紙葉類及びヘッダーカードの組み合わせによる厚さの分類を説明す
る図である。このとき上記許容値Δtは、例えば分類Aの上限値が分類Bの下限値以下に
なるように設定する必要がある。他の分類についても同様である。上述したようにヘッダ
ーカード1枚の標準厚さHsを設定し、かつ許容値Δtを設定することによって搬送され
た紙葉類及びヘッダーカードが2枚取りされた場合であっても分類することができる。
【0068】
次に、上述した方法に基づいて紙葉類とヘッダーカードが2枚取りされた場合のバッチ
処理を説明する。図5において、バッチP1とバッチP2を供給部10に供給し取出しを
開始する。バッチP1の紙葉類P11から順番に取り出され、紙葉類P1nとヘッダーカ
ードH1が2枚取りされた場合、上述したヘッダーカード検知装置8ではヘッダーカード
H1が検知されず、1枚の紙葉類として紙葉類判別装置19によって判別される。その判
別結果、当該2枚取りされた紙葉類は、表面が紙葉類であり、裏面がヘッダーカードであ
るため、紙葉類としての券種判別、真偽判別で判別不能券になる。しかしながら厚さ検知
によって所定の範囲の厚さが上述した分類Dに区分されるため、ヘッダーカードと判別さ
れる。この判別によってバッチP2の紙葉類が継続して取り出され判別される。ヘッダー
カードH1と共に搬送された紙葉類P1nはヘッダーカードH1と共に排除券集積部80
に集積される。
【0069】
このようにしてバッチP1及びバッチP2共判別処理が終了すると、上述した排除券入
力用登録PC130から操作員によって第3段階である排除券処理がバッチP1、バッチ
P2共に行われる。なお、この厚さを検知する検知エリアは、処理する紙葉類の特性を調
査し、印刷インクなどで紙葉類の厚さ変動の少ない部分を用いることにより、図8に示す
許容値Δtを大きい値に設定することができ、好適である。
【0070】
図6に示す2枚取りの状態の場合は、上記ヘッダーカードH1のバーコードH1Bはバ
ーコードリーダ70によって読み取ることができないが、バッチP1のヘッダーカードH
1と、バッチP2の紙葉類P21が2枚取りされた場合には、バーコードリーダ70によ
ってバーコードH1Bが認識される。この何れの場合であってもヘッダーカードH1がヘ
ッダーカードとして判別される。
【0071】
上述したように、本実施例によれば、ヘッダーカードと紙葉類を2枚取りした場合であ
ってもヘッダーカードを正しく認識できるために、ヘッダーカードによって区分された複
数のバッチ処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施例によるヘッダーカードによるバッチ処理可能な紙葉類処理装置を備えた紙葉類処理システム図。
【図2】図1に示す紙葉類処理装置の概略構成図。
【図3】図2に示す紙葉類処理装置を制御する主制御部、紙葉類判別部、搬送制御部及び操作部の接続状態を示すブロック図。
【図4】処理ボックスに積載される紙葉類の状態を示す図である。
【図5】図4に示す紙葉類群P1及び紙葉類群P2を紙葉類処理部1の供給部10に供給した状態を示す。
【図6】ヘッダーカード及び紙葉類が2枚取りされた状態を示す図。
【図7】紙葉類及びヘッダーカードの相対的な厚さを示す図。
【図8】図7に示す紙葉類及びヘッダーカードの組み合わせによる厚さの分類を説明する図。
【符号の説明】
【0073】
P、P11〜P1n、P21 紙葉類
H1、H2 ヘッダーカード
G1〜G8 分岐ゲート
G12〜G14 分岐ゲート
1 紙葉類処理部
10 供給部
19 紙葉類判別装置
4 施封部
42、43 施封装置
45 100枚紙葉類
42E 横搬送路
42B 一時集積庫
42F 搬送キャリア
50 集積部
57〜62 集積装置
70 バーコードリーダ
8 ヘッダーカード検知装置
80 排除券集積部
400 施封制御部
500 主制御部
502 操作表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理単位毎にカードで区分した紙葉類を一括して供給した供給部から取出手段によって
1枚ずつ取り出して搬送し、前記カード及び前記紙葉類を区分処理する紙葉類処理装置で
あって、
前記処理単位毎に区分された前記紙葉類の後端に挿入され、当該処理単位を識別する識別
符号が付与されたカードと、
このカードを検知するカード検知手段と、
前記紙葉類又は前記カードからなる媒体を判別する判別手段と、
前記識別符号を読み取る読取手段と、
搬送される前記媒体の厚さを検知し、その検知結果に基づいて前記紙葉類が1枚の厚さで
ある第1分類、前記カードが1枚の厚さである第2分類、前記紙葉類が2枚の厚さである
第3分類及び前記紙葉類と前記カードがそれぞれ1枚である第4分類の何れであるかを検
知する厚さ検知手段と、
前記カード検知手段、前記判別手段、前記読取手段及び前記厚さ検知手段からの検知結果
に基づいて前記カードであることを判別する制御手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記カードは、
前記紙葉類の厚さの1.5倍の厚さを有することを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理
装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記取出手段によって取り出された媒体が前記厚さ検知手段による検知の結果前記第4分
類であるとき、前記カード検知手段又は前記判別手段による判別結果に関わらず前記処理
単位毎に区分された前記紙葉類の後端に挿入されたカードが検知されたものと判別するこ
とを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記カード検知手段は前記カード表面の色が前記紙葉類と異なることを検知する光学検
知手段を備え、
前記判別手段は、媒体表面の色又は模様又はその組み合わせ及び形状を検知する券種判
別手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1又は請求項3記載の紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−226592(P2007−226592A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47749(P2006−47749)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】