説明

紙製容器とその製造方法

【課題】バリア性、耐水性、レトルト耐性などの機能に優れた、また、蓋材とヒートシールした時に、シール漏れなどのシール不良が起こりにくい紙製容器を提供することを目的とする。
【解決手段】内紙箱の内面に該内紙箱の内面より大きい内面樹脂フィルムが積層し、外紙箱の外面に該外紙箱の外面より大きい外面樹脂フィルムが積層し、前記内紙箱の外面と前記外紙箱の内面とを重ねあわせ、前記内面樹脂フィルムと前記外面樹脂フィルムの周縁部を貼り合わせて紙製容器とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、食品の流通用や食事用、トイレタリー用品の流通用に用いられる紙製容器に関し、バリア性、耐水性、レトルト耐性などの機能に優れた紙製容器とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品やトイレタリー用品の一次容器として用いられる紙製の容器は、内容物が紙製容器に直接収容されているため、内容物と紙製容器の内面が直接接触している。こうした一次容器としては、紙箱の内面に熱可塑性プラスチックシートを積層した紙製容器が用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−254280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この紙製容器は、紙箱の内面にのみ熱可塑性プラスチックシートを積層しているため、紙箱の外面は、防水性などを有しておらず、温水殺菌や調理する際に、紙箱の外面が吸水してしまうという問題があった。紙箱の外面が吸水した際、紙の層間剥離などが起こり、紙製容器は強度低下による変形や、紙箱の外面が印刷層である場合には、印刷層の剥がれによる美称性や必要情報の欠損など、さまざまな不具合が生じる。
【0005】
本発明は、前記の不具合を解消し、バリア性、耐水性、レトルト耐性などの機能に優れた、また、紙製容器を蓋材とヒートシールした時に、シール漏れなどのシール不良が起こりにくい紙製容器とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、請求項1に記載の発明は、内紙箱の内面に該内紙箱の内面より大きい内面樹脂フィルムが積層され、外紙箱の外面に該外紙箱の外面より大きい外面樹脂フィルムが積層され、前記内紙箱の外面と前記外紙箱の内面が重ねあわされ、前記内面樹脂フィルムと前記外面樹脂フィルムの周縁部が貼り合わされていることを特徴とする紙製容器である。
【0007】
この発明によれば、内紙箱の内面に該内紙箱の内面より大きい内面樹脂フィルムが積層され、外紙箱の外面に該外紙箱の外面より大きい外面樹脂フィルムが積層され、前記内紙箱の外面と前記外紙箱の内面が重ねあわされ、前記内面樹脂フィルムと前記外面樹脂フィルムの周縁部が貼り合わされているので、紙製容器の内面のみならず外面にも耐水性が付与され、しかも、内面樹脂フィルムと外面樹脂フィルムが内紙箱と外紙箱を覆うように張り合わせられているため、紙の端面からの吸水も起こらず、紙の吸水による強度劣化が起きないので、レトルト殺菌処理や、湯煎などを行うことが可能である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記内紙箱あるいは前記外紙箱の少なくともいずれか一方がフランジを有する紙箱であることを特徴とする請求項1に記載の紙製容器である。
【0009】
これにより、前記紙製容器のフランジ部分の腰がでて、しっかりと形状保持ができ、蓋材とシールする際、シール部がしわにならないので、シール不良の可能性が低減できる。
【0010】
そして、請求項3に記載の発明は、前記フランジを有する紙箱が、一枚のブランクを製函してなり、前記紙箱の四側面上端縁に連結されたフランジは、隣り合うフランジどうしの端部が突合せになっており、互いに重なり合っていないことを特徴とする請求項2に記載の紙製容器である。
【0011】
通常の紙製容器では、図4に示すようなブランクを用いて、紙箱を製函している。図4に示すブランクを用いて紙箱を製函した場合、紙箱の四側面上端縁に連結されたフランジは、フランジ重ね片22により隣り合うフランジ同士が互いに重なり合う構造をしており、フランジ上面に紙1枚分の段差が生じる。段差を有するフランジ上面に蓋材を接着すると、この段差により内容物が漏れ易くなったり、蓋材の接着強度が低下するなどの不具合が生じることがあり、好ましくない。
【0012】
この発明によれば、紙箱の四側面上端縁に連結されたフランジは、互いに隣接している、つまり、紙箱の四側面上端縁に連結されたフランジが、互いに重なり合っていない。これにより、フランジ上面の段差をなくすことができる。さらに、紙箱の四側面上端縁に連結されたフランジが互いに隣接している構造であり、隣接するフランジ同士が重なり合っていなくとも、紙箱の内面及び外面の両面に樹脂フィルムを積層しているため、十分な強度を維持することが可能である。
【0013】
次に、請求項4に記載の発明は、内紙箱の内面に該内紙箱の内面より大きい内面樹脂フィルムを積層する工程と、外紙箱の外面に該外紙箱の外面より大きい外面樹脂フィルムが積層する工程と、前記内紙箱の外面と前記外紙箱の内面を重ねあわす工程と、前記内面樹脂フィルムと前記外面樹脂フィルムの周縁部を貼り合わせる工程とを有することを特徴とする紙製容器の製造方法である。
【0014】
この発明によれば、紙箱と樹脂フィルムの間に空気が溜まることがなく、それによる樹脂フィルムの破れが生ずることがない。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、内紙箱の内面に該内紙箱の内面より大きい内面樹脂フィルムを積層する工程が、前記内面樹脂フィルムを真空成形法又は/及び圧空成形法により成形型内に設置した前記内紙箱に積層させる工程であることを特徴とする請求項4に記載の紙製容器の製造方法である。
【0016】
この発明によれば、内面樹脂フィルムを、真空成形法又は/及び圧空成形法により内紙箱に密着させているため、内面樹脂フィルムは、内紙箱の形状に追随するように精度良く積層することが可能である。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、外紙箱の外面に該外紙箱の外面より大きい外面樹脂フィルムが積層する工程が、前記外面樹脂フィルムを真空成形法又は/及び圧空成形法により成形型内に設置した前記外紙箱に積層させる工程であることを特徴とする請求項4に記載の紙製容器の製造方法である。
【0018】
この発明によれば、外面樹脂フィルムを、真空成形法又は/及び圧空成形法により外紙箱に密着させているため、外面樹脂フィルムは、外紙箱の形状に追随するように精度良く積層することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の紙製容器によれば、内紙箱と外紙箱からなる紙箱の内面及び外面の両面に樹脂フィルムを積層することにより、紙製容器の内面のみならず外面にも耐性を付与することができる。しかも、内面樹脂フィルムと外面樹脂フィルムが紙箱を覆うよ
うに接着されているためフランジ端面からの吸水も防止し、紙の層間剥離などによる、紙製容器の強度低下による変形や、紙箱の外面に印刷層がある場合でも、印刷層の剥がれによる美称性や必要情報の欠損などのさまざまな不具合が生じる事がない。そのため、バリア性、耐水性、レトルト耐性などの機能に優れる。また、紙製容器を蓋材とヒートシールした時に、シール漏れなどのシール不良が起こる心配がない。
【0020】
そして、本発明の紙製容器の製造方法によれば、紙箱と樹脂フィルムの間に空気が溜まることがなく、それによる樹脂フィルムの破れが生ずることがない。内面樹脂フィルムは、内紙箱の形状に追随するように精度良く積層することが可能である。また、外面樹脂フィルムも、外紙箱の形状に追随するように精度良く積層することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る紙製容器1の斜視図
【図2】図1に示す紙製容器1のA−A´線における断面図
【図3】本発明で使用するブランクの一例を示す平面図
【図4】従来の紙製容器に使用されているブランクの一例を示す平面図
【図5】本発明の実施形態に係る紙製容器1の製造方法の説明図
【図6】本発明の実施形態に係る紙製容器1の製造方法の説明図
【図7】本発明の他の実施形態に係る紙製容器に用いるブランクの斜視図
【図8】本発明の他の実施形態に係る紙製容器の説明の断面図
【図9】本発明の他の実施形態に係る紙製容器の説明の断面図
【図10】本発明の他の実施形態に係る紙製容器の説明の断面図
【図11】本発明の他の実施形態に係る紙製容器の斜視図
【図12】図11に示す紙製容器1のB−B´線における断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る紙製容器1の斜視図である。図2は、図1に示す紙製容器1のA−A´線における断面図である。
【0023】
図1及び2に示すように、本発明の紙製容器1は、フランジ付き内紙箱2の内面に内面樹脂フィルム3を積層し、フランジ付き外紙箱4の外面に外面樹脂フィルム5を積層し、フランジ付き内紙箱2の外面とフランジ付き外紙箱4の内面を重ね合わせ、内面樹脂フィルム3と外面樹脂フィルム5の周縁部を熱融着して、一体化してなる。
【0024】
フランジ付き内紙箱2やフランジ付き外紙箱4としては、ボール紙や板紙、それらと樹脂フィルム層や金属層などを貼合せ製函してなるものや、箱型に成形されたパルプモールドなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、図1に示す紙製容器1は底が浅い四角いトレー構造であるが、その構造は、使用する目的や条件によって適宜変更される。
【0025】
フランジ付き内紙箱2やフランジ付き外紙箱4を構成する材料として、例えば上記した板紙を用いた場合、板紙からなるブランクを箱形状に製函する際に、重ね片13を接着部材を用いて留める必要がある。ここでの接着部材としては、酢酸ビニル系水性接着剤、ホットメルトや、エチレンと酢酸ビニルの共重合樹脂(EVA)、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリル酸の共重合樹脂(EAA)、変性オレフィン系のヒートシールニスなどを用いることができる。
【0026】
内面樹脂フィルム3及び外面樹脂フィルム5としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、あるいは、エチレ
ンとアクリル酸の共重合樹脂(EAA)などのポリエチレンやその変性樹脂や、また、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン共重合体、ブロックポリプロピレン共重合体などのポリプロピレン(PP)、あるいは、6ナイロン、66ナイロン、MXD−6ナイロンなどのナイロンや、エチレンビニルアルコール(EVOH)樹脂や、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などの樹脂を用いることができる。
【0027】
これらを単層で、あるいは、組み合わせた多層で用いることもできる。紙製容器1へ積層した後の各樹脂フィルムの膜厚としては、30μm以上、500μm以下であることが好ましい。膜厚が500μmよりと厚いと、積層時にフィルム膜厚が不均一になることがあり、好ましくない。また、30μm未満では樹脂フィルムにピンホールが発生する危険性が高い。
【0028】
本発明における紙製容器の作製は次の通り行う。まず、図3に示すようなブランク10をフランジ付き内紙箱2に組み立てる。ブランク10は、底面11、側面12、側面12に連結した重ね片13、側面上端縁に連結されたフランジ14とから成り、紙からなるブランク10を打ち抜いて各部が構成され、これを折り曲げ線15に沿って折り込み組み立ててフランジ付き内紙箱2とする。重ね片13は隣接する側面へ接着部材を用いて接着されても良いが、接着せず単に折り曲げ組み立てられているものでも良い。
【0029】
ここで、本発明では、紙箱の四側面上端縁に連結されたフランジ14は、組み立てたとき隣り合うフランジどうしの端部が突合せになっており、互いに重なり合っていないことが好ましい。図3に示すブランク10では、図4に示すようなフランジ重ね片22を有していない。紙箱を組み立てた際、図3の紙箱では、図4の紙箱と比較して、隣り合うフランジ同士が固定されていない分、形状安定性に劣っている。しかし、紙箱の内面及び外面の両面に樹脂フィルムを積層することで十分な強度、形状安定性を付与することができる。さらに、従来の方法では解決できない、フランジ上面の平滑化という課題を解決することができる。
【0030】
次に、フランジ付き内紙箱2の内面に内面樹脂フィルム3を積層する。フランジ付き内紙箱2に内面樹脂フィルム3を積層するには、深絞り成形法、特に、真空成形法又は/及び圧空成形法により積層されることが好ましい。
【0031】
図5に示すように、組み立てたフランジ付き内紙箱2を成形型6の中にセットし、該フランジ付き内紙箱2の上に内面樹脂フィルム3を載置する。該フランジ付き内紙箱2のフランジ14と内面樹脂フィルム3をヒートシール等の方法で接着させる(プレシール)、と同時にヒーター7を用いて内面樹脂フィルム3を加熱軟化させる(プレヒートアップ)。熱接着条件、熱風温度等は使用する内面樹脂フィルム3の材質、厚さ等によって適宜変更される。
【0032】
その後、例えば真空ポンプのような真空源より吸引管、吸引孔を通じて成形型下部より空気を吸引すると、型内の空気はフランジ付き内紙箱2の側面12と重ね片13との間の段差部分や、通気性の紙層等を通して吸引され、その内部は真空状態になるので、加熱軟化された内面樹脂フィルム3は圧力により湾曲してフランジ付き内紙箱2の内面に密着成形され、フランジ付き内紙箱2と一体的に形成される(真空成形法)。
【0033】
なお、フランジ付き内紙箱2と内面樹脂フィルム3の密着成形は、深絞り成形法、特に、上記した真空成形法、又は圧空成形法、あるいは真空成形法と圧空成形法を併用した成形法により行われることが好ましい。これにより、内面樹脂フィルム3は、フランジ付き内紙箱2の形状に追随するように精度良く積層することが可能である。
【0034】
一方、フランジ付き外紙箱4の外面に外面樹脂フィルム5を積層する。内面樹脂フィルム3をフランジ付き内紙箱2に積層するときの成形型は雌型を使用したが、フランジ付き外紙箱4の外面に外面樹脂フィルム5を積層するときは、雄型の成形型を用い、雄型の成形型にフランジ付き外紙箱4をかぶせ、同様に、フランジ付き外紙箱4の外面に外面樹脂フィルム5を密着、積層すればよい。
【0035】
次に、図6に示すように、内面樹脂フィルム3を積層したフランジ付き内紙箱2と、外面樹脂フィルム5を積層したフランジ付き外紙箱4とを、フランジ付き内紙箱2とフランジ付き外紙箱4が接するように重ね合わせる。
【0036】
ここで、内面樹脂フィルム3と外面樹脂フィルム5はそれぞれフランジ付き内紙箱2とフランジ付き外紙箱4より一回り大きくなっている。そして、内面樹脂フィルム3と外面樹脂フィルム5の周縁部を熱融着することによって、図1の紙製容器1が得られる。内面樹脂フィルム3と外面樹脂フィルム5の周縁部を接着する方法として、熱融着を用いたが、これに限定されるものではない。ウレタン系接着剤など他の手段を用いてもよい。
【0037】
フランジ付き内紙箱2とフランジ付き外紙箱4を重ね合わせるとき、接着部材を使用して、全面または部分的に接着しておいてもよい。接着部材としては、製函の時に用いた接着部材を使用できる。すなわち、酢酸ビニル系水性接着剤、ホットメルトや、エチレンと酢酸ビニルの共重合樹脂(EVA)、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリル酸の共重合樹脂(EAA)、変性オレフィン系のヒートシールニスなどを用いることができる。
【0038】
本実施形態においては、内紙箱と外紙箱ともにフランジ付きの紙箱を用いたが、これに限定されるものではない。
【0039】
図7は、本発明の他の実施形態に用いる紙箱のブランクである。すなわち、図7の(1)のように、紙箱の四側面が3つの折り曲げ線を介し連続した、底面のないブランク31を使用することができる。このブランク31を折り曲げ線にて折り曲げ、この折り曲げたブランク31を内面樹脂フィルムあるいは外面樹脂フィルムに、積層して用いることができる。
【0040】
図7の(2)のブランク32は四側面が、ばらばらに形成されていて、これを成形型にセットして、内面樹脂フィルムあるいは外面樹脂フィルムを成形するときに、密着、積層してもよい。また、2つの側面を折り曲げ線を介し連続したブランクを使用して、このブランクを2つ組み合わせて用いてもよい。
【0041】
図7の(3)のブランク33は底面の四辺にそれぞれ折り曲げ線を介し、四側面を延設したブランクである。このブランクを折り曲げ線にて折り曲げ、折り曲げたブランクを成形型にセットして、内面樹脂フィルムあるいは外面樹脂フィルムを成形するときに、密着、積層してもよい。
【0042】
図8は本発明の他の実施形態である。この紙製容器40は、図7の(3)のようなブランクを使用し、フランジのない外紙箱41を形成し、外面樹脂フィルム42と真空成形により密着積層する。一方、フランジ付きの内紙箱43を内面樹脂フィルム44と同様に真空成形により密着積層する。次にフランジのない外紙箱41とフランジ付きの内紙箱43を重ね合わせ、内面樹脂フィルム44と外面樹脂フィルム42の周縁部を熱融着して、紙製容器40を形成した。
【0043】
図9は本発明の他の実施形態である。この紙製容器50は、図7の(3)のようなブラ
ンクを使用し、フランジのない内紙箱51を形成し、内面樹脂フィルム52と真空成形により密着積層する。一方、フランジ付きの外紙箱53を外面樹脂フィルム54と同様に真空成形により密着積層する。次にフランジのない内紙箱51とフランジ付きの外紙箱
53を重ね合わせ、内面樹脂フィルム52と外面樹脂フィルム54の周縁部を熱融着して、紙製容器50を形成した。
【0044】
図10は本発明の他の実施形態である。この紙製容器60は、図7の(3)のようなブランクを使用し、フランジのない内紙箱61およびフランジのない外紙箱62を形成し、それぞれに、内面樹脂フィルム63と外面樹脂フィルム64をおのおの真空成形により密着積層する。次にフランジのない内紙箱61とフランジのない外紙箱62を重ね合わせ、内面樹脂フィルム63と外面樹脂フィルム64の周縁部を熱融着して、紙製容器60を形成した。
【0045】
図7乃至図10に用いる紙箱、および、樹脂フィルムを構成する材料は、図1および図2の紙製容器1で用いる材料を使用することができる。
【0046】
本発明の紙箱の形状としては、上記した四角いトレー構造の他に、多角形のトレー構造であってもよく、また、図11に示すようなカップ構造であってもよい。ここで、図11は、本発明の他の実施形態に係る紙製容器70の斜視図であり、図12は、図11に示す紙製容器70のB−B´線における断面図である。
【0047】
図11及び12に示す紙製容器70は、フランジを有する胴部材71と底部材72からなるフランジ付き紙カップ状の内紙箱73の外面に筒状の外紙箱75が被せられ、内紙箱73の内面に内面樹脂フィルム74が、上部にフランジ部を有する筒状の外紙箱75の外面に外面樹脂フィルム76を各々積層してなる。尚、フランジ付き紙カップ状の内紙箱73の下部には、胴部材71と底部材72からなる脚部77を有している。
【0048】
図11に示すフランジ付き紙カップ状の内紙箱73の作製は次の通り行う。まず、胴部材のブランクの端縁を重ね合わせてテーパーを有する円筒形状の胴部材71を形成する。加えて、円形状の底部材ブランクの周縁を下向きに起立させた周縁部を有する底部材72を形成する。
【0049】
次に、胴部材71の下部内面に、底部材72の周縁部の外面を接合する。その後に、周縁部を覆うように、胴部材71の下端縁部を内方に折り曲げ、底部材72の周縁部内面に接合させて脚部77を形成する。また、胴部材71の上部周縁を外方に、折り曲げフランジを形成する。
【0050】
上記のように、作成したフランジ付き紙カップ状の内紙箱73を真空成形の成形型にセットし、内面樹脂フィルム74を真空成形により、密着、積層する。一方、筒状の外紙箱75にも同様の方法により、外面樹脂フィルム76を真空成形により、密着、積層する。そしてこれらを、内紙箱73に外紙箱75が接するように被せ、内面樹脂フィルム74と外面樹脂フィルム76の周縁部を熱融着して、紙製容器70を形成した。
【0051】
なお、本発明におけるフランジ付き紙カップ状の内紙箱73は、テーパー状のカップ形状に限定されず、円筒状のカップ形状であっても同様である。
【0052】
本発明における紙製容器の形状としては、上記に記載した形状に限定されるものではなく、本発明の要件を満たす紙製容器であればよい。これにより、バリア性、耐水性、レトルト耐性などの機能に優れた紙製容器を得ることができる。更には、蓋材とヒートシールした時にフランジが平坦であれば、シール漏れにより内容物が漏れ出す恐れがない。
【符号の説明】
【0053】
1・・・紙製容器
2・・・フランジ付き内紙箱
3・・・内面樹脂フィルム
4・・・フランジ付き外紙箱
5・・・外面樹脂フィルム
6・・・成形型
7・・・ヒーター
10・・・ブランク
11・・・底面
12・・・側面
13・・・重ね片
14・・・フランジ
15・・・折り曲げ線
20・・・ブランク
21・・・重ね片
22・・・フランジ重ね片
31・・・ブランク
32・・・ブランク
33・・・ブランク
40・・・紙製容器
41・・・外紙箱
42・・・外面樹脂フィルム
43・・・内紙箱
44・・・内面樹脂フィルム
50・・・紙製容器
51・・・内紙箱
52・・・内面樹脂フィルム
53・・・外紙箱
54・・・外面樹脂フィルム
60・・・紙製容器
61・・・内紙箱
62・・・外紙箱
63・・・内面樹脂フィルム
64・・・外面樹脂フィルム
70・・・紙製容器
71・・・胴部材
72・・・底部材
73・・・内紙箱
74・・・内面樹脂フィルム
75・・・外紙箱
76・・・外面樹脂フィルム
77・・・脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内紙箱の内面に該内紙箱の内面より大きい内面樹脂フィルムが積層され、外紙箱の外面に該外紙箱の外面より大きい外面樹脂フィルムが積層され、
前記内紙箱の外面と前記外紙箱の内面が重ねあわされ、
前記内面樹脂フィルムと前記外面樹脂フィルムの周縁部が貼り合わされていることを特徴とする紙製容器。
【請求項2】
前記内紙箱あるいは前記外紙箱の少なくともいずれか一方がフランジを有する紙箱であることを特徴とする請求項1に記載の紙製容器。
【請求項3】
前記フランジを有する紙箱が、一枚のブランクを製函してなり、前記紙箱の四側面上端縁に連結されたフランジは、隣り合うフランジどうしの端部が突合せになっており、互いに重なり合っていないことを特徴とする請求項2に記載の紙製容器
【請求項4】
内紙箱の内面に該内紙箱の内面より大きい内面樹脂フィルムを積層する工程と、
外紙箱の外面に該外紙箱の外面より大きい外面樹脂フィルムが積層する工程と、
前記内紙箱の外面と前記外紙箱の内面を重ねあわす工程と、
前記内面樹脂フィルムと前記外面樹脂フィルムの周縁部を貼り合わせる工程とを有することを特徴とする紙製容器の製造方法。
【請求項5】
内紙箱の内面に該内紙箱の内面より大きい内面樹脂フィルムを積層する工程が、前記内面樹脂フィルムを真空成形法又は/及び圧空成形法により成形型内に設置した前記内紙箱に積層させる工程であることを特徴とする請求項4に記載の紙製容器の製造方法。
【請求項6】
外紙箱の外面に該外紙箱の外面より大きい外面樹脂フィルムが積層する工程が、前記外面樹脂フィルムを真空成形法又は/及び圧空成形法により成形型内に設置した前記外紙箱に積層させる工程であることを特徴とする請求項4に記載の紙製容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−93537(P2011−93537A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246409(P2009−246409)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】