説明

紫外線硬化型樹脂組成物および硬化物

【課題】硬化後の塗膜の硬度が高く、プラスチック基材に塗布後の反りの抑制や密着性に優れている紫外線硬化型樹脂組成物およびその硬化物、また、ブルーレイディスク等の光記録媒体に用いられる保護層(透明カバー層)として有用な紫外線硬化型樹脂組成物およびそれを用いた光記録媒体の提供。
【解決手段】少なくとも(a)下記式(1):


(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは有機残基、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表される光重合開始剤、(b)アミド基を有する重合性単量体、および(c)(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーを含有することを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物を使用すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプラスチック基材に塗布、硬化させて得られた積層体が、低反り性、耐擦傷性、密着性に優れ、環境促進試験で積層体の反りを抑える硬化物が得られる紫外線硬化型樹脂組成物、該紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物、光記録媒体用硬化性樹脂組成物、およびそれを用いた光記録媒体に関する。より詳しくはブルーレイディスクに用いられる保護層(透明カバー層)として有用な硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高画質のデジタルハイビジョン放送が始まったことで、フルハイビジョン対応の高画質で大画面の液晶やプラズマテレビが普及されるようになった。しかし、従来の光記録媒体であるDVDは記録容量が小さいので、高品位の動画像を長時間録画することができなかった。これに応えるために、DVDの5倍以上もの記録容量を有する新しい光記録媒体の規格として青色レーザー光で情報を記録・再生するブルーレイディスクが開発、販売されるようになった。
【0003】
この新規格では、光記録媒体の大容量化のために波長405nmの青色レーザー光の採用や記録・再生光学系対物レンズの開口数(NA)を0.85に大きくして、記録・再生時のレーザービームスポット径をDVDよりも約0.44倍まで小さくし、又、信号が記録されるトラックピッチ(間隔)を約0.43倍に狭くすることで5倍以上もの大記録容量化が実現されている。
【0004】
また大容量化の技術としてもう1つ採用されていることがある。レーザー入射側から見てディスク表面にはキズやホコリからの保護として透明カバー層が施されてある。ディスク表面と信号の記録面との距離(透明カバー層厚み)は、DVDでは約600μmであったが、前述した高NA化を実現するために、ブルーレイディスクでは100μmと薄くなっている。この透明カバー層厚みを薄くすることで、ディスクの反り等による傾きで生じるスポットの歪(ボケ)が抑えられ、信頼性の高い記録・再生が実現されるようになった。
【0005】
透明カバー層の形成方法として主に2つの方法が挙げられる。ポリカーボネート製のシートを紫外線硬化型の接着剤で貼り合わせるシート接着法と紫外線硬化型の樹脂をスピンコートで塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させるスピンコート法がある。現在はコストの面からスピンコート法が主流になっている。しかし、紫外線硬化型の樹脂を用いて透明カバー層を構成すると、硬化時に発生する収縮のために光ディスクに反りが発生する。この反りは硬化時の架橋密度を下げることで改善されるが、硬度や耐スクラッチ性(耐磨耗性)が低下するためにディスク表面に傷がつきやすい等の問題点があった。又、硬度以外の問題点として、環境促進試験を実施した際の耐熱・耐湿試験で積層体の反りが増大する問題点があった。
【0006】
この耐熱・耐湿試験での基材の反りを抑える方法として、従来から種々の検討がなされている。例えば、以下のようなものが挙げられる。特許文献1は、硬化物を形成した積層体の表面硬度をHB以上に上げる方法が開示されている。特許文献2には、紫外線照射して得られる硬化塗膜の環境試験で硬化塗膜の重量減少を抑える方法が開示されている。また特許文献3には、2種類の異なる光重合開始剤を用いて活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させる方法が開示されている。しかし、いずれの場合でも環境促進試験での基材の反りを抑えるために更なる工夫が必要であった。
【0007】
【特許文献1】特開2006−152289号公報
【特許文献2】特開2007−270119号公報
【特許文献3】特開2007−176913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、硬化後の塗膜の硬度が高く、傷つきにくい硬化物であり、プラスチック基材へ塗布した後の積層体の反りやプラスチック基材との密着性に優れており、又、耐熱・耐湿等の環境促進試験で積層体の反りを抑える硬化物を与えることができる紫外線硬化型樹脂組成物およびその硬化物。また、ブルーレイディスク等の光記録媒体に用いられる保護層(透明カバー層)として有用な紫外線硬化型樹脂組成物およびそれを用いた光記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記問題点を解決する為に光重合開始剤を鋭意検討した結果、特定の構造を有する重合性化合物と特定の光重合開始剤を用いることにより高温環境下に長時間放置された後の反りを抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記式(1):
【0010】
【化1】

【0011】

(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは有機残基、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
で表される光重合開始剤とアミド基を有する重合性単量体と(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーを含有する紫外線硬化型樹脂組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記光重合開始剤とアミド基を有する重合性単量体と(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーを含有する光記録媒体用紫外線硬化型樹脂組成物でもある。
また、本発明は、前記紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させてなる硬化物でもある
また、本発明は、前記紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させた硬化物層を有する光記録媒体でもある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、硬化後の塗膜の硬度が高く、傷つきにくい硬化物であり、プラスチック基材へ塗布した後の反りやカール、塗膜ひび割れ及び剥がれなどが生じにくく、かつプラスチック基材との密着性に優れており、又、耐熱・耐湿等の環境促進試験で積層体の反りを抑える硬化物を与えることができる紫外線硬化型樹脂組成物およびその硬化物。また、ブルーレイディスクに用いられる保護層(透明カバー層)として有用な紫外線硬化型樹脂組成物およびそれを用いた光記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、下記式(1):
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは有機残基、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表される光重合開始剤とアミド基を有する重合性単量体と(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーを含有することを特徴とするものである。
≪紫外線硬化型樹脂組成物≫
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、上記式(1)で表される特定構造を有する光重合開始剤とアミド基を有する重合性単量体と(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーを必須成分として含有する。これにより高温環境下に長時間放置された後の反りを抑えることができる。本発明の組成物の粘度は2mPa・s〜10,000mPa・sが好ましい。より好ましくは5mPa・s〜5,000mPa・sであり、さらに好ましくは10mPa・s〜5,000mPa・sである。組成物の粘度は上記範囲内で適宜設定することにより、各種用途に応じた塗布が可能となる。
≪光重合開始剤≫
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物において使用する光重合開始剤は、上記式(1)で示されるα−ヒドロキシケトン系の材料である。
上記式(1)の中でRは水素原子またはメチル基、Rは有機残基、Rは水素原子またはメチル基を表すが、Rの有機残基としては、炭素数1〜40の有機残基が好適であり、例えば、直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基;エーテル結合、エステル結合、アセタール結合の少なくとも1つを有する有機残基が好ましい。上記式(1)で示される光重合開始剤としては、Rは水素原子、Rはエチル基、Rは水素原子である下記式(2)で表される化合物1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンが特に好ましい。下記式(2)の化合物の市販品としては、商品名:イルガキュア2959(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)がある。
【0017】
【化3】

【0018】
上記式(1)で示される光重合開始剤の紫外線硬化型樹脂組成物中の配合量としては、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。重合開始剤の配合量が0.05質量%未満であると、組成物が充分に硬化しないことがある。逆に、重合開始剤の配合量が20質量%を超えると、着色が増大する等、むしろ悪影響を及ぼす上、経済性を損なうことがある。
≪アミド化合物≫
アミド基を有する重合性単量体としては、分子内にアミド基とラジカル重合性の反応性基を有しているものが好ましい。アミド基を有する重合性単量体として例えば、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらアミド基を有する重合性単量体の中でも、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、アクリロイルモルホリンが好適である。
≪オリゴマー及びポリマー≫
(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーまたはポリマーとしては、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレートのようなアクリロイル基を有するオリゴマーでもよく、また、重合体に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーやポリマーのようなものでもよい。
【0019】
本発明の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーまたはポリマーとして下記式(3):
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である)
で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体を用いてもよい。
【0022】
上記式(3)において、Rで表される炭素数2〜8のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、シクロヘキシレン基、1,4−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,4−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基などが挙げられる。Rで表される置換基は、上記式(3)中にm個存在するが、同一であっても異なっていてもよい。
【0023】
上記式(3)において、mは正の整数、好ましくは1〜20の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは1〜5の整数である。
【0024】
紫外線硬化型樹脂組成物として(メタ)アクリル単官能モノマー、(メタ)アクリル多官能モノマー、を含有してもよい。紫外線硬化型樹脂組成物において、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーまたはポリマーの配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは10質量%以上〜100質量%未満、より好ましくは30質量%以上〜70質量%以下である。オリゴマーまたはポリマーの配合量が10質量%未満であると、架橋密度が低下するので硬化速度の低下や硬化物の塗膜強度が不充分になることがある。
【0025】
ラジカル重合性(アニオン重合性)の(メタ)アクリロイル基とカチオン重合性のビニルエーテル基とを分子内に併せ持つユニークな構造の単量体として、アクリル酸2−ビニロキシエチル(VEA)、メタクリル酸2−ビニロキシエチル(VEM)、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEM)などの異種重合性単量体が知られている。これらの異種重合性単量体は、重合方法を選択することにより、(メタ)アクリロイル基またはビニルエーテル基をペンダントに持つユニークな重合体を与えることができる。例えば、カチオン重合を行えば、ビニルエーテル基が選択的に重合反応を行い、上記式(3)で示されるような側鎖にラジカル重合(アニオン重合)可能な二重結合を有する(メタ)アクリロイル基ペンダント型重合体が得られる。
【0026】
上記式(3)で示されるビニル系重合体は、固体状の単量体含有量が多い重合体の場合を除き、液状粘性体として得ることができる。液状粘性体であれば、(メタ)アクリレート系単量体との溶解性が良いので、硬化性樹脂組成物を調整する際に作業効率の向上化が図れる。粘度が低いと作業性が良く、また、積層体を作成する際に、基材との濡れ性は向上する。
【0027】
上記式(3)で示されるビニル系重合体は、低分子量成分が増加すると硬化膜層の強度が低下することがある。ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500以上、より好ましくは750〜200,000、さらに好ましくは7500〜50,000の範囲内である。ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)が500未満であると、硬化速度の低下や硬化物の強度低下を生じることがある。また200,000を超えると基材との濡れ性が低下することや、また、硬化性樹脂組成物を調整する際に混合時間が長くなることや、粘度が高くなり例えば塗工性等の作業性が低下する場合がある。ここで、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、THFを移動相とし、温度40℃、流速0.3mL/minの条件下で、東ソー株式会社製のカラム TSK−gel SuperHM−H 2本、TSK−gel SuperH2000 1本を用い、東ソー株式会社製のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置 HLC−8220GPCにより求め、標準ポリスチレン換算した値である。
<ビニル系重合体の調製>
上記式(3)で示されるビニル系重合体は、下記式(4):
【0028】
【化5】

【0029】
(式中、R、Rおよびmは上記式(3)と同意義である)
で示される異種重合性単量体を、従来から知られているカチオン重合により調整することが可能であり、又、特開2006−241189号明細書に記載された方法でリビングカチオン重合することにより、容易に調製することもできる。このとき、上記式(4)で示される異種重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。後者の場合、得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体またはその組合せのいずれであってもよい。また、グラフト共重合体であってもよい。
【0030】
上記式(4)で示される異種重合性単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エトキシ)エチル;などが挙げられる。これらの異種重合性単量体のうち、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルが好適である。
【0031】
上記式(4)で示される異種重合性単量体は、従来公知の方法を用いて、製造することができる。例えば、上記式(4)において、Rがエチレン基、mが1である場合、(メタ)アクリル酸の金属塩と、2−ハロゲノエチルビニルエーテルとを縮合させるか、(メタ)アクリル酸メチルと、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルとをエステル交換させるか、あるいは、(メタ)アクリル酸ハライドと、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルとを縮合させることにより、製造することができる。また、上記式(4)において、Rがエチレン基、mが2である場合、(メタ)アクリル酸の金属塩と、2−(2−ハロゲノエトキシ)エチルビニルエーテルとを縮合させるか、(メタ)アクリル酸メチルと、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルビニルエーテルとをエステル交換させるか、あるいは、(メタ)アクリル酸ハライドと、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルビニルエーテルとを縮合させることにより、製造することができる。
【0032】
上記式(3)で示されるビニル系重合体がカチオン重合可能な単量体に由来する構造単位を有する共重合体である場合、かかる共重合体は、上記式(4)で示される異種重合性単量体と、カチオン重合可能な単量体とを、カチオン重合あるいはリビングカチオン重合することにより、容易に調製することができる。このとき、上記式(4)で示される異種重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体またはその組合せのいずれであってもよい。また、グラフト共重合体であってもよい。
【0033】
カチオン重合可能な単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;スチレン、4−メチルスチレン、3−メチルスチレン、2−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;イソプロペニルスチレン、ケイ皮酸2−ビニロキシエチル、ソルビン酸2−ビニロキシエチルなどのジビニル化合物やトリビニル化合物;2,3−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−5−メチルフランのフラン誘導体;などが挙げられる。これらのカチオン重合可能な単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのカチオン重合可能な単量体のうち、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物や2,3−ジヒドロフランが好適である。
【0034】
上記式(4)で示される異種重合性単量体は、ラジカル重合性またはアニオン重合性の(メタ)アクリロイル基と、カチオン重合性のビニルエーテル基とを同時に有するので、重合方法を選択することにより、(メタ)アクリロイル基またはビニルエーテル基をペンダント基として有する重合体が得られる。上記式(4)で示される異種重合性単量体のビニルエーテル基を、単独で、あるいは、カチオン重合可能な単量体と共に、カチオン重合あるいはリビングカチオン重合させることにより、(メタ)アクリルロイル基をペンダント基として有する上記式(3)で示されるビニル系重合体が得られる。
【0035】
上記式(4)で示される異種重合性単量体と、カチオン重合可能な単量体とをカチオン重合あるいはリビングカチオン重合する場合、単量体のモル比(カチオン重合可能な単量体/上記式(4)で示される異種重合性単量体)は、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜8、さらに好ましくは0.8〜5の範囲内である。
【0036】
<その他の成分>
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、アミド基を有する重合性単量体以外の重合性単量体、または他の熱あるいは光開始剤を含んでもよい。重合性単量体を含む場合には、硬化させて得られる硬化物の物性を調節することができるという効果を奏する。
【0037】
重合性単量体としては、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーや上記式(3)で示されるビニル系重合体と共硬化可能なものである限り、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、スチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−メチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系単量体;フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリルなどのアリルエステル系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、等の1官能(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド付加物のモノ・ジ・トリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、p−メンタンー1,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−2,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−3,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−メチル−4−イソプロピル−5,6−ジメチロールジ(メタ)アクリレート、等の2官能(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物、などの(メタ)アクリル酸系誘導体;トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチロールメラミンのアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルのアジピン酸エステル、アリルアセタール、メチロールグリオキザールウレインのアリルエーテルなどのアリルエーテル系単量体;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸エステル系単量体;フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなどのフマル酸エステル系単量体;4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、などの1,3−ジオキソラン系単量体;などが挙げられる。これらの重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性単量体のうち、(メタ)アクリル系エステル化合物が好適で、さらに脂環構造置換基を有する(メタ)アクリル系エステル化合物が好適である。
【0038】
上記式(1)以外の重合開始剤としては、加熱により重合開始ラジカルを発生する熱重合開始剤;紫外線の照射により重合開始ラジカルを発生する光重合開始剤;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、熱重合促進剤、光増感剤、光重合促進剤などをさらに添加することも好ましい。
【0039】
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマーなどのアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリドなどのベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリドなどのチオキサントン類;などが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの光重合開始剤のうち、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アシルホスフィンオキシド類が好適であり、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが特に好適である。
【0040】
熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルアセトアセテートペルオキシド、アセチルアセテートペルオキシド、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、スクシン酸ペルオキシド、m−トルオイルベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、α,α’−ビス(ネオデカノイルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシソブチレート、t−ブチルペルオキシマレート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルペルオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルペルオキシド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンなどの有機過酸化物系開始剤;2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(4,5、6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]などのアゾ系開始剤;などが挙げられる。これらの熱重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの熱重合開始剤のうち、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ベンゾイルペルオキシドなどの金属石鹸および/またはアミン化合物などの触媒作用により効率的にラジカルを発生させることができる化合物や2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好適である。
【0041】
上記式(1)以外の重合開始剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%である。重合開始剤の配合量が0.05質量%未満であると、組成物が充分に硬化しないことがある。逆に、重合開始剤の配合量が20質量%を超えると、硬化物の物性がさらに向上することはなく、むしろ悪影響を及ぼす上、経済性を損なうことがある。
【0042】
重合開始剤として、光重合開始剤を用いる場合には、光励起により生じた励起状態から光重合開始剤に励起エネルギーを移し、光重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができる光増感剤を用いることができる。光増感剤としては、例えば、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。これらの光増感剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0043】
光増感剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%の範囲内である。光増感剤の配合量がこのような範囲内であれば、組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。
【0044】
重合開始剤として、光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができる光重合促進剤を用いることができる。光重合促進剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−n−ブトキシエチル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどを挙げることができる。これらの光重合促進剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの光重合促進剤のうち、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンが好適である。
【0045】
光重合促進剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%の範囲内である。光重合促進剤の配合量がこのような範囲内であれば、組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。
【0046】
熱重合開始剤、光重合開始剤、熱重合促進剤、光増感剤、光重合促進剤などを組み合わせて配合する場合、その配合量の合計量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量の範囲内である。重合開始剤などの組合せ配合量の合計量がこのような範囲内であれば、組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。
【0047】
紫外線による硬化の場合、波長150〜450nmの範囲内の光を含む光源を用いればよい。このような光源としては、例えば、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、フラッシュ型キセノン灯、カーボンアーク灯などが挙げられる。これらの光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱などによる熱の併用も可能である。照射積算光量は、好ましくは0.1〜5J/cm、より好ましくは0.15〜3J/cm、さらに好ましくは0.2〜1J/cmの範囲内である。
【0048】
紫外線硬化に加え、加熱による硬化を行う場合、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱などを用いればよい。加熱温度は、基材の種類などに応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃、さらに好ましくは100〜170℃の範囲内である。加熱時間は、塗布面積などに応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは1分間〜24時間、より好ましくは10分間〜12時間、さらに好ましくは30分間〜6時間の範囲内である。
【0049】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、金属酸化物からなる微粒子を含有してもよい。金属酸化物からなる微粒子を含有する場合には、硬化後の塗膜の硬度が向上し、より傷つきにくくなるという効果を奏する。
【0050】
微粒子を構成する金属酸化物は、より好ましくは、Si、Ti、Zr、Zn、Sn、In、LaおよびYよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む。微粒子を構成する金属酸化物は、これらの元素を含む単独の酸化物であってもよいし、これらの元素を含む複合酸化物であってもよい。微粒子を構成する金属酸化物の具体例としては、例えば、SiO、SiO、TiO、ZrO、ZnO、SnO、In、La、Y、SiO−Al、SiO−Zr、SiO−Ti、Al−ZrO、TiO−ZrOなどが挙げられる。これらの金属酸化物からなる微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの金属酸化物からなる微粒子のうち、SiO、TiO、ZrO、ZnOが好適である。
【0051】
金属酸化物からなる微粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜300nm、より好ましくは1〜50nmである。微粒子の平均粒子径が300nmを超えると、硬化物の透明性が損なわれることがある。なお、微粒子の平均粒子径とは、動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて測定することにより求められる体積平均粒子径を意味する。
【0052】
金属酸化物からなる微粒子の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0〜80質量%、より好ましくは0〜50質量%である。微粒子の配合量が80質量%を超えると、硬化物が脆くなることがある。
【0053】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、添加物として、無機充填剤、非反応性樹脂(例えば、アクリル系樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂など)、着色顔料、可塑剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃化剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤、揺変化剤、揺変助剤などを添加することができる。これらの添加物の存在は、特に本発明の効果に影響を及ぼすものではない。これらの添加物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0054】
添加物の配合量は、添加物の種類や使用目的、組成物の用途や使用方法などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、無機充填剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜50質量%の範囲内である。非反応性樹脂、着色顔料、可塑剤または援変化剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは10〜25質量%の範囲内である。重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤または援変助剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.0001〜5質量%、より好ましくは0.001〜3質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%の範囲内である。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、光記録記録媒体以外に、プラスチックフィルム、OA機器、携帯電話等の通信機器、家庭用電化製品、自動車用内・外装部品、家具用外装部材、プラスチックレンズ、化粧品容器、飲料用容器、有機ELディスプレイ等のディスプレイ、家電製品等のタッチパネル、流し台、洗面台、さらにはショーウインドウ、窓ガラス等、などの用途分野に使用してもよい。光記録ディスク、プラスチックフィルムに特に好適に用いることができる。また本発明の硬化膜層は耐擦傷性、硬度に特に優れるため特にハードコート層硬化物に好適に用いることができる。
【0055】
≪硬化物≫
本発明の硬化物は、硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる。ここで、「硬化物」とは、流動性の無い物質を意味する。
【0056】
本発明の硬化物は100μmの膜厚での400nmにおける光線透過率が85%以上である。好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。本発明の硬化物は上記式(1)をで示される繰り返し単位を有するビニル系重合体を含有することで上記光線透過率を達成することができた。特に光学用途では光線透過率が85%より低いと厚塗りや膜厚の調整が難しくなる場合がある。
【0057】
また、本発明の硬化物は鉛筆硬度がB以上である。好ましくはHB以上、さらに好ましくはH以上である。本発明では1分子中にアクリロイル基を3以上のビニル系重合体を用いることで高密度の架橋を達成することができ、硬度に優れた硬化物を得ることができた。鉛筆硬度がBより低い場合には表面に傷が付きやすく、実用には不十分である。
【0058】
≪積層体≫
本発明で積層体とは、基材プラスチック上部に上記硬化物層が形成された状態のものを示す。基材プラスチックと硬化物層の間に情報記録層を有していてもよい。光記録媒体では、積層体の反りがある一定の範囲に有していることが望まれる。本発明は、積層体の反りが、環境促進試験後に増大しないことが好ましい。より好ましくは、環境促進試験後の積層体の反りが緩和され、硬化後の反り量より緩和されることが好ましい。
【0059】
積層体に使用される基材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルアミド(PEI)、ナイロン(NY)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、特許公報2015632、特許公報3178733、特開2001ー151814、特開2007ー70607などに開示されている熱可塑性樹脂、などの樹脂成形物およびフィルム;ポリエチレンコート紙、ポリエチレンテレフタレートコート紙などのコート紙、非コート紙などの紙類;木材;ガラス;ステンレス、鉄、アルミニウム、銅、合金などの金属類;などが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、耐熱アクリルが好ましい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
まず、ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)の測定について説明する。
<数平均分子量および分子量分布>
ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求めた。測定条件は、以下の通りであった。
移動相:THF、温度:40℃、流速:0.3mL/min;
カラム:TSK−gel SuperHM−H 2本
TSK−gel SuperH2000 1本(いずれも東ソー株式会社製)
計測機器:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)。
<耐スクラッチ性>
積層体(硬化物層/ポリカーボネート板基材)の硬化物表面に対して、耐摩耗試験機(型式IMC−154A型、株式会社井元製作所製)を用いて、所定の荷重の下、スチールウール#0000番を、往復速度30mm/秒、往復距離25mmで10回往復させた後、傷つき度合いを目視により観察し、以下の基準で評価した。
【0062】
○:荷重200g/cm変化なし(傷が認められない)
×:荷重200g/cmで数本の傷が認められる
<耐熱試験前の反り量>
直径120mm、厚さ1mmのポリカーボネート板基材に、平均硬化膜厚100μm±5μmの硬化物層が形成された積層体を、温度25℃の条件下で水平台に硬化物層を上面側して室温にて24時間放置した後、四隅の水平台からの浮き高さを自社製レーザー式反り角度測定装置によって測定して平均値を算出した。
<耐熱試験後の反り量>
直径120mm、厚さ1mmのポリカーボネート板基材に、平均硬化膜厚100μm±5μmの硬化物層が形成された積層体を70℃の恒温下に96時間置いた後、取り出し、再び積層体の硬化物層を上面側して水平台に室温にて24時間放置した後、四隅の水平台からの浮き高さを自社製レーザー式反り角度測定装置によって測定して平均値を算出した。
<反り判定>
耐熱試験後の反り量と耐熱試験前の反り量とを比較して以下の基準で評価した。
【0063】
+:耐熱試験後に反りが増大した
−:耐熱試験後に反りが増大した
次に実施例で用いるビニル系重合体の製造例について説明する。
≪製造例1≫
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに酢酸エチル150gを加え、50℃へ昇温した。昇温後、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)99gとシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)101gの混合物と、酢酸エチル25gとリンタングステン酸13mgの混合溶解物を、それぞれ3時間かけて滴下し重合を行った。重合終了後はトリエチルアミンを加えて反応を終了した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、ビニル系重合体P(VEEA−CHVE1)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.5%であること、さらに、酢酸エチルの含有量は0.1%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は2,030、分子量分布(Mw/Mn)は1.57であった。
≪製造例2≫
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに酢酸エチル150gを加え、30℃へ昇温した。昇温後、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)99gとシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)101gの混合物と、酢酸エチル25gとリンタングステン酸13mgの混合溶解物を、それぞれ3時間かけて滴下し重合を行った。重合終了後はトリエチルアミンを加えて反応を終了した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、ビニル系重合体P(VEEA−CHVE2)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.5%であること、さらに、酢酸エチルの含有量は0.1%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は3,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.86であった。
≪製造例3≫
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに酢酸エチル150gを加え、40℃へ昇温した。昇温後、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)119gとシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)81gの混合物と、酢酸エチル25gとリンタングステン酸13mgの混合溶解物を、それぞれ3時間かけて滴下し重合を行った。重合終了後はトリエチルアミンを加えて反応を終了した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、ビニル系重合体P(VEEA−CHVE3)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.5%であること、さらに、酢酸エチルの含有量は0.1%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は2,790、分子量分布(Mw/Mn)は1.65であった。
≪実施例1≫
製造例1で得られたビニル系重合体P(VEEA−CHVE)50質量部、アミド基を有する重合単量体としてNVP(N−ビニルピロリドン:日本触媒製)5質量部、重合性単量体ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジアクリレート(商品名「ライトアクリレートBP−4EA」:共栄社化学株式会社製)35質量部、PEG#400ジアクリレート(商品名「ライトアクリレート9EG−A」:共栄社化学株式会社製)10質量部、光重合開始剤1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)5質量部、表面調整剤ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名「FZ−7002」、東レ・ダウコーニング株式会社製)0.5質量部を混合・攪拌して、紫外線硬化型樹脂組成物を調製した。
【0064】
次に、直径120mm、厚さ1mmのポリカーボネート板基材上に、スピンコーターを用いて、上記硬化性樹脂組成物を厚さ100μmで塗布した。このPCシートに塗布した樹脂層をパルスUV照射装置(キセノン・フラッシュランプ型式RC−801;キセノン株式会社製)を用いて紫外線硬化させた(積算光量360mJ/cm)。得られたPCシート上の硬化物を評価し結果を表1に示した。
【0065】
実施例1と同様の装置を用い、表面調整剤以外の材料を表1に示す組成物混合比率にて積層体を得た。評価結果について表1に示した。
【0066】
【表1】

【0067】
なお、表中の略称は下記の通りである。
【0068】
オリゴマー又はポリマー
・VEEA
アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル
・CHVE
シクロヘキシルビニルエーテル
・UV−7550B
ウレタンアクリレート
(商品名「紫光UV−7000B」、日本合成化学工業株式会社製)
アミド基を有する重合性単量体
・NVP
N−ビニルピロリドン(株式会社日本触媒製)
・NVCP
N−ビニルカプロラクタム(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)
・ACMO
アクリロイルモルホリン(株式会社興人製)
重合性単量体
・BP−4EA:
ビスフェノールAのエチレンオキシド4EO付加物のジアクリレート
(商品名「ライトアクリレートBP−4EA」、共栄社化学株式会社製)
・PEG#400
ポリエチレングリコールジアクリレート
(商品名「ライトアクリレート9EG−A」:共栄社化学株式会社製)
光重合開始剤
・Irg2959:
1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ
−2−メチル−1−プロパン−1−オン
(商品名「イルガキュア2959」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
・Irg184:
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
(a) 下記式(1):
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは有機残基、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
で表される光重合開始剤、
(b)アミド基を有する重合性単量体、および
(c)(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマー
を含有することを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記光重合開始剤とアミド基を有する重合単量体と(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーを含有することを特徴とする光記録媒体用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。
【請求項4】
請求項3記載の硬化物層を有することを特徴とする光記録媒体。

【公開番号】特開2009−197103(P2009−197103A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39016(P2008−39016)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】