説明

紫外線防御化粧料

【課題】肌上に塗布した場合に青白い不自然な外観を与えず、A、B両領域の紫外線に対する防御能が高く、塗布時の使用感にも優れる紫外線防御化粧料を提供する。
【解決手段】(a)UV−A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤(b)微粒子二酸化チタン
(c)酸化鉄を含有する複合粉体及び有機色素によって着色された粉体よりなる群より選択される一種又は二種以上の着色粉体であって、乾燥粉末状態で、マンセル表色系における色相値が10Pから5GYである着色粉体を含有し、顔料級の二酸化チタン、酸化鉄顔料の含有量の総和が化粧料全体に対して2質量%以下であることを特徴とする紫外線防御化粧料によって課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線防御化粧料に関し、さらに詳細にはA領域、B領域の紫外線に対する防御能が高く、かつ透明感ある自然な仕上がりを与える紫外線防御化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧料に求められる重要な機能として、紫外線に対する防御能が上げられる。地球上には320nm〜400nmの紫外線A波及び290nm〜320nmの紫外線B波が到達しており、これら二つの領域の紫外線に対する防御能が求められている。
【0003】
化粧料に紫外線防御能を付与する手段として、紫外線A領域、紫外線B領域に吸収を持つ、いわゆる紫外線吸収剤が古くから用いられてきた。しかしながら、これら紫外線吸収剤の多くは高粘の油剤であり、高い紫外線防御能を得るために、化粧料へ高濃度で配合すると使用性が著しく低下するという課題を有していた。また、紫外線吸収剤は紫外線を吸収して熱エネルギーや振動エネルギーに変換するので、肌に好ましくない影響を与える場合があるという課題を有していた。
【0004】
これら、紫外線吸収剤の課題を解決するために、サブミクロンの一次粒子径を有する、いわゆる無機酸化物微粒子が利用されるようになってきた。A領域の紫外線に対する防御能を付与するためには微粒子酸化亜鉛が、B領域の紫外線に対する防御能を付与するためには微粒子二酸化チタンが用いられ、これらを併用することでA、B両領域の紫外線に対する防御能が付与されている。(例えば特許文献1,特許文献2参照)
【0005】
しかしながら、微粒子二酸化チタンは微粒子に起因するブルーシフトが強いため、これらの化粧料には、肌上に化粧料を塗布した場合に青白く不自然な外観を与えるという課題があった。これらの課題を解決するために、紫外線吸収剤と微粒子無機酸化物を併用する化粧料(例えば特許文献3,4参照)、微粒子二酸化チタンと反射干渉色がオレンジまたは黄色または金色である粉体を併用する化粧料(例えば特許文献5参照)などが試みられているが、その効果は未だ充分ではない。
【0006】
したがって、肌上に塗布した場合に青白い不自然な外観を与えず、A領域の紫外線及びB領域の紫外線に対する防御能が高く、塗布時の使用感にも優れる紫外線防御化粧料が望まれていた。
【0007】
また、A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤、微粒子二酸化チタン、特定の色相を有する複合粉体及び/または有機色素で染色された粉体を含有し、顔料級の二酸化チタン及び酸化鉄顔料の含有量の総和が一定値以下である化粧料が、肌上に塗布した場合に青白い不自然な外観を与えず、A領域の紫外線及びB領域の紫外線に対する防御能が高く、塗布時の使用感にも優れる紫外線防御化粧料となり得ることは全く知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−208044号公報
【特許文献2】特開2009−155332号公報
【特許文献3】特開2007−145722号公報
【特許文献4】特開2010―222349号公報
【特許文献5】特開2000−319156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、肌上に塗布した場合に青白い不自然な外観を与えず、A、B両領域の紫外線に対する防御能が高く、塗布時の使用感にも優れる紫外線防御化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような状況に鑑み、本発明者等は肌上に塗布した場合に青白い不自然な外観を与えず、A、B両領域の紫外線に対する防御能が高く、塗布時の使用感にも優れる紫外線防御化粧料をもとめて鋭意研究した結果、A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤、微粒子二酸化チタン、特定の色相を有する複合粉体及び/または有機色素で染色された粉体を含有し、顔料級の二酸化チタン及び酸化鉄顔料の含有量の総和が一定値以下である化粧料が課題を解決することを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は以下に示す通りである。
(1)以下の(a)から(c):
(a)UV−A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
(b)微粒子二酸化チタン
(d) (c) 酸化鉄を含有する複合粉体及び有機色素によって着色された粉体よりなる群より選択される一種又は二種以上の着色粉体であって、乾燥粉末状態で、マンセル表色系における色相値が10Pから5GYである着色粉体
を含有し、顔料級の二酸化チタンと酸化鉄顔料との含有量の総和が化粧料全体に対して2.0質量%以下であることを特徴とする紫外線防御化粧料。
(2)UV−A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤がジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び/又はt−ブチルメトキシベンゾイルメタンであることを特徴とする(1)記載の紫外線防御化粧料。
(3)水中油乳化剤形であることを特徴とする(1)または(2)記載の紫外線防御化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば肌上に塗布した場合に青白い不自然な外観を与えず、A、B両領域の紫外線に対する防御能が高く、塗布時の使用感にも優れる紫外線防御化粧料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(1)本発明のUV−A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
本発明の紫外線防御化粧料は必須成分としてUV−A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤(以下UV−A吸収剤という)を含有する。このようなUV−A吸収剤としては、具体的には、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、ビス(レスルシニル)トリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタン等の化合物があげられる。この内でも、紫外線吸収能に優れることから、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンが特に好ましい。これらの化合物には市販品が存在するので、市販品をそのまま用いることができる。具体的な市販品としては「ユビナールAプラス グラニュラー」(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル BASF社製)、「パルソール1789」(t−ブチルメトキシベンゾイルメタン DSM社製)が例示できる。
【0013】
これらUV−A吸収剤の含有量は紫外線防御化粧料全量に対して0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.1〜3.0質量%であることがより好ましい。含有量が下限以下では、A領域の紫外線に対する防御効果が不十分な場合があり、また、上限以上では、含有量を増加させてもA領域の紫外線に対する防御効果が頭打ちになり、紫外線防御化粧料を塗布する際に伸びが重くなるなどの使用感の低下が生じる場合があり好ましくない。
【0014】
(2)本発明の微粒子二酸化チタン。
本発明の紫外線防御化粧料は必須成分として微粒子二酸化チタンを含有する。ここでいう微粒子とは一次粒子径(電子顕微鏡観察による。)が約10〜60nmの範囲にあるものを指す。また、本発明の微粒子二酸化チタンは、シリカ、アルミナ等の無機化合物或いは、脂肪酸金属石鹸、シリコーン等の有機化合物によりその表面が被覆されていても良い。本発明の微粒子二酸化チタンは、四塩化チタン等の気相中での熱分解等の常法により調製されうるが、多くの市販品も存在するので、市販品をそのまま用いることもできる。このような市販品としては、具体的には「MTY−110M3S」(テイカ(株)製)、「MTY−02」(テイカ(株)製)、「MT−100TV」(テイカ(株)製)、「MT−500HSA」(テイカ(株)製)、「MT−100T」(テイカ(株)製)、「MT−01」(テイカ(株)製)、「MT−10EX」(テイカ(株)製)、「MT−05」(テイカ(株)製)、「MT−100Z」(テイカ(株)製)、「MT−150EX」(テイカ(株)製)、「MT−100AQ」(テイカ(株)製)、「MT−100WP」(テイカ(株)製)、「MT−100SA」(テイカ(株)製)、「MT−500B」(テイカ(株)製)、「MT−500SA」(テイカ(株)製、「MT−600B」(テイカ(株)製)、「MT−500SAS」(テイカ(株)製)、)「タイペークCR−50」(石原産業(株)製)、「タイペークTTO−M−1」(石原産業(株)製)「タイペークTTO−V4」(石原産業(株)製)、「ST−455」(チタン工業(株)製)、「STT−65C−S」(チタン工業(株)製)、「STT−30EHS」(チタン工業(株)製)、「バイエルチタンR−KB−1」(バイエル社製)等が挙げられる。本発明において、微粒子二酸化チタンを紫外線防御化粧料に含有せしめる場合、予め微粒子二酸化チタンを油剤中に分散させてペーストとなし、該ペーストと紫外線防御化粧料を構成する他成分と混合する工程をとることが好ましい。このような工程をとることにより、微粒子二酸化チタンを紫外線防御化粧料中により均一に含有させることが可能となる。
【0015】
本発明の紫外線防御化粧料における、微粒子二酸化チタンの含有量は化粧料全体に対して0.1〜15.0質量%であることが好ましく、1.0〜10.0質量%であることがより好ましい。含有量が下限以下では、B領域の紫外線に対する防御効果が不十分な場合があり、また、上限以上では、含有量を増加させてもB領域の紫外線に対する防御効果が頭打ちになり、紫外線防御化粧料を肌上に塗布した際に青白い外観が目立つ場合があり好ましくない。
【0016】
以下、微粒子二酸化チタンの油剤分散ペーストの製造例を示す。
<製造例1>
微粒子二酸化チタン「MT−100TV」(テイカ(株)製)50g、デカメチルシクロペンタシロキサン56g、セスキイソステアリン酸ソルビタン4gをコボールミル(神鋼パンテック(株)製)にとり、8時間混合粉砕を行い、微粒子二酸化チタンペースト1を得た。
【0017】
<製造例2>
製造例1における微粒子に酸化チタンを「タイペークTTO−M−1」(石原産業(株)製に代え、製造例1と同様の操作を行って、微粒二酸化チタンペースト2を得た。
【0018】
(3)本発明の、酸化鉄を含有する複合粉体及び有機色素によって着色された粉体よりなる群より選択される一種又は二種以上の着色粉体であって、乾燥粉末状態で、マンセル表色系における色相値が10Pから5GYである着色粉体。
本発明の紫外線防御化粧料は酸化鉄を含有する複合粉体及び有機色素によって着色された粉体よりなる群より選択される一種又は二種以上の着色粉体であって、乾燥粉末状態で、マンセル表色系における色相値が10Pから5GYである着色粉体を必須成分として含有する。
【0019】
乾燥粉末状態で、マンセル表色系における色相値が10Pから5GYである、酸化鉄を含有する複合粉体(以下、鉄系複合粉体という)としては、タルク、カオリン、マイカ、合成マイカ、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の体質顔料又はこれら体質顔料の表面がシリカ、二酸化チタン、アルミナ等の無機酸化物で被覆された表面処理体質顔料の表面に、ベンガラ、黄色酸化鉄等の酸化鉄が被覆された複合粉体が好適に例示される。また、これらの複合粉体は、その表面が、さらにシリカ、アルミナ等の無機化合物或いは、脂肪酸金属、シリコーン等の有機物で被覆されていても良い。
【0020】
これら、鉄系複合粉体は、通常知られている被覆方法により、所定の物質や酸化鉄を体質顔料に被覆することにより得られるが、市販品も多く存在するので、それら市販品をそのまま使用することも可能である。このような市販品としては、具体的に、「カバーリーフ イエローFC」(二酸化チタンを被覆したセリサイトをさらに黄色酸化鉄で被覆した複合粉体 触媒化成(株)製)、「ダーマリアルリーフN」(二酸化チタンを被覆したセリサイトをさらにベンガラで被覆した複合粉体 触媒化成(株)製)、「ダーマリアルリーフJ」(ベンガラで被覆したマイカをさらにシリカで被覆した複合粉体 触媒化成(株)製)、「カバーリーフ MF」(二酸化チタンを被覆したマイカをベンガラで被覆し、さらにアルミナで被覆した複合粉体 触媒化成(株)製)、「カットリーフ AV」(セリサイトを、アルミナで被覆した二酸化チタンとベンガラの焼結物で被覆した複合粉体 三好化成製)等が例示される。
【0021】
乾燥粉末状態で、マンセル表色系における色相値が10Pから5GYである、有機色素によって着色された粉体(以下、有機系着色粉体という)としては、シリカ、ケイ酸カルシウム等の無機粉体或いはナイロン、ポリエチレン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の有機粉体を、赤色102号、赤色106号、黄色4号、黄色5号及びそれらのレーキ、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色226号、黄色401等の有機色素で着色された粉体が好適に例示される。また、着色されるシリカ、ケイ酸カルシウム等の無機粉体或いはナイロン、ポリエチレン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の有機粉体は、微粒子二酸化チタンによる青白い外観を減じさせる効果の面から、球状或いは繊維状であることが好ましい。
【0022】
これら、有機系着色粉体は、所定の無機粉体或いは有機粉体を通常の湿式染色法を用いて染色する又は所定の無機粉体或いは有機粉体と所定の有機色素とをメカノケミカル的に結合させる等の製法により調製されるが、市販品も多く存在するのでそれら市販品をそのまま使用することも可能である。このような市販品としては、具体的に、「イゲタファイバーR226P」(井型の断面を有するナイロン繊維を赤色226号で着色した粉体 (有)コスメテリアルズ社製)、「イゲタファイバー(R106+V401)」(井型の断面を有するナイロン繊維を赤色106号及び紫色401号で着色した粉体 (有)コスメテリアルズ社製)、「シリカビーズR226」(球状シリカに赤色226号を内包した複合粉体 日光ケミカルズ(株)製)、「フロービーズR226」(ポリエチレン粉末表面を赤色226号で着色した複合粉体 住友精化(株)製)等が例示される。
【0023】
本発明の紫外線防御化粧料における、鉄系複合粉体と有機系着色粉体からなる群から選択される一種又は二種以上の着色粉体の含有量は、紫外線防御化粧料全量に対して、0.01質量%〜10.0質量%であることが好ましく、0.1質量%〜5.0質量%であることがより好ましい。含有量が下限以下では、紫外線防御化粧料を塗布した際の、微粒子二酸化チタンによる青白い外観が目立つ場合があり、また、上限以上では、紫外線防御化粧料を塗布した際の化粧膜の透明感が損なわれ、不自然な仕上がりとなる場合があり好ましくない。
【0024】
以下に本発明の有機系着色粉体の製造例を示す。
<製造例3>黄色401号で着色した球状ナイロン粉末
1L磁製アルミナボールミルに、直径15mmの磁製アルミナボールを500g、球状ナイロン粉末(「東レナイロン SP500」 東レ(株)製 )99.0g、黄色401号(東洋インキ(株)製)1.0gをとり12時間混合粉砕して、黄色401号で着色された球状ナイロン粉体である複合粉体1を得た。
【0025】
<4>本発明の紫外線防御化粧料。
本発明の紫外線防御化粧料は、UV−A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤、微粒子二酸化チタン、鉄系複合粉体及び有機系着色粉体よりなる群より選択される一種又は二種以上の着色粉体であって、乾燥粉末状態で、マンセル表色系における色相値が10Pから5GYである着色粉体を必須成分として含有し、かつ、顔料級の二酸化チタンと酸化鉄顔料との含有量の総和が化粧料全体に対して2.0質量%以下であることを特徴とする。
【0026】
ここで、本発明の紫外線防御化粧料における顔料級の二酸化チタンとは、通常、白色顔料として化粧料に用いられる、平均粒径約0.1〜0.6μmの二酸化チタンを意味する。また、酸化鉄顔料とは、平均粒径約0.1〜2μmの、通常、化粧料に用いられる、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄顔料を意味する。
【0027】
さらに、本発明の化粧料は上記必須成分以外に通常化粧料で使用される任意成分を発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。かかる任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、酸化コバルト、群青、紺青、酸化亜鉛の無機顔料類、表面処理されていても良い、酸化鉄二酸化チタン焼結体等の複合顔料、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、表面処理されていても良い、微粒子酸化亜鉛、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤等のB領域の紫外線吸収剤、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0028】
また、本発明の紫外線防御化粧料としては、パウダーファンデーション等の粉末化粧料、オイルゲル等の油性化粧料、油中水形或いは水中油形の乳化化粧料と、その形態は、特に限定されないが、紫外線防御化粧料が多用される夏に、さっぱりとした使用感が求められることから、乳化化粧料、特に水中油形の乳化化粧料であることが好ましい。
本発明の化粧料は上記必須成分と任意成分とを常法により処理することにより得られる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】
<実施例1〜4、比較例1〜3>
表1に示す処方に従って、本発明の紫外線防御化粧料である、メークアップベース及び比較例のメークアップベースを調製した。すなわち、成分(イ)を75℃に加熱し、攪拌混合した。次に、成分(イ)に成分(ロ)を添加し、加熱を続けながら、ディスパーを用いて5000rpmで4分間攪拌し、成分(イ)に成分(ロ)を均一に分散させた。さらに、成分(ハ)を75℃に加熱、攪拌混合し、75℃を保ちながら、成分(イ)と成分(ロ)の混合物に成分(ハ)を攪拌下、添加し乳化を行った。その後、室温まで冷却し、メークアップベースを得た。なお表1中の数字は質量%を表す。
【0031】
【表1】


*1)「ユビナールAプラス グラニュラー」(BASF社製)
*2)「パルソール1789」(DSM社製)
*3)「ソフトシェードDH」(味の素(株)製)
*4)「チノソーブ M」(Ciba社製)
【0032】
<試験例1>SPF値の測定
ISO24444の方法により実施例1〜4、比較例1〜3のメークアップベースを塗布した場合のSPF値を測定した。結果を表2に示す。
【0033】
<試験例2>PA値の評価
JCiA1995PFAの試験方法により実施例1〜4、比較例1〜3のメークアップベースを塗布した場合のPA値を評価した。結果を表2に示す。
【0034】
<試験例3>塗布時の仕上がりの評価
熟練評価者5名により実施例1〜4、比較例1〜3のメークアップベースを塗布した場合の仕上がりについての官能評価を行った。評価項目及び評価基準は以下の通りである。評価では、5名の平均値を求めそのメークアップベースの評点とした。結果を表2に示す。
1) 塗布時の青白い外観:全く感じない;5、感じない;4、どちらとも言えない;3点、
やや感じる;2点、かなり感じる;1点
2) 塗布時の素肌感:かなりある;5点、ややある;4点、どちらとも言えない;3点
ほとんど無い;2点、全くない1点
【0035】
【表2】



表2の結果から、本発明の紫外線防御化粧料は、A領域及びB領域の紫外線の防御効果に優れ、かつ微粒子二酸化チタンよる塗布時の青白い外観を全く感じさせず、自然な素肌感ある仕上がりを与えることが証明された。
また、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンを含有させた場合は、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル或いはメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールを含有させた場合と比較して、半分の含有量で同等の紫外線防御効果を発揮しており、本発明の紫外線防御化粧料に用いるUV−A吸収剤としては、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンがより好ましいことが示された。
【0036】
<実施例5〜8、比較例4〜6>
表3の処方に従って、本発明の紫外線防御化粧料であるサンスクリーンパウダー及び比較例のサンスクリーンパウダーを作成した。すなわち、表3(イ)成分をヘンシェルミキサーで混合した後、パルベライザーで粉砕した。その後、再びヘンシェルミキサーでこの混合物を攪拌しながら(ロ)成分を添加し、混合を続け、得られた混合物をヘンシェルミキサーから取り出した後、再びパルベライザーで粉砕し、常法により、金型を用いて半自動プレス機にてアルミナ中皿への充填し、サンスクリーンパウダーを得た。
なお、表3中の数字は質量%を表す。
【0037】
【表3】


*1)「ユビナールAプラス グラニュラー」(BASF社製)
*2)「パルソール1789」(DSM社製)
*3)「ソフトシェードDH」(味の素(株)製)
*4)「チノソーブ M」(Ciba社製)
【0038】
<試験例4>SPF値,PA値,官能評価
得られた実施例5〜8、及び比較例4〜6のサンスクリーンパウダーのSPF値,PA値及び塗布時の仕上がりの評価を、試験例1〜3と同様に行った。結果を表4に示す。
【0039】
【表4】



表4の結果から、本発明の紫外線防御化粧料が粉末化粧料においても、A領域及びB領域の紫外線の防御効果に優れ、かつ微粒子二酸化チタンよる塗布時の青白い外観を全く感じさせず、自然な素肌感ある仕上がりを与えることが証明された。
また、粉末化粧料においても、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンを含有させた場合は、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル或いはメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールを含有させた場合と比較して、半分の含有量で同等の紫外線防御効果を発揮しており、本発明の紫外線防御化粧料に用いるUV−A吸収剤としては、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンがより好ましいことが示された。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は化粧料等に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)から(c):
(a) UV−A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
(b) 微粒子二酸化チタン
(c) 酸化鉄を含有する複合粉体及び有機色素によって着色された粉体よりなる群より選択される一種又は二種以上の着色粉体であって、乾燥粉末状態で、マンセル表色系における色相値が10Pから5GYである着色粉体
を含有し、顔料級の二酸化チタンと酸化鉄顔料との含有量の総和が化粧料全体に対して2.0質量%以下であることを特徴とする紫外線防御化粧料。
【請求項2】
UV−A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤がジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び/又はt−ブチルメトキシベンゾイルメタンであることを特徴とする請求項1記載の紫外線防御化粧料。
【請求項3】
水中油乳化剤形であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の紫外線防御化粧料。

【公開番号】特開2013−18766(P2013−18766A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158550(P2011−158550)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】