説明

細胞ストレス応答の調節を通したアルツハイマー病および関連障害の処置のための新たな治療アプローチ

本発明は、アルツハイマー病および関連障害の処置のための組成物および方法に関する。より特定すると、本発明は、前記疾患を処置するために細胞ストレス応答を調節する併用療法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルツハイマー病(AD)および関連障害の処置のための組成物および方法に関する。
【0002】
ADは、皮質連合野の関与に起因し得る失語症(会話および会話の理解の機能障害が存在する言語障害)、統合運動障害(運動または感覚機能障害の非存在下で特定の目的のある動作および身振りを協調および実施することの能力障害)および失認(物体、人物、音、形状、または臭いを認識する能力)と一緒の記憶欠損によって特徴付けられる原型皮質認知症である。痙性対麻痺(下肢を冒す脱力)のような特殊な症候も関与し得る(1〜4)。
【0003】
アルツハイマー病の発生率は年齢とともに劇的に増加する。ADは、現在、認知症の最も一般的な原因である。それは、ゆっくりと進行し、そして末期患者をベッドに結びつけ、失調させ、そして療護に依存したたままにする認知機能の包括的な減退によって臨床的に特徴付けられる。死亡は、平均で、診断の9年後に起こる(5)。
【0004】
ADの発生率は年齢とともに劇的に増加する。国際連合人口予測は、80歳より高齢の人々の数は2050年までに3億7千万に近づくと見積もっている。現在、85歳より高齢の人々の50%がADに苦しんでいると見積もられている。それゆえ、世界中で1億人より多くの人々が50年のうちに認知症に罹患する。不断の介護および他の奉仕を必要とする多数の人々が医学的、金銭的および人的資源に厳しい影響を及ぼす(6)。
【0005】
記憶障害は、疾患の初期の特徴であり、そしてそれにはエピソード記憶(毎日の出来事のための記憶)が関与する。意味記憶(言語的および視覚的意味のための記憶)は、より後期に疾患に関与する。対照的に、作業記憶(情報を一時的に貯蔵および操作するために使用される構造およびプロセスが関与する短期記憶)および手続記憶(技術および手順の長期記憶である無意識記憶)は後期まで保存される。疾患が進行するにつれて、言語機能障害、視覚的知覚および空間欠損、失認および失行のさらなる特徴が出現する。
【0006】
アルツハイマー病の古典的臨床像は、症例の約80%における同定を可能にするために十分に特徴的である(7)。それにもかかわらず、臨床的不均一性が起こり、そしてこれは臨床管理のために重要であるだけでなく、機能的に異なる形態のための特定の薬物適用処置のさらなる意味を提供する(8)。
【0007】
ADの病理学的特徴は、βアミロイド(Aβ)を含むアミロイド斑、タウを含む神経原線維変化(NFT)ならびにニューロンおよびシナプスの機能障害および損失を含む(9〜11)。この10年間の間に、ADの原因についての2つの主要な仮説が提唱されている:神経変性プロセスがアミロイド前駆体タンパク質(APP)の異常なプロセシングによって誘発される一連の事象であると述べる「アミロイドカスケード仮説」(12)、および細胞骨格の変化が誘発事象であると提唱する「ニューロン細胞骨格変性仮説」(13)。ADの進行を説明する最も広く受け入れられている理論はアミロイドカスケード仮説に留まっており(14〜16)、そしてAD研究者は主に、Aβタンパク質に関連する毒性の基礎をなす機構の決定に集中している。反対に、タウタンパク質は、根本的および実用的の両方の懸念の故に、アミロイドよりもずっと少ない注目を製薬業界から受けている。さらに、シナプス密度の変化は、他の2つよりも認知機能障害に最も良好に相関する病理学的病変である。研究により、アミロイド病理が、コリン作動性終末が最も脆弱に見え、グルタミン酸作動性終末および最後にGABA作動性終末が続く、神経伝達物質特異的様式で進行するようであることが明らかになった(11)。
【0008】
発明の概要
本発明の目的は、ADおよび関連障害を処置するための新たな治療アプローチを提供することである。
【0009】
本発明者らは、ADの起源に関与する分子経路を同定し、そしてADおよび関連障害を寛解させるための新たな処置の開発のための、特に、新規の分子または他の適応症において以前に使用されている既存の分子を使用する併用療法の開発のための新規の標的を提供する。より特定すると、本発明者らは、単独でまたは組み合わせで、そのような経路に有効に影響を及ぼし、そしてADおよび関連障害の処置のための新たなそして有効な治療を表すいくつかの薬物を同定した。
【0010】
それゆえ、本発明は、ADおよび関連障害を処置するための新規の組成物および方法を提供する。
【0011】
より特定すると、本発明は、それを必要とする対象においてアルツハイマー病または関連障害を処置するために適切な組成物に関し、ここで組成物は細胞ストレス応答を阻害する薬物を含む。
【0012】
本発明のさらなる目的は、それを必要とする対象においてアルツハイマー病または関連障害を処置するために適切な組成物に関し、ここで組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な投与のための、少なくとも2つの、細胞ストレス応答を阻害する薬物の組み合わせを含む。
【0013】
より好ましくは、細胞ストレス応答を阻害する薬物(単数または複数)は、ACCN1、ADRA1A、ADRB2、AFADIN、AKT、ALDH2、ALOX12、AMPK、APBA1、APBA2BP、APG1、APG12、APOER2、ATG5、ATG7、ATM、ATP1A1、ATP2A3、ATP2B1、ATP6V1C1、ATR、BACE1、BAD、BAX、BCAR1、BCL2、BECLIN1、BKチャネル(KCNMA1、KCNMB1)、BRCA1、CACNA1C、CALCINEURIN、CD36、CD44、CDH1、CDH2、CDK5、CDKN1A、CHK1、CHRM1、CHRM2、CHRM3、CHRM4、CHRM5、CK1、CTNNA2、CTNNB1、CULLIN1、CYCLINE、DCC、DGKB、DGKH、DNAJB9、DOCK3、DRD2、EDNRA、ELAVL2、ERK1、ERK2、EZRIN、FAS、FKBP12、FKBP12.6、FOXO3A、FZ2、GADD45、GNPTAB、GPC5、GRK2、GRK5、GRP170、GRIN2B、GRIN3A、GSK3B、HAS1、HAS2、HAS3、HIPK2、HSPAS、HSP90B1、HSPA5、HTR1A、IDE、IMPDH1、IMPDH2、INS、INSR、IRF1、ITB1、ITGA1、ITGB1、ITPR1、JNK1、LAMA1、MAD1L1、MAO、MCC1、MDM1、MME、MOESIN、MTOR、NADPH OXIDASE、NEDD9、NETRIN1、NFKB1、NHERF、NOS1、NOS2A、NOS3、PAELR、PAK1、PARK2、PCAF、PDE11A、PDE3A、PDE4D、PDE5、PDE6D、PI3K、PIK3C3、PKCA、PLCB1、PLD2、PLN、PML、POP2、PRDX5、PRDX6、PRKG1、PTPRG、PTPRM、PVRL1、RAC1、RACK1、RADIXIN、RHOA、ROR2、RTN1、RYR3、SAPK3、SCN1A、SCN1B、SCNN1D、SCNN1G、SH3BP5、SIL1、SLC8A1、SLC8A2、SLC8A3、SLN、SNCA、SNCAIP、SORBS2、SORCS2、SRC、SYN1、THBS2、TP53、TP63、TRPC3、TRPC4、TRPC5、UNC5C、VPS15、WNT1A、WNT5A、WWOX、XANTHINE OXIDASE、およびYES1から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するかまたはその活性を調節する。
【0014】
そのような薬物の特定のそして好ましい例としては、限定するものではないが、アカンプロセート、アルブテロール、アレンドロネート、アムロジピン、アラビトール、シロスタゾール、ダサチニブ、ホスフェニトイン、レフルノミド、マンニトール、メタラミノール、メチマゾール、ミルリノン、ニトロプルシド、オメプラゾール、フェンホルミン、フェニル酪酸ナトリウム、プリロカイン、ラパマイシン、リファブチン、スルフィソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、チオグアニン、トレハロース、ビダラビンおよびゾニサミド、またはその組み合わせから選択される化合物が挙げられる。
【0015】
特定の実施態様において、本発明の組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、血管新生を調節する薬物をさらに含む。
【0016】
あるいは、またはさらに、本発明の組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、シナプス機能を調節する薬物をさらに含んでもよい。
【0017】
本発明の組成物は、典型的には、薬学的に許容され得る担体または賦形剤をさらに含む。
【0018】
本発明のさらなる目的は、アルツハイマー病または関連障害を処置するための薬物の製造方法であって、細胞ストレス応答に対する活性について候補薬物を試験し、そして細胞ストレス応答を阻害する候補薬物を選択する工程を含む、方法にある。
【0019】
本発明はまた、アルツハイマー病または関連障害を処置するための組成物の製造方法であって、それを必要とする対象への同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、細胞ストレス応答を阻害する薬物および血管新生またはシナプス機能を調節する薬物の組み合わせを調製すること、および薬物の組み合わせを処方することを含む、方法に関する。
【0020】
本発明はさらに、アルツハイマー病または関連障害の処置方法であって、細胞ストレス応答を阻害する薬物または薬物の組み合わせを、それを必要とする対象に同時に、別々にまたは逐次的に投与することを含む、方法に関する。
【0021】
本発明はさらに、アルツハイマー病または関連障害の処置方法であって、細胞ストレス応答を阻害する薬物および血管新生を調節する薬物および/またはシナプス機能を調節する薬物を、それを必要とする対象に同時に、別々にまたは逐次的に投与することを含む、方法に関する。
【0022】
本発明はさらに、アルツハイマー病または関連障害を処置するための医薬の製造のための、細胞ストレス応答を阻害する薬物の使用に関する。
【0023】
本発明はさらに、アルツハイマー病または関連障害を処置するための医薬の製造のための、少なくとも2つの、細胞ストレス応答を阻害する薬物の組み合わせの使用に関し、ここで少なくとも2つの薬物は一緒に、別々にまたは逐次的に投与される。
【0024】
本願において考察するように、上記の治療および併用療法は、ヒト対象においてADを処置するための新規のそして有効なアプローチを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】βアミロイド中毒性中毒後のNGF分化PC12生存率に対する選択した薬物の効果。◇◇◇◇:p<0.00001:ビヒクルとは有意に異なる。**:p<0.01;***:p<0.0001:Aβ25−35とは有意に異なる。両側スチューデントt検定。Aβ25−35 10μMは、ビヒクル処理ニューロンと比較して25%を上回る有意な中毒を生じる(図1−AおよびB、赤色)。プリロカイン(図1A)またはアムロジピン(図1B)によって、この中毒は効率的に防止されるか、またはこの中毒は有意に防止される。
【図2】βアミロイド中毒ラット初代皮質ニューロン培養物におけるLDH遊離に対する選択した薬物の効果。◇◇◇◇◇:p<0.000001:ビヒクルとは有意に異なる。:p<0.05;**:p<0.01;***:p<0.001;*****:p<0.00001:Aβ25−35とは有意に異なる。両側スチューデントt検定。Aβ25−35 20μMは、ビヒクル処理ニューロンと比較して25%を上回る有意な中毒を生じる(図2−AおよびB、赤色)。この中毒は、神経保護についてのポジティブコントロールとみなされる10ng/mlのBDNFによって効率的に防止される。この中毒はまた、薬物ゾニサミド(図2A)またはスルフィソキサゾール(図2B)またはレフルノミド(Fig2C)のいずれかによって有意に防止される。
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、ADまたは関連障害を処置するための新たな治療アプローチを提供する。本発明は、そのような疾患の有効な矯正を可能にし、そして患者の処置のために使用され得る薬物または薬物の組み合わせの新規の使用を開示する。
【0027】
用語「AD関連障害」は、アルツハイマー病(AD)、AD型老年認知症(SDAT)、パーキンソン病、レビー小体型認知症(Lewis body dementia)、血管性認知症、軽度認知機能障害(MCI)、加齢性記憶障害(AAMI)および加齢に関連する問題、脳炎後パーキンソニズム、ALSおよびダウン症候群を指す。
【0028】
本明細書において使用する障害の「処置」は、障害によって誘発される症候の治療、防止、予防、遅延または低下を含む。処置なる用語は、特に、疾患の進行および関連する症候の制御を含む。
【0029】
細胞ストレス応答(「CSR」)に言及する場合の用語「阻害」は、対象における既存の活性に比較してのCSRの任意の低下を含む。そのような低下は、患者の状態を改善するために十分である部分的減少(例えば、5〜20%)、および、より実質的な低下(例えば、20〜50%)、またはより完全な阻害(例えば、50%超)を含み得る。阻害を、実験の節において記載するような、公知の生物学的試験を使用して評価または検証することができる。
【0030】
また、本発明の関連内での特定の化合物の指摘は、具体的に指名された分子だけでなく、その任意の薬学的に許容され得る塩、水和物、エステル、エーテル、異性体、ラセミ体、複合物、またはプロドラッグも含むことが意味される。
【0031】
用語「組み合わせ」は、少なくとも2つ以上の薬物が対象に共投与されて、生物学的効果を引き起こす処置を指す。本発明による併用療法において、少なくとも2つの薬物を、一緒にまたは別々に、同時にまたは逐次的に投与してもよい。また、少なくとも2つの薬物を、異なる経路およびプロトコルを通して投与してもよい。その結果、それらは一緒に処方されてもよいが、組み合わせの薬物は別々に処方されてもよい。
【0032】
上記で考察するように、本発明は、細胞ストレス応答を阻害する薬物または薬物の組み合わせを使用する、それを必要とする対象におけるアルツハイマー病または関連障害を処置するための組成物および方法に関する。
【0033】
アルツハイマー病の様々な局面ならびに細胞シグナル伝達および機能的経路に存在する関連を描写する、細胞生物学研究、発現プロファイリング実験および遺伝子関連研究の結果をカバーする実験データの包括的統合により、本発明者らは、細胞ストレス応答が、ADを有する対象において変化した重要な機構を表すこと明らかにした。機能的ネットワーク中に位置し、そしてアルツハイマー病に関係付けられる遺伝子を以下の基準によって選択した:
(1) − アルツハイマー病の家族性症例を原因として担う遺伝子との直接的相互作用(APP、ApoE、プレセニリン、タウタンパク質)、
(2) − 基準(1)によって選択される遺伝子の機能的パートナー;
(3) − 基準(2)によって選択される遺伝子の最も近い機能的パートナー。
【0034】
このプロセスを通して、本発明者らは、細胞ストレス応答を担うネットワークがアルツハイマー病において冒されている主要な機能的ネットワークであることを確立することができた。
【0035】
本発明者らは、細胞ストレス応答が、アルツハイマー病の機能的に関連する特徴であることをより具体的に確立した。以下で考察するように、本発明者らは、アルツハイマー病の起源および制御に機能的に関連し、そして(併用)療法のための有用な標的を表す、細胞ストレス応答ネットワーク内の3つのタンパク質のファミリーを同定した。これらの群のタンパク質は、より具体的には、カルシウムホメオスタシス、タンパク質フォールディング、およびアポトーシスの遂行に関与するタンパク質である。
【0036】
特定の実施態様において、本発明は、より具体的には、カルシウムホメオスタシスに関与するタンパク質の活性を調節する薬物または薬物の組み合わせを使用する組成物および方法に関する。
【0037】
最も重要な細胞内メッセンジャーの1つであるカルシウムは、シナプス可塑性、血管新生およびアポトーシスを含む、ニューロンおよび内皮細胞の両方における細胞プロセスの多面作用を媒介する。プレセニリン、APPおよびタウタンパク質の変異、異常フォールディングまたは過剰リン酸化は、カルシウムホメオスタシスに影響を及ぼす。逆に、細胞内カルシウムシグナル伝達の破壊は、アルツハイマー病の特徴的な病変を悪化させ、βアミロイド凝集の加速された蓄積およびタウタンパク質の過剰リン酸化を導き、このことは、カルシウムホメオスタシスとAD特異的細胞病理との間の調節フィードバックの存在を示す。
【0038】
細胞内カルシウムレベルは、形質膜および小胞体中の一連のカルシウム透過性チャネル、カルシウムポンプおよびカルシウムエクスチェンジャーの協同的作用によって精密に調節されている。例えば、カルシウムは、Ca2+ SERCAポンプの活性に起因して非常に高い(ミリモル濃度に達する)Ca2+レベルを蓄積することができる小胞体(ER)中に動的に貯蔵される(17)。小胞体からのCa2+の放出は2つの型のCa2+放出チャネル、すなわちリアノジン受容体(RYR)およびIP3受容体(ITPR)によって制御されている。それらは、Ca2+濃度またはIP3の局所的細胞質変動を含む複数のシグナル伝達メッセンジャーによって直接活性化されることができ、そしてPKA、PRKG1、mTOR、カルシニューリン、FKBP、ホスホランバンなどのようないくつかの調節タンパク質によって機能的に調節される(18)。低下したカルシウムER含量がSERCA活性を増加させると、SERCAポンプは、ER内のCa2+濃度によって調節される。形質膜のレベルで、カルシウムホメオスタシスは、Ca2+流入を担うストア感受性および電位開口型カルシウムチャネル、カルシウム押し出しATPaseポンプ(calcium extruding ATPase pump)、Na/Ca2+エクスチェンジャーおよび電位開口型Naチャネルによって主に調節される。
【0039】
本発明者らは、その機能が変異プレセニリンタンパク質または毒性βアミロイドによって改変され得るカルシウムホメオスタシス経路に関係付けられる遺伝子のネットワークを同定した。それらの中で、IP3R(ITPR1)およびRYR3受容体、ERのレベルでカルシウムホメオスタシスを調節するATP2A3(SERCA3 Ca2+ ATPase)、濃度勾配に対して真核細胞からカルシウムイオンを押し出す形質膜ATPase ATP2B1、および電位開口型Naチャネルは、特定の関心を表す。APP、Aβ42および変異PS1がリアノジン受容体およびSERCAポンプの活性を調節できることが示された。Aβ42およびPS1のFAD変異体はRYR3の発現および活性を増加させ(19〜21)、グルタミン酸興奮毒性発作に対する増強されたニューロン脆弱性を導く(22)。さらに、SERCAポンプを通したカルシウム取り込みの阻害は、Aβ放出の減少と相関し、一方、SERCA活性の促進は、Aβ産生を増強する(23)。さらに、形質膜のレベルで、プレセニリンおよびBACE−1は、Na/Ca2+エクスチェンジャーの活性を調節し、そして、病的状況下で、逆転させ、過剰な細胞内カルシウム蓄積を誘発し得る電位開口型ナトリウムチャネルのβサブユニットのプロセシングに関与する(24)。
【0040】
別の特定の実施態様において、本発明は、より具体的には、タンパク質のフォールディングまたは凝集に関与するタンパク質の活性を調節する薬物または薬物の組み合わせを使用する組成物および方法に関する。
【0041】
タンパク質凝集は、ADにおける中心的な細胞病理学的現象である。アルツハイマー病の2つの主要な細胞的特徴が、それぞれ、凝集し過剰リン酸化されたタウタンパク質およびAPPタンパク質のAβフラグメントから構成される、神経原線維変化(NFT)の発達およびアミロイド斑の沈着において顕在化される。むしろパーキンソン病の特異的特徴として認識されている、凝集しやすい別のタンパク質であるαシヌクレインは、それにもかかわらず、アルツハイマー病の散発性および家族性形態の大部分の症例においてアミロイド斑中に検出され得る(25〜26)。
【0042】
本発明者らは、アルツハイマー病関連タンパク質の凝集の全ての主要な構成成分のフォールディング、翻訳後修飾およびプロセシングの調節に関係付けられるいくつかの遺伝子の経路を同定した。この知見は、アルツハイマー病の発達のためのミスフォールドされたタウ、Aβおよびシヌクレインタンパク質の組み合わせの病理学的効果の重要性を強調する。例えば、本発明者らは、Aβのタンパク質分解にも関与するインスリン分解酵素IDE(27)ならびにAPPと相互作用し、そしてその安定性および機能を調節するAPBA1およびAPBA2BPタンパク質(28〜29)を同定した。また、データマイニングにより、αシヌクレイン(SNCA)、その相互作用パートナーであるシンフィリン(SNCAIP)およびPARK2(アルツハイマー病の発達の危険因子として、SNCAクリアランスおよびαシヌクレイン毒性に対するニューロンの保護に関係付けられるユビキチン−タンパク質リガーゼ(30))が明らかになった。
【0043】
GSK3β、CDK5およびMARKのようなキナーゼ(31〜32)ならびにタウタンパク質のリン酸化レベルを調節するホスファターゼの活性の不均衡は、タウ凝集に寄与し、そしてそれを強め得る。プレセニリンもまたGSK−3β依存性リン酸化によって機能的に調節されることを考えれば、GSK−3βキナーゼは、アルツハイマー病の病因において特に重要な役割を果たし得る。この結論は、GSK−3βキナーゼ活性またはそのタウタンパク質との直接的相互作用を調節する少しのシグナル伝達モジュール(WWOX(33)、ヒアルロナンCD44受容体、Wnt受容体Fz2/ROR2およびインスリン受容体/PTPRGホスファターゼ複合体(34))がアルツハイマー病の起源と関連し得るという本発明者らの知見によって強化される。
【0044】
さらなる特定の実施態様において、本発明は、アポトーシスを阻害する薬物または薬物の組み合わせを使用する組成物および方法に関する。
【0045】
アルツハイマー病における細胞損失を担う主要な細胞機構として認識されているアポトーシスは、アルツハイマー病の発達に典型的に付随する細胞侵襲(βアミロイドペプチド(Aβ)の毒性凝集によって刺激される破壊されたカルシウムホメオスタシスおよび反応性酸素種(ROS)の増加した産生)によって効果的に誘発され得る。
【0046】
本発明者らの分析によって同定されるように、アルツハイマー病の場合のアポトーシスは、おそらく、標準的なp53依存性経路を通して遂行される。p53は、DNA結合タンパク質であり、そして腫瘍細胞の増殖および侵入を阻害して標的遺伝子の発現を制御する転写因子として働く。それゆえ、p53は、腫瘍抑制タンパク質として認識されており、そして細胞周期進行の調節において、具体的には、G0からG1およびG2/M DNA損傷チェックポイントへの移行、およびアポトーシス誘導において、重要な役割を果たす。後者は、Baxのようなアポトーシス促進性タンパク質発現の刺激によって、またはBcl−2のような抗アポトーシス性タンパク質発現の抑制によってのいずれかで媒介されるようである。
【0047】
p53タンパク質は、翻訳後修飾を通して、そして正および負の調節因子との相互作用を通して調節され得る。本発明者らは、いくつかのそのような調節タンパク質(WWOX、MDM1、HIPK2およびPML)を同定し、アルツハイマー病における細胞死遂行におけるp53タンパク質の中心的な役割についての提唱を確認した。p53相互作用WWドメイン含有オキシドレダクターゼ(WOXW)は、TNFα細胞傷害の重要なメディエーターであり、そしてp53と相乗的にアポトーシスを媒介する(35)。ホメオドメイン相互作用核セリン/スレオニンプロテインキナーゼ−2(HIPK2)は、Ser 46においてp53をリン酸化し、そしてp53依存性転写およびアポトーシス経路の活性化においてp53と協同する(36)。最後に、PMLタンパク質は、プロテアソームによるp53分解を促進し、そしてp53をPML−核内小体と称する多タンパク質複合体にリクルートすることによってp53を活性化するMDM2タンパク質の効果をアンタゴナイズする(37)。
【0048】
アルツハイマー病の関連でアポトーシスの誘導に直接的および特異的に関係付けられ得る受容体システムの中で、軸索ガイダンスおよび血管新生に関与するUNC5C(Unc−5ホモログC)およびDCC(結腸直腸癌において欠失)ネトリン受容体は特定の関心を表す。これらの受容体は、そのリガンドの非存在下でアポトーシスを誘導するネトリン依存性受容体として挙動するので、指摘された推定の条件的腫瘍抑制因子である(38)。これらの受容体へのネトリン−1の結合は、腫瘍抑制因子p53依存性アポトーシスを阻害し、そしてp53はネトリン−1およびその受容体の転写調節に直接的に関与する(39)。さらに、DCC受容体は、プレセニリンによってプロセシングされて、転写活性を有する細胞内受容体ドメインを生成する(40)。従って、本発明者らのデータマイニングは、ネトリン受容体媒介性およびp53依存性アポトーシスが、破壊されたカルシウムホメオスタシスおよび過剰なROS産生によって刺激されるむしろ非特異的なアポトーシス促進プログラムに加えて、アルツハイマー病の関連の病理学的細胞損失に関係付けられる特異的アポトーシス促進経路の1つであり得ることを示唆する。
【0049】
特定の実施態様において、本発明は、より具体的には、カルシウムホメオスタシス、タンパク質フォールディング、およびアポトーシスの遂行に関与する少なくとも2つの異なるタンパク質の活性を阻害する薬物の組み合わせを使用する組成物および方法に関する。
【0050】
本発明において、本発明者らは、アルツハイマー病および他の神経変性障害によって誘導される細胞ストレス応答を阻害するために使用され得る新規の組成物を提唱する。
【0051】
特定の実施態様において、本発明の組成物および方法は、上記で列挙するような1つの遺伝子またはタンパク質とのその相互作用またはその調節を通して細胞ストレス応答を阻害する薬物を使用する。
【0052】
より具体的には、本発明の組成物は、ACCN1、ADRA1A、ADRB2、AFADIN、AKT、ALDH2、ALOX12、AMPK、APBA1、APBA2BP、APG1、APG12、APOER2、ATG5、ATG7、ATM、ATP1A1、ATP2A3、ATP2B1、ATP6V1C1、ATR、BACE1、BAD、BAX、BCAR1、BCL2、BECLIN1、BKチャネル(KCNMA1、KCNMB1)、BRCA1、CACNA1C、CALCINEURIN、CD36、CD44、CDH1、CDH2、CDK5、CDKN1A、CHK1、CHRM1、CHRM2、CHRM3、CHRM4、CHRM5、CK1、CTNNA2、CTNNB1、CULLIN1、CYCLINE、DCC、DGKB、DGKH、DNAJB9、DOCK3、DRD2、EDNRA、ELAVL2、ERK1、ERK2、EZRIN、FAS、FKBP12、FKBP12.6、FOXO3A、FZ2、GADD45、GNPTAB、GPC5、GRK2、GRK5、GRP170、GRIN2B、GRIN3A、GSK3B、HAS1、HAS2、HAS3、HIPK2、HSPAS、HSP90B1、HSPA5、HTR1A、IDE、IMPDH1、IMPDH2、INS、INSR、IRF1、ITB1、ITGA1、ITGB1、ITPR1、JNK1、LAMA1、MAD1L1、MAO、MCC1、MDM1、MME、MOESIN、MTOR、NADPH OXIDASE、NEDD9、NETRIN1、NFKB1、NHERF、NOS1、NOS2A、NOS3、PAELR、PAK1、PARK2、PCAF、PDE11A、PDE3A、PDE4D、PDE5、PDE6D、PI3K、PIK3C3、PKCA、PLCB1、PLD2、PLN、PML、POP2、PRDX5、PRDX6、PRKG1、PTPRG、PTPRM、PVRL1、RAC1、RACK1、RADIXIN、RHOA、ROR2、RTN1、RYR3、SAPK3、SCN1A、SCN1B、SCNN1D、SCNN1G、SH3BP5、SIL1、SLC8A1、SLC8A2、SLC8A3、SLN、SNCA、SNCAIP、SORBS2、SORCS2、SRC、SYN1、THBS2、TP53、TP63、TRPC3、TRPC4、TRPC5、UNC5C、VPS15、WNT1A、WNT5A、WWOX、XANTHINE OXIDASE、およびYES1から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質への結合またはその活性の調節を通して細胞ストレス応答を阻害する薬物(単数または複数)を含む。
【0053】
上記に列挙する遺伝子およびタンパク質の全ての配列は、遺伝子ライブラリーから入手可能であり、そして当技術分野において公知の技術によって単離され得る。さらに、これらの遺伝子およびタンパク質の活性を、実験の節において考察するような当技術分野において自体公知の技術によって評価することができる。
【0054】
本発明はさらに、これらの標的遺伝子およびタンパク質を調節するために使用することができる薬物を記載する。本発明は、単独で、しかし好ましくは組合せで、上記の経路を調節し、そして前記疾患を処置するために使用され得る特定の薬物の同定および活性を開示する。特に、本発明者らは、文献中に既に存在するが、ヒト対象における異なる疾患を処置するために使用されている低分子を同定した。
【0055】
この点で、最も好ましい実施態様において、本発明の組成物は、少なくともAMPKのモジュレーター(好ましくはフェンホルミンおよびビダラビンから選択される)、ATP1A1のインヒビター(好ましくは、オメプラゾール)、CACNA1Cのインヒビター(好ましくは、アムロドピン)、EDNRAエンドセリン受容体のアンタゴニスト(好ましくは、スルフィソキサゾール)、GABA作動性およびグルタミン酸作動性GRIN2BおよびGRIN3A受容体のモジュレーター(好ましくは、アカンプロセート)、GSK3B活性のインヒビター(好ましくはアルブテロールおよびメタラミノールから選択される)、HAS1−3ヒアルロナンシンターゼのモジュレーター(好ましくは、レフルノミド)、IMPDH1およびIMPDH2のインヒビター(好ましくは、チオグアニン)、MTORのインヒビター(好ましくは、ラパマイシン)、PDE11A、PDE4AおよびPDE5Aホスホジエステラーゼのインヒビター(好ましくは、タダラフィル)、PDE3Aのインヒビター(好ましくは、シロスタゾール)、PDE4Dのインヒビター(好ましくは、ミルリノン)、PRDX5およびPRDX6のモジュレーター(好ましくは、メチマゾール)、PRKG1のアクチベーター(好ましくはニトロプルシド、タダラフィルおよびシロスタゾールから選択される)、RHOAのモジュレーター(好ましくはアレンドロネートおよびテルビナフィンから選択される)、RYR3のモジュレーター(好ましくは、プリロカイン)、SCN1AのインヒビターおよびBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)、SCN1A/Bのインヒビター(好ましくはゾニサミドおよびホスフェニトインから選択される)、YES1およびSRCのインヒビター(好ましくは、ダサチニブ)、オートファジーのアクチベーター(好ましくは、トレハロース)、および/または化学シャペロン(好ましくはフェニル酪酸ナトリウム、リファブチン、アラビトールおよびマンニトールから選択される)を含む。
【0056】
上記で考察するように、本発明は、特に、ADおよび関連障害の機構に取り組むための併用療法をデザインすることを提唱する。この点で、最も好ましい標的および薬物の組み合わせの例を以下に開示する。
【0057】
より好ましくは、組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な投与のための、以下の薬物の組み合わせの少なくとも1つを含む:
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)およびナトリウムチャネルSCN1AのインヒビターおよびBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)、
− GABA作動性およびグルタミン酸作動性受容体のモジュレーター(好ましくは、アカンプロセート)およびRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)、
− ナトリウムチャネルSCN1AのインヒビターおよびBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)およびRYR3リアノジン受容体のモジュレーター(好ましくは、プリロカイン)、
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)およびRYR3リアノジン受容体のモジュレーター(好ましくは、プリロカイン)、
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)およびRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)、
− ナトリウムチャネルSCN1AのインヒビターおよびBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)およびRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)、
− RYR3リアノジン受容体のモジュレーター(好ましくは、プリロカイン)およびRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)、
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)および化学シャペロン(好ましくは、リファブチン)、
− ナトリウムチャネルSCN1AのインヒビターおよびBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)および化学シャペロン(好ましくは、リファブチン)、
− RYR3リアノジン受容体のモジュレーター(好ましくは、プリロカイン)および化学シャペロン(好ましくは、リファブチン)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)および化学シャペロン(好ましくは、リファブチン)、または
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)およびPDE11AおよびPDE4A、PDE5Aホスホジエステラーゼのインヒビター(好ましくは、タダラフィル)。
【0058】
本発明の組成物の最も好ましい例は、アカンプロセート、アルブテロール、アレンドロネート、アムロジピン、アラビトール、シロスタゾール、ダサチニブ、ホスフェニトイン、レフルノミド、マンニトール、メタラミノール、メチマゾール、ミルリノン、ニトロプルシド、オメプラゾール、フェンホルミン、フェニル酪酸ナトリウム、プリロカイン、ラパマイシン、リファブチン、スルフィソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、チオグアニン、トレハロース、ビダラビンおよびゾニサミド、またはその組み合わせから選択される化合物を含む。
【0059】
別の好ましい実施態様において、本発明の組成物は、同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、アカンプロセート、シロスタゾール、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、タダラフィル、テルビナフィン、ゾニサミドおよびリファブチン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0060】
より好ましい実施態様において、本発明の組成物は、同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、アカンプロセート、シロスタゾール、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、タダラフィル、テルビナフィン、ゾニサミドおよびリファブチン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む。
【0061】
別の実施態様において、本発明による組成物は、アカンプロセート、シロスタゾール、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、タダラフィル、テルビナフィン、ゾニサミドおよびリファブチン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含み、ここで、組成物は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および多発性硬化症(MS)からなる群より選択される神経変性障害において誘導される細胞ストレス応答を阻害する。
【0062】
別の好ましい実施態様において、本発明の組成物は、アルツハイマー病(AD)を処置するための、アカンプロセート、シロスタゾール、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、タダラフィル、テルビナフィン、ゾニサミドおよびリファブチン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む。
【0063】
好ましくは、それを必要とする対象におけるアルツハイマー病または関連障害を処置するための組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な投与のための、以下の薬物の組み合わせの少なくとも1つを含む:
− フェンホルミンおよびゾニサミド、
− アカンプロセートおよびテルビナフィン、
− ゾニサミドおよびプリロカイン、
− フェンホルミンおよびプリロカイン、
− フェンホルミンおよびテルビナフィン、
− ゾニサミドおよびテルビナフィン、
− プリロカインおよびテルビナフィン、
− フェンホルミンおよびリファブチン、
− ゾニサミドおよびリファブチン、
− プリロカインおよびリファブチン、
− テルビナフィンおよびリファブチン、または
− フェンホルミンおよびタダラフィル。
【0064】
最も好ましい実施態様において、本発明による組成物は、同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、少なくともアムロジピンおよびプリロカイン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物を含む。
【0065】
別の好ましい実施態様において、本発明の組成物は、アルツハイマー病または関連障害を処置するための、少なくともアムロジピンおよび/またはプリロカイン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物を含む。
【0066】
別の特定の実施態様において、本発明の組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、細胞ストレス応答を阻害する薬物をさらに含む。
【0067】
好ましくは、細胞ストレス応答を阻害するさらなる薬物は、AMPKのモジュレーター(好ましくは、ビダラビン)、ATP1A1のインヒビター(好ましくは、オメプラゾール)、GSK3B活性のインヒビター(好ましくはアルブテロールおよびメタラミノールから選択される)、IMPDH1およびIMPDH2のインヒビター(好ましくは、チオグアニン)、MTORのインヒビター(好ましくは、ラパマイシン)、PDE4Dのインヒビター(好ましくは、ミルリノン)、PRKG1のアクチベーター(好ましくは、シロスタゾール)、RHOAのモジュレーター(好ましくは、アレンドロネート)、SCN1A/Bのインヒビター(好ましくは、ホスフェニトイン)、YES1およびSRCのインヒビター(好ましくは、ダサチニブ)、オートファジーのアクチベーター(好ましくは、トレハロース)、および/または化学シャペロン(好ましくはフェニル酪酸ナトリウム、アラビトールおよびマンニトールから選択される)から選択される。
【0068】
他の特定の実施態様において、細胞ストレス応答を阻害するさらなる薬物は、ACCN1、ADRA1A、ADRB2、AFADIN、AKT、ALDH2、ALOX12、AMPK、APBA1、APBA2BP、APG1、APG12、APOER2、ATG5、ATG7、ATM、ATP1A1、ATP2A3、ATP2B1、ATP6V1C1、ATR、BACE1、BAD、BAX、BCAR1、BCL2、BECLIN1、BKチャネル(KCNMA1、KCNMB1)、BRCA1、CACNA1C、CALCINEURIN、CD36、CD44、CDH1、CDH2、CDK5、CDKN1A、CHK1、CHRM1、CHRM2、CHRM3、CHRM4、CHRM5、CK1、CTNNA2、CTNNB1、CULLIN1、CYCLINE、DCC、DGKB、DGKH、DNAJB9、DOCK3、DRD2、EDNRA、ELAVL2、ERK1、ERK2、EZRIN、FAS、FKBP12、FKBP12.6、FOXO3A、FZ2、GADD45、GNPTAB、GPC5、GRK2、GRK5、GRP170、GRIN2B、GRIN3A、GSK3B、HAS1、HAS2、HAS3、HIPK2、HSPAS、HSP90B1、HSPA5、HTR1A、IDE、IMPDH1、IMPDH2、INS、INSR、IRF1、ITB1、ITGA1、ITGB1、ITPR1、JNK1、LAMA1、MAD1L1、MAO、MCC1、MDM1、MME、MOESIN、MTOR、NADPH OXIDASE、NEDD9、NETRIN1、NFKB1、NHERF、NOS1、NOS2A、NOS3、PAELR、PAK1、PARK2、PCAF、PDE11A、PDE3A、PDE4D、PDE5、PDE6D、PI3K、PIK3C3、PKCA、PLCB1、PLD2、PLN、PML、POP2、PRDX5、PRDX6、PRKG1、PTPRG、PTPRM、PVRL1、RAC1、RACK1、RADIXIN、RHOA、ROR2、RTN1、RYR3、SAPK3、SCN1A、SCN1B、SCNN1D、SCNN1G、SH3BP5、SIL1、SLC8A1、SLC8A2、SLC8A3、SLN、SNCA、SNCAIP、SORBS2、SORCS2、SRC、SYN1、THBS2、TP53、TP63、TRPC3、TRPC4、TRPC5、UNC5C、VPS15、WNT1A、WNT5A、WWOX、XANTHINE OXIDASE、およびYES1から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するかまたはその活性を調節する薬物(単数または複数)から選択される。
【0069】
本発明者らは、上記の薬物および薬物の組み合わせが有効な矯正を導く改善されそして相乗的な生物学的効果またはADおよび関連障害に導く機能的調節不全の正常化を提供することを確立した。
【0070】
上記の指名した化合物を以下の表に、そのCAS番号と一緒に列挙する。上記で考察したように、本発明が上記の化合物ならびにその任意の薬学的に許容され得る塩、水和物、エステル、エーテル、異性体、ラセミ体、複合物、またはプロドラッグの使用を包含することを理解すべきである。プロドラッグは、処置の薬物動態パラメーターに対するより良好な制御を与えるように(例えば、薬物を適切な担体に結合することによって)調製され得る。
【0071】
【表1】

【0072】
薬学的に許容され得る塩の例としては、薬学的に許容され得る酸付加塩、薬学的に許容され得る塩基付加塩、薬学的に許容され得る金属塩、アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩が挙げられる。酸付加塩としては、無機酸および有機酸の塩が挙げられる。適切な無機酸の代表的な例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。適切な有機酸の代表的な例としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ケイ皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、グリセロリン酸塩、ケトグルタル酸塩などが挙げられる。薬学的に許容され得る無機または有機酸付加塩のさらなる例は、例えば、J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2(本明細書に参照により組み入れる)に列挙されている。金属塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩などが挙げられる。アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩の例としては、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基の例としては、リジン、アルギニン、グアニジン、ジエタノールアミン、コリンなどが挙げられる。
【0073】
本発明による治療を、単独で、または薬物の組み合わせとして、そして/または、同じ経路を標的化するかまたは異なる作用様式を有する、任意の他の治療と共同で行ってもよい。それは、家、医師のオフィス、クリニック、病院の外来、または病院で、医師が治療の効果を綿密に観察でき、そして必要とされる任意の調整を行えるように、提供され得る。
【0074】
特定の実施態様において、本発明の組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、血管新生を調節する、好ましくは血管新生を増加させる薬物をさらに含む。より好ましくは、血管新生を調節する薬物は、アンブリセンタン、アミノカプロン酸、アルガトロバン、バルサラジド、ベカプレルミン、カベルゴリン、クロピドグレル、デシルジン、ジヒドロエルゴタミン、エプレレノン、フェノルドパム、フルドロコルチゾン、ゲムフィブロジル、ヘスペレチン、レフルノミド、L−ヒスチジン、リオチロニン、マリマスタット、メロキシカム、メパクリン、メタゾラミド、モンテルカスト、ネチルマイシン、ニトログリセリン、ピリメタミン、スルフィソキサゾール、スニチニブ、チエチルペラジン、チロフィバン、トポテカンおよびワルファリンからなる群より選択される(以下の表2参照)。
【0075】
【表2】

【0076】
あるいは、または先行する実施態様に加えて、本発明の組成物は、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、シナプス機能を調節する、好ましくはシナプス機能を寛解させる薬物をさらに含んでもよい。最も好ましいシナプス機能を調節する薬物は、アルフェンタニル、アミロライド、アムロジピン、アズトレオナム、バクロフェン、ブクリジン、ブメタニド、ブプレノルフィン、リドカイン、クロルゾキサゾン、シナカルセト、ジフィリン、エレトリプタン、エルゴタミン、フルニトラゼパム、イマチニブ、ケトチフェン、ペガプタニブ、ペンタゾシン、フェノバルビタール、プレガバリン、プロピルチオウラシル、テマゼパム、チアガビン、トピラメート、トリアムテレン、およびビガバトリンから選択される(以下の表3参照)。
【0077】
【表3】

【0078】
特定の実施態様において、本発明は、同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、細胞ストレス応答を阻害する薬物、血管新生を増加させる薬物、およびシナプス機能を寛解させる薬物を含む組成物に関する。
【0079】
別の特定の実施態様において、本発明は、上記で列挙する活性の少なくとも2つを示す薬物を使用する。実際、細胞ストレス応答を阻害し、また血管新生を増加させるかまたはシナプス機能を寛解させる薬物は、本発明の特に有利な実施態様を表す。
【0080】
本発明の組成物は、典型的には、1つまたはいくつかの薬学的に許容され得る担体または賦形剤を含む。治療の持続期間は、処置される疾患のステージ、使用される組み合わせ、患者の年齢および状態、ならびに患者が処置にどのように応答するかに依存する。
【0081】
組み合わせの各成分の投与量、頻度および投与様式を独立して制御することができる。例えば、1つの薬物を経口投与し、第2の薬物を筋肉内投与してもよい。患者の身体が任意の不測の副作用から回復する機会を有するように、併用療法を、休息期間を含む断続(on-and-off)サイクルで与えてもよい。1つの投与が全ての薬物を送達するように、薬物を一緒に処方してもよい。
【0082】
組み合わせの各々の薬物の投与は、他の成分と組み合わせて、ADに関係付けられる経路の機能を矯正できる薬物の濃度を生じる任意の適切な手段により得る。
【0083】
組み合わせの活性成分を純粋な化学薬品として投与することは可能であるが、それらを医薬組成物(この関連で医薬処方物ともいう)として提供することが好ましい。可能な組成物としては、経口、直腸、局所(経皮、頬側および舌下を含む)、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に適切なものが挙げられる。
【0084】
より一般的には、これらの医薬処方物は、単一の包装、通常ブリスター包装中に別個の処置期間の間の使用のための計量された単位用量の投与のための数投薬単位(number dosing unit)または他の手段を含む「患者パック(patient pack)」中で患者に処方される。患者パックは、伝統的な処方を上回る利点を有する。ここで、薬剤師は医薬の患者の供給を原体供給から分け、その中で、患者は常に患者パック中に含まれる包装挿入物(伝統的な処方においては通常紛失される)を利用できる。包装挿入物を含めることは、医師の指示についての患者のコンプライアンスを改善することが示されている。従って、本発明はさらに、処方物に適切な包装材料と組み合わせた、本明細書において上記したような医薬組成物を含む。そのような患者パックにおいて、併用処置のための処方物の意図される使用を、処置のために最も適切な処方物の使用を助ける説明書、設備、規定、適用および/または他の手段によって推量することができる。そのような基準は、患者パックを、本発明の組み合わせでの処置のための使用に特に適切にしそしてそれに適合させる。
【0085】
薬物は、任意の適切な量で任意の適切な担体物質中で含まれ得、そして組成物の全重量の1〜99重量%の量で存在し得る。組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内)、直腸、皮膚、鼻、膣、吸入、皮膚(パッチ)、または眼投与経路に適切な投与形態で提供され得る。従って、組成物は、例えば、錠剤、カプセル、丸剤、散剤、顆粒剤、懸濁液、乳濁液、溶液、ゲル(ヒドロゲルを含む)、ペースト、軟膏、クリーム、プラスター、水薬、浸透圧送達デバイス、坐薬、浣腸、注射剤、インプラント、スプレー、またはエアロゾルの形態であり得る。
【0086】
医薬組成物は、従来の医薬習慣に従って処方され得る(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.), ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York参照)。
【0087】
本発明による医薬組成物は、投与に際して実質的に即時に、または投与後の任意の所定の時点もしくは期間に、活性薬物を放出するように処方され得る。
【0088】
放出制御処方物としては、(i)延長された期間にわたって身体内で実質的に一定の薬物濃度を生じる処方物;(ii)所定の時間経過後に、延長された期間にわたって身体内で実質的に一定の薬物濃度を生じる処方物;(iii)活性薬物物質の血漿レベルの変動に関連する所望されない副作用の同時の最小化をともなって、身体における相対的に一定の有効な薬物レベルを維持することによって所定期間、薬物作用を持続させる処方物;(iv)例えば疾患組織または器官の近くまたはその中への放出制御組成物の空間的配置によって、薬物作用を局在化させる処方物;および(v)特定の標的細胞型に薬物を送達するために担体または化学誘導体を使用することによって薬物作用を標的化する処方物が挙げられる。
【0089】
放出制御処方物の形態の薬物の投与は、薬物(単独または組み合わせのいずれか)が、(i)狭い治療指数(すなわち、有害な副作用または有毒な反応を導く血漿濃度と、治療効果を導く血漿濃度との間の差が小さい;一般に、治療指数(TI)は半有効量(ED50)に対する半致死量(LD50)の比として定義される);(ii)胃腸管における狭い吸収ウインドウ(absorption window);または(iii)治療レベルで血漿レベルを持続させるために1日の間の頻繁な投薬が必要とされるような非常に短い生物学的半減期を有する場合、特に好ましい。
【0090】
問題の薬物の代謝の速度に放出の速度がまさる放出制御を得るために、いくつかのストラテジーの任意のものを実行することができる。放出制御を、例えば、種々の型の放出制御組成物およびコーティングを含む種々の処方パラメーターおよび成分の適切な選択によって得てもよい。従って、薬物は、投与に際して、制御された様式で薬物を放出する医薬組成物(単または多単位錠剤またはカプセル組成物、油溶液、懸濁液、乳濁液、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、およびリポソーム)に、適切な賦形剤を用いて処方される。
【0091】
経口使用のための固体投与形態
経口使用のための処方物としては、非毒性の薬学的に許容され得る賦形剤との混合物中に活性成分を含む錠剤が挙げられる。これらの賦形剤は、例えば、不活性な希釈剤または充填剤(例えば、スクロース、微結晶セルロース、デンプン(バレイショデンプンを含む)、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);造粒および崩壊剤(例えば、セルロース誘導体(微結晶セルロースを含む)、デンプン(バレイショデンプンを含む)、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、またはアルギン酸);結合剤(例えば、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール);ならびに潤滑剤、滑剤(glidant)、および抗接着剤(例えば、ステアリン酸、シリカ、またはタルク)であり得る。他の薬学的に許容され得る賦形剤は、着色料、香料、可塑化剤、湿潤剤、緩衝剤などであり得る。
【0092】
錠剤は無コーティングであってもよく、またはそれは、場合により、胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、それにより長期間にわたる持続性の作用を提供するように、公知の技術によってコーティングされてもよい。コーティングを、所定のパターンで活性薬物物質を放出するように適合させてもよく(例えば、放出制御処方物を達成するために)またはそれを、胃の通過後まで活性薬物物質を放出しないように適合させてもよい(腸溶コーティング)。コーティングは、糖衣、フィルムコーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルソース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレートコポリマー、ポリエチレングリコール、および/またはポリビニルピロリドンに基づく)、または腸溶コーティング(例えば、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、および/またはエチルセルロースに基づく)であってもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはグリセリルジステアレートのような時間遅延材料を用いてもよい。
【0093】
固体錠剤組成物としては、所望されない化学的変化(例えば、活性薬物物質の放出前の化学的分解)から組成物を保護するように適合させられたコーティングが挙げられ得る。コーティングは、Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されるのと同様に固体投与形態上に適用され得る。
【0094】
いくつかの薬物を、錠剤中で一緒に混合してもよく、または分割してもよい。例えば、第2の薬物の実質的部分が第1の薬物の放出前に放出されるように、第1の薬物は錠剤の内側に含まれ、そして第2の薬物は外側である。
【0095】
経口使用のための処方物を、咀嚼錠として、または活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、バレイショデンプン、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水または油媒質(例えば、流動パラフィン、またはオリーブ油)と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提供してもよい。散剤および顆粒剤を、従来の方法で錠剤およびカプセルについて上記した成分を使用して調製してもよい。
【0096】
経口使用のための放出制御組成物を、例えば、活性薬物物質の溶解および/または拡散を制御することによって活性薬物を放出するように構築してもよい。
【0097】
溶解または拡散放出制御を、薬物の錠剤、カプセル、ペレット、もしくは顆粒剤処方物の適切なコーティングによって、または適切なマトリックス中に薬物を組み込むことによって達成することができる。放出制御コーティングは、上記のコーティング物質、および/または、例えば、シェラック、ミツロウ、グリコワックス、ヒマロウ、カルナウバロウ、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、グリセリルジステアレート、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリ乳酸、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、メタクリレートヒドロゲル、1,3ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート、および/またはポリエチレングリコールの1つ以上を含んでもよい。放出制御マトリックス処方物において、マトリックス材料は、例えば、水和メチルセルロース、カルナウバロウおよびステアリルアルコール、カルボポール934、シリコーン、三ステアリン酸グリセリン、メチルアクリレート−メチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、および/またはハロゲン化フルオロカーボンを含んでもよい。
【0098】
本発明の組み合わせの薬物の1つ以上を含む放出制御組成物は、浮揚性の錠剤またはカプセル(すなわち、経口投与に際して、特定の期間、胃内容物の上部に浮かぶ錠剤またはカプセル)の形態であってもよい。薬物の浮揚性錠剤処方物を、薬物の、賦形剤および20〜75%w/wの親水コロイド、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースとの混合物を造粒することによって調製することができる。次いで、得られた顆粒を錠剤に圧縮することができる。胃液と接触して、錠剤は実質的に水不透過性のゲルバリアをその表面の周囲に形成する。このゲルバリアは、1未満の密度の維持に関与し、それにより錠剤が胃液中に浮揚したままになることを可能にする。
【0099】
経口投与のための液剤
水の添加による水性懸濁液の調製に適切な粉末、分散粉末、または顆粒は、経口投与のための好都合な投与形態である。懸濁液としての処方物は、活性成分を、分散または湿潤剤、懸濁剤、および1つ以上の保存料との混合物中で提供する。適切な懸濁剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどである。
【0100】
非経口組成物
医薬組成物を、注射、注入または埋め込みによって(静脈内、筋肉内、皮下など)、従来の非毒性の薬学的に許容され得る担体および佐剤を含む投与形態、処方物中で、または適切な送達デバイスもしくはインプラントを介して非経口で投与してもよい。そのような組成物の処方および調製は医薬処方物の当業者に周知である。
【0101】
非経口使用のための組成物を、単位投与形態で(例えば、単一用量アンプル中で)、またはいくつかの用量を含みそして適切な保存料を添加してもよいバイアル中で提供してもよい(下記参照)。組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、注入デバイス、もしくは埋め込みのための送達デバイスの形態であってもよく、またはそれは、使用前に水または別の適切なビヒクルで再構成されるべき乾燥粉末として提供されてもよい。活性薬物のほかに、組成物は適切な非経口的に許容され得る担体および/または賦形剤を含んでもよい。活性薬物を、放出制御のために、マイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソームなどに組み入れてもよい。組成物は、懸濁剤、可溶化剤、安定化剤、pH調整剤、および/または分散剤を含んでもよい。
【0102】
本発明による医薬組成物は、無菌注射のために適切な形態であってもよい。そのような組成物を調製するために、適切な活性薬物は、非経口的に許容され得る液体ビヒクル中に溶解または懸濁される。用いられ得る許容され得るビヒクルおよび溶媒の中には、水、適切な量の塩酸、水酸化ナトリウムまたは適切な緩衝剤の添加によって適切なpHに調整された水、1,3−ブタンジオール、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。水性処方物は、1つ以上の保存料(例えば、メチル、エチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシ安息香酸)を含んでもよい。薬物の1つが乏しくまたはわずかにのみ水中に可溶性である場合、溶解増強剤または可溶化剤を添加することができるか、または溶媒に10〜60%w/wのプロピレングリコールなどを含めてもよい。
【0103】
放出制御非経口組成物は、水性懸濁液、マイクロスフェア、マイクロカプセル、磁性マイクロスフェア、油溶液、油懸濁液、または乳濁液の形態であってもよい。あるいは、活性薬物を、生体適合性担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラント、または注入デバイス中に組み入れてもよい。マイクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルの調製における使用のための材料は、例えば、生分解性/生物腐食性ポリマー、例えば、ポリガラクチン、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)である。放出制御非経口処方物を処方する場合に使用し得る生体適合性担体は、炭水化物(例えば、デキストラン)、タンパク質(例えば、アルブミン)、リポタンパク質、または抗体である。インプラントにおける使用のための材料は、非生分解性(例えば、ポリジメチルシロキサン)または生分解性(例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)もしくはポリ(オルトエステル))であることができる。
【0104】
直腸組成物
直腸適用について、組成物に適切な投与形態としては、坐薬(乳濁液または懸濁液型)、および直腸ゼラチンカプセル(溶液または懸濁液)が挙げられる。典型的な坐薬処方物において、活性薬物は、適切な薬学的に許容され得る坐薬基材、例えばカカオバター、エステル型脂肪酸、グリセリン化ゼラチン、および種々の水溶性または分散性基材、例えば、ポリエチレングリコールと組み合わされる。種々の添加物、増強剤または界面活性剤を組み込んでもよい。
【0105】
経皮および局所組成物
医薬組成物を、マイクロスフェアおよびリポソームを含む、従来の非毒性の薬学的に許容され得る担体および賦形剤を含む投与形態または処方物中で経皮吸収のために皮膚上に局所的に投与してもよい。処方物としては、クリーム、軟膏、ローション、リニメント、ゲル、ヒドロゲル、溶液、懸濁液、スティック、スプレー、ペースト、プラスター、および他の種類の経皮薬物送達システムが挙げられる。薬学的に許容され得る担体または賦形剤は、乳化剤、抗酸化剤、緩衝剤、保存料、湿潤剤、浸透増強剤、キレート剤、ゲル形成剤、軟膏基材、香料、および皮膚保護剤を含んでもよい。
【0106】
乳化剤は天然ガム(例えば、アカシアガムまたはトラガカントガム)であってもよい
保存料、湿潤剤、浸透増強剤は、パラベン、例えば、メチルまたはプロピルp−ヒドロキシ安息香酸、および塩化ベンザルコニウム、グリセリン、プロピレングリコール、尿素などであってもよい。
【0107】
皮膚上の局所投与について上記した医薬組成物を、処置しようとする身体の部分上へのまたはその近くの局所投与に関連して使用してもよい。組成物を、直接適用のために、または、ドレッシングあるいはプラスター、パッド、スポンジ、ストリップ、または他の形態の適切な可動性材料のような特殊な薬物送達デバイスによる適用のために適合させてもよい。
【0108】
投与量および処置の持続期間
組み合わせの薬物が同時に(同じかまたは異なるかのいずれかの医薬処方物中で)または逐次的に投与され得ることが理解される。逐次的な投与が存在する場合、第2の(または、追加の)活性成分の投与の遅延は、活性成分の組み合わせの有効な効果の利益が失われるようにすべきでない。本説明に従う組み合わせのための最小の要件は、組み合わせが、活性成分の組み合わせの有効な効果の利益を有して併用のために意図されるべきであるということである。意図される組み合わせの使用を、本発明による組み合わせの使用を助ける設備、規定、適用および/または他の手段によって推量することができる。
【0109】
本発明の活性薬物を分割用量で(例えば、1日に2回または3回)投与してもよいが、組み合わせ中の各薬物の単一1日用量が好ましく、単一の医薬組成物中の全ての薬物の単一1日用量(単位投与形態)が最も好ましい。
【0110】
用語「単位投与形態」は、各々の単位が、必要とされる医薬担体と共同で所望の治療効果を生じるように算出された所定量の活性材料(単数または複数)を含む、ヒト対象のための単位投薬として適切な物理的に分離した単位(例えば、カプセル、錠剤、またはロードしたシリンジシリンダー)を指す。
【0111】
投与は、1日に1回〜数回、数日間〜数年間であることができ、そして患者の生涯にわたりさえし得る。慢性のまたは少なくとも定期的に反復される長期投与の必要が大部分の症例において示される。
【0112】
さらに、特定の患者についての薬理ゲノミクス(治療の薬物動態、薬力学または効力プロファイルに対する遺伝子型の効果)情報が、使用される投与量に影響を及ぼし得る。
【0113】
より高い投与量が必要とされ得る特に損なわれているAD疾患症例に応答する場合以外、組み合わせ中の各薬物の好ましい投与量は通常、長期維持処置のために通常処方されるかまたは大きな第3相臨床試験において安全であると判明した用量を上回らない範囲内にある。
【0114】
例えば、最も好ましい投与量は、長期維持処置のために通常処方されるものの1%〜10%の量に対応する。
・フェンホルミン、経口、1日当たり約0.5〜5mg、およびリファブチン、経口、1日当たり約6〜60mg
・フェンホルミン、経口、1日当たり約0.5〜5mg、およびアラビトール、経口、1日当たり約50〜500mg
・タダラフィル、経口、1日当たり約0.05〜0.5mg、およびオメプラゾール、経口、1日当たり約0.4〜4mg
・シロスタゾール、経口、1日当たり約1〜10mg、およびオメプラゾール、経口、1日当たり約0.4〜4mg
・フェンホルミン、経口、1日当たり約0.5〜5mg、およびダサチニブ、経口、1日当たり約1〜10mg
・ダサチニブ、経口、1日当たり約1〜10mg、およびアカンプロセート、経口、約7〜70mg、1日3回
・ダサチニブ、経口、1日当たり約1〜10mg、およびテルビナフィン、経口、約2.5〜25mg、1日1回または2回。
【0115】
実際に投与される薬物の量が、処置しようとする状態(単数または複数)、投与しようとする正確な組成物、個々の患者の年齢、体重、および応答、患者の症候の重症度、および選択された投与経路を含む関連事情の見地から、医師よって決定されることが理解される。それゆえ、上記の投与量範囲は、本明細書における教示のための一般的な案内および支持を提供することが意図され、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0116】
以下の実施例は、例証の目的のために与えられ、そして限定としては与えられない。
【0117】
実施例
インビトロアッセイを使用する薬物検証
インビトロアッセイは、ADに関係付けられる経路に作用する薬物およびその組み合わせの改良のための強力なツールである。本発明の薬物およびその組み合わせを、本発明において同定されたADネットワークに従って適合させた特異的インビトロアッセイに対する作用によって最適化する。その後、これらの分子またはその組み合わせを、ADのインビボモデルにおいて試験する。
【0118】
これらのインビトロ試験は、APP遺伝子発現のレベルの研究、およびそれに続く、Aβタンパク質の毒性効果に曝露された細胞に対する薬物の神経保護潜在力のアッセイで開始する。関係付けられる経路における薬物を個々に試験し、続いてその組み合わせの作用のアッセイを行う。その後の段階で、個々の経路における標的に対して作用する最も効率的な組み合わせを、組み合わせそして神経保護試験において試験する。
【0119】
APP発現の調節は、AD処置のための重要な侵入点を表す。なぜなら、それは、特定の毒性フラグメントの生成の上流に位置しており、そして複数の脳システムに対するその作用は最終的に認知機能の破壊を生じるからである。
【0120】
ADにおいて、タンパク質は、原線維Aβタンパク質(アミロイド)の不溶性βプリーツシートの凝集物を形成する。可溶性形態から原線維形態への立体構造変化は、Aβのより高い濃度とともに増加する自発性事象であるようであり、いずれもの、正常より多量のAβの産生(またはAβのより大きな、より可溶性でない形態の産生)が斑形成を増加させる傾向にある。一旦Aβ斑が形成され始めると、他の分子は新生斑と相互作用して、その付随する神経細胞死領域を伴って最終的に成熟斑を生じさせることができる。これを考慮して、本発明者らは、アミロイドβタンパク質に曝露された細胞の生存率に対する薬物の効果の試験に優先順位を与えた。
【0121】
PC12細胞培養
ATCC(ATCC CRL-1721)からのPC12(褐色細胞腫、ラット、ATCC ref: CRL-1721)細胞を37℃の水中で迅速に融解した。上清を、15%の熱不活化ウマ血清(Invitrogen ref : 16050-130)、2.5%のウシ胎児血清(FBS;Invitrogen ref : 16000-036)、1%のペニシリン10,000U/mlおよびストレプトマイシン10mg/ml(PS;Pan Biotech ref : P06-07100)ならびに1%のL−グルタミン200mM(Pan Biotech ref : P04-80100)を含むダルベッコ改変イーグル培地DMEM−F12(Pan Biotech ref : P04-41450)を含む「PC12増殖培地」9ml中にすぐに入れた。
【0122】
細胞を遠心分離し(800回転/分、4℃、5分)、そして5mlの「PC12増殖培地」中に加え、生存細胞を、ニュートラルレッド排除試験(Sigma)を使用してマラッセ細胞を用いて計数した。
【0123】
次いで、細胞を3×10細胞/cmで、ポリ−L−リジン(10μg/ml、Sigma Ref: P2636)で事前コーティングした75cmプラスチックフラスコ(Greiner Ref: 658175)中の「PC12増殖培地」中に播種した。
【0124】
培地を1日おきに交換した。細胞がコンフルエンスの80%に達した3日の培養の後に、それをカルシウムおよびマグネシウム不含HBSS(Pan Biotech Ref: P06-33500)で洗浄し、そしてトリプシンEDTA(0.05%、Pan Biotech Ref: P10-023100)中でインキュベートした。酵素反応を0.5mg/mlのDNase1グレード2(Pan Biotech Ref: T60-37780100)を加えたPC12増殖培地を用いて停止した。次いで、PC12を遠心分離し(800回転/分、4℃、10分)、そして細胞を、2.9×10/cmの密度で、ポリ−L−リジンで事前コーティングした175cm培養フラスコ(Greiner Ref: 661195)中に播種した。
【0125】
中毒およびMTT生存率アッセイ:
PC12細胞(継代#2)を、B27(2%;Invitrogen, Ref : 21103049)、ペニシリン(50U/ml)−ストレプトマイシン(50μg/ml)およびグルタミン(1%)および50ng/mlのNGF(Sigma Ref : N1408)を含むNeurobasal培地(Invitrogen, Ref : 21103049)中、3300細胞/cmを基準にしてポリ−L−リジン(Sigma)で事前コーティングした96ウェルプレート(Greiner Ref : 655 180)中に播種する。NGFはPC12をシナプス性ニューロン様細胞に分化させる。
【0126】
5日の培養の後、培地をNGF(50ng/ml)、抗酸化剤なしのB27、グルタミンおよび抗生物質を加えたneurobasalに交換する。24時間後、細胞を1時間5つの濃度の薬物とともにインキュベートする(条件当たり6つのウェル)。プレインキュベーションの1時間後、細胞を、細胞培養培地中、薬物と一緒の10μMのβアミロイド(25−35;Sigma)によって中毒させる。24時間後、細胞を1回PBS(Pan Biotech, Ref : P04-36100)で洗浄し、そしてPC12細胞生存率をMTT(3,[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5ジフェニルテトラゾリウムブロミド)生存率試験によって評価した。
【0127】
皮質ニューロン細胞培養
初代ラット皮質ニューロンを、Singer et al., 1999によって記載されるように培養する。簡潔には、妊娠15日の妊娠雌性ラットを頸部脱臼によって屠殺し(Wistarラット;Janvier)、そして胎児を子宮から取り出す。皮質を取り出し、そして1%のペニシリン−ストレプトマイシン(PS;Invitrogen)および1%のウシ血清アルブミン(BSA;Sigma)を含むLeibovitzの氷冷培地(L15;Invitrogen)中に入れる。20分間37℃でのカルシウムおよびマグネシウム不含PBS中で希釈したトリプシン処理によって(Trypson EDTA 1X;Invitrogen)皮質を解離させる。反応を、DNaseIグレードII(0.1mg/ml;Roche Diagnostic)および10%のウシ胎仔血清(FCS;Invitrogen)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Invitrogen)の添加によって停止する。次いで、細胞を、10mlピペットを3回通過させることによって機械的に解離させる。次いで、細胞を180×gで10分間10℃で遠心分離する。上清を捨て、そしてペレットの細胞を、B27(2%;Invitrogen)、L−グルタミン(0.2mM;Invitrogen)、1%のPS溶液および10ng/mlの脳由来神経栄養因子(BDNF、Pan Biotech)を補充したNeurobasal(Invitrogen)からなる規定培養培地中に再懸濁する。生存細胞をNeubauer血球計数盤中でトリパンブルー排除試験を使用して計数する。細胞を96ウェルプレート(ウェルはポリ−L−リジンで事前コーティングされている(10μg/ml;Sigma))中30000細胞/ウェルの密度で播種し、そして37℃で湿潤空気(95%)/CO(5%)雰囲気中で培養する。
【0128】
6日間の培養の後、細胞を薬物(5つの濃度)とともにインキュベートする。1時間後に、BDNF不含であるが薬物と一緒の規定培地中、20μMのβアミロイド(25−35;Sigma)によって細胞を中毒させる。皮質ニューロンを2日間中毒させる。BDNF(10ng/ml)をポジティブ(神経保護)コントロールとして使用する。
【0129】
乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性アッセイ
2日の培養の後に、上清を収集し、そしてCytotoxicity Detection Kit(LDH, Roche Applied Sciences)を用いて分析する。細胞死の定量のためのこの比色アッセイは、上清中へ損傷細胞の細胞質ゾルから遊離された乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性の測定に基づく。光学密度(DO)を、マルチスキャン装置(Thermo, Ref Ascent)による492nm波長における分光光度計によって評価する。結果を、ネガティブコントロール(ビヒクル)と比較した、細胞生存率の百分率で表す。
【0130】
結果
図1および2に示す結果は、2つの独立した培養物(条件当たり6つのウェル)から抽出されている。全ての値を平均±s.e.平均で表す。両側スチューデントt検定分析が生データに対して行われている。結果を、コントロール(ビヒクル)と比較した、神経突起長の百分率で表す。
【0131】
NGF分化PC12細胞を、24時間続くAβ25−35 10μM中毒の1時間前に薬物とともにインキュベートする。
【0132】
このインキュベーションの1日後に、MTTアッセイを使用して、NGF分化PC12の生存率を定量する。本発明者らは、2つの薬物が、このAβ25−35中毒に対する神経保護効果を明らかに発揮することを観察した(図1)。
【0133】
ラット初代皮質ニューロンを、2日間続くAβ25−35 20μM中毒の1時間前に薬物とともにインキュベートする。このインキュベーションの2日後に、細胞死のレベルを反映する、培養培地におけるLDH遊離を定量する。本発明者らは、3つの薬物が、このAβ25−35中毒に対する保護効果を明らかに発揮することを観察した(図2)。
【0134】
インビボ試験
インビトロ試験において活性な化合物およびその組み合わせを、アルツハイマー病のインビボモデルにおいて試験した。アルツハイマー病関連変異ヒトアミロイドβタンパク質前駆体(APP)トランスジーンの過剰発現は、多数の研究においてAD疾患モデルとして作用するトランスジェニックマウスの脳におけるAβの沈着を促進する最も信頼できる手段であった。加齢とともに、これらの変異APPマウスは強いアミロイド病理および他のAD様特徴(減少したシナプス密度、反応性グリオーシス、およびいくらかの認知障害を含む)を発達させる。多くの変異APPマウスモデルは、明白なニューロン損失および神経原線維変化(NFT)病理の証拠をほとんど示さない。このBRI−Aβ42トランスジーンについてヘミ接合型のマウスは、正常な寿命を有して生存可能でありそして繁殖性である。トランスジェニックBRI−Aβ42 mRNAは、マウスプリオンタンパク質プロモーターに特徴的なパターンで発現される;最高のトランスジーン発現レベルは小脳顆粒細胞および海馬、続いて皮質、脳橋、視床、および中脳において検出される。トランスジェニック融合タンパク質において、Aβ1−42はフューリン様切断部位でBRIタンパク質のC末端に融合されており、その結果、切断によって管腔または細胞外空間中への効率的なAβ1−42分泌が生じる。それゆえ、これらのマウスはAβ1−42アイソフォームを特異的に発現する。ヘミ接合型BRI−Aβ42マウスは、加齢とともに界面活性剤不溶性アミロイドβを蓄積し、そして3月齢ほどの早期に小脳においてコア斑(cored plaque)を発達させる。前脳病理の発達が後に起こり、12月齢まで海馬および嗅内/梨状葉皮質中に細胞外Aβ斑は一貫して存在しない。アミロイドβ沈着(コア斑)は、3ヶ月ほどの早期にトランスジェニックマウスの小脳の分子層において観察され得、そして加齢とともにより明白になる;ところどころの細胞外斑が6月齢で嗅内/梨状葉皮質および海馬において見られるが、>12月齢まで一貫して見出されない。最高齢のマウスは、小脳、皮質、海馬、および嗅球におけるコアおよび拡散斑を有して広範な病理を示す。細胞外アミロイド斑は、放射型原線維を有して密なアミロイドコアを示す;多くの異栄養性神経突起の束がこれらの斑の末梢において観察される。反応性グリオーシスが斑に付随する。
【0135】
薬物処置
トランスジェニックTg(Prnp−ITM2B/APP695*42)A12E mcマウス(43)をJackson Laboratoryから得た(http://jaxmice.jax.org/strain/007002.html)。最高のAβ42血漿レベルを有するマウス樹立系統BRI−Aβ42A(12e)を混合B6C3バックグラウンド上で維持した。成体雄性トランスジェニックマウスは食物および水への自由な接近を有する。承認されたInstitutional Animal Care and Use Committeeプロトコルに従って、マウスを秤量し、そしてコントロール溶液(プラセボ)または様々な用量で調製したPXT薬物のいずれかを10〜20週間連続して1日に1回i.p.注射するかまたは強制摂取した。
【0136】
生存分析
Kaplan-Meier方法を使用して生存率を分析した。Holm-Sidak方法(post hoc)を全ての多重対比較検定のために使用した。外来性の死亡を検閲する。いずれもの、バックグラウンド系統の差異からの潜在的に混乱させる効果を制限するために、全ての比較を同腹仔間で行った。
【0137】
行動試験
行動試験を数人の著者らによって公開された方法に従ってデザインしそして実施した(44〜47)。
【0138】
モーリス水迷路(MWM)における空間学習および記憶
この実験を、白色プラスチックで作製され、そして乳白色の水を満たした直径90cmの円形プール中で行う。透明プラスチックで作製された直径8cmの避難プラットフォームを水面下0.5cmに水没させた。A4サイズの文字で印刷し、そして4つの周囲の壁(プールからの距離は50〜70cmであった)に配置した様々な幾何学形態によって視覚的目印を提供する。各々のマウスに4日間1日に4回の試行を与えた(試行の間5〜7分間隔、合計16回の試行)。各々の試行を4つの異なる開始点の1つから行った。マウスの移動をVideotrack Software(View Point)を使用してモニターする。避難プラットフォームを位置付けるためにかかった時間(避難潜伏期;60秒まで)を決定した。プラットフォームを位置付けた後、マウスをその上に15秒間座らせた。60秒以内にプラットフォームを見出せなかったマウスを、それに導き、そしてその上に15秒間留めた。60秒の潜伏期をそのような出来事について記録に入れる。1日目の1回目の試行以外、1日当たりの4回の試行の全てを統計分析のために平均した。9日目(最後の訓練の5日後)に、マウスを、プラットフォームを取り外しそしてマウスにそれを探索させる60秒間探索試行に供した。各動物が各四分円において費やした時間を記録した(四分円探索時間)。雄性マウスのいくつかの群を3、7、10、および12月で使用した。
【0139】
いくつかの少しのマウスは試験を強く妨害するすくみ行動(例えば、水中で動かないで横たわり、そして泳ぎを拒む)を示し、これらの動物をデータ分析から除外した。
【0140】
全ての行動試験を静かな減光環境下で行う。
【0141】
放射状水迷路における作業記憶試験
この認識に基づく作業記憶の高感度の測定を、6つの放射状に分布した水泳アームを作製するようにアルミニウムインサートを装着した直径100cmの水を満たしたプール(モーリス水迷路およびプラットフォーム認識課題のためにも使用)からなる器具の助けで得た。試験は、連続した9〜12日間、1日のセッション当たり5回の1分間試行からなる。各セッションの開始時に、透明な水没させたプラットフォームを6つの水泳アームの1つの末端に配置する(ランダムに選択、毎日変更)。最初の4回の獲得試行の各々について、動物を非プラットフォーム含有アームの1つに配置し(ランダム化した順序)、そしてプラットフォームを探索させる。60秒間試行の間、動物が別の非プラットフォーム含有アームに入る毎に、静かにそれをその出発位置に戻し、そしてエラーを記録する。第4の試行の後、動物を30分間休ませ、続いて最後の非プラットフォーム含有水泳アームにおいて始める第5の(保持)試行を行う。エラー(正しくないアームの選択)の数および避難潜伏期(プラットフォームに到達する時間、最大60秒)を各試行について記録する。
【0142】
円形プラットフォーム試験における空間参照学習および記憶
この認識に基づく課題試験を、外周の周りに等距離間隔で配置した16個の「避難」孔を有する直径69cmの円形プラットフォームからなる器具の助けで行う。避難所は孔の1つの下に取り付けられており、そしてその上に種々の視覚的合図が配置されている黒色のカーテンがプラットフォームを取り囲んでいる。動物を単一の5分間試行の開始時にプラットフォームの中央に配置し、そして嫌悪刺激(明光、ファンの風)を与える。エラー(非避難孔中へ頭を突くこと)の総数および避難潜伏期(避難孔に到達する時間)を記録する。
【0143】
プラットフォーム認識試験における認識能力
この認識に基づく探索課題は、物体同定および認識能力を評価する。標的物体は、直径100cmの円形プール中の水表面の0.8cm上に配置されている10cm×40cm黒色の旗を装着した直径9cmの円形プラットフォームからなる。試験は、連続した4日間の各々の日当たり4回の60秒間試行からなる。各々の日に、標的物体を各試行についてプールの異なる四分円中に配置し、そして動物を4回全ての試行についてプールの外周に沿った同じ位置で放す。全潜伏期(最大60秒)を各試行について記録する。
【0144】
改変Irwin検査
Irwinから改変した包括的スクリーニングを、マウスのいずれかがその遺伝子型に関連する生理的な、行動の、または感覚運動の機能障害を示したかどうかを決定するために使用する。運動習熟、協調、および筋力を調査するために、マウスを2つの高さ30cmの柱の間に張ったワイヤー上に配置し、そしてワイヤー上でバランスを取るその能力を評価する。さらに、少なくとも5秒間4つ全部の足でワイヤーを掴みそしてそれにぶら下がり、そしてワイヤー上に登って戻るその能力を決定する。
【0145】
血管アミロイド沈着の定量
脳アミロイドアンギオパチー(CAA)の定量のために、頭頂葉皮質または小脳皮質軟膜を通した30μm間隔の5μmパラフィン包埋切片を、一晩4℃でビオチン化Ab9抗体(抗Aβ1−16、1:500)を用いて免疫染色する(各齢群における遺伝子型当たりn=5〜7匹のマウス、マウス当たりn=6切片)。陽性に染色された血管を、改変Vonsattelスコアリングシステムを使用して視覚的に評価する(48)。CAA重症度スコアを、CAA血管数にCAA重症度グレードを掛けることによって算出する。
【0146】
組織学:免疫組織化学および免疫蛍光
3〜12月のTgおよびWTマウスを麻酔し、そして0.1mol/Lリン酸緩衝食塩水(PBS)(pH7.4)中の0.9%NaClおよび4%パラホルムアルデヒドまたは0.1mol/L PBS(pH7.4)中の10%ホルマリンおよび4%パラホルムアルデヒドで順次経心的に灌流する。脳および脊髄を取り出し、そして4%パラホルムアルデヒド中で貯蔵する。いくつかの試料をパラフィン中に包埋し、そしてスライディングミクロトーム上で10μmの厚さで切断する。凍結切片(14μm)をクリオスタット上で切断し、そしてクロムミョウバンコーティングしたスライド上にマウントする。内在性ペルオキシダーゼを、切片を0.3%Hを含むメタノールで30分間処理することによってクエンチする。切片を10%ウマ血清中でブロックする。一次抗体を使用し、そして一晩4℃で1%ウマ血清の存在下でインキュベートする。全ての二次ビオチン化またはフルオレセイン、Texas Red、およびAMCA結合抗体、蛍光色素、ABCキット、およびペルオキシダーゼ活性用の色素原としての3,3’−ジアミノベンジジンは、Vector Laboratoriesからである。二次抗体とのインキュベーションを室温で1時間保持する。全ての洗浄工程(3〜10分)および抗体希釈をリン酸緩衝食塩水(0.1mol/L PBS、pH7.4)またはTris緩衝食塩水(0.01mol/L Tris、0.15mol/L NaCl、pH7.4)を使用して行う。ABC複合体とのインキュベーションおよび3,3’−ジアミノベンジジンを用いる検出を、製造業者のマニュアルに従って行う。ヘマトキシリン対比染色を標準的手順に従って行う。遺伝子型、齢および性別当たり最小3匹のマウスを各々の決定のために使用する(49)。
【0147】
脳抽出物の調製
脳を迅速に氷上で最終注射後90〜120分の間に回収し、そして−80℃で凍結する。各マウスからの右大脳半球を、凍結後秤量する。中央絶対偏差による半球質量の分析により、本発明者らがセットの残りから4中央絶対偏差を超える試料を除外することが可能になる。大脳半球をホモジナイズし、そして全タンパク質を含む細胞溶解物を、酵素アッセイキットのための製造業者の説明書に従って調製する(R&D Systems, Inc.)。簡潔には、脳皮質を800μlの低塩含有1×抽出緩衝液(R&Dキット)中でホモジナイズし、そして氷上で10分間インキュベートする。次いで、ホモジネートを13,000gで15分間4℃で遠心分離する。各試料中のタンパク質濃度をビウレット由来アッセイに従って見積もる(Pierce)。APP、Aβ40、およびAβ42のレベルを、記載されるようにそれぞれウエスタンイムノブロッティングおよびサンドイッチELISA技術により測定する(41)。さらに、α、β、およびγセクレターゼの活性を同じ抽出物から測定し得る。
【0148】
マウス大脳皮質抽出物における全APPのレベルのアッセイ
等タンパク質量の脳抽出物を各ゲルにおいてロードする(試料当たりレーン当たり30μg)。各ゲルは8つの処置を含んだ:コントロール;薬物1 7.5mg/kg用量;およびいくつかの用量の薬物2。ゲル内変動を最小にするために、各ゲルは3セットの全ての処置群を含んだ。各ブロットを22C11抗体を用いてプローブする。また、各ブロットを、トランスファー効率の規準化のためにβアクチン抗体用いてプローブする。APPバンドシグナルの強度をβアクチンのものを用いて規準化する。ブロット−ブロット変動について試験するために、2つの試料「コントロール」を各ゲル/ブロットにおいてロードする。記載されるように、ブロットの分析を2つの方法で行う:ゲル−ゲル変動について試験するためのブロット式(blot-wise)(n=3);および組み合わせのブロット(n=9または10)(50〜51)。n=3でのブロット式分析は、n=9または10用量での最終分析と同じ傾向を示す。組み合わせの分析の結果を示す。
【0149】
AβサンドイッチELISA
脳Aβ ELISAのために、前脳および後脳のAβレベルを独立して決定し、そして嗅球を分析から除外する。血漿Aβ分析のために、心臓穿刺の後に血液をEDTAコーティングしたチューブ中に収集する。血液試料を3000rpmで10分間4℃で遠心分離し、そして血漿を小分けしそして使用するまで−80℃で貯蔵する。Aβレベルを、Aβ40用の捕捉AbとしてのAb9(抗Aβ1−16 Ab)、Aβ40用の検出Abとしての13.1.1−HRP(抗Aβ35−40 Ab)、Aβ42用の捕捉Abとしての2.1.3(抗Aβ35−42 Ab)、およびAβ42用の検出AbとしてのAb9−HRPを使用する末端特異的サンドイッチELISAによって決定する(各齢群において遺伝子型当たりn=5〜7マウス)。記載されるように、可能なELISA変動を最小にするためにマウスの同じセットを内部コントロールとして使用してAβレベルを以前の結果に対して規準化する(41)。
【0150】
ウエスタンブロッティング
急速冷凍した前脳試料を、1%プロテアーゼインヒビター混合物(Roche)を含む放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液(Boston BioProducts, Worcester, MA)中でホモジナイズする。ホモジネートを100,000×gで1時間4℃で遠心分離する。上清中のタンパク質濃度をBCAタンパク質アッセイを使用して決定する(Pierce)。タンパク質試料(20μg)をBis−Tris 12%XTゲルまたはBis−Tris 4−12%XTゲル(Bio-Rad, Hercules, CA)上で泳動し、そして0.2μmニトロセルロースメンブランにトランスファーする。ブロットを、2分間0.1M PBS中で2回マイクロ波に供し、そして記載されるようにAb 82E1(抗Aβ1−16、1:1000;IBL, Gunma, Japan)および抗APP C末端20アミノ酸(1:1000)を用いてプローブする(41)。ブロットをストリップし、そしてローディングコントロールとしての抗βアクチン(1:1000;Sigma)を用いて再プローブする。相対的バンド強度をImageJソフトウェアを使用して測定する。
【0151】
実質アミロイド沈着の定量
半脳を10%ホルマリン中で浸漬固定し、そしてパラフィン包埋のために加工する。脳組織切片(5μm)を抗全Aβ抗体(Ab)を用いて免疫染色した。切片をヘマトキシリンで対比染色する。海馬、梨状葉皮質(ブレグマ、−1.70〜−2.80mm)、または小脳(傍片葉、係蹄状脚(crus ansiform)、および単小葉;ブレグマ、−5.40〜−6.36mm)を通した、脳当たり6つの切片を定量のために使用する(各齢群において遺伝子型当たりn=5〜7マウス)。Aβ斑負担を、MetaMorphソフトウェア(Molecular Devices, Palo Alto, CA)を使用して決定する。コア斑の定量のために、Aβ負担について分析したものの連続した切片をチオフラビンS(ThioS)で染色し、そして海馬、嗅内/梨状葉皮質、または小脳におけるThioS陽性斑の数を計数する。上記の分析の全てを盲検法で行う。
【0152】
インビボデータの統計分析
全ての実験からの結果をSTATISTICA 8.0(Statsoft)を用いて分析する。
【0153】
Aβレベル、アミロイド斑負担、およびCAA重症度を、post hoc Holm-Sidak多重比較検定または両側スチューデントt検定とともにANOVAを使用することによって分析する。データのセットがパラメトリックな検定仮定を満たさない場合は、Kruskal-Wallis検定およびそれに続くpost hoc Dunn多重比較またはMann-Whitney順位和検定のいずれかを行う。2トランスジェニック(bitransgenic)マウスにおけるAβレベルが単一トランスジェニック同腹仔におけるAβレベルの加算合計と一致するかどうかを試験するために、切片検定なしの多重線形回帰を使用する。全ての比較を同腹仔間で行う。
【0154】
コントロール(0mg/kg)試料を除外して薬物応答モデリングを行う。ED50は、実験における最大薬物誘導応答の50%を誘導するために必要とされる用量(mg/kg)に対応する。それをED50の対数についてHill式モデルを使用して算出する。
【0155】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、アカンプロセート、アムロジピン、シロスタゾール、レフルノミド、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、スルフィソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、ゾニサミドおよびリファブチン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む組成物。
【請求項2】
アカンプロセート、アムロジピン、シロスタゾール、レフルノミド、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、スルフィソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、ゾニサミドおよびリファブチン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む組成物であって、組成物が、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および多発性硬化症(MS)からなる群より選択される神経変性障害において誘導される細胞ストレス応答を阻害する、組成物。
【請求項3】
アルツハイマー病(AD)を処置するための、アカンプロセート、アムロジピン、シロスタゾール、レフルノミド、メチマゾール、フェンホルミン、プリロカイン、スルフィソキサゾール、タダラフィル、テルビナフィン、ゾニサミドおよびリファブチン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物からなる群より選択される少なくとも2つの化合物の組み合わせを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
併用の、別々のまたは逐次的な投与のための、以下の薬物の組み合わせの少なくとも1つを含む組成物:
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)およびナトリウムチャネルSCN1AのインヒビターおよびBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)、
− GABA作動性およびグルタミン酸作動性受容体のモジュレーター(好ましくは、アカンプロセート)およびRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)、
− ナトリウムチャネルSCN1AのインヒビターおよびBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)およびRYR3リアノジン受容体のモジュレーター(好ましくは、プリロカイン)、
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)およびRYR3リアノジン受容体のモジュレーター(好ましくは、プリロカイン)、
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)およびRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)、
− ナトリウムチャネルSCN1AのインヒビターおよびBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)およびRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)、
− RYR3リアノジン受容体のモジュレーター(好ましくは、プリロカイン)およびRHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン).
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)および化学シャペロン(好ましくは、リファブチン)、
− ナトリウムチャネルSCN1AのインヒビターおよびBKチャネルのアクチベーター(好ましくは、ゾニサミド)および化学シャペロン(好ましくは、リファブチン)、
− RYR3リアノジン受容体のモジュレーター(好ましくは、プリロカイン)および化学シャペロン(好ましくは、リファブチン)、
− RHOAのモジュレーター(好ましくは、テルビナフィン)および化学シャペロン(好ましくは、リファブチン)、
− AMPKのモジュレーター(好ましくは、フェンホルミン)およびPDE11AおよびPDE4A、PDE5Aホスホジエステラーゼのインヒビター(好ましくは、タダラフィル)。
【請求項5】
それを必要とする対象におけるアルツハイマー病または関連障害を処置するための、請求項1記載の組成物であって、組成物が、併用の、別々のまたは逐次的な投与のための、以下の薬物の組み合わせの少なくとも1つを含む、組成物:
− フェンホルミンおよびゾニサミド、
− アカンプロセートおよびテルビナフィン、
− ゾニサミドおよびプリロカイン、
− フェンホルミンおよびプリロカイン、
− フェンホルミンおよびテルビナフィン、
− ゾニサミドおよびテルビナフィン、
− プリロカインおよびテルビナフィン、
− フェンホルミンおよびリファブチン、
− ゾニサミドおよびリファブチン、
− プリロカインおよびリファブチン、
− テルビナフィンおよびリファブチン、
− フェンホルミンおよびタダラフィル。
【請求項6】
組成物が、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、細胞ストレス応答を阻害する薬物をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの、細胞ストレス応答を阻害する薬物が、AMPKのモジュレーター(好ましくは、ビダラビン)、ATP1A1のインヒビター(好ましくは、オメプラゾール)、GSK3B活性のインヒビター(好ましくはアルブテロールおよびメタラミノールから選択される)、IMPDH1およびIMPDH2のインヒビター(好ましくは、チオグアニン)、MTORのインヒビター(好ましくは、ラパマイシン)、PDE4Dのインヒビター(好ましくは、ミルリノン)、PRKG1のアクチベーター(好ましくは、シロスタゾール)、RHOAのモジュレーター(好ましくは、アレンドロネート)、SCN1A/Bのインヒビター(好ましくは、ホスフェニトイン)、YES1およびSRCのインヒビター(好ましくは、ダサチニブ)、オートファジーのアクチベーター(好ましくは、トレハロース)、および/または化学シャペロン(好ましくはフェニル酪酸ナトリウム、アラビトールおよびマンニトールから選択される)から選択される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つの、細胞ストレス応答を阻害する薬物が、ACCN1、ADRA1A、ADRB2、AFADIN、AKT、ALDH2、ALOX12、AMPK、APBA1、APBA2BP、APG1、APG12、APOER2、ATG5、ATG7、ATM、ATP1A1、ATP2A3、ATP2B1、ATP6V1C1、ATR、BACE1、BAD、BAX、BCAR1、BCL2、BECLIN1、BKチャネル(KCNMA1、KCNMB1)、BRCA1、CACNA1C、CALCINEURIN、CD36、CD44、CDH1、CDH2、CDK5、CDKN1A、CHK1、CHRM1、CHRM2、CHRM3、CHRM4、CHRM5、CK1、CTNNA2、CTNNB1、CULLIN1、CYCLINE、DCC、DGKB、DGKH、DNAJB9、DOCK3、DRD2、EDNRA、ELAVL2、ERK1、ERK2、EZRIN、FAS、FKBP12、FKBP12.6、FOXO3A、FZ2、GADD45、GNPTAB、GPC5、GRK2、GRK5、GRP170、GRIN2B、GRIN3A、GSK3B、HAS1、HAS2、HAS3、HIPK2、HSPAS、HSP90B1、HSPA5、HTR1A、IDE、IMPDH1、IMPDH2、INS、INSR、IRF1、ITB1、ITGA1、ITGB1、ITPR1、JNK1、LAMA1、MAD1L1、MAO、MCC1、MDM1、MME、MOESIN、MTOR、NADPH OXIDASE、NEDD9、NETRIN1、NFKB1、NHERF、NOS1、NOS2A、NOS3、PAELR、PAK1、PARK2、PCAF、PDE11A、PDE3A、PDE4D、PDE5、PDE6D、PI3K、PIK3C3、PKCA、PLCB1、PLD2、PLN、PML、POP2、PRDX5、PRDX6、PRKG1、PTPRG、PTPRM、PVRL1、RAC1、RACK1、RADIXIN、RHOA、ROR2、RTN1、RYR3、SAPK3、SCN1A、SCN1B、SCNN1D、SCNN1G、SH3BP5、SIL1、SLC8A1、SLC8A2、SLC8A3、SLN、SNCA、SNCAIP、SORBS2、SORCS2、SRC、SYN1、THBS2、TP53、TP63、TRPC3、TRPC4、TRPC5、UNC5C、VPS15、WNT1A、WNT5A、WWOX、XANTHINE OXIDASE、およびYES1から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質に結合するかまたはその活性を調節する薬物から選択される、請求項6記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、シナプス機能を調節する薬物をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの、シナプス機能を調節する薬物が、アルフェンタニル、アミロライド、アムロジピン、アズトレオナム、バクロフェン、ブクリジン、ブメタニド、ブプレノルフィン、リドカイン、クロルゾキサゾン、シナカルセト、ジフィリン、エレトリプタン、エルゴタミン、フルニトラゼパム、イマチニブ、ケトチフェン、ペガプタニブ、ペンタゾシン、フェノバルビタール、プレガバリン、プロピルチオウラシル、テマゼパム、チアガビン、トピラメート、トリアムテレン、およびビガバトリンから選択される、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、併用の、別々のまたは逐次的な使用のための、少なくとも1つの、細胞血管新生を調節する薬物をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの、血管新生を調節する薬物が、アンブリセンタン、アミノカプロン酸、アルガトロバン、バルサラジド、ベカプレルミン、カベルゴリン、クロピドグレル、デシルジン、ジヒドロエルゴタミン、エプレレノン、フェノルドパム、フルドロコルチゾン、ゲムフィブロジル、ヘスペレチン、レフルノミド、L−ヒスチジン、リオチロニン、マリマスタット、メロキシカム、メパクリン、メタゾラミド、モンテルカスト、ネチルマイシン、ニトログリセリン、ピリメタミン、スルフィソキサゾール、スニチニブ、チエチルペラジン、チロフィバン、トポテカンおよびワルファリンからなる群より選択される、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
薬学的に許容され得る担体または賦形剤を含む、請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
組成物が対象に反復して投与される、請求項1〜13のいずれか1項記載の組成物。
【請求項15】
アルツハイマー病または関連障害を処置するための薬物の製造方法であって、細胞ストレス応答に対する活性について候補薬物を試験し、そして細胞ストレス応答を阻害する薬物を選択する工程を含む、方法。
【請求項16】
薬物が、請求項8に記載するタンパク質または遺伝子に結合するか、またはその活性を調節するかどうかを決定する工程を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
アルツハイマー病または関連障害を処置するための組成物の製造方法であって、細胞ストレス応答を調節する薬物およびシナプス機能または血管新生を調節する薬物の組み合わせを調製すること、およびそれを必要とする対象への同時の、別々のまたは逐次的な投与のために前記組み合わせを処方することを含む、方法。
【請求項18】
アルツハイマー病または関連障害の処置方法であって、細胞ストレス応答を調節する薬物およびシナプス機能または血管新生を調節する薬物を、それを必要とする対象に同時に、別々にまたは逐次的に投与することを含む、方法。
【請求項19】
同時の、別々のまたは逐次的な投与のための、少なくともアムロジピンおよびプリロカイン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物を含む組成物。
【請求項20】
アルツハイマー病または関連障害を処置するための、少なくともアムロジピンおよび/またはプリロカイン、またはその塩もしくはプロドラッグもしくは誘導体もしくは徐放性処方物を含む組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−518865(P2011−518865A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506708(P2011−506708)
【出願日】平成21年4月29日(2009.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055207
【国際公開番号】WO2009/133142
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510149471)
【氏名又は名称原語表記】PHARNEXT
【Fターム(参考)】