細胞内組織の接着制御のための方法及び装置
本発明は、細胞内組織の接着制御により特定の位置及び所定の位置において細胞を接着させる方法及び装置、このような装置を製造する方法、細胞形状及び全体的細胞内組織、例えば、細胞区画の分布、中心体センタリング、紡錘体配向、内部区画化及び内部輸送の変更を研究する方法、特定の細胞機能を高めるか又は抑制する関心のある化合物をスクリーニングする方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
細胞内組織(internal cell organization)の接着制御で特定の位置及び所定の位置において細胞を接着させる方法及び装置、このような装置を製造する方法、細胞形状の変化及び全体的細胞内組織、例えば細胞区画(compartments)の分布、中心体センタリング(centrosome centering)、紡錘体配向(spindle orientation)、内部区画化(internal compartimentalization)及び内部輸送(internal transports)の変化を研究する方法、特定の細胞機能を高めるか又は抑制する関心のある化合物をスクリーニングする方法に関する。
【0002】
発明の背景
系統的ゲノム配列決定から得られた豊富なデータを利用するのに、高スループットの細胞基準の表現型スクリーニング(high throughput cell-based phenotypic screening)が必要となる。siRNAによるゲノム全体にわたる遺伝子サイレンシング(genome wide gene silencing)は、今や培養された細胞に関して可能である。あるいは、特定の細胞機能を高めるか又は抑制することができる薬物ライブラリーから生物学的に活性な化合物を迅速に同定することが望まれるであろう。かくして、その目的は、自動化されたツールで培養された細胞に関する表現型分析を行なうことである。
【0003】
高スループット法は、既知の分子経路に関する定量的投薬(quantitative dosages)を行なうのに長い間使用されてきた。これらの方法は、タンパク質輸送、接着、移動、分裂又はアポトーシスのような複雑な細胞特性に関与する新しい遺伝子を同定したり、新規な薬物のこれらの機構に干渉する能力を探ったりする場合には、使用することができない。
【0004】
今日ではこのチャレンジは、少数の細胞に関する現代の細胞生物学分析の正確さを多数の細胞に関する高スループット自動化方法の能力に関連させることである。このチャレンジに対する答えは、いくつかの障害のため多くはない。即ち、
第一に、ウエルの底部の細胞集団は、予測することができない分布を有する。これは、小さな倍率の対物の使用又は自動化されているが非常に長い走査習得(lengthy scanning acquisition)を強いる。
第二に、細胞形状は細胞毎に異なり、そしてこのパラメーターは、どんな分析下の表現型であれ又は細胞基準で行なわれる定量(特定の細胞小器官の細胞内局在化(intracellular localization)、数及びサイズ、分子シグナル..)であれ、無視することはできない。
第三に、細胞区画の細胞内分布及び全体的細胞組織(global cell organization)もまた、細胞毎に相当変化する。これは特に厄介である。それは、細胞内区画の相互の分布、あるいは細胞分裂又は細胞移動期間中の細胞極性の確立及び維持のいかなる種類の正確な分析も妨害する。
細胞集団の分布並びに個々の細胞の形状及び内部組織は、すべて細胞移動活性に依存している。運動性は、細胞のタイプに依存して大きく変わりうるが、それは常に重要なパラメーターである。
【0005】
これらの困難を克服するには、細胞が移動するのを防止しそして外部の目印に対して同じ方法ですべての細胞を配向させる(orientate)ための方法が必要であろう。その答えとして、アクチンアセンブリーに影響を与えることにより細胞形状及び細胞位置の正確な制御を可能とするマイクロパターン化(micro-patterning)が提供された。マイクロパターン化の多くの可能性が研究されたが(Wheitesides and Ingber; US 6,368,838; WO 01/70389; WO 02/86452; WO 02/22787)、それらのどれも細胞固有の性質の正確なスクリーニングに適合する反復可能な方法で全体の機能的及び構造的極性に影響を与えない。
【0006】
発明の要約
本発明では、本発明者は、極性、運動性及び分裂並びに内部区画化及び輸送を包含する細胞機能に対する遺伝子又は化合物の活性のスクリーニングを可能とする有効で低コストの方法を提供する。本発明に従う方法は、フォーカルアドヒージョン分布(focal adhesion distribution)の正確な制御に基づいている。これらの膜貫通複合体は、細胞区画化を大きく制御する細胞骨格と相互作用する。各細胞小器官の細胞内分布の正確な制御は、異方性接着パターン(anisotropic adhesive pattern)、例えば、非接着区域を伴なう凹状接着パターン(concave adhesive pattern)の使用により可能とされる。この制御は、細胞の長化(
lengthening)をもたらす接着パターンの使用によっても可能とされうる。
【0007】
ゆえに、本発明は、細胞を特定の位置及び所定の位置において細胞内組織の制御された分極(controlled polarisation)で接着させ、それにより細胞機械分極(cell machinery polarisation)を誘発する方法及び装置に関する。この装置は、個々の細胞について、更に詳しくは、1つのみの単一細胞について、表面を規定するプレートと、少なくとも1つの異方性接着パターン、例えば、凹状接着パターンであって、該接着パターンに隣接した、細胞が接着しない細胞非親和性領域により隔離されている凹状接着パターンを含む。
【0008】
このような装置は、細胞培養、細胞数測定、毒物学、薬物スクリーニング、診断及び細胞の固定化を含む広い範囲の細胞生物学用途において有用である。それらは、高又は中スループットスクリーニングアッセイ及び/又は個々のアッセイも可能とする。
【0009】
ゆえに、本発明は、このような装置を製造する方法、細胞を培養する方法、細胞を表面に固定化する方法、細胞形状及び全体的細胞内組織を制御する方法、細胞形状及び全体的細胞内組織、例えば細胞区画の分布、中心体センタリング、紡錘体配向、内部区画化及び内部輸送を研究する方法、細胞形状、全体的組織及び/又は機能を改変する、例えば高めるか又は抑制する関心のある化合物をスクリーニングする方法に関する。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明に従うアプローチは、凸状にされるべきそして隣接細胞の移動を阻止する隣接細胞との特殊化された接触に対する細胞内区画のありふれた分布を示すべき大抵の動物組織からの細胞の性質に基づいている。
【0011】
実際に、組織における細胞−細胞相互作用又は細胞−ECM相互作用は、膜接着タンパク質の分離及び空間組織(spatial organization)を誘発する。細胞内構造及び組織はこれらの境界条件に関連している。シグナリングカスケードは、周囲受容体(peripheral receptors)からのみならず接着部位における機械的刺激からの細胞活性を制御する。いかなる瞬間(moment)でも、細胞の接着パターンは、形質膜構造及び組成を制御する細胞活性と、環境の拘束に対する細胞動力学的応答との相互作用(cross-talk)の結果である。
【0012】
無限接着面における古典的培養条件では、フォーカルアドヒージョン(FA)又はフォーカル複合体(focal complexes)のような細胞接着構造は、非均一な方式においてであるけれども、基質(substrate)に対する「腹側」細胞接触区域('ventral' cell contact area)全体に分布している。細胞が接着複合体間に張力を発生させる能力は細胞の形状の重要なパラメーターであり、いかなる瞬間でも、細胞形状は、基本的に最も遠位の接着接触の凸状エンベロープ(convex emnvelope)に対応する。この性質は、細胞形状を制御するのに使用することができる。即ち、接着複合体の分布を制御することは、細胞の形状を非無限接着表面上にのみならず非連結表面上にさえも強いるのに十分である。
【0013】
この性質は、上皮細胞、例えば、小腸上皮細胞又は腎臓細胞で、それらの極性が培養条件(2つの区画室)により正規化されている場合に、ex vivoで観察することさえできる。しかしながら、高スループット分析のためのこのような培養条件の使用は限定される。
【0014】
繊維芽細胞についてのより生理学的なアプローチは、三次元コラーゲンゲル繊維中で細胞を成育させることである。しかしながら、高スループット分析のためのこのような培養条件の使用は限定される。
【0015】
高スループット分析に適合しうる別のアプローチは、二次元表面で可能な接触の限定されたパターンを提供することであり、即ち、この方法では、細胞が隣接細胞との限られた接触に応答して組織の細胞の挙動と同様な挙動をとるように強制することができる。
【0016】
カバースリップは均一なそして非生理学的環境を強いる無限の接着面であるので、正方形及び他の正多角形のようなマイクロパターン化された細胞サイズの表面は、細胞移動及び細胞組織に対する環境からの機械的拘束をまねることへの第一段階である。しかながら、これらの表面は、細胞平坦化(cell flattening)の程度を限定するにすぎない。それらは依然として細胞サイズに対して非常に大きい連結した接着表面を創り出し、これは、組織において細胞が隣接細胞と確立する限定された数の接触とは極めて異なり、細胞形質膜に対して背側('dorsal')及び腹側('ventral')ドメインを強いる。
【0017】
本発明者は、接着接触に対して牽引力の非等方性フィールドを及ぼすアクチンネットワークをアセンブルすることにより、細胞が接着パターンのトポロジーを解釈することを始めて証明する。これは、有糸分裂の開始時に二極性紡錘体の配向を駆動する。ゆえに、開裂面を決定することができるのは、細胞形状ではなくて細胞接着である。
【0018】
本発明者は、細胞分裂の配向に順に影響を与える細胞の接着接触に応答して細胞が正確な規則を守ることを更に証明する。これらの接着接触は、位置の記憶を娘細胞にも伝える。彼等は、培養されている動物細胞の分裂軸を信頼性を持って制御するための接着マイクロパターン化を使用する最初の装置を報告する。好ましくは、自動化された監視にカップリングされていると、それは高スループットスクリーニングにおいて細胞有糸分裂プロセス及びその摂動(perturbation)を分析するために相当価値があるはずである。
【0019】
本明細書で細胞内組織の接着制御(ACICO)と呼ばれる本発明の原理は、細胞が移動するのを阻止しそして中心体又はゴルジ装置のような異なる細胞小器官の位置が予測されうる細胞機械の再現性のある分極を可能とする、個々の細胞のための接着(固着(anchoring))表面のネットワーク(アレー又は格子)を創生することである。
【0020】
ネットワークの単位モチーフ又はパターンは、異方性接着表面である。この異方性接着表面は細胞分極をもたらす接着部位における不均衡(disequilibrium)を誘発する。更に詳しくは、好ましい異方性接着表面は、接着細胞の少なくとも一側が接着表面と接触するべきではないようなものである。接着部位における不均衡は、例えば、細胞輪郭において不均一に分布しているアクチンフィラメントにより観察されうる。この不均衡は、リトラクティング繊維付着(retracting fibers attachement)(RF)の数によっても観察されう。例えば、2つのみのRFs付着の存在は優れた細胞分極をもたらす。異方性接着表面は、パターンの対称エレメントの数を限定しそしてそれらのそれぞれの重量をバイアスすることによりデザインすることができる。好ましくは、本発明に従う接着パターンは1又は2つの対称軸、更に好ましくは、1つのみの対称軸を有する。
【0021】
本発明に従う好ましい異方性接着表面は、凹状又は中空接着表面であり、即ち、その凸状エンベロープは、大きな非接着区域にもかかわらず個々の細胞のキャスティング表面を強いるであろう。細胞がこれらのパターン上で安定化されると、基質との各個々の細胞の接着接触の限定された数及び、凹状又は中空のモチーフに従うこれらの接触の分布は、細胞機械の再現可能な分極を誘発する。本願では、「凹状接着パターン」という用語は、凸状エンベロープを与える接着パターンを指し、該エンベロープは少なくとも5%、好ましくは10、20又は30%の非接着区域を含む。「凸状エンベロープ」とは、接着パターンを含有する最小凸状多角形(minimul convex polygon)を意図する。
【0022】
本発明の別のそしてより少なく好ましい態様では、接着パターンは、細胞の長化(lengthening)をもたらす。実際、細胞の長化は、細胞を分極させることができる。このパターンは、0.6未満、好ましくは0.5未満、更に好ましくは0.4未満の輪郭形状係数(SF)をもたらすか又は形状係数(shape factor)を与える。好ましい態様では、該接着パターンは、長く細い接着区域、例えば、長方形区域等である。形状係数は、細胞輪郭又は接着区域のエンベロープに適合した(fitted)楕円の短軸と長軸の比である。この態様に従う長いそして細い接着区域は長方形、菱形又は十字のような種々の形態を有することができる。
【0023】
本発明は、少なくとも1つの細胞を、好ましくは特定のそして所定のテンプレートにおいて、細胞内組織の制御された分極で接着させる装置であって、
表面を規定するプレートと、
該表面上の少なくとも1つの異方性接着パターン、
を含み、
該パターンのサイズは、1個のみの個々の細胞が該パターンにおいて細胞内組織の制御された分極で接着することができるようなものであり、そして
異方性接着パターンは凹状接着パターン又は0.6未満の形状係数を有する長く且つ細い接着区域である、
装置に関する。
【0024】
好ましくは、該装置は、細胞が接着しない細胞非親和性領域(cytophobic regions)により互いに隔離された複数の接着パターンを含む。更に詳しくは、該装置は、少なくとも2つの接着パターン、好ましくは、少なくとも5、10、100、1000、10000又は100000の接着パターンを含む。好ましい態様では、該装置は、10〜50000接着パターン/cm2、更に好ましくは5000〜15000接着パターン/cm2、なお更に好ましくは約10000接着パターン/cm2を含む。
【0025】
本発明に従えば、接着パターンの形態は、細胞機械の再現可能な分極を可能とする。最も好ましい態様では、該異方性接着パターンは凹状接着パターンである。より少なく好ましい態様では、該接着パターンは、0.6未満、好ましくは0.5未満、更に好ましくは0.4未満である輪郭形状係数(SF)を有する、細胞の長化ことを誘発する長く且つ細い接着パターンである。
【0026】
細胞親和性アイランド(island)は、好ましくは非接着区域を伴なう凹状接着パターンを含む。例えば、接着表面は、下記の文字:C、L、U、Vの形態を有することができる。最も好ましい態様では、凹状接着パターンは[L]形態を有する。
【0027】
凹状接着パターンにより内接された表面(inscribed surface)は、接着区域及び非接着区域を含み、そして該凹状接着パターンの凸状エンベロープは、好ましくは1つ以上の接着区域、更に特定的には1つ以上の接着線又は曲線を含む。本発明の特定の態様では、凹状接着表面の凸状エンベロープは多角形である。好ましくは、該多角形は少なくとも1つの接着縁(adhesive edge)も含む。該多角形は、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、十一角形、十二角形、十五角形又は二十角形であることができる。
【0028】
例えば、多角形は、1つ以上の接着縁及び場合により、1つ以上の接着コーナー(adhesive corner)からなる。接着パターンの例は、図2D、2E、2G、2H及び5にも示されている。
【0029】
多角形が三角形であるならば、多角形は、例えば、1つの接着縁及び1つの接着コーナー(即ち、「バー(bar)+ドット(dot)」形態)又は2つの接着縁(例えば、[L]形態)を有することができる。
【0030】
多角形が四角形であるならば、多角形は、例えば、
1つの接着縁と2つの接着コーナー(即ち、[バー+2ドット]形態)、
2つの非連続接着縁(例えば、「ツインバー」形態)、
2つの連続した接着縁と1つの接着コーナー(例えば、「L+ドット」形態、及び
3つの連続した接着縁、
を有することができる。
【0031】
該四角形は正四角形又は非正四角形であることができる。それは、例えば、正四角形、長方形、菱形及び台形からなる群より選ばれることができる。
【0032】
好ましい態様では、該多角形は三角形である。更に詳しくは、該三角形は、2つの接着縁を有する。好ましくは、2つの接着縁間の角度は、30°〜150°、更に好ましくは、60〜120°、なお更に好ましくは、約90°である。好ましくは、2つの縁の長さ比は、0.1〜1、更に好ましくは0.3〜1、なお 更に好ましくは、0.5〜1である。有糸分裂における細胞の分析のために、2つの縁の長さ比は好ましくは約1である。間期における細胞の分析のために、2つの縁の長さ比は、1未満であり、更に好ましくは、0.3〜0.8である。
【0033】
接着パターンは、単一の連結した接着表面(single connected adhesive surfaces)及び/又は非連結の接着表面(non-connected adhesive surfaces)から形成されうる。特定の態様では、接着パターンは、単一の連結した接着表面又はいくつかの非連結接着表面から形成されうる。「単一の連結した接着表面」とは、好ましくは、切れ目のない線又は曲線を意図する。「非連結の接着表面」とは、好ましくは、点線若しくは長点線又は点曲線若しくは長点曲線、あるいは分離した点又は区域を意図する。好ましい態様では、接着パターンは、線、曲線及び点から選ばれる接着エレメントの組み合わせからなる。
【0034】
接着点、接着線、接着曲線又は接着縁の幅は、好ましくは、0.1〜10μm、更に好ましくは、1〜5μm、なお更に好ましくは、約4μmである。
【0035】
好ましい態様では、接着パターンにより内接された表面は、主として非接着性であり、好ましくは本質的に非接着性である。更に好ましくは、接着パターンにより内接された表面は、完全に非接着性である。場合により、接着パターンによりに内接された表面の75%は、非接着性であり、好ましくは、90%、更に好ましくは95%、なお更に好ましくは99%が非接着性である。
【0036】
好ましくは、接着パターンの凸状エンベロープの接着区域と非接着区域の比は、細胞平坦化と最も低く合致している。例えば、該比は、10〜90%、好ましくは、20〜80%、なお更に好ましくは、30〜70%である。
【0037】
接着パターンのサイズは、個々の細胞がそれに接着することができるようなサイズである。好ましくは、接着パターンのサイズは、1つの単一の細胞(one single cell)が広がり(spread)そして分裂することができるが、細胞運動を制限されているようなサイズである。好ましくは、接着パターンの凸状エンベロープの面積は、1〜2,500μm2、更に好ましくは、1〜1,000μm2、なお更に好ましくは、1〜500μm2 又は500〜900μm2である。接着パターンのサイズは細胞型に依存する。
【0038】
プレートの表面は、複数の離れた接着パターン(discrete adhesive patterns)を含み、その各々は、所定の幾何学的テンプレートにおいて配列された個々の細胞の接着を促進し、その際接着パターンは細胞の接着を促進しない細胞非親和性領域によりお互いに隔離されている。細胞非親和性領域は、該接着パターンに接着した細胞が互いに接触するのを阻止するのに十分に広い。好ましくは、ネットワークのメッシユは2つの細胞直径より大きい。好ましくは、接着パターンは、少なくとも10μm、好ましくは、少なくとも20、30又は50μm分離されている。
【0039】
接着パターンは、細胞付着を促進する分子を含む。これらの分子は、当業者には周知であり、そして抗原、抗体、細胞接着分子、細胞外マトリックス分子、例えば、ラミニン、フィブロネクチン、合成ペプチド、炭水化物等を含む。好ましくは、該接着パターンは、細胞外マトリックス分子、更に好ましくはフィブロネクチンを含む。
【0040】
非接着表面は不活性表面である。適切な不活性表面は、オリゴ又はポリ(エチレングリコール)の誘導体により覆われた表面である。
【0041】
プレートは、共焦点顕微鏡、光学顕微鏡及び/又は蛍光顕微鏡のための便利な支持体である。更に好ましい態様では、プレートは、ガラス、好ましくは、シラン化されたガラスである。例えば、本発明に従う便利なブレートはカバースリップ又はスライドである。
【0042】
本発明に従う装置は、各群が異なる培地においてインキュベーションされうるようにお互いに分離された同じプレート上の接着パターンのいくつかの群を含むことができる。例えば、ある群の接着パターンを試験化合物と接触させることができそして他の群を他の試験化合物と接触させることができるか又はいかなる試験化合物とも接触させないでいることができる。この分離は、テフロン(登録商標)シールの如き物理的バリヤーにより与えられうる。例えば、SPI SppliesのSPI Teflon(登録商標)を、AnameのTeflon(登録商標)Printed Slideを参照。
【0043】
接着パターン及び細胞非親和性領域を有する本発明に従う装置は、マイクロパターン化、好ましくは、マイクロコンタクトパターン化(microcontact patterning)により形成される。標準方法は、当業者により周知である。概説として、Whitesides et al(Annu. Rev. Biomed. Eng., 2001,p. 335-373, 更に詳しくは、p. 341-345)。
【0044】
本発明は、本発明に従う装置を製造する方法であって、
少なくとも1つの接着パターンを有するマスターテンプレートを作成すること、
該マスターテンプレートからスタンプを作成すること、
該スタンプを細胞付着を促進する分子でインキ付けすること、
該インキ付けされたスタンプをプレートと接触させること、
プレートの印刷されていない表面を細胞非親和性にすること、
を含む方法に関する。
【0045】
好ましくは、接着パターンがデザインされているマスクを通して紫外線で照射することによりフォトレジスト層でコーティングされたシリコンウエーハからマスターテンプレートを製造する。スタンプは、好ましくは、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)又は他のシロキサンをベースとするポリマーである。好ましくは、プレートの印刷されなかった表面は不活性材料、例えば、ポリエチレングリコールとのインキュベーションにより細胞非親和性にされる。
【0046】
本発明に従うプレートの製造の特定の例は、実施例の節で詳しく述べる。
【0047】
マイクロパターン化は、ミクロンスケールで細胞位置の正確な制御を可能とする。いかなる金又は他の金属コーティングもないガラスカバースリップの使用は、すべての光学的像形成技術、特にビデオ顕微鏡のための倒立顕微鏡でのエピフルオレッセンス(epifluorescence)に適合しうる。多くの四次元取得の自動化(低速撮影における三次元)は非常に容易である:モーター付きXYステージを使用して、最初の細胞のXY位置のみを記録しさえすればよい。何故ならば、すべての他の細胞は既知の繰り返し翻訳(iterative translation)により最初の細胞から推定することができるからである。セラミック圧電デバイス上の100倍対物は三次元スタック取得(3D stack acquisition)を非常に速くする。ガラスカバースリップ及びマイクロパターン化は、エピフルオレッセンス及び透過光を使用して高い倍率で高スループット三次元細胞スクリーニングを行なうことを可能とする。細胞が播種の前に同期化されるとき、必要なだけ多くの細胞の観察を合計することにより「平均細胞」の記述を得ることができる。それは、細胞組織又は挙動の非常に正確な説明を与える。何故ならば、細胞は同一ではないとしても非常に類似しているからである。このような「平均細胞」の記述から、その不活性化によりその機能が損なわれる特定の細胞機能又は遺伝子に対する活性な薬物をスクリーニングするための適当な閾値を定めることができる。
【0048】
したがって、本発明は、更に、時の経過と共に及び細胞分裂の正確な瞬間に細胞の位置及び配向を検出するための自動化された分析方法を含む。この方法は、
a)ブレート上の接着パターンの位置を同定すること、
b)細胞像をいくつかの同定されたパターンについていくつかの時間に記録すること、
c)細胞像からの細胞輪郭に楕円を適合させること、
d)分裂時間を検出しそして関心のあるパラメーターを決定すること、
を含む。
【0049】
好ましい態様では、この方法は、工程d)において細胞の丸化(rounding)(下記するとおり)を計算する工程を含む。時間に従う丸化の進展は、細胞分裂の瞬間及び紡錘体配向の決定を可能とする。好ましくは、紡錘体配向は、長化期(lengthening phase)期間中に決定される。
【0050】
更に詳しくは、この方法は、
1−蛍光を使用してプレート上の接着パターンの位置を同定すること、
2−いくつかの同定されたパターンについていくつかの時間に位相コントラスト像(透過光)を記録すること、
3−好ましくは、ウエーブレット分解(wavelet decomposition)により位相コントラスト像をセグメント化すること、
4−セグメント化された像に楕円を適合させること、
5−分裂時間を検出しそして関心のあるパラメーターを決定すること、
を含む。
【0051】
工程1レンズに従って、いくつかの接着パターンを含む種々の長方形区域(フィールド)を観察する。接着パターン検出は好ましくは二次元フーリエ変換による相関分析により行なわれる。
【0052】
工程2では、接着パターンの検出された位置を使用して、異なるフィールドでそして各接着パターンについて時間シーケンス(時間に従う二次元像)を記録する。像は位相コントラスト像(透過光)である。この段階で、細胞がパターン上に接着しているかどうかを決定することが可能である。
【0053】
工程3では、細胞をバックグラウンドから分離するために、細胞をセグメント化する。このセグメント化は、ウエーブレット分解変換(wavelet decomposition transform)により行なうことができる。ウエーブレット分解変換は、最初の像に存在する詳細の一部のみを保つことを可能とする。ゆえに、(バックグラウンドノイズとみなされうる)あまりにも小さすぎる詳細又は(バックグラウンドノイズのばらつきとみなされうる)あまりにも太すぎる詳細は除去される。得られた像において、バックグラウンドに同化された画素の物理的構造に同化された画素を分離するための閾値が使用される。検出された構造のセグメント化のアルゴリズムを使用して細胞を表す関連した構造の範囲を定める。
【0054】
段階4では、主な成分分析により各セグメント化された細胞上に楕円を適合させる(かくして平均二次誤差を最小化する)。かくして、像の時間シーケンス(temporal sequence)は、セグメント化された構造の塊の中心に中心を有する楕円の組と適合性であり、楕円の形態(短軸及び長軸)及び楕円の配向は、細胞の形態をできるかぎり再現する。形態パラメーターの1つは楕円の短軸と長軸との比である丸化(rounding)(SF)である。例えば、楕円が円であるときは、丸化は1でありそして楕円がライン(ligne)であるときは、丸化は0である。配向パラメーターは、長軸と水平基準若しくは垂直基準との間の角度である。実際に、長化段階期間中の楕円の長軸の配向は、紡錘体配向と同じであると推測することができる。
【0055】
工程5において、細胞の丸化の時間分析は、細胞分裂の時の自動化された検出を可能とする。細胞サイクルの異なる段階は、形態パラメーターの特定の挙動を誘発する。有糸分裂期間中、細胞は丸くなる(丸化殆ど1)。次いで、後期において、細胞は突然長くなる(丸化は急速に減少する)。丸化期(rounding phase)を長化期(lengthening phase)から分離する正確な時を見つけるための探索をする。ゆえに、各時間tについて、少ない最後の瞬間(few last momnt)(例えばt−6〜t−1)が第1閾値(丸化期に特異的な)より全般に高いかどうかを試験し、次いで少ない未来の瞬間(few future moments)(例えばt+1〜t+5)が第2閾値(丸化期に特異的な)より全般に低いかどうかを試験する。これらの2つの条件が肯定されれば、瞬間Tは後期の開始を規定すると考える。更に詳細については、図1及び実施例1を参照されたい。
【0056】
この自動化された方法は、高容積のデータを処理することを可能とし、故に統計的分析を行なうことを可能とする。更に、時間に従う及び細胞分裂期間中の細胞の形態分析はより再現性があり、故に信頼性のある結果をもたらす。
【0057】
関心のあるパラメーターは、有糸分裂期間、有糸分裂へのエントリー期の期間(G2有糸分裂移行期)、有糸分裂終期の期間(急に又は徐々に)又は及び紡錘体配向の配向からなる群より選ばれる。紡錘体配向は決定されたパラメーターの中でも1つの非常に興味深い面である。
【0058】
本発明に従う装置は、細胞培養、細胞数測定、毒物学、薬物スクリーニング、細胞の固定化を含む基本的及び応用研究分野の両方において、広い範囲の細胞生物学において有用でありうる。この装置は、細胞の形状、全体的内部組織、内部輸送及びいくらかの細胞の細胞内機能、好ましくは有糸分裂を研究するのに十分適切である。
【0059】
ゆえに、本発明は、表面で又は表面の培地において少なくとも1つの細胞を培養する方法であって、
表面を規定するプレート及び本発明に従う少なくとも1つの接着パターン、好ましくは本発明に従う装置を提供すること、そして
該接着パターン(1つ又は複数)上で又は該接着パターン(1つ又は複数)上の培地中で細胞を培養すること、
を含む方法に関する。
【0060】
培地は、細胞培養のための便利ないかなる培地であってもよい。例えば、培地は、10%子ウシ血清、1%ペニシリン及びストレプトマイシン並びに1%グルタミンを有するダルベッコの改変イーグル培地(Dulbecco Modified Eagle Medium)であることができる。
【0061】
本発明は、表面で少なくとも1つの細胞を固定化する方法であって、
表面を規定するプレート及び本発明に従う少なくとも1つの接着パターン、好ましくは本発明に従う装置を提供すること、そして
該プレートを、少なくとも1つの細胞に、該細胞が該接着パターンに結合することを可能とするのに十分な時間の期間さらすこと、
を含む方法にも関する。
【0062】
本発明は、更に、細胞の形状、全体的細胞内組織及び/又は機能を研究する方法であって、
− 表面を規定するプレート及び本発明に従う少なくとも1つの接着パターン、好ましくは本発明に従う装置を提供すること、
− 該接着パターンを、少なくとも1つの細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
− 該細胞を該接着パターン上で成育させること、そして
− 該細胞の形状、全体的細胞内組織、有糸分裂及び/又は機能を観察すること、
を含む方法に関する。
【0063】
特定の態様では、全体的細胞組織は、中心体位置、ゴルジ装置構造(即ち、CGN及びTGN)、ビンキュリン、アクチン(例えば、アクチンフィラメントの空間分布)及び/又はチューブリンのネットワーク、分子の内部輸送又は紡錘体配向により評価されるが、それらに限定はされない。
【0064】
他の態様では、この方法は、該細胞の自動化された分析であって、このような分析用にデザインされたアルゴリズムを使用する特定のソフトウエアを含む像解析機を使用する分析を含む。更に詳しくは、特定のソフトウエアは、上記の自動化された方法を行うことを可能とする。
【0065】
いかなる種類の細胞も本発明で使用することができる。好ましくは、細胞は真核細胞である。細胞は、動物、哺乳動物、ヒト又は植物由来のものであることができる。細胞は、例えば、繊維芽細胞、及び造血細胞、内皮細胞及び上皮細胞であることができる。細胞は、健康な若しくは病気の組織又は器官に由来することができる。細胞は、野生型又は改変された細胞であることができる。特定の例では、細胞は腫瘍細胞であることができる。例えば、遺伝子を不活性化させることができ、そしてこれらの方法は、細胞形状、分子の細胞内輸送、全体的内部組織、区画化、紡錘体形成又は配向等に関与する遺伝子を同定することを可能とする。
【0066】
本発明は、更に、細胞が紡錘体の間違った配向(spindle misorientation)に関連した形質転換された表現型を有するかどうかを決定する方法に関する。それは、細胞ががん細胞であるかどうかを決定するための興味ある基準であることができる。この方法は、
表面を規定するプレート及び本発明に従う少なくとも1つの接着パターン、好ましくは本発明に従う装置を提供すること、
該接着パターンを試験すべき細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
該試験すべき細胞を該接着パターン上で成育させること、そして
各細胞の紡錘体配向を決定し、そして異なる細胞の紡錘体配向を比較すること、
その際、大きな紡錘体配向分散は、試験された細胞が紡錘体の間違った配向に関連した形質転換された表現型を有することを示す、
ことを含むことができる。
【0067】
大きな紡錘体配向分散は、正常な細胞の紡錘体配向分散と比較して評価される。好ましくは、大きな紡錘体配向分散は、少なくとも20°、更に好ましくは少なくとも30、40又は50°の角度変動である。
【0068】
本発明は、細胞形状、細胞の全体的内部組織、有糸分裂又は細胞の機能を改変する関心のある化合物をスクリーニングするための本発明に従う装置の使用に関する。本発明は、細胞形状、細胞の全体的内部組織、有糸分裂又は細胞の機能に関与する関心のある遺伝子を同定するための本発明に従う装置の使用にも関する。本発明は、更に、細胞が紡錘体の適切な配向を制御するその能力を失っているかどうかを決定するための本発明に従う装置の使用に関する。
【0069】
本発明は、更に、本発明に従う装置を使用して関心のある化合物をスクリーニングする方法に関する。実際に、この装置は、高スループットスクリーニングを可能とする。何故ならば、細胞の形状及び全体的内部組織は再現可能でありそして凹凸であり(rugged)そして結果の記録を自動化することができるからである。この装置は、細胞形状、細胞の全体的内部組織又は細胞の機能に対する試験化合物の効果を観察することを可能とする。
【0070】
更に詳しくは、本発明は、生物学的に活性な化合物を選択する方法であって、
本発明に従う装置を提供すること、
該接着パターンを少なくとも1つの細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
試験化合物を該細胞と接触させ、そして
該胞の形状、全体的細胞内組織、有糸分裂及び/又は機能を観察すること、
を含む。
【0071】
スクリーニング方法の別の態様では、細胞を、試験化合物と接触させる前に接着パターン上で成育させることができる。かくして、細胞の存在している形状及び組織に対する化合物の効果を評価することが可能でありうる。
【0072】
好ましくは、この方法は、該細胞の形状、全体的細胞内組織及び/又は機能を、該試験化合物により接触されていない細胞と比較する追加の工程を含む。場合により、該コントロール細胞は、既知の効果を有する基準化合物と接触させることができる。
【0073】
試験化合物は、種々の起源、性質及び組成であることができる。それは、単離されているか又は他の物質との混合物における、いかなる有機又は無機化合物、例えば、脂質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、低分子等であってもよい。例えば、試験化合物は
抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はRNAiであることができる。化合物は、例えば、生成物の組み合わせライブラリー(combinatorial library)のすべて又は一部であることができる。
【0074】
例えば、関心のある化合物は、有糸分裂又は細胞移動を抑制若しくはブロックする化合物又はアポトーシスを誘発する化合物であることができる。これらの化合物は、がんの処置に有用である。
【0075】
分裂していない細胞において又は分裂している細胞の間期において
細胞の下の非接着区域の存在は、接着構造及びアクチンフィラメントの再現可能な細胞型特異的分布を誘発する。細胞骨格の異なる成分間の永久相互作用の故に、FA(フォーカルアドヒージョン)の局在化は、アクチンが重合する膜突起並びに微小管が核形成される中心体の位置を含む、微小管ネットワークの動力学的組織に影響を与える。古典的には中心体の付近に局在化しているタンパク質輸送の中心における全体のゴルジ構造は、古典的培養条件において観察されたように局所的にのみならず、全体の細胞小器官レベルで、 全体的に、CGN(シスゴルジ網)からTGN(トランスゴルジ網)に分極される。ゴルジ装置は、もはや細胞平坦化により変形されないで、中心体の周りの種々の区画の同心的組織を示す。これは、細胞毎のゴルジ構造又は活性の容易な比較を可能とする。同様に、中心体の位置に対する、少しの効果であるとしても、効果を有する薬物又は遺伝子を探索することは非常に容易であり、これに対して、古典的な培養条件でそれを行なうことは不可能ではないとしても極めて困難である。
【0076】
細胞分裂及び有糸分裂紡錘体配向
紡錘体軸の極めて制御された配向を得ることができる。中期面(metaphase plane)の配向及び細胞質分裂期間中の娘細胞間の張力は、提唱された接着パターンにより極めて正確に誘発される。かくして、細胞分裂は、個々の細胞間の、及びコントロール細胞又は形質転換された細胞の細胞型間の、正確なそして定量的比較を可能とする方法で空間及び時間的に制御される。それは、特に薬物効果の評価に特に便利であるが、遺伝子不活性化分析にも十分に使用することができる。
【0077】
本発明の更なる観点及び利点を下記の実験の節で開示するが、これらは、本願を説明す
るものとみなすべきでありそして本願の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0078】
実施例
実施例1
マイクロパターン製造
マイクロコンタクトプリンティングは完全に記述された方法である(Whitesides et al , Annu. Rev. Biomed. Eng., 2001, p 335-373)。我々は、Dr. A. Pepniにより記載された方法(Pepin, A., Chen, Y., in Alternative lithography(ed. Sotomayor Torres C.M.)305-330, Boston/Dordrecht/London,2003)を使用してポリ−ジメチルシロキサン(Sylgard, Dow Corning)スタンプを作成した。我々が使用したガラスカバースリップ処理は、Dr P. Nassory(Cuvelier et al. Eur. Biophys.J.32, 342-354(2003))により開発された。スタンプを50μg/mLフィブロネクチン溶液、(その10%はCy3で標識されている(Amersham Bioscience)で5分間インキ付けし、乾燥しそしてシラン化されたカバースリップと5分間接触させた。スタンプの除去の後、ブリントされたカバースリップを、20mg/mLマレイミド−ポリ(エチレングリコール)、PEG−mal(Nektar Therapeutics)を含有するPBS中に室温で1時間浸漬させた。次いでカバースリップをPBSで穏やかに洗浄して細胞付着の準備ができた。
【0079】
細胞培養及び付着
セントリン1−GFPを安定に発現するHeLa、ヒト上皮細胞(Piel et al. J.Cell Biol. 149, 317-329(2000))を、37℃で10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリン及びストレプトマイシン及び1%グルタミンを有するダルベッコの改変したイーグル培地中で培養した。細胞を二重チミジンブロックを使用して同期化し、次いで37℃で10分間、VERSENを使用してそれらのフラスコから除去した。遠心によりVERSENを除去した後、細胞を1%FCSを有するDMEM培地中に再懸濁させそして104個の細胞/cm2の密度でプリントされたカバースリップ上に付着させた。
【0080】
固定及び染色
有糸分裂前の細胞(premitotic cells)を細胞骨格緩衝液(CB)中で0.5%TritonX−100で2分間透過性を上げ(permealised)(Mitchison. Cell Motil. Cytoskeleton 22, 135-151(1992))、次いでCB中のパラホルムアルデヒド4%中で20分間固定しそして塩化アンモニウム0.1Mで10分間処理した。リトラクティング繊維(retracting fibers)を保存するMitchison(1992)により記載された方法を使用して、中期の細胞を固定した。ファロイジン−FITC及びDAPIを使用してアクチン及びDNAを染色した。ビンキュリンを、DR M.Glukhovaにより提供された第一マウス抗体及び第二Cy5−コンジュゲーテッドヤギ抗マウス抗体(Jackson Immunoreseach)により免疫標識した。
【0081】
ビデオ顕微鏡法
本発明者は、pH=7.4でCO2緩衝化を可能とする多孔性膜により覆われたプリントされたガラスカバースリップを保持する手製のプラスチックセルチャンバーと組み合わせた、加熱式でモーターを備えたステージを有する倒立式Leica DMIRBE顕微鏡を使用した。像取得のためのメタモルフソフトウエア(Universal Imaging)を使用した。10倍倍率の対物により3分毎に1つの写真のフレーム速度でマルチフィールド取得(multi-field acquisition)で低速撮影位相コントラストを使用して、多数の細胞分裂を追跡した。グリーンフィルターを通す蛍光Z取得(fluorescent Z acquisition)及び5分毎の細胞底部の位相コントラスト写真を使用して、63倍アポクロマート対物レンズ(Leica)により有糸分裂期間中の中心体運動を追跡した。
【0082】
ビデオ分析及びプロセッシング
ソフトウエアを開発した。このソフトウエアは、フィールド内の単一蛍光マイクロパターンを自動的に認識することができそしてそれに付着した単一の細胞の存在を検出することができた。個々の細胞分裂を10倍位相コントラスト低速撮影記録から抽出し、すべての写真をウエーブレット分解を使用して自動的にセグメント化しそして楕円と適合させた(図1b)。楕円長さ比として定義された形状係数が0.9より大から0.6未満まで突然低下した(図1c)ので、後期の細胞伸長の時を正確に検出した。次いで、紡錘体配向に対応する楕円の長軸と図2に示されたとおりに配向されたパターンの鉛直基準との間の角度を記録した。 パターンに対する丸い有糸分裂細胞の中心の位置も後期の6分前に自動的に記録された。方法の節内の字下げしたパラグラフでは>スタイルタグ。
【0083】
制御された接着に対する細胞分裂軸
この目標を達成するために、本発明者は、マイクロコンタクトプリンティング、標準マイクロパターン技術を使用して、HeLa細胞が接着形状上に接着しそして分裂する能力を制御した。1つの単一細胞が広がりそして分裂することができるが細胞運動を制限されている600〜900μm2の範囲のパターンカバー区域をデザインした。二重チミジンブロックに従って、G2細胞をフィブロネクチンマイクロパターン上に播種しそして細胞分裂をビデオ記録した。自動化された多数のツールを開発して記録されたフイールドにおける各マイクロパターンを検出しそしてそれに付着した単一細胞の存在を検出した(図1)。後期開始時の細胞伸長の配向として採用された紡錘体配向及び丸い有糸分裂細胞中心の位置を自動的に記録した(方法参照)。この処理は、より多数の細胞分裂の迅速な分析を可能とする。
【0084】
完全に接着性のマイクロパターン
このアプローチの有効性は、同様な区域のマイクロパターン上の有糸分裂前の形状係数と有糸分裂紡錘体配向との相関を観察することによっても確かめられた。細胞を長方形(11.5μm×55μm=630μm2、輪郭SF=0.3、円盤(直径=29μm、660μm2、輪郭SF=1)及び直角二等辺三角形(縁長さ=32μm、580μm2、輪郭SF=0.6)接着パターン上にプレートした。長方形パターン上に成育させた細胞の大多数(図2A)は最も長い軸に沿って整列した有糸分裂紡錘体を有し、その際総計69%は15°より少ない角度偏差を有する。ディスク上にプレートされた細胞の有糸分裂紡錘体配向は、ランダムな分布を示した(図2B)。細胞を三角形パターン上に成育させると、分布は長方形パターン上に置けるより広いけれども、有糸分裂紡錘体は主として最も長い縁に平行に配向された(図2C)。
【0085】
接着部位の分布は、有糸分裂前の細胞においてビンキュリン含有構造を検査することにより決定された。接着部位はパターン(図4a〜c)の周囲に沿って主として見出され、円形パターンの境界に一様に分布している。しかしながら、長方形パターンでは、2つの最も長い縁の各端部で、1つの主要な接着部位が観察された。ビンキュリンの有意な蓄積が三角形形状の3つの頂点においても観察された。フィラメント状アクチン濃度は長方形形状の細胞の2つの長い縁及び、三角形形状の細胞の3つの縁に沿って高かったが、これに対してそれはディスク形状の細胞の周辺に沿って一様に分布していた。
【0086】
ゆえに、有糸分裂紡錘体配向は、接着に応答して間期G2細胞により発生されたビンキュリン−アクチン組織の全体的配向と相関すると思われた。紡錘体配向は、ビンキュリン−アクチン組織が一方向性であるときはより堅く拘束された。この相関において、細胞輪郭から細胞接着プロフィルを識別するために、細胞輪郭を破壊しないような異なる接着パターンをデザインしそして試験した。これらのバターンデザインは、細胞膜の制限された部分のみが隣接細胞との接着接触に関与している組織条件をまねることを試みた。
【0087】
周囲接着マイクロパターン
[L]及び[バー+ドット]マイクロパターンを、上記した直角二等辺三角形(縁長さ=32μm、面積=580μm2、輪郭SF=0.6)と同じ凸状エンベロープの接着区域及び非接着区域の相補的組み合わせ(complementary combinations)を与えるようにデザインした。すべての場合に、有糸分裂細胞は、斜辺を垂直に二等分する線上に中心を有していた。[L]上では、有糸分裂細胞は直角頂点の近くに隙間なく密集していた(図2D)。紡錘体は三角形の斜辺に平行な方向に整列された。角度分布は、より大きい形状係数にもかかわらず長方形で見出されたと同じように制限された。興味深いことに、[バー+ドット]上の有糸分裂細胞の平均位置は[L]上の平均位置とは有意に異なり、三角形の斜辺に近接している。際立っていることに、紡錘体配向もまた、[バー+ドット]上の斜辺に平行に、しかし二倍大きい角度分布で配向していた(図2E)。
【0088】
これらの結果は、有糸分裂紡錘体配向及び有糸分裂細胞位置決めを予測するのは、細胞形状よりはむしろ、細胞周囲における細胞接着の分布であることを証明する。間期細胞におけるビンキュリン及びフィラメント状アクチンの三角形分布は同様でありそして共通の細胞形状を反映するけれども、[L]及び[バー+ドット]パターンは、細胞接着−アクチンシステムの内部アセンブリーを案内した2つの異なる外部境界条件を与えた。ゆえに、非接着側に沿ったアクチン束は相当より太くそして、接着縁に沿ったそれよりも大きいビンキュリン−ポジティブフォーカルアドヒージョン(vinculin-positive focal adhesions)と会合していた。
【0089】
本発明者は、ビンキュリン−アクチンシステムを等しくなく分布させることにより細胞が接着パターンに応答し、かくして外部的に強いられた接着表面の対称性及び重量、下記に説明される性質を複製すると結論する。彼らは、これらの強いアクチン束は、区画及び他の細胞骨格ネットワークの細胞内分布をバイアスさせることができ、かくして細胞分裂及び紡錘体配向のための案内合図を与えることができると推理した。[L]上の細胞における有糸分裂装置は1つの主要な一方向性拘束により影響を受けるであろうが、これに対して[バー+ドット]上の細胞の有糸分裂装置は、[L]上と同じであるがより大きい変動性を有する平均配向をもたらす2つの主要な垂直な拘束に遭遇するであろう。注目すべきことに、両方の場合に、得られる拘束はマイクロパターン及び細胞内の唯一の対称面に垂直であり、この面は斜辺をニ等分する。
【0090】
細胞応答を案内するときに接着表面の空間的分布及び対称のそれぞれの役割を更に分析するために、1つより多くの対称面を有する形状を持った周囲パターンを検査した。これらのパターンは、正方形のテンプレートに基づいておりそして、4つの対称軸を有する中空正方形からなる[フレーム]パターン、1つのみの対称面を有する2つの垂直な接着縁及び2つの垂直な非接着縁からなる[L+ドット]パターン、1つは接着性であり、他方は接着性ではない対向する2つの縁の2つの対及び2つの対称軸からなる[ツイーンバー]パターンを含んでいた(図3F〜3H)。ビンキュリン−アクチン構造は、上記の如き挙動を示し、非接着縁に沿ったエレメントはより顕著であり、かくして接着表面の外部対称性及びバランスを細胞内に反映する(図3F〜3H)。
【0091】
[フレーム]パターン(縁長さ=29μm、面積=900μm2、輪郭SF=0.4)上では、G2細胞は縁に沿って4つの同等なビンキュリン−アクチンケーブルを有し(図2F)、そして有糸分裂紡錘体は、1つの対角線又は他方の対角線に沿って主として配向した(図3F)。縁に対して平行よりはむしろこの優先的な対角線配向は、紡錘体が間期細胞骨格の4つの成分を足し合わせてそれ自体配向する、プロセスを明白に示唆する。興味深いことに、フレームと同じ対称軸を有する[十字]のような非周囲パターンは、ビンキュリン−アクチン構造内の同様なバランス(図3I)及び紡錘体配向分布(図2I)を示す。[L+ドット]を使用して1つの対称面に減少させることにより、紡錘体は、これに垂直に整列しそして有糸分裂細胞位置の分布は接着バーコーナーに向けでシフトした(図2G)。
【0092】
興味深いことに、[ツインバー]を使用して2つの対称面を有することにより、紡錘体は主として1つのみの軸に沿って配向された(図2H)。この軸は、2つの最も強いビンキュリン−アクチン構造に対応する、非接着縁に平行であり(図3H)そして長い細胞軸から45°であった。第2対称面に垂直な配向はまれであった。これらの結果は、接着分布内のアンバランスは紡錘体配向のプロセスに統合されそして他の幾何学的パラメーターを乗り越える(override)ことができることを証明する。
【0093】
最後に、接着パターンの対称エレメントの数を減少させること又はそれらのそれぞれの重量をバイアスすることにより紡錘体配向を指向させることができる。細胞輪郭により規定された長い軸は、決定的に重要ではなくそして実験的に乗り越されうる。細胞は、外部接着条件の対称性及びバランスを内部的に解釈しそして、これは紡錘体配向を案内すると思われる。
【0094】
有糸分裂細胞中心の位置がパターンによりいかに制御されるか? 有糸分裂細胞の丸化(rounding)は、細胞リトラクション(cell retraction)で始まる(Mitchison,1992; Cramer and Mitchison. Mol. Biol. Cell 8, 109-119, 1997)。本発明者は、アクチンケーブルがより豊富な非接着境界における細胞のふち(cell margins)は、最初にリトラクションしそして第一RFsは対応する細胞頂点に現れることを観察した。次いで、接着パターンとの接触は、漸次にリトラクションされ、細胞体を接着区域に近い最終的に完全な丸形化(rounding-up)に導く。この機構は、[フレーム]の中心に近接して位置した有糸分裂細胞位置の広い分布を誘発し、これに対して、それは、[十字]上ではるかに多く濃厚であり、[L+ドット]上では接着コーナーに向けてシフトされ、そして[ツインバー]上では接着区域に向けて伸長される(図2における分布参照)。興味深いことに、丸い細胞体の再終位置がなんであれ、RFsは全体のパターンへの連結を維持し(図2右欄参照)、そうして紡錘体配向に影響を与えると思われる。これは、紡錘体形成と細胞リトラクションとの間の時間的相関の重要な問題を提起する。
【0095】
有糸分裂細胞丸化、中心体分離及び紡錘体アセンブリー
娘中心体の分離は、しばしば有糸分裂の開始とみなされる。この事象がいかに細胞丸化と相関しているかは明らかには知られていない。例えば、中心体分離は、細胞丸化の前に前中期においてしばしば起こることが報告された。本発明者は、この観点を、無限接着基質上で移動する細胞及び[L]パターン上に固定化された細胞において再調査した。図4Aに示されたとおり、中心体の分離は両条件において顕著に異なっていた。移動している細胞では、中心体分離は、よりしばしば細胞丸化より先行し、そしてこれらの事象間に要した時間は細胞間で変わった。[L]上に固定化された細胞では、中心体分離の開始は、細胞丸化と密接に同期化されている(図4B)。核膜がまだ存在している間に中心体は分離し、そして細胞丸化期間中に起こる核膜崩壊(nuclear envelope breakdown)(細胞質セントリン−GFPの再分布によりモニターされた)後にのみそれらの最終位置に到達した。
【0096】
有糸分裂前のアクチンネットワークが有糸分裂皮質リトラクション(mitotic cortical retraction)期間中にリモデリングされる機構及び アクチンに富んだリトラクション繊維(retraction fibers)の相関的形成は、完全には理解されていない。正しく配向されるために紡錘体アセンブリーがアクチンネットワークのリモデリング期間中に起こらなければならなかったがどうかをアドレスするために、中心体は、有糸分裂前の細胞を10−7Mノコダゾールで1時間処理することにより[L]パターン上での細胞リトラクション期間中分離するのを阻止された。この処理は、分離していない中心体を有する中期において細胞をブロックしたが、細胞丸化をブロックしなかった。ノコダゾール洗浄の後に、中心体は分離しそして二極性紡錘体を形成した(図4C)。処理しなかった細胞の場合よりはるかに広いとしても、ノコダゾール洗浄後の紡錘体配向の分布は、三角形の斜辺に平行にまだ優先的に配向された(図4D)。これは、微小管の不存在下の有糸分裂細胞リトラクションが、まだ接着パターンに対して感受性である丸い細胞をもたらすことを示す。RFsは紡錘体配向を案内するための良好な候補である。何故ならば、それらはノコダゾール処理にもかかわらず維持されているからである。
【0097】
実際に本発明者の他の結果と同じく、RFsの分布は接着プロフィルに直接依存する。それらは、非接着区域にはほとんど存在しない。丸い細胞体上のそれらの付着ゾーンのそれぞれの配向は、紡錘体極の優先的配向に系統的に対応する(図2)。長方形、[L]及び[ツインバー]パターンは、すべて紡錘体配向に対する有効な拘束を与え、そしてRFsの2つの主要な対向する皮質付着ゾーンの形成を誘発した。これに対して、丸い細胞上の2つより多くの主要RFs付着ゾーンの形成を誘発したパターン([完全三角形]、[バー+ドット]、[フレーム]、[L+ドット])は紡錘体配向を制御するのにはるかに少ない有効性であった。例えば、[L]及び[L+ドット]パターン上における同様な有糸分裂細胞位置付けにもかかわらず、ドットにより誘発された追加のRFsは、紡錘体配向を不安定化するのに十分であった。RFsはそれらが張力下にあることを顕著に直接に示唆している。ゆえに、それらは、有糸分裂アクチン−ビンキュリン構造から紡錘体装置に必要な構造的及び生化学的情報を伝達することができると思われる。
【0098】
検討
本発明者は、有糸分裂細胞の位置及び細胞内の有糸分裂紡錘体の配向の両方共外部接着パターンに対して鋭敏に感受性であることを証明した。有糸分裂の開始時に二極性紡錘体の配向を駆動するのは、細胞の接着パターンへの応答、即ち、パターントポロジーによる 非等方性ネットワークへの接着繊維及びストレス繊維のコアセンブリー(co-assembly)である。フォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向は、細胞が基質に及ぼす牽引力に直接相関していることが示された。完全に接着性正方形マイクロパターン上では、これらの力は、ビンキュリンが蓄積する細胞頂点において事実上はるかにより強い。結果として、ビンキュリン−アクチンネットワーク以内の対称性及びアンバランスは、細胞−基質界面における力の分布の方向及び強度を反映する。実際に、アクチン細胞骨格のこのような優先的な配向は、接着細胞内の三次元異方性力場に最近相関させられた。次いで本発明の観察は、紡錘体軸は間期に発生した力場に沿って系統的に整列され、該力場はリトラクティング繊維の張力により有糸分裂期間中部分的に維持されうることを示唆する。この整列は、娘細胞の形成のため及び娘細胞が細胞牽引場を回復して細胞質分裂を完了させるための、牽引場に沿って染色体の移動のための熟練した安定な配置(configuration)を創り出す。実際に、これは、組織統合性を維持するための助けとなることができる。最後に、本発明のアプローチは、細胞牽引力の全体的組織と分裂軸との間の予想されなかった関連を示した。その再現性及び自動化は、細胞皮質との紡錘体相互作用に関与したシグナリングを前もって調査するのに価値あるであろう
【0099】
実施例2
材料及び方法
化学品
PDMS:Sylgard, Dow Corning, ref: 1673921, 184シリコーンエラストマーキット。
メルカプトシラン:Roth Sochiel, ref: SIM6476.0, 3メルカプト−プロピウルリメトキシシラン。
PEG-mal:Shear Water mPEG-MAL MW:5000,ref2D2MOH01。
フィブロネクチン:Sigma
トリプシン
【0100】
マイクロコンタクトプリンティングμCP
マスターテンプレートは、Whitesides et al(Annu. Rev. Biomed. Eng., 2001, p 335-373)により開発されそして完全に記載されたフォトリソグラフィー法を使用して作成された。簡単に言えば、フォトレジスト層でコーティングされたシリコーンウエーハを、パターンが電子ビームによりデザインされているクロムマスクを通して紫外線で照射した。エラストマーポリ(ジメチルシロキサン)、PDMS、スタンプをマスター上でキャストさせそして60℃で3時間硬化してマスターのネガティブ特徴を再現した。PDMSのスタンプを、エタノール70%中で2分間超音波処理しそして吹き込んだ空気で乾燥し、次いでエアプラズマ中で10秒間酸化しそしてタンパク質溶液、水中のフィブロネクチン50μg/mLで30分間インキ付けした。次いで溶液を吸引しそしてスタンプをろ過した空気で乾燥し、次いでシラン化されたカバースリップと15分間接触させた。カバースリップは、「ピラニア」溶液(30%H2O233%、70%H2SO496%)で10分間前もって酸化し、室温で3時間シラン処理し(10mLメタノール、86μL酢酸、450μL脱イオン水、212μLメルカプトシラン中)、メタノール中で洗浄しそして60℃で10分間乾燥した。スタンプの除去後に、プリントされたカバースリップを、PBS中のマレイミドポリ(エチレングリコール)、PEG−mal溶液10mg/mL中で室温で1時間インキュベーションした。次いで、カバースリップをPBS中で穏やかに洗浄しそして細胞付着(cell deposition)の準備が整った。
【0101】
細胞培養及び付着
細胞を、10%小ウシ血清、1%ペニシリン及びストレプトマイシン並びに1%グルタミンを有するダルベッコの改変イーグル培地中で37℃で培養した。細胞を加温されたPBSで洗浄しそしてそれらのフラスコからトリプシンで37℃で2分間除去した。遠心によりトリプシンを除去した後、細胞をできるだけ少ない血清でDMEM中に懸濁させそして約104細胞/cm2密度で印刷されたカバースリップ上に付着させた。30分未満後に、非接着細胞を除去した。1時間後に、細胞をそれらの拘束された形状において平衡化しそして固定又はビデオ顕微鏡法の準備を整えた。
【0102】
結果
フォーカルアドヒージョン及びアクチンネットワーク
低血清培地において、フォーカルアドヒージョンを接着パターンに厳密に制限した。細胞形状は、常に接着マイクロパターンの凸状エンベロープに対応していた。L形状マイクロパターンでは、細胞は直角の三角形状を有するが、非接着区域ではいかなるフォーカルアドヒージョンも発生しなかった。いくつかの細胞型は、L形状マイクロパターン上で極めて特異的なそして反復接着挙動を示した。アクチンネットワーク構造はフォーカルアドヒージョンの特定の分布に直接相関していた。
【0103】
L929
細胞は、非接着区域に面する周囲の凹状区域(concave sector)を除いて、接着マイクロパターン一面に及びその周囲にフォーカルアドヒージョンを発生させた。アクチン繊維は、非接着ホールの両側に沿って常に固着され、そしてL形状パターンの斜辺に基本的に平行に配向された。フィブロネクチンの分布はL形状パターンに従った(図6参照)。
【0104】
MDCK
細胞は、接着表面の細胞周囲でのみフォーカルアドヒージョンを発生させたが、非接着区域に面する周囲の凹状区域では発生しなかった。ビンキュリンは細胞頂点(又は複数の頂点)に蓄積するようでありそして、もし頂点が十分近接しているならば、それらは長い連続的接着境界を作ることができると思われる。アクチン繊維は細胞周囲に殆ど制限される。同様な写真が無限接着表面上で成育したコントロール細胞について観察されたが、L形状マイクロパターンは、個々のフォーカルアドヒージョンの分布に対する強い正規化効果(normalizing effect)を有する。フィブロネクチンの分布は、L形状パターンに従っていた(図7参照)。
【0105】
HeLa
ビンキュリンは、細胞質において豊富であり、可溶性プールの存在を示唆するランダム方式で分布していた。細胞は、細胞頂点に及び接着表面の周囲に沿ってそれらのフォーカル複合体の大部分を発生させたが、この場合も非接着区域に面する周囲の凹状区域では発生しなかつた。フィブロネクチンの分布はL形状パターンに従った(図8参照)。
【0106】
微小管動力学
微小管ネットワークは、その構造と接着パターンとの間に明らかな相関を示すのにはあまりも密である。しかし、EB1のような微小管の成長しているプラス端部と関連したいくらかのタンパク質は隠れていたのを見ることができる。成長している端部の大部分は、直角三角形細胞の周囲に局在化しており、そして核形成中心、中心体の近くにも局在化しており、中心体からそれらは細胞頂点に向けて放射状に伸びていると思われる。(図9参照)。ビデオ記録により測定されたEB1動力学は、微小管が直角三角形細胞の2つの鋭い頂点に向けて主として成長していることを確証した(図10参照)。
【0107】
中心体位置
接着パターンは間期における投影された平均中心小体位置の存在の90%を有する区域の定義を可能とした。(図11参照)。
【0108】
ゴルジ構造
微小管ネットワークは、ゴルジ装置構造のための骨格として非常に複雑な方法で作用する。接着マイクロパターン上の細胞は移動することができない。古典的には中心体の付近に局在化している全体のゴルジ構造は、古典的培養条件で観察されるとおり(図12B)局所的にのみならず、全体的に、全細胞小器官レベルで(図12A)、CGNからTGNまで分極された。ゴルジ装置は、細胞平坦化によりもはや変形されないで、中心体のまわりの種々の区画の同心組織を示した。(図13参照)。
【0109】
紡錘体配向
L形状接着マイクロパターン上では、細胞の80%より多くが、L斜辺と10°より小さい角度をなす軸に沿って分裂した。最も小さいL形状接着マイクロパターンすら、細胞分裂を配向させるのに有効であった。(図14参照)。
【0110】
L形状接着マイクロパターンの分岐はより短くそしてより広くなる(非接着区域が減少する)(図15)につれて、紡錘体軸と斜辺との角度の分布はより広くなった。(図16及び17参照)。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1A】L形状接着パターン上でプレートされた細胞について後期(anaphase)及び紡錘体配向の自動化数値的検出。10倍対物を有する位相差顕微鏡法における3分の低速撮影(time-lapse)からのフレーム。数値は、図1Cの時間曲線上で報告された数値に対応する。フレーム4に示された有糸分裂細胞中心及びフレーム5に示された後期紡錘体配向(anaphase spindle orientation)は分析bから報告される。
【図1B】L形状接着パターン上でプレートされた細胞について後期(anaphase)及び紡錘体配向の自動化数値的検出。aにおける写真のウエーブレットセグメント化(wavelet segmentation)。楕円形適合は黒で示される。黒の点線は楕円長軸及び楕円短軸に対応する。有糸分裂細胞中心はフレーム4で測定され、フレーム5において後期の6分前に測定される。後期配向(anaphase orientation)は、図2に示されたとおりに配向されたパターンの鉛直基準に対するフレーム5における楕円長軸の配向である。
【図1C】L形状接着パターン上でプレートされた細胞について後期(anaphase)及び紡錘体配向の自動化数値的検出。時間に対する形状係数。形状係数は、bで規定された長軸に対する短軸の比である。フレーム5における後期伸長(anaphase elongation)は、0.9以上から0.6未満までの形状係数シフトにより自動的に検出される。バー=20μm。
【図2A】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。フィブロネクチンの完全に接着性のマイクロパターン。スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2B】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。フィブロネクチンの完全に接着性のマイクロパターン。スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2C】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。フィブロネクチンの完全に接着性のマイクロパターン。スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2D】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。周囲接着性マイクロパターン(peripherally adhesive micropatterns)スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2E】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。周囲接着性マイクロパターン(peripherally adhesive micropatterns)スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2F】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。周囲接着性マイクロパターン(peripherally adhesive micropatterns)スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2G】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。周囲接着性マイクロパターン(peripherally adhesive micropatterns)スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2H】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。周囲接着性マイクロパターン(peripherally adhesive micropatterns)スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2I】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。図2Fにおけると同じ対称性を有する[十字]マイクロパターン。スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図3A】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョン(focal adhesion)のサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3B】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3C】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3D】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3E】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3F】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3G】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3H】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3I】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図4A】有糸分裂紡錘体形成期間中の中心体分離。均一なフィブロネクチンコーティングされたガラスカバースリップ上(図4A、n=24)又はL形状マイクロパターン(図4B、n=14)上にプレートされた細胞について時間に対する細胞投影面積(黒)及び中心体間投影距離(inter-centrosome projected distance)(グレー)。細胞面積は、初期面積に対して正規化される。誤差バーは標準偏差を表す。時間0は細胞リトラクション(cell retraction)の開始に相当する。中心体分離は風変わりでありそしてしばしば無限基質上では細胞リトラクションに先行し、これに対してそれはマイクロパターン上では細胞リトラクションと同期していた。
【図4B】有糸分裂紡錘体形成期間中の中心体分離。均一なフィブロネクチンコーティングされたガラスカバースリップ上(図4A、n=24)又はL形状マイクロパターン(図4B、n=14)上にプレートされた細胞について時間に対する細胞投影面積(黒)及び中心体間投影距離(inter-centrosome projected distance)(グレー)。細胞面積は、初期面積に対して正規化される。誤差バーは標準偏差を表す。時間0は細胞リトラクション(cell retraction)の開始に相当する。中心体分離は風変わりでありそしてしばしば無限基質上では細胞リトラクションに先行し、これに対してそれはマイクロパターン上では細胞リトラクションと同期していた。
【図4C】有糸分裂紡錘体形成期間中の中心体分離。L形状上での有糸分裂期間中セントリン−1GFPの低速撮影取得(time-lapse acquisition)の例。
【図4D】有糸分裂紡錘体形成期間中の中心体分離。NZ有糸分裂停止後の中心体分離の例。白色の十字は中心体に相当する。
【図4E】有糸分裂紡錘体形成期間中の中心体分離。NZ放出後の紡錘体配向の分布。各バーは30°を表す。紡錘体は依然として、コントロール細胞におけると同じく丸い細胞体において主として配向することができることに留意されたい。バー=10μm。
【図5A】接着パターンの例。黒の区域は接着区域を示し、これに対して白の区域は非接着区域を示す。紡錘体軸配向を制御するのに適した対称的L形状パターンウエル。
【図5B】接着パターンの例。黒の区域は接着区域を示し、これに対して白の区域は非接着区域を示す。核の一側に中心体−ゴルジ装置細胞小器官(centrosome-Golgi apparatus organelle)を配置するのに適した非対称的形状。
【図6A】異なるL形状マイクロパターン上のL929細胞。L形状マイクロパターン上のビンキュリン分布。
【図6B】異なるL形状マイクロパターン上のL929細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びアクチン分布。
【図6C】異なるL形状マイクロパターン上のL929細胞。L形状マイクロパターン上のアクチン分布。
【図6D】異なるL形状マイクロパターン上のL929細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びアクチン分布。
【図6E】異なるL形状マイクロパターン上のL929細胞。マイクロパターン化されたフィブロネクチン。
【図7A】異なるL形状マイクロパターン上のMDCK細胞。L形状マイクロパターン上のビンキュリン分布。
【図7B】異なるL形状マイクロパターン上のMDCK細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びアクチン分布。
【図7C】異なるL形状マイクロパターン上のMDCK細胞。L形状マイクロパターン上のアクチン分布。
【図7D】異なるL形状マイクロパターン上のMDCK細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びアクチン分布。
【図7E】異なるL形状マイクロパターン上のMDCK細胞。マイクロパターン化されたフィブロネクチン。
【図8A】異なるL形状マイクロパターン上のHeLa細胞。L形状マイクロパターン上のビンキュリン分布。
【図8B】異なるL形状マイクロパターン上のHeLa細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びフィラメント状アクチン分布。
【図8C】異なるL形状マイクロパターン上のHeLa細胞。L形状マイクロパターン上のフィラメント状アクチン分布。
【図8D】異なるL形状マイクロパターン上のHeLa細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びフィラメント状アクチン分布。
【図8E】異なるL形状マイクロパターン上のHeLa細胞。マイクロパターン化されたフィブロネクチン。
【図9A】中心体からL形状端に向けて放射状に伸びている微小管ネットワーク。L形状接着性マイクロパターン上に拘束されたHeLa細胞におけるEB1標識。
【図9B】中心体からL形状端に向けて放射状に伸びている微小管ネットワーク。拘束されたHeLa細胞のセントリン−GFP及びチューブリン標識。
【図10】中心体からL形状端へ向けての微小管+端部軌道。EB1−GFPでトランスフェクションされたHeLa細胞におけるビデオ記録により測定されたEB1動力学。2分間2秒毎に低速度撮影取得の重ね合わせ。
【図11】中心体位置:セントリン−1GFPを安定に発現するHeLa細胞を4分間ビデオ記録した。4秒毎の低速度撮影取得の重ね合わせ。フィブロネクチンはグレー、セントリンは白。
【図12A】A、B、C、D:L形状マイクロパターン上のHeLa細胞の中心体のまわりのゴルジ同心構造(Golgi concentric structure)。TGN(トランスゴルジ網)のための免疫標識。
【図12B】A、B、C、D:L形状マイクロパターン上のHeLa細胞の中心体のまわりのゴルジ同心構造(Golgi concentric structure)。CGN(シスゴルジ網)のための免疫標識。
【図12C】A、B、C、D:L形状マイクロパターン上のHeLa細胞の中心体のまわりのゴルジ同心構造(Golgi concentric structure)。セントリンGFP。
【図12D】A、B、C、D:L形状マイクロパターン上のHeLa細胞の中心体のまわりのゴルジ同心構造(Golgi concentric structure)。マイクロパターン化されたフィブロネクチンのための免疫標識。
【図12E】無限接着表面で成育させた細胞のゴルジ構造。TGN(トランスゴルジ網)のための免疫標識。
【図12F】無限接着表面で成育させた細胞のゴルジ構造。CGN(シスゴルジ網)のための免疫標識。
【図13A】有糸分裂の3つの異なる段階:間期、中期及び終期後、を示すL形状マイクロパターン上に固定されたHeLa細胞。フィブロネクチンのマイクロパターン。
【図13B】有糸分裂の3つの異なる段階:間期、中期及び終期後、を示すL形状マイクロパターン上に固定されたHeLa細胞。チューブリンのための免疫標識。
【図13C】有糸分裂の3つの異なる段階:間期、中期及び終期後、を示すL形状マイクロパターン上に固定されたHeLa細胞。セントリンGFP。
【図14】異なるL形状接着マイクロパターン:各ゾーンにおいて、総接着表面は一定であり、分岐はより細くそしてより長くなる。S1又はD1からS3又はD3まで、接着表面は減少する。
【図15】中期面とL斜辺に正常(垂直)な面との角度の分布曲線。曲線当り測定の数は
【表1】
である。
【図16】終期期間中の細胞分裂軸とL斜辺との角度の分布曲線。曲線当りの測定の数は
【表2】
である。
【図17A】中期面とL又は対応する完全三角形斜辺に対する正常(垂線)な面との角度の分布曲線。L形状(図16におけるS13)上の分布曲線。
【図17B】中期面とL又は対応する完全三角形斜辺に対する正常(垂線)な面との角度の分布曲線。対応する完全三角形における分布曲線。
【技術分野】
【0001】
細胞内組織(internal cell organization)の接着制御で特定の位置及び所定の位置において細胞を接着させる方法及び装置、このような装置を製造する方法、細胞形状の変化及び全体的細胞内組織、例えば細胞区画(compartments)の分布、中心体センタリング(centrosome centering)、紡錘体配向(spindle orientation)、内部区画化(internal compartimentalization)及び内部輸送(internal transports)の変化を研究する方法、特定の細胞機能を高めるか又は抑制する関心のある化合物をスクリーニングする方法に関する。
【0002】
発明の背景
系統的ゲノム配列決定から得られた豊富なデータを利用するのに、高スループットの細胞基準の表現型スクリーニング(high throughput cell-based phenotypic screening)が必要となる。siRNAによるゲノム全体にわたる遺伝子サイレンシング(genome wide gene silencing)は、今や培養された細胞に関して可能である。あるいは、特定の細胞機能を高めるか又は抑制することができる薬物ライブラリーから生物学的に活性な化合物を迅速に同定することが望まれるであろう。かくして、その目的は、自動化されたツールで培養された細胞に関する表現型分析を行なうことである。
【0003】
高スループット法は、既知の分子経路に関する定量的投薬(quantitative dosages)を行なうのに長い間使用されてきた。これらの方法は、タンパク質輸送、接着、移動、分裂又はアポトーシスのような複雑な細胞特性に関与する新しい遺伝子を同定したり、新規な薬物のこれらの機構に干渉する能力を探ったりする場合には、使用することができない。
【0004】
今日ではこのチャレンジは、少数の細胞に関する現代の細胞生物学分析の正確さを多数の細胞に関する高スループット自動化方法の能力に関連させることである。このチャレンジに対する答えは、いくつかの障害のため多くはない。即ち、
第一に、ウエルの底部の細胞集団は、予測することができない分布を有する。これは、小さな倍率の対物の使用又は自動化されているが非常に長い走査習得(lengthy scanning acquisition)を強いる。
第二に、細胞形状は細胞毎に異なり、そしてこのパラメーターは、どんな分析下の表現型であれ又は細胞基準で行なわれる定量(特定の細胞小器官の細胞内局在化(intracellular localization)、数及びサイズ、分子シグナル..)であれ、無視することはできない。
第三に、細胞区画の細胞内分布及び全体的細胞組織(global cell organization)もまた、細胞毎に相当変化する。これは特に厄介である。それは、細胞内区画の相互の分布、あるいは細胞分裂又は細胞移動期間中の細胞極性の確立及び維持のいかなる種類の正確な分析も妨害する。
細胞集団の分布並びに個々の細胞の形状及び内部組織は、すべて細胞移動活性に依存している。運動性は、細胞のタイプに依存して大きく変わりうるが、それは常に重要なパラメーターである。
【0005】
これらの困難を克服するには、細胞が移動するのを防止しそして外部の目印に対して同じ方法ですべての細胞を配向させる(orientate)ための方法が必要であろう。その答えとして、アクチンアセンブリーに影響を与えることにより細胞形状及び細胞位置の正確な制御を可能とするマイクロパターン化(micro-patterning)が提供された。マイクロパターン化の多くの可能性が研究されたが(Wheitesides and Ingber; US 6,368,838; WO 01/70389; WO 02/86452; WO 02/22787)、それらのどれも細胞固有の性質の正確なスクリーニングに適合する反復可能な方法で全体の機能的及び構造的極性に影響を与えない。
【0006】
発明の要約
本発明では、本発明者は、極性、運動性及び分裂並びに内部区画化及び輸送を包含する細胞機能に対する遺伝子又は化合物の活性のスクリーニングを可能とする有効で低コストの方法を提供する。本発明に従う方法は、フォーカルアドヒージョン分布(focal adhesion distribution)の正確な制御に基づいている。これらの膜貫通複合体は、細胞区画化を大きく制御する細胞骨格と相互作用する。各細胞小器官の細胞内分布の正確な制御は、異方性接着パターン(anisotropic adhesive pattern)、例えば、非接着区域を伴なう凹状接着パターン(concave adhesive pattern)の使用により可能とされる。この制御は、細胞の長化(
lengthening)をもたらす接着パターンの使用によっても可能とされうる。
【0007】
ゆえに、本発明は、細胞を特定の位置及び所定の位置において細胞内組織の制御された分極(controlled polarisation)で接着させ、それにより細胞機械分極(cell machinery polarisation)を誘発する方法及び装置に関する。この装置は、個々の細胞について、更に詳しくは、1つのみの単一細胞について、表面を規定するプレートと、少なくとも1つの異方性接着パターン、例えば、凹状接着パターンであって、該接着パターンに隣接した、細胞が接着しない細胞非親和性領域により隔離されている凹状接着パターンを含む。
【0008】
このような装置は、細胞培養、細胞数測定、毒物学、薬物スクリーニング、診断及び細胞の固定化を含む広い範囲の細胞生物学用途において有用である。それらは、高又は中スループットスクリーニングアッセイ及び/又は個々のアッセイも可能とする。
【0009】
ゆえに、本発明は、このような装置を製造する方法、細胞を培養する方法、細胞を表面に固定化する方法、細胞形状及び全体的細胞内組織を制御する方法、細胞形状及び全体的細胞内組織、例えば細胞区画の分布、中心体センタリング、紡錘体配向、内部区画化及び内部輸送を研究する方法、細胞形状、全体的組織及び/又は機能を改変する、例えば高めるか又は抑制する関心のある化合物をスクリーニングする方法に関する。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明に従うアプローチは、凸状にされるべきそして隣接細胞の移動を阻止する隣接細胞との特殊化された接触に対する細胞内区画のありふれた分布を示すべき大抵の動物組織からの細胞の性質に基づいている。
【0011】
実際に、組織における細胞−細胞相互作用又は細胞−ECM相互作用は、膜接着タンパク質の分離及び空間組織(spatial organization)を誘発する。細胞内構造及び組織はこれらの境界条件に関連している。シグナリングカスケードは、周囲受容体(peripheral receptors)からのみならず接着部位における機械的刺激からの細胞活性を制御する。いかなる瞬間(moment)でも、細胞の接着パターンは、形質膜構造及び組成を制御する細胞活性と、環境の拘束に対する細胞動力学的応答との相互作用(cross-talk)の結果である。
【0012】
無限接着面における古典的培養条件では、フォーカルアドヒージョン(FA)又はフォーカル複合体(focal complexes)のような細胞接着構造は、非均一な方式においてであるけれども、基質(substrate)に対する「腹側」細胞接触区域('ventral' cell contact area)全体に分布している。細胞が接着複合体間に張力を発生させる能力は細胞の形状の重要なパラメーターであり、いかなる瞬間でも、細胞形状は、基本的に最も遠位の接着接触の凸状エンベロープ(convex emnvelope)に対応する。この性質は、細胞形状を制御するのに使用することができる。即ち、接着複合体の分布を制御することは、細胞の形状を非無限接着表面上にのみならず非連結表面上にさえも強いるのに十分である。
【0013】
この性質は、上皮細胞、例えば、小腸上皮細胞又は腎臓細胞で、それらの極性が培養条件(2つの区画室)により正規化されている場合に、ex vivoで観察することさえできる。しかしながら、高スループット分析のためのこのような培養条件の使用は限定される。
【0014】
繊維芽細胞についてのより生理学的なアプローチは、三次元コラーゲンゲル繊維中で細胞を成育させることである。しかしながら、高スループット分析のためのこのような培養条件の使用は限定される。
【0015】
高スループット分析に適合しうる別のアプローチは、二次元表面で可能な接触の限定されたパターンを提供することであり、即ち、この方法では、細胞が隣接細胞との限られた接触に応答して組織の細胞の挙動と同様な挙動をとるように強制することができる。
【0016】
カバースリップは均一なそして非生理学的環境を強いる無限の接着面であるので、正方形及び他の正多角形のようなマイクロパターン化された細胞サイズの表面は、細胞移動及び細胞組織に対する環境からの機械的拘束をまねることへの第一段階である。しかながら、これらの表面は、細胞平坦化(cell flattening)の程度を限定するにすぎない。それらは依然として細胞サイズに対して非常に大きい連結した接着表面を創り出し、これは、組織において細胞が隣接細胞と確立する限定された数の接触とは極めて異なり、細胞形質膜に対して背側('dorsal')及び腹側('ventral')ドメインを強いる。
【0017】
本発明者は、接着接触に対して牽引力の非等方性フィールドを及ぼすアクチンネットワークをアセンブルすることにより、細胞が接着パターンのトポロジーを解釈することを始めて証明する。これは、有糸分裂の開始時に二極性紡錘体の配向を駆動する。ゆえに、開裂面を決定することができるのは、細胞形状ではなくて細胞接着である。
【0018】
本発明者は、細胞分裂の配向に順に影響を与える細胞の接着接触に応答して細胞が正確な規則を守ることを更に証明する。これらの接着接触は、位置の記憶を娘細胞にも伝える。彼等は、培養されている動物細胞の分裂軸を信頼性を持って制御するための接着マイクロパターン化を使用する最初の装置を報告する。好ましくは、自動化された監視にカップリングされていると、それは高スループットスクリーニングにおいて細胞有糸分裂プロセス及びその摂動(perturbation)を分析するために相当価値があるはずである。
【0019】
本明細書で細胞内組織の接着制御(ACICO)と呼ばれる本発明の原理は、細胞が移動するのを阻止しそして中心体又はゴルジ装置のような異なる細胞小器官の位置が予測されうる細胞機械の再現性のある分極を可能とする、個々の細胞のための接着(固着(anchoring))表面のネットワーク(アレー又は格子)を創生することである。
【0020】
ネットワークの単位モチーフ又はパターンは、異方性接着表面である。この異方性接着表面は細胞分極をもたらす接着部位における不均衡(disequilibrium)を誘発する。更に詳しくは、好ましい異方性接着表面は、接着細胞の少なくとも一側が接着表面と接触するべきではないようなものである。接着部位における不均衡は、例えば、細胞輪郭において不均一に分布しているアクチンフィラメントにより観察されうる。この不均衡は、リトラクティング繊維付着(retracting fibers attachement)(RF)の数によっても観察されう。例えば、2つのみのRFs付着の存在は優れた細胞分極をもたらす。異方性接着表面は、パターンの対称エレメントの数を限定しそしてそれらのそれぞれの重量をバイアスすることによりデザインすることができる。好ましくは、本発明に従う接着パターンは1又は2つの対称軸、更に好ましくは、1つのみの対称軸を有する。
【0021】
本発明に従う好ましい異方性接着表面は、凹状又は中空接着表面であり、即ち、その凸状エンベロープは、大きな非接着区域にもかかわらず個々の細胞のキャスティング表面を強いるであろう。細胞がこれらのパターン上で安定化されると、基質との各個々の細胞の接着接触の限定された数及び、凹状又は中空のモチーフに従うこれらの接触の分布は、細胞機械の再現可能な分極を誘発する。本願では、「凹状接着パターン」という用語は、凸状エンベロープを与える接着パターンを指し、該エンベロープは少なくとも5%、好ましくは10、20又は30%の非接着区域を含む。「凸状エンベロープ」とは、接着パターンを含有する最小凸状多角形(minimul convex polygon)を意図する。
【0022】
本発明の別のそしてより少なく好ましい態様では、接着パターンは、細胞の長化(lengthening)をもたらす。実際、細胞の長化は、細胞を分極させることができる。このパターンは、0.6未満、好ましくは0.5未満、更に好ましくは0.4未満の輪郭形状係数(SF)をもたらすか又は形状係数(shape factor)を与える。好ましい態様では、該接着パターンは、長く細い接着区域、例えば、長方形区域等である。形状係数は、細胞輪郭又は接着区域のエンベロープに適合した(fitted)楕円の短軸と長軸の比である。この態様に従う長いそして細い接着区域は長方形、菱形又は十字のような種々の形態を有することができる。
【0023】
本発明は、少なくとも1つの細胞を、好ましくは特定のそして所定のテンプレートにおいて、細胞内組織の制御された分極で接着させる装置であって、
表面を規定するプレートと、
該表面上の少なくとも1つの異方性接着パターン、
を含み、
該パターンのサイズは、1個のみの個々の細胞が該パターンにおいて細胞内組織の制御された分極で接着することができるようなものであり、そして
異方性接着パターンは凹状接着パターン又は0.6未満の形状係数を有する長く且つ細い接着区域である、
装置に関する。
【0024】
好ましくは、該装置は、細胞が接着しない細胞非親和性領域(cytophobic regions)により互いに隔離された複数の接着パターンを含む。更に詳しくは、該装置は、少なくとも2つの接着パターン、好ましくは、少なくとも5、10、100、1000、10000又は100000の接着パターンを含む。好ましい態様では、該装置は、10〜50000接着パターン/cm2、更に好ましくは5000〜15000接着パターン/cm2、なお更に好ましくは約10000接着パターン/cm2を含む。
【0025】
本発明に従えば、接着パターンの形態は、細胞機械の再現可能な分極を可能とする。最も好ましい態様では、該異方性接着パターンは凹状接着パターンである。より少なく好ましい態様では、該接着パターンは、0.6未満、好ましくは0.5未満、更に好ましくは0.4未満である輪郭形状係数(SF)を有する、細胞の長化ことを誘発する長く且つ細い接着パターンである。
【0026】
細胞親和性アイランド(island)は、好ましくは非接着区域を伴なう凹状接着パターンを含む。例えば、接着表面は、下記の文字:C、L、U、Vの形態を有することができる。最も好ましい態様では、凹状接着パターンは[L]形態を有する。
【0027】
凹状接着パターンにより内接された表面(inscribed surface)は、接着区域及び非接着区域を含み、そして該凹状接着パターンの凸状エンベロープは、好ましくは1つ以上の接着区域、更に特定的には1つ以上の接着線又は曲線を含む。本発明の特定の態様では、凹状接着表面の凸状エンベロープは多角形である。好ましくは、該多角形は少なくとも1つの接着縁(adhesive edge)も含む。該多角形は、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、十一角形、十二角形、十五角形又は二十角形であることができる。
【0028】
例えば、多角形は、1つ以上の接着縁及び場合により、1つ以上の接着コーナー(adhesive corner)からなる。接着パターンの例は、図2D、2E、2G、2H及び5にも示されている。
【0029】
多角形が三角形であるならば、多角形は、例えば、1つの接着縁及び1つの接着コーナー(即ち、「バー(bar)+ドット(dot)」形態)又は2つの接着縁(例えば、[L]形態)を有することができる。
【0030】
多角形が四角形であるならば、多角形は、例えば、
1つの接着縁と2つの接着コーナー(即ち、[バー+2ドット]形態)、
2つの非連続接着縁(例えば、「ツインバー」形態)、
2つの連続した接着縁と1つの接着コーナー(例えば、「L+ドット」形態、及び
3つの連続した接着縁、
を有することができる。
【0031】
該四角形は正四角形又は非正四角形であることができる。それは、例えば、正四角形、長方形、菱形及び台形からなる群より選ばれることができる。
【0032】
好ましい態様では、該多角形は三角形である。更に詳しくは、該三角形は、2つの接着縁を有する。好ましくは、2つの接着縁間の角度は、30°〜150°、更に好ましくは、60〜120°、なお更に好ましくは、約90°である。好ましくは、2つの縁の長さ比は、0.1〜1、更に好ましくは0.3〜1、なお 更に好ましくは、0.5〜1である。有糸分裂における細胞の分析のために、2つの縁の長さ比は好ましくは約1である。間期における細胞の分析のために、2つの縁の長さ比は、1未満であり、更に好ましくは、0.3〜0.8である。
【0033】
接着パターンは、単一の連結した接着表面(single connected adhesive surfaces)及び/又は非連結の接着表面(non-connected adhesive surfaces)から形成されうる。特定の態様では、接着パターンは、単一の連結した接着表面又はいくつかの非連結接着表面から形成されうる。「単一の連結した接着表面」とは、好ましくは、切れ目のない線又は曲線を意図する。「非連結の接着表面」とは、好ましくは、点線若しくは長点線又は点曲線若しくは長点曲線、あるいは分離した点又は区域を意図する。好ましい態様では、接着パターンは、線、曲線及び点から選ばれる接着エレメントの組み合わせからなる。
【0034】
接着点、接着線、接着曲線又は接着縁の幅は、好ましくは、0.1〜10μm、更に好ましくは、1〜5μm、なお更に好ましくは、約4μmである。
【0035】
好ましい態様では、接着パターンにより内接された表面は、主として非接着性であり、好ましくは本質的に非接着性である。更に好ましくは、接着パターンにより内接された表面は、完全に非接着性である。場合により、接着パターンによりに内接された表面の75%は、非接着性であり、好ましくは、90%、更に好ましくは95%、なお更に好ましくは99%が非接着性である。
【0036】
好ましくは、接着パターンの凸状エンベロープの接着区域と非接着区域の比は、細胞平坦化と最も低く合致している。例えば、該比は、10〜90%、好ましくは、20〜80%、なお更に好ましくは、30〜70%である。
【0037】
接着パターンのサイズは、個々の細胞がそれに接着することができるようなサイズである。好ましくは、接着パターンのサイズは、1つの単一の細胞(one single cell)が広がり(spread)そして分裂することができるが、細胞運動を制限されているようなサイズである。好ましくは、接着パターンの凸状エンベロープの面積は、1〜2,500μm2、更に好ましくは、1〜1,000μm2、なお更に好ましくは、1〜500μm2 又は500〜900μm2である。接着パターンのサイズは細胞型に依存する。
【0038】
プレートの表面は、複数の離れた接着パターン(discrete adhesive patterns)を含み、その各々は、所定の幾何学的テンプレートにおいて配列された個々の細胞の接着を促進し、その際接着パターンは細胞の接着を促進しない細胞非親和性領域によりお互いに隔離されている。細胞非親和性領域は、該接着パターンに接着した細胞が互いに接触するのを阻止するのに十分に広い。好ましくは、ネットワークのメッシユは2つの細胞直径より大きい。好ましくは、接着パターンは、少なくとも10μm、好ましくは、少なくとも20、30又は50μm分離されている。
【0039】
接着パターンは、細胞付着を促進する分子を含む。これらの分子は、当業者には周知であり、そして抗原、抗体、細胞接着分子、細胞外マトリックス分子、例えば、ラミニン、フィブロネクチン、合成ペプチド、炭水化物等を含む。好ましくは、該接着パターンは、細胞外マトリックス分子、更に好ましくはフィブロネクチンを含む。
【0040】
非接着表面は不活性表面である。適切な不活性表面は、オリゴ又はポリ(エチレングリコール)の誘導体により覆われた表面である。
【0041】
プレートは、共焦点顕微鏡、光学顕微鏡及び/又は蛍光顕微鏡のための便利な支持体である。更に好ましい態様では、プレートは、ガラス、好ましくは、シラン化されたガラスである。例えば、本発明に従う便利なブレートはカバースリップ又はスライドである。
【0042】
本発明に従う装置は、各群が異なる培地においてインキュベーションされうるようにお互いに分離された同じプレート上の接着パターンのいくつかの群を含むことができる。例えば、ある群の接着パターンを試験化合物と接触させることができそして他の群を他の試験化合物と接触させることができるか又はいかなる試験化合物とも接触させないでいることができる。この分離は、テフロン(登録商標)シールの如き物理的バリヤーにより与えられうる。例えば、SPI SppliesのSPI Teflon(登録商標)を、AnameのTeflon(登録商標)Printed Slideを参照。
【0043】
接着パターン及び細胞非親和性領域を有する本発明に従う装置は、マイクロパターン化、好ましくは、マイクロコンタクトパターン化(microcontact patterning)により形成される。標準方法は、当業者により周知である。概説として、Whitesides et al(Annu. Rev. Biomed. Eng., 2001,p. 335-373, 更に詳しくは、p. 341-345)。
【0044】
本発明は、本発明に従う装置を製造する方法であって、
少なくとも1つの接着パターンを有するマスターテンプレートを作成すること、
該マスターテンプレートからスタンプを作成すること、
該スタンプを細胞付着を促進する分子でインキ付けすること、
該インキ付けされたスタンプをプレートと接触させること、
プレートの印刷されていない表面を細胞非親和性にすること、
を含む方法に関する。
【0045】
好ましくは、接着パターンがデザインされているマスクを通して紫外線で照射することによりフォトレジスト層でコーティングされたシリコンウエーハからマスターテンプレートを製造する。スタンプは、好ましくは、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)又は他のシロキサンをベースとするポリマーである。好ましくは、プレートの印刷されなかった表面は不活性材料、例えば、ポリエチレングリコールとのインキュベーションにより細胞非親和性にされる。
【0046】
本発明に従うプレートの製造の特定の例は、実施例の節で詳しく述べる。
【0047】
マイクロパターン化は、ミクロンスケールで細胞位置の正確な制御を可能とする。いかなる金又は他の金属コーティングもないガラスカバースリップの使用は、すべての光学的像形成技術、特にビデオ顕微鏡のための倒立顕微鏡でのエピフルオレッセンス(epifluorescence)に適合しうる。多くの四次元取得の自動化(低速撮影における三次元)は非常に容易である:モーター付きXYステージを使用して、最初の細胞のXY位置のみを記録しさえすればよい。何故ならば、すべての他の細胞は既知の繰り返し翻訳(iterative translation)により最初の細胞から推定することができるからである。セラミック圧電デバイス上の100倍対物は三次元スタック取得(3D stack acquisition)を非常に速くする。ガラスカバースリップ及びマイクロパターン化は、エピフルオレッセンス及び透過光を使用して高い倍率で高スループット三次元細胞スクリーニングを行なうことを可能とする。細胞が播種の前に同期化されるとき、必要なだけ多くの細胞の観察を合計することにより「平均細胞」の記述を得ることができる。それは、細胞組織又は挙動の非常に正確な説明を与える。何故ならば、細胞は同一ではないとしても非常に類似しているからである。このような「平均細胞」の記述から、その不活性化によりその機能が損なわれる特定の細胞機能又は遺伝子に対する活性な薬物をスクリーニングするための適当な閾値を定めることができる。
【0048】
したがって、本発明は、更に、時の経過と共に及び細胞分裂の正確な瞬間に細胞の位置及び配向を検出するための自動化された分析方法を含む。この方法は、
a)ブレート上の接着パターンの位置を同定すること、
b)細胞像をいくつかの同定されたパターンについていくつかの時間に記録すること、
c)細胞像からの細胞輪郭に楕円を適合させること、
d)分裂時間を検出しそして関心のあるパラメーターを決定すること、
を含む。
【0049】
好ましい態様では、この方法は、工程d)において細胞の丸化(rounding)(下記するとおり)を計算する工程を含む。時間に従う丸化の進展は、細胞分裂の瞬間及び紡錘体配向の決定を可能とする。好ましくは、紡錘体配向は、長化期(lengthening phase)期間中に決定される。
【0050】
更に詳しくは、この方法は、
1−蛍光を使用してプレート上の接着パターンの位置を同定すること、
2−いくつかの同定されたパターンについていくつかの時間に位相コントラスト像(透過光)を記録すること、
3−好ましくは、ウエーブレット分解(wavelet decomposition)により位相コントラスト像をセグメント化すること、
4−セグメント化された像に楕円を適合させること、
5−分裂時間を検出しそして関心のあるパラメーターを決定すること、
を含む。
【0051】
工程1レンズに従って、いくつかの接着パターンを含む種々の長方形区域(フィールド)を観察する。接着パターン検出は好ましくは二次元フーリエ変換による相関分析により行なわれる。
【0052】
工程2では、接着パターンの検出された位置を使用して、異なるフィールドでそして各接着パターンについて時間シーケンス(時間に従う二次元像)を記録する。像は位相コントラスト像(透過光)である。この段階で、細胞がパターン上に接着しているかどうかを決定することが可能である。
【0053】
工程3では、細胞をバックグラウンドから分離するために、細胞をセグメント化する。このセグメント化は、ウエーブレット分解変換(wavelet decomposition transform)により行なうことができる。ウエーブレット分解変換は、最初の像に存在する詳細の一部のみを保つことを可能とする。ゆえに、(バックグラウンドノイズとみなされうる)あまりにも小さすぎる詳細又は(バックグラウンドノイズのばらつきとみなされうる)あまりにも太すぎる詳細は除去される。得られた像において、バックグラウンドに同化された画素の物理的構造に同化された画素を分離するための閾値が使用される。検出された構造のセグメント化のアルゴリズムを使用して細胞を表す関連した構造の範囲を定める。
【0054】
段階4では、主な成分分析により各セグメント化された細胞上に楕円を適合させる(かくして平均二次誤差を最小化する)。かくして、像の時間シーケンス(temporal sequence)は、セグメント化された構造の塊の中心に中心を有する楕円の組と適合性であり、楕円の形態(短軸及び長軸)及び楕円の配向は、細胞の形態をできるかぎり再現する。形態パラメーターの1つは楕円の短軸と長軸との比である丸化(rounding)(SF)である。例えば、楕円が円であるときは、丸化は1でありそして楕円がライン(ligne)であるときは、丸化は0である。配向パラメーターは、長軸と水平基準若しくは垂直基準との間の角度である。実際に、長化段階期間中の楕円の長軸の配向は、紡錘体配向と同じであると推測することができる。
【0055】
工程5において、細胞の丸化の時間分析は、細胞分裂の時の自動化された検出を可能とする。細胞サイクルの異なる段階は、形態パラメーターの特定の挙動を誘発する。有糸分裂期間中、細胞は丸くなる(丸化殆ど1)。次いで、後期において、細胞は突然長くなる(丸化は急速に減少する)。丸化期(rounding phase)を長化期(lengthening phase)から分離する正確な時を見つけるための探索をする。ゆえに、各時間tについて、少ない最後の瞬間(few last momnt)(例えばt−6〜t−1)が第1閾値(丸化期に特異的な)より全般に高いかどうかを試験し、次いで少ない未来の瞬間(few future moments)(例えばt+1〜t+5)が第2閾値(丸化期に特異的な)より全般に低いかどうかを試験する。これらの2つの条件が肯定されれば、瞬間Tは後期の開始を規定すると考える。更に詳細については、図1及び実施例1を参照されたい。
【0056】
この自動化された方法は、高容積のデータを処理することを可能とし、故に統計的分析を行なうことを可能とする。更に、時間に従う及び細胞分裂期間中の細胞の形態分析はより再現性があり、故に信頼性のある結果をもたらす。
【0057】
関心のあるパラメーターは、有糸分裂期間、有糸分裂へのエントリー期の期間(G2有糸分裂移行期)、有糸分裂終期の期間(急に又は徐々に)又は及び紡錘体配向の配向からなる群より選ばれる。紡錘体配向は決定されたパラメーターの中でも1つの非常に興味深い面である。
【0058】
本発明に従う装置は、細胞培養、細胞数測定、毒物学、薬物スクリーニング、細胞の固定化を含む基本的及び応用研究分野の両方において、広い範囲の細胞生物学において有用でありうる。この装置は、細胞の形状、全体的内部組織、内部輸送及びいくらかの細胞の細胞内機能、好ましくは有糸分裂を研究するのに十分適切である。
【0059】
ゆえに、本発明は、表面で又は表面の培地において少なくとも1つの細胞を培養する方法であって、
表面を規定するプレート及び本発明に従う少なくとも1つの接着パターン、好ましくは本発明に従う装置を提供すること、そして
該接着パターン(1つ又は複数)上で又は該接着パターン(1つ又は複数)上の培地中で細胞を培養すること、
を含む方法に関する。
【0060】
培地は、細胞培養のための便利ないかなる培地であってもよい。例えば、培地は、10%子ウシ血清、1%ペニシリン及びストレプトマイシン並びに1%グルタミンを有するダルベッコの改変イーグル培地(Dulbecco Modified Eagle Medium)であることができる。
【0061】
本発明は、表面で少なくとも1つの細胞を固定化する方法であって、
表面を規定するプレート及び本発明に従う少なくとも1つの接着パターン、好ましくは本発明に従う装置を提供すること、そして
該プレートを、少なくとも1つの細胞に、該細胞が該接着パターンに結合することを可能とするのに十分な時間の期間さらすこと、
を含む方法にも関する。
【0062】
本発明は、更に、細胞の形状、全体的細胞内組織及び/又は機能を研究する方法であって、
− 表面を規定するプレート及び本発明に従う少なくとも1つの接着パターン、好ましくは本発明に従う装置を提供すること、
− 該接着パターンを、少なくとも1つの細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
− 該細胞を該接着パターン上で成育させること、そして
− 該細胞の形状、全体的細胞内組織、有糸分裂及び/又は機能を観察すること、
を含む方法に関する。
【0063】
特定の態様では、全体的細胞組織は、中心体位置、ゴルジ装置構造(即ち、CGN及びTGN)、ビンキュリン、アクチン(例えば、アクチンフィラメントの空間分布)及び/又はチューブリンのネットワーク、分子の内部輸送又は紡錘体配向により評価されるが、それらに限定はされない。
【0064】
他の態様では、この方法は、該細胞の自動化された分析であって、このような分析用にデザインされたアルゴリズムを使用する特定のソフトウエアを含む像解析機を使用する分析を含む。更に詳しくは、特定のソフトウエアは、上記の自動化された方法を行うことを可能とする。
【0065】
いかなる種類の細胞も本発明で使用することができる。好ましくは、細胞は真核細胞である。細胞は、動物、哺乳動物、ヒト又は植物由来のものであることができる。細胞は、例えば、繊維芽細胞、及び造血細胞、内皮細胞及び上皮細胞であることができる。細胞は、健康な若しくは病気の組織又は器官に由来することができる。細胞は、野生型又は改変された細胞であることができる。特定の例では、細胞は腫瘍細胞であることができる。例えば、遺伝子を不活性化させることができ、そしてこれらの方法は、細胞形状、分子の細胞内輸送、全体的内部組織、区画化、紡錘体形成又は配向等に関与する遺伝子を同定することを可能とする。
【0066】
本発明は、更に、細胞が紡錘体の間違った配向(spindle misorientation)に関連した形質転換された表現型を有するかどうかを決定する方法に関する。それは、細胞ががん細胞であるかどうかを決定するための興味ある基準であることができる。この方法は、
表面を規定するプレート及び本発明に従う少なくとも1つの接着パターン、好ましくは本発明に従う装置を提供すること、
該接着パターンを試験すべき細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
該試験すべき細胞を該接着パターン上で成育させること、そして
各細胞の紡錘体配向を決定し、そして異なる細胞の紡錘体配向を比較すること、
その際、大きな紡錘体配向分散は、試験された細胞が紡錘体の間違った配向に関連した形質転換された表現型を有することを示す、
ことを含むことができる。
【0067】
大きな紡錘体配向分散は、正常な細胞の紡錘体配向分散と比較して評価される。好ましくは、大きな紡錘体配向分散は、少なくとも20°、更に好ましくは少なくとも30、40又は50°の角度変動である。
【0068】
本発明は、細胞形状、細胞の全体的内部組織、有糸分裂又は細胞の機能を改変する関心のある化合物をスクリーニングするための本発明に従う装置の使用に関する。本発明は、細胞形状、細胞の全体的内部組織、有糸分裂又は細胞の機能に関与する関心のある遺伝子を同定するための本発明に従う装置の使用にも関する。本発明は、更に、細胞が紡錘体の適切な配向を制御するその能力を失っているかどうかを決定するための本発明に従う装置の使用に関する。
【0069】
本発明は、更に、本発明に従う装置を使用して関心のある化合物をスクリーニングする方法に関する。実際に、この装置は、高スループットスクリーニングを可能とする。何故ならば、細胞の形状及び全体的内部組織は再現可能でありそして凹凸であり(rugged)そして結果の記録を自動化することができるからである。この装置は、細胞形状、細胞の全体的内部組織又は細胞の機能に対する試験化合物の効果を観察することを可能とする。
【0070】
更に詳しくは、本発明は、生物学的に活性な化合物を選択する方法であって、
本発明に従う装置を提供すること、
該接着パターンを少なくとも1つの細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
試験化合物を該細胞と接触させ、そして
該胞の形状、全体的細胞内組織、有糸分裂及び/又は機能を観察すること、
を含む。
【0071】
スクリーニング方法の別の態様では、細胞を、試験化合物と接触させる前に接着パターン上で成育させることができる。かくして、細胞の存在している形状及び組織に対する化合物の効果を評価することが可能でありうる。
【0072】
好ましくは、この方法は、該細胞の形状、全体的細胞内組織及び/又は機能を、該試験化合物により接触されていない細胞と比較する追加の工程を含む。場合により、該コントロール細胞は、既知の効果を有する基準化合物と接触させることができる。
【0073】
試験化合物は、種々の起源、性質及び組成であることができる。それは、単離されているか又は他の物質との混合物における、いかなる有機又は無機化合物、例えば、脂質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、低分子等であってもよい。例えば、試験化合物は
抗体、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はRNAiであることができる。化合物は、例えば、生成物の組み合わせライブラリー(combinatorial library)のすべて又は一部であることができる。
【0074】
例えば、関心のある化合物は、有糸分裂又は細胞移動を抑制若しくはブロックする化合物又はアポトーシスを誘発する化合物であることができる。これらの化合物は、がんの処置に有用である。
【0075】
分裂していない細胞において又は分裂している細胞の間期において
細胞の下の非接着区域の存在は、接着構造及びアクチンフィラメントの再現可能な細胞型特異的分布を誘発する。細胞骨格の異なる成分間の永久相互作用の故に、FA(フォーカルアドヒージョン)の局在化は、アクチンが重合する膜突起並びに微小管が核形成される中心体の位置を含む、微小管ネットワークの動力学的組織に影響を与える。古典的には中心体の付近に局在化しているタンパク質輸送の中心における全体のゴルジ構造は、古典的培養条件において観察されたように局所的にのみならず、全体の細胞小器官レベルで、 全体的に、CGN(シスゴルジ網)からTGN(トランスゴルジ網)に分極される。ゴルジ装置は、もはや細胞平坦化により変形されないで、中心体の周りの種々の区画の同心的組織を示す。これは、細胞毎のゴルジ構造又は活性の容易な比較を可能とする。同様に、中心体の位置に対する、少しの効果であるとしても、効果を有する薬物又は遺伝子を探索することは非常に容易であり、これに対して、古典的な培養条件でそれを行なうことは不可能ではないとしても極めて困難である。
【0076】
細胞分裂及び有糸分裂紡錘体配向
紡錘体軸の極めて制御された配向を得ることができる。中期面(metaphase plane)の配向及び細胞質分裂期間中の娘細胞間の張力は、提唱された接着パターンにより極めて正確に誘発される。かくして、細胞分裂は、個々の細胞間の、及びコントロール細胞又は形質転換された細胞の細胞型間の、正確なそして定量的比較を可能とする方法で空間及び時間的に制御される。それは、特に薬物効果の評価に特に便利であるが、遺伝子不活性化分析にも十分に使用することができる。
【0077】
本発明の更なる観点及び利点を下記の実験の節で開示するが、これらは、本願を説明す
るものとみなすべきでありそして本願の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0078】
実施例
実施例1
マイクロパターン製造
マイクロコンタクトプリンティングは完全に記述された方法である(Whitesides et al , Annu. Rev. Biomed. Eng., 2001, p 335-373)。我々は、Dr. A. Pepniにより記載された方法(Pepin, A., Chen, Y., in Alternative lithography(ed. Sotomayor Torres C.M.)305-330, Boston/Dordrecht/London,2003)を使用してポリ−ジメチルシロキサン(Sylgard, Dow Corning)スタンプを作成した。我々が使用したガラスカバースリップ処理は、Dr P. Nassory(Cuvelier et al. Eur. Biophys.J.32, 342-354(2003))により開発された。スタンプを50μg/mLフィブロネクチン溶液、(その10%はCy3で標識されている(Amersham Bioscience)で5分間インキ付けし、乾燥しそしてシラン化されたカバースリップと5分間接触させた。スタンプの除去の後、ブリントされたカバースリップを、20mg/mLマレイミド−ポリ(エチレングリコール)、PEG−mal(Nektar Therapeutics)を含有するPBS中に室温で1時間浸漬させた。次いでカバースリップをPBSで穏やかに洗浄して細胞付着の準備ができた。
【0079】
細胞培養及び付着
セントリン1−GFPを安定に発現するHeLa、ヒト上皮細胞(Piel et al. J.Cell Biol. 149, 317-329(2000))を、37℃で10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリン及びストレプトマイシン及び1%グルタミンを有するダルベッコの改変したイーグル培地中で培養した。細胞を二重チミジンブロックを使用して同期化し、次いで37℃で10分間、VERSENを使用してそれらのフラスコから除去した。遠心によりVERSENを除去した後、細胞を1%FCSを有するDMEM培地中に再懸濁させそして104個の細胞/cm2の密度でプリントされたカバースリップ上に付着させた。
【0080】
固定及び染色
有糸分裂前の細胞(premitotic cells)を細胞骨格緩衝液(CB)中で0.5%TritonX−100で2分間透過性を上げ(permealised)(Mitchison. Cell Motil. Cytoskeleton 22, 135-151(1992))、次いでCB中のパラホルムアルデヒド4%中で20分間固定しそして塩化アンモニウム0.1Mで10分間処理した。リトラクティング繊維(retracting fibers)を保存するMitchison(1992)により記載された方法を使用して、中期の細胞を固定した。ファロイジン−FITC及びDAPIを使用してアクチン及びDNAを染色した。ビンキュリンを、DR M.Glukhovaにより提供された第一マウス抗体及び第二Cy5−コンジュゲーテッドヤギ抗マウス抗体(Jackson Immunoreseach)により免疫標識した。
【0081】
ビデオ顕微鏡法
本発明者は、pH=7.4でCO2緩衝化を可能とする多孔性膜により覆われたプリントされたガラスカバースリップを保持する手製のプラスチックセルチャンバーと組み合わせた、加熱式でモーターを備えたステージを有する倒立式Leica DMIRBE顕微鏡を使用した。像取得のためのメタモルフソフトウエア(Universal Imaging)を使用した。10倍倍率の対物により3分毎に1つの写真のフレーム速度でマルチフィールド取得(multi-field acquisition)で低速撮影位相コントラストを使用して、多数の細胞分裂を追跡した。グリーンフィルターを通す蛍光Z取得(fluorescent Z acquisition)及び5分毎の細胞底部の位相コントラスト写真を使用して、63倍アポクロマート対物レンズ(Leica)により有糸分裂期間中の中心体運動を追跡した。
【0082】
ビデオ分析及びプロセッシング
ソフトウエアを開発した。このソフトウエアは、フィールド内の単一蛍光マイクロパターンを自動的に認識することができそしてそれに付着した単一の細胞の存在を検出することができた。個々の細胞分裂を10倍位相コントラスト低速撮影記録から抽出し、すべての写真をウエーブレット分解を使用して自動的にセグメント化しそして楕円と適合させた(図1b)。楕円長さ比として定義された形状係数が0.9より大から0.6未満まで突然低下した(図1c)ので、後期の細胞伸長の時を正確に検出した。次いで、紡錘体配向に対応する楕円の長軸と図2に示されたとおりに配向されたパターンの鉛直基準との間の角度を記録した。 パターンに対する丸い有糸分裂細胞の中心の位置も後期の6分前に自動的に記録された。方法の節内の字下げしたパラグラフでは>スタイルタグ。
【0083】
制御された接着に対する細胞分裂軸
この目標を達成するために、本発明者は、マイクロコンタクトプリンティング、標準マイクロパターン技術を使用して、HeLa細胞が接着形状上に接着しそして分裂する能力を制御した。1つの単一細胞が広がりそして分裂することができるが細胞運動を制限されている600〜900μm2の範囲のパターンカバー区域をデザインした。二重チミジンブロックに従って、G2細胞をフィブロネクチンマイクロパターン上に播種しそして細胞分裂をビデオ記録した。自動化された多数のツールを開発して記録されたフイールドにおける各マイクロパターンを検出しそしてそれに付着した単一細胞の存在を検出した(図1)。後期開始時の細胞伸長の配向として採用された紡錘体配向及び丸い有糸分裂細胞中心の位置を自動的に記録した(方法参照)。この処理は、より多数の細胞分裂の迅速な分析を可能とする。
【0084】
完全に接着性のマイクロパターン
このアプローチの有効性は、同様な区域のマイクロパターン上の有糸分裂前の形状係数と有糸分裂紡錘体配向との相関を観察することによっても確かめられた。細胞を長方形(11.5μm×55μm=630μm2、輪郭SF=0.3、円盤(直径=29μm、660μm2、輪郭SF=1)及び直角二等辺三角形(縁長さ=32μm、580μm2、輪郭SF=0.6)接着パターン上にプレートした。長方形パターン上に成育させた細胞の大多数(図2A)は最も長い軸に沿って整列した有糸分裂紡錘体を有し、その際総計69%は15°より少ない角度偏差を有する。ディスク上にプレートされた細胞の有糸分裂紡錘体配向は、ランダムな分布を示した(図2B)。細胞を三角形パターン上に成育させると、分布は長方形パターン上に置けるより広いけれども、有糸分裂紡錘体は主として最も長い縁に平行に配向された(図2C)。
【0085】
接着部位の分布は、有糸分裂前の細胞においてビンキュリン含有構造を検査することにより決定された。接着部位はパターン(図4a〜c)の周囲に沿って主として見出され、円形パターンの境界に一様に分布している。しかしながら、長方形パターンでは、2つの最も長い縁の各端部で、1つの主要な接着部位が観察された。ビンキュリンの有意な蓄積が三角形形状の3つの頂点においても観察された。フィラメント状アクチン濃度は長方形形状の細胞の2つの長い縁及び、三角形形状の細胞の3つの縁に沿って高かったが、これに対してそれはディスク形状の細胞の周辺に沿って一様に分布していた。
【0086】
ゆえに、有糸分裂紡錘体配向は、接着に応答して間期G2細胞により発生されたビンキュリン−アクチン組織の全体的配向と相関すると思われた。紡錘体配向は、ビンキュリン−アクチン組織が一方向性であるときはより堅く拘束された。この相関において、細胞輪郭から細胞接着プロフィルを識別するために、細胞輪郭を破壊しないような異なる接着パターンをデザインしそして試験した。これらのバターンデザインは、細胞膜の制限された部分のみが隣接細胞との接着接触に関与している組織条件をまねることを試みた。
【0087】
周囲接着マイクロパターン
[L]及び[バー+ドット]マイクロパターンを、上記した直角二等辺三角形(縁長さ=32μm、面積=580μm2、輪郭SF=0.6)と同じ凸状エンベロープの接着区域及び非接着区域の相補的組み合わせ(complementary combinations)を与えるようにデザインした。すべての場合に、有糸分裂細胞は、斜辺を垂直に二等分する線上に中心を有していた。[L]上では、有糸分裂細胞は直角頂点の近くに隙間なく密集していた(図2D)。紡錘体は三角形の斜辺に平行な方向に整列された。角度分布は、より大きい形状係数にもかかわらず長方形で見出されたと同じように制限された。興味深いことに、[バー+ドット]上の有糸分裂細胞の平均位置は[L]上の平均位置とは有意に異なり、三角形の斜辺に近接している。際立っていることに、紡錘体配向もまた、[バー+ドット]上の斜辺に平行に、しかし二倍大きい角度分布で配向していた(図2E)。
【0088】
これらの結果は、有糸分裂紡錘体配向及び有糸分裂細胞位置決めを予測するのは、細胞形状よりはむしろ、細胞周囲における細胞接着の分布であることを証明する。間期細胞におけるビンキュリン及びフィラメント状アクチンの三角形分布は同様でありそして共通の細胞形状を反映するけれども、[L]及び[バー+ドット]パターンは、細胞接着−アクチンシステムの内部アセンブリーを案内した2つの異なる外部境界条件を与えた。ゆえに、非接着側に沿ったアクチン束は相当より太くそして、接着縁に沿ったそれよりも大きいビンキュリン−ポジティブフォーカルアドヒージョン(vinculin-positive focal adhesions)と会合していた。
【0089】
本発明者は、ビンキュリン−アクチンシステムを等しくなく分布させることにより細胞が接着パターンに応答し、かくして外部的に強いられた接着表面の対称性及び重量、下記に説明される性質を複製すると結論する。彼らは、これらの強いアクチン束は、区画及び他の細胞骨格ネットワークの細胞内分布をバイアスさせることができ、かくして細胞分裂及び紡錘体配向のための案内合図を与えることができると推理した。[L]上の細胞における有糸分裂装置は1つの主要な一方向性拘束により影響を受けるであろうが、これに対して[バー+ドット]上の細胞の有糸分裂装置は、[L]上と同じであるがより大きい変動性を有する平均配向をもたらす2つの主要な垂直な拘束に遭遇するであろう。注目すべきことに、両方の場合に、得られる拘束はマイクロパターン及び細胞内の唯一の対称面に垂直であり、この面は斜辺をニ等分する。
【0090】
細胞応答を案内するときに接着表面の空間的分布及び対称のそれぞれの役割を更に分析するために、1つより多くの対称面を有する形状を持った周囲パターンを検査した。これらのパターンは、正方形のテンプレートに基づいておりそして、4つの対称軸を有する中空正方形からなる[フレーム]パターン、1つのみの対称面を有する2つの垂直な接着縁及び2つの垂直な非接着縁からなる[L+ドット]パターン、1つは接着性であり、他方は接着性ではない対向する2つの縁の2つの対及び2つの対称軸からなる[ツイーンバー]パターンを含んでいた(図3F〜3H)。ビンキュリン−アクチン構造は、上記の如き挙動を示し、非接着縁に沿ったエレメントはより顕著であり、かくして接着表面の外部対称性及びバランスを細胞内に反映する(図3F〜3H)。
【0091】
[フレーム]パターン(縁長さ=29μm、面積=900μm2、輪郭SF=0.4)上では、G2細胞は縁に沿って4つの同等なビンキュリン−アクチンケーブルを有し(図2F)、そして有糸分裂紡錘体は、1つの対角線又は他方の対角線に沿って主として配向した(図3F)。縁に対して平行よりはむしろこの優先的な対角線配向は、紡錘体が間期細胞骨格の4つの成分を足し合わせてそれ自体配向する、プロセスを明白に示唆する。興味深いことに、フレームと同じ対称軸を有する[十字]のような非周囲パターンは、ビンキュリン−アクチン構造内の同様なバランス(図3I)及び紡錘体配向分布(図2I)を示す。[L+ドット]を使用して1つの対称面に減少させることにより、紡錘体は、これに垂直に整列しそして有糸分裂細胞位置の分布は接着バーコーナーに向けでシフトした(図2G)。
【0092】
興味深いことに、[ツインバー]を使用して2つの対称面を有することにより、紡錘体は主として1つのみの軸に沿って配向された(図2H)。この軸は、2つの最も強いビンキュリン−アクチン構造に対応する、非接着縁に平行であり(図3H)そして長い細胞軸から45°であった。第2対称面に垂直な配向はまれであった。これらの結果は、接着分布内のアンバランスは紡錘体配向のプロセスに統合されそして他の幾何学的パラメーターを乗り越える(override)ことができることを証明する。
【0093】
最後に、接着パターンの対称エレメントの数を減少させること又はそれらのそれぞれの重量をバイアスすることにより紡錘体配向を指向させることができる。細胞輪郭により規定された長い軸は、決定的に重要ではなくそして実験的に乗り越されうる。細胞は、外部接着条件の対称性及びバランスを内部的に解釈しそして、これは紡錘体配向を案内すると思われる。
【0094】
有糸分裂細胞中心の位置がパターンによりいかに制御されるか? 有糸分裂細胞の丸化(rounding)は、細胞リトラクション(cell retraction)で始まる(Mitchison,1992; Cramer and Mitchison. Mol. Biol. Cell 8, 109-119, 1997)。本発明者は、アクチンケーブルがより豊富な非接着境界における細胞のふち(cell margins)は、最初にリトラクションしそして第一RFsは対応する細胞頂点に現れることを観察した。次いで、接着パターンとの接触は、漸次にリトラクションされ、細胞体を接着区域に近い最終的に完全な丸形化(rounding-up)に導く。この機構は、[フレーム]の中心に近接して位置した有糸分裂細胞位置の広い分布を誘発し、これに対して、それは、[十字]上ではるかに多く濃厚であり、[L+ドット]上では接着コーナーに向けてシフトされ、そして[ツインバー]上では接着区域に向けて伸長される(図2における分布参照)。興味深いことに、丸い細胞体の再終位置がなんであれ、RFsは全体のパターンへの連結を維持し(図2右欄参照)、そうして紡錘体配向に影響を与えると思われる。これは、紡錘体形成と細胞リトラクションとの間の時間的相関の重要な問題を提起する。
【0095】
有糸分裂細胞丸化、中心体分離及び紡錘体アセンブリー
娘中心体の分離は、しばしば有糸分裂の開始とみなされる。この事象がいかに細胞丸化と相関しているかは明らかには知られていない。例えば、中心体分離は、細胞丸化の前に前中期においてしばしば起こることが報告された。本発明者は、この観点を、無限接着基質上で移動する細胞及び[L]パターン上に固定化された細胞において再調査した。図4Aに示されたとおり、中心体の分離は両条件において顕著に異なっていた。移動している細胞では、中心体分離は、よりしばしば細胞丸化より先行し、そしてこれらの事象間に要した時間は細胞間で変わった。[L]上に固定化された細胞では、中心体分離の開始は、細胞丸化と密接に同期化されている(図4B)。核膜がまだ存在している間に中心体は分離し、そして細胞丸化期間中に起こる核膜崩壊(nuclear envelope breakdown)(細胞質セントリン−GFPの再分布によりモニターされた)後にのみそれらの最終位置に到達した。
【0096】
有糸分裂前のアクチンネットワークが有糸分裂皮質リトラクション(mitotic cortical retraction)期間中にリモデリングされる機構及び アクチンに富んだリトラクション繊維(retraction fibers)の相関的形成は、完全には理解されていない。正しく配向されるために紡錘体アセンブリーがアクチンネットワークのリモデリング期間中に起こらなければならなかったがどうかをアドレスするために、中心体は、有糸分裂前の細胞を10−7Mノコダゾールで1時間処理することにより[L]パターン上での細胞リトラクション期間中分離するのを阻止された。この処理は、分離していない中心体を有する中期において細胞をブロックしたが、細胞丸化をブロックしなかった。ノコダゾール洗浄の後に、中心体は分離しそして二極性紡錘体を形成した(図4C)。処理しなかった細胞の場合よりはるかに広いとしても、ノコダゾール洗浄後の紡錘体配向の分布は、三角形の斜辺に平行にまだ優先的に配向された(図4D)。これは、微小管の不存在下の有糸分裂細胞リトラクションが、まだ接着パターンに対して感受性である丸い細胞をもたらすことを示す。RFsは紡錘体配向を案内するための良好な候補である。何故ならば、それらはノコダゾール処理にもかかわらず維持されているからである。
【0097】
実際に本発明者の他の結果と同じく、RFsの分布は接着プロフィルに直接依存する。それらは、非接着区域にはほとんど存在しない。丸い細胞体上のそれらの付着ゾーンのそれぞれの配向は、紡錘体極の優先的配向に系統的に対応する(図2)。長方形、[L]及び[ツインバー]パターンは、すべて紡錘体配向に対する有効な拘束を与え、そしてRFsの2つの主要な対向する皮質付着ゾーンの形成を誘発した。これに対して、丸い細胞上の2つより多くの主要RFs付着ゾーンの形成を誘発したパターン([完全三角形]、[バー+ドット]、[フレーム]、[L+ドット])は紡錘体配向を制御するのにはるかに少ない有効性であった。例えば、[L]及び[L+ドット]パターン上における同様な有糸分裂細胞位置付けにもかかわらず、ドットにより誘発された追加のRFsは、紡錘体配向を不安定化するのに十分であった。RFsはそれらが張力下にあることを顕著に直接に示唆している。ゆえに、それらは、有糸分裂アクチン−ビンキュリン構造から紡錘体装置に必要な構造的及び生化学的情報を伝達することができると思われる。
【0098】
検討
本発明者は、有糸分裂細胞の位置及び細胞内の有糸分裂紡錘体の配向の両方共外部接着パターンに対して鋭敏に感受性であることを証明した。有糸分裂の開始時に二極性紡錘体の配向を駆動するのは、細胞の接着パターンへの応答、即ち、パターントポロジーによる 非等方性ネットワークへの接着繊維及びストレス繊維のコアセンブリー(co-assembly)である。フォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向は、細胞が基質に及ぼす牽引力に直接相関していることが示された。完全に接着性正方形マイクロパターン上では、これらの力は、ビンキュリンが蓄積する細胞頂点において事実上はるかにより強い。結果として、ビンキュリン−アクチンネットワーク以内の対称性及びアンバランスは、細胞−基質界面における力の分布の方向及び強度を反映する。実際に、アクチン細胞骨格のこのような優先的な配向は、接着細胞内の三次元異方性力場に最近相関させられた。次いで本発明の観察は、紡錘体軸は間期に発生した力場に沿って系統的に整列され、該力場はリトラクティング繊維の張力により有糸分裂期間中部分的に維持されうることを示唆する。この整列は、娘細胞の形成のため及び娘細胞が細胞牽引場を回復して細胞質分裂を完了させるための、牽引場に沿って染色体の移動のための熟練した安定な配置(configuration)を創り出す。実際に、これは、組織統合性を維持するための助けとなることができる。最後に、本発明のアプローチは、細胞牽引力の全体的組織と分裂軸との間の予想されなかった関連を示した。その再現性及び自動化は、細胞皮質との紡錘体相互作用に関与したシグナリングを前もって調査するのに価値あるであろう
【0099】
実施例2
材料及び方法
化学品
PDMS:Sylgard, Dow Corning, ref: 1673921, 184シリコーンエラストマーキット。
メルカプトシラン:Roth Sochiel, ref: SIM6476.0, 3メルカプト−プロピウルリメトキシシラン。
PEG-mal:Shear Water mPEG-MAL MW:5000,ref2D2MOH01。
フィブロネクチン:Sigma
トリプシン
【0100】
マイクロコンタクトプリンティングμCP
マスターテンプレートは、Whitesides et al(Annu. Rev. Biomed. Eng., 2001, p 335-373)により開発されそして完全に記載されたフォトリソグラフィー法を使用して作成された。簡単に言えば、フォトレジスト層でコーティングされたシリコーンウエーハを、パターンが電子ビームによりデザインされているクロムマスクを通して紫外線で照射した。エラストマーポリ(ジメチルシロキサン)、PDMS、スタンプをマスター上でキャストさせそして60℃で3時間硬化してマスターのネガティブ特徴を再現した。PDMSのスタンプを、エタノール70%中で2分間超音波処理しそして吹き込んだ空気で乾燥し、次いでエアプラズマ中で10秒間酸化しそしてタンパク質溶液、水中のフィブロネクチン50μg/mLで30分間インキ付けした。次いで溶液を吸引しそしてスタンプをろ過した空気で乾燥し、次いでシラン化されたカバースリップと15分間接触させた。カバースリップは、「ピラニア」溶液(30%H2O233%、70%H2SO496%)で10分間前もって酸化し、室温で3時間シラン処理し(10mLメタノール、86μL酢酸、450μL脱イオン水、212μLメルカプトシラン中)、メタノール中で洗浄しそして60℃で10分間乾燥した。スタンプの除去後に、プリントされたカバースリップを、PBS中のマレイミドポリ(エチレングリコール)、PEG−mal溶液10mg/mL中で室温で1時間インキュベーションした。次いで、カバースリップをPBS中で穏やかに洗浄しそして細胞付着(cell deposition)の準備が整った。
【0101】
細胞培養及び付着
細胞を、10%小ウシ血清、1%ペニシリン及びストレプトマイシン並びに1%グルタミンを有するダルベッコの改変イーグル培地中で37℃で培養した。細胞を加温されたPBSで洗浄しそしてそれらのフラスコからトリプシンで37℃で2分間除去した。遠心によりトリプシンを除去した後、細胞をできるだけ少ない血清でDMEM中に懸濁させそして約104細胞/cm2密度で印刷されたカバースリップ上に付着させた。30分未満後に、非接着細胞を除去した。1時間後に、細胞をそれらの拘束された形状において平衡化しそして固定又はビデオ顕微鏡法の準備を整えた。
【0102】
結果
フォーカルアドヒージョン及びアクチンネットワーク
低血清培地において、フォーカルアドヒージョンを接着パターンに厳密に制限した。細胞形状は、常に接着マイクロパターンの凸状エンベロープに対応していた。L形状マイクロパターンでは、細胞は直角の三角形状を有するが、非接着区域ではいかなるフォーカルアドヒージョンも発生しなかった。いくつかの細胞型は、L形状マイクロパターン上で極めて特異的なそして反復接着挙動を示した。アクチンネットワーク構造はフォーカルアドヒージョンの特定の分布に直接相関していた。
【0103】
L929
細胞は、非接着区域に面する周囲の凹状区域(concave sector)を除いて、接着マイクロパターン一面に及びその周囲にフォーカルアドヒージョンを発生させた。アクチン繊維は、非接着ホールの両側に沿って常に固着され、そしてL形状パターンの斜辺に基本的に平行に配向された。フィブロネクチンの分布はL形状パターンに従った(図6参照)。
【0104】
MDCK
細胞は、接着表面の細胞周囲でのみフォーカルアドヒージョンを発生させたが、非接着区域に面する周囲の凹状区域では発生しなかった。ビンキュリンは細胞頂点(又は複数の頂点)に蓄積するようでありそして、もし頂点が十分近接しているならば、それらは長い連続的接着境界を作ることができると思われる。アクチン繊維は細胞周囲に殆ど制限される。同様な写真が無限接着表面上で成育したコントロール細胞について観察されたが、L形状マイクロパターンは、個々のフォーカルアドヒージョンの分布に対する強い正規化効果(normalizing effect)を有する。フィブロネクチンの分布は、L形状パターンに従っていた(図7参照)。
【0105】
HeLa
ビンキュリンは、細胞質において豊富であり、可溶性プールの存在を示唆するランダム方式で分布していた。細胞は、細胞頂点に及び接着表面の周囲に沿ってそれらのフォーカル複合体の大部分を発生させたが、この場合も非接着区域に面する周囲の凹状区域では発生しなかつた。フィブロネクチンの分布はL形状パターンに従った(図8参照)。
【0106】
微小管動力学
微小管ネットワークは、その構造と接着パターンとの間に明らかな相関を示すのにはあまりも密である。しかし、EB1のような微小管の成長しているプラス端部と関連したいくらかのタンパク質は隠れていたのを見ることができる。成長している端部の大部分は、直角三角形細胞の周囲に局在化しており、そして核形成中心、中心体の近くにも局在化しており、中心体からそれらは細胞頂点に向けて放射状に伸びていると思われる。(図9参照)。ビデオ記録により測定されたEB1動力学は、微小管が直角三角形細胞の2つの鋭い頂点に向けて主として成長していることを確証した(図10参照)。
【0107】
中心体位置
接着パターンは間期における投影された平均中心小体位置の存在の90%を有する区域の定義を可能とした。(図11参照)。
【0108】
ゴルジ構造
微小管ネットワークは、ゴルジ装置構造のための骨格として非常に複雑な方法で作用する。接着マイクロパターン上の細胞は移動することができない。古典的には中心体の付近に局在化している全体のゴルジ構造は、古典的培養条件で観察されるとおり(図12B)局所的にのみならず、全体的に、全細胞小器官レベルで(図12A)、CGNからTGNまで分極された。ゴルジ装置は、細胞平坦化によりもはや変形されないで、中心体のまわりの種々の区画の同心組織を示した。(図13参照)。
【0109】
紡錘体配向
L形状接着マイクロパターン上では、細胞の80%より多くが、L斜辺と10°より小さい角度をなす軸に沿って分裂した。最も小さいL形状接着マイクロパターンすら、細胞分裂を配向させるのに有効であった。(図14参照)。
【0110】
L形状接着マイクロパターンの分岐はより短くそしてより広くなる(非接着区域が減少する)(図15)につれて、紡錘体軸と斜辺との角度の分布はより広くなった。(図16及び17参照)。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1A】L形状接着パターン上でプレートされた細胞について後期(anaphase)及び紡錘体配向の自動化数値的検出。10倍対物を有する位相差顕微鏡法における3分の低速撮影(time-lapse)からのフレーム。数値は、図1Cの時間曲線上で報告された数値に対応する。フレーム4に示された有糸分裂細胞中心及びフレーム5に示された後期紡錘体配向(anaphase spindle orientation)は分析bから報告される。
【図1B】L形状接着パターン上でプレートされた細胞について後期(anaphase)及び紡錘体配向の自動化数値的検出。aにおける写真のウエーブレットセグメント化(wavelet segmentation)。楕円形適合は黒で示される。黒の点線は楕円長軸及び楕円短軸に対応する。有糸分裂細胞中心はフレーム4で測定され、フレーム5において後期の6分前に測定される。後期配向(anaphase orientation)は、図2に示されたとおりに配向されたパターンの鉛直基準に対するフレーム5における楕円長軸の配向である。
【図1C】L形状接着パターン上でプレートされた細胞について後期(anaphase)及び紡錘体配向の自動化数値的検出。時間に対する形状係数。形状係数は、bで規定された長軸に対する短軸の比である。フレーム5における後期伸長(anaphase elongation)は、0.9以上から0.6未満までの形状係数シフトにより自動的に検出される。バー=20μm。
【図2A】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。フィブロネクチンの完全に接着性のマイクロパターン。スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2B】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。フィブロネクチンの完全に接着性のマイクロパターン。スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2C】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。フィブロネクチンの完全に接着性のマイクロパターン。スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2D】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。周囲接着性マイクロパターン(peripherally adhesive micropatterns)スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2E】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。周囲接着性マイクロパターン(peripherally adhesive micropatterns)スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2F】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。周囲接着性マイクロパターン(peripherally adhesive micropatterns)スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2G】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。周囲接着性マイクロパターン(peripherally adhesive micropatterns)スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2H】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。周囲接着性マイクロパターン(peripherally adhesive micropatterns)スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図2I】種々の接着パターン上でプレートされた生きている細胞の有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向の分布。第1及び第2欄:図1に記載のとおりに測定された有糸分裂細胞位置及び紡錘体配向。丸い細胞中心位置の座標はマイクロメートルで示されそして有糸分裂紡錘体配向についての各バーは10度を表す。第3欄:中期に固定された細胞の例。フィブロネクチンマイクロパターン上でプレートされ、中期に固定されそしてアクチン(z取得('z acquisition)の中央)についてはファロイジン−FITCでそしてDNAについてはDAPIで染色された、セントリン−1GFPを発現するHeLa細胞。第4欄:z取得の下部でファロイジン−FITCによるアクチン染色について観察された同じ細胞。丸い細胞体での紡錘体極位置とリトラクティング繊維固着(retracting fibers anchoring)との相関に留意されたい。図2Fにおけると同じ対称性を有する[十字]マイクロパターン。スケール:細胞像及び細胞位置表示は、同じスケールである:格子ステップは4ミクロンである。
【図3A】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョン(focal adhesion)のサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3B】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3C】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3D】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3E】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3F】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3G】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3H】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図3I】フィブロネクチンマイクロパターンは、アクチン細胞骨格及びフォーカルアドヒージョンのサイズ及び配向をモジュレートする。セントリン−1GFPを発現しているHeLa細胞を固定しそしてG2(細胞が丸くなる1時間前)において染色する。対応するパターン上でプレートされた細胞に対するビンキュリンの免疫標識化及びフィラメント状アクチンのファロイジン−FITC染色。一般に、非接着性境界及び対応するフォーカルアドヒージョンに沿ったアクチン束は、接着性境界に沿ったアクチン束より太くそして大きい。併合像の下部右コーナーの4倍倍率は右欄に示される。接着パターン、フォーカルアドヒージョン分布及びアクチン組織は、同じ対称性及びバランスを共有することに留意されたい。図3A−I、図4に記載したのと同じ接着条件。バー=5μm。
【図4A】有糸分裂紡錘体形成期間中の中心体分離。均一なフィブロネクチンコーティングされたガラスカバースリップ上(図4A、n=24)又はL形状マイクロパターン(図4B、n=14)上にプレートされた細胞について時間に対する細胞投影面積(黒)及び中心体間投影距離(inter-centrosome projected distance)(グレー)。細胞面積は、初期面積に対して正規化される。誤差バーは標準偏差を表す。時間0は細胞リトラクション(cell retraction)の開始に相当する。中心体分離は風変わりでありそしてしばしば無限基質上では細胞リトラクションに先行し、これに対してそれはマイクロパターン上では細胞リトラクションと同期していた。
【図4B】有糸分裂紡錘体形成期間中の中心体分離。均一なフィブロネクチンコーティングされたガラスカバースリップ上(図4A、n=24)又はL形状マイクロパターン(図4B、n=14)上にプレートされた細胞について時間に対する細胞投影面積(黒)及び中心体間投影距離(inter-centrosome projected distance)(グレー)。細胞面積は、初期面積に対して正規化される。誤差バーは標準偏差を表す。時間0は細胞リトラクション(cell retraction)の開始に相当する。中心体分離は風変わりでありそしてしばしば無限基質上では細胞リトラクションに先行し、これに対してそれはマイクロパターン上では細胞リトラクションと同期していた。
【図4C】有糸分裂紡錘体形成期間中の中心体分離。L形状上での有糸分裂期間中セントリン−1GFPの低速撮影取得(time-lapse acquisition)の例。
【図4D】有糸分裂紡錘体形成期間中の中心体分離。NZ有糸分裂停止後の中心体分離の例。白色の十字は中心体に相当する。
【図4E】有糸分裂紡錘体形成期間中の中心体分離。NZ放出後の紡錘体配向の分布。各バーは30°を表す。紡錘体は依然として、コントロール細胞におけると同じく丸い細胞体において主として配向することができることに留意されたい。バー=10μm。
【図5A】接着パターンの例。黒の区域は接着区域を示し、これに対して白の区域は非接着区域を示す。紡錘体軸配向を制御するのに適した対称的L形状パターンウエル。
【図5B】接着パターンの例。黒の区域は接着区域を示し、これに対して白の区域は非接着区域を示す。核の一側に中心体−ゴルジ装置細胞小器官(centrosome-Golgi apparatus organelle)を配置するのに適した非対称的形状。
【図6A】異なるL形状マイクロパターン上のL929細胞。L形状マイクロパターン上のビンキュリン分布。
【図6B】異なるL形状マイクロパターン上のL929細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びアクチン分布。
【図6C】異なるL形状マイクロパターン上のL929細胞。L形状マイクロパターン上のアクチン分布。
【図6D】異なるL形状マイクロパターン上のL929細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びアクチン分布。
【図6E】異なるL形状マイクロパターン上のL929細胞。マイクロパターン化されたフィブロネクチン。
【図7A】異なるL形状マイクロパターン上のMDCK細胞。L形状マイクロパターン上のビンキュリン分布。
【図7B】異なるL形状マイクロパターン上のMDCK細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びアクチン分布。
【図7C】異なるL形状マイクロパターン上のMDCK細胞。L形状マイクロパターン上のアクチン分布。
【図7D】異なるL形状マイクロパターン上のMDCK細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びアクチン分布。
【図7E】異なるL形状マイクロパターン上のMDCK細胞。マイクロパターン化されたフィブロネクチン。
【図8A】異なるL形状マイクロパターン上のHeLa細胞。L形状マイクロパターン上のビンキュリン分布。
【図8B】異なるL形状マイクロパターン上のHeLa細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びフィラメント状アクチン分布。
【図8C】異なるL形状マイクロパターン上のHeLa細胞。L形状マイクロパターン上のフィラメント状アクチン分布。
【図8D】異なるL形状マイクロパターン上のHeLa細胞。それぞれ、無限の接着表面上に成育させたコントロール細胞のビンキュリン及びフィラメント状アクチン分布。
【図8E】異なるL形状マイクロパターン上のHeLa細胞。マイクロパターン化されたフィブロネクチン。
【図9A】中心体からL形状端に向けて放射状に伸びている微小管ネットワーク。L形状接着性マイクロパターン上に拘束されたHeLa細胞におけるEB1標識。
【図9B】中心体からL形状端に向けて放射状に伸びている微小管ネットワーク。拘束されたHeLa細胞のセントリン−GFP及びチューブリン標識。
【図10】中心体からL形状端へ向けての微小管+端部軌道。EB1−GFPでトランスフェクションされたHeLa細胞におけるビデオ記録により測定されたEB1動力学。2分間2秒毎に低速度撮影取得の重ね合わせ。
【図11】中心体位置:セントリン−1GFPを安定に発現するHeLa細胞を4分間ビデオ記録した。4秒毎の低速度撮影取得の重ね合わせ。フィブロネクチンはグレー、セントリンは白。
【図12A】A、B、C、D:L形状マイクロパターン上のHeLa細胞の中心体のまわりのゴルジ同心構造(Golgi concentric structure)。TGN(トランスゴルジ網)のための免疫標識。
【図12B】A、B、C、D:L形状マイクロパターン上のHeLa細胞の中心体のまわりのゴルジ同心構造(Golgi concentric structure)。CGN(シスゴルジ網)のための免疫標識。
【図12C】A、B、C、D:L形状マイクロパターン上のHeLa細胞の中心体のまわりのゴルジ同心構造(Golgi concentric structure)。セントリンGFP。
【図12D】A、B、C、D:L形状マイクロパターン上のHeLa細胞の中心体のまわりのゴルジ同心構造(Golgi concentric structure)。マイクロパターン化されたフィブロネクチンのための免疫標識。
【図12E】無限接着表面で成育させた細胞のゴルジ構造。TGN(トランスゴルジ網)のための免疫標識。
【図12F】無限接着表面で成育させた細胞のゴルジ構造。CGN(シスゴルジ網)のための免疫標識。
【図13A】有糸分裂の3つの異なる段階:間期、中期及び終期後、を示すL形状マイクロパターン上に固定されたHeLa細胞。フィブロネクチンのマイクロパターン。
【図13B】有糸分裂の3つの異なる段階:間期、中期及び終期後、を示すL形状マイクロパターン上に固定されたHeLa細胞。チューブリンのための免疫標識。
【図13C】有糸分裂の3つの異なる段階:間期、中期及び終期後、を示すL形状マイクロパターン上に固定されたHeLa細胞。セントリンGFP。
【図14】異なるL形状接着マイクロパターン:各ゾーンにおいて、総接着表面は一定であり、分岐はより細くそしてより長くなる。S1又はD1からS3又はD3まで、接着表面は減少する。
【図15】中期面とL斜辺に正常(垂直)な面との角度の分布曲線。曲線当り測定の数は
【表1】
である。
【図16】終期期間中の細胞分裂軸とL斜辺との角度の分布曲線。曲線当りの測定の数は
【表2】
である。
【図17A】中期面とL又は対応する完全三角形斜辺に対する正常(垂線)な面との角度の分布曲線。L形状(図16におけるS13)上の分布曲線。
【図17B】中期面とL又は対応する完全三角形斜辺に対する正常(垂線)な面との角度の分布曲線。対応する完全三角形における分布曲線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの細胞を特定の位置及び所定の位置において、細胞内組織の制御された分極で接着させる装置であって、
表面を規定するプレートと、
該表面上の少なくとも1つの異方性接着パターン、
を含み、
該パターンのサイズは、1個のみの個々の細胞が該パターンにおいて細胞内組織の制御された分極で接着することができるようなものであり、そして
該異方性接着パターンは凹状接着パターン又は0.6未満の形状係数を有する長く且つ細い接着区域である、
装置。
【請求項2】
該接着パターンが、単一の連結した接着表面又はいくつかの非連結接着表面から形成されうる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
該接着パターンが、線、曲線及び点から選ばれる接着要素の組み合わせからなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
該異方性接着パターンが凹状接着パターンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
該接着パターンの凸状エンベロープが1つ以上の接着線又は曲線を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
該凸状エンベロープが多角形である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
該多角形が三角形である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
該三角形は2つの接着縁を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
2つの接着縁間の角度は約90°である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
該多角形が四辺形である、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
該四辺形が2つの非連続接着縁を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
該四辺形が2つの連続した接着縁及び1つの接着コーナーを有する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
該装置は、細胞が接着しない細胞非親和性領域により互いに隔離された複数の接着パターンを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
該装置は、少なくとも100の接着パターンを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
該装置は、5000〜15000接着パターン/cm2を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
該接着パターンにより内接された表面が本質的に非接着性である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
細胞を表面に固定化する方法であって、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置を提供すること、
該細胞が該接着パターンに結合することを可能とするのに十分な時間の期間該プレートを少なくとも1つの細胞にさらすこと、
を含む方法。
【請求項18】
細胞形状及び全体的細胞内組織を制御する方法であって、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置を提供すること、
該複数の接着パターンを、少なくとも1つの細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、そして、
該接着パターンの形成が該細胞の形状及び該細胞機械の分極に影響を与えることを可能としながら、該細胞を該接着パターン上で成育させること、
を含む方法。
【請求項19】
細胞の形状、全体的細胞内組織及び/又は機能を研究する方法であって、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置を提供すること、
該接着パターンを、少なくとも1つの細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
該細胞を該接着パターン上で成育させ、そして
該細胞の形状、全体的細胞内組織、有糸分裂及び/又は機能を観察すること、
を含む方法。
【請求項20】
生物学的に活性な化合物を選択する方法であって、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置を提供すること、
該接着パターンを、少なくとも1つの細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
試験化合物を該細胞と接触させること、
該細胞を該接着パターン上で成育させること、そして
該細胞の形状、全体的細胞内組織、有糸分裂及び/又は機能を観察すること、
を含む方法。
【請求項21】
該細胞の形状、全体的細胞内組織及び/又は機能を、該試験化合物により接触されていない細胞と比較する追加の工程を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
全体的細胞内組織を、中心体の位置及びゴルジ装置の位置、アクチンフィラメントの空間的分布及び/又は有糸分裂紡錘体配向により評価する、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
該細胞の自動化された分析用にデザインされたアルゴリズムを使用する特定のソフトウエアを含む像解析機を使用する、該細胞の自動化された分析を含む、請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
自動化された分析が、
a)プレート上の接着パターンの位置を同定すること、
b)細胞像をいくつかの同定されたパターンについていくつかの時間に記録すること、
c)細胞像からの細胞輪郭に楕円を適合させること、
d)分裂時間を検出しそして関心のあるパラメーター、中でも紡錘体配向、を決定すること、
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
細胞が紡錘体の間違った配向に関連した形質転換された表現型を有するかどうかを決定する方法であって、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置を提供すること、
該接着パターンを、試験すべき細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
該試験すべき細胞を該接着パターン上で成育させること、
各細胞の紡錘体配向を決定し、そして異なる細胞の紡錘体配向を比較すること、
その際、大きな紡錘体配向分散は、試験された細胞が紡錘体の間違った配向に関連した形質転換された表現型を有することを示すこと、
を含む方法。
【請求項26】
関心のある化合物をスクリーニングするための請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項27】
関心のある遺伝子を同定するための請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項28】
細胞が紡錘体の適切な配向を制御する能力を失っているかどうかを決定するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項1】
少なくとも1つの細胞を特定の位置及び所定の位置において、細胞内組織の制御された分極で接着させる装置であって、
表面を規定するプレートと、
該表面上の少なくとも1つの異方性接着パターン、
を含み、
該パターンのサイズは、1個のみの個々の細胞が該パターンにおいて細胞内組織の制御された分極で接着することができるようなものであり、そして
該異方性接着パターンは凹状接着パターン又は0.6未満の形状係数を有する長く且つ細い接着区域である、
装置。
【請求項2】
該接着パターンが、単一の連結した接着表面又はいくつかの非連結接着表面から形成されうる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
該接着パターンが、線、曲線及び点から選ばれる接着要素の組み合わせからなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
該異方性接着パターンが凹状接着パターンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
該接着パターンの凸状エンベロープが1つ以上の接着線又は曲線を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
該凸状エンベロープが多角形である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
該多角形が三角形である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
該三角形は2つの接着縁を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
2つの接着縁間の角度は約90°である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
該多角形が四辺形である、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
該四辺形が2つの非連続接着縁を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
該四辺形が2つの連続した接着縁及び1つの接着コーナーを有する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
該装置は、細胞が接着しない細胞非親和性領域により互いに隔離された複数の接着パターンを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
該装置は、少なくとも100の接着パターンを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
該装置は、5000〜15000接着パターン/cm2を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
該接着パターンにより内接された表面が本質的に非接着性である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
細胞を表面に固定化する方法であって、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置を提供すること、
該細胞が該接着パターンに結合することを可能とするのに十分な時間の期間該プレートを少なくとも1つの細胞にさらすこと、
を含む方法。
【請求項18】
細胞形状及び全体的細胞内組織を制御する方法であって、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置を提供すること、
該複数の接着パターンを、少なくとも1つの細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、そして、
該接着パターンの形成が該細胞の形状及び該細胞機械の分極に影響を与えることを可能としながら、該細胞を該接着パターン上で成育させること、
を含む方法。
【請求項19】
細胞の形状、全体的細胞内組織及び/又は機能を研究する方法であって、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置を提供すること、
該接着パターンを、少なくとも1つの細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
該細胞を該接着パターン上で成育させ、そして
該細胞の形状、全体的細胞内組織、有糸分裂及び/又は機能を観察すること、
を含む方法。
【請求項20】
生物学的に活性な化合物を選択する方法であって、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置を提供すること、
該接着パターンを、少なくとも1つの細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
試験化合物を該細胞と接触させること、
該細胞を該接着パターン上で成育させること、そして
該細胞の形状、全体的細胞内組織、有糸分裂及び/又は機能を観察すること、
を含む方法。
【請求項21】
該細胞の形状、全体的細胞内組織及び/又は機能を、該試験化合物により接触されていない細胞と比較する追加の工程を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
全体的細胞内組織を、中心体の位置及びゴルジ装置の位置、アクチンフィラメントの空間的分布及び/又は有糸分裂紡錘体配向により評価する、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
該細胞の自動化された分析用にデザインされたアルゴリズムを使用する特定のソフトウエアを含む像解析機を使用する、該細胞の自動化された分析を含む、請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
自動化された分析が、
a)プレート上の接着パターンの位置を同定すること、
b)細胞像をいくつかの同定されたパターンについていくつかの時間に記録すること、
c)細胞像からの細胞輪郭に楕円を適合させること、
d)分裂時間を検出しそして関心のあるパラメーター、中でも紡錘体配向、を決定すること、
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
細胞が紡錘体の間違った配向に関連した形質転換された表現型を有するかどうかを決定する方法であって、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置を提供すること、
該接着パターンを、試験すべき細胞と、該細胞が該接着パターンに接着することを可能とするのに十分な時間の期間接触させること、
該試験すべき細胞を該接着パターン上で成育させること、
各細胞の紡錘体配向を決定し、そして異なる細胞の紡錘体配向を比較すること、
その際、大きな紡錘体配向分散は、試験された細胞が紡錘体の間違った配向に関連した形質転換された表現型を有することを示すこと、
を含む方法。
【請求項26】
関心のある化合物をスクリーニングするための請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項27】
関心のある遺伝子を同定するための請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項28】
細胞が紡錘体の適切な配向を制御する能力を失っているかどうかを決定するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置の使用。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図1B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図1B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【公表番号】特表2007−504818(P2007−504818A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525925(P2006−525925)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003091
【国際公開番号】WO2005/026313
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(500026533)アンスティテュ・キュリ (20)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT CURIE
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003091
【国際公開番号】WO2005/026313
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(500026533)アンスティテュ・キュリ (20)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT CURIE
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】
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