説明

組電池の昇温制御装置

【課題】高電圧バッテリ10に接続される昇降圧コンバータ(図示略)の昇降圧処理によって高電圧バッテリ10の充放電を行なうことで昇温制御を行なう場合、車両の走行中に昇温制御を行なうことが困難となること。
【解決手段】高電圧バッテリ10を構成する各モジュールM1〜Mmは、モジュール間マトリックスコンバータMMCを介してモジュール間コンデンサCmに接続されている。高電圧バッテリ10の温度が低い場合、モジュール間マトリックスコンバータMMCを操作してモジュールM1〜Mmの電気エネルギをモジュール間コンデンサCmに充電し、モジュールMiに放電させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルの直列接続体としての組電池について、その昇温制御を行なう組電池の昇温制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の制御装置としては、たとえば下記特許文献1に見られるものもある。ここでは、車載主機に接続されるインバータと組電池との間に昇降圧コンバータを備え、昇降圧コンバータの操作による昇圧制御と降圧制御とを繰り返すことで組電池の昇温制御を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−312160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記昇降圧コンバータは、車載主機のインバータの入力電圧を調節するためのものであることから、車両の走行時においては、走行に際しての要求に従って操作されることが望まれる。このため、車両の走行中に昇降圧コンバータを用いて昇温制御を行なうことは困難である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、複数の電池セルの直列接続体としての組電池について、その昇温制御を行なう新たな組電池の昇温制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
【0007】
請求項1記載の発明は、複数の電池セルの直列接続体としての組電池について、該組電池を構成する電池セル間で流れる電流の収支に相違するものが存在するようにすることで、前記電池セル間で電気エネルギを移動させるエネルギ授受手段と、前記組電池の温度が低い場合、前記エネルギ授受手段の操作によって前記組電池を構成する電池セル間で電気エネルギを授受させることで、前記組電池の昇温制御を行なう昇温手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記発明では、エネルギ授受手段が、組電池を構成する電池セルの全てに同一の電流が流れることで組電池の充放電を行なう手段とは相違する。このため、組電池の電力が負荷によって利用されている際であっても、昇温制御のためにエネルギ授受手段を操作することが容易となる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記エネルギ授受手段は、前記電池セルのうち電気エネルギを放電する1または複数個の電池セルと、前記電池セルのうち前記放電された電気エネルギが充電される1または複数個の電池セルとを指定可能とするものであることを特徴とする。
【0010】
上記発明では、温度の低い電池セルを集中的に昇温したり、端子電圧が許容範囲から外れないようにしつつ昇温制御を行ったりすることが容易となる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記エネルギ授受手段は、蓄電手段と、前記組電池を構成する第1の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を電気的に開閉する機能、ならびに第2の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を電気的に開閉する機能を有する選択接続手段とを備えて構成され、前記昇温手段は、前記選択接続手段の操作によって前記第1の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を閉状態とすることで、前記蓄電手段を充電すべく前記第1の規定数個の電池セルを放電させる放電処理と、前記選択接続手段の操作によって前記第2の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第2の規定数個の電池セルに充電する充電処理とを行なうものであり、前記第1の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接する複数個の電池セルであり、前記第2の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接する複数個の電池セルであることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記第1の規定数が前記第2の規定数よりも大きいことを特徴とする。
【0013】
上記発明では、蓄電手段が充電されるときにおいて、第1の規定数個の電池セルと蓄電手段との電位差が大きくなり、また、第2の規定数個の電池セルが充電されるときにおいて、蓄電手段と第2の規定数個の電池セルとの電位差が大きくなる。このため、第1の規定数個の電池セルを流れる電流や、第2の規定数個の電池セルを流れる電流を大きくすることができ、ひいては内部抵抗による発熱量を大きくすることができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記第1の規定数個の電池セルは、前記第2の規定数個の電池セルを含むことを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項3〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記昇温手段は、前記第1の規定数個の電池セルと前記第2の規定数個の電池セルとをパターンに従って切り替えるパターン切替手段を備え、前記パターンは、その1周期の期間で、前記組電池を構成する電池セルのうち所定数個の電池セルのそれぞれが前記第1の規定数個の電池セルに含まれる回数が互いに等しく、前記所定数個の電池セルのそれぞれが前記第2の規定数個の電池セルに含まれる回数が互いに等しくなるものであることを特徴とする。
【0016】
上記発明では、充電に用いられる回数、放電に用いられる回数が所定数個の電池セルで同一となるため、所定数個の電池セルについて、それらの端子電圧や、充電率、充電量等のばらつきが昇温制御によって拡大することを好適に回避することができる。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項3〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記昇温手段は、前記第1の規定数個の電池セルおよび前記第2の規定数個の電池セルの少なくとも一方の選択に際し、温度の低い1または複数の電池セルを優先する優先手段を備えることを特徴とする。
【0018】
上記発明では、温度の低い1または複数の電池セルの充放電を優先することで、昇温要求の解除までに要する時間を短縮したり、昇温要求の解除までに生じる損失を低減したりすることができる。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項3〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記選択接続手段は、前記組電池を構成する一部且つ複数個の電池セルであるモジュールの第3の規定数個としての前記第1の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を電気的に開閉する機能、ならびに第4の規定数個のモジュールとしての前記第2の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を電気的に開閉する機能を有し、前記昇温手段は、前記選択接続手段の操作によって前記第3の規定数個のモジュールおよび前記蓄電手段間を閉状態とすることで、前記蓄電手段を充電すべく前記第3の規定数個のモジュールを放電させる放電処理と、前記選択接続手段の操作によって前記第4の規定数個のモジュールおよび前記蓄電手段間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第4の規定数個のモジュールに充電する充電処理とを行なうことを特徴とする。
【0020】
上記発明では、モジュール単位で充放電を行なうことで、電池セルを流れる電流量を大きくすることが容易となり、ひいてはその内部抵抗による発熱量を大きくすることが容易となる。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項3〜8のいずれか1項に記載の発明において、前記選択接続手段は、前記第1の規定数と前記第2の規定数との差を可変とする可変機能を備え、前記昇温手段は、前記組電池を構成する単一の電池セルまたは隣接する複数の電池セルの端子電圧、充電率、および充電量、ならびに前記組電池の温度の少なくとも1つに応じて前記選択接続手段を操作することで、前記充電処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数と前記放電処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数との差を変更する変更手段を備えることを特徴とする。
【0022】
上記差が大きいほど、電池セルに流れる電流量が大きくなり、ひいてはその内部抵抗による発熱量を大きくすることができる。このため、温度に応じて差を変更するなら、電池セルの昇温要求度合いに応じて、発熱量を調節することができる。また、電池セルの端子電圧は、開放端電圧と、内部抵抗による電圧降下との和として表現でき、これには許容範囲がある。このため、開放端電圧によって、許容範囲から外れる充放電電流量が変化する。このため、単一の電池セルや隣接する複数の電池セルについての端子電圧や、充電率、充電量に応じて上記差を変更するなら、許容範囲から外れる事態を回避しつつ極力発熱量を増大させる昇温制御が可能となる。
【0023】
請求項10記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記昇温手段は、放電する電池セルと充電される電池セルとをパターンに従って切り替えるパターン切替手段を備え、前記パターンは、その1周期の期間で、前記組電池を構成する電池セルのうち所定数個の電池セルのそれぞれが前記放電する電池セルに含まれる回数が互いに等しく、前記所定数個の電池セルのそれぞれが前記充電される電池セルに含まれる回数が互いに等しくなるものであることを特徴とする。
【0024】
上記発明では、充電に用いられる回数、放電に用いられる回数が所定数個の電池セルで同一となるため、所定数個の電池セルについて、それらの端子電圧や、充電率、充電量等のばらつきが昇温制御によって拡大することを好適に回避することができる。
【0025】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記昇温手段は、前記放電する1または複数の電池セルおよび前記充電する1または複数の電池セルの少なくとも一方の選択に際し、温度の低い1または複数の電池セルを優先する優先手段を備えることを特徴とする。
【0026】
上記発明では、温度の低い1または複数の電池セルの充放電を優先することで、昇温要求の解除までに要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかるモジュール内調整ユニットの構成を示す回路図。
【図3】同実施形態にかかる昇温制御の充放電パターンを示す図。
【図4】同実施形態にかかる昇温制御の手順を示す流れ図。
【図5】同実施形態にかかる充電セル数と充放電電流との関係を示す図。
【図6】同実施形態の効果を示すタイムチャート。
【図7】第2の実施形態にかかる昇温制御の手順を示す流れ図。
【図8】第3の実施形態にかかる昇温制御の手順を示す流れ図。
【図9】第4の実施形態にかかる昇温制御の充放電パターンを示す図。
【図10】同実施形態にかかる昇温制御を示すタイムチャート。
【図11】第5の実施形態にかかるマトリックスコンバータを示す図。
【図12】上記各実施形態の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる組電池の昇温制御装置を車載2次電池の昇温制御装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
【0030】
図示される高電圧バッテリ10は、電池セルC11〜Cmnの直列接続体としての組電池であり、その端子電圧がたとえば百V以上となるものである。高電圧バッテリ10の正極および負極は、車載主機に接続される電力変換回路の入力端子に接続される。電池セルCij(i=1〜m,j=1〜n)は、リチウムイオン等の2次電池である。電池セルC11〜Cmnは、個体差を除き、互いに等しい構成である。すなわち、充電率(SOC:満充電量に対する実際の充電量の比率)に対する開放端電圧の関係や、満充電量、内部抵抗値等が互いに等しいものである。
【0031】
高電圧バッテリ10の負極電位は、車体電位とは相違する電位に設定されている。詳しくは、本実施形態では、高電圧バッテリ10の正極電位と負極電位との中央値が車体電位となるように設定されている。これは、高電圧バッテリ10の正極および負極間に一対のコンデンサの直列接続体や一対の抵抗体の直列接続体を接続するとともに、上記コンデンサ同士または抵抗体同士の接続点を車体に接続することで行なうことができる。
【0032】
電池セルC11〜Cmnは、互いに隣接するn(>2)個ずつが同一グループとされモジュール化されている。ここで、第iモジュールMiは、電池セルCi1〜Cinからなる。
【0033】
モジュールM1〜Mmのそれぞれは、モジュール間マトリックスコンバータMMCを介してモジュール間コンデンサCmに電気的に接続可能とされている。ここで、モジュール間マトリックスコンバータMMCは、単位電源(モジュール)のそれぞれと、組電池外電源(モジュール間コンデンサCm)との間を開閉する双方向のスイッチング素子QMp1〜QMpm,QMn1〜QMnmを備えて構成される。そしてこれにより、組電池外電源との間で双方向の電気エネルギの授受を行なう単一の単位電源または隣接する複数個の単位電源を選択可能な機能を有する。
【0034】
ここで、スイッチング素子QMpiは、第iモジュールMiの正極とモジュール間コンデンサCmの一方の端子との間を開閉するものであり、スイッチング素子QMniは、第iモジュールMiの負極とモジュール間コンデンサCmの他方の端子との間を開閉するものである。本実施形態では、スイッチング素子QMpi,QMniのそれぞれを、一対のNチャネルMOS電界効果トランジスタにて構成する。ここで、一対のトランジスタを用いるのは、それらのボディーダイオード同士の順方向が互いに逆となるように接続することで、トランジスタのオン操作指令がなされていないときにボディーダイオードを介して電流が流れることを阻止するための設定である。詳しくは、本実施形態では、一対のトランジスタのソース同士を互いに接続する。これは、トランジスタがソースに対するゲートの電位差に応じて駆動されることに鑑み、1つの信号で一対のトランジスタを容易に駆動するための設定である。
【0035】
上記一対のトランジスタのソース同士、ゲート同士は互いに短絡され、ソースおよびゲートのそれぞれは、フォトカプラPMp1〜PMpm,PMn1〜PMnmの2次側の一対の端子のそれぞれに接続されている。本実施形態では、フォトカプラPMpi,PMniとして、電圧を出力するタイプのものを採用している。これは、フォトカプラPMpi,PMniの2次側にスイッチング素子QMpi,QMniを駆動するための電源を設けないための設定である。
【0036】
上記フォトカプラPMpi,PMniの1次側には、電子制御装置(ECU20)が接続されている。ECU20は、高電圧バッテリ10よりも端子電圧の低い補機バッテリ30を電源とするものであり、その動作の基準電位を、高電圧バッテリ10の負極電位とは相違する電位とする。詳しくは、車体電位を基準電位とする。
【0037】
上記モジュール間コンデンサCmの静電容量は、モジュール間コンデンサCmの充電電圧が高電圧バッテリ10の正常時の端子電圧に一致する際、高電圧バッテリ10よりも充電エネルギ量が小さくなるように設定されている。換言すれば、モジュール間コンデンサCmの充電電圧が単一のモジュールMiの正常時の端子電圧に一致する際、単一のモジュールMiよりも充電エネルギ量が小さくなるように設定されている。詳しくは、本実施形態では、モジュール間コンデンサCmの充電電圧が単一のモジュールMiの正常時の端子電圧に一致する際、充電エネルギ量がモジュールMiの「1/10万」以下、望ましくは、「1/100万」以下となるように設定されている(また、「1/3億」以上とすることが望ましい)。なお、ここでのモジュールMiの充電エネルギ量は、正常時の端子電圧において想定される最小値とする。
【0038】
ECU20は、インターフェース22を介してモジュール内調整ユニットU1〜Umのそれぞれから出力される信号を受信し、これに基づき、モジュール間マトリックスコンバータMMCを操作する。また、ECU20は、インターフェース22を介して、モジュール内調整ユニットU1〜Umに、充電状態を調整する旨の指令信号を出力する。なお、インターフェース22は、フォトカプラ等によって構成すればよい。
【0039】
図2に、モジュール内調整ユニットU1〜Umの構成を示す。
【0040】
図示されるように、モジュール内調整ユニットUiは、モジュール内コンデンサCcとモジュール内マトリックスコンバータMCCとを備えている。ここで、モジュール内コンデンサCcの静電容量は、モジュール内コンデンサCcの充電電圧が単一のモジュールMiの正常時の端子電圧に一致する際、単一のモジュールMiよりも充電エネルギ量が小さくなるように設定されている。換言すれば、モジュール内コンデンサCcの充電電圧が単一の電池セルCijの正常時の端子電圧に一致する際、単一の電池セルCijよりも充電エネルギ量が小さくなるように設定されている。詳しくは、本実施形態では、モジュール内コンデンサCcの充電電圧が単一の電池セルCijの正常時の端子電圧に一致する際、充電エネルギ量が単一の電池セルCijの「1/10万」以下、望ましくは、「1/100万」以下となるように設定されている(また、「1/3億」以上とすることが望ましい)。なお、ここでの単一の電池セルCijの充電エネルギ量は、正常時の端子電圧において想定される最小値とする。
【0041】
一方、モジュール内マトリックスコンバータMCCは、単位電源(電池セルCi1〜Cin)のそれぞれと、組電池外電源(モジュール内コンデンサCc)との間を開閉する双方向のスイッチング素子QCp1〜QCpn,QCn1〜QCnnを備えて構成される。そしてこれにより、組電池外電源との間で双方向の電気エネルギの授受を行なう単一の単位電源または隣接する複数個の単位電源を選択可能な機能を有する。
【0042】
ここで、スイッチング素子QCpjは、電池セルCijの正極とモジュール内コンデンサCcの一方の端子との間を開閉するものであり、スイッチング素子QCnjは、電池セルCijの負極とモジュール内コンデンサCcの他方の端子との間を開閉するものである。本実施形態では、スイッチング素子QCpj,QCnjのそれぞれを、上記スイッチング素子QMpi,QMniと同様、一対のNチャネルMOS電界効果トランジスタにて構成する。そして、それらのソースおよびゲート間に、フォトカプラPCp1〜PCpn,PCn1〜PCnnの2次側を接続する。これらフォトカプラPCpj,PCnjも、上記フォトカプラPMpi,PMni同様、電圧を出力するタイプのものである。
【0043】
ここで、モジュール内マトリックスコンバータMCCを構成するスイッチング素子QCpj,QCnjは、モジュール間マトリックスコンバータMMCを構成するスイッチング素子QMpi,QMniよりも低耐圧のものを使用している。また、上記フォトカプラPCpj,PCnjは、上記フォトカプラPMpi,PMniよりも低耐圧のものを用いている。
【0044】
上記フォトカプラPCpj,PCnjの1次側には、マイクロコンピュータ(マイコン40)が接続されている。マイコン40は、中央処理装置(CPU46)を備えるソフトウェア処理手段である。マイコン40は、電池セルCi1〜Cinの端子電圧のそれぞれを検出すべく、それらの正極および負極のそれぞれと接続されている。すなわち、電池セルCi1〜Cinのそれぞれの正極は、抵抗体R1〜Rnのそれぞれを介してマイコン40に接続され、電池セルCinの負極は、抵抗体を介すことなくマイコン40に接続されている。また、電池セルCi1〜Cinのそれぞれには、抵抗体R1〜Rnのそれぞれを介してコンデンサC1〜Cnのそれぞれが接続されている。これら、抵抗体RjおよびコンデンサCjは、ローパスフィルタの機能を有するRC回路(図中、LPF)を構成する。
【0045】
ここで、RC回路は、抵抗体RjおよびコンデンサCjからなるものと、抵抗体R1およびコンデンサC1〜Cnからなるものとがある。そして、抵抗体RjおよびコンデンサCjからなるRC回路は、電池セルCijの端子電圧を出力する手段となり、その出力電圧は、マイコン40内のアナログデジタル変換器42によってデジタルデータに変換され、CPU46に取り込まれる。一方、抵抗体R1およびコンデンサC1〜CnからなるRC回路は、モジュールMiの端子電圧を出力する手段となり、その出力電圧は、マイコン40内のアナログデジタル変換器44によってデジタルデータに変換され、CPU46に取り込まれる。CPU46では、電池セルCi1〜Cinのそれぞれの端子電圧やモジュールMiの端子電圧(デジタル信号)を、先の図1に示したインターフェース22を介してECU20に出力する。
【0046】
なお、アナログデジタル変換器42の耐圧は、モジュールMiの端子電圧の最大値よりも低くなっている。そこで、アナログデジタル変換器42を過度に高い電圧から保護すべく、コンデンサC1〜CnのそれぞれにツェナーダイオードZD1〜ZDnのそれぞれが並列接続されている。ツェナーダイオードZD1〜ZDnのブレークダウン電圧は、電池セルCijの端子電圧の想定される最大値よりも大きくて且つ、アナログデジタル変換器42の耐圧よりも低い値に設定されている。
【0047】
上記構成によれば、電池セルC11〜Cmnの端子電圧や充電率、充電量のいずれかのばらつきを低減する処理(均等化処理)を行なうことができる。すなわち、モジュール内調整ユニットUiによって、モジュールMiの電池セルCi1〜Cinの上記いずれかのばらつきを低減する処理と、モジュール間マトリックスコンバータMMCによってモジュールM1〜Mmの上記いずれかのばらつきを低減する処理とを行なうことで、電池セルC11〜Cmnの端子電圧のばらつきを低減することができる。
【0048】
詳しくは、これらの処理は、モジュール間マトリックスコンバータMMCの場合を例に説明する次の蓄電側充電処理と電池側充電処理とを有するものとなる。すなわち、蓄電側充電処理は、モジュール間マトリックスコンバータMMCを操作して上記いずれかの値が大きいモジュールとこれに隣接するモジュールとをモジュール間コンデンサCmに接続することで、これを充電する処理である。また、電池側充電処理は、モジュール間マトリックスコンバータMMCを操作して上記いずれかの値が小さいモジュールをモジュール間コンデンサCmに接続することで、同小さいモジュールを充電する処理である。
【0049】
本実施形態では、さらに、上記ばらつきを低減する処理のための装置を用いて、先の図1に示す温度センサ32によって検出される高電圧バッテリ10の温度が低い場合に、その温度を上昇させる制御(昇温制御)を行なう。
【0050】
本実施形態では、この昇温制御を、モジュールMiを構成する電池セルCi1〜Cinのいくつかの電気エネルギをモジュール内コンデンサCcに放電させ、モジュール内コンデンサCcの蓄電エネルギをモジュールMiを構成する電池セルCi1〜Cinのいくつかに充電する処理とする。すなわち、電池セルCi1〜Cinが充放電を繰り返すことで、その内部抵抗による発熱によって温度を上昇させることができる。特に、電池セルCi1〜Cinの充放電は、電池セルCi1〜Cin間で電気エネルギを移動させる処理によって行われるため、昇温制御による熱効率を向上させることができる。ちなみに、ここでの熱効率とは、電池セルCi1〜Cinの電気エネルギの減少量に対する電池セルCi1〜Cinの発熱量の割合によって定義されるものである。
【0051】
本実施形態では、特に、モジュール内コンデンサCcに放電させる電池セルと、モジュール内コンデンサCcの蓄電エネルギを充電する電池セルとをパターンに従って切り替える。図3に、このパターンを例示する。ここでは、モジュールMiを構成する電池セルを6個の電池セルCi1〜Ci6とし、モジュール内コンデンサCcに放電させる電池セルの数を3個とし、モジュール内コンデンサCcの蓄電エネルギを充電する電池セルの数を1個としている。図示されるように、モジュール内コンデンサCcに放電させる電池セルは、互いに隣接するものからなる。また、パターンは、モジュール内コンデンサCcに放電させる電池セルに含まれる電池セルを1つずつ入れ替えるものとなっている。
【0052】
詳しくは、モジュール内コンデンサCcに放電させる電池セルは、第1回目は、電池セルCi1,Ci2,Ci3、第2回目は、電池セルCi2,Ci3,Ci4、第3回目は、電池セルCi3,Ci4,Ci5、第4回目は、電池セルCi4,Ci5,Ci6となる。これに対し、モジュール内コンデンサCcの蓄電エネルギを充電する電池セルは、モジュールMi内の電池セルCi1〜Ci6を順に切り替えていくものとなる。
【0053】
ここで、本実施形態では、パターンの一周期において、モジュール内コンデンサCcに放電させる電池セルとなる回数と、モジュール内コンデンサCcの蓄電エネルギを充電する電池セルとなる回数とのそれぞれが、電池セルCi1〜Cinで互いに等しくなるように設定されている。これは、昇温制御によって、モジュールMi内の電池セルCi1〜Cinで端子電圧のばらつきが生じることを抑制するためのものである。この設定は、モジュール内コンデンサCcに放電させる電池セルの組み合わせ数である「4」と、モジュール内コンデンサCcの蓄電エネルギを充電する電池セルの組み合わせ数(ここでは、電池セル数そのもの)である「6」との最小公倍数によって実現することができる。図3において、第24番目までが記載されているのは、これを一周期とするためである。なお、これら24個のパターンは、互いに相違するものからなる。
【0054】
図4に、本実施形態にかかる昇温制御の処理手順を示す。この処理は、ECU20の指令により、モジュール内調整ユニットUiによって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
【0055】
この一連の処理では、まずステップS10において、昇温要求があるか否かを判断する。ここで、昇温要求の有無は、温度センサ32によって検出される高電圧バッテリ10の温度が規定値以下であるか否かによって判断すればよい。そして、昇温要求があると判断される場合、ステップS12において、モジュール内コンデンサCcに放電させる電池セルの数(使用数nd)と、モジュール内コンデンサCcの蓄電エネルギを充電する電池セルの数(使用数nc<nd)とを決定する。ここでは、高電圧バッテリ10の温度が低いほど、「nd−nc」を大きくすればよい。すなわち、図5に示されるように、「nd−nc」が大きいほど、モジュール内コンデンサCcと使用数ndの電池セルの端子電圧との電位差や、モジュール内コンデンサCcと使用数ncの電池セルの端子電圧との電位差が大きくなる。そしてこのため、使用数ndの電池セルからモジュール内コンデンサCcに流れる電流や、モジュール内コンデンサCcから使用数ncの電池セルに流れる電流が大きくなる。したがって、「nd−nc」が大きいほど、内部抵抗による発熱量が増大し、ひいては、温度上昇速度が大きくなる。
【0056】
なお、使用数nd,ncを設定するに際しては、電池セルCijの端子電圧が許容範囲から外れないとの制約を設ける。ここで、電池セルCijの放電時には、内部抵抗による電圧降下に起因して端子電圧は上昇し、電池セルCijの充電時には、内部抵抗による電圧降下に起因して端子電圧は低下する。このため、モジュール内コンデンサCcへの放電電流やモジュール内コンデンサCcからの充電電流が大きいほど、端子電圧が大きくなったり小さくなったりする。このため、本実施形態では、端子電圧、充電率、充電量のいずれかを入力パラメータとして、端子電圧が許容範囲から外れることがないように使用数nd,ncを設定する。
【0057】
続くステップS14では、パターン番号を指定する変数kを「1」とする。続くステップS16では、スイッチング素子QCpr,QCpn(r+nd−1)をオンする。ここで、変数rは、基本的には、変数kを「n−nd+2」で割った余りに設定する。ただし、余りがゼロの場合には、変数rを「1」とする。これにより、スイッチング素子QCp1,QCn(nd)のオン操作、スイッチング素子QCp2,QCn(nd+1)のオン操作、スイッチング素子QCp3,QCn(nd+2)のオン操作、…、スイッチング素子QCp(n−nd+1),QCnnのオン操作の各パターンが順次繰り返されるようになる。
【0058】
上記ステップS16の処理により、電池セルCir,Ci(r+1),…Ci(r+nd−1)からモジュール内コンデンサCcに電流が流れる。この際、モジュール内コンデンサCcに流れる電流は、電池セルCir,Ci(r+1),…Ci(r+nd−1)の内部抵抗や、スイッチング素子QCpr,QCpn(r+nd−1)の導通抵抗によって制限される。ここで、モジュール内コンデンサCcの充電電流が過度に大きくならないのは、上述した静電容量の設定のためである。すなわち、モジュール内コンデンサCcの充電電圧が電池セルCijの端子電圧に等しい場合、その蓄電エネルギ量が電池セルCijよりも十分に小さくなるようにすることで、モジュール内コンデンサCiの充電電圧の変化速度を大きくすることができる。そしてこれにより、充電電流が過度に大きくなることを回避することができる。ちなみに、本実施形態では、損失を低減すべく、スイッチング素子QCpr,QCpn(r+nd−1)を、流せる最大電流よりも実際の電流が小さくなる領域で使用している。
【0059】
上記ステップS16の処理は、所定時間T1の間継続される(ステップS18)。ここで、所定時間T1は、電池セルCir,Ci(r+1),…Ci(r+nd−1)の電気エネルギのモジュール内コンデンサCcへの放電処理が完了すると想定される時間程度に設定される。
【0060】
そして、所定時間T1が経過すると、ステップS20において、スイッチング素子QCpr,QCpn(r+nd−1)をオフ操作するとともに、スイッチング素子QCps,QCpn(s+nc−1)をオン操作する。ここで、変数sは、基本的には、変数kを「n−nc+2」で割った余りに設定する。ただし、余りがゼロの場合には、変数sを「1」とする。これにより、スイッチング素子QCp1,QCn(nc)のオン操作、スイッチング素子QCp2,QCn(nc+1)のオン操作、スイッチング素子QCp3,QCn(nc+2)のオン操作、…、スイッチング素子QCp(n−nc+1),QCnnのオン操作の各パターンが順次繰り返されるようになる。
【0061】
上記ステップS20の処理により、モジュール内コンデンサCcから電池セルCis,Ci(s+1),…Ci(s+nc−1)に電流が流れる。この処理は、所定時間T2の間継続される(ステップS22)。ここで、所定時間T2は、モジュール内コンデンサCcの電気エネルギの電池セルCis,Ci(s+1),…Ci(s+nc−1)への充電処理が完了すると想定される時間程度に設定される。
【0062】
そして、所定時間T2が経過すると、ステップS24において、変数kが「(n−nd+1)(n−nc+1)」であるか否かを判断する。この処理は、モジュール内コンデンサCcへの充電および放電からなる処理が、先の図3に例示したパターンに従って1周期に渡ってなされたか否かを判断するためのものである。そして、ステップS24において否定判断される場合、ステップS26において変数kをインクリメントし、ステップS16に戻る。これに対し、ステップS24において肯定判断される場合、この一連の処理を一旦終了する。
【0063】
図6に本実施形態の効果を示す。図6(a)は、電池セルCijの電圧と、モジュール内コンデンサCcの充電電圧Vcと、モジュール内コンデンサCcを介して流れる電流Iとのそれぞれの推移を示す。また、図6(b)は、本実施形態にかかる高電圧バッテリ10の温度の推移を、先の図4の昇温制御を行わなかった場合(昇温なし)と対比して示す。
【0064】
図示されるように、本実施形態によれば、高電圧バッテリ10の温度を好適に上昇させることができる。なお、比較例においても高電圧バッテリ10の温度が上昇しているのは、高電圧バッテリ10が定常的に所定の電流を出力している状況を想定したためである。
【0065】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0066】
(1)高電圧バッテリ10の温度が低い場合、モジュール内マトリックスコンバータMCCを用いて、モジュールMi内の電池セルCi1〜Cin同士で電荷を移動させた。これにより、高電圧バッテリ10の温度を上昇させることができる。しかも、この処理を、高電圧バッテリ10を電源とする車載主機等の電力供給処理とは独立に行なうことができるため、走行性能に影響を与えることを好適に回避することができる。
【0067】
(2)モジュール内コンデンサCcへの放電に用いるセル数(使用数nd)とモジュール内コンデンサCcからの電気エネルギの充電先の電池セル数(使用数nc)との差を可変とした。これにより、高電圧バッテリ10の単位時間当たりの発熱量を可変とすることができる。
【0068】
(3)充電状態の調整に用いる手段(モジュール内マトリックスコンバータMCC、モジュール内コンデンサCc)を用いて昇温制御を行った。これにより、昇温制御のために新たにハードウェア手段を追加する必要が生じない。
【0069】
(4)スイッチング素子QMpi,QMniのソース同士(スイッチング素子QCpj,QCnjのソース同士)を短絡した。これにより、単一の操作信号によって一対のスイッチング素子QMpi,QMni(スイッチング素子QCpj,QCnj)を容易に操作することができる。
【0070】
(5)スイッチング素子QMpi,QMni(スイッチング素子QCpj,QCnj)に操作信号を出力する絶縁通信手段として、電圧を出力するタイプのものを用いた。これにより、2次側に電源を備えることなく、スイッチング素子QMpi,QMni(スイッチング素子QCpj,QCnj)をオン・オフ操作することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0071】
本実施形態では、モジュール間マトリックスコンバータMMCとモジュール間コンデンサCmとを用いて昇温制御を行なう。また、本実施形態では、昇温制御の開始に際し、温度の低いモジュールMLの充放電を優先的に行なう。これは、高電圧バッテリ10から車載主機等に放電がなされる状況下において、高電圧バッテリ10の内部抵抗による損失を極力小さくするための設定である。
【0072】
図7に、本実施形態にかかる昇温制御の処理手順を示す。この処理は、ECU20によって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
【0073】
この一連の処理では、ステップS30において、昇温要求があるか否かを判断する。この処理は、先の図4のステップS10と同様である。そして、昇温要求があると判断される場合、ステップS32において、モジュールM1〜Mmのそれぞれの温度T1〜Tmのうち温度が最低のものに対応するモジュールMLを特定する。なお、この処理を行なうべく、本実施形態では、各モジュール毎に温度センサを設けておく。
【0074】
続くステップS34では、モジュール間コンデンサCmに放電させるモジュール数(使用数Nd)と、モジュール間コンデンサCmの蓄電エネルギを充電するモジュール数(使用数Nc<Nd)とを決定する。この処理は、先の図4のステップS12に対応している。続くステップS36では、パターンを指定する変数kを、モジュール間コンデンサCmに放電させるモジュールと、モジュール間コンデンサCmの蓄電エネルギを充電するモジュールとの双方に、温度が最低のモジュールMLが含まれるパターンに指定する。
【0075】
ここで、このパターン選択について、電池セルの場合を例示した図3に基づき説明する。本実施形態の実際の制御については、ここでの説明をモジュールに置き換えることで実現できる。たとえば電池セルCi1が最低温度の場合、第1番目のパターンまたは第13番目のパターンが選択されることとなる。これに対し、電池セルCi3が最低温度の場合、第3番目のパターン、第15番目のパターン、第21番目のパターンが対応する。
【0076】
上記ステップS36の処理が完了する場合、ステップS38において、先の図3に示した要領で、パターンに従って放電を行なう。この際、上記ステップS36の処理のために、第1回の充放電処理においては、最低温度のモジュールMLの発熱量を最大とすることができる。
【0077】
続くステップS40〜S50では、パターンの一周期が完了したか否かを判断し、一周期が完了していない場合、変数kを更新する処理を行なう。すなわち、ステップS40では、最低温度のモジュールMLを指定する変数Lが「1」であるか否かを判断し、「1」であるなら、ステップS42において、変数kが「(m−Nd+1)(m−Nc+1)」であるか否かを判断する。一方、ステップS40において否定判断される場合、ステップS44において、変数kが「L−1」であるか否かを判断する。そして、否定判断される場合、ステップS46において、変数kを「(m−Nd+1)(m−Nc+1)」で割った余りがゼロであるか否かを判断する。そして、余りがゼロなら、ステップS48において変数kを「1」とし、ステップS38に戻る。これに対し、余りがゼロでない場合や、ステップS42において否定判断される場合には、ステップS50において変数kをインクリメントし、ステップS38に戻る。
【0078】
なお、上記ステップS30において否定判断される場合や、ステップS42,S44において肯定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0079】
本実施形態でも、モジュール間マトリックスコンバータMMCとモジュール間コンデンサCmとを用いて昇温制御を行なう。ただし、本実施形態では、最低温度のモジュールMLの発熱量を増大させる手法を以下のように変更する。
【0080】
図8に、本実施形態にかかる昇温制御の処理手順を示す。この処理は、ECU20によって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
【0081】
この一連の処理では、まずステップS60において、昇温要求があるか否かを判断する。この処理は、先の図4のステップS10と同様である。そして、昇温要求があると判断される場合、ステップS62において、モジュールM1〜Mmのそれぞれの温度T1〜Tmのうち温度が最低のものに対応するモジュールMLを特定する。続くステップS64においては、スイッチング素子QMp1、QMnmをオン操作する。これにより、高電圧バッテリ10とモジュール間コンデンサCmとが接続される。そして、高電圧バッテリ10の電気エネルギがモジュール間コンデンサCmに放電される。この処理は、所定時間T3に渡って実行される。ここで、所定時間T3は、高電圧バッテリ10からモジュール間コンデンサCmへの放電処理が完了すると想定される時間程度に設定される。
【0082】
そして所定時間T3が経過したと判断されると、ステップS68において、スイッチング素子QMp1、QMnmをオフ操作し、スイッチング素子QMpL,QMnLをオン操作する。これにより、モジュール間コンデンサCmに接続されるモジュールが、最低温度のモジュールMLのみとなる。そして、これにより、モジュール間コンデンサCmの電気エネルギが最低温度のモジュールMLに充電される。この処理は、所定時間T4に渡って実行される。ここで、所定時間T4は、モジュール間コンデンサCmから最低温度のモジュールMLへの充電処理が完了すると想定される時間程度に設定される。
【0083】
そして、所定時間T4が経過すると、ステップS72において、上記蓄電側充電処理と電位側充電処理とによって、モジュールM1〜MLの端子電圧、充電率、充電量のいずれかのばらつきを低減する処理を行う。ここで、端子電圧は、先の図1に示したインターフェース22を介してモジュール内調整ユニットUiから出力される検出値を用いればよい。また、充電率は、たとえば、端子電圧(閉路端電圧)の検出値と、電流量と、各セル毎の内部抵抗情報とから、開放端電圧を算出し、開放端電圧と充電率との関係を定めた関係情報から算出すればよい。また、充電量については、上記充電率にセル毎の満充電量を乗算することで算出すればよい。
【0084】
なお、上記ステップS72の処理は、ばらつき度合いが小さい場合には行わなくてもよい。上記ステップS72の処理が完了する場合や、ステップS60において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0085】
この一連の処理では、ステップS64,S68の処理によって、最低温度のモジュールMLの発熱量が一番大きくなる処理がなされる。そして、これにより端子電圧や充電率、充電量がばらつく場合には、ステップS72において均等化処理がなされる。この際、最低電圧のモジュールMLの端子電圧や充電率、充電量は、モジュールML内において最大となっている可能性が高いため、均等化処理によっても最低温度のモジュールMLの放電処理がなされる。そしてこれにより、最低温度のモジュールMLがさらに発熱する。
【0086】
上記一連の処理を、ステップS60において否定判断されるまで継続することで、昇温要求がなくなるまで最低温度のモジュールMLの温度を迅速に上昇させつつも、これに起因して端子電圧や充電率、充電量のばらつきが拡大することを好適に抑制することができる。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0087】
本実施形態では、先の第2の実施形態同様、モジュール内コンデンサCcを用いて昇温制御を行なう。ここで、通常の昇温制御として、本実施形態では、モジュール内コンデンサCcへの放電に使用する電池セルの使用数ndと、モジュール内コンデンサCcの電気エネルギの充電先の電池セルの使用数ncとを固定する。具体的には、図9にモジュールMi内の電池セルの数が「6」である場合について例示するように、使用数ndをモジュールMiの電池セルCi1〜Cinの数として且つ、使用数ncを「1」とする。
【0088】
また、昇温制御の開始に際しては、図9に示したパターンの順序とは別に、モジュールMiとモジュール内コンデンサCcとを接続してモジュール内コンデンサCcへの放電を行った後、モジュール内コンデンサCcの電気エネルギの充電先を最低温度の電池セルとする処理を行なう。
【0089】
図10に、本実施形態にかかる昇温制御を示す。
【0090】
図示されるように、最初に1度、モジュール内コンデンサCcの電気エネルギの充電先を最低温度の電池セルとする処理を行なうことで、最低温度の電池セルの充放電を優先させた後、先の図9に示したパターンに従った通常の昇温制御を行なう。なお、昇温制御の完了後においては、均等化処理を行なう。ここでは、端子電圧、充電率、充電量のいずれかが最大の電池セルとこれに隣接する電池セルとの一対の電池セルから、上記いずれかが最小の電池セルへの充電処理によって均等化を行なうことを例示している。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0091】
図11に、本実施形態にかかる充電状態調整装置の構成を示す。なお、図11において、先の図1や図2に示した部材に対応するものについては、便宜上、同一の符号を付している。また、図11において、ECU20やそれとの接続経路についてはその記載を省略した。
【0092】
図示されるように、本実施形態では、1つのモジュールを構成する電池セルと、隣接するモジュールの1つの電池セルとで部分電池を構成し、部分電池毎に、マトリックスコンバータやモジュール内コンデンサCc1〜Ccmが設けられる。すなわち、第1モジュールM1を構成する電池セルC11〜C1nと第2モジュールM2を構成する電池セルC21とが、モジュール内コンデンサCc1に接続される。また、第1モジュールM1を構成する電池セルC1nと、第2モジュールM2を構成する電池セルC21〜C2nと、第3モジュールM3を構成する電池セルC31とが、モジュール内コンデンサCc2に接続される。
【0093】
詳しくは、第1モジュールM1に対応するモジュール内コンデンサCc1は、スイッチング素子QCpj,QCnjによってモジュールM1の電池セルC1jに接続され、また、スイッチング素子QCpL,QCnLによって、第2モジュールM2の電池セルC21に接続される。
【0094】
これに対し、第2モジュールM2に対応するモジュール内コンデンサCc2は、スイッチング素子QCpj,QCnjによって第2モジュールM2の電池セルC2jに接続される。さらに、スイッチング素子QCpH,QCnHによって、第1モジュールM1の電池セルC1nに接続され、スイッチング素子QCpL,QCnLによって、第3モジュールM3の電池セルC31に接続される。
【0095】
こうした構成によれば、モジュール内コンデンサCc1を介して、電池セルC11〜C1n,C21の間で電気エネルギの授受が可能となる。また、モジュール内コンデンサCc2を介して、電池セルC1n,C21〜C2n,C31の間で電気エネルギの授受が可能となる。このように、モジュール内コンデンサCc1〜Ccmによって電気エネルギの授受が可能な電池セルの一部が共有化されているため、高電圧バッテリ10を構成する電池セルC11〜Cmnの全てで電気エネルギの授受が可能となり、ひいては電池セルC11〜Cmnの全てで端子電圧や、充電率、充電量のばらつきを低減可能となる。
【0096】
しかも、この際、スイッチング素子QCpj,QCnj,QCpH,QCnH,QCpL,QCnLに要求される耐圧を、上記第1の実施形態におけるスイッチング素子QMpi,QMniと比較して小さくすることができる。
【0097】
本実施形態では、この調整装置を流用して昇温制御を行なう。これは、上記第1の実施形態と同様、モジュール単位で行うことが望ましい。もっとも、これに代えて、上記第1の実施形態におけるパターンを上記部分電池単位に拡張して行なうことも可能ではある。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
「マトリックスコンバータのスイッチング素子について」
モジュール間マトリックスコンバータMMCのスイッチング素子QMpi,QMniや、モジュール内マトリックスコンバータMCCのスイッチング素子QCpj,QCnjとしては、一対のNチャネルMOS電界効果トランジスタの直列接続体に限らない。たとえば一対のPチャネルMOS電界効果トランジスタの直列接続体であってもよい。この場合であっても、ソース同士をショートさせるようにして直列接続することが望ましい。もっとも、スイッチング素子のオン・オフに際しての開閉制御端子(ゲート)の電位の基準を定める端子(ソース)同士をショートさせるものに限らず、ドレイン同士をショートさせるものであってもよい。この場合、一対のスイッチング素子を駆動する駆動回路を共通とすることが困難となるものの、ボディーダイオードを介して貫通電流が流れることを回避することはできる。
【0098】
さらに、電界効果トランジスタにも限らず、たとえば一対の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)とそれらのそれぞれに逆並列接続されたダイオードとからなるものであってもよい。ちなみに、この場合のダイオードは、マトリックスコンバータにおいて電流を双方向に流すことができるようにするための手段となる。
「モジュール内及びモジュール間のマトリックスコンバータについて」
モジュール間マトリックスコンバータMMCのスイッチング素子QMpi,QMniの耐圧を、モジュール内マトリックスコンバータMCCのスイッチング素子QCpj,QCnjの耐圧よりも高くする設定に限らない。これらの耐圧が同一であったとしても、モジュール毎の管理とモジュール内の管理とを行なうことによるメリットを享受できる。このメリットとしては、たとえば昇温速度を上昇させたい場合、対象とする電池セルに流れる電流を増やすべく、モジュール間マトリックスコンバータMMCを操作することでモジュール間での電気エネルギの授受を行ない、均等化等のためにモジュール内マトリックスコンバータMCCを用いることがある。
「マトリックスコンバータのスイッチング素子の駆動手段について」
1次側と2次側との絶縁を確保しつつ1次側の電圧信号を2次側に電圧信号として出力する絶縁通信手段(電圧を出力するタイプの絶縁通信手段)としては、特定のフォトカプラに限らない。たとえばトランスであってもよい。この場合であっても、スイッチング素子のオン状態またはオフ状態のうちトランスの2次側電圧が要求される方の時間が長くならない制御設計をするなら、駆動手段の回路規模が上記実施形態と比較して過度に大きくなることはない。
【0099】
また、電圧を出力するタイプの絶縁通信手段にも限らない。
【0100】
「選択接続手段(マトリックスコンバータ)について」
モジュール間マトリックスコンバータMMCとモジュール内マトリックスコンバータMCCとの双方を備えない構成としては、上記第4の実施形態(図11)に限らない。たとえば、高電圧バッテリ10を構成する電池セルC11〜Cmnのそれぞれとコンデンサとの間を開閉する単一のマトリックスコンバータを備えてもよい。
【0101】
また、蓄電手段に接続された1または複数の電池セルと蓄電手段との間で双方向に電流を流すことのできる手段に限らない。たとえば、3つの電池セルの電気エネルギをモジュール内コンデンサCcに充電し、その電気エネルギを2つの電池セルに放電するものにおいて、3つの電池セルとモジュール内コンデンサCcとを接続する専用の経路は、3つの電池セルからコンデンサへの充電電流の流れを許容し逆方向の電流の流れを阻止するものであってもよい。
【0102】
「第1の規定数および第2の規定数等の大小関係について」
上記第1、第2の実施形態では、モジュール内コンデンサCcの充電に用いる使用数ncを放電に用いる使用数ndよりも大きくし、モジュール間コンデンサCmの充電に用いる使用数Ncを放電に用いる使用数Ndよりも大きくしたがこれに限らない。たとえば、端子電圧の高い電池セルを放電に用いて且つ端子電圧の低い電池セルを充電に用いるなら、モジュール内コンデンサCcやモジュール間コンデンサCmを介して電気エネルギの授受を行なうことができる。
【0103】
「充放電パターンについて」
周期的な一群の充放電処理を構成する各充放電処理において、充電される電池セルが放電する電池セル群に含まれないパターンであってもよい。
【0104】
また、パターンに従ったものに限らず、たとえば最低温度の電池セルとそれに隣接する電池セルとの電気エネルギをコンデンサCcに充電し、コンデンサCcの電気エネルギを最低温度の電池セルに充電する処理を行なうものであってもよい(優先手段)。この処理を継続することで、電池セルC11〜Cmnの全ての温度が昇温制御を必要とするほど低い場合であっても、それら電池セルC11〜Cmnの温度を上昇させることができると考えられる。
【0105】
「優先手段について」
上記第2の実施形態(図7)における処理をモジュール内で行ってもよい。なお、このように、パターンに従った充放電を行なう場合であっても、開始に際して選択するパターン番号を変更するものに限らない。たとえば、モジュール内コンデンサCcに放電させる電池セルとモジュール内コンデンサCcの蓄電エネルギが充電される電池セルとの双方に最低温度セルが含まれているパターンを選択した後、上記いずれか一方にのみ最低温度セルが含まれるパターンを選択してもよい。これを図3の例で説明すると、電池セルCi1が最低温度の電池セルである場合、第1番目および第13番目のパターンの次に、第5、第6、第9、第17、第19、第21番目のパターンを順次実行し、その後、24個のパターンのうちの残りを実行することを意味する。
【0106】
また、上記第2〜第4の実施形態に例示したものに限らないことについては、「充放電パターンについて」の欄や「エネルギ授受手段について」の欄にも記載してある。
【0107】
「変更手段について」
パターンに従ったものに限らず、たとえば温度の低い電池セルが充電に用いられる電池セルと放電に用いられる電池セルとの少なくとも一方に含まれる場合に、放電に用いられる電池セル数と充電に用いられる電池セル数との差を増大させてもよい。
【0108】
「電圧検出手法について」
コンデンサCcに単一の電池セルの電圧を印加し、コンデンサCcの電圧を検出することでその電池セルの電圧を検出する手段や、コンデンサCmに単一のモジュールの電圧を印加し、コンデンサCmの電圧を検出することでそのモジュールの電圧を検出する手段であってもよい。
【0109】
「昇温手段について」
たとえば、上記第2の実施形態(図7)の処理を行っている期間に、上記第1の実施形態(図4)の処理を併せ行ってもよい。
【0110】
「エネルギ授受手段について」
充電する電池セルや放電する電池セルを指定可能な構成としては、選択接続手段を備えるものに限らない。たとえば、図12に示すものであってもよい。これは、電池セルCij毎にリアクトルLij(i=1〜m,j=1〜n)を備え、電池セルCijとリアクトルLijとを備えるループ経路を開閉するスイッチング素子S11,S12a,S13a,…を備えている。また、端部の電池セルC11,Cmn以外の電池セルについて、隣接するセルのリアクトルとで構成するループ経路を構成するスイッチング素子S12b,S13b,…とを備えている。これにより、1つの電池セルの電気エネルギをリアクトルを介して隣接する電池セルに出力することができる。
【0111】
こうしたエネルギ授受手段を操作する昇温手段としては、たとえば電池セルC11から電池セルC12へ、電池セルC12から電池セルC23へというように順に電気エネルギを隣接する電池セルに出力した後、電池セルCmnから電池セルCm(n−1)へというように順次エネルギを出力するパターンに従った処理を行なうものであってもよい。また、電池セルC11,C12、電池セルC13,C14、…でペアを組み、互いに充電、放電を交互に行なうようにしてもよい。この場合、一周期において、充電する電池セルとなる回数と放電する電池セルとなる回数とが、全電池セルで同一となる。
【0112】
また、パターンに従うことなく、温度の低い電池セルと隣接する電池セルとの間で充放電を繰り返すようにしてもよい(優先手段)。
【0113】
なお、図12に例示したものは、モジュール単位で設けてもよく、また、図12に示した構成に、モジュール単位で充放電を行なう構成を追加してもよい。
【0114】
さらに、エネルギ授受手段としては、充電する電池セルや放電する電池セルを指定可能な構成に限らず、たとえば特開2004−88878号公報に記載されているものであってもよい。これは、それぞれの電池セルに並列にトランスの各別の2次側コイルを接続し、それら2次側コイルに磁気結合した単一の1次側コイルの両端に組電池の端子電圧を印加可能とするものである。こうしたものであっても、組電池の電気エネルギを一旦磁気エネルギに変換し、これを各電池セルに放出することで、それぞれの電池セルでは流れた電流に応じて内部抵抗における発熱が生じるため、昇温制御を行なうことができる。
【0115】
また、電池セルやモジュール等の端子電圧、充電率、充電量のばらつきを低減するための手段を流用するものにも限らない。
【0116】
「蓄電手段の静電容量の設定について」
上記実施形態で例示したものに限らない。たとえば、モジュールMiとモジュール内コンデンサCcとを接続することでモジュールMiの電気エネルギをモジュール内コンデンサCcに放電する場合に放電電流が過度に大きくなるおそれがあるなら、モジュール内コンデンサCcに接続する電池セル数を制限してもよい。また、これに代えて、スイッチング素子QCp1,QCnnを継続してオン状態とする代わりに、PWM処理することで放電電流が過度に大きくなることを回避してもよい。さらに、スイッチング素子QCp1,QCnnを流れることのできる電流と放電電流とが一致する領域でスイッチング素子QCp1,QCnnをオン操作すべく、開閉制御端子(ゲート)の電位を調整することで、放電電流を制限してもよい。
【0117】
「そのほか」
組電池としては、電力変換回路を介して車載主機に接続されるものに限らない。
【0118】
たとえば、アナログデジタル変換器の耐圧が十分なら、ツェナーダイオードZDを省いてもよい。また、たとえば、ノイズの影響が無視できるなら、フィルタ回路LPFを省いてもよい。
【符号の説明】
【0119】
10…高電圧バッテリ(組電池の一実施形態)、Cm…モジュール間コンデンサ、MMC…モジュール間マトリックスコンバータ、Cc…モジュール内コンデンサ、MCC…モジュール内マトリックスコンバータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルの直列接続体としての組電池について、該組電池を構成する電池セル間で流れる電流の収支に相違するものが存在するようにすることで、前記電池セル間で電気エネルギを移動させるエネルギ授受手段と、
前記組電池の温度が低い場合、前記エネルギ授受手段の操作によって前記組電池を構成する電池セル間で電気エネルギを授受させることで、前記組電池の昇温制御を行なう昇温手段と、
を備えることを特徴とする組電池の昇温制御装置。
【請求項2】
前記エネルギ授受手段は、前記電池セルのうち電気エネルギを放電する1または複数個の電池セルと、前記電池セルのうち前記放電された電気エネルギが充電される1または複数個の電池セルとを指定可能とするものであることを特徴とする請求項1記載の組電池の昇温制御装置。
【請求項3】
前記エネルギ授受手段は、蓄電手段と、前記組電池を構成する第1の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を電気的に開閉する機能、ならびに第2の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を電気的に開閉する機能を有する選択接続手段とを備えて構成され、
前記昇温手段は、前記選択接続手段の操作によって前記第1の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を閉状態とすることで、前記蓄電手段を充電すべく前記第1の規定数個の電池セルを放電させる放電処理と、前記選択接続手段の操作によって前記第2の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第2の規定数個の電池セルに充電する充電処理とを行なうものであり、
前記第1の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接する複数個の電池セルであり、
前記第2の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接する複数個の電池セルであることを特徴とする請求項2記載の組電池の昇温制御装置。
【請求項4】
前記第1の規定数が前記第2の規定数よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の組電池の昇温制御装置。
【請求項5】
前記第1の規定数個の電池セルは、前記第2の規定数個の電池セルを含むことを特徴とする請求項4記載の組電池の昇温制御装置。
【請求項6】
前記昇温手段は、前記第1の規定数個の電池セルと前記第2の規定数個の電池セルとをパターンに従って切り替えるパターン切替手段を備え、
前記パターンは、その1周期の期間で、前記組電池を構成する電池セルのうち所定数個の電池セルのそれぞれが前記第1の規定数個の電池セルに含まれる回数が互いに等しく、前記所定数個の電池セルのそれぞれが前記第2の規定数個の電池セルに含まれる回数が互いに等しくなるものであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の組電池の昇温制御装置。
【請求項7】
前記昇温手段は、前記第1の規定数個の電池セルおよび前記第2の規定数個の電池セルの少なくとも一方の選択に際し、温度の低い1または複数の電池セルを優先する優先手段を備えることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の組電池の昇温制御装置。
【請求項8】
前記選択接続手段は、前記組電池を構成する一部且つ複数個の電池セルであるモジュールの第3の規定数個としての前記第1の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を電気的に開閉する機能、ならびに第4の規定数個のモジュールとしての前記第2の規定数個の電池セルおよび前記蓄電手段間を電気的に開閉する機能を有し、
前記昇温手段は、前記選択接続手段の操作によって前記第3の規定数個のモジュールおよび前記蓄電手段間を閉状態とすることで、前記蓄電手段を充電すべく前記第3の規定数個のモジュールを放電させる放電処理と、前記選択接続手段の操作によって前記第4の規定数個のモジュールおよび前記蓄電手段間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第4の規定数個のモジュールに充電する充電処理とを行なうことを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の組電池の昇温制御装置。
【請求項9】
前記選択接続手段は、前記第1の規定数と前記第2の規定数との差を可変とする可変機能を備え、
前記昇温手段は、前記組電池を構成する単一の電池セルまたは隣接する複数の電池セルの端子電圧、充電率、および充電量、ならびに前記組電池の温度の少なくとも1つに応じて前記選択接続手段を操作することで、前記充電処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数と前記放電処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数との差を変更する変更手段を備えることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の組電池の昇温制御装置。
【請求項10】
前記昇温手段は、放電する電池セルと充電される電池セルとをパターンに従って切り替えるパターン切替手段を備え、
前記パターンは、その1周期の期間で、前記組電池を構成する電池セルのうち所定数個の電池セルのそれぞれが前記放電する電池セルに含まれる回数が互いに等しく、前記所定数個の電池セルのそれぞれが前記充電される電池セルに含まれる回数が互いに等しくなるものであることを特徴とする請求項2記載の組電池の昇温制御装置。
【請求項11】
前記昇温手段は、前記放電する1または複数の電池セルおよび前記充電する1または複数の電池セルの少なくとも一方の選択に際し、温度の低い1または複数の電池セルを優先する優先手段を備えることを特徴とする請求項10記載の組電池の昇温制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−89296(P2013−89296A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225637(P2011−225637)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】