説明

組電池

【課題】電圧検出線が受けるノイズの影響の低減を図る組電池を提供する。
【解決手段】組電池1は、電極端子をそれぞれ有する複数個の電池セル20〜22,30〜32と、当該複数個の電池セルを直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバー40〜43と、複数個の電池セルの所定位置に接続される検出端子から検出する電圧信号を送信するために配線される複数本の電圧検出線50a〜53aと、を備える。セル幅方向Wに2列に隣接配置される積層電池モジュール2,3を構成するすべての電池セルは、直列結線される。直列結線の一端をなす正極端子20aと他端をなす負極端子32bは、積層電池モジュール2,3について同じ側に配置される。複数本の電圧検出線は、各検出端子から引き出された後、セル厚さ方向Tに延びるように配線される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧検出線を有する組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来技術として、複数個の電池セルをセル厚さ方向に1列に積層配置し、直列に結線してなる組電池が開示されている。この組電池には、電圧を検出するための電圧検出線が電池セルの上面をセル厚さ方向に延びるように配線されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−34883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に組電池では、組電池を構成する複数個の電池セルを電流が流れることにより磁界が発生する。電池に関する情報を取得するために組電池に装着される信号線は、電流による磁界の影響を受ける可能性がある。この磁界によって、信号線に与えられるノイズの影響が大きくなると、電池監視装置は電池の正確な情報を取得することが困難になる。
【0005】
ここで、特許文献1の組電池では、直列に結線される複数の電池セルにおいて両端をなす正極端子と負極端子は組電池のセル厚さ方向の両端に位置する。このため、組電池を流れる電流の経路は、セル厚さ方向に組電池の一端から他端に向かう方向を示す。一方、特許文献1の電圧検出線は、セル厚さ方向に延びるように配線されているので、電圧信号が電圧検出線を移動する方向は、電流経路の方向と同一方向になる。このため、電圧信号が受けるノイズが大きくなりやすいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電圧検出線が受けるノイズの影響の低減を図る組電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。請求項1に記載の組電池に係る発明は、外装ケースから突出する正極端子及び負極端子からなる電極端子(20a〜22a,30a〜32a)をそれぞれ有する複数個の電池セル(20〜22,30〜32)と、
当該複数個の電池セルを直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバー(40〜43)と、
複数個の電池セルの所定位置に接続される検出端子から検出した電圧信号を送信するために配線される複数本の電圧検出線(50a,51a,52a,53a)と、を備え、
複数個の電池セルは、セル厚さ方向(T)に所定個数の電池セルをそれぞれ積層してなり、セル幅方向(W)に隣接して2列に配置される第1の積層電池モジュール(2)と第2の積層電池モジュール(3)とを形成し、
2列に隣接配置される積層電池モジュール(2,3)を構成するすべての電池セルは、直列結線され、
直列結線の一端をなす電極端子(20a)と他端をなす電極端子(32b)は、積層電池モジュールについて同じ側に配置され、
複数本の電圧検出線は、各検出端子から引き出された後、セル厚さ方向に延びるように配線されることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、セル幅方向に2列の積層電池モジュールにおいて直列結線の両端をなす電極端子を同じ側に配することにより、組電池において電流の主経路は、総端子部の正極側端子から負極側端子へUターンする形態を描く。このUターンする形態の電流経路は、2列の積層電池モジュールは隣接配置されるため、総端子部の一端側から組電池の他端側に向かう第1の電流ベクトルと、組電池の他端側に位置する電池セルで折り返して第1の電流ベクトルと反対向きになる第2の電流ベクトルとによって形成される。本発明では、2列の積層電池モジュールは隣接配置されるため、第1の電流ベクトルと第2の電流ベクトルとは反対向きに近接するベクトルとなる。それぞれの電流ベクトルによって発生する磁界は打ち消し合う関係になるため、結果的に組電池を流れる電流による磁界の強さを従来技術に比べて大きく低減することができる。したがって、電流ベクトルに並走させた電圧検出線に対する磁界の影響を低減できるため、電圧検出線へのノイズの絶対量を抑制する組電池を提供することができる。
【0009】
請求項2によると、複数本の電圧検出線(50a,51a,52a,53a)は、途中で各積層電池モジュール単位でまとめられる束線(50A,52A)として配線され、
複数本の電圧検出線は、各検出端子から束線としてまとめられるまでの間にセル厚さ方向(T)に直交してセル幅方向(W)に延びるように配線される部分を含み、
束線のそれぞれはセル厚さ方向に延びるように配線されることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、複数本の電圧検出線を途中で各積層電池モジュール単位で束線としてまとめることにより、モジュール1列分に含まれる各電圧検出線が受けるノイズの影響を同等レベルに合わせることができる。したがって、各電圧検出線についてノイズの影響の差がなくなることで、全体として高精度な電圧検出に貢献することができる。
【0011】
請求項3によると、電圧検出線(50a,51a,52a,53a)は、直列結線の両端をなす電極端子(20a,32b)が積層電池モジュール(2,3)において配置される側に引き出されることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、電圧検出線の引き出し側と、組電池において両端をなす電極端子とを同じ側に集約する。これにより、電圧検出する電池監視装置、充放電制御する制御装置等を含む電池パックにおいて各種の結線に関わる部品を集約配置することで簡素化することができる。
【0013】
請求項4によると、複数個の電池セルの所定位置に接続される検出端子から検出した温度信号を送信するために配線される複数本の温度検出線(60,61)を備え、
温度検出線は、電極端子及び電圧検出線が引き出される側とは、積層電池モジュール(2,3)に関して反対側に引き出されることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、比較的低電圧ラインである温度検出線を高電圧である電流経路及び電圧検出線から離して配置する。これにより、温度検出線に与えるノイズの影響を低減でき、温度検出の精度を高めることができる。
【0015】
請求項5によると、第1の積層電池モジュール(2)と第2の積層電池モジュール(3)は、直接接触し、または他の部材を介在して間接的に接触して、一体に形成されることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、2列のモジュール同士の距離が小さくなるため、上記の第1の電流ベクトルと第2の電流ベクトルがさらに接近するようになる。これにより、両方の電流ベクトルによって形成される磁界の強さを一層低減することができる。したがって、電圧検出線へのノイズの絶対量をさらに抑制する組電池を提供することができる。
【0017】
請求項6によると、複数本の電圧検出線(50a,51a,52a,53a)のすべては、まとめられて束線(50B)として配線され、
束線(50B)は、隣接する積層電池モジュール(2,3)間でセル厚さ方向に延びるように配線されることを特徴とする。
【0018】
隣接する積層電池モジュール間の領域は、上記Uターン状の電流経路の中間に位置するため、磁界の影響を受けにくい場所である。そこで、この発明によれば、この磁界の影響を受けにくい場所に電圧検出線の束線を配することにより、電圧検出線へのノイズの絶対量をさらに抑制する組電池を提供することができる。
【0019】
請求項7によると、電圧検出線(50a,51a,52a,53a)は、直列結線の両端をなす電極端子(20a,32b)が配置される側とは、積層電池モジュール(2,3)に関して反対側に引き出されることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、上記のUターン状の電流経路の開始点及び終点と電圧検出線の引き出し側とを離して配置する。これにより、組電池を流れる電流が電圧検出線に与えるノイズの影響を低減することに貢献し、高精度な電圧検出が図れる。
【0021】
なお、特許請求の範囲および上記手段の項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る組電池を示す概略図である。
【図2】第1実施形態の組電池を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の組電池を示す平面図である。
【図4】本発明を適用した第2実施形態に係る組電池を示す概略図である。
【図5】第2実施形態の組電池を示す斜視図である。
【図6】第2実施形態の組電池を示す平面図である。
【図7】本発明を適用した第3実施形態に係る組電池を示す概略図である。
【図8】第3実施形態の組電池を示す斜視図である。
【図9】第3実施形態の組電池を示す平面図である。
【図10】本発明を適用した第4実施形態に係る組電池を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0024】
(第1実施形態)
本発明を適用した第1実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。各図において、Tは直方体状の電池セルのセル厚さ方向であり、Wはセル幅方向であり、Hはセル高さ方向である。セル厚さ方向Tは、複数個の電池セルの積層方向でもある。セル幅方向Wは、セル厚さ方向Tとセル高さ方向Hの両方に垂直な方向である。第1実施形態の組電池1では、セル高さ方向Hを鉛直方向に設定している。組電池1は、例えば内燃機関と電池に充電された電力によって駆動されるモータとを組み合わせて走行駆動源とするハイブリッド自動車、モータを走行駆動源とする電気自動車等に用いられる。
【0025】
組電池1は、少なくとも、ケース10と、ケース10内に収容された複数個の電池セルと、を備える。組電池1は、セル厚さ方向Tに所定個数の電池セルを配置し、かつセル幅方向Wに2列の電池セルが並ぶ構成であり、具体的には、セル厚さ方向Tに所定個数の電池セルをそれぞれ積層してなる2個の積層電池モジュール2,3がセル幅方向Wに並ぶ構成である。第1の積層電池モジュール2と第2の積層電池モジュール3は、これらのモジュールを構成するすべての電池セルが直列に結線されることにより、通電可能に直列接続されている。電池セルは、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン電池、有機ラジカル電池であり、筐体内に収納された状態で自動車の座席下、後部座席とトランクルームとの間の空間、運転席と助手席の間の空間などに配置される。
【0026】
組電池1を構成する複数個の電池セルは、単電池でもあり、例えばアルミ缶等の外殻を構成する外装ケースを有し、直方体状の外装ケースの一端面から上方に突出する正極端子及び負極端子からなる電極端子をそれぞれ有する。組電池1は、すべての電池セルを直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバーを備える。
【0027】
各電池セルにおける外装ケースには、安全弁が設けられている。各安全弁は、正極端子と負極端子の間に位置し、電池セルの内部圧力が異常な圧力になるときに破断するように設定されている。安全弁は、例えば、電池セルの外装ケースの端面に開口した孔に薄い金属膜を貼り付けて塞いで構成されている。この場合には、電池セルの内部圧力が異常な圧力になったときに、当該金属膜が破断して外装ケースの孔が開放されて、電池セルの内部のガスが外装ケースの外部に放出されることにより、セル内圧が低下し、電池自身の破裂を防止することができる。
【0028】
ケース10は、その内部に各電池セルの全体を収容可能な深い箱状であり、電池セルの外装ケースを支持して、各電池セル20を保持する部材である。ケース10は、例えばポリプロピレン、フィラーやタルクを含有するポリプロピレン等の合成樹脂で形成されている。ケース10は、蓋部10aと、蓋部10aの4辺を囲む4つの側板10b,10cとを有して形成されている。ケース10の側板10b,10cには、所定の位置に、組電池1をボルトナット等の固定具によって車両側に固定する複数個の取付部14が設けられている。ケース10は、下端に、4つの側板10b,10cによって囲まれた開口部を有している。各電池セルはその電極端子を先頭にして当該下端の開口部から挿入されて設置される。一対の側板10bは、電池セルのセル幅方向Wの両側に位置している。一対の側板10cは、層状に配置された複数の電池セルの積層方向、すなわち厚さ方向Tの両端に位置している。
【0029】
ケース10は、それぞれ電池セルを収容する収容室を複数個備える。ケース10には、セル幅方向Wに2列並ぶ収容室が設けられている。一方側でセル厚さ方向Tに並ぶ複数個の収容室のそれぞれに収容された電池セルは、第1の積層電池モジュール2を構成し、他方側でセル幅方向Wにもう1列の複数個の収容室に収容された電池セルは、第2の積層電池モジュール3を構成する。このように、各電池セルが収容室に収容されてケース10に保持されることにより、第1の積層電池モジュール2と第2の積層電池モジュール3は、他の部材であるケース10を介在して間接的に接触して組電池1として一体に形成される。また、第1の積層電池モジュール2と第2の積層電池モジュール3は、直接接触して組電池1として一体に形成されてもよい。
【0030】
ケース10の上端の蓋部10aには、所定の位置にバスバーを配置するための開口部が形成されている。この開口部には、各収容室に設置された電池セルの電極端子が露出するように配置される。蓋部10aは、バスバーと電池セルの外装ケースとを絶縁し、例えば安全弁及び電極端子を除く外装ケースの上面部分を覆うように設けられる。
【0031】
蓋部10aには、複数個の電池セルの安全弁を露出するように内部通路を形成する排煙用のダクト部4が設けられている。ダクト部4は、耐熱性を有し、電池セルの内部が異常な高圧状態になって、内部のガスが安全弁の破断によって噴き出しても、ダクト部分が溶けないで破損しない耐熱能力を有することである。また、蓋部10aは、絶縁性を有し、例えばポリプロピレン、フィラーやタルクを含有するポリプロピレン等の合成樹脂で形成されている。
【0032】
電極端子が突出する電池セルの上面は、蓋部10aに接触している。蓋部10aのダクト部4と電池セルの上面との間には、ゴムなどのシール部材を配置するようにしてもよい。また、ダクト部4において電池セルの上面を押さえる部分には、エラストマー等の軟性の高い樹脂を二色食成形等により設けるようにしてもよい。電池セルの上面は、蓋部10aに接触して配置されることにより、ケース10に対する電極端子のセル高さ方向Hの位置が規定される。電池セルは、部分的にケース10の板状部材と接触することによって、セル高さ方向H、セル幅方向W、及びセル厚さ方向Tに関して、ケース10に対して固定される。
【0033】
バスバーは、隣接する電池セルに関して異極電極である電極端子同士を電気的に接続する。バスバーと電極端子との電気的な接続は、ボルトナットによる締結、またはレーザー溶接、アーク溶接等の接続手段によって提供される。
【0034】
1つの積層電池モジュールを構成する複数個の電池セルは、対応する数量のバスバーによって通電可能に直列接続されることになる。換言すれば、1つの積層電池モジュールを構成するすべての電池セルは、平面視で、電流がモジュールの一方側から他方側に向けて流れるように各バスバーを介して電気的に直列接続されている。
【0035】
第1の積層電池モジュール2については、当該モジュールの一方端に位置する電池セル20の正極端子20aは、バスバー40に接続され、バスバー40の端部が組電池1全体の総端子部としての正極側端子に相当する。電池セル20の負極端子20bは、隣接する電池セル21の正極端子21aにバスバー41によって結線され、さらにセル厚さ方向Tに積層配置される各電池セルがバスバーにより順に直列結線される。第1の積層電池モジュール2の他方端に位置する電池セル22は、その正極端子22aがセル厚さ方向Tに隣接する電池セルの負極端子にバスバーにより接続される。さらに、電池セル22の負極端子22bは、セル幅方向Wに隣接する第2の積層電池モジュール3の電池セル30の正極端子30aにバスバー42によって接続される。このバスバー42は、セル幅方向Wに隣接する第1の積層電池モジュール2と第2の積層電池モジュールとを直接に結線する。
【0036】
第2の積層電池モジュール3については、当該モジュールの他方端に位置する電池セル30の負極端子30bは、電池セル31の正極端子31aにバスバー43によって結線され、さらにセル厚さ方向Tに積層配置される各電池セルがバスバーにより順に直列結線される。第2の積層電池モジュール3の他方端に位置する電池セル32の負極端子32bは、バスバー44に接続され、バスバー44の端部が組電池1全体の総端子部としての負極側端子に相当する。この直列結線の一端をなす正極端子20aと他端をなす負極端子32bは、両方の積層電池モジュール2,3について同じ側に配置されている。組電池1全体の総端子部として両端に配されたバスバー40,44は、電力の供給及び放出を行うために、例えば、リレー等を用いた電流の制御回路に接続されている。
【0037】
電極端子をバスバーによって接続する工程を実施する場合には、まず、各電池セルを、ケース10の下端開口部から電極端子を先頭にして所定の収容室に適正に収容して保持する。次に、ケース10と複数個の電池セルの組み立て品に対して、蓋部10aの開口部から露出する電極端子にそれぞれ対応する所定のバスバーを設置する。この状態で、各バスバーに形成された端子挿通用の開口部には、対応する所定の電極端子が挿通される。さらに、例えば、ボルトナットによる締結レーザー溶接、アーク溶接等の溶接により、各バスバーと各電極端子とを接合する。
【0038】
組電池1における電流の経路は、図1〜図3において矢印で示すように、総端子部の正極側端子(正極端子20a)から負極側端子(負極端子32b)に向かってUターンする形態の電流ライン100となる。すなわち、電流ライン100は、組電池1の一方端側から他方端側に向かう第1の電流ベクトルと、第1の電流ベクトルに反対向きで組電池1の他方端側から一方端側に向かう第2の電流ベクトルとが連続するラインである。
【0039】
組電池1は、所定の電池セル間または、各電圧セル間の電圧信号を送信するために配線される複数本の電圧検出線50a,51a,52a,53aを備える。各電圧検出線50a〜53aは、複数個の電池セルの所定位置に接続されている検出端子から配線されるケーブルである。この複数本の電圧検出線50a〜53aは、各検出端子から引き出された後、セル厚さ方向Tに延びるように配線されている。多数の電圧検出線は、バスバーの一部にかしめ、溶接、圧着、ばね力を利用した保持による結合等により固定される検出端子から延びる通信線である。
【0040】
複数本の電圧検出線50aは、途中で束線としてセル厚さ方向Tに延びるケーブルハーネス50にまとめられて、総端子部としての正極側端子と同じ側に配置されるコネクタ5aに至る。各電圧検出線50aは、各検出端子から束線のケーブルハーネス50としてまとめられるまでの間にセル厚さ方向Tに直交してセル幅方向Wに延びるように配線される部分を含んでいる。複数本の電圧検出線50aがまとめられたケーブルハーネス50は、平面視で、第2の積層電池モジュール3とは反対側に位置する第1の積層電池モジュール2の側面に沿うように配線される。
【0041】
蓋部10aには、第2の積層電池モジュール3とは反対側に位置する第1の積層電池モジュール2の側面に沿うガイド壁50a1が形成されている。ガイド壁50a1には、セル厚さ方向Tについて所定の位置に上方に開口する複数個の切り欠き部が形成され、この切り欠き部は、電圧検出線50aが通る第1の配線通路50a2に相当する。さらに第2の配線通路50a3は、ガイド壁50a1に沿うようにセル厚さ方向Tに延設されている。ケーブルハーネス50は、各第1の配線通路50a2から引き出された各電圧検出線50aが集合した束線であり、第2の配線通路50a3に配置されている。
【0042】
複数本の電圧検出線51aは、途中で束線としてセル厚さ方向Tに延びるケーブルハーネス51にまとめられて、総端子部としての正極側端子と同じ側に配置されるコネクタ5aに至る。各電圧検出線51aは、各検出端子から束線のケーブルハーネス51としてまとめられるまでの間にセル厚さ方向Tに直交してセル幅方向Wに延びるように配線される部分を含んでいる。複数本の電圧検出線51aがまとめられたケーブルハーネス51は、平面視で、第2の積層電池モジュール3と対向する第1の積層電池モジュール2の側面に沿うように配線される。
【0043】
複数本の電圧検出線52aは、途中で束線としてセル厚さ方向Tに延びるケーブルハーネス52にまとめられて、総端子部としての負極側端子と同じ側に配置されるコネクタ5bに至る。各電圧検出線52aは、各検出端子から束線のケーブルハーネス52としてまとめられるまでの間にセル厚さ方向Tに直交してセル幅方向Wに延びるように配線される部分を含んでいる。複数本の電圧検出線52aがまとめられたケーブルハーネス52は、平面視で、第1の積層電池モジュール2と対向する第2の積層電池モジュール3の側面に沿うように配線される。
【0044】
蓋部10aには、第2の積層電池モジュール3と対向する側に位置する第1の積層電池モジュール2の側面に沿うガイド壁51a1及びガイド壁52a1が形成されている。ガイド壁51a1は、第1の積層電池モジュール2寄りに配置され、ガイド壁52a1は、第2の積層電池モジュール3寄りに配置されている。両方のガイド壁51a1,52a1は、間隔を設けて対向する位置関係にあり、これらの間に形成されるセル厚さ方向Tに延びる通路は、第2の配線通路51a3と第2の配線通路52a3とに相当する。つまり、第2の配線通路51a3と第2の配線通路52a3は同一の通路である。
【0045】
ガイド壁51a1には、セル厚さ方向Tについて所定の位置に上方に開口する複数個の切り欠き部が形成され、この切り欠き部は、電圧検出線51aが通る第1の配線通路51a2に相当する。ケーブルハーネス51は、各第1の配線通路51a2から引き出された各電圧検出線51aが集合した束線であり、第2の配線通路51a3に配置されている。
【0046】
ガイド壁52a1には、セル厚さ方向Tについて所定の位置に上方に開口する複数個の切り欠き部が形成され、この切り欠き部は、電圧検出線52aが通る第1の配線通路52a2に相当する。ケーブルハーネス52は、各第1の配線通路52a2から引き出された各電圧検出線52aが集合した束線であり、第2の配線通路52a3に配置されている。すなわち、ケーブルハーネス51,52は、ガイド壁51a1とガイド壁52a1の間に形成される配線通路において組電池1の中央部をセル厚さ方向Tに縦断するように一緒に配線されている。
【0047】
複数本の電圧検出線53aは、途中で束線としてセル厚さ方向Tに延びるケーブルハーネス53にまとめられて、総端子部としての負極側端子と同じ側に配置されるコネクタ5bに至る。各電圧検出線53aは、各検出端子から束線のケーブルハーネス53としてまとめられるまでの間にセル厚さ方向Tに直交してセル幅方向Wに延びるように配線される部分を含んでいる。複数本の電圧検出線53aがまとめられたケーブルハーネス53は、平面視で、第1の積層電池モジュール2とは反対側に位置する第2の積層電池モジュール3の側面に沿うように配線される。
【0048】
蓋部10aには、第1の積層電池モジュール2とは反対側に位置する第2の積層電池モジュール3の側面に沿うガイド壁53a1が形成されている。ガイド壁53a1には、セル厚さ方向Tについて所定の位置に上方に開口する複数個の切り欠き部が形成され、この切り欠き部は、電圧検出線53aが通る第1の配線通路53a2に相当する。さらに第2の配線通路53a3は、ガイド壁53a1に沿うようにセル厚さ方向Tに延設されている。ケーブルハーネス53は、各第1の配線通路53a2から引き出された各電圧検出線53aが集合した束線であり、第2の配線通路53a3に配置されている。
【0049】
なお、コネクタ5aとコネクタ5bは、図2及び図3に示すように、1個のコネクタ5にまとめられていてもよく、コネクタ5は電池監視装置の制御回路に接続される。つまり電圧検出線50a〜53aは、組電池1の外郭を出た所で1本のケーブルハーネスにまとめられてコネクタ5に接続されている。束線としての各ケーブルハーネス50〜53は、電流ライン100を構成する第1の電流ベクトル(図1におけるセル厚さ方向Tの逆方向)及び第2の電流ベクトル(図1におけるセル厚さ方向T)に平行になるように配線されている。各ガイド壁の高さは、各ケーブルハーネスよりも高くなっており、電圧検出線を他の部品との接触や外部から作用する外力から保護し、損傷を与えないように配線できる機能を有する。
【0050】
組電池1は、複数個の電池セルの所定位置に接続される検出端子から検出した温度信号を送信するために配線される複数本の温度検出線60,61を備える。複数本の温度検出線60は、第1の積層電池モジュール2に接続される検出線であり、セル厚さ方向Tに延びる束線にまとめられて、総端子部としての正極側端子とは反対側に引き出される。複数本の温度検出線60がまとめられた束線は、平面視で、第1の積層電池モジュール2を構成する電池セルの電極端子間をセル厚さ方向Tに沿うように配線される。温度検出線は、電圧検出線のノイズの影響を抑制するために、電圧検出線とは別の通路に配置されている。
【0051】
蓋部10aには、第2の積層電池モジュール3とは遠い側でセル厚さ方向Tに並ぶ複数個のバスバーに沿うガイド壁60aが形成されている。配線通路60a1は、ガイド壁60aとダクト部4の間にセル厚さ方向Tに延びるように形成されている。各温度検出線60が集合した束線は、配線通路60a1に配置されている。
【0052】
複数本の温度検出線61は、第2の積層電池モジュール3に接続される検出線であり、セル厚さ方向Tに延びる束線にまとめられて、総端子部としての負極側端子とは反対側に引き出される。複数本の温度検出線61がまとめられた束線は、平面視で、第2の積層電池モジュール3を構成する電池セルの電極端子間をセル厚さ方向Tに沿うように配線される。
【0053】
蓋部10aには、第2の積層電池モジュール3とは近い側でセル厚さ方向Tに並ぶ複数個のバスバーに沿うガイド壁61aが形成されている。配線通路61a1は、ガイド壁61aとダクト部4の間にセル厚さ方向Tに延びるように形成されている。各温度検出線60が集合した束線は、配線通路61a1に配置されている。温度検出線60及び温度検出線61は、電圧検出線50a〜53aが引き出される側とは、両方の積層電池モジュール2,3に関して反対側に引き出されている。複数本の温度検出線60,61は、組電池1の外郭を出た所で1本のケーブルハーネスにまとめられてコネクタ6に接続されている。コネクタ6は電池監視装置の制御回路に接続される。
【0054】
組電池1は、図示しない、リレー類等の電流制御機器、電池監視装置、電池制御装置、送風装置等とともに電池パックを構成するようにしてもよい。電池監視装置は、組電池1の状態を監視する電池ECUである。電池監視装置は、組電池1の状態に関する情報を検出するために、組電池1の所定の位置に設置された検出端子から延びる複数の検出線を介して、組電池1に接続されている。検出線は、組電池1の電圧を検出する検出端子に接続された電圧検出線、電池温度を検出する検出端子に接続された温度検出線等であり、これらの情報は電池監視装置に送信される。電池パックは、複数個の電池セルの充電、放電、電池温度監視、送風装置による電池冷却等を行う電子部品を有する。
【0055】
次に、本実施形態の組電池1がもたらす作用効果について説明する。組電池1は、電極端子をそれぞれ有する複数個の電池セル20〜22,30〜32と、当該複数個の電池セルを直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバー40〜43と、複数個の電池セルの所定位置に接続される検出端子から検出した電圧信号を送信するために配線される複数本の電圧検出線50a,51a,52a,53aと、を備える。複数個の電池セルは、セル厚さ方向Tに所定個数の電池セルをそれぞれ積層してなり、セル幅方向Wに隣接して2列に配置される第1の積層電池モジュール2と第2の積層電池モジュール3とを形成する。2列に隣接配置される積層電池モジュール2,3を構成するすべての電池セルは、直列結線される。直列結線の一端をなす電極端子(正極端子20a)と他端をなす電極端子(負極端子32b)は、積層電池モジュール2,3について同じ側に配置される。電圧検出線のケーブルハーネス50,51,52,53は、各検出端子から引き出された後、セル厚さ方向Tに延びるように配線される。
【0056】
この構成によれば、セル幅方向Wに2列の積層電池モジュール2,3において直列結線の両端をなす電極端子(正極端子20aと負極端子32b)を同じ側に配することにより、組電池1における電流の経路を示す電流ライン100は、総端子部の負極側端子から正極側端子へUターンする形態を描く。このUターン状の電流ライン100は、2列の積層電池モジュール2,3は隣接配置されるため、総端子部の一端側から組電池1の他端側に向かう第1の電流ベクトル(図1におけるセル厚さ方向Tの逆方向)と、組電池1の他端側に位置する電池セル22,30で折り返して第1の電流ベクトルと反対向きになる第2の電流ベクトル(図1のセル厚さ方向T)とによって形成される。
【0057】
組電池1では、2列の積層電池モジュール2,3は隣接配置されるため、第1の電流ベクトルと第2の電流ベクトルとは反対向きに近接するベクトルとなる。それぞれの電流ベクトルによって発生する磁界は打ち消し合う関係になるため、結果的に組電池1を流れる電流による磁界の強さを、一方向の電流ラインをなす従来技術(特開2011−34883号公報)に比べて大きく低減することができる。以上より、電圧検出線のケーブルハーネスを電流ベクトルに並走させて配線した場合でも、電圧検出線に対する磁界の影響を低減することができる。したがって、電圧検出線へのノイズの絶対量を抑制することができ、組電池1において高精度な電圧検出を実現できる。
【0058】
また、組電池1によれば、直列結線の両端をなす電極端子は、各積層電池モジュール2,3について同じ側に配置されるため、両モジュール間に関わる各種結線を簡素化することができ、当該簡素化による部品個数の低減を図ることができる。
【0059】
組電池1では、図2及び図3に示すように、第1の積層電池モジュール2と第2の積層電池モジュール3は、各電池セルを収容するケース10等の他の部材を介在して間接的に接触して、一体に形成される。また、第1の積層電池モジュール2と第2の積層電池モジュール3を直接接触させて一体に形成してもよい。
【0060】
この構成によれば、2列のモジュール同士の距離が小さくなるため、第1の電流ベクトルと第2の電流ベクトルとを接近させるようにすることができる。つまり、U字状を形成する電流ライン100において、電流の向きが逆向きである往路と復路とが接近するようになる。これにより、両方の電流ベクトル間の磁界の打ち消し合いが強まることになり、電流による生じうる磁界の強さを一層低減することができる。したがって、電圧検出線へのノイズの絶対量をさらに抑制することができる。
【0061】
また、複数本の電圧検出線50a,51a,52a,53aを含む各ケーブルハーネス50,51,52,53は、直列結線の両端をなす正極端子20a及び負極端子32bが積層電池モジュール2,3において配置される側に引き出されている。
【0062】
この構成によれば、電圧検出線の引き出し側と、組電池1において両端をなす電極端子とが同じ側に集約されている。これにより、電圧検出する電池監視装置、充放電制御する制御装置等を含む電池パックにおいて、各種の結線に関わる部品点数を低減したり、配線を短くしたりすることができる。したがって、電池パックの部品管理の簡素化、コスト低減が図れる。
【0063】
図2及び図3に示すように、複数本の温度検出線60,61は、電圧検出線50a,51a,52a,53aを含む各ケーブルハーネス50,51,52,53が引き出される側とは、積層電池モジュール2,3に関して反対側に引き出されている。
【0064】
温度検出線は、電圧検出線等に比べると低電圧ラインであるため、高電圧ラインからの磁界の影響を受けやすい。そこで、この構成によれば、温度検出線を高電圧の電流経路及び電圧検出線から離して配置することにより、温度検出線60,61に与える高電圧ラインからのノイズの影響を低減することができるので、組電池1における温度検出の精度を高めることができ、適正な電池監視を実現できる。
【0065】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態に対する他の形態である組電池1Aについて図4〜図6を参照して説明する。第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第2実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0066】
図4〜図6に示すように、組電池1Aは、組電池1に対して、電圧検出線の配線の構成が相違する。複数本の電圧検出線50a〜53aは、途中で各積層電池モジュール単位でまとめられる束線として配線される。複数本の電圧検出線50a〜53aは、各検出端子から束線としてまとめられるまでの間にセル厚さ方向Tに直交してセル幅方向Wに延びるように配線される部分を含んでいる。束線のそれぞれはセル厚さ方向Tに延びるように配線されている。
【0067】
複数本の電圧検出線50aがまとめられたケーブルハーネス50と複数本の電圧検出線51aがまとめられたケーブルハーネス51は、ケーブルハーネス50Aとして第1の積層電池モジュール2の単位でまとめられる束線として配線される。ケーブルハーネス50、51はモジュール内において近接配置されている。さらに複数本の電圧検出線52aがまとめられたケーブルハーネス52と複数本の電圧検出線53aがまとめられたケーブルハーネス53は、ケーブルハーネス52Aとして第2の積層電池モジュール3の単位でまとめられる束線として配線される。ケーブルハーネス52、53はモジュール内において近接配置されている。ケーブルハーネス50は、平面視で、第1の積層電池モジュール2を構成する電池セルの電極端子間をセル厚さ方向Tに沿うように配線されている。
【0068】
蓋部10aには、第2の積層電池モジュール3に遠い側でセル厚さ方向Tに並ぶ複数個のバスバーに沿うガイド壁50aaが形成されている。ガイド壁50aaには、セル厚さ方向Tについて所定の位置に上方に開口する複数個の切り欠き部が形成され、この切り欠き部は、電圧検出線50aが通る第1の配線通路50aa2に相当する。第2の配線通路50aa1は、ガイド壁50aaとダクト部4の間にセル厚さ方向Tに延びるように形成されている。ケーブルハーネス50は、ダクト部4及びケーブルハーネス51と並走するように第2の配線通路50aa1に配置されている。
【0069】
蓋部10aには、第2の積層電池モジュール3に近い側でセル厚さ方向Tに並ぶ複数個のバスバーに沿うガイド壁51aaが形成されている。ガイド壁51aaには、セル厚さ方向Tについて所定の位置に上方に開口する複数個の切り欠き部が形成され、この切り欠き部は、電圧検出線51aが通る第1の配線通路51aa2に相当する。第2の配線通路51aa1は、ガイド壁51aaとダクト部4の間にセル厚さ方向Tに延びるように形成されている。ケーブルハーネス51は、ダクト部4及びケーブルハーネス50と並走するように第2の配線通路51aa1に配置されている。
【0070】
蓋部10aには、第1の積層電池モジュール2に近い側でセル厚さ方向Tに並ぶ複数個のバスバーに沿うガイド壁52aaが形成されている。ガイド壁52aaには、セル厚さ方向Tについて所定の位置に上方に開口する複数個の切り欠き部が形成され、この切り欠き部は、電圧検出線52aが通る第1の配線通路52aa2に相当する。第2の配線通路52aa1は、ガイド壁52aaとダクト部4の間にセル厚さ方向Tに延びるように形成されている。ケーブルハーネス52は、ダクト部4及びケーブルハーネス53と並走するように第2の配線通路52aa1に配置されている。
【0071】
蓋部10aには、第1の積層電池モジュール2に遠い側でセル厚さ方向Tに並ぶ複数個のバスバーに沿うガイド壁53aaが形成されている。ガイド壁53aaには、セル厚さ方向Tについて所定の位置に上方に開口する複数個の切り欠き部が形成され、この切り欠き部は、電圧検出線53aが通る第1の配線通路53aa2に相当する。第2の配線通路53aa1は、ガイド壁53aaとダクト部4の間にセル厚さ方向Tに延びるように形成されている。ケーブルハーネス53は、ダクト部4及びケーブルハーネス52と並走するように第2の配線通路53aa1に配置されている。
【0072】
図5及び図6に示すように、温度検出線60,61は、組電池1Aのセル幅方向Wの両端に配置され、電圧検出線50a〜53aとは別の位置に配置される。
【0073】
次に、本実施形態の組電池1Aがもたらす作用効果について説明する。組電池1Aにおいて、複数本の電圧検出線50a,51aは、途中で各積層電池モジュール単位で束にまとめられるケーブルハーネス50Aとして配線される。さらに複数本の電圧検出線は、各検出端子から束線にまとめられるまでの間にセル厚さ方向Tに直交してセル幅方向Wに延びるように配線される部分を含む。ケーブルハーネス50Aはセル厚さ方向Tに延びるように配線される。また、電圧検出線50a,51aはモジュール上で近接配置されている。なお、この構成は、ケーブルハーネス52Aについても同様である。
【0074】
この構成によれば、複数本の電圧検出線はモジュール上で近接配置され、途中で各積層電池モジュール単位で束線としてまとめることにより、モジュール1列分に含まれる複数本の電圧検出線50a,51aは、同等のノイズの影響を受けることになる。このため、モジュール1列分の各電圧検出線が受けるノイズの影響を同等レベルに合わせることができる。したがって、各電圧検出線の電圧検出値間でノイズの影響を考慮する必要がなくなる。このようにノイズの影響の差がなくなることで高精度な電圧検出に貢献することができる。
【0075】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態に対する他の形態である組電池1Bについて図7〜図9を参照して説明する。第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第3実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0076】
図7〜図9に示すように、組電池1Bは、組電池1に対して、電圧検出線の配線の構成が相違する。組電池1Bに装着される電圧検出線50a〜53aのすべては、まとめられて束線のケーブルハーネス50Bとして配線される。ケーブルハーネス50Bは、隣接する第1の積層電池モジュール2と第2の積層電池モジュール3との間でセル厚さ方向Tに延びるように配線されている。すなわち、複数本の電圧検出線50a〜53aは、途中で1本の束線として集合して配線される。各電圧検出線50a〜53aは、各検出端子から束線として組電池1のセル幅方向Wの中央部でまとめられるまでの間にセル厚さ方向Tに直交してセル幅方向Wに延びるように配線される部分を含んでいる。
【0077】
ケーブルハーネス50Bは、平面視で、第1の積層電池モジュール2と第2の積層電池モジュール3間に設けられる第2の配線通路51a3(または第2の配線通路52a3)に配置されている。
【0078】
次に、本実施形態の組電池1Bがもたらす作用効果について説明する。組電池1Bにおいて、複数本の電圧検出線50a,51a,52a,53aのすべては、束線であるケーブルハーネス50Bとして配線される。ケーブルハーネス50Bは、隣接する積層電池モジュール2,3間でセル厚さ方向Tに延びるように配線されている。
【0079】
ここで、隣接する第1の積層電池モジュール2と第2の積層電池モジュール3との間の領域は、上記Uターン状の電流ライン100の中間に位置するため、電流による磁界の影響を受けにくい場所である。そこで、この構成によれば、この磁界の影響を受けにくい場所に電圧検出線の束線を配することにより、各電圧検出線へのノイズの絶対量をさらに抑制することができる。
【0080】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態に対する他の形態である組電池1Cについて図10を参照して説明する。第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第4実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0081】
図10に示すように、組電池1Cにおいて、複数本の電圧検出線50a〜53aは、直列結線の両端をなす電極端子(正極端子20aと負極端子32b)が配置される側とは、両方の積層電池モジュール2,3に関して反対側に引き出される構成であることを特徴としている。すなわち、コネクタ5aとコネクタ5bは、第1の積層電池モジュール2の他方端の電池セル22と第2の積層電池モジュール3の他方端の電池セル30とを接続するバスバー42が位置する側、つまり組電池1とは反対側に引き出され、電池監視装置の制御回路に接続される。さらに、束線としての各ケーブルハーネス50〜53は、電流ライン100を構成する第1の電流ベクトル及び第2の電流ベクトルに平行になるように配線されている。
【0082】
第4実施形態の組電池1Cによれば、複数本の電圧検出線50a〜53aは、直列結線の両端をなす正極端子20a及び負極端子32bが配置される側とは、積層電池モジュール2,3に関して反対側に引き出されている。この構成によれば、上記のUターン状の電流ライン100の開始点及び終点と複数本の電圧検出線50a〜53aの引き出し側とを離して配置する。また、電極端子20a,32bに接続され、他のモジュール若しくは電流制御機器などに接続される電流配線と、電圧検出線50a〜53aとが離して配置することができるため、電圧検出線に与えるノイズの影響を低減して高精度な電圧検出が図れる。
【0083】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0084】
本発明に係る電圧検出線及び温度検出線の配線に係る構成は、上記実施形態に記載の構成に限定するものではない。上記の組電池1,1A,1B,1Cにおける各構成は、あくまで一つ実施形態にすぎない。特許請求の範囲の記載に基づいて、その権利範囲に含まれる範囲であれば、電圧検出線及び温度検出線の配線に係る構成は限定しない。
【0085】
上記実施形態において、組電池1,1A,1B,1Cを構成する電池セルの個数は一例にすぎない。電圧検出線及び温度検出線の設置場所についても、上記実施形態は一例にすぎない。特許請求の範囲の記載に基づいて、その権利範囲に含まれる範囲であれば、設置場所は限定しない。
【符号の説明】
【0086】
1…組電池
2…第1の積層電池モジュール(積層電池モジュール)
3…第2の積層電池モジュール(積層電池モジュール)
20,21,22,30,31,32…電池セル
20a,21a,22a,30a,31a…正極端子(電極端子)
20b,21b,22b,30b,32b…負極端子(電極端子)
40,41,42,43…バスバー
50A,52A…ケーブルハーネス(電圧検出線、束線)
50a,51a,52a,53a…電圧検出線
T…セル厚さ方向
W…セル幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースから突出する正極端子及び負極端子からなる電極端子(20a〜22a,30a〜32a)をそれぞれ有する複数個の電池セル(20〜22,30〜32)と、
当該複数個の電池セルを直列に結線するように前記電極端子間を接続する複数個のバスバー(40〜43)と、
前記複数個の電池セルの所定位置に接続される検出端子から検出した電圧信号を送信するために配線される複数本の電圧検出線(50a,51a,52a,53a)と、を備え、
前記複数個の電池セルは、セル厚さ方向(T)に所定個数の電池セルをそれぞれ積層してなり、セル幅方向(W)に隣接して2列に配置される第1の積層電池モジュール(2)と第2の積層電池モジュール(3)とを形成し、
前記2列に隣接配置される積層電池モジュール(2,3)を構成するすべての電池セルは、前記直列結線され、
前記直列結線の一端をなす前記電極端子(20a)と他端をなす前記電極端子(32b)は、前記積層電池モジュールについて同じ側に配置され、
前記複数本の電圧検出線は、各検出端子から引き出された後、前記セル厚さ方向に延びるように配線されることを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記複数本の電圧検出線(50a,51a,52a,53a)は、途中で前記各積層電池モジュール単位でまとめられる束線(50A,52A)として配線され、
前記複数本の電圧検出線は、各検出端子から前記束線としてまとめられるまでの間に前記セル厚さ方向(T)に直交して前記セル幅方向(W)に延びるように配線される部分を含み、
前記束線のそれぞれは前記セル厚さ方向に延びるように配線されることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記電圧検出線(50a,51a,52a,53a)は、前記直列結線の両端をなす前記電極端子(20a,32b)が前記積層電池モジュール(2,3)において配置される側に引き出されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組電池。
【請求項4】
前記複数個の電池セルの所定位置に接続される検出端子から検出した温度信号を送信するために配線される複数本の温度検出線(60,61)を備え、
前記温度検出線は、前記電極端子及び前記電圧検出線が引き出される側とは、前記積層電池モジュール(2,3)に関して反対側に引き出されることを特徴とする請求項3に記載の組電池。
【請求項5】
前記第1の積層電池モジュール(2)と前記第2の積層電池モジュール(3)は、直接接触し、または他の部材を介在して間接的に接触して、一体に形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の組電池。
【請求項6】
前記複数本の電圧検出線(50a,51a,52a,53a)のすべては、まとめられて束線(50B)として配線され、
前記束線(50B)は、隣接する前記積層電池モジュール(2,3)間で前記セル厚さ方向に延びるように配線されることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項7】
前記電圧検出線(50a,51a,52a,53a)は、前記直列結線の両端をなす前記電極端子(20a,32b)が配置される側とは、前記積層電池モジュール(2,3)に関して反対側に引き出されることを特徴とする請求項1に記載の組電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−109914(P2013−109914A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252962(P2011−252962)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】