説明

経皮医薬組成物

本発明は、増大された安定性及び生物学的利用能を有する半固体の経皮医薬製剤であって、粒子が揮発性のシリコーンオイル成分によって被覆されており、このようにして得られた懸濁液をゲル又はクリーム基剤に分散させてなる経皮医薬製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル又はクリーム基剤に分散された有効成分の被覆粒子を含んでなる半固体の経皮医薬製剤及びその製法に関する。さらに詳述すれば、本発明は、経皮使用を意図する製剤であって、有効成分が揮発性のシリコーン(シロキサン)によって被覆されており、このようにして得られた懸濁物をゲル又はクリーム基剤に分散させてなる製剤に関する。本発明による経皮製剤の物理的、化学的及び微生物学的安定性は優秀であり、その製造は、簡単な操作によって及び有効成分を被覆するために好適な揮発性のシリコーン成分選択することによって行われ、局所的、特定区域的又は全身的な使用のための経皮医薬製剤を製造することができる。
【背景技術】
【0002】
化学構造に左右される優秀な機械的特性と共に、優秀な化学的不活性、加熱及び冷却に対する耐性、生体系との適合性のため、シリコーン(シロキサン、シラン又はポリシロキサンとも称される)の適用領域は特に広い。シリコーンは、直鎖状ポリシロキサン鎖(例えば、シリコーンオイル、天然ゴム)、環状又は分枝状鎖(例えば、シリコーン樹脂)又は分子量700,000ダルトン以下を有する網状構造を含有できる。シロキサンは、通常、各種の粘度のシリコーンオイルとして医薬工業において用いられている。
【0003】
シリコーンオイルの沸点及び粘度は、基本的には、その重合度によって決定される。低重合度を有するシリコーン誘導体は、自由流動性、揮発性の液体である。沸点及び粘度は、重合度の増大に伴って増大する。臨界重合度以上又は交差結合による網状構造の形成によって、シリコーンは半固状又は固状の弾性体、例えば、シリコーンゴムとして存在する。
【0004】
ポリシロキサンは、基本的には、部分的にアルキル置換されたハロゲン-シラン又はその混合物の加水分解によって生成される。例えば、ヨーロッパ特許第980885号によれば、トリメチルクロロシロキサン及びジメチルジクロロシロキサンの混合物を塩酸水溶液の存在下で加水分解し、これによって、シリコーンポリマーの混合物を得た後、これを蒸留及び分別によって精製している。
【0005】
医薬におけるシリコーンの導入は、これら化合物の製造が特に高価であり、医薬の目的に要求される品質において複雑であるとの事実によって遅延されていた。例えば、眼科における使用を意図するシリコーンオイルは、しばしば、モノマー又はオリゴマーを含有することが認められるが、モノマー及びオリゴマーは意図する目的に対するオイルの適合性を低下させるものであり、潜在的に健康に対して有害であることが認められた。シリコーンポリマーは、薬用及び外科用インプラント、人工補綴を目的とする医薬及び医療用具において使用される。
【0006】
高揮発性のシリコーンはシリコーンオイルのグループに属する。「揮発性シリコーン」の表現は、人の皮膚から6時間以内で蒸発され、以後、何ら残渣を残さない、医薬補助剤として使用されるシリコーンオイルを意味する。このような揮発性シリコーンは、医薬品の製造に好適な品質で製造される。
【0007】
栄養製剤と共に、化粧品及び医薬製剤のための各種重合度のシリコーンの使用は、最新技術から公知である。より大きい分子量のシリコーンオイル及び天然ゴムは、通常、賦形剤、膜形成剤として応用されており、シリコーンオイルは、最新技術において、分散剤又は安定剤として使用されている。
【0008】
最新技術によれば、揮発性シリコーンは、化粧品用又は医薬品用のエマルジョン又は懸濁液において、連続液体相中に、部分的に混和性の液体又は固体を分散させるために使用される。ヨーロッパ特許第639372号に開示された処方は、化粧品又は医薬品用のエーロゾルであり、ヘキサメチルジシロキサン、有効成分、チキソトロピック補助剤及び固体賦形剤、例えば、タルクの均質化のための分散剤として使用されている。
【0009】
化粧品における賦形剤としてのいくつかの揮発性シリコーンの使用は、ヨーロッパ特許出願第1472263号に開示されている。
【0010】
英国特許第2064363号には、水、揮発性シリコーン及びエトキシ化脂肪酸又はエトキシ化ソルビタンエステルから選ばれる乳化剤を含んでなる、皮膚表皮上層への浸透の増大に適する液体賦形剤系が開示されている。国際特許出願公開WO 2005/053666には、医薬有効成分としてビタミンDを含有する同様の製剤が開示されており、当該製剤では、賦形剤の成分として、追加の非揮発性の炭化水素又はエステルが使用されている。
【0011】
国際特許出願公開WO 2006/100489には、エマルジョン状態の液体製剤が開示されており、当該製剤は、有効成分、浸透促進剤、浸透調節剤、及び揮発性賦形剤を含んでなる。浸透促進剤の中には、ベンジルアルコールが、浸透調節剤の中には、揮発性シリコーンが挙げられている。賦形剤は短鎖アルコールの混合物である。この製剤は、全身作用を目的として医薬活性成分を投与することに適する。
【0012】
液体医薬製剤の課題は、液状であるため、適用期間及び適用用量が反復性及び再現性に乏しいことにある。このように、このような製剤は、適用期間が短い場合であっても、局所適用又は特定区域適用(例えば、皮膚、粘膜、皮膚表面下かつ適用領域に近接する筋肉系)においてのみ推奨される。
【0013】
揮発性シリコーンは、半固体医薬製剤では、あまり使用されない。ヨーロッパ特許第410099号には、局所適用のための水フリーの(すなわち、水を含有しない)抗菌性ゲルが開示されており、当該ゲルでは、有効成分がテトラサイクリン系抗生物質であり、賦形剤が、シリコーン成分又はオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン又はヘキサメチルジシロキサン又はその混合物から選ばれる混合物からなり、ゲル化及び膜形成剤としてアクリレート、ビニルアセテート又はポリエチレンホモポリマーから選ばれる重合体及びエステルタイプの軟化剤を含んでなる。
【0014】
ヨーロッパ特許第980885号には、揮発性シリコーン分散剤、非揮発性パラフィン、水及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでなるゲル中に分散した化粧品成分を含有する化粧品が開示されている。
【0015】
ヨーロッパ特許第988943号には、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン又はその混合物、ビタミンE及び硬化ヒマシ油からなる本質的に水フリーのゲル製剤が開示されている。
【0016】
米国特許第4,355,046号及び米国特許第5,336,692号には、皮膚表面での化粧品の均質な分布のためのヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン及びデカメチルペンタシロキサンの使用が開示されている。
【0017】
国際特許出願公開WO2009/007764には、有効成分として、アシクロビル、ピロキシカム、メロキシカム、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム又はカリウム塩、クロトリマゾール、ビホナゾール、メトリニダゾール、ニフェジピン、ニトログリセロール、又はセチリジンを含有する、揮発性シリコーンにおける有効成分の粒子の懸濁物を含有する(前記懸濁物はゲル又はクリーム基剤に分散されている)、改善された吸収性及び生物学的利用能をもつ経皮製剤が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
非侵襲性であり、かつ錠剤の摂取が困難であるケース、例えば、高齢者又は幼児のケースにおいて使用される医薬有効成分に関する投与方法についての要求がある。腸管系における吸収部位で代謝される傾向にあるか又は広範な初回通過代謝を受ける医薬有効成分についての腸ルートをバイパスする投与法も望まれている。
【0019】
最新技術によれば、有効成分の全身効果を提供する揮発性シリコーン又はこのような化合物の混合物を含有する、クリーム又はゲルの形の経皮医薬製剤は知られていない。
【0020】
全身効果を達成する経皮適用ルートの利点は、血漿内における有効成分の濃度プロフィールが安定している点にある。さらに、投与法としての経皮法は、腸管系からの吸収性に乏しく、刺激性であり、迅速に排出され又は代謝の際に瞬時に不活性化される有効成分の全身への導入に好適である。経皮投与法の主な課題は、貼付剤又はクリームが皮膚の刺激、変性を引き起こし、いくつかのケースでは、その除去が困難であるか、又は
適用区域から充分に取り除かれ得ない点にある。
【0021】
従来技術から知られている親油性クリームの課題は、親油性賦形剤の分布及び皮膚の外層のため、有効成分の大部分が定容積の賦形剤に残留するとの理由から、有効成分の吸収性が乏しくかつ遅い点にある。
【0022】
懸濁した状態の有効成分を含有する親水性ゲル製剤は最新技術から知られている。このような製剤からの吸収は、多くのケースにおいて充分であるが、これらの製剤は、保存の間に、有効成分の分解、製剤のコロイド構造の劣化を含む物理的−化学的な変性を受ける傾向にあり、しばしば微生物学的汚染が生ずる。このようなプロセスは、製剤の安定性及び保存寿命を低下させる。
【0023】
半固体ゲル及びクリーム製剤を含む経皮医薬製剤に関する主な要件は、安定性、充分に長い保存寿命、治療のための有効成分の充分な吸収性及び適用環境下での好適な物理状態である。
【0024】
本発明は、ゲル又はクリームの形の半固体経皮医薬製剤であって、賦形剤として機能するゲル又はクリームが、高揮発性のシリコーンオイルによって又はその混合物によって被覆された有効成分の分散した粒子を含有する経皮医薬製剤を提供するものである。本発明による製剤では、最も好ましくは、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン又はデカメチルペンタシロキサンが使用される。本発明による半固体経皮製剤は、任意に用量単位の形での皮膚又は粘膜への適用に適しており、本発明による経皮組成物を、組成に応じて局所、特定区域又は全身効果の発現を許容する形で製造することが可能である。本発明による組成物は、優れた物理的−化学的安定性及び微生物学的安定性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
発明者らの研究の目的は、良好な吸収性、浸透性及び生物学的利用能をもつ、医薬的に活性な成分、化粧品成分又は栄養成分の製剤に適し、同時に、好適な物理的−化学的安定性を示し、微生物学的汚染又は分解を受けず、好適な長期間の保存寿命を有する経皮半固体剤形を開発することにあった。さらに、発明者らは、治療効果が望まれる部位(局所効果、特定区域効果又は全身効果を得ることを含む)への薬剤の所望の成分の再現可能な標的送達を達成するように処方される賦形剤系開発する意図していた。
【0026】
上記目的は本発明によって達成された。
【0027】
驚くべきことには、発明者らは、補助剤として揮発性シリコーンを使用することによって、上述の要件を満足する半固体経皮製剤を調製できることを見出し、本発明に至った。クリーム及びゲルの安定性、吸収性及び浸透性は、揮発性シリコーン又はその混合物の品質及び割合によって決定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本明細書の全体にわたって、用語「シリコーン」、「シラン」及び「シロキサン」を互換可能なものとして使用しており、ポリシロキサン鎖におけるケイ素がR1、R2アルキル基によって置換されているケイ素の化合物
O-[SiR1R2-O]n-Si
を表す。
【0029】
本明細書では、用語「経皮製剤」とは、薬理学的効果が、製剤を適用した領域において、その近接する組織において、又は適用区域とは離れた位置の臓器又は組織を含む全身の至る所で発揮されることとは無関係に、皮膚に適用される各種の医薬製剤を意味する。
【0030】
従って、用語「局所効果」とは、薬理学的効果が、本発明による経皮製剤が適用された領域において排他的に発現することを意味する。
【0031】
用語「特定区域効果」とは、薬理学的効果が、本発明による経皮製剤が適用された領域に近接する位置にある組織において発現することを意味する。例えば、皮膚に適用された局所用製剤は、皮下の筋肉系において、その効果を発揮できるが、有効成分は血漿内において検出されないか、又はその濃度は治療作用に必要なものよりもかなり少ないものである。
【0032】
用語「全身効果」とは、薬理学的効果が、身体全体又は生体全体の至る所で、本発明による経皮製剤が配置された適用領域から遠く離れた位置にある組織又は臓器においても発現することを表す。このような製剤からの有効成分は、通常、適用区域から血漿に吸収される。
【0033】
本発明の第1の態様によれば、クリーム基剤又はゲル基剤に分散された、1以上の揮発性シロキサンと混合された又は揮発性シロキサンにて被覆された有効成分の粒子を含んでなる経皮医薬製剤が提供される。
【0034】
意外にも、本発明による半固体経皮製剤は、用量単位の形であっても、皮膚又は粘膜への適用に好適であり、本発明による経皮組成物を、組成に応じて、局所効果、特定区域効果、又は全身効果の発現を可能にする形で製造できることが認められた。この効果は、当分野の現状によれば、これまで、半固体経皮製剤によって全身効果を達成することができなかったため、非常に驚くべきことである。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、クリーム基剤又はゲル基剤に分散された、1以上の揮発性シロキサンと混合された又は揮発性シロキサンにて被覆された有効成分の粒子を含んでなる局所用に適する経皮医薬製剤が提供される。本願の明細書において、用語「局所効果」は、薬理学的効果が、本発明による経皮製剤が適用された皮膚領域において排他的に発現することを意味する。
【0036】
本発明の第3の態様によれば、クリーム基剤、軟膏基剤、又はゲル基剤に分散された、1以上の揮発性シロキサンと混合された又は揮発性シロキサンにて被覆された有効成分の粒子を含んでなる、特定区域効果の達成に適する経皮医薬製剤が提供される。用語「特定区域効果」とは、薬理学的効果が、本発明による経皮製剤が適用された領域に近接する位置にある組織において発現することを意味する。
【0037】
本発明の第4の態様によれば、クリーム基剤、軟膏基剤、又はゲル基剤に分散された、1以上の揮発性シロキサンと混合された又は揮発性シロキサンにて被覆された有効成分の粒子を含んでなる全身効果の達成に適する経皮医薬製剤が提供される。用語「全身効果」とは、薬理学的効果が、身体全体又は生体全体の至る所で、本発明による経皮製剤が配置された適用領域から遠く離れた位置にある組織又は臓器においても発現すること意味する。本発明のこの態様による製剤の有効成分は、通常、血漿中で検出される。
【0038】
しかし、当業者であれば、これら3つのクラスを、治療効果の一次的部位に応じて厳密に分けることができないことは理解されるであろう。医薬的に有効な成分のわずかな吸収は、局所用製剤の場合であっても生ずることが知られている(ただし、通常は、望まれない又は意図されない)。さらに、局所効果を意図する製剤の有効成分も血液循環に入り、多少の程度で全身効果が発揮される(これは意図するものではない)。従って、本発明の製剤を、その作用部位に応じたものとすることができ、すなわち、本発明の製剤は、局所的及び特定区域的、又は局所的及び全身的なものとして作用する。しかし、この多重作用は、治療効果を増大させることができるため、しばしば有利である。例えば、抗真菌剤の場合、皮膚表面において及び皮膚のより深い層及び皮膚付属器において(ある程度まで)、真菌の感染を治療することは有利である。従って、医薬の標的送達が達成される。
【0039】
本発明の特に有利で、かつ驚くべき効果は、有効成分が、循環系への浸透が可能になり、これによって、全身効果が提供されるほど高濃度で皮膚から吸収されることを可能になる、皮膚を介する投与に適する経皮製剤が調製されることである。このような製剤の吸収速度は、錠剤の摂取ついての困難性を伴うことなく、経口投与によって達成されるものに匹敵するものである。通常の経口量(又は通常の経口量の投与によって達成される血漿レベル)に相当する経皮製剤の用量単位を皮膚に送達することができる。
【0040】
本発明の製剤では、揮発性のシラン成分は、好ましくは、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサン又はその混合物から選ばれる。しかし、他の揮発性シリコーンを使用することもできる。基剤としては、好ましくは、カルボキシビニル重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等又はその混合物のようなゲル形成性重合体が使用される。
【0041】
本発明による組成物は1以上の有効成分を含有できる。有効成分の範囲は、特に医薬用の有効成分及び化粧品成分に限定されず、ヒト又は動物の皮膚に適用される他の化学剤(例えば、殺虫剤)を含むことができる。有効成分は、その効果を、局所的、特定区域的又は全身的に発現できる。いくつかの有効成分は外用としての用途のみが認められ、これらは、通常、局所投与用製剤として処方されることが理解される。外用又は内用として使用される有効成分は、治療の目的に応じて、局所的、特定区域的又は全身的な治療効果のために処方される。
【0042】
しかし、有効成分の物理的−化学的特性も、本発明による製剤における適用性に影響を及ぼす。水溶液中に主として溶解した形で存在する有効成分は、顕著に膨潤しているか、又は強塩基又は酸であり、本発明によっては、容易に製剤されないことが判明した。
【0043】
本発明による経皮製剤において使用される医薬用の有効成分に関する明白な制限はない。有効成分は、例えば、感染性疾患、癌性又は血液疾患、内分泌、栄養又は代謝障害のグループに属する疾患、中枢神経系の疾患、栄養失調による疾患、精神疾患、行動障害、強迫性疾患、性病又は性感染症、精神及び認知機能の疾患及び状態、神経系疾患、卒中、眼疾患、耳鼻咽喉疾患、心臓血管又は脳血管疾患、呼吸器系の疾患、呼吸器疾患、歯科疾患、消化器科学又は肝臓学の分野に属する疾患又は障害の治療又は予防に有用なものである。骨−関節及び筋肉系の疾患の治療のために、通常、皮膚科学、免疫学、男性病学、婦人科及び産科において適用される有効成分を、本発明に従って製剤することができる。本発明による製剤は、外部の物理的作用又は生物学的因子(熱傷、凍傷、細菌を含むが、これらに限定されない)に対する、動物又は草木の毒及び毒素、内部又は外部寄生虫又は微生物が原因の感染症に対する、又は傷の治癒の促進及びアレルギー反応の緩和のための医薬の調製に非常に有利に使用される。本発明に従って、診断約又は消毒薬を処方することもできる。
【0044】
本発明の医薬用の有効成分は、鎮痛剤、麻酔薬、解熱剤、抗偏頭痛剤、催眠剤、鎮静剤、抗うつ剤、抗不安剤、抗精神薬、抗パーキンソン病薬、抗てんかん薬、精神安定剤又は抗痙攣薬を含む神経系の治療に好適なもの、例えば、リドカイン;テトラカイン;プロカイン;ベンゾカイン;フェノバルビタール;チオペンタール;ヘキソバルビタール;天然又は合成のモルヒネ誘導体に属する化合物;アミダゾフェン;ノバミダゾフェン;パラセタモール;アスピリン;テオフィリン;カフェイン;アルプラゾラム;オキサゼピン、チアゼピン又はジアゼピン誘導体;ベンゾジアゼピン;フェネチアジン又はインドール誘導体;オキシプロパンアミン誘導体;ジフェニルアミン誘導体;ゾルピデム;リスペリドン;アリピプラゾール;オランザピン;オンダンセトロン;ドネペジル;グラニセトロン;メタミゾール;アミノフェナゾン;フェナセチン;エルゴタミン;ナラトリプタン又は他の選択的セロトニン作動薬;モノアミン又はセロトニン再摂取阻害剤;又は興奮剤から選ばれる。
【0045】
本発明に従って製剤される有効成分は、心臓血管又は血管系の疾患に対して有効なものから選ばれる。例えば、製剤は、抗凝血剤、降圧剤、抗高脂血症剤、α又はβアドレナリン受容体拮抗薬、血小板凝集阻害剤、抗動脈硬化剤、イオンチャンネルブロック剤、抗不整脈剤、血管拡張又は血栓溶解剤、例えば、強心配糖体、トロキセルチン、ニトログリセロール、ペンタエリスリトールテトラニトレート、イソソルビドニトレート、ニフェジピン、アムロジン、フェロジピン、ベラパミル、ジルチアゼム、ACE阻害剤(カプトプリル、ペリンドプリル、エナラプリル、ラミプリル又はリシノプリルを含む)、アンジオテンシンII阻害剤(バルサルタン、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン又はテルミサルタンを含む)、クマリン誘導体、ヘパリン誘導体、トロンボサイト凝集阻害剤(クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル及びアセチルサリチル酸又はイブプロフェンを含む)、トロンビン阻害剤、止血−収斂剤、メチルドーパ、プラゾシン、ドキサゾシン、テラゾシン、ヒドララジン、アルプレノロール、プロプラノロール、メトプロロール、ビソプロロール、アテノロール、ネビボロール、カルベジロール、ニコチン酸、ペントキシフィリン、バッカクアルカロイド又はベンシクランを含有できる。
【0046】
炎症に対して有効であり、免疫系において作用する有効成分としては、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤、免疫促進剤、抗アレルギー剤、抗リウマチ剤、免疫調節剤、抗関節炎剤、ロイコトリエン拮抗化合物又は免疫応答の惹起に好適な抗原が使用される。このような化合物は、例えば、ベンジダミン;サリチル酸誘導体;ヘパリン誘導体;ビオフラボノイド;ジクロフェナク及びその塩、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェンを含む非ステロイド抗炎症剤;及びプロスタグランジン誘導体である。
【0047】
感染症に対して好適な有効成分の中でも、一般的な消毒剤;抗生物質;化学療法剤;抗微生物性、抗細菌性、抗真菌性又は抗ウイルス性化合物又は感染性因子に対する免疫応答の惹起に好適な抗原が使用される。感染症に対して好適な有効成分の例としては、トリメトプリム、スルファメタジン、スルファメトキサゾール、エコナゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール、ケトコナゾール、テルビナフィン、トリナフテート、アシクロビル、リバビリン、ガンシクロビル、バラシクロビル、ラミブジン、エペルブジン、ネオマイシン及び他のアミノグリコシド抗生物質;大環状抗生物質、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、チロシン;テトラサイクリン又はフルオロキノロンタイプの抗生物質がある。一般的な消毒剤の例としては、過酸化水素又はその錯体、過酸化ベンゾイル、セチルピリジニウム、セトリモニウム又はテトラアルキルアンモニウム誘導体、トリクロサン、ベンゾトリメチルアンモニウム誘導体、乳酸誘導体及びクロロヘキシジンがある。本発明による組成物は、殺虫剤と共に、内部又は外部寄生虫に対して有効な有効成分を含有できる。
【0048】
本発明による製剤では、非ステロイド又はステロイド抗炎症性化合物、例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、フルオシノロン、ジクロフェナク、イブプロフェン、フルルビプロフェン及びケトプロフェンも有利に使用される。
【0049】
消化及び分泌系の治療に有用な有効成分の例としては、利尿剤、抗潰瘍剤、酸中和剤、制吐剤、食欲抑制剤、収斂剤又は下剤、例えば、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、シサプリド、オメプラゾール、パントプラゾール、ランゾプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、タンニン酸アルブミン、パンクレアチン、トリプシン、ブロメライン、パパベリン、ドロタベリン、アトロピン、ヒヨスチアミン、ベラドンナアルカロイド及びその誘導体、デオキシコール酸誘導体、シリマリン誘導体、フェノールフタレイン、シブトラミン、リモナバン、ハイドロクロロチアジド、クロロチアジド、テオブロミン、フロセミド、スピロノラクトン、アミロライド及びトリアムテレンがある。
【0050】
本発明による経皮製剤は、抗糖尿病剤、利尿剤、抗高脂血症剤、糖質コルチコイド又はアナボリックのような代謝に影響を及ぼす有効成分、例えば、インスリン、メトホルミン、スルホンアミド抗糖尿病剤、グリメピリド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン、ビルダグリプチン、シタグリプチン、レパグリニド、ナテグリニド、水溶性又は脂溶性ビタミン及びその誘導体、他の栄養素及び必須要素、スタナゾール、ナンドロロン、エゼチミブ、スタチン又はフィブラート、例えば、シンバスタチン、ロバスタチン、アトロバスタチン、パラバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、クロフィブラート、フェノフィブラートを含有できる。
【0051】
本発明による組成物は、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、抗喘息剤、気管支拡張剤、交感神経作動薬、鎮咳剤又は去痰剤、例えば、エフェドリン、フェニルエフェドリン、オキシメタゾリン、キシリメタゾリン、ナファゾリン、クロモグリク酸、選択的β2-アドレナリ受容体拮抗薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、セチリジン、レボセチリジン、クロルピラミン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジンのような呼吸器の疾患の治療に好適な有効成分を含有できる。
【0052】
本発明による経皮製剤の有効成分は、例えば、抗リウマチ剤、鎮痙薬、抗炎症剤又は筋肉弛緩剤及び骨粗しょう症に有効な化合物のような筋肉系、骨−関節系及び運動器系の治療に好適な医薬化合物、例えば、パパベリン、ドロタベリン、アトロピン、フェニルブタゾン、インドメタシン、ジクロフェナク、イビプロフェン、celexocib、nifluminic acid、ミメスリド及びトルペリゾン;アレンドロネート、ゾレドロネート又はイバンドロネートから選択される。極めて有用な抗ヒスタミン材及び傷治癒剤、例えば、ジメチジン、ジフェンヒドラミン、アズレン、デクスパンテノールも、本発明の有効成分として適用される。
【0053】
本発明による組成物は、癌の治療に好適な有効成分、たとえば、抗癌剤、生物学的アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード類似体)、アルキルスルホネート、細胞毒抗生物質、抗代謝剤、草本アルカロイド又は腫瘍細胞たんぱく質に対する抗原を含有できる。
【0054】
生殖器の疾患、性病又は性感染症の治療に有用な有効成分も、本発明による製剤において使用される。このような有効成分としては、性ホルモン、ホルモン作動薬、分娩促進剤、例えば、プロゲステロン、バッカクアルカロイド、プロスタグランジン、エストラジオール、エストリオール、エストロン及びその誘導体、ノルエチステロン、チボロン、クロミフェン、避妊薬、例えば、黄体ホルモン物質、ゲスタゲン、ノルスチメート、エチノジオール、デソゲストレル、レボノルゲストレル、メドロキシプロゲステロン;4-オキソアンドロステン誘導体及び5-アンドロスタノン誘導体、例えば、メチルテストステロン、メステロロン、シプロテロン、アポモルフィン、アルプロスタジル、シルデナフィル、アルフゾシン、タムスロシン、テラゾシン、フィナステライドを含む男性病学的有効成が含まれる。
【0055】
本発明の他の態様によれば、経皮半固体医薬製剤を製造する方法であって、有効成分又はその混合物を1以上の揮発性シリコーンと混合し、このようにして得られた混合物をクリーム又はゲル基剤に分散させることを含んでなり、揮発性シリコーン又はその混合物によって被覆された有効成分の粒子が、ゲル、クリーム又は軟膏基剤中において、分離相を形成しており、揮発性シリコーン又はその混合物による被覆が、基剤中への有効成分の分散後において維持されていることを特徴とする経皮半固体医薬製剤の製法が提供される。
【0056】
本発明は、有効成分の固体粒子が揮発性シリコーンの層によって被覆されおり、揮発性シリコーンは、大部分が適用の間に蒸発されるとの現象に基づくものである。製剤の残りの成分と共に、残留する有効成分は、皮膚の本来の移送現象(拡散、浸透、透過)のため、迅速に吸収される。吸収度は製剤の組成に左右される。本発明による経皮製剤を、有効成分が、皮膚に対して、その治療効果を提供できるような様式で処方することができる。しかし、目的の有効成分について全身効果を提供するため、構成成分及び特にそれらの相対割合を選択することもできる。
【0057】
揮発性シリコーンを含有する本発明による製剤では、従来技術に従って公知の製剤(溶液形、エマルジョン形又は懸濁液形)のものと比べて、その物理的−化学的安定性及び微生物学的安定性が改善される。この増大された安定性は、有効成分と賦形剤の基剤媒体との間におけるシリコーンコーティングの疎水性の物理的−化学的バリヤー効果(これによって、有効成分から空気及び水分が遮断される)によるものである。この分離効果によって、有効成分は、分解(多追えば、加水分解、イオン化、触媒による又は自動的な分解)を生ずる機構には利用されないものとなる。
【0058】
シリコーンオイルの層は、賦形剤が水性であり、分解し易い剤を含有するものである場合であっても、有効成分を化学的及び微生物学的攻撃から保護する。過剰な揮発性シリコーンは、分解の原因となる微生物学的因子(例えば、細菌、真菌、カビ等)が有効成分に接近することを阻止する。このように、本発明による経皮製剤では、保存料を使用する必要は無い。
【0059】
経皮製剤の安定性を、製薬工業において通常適用される安定性試験条件化においてテストしたところ、5年間の保存後でも、検知されるような変化を全く示さなかった。
【0060】
皮膚への適用の間に、揮発性シリコーンは残留することなく蒸発し、身体と相互作用することはない。製品は、使用者の見地からみて、本質的に管理フリーである。皮膚への適用後、シリコーン化合物は蒸発し、製剤中の有効成分及び他の構成成分が皮膚表面に残る。その結果、これらの物質は皮膚から吸収される。シリコーンマトリックスの蒸発後、ゲル中に分散された有効成分の粒子が皮膚表面上に残留し、皮膚のより深い層への吸収を増大及び促進する。
【0061】
本発明による経皮製剤において、粒子を被覆するために、各種の揮発性シリコーンが使用される。最も好適なシロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン及びデカメチルペンタシクロシロキサンである。賦形剤としてのゲル又はクリーム基剤としては、従来技術から公知の組成物を使用できる。好ましくは、親水性のゲル組成物が使用される。
【0062】
本発明による製剤の驚くべき有利な特性について、インビトロ膜浸透テストにおいて検討した。
【0063】
膜浸透テストのための装置は、オープンサンプルコンパートメントを有する、正確に測定された表面積及び容積を持つ浸透セル、環境ファクター(気流、温度、空気中の湿度、露光量)の制御に好適なシステム、アクセプター相の流れの維持に好適な送達システム、サンプリング及び分析ユニットを含んでなる。記載「オープンサンプルコンパートメントセル」とは、表面上に存在するサンプルが分離されておらず、周囲環境と直接接触していることを意味する。本明細書において開示するテストは、気流及び露光の不存在下、自然の日光のもと、温度32℃において行ったものである。膜表面におけるセルの断面積は正確に10.00 cm2であり、セルの容積は3.00 cm3である。テストにおいて、厚さ30μmを有する膜におけるセルを使用した。テストサンプルは、本発明による経皮製剤約0.5gからなり、サンプルは、セルの上方部分に配置した膜に移される。膜は、テストに供される生物学的バリヤー、この場合、皮膚をモデル化するものである。
【0064】
テストにおけるアクセプター相は0.9質量%塩化ナトリウム溶液からなる。アクセプター相を、一定流量1ml/分で、浸透セルを通して送達した。流出液における被検製剤の特性構成成分(一般に、医薬有効成分)の濃度を測定する。このテストでは、フローセルを備えた分光光度計を使用する紫外分光光度法によってアッセイを行った。測定を6時間続けた。外部標準を使用し、溶出された容量を関数とする濃度プロフィール(サンプル適用から膜までの経過時間に比例する)を測定し、これらのデータから、テストの間に膜を浸透した特性構成成分、例えば、有効成分の量を算定した。膜に適用したサンプル中に存在する被検製剤の特性構成成分の総量に対するテストの間に膜を浸透した構成成分の相対量によって、吸収率をモデル化した。これらのケースにおいて、特性構成成分(例えば、医薬有効成分)が、紫外線による検出について充分な吸光度を持たない場合、又は干渉が生ずる場合には、他の分析法、例えば、伝統的な分析法又は電解分析法、例えば、ヨード滴定、イオン選択電極等を使用できる。
【0065】
局所適用を目的とする本発明による経皮製剤のテストにおいて、発明者らは、膜を浸透した有効成分の量が0.1%を越えないとの知見を得て、これにより、有効成分が皮膚表面に実質的に残留すると結論することができた。本発明による製剤は、膜を浸透した有効成分の量が、1〜20%、好ましくは7〜20%、最も好ましくは12〜20%の範囲内である場合に、局所的効果を発揮するとの知見を得た。これらのケースにおいて、本発明による経皮製剤が全身効果を達成するための組成を持つものとして調製されている場合、膜を通過する有効成分の量は20%を越えていた。しかし、多くのケースでは、この値は66〜95%の間であった。表1は、いくつかの有効成分及び実施例に開示する2つの組成物についての膜を浸透した有効成分の量を示している。しかし、当業者であれば、さらに、有効成分の特性(従来技術から公知である)を考慮するである。
【0066】
【表1】

【0067】
本発明による半固体経皮組成物は、好ましくは、製剤の用量単位の送達に好適な形として製剤される。この場合、有効成分の濃度は、ディスペンサーの一回の操作によって、有効成分の用量単位に相当する容量が送達されるように選択される。秤量した用量の送達に適するディスペンサーを備えたボトルは従来技術から公知であり、商業的に入手可能である。このような分配法は、有効成分の相当する量を含有する従来技術から公知の投薬量中に存在する用量に良好に相関する。製剤の投薬は、目盛り付けした計量シリンダー又は計量スプーンを製剤の包装内に同封することによって行われる。このような投与方法は従来技術から公知である。
【0068】
本発明による経皮製剤は、有効成分として、リドカイン塩基、フェノバルビタール、エコナゾール塩基、スルファジミジン、タンニン酸アルブミン、パパベリン、ドロタベリン、ベンジダミン、アトロピン塩基、微粒化イオウ、ペントサンポリスルフェート、トロキセルチン、パンクレアチン、ネオマイシン、ヒドロコルチゾン、スルファメトキサゾール、トリメトプリム、アミダゾフェン、ノブアミダゾフェン、パラセタモール、アルプラゾラム、テオフィリン又はカフェインを含有する、特に、高い安定性、良好な生物学的利用能を有し、簡便な投与に好適な剤形の調製に好適である。同じ有効成分を、局所効果を得る(スルファジミジン、処方2、膜を透過する有効成分の量0.01%)ように、又は高い吸収及び浸透速度、良好な生物学的利用能及び全身効果を得る(スルファジミジン、処方1、膜を透過する有効成分の量72.4%)ように処方できる。
【0069】
下記の実施例において、本発明による経皮製剤の組成及び調製方法を例示するが、本発明の保護の範囲は、開示した組成及び方法に限定されない。
【0070】
実施例において「シリコーン流体」と表示する補助剤は、メチルシロキサン(ヘキサメチルジシロキサン及び/又はオクタメチルトリシロキサン又はその混合物)である。実施例に示すシロキサンの粘度は、0.65 cSt、100 cSt、又は200 cStである。これらの剤は、商業的に入手可能である。
【実施例1】
【0071】
全身効果に好適な経皮ゲル
有効成分 0.1〜2g
シリコーン流体 0.65 cSt 1.200g
シリコーン流体 100 cSt 0.400g
Carbopol(登録商標)980 0.200g
10%水酸化カリウム溶液 0.290g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.800g
精製水 全量を40.00gとする量
有効成分の量を、製剤の所望の強度に応じて又は分散相の容量及び単位用量に応じて選択する。
【実施例2】
【0072】
局所適用のための経皮半固体製剤
有効成分 0.05〜1.0g
シリコーン流体 0.65 cSt 0.600g
シリコーン流体 200 cSt 0.300g
Carbopol(登録商標)980 0.100g
10%水酸化カリウム溶液 0.145g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.400g
精製水 全量を20.00gとする量
有効成分の量を、製剤の所望の強度に応じて又は分散相の容量及び単位用量に応じて選択する。
【実施例3】
【0073】
調製法
実施例1又は2による組成物及び同様の質的組成を持つ組成物を、下記の方法によって製造した。
3.1. 有効成分の懸濁液の調製
任意に微粒化した有効成分をシリコーンオイルと混合する。続いて、好適な実験室用のミキサーを使用して、例えば、Ultra-Turraz混合装置(4000分-1、5分)を使用して、実験室的規模で、混合物を均質化する。
3.2. ゲル基剤の調製
ヒドロキシプロピルセルロースを、少量ずつ、温度25℃の水に添加し、完全に溶解するまで撹拌する。続いて、Carbopol 980 NFを溶液に添加し、溶解するまで撹拌する。その後、10質量%水酸化カリウム溶液を使用して、溶液を中和する。滑らかなゲル状態が得られるまで撹拌を続ける。
3.3. 医薬を含むゲルの調製
3.2.に従って調製したゲル基剤に、有効成分の懸濁液を少量ずつ添加し、均質化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮投与のための半固体医薬製剤であって、クリーム基剤又はゲル基剤に分散された、揮発性のシリコーンオイル又はこのようなオイルの混合物にて被覆された有効成分の粒子を含んでなる医薬製剤。
【請求項2】
揮発性のシリコーンオイルが、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサン又はその混合物から選ばれるものである、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項3】
有効成分が、感染性疾患、癌性又は血液疾患、内分泌、代謝又は栄養疾患、中枢神経系の疾患、精神疾患、行動及び強迫性障害、強迫神経症、性病又は性感染症、精神及び認知機能の疾患及び状態、神経系疾患、卒中、眼疾患、歯科疾患、耳鼻咽喉疾患、心臓血管又は脳血管疾患、呼吸器系疾患、消化器又は肝臓の疾患、骨−関節又は筋肉系の疾患、免疫疾患、産科又は婦人科又は男性病学疾患の治療又は予防に好適な、又は外部の物理的作用によって生じた傷害又は内部又は外部寄生虫、虫又は病原菌に対する、又は診断用又は殺菌用成分として有用な薬学上活性な化合物から選ばれるものである請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項4】
賦形剤が、1以上のゲル形成性重合体、水及び任意に他の補助剤を含有する親水性のゲル基剤である請求項1〜3のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項5】
賦形剤におけるゲル形成可性重合体が、カルボキシビニル重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はその混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
親水性重合体、好ましくは、カルボキシビニル重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はその混合物0.5〜5.0質量%を含有するゲル基剤に分散された、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサン又はその混合物から選ばれる揮発性のシリコーンオイル0.5〜10.0質量%にて被覆された有効成分0.05〜5.00質量%を含んでなる経皮投与用の半固体医薬製剤。
【請求項7】
有効成分が、アシクロビル、ピロキシカム、メロキシカム、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム又はカリウム塩、クロトリマゾール、ビホナゾール、メトリニダゾール、ニフェジピン、ニトログリセロール、及びセチリジンから選ばれるものである請求項3記載の医薬製剤。
【請求項8】
リドカイン塩基、フェノバルビタール、エコナゾール塩基、スルファジミジン、タンニン酸アルブミン、パパベリン、ドロタベリン、ベンジダミン、アトロピン塩基、微粒化イオウ、ペントサンポリスルフェート、トロキセルチン、パンクレアチン、ネオマイシン塩基、ヒドロコルチゾン、スルファメトキサゾール、トリメトプリム、アミダゾフェン、ノブアミダゾフェン、パラセタモール、アルプラゾラム、テオフィリン又はカフェインを含んでなる請求項1〜6のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項9】
計量した送達に適する容器に予め包装された請求項1〜8のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項10】
局部的な治療効果の発現に好適な請求項1〜9のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項11】
特定区域的な治療効果の発現に好適な請求項1〜9のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項12】
全身的な治療効果の発現に好適な請求項1〜9のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれかに記載の医薬製剤を製造する方法であって、任意に微粒化した形の有効成分を、揮発性のシリコーンオイル又はこのようなオイルの混合物と混合し、このようにして得られた懸濁液をゲル又はクリーム基剤中に分散させて、シリコーンオイルが、ゲル賦形剤において、固体粒子の周囲で連続相を形成するようにすることを含んでなる医薬調剤の製法。


【公表番号】特表2012−517414(P2012−517414A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548789(P2011−548789)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【国際出願番号】PCT/HU2010/000015
【国際公開番号】WO2010/089617
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(591010077)
【Fターム(参考)】