説明

経皮薬剤送達促進用の前処置法及びシステム

患者の皮膚を通して生物学的活性物質を送達するための薬剤送達システムは(i)患者の皮膚上に配置されるように適合されている前処置パッチであって、ここで前処置パッチが裏打ち膜及びマイクロプロジェクションアレーを有し、マイクロプロジェクションアレーが裏打ち膜に接着され、マイクロプロジェクションアレーが患者の角質層を貫通するように適合されている複数のマイクロプロジェクションを包含し、前処置パッチが患者の皮膚に適用され、そしてそれから取り外された後に、前処置パッチが患者の皮膚上に留まる皮膚のテンプレートを包含するものである、前処置パッチ並びに(ii)上面層及び底面層を有するゲルパッチであって、ここでゲルパッチがヒドロゲル調製物を含有するレザボアを包含し、ゲルパッチが約0.5〜30CMの範囲内の皮膚接触面積を有するものである、ゲルパッチ、を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対するクロスレファランス】
【0001】
本出願は2003年10月24日出願の米国特許仮出願第60/514,387号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は概括的に経皮薬剤送達システム及び方法に関する。より特には、本発明は持続した(extended)薬剤送達を提供する経皮薬剤送達の前処置(pretreatment)法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤はもっとも好都合には経口又は注射のいずれかにより投与される。不幸なことには、多数の薬剤は、それらが吸収されないか又は血流に入る前に不都合な影響を受け、従って所望の活性をもたないために、経口投与されると完全に無効であるか又は徹底的に減少された効果を有する。他方、投与期間中の薬剤の修正(modification)を伴わないことを確保しながら血流中に薬剤を直接注入することは、時々、患者の低いコンプライアンスをもたらす、困難で、不都合で、痛みを伴いそして不快な方法である。
【0004】
従って原則的に経皮送達は、他の場合には皮下注射又は静脈内注入により送達する必要があると考えられる薬剤投与方法を提供する。経皮薬剤送達はこれら双方の分野における改善を提供する。経皮送達は経口送達に比較すると消化管の苛酷な環境を回避し、胃腸の薬剤代謝を迂回し、初回通過効果を減少し、そして消化酵素及び肝臓の酵素による可能な不活性化を回避する。その反対に、経皮投与期間中、消化管は薬剤に暴露されない。実際、アスピリンのような多数の薬剤が消化管に対し副作用を有する。しかし多数の場合、受動的経皮経路を介する多数の物質の送達速度又は流量は治療的に有効であるためには余りに限定される。
【0005】
「経皮的(transdermal)」の語は本明細書では皮膚層を通る物質の通過を表わす包括的用語通して使用される。「経皮的」の語は、メスで切開する又は皮下用針で皮膚を穿刺するような皮膚の実質的な切開又は貫通を伴わずに、皮膚を通って局所組織又は全身循環系への物質(例えば、薬剤のような治療的物質又はワクチンのような免疫学的活性物質)の送達を表わす。経皮物質送達には受動的拡散による送達並びに電気(例えば、イオントホレシス)及び超音波(例えば、フォノフォレシス)を包含する外部エネルギー源に基づく送達が包含される。薬剤は角質層及び表皮の双方を通って拡散するが、角質層を通る拡散速度はしばしば、制限的段階である。更に、有効投与量を達成するためには、多数の化合物は単なる受動的経皮拡散により達成することができるよりも高い送達速度を必要とする。
【0006】
タンパク質は胃腸の分解を受け易く、低い胃腸の取り込みを示し、そして経皮装置は注射より患者により許容性であるので、物質投与の経皮経路は理論的には、多数の治療用タンパク質の送達に有利であることができると考えられる。しかし、医学的に有用なペプチド及びタンパク質の経皮流量はしばしば、これらの分子の比較的大きいサイズ/分子量のために治療的に有効であるには不十分である。送達速度又は流量はしばしば、所望の効果をもたらすには不十分であるか又は物質が標的部位に到達する前に例えば、患者の血流中にある間に劣化する。
【0007】
経皮薬剤送達システムは概括的に薬剤を投与するために受動的拡散に頼り、他方能動的経皮薬剤送達システムは薬剤を送達するために外部のエネルギー源(例えば、電気)に頼
る。受動的経皮的薬剤送達システムがより一般的である。受動的経皮システムは典型的には高濃度の薬剤を含有する薬剤レザボアを包含する。レザボアは皮膚に接触するようになっており、それが患者の皮膚を通りそして体組織又は血流中に薬剤を拡散させることができる。
【0008】
経皮薬剤の流量は皮膚の状態、薬剤分子の粒度及び物理的/化学的特性並びに皮膚を横切る濃度勾配に左右される。この低い透過性は主通して、脂質の2層により囲まれたケラチン繊維(ケラチン生成細胞)で充填された平坦な死滅細胞からなる一番外側の皮膚層の角質層に起因する。脂質の2層のこの著しく整列された構造が角質層に相対的に不透過性の特徴を与える。
【0009】
従って、経皮薬剤流を促進するために種々の前処置法及び装置が利用されてきた。実例は特許文献1、2及び3に開示された方法及び装置である(特許文献1、2及び3参照)。
【0010】
しかし、開示された先行技術の前処置法及び装置に伴う多数の欠点及び不都合が存在する。欠点の中には、大部分の装置が手動力により皮膚を穿刺するように適合されている1種又は複数の「回転構造物(rolling structures)」を使用することである。その結果、患者に応じて実施される(又は前処置される)面積に著しい相異がある。適用力及び従って穿刺要素の貫通力の相異はまた、患者に応じて装置の強度及び/又は適用角度の相異によるようである。
【0011】
更なる欠点は経皮タンパク質流を促進する際の前記の方法の効果がそれらの粒度のお陰で少なくともより大型のタンパク質に対して限定されてき、そしてこれからもそうであり続けることである。
【0012】
経皮薬剤送達を高めるために小型の皮膚貫通要素を利用する他のシステム及び装置は特許文献4〜10及び11〜23及び24に開示されており、それらすべてが全体を引用により本明細書に取り込まれている(特許文献4〜24参照)。
【0013】
開示されたシステム及び装置は皮膚の一番外側の層(すなわち角質層)を貫通するための種々の形状及びサイズの貫通要素を使用する。これらの引用文献中に開示された貫通要素は概括的にパッド又はシートのような薄い平坦な部材から垂直に延伸する。幾つかのこれらの装置における貫通要素は極めて小さく、幾つかは約25〜400ミクロンのみのマイクロプロジェクションの長さ及び約5〜50ミクロンのみのマイクロプロジェクションの厚さを有する。これらの小型の貫通/切開要素は、それに対応して、そこを通過する経皮物質送達を高めるために角質層中に小さい微小スリット/微小切開を形成する。
【0014】
開示されたシステムは更に、薬剤を保持するための内在(integral)レザボア及び更に装置自体の中空の歯によるような角質層を通りレザボアからの薬剤を移送するための送達システムを包含する。このような装置の1例は液体薬剤のレザボアを有する特許文献25に開示されている(特許文献25参照)。しかし、レザボアには液体の薬剤を小型のチューブラ要素を通して皮膚中に押し出すために圧力をかけなければならない。このような装置の欠点は加圧可能な液体レザボアを追加するための追加される複雑さ及び経費並びに圧力駆動送達システムの存在による複雑さを包含する。
【0015】
従って、先行技術の薬剤送達システムに伴う前記の欠点及び不都合を実質的に減少又は排除する経皮薬剤送達用の前処置法及びシステムを提供することが本発明の目的である。
【0016】
薬剤送達を促進し、延長させる経皮薬剤送達用の前処置法及びシステムを提供すること
が本発明のもう1つの目的である。
【0017】
適用後に経皮薬剤送達を促進する、皮膚のテンプレートを提供する前処置装置(又はパッチ)を提供することが本発明のもう1つの目的である。
【0018】
有効な速度における薬剤の送達を容易にするヒドロゲル調製物を有する経皮薬剤送達システムを提供することが本発明の更にもう1つの目的である。
【特許文献1】米国特許第3,918,449号明細書
【特許文献2】米国特許第5,611,806号明細書
【特許文献3】米国特許第5,964,729号明細書
【特許文献4】欧州特許第0 407063号明細書
【特許文献5】米国特許第5,879,326号明細書
【特許文献6】米国特許第3,814,097号明細書
【特許文献7】米国特許第5,279,54号明細書
【特許文献8】米国特許第5,250,023号明細書
【特許文献9】米国特許第3,964,482号明細書
【特許文献10】再発行(Reissue)第25,637号
【特許文献11】国際公開第96/37155号パンフレット
【特許文献12】国際公開第96/37256号パンフレット
【特許文献13】国際公開第96/17648号パンフレット
【特許文献14】国際公開第97/03718号パンフレット
【特許文献15】国際公開第98/11937号パンフレット
【特許文献16】国際公開第98/00193号パンフレット
【特許文献17】国際公開第97/48440号パンフレット
【特許文献18】国際公開第97/48441号パンフレット
【特許文献19】国際公開第97/48442号パンフレット
【特許文献20】国際公開第98/00193号パンフレット
【特許文献21】国際公開第99/64580号パンフレット
【特許文献22】国際公開第98/28037号パンフレット
【特許文献23】国際公開第98/29298号パンフレット
【特許文献24】国際公開第98/29365号パンフレット
【特許文献25】国際公開第93/17754号パンフレット
【発明の開示】
【0019】
前記の目的及び以下に記述され、そして明白になるであろう事項に従うと、患者の皮膚を通して生物学的活性物質を送達するための薬剤送達システムは(i)患者の皮膚上に配置されるように適合されている前処置パッチ、ここで前処置パッチが裏打ち膜及びマイクロプロジェクションアレーを有し、マイクロプロジェクションアレーが裏打ち膜に接着されており、マイクロプロジェクションアレーが、患者の角質層を貫通するように適合されている複数のマイクロプロジェクションを包含し、前処置パッチが患者の皮膚に適用され、そしてそれから取り外された後に、前処置パッチが患者の皮膚上に留まる皮膚のテンプレートを包含する、前処置パッチ並びに(ii)上面層及び底面層を有するゲルパッチ、ここでゲルパッチがヒドロゲル調製物を含有するレザボアを包含し、ゲルパッチが約0.5〜30cmの範囲内の皮膚接触面積を有する、ゲルゲルパッチ、を含んでなる。
【0020】
ゲルパッチは好ましくは、ヒドロゲル調製物中への酵素及び/又はバクテリアの移動を妨げるように適合されている、ゲルパッチレザボアの近位に配置された調製物の膜を包含する。
【0021】
本発明の更なる態様において、前処置パッチは、皮膚のテンプレートが剥離ライナーの
リング、ポリマーの膜のリング及び皮膚接着リングを含んでなる、剥離ライナーのリングと皮膚接着リングの間に配置されたポリマーの膜のリングを包含する。
【0022】
もう1つの態様において、前処置パッチは該裏打ち膜とマイクロプロジェクションアレーとの間に配置されたポリマーの支持膜を包含する。
【0023】
マイクロプロジェクションアレーは好ましくは、10〜2000個のマイクロプロジェクション/cmの範囲内のマイクロプロジェクション密度を有し、そして前処置パッチが患者の皮膚に適用された後に、約0.5〜30cmの範囲内の前処置された皮膚面積を提供する。
【0024】
本発明の1つの態様において、前処置された皮膚面積はゲルパッチの接触面積と実質的に等しい。更なる態様において、前処置された皮膚面積はゲルパッチの皮膚接触面積より大きい。もう1つの態様において、前処置された皮膚面積はゲルパッチの皮膚接触面積より小さい。
【0025】
ヒドロゲル調製物は好ましくは、水主体のヒドロゲルを含んでなる。本発明の1つの態様において、ヒドロゲル調製物はポリマー物質及び場合により界面活性剤を含んでなる。本発明の1つのアスペクトにおいて、ポリマー物質はセルロース誘導体を含んでなる。本発明の更なるアスペクトにおいて、ポリマー物質はヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、プルロニック及びそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の更なるアスペクトにおいて、界面活性剤はTween20及びTween80からなる群から選択される。
【0026】
本発明の好ましい態様において、ヒドロゲル調製物は少なくとも1種の生物学的活性物質を包含し、そこで生物学的活性物質が分子量の小さい化合物、ポリペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、核酸及び多糖類からなる群から選択される。
【0027】
代わりの態様において、生物学的活性物質は、黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン及びナプファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)のような)、バソプレッシン、デスモプレッシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1〜24)のようなACTH類似体、カルシトニン、バソプレッシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレッシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン(liprecin)、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラディキニン、ソマトトロピン、血小板誘導成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性コナドトロピン、エポプロステノール(血小板凝血インヒビター)、グルカゴン、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)、オキシ通しン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベータ、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランスインヒビター、BNP、VEGF、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラディキニンアンタゴニスト、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチドサプレッサー、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及びアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、タンパク質C、タンパク質S、レニンインヒビター、チモシンアルファ−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレッシンアンタゴニスト類似体、アルファ−1アンチトリプシン(組み換え体)、TGF−ベータ、フォンダパリナックス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルジン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサンポリスルフェート、オリゴヌクレオチド及び、フォルミビルセンのようなオリゴヌクレオチド誘導体、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ 445167、RWJ−671818、フェンタニル、レミフェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル並びにそれらの混合物、からなる群から選択される。
【0028】
本発明の更なる態様において、ヒドロゲル調製物は少なくとも1種の経路開放モジュレーター又は血管収縮剤を包含する。
【0029】
もう1つの態様において、送達システムは、リテイナーが前処置パッチを受け入れるように適合されている前処置パッチのシートを包含し、そして裏打ち膜が前処置パッチのシートに接着するように適合されている接着タブを包含する、前処置パッチのアプリケーターと共働するように適合されているアプリケーターのリテイナーを包含する。更なる態様において、前処置パッチは、皮膚接着リングと共働するように適合されている剥離ライナーのリング及び皮膚接着リングの間に配置された補助的接着リングを包含する。
【0030】
リテイナーは好ましくは、患者の皮膚に対する前処置パッチの適用期間中に前処置パッチの接着タブを受け入れるように適合されている前処置パッチのリングを包含し、それにより前処置パッチがリテイナーをそれから取り外すことにより患者の皮膚から取り外し可能であり、そしてそれにより皮膚のテンプレートが患者の皮膚上に配置される。
【0031】
代わりの態様において、裏打ち膜は裏打ち膜周辺の近位に配置された複数のスロット及び前処置パッチのシートと共働するように適合されている複数の剥離タブを包含し、そしてリテイナーは患者の皮膚に対する前処置パッチの適用期間中に前処置パッチのスロットと噛み合うように適合されている複数の支柱を有する前処置パッチ部材を包含し、それにより前処置パッチはそれからリテイナーを取り外すことにより患者の皮膚から取り外し可能であり、そしてそれにより皮膚のテンプレートが患者の皮膚上に配置される。
【0032】
本発明の更なる態様に従うと、本発明は(i)裏打ち膜並びに(ii)マイクロプロジェクションアレー、ここでマイクロプロジェクションアレーが裏打ち膜に接着されており、マイクロプロジェクションアレーが患者の角質層を貫通するように適合されている複数のマイクロプロジェクションを包含し、前処置パッチが裏打ち膜に取り外し可能に固定された剥離ライナーのリング及び剥離ライナーのリングに接着される皮膚接着リングを包含し、剥離ライナーのリング及び皮膚接着リングは、前処置パッチが患者の皮膚に適用され、そしてそれから取り外された後に、患者の皮膚上に皮膚のテンプレートを形成するように適合されている、マイクロプロジェクションアレー、を有する、患者の皮膚を前処置するための前処置部材(又はパッチ)を含んでなる。
【0033】
本発明の1つの態様において、前処置パッチは、皮膚のテンプレートが剥離ライナーのリング、ポリマーの膜のリング及び皮膚接着リングを含んでなる、剥離ライナーのリングと皮膚接着リングの間に配置されたポリマーの膜のリングを包含する。
【0034】
更なる態様において、前処置パッチは裏打ち膜とマイクロプロジェクションアレーの間に配置されたポリマーの膜を包含する。
【0035】
マイクロプロジェクションアレーは好ましくは、10〜2000個のマイクロプロジェクション/cmの範囲内のマイクロプロジェクション密度を有し、そして前処置パッチが患者の皮膚に適用された後に約0.5〜30cmの範囲内の処置された皮膚面積を提供する。
【0036】
本発明の1つの態様に従うと、患者の皮膚を通して生物学的活性物質を送達する方法は、(i)患者の皮膚上に配置されるように適合されている前処置パッチを提供する工程、ここで前処置パッチが裏打ち膜及びマイクロプロジェクションアレーを有し、マイクロプロジェクションアレーが裏打ち膜に接着されており、マイクロプロジェクションアレーが患者の角質層を貫通するように適合されている複数のマイクロプロジェクションを包含し、前処置パッチが裏打ち膜に取り外し可能に固定された剥離ライナーのリング及び、該剥離ライナーのリングに接着された皮膚接着リングを包含し、剥離ライナーのリング及び皮膚接着リングが、前処置パッチが患者の皮膚に適用され、そしてそれから取り外された後に患者の皮膚上に皮膚のテンプレートを形成するように適合されているものである、工程、(ii)上面層及び底面層を有するゲルパッチを提供する工程、ここでゲルパッチがヒドロゲル調製物を含有するレザボアを包含し、ゲルパッチが約0.5〜30cmの範囲内の皮膚接触面積を有するものである、工程、(iii)患者の皮膚に前処置パッチを適用する工程、それによりマイクロプロジェクションが患者の該角質層を貫通して複数の微小スリットを有する前処置皮膚領域を提供し、そしてそれにより皮膚のテンプレートが患者の皮膚に接着する、工程、(iv) 患者の皮膚から前処置パッチを取り外す工程、並びに(v)前処置された皮膚領域に該ゲルパッチを適用する工程、ここでゲルパッチが皮膚のテンプレート上に配置され、それによりヒドロゲル調製物がレザボアから放出され、前処置パッチにより角質層中に形成された微小スリット中にそしてそれを通って移動する、工程、を含んでなる。
【0037】
ゲルパッチは好ましくは、ヒドロゲル調製物中への酵素及び/又はバクテリアの移動を妨げるように適合されている、ゲルパッチのレザボアの近位に配置された調製物の膜を包含する。
【0038】
本発明の1つの態様において、前処置パッチは、皮膚のテンプレートが剥離ライナーのリング、ポリマーの膜のリング及び皮膚接着リングを含んでなる、剥離ライナーのリングと皮膚接着リングの間に配置されたポリマーの膜のリングを包含する。
【0039】
もう1つの態様において、前処置パッチは裏打ち膜とマイクロプロジェクションアレーの間に配置されたポリマーの支持膜を包含する。
【0040】
マイクロプロジェクションアレーは好ましくは、10〜2000個のマイクロプロジェクション/cmの範囲内のマイクロプロジェクション密度を有し、そして前処置パッチが患者の皮膚に適用された後に約0.5〜30cmの範囲内の前処置された皮膚面積を適用する。
【0041】
本発明の1つの態様において、前処置された皮膚面積はゲルパッチの皮膚接触面積に等しい。更なる態様において、前処置された皮膚面積はゲルパッチの皮膚接触面積より大きい。もう1つの態様において、前処置された皮膚面積はゲルパッチの皮膚接触面積より小さい。
【0042】
ヒドロゲル調製物は好ましくは、水主体のヒドロゲルを含んでなる。本発明の1つの態様において、ヒドロゲル調製物はポリマー物質及び場合により界面活性剤を含んでなる。本発明の1つのアスペクトにおいて、ポリマー物質はセルロース誘導体を含んでなる。本発明の更なるアスペクトにおいて、ポリマー物質はヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、プルロニック及びそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の更なるアスペクトにおいて、界面活性剤はTween20及びTween80からなる群から選択される。
【0043】
本発明の好ましい態様において、ヒドロゲル調製物は少なくとも1種の生物学的活性物質を包含し、ここで生物学的活性物質が分子量の小さい化合物、ポリペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、核酸及び多糖類からなる群から選択される。
【0044】
代わりの態様において、生物学的活性物質は、黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン及びナプファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)のような)、バソプレッシン、デスモプレッシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1〜24)のようなACTH類似体、カルシトニン、バソプレッシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレッシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン(liprecin)、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラディキニン、ソマトトロピン、血小板誘導成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性コナドトロピン、エポプロステノール(血小板凝血インヒビター)、グルカゴン、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)、オキシ通しン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベータ、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランスインヒビター、BNP、VEGF、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラディキニンアンタゴニスト、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチドサプレッサー、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及びアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、タンパク質C、タンパク質S、レニンインヒビター、チモシンアルファ−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレッシンアンタゴニスト類似体、アルファ−1アンチトリプシン(組み換え体)、TGF−ベータ、フォンダパリナックス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルジン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサンポリスルフェート、オリゴヌクレオチド及びフォルミビルセンのようなオリゴヌクレオチド誘導体、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ 445167、RWJ−671818、フェンタニル、レミフェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル並びにそれらの混合物、からなる群から選択される。
【0045】
本発明の好ましい態様において、方法は50mg/日までの生物学的活性物質を送達す
る工程を包含する。前記の送達工程は好ましくはゼロ次送達を含んでなる。
【0046】
本発明のもう1つの態様において、ヒドロゲル調製物は少なくとも1種の経路開放モジュレーター及び/又は血管収縮剤を包含する。
【0047】
もう1つの態様において、方法は、リテイナーが前処置パッチを受け入れるように適合されている前処置パッチのシートを包含し、そして裏打ち膜が前処置パッチのシートに接着するように適合されている接着タブを包含する、前処置パッチのアプリケーターと共働するように適合されているアプリケーターのリテイナーを提供する工程を包含する。更なる態様において、前処置パッチは、皮膚接着リングと共働するように適合されている、剥離ライナーのリングと皮膚接着リングの間に配置された補助的接着リングを包含する。
【0048】
リテイナーは好ましくは、患者の皮膚に対する前処置パッチの適用工程の期間中に前処置パッチの接着タブを受け入れるように適合されている前処置パッチのリングを包含し、それにより前処置パッチがリテイナーをそれから取り外すことにより患者の皮膚から取り外し可能であり、そしてそれにより皮膚のテンプレートが患者の皮膚上に配置される。
【0049】
代わりの態様において、裏打ち膜は、裏打ち膜の周囲の近位に配置された複数のスロット及び前処置パッチのシートと共働するように適合されている複数の剥離タブを包含し、そして リテイナーは、患者の皮膚に対する前処置パッチの適用期間中に前処置パッチのスロットと噛み合うように適合されている複数の支柱を有する前処置パッチ部材を包含し、それにより前処置パッチがリテイナーをそれから取り外すことにより患者の皮膚から取り外し可能であり、そしてそれにより皮膚のテンプレートが患者の皮膚上に配置される。
【0050】
更なる特徴物及び利点は付記の図面に示されるように、そしてその類似の参照文字が概括的に図面全体の同様な部品及び要素を表わす、本発明の好ましい態様の、以下のそしてより具体的な説明から明白になるであろう。
【0051】
本発明を詳細に説明する前に、本発明は特に例示された物質、方法又は構造物がもちろん異なる可能性があるので、それらに限定されないことを理解しなければならない。従って本明細書に記載されたものと同様な又は同等の、多数の物質及び方法を本発明の実施に使用することができるが、好ましい物質及び方法が本明細書に説明される。
【0052】
更に、本明細書に使用される用語は本発明の特定の態様を説明する目的のためのみのものであり、限定されることは意図されないことを理解しなければならない。
【0053】
別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は本発明が関与する当業者により一般に理解されるものと同様な意味を有する。
【0054】
更に本明細書に引用されるすべての刊行物、特許及び特許出願物は以上又は以下のいずれでも、それらの全体を引用することにより本明細書に取り入れられている。
【0055】
最後に、本明細書及び付記の請求の範囲中に使用されるような単数形「a」、「an」及び「the」は文脈が明白に他を指定しない限り、複数の指定物を包含する。従って例えば、「an active agent」に対する意味は2種以上のこのような物質を包含し;「a microprojection」に対する意味は2種以上のこのようなマイクロプロジェクションを包含する、等である。
【0056】
定義
本明細書で使用されるような用語「経皮的」は局所又は全身治療のために皮膚中へのそ
して/又は皮膚を通る物質の送達を意味する。
【0057】
本明細書で使用されるような用語「経皮流量」は経皮送達の速度を意味する。
【0058】
本明細書で使用されるような用語「同時送達」は、1種又は複数の補助物質が、物質が送達される前、物質の経皮的流動の前及びその間、物質の経皮的流動期間中、物質の経皮的流動の期間及びその後、そして/又は物質の経皮的流動後のいずれかに、経皮投与されることを意味する。更に2種以上の生物学的活性物質がヒドロゲル調製物に調製されて、生物学的活性物質の同時送達をもたらすことができる。
【0059】
本明細書で使用されるような用語「生物学的活性物質」は、治療的に有効量を投与される時に薬理学的に有効な薬剤を含有する物質の組成物又は混合物を表わす。このような活性物質の例には、限定されずに、小さい分子量の化合物、ポリペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、核酸及び多糖類が包含される。
【0060】
「生物学的活性物質」の更なる例には、限定されずに、黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン及びナプファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)のような)、バソプレッシン、デスモプレッシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1〜24)のようなACTH類似体、カルシトニン、バソプレッシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレッシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン(liprecin)、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラディキニン、ソマトトロピン、血小板誘導成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性コナドトロピン、エポプロステノール(血小板凝血インヒビター)、グルカゴン、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベータ、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランスインヒビター、BNP、VEGF、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラディキニンアンタゴニスト、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチドサプレッサー、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及びアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、タンパク質C、タンパク質S、レニンインヒビター、チモシンアルファ−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレッシンアンタゴニスト類似体、アルファ−1アンチトリプシン(組み換え体)、TGF−ベータ、フォンダパリナックス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルジン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサンポリスルフェート、オリゴヌクレオチド及びフォルミビルセンのようなオリゴヌクレオチド誘導体、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ 445167及びRWJ−671818、フェンタニル、レミフェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル並びにそれらの混合物、が包含される。
【0061】
前記の生物学的活性物質はまた、遊離塩基、酸、帯電又は非帯電分子、分子錯体の成分あるいは非刺激性の薬理学的に許容できる塩のような種々の形態にあることができる。更
に身体のpH、酵素、等において容易に加水分解される、活性物質の簡単な誘導体(エーテル、エステル、アミド等のような)を使用することができる。
【0062】
本明細書で使用されるような用語「生物学的活性物質」は更に、「ワクチン」又は他の免疫学的活性物質又は、免疫学的活性物質の産生の引き金を引くことができ、そして免疫学的に有効量を投与される時に、直接又は間接的に免疫学的に有効である物質を含有する物質の組成物又は混合物を表わす。
【0063】
本明細書で使用されるような用語「ワクチン」はそれらに限定はされないが、インフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、ハシカワクチン、オタフクカゼワクチン、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン及びジフテリアワクチン、組み換えタンパク質ワクチン、DNAワクチン及び治療的癌ワクチンを包含する常用の及び/又は市販のワクチンを表わす。従って用語「ワクチン」は限定されずに、タンパク質、多糖類、オリゴ糖類、リポタンパク質、シトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、風疹ウイルス及び水痘ウイルスのような弱毒化又は死滅ウイルス、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、A群連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ナイセリア髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、梅毒トレポネーマ及びコレラ菌のような弱毒化又は死滅バクテリアの形態の抗原並びにそれらの混合物を包含する。
【0064】
本発明のヒドロゲル調製物中には2種以上の生物学的活性物質を取り入れることができ、そして「生物学的活性物質」(又は「活性物質」)の用語の使用は2種以上のこのような活性物質の使用をもはや排除しないことを理解することができる。
【0065】
用語「生物学的に有効量」又は「生物学的に有効速度」は生物学的活性物質が製薬学的に有効な物質であり、そして所望される治療的な、しばしば有益な結果をもたらすために必要な薬理学的に有効な物質の量又は速度を表わす時に使用されることとする。本発明のヒドロゲル調製物中に使用される活性物質の量は所望の治療的結果を達成するための治療的有効量の活性物質を送達するために必要な量であろう。実際に、これは、送達される特定の薬理学的有効物質、送達部位、処置されている状態の重篤度、所望される治療効果並びにヒドロゲルから皮膚組織中への物質の送達に対する放出動態に応じて様々に異なるであろう。
【0066】
用語「生物学的に有効量」又は「生物学的に有効速度」はまた、生物学的活性物質が免疫学的に活性な物質である時に使用されることとし、そして所望される免疫学的な、しばしば有益な結果を刺激又は開始するために必要な免疫学的に活性な物質の量又は速度を表わす。本発明のヒドロゲル調製物中に使用される免疫学的活性物質の量は所望の免疫学的結果を達成するために要する量の活性物質を送達するために要する量であろう。実際に、これは、送達される特定の免疫学的活性物質、送達部位並びに皮膚組織中への活性物質の送達に対する分解及び放出動態に応じて様々に異なるであろう。
【0067】
本明細書で使用されるような用語「血管収縮剤」は血管の口径を狭くし、従って末梢血流を減少する物質の組成物又は混合物を表わす。適した血管収縮剤の例には限定されずに、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレッシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレッシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレッシン、キシロメタゾリン及びそれらの混合物が包含される。
【0068】
本明細書で使用されるような用語「マイクロプロジェクション」は生存動物、特に哺乳動物そして更に特にはヒトの皮膚の角質層を通ってその下の表皮層又は表皮及び真皮層中に穿孔又は切開するように適合されている貫通要素を表わす。
【0069】
本明細書に詳細に考察されるように、本発明の1つの態様において、マイクロプロジェクションは好ましくは、500ミクロン未満、より好ましくは250ミクロン未満の突起物の長さを有する。マイクロプロジェクションは典型的には約5〜50ミクロンの幅及び厚さを有する。マイクロプロジェクションは針、刃、ピン、パンチ及びそれらの組み合わせ物のような異なる形状に形成することができる。
【0070】
本明細書で使用されるような用語「マイクロプロジェクションアレー」は角質層を貫通するためのアレーに配列された複数のマイクロプロジェクションを表わす。マイクロプロジェクションアレーは薄いシートから複数のマイクロプロジェクションをエッチング又はパンチし、そしてシートの平面からマイクロプロジェクションを折るか又は曲げて、図3に示すような形態を形成することにより形成することができる。マイクロプロジェクションはまた、その全体を引用により本明細書に取り入れている、米国特許第6,050,988号明細書に開示されたような1枚又は複数の各ストリップの縁に沿ってマイクロプロジェクションを有する1枚又は複数のストリップを形成することによるような他の知られた方法で形成することができる。
【0071】
前記のように、本発明は患者に対する生物学的活性物質(すなわち薬剤、活性体、等)の経皮送達を高めるための前処置法及びシステムを含んでなる。前処置又は送達システムは概括的にそれから延伸する複数の角質層貫通マイクロプロジェクションを有する前処置パッチ及び少なくとも1種の生物学的活性物質を含有するヒドロゲル調製物を有するゲルパッチを包含する。当業者により容易に認識されるように、送達システムは約24時間(すなわち1日)までの間、生物学的活性物質50mgまでの経皮的「ゼロ次」送達を容易にする。
【0072】
当業者により認識されるように、本発明は通常皮膚を包含する体表及び膜を通して送達される広範な任意の薬剤の群のうちの生物学的活性物質の送達と関連する効用を有する。概括的にこれはすべての主要な治療分野における薬剤を包含する。
【0073】
次に図1を参照すると、ゲルパッチ10の1つの態様が示される。図1に示すように、ゲルパッチ10はその中に前以て決定された量のヒドロゲル調製物16を受け入れるように適合されている、中心にレザボア又は開口部14を配置されたハウジング又はリング12を包含する。本明細書に使用される用語「リング」は円形又は楕円形に限定されずまた、多角形及び/又は丸い端(edges)をもつ多角形を包含する。ゲルパッチ10は更にリング12の上部表面上に配置された裏打ち部材18及びリング12の底面13上に配置された剥離ライナー19を包含する。裏打ち部材18は好ましくは、裏部材18は好ましくは、ヒドロゲル調製物に非浸透性である。
【0074】
本発明に従うと、ゲルパッチ10は約0.5〜30cmの範囲内の、開口部14により区画される皮膚接触領域を有する。皮膚接触面積はより好ましくは、約1〜10cmの範囲内にある。更により好ましくは、皮膚接触面積は約2cmである。
【0075】
図1に示されるように、リング12又は裏打ち部材18の面積と定義される「総合」皮膚接触面積は概括的に前記の皮膚接触面積より大きい。本発明に従うと、総合皮膚接触面積は1〜60cmの範囲内にあることができる。
【0076】
本発明の更なる態様において、ゲルパッチ10はヒドロゲル調製物16及び剥離ライナ
ー19の間に配置される調製物の膜(図示されていない)を包含する。本発明に従うと、調製物の膜は、患者の皮膚上からのライナー19の除去及びその上へのゲルパッチ10の配置後の調製物中への酵素及び/又はバクテリアの漏洩を回避するために、ヒドロゲル調製物16中に含有される生物学的活性物質の粒度より大きい孔サイズを有する。調製物の膜は好ましくは、透析膜である。
【0077】
リング12は好ましくは、PETG(ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性(modified))、ポリエチレン又はポリウレタンのような弾力性のポリマー物質から構成される。好ましい態様において、リング12は閉鎖又は開放−セルの発泡体から構成される。発泡体は必須ではないが、好ましくはポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン、天然ゴム、SBR、ブチル、ブタジエン、ニトリル、EPDM、ECH、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリプロピレン、EVA、EMA、メタロセン樹脂、PVC及び前記の混合物を含んでなる。
【0078】
本発明に従うと、ゲルパッチ10は対応して前処置パッチ(例えば、20a)と同様な形状及び平面のディメンション(例えば、直径)を有する。ゲルパッチ10の皮膚接触面積はより好ましくは、前処置パッチ20により前処置された皮膚面積(すなわち前処置された又は実施された面積)と実質的に同様である。本発明の代わりの態様において、皮膚接触面積は前処置された面積より僅かに大きいか又は小さい。
【0079】
次に図2を参照すると、前処置パッチ20の1つの態様が示される。図2に示されるように、前処置パッチ20は裏打ち膜22及びマイクロプロジェクションアレー50を包含する。前処置パッチ20は更に剥離ライナーのリング26及び、剥離ライナーのリング26の非剥離ライナー側30上に配置された皮膚接着リング28を包含する。
【0080】
裏打ち膜22は好ましくは、ポリエチレン、ポリウレタン又はポリプロピレンのようなポリマー物質から構成される。好ましい態様において、裏打ち膜はポリエチレンの医学用テープから構成される。
【0081】
剥離ライナーのリング26は好ましくは、リング26の剥離側上にシリコンの剥離物質を配置されたポリエステルフィルムを含んでなる。本発明の好ましい態様において、剥離ライナーのリング26は約25〜150ミクロンの範囲内の、より好ましくは、約50〜100ミクロンの範囲内の、更により好ましくは、約75ミクロンの厚さを有する。
【0082】
ポリマーの膜のリング34は好ましくは、ポリエステルフィルムを含んでなる。本発明の好ましい態様において、ポリマーの膜のリング34は約25〜150ミクロンの範囲内の、より好ましくは、約50〜100ミクロンの範囲内の、更により好ましくは、約75ミクロンの厚さを有する。
【0083】
次に図3を参照すると、マイクロプロジェクションアレー50の1つの態様が示される。図3に示すように、マイクロプロジェクションアレー50はシート又はプレート50の片面から下方に延伸する複数のマイクロプロジェクション52を包含する。
【0084】
マイクロプロジェクション52は好ましくは、前処置パッチ20に圧力がかかると、表皮の角質層を貫通するようなサイズ及び形状を有する。マイクロプロジェクション52は更に、局所又は全身治療を達成するために角質層を通るヒドロゲル調製物及び、従ってその中に含有される生物学的活性物質の経皮流量を増加するために角質層(すなわち前処置領域)に微細切開を形成するように適合されている。
【0085】
マイクロプロジェクション52は概括的に1片のシート材料から形成され、皮膚の角質
層を穿刺するのに十分に鋭く、長い。図示された態様において、シート54はマイクロプロジェクション52の間の開口部56を伴って形成される。しかし本発明に従うとマイクロプロジェクションアレー50は開口部56又はどんな固定特徴物(retention
features)をも包含する必要はない。従って本発明の1つの態様において、マイクロプロジェクションアレー50は開口部又はリテイナー突起物を包含しない。
【0086】
マイクロプロジェクション52は好ましくは、約500ミクロン未満の突起物の長さを有する。1つの態様において、マイクロプロジェクションは250ミクロン未満の長さの突起物を有する。
【0087】
本発明に従うと、マイクロプロジェクションアレー50中のマイクロプロジェクション52の数は所望の流速、採取又は送達される物質、使用される送達又は採取装置(すなわち電気輸送、受動的、浸透圧による、圧力駆動、等)及び当業者に明白であるような他の因子に関連して異なる。概して単位面積当たりのマイクロプロジェクションの数(すなわちマイクロプロジェクション密度)が大きいほど、より多数の経路が存在するために、皮膚を通る物質の流れは、より分散される(distributed)。
【0088】
マイクロプロジェクションの密度は好ましくは、少なくとも約10個のマイクロプロジェクション/cmである。本発明の1つの態様において、マイクロプロジェクションの密度は約200〜2000個のマイクロプロジェクション/cmの範囲内にある。
【0089】
前記のマイクロプロジェクションアレー50及び本発明の範囲内で使用することができる他のマイクロプロジェクション装置及びアレーの更なる詳細は米国特許第6,322,808号、第6,230,051号明細書及び同時継続米国特許出願第10/045,842号明細書に開示されており、それらはぞれらの全体を本明細書に引用することにより取り込まれている。
【0090】
次に図6を参照すると、ゲルパッチ10及び全体的に20aとして指定される前処置パッチの1つの態様のアセンブリーが詳細に説明される。最初にゲルパッチ10に関して、裏打ち部材18が通常の接着リング15によりリング12の上部表面に接着される。剥離可能な剥離ライナー19が同様に通常の接着リング15によりゲルパッチのリング12の底面に接着される。以下に詳述されるように、剥離ライナー19は皮膚表面(又は以下に詳述される皮膚のテンプレート7)に対するゲルパッチ10の適用前に剥がされる。
【0091】
次に前処置パッチ20aに関して、裏打ち膜22を通常の接着剤23によりマイクロプロジェクションアレー50に接着する。本発明に従うと、剥離ライナーのリング26の剥離ライナー側を接着層23に接着する。皮膚接着リング28は同様に剥離ライナーのリング26の非剥離ライナー側30に接着される。
【0092】
ゲルパッチ10及び前処置パッチ20aは場合により剥離タブ17a、17b及び17cを包含することができる。本発明に従うと、タブ17a、17b、17cは剥離ライナー(例えば、剥離ライナー19)と一体に形成するか又は1個又は複数のライナー(例えば、剥離ライナーのリング26)と接着層23の間に配置することができる。タブ17a、17b、17cはまた使用者の便宜に合わせて重ねたり、番号を付けたり又は着色コードを付けたりすることができる。
【0093】
次に図7を参照すると、全体的に20bと指定された前処置パッチの更なる態様が示される。前記の態様において、前処置パッチ20bは接着層23により裏打ち膜22に接着されたポリマーの膜25を包含する。ポリマーの膜25はまた、接着層24によりマイクロプロジェクションアレー50に接着される。
【0094】
本発明に従うと、ポリマーの膜25は前記の剥離ライナーのリング26の厚さと実質的に同様な厚さを有する。本発明の好ましい態様において、ポリマーの膜25はポリエステルフィルムを含んでなる。
【0095】
次に図8を参照すると、本発明の更なる態様において、全体的に20cと指定される前処置パッチは皮膚接着リング28と接着リング32の間に配置されたポリマーの膜のリング34を包含する。更に、剥離ライナーのリング26の非剥離ライナー側は接着層23に接着され、そして剥離ライナーのリング26の剥離ライナー側は接着層32に接着される。代わりの態様において、全体的に20dと指定された前処置パッチはまた、図7に示したポリマーの膜25を包含することができる(図9参照)。
【0096】
貯蔵及び適用に対して前処置パッチ20a(又は20b、20c又は20d)は好ましくは、図4に示されそして、その全体を本明細書に引用により取り込んでいる同時継続米国特許出願第09/976,762号明細書(公開第2002/0091357号)に詳述されるように接着タブ36によりリテイナーのリング60中に吊るされる。
【0097】
次に図10〜13を参照すると、薬剤送達システムの1つの態様を使用している好ましいモードが詳述される。最初に図10を参照すると、前処置パッチ(すなわち20a、20b、20c又は20d)は好ましくは、その全体を引用により本明細書に取り入れている、米国特許出願第09/976,798号明細書(公開第2002/0123675)に開示されたアプリケーターのような衝撃アプリケーターを使用して患者の皮膚に適用される。
【0098】
適用の直後に、前処置パッチ、例えば、20aを患者の皮膚から外して(場合によりタブ17aによりパッチ20aを剥がすことにより)、廃棄して、(i)皮膚の表面5に接着された皮膚接着リング28及び剥離ライナーのリング26(図11参照)又は(ii)皮膚表面に接着された皮膚接着リング28、ポリマーの膜のリング34及び接着リング32(図12参照)、を含んでなる「皮膚テンプレート」(全体的に7で表わす)を残す。
【0099】
次にゲルパッチ10の剥離ライナー19を剥がし、ゲルパッチ10をテンプレート7上(図13に示される)に配置し、それによりヒドロゲル調製物16がゲルパッチ10から放出され、前処置パッチ20aにより形成された角質層中の微小スリットを通過する。
【0100】
本発明の更なる態様において、全体的に20eで指定された前処置パッチは、図6に示した形態と同様な、そして図16に示したリテイナー62中に収まるように適合されている図14に示した形態を含んでなる。図16に示したように、リテイナー62は好ましくは、リテイナー62の底部に近位の内部リング又はリッジ63を包含する。
【0101】
本発明に従うと、前処置パッチ20eの適用中に、接着層23がリング63に接着する。次に前処置パッチ20eをアプリケーター/リテイナーリングのアセンブリーを持ち上げ、皮膚接着リング28及び剥離ライナーのリング26を含んでなる皮膚のテンプレート7を残すことにより皮膚から容易に剥がすことができる。
【0102】
次に図15を参照して、本発明の代わりの態様において、全体的に20fと指定される前処置パッチは、適用工程中にリテイナーリング63に対する前処置パッチ20の接着を確実にする更なる接着リング35を包含する。
【0103】
次に図17を参照して、本発明の更にもう1つの態様において、前処置パッチ20fは構成部品及び/又は層22、23、26、32、34、28及び使用される場合は35を
通って延伸する複数のスロット42並びにリング22から延伸する複数のタブ40を包含する。前処置パッチ20fは図18に示したリテイナー65中に収まるように適合されている。
【0104】
図18に示したように、リテイナー65はリテイナーリング66上に配置された複数の支柱68を包含する。本発明に従うと、前処置パッチ20fの適用期間中に、タブ40が剥がれて、パッチ20fを剥離する。次に支柱68は前処置パッチのリング22上のスロット42により受け入れられる。次に前処置パッチ20fは同様にアプリケーター/リテイナーリングのアセンブリーを持ち上げて剥がすことにより皮膚から取り外すことができる。
【0105】
前記の前処置パッチ20e、20fの適用後、ゲルパッチ10の剥離ライナー19を同様に外し、ゲルパッチ10をテンプレート7上に配置し、それによりヒドロゲル調製物16がゲルパッチ10から放出し、そして前処置パッチ20e又は20fにより形成された角質層中の微小スリットを通過する。
【0106】
本発明のヒドロゲル調製物は好ましくは、その全体を引用により本明細書に取り入れた同時継続出願第60/514,433号明細書に開示されたヒドロゲル調製物のような水主体のヒドロゲルを含んでなる。
【0107】
当該技術分野で周知のように、ヒドロゲルは水中で膨潤する高分子ポリマーのネットワークである。適当なポリマーのネットワークの例には、限定されずに、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)及びプルロニックが包含される。もっとも好ましいポリマー物質はセルロース誘導体である。これらのポリマーは異なる平均分子量を与える種々の等級で得ることができ、従って異なるレオロジー特性を示すことができる。
【0108】
本発明に従うと、ヒドロゲル調製物は少なくとも1種の生物学的活性物質を含有する。生物学的活性物質は好ましくは、限定されずに、黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン及びナプファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)のような)、バソプレッシン、デスモプレッシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1〜24)のようなACTH類似体、カルシトニン、バソプレッシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレッシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン(liprecin)、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラディキニン、ソマトトロピン、血小板誘導成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性コナドトロピン、エポプロステノール(血小板凝血インヒビター)、グルカゴン、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベータ、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランスインヒビター、BNP、VEGF、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラディキニンアンタゴニスト、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチドサプレッサー、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及びアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、タンパク質C、タンパク質S、レニンインヒビター、チモシンアルファ−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレッシンアンタゴニスト類似体、アルファ−1アンチトリプシン(組み換え体)、TGF−ベータ、フォンダパリナックス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルジン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサンポリスルフェート、オリゴヌクレオチド及びフォルミビルセンのようなオリゴヌクレオチド誘導体、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ 445167及びRWJ−671818、フェンタニル、レミフェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル及びカルフェンタニルを包含する前記の活性物質の1種を含んでなる。
【0109】
生物学的活性物質は更に好ましくは、小さい分子量の化合物、ポリペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、核酸及び多糖類からなる群から選択される生物学的活性物質を含んでなる。
【0110】
生物学的活性物質は更により好ましくは、50mg/1日未満の1日投与量を必要とする薬理学的物質を含んでなる。前記の薬理学的物質は更に、好ましくは、ヒドロゲル調製物中に10mg/mLを超える溶解度を有する。
【0111】
本発明に従うと、ヒドロゲル調製物はまた、界面活性剤(すなわち湿潤剤)を包含する。本発明に従うと、1種又は複数の界面活性剤は双イオン性、両性、カチオン、アニオン、又は非イオン性であることができる。界面活性剤の例には、ナトリウムラウロアンホアセテート、ナトリウムドデシルスルフェート(SDS)、セチルピリジニウムクロリド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(TMAC)、ベンズアルコニウムクロリド、Tween20及びTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのような他のソルビタン誘導体及びラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールが包含される。もっとも好ましい界面活性剤にはTween20、Tween80及びSDSが包含される。
【0112】
ヒドロゲル調製物は好ましくは、更にポリマー物質又は両親媒性特性を有するポリマーを包含する。前記のポリマーの例には限定されずに、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)又はエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体並びにプルロニックが包含される。
【0113】
界面活性剤の濃度は好ましくは、0.001〜2重量%の間のヒドロゲル調製物からなる。両親媒性特性を示すポリマーの濃度は好ましくはヒドロゲル調製物の約0.5〜40重量%の範囲内にある。
【0114】
好ましい態様において、本発明のヒドロゲル調製物はその全体を本明細書に引用することにより取り入れられている同時継続米国特許出願第09/950,436号明細書に開示されたような少なくとも1種の経路開放モジュレーター又は「抗治癒剤」を含有する。前記の同時継続出願書に示されるように、抗治癒剤は皮膚の自然治癒過程を防止又は減退させ、それによりマイクロプロジェクション部材20により角質層に形成される経路又は微小スリットの閉鎖を妨げる。抗治癒剤の例には、限定されずに、浸透物質(例えば、塩
化ナトリウム)及び双イオン性化合物(例えば、アミノ酸)が包含される。
【0115】
同時継続出願物中に定義された用語「抗治癒剤」は更に、ベタメサゾン21−ホスフェート二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−二ナトリウムホスフェート、ヒドロコルタメート塩酸、ヒドロコーチゾン21−ホスフェート二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−ホスフェート二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−スクシネートナトリウム塩、パラメタゾン二ナトリウムホスフェート及びプレドニソロン21−スクシネートナトリウム塩のような抗炎症剤及び、クエン酸、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、デキストラン硫酸ナトリウム及びEDTAのような抗凝固剤を包含する。
【0116】
本発明に従うと、ヒドロゲル調製物はまた、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のような非水性溶媒、染料、顔料、不活性充填剤、透過促進剤、賦形剤及び当該技術分野で知られた医薬品の他の通常の成分又は経皮装置を包含することができる。
【0117】
ヒドロゲル調製物は更に少なくとも1種の血管収縮剤を包含することができる。適した血管収縮剤には限定されずに、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリンインダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレッシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレッシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレッシン及びキシロメタゾリン並びにそれらの混合物が包含される。
【0118】
皮膚のバアリヤーを通る薬剤の運搬を容易にするために、本発明はこの点に関して全く限定されないので、本発明はまた、種々多様のイオントホレシス又は電気運搬システムと一緒に使用することができることは当業者により認められるであろう。具体的な電気運搬薬剤送達システムはその全体をその明細が本明細書に引用により取り込まれている米国特許第5,147,296号、第5,080,646号、第5,169,382及び第5,169383号明細書に開示されている。
【0119】
用語の「電気運搬」は概括的に皮膚、粘膜、爪等のような体表を通る有益な物質、例えば、薬剤又は薬剤の前駆体の通過を意味する。物質の運搬は電気ポテンシャルの適用により誘発又は促進され、それは電流の適用をもたらし、それが物質を送達し又はその送達を促進するかあるいは「逆行する」電気運搬に対しては物質を採取又はその採取を促進する。物質のヒトの体内への又は体内からの電気運搬は種々の方法で達成することができる。
【0120】
1つの広く使用される電気運搬法のイオントホレシスは帯電イオンの電気的に誘導される運搬を伴う。非帯電又は中性に帯電した分子の経皮的運搬(例えば、ブドウ糖の経皮的採取)に関与するもう1つのタイプの電気運搬過程の、電気浸透法(electroosmosis)は電界の影響下で膜を通る物質を含む溶媒の移動を伴う。更にもう1つの電気運搬のタイプの電気穿孔法(electroporation)は膜に電気パルス、高電圧パルスを適用することにより形成される孔を通る物質の通過を伴う。
【0121】
多数の場合に、2種以上の前記の方法が異なる程度に同時に起っているかも知れない。従って、用語「電気運搬」は本明細書においては、その物質がそれにより実際に運搬されている1種又は複数の特定の機序に拘わらず、少なくとも1種の帯電した又は非帯電の物質又はそれらの混合物の電気的に誘発された又は促進された運搬を包含するための、その
もっとも広い可能な解釈を与えられる。更に、ソノフォレシス又は圧電式装置のような他の、運搬を促進する方法を本発明と一緒に使用することができる。
【0122】
本発明が電気運搬、ソノフォレシス又は圧電システムと一緒に使用される時は、前記に説明されたように最初にマイクロプロジェクション部材20が皮膚に適用される。剥離ライナー19を電気運搬、ソノフォレシス又は圧電システムの一部であるゲルパック10から剥がす。次にこのアセンブリーを皮膚のテンプレート7上に配置し、それによりヒドロゲル調製物16がゲルパッチ10から放出され、そして前処置パッチ20a、20b、20c又は20dにより形成された角質層中の微小スリットを通過して、電気運搬、ソノフォレシス又は圧電法により提供される薬剤運搬の更なる促進により局所又は全身治療を達成する。本発明が電気運搬、ソノフォレシス又は圧電システムと一緒に使用される時は、総皮膚接触面積は2〜120cmの範囲内にあることができる。
[実施例]
以下の実施例は当業者に本発明をより明白に理解させ、実施させるために与えられる。それらは本発明の範囲を限定するものと考えてはならず、それらの代表として具体的に示されるだけである。
【実施例1】
【0123】
当該技術分野で周知のようにペントサンポリスルフェート(PPS)は透過性促進剤の使用又は皮膚バリヤーの物理的破壊なしには典型的には皮膚を有意には透過しない著しく陰性に帯電した化合物である。本実施例において、PPSは、マイクロプロジェクションアレーを有する前処置装置により形成された皮膚経路を通る受動的拡散により送達された。マイクロプロジェクションアレーは、0.025mmの厚さ、シートの面に約90°の角度で曲げられたひし形のマイクロプロジェクション及び241個のマイクロプロジェクション/cmのマイクロプロジェクション密度を有するステンレス鋼のシートからなった。マイクロプロジェクションは0.500mmの長さを有した。
【0124】
ゲルパッチは0.35mLのヒドロゲル調製物及び2cmの皮膚接触面積を有する発泡体の二重の接着リング(直径3.8cm、厚さ0.16cm)からなった。ヒドロゲル調製物は2%のヒドロキシエチルセルロース(HEC、NATROSOL(R)250HHX PHARM,HERCULES Int.Lim.オランダ、決定分子量:Mw1890000、Mn1050000)ヒドロゲル中の50mg/mLのトリチウム化PPSを包含した。
【0125】
ゲルパッチを2cmの面積を有する前処置パッチで皮膚の前処置後、即座に適用した。
【0126】
選択された時間内に皮膚を通過した生物学的活性物質(又は薬剤)の量を、トリチウムの尿中排泄を測定することにより決定した(先行の研究が、HGPにおいて静脈内注射された3H−PPSの32%が尿中排泄されることを示した)。結果は皮膚を通るPPSの経時的流量を示した(図19参照)。24時間の送達後、6mgを超えるPPSが全身に投与された。
【実施例2】
【0127】
これも当該技術分野で周知のように、オリゴヌクレオチドは、透過促進剤の使用又は皮膚バリヤーの物理的破壊なしには皮膚を有意には透過しない高度に陰性に帯電した化合物である。本実施例で、20−量体のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド(OGN)が本発明の前処置装置により形成された皮膚中の経路を通る受動的拡散により送達された。
【0128】
マイクロプロジェクションアレーは、0.025mmの厚さ、2cmの面積、シートの面に約90°の角度で曲げられたひし形のマイクロプロジェクション及び241個のマイクロプロジェクション/cmのマイクロプロジェクション密度を有するステンレス鋼のシートからなった。マイクロプロジェクションは0.500mmの長さを有した。
【0129】
ゲルパッチは0.35mLのヒドロゲル調製物及び2cmの皮膚接触面積を有する発泡体の二重の接着リング(直径3.8cm、厚さ0.16cm)からなった。ヒドロゲル調製物は2%のHEC(NATROSOL(R)250HHX)ヒドロゲル中の5、50及び200mg/mLのトリチウム化OGNを包含した。
【0130】
ゲルパッチを前処置パッチで皮膚による前処置後、即座に適用した。
【0131】
適用24時間後に、各群からの3システムを取り出し、残留薬剤を皮膚から洗い落とした。記載された期間中に皮膚を透過した生物学的活性物質の量をOGNの肝臓含量を測定することにより決定した(先行の研究が、HGPにおける全身投与後に、約50%のOGNが肝臓内に蓄積することを示した)。更にOGNの皮膚含量も評価した。
【0132】
結果は皮膚を通るOGNの濃度依存性流量を示した(図20及び21参照)。最大濃度において、13.5%の薬剤利用率に相当する、10mgの総量が全身に吸収されていた。すべての濃度において、皮膚のデポーは全身吸収量のごく一部であった。
【実施例3】
【0133】
前記実施例2と同様な実験を受動的拡散に加えて駆動力としてイオントホレシスを使用して実施した。これは薬剤パッチの裏打ち膜とOGNを含有する調製物の間に塩化銀の陰極を挿入することにより実施した。システムはまた、生理食塩水のレザボアゲルと接触した銀のフォイルの陽極からなった。電極を一定レベルの0.1mA/cmの電流を供給するDC電源に接続した。
【0134】
結果は皮膚を通るOGNの濃度依存性流量を示した(図22及び23参照)。最大濃度において、20.5%の薬剤利用率に対応する、15.6mgの総量が全身に吸収された。すべての濃度において、皮膚のデポーは全身吸収のごく一部であった。
【0135】
以上の説明から、当業者は、本発明がなかでも、患者に対する生物学的活性物質の経皮送達を促進し、そして持続させるための有効で、効率的な手段を提供することを容易に確認することができる。
【0136】
当業者により認められるように、本発明は:
・規定された又は制御された前処置面積、
・規定された又は制御された前処置力及び、従って角質層中への浸透、
・生物学的活性物質の持続した送達プロファイル:
のような多数の利点を提供する。
【0137】
当業者は本発明の精神及び範囲から逸脱せずに種々の用途及び状態にそれを適応させるために本発明に種々の変更及び修正を実施することができる。従ってこれらの変更及び修正は適切にそして公平に、以下の請求の範囲の同等物の完然な範囲内にあり、そしてそれが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明に従うゲルパッチの1つの態様の透視図である。
【図2】本発明に従う前処置パッチの1つの態様の透視図である。
【図3】本発明に従うマイクロプロジェクションアレーの1つの態様の部分透視図である。
【図4】本発明に従う、その中に前処置装置を収めたリテイナーの1つの態様の断面側面図である。
【図5】図4に示したリテイナーの透視図である。
【図6】本発明に従う図1及び2に示した前処置及びゲルパッチの1つの態様の分解略図である。
【図7−9】本発明に従う図2に示した前処置パッチの更なる態様の分解略図である。
【図10】本発明に従う、集成された薬剤送達システムの1つの態様の側面図である。
【図11】本発明に従う皮膚のテンプレートの1つの態様上のゲルパッチの配置のスキーム図である。
【図12】本発明に従う皮膚テンプレートの更なる態様の略図である。
【図13】本発明に従う、患者の皮膚上に配置されたゲルパッチのスキーム図である。
【図14−15】本発明に従う、図1に示した前処置パッチの更なる態様の分解略図である。
【図16】本発明に従う、前処置パッチをその中に収めたリテイナーの更なる態様の断面側面図である。
【図17】本発明に従う延伸する剥離タブを有する前処置装置の更なる態様の平面図である。
【図18】本発明に従うその中に図17に示した前処置パッチを収めたリテイナーのもう1つの態様の断面側面図である。
【図19】本発明の薬剤送達システムの1つの態様を使用する、生存無毛モルモットの皮膚を通るペントサンポリスルフェート(PPS)の経時的流量を示すグラフである。
【図20−21】本発明の薬剤送達システムの1つの態様を使用する、生存無毛モルモットの皮膚を通るオリゴヌクレオチドの濃度依存性流量を示すグラフである。
【図22−23】生存無毛モルモットの皮膚を通るオリゴヌクレオチドの濃度依存性流量を示す更なるグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚上に配置されるように適合されている前処置パッチであって、ここで該前処置パッチが裏打ち膜のリング及びマイクロプロジェクションアレーを有し、該マイクロプロジェクションアレーが該裏打ち膜のリングに接着され、該マイクロプロジェクションアレーが患者の角質層を貫通するように適合されている複数のマイクロプロジェクションを包含し、該前処置パッチが該裏打ち膜に取り外し可能に固定された剥離ライナーのリング及び該剥離ライナーのリングに接着された皮膚接着リングを包含し、該剥離ライナーのリング及び該皮膚接着リングが、該前処置パッチが患者の皮膚に適用されそしてそれから取り外された後に、患者の皮膚上に皮膚のテンプレートを形成するように適合されている、前処置パッチ;並びに
上面層及び底面層を有するゲルパッチであって、ここで該ゲルパッチがヒドロゲル調製物を含有するレザボアを包含し、該ゲルパッチが約0.5〜30cmの範囲内の皮膚接触面積を有し、該ゲルパッチが該皮膚のテンプレート上に配置されるように適合されている、ゲルパッチ:
を含んでなる、患者の皮膚を通して生物学的活性物質を送達するための薬剤送達システム。
【請求項2】
ゲルパッチが該ゲルパッチのレザボアの近位に配置された調製物の膜を包含し、ここで該調製物の膜が該ヒドロゲル調製物中への酵素の移動を妨げるように適合されている請求項1の送達システム。
【請求項3】
調製物の膜が該ヒドロゲル調製物中へのバクテリアの移動を妨げるように適合されている請求項2の及びシステム。
【請求項4】
前処置パッチが該剥離ライナーのリングと該皮膚接着リングの間に配置されたポリマーの膜のリングを包含する請求項1の送達システム。
【請求項5】
皮膚のテンプレートが該剥離ライナーのリング、ポリマーの膜のリング及び皮膚接着リングを含んでなる請求項4の送達システム。
【請求項6】
前処置パッチが該剥離ライナーのリングと連絡する少なくとも1個の剥離タグを包含する請求項1の送達システム。
【請求項7】
前処置パッチが該裏打ち膜のリングと該マイクロプロジェクションアレーとの間に配置されたポリマーの膜を包含する請求項1の送達システム。
【請求項8】
マイクロプロジェクションアレーが10〜2000個のマイクロプロジェクション/cmの範囲内のマイクロプロジェクション密度を有する請求項1の送達システム。
【請求項9】
前処置パッチが患者の皮膚に適用された後に、マイクロプロジェクションアレーが約0.5〜30cmの範囲内の前処置された皮膚面積を提供する請求項1の送達システム。
【請求項10】
前処置された皮膚面積が該ゲルパッチの皮膚接触面積と実質的に等しい請求項1の送達システム。
【請求項11】
前処置された皮膚面積が該ゲルパッチの皮膚接触面積より大きい請求項1の送達システム。
【請求項12】
ヒドロゲル調製物が水主体のヒドロゲルを含んでなる請求項1の送達システム。
【請求項13】
ヒドロゲル調製物がポリマー物質を含んでなる請求項12の送達システム。
【請求項14】
ポリマー物質がセルロース誘導体を含んでなる請求項13の送達システム。
【請求項15】
ポリマー物質がEHEC(エチルヒドロキシエチルセルロース)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)及びそれらの混合物からなる群から選択される請求項13の送達システム。
【請求項16】
ヒドロゲル調製物が少なくとも1種の生物学的活性物質を包含する請求項1の送達システム。
【請求項17】
生物学的活性物質がポリペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、核酸及び多糖類からなる群から選択される請求項16の送達システム。
【請求項18】
生物学的活性物質が黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体、バソプレッシン、デスモプレッシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1〜24)を包含するACTH類似体、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレッシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレッシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスルトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド、リプレシン(liprecin)、HGH、HMG及びデスモプレッシンアセテートを包含する下垂体ホルモン、卵胞ルテオイド、aANF、成長因子放出因子(GFRF)を包含する成長因子、bMSH、GH、ソマトスタチン、ブラディキニン、ソマトトロピン、血小板誘導成長因子放出因子、アスパラギナーゼ、ブレオマイシンサルフェート、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性コナドトロピン、コルチコトロピン(ACTH)、エリスロポエチン、エポプロステノール(血小板凝血インヒビター)、グルカゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)、オキシ通しン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベータ、ウロキナーゼ、バソプレッシン、デスモプレッシン、ANP、ANPクリアランスインヒビター、BNP、VEGF、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラディキニンアンタゴニスト、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチドサプレッサー、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及びアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、タンパク質C、タンパク質S、レニンインヒビター、チモシンアルファ−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレッシンアンタゴニスト類似体、アルファ−1アンチトリプシン(組み換え体)、TGF−ベータ並びにそれらの混合物からなる群から選択される請求項16の送達システム。
【請求項19】
ヒドロゲル調製物が少なくとも1種の経路開放(pathway patency)モジュレーターを包含する請求項1の送達システム。
【請求項20】
ヒドロゲル調製物が血管収縮剤を包含する請求項1の送達システム。
【請求項21】
送達システムが前処置パッチのアプリケーターと共働するように適合されているアプリケーターリテイナーを包含する請求項1の送達システム。
【請求項22】
リテイナーが該前処置パッチを受け入れるように適合されている前処置パッチのシートを包含する請求項21の送達システム。
【請求項23】
裏打ち膜のリングが該前処置パッチのシートに接着するように適合されている接着タブを包含する請求項22の送達システム。
【請求項24】
前処置パッチが該皮膚接着リングと共働するように適合されている補助的接着リングを包含し、ここで該補助的接着リングが該剥離ライナーのリングと該皮膚接着リングの間に配置されている、請求項23の送達システム。
【請求項25】
リテイナーが患者の皮膚に対する該前処置パッチの適用期間中に該前処置パッチの接着タブを受け入れるように適合されている前処置パッチのリングを包含し、それにより該前処置パッチが該リテイナーをそれから取り外すことにより患者の皮膚から取り外し可能であり、そしてそれにより該皮膚のテンプレートが患者の皮膚上に配置される請求項23の送達システム。
【請求項26】
裏打ち膜のリングが該裏打ち膜のリングの周辺の近位に配置された複数のスロット及び該前処置パッチのシートと共働するように適合されている複数の剥離タブを包含する請求項22の送達システム。
【請求項27】
リテイナーが患者の皮膚に対する該前処置パッチの適用期間中に該前処置パッチのスロットと噛み合うように適合されている複数の支柱を有する前処置パッチの部材を包含し、それにより該前処置パッチがそれから該リテイナーを取り外すことにより患者の皮膚から取り外し可能であり、そしてそれにより該皮膚のテンプレートが患者の皮膚上に配置される請求項26の送達システム。
【請求項28】
裏打ち膜のリング;並びに
マイクロプロジェクションアレーであって、ここで該マイクロプロジェクションアレーが該裏打ち膜のリングに接着されており、該マイクロプロジェクションアレーが患者の角質層を貫通するように適合されている複数のマイクロプロジェクションを包含し、該前処置パッチが該裏打ち膜に取り外し可能に固定された剥離ライナーのリング及び該剥離ライナーのリングに接着された皮膚接着リングを包含し、該剥離ライナーのリング及び該皮膚接着リングが、該前処置パッチが患者の皮膚に適用され、そしてそれから取り外された後に、患者の皮膚上に皮膚のテンプレートを形成するように適合されている、マイクロプロジェクションアレー:
を含んでなる患者の皮膚を前処置するための前処置装置。
【請求項29】
前処置パッチが該剥離ライナーのリングと該皮膚接着リングの間に配置されたポリマーの膜のリングを包含する請求項28の前処置装置。
【請求項30】
皮膚のテンプレートが該剥離ライナーのリング、ポリマーの膜のリング及び皮膚接着リングを含んでなる請求項29の前処置装置。
【請求項31】
前処置パッチが該剥離ライナーのリングと連絡する少なくとも1個の剥離タグを包含する請求項28の前処置装置。
【請求項32】
前処置パッチが該裏打ち膜のリングと該マイクロプロジェクションアレーの間に配置さ
れたポリマーの膜を包含する請求項28の前処置装置。
【請求項33】
マイクロプロジェクションアレーが10〜2000個のマイクロプロジェクション/cmの範囲内のマイクロプロジェクション密度を有する請求項28の前処置装置。
【請求項34】
マイクロプロジェクションアレーが、該前処置パッチが患者の皮膚に適用された後に約0.5〜30cmの範囲内の処置された皮膚面積を提供する請求項28の前処置装置。
【請求項35】
患者の皮膚上に配置されるように適合されている前処置パッチを提供する工程であって、ここで該前処置パッチが裏打ち膜のリング及びマイクロプロジェクションアレーを有し、該マイクロプロジェクションアレーが該裏打ち膜のリングに接着されており、該マイクロプロジェクションアレーが患者の角質層を貫通するように適合されている複数のマイクロプロジェクションを包含し、該前処置パッチが該裏打ち膜に取り外し可能に固定された剥離ライナーのリング及び該剥離ライナーのリングに接着された皮膚接着リングを包含し、該剥離ライナーのリング及び該皮膚接着リングが、該前処置パッチが患者の皮膚に適用され、そしてそれから取り外された後に患者の皮膚上に皮膚のテンプレートを形成するように適合されているものである、工程;
上面層及び底面層を有するゲルパッチを提供する工程であって、ここで該ゲルパッチがヒドロゲル調製物を含有するレザボアを包含し、該ゲルパッチが約0.5〜30cmの範囲内の皮膚接触面積を有するものである、工程;
患者の皮膚に該前処置パッチを適用する工程であって、それにより該マイクロプロジェクションが患者の該角質層を貫通して複数の微小スリットを有する前処置された皮膚領域を提供し、そしてそれにより該皮膚のテンプレートが患者の皮膚に接着する、工程;
患者の皮膚から該前処置パッチを取り外す工程;並びに
該前処置された皮膚領域に該ゲルパッチを適用する工程であって、ここで該ゲルパッチが該皮膚のテンプレート上に配置され、それにより該ヒドロゲル調製物が該レザボアから放出され、そして該前処置パッチにより該角質層中に形成された該微小スリット中にそしてそれを通って移動する、工程:
を含んでなる患者の皮膚を通る生物学的活性物質の送達法。
【請求項36】
ゲルパッチが該ゲルパッチレザボアの近位に配置された調製物の膜を包含し、ここで該調製物の膜が該ヒドロゲル調製物中への酵素の移動を妨げるように適合されている請求項35の方法。
【請求項37】
調製物の膜が該ヒドロゲル調製物中へのバクテリアの移動を妨げるように適合されている請求項36の方法。
【請求項38】
前処置パッチが該剥離ライナーのリングと該皮膚接着リングの間に配置されたポリマーの膜のリングを包含する請求項35の方法。
【請求項39】
皮膚のテンプレートが該剥離ライナーのリング、ポリマーの膜のリング及び皮膚接着リングを含んでなる請求項38の方法。
【請求項40】
前処置パッチが該剥離ライナーのリングと連絡する少なくとも1個の剥離タグを包含する請求項35の方法。
【請求項41】
前処置パッチが該裏打ち膜のリングと該マイクロプロジェクションアレーの間に配置されたポリマーの支持膜を包含する請求項35の方法。
【請求項42】
マイクロプロジェクションアレーが10〜2000個のマイクロプロジェクション/c
の範囲内のマイクロプロジェクション密度を有する請求項35の方法。
【請求項43】
前処置された皮膚面積が約0.5〜30cmの範囲内にある請求項35の方法。
【請求項44】
前処置された皮膚面積が該ゲルパッチの皮膚接触面積に実質的に等しい請求項35の方法。
【請求項45】
前処置された皮膚面積が該ゲルパッチの皮膚接着性面積より大きい請求項35の方法。
【請求項46】
ヒドロゲル調製物が水主体のヒドロゲルを含んでなる請求項35の方法。
【請求項47】
ヒドロゲル調製物がポリマー物質を含んでなる請求項46の方法。
【請求項48】
ポリマー物質がセルロース誘導体を含んでなる請求項47の方法。
【請求項49】
ポリマー物質がEHEC、CMC、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)及びそれらの混合物からなる群から選択される請求項47の方法。
【請求項50】
ヒドロゲル調製物が少なくとも1種の生物学的活性物質を包含する請求項35の方法。
【請求項51】
生物学的活性物質がポリペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、核酸及び多糖類からなる群から選択される請求項50の方法。
【請求項52】
生物学的活性物質が黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体、バソプレッシン、デスモプレッシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1〜24)を包含するACTH類似体、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレッシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレッシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスルトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド、リプレシン(liprecin)、HGH、HMG及びデスモプレッシンアセテートを包含する下垂体ホルモン、卵胞ルテオイド、aANF、成長因子放出因子(GFRF)を包含する成長因子、bMSH、GH、ソマトスタチン、ブラディキニン、ソマトトロピン、血小板誘導成長因子放出因子、アスパラギナーゼ、ブレオマイシンサルフェート、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性コナドトロピン、コルチコトロピン(ACTH)、エリスロポエチン、エポプロステノール(血小板凝血インヒビター)、グルカゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)、オキシ通しン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベータ、ウロキナーゼ、バソプレッシン、デスモプレッシン、ANP、ANPクリアランスインヒビター、BNP、VEGF、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラディキニンアンタゴニスト、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチドサプレッサー、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及びアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、タンパク質C、タンパク質S、レニンインヒビター、チモシンアルファ−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレッシンアンタゴニスト類似体、アルファ−1アンチトリプシン(組み換え体)、TGF−ベータ並びにそれらの混合物からなる群から選択される請求項50の方法。
【請求項53】
ヒドロゲル調製物が少なくとも1種の経路開放モジュレーターを包含する請求項35の方法。
【請求項54】
ヒドロゲル調製物が血管収縮剤を包含する請求項35の方法。
【請求項55】
方法がリテイナーのパッチアプリケーターと共働するように適合されているアプリケーターのリテイナーを提供する工程を包含する請求項35の方法。
【請求項56】
リテイナーが該前処置パッチを受け入れるように適合されている前処置パッチのシートを包含する請求項55の方法。
【請求項57】
裏打ち膜のリングが該前処置パッチのシートに接着するように適合されている接着タブを包含する請求項56の方法。
【請求項58】
前処置パッチが該皮膚接着リングと共働するように適合されている補助的接着リングを包含し、ここで該補助的接着リングが該剥離ライナーのリングと該皮膚接着リングの間に配置されている請求項57の方法。
【請求項59】
リテイナーが、患者の皮膚に対する該前処置パッチの該適用期間中に該前処置パッチの接着タブを受け入れるように適合されている前処置パッチのリングを包含し、それにより該前処置パッチが該リテイナーをそれから取り外すことにより患者の皮膚から取り外し可能であり、そしてそれにより該皮膚のテンプレートが患者の皮膚に接着される請求項55の方法。
【請求項60】
裏打ち膜のリングが該裏打ち膜のリングの周囲の近位に配置された複数のスロット及び該前処置パッチのシートと共働するように適合されている複数の剥離タブを包含する請求項55の方法。
【請求項61】
リテイナーが患者の皮膚に対する該前処置パッチの該適用期間中に該前処置パッチのスロットと噛み合うように適合されている複数の支柱を有する前処置パッチ部材を包含し、それにより該前処置パッチが該リテイナーをそれから取り外すことにより患者の皮膚から取り外し可能であり、そしてそれにより該皮膚のテンプレートが患者の皮膚に接着される請求項60の方法。
【請求項62】
50mg/日までの該生物学的活性物質を送達する工程を包含する請求項55の方法。
【請求項63】
送達工程がゼロ次送達を含んでなる請求項62の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2007−510445(P2007−510445A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536831(P2006−536831)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/035061
【国際公開番号】WO2005/042054
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】