説明

経路探索装置およびネットワークデータのデータ構造

【課題】エリアを通り抜ける推奨経路をコンピュータの負荷を増やさないで算出することを可能とした経路探索装置およびネットワークデータを提供する。
【解決手段】経路探索装置12は、出発地および目的地を設定する地点設定部122と、リンクおよびノードのデータを含むネットワークデータを用いて経路を探索し、出発地から目的地に到る推奨経路を算出する経路探索部123とを備え、ネットワークデータは、複数のリンクを含んで構成された局所的なエリアを同一のリンクグループとして認識するための情報を含んでおり、リンクグループを構成するリンクは、対応するエリアの外部と接続する複数の出入口同士を結ぶ幹線通路に対応する幹線リンクを含んでおり、経路探索部123は、出発地および目的地がエリア外である当該エリアについて幹線リンクのみを探索対象として経路を探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推奨経路を算出する経路探索装置、およびコンピュータが推奨経路を算出する処理に用いられるネットワークデータのデータ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、カーナビゲーションデバイスや、携帯して持ち運びすることが可能な、例えばPND(Personal Navigation Device)等に経路探索装置が利用されている。
従来の経路探索装置としては、例えば、通路を表現するリンクおよびノードのデータを含むネットワークデータを用いて出発地から目的地に到る推奨経路を算出し、推奨経路に基づく地図画像を画面に表示して案内を行なうナビゲーション機能を有するものが広く用いられている。また、徒歩による経路として、地下街や建造物を通り抜ける経路を算出する経路探索装置も知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
上記特許文献1に記載の経路探索装置によれば、地下街や建造物を通り抜ける経路を算出することにより、地下街や建造物を迂回しない適切な経路をユーザに示すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−21531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の経路探索装置は、地下街や建造物を通り抜ける経路を、ダイクストラ法等により地下街や建造物の通路に関するリンクをすべて探索して算出しているので、コンピュータに大きな負荷がかかるという問題点がある。
特に、階数の多い建造物は、通路に対応するリンクのデータが多くなるので、通り抜ける通路の算出においてコンピュータの負荷が大きいものとなる。
本発明は、出発地および目的地がいずれも存在しないエリアを通り抜ける推奨経路をコンピュータの負荷を増やさないで算出することを可能とした経路探索装置およびネットワークデータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の経路探索装置は、出発地および目的地を設定する地点設定部と、リンクおよびノードのデータを含むネットワークデータを用いて経路を探索し、前記出発地から前記目的地に到る推奨経路を算出する経路探索部とを備える経路探索装置において、前記ネットワークデータは、複数のリンクを含んで構成された局所的なエリアを同一のリンクグループとして認識するための情報を含んでおり、前記リンクグループを構成するリンクは、対応するエリアの外部と接続する複数の出入口同士を結ぶ幹線通路に対応する幹線リンクを含んでおり、前記経路探索部は、前記出発地および前記目的地がエリア外である当該エリアについては前記幹線リンクのみを探索対象として経路を探索することを特徴とするものである。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成(または方法)もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明の経路探索装置によれば、複数のリンクを含んで構成された局所的なエリアにおいて外部と接続する複数の出入口同士を結ぶ幹線通路に対応する幹線リンクを含むネットワークデータを用い、出発地および目的地がエリア外である当該エリアについては幹線リンクのみを探索対象として経路を探索することから、エリアの内部の通路を表現するリンクのほとんどは探索対象にならないので、コンピュータの負荷を増やさずに、エリアを通り抜ける経路を含む推奨経路を算出することを可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施例のナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図2】本実施例のナビゲーションシステムの処理の第1の例のフローチャートである。
【図3】本実施例のナビゲーションシステムの処理の第1の例のフローチャートである。
【図4】本実施例のナビゲーションシステムの処理を説明する図である。
【図5】本実施例のナビゲーションシステムの処理の第2の例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
図1は、本実施例のナビゲーションシステムの構成を示す図である。本実施例におけるナビゲーションシステム1は、地図情報記憶装置11、経路探索装置12、案内制御装置13、表示装置14、入力装置15および現在位置検出装置16を備えるPNDであり、車両用ナビゲーション装置として利用され、歩行者用ナビゲーション端末としても利用される。
【0009】
地図情報記憶装置11は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVDまたはブルーレイディスク等の外部記憶装置である。経路探索装置12および案内制御装置13は、コンピュータプログラムや処理条件等が予め記憶されているROMやRAM等の内部記憶装置、およびこのコンピュータプログラムを実行するCPU等を備えた小型のコンピュータである。表示装置14は、LCD(Liquid Crystal Display)等であって画像を表示するデバイスである。入力装置15は、表示装置14の画像表示面に備えられたタッチパネルである。現在位置検出装置16は、GPS受信器であり、受信したGPS衛星からの電波に基づいてナビゲーション装置1の位置情報を検出する位置検出センサである。
【0010】
地図情報記憶装置11が記憶している地図情報は、施設に対する到着地点が対応付けられているリンクを有するネットワークデータ、および行政界図、道路図および家形図等を生成するためのポリラインやポリゴンのデータ等の描画用データを含む地図情報である。
【0011】
また、ネットワークデータは、複数のリンクを含んで構成された局所的なエリアを同一のリンクグループとして認識するための情報を含んでいる。本実施例における局所的なエリアとは、地下街や建造物等の閉じられた空間内の歩行者用の通路や、自動車が航行中に頻繁に減速しなければならない通路が比較的多くなる住宅街の通路等のことである。また、リンクグループを構成するリンクには、対応するエリアの外部と接続する複数の出入口同士を結ぶ幹線通路に対応する幹線リンクを含んでいる。本実施例において、各リンクには、「リンクID」、「始端ノードID」、「終端ノードID」、「リンク長」、「リンクグループID」、「幹線リンクフラグ」等の情報が付与されている。
【0012】
経路探索装置12は、最適なルートを求めるために、コンピュータプログラムを実行することにより実現される所定の機能を複数有しており、それぞれの機能に対応するユニットをそれぞれ備えている。具体的には、地図情報取得部121、地点設定部122、経路探索部123を備えている。
【0013】
地図情報取得部121は、地図情報記憶装置11にアクセスして地図情報記憶装置11が記憶している地図情報を取得するとともに、経路探索装置12の図示しない内部記憶装置に地図情報を蓄える機能を有する。
【0014】
地点設定部122は、入力装置15を用いたユーザの操作により指定された位置情報や、現在位置検出装置16により検出された位置情報に基づいて、出発地および目的地のそれぞれに対応する指定点を決定する機能を有している。
【0015】
経路探索部123は、地図情報取得部121が蓄積している地図情報を用いて出発地から目的地に到る推奨経路を算出する機能を有する。
【0016】
本発明の経路探索装置12によれば、複数のリンクを含んで構成された局所的なエリアにおいて外部と接続する複数の出入口同士を結ぶ幹線通路に対応する幹線リンクを含むネットワークデータを用い、出発地および目的地がエリア外である当該エリアについては幹線リンクのみを探索対象として経路を探索する。したがって、エリアの内部の通路を表現するリンクのほとんどは探索対象から除外されるので、経路探索時におけるコンピュータの負荷を増やさずに、エリアを通り抜ける経路を含む推奨経路を算出することが可能となる。
【0017】
案内制御装置13は、経路探索装置12により決定されたルートに基づいて案内地図画像を生成し表示装置14に表示させ、現在位置検出装置16によって検出したPNDの位置情報に基づくPNDの進行状況に応じてユーザを案内する処理を実行する。また、案内制御装置13は、ナビゲーションシステム全体の動作制御を行なう機能を有している。
【0018】
<本実施例における処理の第1の例>
次に、本実施例のナビゲーションシステムが、経路探索する処理について説明する。図2および図3は、本実施例のナビゲーションシステムの処理の第1の例のフローチャートであり、図4は、本実施例のナビゲーションシステムの処理を説明する図である。本実施例では、図4に示すように地下街UTを挟んで設定された出発地Sと目的地Gとの間の歩行者の経路を探索する例を示す。地下街UTのエリアの内部の通路を表現したリンクには、同一のリンクグループとして認識するための同じ「リンクグループID」情報が付与されている。また、出入口に対応するノードのうちの、ノードN4−ノードN22,ノードN5−ノードN23,ノードN8−ノードN25の3つの組については、それぞれの組を構成するノード間を結ぶ最短経路の通路に対応するリンクに「幹線リンクフラグ」情報が付与されている。
【0019】
まず、経路探索装置12は、地図情報取得部121により、現在位置検出装置16が検出した位置を含む所定の範囲の地図情報を地図情報記憶装置11から取得しメモリ等に一時的に記憶しておいて、地点指定部122により、出発地および目的地のそれぞれに対応する指定点を決定する処理を実行する(ステップS101)。本実施例においては、図4に示すように、現在位置検出装置16により検出された位置情報に基づいてリンクL2上の点Sを出発地に設定し、入力装置15の操作によって入力されたユーザの指定に基づいてリンクL22上の点Gを目的地に設定する。リンクL2が探索開始リンクとなり、リンクL22が探索終了リンクとなる。
【0020】
経路探索装置12は、ステップS101が終了すると、経路探索部123により、探索開始リンクに接続しているノードまでのコストを算出して確定する処理を実行する(ステップS102)。本実施例においては、探索開始リンクL2に接続している2つのノードN1,N3までのコストを出発地S点からの距離に応じて配分して設定する。
【0021】
経路探索装置12は、ステップS102が終了すると、経路探索部123により、出発地からのコストがすでに確定している確定ノードと、出発地からのコストが未だ確定していない未確定ノードとを接続する探索対象のリンクを抽出してコスト評価リンクに設定する処理を実行する(ステップS103)。本実施例においては、確定ノードN1に接続するリンクL1、および確定ノードN3に接続するリンクL3をコスト評価リンクに設定する。
【0022】
経路探索装置12は、ステップS103が終了すると、経路探索部123により、コスト評価リンクが探索終了リンクであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS104)。
経路探索装置12は、ステップS104において、コスト評価リンクが探索終了リンクであると判定した場合は(ステップS104:Yes)、出発地から目的地へ到る推奨経路が算出されたことになり、ナビゲーションシステムは経路探索を終了する。ナビゲーションシステムは、経路探索が終了すると、案内制御装置13により案内地図画像を表示装置14に表示させ、決定したルートを用いてユーザを案内する処理を実行する。本実施例においては、案内画像にPNDの位置を重畳して表示するとともに、PNDの進行方向に合わせてヘディングアップすることによりユーザを案内する。
【0023】
ステップS104において、コスト評価リンクが探索終了リンクではないと判定した場合は(ステップS104:No)、経路探索装置12は、経路探索部123により、コスト評価リンクを介して確定ノードと接続する未確定ノードを抽出し、確定候補ノードとして設定するとともに、全ての確定候補ノードについて出発地からの経路を評価し最適な経路に対応する確定候補ノードを処理対象ノードに設定する処理を実行する(ステップS105)。本実施例においては、確定ノードN1と接続する確定候補ノードN2が設定され、確定ノードN3と接続する確定候補ノードN4がまずは設定される。なお、リンクL1,L3はともに探索対象のリンクである。そして、設定した2つの確定候補ノードN2,N4のうち確定候補ノードN4が処理対象ノードN4に設定される。
【0024】
経路探索装置12は、ステップS105が終了すると、経路探索部123により、処理対象ノードに接続するリンクを抽出して探索対象候補リンクとして設定する処理を実行する(ステップS106)。なお、処理対象ノードに接続するリンクのうち、確定ノードと接続するリンクは抽出しないものとする。本実施例においては、処理対象ノードN4に接続するリンクについてはリンクL4,LF1が抽出され探索対象候補リンクL4,LF1としてそれぞれ設定される。
【0025】
経路探索装置12は、ステップS107が終了すると、経路探索部123により、設定した探索対象候補リンクがいずれかのエリアのリンクグループ内のリンクであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS107)。具体的には、探索対象候補リンクに「リンクグループID」情報が付与されている場合には、設定した探索対象候補リンクが付与されている「リンクグループID」が対応するエリアのリンクグループ内のリンクであると判定し、探索対象候補リンクに「リンクグループID」情報が付与されていない場合には、いずれのエリアのリンクグループ内のリンクではない、すなわち、いずれのエリアのリンクグループにも属さないと判定する。
【0026】
経路探索装置12は、ステップS107において、探索対象候補リンクがいずれかのエリアのリンクグループ内のリンクであると判定した場合には(ステップS107:Yes)、次のステップS108に移行する。本実施例においては、探索対象候補リンクL4,LF1のうち探索対象候補リンクLF1については、「リンクグループID」情報が付与されており、特定のエリアのリンクグループ内のリンクであるであると判定されステップS108に移行することになる。
【0027】
経路探索装置12は、ステップS108において、探索対象候補リンクがいずれのエリアのリンクグループ内のリンクでもないと判定した場合には(ステップS107:No)、後述するステップS112に移行する。本実施例においては、探索対象候補リンクL4,LF1のうち探索対象候補リンクL4については、「リンクグループID」情報が付与されておらず、いずれのエリアのリンクグループ内のリンクでもないと判定されステップS112に移行することになる。
【0028】
経路探索装置12は、ステップS107が終了すると、経路探索部123により、探索対象候補リンクが探索開始リンクと同じリンクグループ内のリンクであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS108)。具体的には、探索対象候補リンクに探索開始リンクと同じ「リンクグループID」情報が付与されている場合には、探索対象候補リンクが探索開始リンクと同じリンクグループ内のリンクであると判定し、探索対象候補リンクに探索開始リンクと同じ「リンクグループID」情報が付与されていない場合には、探索対象候補リンクが探索開始リンクと同じリンクグループ内のリンクではないと判定する。
【0029】
経路探索装置12は、ステップS108において、探索対象候補リンクが探索開始リンクと同じリンクグループ内のリンクであると判定した場合には(ステップS108:Yes)、後述するステップS112に移行する。
【0030】
経路探索装置12は、ステップS108において、探索対象候補リンクが探索開始リンクと同じリンクグループ内のリンクではないと判定した場合には(ステップS108:No)、次のステップS109に移行する。本実施例においては、探索開始リンクL2に「リンクグループID」情報が付与されていないことから、ステップS107からステップS108に移行した探索対象候補リンクLF1については探索開始リンクと同じリンクグループ内のリンクではないと判定されステップS109に移行することになる。
【0031】
ステップS109において、経路探索装置12は、経路探索部123により、探索対象候補リンクが探索終了リンクと同じリンクグループ内のリンクであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS109)。具体的には、探索対象候補リンクに探索終了リンクと同じ「リンクグループID」情報が付与されている場合には、探索対象候補リンクが探索終了リンクと同じリンクグループ内のリンクであると判定し、探索対象候補リンクに探索終了リンクと同じ「リンクグループID」情報が付与されていない場合には、探索対象候補リンクが探索終了リンクと同じリンクグループ内のリンクではないと判定する。経路探索装置12は、ステップS109において、設定した探索対象候補リンクが探索終了リンクと同じリンクグループ内のリンクであると判定した場合には(ステップS109:Yes)、後述するステップS112に移行することになる。
【0032】
経路探索装置12は、ステップS109において、探索対象候補リンクが探索終了リンクと同じリンクグループ内のリンクではないと判定した場合には(ステップS109:No)、次のステップS110に移行する。本実施例においては、探索終了リンクL22に「リンクグループID」情報が付与されていないことから、ステップS108からステップS109に移行した探索対象候補リンクLF1については探索終了リンクと同じリンクグループ内のリンクではないと判定されステップS110に移行することになる。
【0033】
ステップS110において、経路探索装置12は、経路探索部123により、探索対象候補リンクが幹線リンクであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS110)。具体的には、探索対象候補リンクに「幹線リンクフラグ」情報が付与されている場合には、探索対象候補リンクが幹線リンクであると判定し、探索対象候補リンクに「幹線リンクフラグ」情報が付与されていない場合には、探索対象候補リンクが幹線リンクではないと判定する。経路探索装置12は、ステップS110において、探索対象候補リンクが幹線リンクであると判定した場合には(ステップS110:Yes)、後述するステップS112に移行する。本実施例においては、ステップS109からステップS110に移行した探索対象候補リンクLF1については、「幹線リンクフラグ」情報が付与されており幹線リンクであるであると判定されステップS112に移行することになる。
【0034】
経路探索装置12は、ステップS110において、設定した探索対象候補リンクが幹線リンクではないと判定した場合には(ステップS110:No)、次のステップS111に移行する。
【0035】
ステップS110において、経路探索装置12は、経路探索部123により、幹線リンクではないと判定された候補対象リンクについて、探索対象から除外する処理を実行する(ステップS111)。経路探索装置12は、ステップS111が終了すると、次のステップS112に移行する。
【0036】
ステップS112において、経路探索装置12は、経路探索部123により、確定候補ノードに接続する候補対象リンクのうち未確認の候補対象リンクが残っているか否かを判定する処理を実行する(ステップS112)。経路探索装置12は、ステップS112において、未確認の候補対象リンクが残っていると判定した場合には(ステップS112:Yes)、ステップS106以降の処理を再度実行する。
【0037】
経路探索装置12は、ステップS112において、未確認の候補対象リンクが残っていないと判定した場合には(ステップS112:No)、経路探索装置12は、経路探索部123により、ステップS105にて設定された処理対象ノードを確定ノードとして設定する処理を実行する(ステップS113)。本実施例においては、処理対象ノードN4が確定ノードN4として設定されることになる。
【0038】
経路探索装置12は、ステップS113が終了すると、新たに設定された確定ノードを用いて、ステップS103以降の処理を再度実行する。
【0039】
本実施例においては、処理が進んでステップS105において、経路探索装置12は、経路探索部123により、新たに設定された確定ノードN4と接続するノードN11を確定候補ノードN11として設定するとともに評価の結果としてこの確定候補ノードN11を処理対象ノードN11に設定する。また、ステップS106において、経路探索装置12は、経路探索部123により、確定候補ノードN11に接続するリンクL11,LF2を抽出して探索対象候補リンクL11,LF2としてそれぞれ設定する。そして、さらに処理が進み、ステップS110において、経路探索装置12は、探索対象候補リンクLF2については「幹線リンクフラグ」情報が付与されていることから幹線リンクであると判定し、探索対象候補リンクL11については「幹線リンクフラグ」情報が付与されておらず幹線リンクではないと判定する。このため、経路探索装置12は、ステップS113において、探索対象候補リンクL11を探索対象から除外する処理を実行する。このため、本実施例においては、この処理を実行した後、ノードN11からリンクL11の先の経路は探索されないことになる。ステップS103移行の処理はS104においてコスト評価リンクが探索対象リンクであると判定されて経路探索が終了するまで繰り返される。
【0040】
この後の処理により、同様にリンクL12についても、ステップS110において「幹線リンクフラグ」情報が付与されておらず幹線リンクではないと判定され、ステップS111において探索対象から除外され、ノードN12からリンクL12の先は経路が探索されないことになる。本実施例においては、ステップS103〜ステップS113の処理を繰り返すことにより、探索開始リンクL2からリンクL3−LF1−LF2−LF3をたどって探索終了リンクL22に到る経路が最適な経路と評価され、推奨経路として算出される。このとき、地下街UT内の通路L11,L12は探索対象から除外されるので、経路探索装置12のコンピュータにかかる負荷が低減されることになる。
【0041】
<本実施例における処理の第2の例>
図5は、本実施例のナビゲーションシステムの処理の第2の例のフローチャートである。第2の例については、上述した第1の例と異なる点についてのみ説明し、同様の構成要素については同一の参照符を用いて重複する説明を省略するものとする。第2の例においても、出発地および目的地がいずれも第1の例と同じ状況のものについて説明する。
【0042】
まず、経路探索装置12は、地図情報取得部121により、現在位置検出装置16が検出した位置を含む所定の範囲の地図情報を地図情報記憶装置11から取得し蓄えておいて、地点指定部122により、現在位置検出装置16により検出された位置情報に基づいて出発地および探索開始リンクを決定する処理を実行する(ステップS201)。第2の例においても、第1の例のときと同様に、出発地Sおよび探索開始リンクL2が設定され、さらに、確定ノードN1,N3が設定される。経路探索装置12は、ステップS201が終了すると、地図情報取得部121により、探索開始リンクと同じリンクグループのリンクのデータを、地図情報取得部121が蓄積している地図情報の中から探索用リンクのデータとして抽出する処理を実行する(ステップS202)。
【0043】
経路探索装置12は、ステップS202が終了すると、地点指定部122により、入力装置15の操作によって入力されたユーザの指定に基づいて目的地および探索終了リンクを決定する処理を実行する(ステップS203)。第2の例においても、第1の例のときと同様に、目的地Gおよび探索終了リンクL22が設定される。経路探索装置12は、ステップS203が終了すると、地図情報取得部121により、探索終了リンクと同じリンクグループのリンクのデータを、地図情報取得部121が蓄積している地図情報の中から抽出して探索用リンクのデータに追加する処理を実行する(ステップS204)。
【0044】
経路探索装置12は、ステップS205が終了すると、地図情報取得部121により、いずれのエリアのリンクグループにも属さないリンクのデータを、地図情報取得部121が蓄積している地図情報の中から抽出して探索用ネットワークのデータに追加する処理を実行する(ステップS205)。第2の例においては、地下街UTのエリアのリンクグループ内のリンク以外のリンクについては「リンクグループID」情報が付与されておらず、探索用ネットワークのデータとして抽出される。経路探索装置12は、ステップS205が終了すると、地図情報取得部121により、探索開始リンクと同じリンクグループのエリア、および探索終了リンクと同じリンクグループのエリア以外のエリアの幹線リンクのデータを、地図情報取得部121が蓄積している地図情報の中から抽出して探索用リンクのデータに追加する処理を実行する(ステップS206)。
【0045】
経路探索装置12は、ステップS206が終了すると、経路探索部123により、確定ノードと接続する探索用リンクを抽出してコスト評価リンクとして設定し、設定したコスト評価リンクが探索終了リンクであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS207)。経路探索装置12は、ステップS207において、確定ノードと接続するコスト評価リンクが探索終了リンクであると判定した場合は(ステップS207:Yes)、出発地から目的地へ到る推奨経路が算出されたことになり、ナビゲーションシステムは経路探索を終了する。ユーザを案内する処理は第1の例と同様である。
【0046】
経路探索装置12は、ステップS207において、確定ノードと接続するコスト評価リンクが探索終了リンクではないと判定した場合には(ステップS207:No)、経路探索部123により、探索終了リンクではないと判定したコスト評価リンクを介して確定ノードと接続する確定候補ノードを設定するとともに、経路を評価して最適な経路に対応する確定候補ノードを確定ノードとして設定する処理を実行する(ステップS208)。経路探索装置12は、ステップS208が終了すると、新たに設定された確定ノードを用いて、ステップS207以降の処理を再度実行する。
【0047】
第2の例においては、経路探索装置12は、出発地および目的地がエリア外である当該エリアについては幹線リンクのみを探索の対象としたネットワークデータを用いて経路を探索することにしている。したがって、経路探索装置12の処理の第2の例によれば、少ないデータを用いて経路を探索することになるので、処理の速度が向上する。
【0048】
<その他の例>
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良が可能である。例えば、上述した実施形態の例においては、ナビゲーションシステム1はPNDであるが、車載専用ナビゲーション、携帯電話、GPS受信器付きパーソナルコンピュータにおいても利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…ナビゲーションシステム
12…経路探索装置
121…地図情報取得部
122…地点設定部
123…経路探索部
13…案内制御装置
14…表示装置
15…入力装置
16…現在位置検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地および目的地を設定する地点設定部と、
リンクおよびノードのデータを含むネットワークデータを用いて経路を探索し、前記出発地から前記目的地に到る推奨経路を算出する経路探索部と
を備える経路探索装置において、
前記ネットワークデータは、複数のリンクを含んで構成された局所的なエリアを同一のリンクグループとして認識するための情報を含んでおり、
前記リンクグループを構成するリンクは、対応するエリアの外部と接続する複数の出入口同士を結ぶ幹線通路に対応する幹線リンクを含んでおり、
前記経路探索部は、前記出発地および前記目的地がエリア外である当該エリアについては前記幹線リンクのみを探索対象として経路を探索する
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の経路探索装置であって、
前記経路探索部は、前記出発地および前記目的地がエリア外である当該エリアについては前記幹線リンクのみを探索の対象としたネットワークデータを用いて経路を探索する
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項3】
コンピュータが、出発地から目的地に到る推奨経路を算出するために用いるネットワークデータのデータ構造であって、
リンクおよびノードのデータ、ならびに複数のリンクを含んで構成された局所的なエリアを同一のリンクグループとして認識するための情報を含んでおり、
前記リンクグループを構成するリンクには、対応するエリアの外部と接続する複数の出入口同士を結ぶ幹線通路に対応する幹線リンクを含んでおり、
前記幹線リンクは、前記コンピュータが、前記出発地および前記目的地がエリア外である当該エリアについては前記幹線リンクのみを探索対象として経路を探索する処理に用いられるネットワークデータのデータ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−214890(P2011−214890A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81089(P2010−81089)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】