説明

結合部の製作方法

【課題】2つの面の結合部が、塗装を可能にする仕上げ材を必要とする問題、また製作時間がかかり、不揃いで品質変動しやすい問題の解決策を提供する。
【解決手段】2つの面を結合するための方法であって、熱活性化可能かつ膨張可能な封止物質(7)が、結合されるべき該面の1つの面(8)の縁において又は該縁付近で、該封止材が膨張するところの温度より下の温度での熱押し出し法によって、第1の面に接着して備えられ、そして該封止材(7)を支える該物質の該縁が、第2の面(9)の端部に形成されたC又はU字形部の中に挿入され、そして、ひとたび組み合わされると該熱活性化可能な封止物質(7)は活性化されて膨張し、該C又はU字形部を充填し、該2つの面(8)(9)を相互に接着する。本発明は自動車のヘムフランジの製作に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合部の製作における改良又は製作に関連する改良に関する。特に、本発明は、自動車の製造及びより限定すればヘムフランジの製作による自動車パネルの互いの結合における、結合部の製作のための改良された方法に関する。さらに、本発明はこのように形成された結合部での錆止め向上に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、乗用車、トラック、バス、ワゴン等を含む自動車、飛行機及び鉄道車両のような輸送車両を含む多くの製品の製造において、互いに近接して置かれた2つの面の間の結合部を封止すること、しばしば一般的に平行な平面の表面、例えば一緒に突き当てられた又はお互いに重ね合わされた面(例えばパネル)を封止することが必要である。米国特許第4719689号はそのような技術を説明している。この発明はそのような封止に適用可能であり、特にヘムフランジ、これは車両のボディに多分見出されうるものであるが、の形成に有用である。またこの発明は、隣接した2つの面の間の結合部を封止する方法に関連している。
【0003】
2つのパネルの間のヘムフランジは、1つのパネルの突き出た縁部分を第2のパネルの縁部分に重なるように折り曲げ、かつ第1のパネルの突き出た縁部分内で第2のパネルの縁を封止することによって形成される。ヘムフランジは、2つのパネルが一緒に結合されている車体の様々な場所、例えばドア、トランクの蓋及びボンネットに見出すことができる。例えば車両のドアは、内側パネルと外側パネルから形成されており、これらパネルは、外側の縁に沿って一緒にヘムフランジによって結合されており、該ヘムフランジは、重なり合った結合部を形成するために外側パネルの突き出た縁部分を内側パネルの縁部分に重なるように折り曲げ、そしてこれら縁を一緒に圧着することによって形成される。すると、封止が、外側パネルの縁とこれに接する内側パネルの表面との間に必要とされるが、これらパネル間の空間に湿気を入れないようにして錆を防ぐためである。伝統的には、二、三の異なった材料が、結合部を提供するために使われており、これらは接着剤、塗装可能な被覆層及び恐らくワックスのような保護層である。本発明はより少数の材料を使って結合部が形成されることを可能にする。
【0004】
もし車両のドアが損傷を受けると、該ドアはときどき外側パネルのみ取り替えて修理されうるが、この場合には、修理されたドアは品質のみならず外観でも可能な限り元のドアと一致すべきことが、(車両の所有者の観点からは)疑いもなく望まれる。実際に、修理作業の最もむずかしい部分の1つは、ヘムフランジを効果的に、かつ元のドア(これは一般的には自動化プロセスによって形成されたものである)の封止に非常に似ているように封止することである。
【0005】
ヘムフランジの形成については、特許協力条約に基づく国際特許出願公開第97/01052号公報及び日本特許出願公開昭63−202680号公報に記載されており、さらにヘムフランジ封止の形成に有用な封止物質が国際特許出願公開第03/022953号公報に記載されている。
【0006】
これらの技術においては、2つの金属片の間の結合部は、先ず1つの金属片の端部にU又はC字形カップを作り、2番目の金属片の縁を該U又はC字形カップの中に挿入し、そして該U又はC字形カップの残された空間内に該2つの金属片を一緒に接着する封止物資を備えることによって形成される。封止物質は、その粘着性が、製造中、例えば塗装焼付けオーブンまたは防食(電着塗装)焼付けオーブン中で採用される温度において発現するように、熱活性化可能である。使用される封止物質は、多くの場合に発泡可能である。多くの運用において、結合部に望ましい表面仕上げと耐候性(防水性)を備える必要がある。例えば、車両のヘムフランジのような多数の事例において、結合部は美観を有していなければならないし、錆及びその他の腐食を受けないように水分・湿気抵抗性でなければばらない。したがって、例えば封止物質を覆う塗装可能なワックスのような仕上げ材を備えて、保護及び望ましい表面仕上げを与えることは一般的に行われていることである。
【0007】
特許協力条約の国際特許出願公開第03/022953号公報において、我々は、製造プロセスにおいて選択されたパネルを前もって曲げるステップを減らし及び/又は除去するのに役立ちうるヘムフランジの製作を記載している。この方法は、スペースを形成している結合されるべき2つの基板を有する構造部材を準備する工程、構造的物質を配置する工程を備えており、該構造的物質は重量部で、約20パーセント未満(<20%)のエチレンコポリマー、約40パーセント未満(<40%)のエポキシ、約30パーセント未満(<30%)のエポキシベースの樹脂、約2パーセント未満(<2%)の発泡剤および約1パーセント(1%)から約5パーセント(5%)までの硬化剤を含み、さらに、次のいずれかの成分、すなわち約2パーセント未満(<2%)の硬化促進剤、約25パーセント(25%)から約55パーセント(55%)までの充填材および約1パーセント未満(<1%)の着色剤を選択的に含んでよい。該構造的物質は、結合されるべきスペースの近傍に配置され、次に該構造的物質は熱または他のエネルギー源に曝され、結合されるべき限られた領域またはスペースにおいて構造的物質を移動させ、充填し、硬化を起こし、それによって後硬化の構造的統合性と剛性が車両、船舶または航空機の選択された領域またはスペースに対して提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4719689号
【特許文献2】国際特許出願公開第03/022953号公報
【特許文献3】国際特許出願公開第97/01052号公報
【特許文献4】日本特許出願公開昭63−202680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、この方法の使用は、腐食を避けかつ塗装を可能にするためには、仕上げ材を依然として必要とする。さらに、このやり方による結合部の製作は時間がかかり、また不揃いと見苦しい部分とを有する、品質の変動しやすい結合部を生み出しうる。本発明はこれらの問題に対する解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は2つの面を結合するための手段を提供し、本発明においては、熱活性化可能かつ膨張可能な封止物質が、結合されるべき該面の1つの面の縁において又は該縁付近で、該封止材が膨張するところの温度より下の温度での熱押し出し法によって、第1の面に接着して備えられ、そして該封止材を支える物質の該縁が、第2の面の端部に形成されたC又はU字形部の中に挿入され、そして、ひとたび組み合わされると該熱活性化可能な封止物質は活性化されて膨張し、該C又はU字形部を充填し、該2つの面を相互に接着し、任意的に該膨張可能な物質は、塗装可能な封止層を提供するために該C又はU字形部を超えて膨張しうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ヘムフランジ製作のための従来からの方法を示す工程図。
【図2】本発明に従うヘムフランジの製作を示す工程図。
【図3】封止物質が第1の面にロボット制御でどのように施与されるかを示すブロックダイヤグラム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
熱活性化可能かつ膨張可能な封止物質は、結合されるべき面の1つのみに施与され得るけれども、どちらの面に施与されてもよいし、代替的には両面に施与されうる。
【0013】
熱押し出し工程は、予め定められた量の封止物質が予め定められた温度で供給されるロボット制御プロセスであることが好ましい。我々は、この方法が、1つの操作によって結合部の迅速な形成を可能にすること、及び封止物質を予めゲル化する必要がないことを見出している。またこの方法は、追加の表面仕上げとワックス保護の必要がない。また、封止物質の前もっての施与は、使用される封止物質のより良い制御を可能にし、改善された外観を呈するより一様な結合部を生み出す。封止物質は、1つの場所で第1の面に施与されうる。そして封止物質を支えている部分は、第2の面に結合するために他の場所へ運ばれうる。好ましくはないが、これ以外の堆積方法が熱活性化可能かつ膨張可能な封止物質を備えるのに使われうる。我々は、本発明の技術の使用が、国際特許出願公開第03/022953号公報に記載されたような先行方法に伴う不統一な発泡の問題を減らすことを見出している。
【0014】
これら従来のプロセスは、多くの欠点と不備を抱えており、該欠点と不備は結局のところ製造設備における効率及び性能を減少させる。例えば、電着塗装法以前の標準的な応用においては、金属の削りくず、油およびその他の型の汚染が、輸送車両の何か他の目標とされた部分のヘムフランジ結合部または強化されるべき結合部にトラップされる可能性があり、該汚染は電着塗装をヘムフランジ結合部の金属面に非常に良く付着させない原因となり得て、それによって腐食開始の場所を生み出すことになる。さらに、従来技術で見られる曲げるプロセスは、結合部またはフランジ内での選択された物質の流動または堆積(電着塗装を含む)を禁止するように働きうる。なぜならば、曲げられたパネルは、該物質の適当な流動に対する障害として機能しうるからであり、それによって時間とともに腐食に導くからである。また腐食は、従来のプロセスを採用し、過剰な標準的熱溶融物質が、ヘムフランジ結合部の外側パネルの中に施されたとき生じうる。過剰な標準的熱溶融物質は、曲げるプロセス中に追出され、ヘムフランジパネル上に流れる可能性があり、そして望ましくないヘムフランジの接着剤となり、そして粘着性物質がフランジと周囲の領域へ置かれ、これは融解や封止を妨げて車両の寿命の腐食に導きうる。この過剰な標準的熱溶融物質は、除去するのが困難であり、それによって製造設備に保守の問題を生じる。また、それは電着塗装とヘムフランジパネル間の不適切な接着をもたらす可能性があり、それにより腐食開始の場所を生み出すことになる。したがって、選択された結合部の中の熱溶融物質の十分な量の適切な配備の過剰及び不足の両方とも電着プロセスに影響を与える可能性があり、時間とともに車両内の腐食領域の拡大へと導きうる。本発明はこれらの困難を克服している。
【0015】
本発明に従い第1の面に施与される物質は、活性化温度では粘着性を発現するが膨張せず、そして所望の高温で膨張せられうる、任意の適切な物質でよい。それは、結合されるべき材料の材質と要求される結合部のタイプに従い選択されうる。特に、それは、それが、第1の面に粘着するが、押し出しに採用される条件では膨張せられないように、第1の面上に押し出されうる物質である。さらに、該物質は環境温度で触っても粘着性がないことが好ましく、該物質及び/又は該物質を運ぶ金属の構成材が、ごみやチリを拾うことなく又は操作員の手に粘りつくことなく移動され取り扱われうる。しかし、該物質は、該物質がC又はU字形部を充填し、2つの金属表面を相互に接着するために、流動し膨張しうるように、活性化温度で軟化し流動するべきである。使われる物質の量は、欧州特許出願公開第1331080 A1号公報に記載されたようなロボット制御のアプリケーターを採用することによって注意深く制御されうる。封止物質の量は、ごみと湿気が溜まり、腐食形成の場所を提供することになるカップの内部に空間が残らないように、封止材が膨張するとC又はU字形カップの境界を越えて流動するような量であることが好ましい。このような仕方で、本発明は、防錆性を高めるために結合部の境界を膨張可能な物質が被覆できるようにする。また本発明は、熱活性化可能かつ膨張可能な物質が、粘着剤と封止材の両機能を果たすことを可能にし、ある例では、また塗装可能で保護用の外側層を提供する。
【0016】
本発明において使用される活性化可能な物質は、典型的にはポリマー混合物、耐衝撃改良剤、並びに発泡剤、硬化剤及び充填剤の1以上の組み合わせ、を含んでいる。該活性化可能な物質は好ましくは、下記
a)約2〜約80重量パーセントのエポキシ樹脂、
b)約2〜約70重量パーセントのポリマー(例えば、エポキシ)/エラストマー付加物、
c)1つ以上の追加的ポリマーであって、典型的には1以上のエチレンポリマー又はコポリマーを含むもの、
d)約2〜約70重量パーセントの耐衝撃改良剤、
e)約5重量パーセント以下の発泡剤、
f)約7重量パーセント以下の硬化剤、および
g)充填材
の中の少なくとも3つを含んでいる。
【0017】
本発明の好ましい実施態様として、耐衝撃改良剤が、必ずしも必要とはされないが1以上のコアシェルポリマーを含む。
【0018】
本発明は、様々な製造物品における結合部を提供するのに応用されうる。そのような製造物品の例は、家庭用又は工業用の電気製品、家具、貯蔵容器、建造物、構造体等を含むが、これらに限定されない。好ましい実施態様として、活性化可能な物質は、例えば自動車車両の車体またはフレーム部材のような自動車車両の部品を結合するために使用される。本発明の好ましい実施態様として、採用される物質は、非膨張の状態での体積よりもより大きな体積まで(例えば、少なくとも5%より大きく、少なくとも50%より大きく、少なくとも200%より大きく、少なくとも1000%より大きく、少なくとも2000%より大きく、少なくとも5000%より大きく、又はそれ以上に)膨張(発泡)するであろう。本発明が自動車製造において使用される好適な態様として、該物質は、塗装焼付け又は電着塗装防食オーブンで経験せられる温度で膨張する。典型的には120℃から260℃、より好ましくは140℃から260℃、より好ましくは160℃から240℃である。さらに好ましい態様として、該物質は膨張するときに、第1と第2の面の間の堅固な結合を与えるように架橋する。
【0019】
本明細書での百分率(%)は、他に指示がない限り、重量パーセントである。
【0020】
エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、任意の慣用の少なくとも1つのエポキシ官能基を含む二量体状、オリゴマー状又はポリマー状エポキシ物質を意味するものとして、ここでは使用されている。さらに、エポキシ樹脂という用語は、単独のエポキシ樹脂または複数のエポキシ樹脂の組合せを指すのに使用されうる。ポリマーに基づく物質は、開環反応により重合可能な1以上のオキシラン環を有するエポキシ含有物質でありうる。好ましい実施態様では、活性化可能な物質は、約80%までの又はそれ以上のエポキシ樹脂を含んでいる。より好ましくは、膨張可能な物質は、重量で約2%から約70%の間のエポキシ樹脂を含み、さらに好ましくは、重量で約4%から約30%の間のエポキシ樹脂を含む。この重量百分率は、他の成分(例えば、付加物、充填材、代替ポリマーまたはこれらの組み合わせ等)がより大きな又は小さな重量百分率で使用される場合に、より低くも高くも成りうる。
【0021】
エポキシ樹脂は、脂肪族、脂環式または芳香族等でありうる。エポキシ樹脂は、固体(例えば、ペレット、チャンクまたはピース等)または液体(例えば、エポキシ樹脂)として供給されうる。本明細書では別記ない限り、樹脂は、それが23℃の温度で固体なら固体樹脂、そして23℃で液体なら液体樹脂である。エポキシ樹脂は、α-オレフィンを有しうるエチレンコポリマーまたはターポリマー(三元重合体)を含みうる。コポリマーまたはターポリマーとして、ポリマーは2つまたは3つの異なったモノマー、すなわち類似の分子と結合できる高い化学的反応性をもった小さな分子、から構成されている。好ましくは、エポキシ樹脂は、活性化可能な物質の粘着性、流動性またはこの両方を増加させるために物質に添加される。1つの典型的なエポキシ樹脂は、フェノール樹脂でありうるが、これはノボラック型またはその他の型の樹脂でありうる。これら以外の好ましいエポキシ含有物質は、ビスフェノールAエピクロルヒドリンエーテルポリマー、またはブタジエン若しくはその他のポリマー添加物で修飾されうるビスフェノールAエポキシ樹脂を包含しうる。さらに、幾つかの異なるエポキシ樹脂の様々な混合物も同様に採用されうる。適切なエポキシ樹脂の例が、商標DER(たとえば、DER331、DER661、DER662)の下に販売されており、ダウケミカル社(ミシガン州、ミッドランド)から商業ベースで入手可能である。
【0022】
付加物
様々なポリマー/エラストマー付加物が、本発明に従い使用されうると考えられているが、1つの好ましい付加物は、エポキシ/エラストマー付加物である。非常に好ましい実施態様においては、エラストマー含有付加物は、本発明の活性化可能な物質において比較的高濃度で使用される。エポキシ/エラストマーのハイブリッド又は付加物は、粘着性物質の重量で80%程度までの量で、含有されうる。さらに好ましくは、エラストマー含有付加物は、大体、重量で少なくとも5%の、さらに典型的には少なくとも7%の、さらに典型的には少なくとも10%の活性化可能な物質であり、重量で60%まで又はそれ以上も可能であるが、より好ましくは、約10%から30%までの活性化可能な物質である。勿論、エラストマー含有付加物は、2以上の特定の付加物の組み合わせであり得、これらの付加物は、温度23℃で固体状付加物若しくは液体状付加物、又はこれら付加物の組み合わせでありうる。1つの好ましい実施態様においては、付加物は、温度23℃で固体である1以上の付加物の実質的に全体(即ち、少なくとも70%、80%、90%あるいはそれ以上)で構成されている。
【0023】
付加物そのものは、一般的にエラストマーに対して約1:5から5:1部のエポキシ又はその他のポリマーを含んでおり、より好ましくは、エラストマーに対して約1:3から3:1部のエポキシを含んでいる。より典型的には、付加物は少なくとも約5%の、より典型的には少なくとも約12%の、さらに典型的には少なくとも約18%のエラストマー含み、また典型的に約50%以下の、より典型的には約40%以下の、さらに典型的には約35%以下のエラストマーを含み、しかしより高い又はより低い百分率が可能である典型的なエラストマーは、天然ゴム、スチレン-ブタジエン・ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、イソプレン-ブタジエン・コポリマー、ネオプレン、ニトリルゴム(例えば、カルボキシ末端ブチルニトリルのようなブチルニトリル)、ブチルゴム、ポリサルファイド・エラストマー、アクリル・エラストマー、アクリロニトリル・エラストマー、シリコーンゴム、ポリシロキサン、ポリエステル・ゴム、ジイソシアネート架橋縮合エラストマー、EPDM(エチレン-プロピレン・ジエン・ゴム)、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素化炭化水素等を包含し、しかしこれらに限定する意図ではない。1つの実施態様として、再利用タイヤ・ゴムが使用される。好ましいエポキシ/エラストマー付加物の実例が、商標 ADALDITE DY 965 CHの下に販売されており、Huntsmanから商業ベースで入手可能であり、さらに商標HYPOX RK 8-4の下にCVC Chemicalから商業ベースで入手可能である。本発明での使用に適した追加のまたは代替的のエポキシ/エラストマー又は他の付加物の実例が、米国特許出願公開第2004/0204551号公報に開示されており、これは、あらゆる目的のために、引用することにより本命最初に含められる。
【0024】
エラストマー含有付加物は、活性化可能な物質に添加されるとき、好ましくは活性化可能な物質の構造的性質、例えば、強度、靭性、剛性または曲げ弾性などを修正するために添加される。さらに、エラストマー含有付加物は、活性化可能な物質を、塗装、例えば水性塗料、下塗りシステムまたはその他の従来からの塗装と、よりよく両立しうるようにするために選択されうる。
【0025】
ポリマーまたはコポリマー
活性化可能な物質は、典型的には1以上の付加的なポリマーまたはコポリマーを含み、種類の異なる様々なポリマー、例えば、熱可塑性物質、エラストマー、プラストマーまたはこれらの組合せ等を含みうる。例えば、ポリマー混合物に適切に組み込まれうるポリマーは、これらに制限する意図ではなく、ハロゲン化ポリマー、ポリカーボネート、ポリケトン、ウレタン、ポリエステル、シラン、スルホン、アリル、オレフィン、スチレン、アクリレート、メタクリル酸、エポキシ、シリコーン、フェノール、ゴム、ポリフェニレンオキサイド、テレフタル酸エステル、酢酸塩エステル(例えば、EVA)、アクリレート、メタクリレート(例えば、エチレンメチルアクリレート重合体)またはこれらの混合物を含む。これら以外の潜在的高分子材料は、これらに制限する意図ではなく、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(エチレンイミン)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリホスファゼン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリ酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソプレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリートでありうるし、又これらを含みうる。
【0026】
使用する場合に、これらのポリマーは、膨張可能な物質を少量でまたはより実質的な量で(例えば、重量で85%まで又はより多く)含有しうる。好ましくは、1以上の付加的なポリマーが、活性化可能な物質の重量を、約0.1%から約50%まで含有し、より好ましくは、約1%から約20%まで、さらにより好ましくは、約2%から約10%まで含有する。
【0027】
特定の実施態様では、1以上の熱可塑性ポリエーテル及び/又は熱可塑性エポキシ樹脂を活性化可能な物質に含めることが好ましい。含まれている場合は、1以上の熱可塑性ポリエーテルは、好ましくは重量で約1%から約90%までの活性化可能な物質を含み、より好ましくは重量で約3%から約60%までの活性化可能な物質を含み、さらにより好ましくは重量で約4%から約25%までの活性化可能な物質を含む。しかし、他の物質と同様に、より多いまたはより少ない熱可塑性ポリエーテルが、活性化可能な物質の使用意図に従って使用されうる。
【0028】
熱可塑性ポリエーテルは、典型的にはペンダントヒドロキシル基部分を含んでいる。また熱可塑性ポリエーテルは、主鎖に芳香族エーテル/アミンの繰り返し単位を含む。本発明の熱可塑性ポリエーテルは、好ましくは、約5から約100の間の、より好ましくは約25から約75の間の、さらにより好ましくは約40から約60の間のメルトインデックスを有する。ここで、メルトインデックスとは、約190℃の温度における重さ2.16Kgでのグラム/10分間の値をいう。もちろん、熱可塑性ポリエーテルは、目的とする応用に従って、より高いまたはより低いメルトインデックスを有しうる。好ましい熱可塑性ポリエーテルは、これらに限定する意図ではなく、ポリエーテルアミン、ポリ(アミノエーテル)、モノエタノールアミンとジグリシジルエーテルとのコポリマーまたはこれらの組み合わせなどを含む。
【0029】
好ましくは、熱可塑性ポリエーテルは、平均的に2以下の官能基をもつアミン(例えば、二官能性アミン)をグリシジルエーテル(例えば、ジグリシジルエーテル)と反応させて形成される。ここで使われる時に、二官能性アミンという用語は、平均的に2つの反応基(例えば反応性水素)をもつアミンを指す。
【0030】
1つの実施態様に従うと、熱可塑性ポリエーテルは、1級アミン、ビス(2級)ジアミン、環状ジアミン若しくはこれらの組み合わせなど(例えば、モノエタノールアミン)にジグリシジルエーテルを反応させて形成されるか、又はアミンにエポキシ官能性ポリ(アルキレンオキシド)を反応させてポリ(アミノエーテル)を作ることによって、形成される。他の実施態様に従うと、熱可塑性ポリエーテルは、アミン部分をエポキシ部分と反応させるに十分な条件の下に、二官能性アミンをジグリシジルエーテル又はジエポキシ官能性ポリ(アルキレンオキシド)と反応させるアミン結合、エーテル結合及びペンダントヒドロキシル基部分を有するポリマーの骨格を形成することによって製造される。代替的には、ポリマーは、1級または2級アミンでありうること又はそうでないこともありうる単官能基の求核試薬で処理されうる。
【0031】
加えて、1つの反応基(例えば1つの反応性水素)をもつアミン(例えば環状アミン)は、熱可塑性ポリエーテルを形成するために使用されると考えられる。有利には、このようなアミンは、形成される熱可塑性エーテルの分子量を制御するのを助けうる。
【0032】
好ましい熱可塑性ポリエーテルとこれらの形成方法の実例は、米国特許第5,275,853号、 第5,464,924号及び第5,962,093号に開示されており、ここでは全ての目的のために引用することにより本明細書に組み込まれる。有利には、熱可塑性ポリエーテルは、活性化可能な物質に、さらにここで記載されるような広範な応用のための様々な望ましい特性(例えば所望の物理的及び化学的性質)を提供可能である。
【0033】
必須ではないが、ポリマー混合物が1以上のエチレンポリマー又はコポリマー、例えばエチレンアクリレート、エチレンアセテートなどを含むことが好ましい。エチレンメタクリレートとエチレン酢酸ビニルは、好ましい2つのエチレンコポリマーである。
【0034】
また、1以上の反応基(例えば、グリシジル・メタクリレートまたは無水マレイン酸)で修正された反応性ポリエチレン樹脂を含むことは望ましい。このようなポリエチレン樹脂の実例が、商標LOTADER(例えば、LOTADER AX 8900)の下に販売され、Arkemaグループから商業ベースで入手可能である。
【0035】
耐衝撃改良剤
一般的に、活性化可能な物質が、少なくとも一つの耐衝撃改良剤を含むことは好ましい。本発明のその他の成分と同様に本明細書で使われている場合に、耐衝撃改良剤という用語は、1つの耐衝撃改良剤または複数の耐衝撃改良剤を含みうる。本発明の実施においては、様々な耐衝撃改良剤が採用されることが可能であり、しばしば1以上のエラストマーを含んでいる。特定の実施態様においてはより高いまたは低い量の耐衝撃改良剤が使用されるとしても、一般には、耐衝撃改良剤は、活性化可能な物質の重量の少なくとも4%、より典型的には7%、より典型的には少なくとも10%であることが好ましく、また耐衝撃改良剤は、活性化可能な物質の重量の90%未満、より典型的には40%未満、さらに典型的には30%未満であることが好ましい。
【0036】
本発明の1つの実施態様において、耐衝撃改良剤は、少なくともシェル/コア耐衝撃改良剤を含み、さらに好ましくは、耐衝撃改良剤は、シェル/コア耐衝撃改良剤の実質的な量を含む。1つの実施態様においては、耐衝撃改良剤は、少なくとも60%、より典型的には少なくとも80%、さらに典型的には少なくとも97%のシェル/コア耐衝撃改良剤から成り立っている。ここで使われている場合に、シェル/コア耐衝撃改良剤という用語は、その実質的な部分(例えば、重量で30%、50%、70%、またはそれ以上)が、第2の高分子材料(すなわち、第2物質またはシェル物質)によってほとんど全面的に被覆されているところの第1の高分子材料(すなわち、第1物質またはコア物質)で構成された耐衝撃改良剤を意味する。第1のおよび第2の高分子材料は、ここで使われている場合に、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の高分子から成り立っており、該高分子は、互いに一緒に結合され及び/又は反応させられ(例えば、逐次的に高分子化)または別の若しくは同じコア/シェルシステムの部分でありうる。
【0037】
コア/シェル耐衝撃改良剤の第1及び第2の高分子材料は、エラストマー、ポリマー、熱可塑性材、コポリマー、これ以外の成分またはこれらの組合せ等を含みうる。好適な実施態様においては、コア/シェル耐衝撃改良剤の第1の高分子材料、第2の高分子材料または両方は、1以上の熱可塑性材を含むかまたはほとんど全部(例えば、重量で少なくとも70%、80%、90%またはそれ以上)がそれで構成される。典型的な熱可塑性材は、スチレン、アクリロニトリル、アクリレート、アセテート、ポリアミドまたはポリエチレン等を、これらに限定する意図ではなく、含む。
【0038】
好ましいコア/シェル耐衝撃改良剤は、乳化重合によって形成される。また、耐衝撃改良剤は、コア/シェルグラフト共重合体によって形成されるかまたは少なくともそれを含むことが好ましい。グラフト共重合体の第1の又はコアの高分子材料は、第2の又はシェルの高分子材料のガラス転移温度より実質的に低い(すなわち、摂氏温度で少なくとも10、20、40またはそれ以上)ガラス転移温度を有している。さらに、必ずしも必要ではないけれども、第1の又はコアの高分子材料のガラス転移温度は、23℃より下であり、一方、第2の又はシェルの高分子材料のガラス転移温度は、23℃より上であることが望ましい。
【0039】
有用なコアシェルグラフト共重合体の例は、硬質部分含有化合物、例えばスチレン、アクリロニトリルまたはメチルメタクリレートが、軟質部分またはエラストマー含有化合物、例えばブタジエン又はエチルアクリレートのポリマーからできているコアにグラフトされているようなものである。米国特許第3985703号(これは引用することにより本明細書に組み込まれる)は、有用なコアシェルポリマーを記載しており、該ポリマーのコアはブチルアクリレートから作られているが、エチルイソブチル、2−エチルヘクセルまたはこれ以外のアルキルアクリレートまたはこれらの混合物に基礎を置きうる。またコアポリマーは、他の共重合可能な化合物、例えば、スチレン、ビニルアセテート、メチルメタクリレート、ブタジエンまたはイソプレン等を含みうる。また、コアポリマー材料は、ほとんど同じ反応性の2以上の非共役二重結合を有する架橋モノマー、例えば、エチレングリコールジアクリレートまたはブチレングリコールジメタクリレート等を含みうる。また、コアポリマー材料は、等しくない反応性の2以上の非共役二重結合を有するグラフト架橋モノマー、例えば、マレイン酸ジアリル及びアリルメタクリレートを含みうる。
【0040】
シェル部分は、メチルメタクリレートから、および任意的に、他のアルキルメタクリレート、例えば、エチル、ブチルまたはこれらの混合のメタクリレートから重合せられうる。シェルモノマーで40重量%まで又はそれ以上は、スチレン、ビニルアセテート、塩化ビニル等でありうる。本発明の実施態様において有用な追加的なコアシェルグラフトコポリマーは、米国特許第3,984,497、4,096,202、4,034,013、3,944,631、4,306,040、4,495,324、4,304,709、4,536,497号に記載されており、これらは全て引用することにより本明細書に組み込まれる。コアシェルグラフトコポリマーの例は、これに制限する意図ではなく、「MBS」(メタクリレート-ブタジエン-スチレン)ポリマーを含んでおり、これはポリブタジエンまたはポリブタジエン共重合体ゴムの存在下での、メチルメタクリレートの重合によって作られる。MBSグラフトコポリマー樹脂は、一般的に、スチレンブタジエンゴムのコアとアクリルポリマー又はコポリマーのシェルを有する。これ以外の有用なコアシェルグラフトコポリマー樹脂の例は、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、MABS(メタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、ASA(アクリレート-スチレン-アクリロニトリル)、全てのアクリル、SA EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンモノマーの弾性主鎖にグラフトされたスチレンアクリロニトリル)、MAS(メタクリル-アクリルゴム-スチレン)等及びこれらの混合物を含む。
【0041】
有用な耐衝撃改良剤の例は、これらに制限されるものではないが、商標PORALOIDの下に販売され、Rohm & Haas 社から商業的に入手可能なものを含む。PORALOIDの耐衝撃改良剤の特に好ましいグレードの一つは、EXL−2691Aの標示の下に販売されている、ポリメチルメタクリレートのシェルとMBSコアから成る改良剤である。
【0042】
発泡剤
1以上の発泡剤は、望まれる時に活性化可能な物質の中で開いた又は閉じたセル状構造を形成する不活性ガスを生成するための活性化可能な物質に加えられうる。このようにして、該物質から製作された製品の密度を低下させることが可能である。さらに、該物質の膨張は、封止能力、音響減衰又はこれらの両方を改良するのを助けうる。
【0043】
発泡剤は、1以上の窒素含有グループ、例えば、アミド、アミン等を含みうる。適切な発泡剤の例は、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4i-オキシ-ビス-(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トリヒドラジノトリアジン及びN,Ni-ジメチル-N,Ni-ジニトロソテレフタルアミドを含む。
【0044】
発泡剤のための加速剤はまた、活性化可能な物質の中に備えられうる。様々な加速剤が、発泡剤が不活性ガスを形成する速度を高めるために使用されうる。好ましい発泡剤加速剤の一つは、金属塩または酸化物、例えば、金属酸化物、例えば酸化亜鉛である。それ以外の好ましい加速剤は、変性及び未変性のチアゾールまたはイミダゾール含む。
【0045】
発泡剤と発泡剤加速剤の量は、所望のセル構造の型、活性化可能な物質の所望の膨張の量及び所望の膨張速度等に依存して、活性化可能な物質の中において広範囲に変化しうる。活性化可能な物質の中における発泡剤と発泡剤加速剤の量の典型的な範囲は、約0.001%から約5重量%までの範囲にあり、好ましくは活性化可能な物質内で、小数以下の重量パーセントである。
【0046】
しかし好ましくは、本発明の活性化可能な物質、発泡剤またはこの両方が、熱的に活性化される。代替的に、その他の剤が、他の手段、例えば、湿気または照射などによって、活性化の実現のために使われうる。
【0047】
硬化剤
1つ以上の硬化剤及び/又は硬化剤加速剤が、活性化可能な物質に添加されうる。硬化剤と硬化剤加速剤の量は、発泡剤と同様に、所望のセル構造の型、活性化可能な物質の所望の膨張量、所望の膨張速度及び活性化可能な物質の所望の構造的特性等に依存して、活性化可能な物質内で広範に変化しうる。活性化可能な物質に存在する硬化剤または硬化剤加速剤の典型的な範囲は、重量で約0.001%から約7%までの範囲である。
【0048】
好ましくは、硬化剤は、ポリマー、エポキシ樹脂またはこの両方の架橋によって活性化可能な物質の効果を助ける。また、硬化剤が、活性化可能な物質の熱硬化を助けることは好ましい。有用な硬化剤の種類は、脂肪族または芳香族アミンまたはこれら各々の付加物、アミドアミン、ポリアミド、脂環式アミン、無水物、ポリカルボン酸ポリエステル、イソシアネート、フェノールベースの樹脂(例えば、フェノールまたはクレゾールノボラック樹脂、コポリマー、例えば、フェノールテルペン、ポリビニルフェノールのコポリマー、ビスフェノールAホルムアルデヒドコポリマー、ビスヒドロキシフェニルアルカン等)、またはこれらの混合物から選択された物質である。特に好ましい硬化剤は、変性及び無変性のポリアミンまたはポリアミド、例えば、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン テトラエチレンペンタミン、シアノグアニジン、ジシアンジアミド等、を含んでいる。また、硬化剤のための加速剤(例えば、変性または無変性の尿素、例えば、メチレンジフェニールビス尿素、イミダゾールまたはこれらの組合せ)は、活性化可能な物質を準備するために提供される。
【0049】
充填材
また、活性化可能な物質は1つ以上の充填材、例えば、これらに限定する意図ではないが、微粒子状の物質(例えば、粉体)、ビーズまたは微小球などを含みうる。好ましくは、充填材は比較的低密度の物質を含んでおり、該物質は活性化可能な物質に存在する他の成分と一般的に反応しない。一般的に充填材は、活性化可能な物質内に比較的低重量でスペースを取るために、存在しうるが、また充填材は、活性化可能な物質に特性、例えば、強度及び衝撃耐性を与えうることも考慮される。
【0050】
充填材の例は、シリカ、珪藻土、ガラス、粘土(例えば、ナノクレイ)、タルク(滑石)、顔料、着色剤、ガラスビーズまたは玉、ガラス、カーボンまたはセラミックファイバ、ナイロンまたはポリアミドファイバ(例えばケブラー繊維)及び酸化防止剤などを含む。このような充填材、特に粘土は、活性化可能な物質が流動している間、それを均一厚さにするのを助けうる。充填材として使用されうる粘土は、カオリナイト、イライト、クロリテム、スメクタイト又はセピオライト群からの焼成できる粘土を含みうる。適切な充填材の例は、これらに限定する意図ではなく、タルク(滑石)、バーミキュライト(蛭石)、パイロフィライト(葉ろう石)、ソーコナイト(ソーコン石)、サポナイト、ノントロナイト、モンモリロナイトまたはこれらの混合物、を含む。また、粘土は、微量の他の成分、例えば、炭酸塩、長石、雲母及び石英を含む。また、充填材は、塩化アンモニウム、例えば、ジメチル塩化アンモニウム及びジメチルベンゾル塩化アンモニウムを含みうる。また二酸化チタンも使用されうる。
【0051】
好ましい実施態様においては、1以上の鉱物または石の型の充填材、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなどは、充填材として使用されうる。他の好ましい実施態様では、ケイ酸塩鉱物、例えば雲母が充填材として使用されうる。
【0052】
活性化可能な物質中の充填材は、使用されるときは、活性化可能な物質の重量の10%以下から90%以上の範囲にわたることが可能であるが、活性化可能な物質の重量の約30%から55%までが一層典型的である。いくつかの実施態様に従えば、活性化可能な物質は、重量で約0%から約3%までの充填材を含むことが可能で、より好ましくは、重量で1%よりわずかに少ない粘土または類似の充填材を含みうる。粉末(例えば、平均粒子径が、約0.01〜約50ミクロン、より好ましくは約1〜25ミクロン)の鉱物タイプ充填材は、重量で約5%から70%を、より好ましくは、重量で約10%から約50%で含まれうる。
【0053】
他の成分及び添加物
多くのほとんどの任意の付加的な化学物質または材料などは、活性化可能な物質に適しかつ活性化可能な物質のある選ばれた応用に適していることを前提にして、活性化可能な物質に添加されうる。
【0054】
好ましい高分子添加物は、酸化物、例えば、ポリエチレンオキシドであり、これは、気体を捕獲しおよび垂れを減少させるのを助けうる比較的高い分子量凝固剤として働く。このような凝固剤は、典型的には少なくとも約800,000、より典型的には少なくとも約2,000,000、より典型的には少なくとも約4,000,000(例えば、約5,000,000)の分子量を有する。このような添加物の一例が、商標 POLYOX WSR の下に販売されDow Chemical社から商業的に入手可能である。
【0055】
また、他の添加物、化学物質または特性改良剤は、要望されるなら活性化可能な物質に含まれることができ、該添加物等は、これらに限定する意図でなく例示として、紫外線耐性剤、難燃剤、耐衝撃改良剤、熱安定剤、着色剤、加工助剤、滑剤、強化剤(例えば、切断されたまたは連続のガラス、セラミック、アラミド、炭素繊維または粒子など)を含む。
【0056】
活性化可能な物質のための適切な成分を決定するとき、適切な時点または温度でのみ活性化される(例えば、流動、発泡または他の状態変化)物質を形成することは重要である。例えば、ある応用において、室温または製造環境における環境温度で物質が反応性であることは望ましくない。より典型的には、活性化可能な物質は、より高い処理温度で流動するように活性化される。一例として、自動車組み立て工場において遭遇するような温度が適切でありうる。特に、活性化可能な物質が、高められた温度で、またはより高い印加エネルギーレベルで、他の成分と共に処理されるとき、例えば塗装準備段階中における温度である。多くの塗装操作(例えば、ペンキ及び/または電着塗装硬化オーブン)で遭遇する温度は、例えば、約250℃またはそれ以上の範囲である。
【0057】
活性化可能な物質の形成と施与
活性化可能な物質の形成は、様々な新規のまたは既知の技術にしたがって、達成されうる。好ましくは、活性化可能な物質は、実質上均一な組成物として形成される。しかし、様々な一緒にする技術が、活性化可能な物質の特定の場所における特定の成分の濃度を増加または減少させるために使われうることが考えられる。
【0058】
1つの実施態様にしたがうと、活性化可能な物質は、固体状、例えば、ぺレット、チャンクなど、液体状またはこれらの組み合わせの形状の活性化可能な物質の成分を供給することによって形成される。該成分は、典型的には1以上の容器、例えば、大きなビンまたは他の容器の中で一緒にされる。好ましくは、容器は、該容器の回転または他の動きによって、該成分を混ぜ合わせるために使用されうる。その後は、熱、圧力またはこれらの組み合わせが適用されて、該成分がかき回されまたは単一の均一な組成物へとまぜ合わせられるように、該成分を軟化させまたは液化させる。
【0059】
別の実施態様に従うと、活性化可能な物質は、一般に容易に軟化または液化せられる1以上の成分、例えば、ポリマーベースの物質を加熱することによって、これらの成分を混合可能な状態に誘導することによって形成されうる。その後、残った成分は、該軟化された成分とともに混ぜ合わされうる。
【0060】
使われる成分に依存して、成分の温度が、特定の活性化可能な温度、すなわち活性化可能な物質を活性化させる(例えば、気体形成、流動、硬化またはこれ以外の活性化)温度以下に維持されることが重要でありうる。とりわけ、活性化可能な物質が発泡剤を含んでいるとき、活性化可能な物質の形成の期間中または活性化可能な物質が表面に施与される前は、活性化可能な物質の温度を発泡剤を活性化させる温度未満に保つことが典型的には望ましい。活性化可能な物質をより低い温度に維持することが望ましい状況においては、活性化可能な物質の成分を混ぜ合わせるために、圧力または圧力と熱の組み合わせを使って該成分を半固体のまたは粘弾性の状態に維持することが望ましい。様々な機械が、熱、圧力またはこの両方を物質に施与するために設計されてきた。
【0061】
活性化可能な物質が形成された後、該物質は、該物質が表面または基板に接着する条件下で、表面または基板に施与される。その後、該物質は発泡または泡たちするために活性化される。このような発泡または泡たちは、活性化可能な物質が基板を濡らし、そして基板と緊密な結合を形成するのを助ける。緊密な結合の形成は、典型的には活性化可能な物質の硬化で生じるが、必ずしもそうである必要はない。
【0062】
本発明は図示されるが、決して添付の図面に対する参照によって制限されるものではない。図1a〜1eは、ヘムフランジ製作のための従来からの方法を示す。図2a〜2cは、本発明に従うヘムフランジの製作を示す。図3は、物質がいかに第1の面にロボット制御で施与されるかを示す。
【0063】
図1aは、構造的結合接着物質(2)を運ぶ金属面(1)を示す。図1bは、金属片(1)が、構造的結合接着物質を含むU字形空洞(3)を提供するためにどのように曲げられ、そして、該空洞の中に第2の金属片(4)が挿入され、接着剤(2)が過熱されると、金属片(1)と(4)を一緒に結合するかを示す。図1cに示すように、次に塗装できる仕上げ(5)を備えることが必要であり、さらに塗装焼付けオーブンでの加熱が2つの金属片間の結合を完成させる。最終的に、ワックス保護(6)が、腐食に対して結合部を保護するために備えられる。
【0064】
図2aから図2cは、本発明の工程によって、どのように結合部が形成されうるかを示す。封止剤(7)は金属片の1つ(8)に備えられ、該金属片(8)は、1回の操作で、もう1つの金属片(9)のC字形空洞の中に組み立てられかつ固定されうる。その後、アセンブリは、封止剤(7)を膨張させるために加熱されることが可能であり、2つの金属片(8)と(9)の間の結合を完成させうる。
【0065】
図3は、ロボット的に制御された押出しヘッド(10)が、いかにして貯蔵庫(11)から熱活性化可能な物質を供給されうるか、及びいかにしてポンプ(12)からの油圧の下で第1の面(図示されていない)に対して施与されうるかを示す。押出しヘッドは、該面に物質を施与するために位置(13)まで動かされ、ポンプはコントローラ(14)によって活性化されうる。ひとたび、所望の量の物質が施与され終わると、押出しヘッド(10)は引っ込められ、成分を備えられた面は取り除かれ、次ぎの成分が次のサイクルのために自動的に供給される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの面を結合するための方法であって、熱活性化可能かつ膨張可能な封止物質が、結合されるべき該面の1つの面の縁において又は該縁付近で、該封止材が膨張するところの温度より下の温度での熱押し出し法によって、第1の面に接着して備えられ、そして該封止材を支える該物質の該縁が、第2の面の端部に形成されたC又はU字形部の中に挿入され、そして、ひとたび組み合わされると該熱活性化可能な封止物質は活性化されて膨張し、該C又はU字形部を充填し、該2つの面を相互に接着する、該方法。
【請求項2】
該2つの面は自動車の車体における結合部である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該結合部はヘムフランジである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該物質は常温で触っても粘着性でない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
使用される該物質の量は、膨張すると該封止材が該C又はU字形カップの境界を越えて流動するような量である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該膨張せられた物質は塗装可能な表面を提供する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該膨張せられた物質は保護層を提供する、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
該活性化可能な物質は、ポリマー混合物、耐衝撃改良剤、並びに発泡剤、硬化剤及び充填剤の1以上の組み合わせ、を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該活性化可能な物質は、下記
a)2〜80重量パーセントのエポキシ樹脂、
b)2〜70重量パーセントのポリマー(例えば、エポキシ/エラストマー付加物)、
c)1つ以上の追加的ポリマーであって、典型的には1以上のエチレンポリマー又はコポリマーを含むもの、
d)2〜7重量パーセントの耐衝撃改良剤
e)5重量パーセント以下の発泡剤、
f)7重量パーセント以下の硬化剤
g)充填材
の中の少なくとも3つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該熱活性化可能な物質は、膨張可能であり、かつ膨張せられていない状態でのその体積よりも少なくとも5パーセント大きな体積にまで膨張する(例えば、発泡する)、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該物質は、該非膨張状態での体積よりも少なくとも50パーセント大きな体積にまで膨張する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該熱活性化可能かつ膨張可能な物質は、ミニアプリケーターから施与される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
該熱活性化可能かつ膨張可能な物質は、ロボット制御で施与される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
該熱活性化可能かつ膨張可能な物質は、自動車の電着塗装焼付けオーブンで経験される温度で膨張する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
該温度は120℃から260℃までの間である、請求項14に記載の方法
【請求項16】
該膨張可能な物質はまた膨張すると架橋する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−505478(P2011−505478A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536367(P2010−536367)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010214
【国際公開番号】WO2009/071269
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510017457)ゼフィロス インク (3)
【Fターム(参考)】