説明

結晶性モンテルカストの塩

本発明は、新規な結晶形態であるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩および高純度非晶質モンテルカストナトリウムの調製方法におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な結晶性モンテルカストの塩ならびにそのモンテルカストナトリウムの調製における使用および薬剤の製造における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
モンテルカストまたは(1−{1−(R)−(E)−{3−[2−(7−クロロ−キノリン−2−イル)−ビニル]−フェニル}−3−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−プロピルスルファニルメチル}−シクロプロピル)−酢酸は、下式(I)で表される:

(式中、Rは、Hである)。
【0003】
モンテルカストナトリウム(式(I)においてR=Na)は、喘息の治療に使用される。この化合物は、経口錠剤、チュアブル錠および顆粒剤として、SINGULAIR(登録商標)(Merck社)の商品名で販売されている。
【0004】
欧州特許第0480717B1号に、モンテルカストナトリウムが含まれてなる化合物類が初めて記載された。この特許に記載の合成では、2−[(3S)−[3−[(2E)−(7−クロロキノリン−2−イル)エテニルフェニル]−3−ヒドロキシプロピル]安息香酸メチル等のメチルエステルが関与し、1−(メルカプトメチル)−シクロプロパン酢酸メチルと、インサイチュ生成の適切なメシラートとの間のカップリングが含まれてなるものであった。モンテルカストのメチルエステルがその酸の形態に加水分解され、そしてその対応のナトリウム塩(式(I))に直接変換された。メチルエステルと最終製品とをクロマトグラフィーによる精製に附することを必要とし、これに長時間を要し、上記方法は大規模生産には不適当であった。さらに収率が悪い。この方法により得られるモンテルカストナトリウムは、油状物質である。この非晶質の生成物は、別のプロセスである凍結乾燥後でしか得られず、大規模生産には経済的とは言えない。
【0005】
欧州特許第0737186B1号は、メシラートとのカップリング反応にメチルエステルの代わりに1−(メルカプトメチル)シクロプロパン酢酸の二リチウム塩を使用する点で、欧州特許第0480717B1号に記載の方法とは異なる、モンテルカストナトリウムとジシクロヘキシルアンモニウムモンテルカストの改善された合成方法を記載している。このメシラートは、欧州特許第0480717B1号のものと同じ式で表されるものであるが、結晶形態のものを添加している。この方法では、酸の形態のモンテルカストが直接生成し、それをさらに、2つの異なる多形体(形態Aおよび形態B)で結晶化するそのジシクロヘキシルアミン塩に変換されている。上記精製した結晶性ジシクロヘキシルアミン塩から、酸形態のモンテルカストが、酸処理により回収された後、この遊離酸をナトリウムイオン源で処理することにより、ナトリウム塩が得られている。
【0006】
WO2007/069261号は、モンテルカストナトリウムの調製方法を記載している。いくつかの中間体モンテルカストアミン塩(13)が挙げられているが、ジシクロヘキシルアミンと、モンテルカストのt−ブチルアミン塩のみが例示されている。この特許文献の実施例によれば、モンテルカストのジシクロヘキシルアミン塩の調製には約10〜20時間を要し、一方、t−ブチルアミン塩の調製には10時間を超える時間を要する。
【0007】
ジシクロヘキシルアミンとは別に、モンテルカストナトリウムを調製する精製工程に有用である数種類の多量の第二アミンが開示されている。例えば、国際特許出願WO2006/008751号は、モンテルカストのジプロピルアミン塩を開示している。
【0008】
さらに、低分子量の第一アミンをモンテルカストナトリウムの精製に使用することが開示されている。しかしながら、これらのアミン類を得るプロセスには長時間を要し、および/または収量が低い。例えば、WO2006/043846号は、モンテルカストのt−ブチルアミン塩を使用して純粋なモンテルカストナトリウム調製することを記載している。本明細書に記載のように、モンテルカストのt−ブチルアミン塩が、室温で数時間の攪拌(32時間)後に得られた。
【0009】
WO2007/004237号は、室温で約24時間かかるプロセスによりモンテルカストのアルファ−メチルベンジルアミン塩を調製することを記載している。
【0010】
本発明によれば、第一アミンを用いて、新規な結晶性モンテルカストの塩を介してモンテルカストナトリウムを調製するための改善された方法が提供される。予想外なことに、この新規な結晶塩の調製方法は、上記の問題を克服できる。したがって、本発明の結晶性モンテルカストのシクロプロピルアミン塩の調製に必要な時間はわずか2時間以下であり、さらに、この塩は、本特許出願の実施例で示すように、高収量および高純度で得られる。さらに、本発明による結晶性モンテルカストの塩により、高純度モンテルカストナトリウムを得ることができる。
【発明の開示】
【0011】
上記のように、本発明の第一の態様は、結晶形態であるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩である。
【0012】
本発明の第二の態様は、前記結晶形態であるシクロプロピルアミン塩の調製方法に関する。
【0013】
本発明の第三の態様は、前記結晶形態であるシクロプロピルアミン塩の、
モンテルカストナトリウムの調製のための使用に関する。
【0014】
本発明の第四の態様は、結晶形態であるモンテルカストシクロプロピルアミン塩を有機溶媒に懸濁し、得られた生成物をナトリウムイオン源で処理し、そして、モンテルカストナトリウムを単離することを含んでなるモンテルカストナトリウムの調製方法に関する。
【0015】
本発明の第五の態様は、結晶形態であるモンテルカストシクロプロピルアミン塩を有機溶媒に懸濁し、得られた懸濁液を有機酸で処理し、得られた生成物をナトリウムイオン源で処理し、得られた溶液を第二有機溶媒に添加し、そして、モンテルカストナトリウムを単離することを含んでなるモンテルカストナトリウムを調製するための別の方法に関する。
【0016】
本発明の主題は、また、治療に有効な量の本明細書で定義されている結晶形態であるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩を、適量の薬学的に許容される賦形剤または担体とともに含んでなる、医薬組成物にある。
【0017】
本発明の別の態様は、本明細書で定義されている結晶形態であるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩の、薬剤の製造のための使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1はモンテルカストのシクロプロピルアミン塩の形態IIのX線粉末回折パターン(XRPD)である。
【図2】図2はモンテルカストのシクロプロピルアミン塩の形態IIの赤外線スペクトル(IR)である。
【図3】図3はモンテルカストのシクロプロピルアミン塩の形態IIの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムである。
【図4】図4はモンテルカストのシクロプロピルアミン塩の形態Iの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第一の態様によれば本発明は、結晶形態で効率的且つ迅速に得られる、新規なモンテルカストのシクロプロピルアミン塩に関する。モンテルカストのシクロプロピルアミン塩を、モンテルカスト遊離酸を単離することなく、良好な収率で、高純度のモンテルカストナトリウムに容易に転化できる。
【0020】
モンテルカストのシクロプロピルアミン塩により、形態Iおよび形態IIと呼ばれる2つの異なる結晶多形体が得られる。本出願人は、モンテルカストの形態Iのシクロプロピルアミン塩は、貯蔵安定性はよいが容易には得られないことを見出した。モンテルカストの形態Iのシクロプロピルアミン塩は、図4のDSCサーモグラムにより特徴づけられ、融点が115.74℃である。
【0021】
モンテルカストの形態IIのシクロプロピルアミン塩は、熱力学的に安定であり、貯蔵安定性もよい。モンテルカストのシクロプロピルアミン塩の形態IIは、表1および図1に示すものと実質的に同様であるX線回折パターン、図2の赤外線スペクトル(IR)および図3のDSCサーモグラムにより特徴づけられる。

【0022】
XRDパターンを、分析X’Pert PRO MPDα1粉末回折計(CuKα源(λ=1.54056Å)およびX’Celerator検出器を備えている)により、45kVおよび40mAで動作させて得た。各試料を、2Θが4度と35度との間、ステップサイズ0.017度、スキャン速度40秒/ステップの条件でスキャンした。
【0023】
示差走査熱量測定を、Mettler−Toledo社製DSC−822e熱量計により実施した。実験条件:容積40μlのアルミニウムるつぼ、流量50ml/分の乾燥窒素雰囲気、加熱速度5℃/分。熱量計を、純度99.99%のインジウムで校正した。
【0024】
FT−IRスペクトルを、ATRアクセサリー、com−1レゾリューション、650〜4000cm−1の条件でパーキンエルマースペクトラムワンFT−IR分光光度計により記録した。
【0025】
第二の態様によれば、本発明により、結晶形態であるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩の調製方法が提供される。この方法は、有機溶媒中で、モンテルカスト遊離酸をシクロプロピルアミンで処理することと、モンテルカストのシクロプロピルアミン塩を単離することを含んでなる。好ましい態様によれば、有機溶媒は、トルエンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルなどのエステル;THFなどのエーテル;メチルエチルケトンなどのケトン、またはそれらの混合物から選択されるものである。好ましくは、有機溶媒は、酢酸イソプロピルおよび酢酸エチルから選択される。
【0026】
本発明の結晶形態であるシクロプロピルアミン塩の調製用の出発化合物として使用されるモンテルカスト酸は、欧州特許第07380038.5号に開示されている方法により調製することができる。
【0027】
したがって、特定の態様にあっては、結晶形態であるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩の調製方法は、7−クロロ−2−ビニル−キノリンと以下で定義する式(II)で表される化合物とを、パラジウム系触媒の存在下で反応させてモンテルカスト酸を得る前工程をさらに含んでなる:


(式中、Xはハロゲン原子または式−OSOR(式中、RはCF、トリル、メチルおよびFからなる群より選択されるものである)で表わされる基である)。
【0028】
本出願人は、上記方法により得られたモンテルカスト酸が、結晶形態または溶液の形態の本発明のシクロプロピルアミン塩に転化するのに使用できることを見いだした。好ましくは、溶媒形態で使用される。
【0029】
特定の態様において、モンテルカストのシクロプロピルアミン塩が一旦得られたら、例えば、結晶化または分解によりさらに精製する。当業者による通常の実験により最も好適な溶媒を選択することができる。
【0030】
驚くべきことに、容易に単離可能な結晶性シクロプロピルアミン塩(どちらかの形態)により、単純、迅速および効率的な方法で、高収量且つより不純物含有量がより少ないモンテルカストナトリウムを調製できる。
【0031】
本発明の別の態様は、結晶形態であるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩の、モンテルカストナトリウムの調製のための使用に関する。
【0032】
好ましくは、モンテルカストナトリウムは非晶質形態で調製される。
【0033】
本発明の第四の態様によれば、結晶形態であるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩を有機溶媒に懸濁し、得られた生成物をナトリウムイオン源で処理し、そして、モンテルカストナトリウムを単離することを含んでなる、式(I)で表されるモンテルカストのナトリウム塩の調製方法が提供される。したがって、有機溶媒は、例えば、脂肪族炭化水素、好ましくは、ヘプタン;芳香族炭化水素、好ましくは、トルエン;酢酸エチルなどのエステル;THFなどのエーテル;またはそれらの混合物であることができる。好ましくは、ナトリウムイオン源は、NaOHまたはナトリウムt−五酸化物から選択される。必要に応じて、モンテルカストナトリウムは、当業者に公知の方法(例えば、欧州特許第0737186B1号に記載の方法)で結晶化できる。
【0034】
特に、モンテルカストナトリウムの調製に使用されるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩は、上記した方法により得られる。
【0035】
好ましい実施態様によれば、モンテルカストナトリウムは非晶質形態で単離される。
【0036】
溶媒の混合物を使用する特定の態様によれば、ナトリウム源を、結晶形態であるシクロプロピルアミン塩の第一有機溶媒溶液に添加し、攪拌後、第二有機溶媒を添加し、得られた懸濁液を攪拌する。好ましくは、使用する溶媒混合物は、トルエンとヘプタンとの混合物である。
【0037】
本発明の第五の態様は、結晶形態であるシクロプロピルアミン塩を介してモンテルカストナトリウムを調製するための別の方法に関する。この方法は、a)シクロプロピルアミン塩を有機溶媒に懸濁し、b)得られた懸濁液を有機酸で処理し、c)得られた生成物をナトリウムイオン源で処理し、d)得られた溶液を第一有機溶媒とは異なる第二有機溶媒に添加し、そしてe)モンテルカストナトリウムを単離することを含んでなる。したがって、工程a)およびd)の両方に使用される有機溶媒は、例えば、脂肪族炭化水素、好ましくは、ヘプタン;芳香族炭化水素、好ましくは、トルエン;酢酸エチルなどのエステル;THFなどのエーテル;または、それらの混合物でよい。好ましい実施態様によれば、溶媒混合物は、トルエン/ヘプタンである。有機酸は、クエン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等の群より選択されるものである。好ましくは、クエン酸が使用される。ナトリウムイオン源は、NaOHまたはナトリウムt−五酸化物から選択されるものである。必要に応じて、モンテルカストナトリウムを、当業者に公知の方法(例えば、欧州特許第0737186B1号に記載の方法)により結晶化できる。
【0038】
特に、モンテルカストナトリウムの調製に使用されるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩は上記した方法により得られる。
【0039】
好ましい実施態様によれば、モンテルカストナトリウムは非晶質形態で単離される。
【0040】
本発明の主題は、また、治療に有効な量の本明細書で定義されている結晶形態であるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩を、適量の薬学的に許容される賦形剤または担体とともに含んでなる医薬組成物にある。
【0041】
上記したように、本明細書で定義されている結晶形態であるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩の、薬剤の製造のための使用は、本発明の一部である。
【0042】
以下の実施例により、本発明の方法を説明する。しかしながら、これらは、本明細書に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0043】
モンテルカスト酸溶液の調製
(1−{1−(R)−(3−ブロモフェニル)−3−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−プロピルスルファニルメチル}−シクロプロピル)−酢酸(800mg、1.7mmol)、7−クロロ−2−ビニルキノリン(381mg、2.0mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン(243mg、0.8mmol)およびPd(OAc)(45mg、0.2mmol)を乾燥DMF(4mL)に添加して調製した混合物を、窒素を15分間バブリングすることにより脱気する。NEt(0.7mL、5.0mmol)を添加し、100℃で4時間加熱する。冷却後、トルエン/EtOAc=1:1(50mL)と水(50mL)との混合物に注ぐ。pHを、クエン酸で3〜4に調整し、水相を、さらにトルエン/EtOAc=1:1(50mL)で抽出する。次に、溶媒を濃縮し、得られた混合物を酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルで希釈する。
【0044】
実施例1〜6で得られた生成物における不純物制御
モンテルカスト塩で制御されるべき最も重要な不純物は、以下のものである:


以下の仕様でHPLCを実施した。
カラム:XTerra RP−18、0.10mx4.6mmx3.5μm
緩衝液:HPO(85%)0.7mlを水1Lへ
溶離液の勾配:


停止時間:15分
流量:1ml/分
検出器:280nm
注入容積:5μL
カラム温度:40℃
【0045】
実施例1
モンテルカストのシクロプロピルアミン塩の多形形態Iの形成
新たに蒸留したシクロプロピルアミン7mlを攪拌したものに、モンテルカスト酸を酢酸エチル(約100g/L)に添加して調製した溶液450mLを滴下する。添加が終了したら、溶液を5分間攪拌し、固形分を沈殿させる。混合物を30分間攪拌し、懸濁した固体を濾取し、冷エチルで洗浄し、懸濁した固体を濾取し、冷酢酸イソプロピルで洗浄し、真空オーブン中45℃で一晩乾燥する。ホワイト固体40gが得られた。
【0046】
HPLC純度:99.7%;
S−O不純物:0.07%;
スチレン不純物:0%;
他の不純物:0.15%
【0047】
1H−NMR(200MHz、CDCl3)、δ(ppm)=0.31−0.62(m、8H);1.60(s、3H、CH3);1.62(s、3H、CH3);2.09−2.71(m、7H);2.85(m、1H);3.2(m、1H);3.59(t、1H);5.10(s、活性H);7.05−7.24(m、3H);7.28−7.55(m、6H);7.55−7.76(m、4H);8.00−8.16(m、2H)
【0048】
IR(ATR、cm−1)=3332、3052、2959、2924、2852、2606、2205、2145、1723、1702、1629、1608、1582、1514、1497、1461、1439、1405、1358、1279、1242、1223、1164、1130、1080、1056、1029、1018、980、967、959、932、920、904、862、841、826、802、782、762、756、721、697、674。
【0049】
MS(酸):M+1:586.2
【0050】
DSC:124.19℃ピーク
【0051】
実施例3
モンテルカストのシクロプロピルアミン塩の精製
実施例2で得られたモンテルカストのシクロプロピルアミン塩40gと酢酸エチル180mlとトルエン225mlとを、清浄で且つ乾燥した丸底フラスコに入れ、室温で5時間攪拌した。
懸濁した固体を濾取し、トルエン180ml、ヘキサン180mlで洗浄し、真空オーブン中45℃で一晩乾燥する。オフホワイト固体37gが得られた。
【0052】
HPLC純度:100%;
S−O不純物:0%;
スチレン不純物:0%;
他の不純物:0%
【0053】
H−NMR(200MHz、CDCl)、δ(ppm)=0.31−0.62(m、8H);1.60(s、3H、CH);1.62(s、3H、CH);2.09−2.71(m、7H);2.85(m、1H);3.2(m、1H);3.59(t、1H);5.10(s、活性H);7.05−7.24(m、3H);7.28−7.55(m、6H);7.55−7.76(m、4H);8.00−8.16(m、2H)
【0054】
13C−NMR(200MHz、CDCl)、δ(ppm)=6.1、6.3、12.1、12.4、17.2、24.1、30.4、32.0、32.3、39.5、40.0、40.9、41.7、52.1、73.9、119.5、125.7、125.8、127.2、128.7、131.8、135.5、136.4、140.3、144.0、145.2、148.5、157.0、177.1
【0055】
IR(ATR、cm−1)=3328、2958、2609、2211、1629、1608、1514、1496、1439、1404、1279、1164、967、841、781、762、696。
【0056】
MS(酸):M+1:586.2
【0057】
DSC:119.88℃ピーク、124.07℃ピーク
【0058】
実施例4
モンテルカストナトリウム塩の調製
実施例2で得られた純粋なモンテルカストのシクロプロピルアミン塩37gとトルエン187mlとを、清浄で且つ乾燥した丸底フラスコに、不活性条件下で入れた。ナトリウムt−五酸化物6gを得られた懸濁液に添加し、40℃で30分間攪拌した。
溶液を、冷ヘプタン500mlに5分間かけて添加し、1時間攪拌する。得られた懸濁液を濾過し、冷ヘプタン2×150mlで洗浄し、真空オーブン中45℃で一晩乾燥する。オフホワイト固体33gが得られた。
【0059】
HPLC純度:99.81%;
S−O不純物:0.18%;
スチレン不純物:0%;
他の不純物:0%
【0060】
H−NMR(200MHz、CDCl)、δ(ppm)=0.15−0.52(m、4H);1.49−1.59(s、6H、CH);1.90−2.60(m、6H);2.65(m、1H);3.25(m、1H);3.62(s、活性H);3.92(s、1H);6.96−7.21(m、3H);7.26−7.57(m、10H);7.61−7.96(m、2H)
【0061】
13C−NMR(200MHz、CDCl)、δ(ppm)=12.0、13.1、17.3、31.7、32.2、40.0、44.1、50.1、73.2、119.3、125.5、125.6、127.1、128.1、125.6、128.7、129.0、131.5、135.2、135.5、136.0、136.5、140.4、144.0、145.4、145.6、156.8、180.4
【0062】
IR(ATR、cm−1)=3347、3057、2960、2926、1592、1575、1496、1407、1270、1241、1143、1131、1068、1016、963、938、877、863、836、760、697。
【0063】
MS(酸):M+1:586.2
【0064】
DSC:明確なピークなし。
【0065】
実施例5
モンテルカストナトリウム塩の調整
純粋なモンテルカストのシクロプロピルアミン塩40gとヘプタン200mlとを、清浄で且つ乾燥した丸底フラスコに、不活性条件下で入れた。ナトリウムt−五酸化物6.4gを得られた懸濁液に添加し、室温で1時間攪拌した。
溶液を濾過し、冷ヘプタン2×150mlで洗浄し、真空オーブン中45℃で一晩乾燥する。オフホワイト固体34gが得られた。
【0066】
HPLC純度:99.85%;
S−O不純物:0.08%;
スチレン不純物:0%;
他の不純物:0.06%
【0067】
H−NMR(200MHz、CDCl)、δ(ppm)=0.15−0.52(m、4H);1.49−1.59(s、6H、CH);1.90−2.60(m、6H);2.65(m、1H);3.25(m、1H);3.62(s、活性H);3.92(s、1H);6.96−7.21(m、3H);7.26−7.57(m、10H);7.61−7.96(m、2H)
【0068】
13C−NMR(200MHz、CDCl)、δ(ppm)=12.0、13.1、17.3、31.7、32.2、40.0、44.1、50.1、73.2、119.3、125.5、125.6、127.1、128.1、125.6、128.7、129.0、131.5、135.2、135.5、136.0、136.5、140.4、144.0、145.4、145.6、156.8、180.4
【0069】
IR(ATR、cm−1)=3347、3057、2960、2926、1592、1575、1496、1407、1270、1241、1143、1131、1068、1016、963、938、877、863、836、760、697。
【0070】
MS(酸):M+1:586.2
【0071】
DSC:明確なピークなし。
【0072】
実施例6
モンテルカストナトリウム塩の調製
純粋なモンテルカストのシクロプロピルアミン塩40gとトルエン160mlとを、清浄で且つ乾燥した丸底フラスコに、不活性条件下で入れた。0.5Mクエン酸62mlを得られた懸濁液に滴下し、室温で30分間攪拌した。
層分離し、水層をトルエン100mlで抽出した。有機層を合わせて、食塩水150mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次に、溶液をナトリウムt−五酸化物6gで、室温で1時間処理した。
次に、溶液を、冷ヘプタン500mlに5分間かけて添加し、1時間攪拌する。得られた懸濁液を濾過し、冷ヘプタン2×150mlで洗浄し、真空オーブン中45℃で一晩乾燥する。オフホワイト固体35gが得られた。
【0073】
HPLC純度:99.33%;
S−O不純物:0.57%;
スチレン不純物:0%;
他の不純物:0.09%
【0074】
H−NMR(200MHz、CDCl)、δ(ppm)=0.15−0.52(m、4H);1.49−1.59(s、6H、CH);1.90−2.60(m、6H);2.65(m、1H);3.25(m、1H);3.62(s、活性H);3.92(s、1H);6.96−7.21(m、3H);7.26−7.57(m、10H);7.61−7.96(m、2H)
【0075】
13C−NMR(200MHz、CDCl)、δ(ppm)=12.0、13.1、17.3、31.7、32.2、40.0、44.1、50.1、73.2、119.3、125.5、125.6、127.1、128.1、125.6、128.7、129.0、131.5、135.2、135.5、136.0、136.5、140.4、144.0、145.4、145.6、156.8、180.4
【0076】
IR(ATR、cm−1)=3347、3057、2960、2926、1592、1575、1496、1407、1270、1241、1143、1131、1068、1016、963、938、877、863、836、760、697。
【0077】
MS(酸):M+1:586.2
【0078】
DSC:明確なピークなし。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶形態であるモンテルカストのシクロプロピルアミン塩。
【請求項2】
実質的に図1に示されるX線回折パターンを有し、表1の角度2Θでの相対強度I/Iが20%超であるピークを示す結晶形態IIである、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
実質的に図2に示される赤外線スペクトルを有する、請求項2に記載の塩。
【請求項4】
実質的に図3に示される示差走査熱量測定図を示す、請求項2または3に記載の塩。
【請求項5】
実質的に図4に示される示差走査熱量測定図を示す結晶形態Iである、請求項1に記載の塩。
【請求項6】
a)有機溶媒中で、モンテルカスト遊離酸をシクロプロピルアミンで処理し、
b)結晶形態のモンテルカストシクロプロピルアミン塩を単離すること、
を含んでなる、請求項1に記載のモンテルカスト塩の調製方法。
【請求項7】
7−クロロ−2−ビニル−キノリンと、以下で定義する式(II)の化合物とを、パラジウム系触媒の存在下で反応させてモンテルカスト遊離酸を調製する前工程をさらに含んでなる、請求項6に記載の方法:


(式中、Xはハロゲン原子または式−OSOR(式中、RはCF、トリル、メチルおよびFからなる群より選択されるものである)で表わされる基である)。
【請求項8】
前記有機溶媒が、トルエン、THF、メチルエチルケトン、酢酸イソプロピル、酢酸エチルおよびそれらの混合物から選択されるものである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記有機溶媒が、酢酸イソプロピルまたは酢酸エチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
モンテルカストシクロプロピルアミン塩を精製することをさらに含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の前記モンテルカストのシクロプロピルアミン塩の、モンテルカストナトリウムの調製のための使用。
【請求項12】
モンテルカストナトリウムが、非晶質形態で得られるものである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
a)請求項1に記載の前記モンテルカストのシクロプロピルアミン塩を有機溶媒に懸濁し、
b)得られた生成物をナトリウムイオン源で処理し、そして
c)モンテルカストナトリウムを単離すること
を含んでなる、モンテルカストナトリウムの調製方法。
【請求項14】
前記モンテルカストのシクロプロピルアミン塩が、請求項6〜10のいずれかに規定されるように調製されたものである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記有機溶媒が、トルエン、ヘプタン、酢酸エチル、THFおよびそれらの混合物から選択されるものである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ナトリウムイオン源が、NaOHまたはナトリウムt−五酸化物である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記モンテルカストナトリウムが、非晶質形態で単離される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
a)請求項1に記載の前記モンテルカストのシクロプロピルアミン塩を、有機溶媒に懸濁することと、
b)得られた懸濁液を有機酸で処理し、
c)得られた生成物をナトリウムイオン源で処理し、
d)得られた溶液を第二有機溶媒に添加し、そして
e)モンテルカストナトリウムを単離すること
を含んでなる、モンテルカストナトリウムの調製方法。
【請求項19】
前記モンテルカストのシクロプロピルアミン塩が、請求項6〜10のいずれかに記載のように調製されたものである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記有機酸が、クエン酸、酢酸、シュウ酸および酒石酸から選択されるもの、好ましくはクエン酸である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
工程a)における前記有機溶媒がトルエンであり、工程d)の前記有機溶媒がヘプタンである、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記ナトリウムイオン源が、NaOHまたはナトリウムt−五酸化物である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記モンテルカストナトリウムが非晶質形態で単離される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
治療に有効な量の請求項1〜5のいずれかに記載の前記モンテルカストのシクロプロピルアミン塩を、適量の薬学的に許容される賦形剤または担体とともに含んでなる、医薬組成物。
【請求項25】
請求項1〜5のいずれかに記載の前記モンテルカストのシクロプロピルアミン塩の、薬剤の製造のための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−506367(P2012−506367A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530454(P2010−530454)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064345
【国際公開番号】WO2009/053424
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(506044775)インケ、ソシエダ、アノニマ (8)
【氏名又は名称原語表記】INKE,S.A.
【Fターム(参考)】