説明

結晶質クロム堆積物

2.8895±0.0025Åの格子定数を有する結晶質クロム堆積物、および該結晶質クロム堆積物を含む物品。結晶質クロム堆積物を含む物品は、該結晶質クロム堆積物が{111}の優先方位を有する。基材上に結晶質クロム堆積物を電析させるための方法は、3価クロムおよび2価硫黄源を含み、そして実質的に6価クロムを含まない電気めっき浴を提供する工程;基材を該電気めっき浴に浸漬する工程;および該基材上に結晶質クロム堆積物を析出させるために電流を付与する工程を包含し、該クロム堆積物は、析出したときに結晶質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、3価クロム浴から析出される電析された結晶質クロム、このようなクロム堆積物を電析させるための方法、およびこのようなクロム堆積物が適用された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
クロム電気めっきは、20世紀初期または19世紀後半に始まり、対摩耗性および耐腐食性の両方に関して、コーティング表面に優れた機能を付与する。しかし、これまで、機能的なコーティングとしてのこの優れたコーティングは(装飾的なコーティングとは対照的に)、6価クロム電気めっき浴からのみ得られていた。6価クロム浴から電析されたクロムは、結晶質形態で析出され、これは非常に望ましい。クロムめっきの非晶質形態は有用ではない。現在の技術に用いられる化学は、6価クロムイオンに基づき、これは発ガン性および毒性が考えられている。6価クロムめっき操作は、厳格な厳しい環境制限を受ける。産業界は、6価クロムの危険を減少するための多くの作業方法を開発してきたが、産業界および学界の両方とも、長年、適切な代替法を探索している。
【0003】
クロムめっきの重要性および優位性を考慮すると、クロムめっきのための最も明らかな代替クロム源は、3価クロムである。3価クロム塩は、健康および環境に対して6価クロム化合物よりも非常に危険性が少ない。多くの異なる3価クロムの電気めっき浴が、長年試されそして試験されてきた。しかし、このような3価クロム浴はいずれも、6価クロム電析方法から得られるものと比較して、確実な一定のクロム堆積物の製造に成功していない。
【0004】
6価クロムは非常に毒性であり、そして3価クロムには適用されない取締管理を受ける。6価クロム曝露についての最近のOSHA規則は、29 CFR Parts 1910、1915など、Occupational Exposure to Hexavalent Chromium; Final Ruleで公開された。この規則では、置換が「理想的な(工学の)規制措置」および「有毒物質をより少ない危険性の代替物への取替が、常に考慮されるべきである」として記載されている(Federal Register/71巻、39号/2006年2月28日、火曜日/Rules and Regulations pp. 10345)。したがって、6価クロムを別の形態のクロムに取り替えるために、政府ベースの強い命令が出されている。しかし、本発明まで、3価または他の非6価クロム電気めっき浴から、確実な一定の結晶質クロム堆積物を電析することに成功した方法はない。
【0005】
一般的に、先行技術では、全ての3価クロム電析方法は、非晶質クロム堆積物を形成する。約350から370℃までで非晶質クロム堆積物を焼きなまし、そしてそれによって結晶質クロム堆積物を作り出すことは可能であるが、焼きなますことにより、巨視亀裂が形成するが、それは望ましくなく、クロム堆積物を本質的に役に立たない状態にする。巨視亀裂は、クロム層の厚み全体を通して基材に至るまで広がる亀裂として定義される。巨視亀裂が基材に達し、そのため周囲の物質の基材への接近を提供するので、クロム堆積物は、その耐腐食性の機能を付与し得ない。巨視亀裂は、結晶化の過程で生じると考えられる。なぜなら、所望の体心立方結晶質形態は、析出したとき非晶質クロム堆積物が有するよりも小さい体積を有し、そして得られる応力はクロム堆積物に亀裂を生じさせ、巨視亀裂を形成する。対照的に、6価電析方法からの結晶質クロム堆積物は、一般的に、より小さく、そして堆積物の表面から基材への距離の一部のみに広がり、そしてクロム堆積物の厚み全体を通して広がらない巨視亀裂を含む。6価クロム電解液由来の亀裂のないクロム堆積物が得られ得る場合がいくつかある。6価クロム電解液由来のクロム中の巨視亀裂の頻度は、存在する場合、1センチメートルあたり約40以上の亀裂の程度であり、一方、結晶質クロムを形成するために焼きなましされた3価クロム電解液由来の非晶質堆積物中の巨視亀裂の数は、存在する場合、約1桁少ない。非常に低い頻度であっても、巨視亀裂は、3価クロム由来の結晶質堆積物を機能的な使用を許容できなくする。機能的なクロム堆積物は、耐摩耗性および耐腐食性の両方を与える必要があり、そして巨視亀裂の存在が物品を腐食に供し、したがってこのようなクロム堆積物は、許容できない。
【0006】
3価クロム電析方法は、装飾的なクロム堆積物を上手く析出し得る。しかし、装飾的なクロムは機能的なクロムではなく、そして機能的なクロムの利益を付与し得ない。
【0007】
装飾的なクロム堆積物を機能的な堆積物に適用し適合させることは簡単なように見えるが、これは行われていない。むしろ、何年間も、この問題を解決し、そして結晶質クロム堆積物を形成し得る3価クロム電析方法という目標の到達に向けられた多くの努力を回避し続けている。
【0008】
3価クロム電析方法を求める別の理由は、3価クロムに基づく方法が、理論的に6価に基づく方法の約半分の電気エネルギーを必要とすることである。ファラデーの法則を用い、そしてクロムの密度を7.14g/cmと想定すると、50A/dmで付与される電流密度での25%陰極効率の方法のめっき速度は、6価クロムめっき方法については56.6ミクロン/dm/時である。類似の陰極効率および電流密度を用いると、3価状態由来のクロムの堆積物は、同じ時間で2倍の厚みを有し得る。
【0009】
これら全ての理由のために、析出したときに結晶質の機能的なクロム堆積物、電析浴、ならびにこのようなクロム堆積物およびこのようなクロム堆積物でなる物品を形成し得る方法であって、クロム堆積物は巨視亀裂がなく、そして6価クロム電析方法から得られる機能的な硬いクロム堆積物と比較して、機能的な耐摩耗性および耐腐食性を付与し得る方法の必要性が長年残ったままである。実質的に6価クロムを含まない浴由来の結晶質の機能的なクロム堆積物を提供し得る浴および方法のための緊急の必要性は、これまで満たされていなかった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、クロム堆積物を提供し、析出したときに結晶質であり、そして3価クロム溶液から析出される。
【0011】
本発明は、おそらく装飾的なクロム堆積物の形態のために有用であるが、主として、機能的なクロム堆積物に関し、そして特に、従来6価クロム電析方法を介してのみ入手可能であった機能的な結晶質クロム堆積物に関する。
【0012】
本発明は、実質的に6価クロムを含まない3価クロム浴由来の結晶質の機能的なクロム堆積物を提供するという問題の解決を提供する。それにもかかわらず、6価クロム電析から得られる堆積物と実質的に同等の機能的な特性を有する製品を提供し得る。本発明は、6価クロムめっき浴を代えるという問題の解決を提供する。
【0013】
以下に記載される方法の工程および構成が、本発明の機能的な結晶質クロム堆積物を含む部品の製造のための完全なプロセスフローを形成しないことを理解すべきである。本発明は、当該分野に用いられる現在の製造技術に関連して実施され得、そして本発明の理解のために必要な場合、非常に多くの一般的に実施される方法の工程が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書で用いられる場合、装飾的なクロム堆積物は、1ミクロン未満の厚さのクロム堆積物であり、そしてしばしば0.8ミクロン未満の厚さであり、代表的には、電析されたニッケルまたはニッケル合金コーティング上に、または組み合わせた厚さが3ミクロンを超える一連の銅およびニッケルまたはニッケル合金コーティング上に付与される。
【0015】
本明細書で用いられる場合、機能的なクロム堆積物は、ストリップスチールECCS(Electrolytically Chromium Coated Steel)のような基材に(しばしば直接的に)付与されるクロム堆積物であり、クロムの厚さは、一般的に0.8または1ミクロンよりも厚く、そして装飾的ではなく工業適用に用いられる。機能的なクロム堆積物は、一般的に、基材に直接付与される。工業用コーティングは、硬さ、耐熱性、耐摩耗性、耐腐食性、および耐侵食性、ならびに低摩擦係数を含むクロムの特性を利用する。たとえ、何も性能を処理しなくても、多くの使用者は、機能的なクロム堆積物が外見は装飾的であることを望んでいる。機能的なクロム堆積物の厚さは、上述の0.8または1ミクロンから3ミクロンまたはそれ以上の範囲であり得る。いくつかの場合、機能的なクロム堆積物は、基材にニッケルまたは鉄めっきのような「ストライクプレート」上に、あるいはニッケル、鉄、または合金コーティングが、3ミクロンよりも厚い厚さを有し、そして一般的にクロムの厚さが3ミクロンを超える「2重」システム上に付与される。機能的なクロムめっきおよび堆積物は、しばしば「硬い」クロムめっきおよび堆積物といわれる。
【0016】
装飾的なクロムめっき浴は、幅広いめっき範囲を覆う薄いクロム堆積物に関し、そのため不定形状の物品が完全に覆われる。他方、機能的なクロムめっきは、規則的な形状の物品上のより厚い堆積物について設計され、より高い電流効率およびより高い電流密度でのめっきが重要である。3価クロムイオンを用いるこれまでのクロムめっき方法は、一般的に「装飾的な」仕上げのみの形成に適切であった。本発明は、「硬い」または機能的なクロム堆積物を提供するが、これに限定されず、そして装飾的なクロム仕上げのために用いられ得る。「硬い」または「機能的な」および「装飾的な」クロム堆積物は、当該分野の公知の用語である。
【0017】
本明細書で用いられる場合、例えば、電気めっき浴または他の組成物に関して用いられる場合、「6価クロムを実質的に含まない」とは、記載されているような電気めっき浴または他の組成物が、任意に故意に添加された6価クロムを含まないことを意味する。理解されるように、このような浴または他の組成物は、浴または組成物に添加される物質中の不純物として、または浴または組成物で行われる電解方法または化学方法の副生成物として存在する微量の6価クロムを含み得る。
【0018】
本明細書で用いられる場合、用語「優先方位」は、結晶学の当業者によって理解され得る意味を有する。したがって、「優先方位」は、多結晶集合体の状態であり、そこでは結晶方位はランダムでなく、むしろ嵩高い物質中で特定の方向に配列する傾向を示す。したがって、優先方位は、例えば、{100}、{110}、{111}、および例えば(222)のようなその統合した複合であり得る。
【0019】
本発明は、3価クロム浴由来の確実な一定の体心立方(BCC)結晶質クロム堆積物を提供し、この浴は6価クロムを実質的に含まず、そしてクロム堆積物を結晶化するためのさらなる処理を必要とせずに、このクロム堆積物は、析出したときに結晶質である。したがって、本発明は、6価クロムを実質的に含まない電気めっき浴および方法に由来する確実な一定の結晶質クロム堆積物を得るという長年の以前からの未解決問題の解決を提供する。
【0020】
1つの実施態様では、本発明の結晶質クロム堆積物は、標準の試験方法を用いて、巨視亀裂を実質的に含まない。すなわち、この実施態様では、標準の試験方法の下で、堆積したクロムのサンプルが試験されると、巨視亀裂は実質的に観察されない。
【0021】
1つの実施態様では、本発明による結晶質クロム堆積物は、2.8895±0.0025オングストローム(Å)の立方格子定数を有する。用語「格子定数(lattice parameter)」はまた、時には「格子定数(lattice constant)」として用いられることに留意のこと。本発明の目的のために、これらの用語は、同意語と考えられる。体心立方結晶質クロムについて、単位格子が立方体なので、単一の格子定数があることに留意のこと。この格子定数は、より正確には立方格子定数というが、本明細書では、単に「格子定数」という。1つの実施態様では、本発明による結晶質クロム堆積物は、2.8895ű0.0020Åの格子定数を有する。別の実施態様では、本発明による結晶質クロム堆積物は、2.8895ű0.0015Åの格子定数を有する。さらに別の実施態様では、本発明による結晶質クロム堆積物は、2.8895ű0.0010Åの格子定数を有する。いくつかの特定の実施例は、本明細書で、これらの範囲内の格子定数を有する結晶質クロム堆積物を提供する。
【0022】
高温冶金での基本的な結晶質クロムは、2.8839Åの格子定数を有する。
【0023】
6価クロム浴から電析された結晶質クロムは、約2.8809Åから約2.8858Åまでの範囲の格子定数を有する。
【0024】
焼きなましされ、電析されて析出したときに非晶質の3価のクロムは、約2.8818Åから約2.8852Åまでの範囲の格子定数を有するが、巨視亀裂もまた有する。
【0025】
したがって、本発明によるクロム堆積物の格子定数は、結晶質クロムの他の公知の形態の格子定数よりも大きい。理論によって束縛されないが、この相違は、本発明により得られる結晶質クロム堆積物の結晶格子中の硫黄、窒素、炭素、酸素、および/または水素のようなヘテロ原子の導入によるものであり得ると考えられる。
【0026】
1つの実施態様では、本発明による結晶質クロム堆積物は、{111}の優先方位を有する。
【0027】
1つの実施態様では、結晶質クロム堆積物は、巨視亀裂を実質的に含まない。1つの実施態様では、結晶質クロム堆積物は、約300℃までの温度に加熱されても巨視亀裂を形成しない。1つの実施態様では、結晶質クロム堆積物は、約300℃までの温度に加熱されても、その結晶構造を変化しない。
【0028】
1つの実施態様では、結晶質クロム堆積物は、このクロム堆積物中に炭素、窒素、および硫黄をさらに含む。
【0029】
1つの実施態様では、結晶質クロム堆積物は、約1.0質量%から約10質量%までの硫黄を含む。別の実施態様では、クロム堆積物は、約1.5質量%から約6質量%までの硫黄を含む。別の実施態様では、クロム堆積物は、約1.7質量%から約4質量%までの硫黄を含む。硫黄は、堆積物中に元素の硫黄として存在し、そして結晶格子の一部であり得、すなわち、結晶格子中で置換してクロム原子の位置をとるか、あるいは、四面体または八面体の孔位置を占め、そして格子を歪める。1つの実施態様では、硫黄源は、2価硫黄化合物であり得る。より詳細には、典型的な硫黄源を、以下に提供する。1つの実施態様では、硫黄に代えてまたは加えて、堆積物はセレンおよび/またはテルルを含む。
【0030】
6価クロム浴から堆積した結晶質クロムのいくつかの形態は、硫黄を含むが、このようなクロム堆積物の硫黄含量は、本発明による結晶質クロム堆積物の硫黄量よりも実質的に少ないことに留意のこと。
【0031】
1つの実施態様では、結晶質クロム堆積物は、約0.1質量%から約5質量%までの窒素を含む。別の実施態様では、結晶質クロム堆積物は、約0.5質量%から約3質量%までの窒素を含む。別の実施態様では、結晶質クロム堆積物は、約0.4質量パーセントの窒素を含む。
【0032】
1つの実施態様では、結晶質クロム堆積物は、約0.1質量%から約5質量%までの炭素を含む。別の実施態様では、結晶質クロム堆積物は、約0.5質量%から約3質量%までの炭素を含む。別の実施態様では、結晶質クロム堆積物は、約1.4質量%の炭素を含む。1つの実施態様では、結晶質クロム堆積物は、クロム堆積物を非晶質にする量よりも少ない量の炭素を含む。すなわち、あるレベル以上であり、1つの実施態様では、約10質量%以上で、炭素はクロム堆積物を非晶質にし、したがって、本発明の範囲外になる。したがって、炭素含量は、そのためクロム堆積物を非晶質にしないように制御されるべきである。炭素は、元素の炭素または化合炭素として存在し得る。炭素が元素として存在する場合、黒鉛または非晶質としてのいずれかで存在し得る。
【0033】
1つの実施態様では、結晶質クロム堆積物は、約1.7質量%から約4質量%までの硫黄、約0.1質量%から約5質量%までの窒素、および約0.1質量%から約10質量%までの炭素を含む。
【0034】
本発明の結晶質クロム堆積物は、3価クロム電気めっき浴から電析される。3価クロム浴は、6価クロムを実質的に含まない。1つの実施態様では、浴は、検出し得る量の6価クロムを含まない。3価クロムは、塩化クロムCrCl、フッ化クロムCrF、硝酸クロムCr(NO、酸化クロムCr、リン酸クロムCrPOとして、またはクロムヒドロキシ二塩化物溶液、クロム塩化物溶液、またはクロム硫酸塩溶液のような市販されている溶液(例えば、McGean Chemical CompanyまたはSentury Reagents製)中で供給される。3価クロムはまた、クロム硫酸塩/ナトリウムまたはカリウム硫酸塩(例えば、Cr(OH)SO・NaSO)として入手可能であり、これらはしばしばchrometansまたはkromsansといわれ、しばしば皮のなめしとして用いられる化学物質であり、そしてElementis、Lancashire Chemical、およびSoda Sanayiiのような会社から入手可能である。以下に記載するように、3価クロムはまた、ギ酸クロムCr(HCOO)としてSentury Reagentsから提供され得る。
【0035】
3価クロムの濃度は、約0.1モル濃度()から約5までの範囲であり得る。3価クロムの濃度が高いほど、樹状堆積物を生じることなく付与され得る電流密度が高くなり、したがって達成され得る結晶質クロム堆積物の速度がより速くなる。
【0036】
3価クロム浴は、さらにギ酸またはその塩(例えば、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸カルシウム、ギ酸マグネシウムの1つ以上など)のような有機添加剤を含み得る。他の有機添加剤(グリシンのようなアミノ酸およびチオシアネートを含む)もまた、3価クロム由来の結晶質クロム堆積物を製造するために使用され得、そしてそれらの使用は、本発明の実施態様の範囲内である。ギ酸クロム(III)Cr(HCOO)はまた、3価クロムおよびギ酸塩の両方の源として用いられ得る。
【0037】
3価クロム浴は、さらに窒素源を含み得、これは、水酸化アンモニウムまたはその塩の形態であり得るか、あるいは1級、2級、または3級アルキルアミンであり得、そのアルキル基は、C−Cアルキルである。1つの実施態様では、窒素源は、4級アンモニウム化合物以外である。アミンに加えて、アミノ酸、クアドロール(quadrol)および多価アルカノールアミンのようなヒドロキシアミンは、窒素源として使用され得る。このような窒素源の1つの実施態様では、添加剤はC−Cアルキル基を含む。1つの実施態様では、窒素源は、塩(例えば、ヒドロハライド塩のようなアミン塩)として添加され得る。
【0038】
上記のように、結晶質クロム堆積物は炭素を含み得る。炭素源は、例えば、浴中に含まれるギ酸またはギ酸塩のような有機化合物であり得る。同様に、結晶質クロムは、酸素および水素を含み得、これらは、水の電気分解を含む浴の他の成分から得られ得るか、またはギ酸またはその塩由来であり得るか、または他の浴の成分由来であり得る。
【0039】
結晶質クロム堆積物中のクロム原子に加えて、他の金属は共析出され得る。当業者に理解されるように、このような金属は、所望の3価クロム電気めっき浴に適切に添加され得、堆積物中にクロムの種々の結晶質合金を得る。このような金属としては、Re、Cu、Fe、W、Ni、Mnが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されず、そしてまた、例えばP(リン)が挙げられ得る。実際、水溶液から電析し得る全ての元素は、直接的にかまたは誘導により、PourbaixまたはBrennerに記載されるように、この方法で合金にされ得る。1つの実施態様では、合金はアルミニウム以外である。当該分野で公知のように、水溶液から電析し得る金属としては、Ag、As、Au、Bi、Cd、Co、Cr、Cu、Ga、Ge、Fe、In、Mn、Mo、Ni、P、Pb、Pd、Pt、Rh、Re、Ru、S、Sb、Se、Sn、Te、Tl、W、およびZnが挙げられ、そして誘導し得る元素としては、B、C、およびNが挙げられる。当業者に理解されるように、共析出金属または原子は、堆積物中のクロムの量よりも少ない量で存在し、そしてそれによって得られる堆積物は、このような共析出された金属または原子の不在下で得られる本発明の結晶質クロム堆積物のように、体心立方結晶質であるべきである。
【0040】
3価クロム浴は、さらに少なくとも4.0のpHを含み、そしてpHは、少なくとも約6.5までの範囲であり得る。1つの実施態様では、3価クロム浴のpHは、約4.5から約6.5までの範囲であり、そして別の実施態様では、3価クロム浴のpHは、約4.5から約6までの範囲であり、そして別の実施態様では、3価クロム浴のpHは、約5から約6までの範囲であり、そして1つの実施態様では、3価クロム浴のpHは、約5.5である。
【0041】
1つの実施態様では、本発明の結晶質クロム堆積物を電析させる方法の間、3価クロム浴は、約35℃から約115℃までの範囲の温度または溶液の沸点のいずれか低い方で維持される。1つの実施態様では、浴の温度は、結晶質クロム堆積物を電析させる方法の間、約45℃から約75℃までの範囲であり、そして別の実施態様では、浴の温度は、約50℃から約65℃までの範囲であり、そして1つの実施態様では、浴の温度は約55℃に維持される。
【0042】
本発明の結晶質クロム堆積物を電析させる方法の間、電流は、少なくとも約10アンペア毎平方デシメートル(A/dm)の電流密度で付与される。別の実施態様では、電流密度は、本発明による3価クロム浴由来の結晶質クロム堆積物の電析の間、約10A/dmから約200A/dmまでの範囲であり、そして別の実施態様では、電流密度は、約10A/dmから約100A/dmまでの範囲であり、そして別の実施態様では、電流密度は、約20A/dmから約70A/dmまでの範囲であり、そして別の実施態様では、電流密度は、約30A/dmから約60A/dmまでの範囲である。
【0043】
本発明の結晶質クロム堆積物を電析させる方法の間、電流は、直流、パルス波形、または周期的パルスの逆波形の任意の1つまたは任意の2以上の組み合わせを用いて付与され得る。
【0044】
したがって、1つの実施態様では、本発明は、基材上に結晶質クロム堆積物を電析させるための方法を提供し、該方法は、
3価クロム、ギ酸またはその塩、および少なくとも1つの2価硫黄源を含み、そして6価クロムを実質的に含まない電気めっき水溶液浴を提供する工程;
基材を該電気めっき浴に浸漬する工程;および
該基材上に結晶質クロム堆積物を析出させるために電流を付与する工程を包含し、該クロム堆積物は、析出したときに結晶質である。
【0045】
1つの実施態様では、この方法から得られる結晶質クロム堆積物は、2.8895±0.0025Åの格子定数を有する。1つの実施態様では、この方法から得られる結晶質クロム堆積物は、優先方位(「PO」)を有する。
【0046】
別の実施態様では、本発明は、基材上に結晶質クロム堆積物を電析させるための方法を提供し、該方法は、
3価クロム、ギ酸を含み、そして6価クロムを実質的に含まない電気めっき浴を提供する工程;
基材を該電気めっき浴に浸漬する工程;および
該基材上に結晶質クロム堆積物を析出させるために電流を付与する工程を包含し、クロム堆積物は析出したときに結晶質であり、そして結晶質クロム堆積物は、2.8895±0.0025Åの格子定数を有する。1つの実施態様では、これから得られる結晶質クロム堆積物は、{111}の優先方位を有する。
【0047】
これらの本発明による方法は、本明細書に記載される条件下およびクロムの電析のための標準的な技法に従って行われ得る。
【0048】
上記のように、2価硫黄源は、好ましくは3価クロム電析浴に提供される。幅広い種々の2価硫黄含有化合物が本発明に従って使用され得る。
【0049】
1つの実施態様では、2価硫黄源は、一般式(I)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含み得る:
−R−(S)−R−X (I)
【0050】
(I)において、XおよびXは、同一であるかまたは異なり得、そしてXおよびXはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル(本明細書で使用する場合、「カルボキシル」は、カルボキシル基の全ての形態、例えば、カルボン酸、カルボン酸アルキルエステル、およびカルボン酸塩を含む)、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、アルキル基およびアルコキシ基はC−Cであるか、またはXおよびXは一緒になって、RからRまでの結合を形成し得、したがって、RおよびR基を含む環を形成し、
およびRは、同一であるかまたは異なり得、そしてRおよびRはそれぞれ独立して、単結合、アルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、シクロヘキシル、芳香環および複素芳香環、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ポリエトキシ化アルキル、およびポリプロポキシ化アルキルを含み、アルキル基はC−Cであり、そして
nは、1から約5までの範囲の平均値を有する。
【0051】
1つの実施態様では、2価硫黄源は、一般式(IIa)および/または(IIb)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含み得る:
【0052】
【化1】

【0053】
(IIa)および(IIb)において、R、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり得、そして独立して、水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、アルキル基およびアルコキシ基はC−Cであり、
Xは、炭素、窒素、酸素、硫黄、セレン、またはテルルを表し、そしてmは0から約3までの範囲であり、
nは、1から約5までの範囲の平均値を有し、そして
(IIa)または(IIb)のそれぞれは、少なくとも1つの2価硫黄原子を含む。
【0054】
1つの実施態様では、2価硫黄源は、一般式(IIIa)および/または(IIIb)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含み得る:
【0055】
【化2】

【0056】
(IIIa)および(IIIb)において、R、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり得、そして独立して、水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、アルキル基およびアルコキシ基はC−Cであり、
Xは、炭素、窒素、硫黄、セレン、またはテルルを表し、そしてmは0から約3までの範囲であり、
nは、1から約5までの範囲の平均値を有し、そして
(IIIa)または(IIIb)のそれぞれは、少なくとも1つの2価硫黄原子を含む。
【0057】
1つの実施態様では、上記の任意の硫黄含有化合物において、硫黄は、セレンまたはテルルに置換され得る。代表的なセレン化合物としては、セレノ−DL−メチオニン、セレノ−DL−シスチン、他のセレニドR−Se−R’、ジセレニドR−Se−Se−R’、およびセレノールR−Se−Hが挙げられ、RおよびR’は、独立して、1から約20までの炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり得、硫黄について上記で開示されているものと類似する酸素または窒素のような他のヘテロ原子を含み得る。代表的なテルル化合物としては、エトキシおよびメトキシテルル化物、Te(OCおよびTe(OCHが挙げられる。
【0058】
理解されるように、使用される置換基は、好ましくは、得られる化合物が、本発明の電気めっき浴中に溶解したままであるように選択される。
【実施例】
【0059】
比較例:6価クロム
表1に、機能的なクロム堆積物を製造する電解質を含む種々の6価クロム酸水溶液の比較例を列挙し、堆積物の結晶学的特性を表にし、そしてC、O、H、N、およびS分析に基づく元素組成を報告する。
【0060】
【表1】

【0061】
表2に、Ecochromeプロジェクトにより最もよく利用できる技術と思われる3価クロム方法の溶液の比較例を表にする。Ecochromeプロジェクトは、3価クロムに基づく効率的かつ高性能な硬いクロム代替品を見出すための長年の欧州連合主催のプログラム(G1RD CT-2002-00718)であった(Hard Chromium Alternatives Team (HCAT) Meeting, San Diego, CA, 2006年1月24日〜26日を参照のこと)。3つの方法は、スペインを本拠とするコンソーシアムのCidetec;フランスを本拠とするコンソーシアムのENSME;および日本を本拠とするコンソーシアムのMusashi由来である。この表では、化学式を特に挙げていないが、物質は、これらのデータが得られた発表の専用物であると考えられ、利用できない。
【0062】
【表2】

【0063】
表2の比較例では、EC3の例は塩化アルミニウムを含む。塩化アルミニウムを含む他の3価クロム溶液が記載されている。Suveghら(Journal of Electroanalytical Chemistry 455 (1998) 69-73)は、0.8の[Cr(HO)Cl]Cl・2HO、0.5のNHCl、0.5のNaCl、0.15のHBO、1のグリシン、および0.45のAlClを含む電解質を用い、pHは記載されていない。Hongら(Plating and Surface Finishing, 2001年3月)は、カルボン酸、クロム塩、ホウ酸、塩化カリウム、およびアルミニウム塩の混合物を含むpH1〜3の電解質を記載する。Ishidaら(Journal of the Hard Chromium Platers Association of Japan 17、No.2, 2002年10月31日)は、1.126の[Cr(HO)Cl]Cl・2HO、0.67のグリシン、2.43のNHCl、および0.48のHBOを含む溶液を記載し、0.11から0.41までの種々の量のAlCl・6HOが加えられており;pHは記載されていない。もちろん、これら4つの参考文献は、3価クロム浴に塩化アルミニウムを含むことを開示し、Ishidaらのみが、クロム堆積物は結晶質であると主張し、結晶質堆積物がAlClの濃度の増加に伴うと述べている。しかし、実験を再現し結晶質堆積物を製造するという本発明者による繰り返しの試みは、失敗した。重要な実験変数がIshidaらに記載されていないためと思われる。したがって、Ishidaらは、確実な一定の結晶質クロム堆積物を作製する方法を教示していないと考えられる。
【0064】
表3には、種々の3価クロム含有電解質水溶液(「T」)および1つの3価クロム含有電解質イオン液体(「IL」)(これら全ては、1ミクロンの厚さを超えるクロム堆積物を製造し得る)を挙げ、そして堆積物の結晶学特性を表にした。
【0065】
【表3】

【0066】
表4では、表1、2、および3由来の種々の堆積物を、析出されると機能的なクロム電気析出物の評価のために頻繁に用いられる標準的な試験方法を用いて比較する。この表から、非晶質堆積物およびBCC(体心立方)ではない堆積物が、必要な初期試験の全てを合格しないことが観察され得る。
【0067】
【表4】

【0068】
6価クロム電析浴の代替のための工業上の要求によれば、3価クロム電析浴由来の堆積物は、機能的なクロム堆積物として効果的かつ有用な結晶質でなければならない。特定の添加剤が、電析方法のプロセス変数の調整と共に用いられ、6価クロムを実質的に含まない3価クロム浴から所望の結晶質クロム堆積物が得られ得ることを見出した。代表的なプロセス変数としては、電流密度、溶液温度、溶液撹拌、添加剤の濃度、付与される電流波形の操作、および溶液pHが挙げられる。種々の試験を用いて、特定の添加剤の有効性を正確に評価し得、例えば、X線回折(XRD)(クロム堆積物の構造を調べるため)、X線光電子分光法(XPS)(クロム堆積物の成分の決定のため、約0.2〜0.5質量%より大きい)、弾性反跳決定法(ERD)(水素含量の決定のため)、および電子顕微鏡法(亀裂のような物理的または形態学的な特性の決定のため)が挙げられる。
【0069】
先行技術では、3価クロム浴由来のクロム堆積物は、約2.5未満のpH値で生じなければならないと一般的に広く考えられてきた。しかし、より高いpHが用いられてきた筆めっき方法を含む、孤立した3価クロムめっき方法があるが、これらの筆めっき溶液に用いられるより高いpHは、結晶質クロム堆積物を生じない。したがって、種々の添加剤の有効性を評価するために、安定な高いpH電解質を、一般的に許容される低いpH電解質と同様に試験した。
【0070】
【表5】

【0071】
表5に示すデータから、構造中に2価硫黄を有する化合物が、クロムがほぼ上記の濃度で3価クロム溶液から電析され、そして浴のpHが約4よりも大きい場合に、結晶化を誘導することは明らかであり、クロム結晶は、本発明によれば2.8895±0.0025Åの格子定数を有する。1つの実施態様では、他の2価硫黄化合物は、本明細書に記載される浴中で用いて、本発明の格子定数を有する結晶質クロムを電析させ得る。1つの実施態様では、硫黄、セレン、またはテルルを有する化合物もまた、本明細書に記載されるように用いられる場合、クロムの結晶化を誘導する。1つの実施態様では、セレンおよびテルル化合物は、上で同定した硫黄化合物に対応し、そして硫黄化合物と同様に、2.8895±0.0025Åの格子定数を有する結晶質クロムの電析を生じる。
【0072】
結晶化の誘導をさらに説明するために、pH5.5および50℃の温度にて、40A/dmの同一の陰極電流密度および真鍮基材を用いて30分のめっき時間で、電解質T3を用いる結晶化を誘導する添加剤の研究を、表6に報告する。めっきが完了した後、金属片を、X線回折、厚さ決定のためにX線励起X線蛍光、硫黄含量を測定するためにエネルギー分散分光光度計を備えた電子励起X線蛍光を用いて試験する。表6にデータを要約する。データは、結晶化を誘導する閾値濃度を超える濃度で溶液中に2価硫黄化合物が存在するだけではなく、同様に堆積物中に硫黄が存在することを示唆し得る。
【0073】
【表6】

【0074】
以下の表7は、本発明による3価クロムの電気めっき浴に関するさらなるデータを提供する。
【0075】
【表7】

【0076】
上記の例は、直流で、そして複雑な陰極波形(例えば、パルスまたは周期的逆パルスめっき)を用いずに調製されるが、このような付与される電流の変化は、本発明の範囲内である。結晶質である表7中の全ての例は、析出したときに2.8895±0.0025Åの格子定数を有する。
【0077】
本発明の有用性のさらなる例では、パルス堆積を、チオモルホリンを含むおよび含まない方法P1を用いて、パワーブースターインターフェイスおよびKepco bipolar±10Aパワーサプライが装備されたPrinceton Applied Research Model 273Aガルバノスタットで生じる単純なパルス波形を用いて行う。パルス波形は矩形波(50%デューティーサイクル)であり、全体的に40A/dmの電流密度を作出するために十分な電流である。用いられる周波数は、0.5Hz、5Hz、50Hz、および500Hzである。全ての周波数で、チオモルホリンを含まない方法P1由来の堆積物は非晶質であり、一方、チオモルホリンを含む方法P1由来の堆積物は析出したときに結晶質である。
【0078】
本発明の有用性のさらなる例では、パルス堆積を、チオモルホリンを含むおよび含まない方法P1を用いて、パワーブースターインターフェイスおよびKepco bipolar±10Aパワーサプライが装備されたPrinceton Applied Research Model 273Aガルバノスタットで生じる単純なパルス波形を用いて行う。パルス波形は矩形波(50%デューティーサイクル)であり、全体的に40A/dmの電流密度を作出するために十分な電流である。用いられる周波数は、0.5Hz、5Hz、50Hz、および500Hzである。全ての周波数で、チオモルホリンを含まない方法P1由来の堆積物は非晶質であり、一方、チオモルホリンを含む方法P1由来の堆積物は析出したときに結晶質であり、そして2.8895±0.0025Åの格子定数を有する。
【0079】
同様に電解質T5を、38〜55A/dmの逆電流および0.1から2msまでの持続時間を有する周期的逆波形を含む、0.4から200msまでのパルス持続時間および0.1から1msまでの静止持続時間を有する66〜109A/dmの範囲の電流を有する種々のパルス波形を用いて、2g/Lの濃度でチオサリチル酸を含むおよび含まない試験をする。全ての場合、チオサリチル酸を含まない堆積物は非晶質であり、チオサリチル酸を含む堆積物は結晶質であり、そして2.8895±0.0025Åの格子定数を有する。
【0080】
1つの実施態様では、結晶質クロム堆積物は、故意に微粒子を含むことなく均一であり、そして2.8895±0.0025Åの格子定数を有する。例えば、アルミナ、テフロン(登録商標)、炭化ケイ素、炭化タングステン、窒化チタンなどの微粒子を本発明で用いて、このような微粒子を堆積物内に含む結晶質クロム堆積物を形成し得る。本発明でのこのような微粒子の使用は、先行技術の方法から公知である方法と実質的に同様の様式で行われる。
【0081】
上記の例は、白金めっきチタンの陽極を用いる。しかし、本発明は、必ずしもこのような陽極の使用に限定されない。1つの実施態様では、黒鉛陽極が不溶性陽極として用いられ得る。別の実施態様では、可溶性クロムまたはクロム鉄陽極が用いられ得る。
【0082】
1つの実施態様では、陽極は、浴から分離され得る。1つの実施態様では、陽極は布の使用によって分離され得、布は、きつく編まれているかまかたゆるく織られているかのいずれかであり得る。適切な布は、このような使用の技術分野で公知のものが挙げられ、例えば、綿およびポリプロピレンが挙げられ、後者は、Chautauqua Metal Finishing Supply, Ashville, NYから入手可能である。別の実施態様では、陽極は、陰イオンまたは陽イオン膜の使用によって分離され得、例えば、NAFION(登録商標)(デュポン)、ACIPLEX(登録商標)(旭化成)、FLEMION(登録商標)(旭硝子)の商標の下で販売されるパーフルオロスルホン酸膜、またはダウもしくはMembranes International Glen Rock, NJによって供給されるその他のものがある。1つの実施態様では、陽極は、1つのコンパートメントに配置され得、このコンパートメントは、陽イオンまたか陰イオン膜または塩橋のようなイオン交換手段によって、バルク電解質とは異なる酸性、中性、またはアルカリ性の電解質で満たされている。
【0083】
図1は、本発明の実施態様および先行技術の6価クロムにより析出させた結晶質クロムの3次元X線回折パターン(Cu k アルファ)である。これらのX線回折パターンは、下部および中央に、3価クロム浴中にそれぞれ2g/L(下部)および10g/L(中央)の3,3’−ジチオジプロパン酸(DTDP)を含む3価クロム電解質T5から析出された結晶質クロムを含む。これらのそれぞれのサンプルを、同様の析出時間および電流密度で析出させた。一方、上部のサンプルは、6価電解質H4由来の従来のクロム堆積物である(上述の通り)。上部および下部のスキャンに示すように、6価クロムおよび2g/lのDTDPの両方の場合については、真鍮基材ピークの不在は(中央スキャンに対して(*)によって同定される;図9および明細書の関係部分もまた参照のこと)、約20ミクロンより大きな厚い堆積物を示す(クロムを介したCu k アルファ放射線の侵入深さ)。一方、10g/LのDTDPの場合では、真鍮ピークの存在は、過剰のDTDPが陰極効率を減少し得ることを示す。しかし、DTDPの両方の場合では、強くかつ幅広い(222)反射は、強い{111}の優先方位が存在し、そして連続的に回折するクロムの領域が、一般的に粒子サイズに関連すると考えられるが、非常に小さいことを示し、そして6価の方法H4由来のクロムも同様である。
【0084】
図2は、先行技術の3価クロム浴由来の非晶質クロムの代表的なX線回折パターン(Cu k アルファ)である。図2に示すように、クロム堆積物が結晶質であれば観察される構造中の原子の規則的に生じる位置に対応する鋭いピークがない。
【0085】
図3は、硫黄を含まない、先行技術の3価クロム浴由来の非晶質クロム堆積物の焼きなましの進歩的な効果を示す代表的な一連のX線回折パターン(Cu k アルファ)である。図3では、一連のX線回折スキャンを示し、図3において、クロム堆積物が、ますます長い時間焼きなまされるにつれて、より低い部分で始まり、そして上の方に進む。図3に示すように、最初、非晶質クロム堆積物は、図2のX線回折パターンと同様の結果になるが、焼きなましが続くにつれて、クロム堆積物は次第に結晶化し、秩序結晶構造中に規則的に生じる原子に対応する鋭いピークのパターンを生じる。焼きなまされたクロム堆積物の格子定数は2.882から2.885までの範囲であるが、この一連の品質は、正確に測定するには十分ではない。
【0086】
図4は、先行技術の3価クロム浴由来の最初の非晶質クロム堆積物の焼きなましについて巨視亀裂の効果を示す一連の電子顕微鏡写真である。「析出した場合に非晶質クロム」と標識された電子顕微鏡写真では、クロム層は、色むらのある基材上に析出したより明色の層である。「250℃で1時間」と標識された電子顕微鏡写真では、250℃で1時間焼きなましした後、巨視亀裂が形成され、クロム堆積物が結晶化する間、巨視亀裂はクロム堆積物の厚さを通して基材まで広がる。この電子顕微鏡写真および次の電子顕微鏡写真では、クロム堆積物と基材との間の境界面は、巨視亀裂の伝播方向にほぼ垂直に走る薄い線であり、そして「P1」内で小さな黒い四角によってマークされている。「350℃で1時間」と標識された電子顕微鏡写真では、350℃で1時間焼きなましした後、より大きくそしてより明確な巨視亀裂が形成され(「250℃で1時間」のサンプルと比較)、クロム堆積物が結晶化する間、巨視亀裂はクロム堆積物の厚さを通して基材まで広がる。「450℃で1時間」と標識された電子顕微鏡写真では、450℃で1時間焼きなましした後、巨視亀裂が形成され、そしてこれはより低い温度のサンプルよりも大きく、クロム堆積物が結晶化する間、巨視亀裂はクロム堆積物厚さを通して基材まで広がる。「550℃で1時間」と標識された電子顕微鏡写真では、550℃で1時間焼きなましした後、巨視亀裂が形成され、これは、より低い温度のサンプルよりもさらに大きく現れ、クロム堆積物が結晶化する間、巨視亀裂はクロム堆積物厚さを通して基材まで広がる。
【0087】
図5は、本発明による析出したときに結晶質のクロム堆積物の代表的なX線回折パターン(Cu k アルファ)を示す。図5に示すように、本発明によれば、X線回折ピークは鋭く、そして非常に明確であり、クロム堆積物が結晶質であることを示す。
【0088】
図6は、本発明による結晶質クロム堆積物の代表的なX線回折パターン(Cu k アルファ)を示す。図6に示す中間の2つのX線回折パターンは、6価クロム浴から析出される結晶質クロムで観察されるのと類似の{111}優先方位(PO)を示す強い(222)ピークを示す。図6に示す上および下のX線回折パターンは、他の結晶質クロム堆積物で観察される優先方位を示す(200)ピークを示す。
【0089】
図7は、クロム堆積物の一実施態様において、硫黄の濃度がクロム堆積物の結晶化度にどのように関係するかを示すグラフ図である。図7に示すグラフでは、堆積物が結晶質であれば、結晶化度軸は1の値が割り当てられ、一方、堆積物が非晶質であれば、結晶化度軸は0の値が割り当てられられる。したがって、図7に示す実施態様では、クロム堆積物中の硫黄含量が約1.7質量%から約4質量%までの範囲の場合、堆積物は結晶質であり、一方、この範囲の外側では、堆積物は非晶質である。この点で、所定の結晶質クロム堆積物中に存在する硫黄含量が変化し得るということに留意のこと。すなわち、いくつかの実施態様では、結晶質クロム堆積物は、例えば、約1質量%の硫黄を含み得、そして結晶質であり、そして他の実施態様では、この硫黄含量において、堆積物は非晶質であり得る(図7の通り)。他の実施態様では、より高い硫黄含量は(例えば、10質量%まで)、結晶質であるクロム堆積物で見出され得、一方、他の実施態様では、硫黄含量が4質量%よりも多い場合、堆積物は非晶質であり得る。したがって、硫黄含量は重要であるが、制御されず、そして3価由来のクロム堆積物の結晶化度に影響を与える唯一の変数ではない。
【0090】
図8は、本発明の実施態様による結晶質クロム堆積物についてオングストローム(Å)で、6価クロム浴由来の結晶質クロム堆積物および焼きなましされ、析出したときに非晶質のクロム堆積物と、結晶格子定数を比較するグラフ図である。図8に示すように、本発明による結晶質クロム堆積物の格子定数は、高温冶金由来のクロム(「PyroCr」)の格子定数より有意に大きくかつ異なっており、そして6価クロム堆積物(「H1」〜「H6」)の全ての格子定数より有意に大きくかつ異なっており、そして焼きなましされ、析出したときに非晶質のクロム堆積物(「T1(350℃)」、「T1(450℃)」、および「T1(550℃)」)の格子定数より有意に大きくかつ異なっている。本発明の3価結晶質クロム堆積物の格子定数と他のクロム堆積物の格子定数との間の相違は、例えば、図8に示されるように、スチューデントt検定によれば、少なくとも95%の信頼レベルで統計的に有意である。
【0091】
図9は、チオサリチル酸の量が増加したときの累進的な効果を示す代表的なX線回折パターン(Cu k アルファ)であり、確実な一定の(222)反射、{111}の優先方位を有する本発明の実施態様による3価クロム浴由来の結晶質クロム堆積物を示す。図9では、結晶質クロムは、過剰の140AH/Lまで存在する公称2〜6g/Lのチオサリチル酸を用いて、10アンペア/リットル(A/L)で電気分解された3価クロム電解質T5(上記の通り)から、真鍮基材((*)によって示される真鍮由来のピーク)に析出させ、これは確実な一定の(222)反射、{111}の優先方位の析出物を示した。サンプルは、約14AH間隔で採取した。
【0092】
1つの実施態様では、陰極効率は、約5%から約80%までの範囲であり、そして1つの実施態様では、陰極効率は、約10%から約40%までの範囲であり、そして別の実施態様では、陰極効率は、約10%から約30%までの範囲である。
【0093】
別の実施態様では、さらなる結晶質クロム電気析出物を合金にする工程は(クロムは、2.8895±0.0025Åの格子定数を有する)、2g/Lのチオサリチル酸の添加または無添加で、鉄およびリン源として硫酸鉄および次亜リン酸ナトリウムを用いて行われ得る。電解質T7への0.1g/Lから2g/Lの鉄イオンの添加により、2から20%の鉄を含む合金を得る。合金は、チオサリチル酸の無添加で非晶質である。1g/Lから20g/Lの次亜リン酸ナトリウムの添加により、堆積物中に2から12%のリンを含む合金を得た。合金は、チオサリチル酸が添加されなければ、非晶質である。
【0094】
別の実施態様では、2.8895±0.0025Åの格子定数を有する結晶質クロム堆積物は、25kHzおよび0.5MHzの周波数の超音波エネルギーを用いて撹拌した2g/Lのチオサリチル酸を含む電解質T7から得られる。得られた堆積物は、結晶質であり、2.8895±0.0025Åの格子定数を有し、光沢があり、そして用いた周波数に関係なく、析出速度に有意な変化がない。
【0095】
明細書および特許請求の範囲を通じて、開示されている範囲および比の数値限定は、組み合わされ得、そして、すべての介在する値を含むとみなされることに留意される。したがって、例えば、1〜100および10〜50の範囲が特に開示されている場合、介在する整数値であるような1〜10、1〜50、10〜100、および50〜100の範囲が、開示の範囲内であるとみなされる。さらに、すべての数値は、修飾語「約」が、特に明言されていようとなかろうと前に付くとみなされる。さらに、クロム堆積物が、本発明に従って明細書に記載されるように3価クロム浴から電析され、そしてこのように形成された堆積物が、結晶質として本明細書で述べる場合、格子定数が特に明言されていようとなかろうと、2.8895±0.0025Åの格子定数を有するとみなされる。最後に、開示されている要素および成分の全ての可能な組み合わせは、特に言及されていようとなかろうと、開示の範囲内であるとみなされる。
【0096】
本発明の原理は、ある特定の実施態様に関して説明され、そして説明の目的のために提供されているが、それらの種々の改変が明細書を読めば当業者に明らかになることが、理解されるべきである。したがって、本明細書に開示されている発明は、このような改変を含み、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図されていることが理解されるべきである。発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施態様および先行技術の6価クロムにより析出させた結晶質クロムの3次元X線回折パターン(Cu k アルファ)である。
【図2】先行技術の3価クロム浴由来の非晶質クロムの代表的なX線回折パターン(Cu k アルファ)である。
【図3】先行技術の3価クロム浴由来の非晶質クロム堆積物の焼きなましの累進的な効果を示す代表的なX線回折パターン(Cu k アルファ)である。
【図4】先行技術の3価クロム浴由来の最初の非晶質クロム堆積物の焼きなましについて巨視亀裂の効果を示す一連の電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の実施態様による析出したときに結晶質のクロム堆積物の代表的なX線回折パターン(Cu k アルファ)である。
【図6】本発明の実施態様による結晶質クロム堆積物の一連の代表的なX線回折パターン(Cu k アルファ)である。
【図7】クロム堆積物の一実施態様において、硫黄の濃度がクロム堆積物の結晶化度にどのように関係するかを示すグラフ図である。
【図8】(2)6価クロム浴由来の結晶質クロム堆積物および(3)焼きなましされ、析出したときに非晶質のクロム堆積物を比較した(1)本発明の実施態様による結晶質クロム堆積物についてのオングストローム(Å)での結晶格子定数を比較するグラフ図である。
【図9】チオサリチル酸の量が増加したときの累進的な効果を示す代表的なX線回折パターン(Cu k アルファ)であり、確実な一定の(222)反射、{111}の優先方位を有する本発明の実施態様による3価クロム浴由来の結晶質クロム堆積物を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2.8895±0.0025Åの格子定数を有する、結晶質クロム堆積物。
【請求項2】
前記クロム堆積物が、3価クロム浴から電析される、請求項1に記載の結晶質クロム堆積物。
【請求項3】
前記クロム堆積物中に、炭素、窒素、および硫黄をさらに含む、請求項1または2のいずれかに記載の結晶質クロム堆積物。
【請求項4】
前記クロム堆積物が、約1質量%から約10質量%までの硫黄を含む、請求項3に記載の結晶質クロム堆積物。
【請求項5】
前記クロム堆積物が、約0.1質量%から約5質量%までの窒素を含む、請求項3に記載の結晶質クロム。
【請求項6】
前記クロム堆積物が、該クロム堆積物を非晶質にする量よりも少ない量の炭素を含む、請求項3に記載の結晶質クロム。
【請求項7】
前記堆積物が、約1.7質量%から約4質量%までの硫黄、約0.1質量%から約3質量%までの窒素、および約0.1質量%から約10質量%までの炭素を含む、請求項3に記載の結晶質クロム堆積物。
【請求項8】
前記堆積物が、巨視亀裂を実質的に含まない、前記いずれかの請求項に記載の結晶質クロム堆積物。
【請求項9】
前記クロムが、{111}の優先方位を有する、前記いずれかの請求項に記載の結晶質クロム堆積物。
【請求項10】
結晶質クロム堆積物を含む物品であって、該結晶質クロム堆積物が、2.8895±0.0025Åの格子定数を有する、物品。
【請求項11】
前記クロム堆積物が、{111}の優先方位を有する、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記クロム堆積物が、炭素、窒素、および硫黄をさらに含む、請求項10または11のいずれかに記載の物品。
【請求項13】
基材上に結晶質クロム堆積物を電析させるための方法であって、
3価クロム、有機添加剤、および少なくとも1つの2価硫黄源を含み、そして6価クロムを実質的に含まない電気めっき浴を提供する工程;
基材を該電気めっき浴に浸漬する工程;および
該基材上に結晶質クロム堆積物を析出させるために電流を付与する工程を包含し、該クロム堆積物が、析出したときに結晶質である、方法。
【請求項14】
前記結晶質クロム堆積物が、2.8895±0.0025Åの格子定数を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記結晶質クロム堆積物が、{111}の優先方位を有する、請求項13または14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記クロム堆積物が、該クロム堆積物中に、炭素、窒素、および硫黄をさらに含む、請求項13から15のいずれかの項に記載の方法。
【請求項17】
前記クロム堆積物が、約1質量%から約10質量%までの硫黄を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記クロム堆積物が、約0.1質量%から約5質量%までの窒素を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記クロム堆積物が、クロム堆積物を非晶質にする量よりも少ない量の炭素を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記堆積物が、約1.7質量%から約4質量%までの硫黄、約0.1質量%から約3質量%までの窒素、および約0.1質量%から約10質量%までの炭素を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記堆積物が、巨視亀裂を実質的に含まない、請求項13から20のいずれかの項に記載の方法。
【請求項22】
前記電気めっき浴が、水酸化アンモニウムまたは塩あるいは1級、2級、または3級アミンをさらに含む、請求項13から21のいずれかの項に記載の方法。
【請求項23】
前記電気めっき浴が、4から約6.5までの範囲のpHを含む、請求項13から22のいずれかの項に記載の方法。
【請求項24】
前記電気めっき浴が、約35℃から約95℃までの範囲の温度である、請求項13から23のいずれかの項に記載の方法。
【請求項25】
前記電流が、少なくとも約10アンペア/平方デシメートル(A/dm)の電流密度で付与される、請求項13から24のいずれかの項に記載の方法。
【請求項26】
前記電流が、直流、パルス波形、または周期的パルスの逆波形の任意の1つ、または2以上の任意の組み合わせを用いて付与される、請求項13から25のいずれかの項に記載の方法。
【請求項27】
前記2価硫黄源が、一般式(I)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含む、請求項13から26のいずれかの項に記載の方法:
−R−(S)−R−X (I)
ここで、(I)において、XおよびXは、同一であるかまたは異なり得、そしてXおよびXはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、該アルキル基および該アルコキシ基がC−Cであり、あるいはXおよびXは一緒になって、RからRまでの結合を形成し得、
およびRは、同一であるかまたは異なり得、そしてRおよびRはそれぞれ独立して、単結合、アルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、シクロヘキシル、芳香環および複素芳香環、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ポリエトキシ化アルキル、およびポリプロポキシ化アルキルを含み、該アルキル基がC−Cであり、そして
nは、1から約5までの範囲の平均値を有する。
【請求項28】
前記2価硫黄源が、一般式(IIa)および/または(IIb)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含む、請求項13から26のいずれかの項に記載の方法:
【化1】

ここで、(IIa)および(IIb)において、R、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり得、そして独立して水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、該アルキル基および該アルコキシ基がC−Cであり、
Xは、炭素、窒素、酸素、硫黄、セレン、またはテルルを表し、そしてmは0から約3までの範囲であり、
nは、1から約5までの範囲の平均値を有し、そして
(IIa)または(IIb)のそれぞれは、少なくとも1つの2価硫黄原子を含む。
【請求項29】
前記2価硫黄源が、一般式(IIIa)および/または(IIIb)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含む、請求項13から26のいずれかの項に記載の方法:
【化2】

ここで、(IIIa)および(IIIb)において、R、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり得、そして独立して水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、該アルキル基および該アルコキシ基がC−Cであり、
Xは、炭素、窒素、硫黄、セレン、またはテルルを表し、そしてmは0から約3までの範囲であり、
nは、1から約5までの範囲の平均値を有し、そして
(IIIa)または(IIIb)のそれぞれは、少なくとも1つの2価硫黄原子を含む。
【請求項30】
前記結晶質クロム堆積物が、約300℃までの温度に加熱されても巨視亀裂を形成しない、請求項13から29のいずれかの項に記載の方法。
【請求項31】
基材上に結晶質クロム堆積物を電析させるための方法であって、
3価クロム、有機添加剤を含み、そして6価クロムを実質的に含まない電気めっき浴を提供する工程;
基材を該電気めっき浴に浸漬する工程;および
該基材上に結晶質クロム堆積物を析出させるために電流を付与する工程を包含し、該クロム堆積物が、析出したときに結晶質であり、該結晶質クロム堆積物が2.8895±0.0025Åの格子定数を有する、方法。
【請求項32】
前記結晶質クロム堆積物が、{111}の優先方位を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記クロム堆積物が、該クロム堆積物中に、炭素、窒素、および硫黄をさらに含む、請求項31または32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記クロム堆積物が、約1質量%から約10質量%までの硫黄を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記クロム堆積物が、約0.1質量%から約5質量%までの窒素を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記クロム堆積物が、クロム堆積物を非晶質にする量よりも少ない量の炭素を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記堆積物が、約1.7質量%から約4質量%までの硫黄、約0.1質量%から約3質量%までの窒素、および約0.1質量%から約10質量%までの炭素を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記堆積物が、巨視亀裂を実質的に含まない、請求項31から37のいずれかの項に記載の方法。
【請求項39】
前記電気めっき浴が、水酸化アンモニウムまたは塩、あるいは1級、2級、または3級アミンをさらに含む、請求項31から38のいずれかの項に記載の方法。
【請求項40】
前記電気めっき浴が、4.5から約6.5までの範囲のpHを含む、請求項31から39のいずれかの項に記載の方法。
【請求項41】
前記電気めっき浴が、約35℃から約95℃までの範囲の温度である、請求項31から40のいずれかの項に記載の方法。
【請求項42】
前記電流が、少なくとも約10アンペア毎平方デシメートル(A/dm)の電流密度で付与される、請求項31から41のいずれかの項に記載の方法。
【請求項43】
前記電流が、直流、パルス波形、または周期的パルスの逆波形を用いて付与される、請求項31から42のいずれかの項に記載の方法。
【請求項44】
前記電気めっき浴が、一般式(I)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含む2価硫黄源をさらに含む、請求項31から43のいずれかの項に記載の方法:
−R−(S)−R−X (I)
ここで、(I)において、XおよびXは、同一であるかまたは異なり得、そしてXおよびXはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、該アルキル基および該アルコキシ基がC−Cであり、あるいはXおよびXは一緒になって、RからRまでの結合を形成し得、
およびRは、同一であるかまたは異なり得、そしてRおよびRはそれぞれ独立して、単結合、アルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、シクロヘキシル、芳香環および複素芳香環、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ポリエトキシ化アルキル、およびポリプロポキシ化アルキルを含み、該アルキル基がC−Cであり、そして
nは、1から約5までの範囲の平均値を有する。
【請求項45】
前記電気めっき浴が、一般式(IIa)および/または(IIb)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含む2価硫黄源をさらに含む、請求項31から44のいずれかの項に記載の方法:
【化3】

ここで、(IIa)および(IIb)において、R、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり得、そして独立して水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、該アルキル基および該アルコキシ基がC−Cであり、
Xは、炭素、窒素、酸素、硫黄、セレン、またはテルルを表し、そしてmは0から約3までの範囲であり、
nは、1から約5までの範囲の平均値を有し、そして
(IIa)または(IIb)のそれぞれは、少なくとも1つの2価硫黄原子を含む。
【請求項46】
前記電気めっき浴が、一般式(IIIa)および/または(IIIb)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含む2価硫黄源をさらに含む、請求項31から45のいずれかの項に記載の方法:
【化4】

ここで、(IIIa)および(IIIb)において、R、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり得、そして独立して、水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、該アルキル基および該アルコキシ基がC−Cであり、
Xは、炭素、窒素、硫黄、セレン、またはテルルを表し、そしてmは0から約3までの範囲であり、
nは、1から約5までの範囲の平均値を有し、そして
(IIIa)または(IIIb)のそれぞれは、少なくとも1つの2価硫黄原子を含む。
【請求項47】
前記結晶質クロム堆積物が、約300℃までの温度に加熱されても巨視亀裂を形成しない、請求項31から46のいずれかの項に記載の方法。
【請求項48】
結晶質クロム堆積物を電析させるための電析浴であって、
少なくとも0.1モル濃度の濃度を有し、そして添加される6価クロムが実質的に存在しない3価クロム源;
有機添加剤;
2価硫黄源;
4から約6.5までの範囲のpH;
約35℃から約95℃までの範囲の操作温度;および
該電析浴に浸漬された陽極と陰極との間に付与される電気エネルギー源、
を含む、電析浴。
【請求項49】
前記2価硫黄源が、一般式(I)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含む、請求項48に記載の電析浴:
−R−(S)−R−X (I)
ここで、(I)において、XおよびXは、同一であるかまたは異なり得、そしてXおよびXはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、該アルキル基および該アルコキシ基がC−Cであり、あるいはXおよびXは一緒になって、RからRまでの結合を形成し得、
およびRは、同一であるかまたは異なり得、そしてRおよびRはそれぞれ独立して、単結合、アルキル、アリル、アルケニル、アルキニル、シクロヘキシル、芳香環および複素芳香環、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ポリエトキシ化されたアルキル、およびポリプロポキシ化されたアルキルを含み、該アルキル基がC−Cであり、そして
nは、1から約5までの範囲の平均値を有する。
【請求項50】
前記2価硫黄源が、一般式(IIa)および/または(IIb)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含む、請求項48に記載の電析浴:
【化5】

ここで、(IIa)および(IIb)において、R、R、R、およびRが、同一かまたは異なり得、そして独立して、水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、該アルキル基および該アルコキシ基がC−Cであり、
Xは、炭素、窒素、酸素、硫黄、セレン、またはテルルを表し、そしてmは0から約3までの範囲であり、
nは、1から約5までの範囲の平均値を有し、そして
(IIa)または(IIb)のそれぞれは、少なくとも1つの2価硫黄原子を含む。
【請求項51】
前記2価硫黄源が、一般式(IIIa)および/または(IIIb)を有する化合物の1つまたは2以上の混合物を含む、請求項48に記載の電析浴:
【化6】

ここで、(IIIa)および(IIIb)において、R、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり得、そして独立して、水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アルキルカルボニル、ホルミル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、カルボキシル、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート、ホスフィネート、スルホキシド、カルバメート、ポリエトキシ化アルキル、ポリプロポキシ化アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、アルキル硫酸エステル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルホスホネート、またはアルキルホスフィネートを含み、該アルキル基および該アルコキシ基がC−Cであり、
Xは、炭素、窒素、硫黄、セレン、またはテルルを表し、そしてmは0から約3までの範囲であり、
nは、1から約5までの範囲の平均値を有し、そして
(IIIa)または(IIIb)のそれぞれは、少なくとも1つの2価硫黄原子を含む。
【請求項52】
前記電気エネルギー源が、めっきされる基材の面積に基づいて、少なくとも10A/dmの電流密度を付与することが可能である、請求項48から51のいずれかの項に記載の電析浴。
【請求項53】
前記浴が、操作されると、析出したときに結晶質である機能的なクロム堆積物を析出させる、請求項48から51のいずれかの項に記載の電析浴。
【請求項54】
前記結晶質クロム堆積物が、2.8895±0.0025Åの格子定数を有する、請求項53に記載の電析浴。
【請求項55】
前記結晶質クロム堆積物が、{111}の優先方位を有する、請求項53または54のいずれかに記載の電析浴。
【請求項56】
前記クロム堆積物が、該クロム堆積物中に、炭素、窒素、および硫黄をさらに含む、請求項53から55のいずれかの項に記載の電析浴。
【請求項57】
前記クロム堆積物が、約1質量%から約10質量%までの硫黄を含む、請求項53から56のいずれかの項に記載の電析浴。
【請求項58】
前記クロム堆積物が、約0.1質量%から約5質量%までの窒素を含む、請求項53から57のいずれかの項に記載の電析浴。
【請求項59】
前記クロム堆積物が、クロム堆積物を非晶質にする量よりも少ない量の炭素を含む、請求項53から58のいずれかの項に記載の電析浴。
【請求項60】
前記堆積物が、約1.7質量%から約4質量%までの硫黄、約0.1質量%から約3質量%までの窒素、および約0.1質量%から約10質量%までの炭素を含む、請求項53から59のいずれかの項に記載の電析浴。
【請求項61】
前記堆積物が、巨視亀裂を実質的に含まない、請求項53から60のいずれかの項に記載の電析浴。
【請求項62】
前記電気エネルギー源が、直流、パルス波形、または周期的パルスの逆波形の1以上を付与することが可能である、請求項53から61のいずれかの項に記載の電析浴。
【請求項63】
窒素源をさらに含む、請求項53から62のいずれかの項に記載の電析浴。
【請求項64】
前記堆積物が、機能的または装飾的なクロム堆積物である、請求項1から9のいずれかの項に記載の結晶質クロム堆積物。
【請求項65】
前記堆積物が、機能的または装飾的なクロム堆積物である、請求項10から12のいずれかの項に記載の物品。
【請求項66】
前記方法が、機能的または装飾的なクロム堆積物を析出させる、請求項13から47のいずれかの項に記載の方法。
【請求項67】
前記有機添加剤が、ギ酸またはその塩、アミノ酸、またはチオシアン酸塩の1以上でである、請求項13から47のいずれかの項に記載の方法。
【請求項68】
前記窒素源が、水酸化アンモニウムまたはその塩、1級、2級、または3級アルキルアミンを含み、該アルキル基がC−Cアルキル、アミノ酸、ヒドロキシアミン、または多価アルカノールアミンであり、該窒素源中のアルキル基がC−Cアルキル基を含む、請求項63に記載の電析浴。
【請求項69】
窒素源をさらに含む、請求項13から47のいずれかの項に記載の方法。
【請求項70】
前記窒素源が、水酸化アンモニウムまたはその塩、1級、2級、または3級アルキルアミンを含み、該アルキル基がC−Cアルキル、アミノ酸、ヒドロキシアミン、または多価アルカノールアミンであり、該窒素源中のアルキル基がC−Cアルキル基を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記浴および/または堆積物が、硫黄または硫黄化合物の代わりに、または硫黄または硫黄化合物に加えて、セレンまたはテルルあるいは両方の混合物を含む、前記いずれかの請求項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−532580(P2009−532580A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503241(P2009−503241)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/065345
【国際公開番号】WO2007/115030
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(503037583)アトテック・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (55)
【氏名又は名称原語表記】ATOTECH DEUTSCHLAND GMBH
【Fターム(参考)】