説明

結晶質PETペレットの製造方法及び装置

ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー及び他の高温結晶化ポリマー材料を水中造粒した後、乾燥してその後に加熱することなくポリマーペレットを結晶化する方法及び装置である。造粒機の出口近傍で、乾燥機への水とペレットのスラリーラインに、高速空気又は他の不活性ガスを注入する。空気はスラリーラインに約100から約175m/時又はそれ以上の速度で注入する。このような高速空気の移動により水蒸気ミストが形成され、乾燥機への又は乾燥機からのペレットの速度を増加し、これにより、PETポリマーペレットは、該ペレット内に自己開始結晶化に十分な温度で、乾燥機を離れる。ガス注入の後のスラリーラインに弁機構は、ペレット滞留時間を調整し、乾燥機の後の振動コンベヤは、所望の結晶度レベルを達成し、凝集を回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2003年11月21日に出願された米国特許出願第10/717630号の一部継続出願である。
本発明は、一般にポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマーの水中造粒及びその後の乾燥の方法及び装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、PET粒子の結晶化工程を自己開始し、非晶構造よりも結晶構造を所望レベル有するペレットを製造する、PETポリマーの水中造粒及びPETポリマーペレットの乾燥の方法及び装置に関する
【背景技術】
【0002】
ポリマー又は他のプラスチック材料からなるペレットを製造する水中造粒システムは多年にわたり公知である。プラスチックポリマー、着色剤、添加剤、充填剤、補強剤、緩和剤のような開始材料を捏和機(kneader)で混合する。この工程では溶解物が製造され、該溶解物は型(ダイ)を通して押し出され押圧されてストランドに形成され、該ストランドは水中造粒機の水箱内で直ちに回転切断刃により切断される。添加剤を有する又は有しない水が連続的に水箱を流れ、ポリマーストランドとペレットを冷却し固化するとともに、輸送管を介してペレットを水箱の外の遠心乾燥機のような乾燥機に搬送し、該乾燥機にてペレットから水が除去される。
【0003】
かなり長い間、ポリマー工業は水中造粒システムを使用してPETポリマーをペレット形状に加工することを求めていた。PETをペレット形状に加工する水中造粒や他の造粒システムを使用することの主な欠点は、典型的には、水中造粒システムの乾燥機を離れるときにペレットが非晶状態にあることである。得られたペレットの非晶質は、水中造粒機の水箱の水流に導入されたとき、及び水とペレットのスラリーが適切な配管により乾燥機に輸送される間に、PET材料が急速冷却されることにより生じる。
【0004】
典型的には、水中造粒機の水箱を通る水流の増加、水温の上昇、配管寸法の変更、造粒機と乾燥機の間の距離の減少は、ペレット温度を十分に維持することの助けにはならない。このような状況の下でも、依然としてPETペレットは、結晶化が生じる温度、通常は100℃以下の温度で乾燥機を離れる。
【0005】
PETポリマーのエンドユーザは、典型的には、ペレットが非晶状態よりも結晶状態にあることを要求する。これは、エンドユーザは水分含有量がゼロ又はゼロに近い実質的に乾燥状態でPETペレットを処理することを望むという事実に関係する主として2つの理由による。第1に、PETポリマーは非常に吸湿性があり、結晶PETペレットは、非晶ペレットよりも、輸送や保管中に水分を吸収しにくいことである。従って、結晶PETペレットは、ゼロ又はゼロに近い必要水分含有量にエンドユーザによって容易に乾燥することができる。第2に、PETポリマーを完全に乾燥するのに要求される温度は、非晶PETペレットが結晶形態に転化する温度よりも高い。従って、非晶PETペレットを乾燥するとき、まず、温度を乾燥温度に上昇する前に必要低温度で結晶化を達成することが必要である。さもなければ、非晶PPETポリマーペレットは集塊し、ペレット形態を破壊する。
【0006】
この結果、PETペレットの製造者は典型的に非晶PETペレットを通常80から100℃の非常に高温で数時間の第2加熱工程にさらし、ペレットの非晶構造を結晶構造に変更しなければならない。これは、PETポリマーペレットを所望の結晶状態に転換するために、非常に高価な第2工程である。
【0007】
しかしながら、固形状態工程(SSP)でのさらなる処理又は使用のためにPETペレットを乾燥するのに、PETペレットの総(100%)結晶性は必ずしも要求されない。むしろ、硝酸カルシウム測定法を使用して30%以上、好ましくは40%以上の総結晶性又は結晶性グレードがPETエンドユーザに容認される。
【0008】
代案の取り組みがWO/2004/033174に開示され、それは、100℃以上の温度でポリマーを水槽内で粒状化又は小粒化される。得られたペレットは、非晶材料を結晶材料に転換するために、高温を維持しつつ所定時間、水槽内でさらに処理される。このシステムは過沸点に水を維持するために加圧し、その後に減圧工程を必要とする。
【0009】
さらに、水/ペレットスラリーの輸送を向上するために、造粒機からの水とペレットのスラリーの流出流れに空気を注入することも公知である。例えば、米国特許第3,988,085号参照。
【特許文献1】WO/2004/033174
【特許文献2】米国特許第3,988,085号
【発明の開示】
【0010】
本発明は、結晶化工程を自己開始するのに十分に熱い状態でPETペレットを製造し、PETペレットが別個の加熱工程を必要としないような十分な結晶特性を提供する水中造粒システムに向けられている。この高い熱条件は、水スラリー中のペレットの滞留時間を減少し、乾燥段階でPETペレット中に十分な熱を残し、結晶化過程がペレットの内側から開始されるようにすることにより達成することができることが分かった。このために、水からペレットをできるだけ速く分離し、水中造粒機の出口から乾燥機に流れるペレットの速度を著しく増加することが必要である。乾燥機を離れる熱いペレットは従来の振動コンベヤ又はその他の振動又は取扱装置上で、所望の結晶質を達成し凝集を回避するのに十分な時間の間、搬送することができる。また、熱いペレットは、断熱容器に熱保有状態で保管し、所望の結晶化工程を完了することができる。従来使用されてきたステンレス鋼製の箱の代わりに、例えばコーティングされた鋼製又はプラスチック製の容器は容認すべきである。
【0011】
初期のペレット/水分離及び造粒システムを通るペレット速度の増加は、本発明に従い、切断ペレットと水のスラリーが造粒機ユニットの水箱を出た後に、空気又は他の適切なガスを造粒機から乾燥機に至る輸送配管に注入することで、達成される。注入した空気は、水を水蒸気ミストに変換することで輸送配管中のペレットから水を分離し、乾燥機への又は乾燥機を通るペレットの輸送を著しく増速するのに役立つとともに、乾燥機を出たペレットの温度をペレット内で結晶化過程を開始するのに十分に高くするのに役立つことが分かった。詳しくは、PETポリマーペレットが非晶質状態で乾燥機から出る間に、結晶化が生じるのに十分な熱がペレット内部に残っている。結晶化の程度は、以前の水中造粒システムを使用してPETペレットを製造するのにこれまで必要であった第2の加熱段階を必要性を排除するのに十分である。
【0012】
水タンクから出た直後に乾燥機に至るスラリーラインに導入される空気は、非常に高速である。少なくとも100立方メートル(m)/時から約175m/時又はそれ以上の空気容量が8バールの圧力で弁を通過して1.5インチのスラリーパイプラインに入ることにより本発明に必要な空気速度を生じることが分かった。出て行く水とペレットのスラリーに導入される空気容量は、全体的にミストの性質を有するガス/スラリー混合物を生じ、混合物全体の98%−99%又はそれ以上の容量のガス成分を有する見込みである。スラリーラインへの空気の注入により、水箱から乾燥機の出口に流れるペレットの速度が1秒以下に劇的に増加する。空気はその不活性性または入手容易性の観点から好ましいガスであるが、窒素や類似のガスのような他の不活性ガスも使用することができる。また、ペレットから水を分離し、造粒機から乾燥機出口までペレットを加速する他のペレット速度加速法を利用してもよい。
【0013】
スラリー配管は、空気注入点の後にボール弁又は他の弁機構を含めることが好ましい。ボール弁により、オペレータは配管及び乾燥機におけるペレットの滞留時間をより良く調整することができ、乾燥機へのスラリー管における振動を著しく減少し又は排除することができる。ボール弁又は弁機構は、弁機構の下流のスラリー管に改良された水蒸気ミストを与えるように思われる。
【0014】
高速空気又は他のガスをスラリーラインに注入することで、ダイ面でのカッターブレードによる成形点から乾燥機出口までのペレットの滞留時間を十分に減少すれば、結晶質PETペレットを本発明の方法及び装置に従って形成することができることが分かった。大きなペレットはゆっくり熱を放出し、出るときに十分な高温を保持し、100m/時のような低い空気注入速度で結晶化する。一方、小さなペレットは、空気速度が増加するので、低い出口温度でも受容できるレベルの結晶化を示す。したがって、水からのペレットの迅速な分離と滞留時間の短縮は、特に、所望の結晶度レベルを達成するのに十分な時間、ペレットを熱保持振動コンベヤによって乾燥機から輸送し、及び/又は断熱容器に適切に収容すれば、PETペレットがペレットの内部に十分な熱を保持しながら水中造粒システムの乾燥機を出て、非晶質ペレットにおいて所望の結晶化を達成することを保証する。この結果、第2の加熱工程の必要性が排除される。
【0015】
振動コンベヤにより乾燥機から輸送されるとき、約20秒から約90秒の輸送が所望の結晶度を達成するのに十分であることが分かった。好ましい輸送時間は約30秒から60秒であり、最も好ましくは約40秒である。
【0016】
したがって、本発明の目的は、乾燥機を出たPETペレットに結晶化を生じさせることができる、水中造粒システムにおけるPETポリマーを処理する方法及び装置を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、高価な第2の加熱段階を必要とすることなく、水中造粒システムを利用して、PETポリマーペレットに結晶化を生じさせ、非晶質PETペレットを結晶質PETペレットに変換することができる方法と装置を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、造粒機を出た水とペレットのスラリーに不活性ガスを注入し、水蒸気ミスト状態のスラリーを生じさせ、輸送ペレットにより良い熱保有を与えることができる、PETポリマーの水中造粒を行う方法と装置を提供することである。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、空気を注入することで、少なくとも100m/時、約175m/時又はそれ以上の速度でペレットを迅速に装置内を輸送し、乾燥機を出る前のペレットの滞留時間を十分に減少し、全結晶化(100%)の30%−40%のオーダーで結晶化を生じさせることができる、前記目的に従ってPETポリマーの水中造粒を行う方法及び装置を提供することである。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、乾燥機を出たペレットが、後で加熱することなくPETペレットの少なくとも35%結晶化が生じるのに十分な熱が内部に残留する、水中造粒システムを使用してPETポリマーペレットを製造する方法及び装置を提供することである。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、造粒機から乾燥機までのスラリーラインにガスを注入することで、ダイプレートで押し出された時から遠心乾燥機を出るまでのPETペレットの滞留時間を約1秒以下に減少する、PETペレットを製造する方法及び装置を提供することである。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、弁機構を使用して滞留時間を調整し、スラリーラインの弁の下流側で水蒸気ミストを加圧する、前記目的に従ってPETペレットを製造する水中造粒方法及び装置を提供することである。
【0023】
本発明のさらに他の目的は、乾燥機を出た熱いペレットを振動コンベヤ又は他の振動若しくは取扱装置上に搬送し、所定の出力ペレット容量を通して実質的に均一な結晶化を達成することができる、水中造粒システムを提供することである
【0024】
前記及び他の目的及び利点は、添付図面を参照した以下の説明及び請求の範囲に記載した本発明の構成及び作用の詳細から明らかであり、図面において同一符号は同一部分を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の1つの好ましい実施形態を詳細に説明するが、本発明は、以下の説明に述べられ又は図面に記載された部材の詳細な構成及び配置にその範囲が限定されるものではないことを理解すべきである。本発明は他の実施形態も可能であり、また種々の方法で実施し又は実行することができる。
【0026】
また、好ましい実施形態の説明は明確性を確保するために用語にたよる。各用語は当業者に理解される最も広い意味を有し、同様の目的を達成するよう同様の方法で作用する技術的均等物を含むように意図されている。例えば、「水」の用語は水自身を含むだけでなく、水中造粒の当業者により種々の目的で水中造粒工程中に加えられる1又は複数の添加剤を有する水を含む。
【0027】
本発明に関連して使用される水中造粒システムは図1に示され、全体的に参照符号10が附されている。このシステム10は、ガラ水中造粒機のような水中造粒機12を有し、水箱16及びダイプレート18から分離して示されたカッターハブ及びブレード14を備えている。水中造粒システム10では、PETポリマーはポリマー桶(不図示)からスクリーンチェンジャー20に上方から供給され、スクリーンチェンジャー20は固形粒子又は他の材料を除去する。PETポリマーは、ギヤポンプ22を介して供給され、ポリマー偏向器(diverter)24及びダイプレート18へのスムーズな流れを制御し維持する。PETポリマーは、典型的には、約260℃の温度でダイプレートの孔を通して押出される。ダイ孔により形成されるPETポリマーストランドは水箱16に入り、カッターハブ及びブレード14により所望のペレットに切断される。冷水が配管26を介して水箱16に流れ、水と切断ペレットのスラリーは配管28を通して流出する。
【0028】
次に、水とペレットのスラリーはスラリーライン30を通って入口33からガラ遠心乾燥機のような乾燥機32に搬送される。ペレットは乾燥機32で乾燥され、出口34から乾燥機を出る。乾燥ペレットから除去された水は乾燥機32を出て配管38を通ってポンプ40により細分除去ふるい42に搬送され、配管46を通って水タンク44に搬送される。再循環水は水箱44を離れ、配管48とポンプ50を通って水熱交換器52に搬送され水温が低下する。冷却された水は配管54を通り、バイパス弁56と配管58を通過して入口管26に再循環され、水箱16に入る。
【0029】
本発明に従って、スラリーライン30におけるPETペレットの輸送を向上するとともに、PETペレットを十分に高温に維持して所望の結晶化を促進するために、水中造粒システムのスラリーライン30に点70において、好ましくは水箱16の出口に隣接するスラリーライン30の始まりの近傍において、空気が注入される。
【0030】
空気は点70において、多くの製造設備で空気圧縮機とともに典型的に入手可能な従来の圧縮空気ラインと、スラリーライン30に高速空気流を生じるのに十分な標準ボール弁とを使用して、スラリーライン30に都合良く注入される。標準の1.5インチ管からなるスラリーラインに、8バールの圧力で、少なくとも100m/時の空気を標準ボール弁を介して注入することによって容易に達成される。この高速空気(又は他のガス)は水と加熱ペレットと接触すると、水蒸気ミストを生成する。ペレットは管を迅速に通過して乾燥機に移動する際に管の内周に分散する傾向がある。ガス/スラリー混合物全体における空気の容量は98%−99%又はそれ以上のオーダーにある。点70においてスラリーライン30に注入された空気は、水箱16から乾燥機32の出口34へのペレット流れの速度を1秒以下の割合で増加する。
【0031】
本発明に従って34から乾燥機34を出たPETポリマーペレットの平均温度は、100m/時の空気速度で約145℃であるべきであるが、空気速度が175m/時まで増加するとそれより低くてもよい。このような高速ペレット速度が動作を促進することで、PETペレットは、内部に十分な熱を保持し、第2加熱工程を必要とすることなく、結晶化を開始する。
【0032】
乾燥機を出たペレットは、好ましくは、図2A及び2Bに示すように、振動コンベヤ84のような振動ユニットを通して導かれる。振動コンベヤ84での結晶化ペレットの攪拌と混合により、個々のペレットの近傍から包囲壁に向かって生じるペレット温度の変動や、例えば他のペレットの中への浸入が回避される。この代わり、温度と結晶化の程度の均一性は大いに向上する。さらに、上昇したペレット温度から生じる粘着性は、ペレットの押し合いと相対移動により抑えられ、これにより、周囲の壁構造にペレットが群がり、付着するのが防止される。
【0033】
結晶化の目的については、ペレットは約20秒から約90秒の間、好ましくは約30秒から約60秒の間、さらに好ましくは約40秒の間、振動コンベヤに滞留すべきであることが分かっている。この時間中、十分な熱が振動コンベヤによって保持され、所望の結晶化を完了するのに十分な高温にペレットを維持する。質量が大きいことにより145℃のオーダーの出口温度を有する大きなペレットは、その温度で10秒だけ必要であり、その間で40%の結晶化を完了する。質量が小さく、比較的大きな表面積を有することで、約127℃の冷却器出口温度を有する小さなペレットは、その温度で20秒必要であり、所望の結晶化を完了する。振動コンベヤでの残り時間により、ペレットは大きな又は小さな程度まで冷却することができる。
【0034】
例えばオペレータが振動コンベヤの出口からの加熱ペレットの保管、使用及び輸送ができないことにより、追加の冷却が必要とされるなら、空気ブロアを出口に追加するか、振動コンベヤを約2分までの滞留時間を設けるように設計してもよい。一般に、ペレットの温度は、振動コンベヤへの入口で約128℃、出口で約60℃から110℃の間であり、それは、取り扱うために十分に冷却されている(60℃)、又は、振動コンベヤを離れるときに結晶質であることのみを必要とする(110℃)ペレットを出力するために、オペレータがコンベヤに空冷手段を直接コンベヤに設けるか否かによる。通常の目的の好ましい出口温度は80℃以下であり、一方高い表面タック(tack)温度(<100℃)はあるグレードのPETポリマーには十分である。
【0035】
振動装置が使用されない場合、又は振動装置に加えて、乾燥機32を出るPETポリマーペレットを適切な断熱容器に設置することができる。PETペレット内の保有熱は、ペレットが結晶化温度以下に冷却する前に所望の結晶化工程を完了するのに十分である。
【0036】
図3に示すバイパスモードでは、再循環水はバイパス56を通って配管60に入り、そしてスラリーライン30に入る。バイパスモードでは、弁62は閉じられ、ライン30と水箱16内の水/ペレットスラリーは、入口ライン26の水ととともに、システムから排水弁64の外に排水することができる。
【0037】
図4は、本発明による水中造粒システムのスラリーラインへの空気注入のための好ましい配置を概略的に示し、全体的に参照符号100で示す。図示された水中造粒機102はガラモデル番号A5PAC6であり、水入口管104とスラリー出口ライン106を備えている。図示された乾燥機108は、ガラモデル番号12.2ECLNBFであり、頂部にスラリー入口110を備えている。水中造粒機102からスラリーライン106への出口は遠心乾燥機108への入口110より十分に下にあるので、両者が製造床面のレベルにあるとき、水とペレットのスラリーを造粒機出口から乾燥機入口に上方へ輸送する必要がある。水とペレットのスラリーは、弁112、アングルエルボ114、アングルスラリーライン116、拡大エルボ118を通って、乾燥機108の入口110に入る。空気注入は、ノズル又は弁120を通って、直接アングルエルボ114に入る。
【0038】
図4に示すように、アングルスラリーライン116は直線であるのが好ましく、出口端に拡大エルボ118を有する。拡大エルボは、高速の水とペレットのスラリーの直線スラリーライン116から乾燥機入口110への移動を促進し、乾燥機108への潜在的な凝集を減少する。さらに、アングルエルボ114への空気注入は、好ましくはスラリーライン116の軸と一致し、水とペレットのスラリーへの空気注入の効果を最大化し、空気/スラリー混合物の一定の吸引を維持する。
【0039】
スラリーライン116の垂直軸とアングルスラリーライン116の長手軸との間の角度は、図4に示すように好ましくは約45°であり、好ましい範囲は30°−60°である。さらに、造粒機102からの水とペレットのスラリーの出口が乾燥機108の入口110より高い場合、例えば造粒機と乾燥機がプラントの異なるレベルに置かれたとき、又は部品の高さが図4に示すものと異なるときには、前記角度は0°から90°まで変化させることができる。
【0040】
前述の空気注入とともに、水箱から出口までのペレットの滞留時間は1秒以下であり、その間にペレットに所望の結晶化を生じさせることが分かっている。しかしながら、他の好ましい実施形態では、図5に示すように、第2のボール弁又は弁機構150が空気注入点の後に配置される。弁機構150は、スラリーライン内でのペレットの滞留時間をより良く調整する一方、切断チャンバーに十分な頭圧を保持するのに役立つ。この第2弁機構はスラリーラインにおけるスラリーの滞留時間を調整するだけでなく、スラリー管における振動を著しく減少する。さらに、空気注入チャンバーの加圧により、スラリー管の下流で水蒸気ミストの発生を増進し、特により小さいペレットを得る成果を高めるように思われる。
【0041】
実験例
第1実験装置
ガラ水中ペレタイザーモデル番号A5PAC6とガラモデル12.2ECLNBF遠心乾燥機を使用した図1に示すような総合的水中造粒システムにより、図3に示す配置で、溶解PETポリマーを連続的に押し出した。溶解温度は約265℃であり、造粒機102のカッターブレード速度は2500から4500RPMの間で変化させた。ダイプレートはPETポリマー用であり、細長いランド(land)を有する典型的な3.5mmダイプレートを使用した。実験中のダイホールを通る溶融速度は一定で、40kg/孔/時とした。
【0042】
スラリーライン116の管は、標準の1.5インチ管で、長さは4.5mとした。遠心乾燥機108の速度は実験中は一定に維持し、乾燥機108を通る対向空気流れも実験中は一定に維持した。振動ユニットは使用しなかった。
【0043】
ノズル又は弁120への空気注入流量は、表1に示すように、0から最大100m/時まで変化させ、水流とペレットサイズも変化させた。
【0044】
第1実験装置のパラメータと結果は表1の通りであった。
【0045】
【表1】

【0046】
表1の最後から2欄目に記載のペレット温度と結晶度パーセントは、各実験の乾燥機108を出た製品を検査することによって決定した。すなわち、ペレットを視覚的に検査し、ペレット100個中何個が結晶状態への変換を示す色変化を生じたかを決定した。例えば、実験例5では、ペレット100個中約80個が色変化を示した。ペレット温度は、赤外線温度ゲージを使用して表面を基準に決定した。ペレットが「全体として」結晶化した程度は、各ペレットが個々の構造を通して十分に結晶質である状態を示す「全体」結晶化とともに、外部測定技術を使用して決定することはできなかった。しかしながら、実際に適用すると、PETエンドユーザの目的に対しては、ペレットは十分に結晶化していることが分かった。後の検査で少なくとも30−40%の結晶化を有効に証明することで、加熱/結晶化工程を追加する必要がない。
【0047】
100m/時の空気注入速度では、ペレットが前記実験で使用されたサイズを有するとき、PETポリマーペレットが乾燥機を離れる最小温度が135℃であることが好ましい。しかしながら、小さいサイズのPETペレットが作られ、空気注入速度を増加すると仮定すると、低い出口温度で適切な結晶化が得られる。
【0048】
第2実験装置
ガラ水中ペレタイザーモデル番号A5PAC6とガラモデル12.2ECLNBF遠心乾燥機を使用した図1に示すような総合的水中造粒システムにより、図3に示す配置で、溶解PETポリマーを連続的に押し出した。溶解温度は約265℃であり、造粒機102のカッターブレード速度は2500から4500RPMの間で変化させた。ダイプレートはPETポリマー用とした。異なるペレットサイズでも動作できるようにするために、ダイホール径と大ホール速度はカッター速度とともに変化させた。
【0049】
スラリーライン116の管は、標準の1.5インチ管で、長さは4.5mとした。遠心乾燥機108の速度は実験中は一定に維持し、乾燥機108を通る対向空気流れも実験中は一定に維持した。振動ユニット84を使用し、乾燥機を出るペレットを受け止めた。
【0050】
ノズル又は弁120への空気注入流量は、表2に示すように、0から最大175m/時まで変化させ、水流とペレットサイズも変化させた。
【0051】
第2実験装置のパラメータと結果は表2の通りであった。
【0052】
【表2】

【0053】
試料10と11は、試料10が175m/時で空気注入を行い、試料11が空気注入を行わない以外は、同じ条件で行った。同様に、試料12と試料13、試料14と試料15は、空気注入を除いて同じ条件で行った。試料16,17,18は、空気注入せずに有効に処理するためにペレットサイズを小さくしているために、空気以外は類似した試験ではない。
【0054】
第2試験装置の結果から、特に、大多数の場合における顧客の目標である0.015g/ペレット以下のペレット重量を達成するときに、空気注入法が結晶ペレットを維持するのに必須であることが明確に分かった。最小出口温度が必要であるとの結論は、ここに組み入れる同時継続の米国出願第10/717530号において要約されているが、その結論が得られた第1試験装置に比べて、第2実験装置の結果により、所望の結晶質を達成するための空気注入速度の意義が明確になった。
【0055】
表2の右から第3欄、第2欄、右端欄に記載のように、ペレット温度、結晶度グレードのパーセントは、第1試験装置に関して説明したように、視覚検査と赤外線温度ゲージにより決定した。しかしながら、第1試験装置を実行した後、全体結晶度、結晶度グレードは硝酸カルシウム測定法を使用して測定することができることが分かった。右端欄はそのような評価の結果を示す。
【0056】
本発明による空気注入法を用いて、許容できる結晶質グレードの種々のサイズのPETペレットを製造することができる。空気がペレットに十分に高速で注入されれば、0.008g/ペレットのような小さいペレット重量でも可能である。これと対照的に、極めて短い管長と非常に高速の水流量を使用するものを含む造粒技術の従来の運転装置を使用すると、あるパーセント例えば約10−12%の結晶度ペレットのみを製造することができる。しかしながら、これらの製造ペレットは、約6.9%から35.6%の結晶度の著しい変動がある。このペレット内の限定された均質性の程度は受け入れられない。さらに、ペレットサイズが0.012g/ペレット以下に減少されれば、本発明の空気注入法によってのみ、100%のペレットが少なくとも結晶度グレード35%に結晶化された州立を得ることができた。35%以上の結晶度グレードのPETは、固体状態化処理(Solid State Process; SSP)に十分に結晶質であり、PETエンドユーザに受け入れられることが分かった
【0057】
上に要約したように、第1、第2試験装置はそれぞれ100m/時と175m/時の空気流量で行った。水流量とペレット割合の変化により必要であれば、200m/時又はそれより早いオーダーの空気速度も採用することができる。
【0058】
本発明は特にPETポリマーの水中造粒に適用可能であるが、高温で結晶化したり、高温にさらされると熱を保持する他のポリマーも本発明に適している。このようなポリマーは、あるグレードの熱可塑性ポリウレタン(TPU)、PETポリマー及び/又はPET混合物を含む。
【0059】
以上は本発明の原理を示すものであると考えられている。多くの修正や変更が当業者に容易になされるので、本発明を図示され説明された構成や作用に限定することは望ましくない。従って、全ての適切な修正や均等物は本発明の範囲に入る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】アメリカ合衆国バージニア州イーグルロックにあるガラインダストリーズインコーポレーテッド(「ガラ」)により製造され販売された水中造粒機及び遠心乾燥機を含み、本発明による空気注入器及び振動コンベヤを備えた水中造粒システムの概略図。
【図2A】図1の振動コンベヤのそれぞれ側面,端面の概略図。
【図2B】図1の振動コンベヤのそれぞれ側面,端面の概略図。
【図3】工程ラインが遮断されたときにバイパスモード中における図1の水中造粒システムのある部品を示す。
【図4】本発明により造粒機から乾燥機へのスラリーラインに空気(又はガス)を注入する好ましい方法及び装置を示す概略図。
【図5】本発明により造粒機から乾燥機へのスラリーラインに空気(又はガス)を注入する好ましい方法及び装置であって、スラリーラインにボール弁を備えた方法及び装置を示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PETポリマーをペレットに加工する方法において、
PETポリマーのストランドをダイホールに通して水中造粒機に押し出し、
前記水中造粒機内で前記PETポリマーのストランドをペレットに切断し、
前記水中造粒機から出たPETポリマーを水流を使用して乾燥機に搬送し、前記水流に高速ガスを注入して、前記乾燥機への及び前記乾燥機からのペレットの速度を向上し、
前記ペレットが結晶化を開始するのに十分な熱を保持する間に前記ペレットを振動装置に通す方法。
【請求項2】
前記PETペレットは約135℃以上の平均温度で前記乾燥機から出し、前記ガスは少なくとも100m/時の速度で注入する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PETペレットは約125℃以上の平均温度で前記乾燥機から出し、前記ガスは少なくとも175m/時の速度で注入する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加圧ガスは100−175m/時の速度の空気である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加圧ガスは前記水流とほぼ一致するように前記水流に注入する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
PETポリマーをペレットに加工する装置において、
押し出されたPETポリマーストランドをペレットに切断する水中造粒機と、
水を前記造粒機に導入する配管と、
前記造粒機から出た水とペレットのスラリーを、前記PETペレットを乾燥する遠心乾燥機に輸送するスラリーラインと、
前記水とペレットのスラリーにペレット速度促進手段を導入して、前記加工装置を通るペレットの速度を増加する注入器と、
前記乾燥機から出力されるペレットを受け止める造粒機後方装置とからなり、
前記ペレットは結晶化を開始するのに十分な内部熱をもって前記乾燥機から出る装置。
【請求項7】
前記ペレット速度促進手段は100−175m/時の速度で移動する不活性ガスである請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記造粒機後方装置は前記ペレットを結晶化中に移動状態に維持する振動装置である請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記造粒機後方装置は断熱容器である請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記スラリーラインの一部は直線で、30°から60°の角度で上方に傾斜している請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記スラリーラインは直線部を有し、前記ガス注入器は前記直線部の始端で前記内部ガスを導入し、前記装置内で前記ペレットの滞留時間を調整するのに役立つボール弁を有する請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記ガス注入器は前記不活性ガスを前記スラリーラインの直線部の長手軸とほぼ一致するように前記水とペレットのスラリーに導入する請求項11に記載の装置。
【請求項13】
高温結晶化ポリマー材料をペレットの加工する方法において、
高温結晶化ポリマー材料をストランドに押し出し、
押出されたストランドを冷却しペレットに切断し、
高速不活性ガスが注入された水流を使用して前記ペレットを輸送し、外部熱を付与することなく前記ポリマー材料の結晶化を開始するのに十分な熱を前記ペレットが保持する程度に、前記ペレットの結晶化処理時間を減少する蒸気ミストを形成し、
前記ペレットを振動コンベヤに通し、ここで前記ペレットが前記結晶化を受けている間に押し合うようにする方法。
【請求項14】
前記ペレットを断熱容器に設置し、所望の結晶化を完成する工程をさらに有する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記材料はPETポリマーを含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記不活性ガスは前記ペレットに注入し、前記水流は100m/時以上の速度である請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記注入ガスは、ガスペレットと水蒸気ミストの混合物を形成し、該混合物は前記空気注入の下流の弁機構によって調整する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ペレット速度をさらに調整するために前記注入器の下流に弁機構をさらに有する請求項6に記載の装置。
【請求項19】
PETポリマーをペレットに加工する方法において、
前記PETポリマーのストランドをダイプレートに通して水中造粒器に押し出し、
前記PETポリマーストランドを前記造粒機においてペレットに切断し、
前記造粒機を出たPETペレットを水流を使用して乾燥機に輸送し、高速ガスを前記水流に注入して、前記乾燥機への及び乾燥機からの前記ペレットの速度を増加し、
前記ガス注入後に前記ペレットの速度を調整する方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−512162(P2007−512162A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541301(P2006−541301)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/038219
【国際公開番号】WO2005/051623
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(500092365)ガラ・インダストリーズ・インコーポレイテッド (23)
【氏名又は名称原語表記】Gala Industries, Inc.
【Fターム(参考)】