説明

給紙台昇降制御装置

【課題】特別な装置を追加することなく、既存の装置構成としたまま、安価で、且つ安定した給紙性能を得る。
【解決手段】 給紙台121を昇降させる駆動部と、上部位置センサ401が上面位置を検出した時点における、駆動モータ351の駆動力の測定値を記憶する測定値記憶部335と、記憶された測定値に基づいて、駆動部の動作速度の切替タイミングを算出するタイミング算出部333と、駆動部の動作速度の遷移を設定する複数の遷移パターンと、駆動部の駆動経過時間とを対応づけて記憶する遷移パターン記憶部332とを備え、駆動制御部331は、算出された切替タイミングに対応した遷移パターンを読み出し、遷移パターンに従って給紙台121を上昇駆動させ、この上昇駆動により上部位置検出部334が検出した測定値を、次回の切替タイミングの算出用として測定値記憶部335に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙トレイ内に積載された記録媒体を搬送経路に供給して、記録媒体に対して印刷処理を行う画像形成装置の給紙台昇降制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置では、印刷に係る記録媒体を収納する給紙トレイが備えられており、この給紙トレイでは、定められたサイズの記録媒体の束が積載され、ピックアップローラ等の給紙機構により、積載された最上面の記録媒体をピックアップし、給紙トレイから搬送経路を経て画像形成部に送り出すようになっている。
【0003】
このような給紙トレイでは、給紙トレイ内の底部に配置された給紙台が、記録媒体の残量に応じて上下動する構造が一般的である。具体的には、給紙トレイ内では、記録媒体を搬送経路の供給位置の高さにまで給紙台を上昇させ、積載された最上面の記録媒体が、給紙手段により送り出される。そして、給紙動作が進むに伴い、給紙台を上昇させ、ピックアップローラによるピックアップ動作が可能な位置を維持している。
【0004】
ここで、給紙動作に際し、給紙台を上昇させる駆動力が一定の場合、給紙台に積載された記録媒体量の重量によって上昇速度が変化し、安定した駆動ができないという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、上昇する給紙台にかかる負荷を検出し、給紙台に積載された記録媒体の積載量に対応して、給紙動作開始時の上昇速度を制御する技術がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−138914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、単に給紙台に係る負荷に応じて駆動力を一定に制御するものであることから、その速度が高速のまま一定速度で給紙位置まで給紙台を上昇させると、慣性力によって目的の位置をオーバーランする可能性があり、この慣性力によって給紙機構に過度な衝撃がかかる惧れがある。このため、この特許文献1に開示された技術では、給紙台の上昇時に発生する過度な衝撃に耐えうるよう給紙機構を頑強に設計したり、給紙台の重量計測器等の装置を追加する必要が生じ、製造コストの増大や、装置の大型化・複雑化の原因ともなる。
【0008】
そこで、本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、給紙台を既存の装置構成としたまま、安価で、且つ安定した給紙性能を得ることができる画像形成装置の給紙台昇降制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、記録媒体が積載される給紙台と、給紙台上に積載された記録媒体の上面位置を検出する上部位置検出部と、給紙台を昇降させる駆動部と、駆動部の動作を制御する駆動制御部と、上部位置検出部が上面位置を検出した時点における、駆動部の駆動力の測定値を記憶する測定値記憶部と、記憶部に記憶された測定値に基づいて、駆動部の動作速度を変化させる切替タイミングを算出するタイミング算出部と、駆動部の動作速度の遷移を設定する複数の遷移パターンと、駆動部の駆動経過時間とを対応づけて記憶する遷移パターン記憶部とを備え、駆動制御部は、タイミング算出部によって算出された切替タイミングに対応した遷移パターンを読み出し、読み出した遷移パターンに従って、駆動部を制御し、給紙台を上昇駆動させ、この上昇駆動により上部位置検出部が検出した測定値を、次回の切替タイミングの算出用として測定値記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0010】
このような発明によれば、駆動部の動作速度の遷移を設定する複数の遷移パターンに従って、駆動部の動作速度を変化させるので、給紙動作の当初は高速に給紙台を移動させ、記録媒体が給紙位置で停止する直前に、給紙台の上昇を減速させることができる。この遷移パターンは、上部位置検出部が前回検出した測定値に基づいて算出されたタイミングに合致したものが選択されて読み出されることから、給紙動作の進行に伴って変化する記録媒体の積載重量に追従させて、安定した給紙動作を行うことができる。
【0011】
また、他の発明は、記録媒体が積載される給紙台と、給紙台上に積載された記録媒体の上面位置を検出する上部位置検出部と、給紙台を昇降させる駆動部と、駆動部の動作を制御する駆動制御部とを備え、駆動制御部は、駆動部の動作速度を変化させる時間関数に従って、駆動部を制御し、給紙台を上昇駆動させることを特徴とする。
【0012】
このような発明によれば、駆動制御部は、駆動部の動作速度を予め定めた時間関数に従って制御することにより、給紙動作の進行に伴って変化する記録媒体の積載重量に追従させて、安定した給紙動作を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、これらの発明によれば、記録媒体が積載される給紙台から記録媒体を供給する画像形成装置において、給紙台に積載された記録媒体の積載量を測定する機器など特別な装置を追加することなく、既存の装置構成としたまま、安価で、且つ安定した給紙性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る印刷装置における印刷用紙搬送経路の概要を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る給紙機構の概略構成を示す側面図である。
【図3】実施形態に係る印刷装置内に備えられている給紙トレイを示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る給紙機構に係る上部位置センサと駆動モータの動作の有無を示す説明図である。
【図5】第1実施形態に係る演算処理部の給紙機構に係るモジュール及び周囲のモジュールとの関係を示すブロック図である。
【図6】(a)は、第1実施形態に係る駆動力の設定パターンの遷移図を示すグラフ図であり、(b)は、第2実施形態に係る時間関数を示すグラフ図である。
【図7】第1実施形態に係る給紙制御の概要を示すフローチャート図である。
【図8】第1実施形態にかかる給紙制御の前置計測を示すフローチャート図である。
【図9】第2実施形態に係る演算処理部の給紙機構に係るモジュール及び周囲のモジュールとの関係を示すブロック図である。
【図10A】(a)は、従来における駆動力の制御電流の遷移を示すグラフ図であり、(b)は、従来制御における給紙台の移動速度を示すグラフ図であり、(c)は、従来制御における給紙台の給紙位置からのズレ量を示すグラフ図である。
【図10B】(a)は、第1実施形態における駆動力の制御電流の遷移を示すグラフ図であり、(b)は、給紙台の移動速度を示すグラフ図であり、(c)は、給紙台121の給紙位置からのズレ量を示すグラフ図である。
【図10C】(a)は、第2実施形態における駆動力の制御電流の遷移を示すグラフ図であり、(b)は、給紙台の移動速度を示すグラフ図であり、(c)は、給紙台の給紙位置からのズレ量を示すグラフ図である。
【図11】第1実施形態における切替タイミングの設定条件に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
(印刷装置の全体構成)
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る印刷装置100における印刷用紙搬送経路の概要を示す図である。本実施形態では、印刷装置100は、多数のノズルが形成されたインクヘッドを複数備え、それぞれのインクヘッドから黒又はカラーインクを吐出してライン単位で印刷を行い、搬送ベルト160上の記録用紙上に複数の画像を互いに重なり合うように形成するインクジェット方式のラインカラープリンタを例に説明する。
【0016】
図1に示すように印刷装置100は、環状の搬送経路上を搬送される用紙表面に画像を形成する装置であり、搬送経路は、用紙を供給する給紙系搬送路FRと、この給紙系搬送路FRからヘッドユニット110を経て排紙経路DRへ至る通常経路CRと、通常経路CRに分岐接続された反転経路SRとから概略構成されている。
【0017】
給紙系搬送路FRにおいて、サイド給紙トレイ120、給紙トレイ130(130a、130b、130c、130d)のいずれかの給紙機構から給紙された記録媒体10は、記録媒体10の先頭部分の基準位置であるレジスト部Rに導かれる。レジスト部Rの搬送方向側には、複数の印字ヘッドを備えたヘッドユニット110が設けられており、記録媒体10は、ヘッドユニット110の対向面に設けられた搬送ベルト160によって印刷条件により定められる速度で搬送されながら、各印字ヘッドから吐出されたインクによりライン単位で画像形成される。
【0018】
搬送ベルト160は、通常経路CRにおいて、ヘッドユニット110に対向する面の前端及び後端に配設された従動ローラ161及び駆動ローラ162に掛け渡されて回転移動する。また、搬送ベルト160の上面には、そのベルト移動方向に沿って、4色のインクヘッドが並べて配置され、複数の画像を互いに重なり合うようにしてカラー画像を形成するヘッドユニット110が対向配置されている。
【0019】
そして、印刷済みの記録媒体10は、さらに、ローラ等の駆動機構によって通常経路CR上を搬送される。記録媒体10の片側の面のみに印刷を行う片面印刷の場合は、そのまま排紙経路DRを経て、排紙口140に導かれて排紙され、排紙口140の受台として設けられた排紙台150に印刷面を下にして積載されていく。
【0020】
一方、記録媒体10の両面に印刷を行う両面印刷の場合は、印刷終了時には排紙経路DR側に導かれずに、さらに筐体内を搬送され、反転経路SRに送出される。この排紙経路DRと反転経路SRとの分岐点には、裏面印刷用に搬送路を切り替えるための切替機構170が設けられており、切替機構170によって排出経路へ送出されなかった記録媒体10は、反転経路SRに引き込まれる。
【0021】
この反転経路SRでは、通常経路CRから用紙が受け渡され、用紙を往復させることにより用紙の表裏を反転させる、いわゆるスイッチバックを行う。そして、ローラ等の駆動機構によって、切替機構172を経由して通常経路CRに戻され、レジスト部Rを経て再給紙され、表面と同様の手順によって裏面の印刷が行われる。
【0022】
なお、印刷装置100には、演算処理部330が備えられている。この演算処理部330は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、画像データに関する処理や、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行う。また、この演算処理部330には、操作パネル340が接続されており、この操作パネル340を通じて、ユーザーによる指示や設定操作を受け付けることができる。
【0023】
(給紙機構)
本実施形態において、上記給紙系搬送路FRのサイド給紙トレイ120内には、本発明に係る給紙機構が備えられている。図2は、本実施形態にかかるサイド給紙機構の概略構成を模式的に示す側面図であり、図3は、その斜視図である。
【0024】
本発明に係る給紙機構は、給紙系搬送路FR中のサイド給紙トレイ120に設けられており、サイド給紙トレイ120内に積載された記録媒体10を、給紙系搬送路FRに送り出す機構である。具体的に、この給紙機構には、サイド給紙トレイ120と、サイド給紙駆動部220と、駆動モータ351と、下限位置センサ402と、上部位置センサ401とを備えている。また、サイド給紙トレイ120は、多数の記録媒体10を積層状態で収納する函体であり、このサイド給紙トレイ120には、給紙台121と、駆動力伝達部125とが設けられている。
【0025】
サイド給紙駆動部220は、サイド給紙トレイ120の上方に位置し、サイド給紙トレイ120に積層された記録媒体10を、レジスト部Rに送出するための駆動手段である。このサイド給紙駆動部220は、下流側のピックアップローラ220aと、上流側のピックアップローラ220bとから構成され、これらピックアップローラ220a及び220bは、回転軸222に軸支され、回転軸222から回転力が伝達されて回転駆動される。これらピックアップローラ220a及び220bは、積層された記録媒体10のうち、最上面の記録媒体10を1枚ずつピックアップして取り込み、レジスト部Rを経て、画像形成部に対して送出する。
【0026】
駆動モータ351は、給紙台121に取付けられ、その駆動力により給紙台121とともに上下動する自走式の駆動機構であり、演算処理部330の制御により、記録媒体10をピックアップ可能な給紙位置にまで上昇させる。駆動モータ351は、駆動力伝達部125(ピニオン125a及びラック125b)を介してサイド給紙トレイ120に駆動力を伝達させ、給紙台121とともに上下動し、給紙台121に積載された記録媒体10を昇降させる。
【0027】
給紙台121は、サイド給紙トレイ120内の底面に設けられ、記録媒体10を積載させる底板部材であり、本実施形態では、給紙経路の両側前方に三角形状の両側壁122,122を有し、この両側壁122,122によって積載された記録媒体10を規制している。
【0028】
また、この給紙台121の両側壁122の外側面には、駆動力伝達部125が設けられており、駆動力伝達部125を介して駆動モータ351の駆動力が給紙台121に伝達される。駆動力伝達部125は、駆動モータ351の回転力を、給紙台121の上下動に変換するラック・アンド・ピニオン部材である。
【0029】
具体的には、円形歯車であるピニオン125aと、ラック125bとを組み合わせた部材であり、ピニオン125a及びラック125bによって、駆動モータ351の駆動力による回転力が直線の動きに変換され、両側壁122とともに給紙台121が昇降する。この駆動力伝達部125の減速比によって、図3(b)に示すように、駆動モータ351の駆動力(発生トルク)Tmは、伝達効率ηに応じて、記録媒体の重量Mに対抗して給紙台121を上昇させる上昇力Fupに変換される。なお、この時のモータ軸の回転運動方程式は、次式で表される。
【数1】

【0030】
上式において、Tmo [N・m]は、静加重としてモータ軸に加わる負荷トルクであり、Jmは、モータの電機子慣性モーメント(モータ軸からみた慣性モーメントを無視した近似値)である。また、ωm [rad/Sec]は、モータの回転角速度である。なお、上記駆動トルクが負荷トルクよりも大きくなった(Tmo < Tmとなった)時点で、給紙台の上昇が開始される。
【0031】
上部位置センサ401は、ピックアップローラ220a,220bの上方に設置され、給紙台121に積載された記録媒体10の上面が最適な給紙位置の範囲内にあるかどうかを検出するセンサである。上部位置センサ401は、例えば、給紙台121上に積載された記録媒体10の有無を検出する反射型センサであり、本実施形態では、記録媒体10があるときON状態となり、記録媒体10がないときOFF状態となる。なお、上部位置センサ401としては、本実施形態では反射型センサとするが、この形態に限られるものではなく、例えば、透過型センサを使用するようにしてもよい。
【0032】
一方、下限位置センサ402は、サイド給紙トレイ120の下方に設置され、給紙台121の位置が下限位置にあるかどうかを検知するセンサである。
【0033】
(演算処理部の構成)
そして、本実施形態において、給紙台121の上下動作の制御は、上述した演算処理部330で行われる。特に、本実施形態では、給紙台121の上昇の移動速度を調整することで、印刷処理の動作状態に応じた上下動の制御を行う。
【0034】
図5は、演算処理部330の印刷処理及び給紙機構に係るモジュール及び周囲のモジュールとの関係を示すブロック図であり、図6は、駆動力の設定パターンの遷移図を示すグラフ図である。なお、説明中に用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0035】
図5に示すように、演算処理部330は、印刷処理に関するモジュールとして、画像処理部338と、印刷処理動作検出部337とを有している。この画像処理部338は、画像処理に特化したディジタル信号処理を行う演算処理装置であり、印刷の処理単位であるジョブデータを受信し、このジョブデータに含まれる印刷に必要な画像データの変換等を行い、印刷を実行するモジュールである。
【0036】
この画像処理部338は、ジョブデータを受信する通信インターフェースや、RGB印刷画像をCMYK印刷画像に変換する色変換回路、各色のインクヘッドの駆動及び搬送経路の駆動手段の動作を制御し、画像形成部341を通じて、画像形成処理全体を制御する画像形成制御機能が含まれる。この画像形成部341は、ヘッドユニット110や搬送経路の各駆動部の動作を制御し、画像形成を実行させるモジュールである。なお、この画像処理部338において印刷処理が実行されたときには、その処理動作を示す制御信号が、印刷処理動作検出部337に送出される。また、画像処理部338は、ジョブデータに含まれている画像処理に対する記録媒体10の種別を識別するモジュールであり、その情報を用紙種別取得部336へ通知する。
【0037】
用紙種別取得部336は、画像処理部338によって検出された、給紙に係る記録媒体10のサイズ、種類又は厚さ等の用紙種別データとして取得するモジュールである。そして、用紙種別取得部336は、印刷処理に際し、取得した用紙種別データを遷移パターン選択部333aに送信する。
【0038】
印刷処理動作検出部337は、画像処理部338から送出された制御信号に基づいて、印刷装置100における印刷処理の実行を検出するモジュールである。そして、印刷処理動作検出部337は、検出した印刷処理の実行状態を駆動制御部331に通知する。
【0039】
また、演算処理部330は、給紙機構に係るモジュールとして、駆動制御部331と、タイミング算出部333と、上部位置検出部334と、測定値記憶部335と、遷移パターン記憶部332とを備えている。
【0040】
上部位置検出部334は、給紙台上に積載された上部位置センサ401の検知結果に基づいて、給紙台上に積載された記録媒体10の上面位置を検出するモジュールであり、この検出された信号をタイミング算出部333に通知する。また、上部位置検出部334は、給紙台121の上昇によって検出された測定値を、次回の切替タイミングの算出用として測定値記憶部335に記憶させる。
【0041】
測定値記憶部335は、上部位置検出部334が上面位置を検出した時点における、駆動モータ351の駆動力の測定値を記憶するメモリ装置である。測定値記憶部335は、印刷動作毎に、前回の駆動モータ351の駆動力をタイミング算出部333に通知する。
【0042】
タイミング算出部333は、測定値記憶部335に記憶された測定値に基づいて、駆動モータ351の動作速度を変化させる切替タイミングを算出するモジュールである。具体的には、タイミング算出部333は、前回の給紙動作で上部位置検出部334が取得した駆動モータ351の駆動力を、測定値記憶部335から読み出し、この読み出した前回の測定値に基づいて、所定の係数計算を行い、切替タイミングを算出する。
【0043】
また、このタイミング算出部333には、遷移パターン選択部333aが備えられている。この遷移パターン選択部333aは、用紙種別取得部336からの用紙種別のデータと、タイミング算出部333が算出した切替タイミングに基づいて、給紙動作に最適な遷移パターンを遷移パターン記憶部332から選択して読み出すモジュールである。この読み出された遷移パターンは、駆動制御部331へ受け渡される。
【0044】
遷移パターン記憶部332は、駆動モータ351の動作速度の遷移を設定する複数の遷移パターンと、駆動モータ351の駆動経過時間とを対応づけて記憶するメモリ装置である。この遷移パターンは、本実施形態では、図6(a)に示すように、駆動力の時間あたりの変化率を示す第1の傾斜データと、第2の傾斜データとを連結したパターンとなっており、これらの傾斜データは、駆動力と時間遷移との関係を定義する関数であり、第1の傾斜データと、第2の傾斜データとが切替タイミングを特異点として連結され、この切替タイミングで駆動力の上昇率が変化されるようになっている。
【0045】
具体的に、本実施形態にかかる遷移パターンは、給紙台121を高速に移動させるべく、単位時間あたりの駆動力の上昇率を大きくした第一の傾斜データと、給紙台121を減速させるように、駆動力の上昇率を小さくした第2の傾斜データとを連結したパターンとなっている。また、切替タイミングは、前回(例えば、一枚前)の上限検出時制御量から、5%〜10%程度低減させた制御量の値になった時間であり、その時間に第1の傾斜データから第2の傾斜データに切り換える。
【0046】
なお、この遷移パターンは、記録媒体のサイズや紙質等の種別によって複数の種類が用意され、用紙種別に応じて適宜選択される。なお、この遷移パターンは、工場出荷時やメンテナンス時において、遷移パターン記憶部332に記憶させられる。
【0047】
駆動制御部331は、各搬送経路を駆動させる各駆動部や切替機構170など、印刷装置100内各機能の動作を制御するモジュールであり、特に、本実施形態においては、タイミング算出部333によって算出された切替タイミングに対応した遷移パターンが入力され、入力された遷移パターンに従って、駆動モータ351を制御し、給紙台121を上昇駆動させる。
【0048】
これにより、駆動制御部331は、図6(a)に示すように、給紙台121に大量の記録媒体10が積載されているときは、第一の傾斜による駆動力で、給紙台121を移動させ、給紙台121に積載された記録媒体10の最上面が、給紙位置に到達する直前(切替タイミング)において、第2の傾斜に従い、動作速度を変化させる。
【0049】
(給紙台の昇降動作)
上述した給紙台121の上昇動作は、上部位置センサ401により検知され、この検知の有無により、駆動モータが制御される。図4は、給紙機構に係る上部位置センサと駆動モータの動作の有無を示す説明図である。
【0050】
具体的には、給紙台121に積載された記録媒体10の最上面が、ピックアップ可能な位置にない場合は(P1)、上部位置センサ401からの上限位置信号はOFF状態となる。これに応じて、駆動モータ351に対する制御電流が上昇され、モータのトルクが、所定の値以上となった時点で、給紙トレイの位置遷移が開始される(P2)。すなわち、上述した数1で示した駆動トルク(Tm)が負荷トルク(Tmo)よりも大きくなった(Tmo < Tmとなった)時点で、給紙台の上昇が開始される。
【0051】
この給紙台121の上昇途中、タイミング算出部333によって算出された切替タイミングに対応した遷移パターンに従って、駆動モータ351を制御され、切替タイミング(P3)において、給紙台121の上昇速度が2段階に切り換えられる。すなわち、切替タイミング(P3)を境界として、単位時間あたりの駆動力の上昇率を大きくした第一の傾斜から、駆動力の上昇率を小さくした第2の傾斜データに遷移し、給紙台121の上昇速度を低下させる。
【0052】
次いで、給紙台121が上昇され、給紙台121に積載された最上面の記録媒体10が、ピックアップ可能な位置に移動した場合(P4)、上部位置センサ401がON状態となる。これに応じて、駆動モータ351に対する制御電流が遮断され、上昇速度が減少するとともに、上昇位置の遷移が停止される(P5)。このとき、負荷トルク(Tmo)が大きいほど、減速傾斜(減速加速度)が大きくなることから、記録媒体の積載量が大きいほど、直ちに停止する。
【0053】
その後、印刷動作が継続されると、給紙台121に積載された記録媒体10の最上面がピックアップローラ220a,220bに取り込まれ、記録媒体10は、搬送される。これにより、給紙台121に積載された記録媒体10の最上面では、搬送された記録媒体の厚み分(d)だけ間隙が生じ、上部位置センサ401がOFF状態となり(P6)、上述したP2〜P5と同様の動作が繰り返される(P7〜P10)。このようにして、印刷動作の進行に伴って、駆動モータ351が制御され、記録媒体10の給紙位置が維持される。
【0054】
(給紙機構の制御方法)
以上の構成を有する給紙制御機構を動作させることによって、本実施形態にかかる給紙制御方法を実施することができる。図7は、本実施形態に係る給紙制御の概要を示すフローチャート図であり、図8は、本実施形態にかかる給紙制御の前置計測を示すフローチャート図である。
【0055】
先ず、印刷指示がなされると、演算処理部330は、前回に給紙動作があるか否かを判断する(S101)。前回の給紙動作に関するデータが記憶されていない場合(S101における“N”)は、前置計測を行う(S112)。一方、前回に給紙動作があり、そのときのデータが記憶されている場合(S101における“Y”)は、直ちに給紙動作を開始する(S102)。
【0056】
給紙動作において、駆動制御部331は、先ず上部位置センサ401がOFF状態か否かを判断する(S103)。上部位置センサ401がOFF状態でない場合(S103における“N”)は、ループ処理によりその状態を維持し、給紙及び印刷処理を継続する。一方、ステップS103において、上部位置センサ401がOFF状態である場合(S103における“Y”)は、駆動制御部331は、給紙台121を第1の傾斜で上昇させる(S104)。このとき、駆動制御部331は、前回の駆動力の測定値に基づいて、タイミング算出部333が算出した切替タイミングに対応した遷移パターンを読み出し、駆動制御部331は、切替タイミングまで給紙台121を上昇させた後(S105)、切替タイミングで遷移パターンに従って、駆動モータ351を制御し、第1の傾斜から第2の傾斜へ遷移パターンの切替を行う(S106)。
【0057】
次いで、給紙台121が、第2の傾斜への遷移パターンで駆動されている状態において、駆動制御部331は、上部位置センサ401がON状態になるか否かを監視する(S107)。上部位置センサ401がON状態でない場合(S107における“N”)は、ループ処理により給紙台121の上昇動作を継続する。一方、上部位置センサ401がON状態となった場合(S107における“Y”)は、駆動制御部331は、その際の駆動モータ351の駆動力を取得し、測定値記憶部335へ保存すると同時に上昇動作を停止する(S108及びS109)。
【0058】
そして、設定印刷枚数が終了か否かを判断し(S110)、設定印刷枚数が終了していない場合(S110における“N”)は、次の給紙動作を開始する。このとき、タイミング算出部333は、第1の傾斜から第2の傾斜へ切り換える、切替タイミングの算出を、今回の給紙動作で取得した駆動力の測定値に基づいて算出する。一方、設定印刷枚数が終了している場合(S110における“Y”)は、駆動制御部331は、給紙台121を下降させ、下限位置センサ402が検知することで停止し、終了する(S111)。
【0059】
上述したステップS112における前置計測方法は、前回に印刷動作が行われていなかった場合に、給紙動作(S102)に先立って、以下の手順により、行われる。
【0060】
先ず、図8に示すように、駆動制御部331は、上部位置センサ401がOFF状態か否かを判断(S201)し、上部位置センサ401がOFF状態でない場合(S201における“N”)、駆動制御部331は、上部位置センサ401がOFF状態になるまで、給紙台121を下降させる(S202)。一方、上部位置センサ401がOFF状態である場合(S201における“Y”)は、駆動制御部331は、給紙台121の下降動作中であれば、それを停止して静止状態とし(S203)、第1の傾斜で給紙台121の上昇動作を開始する(S204)。
【0061】
次いで、給紙台121が上昇動作を行っている状態で、駆動制御部331は、上部位置センサ401がON状態か否かを判断する(S205)。上部位置センサ401が、ON状態でない場合(S205における“N”)は、駆動制御部331は、上昇動作を継続する。一方、上部位置センサ401がON状態となった場合(S205における“Y”)、駆動制御部331は、その際の駆動モータ351の駆動力を取得し、測定値記憶部335へ保存すると同時に上昇動作を停止する(S206及びS207)。そして、前置測定を終了し(S209)、給紙動作を開始する(図7におけるステップS102)。
【0062】
これにより、次回の給紙動作において、タイミング算出部333は、第1の傾斜から第2の傾斜への切替タイミングを、今回の給紙動作で取得した測定値に基づいて算出することができる。したがって、遷移パターンを用いた給紙台121の駆動制御を、1枚目の給紙動作においても実行することができ、給紙位置のバラツキが少ない給紙台制御を行うことができる。
【0063】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、駆動制御部331は、給紙動作において、前回の上部位置センサ401による検出結果に基づいて、遷移パターンを読み出し、遷移パターンにより、動作速度を変化させるので、上昇動作の開始時点では高速に給紙台を移動させ、記録媒体10が給紙位置に到達する直前に、給紙台121を低速にさせることができる。これにより、給紙動作の進行に伴い、積載された記録媒体の最上面位置を一定の範囲内に保持することができ、安定した給紙動作を行うことができる。
【0064】
図10A及び図10Bに、従来制御と、本実施形態に係る制御との比較を示す。図10A(a)は、従来における駆動力の制御電流の遷移を示すグラフ図であり、図10A(b)は、従来制御における給紙台の移動速度を示すグラフ図であり、図10A(c)は、従来制御における給紙台の給紙位置からのズレ量を示すグラフ図である。また、図10B(a)は、本実施形態における駆動力の制御電流の遷移を示すグラフ図であり、図10B(b)は、給紙台121の移動速度を示すグラフ図であり、図10B(c)は、給紙台121の給紙位置からのズレ量を示すグラフ図である。
【0065】
なお、図10A及びB(a)の縦軸は、駆動モータの制御電流を示し、図10A及びB(b)の縦軸は、給紙台121の移動速度を示し、図10A及びB(c)の縦軸は、給紙位置からの偏差距離を示しており、これらの横軸は、制御開始からの時間経過を示している。
【0066】
給紙トレイの上昇制御では、例えば、記録媒体10の厚さを0.1mmとしており、給紙トレイが給紙位置から0.1mmを超えて上昇される場合は、オーバーランとなる。図10Aに示すように、単に時間経過に比例させて、モータの制御電流を上昇させる従来の制御では、積載用紙重量が軽い場合には、上限位置までの到達時間も短いが、軽い分上昇速度も速くなり、結果的に許容範囲外のオーバーラン量となる。
【0067】
第1実施形態に係る制御では、図10Bに示すように、切替タイミングの前後で、駆動力の上昇率を2段階に変化させるため、積載用紙重量が軽い場合であっても、上限位置までの到達直前で減速され、許容範囲内のオーバーラン量となる。
【0068】
詳述すると、上記切替タイミングは、例えば、図11(a)及び(b)に示すように、その時点での記録媒体の積載量に伴う負荷トルクに応じて、所定の範囲内となるように、条件を設定することができる。なお、図11(a)は、ある瞬間の積載量における負荷トルクを基準とした場合を例示しており、その瞬間における切替タイミングの設定条件を示している。
【0069】
具体的には、設定条件1により定まる切替タイミングT1を下限値とし、設定条件2により定まる切替タイミングT2を上限値とし、これらT1とT2との間が切替タイミングを設定可能な範囲(切替タイミング設定範囲)となる。この設定条件1及び2は、トルク制御量が負荷トルク以上となり給紙トレイが動き出すタイミングの前後に設定され、そのときのトルク制御量から、切替タイミングの下限値(最も早い)、上限値(最も遅い時間)を算定するための条件である。
【0070】
設定条件1は、最小のトルク制御量から、第2の傾斜データに切り換えるまでの最短時間(最も早い時間)を求めるものであり、その時点の積載量に応じた負荷トルクよりも小さい制御量とし、負荷トルク以上の制御トルクになるまでに時間が長くなるようにする。この結果、給紙トレイは、上記数1に従って減速し、次の給紙時においては、上限が検出される位置に到達する前に停止する。
【0071】
設定条件2は、最大のトルク制御量から、第2の傾斜データに切り換えるまでの最長時間(最も遅い時間)を求めるものであり、その時点の積載量に応じた負荷トルクよりも大きい制御量とし、第1の傾斜データ中に負荷トルク以上のトルク制御量が含まれるようにする。この結果、給紙トレイは、上記数1に従って減速するものの、加速度が大きくなりオーバーラン量が大きくなる。
【0072】
このような範囲内で切替タイミングを設定することにより、図11に示すように、各傾斜データの設定値に多少の幅を持たせても、積載量の変化に伴い、そのパターンが平行移動するのみで、移動速度、加速度、オーバーラン量、上限検出時における制御量は一定の比率となり、トレイの駆動動作を給紙動作の周期に追従させることができ、許容範囲内のオーバーラン量とすることができる。
【0073】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、給紙台制御を、前回の給紙時における測定値に基づいて切替タイミングを算出し、これに応じた遷移パターンを用いて給紙トレイの昇降制御を行ったが、この第2実施形態では、動作速度を変化させる時間関数に従って駆動モータ351を制御することを要旨とする。図9は、本変更例に係る演算処理部の給紙機構に係るモジュール及び周囲のモジュールとの関係を示すブロック図である。なお、本実施形態において、上述した実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0074】
図9に示すように、本実施形態では、上述したタイミング算出部333や、遷移パターン選択部333a、測定値記憶部335、遷移パターン記憶部332に替えて、時間関数演算部339が設けられている。
【0075】
この時間関数演算部339は、本実施形態では、駆動制御部331に備えられており、図6(b)に示すような、動作速度を変化させる時間関数に従って、駆動モータ351を制御し、給紙台121を上昇駆動させるモジュールである。この時間関数は、時間経過と、駆動力の制御量との関係を定義する指数関数であり、本実施形態では、三乗関数である。具体的には、上部位置センサ401がOFFの状態で、給紙台121の上昇が開始され、上部位置センサ401がONの状態となり、ブレーキにより上昇動作が停止されるまでの時間Tにおける駆動力の変化を定義している。なお、この時間関数は、用紙種別に応じて複数用意されており、用紙種別取得部336からの記録媒体10の種別データが入力され、適宜時間関数が選択される。
【0076】
また、駆動制御部331には、上部位置検出部334からの検出信号が入力され、上部位置センサ401がOFFで上昇動作を開始し、上部位置センサ401がONで上昇動作を停止する。
【0077】
(作用・効果)
本実施形態によれば、駆動制御部331は、駆動モータ351の動作速度を予め定めた時間関数に従って制御するので、給紙台121に積載された記録媒体10に応じた最適の動作速度で給紙台121の上昇を制御することができる。
【0078】
詳述すると、駆動制御部331は、駆動モータ351の駆動経過時間Tに応じて駆動部の動作速度を変化させるので、給紙台121に積載された記録媒体10の積載量が多い場合は、その加重が大きくなり、給紙台121の上昇にトルクが必要となり、駆動経過時間が長くなる。時間関数は二次曲線的に上昇させるように定義していることから、駆動経過時間Tが長くなるにつれて、駆動モータ351駆動力が増大される。ここで、記録媒体10の積載量が多い場合は、その加重により、上昇速度が上がり過ぎることはなく、適度な速度で積載用紙の給紙位置に到達させることができる。
【0079】
一方、給紙台121に積載された記録媒体の積載量が少ない場合は、その加重が小さくなり、給紙台121の上昇における駆動経過時間Tnは、Tよりも短くなる。時間関数は二次曲線的に上昇させるように定義していることから、駆動経過時間Tnが短くなるにつれて、駆動モータ351駆動力は小さくてすむ。ここで、記録媒体10の積載量が少ない場合は、その加重が小さいため、上昇速度が上がりやすくなるが、その分、短時間で給紙位置に到達することから、上昇速度が上がり過ぎることはなく、適度な速度で積載用紙の給紙位置に到達させることができる。
【0080】
図10A及び図10Cに、従来制御と、本実施形態に係る制御との比較を示す。図10A(a)は、従来における駆動力の制御電流の遷移を示すグラフ図であり、図10A(b)は、従来制御における給紙台の移動速度を示すグラフ図であり、図10A(c)は、従来制御における給紙台の給紙位置からのズレ量を示すグラフ図である。また、図10C(a)は、本実施形態における駆動力の制御電流の遷移を示すグラフ図であり、図10C(b)は、給紙台121の移動速度を示すグラフ図であり、図10C(c)は、給紙台121の給紙位置からのズレ量を示すグラフ図である。
【0081】
なお、図10A及びC(a)の縦軸は、駆動モータの制御電流を示し、図10A及びC(b)の縦軸は、給紙台121の移動速度を示し、図10A及びC(c)の縦軸は、給紙位置からの偏差距離を示しており、これらの横軸は、制御開始からの時間経過を示している。
【0082】
給紙トレイの上昇制御では、上述した第1実施形態と同様に、例えば、記録媒体10の厚さを0.1mmとしており、給紙トレイが給紙位置から0.1mmを超えて上昇される場合は、オーバーランとなる。図10Aに示すように、単に時間経過に比例させて、モータの制御電流を上昇させる従来の制御では、積載用紙重量が軽い場合には、上限位置までの到達時間も短いが、軽い分上昇速度も速くなり、結果的に許容範囲外のオーバーラン量となる。
【0083】
第2実施形態に係る制御では、図10Cに示すように、記録媒体10の積載量が多い場合は、その加重が大きくなり、駆動経過時間Tが長くなるため、時間関数に従って、駆動モータ351駆動力が増大される。このとき、記録媒体10の積載量が多くても、その加重により、上昇速度が上がり過ぎることはなく、許容範囲内のオーバーラン量となる。一方、記録媒体10の積載量が少なくなるにつれ、その加重が小さくなり、駆動経過時間が短くなるため、時間関数に従って、駆動モータ351駆動力が低減される。このとき、記録媒体10の積載量が少なく、上昇速度が上がりやすくても、経過時間が短くなることにより、上昇速度が上がり過ぎることはなく、許容範囲内のオーバーラン量となる。
【符号の説明】
【0084】
CR…通常経路
DR…排紙経路
FR…給紙系搬送路
R…レジスト部
SR…反転経路
10…記録媒体
100…印刷装置
110…ヘッドユニット
120…サイド給紙トレイ
121…給紙台
122,122…両側壁
125…駆動力伝達部
130…給紙トレイ
140…排紙口
150…排紙台
160…搬送ベルト
161…従動ローラ
162…駆動ローラ
170,172…切替機構
220…サイド給紙駆動部
330…演算処理部
331…駆動制御部
332…遷移パターン記憶部
333…タイミング算出部
333a…遷移パターン選択部
334…上部位置検出部
335…測定値記憶部
336…用紙種別取得部
337…印刷処理動作検出部
338…画像処理部
339…時間関数演算部
340…操作パネル
341…画像形成部
351…駆動モータ
401…上部位置センサ
402…下限位置センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が積載される給紙台と、
前記給紙台上に積載された前記記録媒体の上面位置を検出する上部位置検出部と、
前記給紙台を昇降させる駆動部と、
前記駆動部の動作を制御する駆動制御部と、
前記上部位置検出部が前記上面位置を検出した時点における、前記駆動部の駆動力の測定値を記憶する測定値記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記測定値に基づいて、前記駆動部の動作速度を変化させる切替タイミングを算出するタイミング算出部と、
前記駆動部の動作速度の遷移を設定する複数の遷移パターンと、前記駆動部の駆動経過時間とを対応づけて記憶する遷移パターン記憶部と
を備え、前記駆動制御部は、前記タイミング算出部によって算出された切替タイミングに対応した遷移パターンを読み出し、読み出した前記遷移パターンに従って、前記駆動部を制御し、前記給紙台を上昇駆動させ、この上昇駆動により前記上部位置検出部が検出した測定値を、次回の切替タイミングの算出用として前記測定値記憶部に記憶させる
ことを特徴とする給紙台昇降制御装置。
【請求項2】
記録媒体が積載される給紙台と、
前記給紙台上に積載された前記記録媒体の上面位置を検出する上部位置検出部と、
前記給紙台を昇降させる駆動部と、
前記駆動部の動作を制御する駆動制御部と
を備え、前記駆動制御部は、前記駆動部の動作速度を変化させる時間関数に従って、前記駆動部を制御し、前記給紙台を上昇駆動させる
ことを特徴とする給紙台昇降制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−260689(P2010−260689A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112890(P2009−112890)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】