説明

給紙装置及び画像形成装置

【課題】画像形成装置に備えられた給紙装置への用紙補給時において、用紙補給作業の作業性を向上し、ユーザの負担を軽減する。
【解決手段】用紙積載手段と、積載された用紙の最上部から順次用紙を画像形成装置に搬送する用紙搬送手段と、用紙積載手段及び用紙搬送手段を収容すると共に用紙補給口が設けられた収容手段とを備え、用紙積載手段への用紙補給時において用紙補給口が開閉操作される一方、用紙積載手段の下降動作制御が行われる給紙装置であって、用紙補給動作への移行指示の入力を受けて操作信号を出力する操作手段と、用紙補給口が閉じられたことを検出して検出信号を出力する検出手段と、操作信号及び検出信号に基づく画像形成装置の指示の下、用紙補給時における用紙積載手段の下降動作及び用紙搬送手段による用紙搬送動作の制御を行なう用紙補給動作制御手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子書類を大量に印刷したり、印刷済みの書類を大量に複写するような環境で使用される印刷機または複写機等の画像形成装置の中には、数千枚にも及ぶ大量の用紙を収容且つ供給可能な大容量給紙装置(LCT:Large Capacity Tray)を備えるものがある(例えば下記特許文献1、2参照)。このような大容量給紙装置は、最大用紙積載量に基づいて設定された上限位置と下限位置との間を昇降自在に設けられた用紙トレイ(用紙積載手段)と、当該用紙トレイに積載された用紙の最上部から順次用紙を画像形成装置に搬送する用紙搬送手段とを備えており、用紙トレイの上昇動作と用紙の搬送動作とを同期制御することで、連続的な給紙を実現している。
【0003】
上記大容量給紙装置において、用紙が無くなった場合、ユーザによって用紙を補給する必要がある。通常、1回当たりの用紙補給枚数(例えば500枚)が予め規定されており、用紙補給時には、まず用紙トレイが上限位置から500枚分の用紙が積載可能な位置まで下降する。そして、ユーザによって500枚分の用紙が用紙トレイに積載されると、500枚分だけ用紙トレイはさらに下降し、ユーザによって次の500枚分の用紙が積載されると、さらに500枚分だけ用紙トレイは下降する。このような用紙補給動作を繰り返すことにより、最終的に用紙トレイは下限位置まで下降し、最大用紙積載量の用紙が積載されることになる。上記用紙補給枚数は、包装されている用紙の1セット分の枚数と同一になるように規定されている。
【特許文献1】特開平5−170340号公報
【特許文献2】特開平10−316250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大容量給紙装置から画像形成装置への給紙動作中において、当該大容量給紙装置に用紙を補給する場合、ユーザは以下のような操作を行う必要がある。まず、ユーザは、画像形成装置の操作部に設けられた用紙補給用の割込みキーを押下する。割込みキーが押下されると、画像形成装置は画像形成動作及び大容量給紙装置による給紙動作を中断させる。そして、ユーザは大容量給紙装置側の用紙補給口を開いて用紙を補給した後、用紙補給口を閉じ、画像形成装置の操作部に設けられた割込み終了キーを押下する。割込み終了キーが押下されると、画像形成装置は画像形成動作及び大容量給紙装置による給紙動作を再開させる。
【0005】
一般的に外付けの大容量給紙装置は、画像形成装置の側面に連結されていることが多いため、上記のような一連の用紙補給作業を行う場合、ユーザは、画像形成装置と大容量給紙装置との間を往復移動しなければならず、作業性が悪いという問題があった。この問題は、装置サイズが大型である程、より顕著に発生していた。また、画像形成装置の内部に大容量給紙装置を備えるような場合であっても、上記のような多くの操作を要求する用紙補給作業は、ユーザにとって負担となっていた。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、画像形成装置に備えられた給紙装置への用紙補給時において、用紙補給作業の作業性を向上し、ユーザの負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、給紙装置に係る第1の解決手段として、昇降自在に設けられた用紙積載手段と、当該用紙積載手段に積載された用紙の最上部から順次用紙を画像形成装置に搬送する用紙搬送手段と、前記用紙積載手段及び用紙搬送手段を収容すると共に用紙補給口が設けられた収容手段とを備え、前記用紙積載手段への用紙補給時において、前記用紙補給口が開閉操作される一方、前記用紙積載手段の下降動作制御が行われる給紙装置であって、用紙補給動作への移行指示の入力を受け、当該入力を示す操作信号を出力する操作手段と、前記用紙補給口が閉じられたことを検出して検出信号を出力する検出手段と、前記操作信号及び前記検出信号に基づく画像形成装置の指示の下、用紙補給時における前記用紙積載手段の下降動作及び前記用紙搬送手段による用紙搬送動作の制御を行なう用紙補給動作制御手段とを具備する、という手段を採用する。
【0008】
また、本発明では、給紙装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記操作手段は、前記用紙補給動作への移行指示の入力操作として、用紙補給口を開く操作が行われた場合に、前記操作信号を出力することを特徴とする請求項1記載の給紙装置。
【0009】
また、本発明では、給紙装置に係る第3の解決手段として、上記第1または2の解決手
段において、用紙補給時において、前記用紙積載手段の位置に基づいて用紙補給可能であることを報知する報知手段を備えることを特徴とする。
【0010】
一方、本発明では、画像形成装置に係る第1の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段を有する給紙装置と、当該給紙装置から搬送される用紙を用いて画像形成を行なう画像形成手段と、当該給紙装置から前記操作信号が入力された場合、前記給紙装置による給紙動作中か否かを判定し、当該給紙動作中であった場合、前記画像形成手段による画像形成動作及び前記給紙装置の用紙搬送手段による用紙搬送動作を中断させる一方、前記用紙積載手段の下降動作を制御するように指示する制御手段とを具備し、当該制御手段は、前記給紙装置から前記検出信号が入力された場合、中断していた画像形成動作及び前記用紙搬送動作を再開させる、という手段を採用する。
【0011】
また、本発明では、画像形成装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記報知手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、給紙装置側に用紙補給動作への移行指示を入力するための操作手段を設け、当該操作手段が操作された場合、画像形成装置は、給紙装置による給紙動作中か否かを判定し、当該給紙動作中であった場合、画像形成動作及び前記給紙装置による給紙動作を中断させる一方、前記給紙装置を用紙補給動作に移行させ、用紙補給口が閉じられた場合に前記画像形成動作及び給紙装置による給紙動作を再開させる。つまり、ユーザは、給紙装置の操作手段を操作して用紙補給動作への移行指示を行い、用紙補給口を開いて用紙補給を行った後、前記用紙補給口を閉じる、という用紙補給作業を行えば良い。従って、従来よりも用紙補給作業が簡略化され、また、大容量給紙装置が画像形成装置の側面に連結されている場合であっても、ユーザは往復移動する必要がないため、用紙補給作業における作業性を向上し、ユーザの負担を軽減することが可能である。
【0013】
また、本発明によれば、用紙補給口を開く操作が行われた場合に、ユーザから用紙補給動作への移行指示があったと判断するような構成にしても良い。この場合、ユーザは、用紙補給口を開いて用紙補給を行った後、前記用紙補給口を閉じる、という用紙補給作業を行えば良いので、さらに効果的に用紙補給作業における作業性向上、ユーザの負担軽減を図ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態である給紙装置(大容量給紙装置)及び画像形成装置について、図面を参照して説明する。図1は本実施形態における大容量給紙装置1及び画像形成装置2の外観を示す正面図である。また、図2は大容量給紙装置1及び画像形成装置2の構成ブロック図である。
【0015】
図1に示すように、大容量給紙装置1は、画像形成装置2の側面に連結されており、昇降自在に設けられ、数千枚単位の大容量の用紙Pを積載する用紙トレイ1a(用紙積載手段)と、用紙Pの最上部から順次用紙を画像形成装置2に搬送するための複数のローラからなるLCT側用紙搬送部1b(用紙搬送手段)と、これら用紙トレイ1a、用紙P及びLCT側用紙搬送部1bを収容する筐体1cとから構成されている。この筐体1cの上面部には用紙補給用の開口部(用紙補給口)1jが設けられており、当該用紙補給口1jには上蓋1d(操作手段)が開閉自在に設けられている。なお、筐体1cの表面には、後述する発光ダイオード1e(報知手段)が設けられている。
【0016】
画像形成装置2は、例えば複写機であり、上記大容量給紙装置1から給紙される用紙を用いて、原稿台2iにセットされた原稿の複写を行う。なお、一般的に、複写機である画像形成装置1は、各種サイズの用紙を収納する用紙収納部2jを備えており、大容量給紙装置1から給紙される用紙だけでなく、用紙収納部2jに収納されている用紙を使用して複写を行う場合もあるが、本実施形態では説明を省略する。
【0017】
図2を参照してより詳細に説明すると、大容量給紙装置1は、上述した用紙トレイ1a、LCT側用紙搬送部1b及び発光ダイオード1eに加えて、上蓋開閉検出センサ1f(検出手段)、LCT側制御部1g(用紙補給動作制御手段)、用紙トレイ駆動部1h及び用紙最上部検出センサ1iを構成要素として備えている。一方、画像形成装置2は、本体側操作部2a、本体側表示部2b、画像読取部2c、本体側用紙搬送部2d、画像形成部2e(画像形成手段)、排紙部2f、本体側制御部2g(制御手段)及び本体側記憶部2hを構成要素として備えている。
【0018】
大容量給紙装置1の発光ダイオード1eは、LCT側制御部1gから入力される発光信号に基づいて、点灯または点滅する。上蓋開閉検出センサ1fは、上蓋1dの開閉状態、つまり用紙補給口1jが開いているか閉じられているかを検出し、当該開閉状態を示す開閉状態検出信号をLCT側制御部1gに出力する。
【0019】
LCT側制御部1gは、画像形成装置2の本体側制御部2gから入力される動作モード信号(給紙モード信号、用紙補給モード信号及び待機モード信号)、上蓋開閉検出センサ1fから入力される開閉状態検出信号、及び用紙最上部検出センサ1iから入力される用紙最上部検出信号に基づいて、大容量給紙装置1の全体動作を制御するものである。より具体的には、このLCT側制御部1gは、画像形成装置2の本体側制御部2gから給紙モード信号が入力された場合、給紙モードに移行し、LCT側用紙搬送部1b、つまり用紙搬送用のローラを駆動するモータ等(図示せず)を制御するための搬送制御信号をLCT側用紙搬送部1b(上記モータ等)に出力すると共に、用紙トレイ1aの上昇動作を制御するための用紙トレイ上昇制御信号を用紙トレイ駆動部1hに出力する。
【0020】
一方、上記LCT側制御部1gは、画像形成装置2の本体側制御部2gから用紙補給モード信号が入力された場合、用紙補給モードに移行し、予め規定された用紙補給枚数に応じて用紙トレイ1aの下降動作を制御するための用紙トレイ下降制御信号を用紙トレイ駆動部1hに出力する一方、発光ダイオード1eを点灯または点滅させるための発光信号を当該発光ダイオード1eに出力する。
【0021】
また、上記LCT側制御部1gは、画像形成装置2の本体側制御部2gから待機モード信号が入力された場合(つまり画像形成装置2が、本体の用紙収納部2jに収納されている用紙を使用する場合)、待機モードに移行し、搬送制御信号及び用紙トレイ上昇制御信号の出力を停止する。
【0022】
さらに、このLCT側制御部1gの特徴的な動作として、上蓋開閉検出センサ1fから上蓋1dのオープン状態を示す開閉状態検出信号が入力された場合、用紙補給動作への移行指示を示す割込み検出信号を画像形成装置2の本体側制御部2gに出力し、また、上蓋1dのクローズ状態を示す開閉状態検出信号が入力された場合、用紙補給動作の終了を示す割込み終了信号を本体側制御部2gに出力する。
【0023】
LCT側用紙搬送部1bは、上述したように、用紙搬送用のローラや当該ローラを駆動するためのモータ等から構成されており、LCT側制御部1gから入力される搬送制御信号に基づいて、用紙トレイ1aに積載された用紙Pの最上部から順次用紙を画像形成装置2の本体側用紙搬送部2dに搬送する。用紙トレイ駆動部1hは、用紙トレイ1aを昇降させるためのモータ等から構成されており、LCT側制御部1gから入力される用紙トレイ上昇制御信号または用紙トレイ下降制御信号に基づいて、用紙トレイ1aの昇降を行う。
【0024】
ここで、用紙トレイ1aが下限位置まで下降した場合に、最大用紙積載量の用紙が用紙トレイ1aに積載されることになるので、図2に示すように、用紙トレイ1aに最大用紙積載量の用紙Pが積載された場合の上限位置をLmax、用紙トレイ1aの下限位置をLminとすると、用紙トレイ1aは、Lmax−Lmin間の範囲を昇降することになる。
【0025】
用紙最上部検出センサ1iは、例えば赤外線センサであり、上記上限位置Lmaxに設けられ、用紙トレイ1aに積載された用紙Pの最上部を検出して、用紙最上部検出信号をLCT側制御部1gに出力する。
【0026】
一方、画像形成装置2において、本体側操作部2aは、図1に示すように、本体側表示部2bに設けられた複写開始キーや各種設定キー等を含むタッチパネルによって構成されており、これら各キーの操作情報を操作信号として本体側制御部2gに出力する。本体側表示部2bは、例えば上記タッチパネルが設けられた液晶ディスプレイであり、本体側制御部2gから入力される表示信号に基づいて、複写処理状況や上記本体側操作部2aより入力された設定情報等の表示を行う。
【0027】
画像読取部2cは、本体側制御部2gの制御の下、原稿台2iにセットされた原稿をスキャナで読み取り、読み取った原稿の画像データを本体側制御部2gに出力する。また、この画像読取部2cは、原稿用紙の幅方向(主走査方向)の長さ、及び、用紙送り方向(副走査方向)の長さ、すなわち原稿の用紙サイズを検出し、当該用紙サイズを示す情報を本体側制御部2gに出力する機能を有する。
【0028】
なお、図1に示すように、画像形成装置2は、原稿給紙トレイ2m上に積載された複数枚の原稿を原稿台2iに順次搬送する自動原稿給紙部2nを備えている。また、周知のように、この自動原稿給紙部2nは手動で開閉可能であり、ユーザによって直接原稿台2iに原稿をセットしても良い。
【0029】
本体側用紙搬送部2dは、用紙搬送用のローラや当該ローラを駆動するモータ等から構成されており、本体側制御部2gの制御の下、大容量給紙装置1のLCT側用紙搬送部1bから搬送される用紙を画像形成部2eに搬送する。画像形成部2eは、本体側制御部2gの制御の下、上記原稿の画像データに基づいて、本体側用紙搬送部2dから搬送される用紙にトナー像を転写し、当該トナー像の定着処理を行った後、画像が形成(複写)された用紙を排紙部2fに搬送する。排紙部2fは、画像形成部2eから搬送される画像形成後の用紙のソーティングを行い、当該用紙を所定の排紙トレイ2k(図1参照)に排紙する。
【0030】
本体側制御部2gは、本体側操作部2aから入力される操作信号や、LCT側制御部1gから入力される割込み検出信号及び割込み終了信号、本体側記憶部2hに記憶されている制御プログラム等に基づいて画像形成装置2の全体動作を制御するものである。また、この本体側制御部2gは、上記割込み検出信号及び割込み終了信号に基づいて、大容量給紙装置1のLCT側制御部1gに対し、選択的に動作モード信号(給紙モード信号、用紙補給モード信号及び待機モード信号)を出力する。本体側記憶部2hは、上記制御プログラムや各種の不揮発性データを予め記憶しており、本体側制御部2gの要求に応じて、画像データや他のデータを記憶する。
【0031】
次に、このように構成された大容量給紙装置1及び画像形成装置2の動作について説明する。
【0032】
〔給紙モード〕
まず、画像形成装置2の本体側制御部2gから大容量給紙装置1のLCT側制御部1gに給紙モード信号が出力された場合について説明する。通常、画像形成装置2は本体に設けられている用紙収納部2jに収納されている用紙を使用して複写を行うが、ユーザが本体側操作部2aを操作して、大容量給紙装置1からの給紙を指示した場合、上記のように給紙モード信号が本体側制御部2gからLCT側制御部1gに出力される。なお、用紙トレイ1aには最大用紙積載量の用紙Pが予め積載されているものとする。
【0033】
LCT側制御部1gは、給紙モード信号が入力されると給紙モードに移行し、LCT側用紙搬送部1bに搬送制御信号を、また、用紙トレイ駆動部1iに用紙トレイ上昇制御信号を出力する。これにより、LCT側用紙搬送部1bは、用紙トレイ1aに積載された用紙Pの最上部から順次用紙を画像形成装置2へ搬送する一方、用紙トレイ駆動部1iは、用紙搬送動作に同期して用紙トレイ1aを上昇させる。このように、給紙モードでは、大容量給紙装置1から画像形成装置2へ連続的に用紙が搬送される。
【0034】
〔用紙補給モード〕
次に、画像形成装置2の本体側制御部2gから大容量給紙装置1のLCT側制御部1gに用紙補給モード信号が出力された場合について説明する。この用紙補給モード信号は、ユーザが大容量給紙装置1に用紙を補給するために、上蓋1dを開いた場合に出力される信号である。このようなユーザによる操作は、大容量給紙装置1が給紙モード中であれば、割込み処理として用紙補給モード信号が出力されることになる。以下、図3のフローチャートを用いて、用紙補給モード動作について説明する。
【0035】
まず、ユーザが大容量給紙装置1に用紙を補給するために、上蓋1dを開いた場合、上蓋開閉検出センサ1fは、上蓋1dのオープン状態を示す開閉状態検出信号をLCT側制御部1gに出力する。LCT側制御部1gは、上記開閉状態検出信号に基づいて、上蓋1dが開かれたことを検知し(ステップS1)、画像形成装置2の本体側制御部2gに割込み検出信号を出力する(ステップS2)。
【0036】
本体側制御部2gは、上記割込み検出信号が入力されると、現在、大容量給紙装置1による給紙動作中(給紙モード中)か否かを判定する(ステップS3)。このステップS3において、「YES」、つまり大容量給紙装置1による給紙動作中であった場合、本体側制御部2gは、本体側用紙搬送部2dや画像形成部2eを制御して、現在行っている画像形成動作(複写)を中断させ(ステップS4)、LCT側制御部1gに用紙補給モード信号を出力する(ステップS5)。また、ステップS3において、「NO」、つまり用紙収納部2jによる給紙動作中であった場合(大容量給紙装置1は待機モード中)、現在行っている画像形成動作を中断させる必要はなく、ステップS5に移行する。
【0037】
LCT側制御部1gは、上記用紙補給モード信号が入力されると、用紙補給モードに移行し(ステップS6)、LCT側用紙搬送部1bを制御して、用紙の搬送動作を中断させる(ステップS7)。ここで、例えば、大容量給紙装置1の最大用紙積載量を2000枚とし、図4(a)に示すように、用紙補給モード時には、用紙トレイ1aに500枚の用紙Pが積載されているものとする。
【0038】
続いて、LCT側制御部1gは、図4(b)に示すように、用紙トレイ1aを上限位置Lmaxから、予め規定された用紙補給枚数分(本実施形態では500枚とする)積載可能な位置まで下降させるための用紙トレイ下降制御信号を用紙トレイ駆動部1hに出力する(ステップS8)。用紙トレイ駆動部1hは、上記用紙トレイ下降制御信号に基づいて用紙トレイ1aを下降させる。そして、用紙トレイ1aの下降後、LCT側制御部1gは、ユーザに用紙補給可能であることを報知するために、発光ダイオード1eを点灯させるための発光信号を、当該発光ダイオード1eに出力する(ステップS9)。
【0039】
ユーザは、発光ダイオード1eの点灯を確認すると、図4(c)に示すように、筐体1cの上面に設けられた用紙補給口1jから500枚の用紙を補給する。用紙最上部検出センサ1iは、上記のように補給された用紙の最上部を検出すると、用紙最上部検出信号をLCT側制御部1gに出力する。LCT側制御部1gは、上記用紙最上部検出信号が入力されると、用紙が補給されたことを検知し(ステップS10)、用紙トレイ1aが下限位置Lminに下降したか否かを判定する(ステップS11)。
【0040】
上記ステップS11において、「NO」、つまり用紙トレイ1aが下限位置Lminに下降していない場合、図4(d)に示すように、ステップS7の動作に移行して、ステップS8〜S11の動作が繰り返される。一方、ステップS11において、「YES」、つまり用紙トレイ1aが下限位置Lminに下降した場合(この場合、用紙トレイ1aには最大用紙積載量の用紙が積載されている)、用紙補給終了をユーザに報知するために、発光ダイオード1eを点滅させるための発光信号を、当該発光ダイオード1eに出力する(ステップS12)。
【0041】
ユーザは、発光ダイオード1eの点滅を確認すると、用紙補給終了と判断して、上蓋1dを閉じる。上蓋開閉検出センサ1fは、上蓋1dのクローズ状態を示す開閉状態検出信号をLCT側制御部1gに出力する。LCT側制御部1gは、上記開閉状態検出信号に基づいて、上蓋1dが閉じられたことを検知し(ステップS13)、画像形成装置2の本体側制御部2gに割込み終了信号を出力する(ステップS14)。
【0042】
本体側制御部2gは、上記割込み終了信号が入力されると、今回の用紙補給作業が大容量給紙装置1による給紙動作中の作業であった場合、本体側用紙搬送部2dや画像形成部2eを制御して、中断していた画像形成動作を再開させ(ステップS15)、LCT側制御部1gに給紙モード信号を出力する(ステップS16)。LCT側制御部1gは、上記給紙モード信号が入力されると、給紙モードに移行し(ステップS17)、LCT側用紙搬送部1bを制御して、用紙の搬送動作を再開させる(ステップS18)。
【0043】
なお、図示していないが、本体側制御部2gは、ステップS14以降、今回の用紙補給作業が用紙収納部2jによる給紙動作中の作業であった場合、LCT側制御部1gに待機モード信号を出力し、LCT側制御部1gは、後述する待機モードに移行する。
【0044】
〔待機モード〕
待機モードは、画像形成装置2が本体に備えられた用紙収納部2jに収納されている用紙を使用して複写を行う場合に適用されるモードであり、ユーザが本体側操作部2aを操作して、用紙収納部2jからの給紙を指示した場合や、上記のように用紙補給作業から復帰した場合に、本体側制御部2gからLCT側制御部1gに待機モード信号が出力される。この場合、LCT側制御部1gは待機モードに移行して、搬送制御信号及び用紙トレイ上昇制御信号の出力を停止する。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、給紙動作中の大容量給紙装置1への用紙補給時において、ユーザは、画像形成装置2の本体側操作部2aを操作することなく、大容量給紙装置1の上蓋1dの開閉という簡単な操作によって、用紙補給動作への移行指示を行うことができる。従って、ユーザは画像形成装置と大容量給紙装置との間を往復移動する必要がないため、用紙補給作業における作業性を向上し、ユーザの負担を軽減することが可能である。
【0046】
また、本発明は、画像形成装置2の内部に大容量給紙装置1を備えるような場合でも適用可能である。この場合、大容量給紙装置1は上蓋1dを備えておらず、大容量給紙装置1に用紙補給する際には、大容量給紙装置1を画像形成装置2の外部に引き出すような構成を採用することが一般的であるため、大容量給紙装置1が外部に引き出された状態を、上蓋1dのオープン状態とみなし、大容量給紙装置1が内部に収容された状態を、上蓋1dのクローズ状態とみなすことができる。よって、大容量給紙装置1が外部に引き出された状態(用紙補給口が開かれた状態)と内部に収容された状態(用紙補給口が閉じられた状態)とを検出するセンサを、上蓋開閉検出センサ1fの替わりに設けることで、上記実施形態と同様の動作を実現することができる。
【0047】
これにより、画像形成装置2の内部に大容量給紙装置1を備えるような場合であっても、大容量給紙装置1を画像形成装置2の外部に引き出す、または内部に収容するという簡単な操作によって、用紙補給動作への移行指示を行うことができるため、用紙補給作業におけるユーザの負担を軽減することが可能である。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
【0049】
(1)上記実施形態では、ユーザによって上蓋1dが開かれた場合に、用紙補給モードに移行したが、これに限らず、例えば、大容量給紙装置1に用紙補給モードに移行させるための用紙補給キーを設け、当該用紙補給キーがユーザによって押された場合に、用紙補給モードに移行させ、ユーザによって上蓋1dが閉められた場合に、用紙補給モードから復帰するような構成にしても良い。
このような構成では、上記実施形態と比べて、ユーザの負担を軽減する効果が小さいが、従来より簡単な操作で用紙補給を行うことができる。
【0050】
(2)上記実施形態では、発光ダイオード1eによって用紙補給可能か否かを報知したが、
このような報知手段として、液晶ディスプレイ等の表示装置や音声出力装置を用いても良い。また、画像形成装置2の本体側表示部2bに用紙補給可能か否かを報知するためのメッセージを表示させるような構成にしても良い。
【0051】
(3)上記実施形態では、画像形成装置2として複写機を用いて説明したが、これに限
らず、印刷機や、印刷機と複写機との両方の機能を有する複合機等を用いても良い。
【0052】
(4)上記実施形態では、大容量給紙装置1の最大用紙積載量を2000枚として説明したが、これに限らず、さらに大きな容量を有する大容量給紙装置であっても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る大容量給紙装置1及び画像形成装置2の外観を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る大容量給紙装置1及び画像形成装置2の構成ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る用紙補給モード時における動作フローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る大容量給紙装置1における用紙補給モード時の動作説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1…大容量給紙装置、1a…用紙トレイ、1b…LCT側用紙搬送部、1c…筐体、1d…上蓋、1e…発光ダイオード、1f…上蓋開閉検出センサ、1g…LCT側制御部、1h…用紙トレイ駆動部、1i…用紙最上部検出センサ、1j…用紙補給口、2…画像形成装置、2a…本体側操作部、2b…本体側表示部、2c…画像読取部、2d…本体側用紙搬送部、2e…画像形成部、2f…排紙部、2g…本体側制御部、2h…本体側記憶部、2i…原稿台、2j…用紙収納部、2k…排紙トレイ、2m…原稿給紙トレイ、2n…自動原稿給紙部

























【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降自在に設けられた用紙積載手段と、当該用紙積載手段に積載された用紙の最上部から順次用紙を画像形成装置に搬送する用紙搬送手段と、前記用紙積載手段及び用紙搬送手段を収容すると共に用紙補給口が設けられた収容手段とを備え、前記用紙積載手段への用紙補給時において、前記用紙補給口が開閉操作される一方、前記用紙積載手段の下降動作制御が行われる給紙装置であって、
用紙補給動作への移行指示の入力を受け、当該入力を示す操作信号を出力する操作手段と、
前記用紙補給口が閉じられたことを検出して検出信号を出力する検出手段と、
前記操作信号及び前記検出信号に基づく画像形成装置の指示の下、用紙補給時における前記用紙積載手段の下降動作及び前記用紙搬送手段による用紙搬送動作の制御を行なう用紙補給動作制御手段と
を具備することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記操作手段は、前記用紙補給動作への移行指示の入力操作として、用紙補給口を開く操作が行われた場合に、前記操作信号を出力することを特徴とする請求項1記載の給紙装置。
【請求項3】
用紙補給時において、前記用紙積載手段の位置に基づいて用紙補給可能であることを報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の給紙装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の給紙装置と、
当該給紙装置から搬送される用紙を用いて画像形成を行なう画像形成手段と、
当該給紙装置から前記操作信号が入力された場合、前記給紙装置による給紙動作中か否かを判定し、当該給紙動作中であった場合、前記画像形成手段による画像形成動作及び前記給紙装置の用紙搬送手段による用紙搬送動作を中断させる一方、前記用紙積載手段の下降動作を制御するように指示する制御手段とを具備し、
当該制御手段は、前記給紙装置から前記検出信号が入力された場合、中断していた画像形成動作及び前記用紙搬送動作を再開させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記報知手段を備えることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−210782(P2007−210782A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35073(P2006−35073)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】