説明

給電制御装置

【課題】電気機器がアース接続されていない場合、又は極性を間違えて電源に接続した場合に、電気機器への給電を停止でき、経年劣化しにくい給電制御装置を提供する。
【解決手段】給電制御装置1は、一次コイル21と二次コイル22との巻数比が互いに異なる一対のトランス2a,2bを備える。一次コイル群210は、電源ライン40,41に接続されている。一対の一次コイル21a,21bの間は、電気機器4のアース線42に接続されている。二次コイル群220には、電気機器4への給電を制御する制御回路3が接続されている。制御回路3は、二次コイル群220に生じた誘起電圧に応じて、交流電源7(商用電源)に対して電気機器4が極性を間違えて接続されているか否か、及び電気機器4がアース接続されているか否かを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アース接続が必要な電気機器への給電を制御する給電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気機器がアース接続されているか否かを検知し、アース接続されていない場合に、電気機器への給電を停止する給電制御装置が知られている(下記特許文献1、2参照)。
【0003】
給電制御装置は、図11に示すごとく、例えば、リレー9と、直列接続されたダイオード971及び分圧抵抗92と、フォトカプラ97と、トランジスタ98とを備える。リレー9は、電気機器94の電源ライン940,941に設けられている。分圧抵抗92及びダイオード971は、電気機器94のホット側電源ライン940とアース線96との間に接続されている。フォトカプラ97は、分圧抵抗92の分圧点とコールド側電源ライン941との間に接続された発光ダイオード970を有する。トランジスタ98は、フォトカプラ97の二次側電圧を増幅する。
【0004】
アース線96が接地されている場合は、発光ダイオード970は発光せず、トランジスタ98がオンになり、リレーコイル99に電流が流れる。その結果、リレー9が接続し、電気機器94に給電される。
アース線96が接地されていない場合は、発光ダイオード970が発光し、トランジスタ98がオフになり、リレーコイル99に電流が流れなくなる。その結果、リレー9が遮断し、電気機器94への給電が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−116653号公報
【特許文献2】特開平8−166420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の給電制御装置90は、発光ダイオード970が経年劣化して、発光量が低下する問題があった。そのため、給電制御装置90を長期間使用すると、フォトカプラ97が正常に動作しなくなり、アース接地されていないのにリレー9が接続して、電気機器94に給電されることがあった。そのため、経年劣化しにくい給電制御装置が望まれていた。
【0007】
また、商用電源91には、アース接地されたコールド端子Cと、アース接地されていないホット端子Hとがある。商用電源91のコンセント910に、極性を間違えて電源プラグ93を接続すると、ホット端子Hから電流Iが、アース線96を伝わって大地Eへ流れることがある。そのため、極性を間違えて電源プラグ93を接続した場合には、電気機器94への給電を停止できる給電制御装置が望まれていた。
【0008】
本発明は、電気機器がアース接続されていない場合、又は極性を間違えて電源に接続した場合に、電気機器への給電を停止でき、経年劣化しにくい給電制御装置を提供しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、アース接続が必要な電気機器への給電を制御するための給電制御装置であって、
一次コイルと二次コイルとの巻数比が互いに異なる一対のトランスを備え、
該一対のトランスの上記一次コイル同士は直列接続されて一次コイル群を構成し、上記二次コイル同士は直列接続されて二次コイル群を構成しており、
上記一次コイル群は、上記電気機器の電源ラインに、該電気機器と並列に接続され、
上記一対の一次コイルの間は、上記電気機器のアース線に接続され、
上記二次コイル群には、上記電気機器への給電を制御する制御回路が接続されており、
該制御回路は、上記二次コイル群に生じた誘起電圧に応じて、一方の端子がアース接続されている交流電源に対して上記電気機器が極性を間違えて接続されているか否か、及び上記電気機器がアース接続されているか否かを検出し、上記極性を間違えて接続されている場合か、又は上記電気機器が上記アース接続されていない場合に、上記電気機器への給電を停止するよう構成してあることを特徴とする給電制御装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0010】
上記給電制御装置によると、電気機器がアース接続されかつ極性を間違えずに電源に接続された状態(正常使用状態)と、それ以外の状態とを、二次コイル群に発生する誘起電圧の違いによって制御回路が検知できる。そのため、アース接続されていない場合や極性を間違えて電源に接続した場合には、電気機器への給電を停止することができる。
【0011】
すなわち、例えば単相2線式の商用電源を使って電力を供給する場合、上記正常使用状態では、商用電源のホット端子から一次電流が、一対の一次コイルのうち一方の一次コイルのみを通ってグランドに流れ、他方の一次コイルには一次電流が流れない。
また、電気機器がアース接続されかつ極性を間違えて電源に接続された状態(極性不一致状態)では、ホット端子から一次電流が、他方の一次コイルのみを通ってグランドに流れ、一方の一次コイルには一次電流が流れない。
また、電気機器がアース接続されていない状態(非接地状態)では、ホット端子から一次電流が、両方の一次コイルを通ってコールド端子に流れる。
【0012】
一対のトランスは、一次コイルと二次コイルの巻数比が互いに異なるため、一方の一次コイルにのみ一次電流が流れる場合と、他方の一次コイルにのみ一次電流が流れる場合と、両方の一次コイルに一次電流が流れる場合とで、二次コイル群に生じる誘起電圧が変化する。そのため、制御回路は、この誘起電圧を検知することにより、電気機器が正常使用状態であるか、極性不一致状態であるか、非接地状態であるかを検知することができる。したがって、制御回路が、上記極性不一致状態または非接地状態であることを検知した場合に、電気機器への給電を停止することができる。
【0013】
また、トランスは、発光素子と異なり、経年劣化しにくい部品であるため、給電制御装置を長期間使用した場合でも誤動作しにくい。
【0014】
以上のごとく、本発明によれば、電気機器がアース接続されていない場合、又は極性を間違えて電源に接続した場合に、電気機器への給電を停止でき、経年劣化しにくい給電制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1における、給電制御装置の回路図。
【図2】実施例1における、正常使用状態での、給電制御装置の回路図。
【図3】実施例1における、電源プラグの極性を反転させてコンセントに接続した場合の、給電制御装置の回路図。
【図4】実施例1における、電気機器がアース接続されていない場合の、給電制御装置の回路図。
【図5】実施例2における、給電制御装置の回路図。
【図6】実施例2における、正常使用状態での、給電制御装置の回路図。
【図7】実施例2における、アース接続し、かつ誤って電源プラグのH2端子をコンセントのコールド端子に接続した場合の、給電制御装置の回路図。
【図8】実施例2における、アース接続し、かつ誤って電源プラグのH1端子をコンセントのコールド端子に接続した場合の、給電制御装置の回路図。
【図9】実施例2における、アース接続されていない場合の、給電制御装置の回路図。
【図10】実施例2における、誤って電源プラグのH2端子をコンセントのコールド端子に接続し、かつアース接続されていない場合の、給電制御装置の回路図。
【図11】従来例における、給電制御装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記給電制御装置が給電を制御する電気機器は、例えば、電気自動車やハイブリッド車に搭載されたバッテリーを、商用電源(交流電源)を使って充電するための充電器である。
【0017】
上記給電制御装置において、上記二次コイル群の一方の端子は、整流ダイオードのアノード端子に接続され、該整流ダイオードのカソード端子は上記制御回路に接続され、上記二次コイル群の他方の端子は接地されており、上記整流ダイオードのカソード端子と上記他方の端子との間に、コンデンサと抵抗とがそれぞれ並列に接続されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、二次コイル群の一方の端子のみを制御回路に接続できるので、二次コイル群の両方の端子を制御回路に接続した場合と比較して、接続に必要な配線の数が少なくてすみ、部品点数を削減することができる。そのため、給電制御装置の製造コストを低減することができる。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる給電制御装置につき、図1〜図4を用いて説明する。
本例の給電制御装置1は、アース接続が必要な電気機器4への給電を制御する装置である。給電制御装置1は、一次コイル21と二次コイル22との巻数比が互いに異なる一対のトランス2(2a,2b)を備える。
一対のトランス2の一次コイル21a,21b同士は直列接続されて一次コイル群210を構成している。また、二次コイル22a,22b同士は直列接続されて二次コイル群220を構成している。
【0019】
一次コイル群210は、電気機器4の電源ライン40,41に、電気機器4と並列に接続されている。一対の一次コイル21a,21bの間は、電気機器4のアース線42に接続されている。二次コイル群220には、電気機器4への給電を制御する制御回路3が接続されている。
【0020】
制御回路3は、二次コイル群220に生じた誘起電圧に応じて、一方の端子(コールド端子C)がアース接続されている交流電源7(商用電源)に対して電気機器4が極性を間違えて接続されているか否か、及び電気機器4がアース接続されているか否かを検出する。制御回路3は、電気機器4が極性を間違えて接続している場合か、又はアース接続されていない場合に、電気機器4への給電を停止するよう構成してある。
【0021】
電気機器4は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載されたバッテリー(図示しない)を、交流電源7を使って充電するための充電器である。電気機器4の筐体400には、アース線42が取り付けられている。アース線4の接続端子420を、グランド14側の被接続端子140に接続することにより、電気機器4をアース接続するようになっている。
【0022】
また、電気機器4には、給電用の電力ライン40,41が接続している。この電力ライン40,41の一端には、電源プラグ6が設けられている。
【0023】
交流電源7は、単相2線式の商用電源である。交流電源7には、アース接続されたコールド端子Cと、アース接続されていないホット端子Hとがある。交流電源7のコンセント5に電源プラグ6を差し込むことにより、電気機器4に給電するようになっている。
【0024】
上記電源ライン40,41には、ホット端子H側の電源ライン40と、コールド端子C側の電源ライン41とがある。一次コイル群210の一方の端子210aは、配線28によって、ホット端子H側の電源ライン40に、接続部48において接続されている。また、一次コイル群210の他方の端子210bは、配線29によって、コールド端子C側の電源ライン41に、接続部49において接続されている。
【0025】
電源ライン40,41には、それぞれリレー11が設けられている。リレー11a,11bがそれぞれオン状態になると、交流電源7から電気機器4へ給電され、オフ状態になると、電気機器4への給電が停止される。リレー11の制御は、制御回路3によって行う。リレー11a,11bは、電源ライン40,41における、上記接続部48,49よりも電気機器4側の部位にそれぞれ設けられている。
【0026】
上述したように、一対のトランス2a,2bは、一次コイル21と二次コイル22の巻数比がそれぞれ異なる。一次コイル群210の、一方の一次コイル21aと他方の一次コイル21bとの中間点13と、アース線42とは、接続ライン130によって接続されている。
【0027】
二次コイル群220の一方の端子220aは、整流ダイオード12のアノード端子に接続している。整流ダイオード12のカソード端子は、制御回路3に接続している。制御回路3は、リレー11a,11bのリレーコイル(図示しない)に接続している。また、二次コイル群220の他方の端子220bは、制御グランド27に接続している。整流ダイオード12のカソード端子と、二次コイル群220の他方の端子220bとの間には、コンデンサ10と抵抗Rとが、それぞれ並列接続されている。
【0028】
図2に、電気機器4を、極性を間違えずに交流電源7に接続し、かつアース接続した状態(正常使用状態)における、一次電流Iおよび二次電流iが流れる経路を示す。このように、ホット側の電源ライン40をホット端子Hに接続し、コールド側の電源ライン41をコールド端子Cに接続するように、電源プラグ6をコンセント5に差し込み、かつ、アース線42をグランド14に接続すると、ホット端子Hから一次電流Iが、電源ライン40、配線28、一方の一次コイル21a、接続ライン130を通って、グランド14に流れる。他方の一次コイル21bは、一次電流I(交流電流)に対して抵抗となるため、他方の一次コイル21bには一次電流Iは流れない。
【0029】
一方の一次コイル21aに一次電流Iが流れると、一方の二次コイル22aに誘起電圧が発生する。誘起電圧は、整流ダイオード12によって半波整流され、コンデンサ10によって平滑化される。その結果、制御回路3の接続部30には直流電圧が加わることになる。
【0030】
また、図3に示すごとく、電気機器4を交流電源7に対して極性を間違えて接続し、かつアース接続した場合(極性不一致状態)には、他方の一次コイル21bにのみ一次電流Iが流れる。すなわち、ホット側の電源ライン40をコールド端子Cに接続し、コールド側の電源ライン41をホット端子Hに接続するように、電源プラグ6を差し込み、かつ、アース線42をグランド14に接続すると、ホット端子Hから一次電流Iが、電源ライン41、配線29、他方の一次コイル21b、接続ライン130を通り、グランド14に流れる。一方の一次コイル21aは、一次電流I(交流電流)に対して抵抗となるため、一方の一次コイル21aには一次電流Iは流れない。
【0031】
正常使用状態では、一方の一次コイル21aにのみ一次電流Iが流れるのに対し、極性不一致状態では、他方の一次コイル21bにのみ一次電流Iが流れる。上述したように、トランス2a,2bは、一次コイル21と二次コイル22の巻数比が互いに異なる。そのため、極性不一致状態では、正常使用状態とは異なる誘起電圧が二次コイル群220に発生する。そして、制御回路3の接続部30に、正常使用状態とは異なる電圧が加わる。
【0032】
また、図4に示すごとく、アース線42をグランド14に接続しない場合(非接地状態)には、ホット端子Hから一次電流Iが、ホット側の電源ライン40、配線28、一方の一次コイル21a、他方の一次コイル21b、配線29、コールド側の電源ライン41を通り、コールド端子Cに流れる。すなわち、一次コイル群210の、両方の一次コイル21a,21bに一次電流Iが流れることになる。
【0033】
なお、図4では、電源プラグ6を、極性を間違えずに接続しているが、極性を間違えて接続した場合も、上記と同様に、両方の一次コイル21a,21bに一次電流Iが流れる。
【0034】
このように、非接地状態では、両方の一次コイル21a,21bに一次電流Iが流れるため、二次コイル群220には、正常使用状態(図2参照)および極性不一致状態(図3参照)とは異なる誘起電圧が発生する。そのため、制御回路3の接続部30に、正常使用状態や極性不一致状態とは異なる電圧が加わる。
【0035】
例えば、一方のトランス2aの、一次コイル21aの巻数N1と二次コイル22aの巻数N2との巻数比N1/N2=34とし、他方のトランス2bの、一次コイル21bの巻数N3と二次コイル22bの巻数N4との巻数比N3/N4=120とし、コンデンサ10の容量を10μFとし、抵抗Rを10MΩとした場合、接続部30に加わる電圧は、正常使用状態(図2参照)では4.16Vとなる。また、極性不一致状態(図3参照)では1.18Vとなり、非接地状態では1.84Vとなる。
したがって、例えば、接続部30に加わる電圧が3.0V以上の場合にのみリレー11を接続し、電圧が3.0V未満の場合にはリレー11を切断するように構成すれば、正常使用状態の場合のみ、電気機器4に給電することが可能となる。
【0036】
本例の作用効果について説明する。
本例の給電制御装置1によると、電気機器4がアース接続されかつ極性を間違えずに電源に接続された状態(正常使用状態)と、それ以外の状態とを、二次コイル群220に発生する誘起電圧の違いによって制御回路3が検知できる。そのため、アース接続されていない場合(非接地状態)や極性を間違えて電源に接続した場合(極性不一致状態)には、電気機器4への給電を停止することができる。
【0037】
これにより、アース接続されていない状態(非接地状態)で電気機器4に給電され、感電事故が発生したり、電源プラグ6の極性を間違えて接続し(極性不一致状態)、大きなアース電流がアース線42に流れたりする不具合を防止できる。
【0038】
また、トランス2は、発光素子と異なり、経年劣化しにくい部品であるため、給電制御装置1を長期間使用した場合でも誤動作しにくい。
【0039】
また、本例では図1に示すごとく、二次コイル群220の一方の端子220aは、整流ダイオード12のアノード端子に接続され、該整流ダイオード12のカソード端子は制御回路3に接続されている。また、二次コイル群220の他方の端子220bは接地されている。そして、整流ダイオード12のカソード端子と他方の端子220bとの間に、コンデンサ10と抵抗Rとがそれぞれ並列に接続されている。このようにすると、二次コイル群220の一方の端子220a側のみを制御回路3に接続することができる。そのため、二次コイル群220の両方の端子220a,220bを制御回路3に接続した場合と比較して、接続に必要な配線の数が少なくてすみ、部品点数を削減することができる。これにより、給電制御装置1の製造コストを低減することができる。
【0040】
以上のごとく、本発明によれば、電気機器がアース接続されていない場合、又は極性を間違えて電源に接続した場合に、電気機器への給電を停止でき、経年劣化しにくい給電制御装置を提供することができる。
【0041】
(実施例2)
本例は、図5に示すごとく、電気機器を単相3線式の交流電源7に接続した例である。本例の交流電源7は、アース接続されたコールド端子Cと、2個のホット端子H1,H2を備える。ホット端子H1,H2には、コールド端子Cを基準として実効値が100Vの交流電流がそれぞれ流れる。一方のホット端子H1と、他方のホット端子H2に流れる電流は、互いに位相が180°ずれている。
【0042】
電気機器4には、実施例1と同様に、一対の電力ライン40,41が接続されている。一方の電力ライン40は、交流電源7の一方のホット端子H1に接続され、他方の電力ライン41は、他方のホット端子H2に接続される。
また、実施例1と同様に、電気機器4は筐体400を備える。筐体400にはアース線42が接続されている。アース線42をグランド14に接続することにより、電気機器4をアース接続する。
【0043】
本例の給電制御装置1は、電気機器4がアース接続されていない場合か、又は電力ライン40,41がそれぞれホット端子H1,H2に接続されていない場合に、電気機器4への給電を停止するよう構成してある。
【0044】
図6に示すごとく、電力ライン40,41をそれぞれホット端子H1,H2に接続し、かつアース線42をグランド14に接続した場合(正常使用状態)、一方のホット端子H1から一次電流I1が、電力ライン40、配線28、一方の一次コイル21a、接続ライン130を通って、グランド14に流れる。また、他方のホットラインH2から一次電流I2が、電力ライン41、配線29、他方の一次コイル21b、接続ライン130を通って、グランド14に流れる。中間点13は接地されているため、各々の一次コイル21a,21bには100Vの電圧が加わる。
このように、正常使用状態では、両方の一次コイル21a,21bに一次電流Iが流れる。そして、これに伴って、二次コイル群220に誘起電圧が発生し、制御回路3の接続部30に直流電圧が加わる。
【0045】
また、図7に示すごとく、アース線42をグランド14に接続し、電力ライン40を一方のホット端子H1に接続し、誤って電力ライン41をコールド端子Cに接続することがある。この場合、一方のホット端子H1から一次電流Iが、電力ライン40、配線28、一方の一次コイル21a、接続ライン130を通ってグランド14に流れる。他方の一次コイル21bには一次電流Iは流れない。
このように、一方の一次コイル21aのみに一次電流Iが流れるため、正常使用状態(図6参照)とは異なる誘起電圧が二次コイル群220に発生する。そして、接続部30には、正常使用状態とは異なる電圧が加わる。
【0046】
また、図8に示すごとく、アース線42をグランド14に接続し、電力ライン41を他方のホット端子H2に接続し、誤って電力ライン40をコールド端子Cに接続することがある。この場合、他方のホット端子H2から一次電流Iが、電力ライン41、配線29、他方の一次コイル21b、接続ライン130を通ってグランド14に流れる。一方の一次コイル21aには一次電流Iは流れない。そして、これに伴って二次コイル群220に誘起電圧が発生し、制御回路3の接続部30に直流電圧が加わる。接続部30には、正常使用状態(図6参照)や、図7に示す接続状態とは異なる電圧が加わる。
【0047】
また、図9に示すごとく、電力ライン40,41をそれぞれホット端子H1,H2に接続し、かつアース線42をグランド14に接続しない場合がある。この場合には、両方の一次コイル21a,21bに一次電流Iが流れる。また、中間点13が接地されていないため、各々の一次コイル21a,21bには、正常使用状態(図6参照)と異なる電圧が加わる。そのため、二次コイル群220に、正常使用状態とは異なる誘起電圧が発生する。その結果、制御回路3の接続部30に、正常使用状態とは異なる電圧が加わる。
【0048】
また、図10に示すごとく、一方の電力ライン40をホット端子H1に接続し、他方の電力ライン41をコールド端子Cに接続し、かつアース線42をグランド14に接続しない場合がある。この場合には、ホット端子H1から一次電流Iが、一方の電力ライン40、配線28、一次コイル21a,21b、配線29、他方の電力ライン41を通ってコールド端子Cに流れる。この場合には、一次コイル群210の両端子210a,210bの間に100Vの電圧しか加わらないため、二次コイル群220に、正常使用状態(図6参照)とは異なる誘起電圧が発生する。その結果、制御回路3の接続部30に、正常使用状態とは異なる電圧が加わる。
【0049】
例えば、実施例1と同様に、一方のトランス2aの、一次コイル21aの巻数N1と二次コイル22aの巻数N2との巻数比N1/N2=34とし、他方のトランス2bの、一次コイル21bの巻数N3と二次コイル22bの巻数N4との巻数比N3/N4=120とし、コンデンサ10の容量を10μFとし、抵抗Rを10MΩとした場合、接続部30に加わる電圧は、正常使用状態(図6参照)では、19.8Vとなる。また、図7の使用状態では12.8Vとなり、図8の使用状態では6.5Vとなる。また、図9の使用状態では16.1Vとなり、図10の使用状態では7.8Vとなる。
【0050】
そのため、例えば、接続部30に加わる電圧が18V以上の場合にのみリレー11を接続し、電圧が18V未満の場合にはリレー11を切断するように構成すれば、正常使用状態の場合のみ、電気機器4に給電することが可能となる。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0051】
本例の作用効果について説明する。本例では、単相3線式の交流電源を用いた場合でも、電気機器4がアース接続されていない場合(図9、図10)や、極性を間違えて電源に接続した場合(図7、図8、図10)に、電気機器4への給電を停止できる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【符号の説明】
【0052】
1 給電制御装置
2 トランス
21 一次コイル
210 一次コイル群
22 二次コイル
220 二次コイル群
3 制御回路
4 電気機器
40 電源ライン(ホット側)
41 電源ライン(コールド側)
42 アース線
5 コンセント
6 電源プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アース接続が必要な電気機器への給電を制御するための給電制御装置であって、
一次コイルと二次コイルとの巻数比が互いに異なる一対のトランスを備え、
該一対のトランスの上記一次コイル同士は直列接続されて一次コイル群を構成し、上記二次コイル同士は直列接続されて二次コイル群を構成しており、
上記一次コイル群は、上記電気機器の電源ラインに、該電気機器と並列に接続され、
上記一対の一次コイルの間は、上記電気機器のアース線に接続され、
上記二次コイル群には、上記電気機器への給電を制御する制御回路が接続されており、
該制御回路は、上記二次コイル群に生じた誘起電圧に応じて、一方の端子がアース接続されている交流電源に対して上記電気機器が極性を間違えて接続されているか否か、及び上記電気機器がアース接続されているか否かを検出し、上記極性を間違えて接続されている場合か、又は上記電気機器が上記アース接続されていない場合に、上記電気機器への給電を停止するよう構成してあることを特徴とする給電制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給電制御装置において、上記二次コイル群の一方の端子は、整流ダイオードのアノード端子に接続され、該整流ダイオードのカソード端子は上記制御回路に接続され、上記二次コイル群の他方の端子は接地されており、上記整流ダイオードのカソード端子と上記他方の端子との間に、コンデンサと抵抗とがそれぞれ並列に接続されていることを特徴とする給電制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−181029(P2012−181029A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42271(P2011−42271)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】