説明

絶縁層を有する高熱伝導性基板ならびに該絶縁層形成用材料

【課題】温度上昇時に反りやクラックが発生するのを防止し得る絶縁層を備えるアルミニウム基板その他の高熱伝導性基板を提供すること。
【解決手段】金属製の基材から成るベース層12を備える金属ベースの基板10であって、該ベース層の少なくとも片方の面に絶縁層20が形成されており、該絶縁層はベース層に接する多孔質層22と該多孔質層上に形成される緻密層24とを有しており、ここで該多孔質層は、ガラスで構成されるマトリックスと無機フィラーとを有しており、ベース層に接する部位における多孔率が少なくとも30%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高熱伝導性の金属基材上に絶縁層を有する基板と該基板を備える電子部品(LED実装基板等)に関する。また、該基板の絶縁層を形成する絶縁層形成用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やパワーICのようないわゆる発熱性素子を備える回路基板では、これら発熱性素子から生じる熱を効率よく放熱させることが重要である。
かかる放熱性の観点から、発熱性素子を備える回路基板(例えばLED素子を備える回路基板)として、従来の樹脂製のベース層を有する基板よりも高い熱伝導性を示す金属製のベース層を有する金属ベースの基板(以下「金属ベース基板」或いは「高熱伝導性基板」ともいう。)が使用されている。
例えば、銅基材やアルミニウム基材(単体のアルミニウムの他、アルミニウムを主構成元素とする各種のアルミニウム合金から成る基材を包含する。以下同じ。)のような高熱伝導性金属基材をベース層とし、該ベース層の片面若しくは両面に絶縁層を備える基板(以下、ベース層を構成する金属種に応じて「銅基板」や「アルミニウム基板」ともいう。)が使用されている。特に、アルミニウム基材は熱伝導性(放熱性)が高く、また、他の高熱伝導性金属である銅などと比較して安価であるため、この種の用途に適する材料である。
そして、上記絶縁層の表面に所定パターンの配線(導体膜)が形成され、該配線上にLED等の発熱性素子が実装されることにより、目的とする放熱性の電子部品(例えばLED実装基板)が製造される。例えば以下の特許文献1〜4には、この種の用途に用いられる高熱伝導性の基板ならびに該基板を用いて構築された回路基板、発光デバイス等の電子部品の従来例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−310753号公報
【特許文献2】特開2008−4942号公報
【特許文献3】特開2005−123457号公報
【特許文献4】特開平11−58596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した銅基板やアルミニウム基板のような高熱伝導性基板の開発に関する課題の一つとして、当該基板を構成するベース層と絶縁層との熱膨張率(熱膨張係数)の差に起因する反りの発生或いはベース層と絶縁層との間の層間剥離や絶縁層の破断を防止することが挙げられる。
即ち、上記銅基材やアルミニウム基材の熱膨張係数は150×10−7/℃以上、典型的には150〜260×10-7/℃程度であるため、絶縁層を従来のガラス形成材料(熱膨張係数:30〜100×10-7/℃)によって単純に形成すると、双方の熱膨張率の差により、温度上昇に伴って基板に大きな反りが発生したり或いは絶縁層に破断(クラック)が生じる虞があった。
一方、絶縁層をエポキシ樹脂等の樹脂材料によって形成することにより、上記反りやクラックの発生を防止することができる。しかし、かかる樹脂材料からなる絶縁層は熱に対して弱いこと、また、熱伝導率が低いことから耐熱性、放熱性の観点からは問題があり、好ましくない。
【0005】
そこで本発明は、上述した課題を解決すべく創出されたものであり、樹脂材料よりも熱伝導性のよいガラス主体の絶縁層であって温度上昇時に基板に大きな反りが発生したり当該絶縁層に破断(クラック)が生じたりすることを防止し得る絶縁層を備えるアルミニウム基板その他の高熱伝導性基板を提供することを目的とする。また、そのような高熱伝導性基板の絶縁層を形成するために用いられる材料(絶縁層形成用材料)を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するべく本発明によって、金属製の基材から成るベース層を備える金属ベース基板(高熱伝導性基板)が提供される。
即ちここで開示される基板は、かかるベース層の少なくとも片方の面に絶縁層が形成されており、該絶縁層は該ベース層に接する多孔質層と該多孔質層上に形成される緻密層とを有している。そして、上記多孔質層は、ガラスで構成されるマトリックスと該マトリックスに混在する無機フィラーとを有している。そして、好ましくは上記ベース層に接する部位における多孔率が少なくとも30%であることを特徴とする。
ここで「多孔率」は、上記ベース層に接する部位(面)における単位面積内において空隙(孔部)の占める面積割合を百分率(%)で示したものである。
【0007】
かかる構成の基板では、ベース層(好ましくはアルミニウム基材のような熱膨張係数が150〜260×10-7/℃である金属製基材により構成される。)の片面(若しくは両面)に形成された絶縁層が上記多孔質層と緻密層とを有する。この構成によると、多孔質層とベース層との境界に空隙が存在しており、当該二つの層が隙間無く密着することを防止している。このことにより、当該基板が発熱性素子の発熱等により加熱された際にもベース層の過剰な熱膨張が当該境界部ならびに多孔質層内において緩衝され、ベース層の熱膨張に伴うせん断力(応力)により絶縁層(特に緻密層)に破断等の物理的障害が生じるのを防止することができる。また、上記境界における空隙以外の部分でベース層と絶縁層とは多孔質層を構成するガラスマトリックスによって機械的強度を保持した状態で接合され得る。
従って、かかる構成の金属ベース基板によると、高い熱膨張率を有する金属ベース層の表面にガラスを主体とする絶縁層(多孔質層)を形成しているにもかかわらず、温度上昇時に基板に反りが発生したり絶縁層にクラックが発生したりするのを防止することができる。また、ガラス質の絶縁層を備えることにより、高い放熱性を実現し得る。
【0008】
ここで開示される金属ベース基板の好ましい一態様は、上記多孔質層におけるガラスマトリックスと無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときの該多孔質層におけるガラスマトリックスの体積割合が10〜50vol%(特に好ましくは20〜40vol%)であることを特徴とする。
かかる構成の基板によると、金属ベース層と多孔質層との境界における接合強度を維持しつつ金属ベース層の熱膨張により生じる応力(せん断力)を適切に緩衝することができる。
【0009】
また、ここで開示される金属ベース基板の好ましい他の一態様は、上記緻密層が多孔質層のガラスマトリックスと同質のガラスマトリックスを有することを特徴とする。
かかる構成の基板では、緻密層と多孔質層とが同質の熱膨張率がほぼ等しいガラスマトリックスで構成されるため、緻密層の剥離やクラックの発生をより確実に防止することができる。また、緻密層がガラスを主体に形成されているため、好適な熱伝導性を発揮させることができる。
【0010】
また、ここで開示される金属ベース基板の特に好ましい一態様は、ベース層を構成する金属製基材の熱膨張係数が150〜260×10-7/℃であることを特徴とする。このような熱膨張係数の金属製基材(例えばアルミニウム製の基材や銅製の基材)は熱伝導性が高く、より放熱性に優れる基板を提供することができる。
また、さらに好ましくは、該ベース層に接する多孔質層に含まれるガラスマトリックスは熱膨張係数が50×10-7/℃以上のガラスにより構成されていることを特徴とする。
かかる構成の基板によると、より確実に絶縁層の剥離やクラックの発生を防止することができる。
【0011】
また、本発明は、上記課題を解決するための他の一側面として、金属製の基材から成るベース層を備える金属ベースの基板を製造する方法を提供する。
即ちここで開示される製造方法は、絶縁性のガラス組成物と無機フィラーとを含むガラス形成材料(絶縁層形成用材料)であって、該ガラス組成物と無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときの該ガラス組成物の体積割合が10〜50vol%(特に好ましくは20〜40vol%)であるガラス形成材料を、上記ベース層を構成する金属製基材の表面に付与し、上記ガラス組成物から成るガラスマトリックスと該マトリックスに混在する上記無機フィラーとを有する多孔質層であって上記ベース層に接する部位における多孔率が少なくとも30%である多孔質層を形成すること、ならびに、上記多孔質層上に絶縁性の緻密層を形成すること、を包含する製造方法である。
かかる構成によると、上記ベース層の少なくとも片方の面に、該ベース層に接する上記多孔質層と該多孔質層上に形成される上記緻密層とを有する絶縁層が形成された本発明に係る金属ベース基板(好ましくはアルミニウム基板や銅基板)を好適に製造することができる。
【0012】
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、上記緻密層として、上記多孔質層のガラスマトリックスと同質のガラスマトリックスを有する緻密層を形成する。
かかる構成の製造方法によると、緻密層と多孔質層とを熱膨張率がほぼ等しいガラスマトリックスで構成することができるため、高温時において緻密層の剥離やクラックの発生をより確実に防止し得る金属ベース基板(好ましくはアルミニウム基板や銅基板)を好適に製造することができる。
【0013】
また、ここで開示される製造方法の典型的な一態様では、ベース層を構成する金属製基材として熱膨張係数が150〜260×10-7/℃である金属製基材を使用する。このような熱膨張係数の金属製基材(例えばアルミニウム製の基材や銅製の基材)は熱伝導性が高く放熱性に優れる基板を製造することができる。
また、さらに好ましくは、上記ガラス形成材料として、上記ガラス組成物の熱膨張係数が50×10-7/℃以上であることを特徴とするガラス形成材料を使用する。かかる構成の製造方法によると、より確実に絶縁層の剥離やクラックの発生を防止し得る基板を製造することができる。
また、さらに好ましくは、上記ガラス形成材料として、上記ガラス組成物のガラス軟化点が400〜600℃であることを特徴とするガラス形成材料を使用する。かかる構成の製造方法によると、上記ガラス軟化点付近(600℃以下)での焼成によりガラス組成物の流出を防止しつつ好適な性状の絶縁層を形成することができる。
【0014】
また、本発明は、上記課題を解決するための他の一側面として、上記基板における絶縁層を形成するための材料、即ち上記多孔質層と緻密層とを各々形成するための材料とそれらの組合せ(キット)を提供する。
好ましい一態様として、金属製の基材から成るベース層を備える金属ベースの基板における該ベース層の少なくとも片方の面に、上記ベース層に接する多孔質層と該多孔質層上に形成される緻密層とを有する積層構造の絶縁層を形成するためのキット(材料の組合せ)が提供される。
本態様のキットは、絶縁性のガラス組成物と無機フィラーとを含む第1のガラス形成材料であって、該ガラス組成物と無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときの該ガラス組成物の体積割合が10〜50vol%(特に好ましくは20〜40vol%)であるように調製されている上記多孔質形成用のガラス形成材料と、
絶縁性のガラス組成物として前記第1のガラス形成材料に含まれるガラス組成物と同質のガラス組成物を含む第2のガラス形成材料であって、該ガラス組成物と無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときの該ガラス組成物の体積割合が50〜100vol%であるように調製されている上記緻密層形成用のガラス形成材料とを含む、金属ベースの基板の上記絶縁層を形成するためのキットである。
かかる2種類のガラス形成材料(多孔質層形成用ガラス形成材料と緻密層形成用ガラス形成材料)により、本発明に係る好適な一態様の基板を製造することができる。
【0015】
好ましくは、上記多孔質形成用のガラス形成材料及び緻密層形成用のガラス形成材料に含まれるガラス組成物の熱膨張係数が50×10-7/℃以上であることを特徴とする。かかる構成の多孔質形成用と緻密層形成用との2種類のガラス形成材料を使用することによって、より確実に絶縁層の剥離やクラックの発生を防止し得る基板を製造することができる。
また、好ましくは、上記多孔質形成用のガラス形成材料及び緻密層形成用のガラス形成材料に含まれるガラス組成物のガラス軟化点が400〜600℃であることを特徴とする。かかる構成の多孔質形成用と緻密層形成用との2種類のガラス形成材料を使用することによって、ガラス軟化点付近(600℃以下)での焼成によりガラス組成物の流出を防止しつつ好適な性状の絶縁層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】金属ベース基板(高熱伝導性基板)を備える電子部品の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】一実施例に係るアルミニウム基板に形成された絶縁層のうちの下層部分の多孔質構造を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えばガラス形成材料の構成成分、ガラス組成物と無機フィラーとの配合比)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペーストの調製方法や焼成方法)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0018】
典型例として図1に模式的に示すように、ここで開示される金属ベースの高熱伝導性基板10は、金属製の基材から成るベース層12の少なくとも片方の面に絶縁層20が形成されているとともに、該絶縁層20がベース層12に接する多孔質層22と該多孔質層22上に形成される緻密層24とを有する。
そして、絶縁層20(緻密層24)の表面には所定のパターンで配線された導体膜30が形成され、当該導体膜30に所定の発熱性素子(例えばLED電極やパワーIC)40その他の素子類がボンディング等の手段によって実装されることにより所定の電子部品1が製造される。なお、導線の形成方法や素子のボンディング方法等は従来法の採用でよく、特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
なお、図1では、ベース層12の一方の面のみに絶縁層20が形成されているが、この態様に限られず、例えばベース層12の両面に絶縁層20がそれぞれ形成されていてもよい。また、基板10の形状についても図示されるような薄板形状に限られず、種々の立体形状(例えば湾曲した形状や波板形状)であり得る。
【0019】
ここで開示される絶縁層は、金属ベース層に接する多孔質層と、該多孔質層上に形成される緻密層と、を有する。
このうちの少なくとも多孔質層は、ガラスマトリックスと無機フィラーとを主体に構成される絶縁層である。無機フィラーの含有率(換言すればガラスマトリックスを構成するガラス組成物の含有率)に応じて多孔率を異ならせることができる。好ましくは、ベース層に接する部位(境界面)における多孔率が30%以上、好適には30〜60%、特に35〜55%程度が好ましい。このような数値範囲の多孔率は、例えばガラスマトリックスと無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときの該多孔質層におけるガラスマトリックスの体積割合を20〜40vol%に設定することにより実現することができる。
【0020】
上記のような好適な多孔率を有する多孔質層は、種々のガラス組成物と無機フィラーとを所定の配合比(混合比)で含むガラス形成材料(多孔質層形成用材料)を使用することにより形成することができる。
ベース層を構成する金属製基材としては銅基材やアルミニウム基材のような熱膨張係数(線膨張係数)が典型的には150〜260×10-7/℃(典型的には室温(20℃)〜300℃の間の平均値)であるような高熱伝導性基材が好ましいため、該ベース層に接する多孔質層のガラスマトリックスを構成する材料であるガラス組成物としては、比較的高い熱膨張係数を示すものが好ましい。例えば、熱膨張係数が50×10-7/℃以上(より好ましくは70×10-7/℃以上、例えば70〜120×10-7/℃)以上であるようなガラス組成物が好ましい。
また、焼成する際にガラスが溶出してしまうことを避けるため、焼成温度はガラス軟化点付近(例えば最高焼成温度がガラス軟化点±20℃)が好ましい。かかる観点から、使用するガラス組成物としてはガラス軟化点が400〜600℃(より好ましくは450〜600℃)程度のものが好ましい。ガラス軟化点が600℃よりも高すぎると焼成時に金属製基材(ベース層)が影響を受けることがあるため好ましくない。また、ガラス軟化点が400℃よりも低すぎる場合は、焼成(焼結)不十分となりがちであることに加えて、発熱性素子を備える基板として使用したときの高熱時(即ち発熱性素子が発熱した際)における接合信頼性(熱安定性)が低下するために好ましくない。
【0021】
好ましいガラス組成物として種々の酸化物を主成分とするガラス組成物が挙げられる。
酸化ビスマス(Bi)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化ホウ素(B)、酸化バリウム(BaO)等を主構成要素とする酸化物ガラス組成物が好ましい。
例えば、主構成要素がBiであるBi系ガラス組成物、主構成要素がSiOであるSiO系ガラス組成物、主構成要素がZnOであるZnO系ガラス組成物、主構成要素がZnO及びSiOであるZnO−SiO系ガラス組成物、主構成要素がB及びSiOであるB−SiO系ガラス組成物、主構成要素がZnO、B及びSiOであるZnO−B−SiO系ガラス組成物、主構成要素がZnO、B及びSiOであるZnO−B−SiO系ガラス組成物、主構成要素がBi、ZnO、B及びBaOであるBi−ZnO−B−BaO系ガラス組成物等が挙げられる。酸化物ガラス全体の50質量%以上がBi、ZnO、SiO、B、BaO等の主構成要素で構成されている酸化物ガラスが好ましい。また、主構成要素以外の副次的構成要素(典型的には酸化物ガラス全体の30質量%以下の含有率)としては、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、アルカリ土類金属酸化物(CaO、SrO、BaO等)、アルカリ金属酸化物(LiO、NaO、KO)、その他の酸化物(SnO、SnO、CuO、CuO、TiO、La等)が挙げられる。
ガラス形成材料の調製に使用されるガラス組成物の好適なサイズは、特に限定されず、種々の粒径のものを用いることができる。好ましくは、レーザー回折法(光散乱法)に基づく平均粒子径が0.5μm〜5μm程度、より好ましくは0.7μm〜2μm程度、特に好ましくは0.8μm〜1.5μm程度である。また、その形状は特に限定されず、いずれの形状(即ち従来技術で製造し得る形状)であってもよい。
【0022】
他方、上記のようなガラス組成物と混合させる対象である無機フィラーとしては、絶縁層を形成するものとして適切であり且つ焼成前のガラス形成材料中において安定して存在し得、そしてベース層に付与されて焼成処理された後にも安定してベース層上で多孔質層を形成し得る耐熱性や耐化学性であれば特に制限はない。
かかる目的に適する無機フィラーの具体例として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物粒子が挙げられる。また、他の具体例として、表面に絶縁性被膜(自然酸化被膜であってもよい)を有する金属粒子(自然酸化被膜が形成されたアルミニウム粒子等)が挙げられる。また、他の具体例として絶縁性のシリカ等の酸化物セラミックス粒子や窒化ケイ素等の非酸化物セラミックス粒子、クリストバライト、コージエライト等の各種鉱物から成る粒子(広義にはセラミック粒子に包含され得る。)が挙げられる。
ガラス形成材料の調製に使用される無機フィラーの好適なサイズは、特に限定されず、種々の粒径のものを用いることができる。好ましくは、レーザー回折法(光散乱法)に基づく平均粒子径が0.5μm〜10μm程度、より好ましくは1μm〜5μm程度である。また、その形状は特に限定されず、いずれの形状であってもよいが、好適な空隙(細孔)を形成し得るという観点から無機フィラーの形状略球状又は略楕円形状が好ましい。
【0023】
上記のようなガラス組成物及び無機フィラーを用いて、好ましくは、ガラス形成材料はペースト状(スラリー状)に調製される。以下、かかるペースト状(スラリー状)のガラス形成材料を、単にガラスペーストともいう。
具体的には、ガラスペーストは、所定の配合比で混合した粉末状のガラス組成物と無機フィラーとから成る粉末材料を適当なバインダーや溶媒と混合し、当該粉末材料を溶媒中に分散させることにより調製することができる。なお、ガラスペーストに用いられるバインダー、溶媒及び他の成分(例えば分散剤)は、特に限定されるものではなく、ペースト製造において従来公知のものから適宜選択して用いることができる。
【0024】
例えば、バインダーの好適例としてセルロース又はその誘導体が挙げられる。具体的には、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの塩が挙げられる。或いはアクリル系樹脂(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート等を構成成分として形成された熱可塑性アクリル系ポリマー)を好適に使用することができる。アクリル系樹脂からなるバインダーは、粘性の付与や熱分解性に優れる。
バインダーは、ペースト全体の2〜20質量%程度の範囲で含まれることが好ましい。
また、ペースト中に含まれ得る溶媒として、例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、又は他の有機溶剤が挙げられる。溶媒の好適例としてエチレングリコール及びジエチレングリコール誘導体、トルエン、キシレン、ターピネオール、(ジ)エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点有機溶媒又はこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。ペーストにおける溶媒の含有率は特に限定されないが、ペースト全体の1〜50質量%程度が好ましい。
【0025】
ガラスペースト(ペースト状多孔質形成用材料)に含まれる粉末材料と、上記バインダー及び溶媒との混合比率は特に限定されない。ペースト全体を100質量%としたときの粉末材料の含有割合は、50〜85質量%程度が適当であり、60〜75質量%程度が好ましい。
また、ガラスペーストに含まれる粉末材料を構成するガラス組成物と無機フィラーとの配合比は、上述のとおりベース層に接する部位(境界面)における多孔率が30%以上となるように、例えばガラス組成物と無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときのガラス組成物の体積割合が10〜50vol%(無機フィラーの体積割合が50〜90vol%)、特に好ましくはガラス組成物の体積割合が20〜40vol%(無機フィラーの体積割合が60〜80vol%)となるように配合することが好ましい。
【0026】
一方、ここで開示される絶縁層のうちの上記多孔質層上に形成される緻密層は、従来と同様の種々の絶縁性材料、例えばエポキシ樹脂その他の樹脂材料によっても形成することができる。しかし、高い熱伝導性を実現するためには多孔質層と同様のガラス質(セラミック質)のものが好ましい。例えば、緻密層は、多孔質層を構成するガラスマトリックスと等しいか若しくは異なる組成のガラスマトリックスにより構成され得る。多孔質層と同質(例えば、ガラスの組成が同じであるか或いは組成に若干の相違はあるがガラス構成成分(種々の酸化物等)の種類が同じである。)のガラスマトリックスにより構成されることが好ましい。無機フィラーは含まないか或いはガラスマトリックスと無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときの無機フィラーの体積割合が50%以下(好ましくは30%以下、さらに好ましくは0〜20%)であることが好ましい。
【0027】
かかる緻密層は、上記多孔質層と同様、ガラス組成物と必要に応じて配合される無機フィラーとを所定の配合比(混合比)で含むガラス形成材料(緻密層形成用材料)を使用することにより形成することができる。ガラスペーストに関する重複した説明は省略する。
なお、緻密層形成用については、ガラスペーストに含まれる粉末材料を構成するガラス組成物と無機フィラーとの配合比は、上述のとおり無機フィラーは含まないか或いはガラス組成物と無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときの無機フィラーの体積割合が50%以下(好ましくは30%以下、さらに好ましくは0〜20%)となるように調製することが好ましい。
【0028】
好ましくは、上記構成の2種類のガラスペースト(即ち多孔質層形成用材料としてのガラスペーストならびに緻密層形成用材料としてのガラスペースト)を用いて、ベース層を構成する金属製基材(好ましくはアルミニウム基材又は銅基材)上に多孔質層と緻密層とを形成する。例えば、ガラスペーストをスクリーン印刷法、バーコータ法、ロールコータ法、ブレードコータ法、ダイコータ法等の手法を用いて基材上に塗布し、多孔質層の膜厚が10μm〜1000μm程度(好ましくは30μm〜500μm程度)となるように塗布物を形成する。また、同様の手法により多孔質層上に緻密層の膜厚が5μm〜500μm程度(好ましくは10μm〜100μm程度)となるように塗布物を形成する。
而して、塗布物を適当な温度(80〜120℃程度)で乾燥させ、次いで、使用したガラス組成物の軟化点±20℃程度の温度(典型的には400〜600℃)で10〜60分程度保持することにより焼成を行い、目的の絶縁層を形成することができる。
なお、絶縁層(多孔質層及び緻密層)の形成は、多孔質層形成用材料(多孔質層形成用ガラスペースト)を金属製基材上に付与して乾燥後に焼成し、次いで形成された多孔質膜上に緻密層形成用材料(緻密層形成用ガラスペースト)を付与して乾燥後に焼成する段階的な焼成プロセスにより行ってもよいし、或いは、多孔質層形成用材料(多孔質層形成用ガラスペースト)を金属製基材上に付与して乾燥後、その上に緻密層形成用材料(緻密層形成用ガラスペースト)を付与し、乾燥後に同時焼成するプロセスを行ってもよい。
【0029】
このようにして金属製基材(ベース層)12上に多孔質層22と緻密層24とを有する絶縁層20を形成することにより、図1に示すような目的とする高熱伝導性基板10を好適に製造することができる。
而して、図1に示すように、緻密層24の表面に従来公知の方法(例えばフォトリソグラフ法によるパターン形成)に基づいて所定パターンの配線(導体膜)30を形成し、次いで当該配線30に所定の発熱性素子(例えばLED)40その他の素子類を配置(実装)することにより、目的とする電子部品1を製造することができる。なお、本発明はここに開示される高熱伝導性基板における絶縁層の構成とその形成に関するものであり、LEDその他の発熱性素子の構造自体、ならびに発熱性素子を備える電子部品(回路基板)の製造プロセスは従来と同様であればよく、本発明を特徴付けるものではないためこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0030】
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0031】
<ガラスペーストの調製例>
計3種類の組成の酸化物ガラス組成物を用意した。表1に当該3種類のガラス組成物の成分比(質量%)を示す。また、表2に熱膨張係数(20℃〜300℃の線膨張係数)及びガラス軟化点を示す。なお、ガラス軟化点は、一般的な精密DTA(示差熱分析)を使って測定した。即ち、DTA曲線の第3ピークの値を軟化点(Ts)とした。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
而して、上記用意した3種類のガラス組成物と、無機フィラーとして4種類の無機材料(即ち、クリストバライト粒子、酸化アルミニウム粒子、アルミニウム(自然酸化被膜付き)粒子、酸化マグネシウム粒子)とを、適宜組み合わせて使用し、計12種類のガラスペーストを調製した。
具体的には、ペースト全体の質量を100質量%として、上記用意した3種類のうちの何れかのガラス組成物(レーザー回折法に基づく粒度分布測定装置により算出した平均粒子径:0.5μm〜5μm)と、必要に応じて配合される何れかの無機フィラー粉末(レーザー回折法に基づく粒度分布測定装置により算出した平均粒子径:1μm〜5μm)とから成る粉末材料との合量が65〜75質量%となり、残部(25〜35質量%)が溶媒(ここではターピネオール)とバインダ(ここではエチルセルロース)となるようにこれら材料をよく攪拌し、表3〜5に示す計12種類のガラスペースト(表中のペーストNo.1〜12)を調製した。
なお、溶媒とバインダとの配合比は、9:1とした。また、使用したガラス組成物と無機フィラーとの配合比は表3〜5に示すとおりである。表中にガラス組成物と無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときのそれぞれの体積割合を示す。
【0038】
<絶縁層(単一層)の形成例>
次に、上記のようにして得られたペーストの何れかを用いて厚さ1mmの平板状のアルミニウム基材(サイズ:幅50mm×奥行30mm×厚さ1mm)上に単一層から成る絶縁層を形成してアルミニウム基板を作製した。
即ち、上記アルミニウム基材上にペーストNo.1〜12の何れかを塗布した。塗布膜の乾燥後、かかるアルミニウム基材を電気炉に入れ、塗布したペーストに含まれるガラス組成物のガラス軟化点付近の温度(ここでは460℃、500℃または550℃)で焼成し、絶縁膜(絶縁層)を形成した。
かかる焼成後のアルミニウム基板の反り量を調べた。具体的には、上記絶縁層が形成された面が上向きになるように水平試験台上に焼成後のアルミニウム基板を配置し、当該基板の厚さ方向における最低部と最上部との間の寸法を測定した。その測定値から得た反り量が0.1mm以下のものは「反りなし」と判定し、0.1mmを上回るものを「反りあり」と判定した。結果を使用ペースト毎に表3〜5の該当欄に示す。
次いで、焼成後の絶縁層をアルミニウム基材から剥離し、当該基材との境界面側について電子顕微鏡(SEM)観察を行い、その画像データから多孔率を調べた。かかる多孔率が30%未満(典型的には10%未満)であるものを「緻密」と判定し、多孔率が30%以上であったものを「多孔質」と判定した。結果を使用ペースト毎に表3〜5の該当欄に示す。
【0039】
基板の反り発生の有無と多孔質/緻密の判定から、アルミニウム基材の表面に多孔率30%以上の絶縁層を形成することによって、アルミニウム基材の熱膨張により生じる応力が多孔質な絶縁層において緩衝され、アルミニウム基材の熱膨張に伴うせん断力(応力)により絶縁層が破壊されたり或いは熱膨張差によって基板に反りが生じたりするのを防止することができることが確認された。他方、緻密な絶縁層が形成された基板は何れも大きな反りが認められた。
【0040】
<積層構造の絶縁層を備えるアルミニウム基板の製造例>
次に、表6に示すように、サンプル1〜11として、上記12種類のガラスペーストのうちから適宜選択した2種類のガラスペースト(但し含有されるガラス組成物の種類は同一となるように2種類のペーストを選択した。)を用いて積層構造(2層構造)の絶縁層を備えるアルミニウム基板を作製した。
即ち、上記<絶縁層(単一層)の形成例>で使用したものと同タイプのアルミニウム基材上にペーストNo.1〜12の何れか(表6参照)を塗布した。かかる下層塗膜の乾燥後、該塗膜上に所定のペースト(表6参照)を塗布した。かかる上層塗膜の乾燥後、アルミニウム基材を電気炉に入れ、塗布したペーストに含まれるガラス組成物のガラス軟化点付近の温度(即ち460℃、500℃または550℃)或いは軟化点よりも50度ほど高い温度で焼成した。以上の処理により、ほぼ30〜50μmの厚さの下層と、ほぼ10〜30μmの厚さの上層とから成る積層構造の絶縁膜(絶縁層)を形成した。
【0041】
【表6】

【0042】
かかる焼成後のアルミニウム基板(サンプルNo.1〜11)の反り量を、上記<絶縁層(単一層)の形成例>において行った方法と同様の方法によりそれぞれ調べた。結果をサンプル毎に表6の該当欄に示す。また、図2は、焼成後のサンプルNo.1の絶縁層をアルミニウム基材から剥離し、当該基材と接する下層絶縁層(多孔質層)の基材に接する面側を観察した電子顕微鏡(SEM)写真である。
図2に示すように下層絶縁膜が多孔質層を構成しているサンプルNo.1〜3、5〜7、10については何れも基板に反りは認められなかった。従って、サンプルNo.1〜3、5〜7、10を製造するのに使用された2種類のガラスペーストは、多孔質層形成用材料および緻密層形成用材料の組合せ(キット)として好適である。
他方、下層絶縁膜が緻密層であるサンプルNo.4については基板に大きい反りが生じた。また、焼成温度がガラスペーストに含まれるガラス組成物の軟化点より50℃高い温度であるサンプルNo.8、9、11については、焼成時に上層に含まれるガラス成分が溶出して下層に流入し、結果、サンプルNo.4と同様に下層絶縁層が緻密化してしまい、基板に大きい反りが生じた。
【0043】
以上に示した試験例から明らかなように、本発明によると、アルミニウム基材その他の高熱伝導性を有する金属製の基材上に多孔質なガラス質(無機フィラーを含む)の絶縁層を形成することにより、高温時に基板に反りが発生するのを防止し、また、絶縁層に亀裂(クラック)が生じない高熱伝導性基板(放熱性基板)を提供することができる。かかる基板はLED等の発熱性素子を実装する基板として好適に使用することができる。従って、本発明は、上述の図1に示すように、ここで開示される高熱伝導性基板を備える電子部品を提供する。
【符号の説明】
【0044】
1 電子部品
10 高熱伝導性基板
12 ベース層
20 絶縁層
22 多孔質層
24 緻密層
30 配線(導体膜)
40 発熱性素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の基材から成るベース層を備える金属ベースの基板であって、
前記ベース層の少なくとも片方の面に絶縁層が形成されており、
前記絶縁層は、前記ベース層に接する多孔質層と該多孔質層上に形成される緻密層とを有しており、
ここで前記多孔質層は、ガラスで構成されるマトリックスと該マトリックスに混在する無機フィラーとを有しており、且つ、前記ベース層に接する部位における多孔率が少なくとも30%であることを特徴とする、基板。
【請求項2】
前記多孔質層における前記ガラスマトリックスと無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときの該多孔質層におけるガラスマトリックスの体積割合が10〜50vol%であることを特徴とする、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記緻密層は、前記多孔質層のガラスマトリックスと同質のガラスマトリックスを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の基板。
【請求項4】
前記ベース層を構成する金属製基材の熱膨張係数が150〜260×10-7/℃であり、前記多孔質層のガラスマトリックスは熱膨張係数が50×10-7/℃以上のガラスにより構成されていることを特徴とする、 請求項1〜3のいずれかに記載の基板。
【請求項5】
前記ベース層は、アルミニウム基材により構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の基板。
【請求項6】
金属製の基材から成るベース層を備える金属ベースの基板を製造する方法であって、
絶縁性のガラス組成物と無機フィラーとを含むガラス形成材料であって、該ガラス組成物と無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときの該ガラス組成物の体積割合が10〜50vol%であるガラス形成材料を、前記ベース層を構成する金属製基材の表面に付与し、前記ガラス組成物から成るガラスマトリックスと該マトリックスに混在する前記無機フィラーとを有する多孔質層であって前記ベース層に接する部位における多孔率が少なくとも30%である多孔質層を形成すること、ならびに、
前記多孔質層上に絶縁性の緻密層を形成すること、
を包含する、
前記ベース層の少なくとも片方の面に、該ベース層に接する前記多孔質層と該多孔質層上に形成される前記緻密層とを有する前記絶縁層が形成された金属ベースの基板を製造する方法。
【請求項7】
前記緻密層として、前記多孔質層のガラスマトリックスと同質のガラスマトリックスを有する緻密層を形成する、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ベース層を構成する金属製基材として、熱膨張係数が150〜260×10-7/℃である金属製基材を使用し、
前記ガラス形成材料として、前記ガラス組成物の熱膨張係数が50×10-7/℃以上であることを特徴とするガラス形成材料を使用する、 請求項6又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ガラス形成材料として、前記ガラス組成物のガラス軟化点が400〜600℃であることを特徴とするガラス形成材料を使用する、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
金属製の基材から成るベース層を備える金属ベースの基板における該ベース層の少なくとも片方の面に、前記ベース層に接する多孔質層と該多孔質層上に形成される緻密層とを有する積層構造の絶縁層を形成するためのキットであって、
絶縁性のガラス組成物と無機フィラーとを含む第1のガラス形成材料であって、該ガラス組成物と無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときの該ガラス組成物の体積割合が10〜50vol%であるように調製されている前記多孔質層形成用のガラス形成材料と、
絶縁性のガラス組成物として前記第1のガラス形成材料に含まれるガラス組成物と同質のガラス組成物を含む第2のガラス形成材料であって、該ガラス組成物と無機フィラーとの体積合計を100vol%としたときの該ガラス組成物の体積割合が50〜100vol%であるように調製されている前記緻密層形成用のガラス形成材料と、
を含む、金属ベースの基板の前記絶縁層を形成するためのキット。
【請求項11】
前記多孔質形成用のガラス形成材料及び前記緻密層形成用のガラス形成材料に含まれる前記ガラス組成物の熱膨張係数が50×10-7/℃以上であることを特徴とする、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記多孔質形成用のガラス形成材料及び前記緻密層形成用のガラス形成材料に含まれる前記ガラス組成物のガラス軟化点が400〜600℃であることを特徴とする、
請求項11に記載のキット。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−222658(P2011−222658A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88650(P2010−88650)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【Fターム(参考)】